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特開2024-106324航空機推進システムのための可変圧縮吸気口、及び吸気口の圧縮を変更する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024106324
(43)【公開日】2024-08-07
(54)【発明の名称】航空機推進システムのための可変圧縮吸気口、及び吸気口の圧縮を変更する方法
(51)【国際特許分類】
   B64D 33/02 20060101AFI20240731BHJP
   F02C 7/042 20060101ALI20240731BHJP
   B64C 30/00 20060101ALI20240731BHJP
   F42B 15/10 20060101ALN20240731BHJP
【FI】
B64D33/02
F02C7/042
B64C30/00
F42B15/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】41
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024007209
(22)【出願日】2024-01-22
(31)【優先権主張番号】18/101,626
(32)【優先日】2023-01-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】スミス, トーマス アール.
(72)【発明者】
【氏名】ルード, マシュー ジェー.
(57)【要約】      (修正有)
【課題】広いマッハ範囲で作動可能な、航空宇宙機の推進システムのための吸気口に関する技術を提供する。
【解決手段】航空機のための推進システム100が、中央軸を有するエンジン102を含む。カウル104がエンジン102を取り囲んでおり、カウルリップ部106を含む。圧縮斜面108が、カウルリップ部106から間隔を空けられている。入口が、カウルリップ部106及び圧縮斜面108によって形成される。圧縮斜面108は非平面的である。圧縮斜面108は、入口を流過する入口空気流112の圧縮を変更するために、カウルリップ部106に対して可動である。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
航空機(1200)のための推進システム(100)であって、
中央軸(A)を有するエンジン(102)と、
前記エンジン(102)を取り囲んでおり、カウルリップ部(106)を含むカウル(104)と、
前記カウルリップ部(106)から間隔が空けられた圧縮斜面(108)と、
前記カウルリップ部(106)及び前記圧縮斜面(108)により形成される入口(110)と、
を備え、
前記圧縮斜面(108)が非平面的であり、
前記圧縮斜面(108)が、前記入口(110)を流過する入口空気流(112)の圧縮を変更するために、前記カウルリップ部(106)に対して可動である、推進システム(100)。
【請求項2】
前記圧縮斜面(108)が、低速構成と高速構成との間で可動であり、
前記低速構成では、前記圧縮斜面(108)が、前記入口(110)を流過する前記入口空気流(112)の前記圧縮を低減し、
前記高速構成では、前記圧縮斜面(108)が、前記入口(110)を流過する前記入口空気流(112)の前記圧縮を増大させる、請求項1に記載の推進システム(100)。
【請求項3】
前記圧縮斜面(108)と前記エンジン(102)との間に配置されたディフューザ斜面(114)と、
前記カウル(104)及び前記ディフューザ斜面(114)により形成されるディフューザ(116)と、
をさらに備え、
前記ディフューザ斜面(114)が非平面的であり、
前記ディフューザ斜面(114)が、前記中央軸(A)に沿って前記ディフューザ(116)の形状を変更するために、前記エンジン(102)に対して可動である、請求項2に記載の推進システム(100)。
【請求項4】
前記ディフューザ斜面(114)が、前記低速構成と前記高速構成との間で可動であり、
前記低速構成では、前記ディフューザ(116)の前記形状が、前記中央軸(A)に沿って実質的に一定であり、
前記高速構成では、前記ディフューザ(116)の前記形状が、前記中央軸(A)に沿って、前記圧縮斜面(108)から前記エンジン(102)に向かって拡大する、請求項3に記載の推進システム(100)。
【請求項5】
前記圧縮斜面(108)が、
前記カウルリップ部(106)に対して固定された第1の隆起(118)と、
前記入口(110)を流過する前記入口空気流(112)の前記圧縮を変更するために、前記カウルリップ部(106)及び前記第1の隆起(118)に対して可動な第2の隆起(120)と、
を含む、請求項4に記載の推進システム(100)。
【請求項6】
前記第2の隆起(120)及び前記カウルリップ部(106)により形成される、入口空気流路(140)のスロート(122)をさらに含み、
前記カウルリップ部(106)に対して前記第2の隆起(120)が動くことで、前記スロート(122)の形状が変更され、
前記低速構成では、前記第2の隆起(120)が前記スロート(122)の前記形状を大きくし、
前記高速構成では、前記第2の隆起(120)が前記スロート(122)の前記形状を小さくする、請求項5に記載の推進システム(100)。
【請求項7】
前記第2の隆起(120)が、前記中央軸(A)に沿って直線的に可動であり、
前記第2の隆起(120)が、第1の回転軸(A1)周りを回転可能に可動であり、
前記第1の回転軸(A1)が、前記中央軸(A)から離れており、前記中央軸(A)に対して直交する方向に延びる、請求項5に記載の推進システム(100)。
【請求項8】
前記ディフューザ斜面(114)が、前記中央軸(A)に沿って直線的に可動であり、
前記ディフューザ斜面(114)が、第2の回転軸(A2)周りを回転可能に可動であり、
前記第2の回転軸(A2)が、前記中央軸(A)から離れており、前記中央軸(A)に対して直交する方向に延びる、請求項7に記載の推進システム(100)。
【請求項9】
前記ディフューザ斜面(114)が前記第2の隆起(120)に結合されている、請求項5に記載の推進システム(100)。
【請求項10】
前記ディフューザ斜面(114)が、前記第2の隆起(120)と共に動く、請求項9に記載の推進システム(100)。
【請求項11】
前記ディフューザ斜面(114)と前記第2の隆起(120)との間に位置するシール部(126)をさらに含む、請求項9に記載の推進システム(100)。
【請求項12】
前記ディフューザ斜面(114)と前記第2の隆起(120)との間に位置する間隙(124)をさらに含む、請求項9に記載の推進システム(100)。
【請求項13】
前記第2の隆起(120)と、前記カウル(104)の内壁(128)の一部分との間に位置するシール部(126)をさらに含む、請求項9に記載の推進システム(100)。
【請求項14】
前記ディフューザ斜面(114)と、前記カウル(104)の前記内壁(128)の前記一部分との間に位置する前記シール部(126)をさらに含む、請求項13に記載の推進システム(100)。
【請求項15】
前記カウル(104)の前記内壁(128)の前記一部分は平面的である、請求項14に記載の推進システム(100)。
【請求項16】
前記第1の隆起(118)は非平面的である、請求項5に記載の推進システム(100)。
【請求項17】
前記第1の隆起(118)は円錐部を含む、請求項16に記載の推進システム(100)。
【請求項18】
前記第2の隆起(120)は非平面的である、請求項5に記載の推進システム(100)。
【請求項19】
前記第2の隆起(120)は円錐部を含む、請求項18に記載の推進システム(100)。
【請求項20】
前記高速構成では、前記圧縮斜面(108)と前記カウル(104)とが、前記エンジン(102)のための吸気口(134)の超音速圧縮区分(130)を形成し、前記ディフューザ斜面(114)と前記カウル(104)とが、前記吸気口(134)の亜音速ディフューザ区分(132)を形成する、請求項4に記載の推進システム(100)。
【請求項21】
航空機(1200)であって、
機体(1202)と、
前記機体(1202)に結合されたエンジン(102)と、
前記エンジン(102)と流体連通した吸気口(134)であって、
カウルリップ部(106)を含む入口カウル(148)、
前記カウルリップ(106)から間隔が空けられた圧縮斜面(108)、及び
前記カウルリップ部(106)及び前記圧縮斜面(108)により形成される入口(110)
を含む、吸気口(134)と、
を備え、
前記圧縮斜面(108)が非平面的であり、
前記圧縮斜面(108)が、前記入口(110)を流過する入口空気流(112)の圧縮を変更するために、前記カウルリップ部(106)に対して可動である、航空機(1200)。
【請求項22】
前記圧縮斜面(108)が、低速構成と高速構成との間で可動であり、
前記低速構成では、前記圧縮斜面(108)が、前記入口(110)を流過する前記入口空気流(112)の前記圧縮を低減し、
前記高速構成では、前記圧縮斜面(108)が、前記入口(110)を流過する前記入口空気流(112)の前記圧縮を増大させる、請求項21に記載の航空機(1200)。
【請求項23】
前記吸気口(134)が、
前記圧縮斜面(108)と前記エンジン(102)との間に配置されたディフューザ斜面(114)と、
前記入口(110)のカウル(104)及び前記ディフューザ斜面(114)により形成されるディフューザ(116)と、
をさらに含み、
前記ディフューザ斜面(114)が非平面的であり、
前記ディフューザ斜面(114)が、中央軸(A)に沿って前記ディフューザ(116)の形状を変更するために、前記エンジン(102)に対して可動である、請求項22に記載の航空機(1200)。
【請求項24】
前記ディフューザ斜面(114)が、前記低速構成と前記高速構成との間で可動であり、
前記低速構成では、前記ディフューザ(116)の前記形状が、前記中央軸に沿って実質的に一定であり、
前記高速構成では、前記ディフューザ(116)の前記形状が、前記中央軸に沿って、前記圧縮斜面(108)から前記エンジン(102)に向かって拡大する、請求項23に記載の航空機(1200)。
【請求項25】
前記圧縮斜面(108)が、
前記カウルリップ部(106)に対して固定された第1の隆起(118)と、
前記入口(110)を流過する前記入口空気流(112)の前記圧縮を変更するために、前記カウルリップ部(106)及び前記第1の隆起(118)に対して可動な第2の隆起(120)と、
を含む、請求項24に記載の航空機(1200)。
【請求項26】
前記吸気口(134)が、前記第2の隆起(120)及び前記カウルリップ部(106)により形成されるスロート(122)をさらに含み、
前記カウルリップ部(106)に対して前記第2の隆起(120)が動くことで、前記スロート(122)の形状が変更され、
前記低速構成では、前記第2の隆起(120)が前記スロート(122)の前記形状を大きくし、
前記高速構成では、前記第2の隆起(120)が前記スロート(122の前記形状を小さくする、請求項25に記載の航空機(1200)。
【請求項27】
前記第2の隆起(120)が、前記中央軸(A)に沿って直線的に可動であり、
前記第2の隆起(120)が、第1の回転軸(A1)周りを回転可能に可動であり、
前記第1の回転軸(A1)が、前記中央軸(A)から離れており、前記中央軸(A)に対して直交する方向に延び、
前記ディフューザ斜面(114)が、前記中央軸(A)に沿って直線的に可動であり、
前記ディフューザ斜面(114)が、第2の回転軸(A2)周りを回転可能に可動であり、
前記第2の回転軸(A2)が、前記中央軸(A)から離れており、前記中央軸(A)に対して直交する方向に延びる、請求項25に記載の航空機(1200)。
【請求項28】
前記ディフューザ斜面(114)が、前記第2の隆起(120)に結合されており、前記第2の隆起(120)と共に動く、請求項25に記載の航空機(1200)。
【請求項29】
前記吸気口(134)が、シール部(126)をさらに含み、
前記シール部(126)の第1の部分が、前記ディフューザ斜面(114)と前記第2の隆起(120)との間に位置し、
前記シール部(126)の第2の部分が、前記第2の隆起(120)と、前記カウル(104)の内壁(128)の一部分との間に位置し、
前記シール部(126)の第3の部分が、前記ディフューザ斜面(114)と、前記カウル(104)の前記内壁(128)の前記一部分との間に位置する、請求項28に記載の航空機(1200)。
【請求項30】
前記第1の隆起(118)が、非平面的な第1の圧縮表面(136)を含み、
前記第2の隆起(120)が、非平面的な第2の圧縮表面(138)を含み、
前記圧縮斜面(108)が、前記第1の圧縮表面(136)と前記第2の圧縮表面(138)との間に延在する等エントロピ斜面(144)をさらに含む、請求項25に記載の航空機(1200)。
【請求項31】
ターボファンエンジン(146)のための可変圧縮吸気口(134)であって、
カウルリップ部(106)を含むカウル(104)と、
前記カウルリップ部(106)から離れており、前記カウルリップ部(106)に対して固定された第1の圧縮表面(136)と、
前記第1の圧縮表面(136)の下流に配置されており、前記カウルリップ部(106)に対して可能な第2の圧縮表面(138)と、
を備え、
前記第2の圧縮表面(138)が、入口空気流路(140)のスロート(122)を画定し、
前記カウルリップ部(106)に対して前記第2の圧縮表面(138)が動くことで、入口空気流(112)の圧縮を変更するよう前記スロート(122)の形状が選択的に変更される、可変圧縮吸気口(134)。
【請求項32】
前記第2の圧縮表面(138)から下流に延在するディフューザ表面(142)をさらに備える、請求項31に記載の可変圧縮吸気口(134)。
【請求項33】
前記ディフューザ表面(142)が前記第2の圧縮表面(138)に結合されている、請求項32に記載の可変圧縮吸気口(134)。
【請求項34】
前記ディフューザ表面(142)が、前記入口空気流路(140)のディフューザ(116)の形状を変更するために、前記第2の圧縮表面(138)に対して可動である、請求項32に記載の可変圧縮吸気口(134)。
【請求項35】
前記第2の圧縮表面(138)が、前記カウルリップ部(106)に対して並進し、及び前記カウルリップ部(106)に対して回転し、
前記ディフューザ表面(142)が、前記第2の圧縮表面(138)と共に並進し、かつ第2の圧縮表面(138)に対して回転する、請求項34に記載の可変圧縮吸気口(134)。
【請求項36】
前記第1の圧縮表面(136)は非平面的である、請求項31に記載の可変圧縮吸気口(134)。
【請求項37】
前記第1の圧縮表面(136)は円錐部である、請求項31に記載の可変圧縮吸気口(134)。
【請求項38】
前記第2の圧縮表面(138)は非平面的である、請求項31に記載の可変圧縮吸気口(134)。
【請求項39】
前記第2の圧縮表面(138)は円錐部である、請求項31に記載の可変圧縮吸気口(134)。
【請求項40】
前記第1の圧縮表面(136)と前記第2の圧縮表面(138)との間に延在する等エントロピ斜面(144)をさらに備える、請求項31に記載の可変圧縮吸気口(134)。
【請求項41】
ターボファンエンジン(146)の吸気口(134)での圧縮を変更する方法であって、
低速構成と高速構成との間で、カウル(104)のカウルリップ部(106)に対して圧縮斜面(108)を動かすことと、
前記吸気口(134)の入口(110)を流過する入口空気流(112)の圧縮を変更することと、
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して超音速航空機に関し、特に、超音速航空機の推進システムのための可変圧縮吸気口、及び超音速航空機の推進システムの吸気口の圧縮を変更する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの超音速航空機は、航空機を超音速で推進させることが可能なガスタービンエンジンを利用する。このガスタービンエンジンは通常、当該エンジンの上流面での亜音速の気流で作動する。しかしながら、ガスタービンエンジンは、飛行領域(flight regime)を通して、超音速条件で作動する必要がある。概して、入口は、入って来る気流を、ガスタービンエンジンの作動要件と適合可能な速度へと減速させるために使用される。例えば、可動的なカウルが、様々な飛行速度で捕捉される空気量を調節するために使用されうる。しかしながら、従来の入口設計の不都合な点は、過剰な重量と、気流を減速させるのに必要な可動部品の数と関連する複雑性と、にある。したがって、当業者は、超音速航空機の推進システムのための可変吸気口の分野において研究開発の努力を続けている。
【発明の概要】
【0003】
航空機のための推進システム、航空機、航空機推進システムのための可変圧縮吸気口、及び航空機推進システムの吸気口での圧縮を変更する方法の実施例が開示される。以下の記載では、本開示に係る発明の主題の非限定的な実施例が列挙され、これらは特許請求されることもされないこともある。
【0004】
一実施例において、開示される推進システムが、中央軸を有するエンジンを含む。推進システムが、エンジンを取り囲んでおりカウルリップ部を含むカウルを含む。推進システムが、カウルリップ部から間隔を空けられた圧縮斜面を含む。推進システムが、カウルリップ部及び圧縮斜面により形成される入口を含む。圧縮斜面は非平面的である。圧縮斜面は、入口を流過する入口空気流の圧縮を変更するために、カウルリップ部に対して可動である。
【0005】
一実施例において、開示される航空機は、機体、及び、機体に結合されたエンジンを含む。航空機は、エンジンと流体連通した吸気口を含む。吸気口は、カウルリップ部を含む入口カウルを含む。吸気口は、カウルリップ部から間隔を空けられた圧縮斜面を含む。吸気口は、カウルリップ部及び圧縮斜面により形成される入口を含む。圧縮斜面は非平面的である。圧縮斜面は、入口を流過する入口空気流の圧縮を変更するために、カウルリップ部に対して可動である。
【0006】
一実施例において、開示される吸気口が、カウルリップ部を含むカウルを含む。吸気口が、カウルリップ部から間隔を空けられており当該カウルリップ部に対して固定された第1の圧縮表面を含む。吸気口が、第1の圧縮表面の下流に配置されておりカウルリップ部に対して可動な第2の圧縮表面を含む。第2の圧縮表面が、入口空気流路のスロートを画定する。カウルリップ部に対して第2の圧縮表面が動くことで、入口空気流の圧縮を変更するようスロートの形状が選択的に変更される。
【0007】
一実施例において、開示される方法は、(1)低速構成と高速構成との間で、カウル104のカウルリップ部106に対して圧縮斜面108を動かすステップと、(2)入口を流過する入口空気流の圧縮を変更するステップと、を含む。
【0008】
開示される推進システム、航空機、吸気口、及び方法の他の実施例が、以下の明細書の詳細な記載、添付の図面、及び添付の特許請求の範囲から明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】航空機の一例の概略図である。
図2】航空機の推進システムの一例の概略的な断面図であり、低速構成を示している。
図3】航空機の推進システムの一例の概略的な断面図であり、高速構成を示している。
図4】推進システムの吸気口の一部分の概略的な断面図であり、低速構成を示している。
図5】推進システムの吸気口の一部分の概略的な断面図であり、高速構成を示している。
図6】推進システムの吸気口の一例の概略図であり、低速構成を示している。
図7】推進システムの吸気口の一例の概略図であり、中速構成を示している。
図8】推進システムの吸気口の一例の概略図であり、高速構成を示している。
図9】航空機の吸気口の圧縮を変更する方法の一例のフロー図である。
図10】航空機の製造及び保守方法の一例のフロー図である。
図11】航空機の一例の概略的な概略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示は、概して、超音速航空宇宙機及び極超音速航空宇宙機に関する。特に、本開示は、超音速航空宇宙機及び極超音速航空宇宙機の推進システムのための吸気口における改良に関する。
【0011】
本開示は、超音速航空宇宙機及び極超音速航空宇宙機が、離陸から巡航速度に至りさらに着陸に至るまで、広範囲のマッハ数で稼働しなければならないことを認識している。本開示はまた、各飛行領域(flight regime)(例えば、亜音速、遷音速、及び超音速又は極超音速)における吸気口の入口の適正なパフォーマンスの重要性も認識している。本開示はさらに、推進システムのための高マッハ範囲の吸気口の入口を設計することが、調整しなければならない幾つかの様々な要件に因り、特に困難なチャレンジとなることを認識している。
【0012】
例として、吸気口の入口は、内部収縮がない亜音速条件(例えば、約0.8マッハより小さい)では、大きな開口が必要である。換言すれば、入口のリップ部を流過する空気は、エンジンの吸入口(例えば、ファン表面)に至るまでの過程において収縮せずに、むしろ膨張する。内部収縮がないことについての同様の要件が、遷音速飛行(例えば、約1.0マッハと約1.6マッハとの間)を通して存在する。1つ以上の実施例において、遷音速ではエンジンは、吸気口の固定されたカウルに進入する空気のおおよそ半分だけ処理することができ、例えば、ここでは、入口は固定されており、かつ特定の高マッパ条件のために寸法設定されている。一般に、捕捉された気流は、例えば速い超音速飛行速度のために寸法設定されているときには、そのビークルの様々な速度範囲にわたって、2の倍数又3の倍数又はそれより大きい数の倍数で変化しうる。吸気口のスロートは、遅い超音速飛行条件(例えば、約1.6マッパ)を上回ると、収縮し始める必要がある。(例えば、約1.6マッパを上回る)巡航条件では、スロートは完全に収縮する必要があり、これにより、捕捉された面積とスロート面積との間の面積比は比較的大きい。入口の外部圧縮部は、圧縮装置として、1.6マッハより大きな速度において良好な性能を発揮する必要がある。例えばディフューザを含む、入口の内部の部分は、平滑である必要があり、かつ、可能な限り均一な空気をエンジンに送る必要がある。換言すれば、ディフューザは別個の流れを有することはできず、すなわち、この条件が破られる。
【0013】
これに対応して、本明細書では、広いマッハ範囲で作動し、かつ先に認識した問題を解決する航空宇宙機の推進システムのための吸気口の設計が開示される。吸気口の例は、ウェーブライダ隆起(waverider bump)のユニークな実施形態を含み、このウェーブライダ隆起は、3次元の入口であり、軸対称的な入口流れ場中で流線追跡される(streamline traced)。概して、上記隆起は、当該隆起の上の流れが親の流れ場の流れと似ているように、成形される。入口は、離陸から上昇して、(例えば、約1マッハを上回る)超音速、及び(例えば、約5マッハを上回る)極超音速などの巡航対気速度に達し、そこから戻って着陸に至るまで、エンジンに対して品質のある空気を提供するために設計されている。入口は、可変的な形状のために、固定されたカウルと、たった2つの可動的な部分とを含む。1つ以上の実施例において、1つの(one-piece)隆起が、円形の斜面上又上は円形の経路上を後退するように動き、これにより、当該隆起は、カウルと共により大きなスロートを形成することが可能である。1つの(one-piece)ディフューザ表面が、後方では尾翼の方へとスライドし、かつ前方では下方へと回転して、そこで上記隆起につながる。ディフューザによって、隆起により生成されるスロート領域からエンジンファン表面へと戻るスムーズな移行が形成される。1つ以上の実施例において、2つの可動的な部分が、2つの平行で平面的な壁の両側でシールし合う。たった2つの可動的な部分を利用することで、複雑性、大きさ、及びコストにおける利点が提供される。加えて、隆起入口には、境界層を入口の手前で側方へと流すという更なる利点がある。換言すれば、入口は、より少量の低速の空気を取り込み、これにより性能が改善され、かつエンジンファン表面における均一性が改善される。
【0014】
加えて、1つ以上の実施例において、カウルは、入口が処理することが見込まれる最大運航速度のために寸法設定される。換言すれば、入口は、エンジンが遷音速で処理できる空気の約2倍を捕捉する。
【0015】
本開示はまた、既存の解決策では、入口の流れにおいてあらゆる境界層が捕捉され、それを吸い出すために実質的な抽気(substantial bleed)が必要となることを認識している。本明細書に開示される吸気口の設計では、入口の内部部分の手前で境界層の向きを変える隆起入口が含まれており、これにより、より少量の抽気が必要となり、入口の運動エネルギーの効率が向上する。
【0016】
本開示はさらに、既存の解決策では、複数の二次元の可動斜面、リンク機構、アクチュエータ、及びシステム制御部があり、より曲がりくねった抽気経路を形成し、結果として、遥かにより重い構造であることを認識している。本明細書で開示される吸気口の設計では、より軽量の固定されたカウル、より簡素な抽気経路、たった2つの可動斜面、より簡素な平面的な側面シール部、及び3つの横方向のシール部を利用する。
【0017】
例として図1を参照すると、本開示は航空機1200を対象とする。例として図1図3を参照すると、本開示は、航空機1200のための推進システム100も対象とする。例として図1図3、及び図4図8を参照すると、本開示はさらに、航空機1200の推進システム100のための吸気口134を対象とする。
【0018】
おおまかには、本明細書で詳述するように、推進システム100は、エンジン102と、カウル104と、圧縮斜面108と、ディフューザ斜面114と、を含む。推進システム100の吸気口134の入口110が、カウルリップ部106、及び圧縮斜面108によって形成される。圧縮斜面108は、第1の隆起118及び第2の隆起120を含む。第1の隆起118は、カウルリップ部106に対して固定されている。第2の隆起120は、カウルリップ部106及び第1の隆起118に対して可動である。圧縮斜面108の第2の隆起120が動くことで、入口110を流過する入口空気流112の圧縮が変更される。
【0019】
特定の長所又は利点として、カウル104が固定されており、切れ目のない圧力容器であることにより重量を削減するために使用されている。圧縮斜面108の第1の隆起118及び第2の隆起120によって提供される、「動く(rolling)」三次元のウェーブライダ隆起入口によって、マッハ範囲に亘って優れた圧縮性能が提供される。隆起(例えば、第1の隆起118及び第2の隆起120)は、境界層の向きを自然に変え、このことで、エンジン102に良好な流れを供給するために必要な抽気量がはっきりと低減される。より遅い速度のために、隆起(例えば、第2の隆起120)が上方に後退して入口110の本体側に入り込み、これによりスロート面積が増大して、最終的に内部収縮比(internal contraction ratio)が1より少し小さくなる。小さい収縮比を有する能力によって、入口は基本的にアンスタートに耐えられる(unstart-proof)ようになる。並進しかつ回転する単一の部分であるディフューザ斜面114が、圧縮斜面108と協働してディフューザ116を形成し、ここで、入口110のアンスタートに耐える性質に関与する膨張は穏やかである。ディフューザ116は、マッハ範囲に亘って優れた性能を維持し、エンジン入口表面での流れは良好に均一である。2つの部分から成る入口システムは、簡単なシール解決策を可能にする平面的な側面を有する。2つの部分から成る設計によって、簡単な作動及び機械的解決策が可能となる。良好な圧縮性能が、隆起によってマッハ範囲に亘って提供される。隆起によって、境界層の自然な方向転換がもたらされる。ディフューザの良好な性能がマッハ範囲に亘って提供され、エンジン表面での流れの均一性をマッハ範囲に亘って提供する。
【0020】
図1及び図2図8を参照すると、1つ以上の実施例において、航空機1200が機体1202を含む。エンジン102(図2及び図3)が、機体1202に結合されている。吸気口134が、エンジン102と流体連通している。吸気口134は、入口カウル148を含む。入口カウル148が、カウルリップ部106を含む。圧縮斜面108が、カウルリップ部106から間隔が空けられている。入口110が、カウルリップ部106及び圧縮斜面108によって形成される。圧縮斜面108は非平面的である。圧縮斜面108は、入口110を流過する入口空気流112の圧縮を変更するために、カウルリップ部106に対して可動である。圧縮斜面108は、第1の隆起118、及び可動的な第2の隆起120を含む。
【0021】
1つ以上の実施例において、航空機1200は、超音速又は極超音速で飛行できる任意の航空宇宙機である。1つ以上の実施例において、図1に示すように、航空機1200は、固定翼の航空機である。1つ以上の実施例において、航空機1200は、マッハ範囲に亘って高い揚抗比(L/D:lift-to-drag ratio)を有する高度な空気力学的形状を有する。他の実施例において、航空機1200が、ロケット、ミサイル、宇宙船、無人航空機(UAV:unmanned aerial vehicle)、又は他の種類の航空宇宙機である。
【0022】
1つ以上の実施例において、推進システム100の吸気口134が、高マッハ範囲の入口(例えば、入口110)を含む。推進システム100は、ノズル150も含む。カウル104が、高速飛行のための所定の寸法で固定されている。入口110の形状は可変的であり、圧縮斜面108の第2の隆起120の動きによって選択的に制御される。ノズル150の形状も可変的である。
【0023】
1つ以上の実施例において、エンジン102がターボファンエンジンである。一例として、エンジン102が、中間冷却拡張ターボファンエンジン(intercooled augmented turbofan engine)である。1つ以上の実施例において、エンジン102が、中央軸Aに沿って配置された入口ファン、コンプレッサ、燃焼器、タービン、及びノズルを含む。1つ以上の実施例において、これらの構成要素が、カウル104などのエンジンケーシング内に配置されている。
【0024】
1つ以上の実施例において、カウル104が入口カウル148を含む。入口カウル148は、吸気口134の少なくとも一部分を形成し、圧縮斜面108の第2の隆起120、及びディフューザ斜面114を取り囲む。1つ以上の実施例において、入口カウル148といったカウル104の内壁128が、入口110からエンジン102へと入口空気流112を方向付けるダクト(例えば、入口ダクト)を形成する。
【0025】
航空機1200の推進システム100の実施例を概略的に図示する図2及び図3、及び推進システム100の吸気口134の実施例を概略的に図示する図4図8を参照する。推進システム100の吸気口134は可変圧縮吸気口である。1つ以上の実施例において、推進システム100が、エンジン102と、カウル104と、圧縮斜面108と、入口110と、を含む。エンジン102が中央軸Aを含む。カウル104がエンジン102を取り囲んでいる。カウル104はカウルリップ部106を含む。圧縮斜面108は、カウルリップ部106から間隔が空けられている。入口110は、カウルリップ部106及び圧縮斜面108によって形成される。圧縮斜面108は非平面的である。圧縮斜面108は、入口110を流過する入口空気流112の圧縮を変更するために、カウルリップ部106に対して可動である。
【0026】
図2図8を参照すると、1つ以上の実施例において、圧縮斜面108が、低速構成と高速構成との間で可動である。図2図4、及び図6は、低速構成における推進システム100及び吸気口134の例を図示している。図3図5、及び図8は、高速構成における推進システム100及び吸気口134を図示している。図7は、低速構成と高速構成の間の中間構成における推進システム100及び吸気口134の例を図示している。低速構成では、圧縮斜面108が、入口110を流過する入口空気流112の圧縮を低減する。高速構成では、圧縮斜面108が、入口110を流過する気流112の圧縮を増大させる。
【0027】
これに対応して、1つ以上の実施例において、低速構成(図2図4、及び図6)は、低減圧縮構成とも称されうる。1つ以上の実施例において、高速構成(図3図5、及び図8)は、増大圧縮構成とも称されうる。
【0028】
本明細書では、低速は、おおまかに、例えば約1マッハ未満、例えば約0.8マッハ未満の亜音速を指す。低速はまた、約0.8マッハと約2マッハの間、例えば約1マッハと約1.6マッハの間の遷音速も指す。中速は、おおまかに、例えば約2マッハと約4マッハの間、例えば約3マッハの超音速を指す。高速又は巡航速度は、おおまかに、4マッハより速い速度などの超音速を指す。高速はまた、5マッハよりも速い速度などの超音速も指す。
【0029】
図2図8を参照すると、1つ以上の実施例において、圧縮斜面108が、第1の隆起118及び第2の隆起120を含む。第1の隆起118は、カウルリップ部106に対して固定されている。第1の隆起118は、固定隆起とも称されうる。第2の隆起120は、入口110を流過する入口空気流112の圧縮を変更するために、カウルリップ部106及び第1の隆起118に対して可動である。第2の隆起120は、可動隆起とも称されうる。
【0030】
図4及び図5を参照すると、1つ以上の実施例において、推進システム100及び吸気口134が、入口空気流路140のスロート122を含む。スロート122は、第2の隆起120及びカウルリップ部106によって形成される。カウルリップ部106に対して第2の隆起120が動くことで、スロート122の形状が変更される。低速構成(図4)では、第2の隆起120がスロート122の形状を大きくする。高速構成(図5)では、第2の隆起120がスロート122の形状を小さくする。
【0031】
おおまかに、スロート122は、入口空気流路140の最も狭い部分である。高速構成では、スロート122は、(例えば、図5に示すように、)吸気口134の収束する超音速圧縮区分130と、発散する亜音速ディフューザ区分132と、の間に配置される。
【0032】
図2及び図3、及び図4図8を参照すると、1つ以上の実施例において、第1の隆起118は非平面的である。1つ以上の実施例において、第1の隆起118は、円錐部を含み又はその形態をとる。1つ以上の実施例において、第2の隆起120が非平面的である。1つ以上の実施例において、第2の隆起120は、円錐部を含み又はその形態をとる。
【0033】
図4図8を参照すると、1つ以上の実施例において、第1の隆起118が第1の圧縮表面136を含む。第2の隆起120が、第2の圧縮表面138を含む。第1の圧縮表面136は非平面的である。第2の圧縮表面138は非平面的である。
【0034】
図6図8を参照すると、1つ以上の実施例において、第1の圧縮表面136が円錐部を含み又はその形態をとる。1つ以上の実施例において、第2の圧縮表面138が円錐部を含み又はその形態をとる。
【0035】
図6図8を参照すると、1つ以上の実施例において、圧縮斜面108はまた、等エントロピ斜面144も含む。等エントロピ斜面144は、第1の圧縮表面136と第2の圧縮表面138との間に延在する。一般に、等エントロピ斜面144は、離散的な衝撃波を生成することなく、入口空気流112の向きを変える。
【0036】
1つ以上の実施例において、圧縮斜面108が、第1の隆起118の第1の圧縮表面136、等エントロピ斜面144、及び第2の隆起120の第2の圧縮表面138によって形成される3つの隆起ステージを有する。
【0037】
1つ以上の実施例において、第1の隆起118の第1の圧縮表面136と、等エントロピ斜面144と、第2の隆起120の第2の圧縮表面138との配向は、あらゆる衝撃波及び圧縮波が、カウルリップ部106の近傍で(例えば、カウルリップ部106において又はカウルリップ部106付近で)(例えば、カウルリップ部106を焼かないように、カウルリップ部106の外側の約1インチのところで)収束するようなものである。
【0038】
図2図8を参照すると、1つ以上の実施例において、推進システム100が、ディフューザ斜面114及びディフューザ116を含む。ディフューザ斜面114は、圧縮斜面108とエンジン102との間に配置される。ディフューザ116は、カウル104及びディフューザ斜面114によって形成される。例えば、ディフューザ116は、カウル104の内壁128によって形成される。ディフューザ斜面114は非平面的である。ディフューザ斜面114は、中央軸Aに沿ってディフューザ116の形状を変更するために、エンジン102に対して可動である。
【0039】
図2図8を参照すると、1つ以上の実施例において、ディフューザ斜面114が、低速構成(例えば、図2図4、及び図6に図示)と、高速構成(例えば、図3図5、及び図8に図示)と、の間で可動である。低速構成では、ディフューザ116の形状が中央軸に沿って実質的に一定である。高速構成では、ディフューザ116の形状が中央軸Aに沿って、圧縮斜面108からエンジン102に向かって拡大する。例えば、ディフューザ116は、中央軸Aに沿って、スロート122からエンジン102の入口表面へと拡大又は発散する。
【0040】
図2図8を参照すると、1つ以上の実施例において、高速構成において移動するために、第2の隆起120が、順方向に入口110に向かって(例えば、部分的に入口110内へと)動く(roll)。低速構成において移動するために、第2の隆起120が、尾翼の方向に入口110から離れて(例えば、入口110から出て)動く。本開示のために、或るアイテムの動き(roll)又は転動(rolling motion)とは、並進運動と回転運動との組み合わせを指している。
【0041】
1つ以上の実施例において、第2の隆起120が、例えば中央軸Aに沿って直線的に可動である。1つ以上の実施例において、第2の隆起120が回転的に可動である。一例として、第2の隆起120が、第1の回転軸A1周りを回転的に可動である。第1の回転軸A1は、中央軸Aから離れており、かつ中央軸Aに対して直交する方向に延びている。例えば、第2の隆起120の直線的及び回転的な運動は、第2の隆起120を第1の軸A1周りで回転させることで実現される。一例として、第2の隆起120は、少なくともほぼ円形の経路の一部分といった、湾曲した経路に沿って並進する。
【0042】
図2図8を参照すると、1つ以上の実施例において、高速構成において移動するために、ディフューザ斜面114が、順方向に入口110に向かって並進し、かつ下方に揺動する(rock)。低速構成において移動するために、ディフューザ斜面114が、入口110から離れる尾翼の方向に並進し、かつ上方に揺動する。
【0043】
1つ以上の実施例において、ディフューザ斜面114が、例えば中央軸Aに沿って直線的に可動である。1つ以上の実施例において、ディフューザ斜面114が回転的に可動である。一例として、ディフューザ斜面114が、第2の回転軸A2周りを回転的に可動である。第2の回転軸A2は、中央軸Aから離れており、かつ中央軸Aに対して直交する方向に延びている。
【0044】
1つ以上の実施例において、第2の隆起120及びディフューザ斜面114の動きは、任意の適切な装置又は仕組みを使用して実現することが可能である。1つ以上の実施例において、推進システム100が、圧縮斜面108に対して、例えば第2の隆起120に対して、任意選択的にディフューザ斜面114に対して結合された斜面駆動部を含む。斜面駆動部は、第2の隆起120の転動、及びディフューザ斜面114の並進運動及び揺動を発生させるよう構成されている。斜面駆動部は、モータ、アクチュエータ、トラック、レール、ガイド、リンク機構などといった任意の適切なドライブトレインを含む。
【0045】
図6図8を参照すると、1つ以上の実施例において、ディフューザ斜面114が第2の隆起120に結合している。1つ以上の実施例において、ディフューザ斜面114が、第2の隆起120と共に動く。一例として、ディフューザ斜面114の動きは、第2の隆起120が動くことで得られ又は駆動される。
【0046】
図6図8を参照すると、1つ以上の実施例において、シール部126が、ディフューザ斜面114と第2の隆起120との間に位置している。一例として、第2の隆起120とディフューザ斜面114とは、第2の隆起120とディフューザ斜面114とが別々に及び組み合わされた状態で可動であるように、並びに、空気が、エンジン102に至るまでの過程において第2の隆起120とディフューザ斜面114との間を通れないように、一緒にシールされる。
【0047】
図6図8を参照すると、1つ以上の実施例において、間隙124が、ディフューザ斜面114と第2の隆起120との間に位置している。一例として、第2の隆起120とディフューザ斜面114とは、中央軸Aに沿って互いに間隔が置かれ、一緒にはシールされておらず、又は、第2の隆起120とディフューザ斜面114とが別々に及び組み合わされた状態で可動であるように、かつ、空気が、エンジン102に至るまでの過程において第2の隆起120とディフューザ斜面114との間を通れないように、部分的にだけ一緒にシールされる。
【0048】
図6図8を参照すると、1つ以上の実施例において、シール部126が、第2の隆起120と、カウル104の内壁128の一部分と、の間に位置している。一例として、第2の隆起120と、カウル104の内壁128の一部分とは、第2の隆起120が内壁128に対して可動であるように、かつ、空気が、エンジン102に至るまでの過程において第2の隆起120と内壁128との間を通れないように、一緒にシールされる。
【0049】
図6図8を参照すると、1つ以上の実施例において、シール部126が、ディフューザ斜面114と、カウル104の内壁128の一部分と、の間に位置している。一例として、ディフューザ斜面114と、カウル104の内壁128の一部分とは、第2の隆起120が内壁128に対して可動であるように、かつ、空気が、エンジン102に至るまでの過程において第2の隆起120と内壁128との間を通れないように、一緒にシールされる。
【0050】
1つ以上の実施例において、シール部126の第1の部分がディフューザ斜面114と第2の隆起120の間に位置して、ディフューザ斜面114と第2の隆起120との間の接合部又はインタフェース(interface、接続部分)をシールする。シール部126の第2の部分が、第2の隆起120とカウル104の内壁128の一部分との間に位置して、第2の隆起120と内壁128の一部分との間のインタフェースをシールする。シール部126の第3の部分が、ディフューザ斜面114とカウル104の内壁128の一部分との間に位置して、ディフューザ斜面114と内壁128との間のインタフェースをシールする。
【0051】
図6図8を参照すると、1つ以上の実施例において、カウル104の内壁128の一部分が平面的である。第2の隆起120及びディフューザ斜面114とつながる内壁128の少なくとも一部分が平面的であることで、第2の隆起120とディフューザ斜面114との相対移動の間に上記インタフェースをシールすることが容易になる。
【0052】
図2及び図3、並びに図4及び図5を参照すると、1つ以上の実施例において、高速構成(例えば、図3及び図5に図示)では、圧縮斜面108とカウル104とが、エンジン102のための吸気口134の超音速圧縮区分130を形成する。ディフューザ斜面114とカウル104とが、吸気口134の亜音速ディフューザ区分132を形成する。
【0053】
図2図8を参照すると、1つ以上の実施例において、吸気口134が、ターボファンエンジン146のための可変圧縮吸気口である。ターボファンエンジン146は、航空機1200の推進システム100のエンジン102の一例である。吸気口134がカウル104を含む。カウル104がカウルリップ部106を含む。第1の圧縮表面136が、カウルリップ部106から間隔が空けられている。第1の圧縮表面136は、カウルリップ部106に対して固定されている。第2の圧縮表面138が、第1の圧縮表面136より下流に配置されている。第2の圧縮表面138は、カウルリップ部106に対して可動である。第2の圧縮表面138は、入口空気流路140のスロート122を画定する。カウルリップ部106に対して第2の圧縮表面138が動くことで、入口空気流112の圧縮を変更するようスロート122の形状が選択的に変更される。1つ以上の実施例において、吸気口134が、第2の圧縮表面138から下流に延在するディフューザ表面142を含む。1つ以上の実施例において、ディフューザ表面142が、第2の圧縮表面138に結合されている。1つ以上の実施例において、ディフューザ表面142が、入口空気流路140のディフューザ116の形状を変更するために、第2の圧縮表面138に対して可動である。1つ以上の実施例において、第2の圧縮表面138が、カウルリップ部106に対して並進し、及びカウルリップ部106に対して回転する。ディフューザ表面142は、第2の圧縮表面138と共に並進し、及び第2の圧縮表面138に対して回転する。1つ以上の実施例において、吸気口134が等エントロピ斜面144を含む。等エントロピ斜面144は、第1の圧縮表面136と第2の圧縮表面138との間に延在する。
【0054】
例として図9及び図1図8を参照すると、本開示はまた、ターボファンエンジン146といった、航空機1200の推進システム100の吸気口134での圧縮を変更する方法も対象とする。おおまかに、方法1000の実施形態は、本明細書で先に記載した可変圧縮吸気口の例を使用して実現される。
【0055】
図9、並びに図2及び図3を参照すると、1つ以上の実施例において、方法1000が、低速構成と高速構成との間で、カウル104のカウルリップ部106に対して圧縮斜面108を動かすステップ(ブロック1002)と、入口110を流過する入口空気流112の圧縮を変更するステップ(ブロック1004)と、を含む。
【0056】
図9図3図5、及び図8を参照すると、1つ以上の実施例において、方法1000によれば、上記圧縮斜面108を動かすステップ(ブロック1002)は、第1の隆起118に対して及びカウルリップ部106に対して第2の隆起120を動かして、高速構成にするステップ(ブロック1006)を含む。高速構成では、上記圧縮を変更するステップ(ブロック1004)が、入口110を流過する入口空気流112の圧縮を増大させるステップ(ブロック1010)を含む。
【0057】
図9図2図4、及び図6を参照すると、1つ以上の実施例において、方法1000によれば、上記圧縮斜面108を動かすステップ(ブロック1002)は、第1の隆起118に対して及びカウルリップ部106に対して第2の隆起120を動かして、低速構成にするステップ(ブロック1008)を含む。低速構成では、上記圧縮を変更するステップ(ブロック1004)が、入口110を流過する入口空気流112の圧縮を低減するステップ(ブロック1012)を含む。
【0058】
これに対応して、本明細書で開示される推進システム100及び方法1000は、以下の問題に対処する。入口が、5マッパの巡航要件に対して寸法設定されており、遷音速の要件にとっては約3倍(例えば、約2倍と約3倍の間)大き過ぎる。約1.0マッハ~1.6マッハでは、エンジンは、5マッハの巡航の間に必要とする気流の約3分の1を消費し、結果として入口では、その空気の60%が溢れ出てしまい、従って、溢れ抵抗(spill drag)という不利益がある。一般に、2マッハの航空機では、10%の溢れ出しが劣悪と見做される。ノズルも、5マッパの巡航要件に対して寸法設定されており、遷音速の要件にとっては約3倍大き過ぎる。約1.0マッハ~1.6マッハでは、エンジンは、5マッハの巡航の間に必要とする気流の約3分の1だけ排出し、結果としてノズルは30%だけ充填され、従って、ベース抵抗(base drag)という不利益がある。これに対応して、遷音速飛行(例えば、1.0マッハ~1.6マッハ)中に、エンジンの出力が最も弱いときには、この抵抗を担いきれない。
【0059】
本明細書に記載の推進システム100及び方法1000が対処するさらなる問題は、以下のことを含み、即ち、入口(及び、気流経路の残りの部分)は、マッハ範囲に亘って要求される大きな気流変更(例えば、3倍の捕捉面積変更)に対処する必要がある、カウルは可能な限り軽量で簡素な構造の入口設計に内在する高圧に耐える必要がある、マッハ範囲に亘る低いカウル抵抗、マッハ範囲に亘る低い溢れ抵抗、入口斜面がマッハ範囲に亘って要求される12倍のスロート面積変更に対処する、ダクトシステムがマッハ範囲に亘ってエンジン表面で十分に均一な気流を提供する、ターボ・ラムジェットが、マッハ範囲に亘って適切な推力を提供する、ノズルが、エンジンの出力に一致するよう、マッハ範囲に亘る大きな面積変更に対処する必要がある、及び、マッハ範囲に亘る、充填されていないノズルに起因する低いベース抵抗を含む。
【0060】
本開示によれば、推進システム100及び方法1000は、先に参照した問題に対処する。圧縮斜面108、特に第2の隆起120は、可動であり又は関節がある(articulating)。第2の隆起120が動くことで、極超音速巡航条件での高い動作性能が提供される。第2の隆起120が動くことでさらに、フリーストリーム(freestream、自由流れ)2マッハ未満の超臨界動作が促進される。入口カウル148が、5マッハの巡航といった特定の飛行領域のために要求される大きさに固定される。入口110は、エンジン102が遷音速飛行中に使用できるより2倍多くの空気を取り込む。前方本体の設計によって、最大3倍まで上げられる。入口カウル148が固定されており、分かれていない。このようなものとして、入口110内に内在する高圧エアを含むための効果的な圧力容器となる。このことにより、構造的完全性が大幅に向上し、重量、複雑性、及びリスクが低減される。固定されたカウル104は、正面向きの角度が小さく、従って、全マッハ数で低いカウル抵抗(cowl drag)が生じる。カウル104が全ての空気を取り込むため、全マッハ範囲に亘って溢れ抵抗がゼロである。隆起入口斜面システム(例えば、固定された第1の隆起118及び可動的な第2の隆起120を含む圧縮斜面108)は、たった2つの動く斜面(例えば、第1の隆起118及び第2の隆起120)使用して、12倍のスロート面積変更に対処する。上記システムは、従来の方法ほど重くなく、シールするためのより少ない間隙を導入する。
【0061】
ここで図10及び図11を参照すると、本明細書に記載される推進システム100、吸気口134、及び方法1000の実施例は、図10のフロー図に示す航空機の製造及び保守方法1100、及び図11に概略的に示す航空機1200に関連することができ、又はこれらの文脈において使用されうる。例えば、航空機1200、及び/又は航空機の製造及び保守方法1100が、可変圧縮吸気口134を含む推進システム100を含みうる。
【0062】
ここで図11を参照すると、この図は方法1200の一例を示している。航空機1200は、内装1206を有する機体1202を含む。航空機1200は、複数の搭載システム1204(高次システム)を含む。航空機1200の搭載システム1204の一例が、推進システム100(図2図8)といった推進システム1208を含む。搭載システム1204の他の実施例が、油圧システム1212、電気システム1210、及び環境システム1214を含む。他の実施例において、搭載システム1204はまた、航空機1200の機体1202、例えば、フラップ、スポイラ、エルロン、スラット、ラダー、昇降舵、及びトリムタブなどに接続された1つ以上の制御システムも含む。さらに別の実施例において、搭載システム1204はまた、1つ以上の他のシステムも含み、例えば、限定されるものではないが、通信システム、アビオニクスシステム、ソフトウェア分散システム、ネットワーク通信システム、乗客情報/エンタテインメントシステム、案内システム、ラダーシステム、武器システムなども含む。
【0063】
図10を参照すると、航空機1200の製造前の段階では、製造及び保守方法1100は、航空機1200の仕様及び設計(ブロック1102)、並びに材料調達(ブロック1104)を含む。航空機1200の製造段階では、航空機1200のコンポーネント及びサブアセンブリの製造(ブロック1106)、並びに、航空機1200のシステムインテグレーション(ブロック1108)が行われる。その後、航空機1200は、認可及び納品(ブロック1110)を経て、運航(ブロック1112)に供される。定期的な整備及び保守(ブロック1114)が、航空機1200の1つ以上のシステムの変更、再構成、改修等を含む。
【0064】
図10に示す製造及び保守方法1100の各プロセスは、システムインテグレータ、第三者、及び/又はオペレータ(例えば、顧客)によって実施又は実行されうる。本明細書の目的のために、システムインテグレータは、限定しないが、任意の数の宇宙船製造者、及び主要システムの下請業者を含み得、第三者は、限定しないが、任意の数のベンダー、下請業者、及び供給業者を含み得、オペレータは、航空会社、リース会社、軍事団体、サービス機関などでありうる。
【0065】
本明細書で図示及び記載されるシステム100、吸気口134、及び方法1000は、図10で示されるフロー図で示す製造及び保守方法1100の1つ以上の任意の段階において利用されうる。一実施例において、吸気口134を含み及び/又は方法1000に従って動作する推進システム100は、コンポーネント及びサブアセンブリの製造(ブロック1106)及び/又はシステムインテグレーション(ブロック1108)の一部分を形成しうる。更に、吸気口134を含み及び/又は方法1000に従って動作する推進システム100は、航空機1200の運航(ブロック1112)期間中に準備されるコンポーネント又はサブアセンブリと同様に実装されうる。さらに、吸気口134を含み及び/又は方法1000に従って動作する推進システム100は、システムインテグレーション(ブロック1108)、並びに認可及び納品(ブロック1110)の間に利用されうる。同様に、吸気口134を含み及び/又は方法1000に従って動作する推進システム100は、例えば、航空機1200の運航(ブロック1112)中、及び整備及び保守(ブロック1114)の段階で利用されうるが、これらに限定されない。
【0066】
先の詳細な記載は、添付の図面に言及している。添付の図面は、本開示によって記載される具体的な実施例を示す。様々な構造及び工程を有する他の実施例は、本開示の範囲から逸脱するものではない。同様の参照番号は、様々な図面における同じ特徴、要素、又は構成要素を表しうる。本開示を通じて、複数のアイテムのうちのいずれも、そのアイテムとして個別に称することができ、複数のアイテムは総称的にアイテム(複数)として称することができ、同様の参照符号によって表されうる。さらに、本明細書では、「1つの(「a」又は「an」)」という用語の後に続く特徴、要素、構成要素、又はステップは、それを除外すると明示的に記載しない限り、複数の特徴、要素、構成要素又はステップを除外しないものと理解されたい。
【0067】
本開示に係る発明の主題の例示的で非網羅的な実施例が特許請求されうるが、必ずしも特許請求されるわけではない。本明細書で「実施例」に言及するということは、当該実施例に関連して説明される1つ以上の特徴、構造、要素、構成要素、特性、及び/又は処理ステップが、本開示に係る発明の主題の少なくとも1つの態様、実施形態及び/又は実現に含まれることを意味する。したがって、本開示全体にわたって使用される「一実施例(one example)」や「1つ以上の実施例(one or more examples)」という表現、及び同様の文言は、同一の実施例を指していることもあるが、必ずしもそうではないこともある。さらに、任意の一実施例を特徴付ける発明の主題は、任意の他の実施例を特徴付ける発明の主題を含みうるが、必ずしもそうではないこともある。さらに、任意の一実施例を特徴付ける発明の主題は、任意の他の実施例を特徴付ける主題と組み合わされてもよいが、必ずしも組み合わされないこともある。
【0068】
本明細書において、特定の機能を実行するように構成されたシステム、装置、構造、物品、要素、コンポーネント又はハードウェアは、さらなる改良後にその特定の機能を実行する潜在能力を単に有するというよりも、実際は、いかなる変更も行わずにその特定の機能を実行することが可能である。換言すれば、特定の機能を実行するよう「構成された(~configured to)」システム、装置、デバイス、構造、物品、要素、コンポーネント又はハードウェアは、その特定の機能を実行することを目的に特に選択され、作製され、実装され、利用され、プログラムされ、及び/又は設計されている。本明細書において、「~よう構成された」という表現は、システム、装置、構造、物品、要素、構成要素、又はハードウェアがさらなる変更なしで特定の機能を実行することを可能にする、システム、装置、構造、物品、要素、構成要素、又はハードウェアの既存の特性を指す。本開示のために、特定の機能を実行する「よう構成された」として記載されたシステム、装置、デバイス、構造、物品、要素、構成要素、又はハードウェアは、追加的又は代替的に、当該機能を実行するよう「適合される(adapted to)」及び/又は「動作可能である(operative to)」と記載されうる。
【0069】
別様に示されていない限り、「第1(first)」、「第2(second)」、「第3(third)」等の用語は、本明細書では単に符号として使用されており、これらの用語が指しているアイテムに、順序的、位置的、又は序列的な要件を課すことは意図されていない。さらに、例えば「第2」のアイテムへの言及は、例えば「第1」の、又はより小さい数が付されたアイテム、及び/又は、例えば「第3」の、又はより大きな数が付されたアイテムの存在を必要とすることも、排除することもない。
【0070】
本明細書では、列挙された項目と共に使用される「~のうちの少なくとも1つ(at least one of)」という表現は、列挙された項目のうちの1つ以上の様々な組み合わせが利用されてよく、かつ列挙された項目のうち1つのみが必要とされうることを意味している。例えば、「アイテムA、アイテムB、及びアイテムCのうちの少なくとも1つ」には、「アイテムA」、又は「アイテムA及びアイテムB」が含まれうるが、これらに限定されない。本例は、アイテムA、アイテムB、及びアイテムC、又は、アイテムB及びアイテムCも含みうる。他の例において、「~のうちの少なくとも1つ」は、例えば、「2個のアイテムA、1個のアイテムB、及び10個のアイテムC」、「4個のアイテムB、及び7個のアイテムC」、及び、他の好適な組み合わせでありうるが、これらに限定されない。本明細書では、「及び/又は(and/or)」という表現及び「/」という印は、関連して列挙された1つ以上のアイテムの任意の組み合わせ及びあらゆる組み合わせを含む。
【0071】
本開示のために、「結合された(coupled)」、「結合(coupling)」という用語、及び類似した用語は、互いに(例えば、機械的、電気的、流体的、光学的、電磁的に)接合、連接、締結、接着、接続、連通、又は別様に関連付けされた2つ以上の要素を指す。様々な実施例では、これらの要素は、直接的又は間接的に関連付けられうる。例えば、要素Aが、要素Bに直接的に関連付けられうる。他の例として、要素Aが、例えば他の要素Cを介して、要素Bと関連付けられうる。開示された様々な要素間の全ての関係が必ずしも表わされていないと理解されたい。これに対応して、図面に示されるもの以外の結合も存在してよい。
【0072】
本明細書では、「約(approximately)」という用語は、所望の機能を依然として実行し又は所望の結果を実現する規定の状態に近いが、厳密にそうではない状態を指し又は表す。一例として、「約」という用語は、規定の状態の10%の範囲内にある状態など、許容可能な所定の公差又は精度の範囲内にある状態を指している。しかしながら、「約」という用語は、厳密に、規定の状態である状態を除外しない。本明細書では、「実質的に(substantially)」という用語は、基本的に、所望の機能を実行する又は所望の結果を実現する規定の状態である状態を指している。
【0073】
上述の図1図8、及び図11は、機能的要素、特徴、又はその構成要素を表すことができ、必ずしも任意の特定の構造を示唆するわけではない。これに対応して、図示された構造に対して、変更、追加、及び/又は省略が行われうる。さらに、当業者には、上述の図1図8、及び図11に記載及び図示される全ての要素、特徴、及び/又は構成要素が、全ての実施例に含まれる必要がなく、本明細書に記載される全ての要素、特徴、及び/又は構成要素が、必ずしも各例示的な実施例に示されないことが分かるであろう。これに対応して、図1図8、及び図11に示す要素、特徴、及び/又は構成要素のうちの幾つかは、図1図8及び図11、他の図面、及び/又は付随する開示に記載され図示された他の特徴を含むことを必要とせずに、様々なやり方で組み合わせることができるが、このような組み合わせは、本明細書では明示的に示されていない。同様に、提示された実施例に限定されない追加の特徴を本明細書で図示且つ説明された特徴の一部又は全部と組み合わせることができる。別途明示的に記載されない限り、上述の図1図8、及び図11に示された実施例の概略図は、例示的な実施例に関する構造的限定を示唆するものではない。むしろ、1の例示的な構造が示されていても、必要に応じてその構造を変更しうると理解されたい。これに対応して、図示された構造に対して、変更、追加、及び/又は省略が行われうる。さらに、同様の、又は少なくとも実質的に同様の目的に適う要素、特徴、及び/又は構成要素には、図1図8、及び図11のそれぞれにおいて同様の符号が付され、このような要素、特徴、及び/又は構成要素については、図1図8、及び図11のそれぞれを参照する際に本明細書において詳細が述べられないこともある。同様に、全ての要素、特徴、及び/又は構成要素には、図1図8、及び図11のそれぞれにおいて符号が付されるわけではないが、本明細書ではそれらに関連する参照符号が一貫して使用されうる。
【0074】
先に参照した図9及び図10において、ブロックは、動作、ステップ、及び/又はその一部を表わすことが可能であり、様々なブロックを接続する線は、動作又はその一部の任意の特定の順序又は従属関係を示唆するものではない。開示された様々な工程間の全ての従属関係が必ずしも表わされていないと理解されたい。本明細書に提示された開示方法の工程を説明する図9及び図10、並びに付随する開示は、必ずしも工程を実行するべき順序を決定付けていると解釈すべきではない。むしろ、1の例示的な順序が示されていても、必要に応じて、動作のシーケンスを変更しうると理解されたい。したがって、図示される工程に対して変更、追加、及び/又は省略を行うことができ、特定の工程が、異なる順序で又は同時に実施されうる。さらに、当業者は、記載される全ての工程を実行する必要はないことが分かるであろう。
【0075】
さらに、本明細書全体を通した特徴、利点に対する言及、又は本明細書で使用される類似の文言は、本明細書に開示された実施例により実現されうる全ての特徴及び利点が、任意の単一の実施例において存在するべきであり又は存在するということを示唆するわけではない。むしろ、特徴や利点を言及する文言は、或る実施例と関連して記載される特定の特徴、利点、又は特性が少なくとも1つの実施例に含まれることを意味すると理解される。したがって、本開示全体を通して使用される特徴、利点についての記載及び類似の文言は、同一の実施例を指すこともあるが、必ずそうであるわけではない。
【0076】
1の実施例の記載された特徴、利点、及び特性は、他の1つ以上の実施例において任意の適切なやり方で組み合わせられうる。当業者であれば、本明細書に記載した実施例が、特定の実施例の具体的な特徴又は利点のうちの1つ以上がなくとも実施しうることが分かるであろう。他の場合では、さらなる特徴及び利点が、特定の実施例において認識されうるが、全ての実施例には存在しないこともある。さらに、推進システム100、吸気口134、航空機1200、及び方法1000の様々な実施例を示し記載してきたが、当業者であれは、本明細書を読むことで変形例に想到するであろう。本願は、このような変形例を含み、特許請求の範囲によってのみ限定される。
図1
図2
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図7
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図9
図10
図11
【外国語明細書】