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特開2024-106315燃料のブリッジ状態検出システムおよび燃料のブリッジ状態検出方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024106315
(43)【公開日】2024-08-07
(54)【発明の名称】燃料のブリッジ状態検出システムおよび燃料のブリッジ状態検出方法
(51)【国際特許分類】
   F23G 5/50 20060101AFI20240731BHJP
   G06T 7/11 20170101ALI20240731BHJP
   G06T 7/269 20170101ALI20240731BHJP
【FI】
F23G5/50 Q
G06T7/11
G06T7/269
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023212337
(22)【出願日】2023-12-15
(31)【優先権主張番号】P 2023010061
(32)【優先日】2023-01-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000133032
【氏名又は名称】株式会社タクマ
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】河野 孝志
(72)【発明者】
【氏名】中道 亮
【テーマコード(参考)】
3K062
5L096
【Fターム(参考)】
3K062AA24
3K062AB01
3K062AC17
3K062BA05
3K062CA08
3K062CB01
3K062DA40
5L096AA06
5L096BA02
5L096CA04
5L096DA03
5L096FA14
5L096FA32
5L096FA66
5L096GA51
5L096HA04
5L096HA05
(57)【要約】
【課題】燃料のブリッジ状態を画像データから検出することができる燃料のブリッジ状態検出システムおよび燃料のブリッジ状態検出方法を提供する。
【解決手段】燃料のブリッジ状態検出システム1は、ホッパ2内を移動している状態の燃料を含む所定領域を撮像した画像データから、燃料が存在する領域を示す燃料存在領域を演算し出力する燃料存在領域演算部12、及び/又は画像データから燃料の落下速度を演算し出力する落下速度演算部13と、燃料存在領域及び/又は落下速度に基づいて、ブリッジ状態を判定するブリッジ判定部14と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホッパ内を移動している状態の燃料を含む所定領域を撮像した画像データから、燃料が存在する領域を示す燃料存在領域を演算し出力する燃料存在領域演算部、及び/又は前記画像データから前記燃料の落下速度を演算し出力する落下速度演算部と、
前記燃料存在領域及び/又は前記落下速度に基づいて、ブリッジ状態を判定するブリッジ判定部と、を備える、燃料のブリッジ状態検出システム。
【請求項2】
前記燃料存在領域演算部は、前記燃料存在領域を輝度平均値として出力する、請求項1に記載の燃料のブリッジ状態検出システム。
【請求項3】
前記燃料存在領域演算部は、前記画像データを複数に分割した領域ごとの全画素の輝度を平均して、前記領域ごとに前記輝度平均値を演算する、請求項2に記載の燃料のブリッジ状態検出システム。
【請求項4】
前記落下速度演算部は、時間的前後の前記画像データをトラッキング処理し、前記落下速度を演算する、請求項1に記載の燃料のブリッジ状態検出システム。
【請求項5】
前記ブリッジ判定部は、前記輝度平均値が第1閾値以下のとき、ブリッジ状態であると判定する、請求項2に記載の燃料のブリッジ状態検出システム。
【請求項6】
前記ブリッジ判定部は、前記ブリッジ状態のレベルをブリッジ度合いに応じて段階的に分ける、請求項1に記載の燃料のブリッジ状態検出システム。
【請求項7】
ホッパ内を移動している状態の燃料を含む所定領域を撮像した画像データから、燃料が存在する領域を示す燃料存在領域を演算し出力する燃料存在領域演算ステップ、及び/又は前記画像データから前記燃料の落下速度を演算し出力する落下速度演算ステップと、
前記燃料存在領域及び/又は前記落下速度に基づいて、ブリッジ状態を判定するブリッジ判定ステップと、を含む、燃料のブリッジ状態検出方法。
【請求項8】
燃料のブリッジ状態検出プログラムであって、
少なくとも1つのプロセッサーあるいは情報処理装置により、請求項7に記載の燃料のブリッジ状態検出方法を実現するプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料のブリッジ状態検出システムおよび燃料のブリッジ状態検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば燃焼炉に燃料を供給するためのホッパにおいて、燃料が詰まる、いわゆるブリッジが発生することがある。従来、ホッパの上下にマイクロ波式等のレベルスイッチを設置することで、燃料の有無状況を判定し、ホッパのブリッジ状態を検出する技術が知られている。また、下記特許文献1は、ごみを焼却炉に供給するためのホッパに関するものであるが、ホッパの側壁に圧力センサを設置することで、ごみの有無状況を判定し、ホッパのブリッジ状態を検出する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-109077号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示では、燃料のブリッジ状態を画像データから検出することができる燃料のブリッジ状態検出システムおよび燃料のブリッジ状態検出方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の燃料のブリッジ状態検出システムは、
ホッパ内を移動している状態(停止状態も含む)の燃料を含む所定領域を撮像した画像データから、燃料が存在する領域を示す燃料存在領域を演算し出力する燃料存在領域演算部、及び/又は前記画像データから前記燃料の落下速度を演算し出力する落下速度演算部と、
前記燃料存在領域及び/又は前記落下速度に基づいて、ブリッジ状態を判定するブリッジ判定部と、を備えていてもよい。
【0006】
「燃料存在領域演算部」、「落下速度演算部」、「ブリッジ判定部」は、情報処理装置で構成されていてもよく、その手順を含むプログラムとプロセッサーの協動作用で構成されていてもよい。
各演算部で使用される画像データは、同じ時刻に撮像された画像でもよく、撮像時刻の一部が重複している画像であってもよく、完全に重複していなくてもよい。
【0007】
前記燃料のブリッジ状態検出システムは、
ホッパ内を移動している状態(停止状態も含む)の燃料を含む所定領域を撮像する撮像装置を備えていてもよい。
前記撮像装置は、例えば、可視カメラである。
【0008】
前記燃料のブリッジ状態検出システムは、
演算し出力された前記燃料存在領域及び前記落下速度を記憶する記憶装置を備えていてもよい。前記燃料存在領域及び前記落下速度の各データは、演算時刻(あるいは出力時刻)、識別番号と関連づけられて出力されてもよい。
【0009】
前記燃料のブリッジ状態検出システムは、
演算し出力された前記燃料存在領域及び前記落下速度を出力する出力装置を備えていてもよい。前記燃料存在領域及び前記落下速度の各データは、演算時刻(あるいは出力時刻)、識別番号と関連づけられて出力されてもよい。
「出力」は、例えば、プリンターによる印刷でもよく、モニターによる表示でもよく、通信部による外部装置への送信でもよく、メディア書込装置による記憶媒体への記憶でもよい。
【0010】
「燃料」は、例えば、バイオマスが挙げられる。バイオマスには、廃棄物系バイオマス(家畜排せつ物、食品廃棄物、廃棄紙、パルプ工場廃液、下水汚泥、し尿汚泥、建設発生木材、製材工場等残材など)、未利用バイオマス(稲わら、麦わら、もみがら、林地残材など)、資源作物(糖質資源、でんぷん資源、油脂資源、柳、ポプラ、スイッチグラスなど)が含まれる。なお、燃料は、バイオマスに限らず、その他の産業廃棄物や家庭ごみであってもよい。
【0011】
前記燃料存在領域演算部は、前記画像データに含まれる輝度に関する情報や、色に関する情報(RGB値、HSV(HSB)値等)等に基づき、燃料が存在する領域を演算する。
前記画像データに含まれる輝度に関する情報を用いる場合、前記燃料存在領域演算部は、前記燃料存在領域を輝度平均値として出力してもよい。また、前記燃料存在領域演算部は、前記画像データ(映像を構成するフレーム画像)の全画素の輝度を平均して前記輝度平均値を演算してもよい。
また、前記燃料存在領域演算部は、前記画像データを複数に分割した領域ごとの全画素の輝度を平均して、前記領域ごとに前記輝度平均値を演算してもよい。分割は、例えば、矩形状に縦軸2(1)×横軸1(2)から縦軸1(2、3、4、6)×横軸12(6、4、3、2)に分割されてもよい。
映像のフレームレートは、例えば、10から30fpsであってもよい。
演算される前記輝度平均値は、2以上の画像データ(所定期間内の全フレーム画像)の輝度平均値をさらに平均とした値でもよい。所定期間は、例えば1秒から10秒の範囲の任意の時間であってもよい。
演算される前記輝度平均値は、すべての画像データ(映像を構成する全フレーム画像)に対して計算されてもよく、所定のタイミングのフレーム画像で間欠的に計算されてもよい。
【0012】
前記落下速度演算部は、時間的前後の前記画像データをトラッキング処理し、前記落下速度を演算してもよい。
前記トラッキング処理は、例えば、オプティカルフロー(勾配法、ブロックマッチング法)やテンプレートマッチング等を用いてもよい。
時間的前後の画像データは、例えば、映像を構成する現時点のフレーム画像とその直前(又は直後)のフレーム画像でもよく、現時点のフレーム画像とその直前(又は直後)のフレーム画像から1以上前(又は後)のフレーム画像であってもよい。
【0013】
前記ブリッジ判定部は、前記輝度平均値が第1閾値以下のとき、ブリッジ状態であると判定してもよい。
また、前記ブリッジ判定部は、前記ブリッジ状態のレベルをブリッジ度合いに応じて段階的に分けてもよい。
また、前記ブリッジ判定部は、前記落下速度が第2閾値以下の状態が所定期間以上継続しているとき、ブリッジ状態であると判定してもよい。
【0014】
他の開示の燃料のブリッジ状態検出方法は、
ホッパ内を移動している状態(停止状態を含む)の燃料を含む所定領域を撮像した画像データから、燃料が存在する領域を示す燃料存在領域を演算し出力する燃料存在領域演算ステップ、及び/又は前記画像データから前記燃料の落下速度を演算し出力する落下速度演算ステップと、
前記燃料存在領域及び/又は前記落下速度に基づいて、ブリッジ状態を判定するブリッジ判定ステップと、を含んでいてもよい。
【0015】
前記燃料存在領域演算ステップは、前記燃料存在領域を輝度平均値として出力してもよい。また、前記燃料存在領域演算ステップは、前記画像データを複数に分割した領域ごとの全画素の輝度を平均して、前記領域ごとに前記輝度平均値を演算してもよい。
【0016】
前記落下速度演算ステップは、時間的前後の画像データをトラッキング処理し、前記落下速度を演算してもよい。
【0017】
前記ブリッジ判定ステップは、前記輝度平均値が第1閾値以下のとき、ブリッジ状態であると判定してもよい。
また、前記ブリッジ判定ステップは、前記ブリッジ状態のレベルをブリッジ度合いに応じて段階的に分けてもよい。
また、前記ブリッジ判定ステップは、前記落下速度が第2閾値以下の状態が所定期間以上継続しているとき、ブリッジ状態であると判定してもよい。
【0018】
また、本開示の燃料のブリッジ状態検出方法は、前記ブリッジ判定ステップでブリッジ状態であると判定された場合、ブリッジ状態であることを外部に報知する報知ステップと、を含んでいてもよい。
【0019】
他の開示の燃料のブリッジ状態検出プログラムは、少なくとも1つのプロセッサーあるいは情報処理装置により、上記燃料のブリッジ状態検出方法を実現するプログラムである。
他の開示のコンピュータ命令が記憶されているコンピュータ読み取り可能な記録媒体は、前記コンピュータ命令がプロセッサーにより実行されることで、上記燃料のブリッジ状態検出プログラムのステップを実現するコンピュータ読み取り可能な記録媒体である。
【0020】
「燃料のブリッジ状態検出システム」の各要素は、メモリ、プロセッサー、ソフトウエアプログラムを有する情報処理装置(例えば、コンピュータ、サーバ)や、専用回路、ファームウエアなどで構成してもよい。情報処理装置は、オンプレミスまたはクラウドのいずか一方、あるいは両方の組み合わせであってもよい。
「情報処理装置」は、例えば、汎用コンピュータ、オンプレミスサーバ、クラウドサーバなど1つあるいは2つ以上で構成されてもよい。
【0021】
(作用効果)
(1)画像データからブリッジ状態を判定するため、燃料のブリッジ状態を正確に検出できる。また、従来のレベルスイッチや圧力センサでは検出が難しかった予期しない偏りによるブリッジ状態も検出できる。
(2)画像データに含まれる輝度や色情報に基づき燃料存在領域を演算するため、燃料のブリッジ状態を詳細に検出できる。
(3)画像データを複数に分割した領域ごとに輝度平均値を演算することで、燃料のブリッジ状態を詳細に検出できる。
(4)ブリッジ状態のレベルをブリッジ度合いに応じて段階的に分けることで、より細かくブリッジ状態の把握が可能となる。
(5)ブリッジ状態検出システムを撮像装置(例えば可視カメラ)と情報処理装置のみで構成できるため、低コストで設定可能である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】実施形態1に係る燃料のブリッジ状態検出システムの構成を示す図である。
図2】同実施形態の処理動作を示すフローチャートである。
図3】実施形態2に係る燃料のブリッジ状態検出システムの構成を示す図である。
図4】同実施形態の処理動作を示すフローチャートである。
図5】実施形態3に係る燃料のブリッジ状態検出システムの構成を示す図である。
図6】同実施形態の処理動作を示すフローチャートである。
図7】可視カメラで撮像した画像データの一例を示す図である。
図8A】画像データからの燃料の特徴点の検出例
図8B】各特徴点のオプティカルフローの軌跡を可視化した例
図9】落下速度、警報出力、及び特徴点の数の24時間のトレンドグラフ
図10】(a)落下速度のトレンドグラフ、(b)輝度のトレンドグラフ、(c)ブリッジ発生の映像
図11】(a)落下速度のトレンドグラフ、(b)輝度のトレンドグラフ、(c)ブリッジ発生の映像
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に本発明のいくつかの実施形態について説明する。以下に説明する実施形態は、本発明の一例を説明するものである。本発明は以下の実施形態になんら限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において実施される各種の変形形態も含む。なお、以下で説明される構成の全てが本発明の必須の構成であるとは限らない。
【0024】
(実施形態1)
図1に燃料のブリッジ状態検出システム1の構成の一例を示す。本実施形態では、燃料としてバイオマス燃料を使用し、垂直落下式のホッパ2から燃焼炉(不図示)にバイオマス燃料を落下させて供給する。
【0025】
ブリッジ状態検出システム1は、撮像装置11と、燃料存在領域演算部12と、ブリッジ判定部14と、記憶装置15と、出力装置16と、通信装置17とを備える。
【0026】
撮像装置11は、可視カメラであり、透明窓21を介して、ホッパ2内を移動する燃料を撮像する。すなわち、撮像装置11は、ホッパ2内を移動している状態の燃料を含む所定領域(本実施形態では、透明窓21内の領域)を撮像する。可視カメラは、フレームレートが例えば、10から30fpsである。
【0027】
燃料存在領域演算部12は、撮像装置11で撮像された画像データから、輝度平均値を演算し出力する。本実施形態では、燃料存在領域演算部12は、画像データを複数に分割した領域ごとの全画素の輝度を平均して、領域ごとに輝度平均値を演算する。
【0028】
ブリッジ判定部14は、燃料存在領域演算部12から出力された輝度平均値に基づいて、ブリッジ状態を判定する。本開示において、「ブリッジ状態」とは、ブリッジの有無、ブリッジの度合い等を含む。
【0029】
記憶装置15は、燃料存在領域演算部12で演算された輝度平均値を記憶する。
出力装置16は、燃料存在領域演算部12で演算された輝度平均値を出力する。
通信装置17は、無線通信手段および/または有線通信手段を有して構成されており、燃料存在領域演算部12で演算された輝度平均値を燃料制御装置25へ送信する。また、通信装置17は、ブリッジ判定部14がブリッジ状態であると判定した場合、ブリッジ状態に関するブリッジ関連情報を燃料制御装置25へ送信する。
【0030】
燃料制御装置25は、ブリッジ関連情報を受信する受信部251と、前記ブリッジ関連情報に基づいて、報知装置26を制御する制御部252とを備える。報知装置26としては、例えば、モニター等の表示装置やスピーカー等の音声装置である。
また、制御部252は、ホッパ2のブリッジ状態を解消するブリッジ解消装置27を制御する。ブリッジ解消装置27としては、例えば、ホッパ2内にエアを吹き込むエア噴射装置、ホッパ2を振動させる振動発生装置、ホッパ2内で燃料を直接押圧する押圧装置等である。
【0031】
(動作フロー1)
図2に本実施形態の動作フローを示す。
ステップS1において、i=0に設定する。
ステップS2において、可視カメラで撮像した映像からi番目のフレーム画像(画像データ)を読み込む。
ステップS3において、i番目のフレーム画像から輝度平均値を求める。
ステップS4において、輝度平均値が閾値Bth以下か否かを判断する。閾値Bthは、例えば、30に設定される。輝度平均値が閾値Bth以下の場合(ステップS4のYES)、次のステップS5に進む。
ステップS5において、ブリッジ状態であると判定し、報知装置26がブリッジ警報を発する。
ステップS4において輝度平均値が閾値Bth以下ではない場合(ステップS4のNO)、ステップS6において、正常である(ブリッジ状態ではない)と判定する。
ステップS7において、終了条件を満たすか否かを判断する。終了条件とは、例えば、運転停止である。終了条件を満たす場合(ステップS7のYES)、終了する。
一方、ステップS7において終了条件を満たさない場合(ステップS7のNO)、i=i+1としてステップS2へ戻る。
【0032】
(実施形態2)
図3に燃料のブリッジ状態検出システム31の構成の一例を示す。なお、実施形態1と同一の要素については同一の参照番号を付し、その説明は省略する。
【0033】
ブリッジ状態検出システム31は、撮像装置11と、落下速度演算部13と、ブリッジ判定部314と、記憶装置315と、出力装置316と、通信装置317とを備える。
【0034】
落下速度演算部13は、撮像装置11で撮像された画像データから、燃料の落下速度を演算し出力する。本実施形態では、落下速度演算部13は、撮像装置11で撮像された時間的前後の画像データをトラッキング処理し、落下速度を演算する。より具体的には、落下速度演算部13は、時間的前後の画像データをトラッキング処理し、前後の画像データの時間幅と燃料の移動距離から落下速度を演算する。トラッキング処理は、例えば、オプティカルフロー(勾配法、ブロックマッチング法)である。
【0035】
ブリッジ判定部314は、落下速度演算部13から出力された落下速度に基づいて、ブリッジ状態を判定する。
【0036】
記憶装置315は、落下速度演算部13で演算された落下速度を記憶する。
出力装置316は、落下速度演算部13で演算された落下速度を出力する。
通信装置317は、無線通信手段および/または有線通信手段を有して構成されており、落下速度演算部13で演算された落下速度を燃料制御装置25へ送信する。また、通信装置217は、ブリッジ判定部314がブリッジ状態であると判定した場合、ブリッジ状態に関するブリッジ関連情報を燃料制御装置25へ送信する。
【0037】
(動作フロー2)
図4に本実施形態の動作フローを示す。
ステップS21において、i=0に設定する。
ステップS22において、可視カメラで撮像した映像からi番目のフレーム画像(画像データ)を読み込む。
ステップS23において、i番目のフレーム画像からトラッキング処理により燃料の落下速度を演算する。例えば、i番目のフレーム画像と(i+1)番目のフレーム画像をトラッキング処理し、両者のフレーム画像の時間幅と燃料の移動距離から落下速度を演算する。
ステップS24において、i番目の落下速度を記憶装置315(あるいはテンポラリメモリ)に保存する。
ステップS25において、落下速度が閾値Vth以下の状態がkフレーム以上継続しているか否かを判断する。閾値Vthは、例えば、1mm/secに設定される。kは、フレーム数であり、例えば、フレームレートに応じて適宜設定される。
落下速度が閾値Vth以下の状態がkフレーム以上継続している場合(ステップS25のYES)、ステップS26において、ブリッジ状態であると判定し、報知装置26がブリッジ警報を発する。
一方、落下速度が閾値Vth以下の状態がkフレーム以上継続していない場合(ステップS25のNO)、ステップS27において、正常である(ブリッジ状態ではない)と判定する。
ステップS28において、終了条件を満たすか否かを判断する。終了条件とは、例えば、運転停止である。終了条件を満たす場合(ステップS28のYES)、終了する。
一方、ステップS28において終了条件を満たさない場合(ステップS28のNO)、i=i+1としてステップS22へ戻る。
【0038】
(実施形態3)
図5に燃料のブリッジ状態検出システム41の構成の一例を示す。なお、実施形態1又は2と同一の要素については同一の参照番号を付し、その説明は省略する。
【0039】
ブリッジ状態検出システム1は、撮像装置11と、燃料存在領域演算部12と、落下速度演算部13と、ブリッジ判定部414と、記憶装置415と、出力装置416と、通信装置417とを備える。
【0040】
ブリッジ判定部414は、燃料存在領域演算部12から出力された輝度平均値及び落下速度演算部13から出力された落下速度に基づいて、ブリッジ状態を判定する。
【0041】
記憶装置415は、上記演算部12,13で演算された輝度平均値及び落下速度を記憶する。
出力装置416は、上記演算部12,13で演算された輝度平均値及び落下速度を出力する。
通信装置417は、無線通信手段および/または有線通信手段を有して構成されており、上記演算部12,13で演算された輝度平均値及び落下速度を燃料制御装置25へ送信する。また、通信装置417は、ブリッジ判定部414がブリッジ状態であると判定した場合、ブリッジ状態に関するブリッジ関連情報を燃料制御装置25へ送信する。
【0042】
(動作フロー3)
図6に本実施形態の動作フローを示す。
ステップS31において、i=0に設定する。
ステップS32において、可視カメラで撮像した映像からi番目のフレーム画像(画像データ)を読み込む。
ステップS33において、i番目のフレーム画像から輝度平均値を求める。
また、ステップS33と並行して、ステップS34において、i番目のフレーム画像からトラッキング処理により燃料の落下速度を演算する。例えば、i番目のフレーム画像と(i+1)番目のフレーム画像をトラッキング処理し、両者のフレーム画像の時間幅と燃料の移動距離から落下速度を演算する。
ステップS35において、i番目の落下速度を記憶装置15(あるいはテンポラリメモリ)に保存する。
ステップS36において、輝度平均値が閾値Bth以下か否かを判断する。閾値Bthは、例えば、30に設定される。輝度平均値が閾値Bth以下の場合(ステップS36のYES)、次のステップS37に進む。
ステップS37において、落下速度が閾値Vth以下の状態がkフレーム以上継続しているか否かを判断する。閾値Vthは、例えば、1mm/secに設定される。kは、フレーム数であり、例えば、フレームレートに応じて適宜設定される。
落下速度が閾値Vth以下の状態がkフレーム以上継続している場合(ステップS37のYES)、ステップS38において、ブリッジ状態であると判定し、報知装置26がブリッジ警報3を発する。ブリッジ警報3は、ブリッジ度合いが最も大きいブリッジ状態の際に発せられる。
一方、落下速度が閾値Vth以下の状態がkフレーム以上継続していない場合(ステップS37のNO)、ステップS39において、ブリッジ状態であると判定し、報知装置26がブリッジ警報2を発する。ブリッジ警報2は、ブリッジ警報3のときよりもブリッジ度合いが小さいブリッジ状態の際に発せられる。
ステップS36において輝度平均値が閾値Bth以下ではない場合(ステップS36のNO)、ステップ40において、落下速度が閾値Vth以下の状態がkフレーム以上継続しているか否かを判断する。
落下速度が閾値Vth以下の状態がkフレーム以上継続している場合(ステップS40のYES)、ステップS41において、ブリッジ状態であると判定し、報知装置26がブリッジ警報1を発する。ブリッジ警報1は、ブリッジ警報3のときよりもブリッジ度合いが小さいブリッジ状態の際に発せられる。
一方、落下速度が閾値Vth以下の状態がkフレーム以上継続していない場合(ステップS40のNO)、ステップS42において、正常である(ブリッジ状態ではない)と判定する。
ステップS43において、終了条件を満たすか否かを判断する。終了条件とは、例えば、運転停止である。終了条件を満たす場合(ステップS43のYES)、終了する。
一方、ステップS43において終了条件を満たさない場合(ステップS43のNO)、i=i+1としてステップS32へ戻る。
【0043】
(実施例1)
図7は、実施形態1において、可視カメラで撮像した画像データの一例であり、(a)~(e)は経時的変化を示している。この例では、画像データを「1」~「6」の6つの領域に分割している。画像データ中の明るい箇所はバイオマス燃料である。(a)では輝度平均値が高く、正常の状態である。(b)では「4」の領域で輝度が低下しており、詰まり気味(ややブリッジ状態)である。(c)では「6」の領域で輝度が低下しており、詰まり気味(ややブリッジ状態)である。(d)では「3」、「5」、「6」の領域で輝度が低下しており、ブリッジ状態である。(e)では「5」、「6」の領域で輝度が低下しており、ブリッジ状態である。
【0044】
(実施例2)
バイオマス発電所に本発明のブリッジ状態検出システムを設置し実証試験を行った。
試験での燃料映像の特徴点の検出例を図8Aに示す。図8Aに示すように、燃料上の特徴的なポイントを検出できている。また、各特徴点のオプティカルフローの軌跡を可視化した例を図8Bに示す。上下方向に延びる線が各特徴点の軌跡を表しており、オプティカルフローで燃料の落下を捉えられていることが分かる。これら全ての特徴点の移動距離の平均とフレームレートから落下速度を算出できる。
【0045】
落下速度、警報出力、及び特徴点の数の24時間のトレンドグラフを図9に示す。(a)は、落下速度[mm/sec]を示している。(b)は、警報出力を示しており、「1」は警報が出力されたことを意味する。(c)は、特徴点の数を示している。落下速度の警報の条件は、Vth=6(mm/sec)とし、Vth以下が18秒継続(計算の周期は5FPSとしているため、フレームに換算すると90フレーム継続)で発報する設定とした。また、特徴点の数は200ポイントを上限とした。図9のように、燃料の特徴点をトラッキングする方法で、長期的に安定して落下速度を算出することができた。
【0046】
落下速度と輝度が低下し、ブリッジが検出された際のデータ例を図10に示す。また、落下速度のみが低下し、ブリッジが検出された際のデータ例を図11に示す。図10及び図11において、(a)は落下速度、(b)は画像を6分割した各エリアの輝度平均値を示しており、(a),(b)の点線で網掛けした領域は、ブリッジ警報が出力された時間帯を表している。また、(c)はブリッジ発生時の映像である。落下速度の警報の条件は、Vth=6(mm/sec)とし、Vth以下が18秒継続(90フレーム継続)で発報する設定とした。輝度の警報の条件は、Bth=40とし、2秒間継続(10フレーム継続)で発報する設定とした。図10のように、20:49~20:50頃に燃料が棚吊り状態(ホッパ上部で詰まった状態)となり、落下速度、輝度がほぼ同じタイミングで低下しておりブリッジを検出できている。
また、図11のように、輝度が低下しない場合においても、落下速度のみの低下からブリッジの検出を確認できた。輝度が低下しない理由は、燃料が棚吊り状態となっておらず、(c)に示すように、透明窓21に燃料が映った状態で詰まっているためである。
上記の2つの例のように、本発明のブリッジ状態検出システム及びブリッジ状態検出方法が技術的に可能と確かめられた。
【0047】
(変形例)
輝度平均値を求める処理及びトラッキング処理を実施する前に、可視カメラで撮像した映像から透明窓21の窓枠を検出し、検出された窓枠の領域内の画像を処理対象としてもよい。これにより、ブリッジ判定に必要な領域だけを画像処理の対象とすることができるため、画像処理の負荷が低減される。
【符号の説明】
【0048】
1、31、41 燃料のブリッジ状態検出システム
11 撮像装置
12 燃料存在領域演算部
13 落下速度演算部
14、314、414 ブリッジ判定部
15、315、415 記憶装置
16、316、416 出力装置
17、317、417 通信装置
21 透明窓
25 燃料制御装置
251 受信部
252 制御部
26 報知装置
27 ブリッジ解消装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9
図10
図11