(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024106328
(43)【公開日】2024-08-07
(54)【発明の名称】人造ダイヤモンドの真正性を決定するための方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
G01N 21/87 20060101AFI20240731BHJP
H04L 9/32 20060101ALI20240731BHJP
G06K 19/06 20060101ALI20240731BHJP
【FI】
G01N21/87
H04L9/32 200A
G06K19/06 037
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024007978
(22)【出願日】2024-01-23
(31)【優先権主張番号】CH000086/2023
(32)【優先日】2023-01-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CH
(71)【出願人】
【識別番号】524030617
【氏名又は名称】フランク ツィーマー ホールディング アーゲー
【氏名又は名称原語表記】Frank Ziemer Holding AG
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】ツィーマー, フランク
(72)【発明者】
【氏名】チョデルカ, ロバート
(72)【発明者】
【氏名】ラトジェン, クリスチャン
(72)【発明者】
【氏名】シュタインレヒナー, ミヒャエル
【テーマコード(参考)】
2G051
【Fターム(参考)】
2G051AA81
2G051AB02
2G051BA10
2G051BB20
2G051CA04
2G051EA14
2G051EA17
2G051EA21
2G051EC01
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ダイヤモンドの真正性を決定するためのコンピュータ化された証明システムと、コンピュータ化された認証システムとを提供する。
【解決手段】コンピュータ化された証明システム2は、証明段階中に測定されるダイヤモンドの1つ以上の物理的特性を使用してダイヤモンド基準特性を生成しS11、ビーム描画システムを使用してダイヤモンド内又はダイヤモンド上に視覚コードを書き込むことによってダイヤモンドを証明するように構成される。コンピュータ化された認証システム3は、認証段階中に測定されるダイヤモンドの1つ以上の物理的特性を使用してダイヤモンド検証測定値を生成しS21、ダイヤモンドの視覚コードを捕捉し、及びダイヤモンドから捕捉される視覚コードを使用してダイヤモンド検証測定値とダイヤモンド基準特性とを比較することによって、ダイヤモンドを認証するように構成される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人造ダイヤモンド(1)の真正性を決定する方法であって、
証明段階中に前記ダイヤモンド(1)の1つ以上の物理的特性の測定値を捕捉するコンピュータ化された証明システム(2)によってダイヤモンド基準特性を生成するステップ(S11)と、
前記コンピュータ化された証明システム(2)により、暗号化ハッシュ関数を前記ダイヤモンド基準特性に適用することによって前記ダイヤモンド基準特性のハッシュを生成するステップと、
前記コンピュータ化された証明システム(2)により、前記ダイヤモンド基準特性の前記ハッシュを使用して、前記ダイヤモンド(1)における視覚コードを生成するステップ(S13)と、
ビーム描画システム(22)を使用して、前記ダイヤモンド(1)内又は前記ダイヤモンド(1)上に前記視覚コードを書き込むステップ(S14)と、
前記ダイヤモンド(1)の真正性を、
認証段階中に前記ダイヤモンド(1)の1つ以上の物理的特性の測定値を捕捉するコンピュータ化された認証システム(3)によってダイヤモンド検証測定値を生成するステップ(S21)と、
前記暗号化ハッシュ関数を前記ダイヤモンド検証測定値に適用する前記コンピュータ化された認証システム(3)によって前記ダイヤモンド検証測定値のハッシュを生成するステップと、
前記コンピュータ化された認証システム(3)において、前記ダイヤモンド(1)の前記視覚コードを捕捉するステップ(S22)と、
前記コンピュータ化された認証システム(3)により、前記ダイヤモンド(1)から捕捉された前記視覚コードを使用して、前記ダイヤモンド検証測定値の前記ハッシュを前記ダイヤモンド基準特性の前記ハッシュと比較するステップと、
前記比較に応じて、前記コンピュータ化された認証システム(3)により、前記ダイヤモンド(1)の真正性を肯定するステップ(S24)又は否定するステップ(S25)と、
によって検証するステップ(S2)と、
を含む方法。
【請求項2】
前記コンピュータ化された証明システム(2)が、固有のダイヤモンド識別子に割り当てられる前記ダイヤモンド基準特性をデータ記憶システム(200)に記憶するステップ、前記コンピュータ化された証明システム(2)が、前記視覚コードに前記固有のダイヤモンド識別子を含めるステップ、前記コンピュータ化された認証システム(3)が、前記視覚コードから前記ダイヤモンド識別子を決定するステップ、及び前記コンピュータ化された認証システム(3)が、前記ダイヤモンド検証測定値を、前記データ記憶システム(200)に記憶されて前記ダイヤモンド識別子に割り当てられた前記ダイヤモンド基準特性の少なくとも一部と比較するステップ(S233)を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ダイヤモンド検証測定値を前記ダイヤモンド基準特性と比較する前記ステップ(S233)が、前記データ記憶システム(200)からネットワーク(5)を介して前記ダイヤモンド基準特性の少なくとも一部を取り出すステップ(S232)、及び前記ダイヤモンド検証測定値及び前記ダイヤモンド識別子の少なくとも一部を前記ネットワーク(5)を介して検証サーバ(4)に送信するステップ(S234)のうちの少なくとも一方を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記視覚コードを生成する前記ステップ(S13)が、前記視覚コードに、前記データ記憶システム(200)又は前記検証サーバ(4)のうちの少なくとも一方のアドレス指定情報を含めるステップを含み、前記ダイヤモンド検証測定値を前記ダイヤモンド基準特性と比較する前記ステップ(S233)が、前記ダイヤモンド基準特性の少なくとも一部を前記データ記憶システム(200)から取り出すステップ(S232)、及び前記ダイヤモンド検証測定値及び前記ダイヤモンド識別子の少なくとも一部を前記検証サーバ(4)に送信するステップ(S234)のうちの少なくとも一方のために、前記視覚コードに含まれる前記アドレス指定情報を使用するステップを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記コンピュータ化された証明システム(2)が、前記ダイヤモンド基準特性の前記ハッシュをブロックチェーンデータ記憶システム(200)に記憶するステップと、前記コンピュータ化された認証システム(3)が、前記ダイヤモンド検証測定値の前記ハッシュを、前記ブロックチェーンデータ記憶システムに記憶された前記ダイヤモンド基準特性の前記ハッシュと比較するステップ(S240)とを更に含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
ビーム描画システム(22)を使用して、前記ダイヤモンド(1)内又は前記ダイヤモンド(1)上にマーキングを生成するステップを更に含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記ダイヤモンド(1)内又は前記ダイヤモンド(1)上にマーキングを生成する前記ステップが、前記ビーム描画システム(22)のエネルギーレベルを変化させるステップ、前記ビーム描画システム(22)のパルスの重複度を変化させるステップ、前記ビーム描画システム(22)のビームの投影方向を変化させるステップ、及び前記ビーム描画システム(22)の前記ビームの焦点位置を変化させるステップのうちの少なくとも1つを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
硝酸カリウム、マスキング材料と組み合わせたプラズマエッチング、乾燥酸素中の気相エッチング、酸素と水蒸気との混合物中の気相エッチング、及び溶融硝酸カリウム中の液体エッチングのうちの少なくとも1つを使用して、前記ダイヤモンド上にマーキングを生成するステップを更に含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記ダイヤモンド(1)の前記1つ以上の物理的特性を測定することが、前記ダイヤモンド(1)の重量を測定するステップ、前記ダイヤモンド(1)の三次元幾何学的形状を測定するステップ、前記ダイヤモンド(1)の色スペクトルを測定するステップ、前記ダイヤモンド(1)の化学組成を測定するステップ、前記ダイヤモンド(1)内又は前記ダイヤモンド(1)上のマーキングを測定するステップ、前記ダイヤモンド(1)中の含有物を測定するステップ、及び前記ダイヤモンド(1)内のホログラムを測定するステップのうちの少なくとも1つを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記ダイヤモンド基準特性を生成する前記ステップ(S11)が、前記コンピュータ化された証明システム(2)が前記ダイヤモンド基準特性に秘密のダイヤモンドコードを含めるステップを含み、前記検証測定値を生成する前記ステップ(S21)が、前記コンピュータ化された認証システム(3)が前記ユーザから前記秘密のダイヤモンドコードを受信して前記ユーザから受信された前記秘密のダイヤモンドコードを前記ダイヤモンド検証測定値に含めるステップを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記視覚コードを生成する前記ステップ(S13)が、QRコードを生成するステップを含み、前記ダイヤモンド(1)内又は前記ダイヤモンド(1)上に前記視覚コードを書き込む前記ステップ(S14)が、前記ビーム描画システム(22)を使用して前記ダイヤモンド(1)内又は前記ダイヤモンド(1)上に前記QRコードを書き込むステップを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記ダイヤモンド(1)の真正性を肯定する前記ステップ(S24)が、認証メッセージを生成するステップを含み、前記認証メッセージが、信頼できる第三者によって検証可能なデジタル署名を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記視覚コードを生成する前記ステップ(S13)が、前記視覚コードに前記信頼できる第三者のアドレス指定情報を含めるステップを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
人造ダイヤモンド(1)の真正性を検証するためのコンピュータ化された認証システム(3)であって、前記人造ダイヤモンド(1)が視覚コードを備え、前記コンピュータ化された認証システム(3)が、処理ユニット(30)と、前記処理ユニット(30)に接続されるセンサシステム(31)とを備え、前記処理ユニット(30)が、
認証段階中に前記センサシステム(31)によって測定される前記ダイヤモンド(1)の1つ以上の物理的特性を捕捉し、
前記認証段階中に測定される前記ダイヤモンド(1)の前記1つ以上の物理的特性を使用してダイヤモンド検証測定値を生成し、
暗号化ハッシュ関数を前記ダイヤモンド検証測定値に適用することによって前記ダイヤモンド検証測定値のハッシュを生成し、
前記ダイヤモンド(1)の前記視覚コードを捕捉し、
前記ダイヤモンドから捕捉される前記視覚コードを使用して、前記ダイヤモンド検証測定値の前記ハッシュを、証明段階中に前記ダイヤモンド(1)の1つ以上の物理的特性からコンピュータ化された証明システム(2)によって生成されるダイヤモンド基準特性のハッシュと比較し、
前記比較に応じて前記ダイヤモンド(1)の真正性を肯定又は否定する、
ように構成される、コンピュータ化された認証システム(3)。
【請求項15】
人造ダイヤモンド(1)の真正性を検証するためにコンピュータ化された認証システム(3)の処理ユニット(30)を制御するように構成されるコンピュータプログラムコードを記憶した非一時的コンピュータ可読媒体を備えるコンピュータプログラムプロダクトであって、前記人造ダイヤモンド(1)が視覚コードを備え、
認証段階中に前記コンピュータ化された認証システム(3)のセンサシステム(31)によって測定される前記ダイヤモンド(1)の1つ以上の物理的特性を捕捉する工程と、
前記認証段階中に測定される前記ダイヤモンド(1)の前記1つ以上の物理的特性を使用してダイヤモンド検証測定値を生成する工程と、
暗号化ハッシュ関数を前記ダイヤモンド検証測定値に適用することによって前記ダイヤモンド検証測定値のハッシュを生成する工程と、
前記ダイヤモンド(1)の前記視覚コードを捕捉する工程と、
前記ダイヤモンドから捕捉される前記視覚コードを使用して、前記ダイヤモンド検証測定値の前記ハッシュを、証明段階中に前記ダイヤモンド(1)の1つ以上の物理的特性からコンピュータ化された証明システム(2)によって生成されるダイヤモンド基準特性のハッシュと比較する工程と、
前記比較に応じて前記ダイヤモンド(1)の真正性を肯定又は否定する工程と、
を実行することによって人造ダイヤモンド(1)の真正性を検証する、
コンピュータプログラムプロダクト。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、人造ダイヤモンドの真正性を決定するための方法及びシステムに関する。具体的には、本開示は、人造ダイヤモンドの真正性を決定する方法及び人造ダイヤモンドの真正性を検証するためのコンピュータ化された認証システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ラボグロウンダイヤモンド(laboratory-grown diamonds)又は人工、合成、もしくは培養ダイヤモンドとも呼ばれる人造ダイヤモンドは、制御された技術的プロセスで製造される。人造ダイヤモンドは、天然に形成されたダイヤモンドと同じ元素、すなわち、等方性3D形態で結晶化された純粋な炭素から構成され、同一の化学的及び物理的特性を共有する。最も顕著なプロセスとしては、高圧高温法(HPHT)及び化学気相成長法(CVD)が挙げられる。例えば、HPHTダイヤモンドは、地球の深部で発生する天然の地質学的ダイヤモンド成長プロセスを再現するために、約1500℃(2732.0°F)の温度及び約55,000バール(850,000psi)の圧力で製造される。特に貴重な及び/又は独特の宝飾品グレードのダイヤモンドの場合、特定の個々のダイヤモンドを確実に認証できることが有利である。例えば、特定のダイヤモンドをその製造業者に結び付ける目的で、その製造日、その製造時間、その製造場所、その炭素材料の供給源、その所有者、及び/又はその起源、すなわち、その所有者の時系列履歴がある。また、特定の個々の合成ダイヤモンドの信頼できる認証は、この特定の合成ダイヤモンドの改ざん又は模倣を検出することも可能にする。
【0003】
米国特許出願公開第2021/158118号明細書は、偽の識別(ID)マーク又は偽のバーコードを伴うマーキングされた製品を組み込むことによって偽造を防止するための高価なジェムストーンなどの製品の安全な製品識別方法を開示する。米国特許出願公開第2021/158118号明細書によれば、認証プロセスは、少なくとも2つの識別データセット、明白なマーク又は明白なデータ、及び隠されたデータを必要とする。明白なデータは、バーコードのような固有の製品識別子であってもよい。隠れたデータは、特定の製品から得られる任意の更なるデータであってもよい。更なるデータポイントは、当初は製品の一部ではない作成されたデータポイント、又は製品に既に存在するが任意の他の同様の製品には存在しない固有のデータポイントによってもたらされる。当初のデータセットと比較したデータセットの組み合わせが肯定的である場合、製品は集中型又は非集中型データベースにより認証される。例えば、バーコードがデータベースにリンクする場合には、部分的に自動化される又は自動化されない方法が実施される場合がある。集中型データベース又は非集中型データベースに依存する認証は、例えばネットワーク接続性の欠如又はネットワークの問題のためにこれらのデータベースにアクセスできない場合、又は例えば保守ダウンタイムのためにデータベースが利用できない場合に損なわれる。
【0004】
米国特許第7,655,882号明細書は、プロセッサと、プロセッサに結合されるデータベースとを有する、ジェムストーンの認証証明を生成するための装置及び方法を開示しており、データベースには、複数のジェムストーンのレーザ微細刻印及び物理的特性を規定するデータが記憶される。グラフィックユーザインタフェース(GUI)が、それぞれのジェムストーンに関してレーザ微細刻印及び物理的特性情報を表わす情報を人間が読み取り可能な形態でデータベースから提示する。出力は、推定的なジェムストーンの認証のために使用される。一実施形態では、データベースに記憶されたメトリックデータと比較する代わりに、ジェムストーンに刻印されたレーザマーキングが、石の特性に関するデータを含む暗号化されたメッセージを含む。いわゆる公開鍵/秘密鍵暗号化プロトコルを使用して、ジェムストーンに「デジタル署名」をラベル付けする。符号化当事者は、秘密鍵を使用してデータを符号化する。メッセージは、関連する公開鍵を使用して復号される。解読されたメッセージ内のデータは、ジェムストーンの固有又は擬似固有特性のセットを含む。これにより、ジェムストーンの由来及びその真正性を検証するために、復号されたメッセージからの情報がジェムストーンと比較される。この「自己認証」実施形態は、データベースにアクセスすることなくジェムストーンを検証できるようにするが、悪意のある当事者が公開鍵を使用してジェムストーンの特性を解読することによってジェムストーンをコピーし、当初のジェムストーンに刻印されたレーザマーキングのコピーを含む同じ特性を有するジェムストーンを製造できるようにもする。
【発明の概要】
【0005】
この開示の目的は、人造ダイヤモンドの真正性を決定する方法、及び人造ダイヤモンドの真正性を検証するためのコンピュータ化された認証システムを提供することである。
【0006】
本開示によれば、これらの目的は、独立請求項の特徴によって対処される。更に、更なる有利な実施形態が、従属請求項及び説明から続く。
【0007】
本開示によれば、前述の目的は、特に、人造ダイヤモンドの真正性を決定するために、コンピュータ化された証明システムが、証明段階中にダイヤモンドの1つ以上の物理的特性の測定値を捕捉することによってダイヤモンド基準特性を生成するという点において達成される。コンピュータ化された証明システムは、ダイヤモンド基準特性に暗号化ハッシュ関数を適用することによってダイヤモンド基準特性のハッシュを生成する。コンピュータ化された証明システムは、ダイヤモンド基準特性のハッシュを使用して、ダイヤモンドの視覚コードを生成する。ビーム描画システムを使用して、視覚コードがダイヤモンド内又はダイヤモンド上に書き込まれる。コンピュータ化された認証システムが、認証段階中にダイヤモンドの1つ以上の物理的特性の測定値を捕捉することによりダイヤモンド検証測定値を生成することによってダイヤモンドの真正性を検証する。コンピュータ化された認証システムは、ダイヤモンド検証測定値に暗号化ハッシュ関数を適用することによってダイヤモンド検証測定値のハッシュを生成する。コンピュータ化された認証システムは、ダイヤモンドの視覚コードを捕捉するとともに、ダイヤモンドから捕捉される視覚コードを使用して、ダイヤモンド検証測定値のハッシュをダイヤモンド基準特性のハッシュと比較する。比較に応じて、コンピュータ化された認証システムは、ダイヤモンドの真正性を肯定又は否定する。例えば、ビーム描画システムは、レーザビーム描画システム、イオンビーム描画システム、電子ビーム描画システムである。
【0008】
「視覚コード」という用語は、光学的に検出可能なコードを指すことに留意すべきである。したがって、視覚コードリーダが、前記コードを光学的に検出するように構成される。
【0009】
一実施形態では、証明段階中に、ダイヤモンド基準特性のハッシュ(「基準ハッシュ」)を生成することは、暗号化関数、具体的には暗号化ハッシュ関数を適用する前のダイヤモンドのダイヤモンド基準特性の離散化(又は丸め)を含む。同様に、認証段階中に、ダイヤモンド検証測定値のハッシュ(「検証ハッシュ」)を生成することは、暗号化関数、具体的には暗号化ハッシュ関数を適用する前のダイヤモンド検証測定値の離散化(又は丸め)を含む。
【0010】
一実施形態において、コンピュータ化された証明システムは、固有のダイヤモンド識別子に割り当てられるダイヤモンド基準特性をデータ記憶システムに記憶し、コンピュータ化された証明システムは、視覚コードに固有のダイヤモンド識別子を含め、コンピュータ化された認証システムは、視覚コードからダイヤモンド識別子を決定し、及びコンピュータ化された認証システムは、ダイヤモンド検証測定値を、データ記憶システムに記憶されてダイヤモンド識別子に割り当てられたダイヤモンド基準特性の少なくとも一部と比較する。
【0011】
一実施形態において、ダイヤモンド検証測定値をダイヤモンド基準特性と比較することは、データ記憶システムからネットワークを介してダイヤモンド基準特性の少なくとも一部を取り出すこと、及び/又はダイヤモンド検証測定値及びダイヤモンド識別子の少なくとも一部を前記ネットワークを介して検証サーバに送信することを含む。
【0012】
一実施形態において、視覚コードを生成することは、視覚コードに、データ記憶システム及び/又は検証サーバのアドレス指定情報を含めることを含み、ダイヤモンド検証測定値をダイヤモンド基準特性と比較することは、ダイヤモンド基準特性の少なくとも一部をデータ記憶システムから取り出すため及び/又はダイヤモンド検証測定値及びダイヤモンド識別子の少なくとも一部を検証サーバに送信するために、視覚コードに含まれるアドレス指定情報を使用することを含む。
【0013】
一実施形態において、コンピュータ化された証明システムは、ダイヤモンド基準特性のハッシュをブロックチェーンデータ記憶システムに記憶し、コンピュータ化された認証システムは、ダイヤモンド検証測定値のハッシュを、ブロックチェーンデータ記憶システムに記憶されたダイヤモンド基準特性のハッシュと比較する。
【0014】
一実施形態において、マーキングは、ビーム描画システムを使用してダイヤモンド内又はダイヤモンド上に生成される。例えば、ビーム描画システムは、レーザビーム描画システム、イオンビーム描画システム、電子ビーム描画システムである。
【0015】
様々な実施形態において、ダイヤモンド内又はダイヤモンド上にマーキングを生成することは、ビーム描画システムのエネルギーレベルを変化させこと、ビーム描画システムのパルスの重複度を変化させること、ビーム描画システムのビームの投影方向を変化させること、及び/又はビーム描画システムのビームの焦点位置を変化させることを含む。
【0016】
一実施形態では、硝酸カリウム、マスキング材料と組み合わせたプラズマエッチング、乾燥酸素中の気相エッチング、酸素と水蒸気との混合物中の気相エッチング、及び/又は溶融硝酸カリウム中の液体エッチングを使用して、ダイヤモンド内又はダイヤモンド上にマーキングが生成される。例えば、マスキング材料又はマスクがそれぞれ、ダイヤモンドの表面に印刷によって適用される。
【0017】
様々な実施形態において、ダイヤモンドの1つ以上の物理的特性を測定することは、ダイヤモンドの重量を測定すること、ダイヤモンドの三次元幾何学的形状を測定すること、ダイヤモンドの色スペクトルを測定すること、ダイヤモンドの化学組成を測定すること、ダイヤモンド内又はダイヤモンド上のマーキングを測定すること、ダイヤモンド内の含有物を測定すること、及び/又はダイヤモンド内のホログラムを測定することを含む。
【0018】
ダイヤモンド基準特性として使用されるダイヤモンドの物理的特性、及びダイヤモンド検証測定値は、ダイヤモンドの決定論的な特性であるダイヤモンドの1つ以上の物理的特性を含む。実施形態に応じて、ダイヤモンド基準特性及びダイヤモンド検証測定値として使用されるダイヤモンドの決定論的な物理的特性としては、ダイヤモンドの重量、ダイヤモンドの三次元幾何学的形状、ダイヤモンドの色スペクトル、ダイヤモンドの化学組成、ダイヤモンド内又はダイヤモンド上のマーキング、及び/又はダイヤモンド中の含有物が挙げられる。ダイヤモンド内又はダイヤモンド上のマーキング及び/又はダイヤモンド中の包含物は、マーキング及び/又は包含物を記述する相対位置データ及び/又は寸法データによって表わされる。一実施形態において、マーキング及び/又は包含物は、マーキングマップ、3次元マーキングモデル、包含物マップ、及び/又は3次元包含物モデルによって規定される。
【0019】
一実施形態において、ダイヤモンド基準特性及びダイヤモンド検証測定値として使用されるダイヤモンドの決定論的な物理的特性は、ダイヤモンドの屈折率及びコンダクタンス値を更に含む。これにより、ダイヤモンドを他の材料と区別することができる。
【0020】
一実施形態において、ダイヤモンド基準特性を生成することは、コンピュータ化された証明システムが、ダイヤモンド基準特性に秘密のダイヤモンドコードを含めることを含み、検証測定値を生成することは、コンピュータ化された認証システムが、ユーザから秘密のダイヤモンドコードを受信して、ユーザから受信された秘密のダイヤモンドコードをダイヤモンド検証測定値に含めることを含む。
【0021】
一実施形態において、視覚コードを生成することは、QRコード(クイックレスポンス)(「QRコード」は登録商標)を生成することを含み、ダイヤモンド内又はダイヤモンド上に視覚コードを書き込むことは、ビーム描画システムを使用してダイヤモンド内又はダイヤモンド上にQRコードを書き込むことを含む。
【0022】
一実施形態において、ダイヤモンドの真正性を肯定することは、コンピュータ化された認証システムが認証メッセージを生成することを含む。一実施形態において、認証メッセージは、信頼できる第三者によって検証可能なデジタル署名を含む。
【0023】
一実施形態において、視覚コードを生成することは、コンピュータ化された証明システムが信頼できる第三者のアドレス指定情報を視覚コード内に含めることを含む。
【0024】
一実施形態において、視覚コードを生成することは、コンピュータ化された証明システムがデータ記憶システムのアドレス指定情報を視覚コード内に含めることを含む。
【0025】
一実施形態において、視覚コードを生成することは、コンピュータ化された証明システムがブロックチェーンアドレス指定情報を視覚コード内に含めることを含む。
【0026】
人造ダイヤモンドの真正性を決定するための方法に加えて、本開示は、視覚コードを備える、人造ダイヤモンドの真正性を検証するためのコンピュータ化された認証システムにも関連する。コンピュータ化された認証システムは、処理ユニットと、処理ユニットに接続されるセンサシステムとを備える。処理ユニットは、認証段階中にセンサシステムによって測定されるダイヤモンドの1つ以上の物理的特性を捕捉するとともに、認証段階中に測定されたダイヤモンドの1つ以上の物理的特性を使用してダイヤモンド検証測定値を生成するように構成される。処理ユニットは、ダイヤモンド検証測定値に暗号化ハッシュ関数を適用することによってダイヤモンド検証測定値のハッシュを生成するとともに、ダイヤモンドの視覚コードを捕捉するように更に構成される。ダイヤモンドから捕捉される視覚コードを使用して、処理ユニットは、ダイヤモンド検証測定値のハッシュを、証明段階中にダイヤモンドの1つ以上の物理的特性からコンピュータ化された証明システムによって生成されるダイヤモンド基準特性のハッシュと比較し、比較に応じてダイヤモンドの真正性を肯定又は否定するように更に構成される。
【0027】
人造ダイヤモンドの真正性を決定するための方法及びシステムに加えて、本開示は、視覚コードを備える人造ダイヤモンドの真正性を検証するためにコンピュータ化された認証システムの処理ユニットを制御するためのコンピュータプログラムコードを含むコンピュータプログラムプロダクトにも関連する。特に、本開示は、コンピュータプログラムコードを記憶したコンピュータ可読媒体を備えるコンピュータプログラムプロダクトに関する。より詳細には、本開示は、コンピュータプログラムコードが記憶された非一時的コンピュータ可読媒体を備えるコンピュータプログラムプロダクトに関する。コンピュータプログラムコードは、認証段階中にコンピュータ化された認証システムのセンサシステムによって測定されるダイヤモンドの1つ以上の物理的特性を捕捉するステップと、認証段階中に測定されるダイヤモンドの1つ以上の物理的特性を使用してダイヤモンド検証測定値を生成するステップと、暗号化ハッシュ関数をダイヤモンド検証測定値に適用することによってダイヤモンド検証測定値のハッシュを生成するステップと、ダイヤモンドの視覚コードを捕捉するステップと、ダイヤモンドから捕捉される視覚コードを使用して、ダイヤモンド検証測定値のハッシュを、証明段階中にダイヤモンドの1つ以上の物理的特性からコンピュータ化された証明システムによって生成されるダイヤモンド基準特性のハッシュと比較するステップと、比較に応じてダイヤモンドの真正性を肯定又は否定するステップとを実行することによって人造ダイヤモンドの真正性を検証するためにコンピュータ化された認証システムの処理ユニットを制御するように構成される。
【0028】
本開示は、例として、図面を参照してより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】人造ダイヤモンドの真正性を決定するためのシステムを概略的に例示するブロック図を示し、システムは、コンピュータ化された証明システム及びコンピュータ化された認証システムを備える。
【
図2】処理ユニットと、センサシステムと、ビーム描画システムと、データ記憶システムとを備えるコンピュータ化された証明システムを概略的に例示するブロック図を示す。
【
図3】処理ユニットと、センサシステムと、ビーム描画システムとを備えるコンピュータ化された証明システムを概略的に例示するブロック図を示す。
【
図4】ネットワークを介してデータ記憶システムに接続される、センサシステムと処理ユニットとを備えるコンピュータ化された認証システムを概略的に例示するブロック図を示す。
【
図5】センサシステムと、処理ユニットと、データ記憶システムを有するとともにネットワークを介して処理ユニットに接続される検証サーバとを備えるコンピュータ化された認証システムを概略的に例示するブロック図を示す。
【
図6】センサシステムと処理ユニットとを備えるコンピュータ化された認証システムを概略的に例示するブロック図を示す。
【
図7】モバイルデバイスとして実装されるとともにセンサシステムと処理ユニットとを備えるコンピュータ化された認証システムを概略的に例示するブロック図を示し、モバイルデバイスは、ネットワークを介してデータ記憶システムに任意選択的に接続される。
【
図8】証明段階でダイヤモンドを証明すること、及び認証段階でダイヤモンドの真正性を検証することを含む、ダイヤモンドの真正性を決定するための典型的な一連のステップを例示するフロー図を示す。
【
図9】証明段階中にダイヤモンドのダイヤモンド基準特性を生成することによってダイヤモンドを証明するための典型的な一連のステップを例示するフロー図を示し、ダイヤモンド基準特性は、ダイヤモンド内又はダイヤモンド上に視覚コードを書き込む前に決定される。
【
図10】証明段階中にダイヤモンドのダイヤモンド基準特性を生成することによってダイヤモンドを証明するための典型的な一連のステップを例示するフロー図を示し、ダイヤモンド基準特性を決定する前に視覚コードがダイヤモンド内又はダイヤモンド上に書き込まれる。
【
図11】証明段階中にダイヤモンドのダイヤモンド基準特性を生成することによってダイヤモンドを証明するための典型的な一連のステップを例示するフロー図を示し、ダイヤモンド基準特性は、ダイヤモンド内又はダイヤモンド上に視覚コードを書き込む前に決定され、更に、視覚コードがダイヤモンド内又はダイヤモンド上に書き込まれた後にダイヤモンド基準特性が決定される。
【
図12】ダイヤモンド検証測定値を決定すること、ダイヤモンドの視覚コードを捕捉すること、及びダイヤモンド検証測定値とダイヤモンドのダイヤモンド基準特性との対応関係を評価することを含む、認証段階中にダイヤモンドを認証するための典型的な一連のステップを例示するフロー図を示す。
【
図13】視覚コードからダイヤモンド識別子を決定すること、及びデータ記憶システムからダイヤモンド基準特性を取り出すことを含む、ダイヤモンド検証測定値とダイヤモンド基準特性との対応関係を評価するための典型的な一連のステップを例示するフロー図を示す。
【
図14】視覚コードからダイヤモンド識別子を決定すること、及びダイヤモンド検証測定値を検証サーバに送信することを含む、ダイヤモンド検証測定値とダイヤモンド基準特性との対応関係を評価するための典型的な一連のステップを例示するフロー図を示す。
【
図15】視覚コードからダイヤモンド基準特性を決定することを含む、ダイヤモンド検証測定値とダイヤモンド基準特性との対応関係を評価するための典型的な一連のステップを例示するフロー図を示す。
【
図16】変換されたダイヤモンド検証測定値を生成すること、及び視覚コードから変換されたダイヤモンド基準特性を決定することを含む、ダイヤモンド検証測定値とダイヤモンド基準特性との対応関係を評価するための典型的な一連のステップを例示するフロー図を示す。
【
図17】変換されたダイヤモンド検証測定値を生成すること、視覚コードからブロックチェーンアドレス指定情報を決定すること、及びブロックチェーン内の変換されたダイヤモンド基準特性を決定することを含む、ダイヤモンド検証測定値とダイヤモンド基準特性との対応関係を評価するための典型的な一連のステップを例示するフロー図を示す。
【
図18】変換されたダイヤモンド検証測定値を生成すること、視覚コードからブロックチェーンアカウントアドレスを決定すること、及び変換されたダイヤモンド検証測定値をブロックチェーンアカウントに提出することを含む、ダイヤモンド検証測定値とダイヤモンド基準特性との対応関係を評価するための典型的な一連のステップを例示するフロー図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1において、参照番号100は、ダイヤモンド1、特に人造ダイヤモンド1の真正性を決定するためのコンピュータ化されたシステムを指す。
図1に示されるように、システム100は、コンピュータ化された証明システム2と、コンピュータ化された認証システム3とを備える。コンピュータ化された証明システム2は、証明段階においてダイヤモンド1を証明するように構成される。コンピュータ化された認証システム3は、認証段階でダイヤモンド1を認証するように構成される。
【0031】
図2及び
図3に示されるように、コンピュータ化された証明システム2は、処理ユニット20と、センサシステム21と、ビーム描画システム22とを備える。ビーム描画システム22は、例えば、レーザビーム描画システム、イオンビーム描画システム、電子ビーム描画システムである。処理ユニット20は、有線又は無線通信リンク又はネットワーク201、202を介してセンサシステム21及びビーム描画システム22に接続される。或いは、処理ユニット20とセンサシステム21との間及び/又は処理ユニット20とビーム描画システム22との間のデータ通信は、ユーザインタフェース及び/又はフラッシュメモリモジュールなどの転送可能データ記憶媒体を介して人間のユーザによって達成される。
【0032】
図2及び
図3において、参照番号200は、データ記憶システムを指す。実施形態に応じて、データ記憶システム200は、データ記憶メモリと、データ記憶ディスクと、データ記憶管理、データベース管理、及び/又はブロックチェーンシステムなどの分散型台帳システムのための1つ以上のコンピュータとを備える。
図2の実施形態において、データ記憶システム200は、有線又は無線通信リンク又はネットワーク203を介して処理ユニット20に接続されたコンピュータ化された証明システム2の一部である。
【0033】
有線又は無線通信リンク又はネットワーク201、202、203は、通信バス、LAN(ローカルエリアネットワーク)、又はWLAN(無線ローカルエリアネットワーク)、又はBluetooth(登録商標)又はRFID(無線周波数識別子)などの他の無線通信リンクを含む。
【0034】
図3の実施形態において、データ記憶システム200は、コンピュータ化された証明システム2から遠隔に配置され、GSM(Global System for Mobile Communication)(登録商標)又はUMTS(Universal Mobile Telephone System)無線ネットワークなどの移動無線ネットワーク及び/又はインターネットを含む遠隔通信ネットワーク204を介してコンピュータ化された証明システム2及びその処理ユニットに接続される。
【0035】
処理ユニット20は、より詳細に後述するように、センサシステム21及び/又はビーム描画システム22を制御し、センサシステム21及び/又はビーム描画システム22、及びデータ記憶システム200とデータを通信するように構成されるコンピュータ、プロセッサ、及び/又は電子回路を備える。
【0036】
ビーム描画システム22は、ダイヤモンド1内又はダイヤモンド1上に視覚コード、すなわち光学的に検出可能なコード、例えばQRコード(クイックレスポンス)、バーコード、及び/又は英数字コードを書き込むように構成される。ビーム描画システム22は、レーザビームを生成するように構成されるビーム源、例えばレーザ源、例えばナノ、ピコ又はフェムト第2レーザなどのパルスレーザビームを生成するためのレーザ源を備える。或いは、ビーム描画システム22は、イオンビーム又は電子ビームを生成するように構成されるビーム源を備える。ビーム描画システム22は、ダイヤモンド1内又はダイヤモンド1上に視覚コードを書き込むようにビームを導いて集束させるように構成されるスキャナシステム及び集束システムを更に備える。
【0037】
図4~
図7に示されるように、コンピュータ化された認証システム3は、処理ユニット30と、センサシステム31とを備える。処理ユニット30及びセンサシステム31は、独自のハウジングを有する別個の装置である、又は単一のハウジングを有する単一のデバイスに組み込まれる。
図7は、処理ユニット30及びセンサシステム31の両方を備えるデバイスの一例を示す。例えば、
図7のデバイスは、モバイルデバイスとして、例えばスマートフォン、タブレット又はノートブックコンピュータとして実装される。
【0038】
図4、
図5及び
図7において、参照番号200’はデータ記憶システムを指す。実施形態に応じて、
図4、
図5、及び
図7に示されるデータ記憶システム200’は、
図2及び
図3に示される前述したデータ記憶システム200に対応し(すなわち、データ記憶システム200と同じであり)、又は
図4、
図5、及び
図7に示されるデータ記憶システム200’は、
図2及び
図3に示される前述したデータ記憶システム200の同じ又は一部のデータコンテンツを伴う別個のデータ記憶システムである。
【0039】
図4の実施形態において、及び任意選択的に
図7の実施形態において、コンピュータ化された認証システム3又はその処理ユニット30はそれぞれ、GSM(Global System for Mobile Communication)又はUMTS(Universal Mobile Telephone System)無線ネットワークなどの移動無線ネットワーク、及び/又はインターネットを含む遠隔通信ネットワーク5を介してデータ記憶システム200’と接続される。
【0040】
図5の実施形態において、コンピュータ化された認証システム3は、遠隔通信ネットワーク5を介して処理ユニット30に接続される検証サーバ4を更に備える。検証サーバ4は、通信バス、LAN(ローカルエリアネットワーク)、又はWLAN(無線ローカルエリアネットワーク)を含む、通信リンク又はネットワーク401を介してデータ記憶システム200’に接続される、1つ以上のプロセッサを有する1つ以上のコンピュータを備える。
【0041】
図4~
図7に示されるように、処理ユニット30は、有線又は無線通信リンク又はネットワーク301を介してセンサシステム31に接続される。実施形態に応じて、有線又は無線通信リンク又はネットワーク301は、光インタフェース、通信バス、LAN、もしくはWLAN、又はBluetoothもしくはRFIDなどの他の無線通信リンクを含む。或いは、処理ユニット30とセンサシステム31との間のデータ通信は、ユーザインタフェース及び/又はフラッシュメモリモジュールなどの転送可能なデータ記憶媒体を介して人間のユーザによって達成される。
【0042】
処理ユニット30は、後により詳細に説明するように、データ記憶システム200’とデータを通信するように構成されるコンピュータ、プロセッサ、及び/又は電子回路を備える。実施形態及び/又は構成に応じて、処理ユニット30のコンピュータ、プロセッサ、及び/又は電子回路は、センサシステム31を制御し、センサシステム31とデータを通信するように更に構成される。センサシステム21、31は、ダイヤモンド1の物理的特性を測定するように構成される1つ以上のセンサを有する1つ以上のデバイスを備える。例えば、センサシステム21、31は、ダイヤモンド1の重量を測定するためのスケール、ダイヤモンド1の色スペクトルを測定するための分光計、ダイヤモンド1の化学組成を測定するための質量分析計、ダイヤモンド1、ダイヤモンド1内又はダイヤモンド1上のマーキング、及び/又はダイヤモンド1中の含有物の画像を捕捉するための1つ以上の視覚センサ、例えばカメラ、及び/又はダイヤモンド1の3次元トポグラフィを測定するための深さ又は距離センサ、ダイヤモンド1内の含有物及び/又はマーキング及びそれらの位置の断層撮影データを捕捉するための光干渉断層撮影システム(OCT)又は共焦点顕微鏡などの1つ以上の断層撮影システム、及び/又はダイヤモンド1内の構造に向けられて該構造によって反射されるレーザのレーザビームによって生成されるホログラムを読み取るように構成されるレーザとカメラシステムとの組み合わせを備える。センサシステム21、31は、ダイヤモンド1、ダイヤモンド1内又はダイヤモンド1上のマーキング、及び/又はダイヤモンド1中の包含物の拡大画像を捕捉するためのカメラに光学的に連結される顕微鏡を更に備える。一実施形態において、センサシステム21、31は、ダイヤモンド1の屈折率及び/又はコンダクタンスを測定するための測定デバイス、例えば屈折計及び/又はインピーダンスメータを更に備える。コンピュータ化された認証システム3のセンサシステム31は、ダイヤモンド1から視覚コードを読み取るように構成される視覚コードリーダを備える。実施形態に応じて、視覚コードリーダは、ダイヤモンド1内又はダイヤモンド1上に書き込まれる視覚コードを拡大するように構成される、例えば顕微鏡又は拡大レンズなどの光学拡大システムと光学的に連結されるカメラ及び/又はスキャナを備える。
【0043】
図6及び
図7に示されるコンピュータ化された認証システム3の実施形態又は構成(データ記憶システム200’への任意選択的なアクセスを伴わない)は、ダイヤモンド1のオフライン検証に特に適しており、ダイヤモンド1のダイヤモンド検証測定値とダイヤモンド基準特性との対応関係を評価することは、
図15及び
図16に関連して後述するように、データ記憶システム200’又は検証サーバ4へのアクセスを必要としない。
【0044】
以下の段落において、
図8~
図18を参照して説明されるのは、証明段階中にステップS1でダイヤモンド1を証明するためにコンピュータ化された証明システム2又はその処理ユニット20によって実行される、及び認証段階中にステップS2でダイヤモンド1を認証するためにコンピュータ化された認証システム3によって実行される想定し得るステップのシーケンスである(
図8を参照)。
【0045】
図9に示されるように、証明段階中にステップS1でダイヤモンド1を証明するために、ステップS11において、コンピュータ化された証明システム2は、ダイヤモンド1のダイヤモンド基準特性を生成する。より具体的には、コンピュータ化された証明システム2の処理ユニット20は、コンピュータ化された証明システム2のセンサシステム21を制御して、ダイヤモンド1の1つ以上の物理的特性を測定する。コンピュータ化された証明システム2の処理ユニット20は、ダイヤモンド1の測定された物理的特性を含むデータレコード又はデータセットを形成することによって、ダイヤモンド1のダイヤモンド基準特性を生成する。ダイヤモンド1の測定された物理的特性は、ダイヤモンド1の決定論的特性を構成する。前述したように、ダイヤモンド1の測定された物理的特性の例としては、ダイヤモンド1の重量、ダイヤモンド1の色スペクトル、ダイヤモンド1の化学組成、ダイヤモンド1の1つ以上の画像、ダイヤモンド1内又はダイヤモンド1上のマーキングの測定値及び/又は画像、ダイヤモンド1中の含有物の測定値及び/又は画像、ダイヤモンド1の三次元トポグラフィ、ダイヤモンド1中の含有物及び/又はマーキング及びそれらの位置のトモグラフィデータ、並びに/又はホログラムが挙げられる。一実施形態において、ダイヤモンド1の測定された物理的特性は、ダイヤモンド1の屈折率及び/又はコンダクタンスを更に含む。
【0046】
一実施形態では、ステップS11において、コンピュータ化された証明システム2の処理ユニット20は、更に、秘密のダイヤモンドコード、例えば幾つかの数字、例えば10、20、又はそれ以上の英数字及び/又は特殊文字数字(例えば、「+」、「*」、「&」など)を含むコードを生成してそれらをダイヤモンド1のダイヤモンド基準特性に含ませる。
【0047】
一実施形態では、ステップS11において、コンピュータ化された証明システム2の処理ユニット20は、ダイヤモンド1の1つ以上の物理的特性を測定する前に、ダイヤモンド内又はダイヤモンド上にマーキングを更に生成する。より具体的には、コンピュータ化された証明システム2の処理ユニット20は、ダイヤモンド内又はダイヤモンド上にマーキングを生成するようにビーム描画システム22を制御する。例えば、マーキングは、ビーム描画システム22のエネルギーレベルを変化させ、ビーム描画システム22のパルスの重複度を変化させ、ビーム描画システム22のビームの投影方向を変化させ、及び/又はビーム描画システム22のビームの焦点位置を変化させて生成される。一実施形態では、これに加えて又は代えて、硝酸カリウム、マスキング材料と組み合わせたプラズマエッチング、乾燥酸素中の気相エッチング、酸素と水蒸気の混合物中の気相エッチング、及び/又は溶融硝酸カリウム中の液体エッチングを使用して、ダイヤモンド上にマーキングが生成される。例えば、マスキング材料又はマスクはそれぞれ、ダイヤモンドの表面に印刷によって適用される。
【0048】
ダイヤモンド1内又はダイヤモンド1上のマーキングの測定値は、形状、寸法、並びにダイヤモンド1内又はダイヤモンド1上の位置及び配向を含む。
図10及び
図11に関連して後述するように、視覚コードがダイヤモンド1内又はダイヤモンド1上に書き込まれた後に測定が行われる場合には、マーキングとしての視覚コードの測定にも同じことが当てはまる。
【0049】
ステップS12において、コンピュータ化された証明システム2又はその処理ユニット20は、ダイヤモンド基準特性をダイヤモンド1にそれぞれ関連付ける。より具体的には、コンピュータ化された証明システム2の処理ユニット20は、ダイヤモンド1における固有の識別子を生成し、固有のダイヤモンド識別子に割り当てられるダイヤモンド基準特性をデータ記憶システム200に記憶する。これに代えて又は加えて、コンピュータ化された証明システム2の処理ユニット20は、ダイヤモンド基準特性に対して暗号化関数、特に暗号化ハッシュ関数を適用することによって変換されたダイヤモンド基準特性を生成し、変換されたダイヤモンド基準特性、特に固有のダイヤモンド識別子に割り当てられたダイヤモンド基準特性の暗号化ハッシュ値(「基準ハッシュ」)をブロックチェーンデータ記憶システム200、例えばイーサリアムブロックチェーンに記憶する。暗号化ハッシュ関数は、一方向関数に関連し、データセット又はメッセージなどの入力からデジタル指紋を生成する。暗号化ハッシュ関数は、所与のハッシュ値hに対して、h=hash(m)となるような入力mを見つけることが困難であるように、入力mからハッシュ値hを生成し、この場合、「困難」とは、計算の複雑さを指す。更に、入力m1が与えられると、hash(m1)=hash(m2)のような異なる入力m2を見つけることが困難である。暗号化ハッシュ関数の例としては、Message Digest 5(MD5);SHA-1、SHA-2、及びSHA-3を含む、米国標準技術局(NIST)によって公開された暗号化ハッシュ関数のファミリであるSecure Hash Algorithms(SHA);及びBLAKE2又はBLAKE3が挙げられる。固有のダイヤモンド識別子としては、シリアル番号、製造番号、製造日、製造時間、及び/又は材料基準コードが挙げられる。実施形態又は構成に応じて、材料基準コードは、ダイヤモンド1を生成するために使用される材料の少なくとも一部の特定の供給源に関するソース情報にデータ記憶システム200内で関連付けられる。ソース情報としては、ダイヤモンド1を生成するために使用される元の材料の幾つかのサンプルを保持するコンテナのコンテナ基準、ダイヤモンド1を生成するために使用されるソース及び/又は材料に関連するビデオ、画像、及び/又はオーディオ記録などのマルチメディア情報、及び/又はインターネット上のそのようなマルチメディア情報に導くURL又は他のリンク情報などのアドレス指定情報を挙げることができる。
【0050】
一実施形態では、証明段階中に、変換されたダイヤモンド基準特性(「基準ハッシュ」)を生成することは、暗号化関数、具体的には暗号化ハッシュ関数を適用する前にダイヤモンド1のダイヤモンド基準特性の離散化を含む。言い換えれば、様々なダイヤモンド基準特性は、それらが特定の物理的特性の規定された精度又は分解能で離散値又は「粒状」値によって表わされるという点で、離散化又は丸められる。同様に、認証段階中に、変換されたダイヤモンド検証測定値(「検証ハッシュ」)を生成することは、暗号化関数、具体的には暗号化ハッシュ関数を適用する前にダイヤモンド1のダイヤモンド検証測定値の離散化を含む。ダイヤモンド1の物理的特性を離散化又は丸めすることにより、ダイヤモンド1の様々な物理的特性が、それぞれの精度及び精度で暗号化関数、具体的には暗号化ハッシュ関数に入力される。これにより、証明段階でダイヤモンド基準特性として、及び認証段階でダイヤモンド検証測定値としてダイヤモンド1の物理的特性を測定する異なる精度及び精密さを考慮することが可能になる。例えば、暗号化関数、具体的には暗号化ハッシュ関数を適用する前に、ダイヤモンド1の距離の測定値は、10μm、好ましくは5μmの精度に離散化又は丸められ、ダイヤモンド1の重量の測定値は、10mg、好ましくは5mgの精度に丸められる。したがって、これは、距離の測定値については、10μmよりも小さい、好ましくは5μmよりも小さい許容閾値に相当し、重量の測定値については、10mgよりも小さい、好ましくは5mgよりも小さい許容閾値に相当する。これにより、宝石商は、例えば、証明段階中にダイヤモンド基準特性を測定するために使用される測定機器よりも、認証段階中に検証測定値を決定するための精度又は精度が低い測定機器を使用することが可能になる。
【0051】
ステップS13において、コンピュータ化された証明システム2又はその処理ユニット20はそれぞれ、ダイヤモンド1における視覚コード、例えばQRコード又はバーコードを生成する。一実施形態では、視覚コードが固有のダイヤモンド識別子を含む。これに代えて又は加えて、視覚コードは、信頼できる第三者(例えば、PKIの信頼できる第三者)、検証サーバ4、及び/又はデータ記憶システム200、200’のアドレス指定情報、例えばハイパーリンク又は他のユニフォームリソースロケータ(URL)、及び/又はブロックチェーンレコードのブロックチェーンアカウントアドレス又はブロックチェーントランザクション識別子などのブロックチェーンアドレス指定情報を含む。これに代えて又は加えて、コンピュータ化された証明システム2又はその処理ユニット20はそれぞれ、視覚コードを生成するためにダイヤモンド基準特性を使用する。例えば、前述したように、コンピュータ化された証明システム2又はその処理ユニット20はそれぞれ、ダイヤモンド基準特性に対して、暗号化関数、特に暗号化ハッシュ関数を適用することによって変換ダイヤモンド基準特性を生成して、変換されたダイヤモンド基準特性、特にダイヤモンド基準特性の暗号化ハッシュ値(「基準ハッシュ」)を視覚コードに含める。
【0052】
ステップS14において、コンピュータ化された証明システム2又はその処理ユニット20はそれぞれ、ダイヤモンド1内又はダイヤモンド1上に視覚コードを書き込むようにビーム描画システム22を制御する。
【0053】
図10は、証明段階中にステップS1でダイヤモンド1を証明するためのステップS11~S14の別のシーケンスを示す。具体的には、ダイヤモンド1内又はダイヤモンド1上に視覚コードを生成及び書き込むためのステップS13及びS14は、ダイヤモンド基準特性を生成してダイヤモンド基準特性をダイヤモンド1に関連付けるためのステップS11及びS12の前に実行される。本質的に、この別のシーケンスにおいて、ダイヤモンド1の物理的パラメータは、視覚コードがダイヤモンド1内に又はダイヤモンド1上に書き込まれた後に測定される。それにより、
図10のシーケンスによれば、ダイヤモンド基準特性は、ダイヤモンド1内又はダイヤモンド1上に書き込まれた視覚コードを反映するが、視覚コードは、
図9に係るシーケンスで可能であるように、ダイヤモンド基準特性を含まない。
【0054】
図11は、証明段階中にステップS1でダイヤモンド1を証明するための
図9及び
図10のシーケンスの組み合わせ実施形態を示す。具体的には、ステップS11及びS12において、ダイヤモンド基準特性の第1のセットが生成されてダイヤモンド1に関連付けられる。ステップS13及びS14において、ダイヤモンド基準特性の第1のセットを使用して、視覚コードが生成されてダイヤモンド1内又はダイヤモンド1上に書き込まれる。更なるステップS11*において、コンピュータ化された証明システム2は、ダイヤモンド1のダイヤモンド基準特性の第2のセットを生成する。ダイヤモンド1の基準特性の第2のセットは、
図9又は
図10に関連して前述したように生成される。更なるステップS12*において、コンピュータ化された証明システム2は、ダイヤモンド基準特性の第2のセットをダイヤモンド1に関連付ける。基準特性の第2のセットは、
図9又は
図10に関連して前述したようにダイヤモンド1に関連付けられる。本質的に、この組み合わせ実施形態において、ダイヤモンド1の物理的パラメータの第1のセットは、視覚コードがダイヤモンド1内又はダイヤモンド1上に書き込まれる前に測定され、ダイヤモンド1の物理的パラメータの第2のセットは、視覚コードがダイヤモンド1内又はダイヤモンド1上に書き込まれた後に測定される。これにより、ダイヤモンド基準特性の第1のセットは、ダイヤモンド1内又はダイヤモンド1上に書き込まれた視覚コードに反映され、ダイヤモンド基準特性の第2のセットは、ダイヤモンド1内又はダイヤモンド1上に書き込まれた視覚コードを反映する。
【0055】
図12に示されるように、認証段階中にステップS2でダイヤモンド1を認証するために、ステップS21において、コンピュータ化された認証システム3はダイヤモンド1のダイヤモンド検証測定値を決定する。より具体的には、コンピュータ化された認証システム3の処理ユニット30は、ダイヤモンド1の1つ以上の物理的特性の測定値を捕捉する。例えば、コンピュータ化された認証システム3の処理ユニット30は、コンピュータ化された認証システム3のセンサシステム31を制御して、ダイヤモンド1の1つ以上の物理的特性を測定する。或いは、コンピュータ化された認証システム3の処理ユニット30は、ダイヤモンド1の1つ以上の物理的特性を測定するためにセンサシステム31を使用したユーザからユーザインタフェースを介してダイヤモンド1の1つ以上の物理的特性の測定値を受信する。
【0056】
前述したように、ダイヤモンド1の測定された物理的特性の例としては、ダイヤモンド1の重量、ダイヤモンド1の色スペクトル、ダイヤモンド1の化学組成、ダイヤモンド1の1つ以上の画像、ダイヤモンド1内又はダイヤモンド1上のマーキングの測定値及び/又は画像、ダイヤモンド1中の含有物の測定値及び/又は画像、及び/又はダイヤモンド1の三次元トポグラフィ、ダイヤモンド1中の含有物及び/又はマーキング及びそれらの位置のトモグラフィデータ、及び/又はホログラムが挙げられる。一実施形態において、ダイヤモンド1の測定された物理的特性は、ダイヤモンド1の屈折率及び/又はコンダクタンスを更に含む。ステップS11に関連して前述したように、一実施形態において、ダイヤモンド基準特性は、秘密のダイヤモンドコードを含み、したがって、ステップS21における検証測定値を生成するステップは、コンピュータ化された認証システムが、ユーザインタフェースを介してユーザから秘密のダイヤモンドコードを要求及び受信して、ユーザから受信した秘密のダイヤモンドコードをダイヤモンド検証測定値に含めるステップを更に含む。
【0057】
ステップS22では、ダイヤモンド1内又はダイヤモンド1上に書き込まれた視覚コードがコンピュータ化された認証システム3で捕捉される。一実施形態において、コンピュータ化された認証システム3は、ダイヤモンド1内又はダイヤモンド1上に書かれた視覚コードを読み取る。より具体的には、コンピュータ化された認証システム3の処理ユニット30は、コンピュータ化された認証システム3のセンサシステム31を制御して、ダイヤモンド1から視覚コードを読み取る。例えば、コンピュータ化された認証システム3の処理ユニット30は、センサシステム31の視覚コードリーダを制御して、ダイヤモンド1から視覚コードを読み取る。或いは、コンピュータ化された認証システム3は、ダイヤモンド1から視覚コードを読み取ったユーザからユーザインタフェースを介して視覚コードを受信する。
【0058】
当業者であれば分かるように、結果を変更することなくステップS21及びステップS22の順序を逆にすることができる。
【0059】
ステップS23において、コンピュータ化された認証システム3は、ステップS21でダイヤモンド1について決定されたダイヤモンド検証測定値とダイヤモンド1のダイヤモンド基準特性との対応関係を評価する。この評価の結果に応じて、コンピュータ化された認証システム3又はその処理ユニット30はそれぞれ、ダイヤモンド検証測定値とダイヤモンド基準特性との正の対応関係がある(すなわち、ダイヤモンド検証測定値及びダイヤモンド基準特性が規定された許容範囲内で一致する)場合、ステップS24でダイヤモンド1の真正性を肯定する、又はダイヤモンド検証測定値とダイヤモンド基準特性との正の対応関係がない(すなわち、ダイヤモンド検証測定値とダイヤモンド基準特性とが規定された許容範囲内で一致しない)場合、ステップS25でダイヤモンド1の真正性を否定する。この対応関係を評価するためのステップS23の様々な実施形態を、
図13~
図18を参照して以下に説明する。
【0060】
ステップS24において、コンピュータ化された認証システム3又はその処理ユニット30はそれぞれ、認証メッセージを生成することによってダイヤモンド1の真正性を肯定する。コンピュータ化された認証システム3又はその処理ユニット30はそれぞれ、コンピュータ化された認証システム3のユーザインタフェース、例えばディスプレイ及び/又はスピーカを介して認証メッセージをユーザに通信する。一実施形態において、認証メッセージは、例えば公開鍵基盤(PKI)を使用して、信頼できる第三者によって検証可能にされるデジタル署名を含む。一実施形態において、認証メッセージは、ステップS12に関連して前述した材料基準コード又はソース情報を含む。したがって、ダイヤモンド1の真正性が積極的に肯定されると、コンピュータ化された認証システム3又はその処理ユニット30はそれぞれ、ダイヤモンド1の製造に使用される供給源及び/又は材料に関連するマルチメディア情報の少なくとも一部をコンピュータ化された認証システム3のユーザインタフェース上でユーザにレンダリングすることができる。
【0061】
図13の実施形態又は構成では、ステップS231において、コンピュータ化された認証システム3又はその処理ユニット30はそれぞれ、ダイヤモンド1から捕捉された視覚コードからダイヤモンド1のダイヤモンド識別子を決定する。ステップS232において、コンピュータ化された認証システム3又はその処理ユニット30はそれぞれ、ダイヤモンド1のダイヤモンド識別子を使用して、データ記憶システム200’からダイヤモンド1におけるダイヤモンド基準特性を取り出す。一実施形態において、データ記憶システム200’のアドレス指定情報は、ダイヤモンド1から捕捉された視覚コードから決定される。ステップS233において、コンピュータ化された認証システム3又はその処理ユニット30はそれぞれ、ダイヤモンド1のダイヤモンド検証測定値をダイヤモンド1のダイヤモンド基準特性と比較することによって、ダイヤモンド1の真正性を決定する。
【0062】
図14の実施形態又は構成では、ステップS231において、コンピュータ化された認証システム3又はその処理ユニット30はそれぞれ、ダイヤモンド1から捕捉された視覚コードからダイヤモンド1のダイヤモンド識別子を決定する。ステップS234において、コンピュータ化された認証システム3又はその処理ユニット30はそれぞれ、ダイヤモンド1のダイヤモンド識別子及びダイヤモンド1について決定されたダイヤモンド検証測定値を、コンピュータ化された認証システム3の検証サーバ4に送信する。一実施形態において、検証サーバ4におけるアドレス指定情報は、ダイヤモンド1から捕捉された視覚コードから決定される。ステップS235において、コンピュータ化された認証システム3の検証サーバ4は、受信したダイヤモンド検証測定値を、データ記憶システム200’内のダイヤモンド1の受信したダイヤモンド識別子に割り当てられたダイヤモンド基準特性と比較することによって、ダイヤモンド1の真正性を決定する。
【0063】
図15の実施形態又は構成では、ステップS236において、コンピュータ化された認証システム3又はその処理ユニット30はそれぞれ、ダイヤモンド1から捕捉された視覚コードからダイヤモンド基準特性を決定する。ステップS237において、コンピュータ化された認証システム3又はその処理ユニット30はそれぞれ、ダイヤモンド1のダイヤモンド検証測定値を視覚コードから決定されたダイヤモンド基準特性と比較することによって、ダイヤモンド1の真正性を決定する。
【0064】
図16の実施形態又は構成では、ステップS238において、コンピュータ化された認証システム3又はその処理ユニット30はそれぞれ、変換されたダイヤモンド検証測定値を生成する。例えば、コンピュータ化された認証システム3又はその処理ユニット30はそれぞれ、ダイヤモンド1のダイヤモンド検証測定値に対して暗号化関数、特に暗号化ハッシュ関数を適用することによって、変換されたダイヤモンド検証測定値を生成する。前述のように、一実施形態において、変換されたダイヤモンド検証測定値(「検証ハッシュ」)を生成することは、暗号化関数、具体的には暗号化ハッシュ関数を適用する前にダイヤモンド1のダイヤモンド検証測定値の離散化を含む。
【0065】
ステップS239において、コンピュータ化された認証システム3又はその処理ユニット30はそれぞれ、ダイヤモンド1から捕捉された視覚コードから変換されたダイヤモンド基準特性(「基準ハッシュ」)を決定する。
【0066】
ステップS240において、コンピュータ化された認証システム3又はその処理ユニット30はそれぞれ、ダイヤモンド1の変換されたダイヤモンド検証測定値(「検証ハッシュ」)を、視覚コードから決定された変換されたダイヤモンド基準特性(「基準ハッシュ」)と比較することによって、ダイヤモンド1の真正性を決定する。
【0067】
図17の実施形態又は構成では、ステップS238において、コンピュータ化された認証システム3又はその処理ユニット30はそれぞれ、
図16に関連して前述したように、変換されたダイヤモンド検証測定値を生成する。ステップS241において、コンピュータ化された認証システム3又はその処理ユニット30はそれぞれ、ダイヤモンド1から捕捉された視覚コードから、ブロックチェーンデータ記憶システム200’におけるブロックチェーンアドレス指定情報、例えばブロックチェーンアカウントアドレス又はブロックチェーンレコードのブロックチェーントランザクション識別子を決定する。ステップS242において、コンピュータ化された認証システム3又はその処理ユニット30はそれぞれ、ブロックチェーンアドレス指定情報を使用して、ブロックチェーンデータ記憶システム200’から変換されたダイヤモンド基準特性を決定する。ステップS243において、コンピュータ化された認証システム3又はその処理ユニット30はそれぞれ、ダイヤモンド1の変換されたダイヤモンド検証測定値(「検証ハッシュ」)を、ブロックチェーンデータ記憶システム200’で決定された変換されたダイヤモンド基準特性(「基準ハッシュ」)と比較することによって、ダイヤモンド1の真正性を決定する。
【0068】
図18の実施形態又は構成では、ステップS238において、コンピュータ化された認証システム3又はその処理ユニット30はそれぞれ、
図16及び
図17に関連して前述したように、変換されたダイヤモンド検証測定値を生成する。ステップS244において、コンピュータ化された認証システム3又はその処理ユニット30はそれぞれ、ダイヤモンド1から捕捉された視覚コードから、ブロックチェーンデータ記憶システム200’におけるブロックチェーンアカウントアドレスを決定する。ステップS245において、コンピュータ化された認証システム3又はその処理ユニット30はそれぞれ、ブロックチェーンアカウントアドレスを使用して、変換されたダイヤモンド検証測定値をブロックチェーンデータ記憶システム200’のブロックチェーンアカウントに提出する。ステップS246において、ダイヤモンド1の変換されたダイヤモンド検証測定値(「検証ハッシュ」)を、ブロックチェーンデータ記憶システム200’、特にブロックチェーンデータ記憶システム200’のアドレス指定されたアカウントに記憶された変換されたダイヤモンド基準特性(「基準ハッシュ」)と比較するために、ブロックチェーンアカウントのスマートコントラクトのコードを実行することによってダイヤモンド1の真正性が決定される。例えば、スマートコントラクトのコードは、コンピュータ化された認証システム3又はその処理ユニット30によってそれぞれ実行され、ブロックチェーンデータ記憶システム200’のノードを実装する。
【0069】
説明では、ステップの順序は特定の順序で提示されているが、当業者であれば分かるように、本開示の範囲から逸脱することなく、ステップの少なくとも幾つかの順序を変更することができることに留意すべきである。
【符号の説明】
【0070】
1…ダイヤモンド、2…証明システム、3…認証システム、4…検証サーバ、5…遠隔通信ネットワーク、20…処理ユニット、21…センサシステム、22…ビーム描画システム、30…処理ユニット、31…センサシステム、100…システム、200…データ記憶システム、200’…データ記憶システム、201…ネットワーク、202…ネットワーク、203…ネットワーク、204…遠隔通信ネットワーク、301…ネットワーク、401…ネットワーク
【外国語明細書】