(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024106335
(43)【公開日】2024-08-07
(54)【発明の名称】摂動ベース硬判定非線形性補償
(51)【国際特許分類】
H04B 10/2543 20130101AFI20240731BHJP
H04B 10/61 20130101ALI20240731BHJP
【FI】
H04B10/2543
H04B10/61
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024009262
(22)【出願日】2024-01-25
(31)【優先権主張番号】23153449.6
(32)【優先日】2023-01-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】513311642
【氏名又は名称】ノキア ソリューションズ アンド ネットワークス オサケユキチュア
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100176418
【弁理士】
【氏名又は名称】工藤 嘉晃
(72)【発明者】
【氏名】ドメニコ マルセラ
(72)【発明者】
【氏名】アンドレア カルニオ
(72)【発明者】
【氏名】ルカ ガブリエレ ラツェッティ
(72)【発明者】
【氏名】カルロ コスタンティーニ
(72)【発明者】
【氏名】ジャンカルロ ガヴィオリ
【テーマコード(参考)】
5K102
【Fターム(参考)】
5K102AA01
5K102AD01
5K102AD15
5K102AH02
5K102AH26
5K102KA06
5K102KA39
5K102PB11
5K102PH01
5K102PH22
5K102PH38
5K102RD05
5K102RD15
5K102RD26
(57)【要約】
【課題】伝送チャネルの非線形光学効果に起因する劣化に対して、光ファイバ通信システムの受信機において入力信号を補償するための方法および装置を提供すること。
【解決手段】補償は、とりわけ、伝送チャネルの予測される光非線形性を表す摂動項を計算するための回路100と、摂動項を、入力信号ストリームから得られたソフトデータシンボルと組み合わせるための回路104、106とで実行される(
図8)。摂動項の計算は、ソフトデータシンボルの入力ストリームをハードデータシンボルの入力ストリームに変換し、次いで、伝送チャンネルの非線形効果のモデルに従ってハードデータシンボルの入力ストリームに作用するための回路108、110を必要とする。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コヒーレント光受信機のためのデジタル信号プロセッサ内の1つまたは複数のステージの各々において、
ソフトデータシンボルの入力ストリームを得ること(200)と、
光伝送チャネルの光非線形性を表す摂動項のストリームを生成すること(235)と、
前記摂動項を使用して、前記光非線形性に関して、前記ソフトデータシンボルの入力ストリーム内の前記ソフトデータシンボルのそれぞれのものを補償すること(240、290)と
を含む方法であって、
前記摂動項のストリームを前記生成することが、前記ソフトデータシンボルの入力ストリームをハードデータシンボルの入力ストリームに変換すること(210)と、前記ハードデータシンボルの入力ストリームに作用して前記摂動項を作り出すこととを含み、
前記ハードデータシンボルの入力ストリームに前記作用することが、重み係数を形成する(220)ことと、前記摂動項の各々について、前記重み係数を使用して前記ハードデータシンボルの加重和を形成すること(230)とを含み、
前記デジタル信号プロセッサが、前記光受信機によって受信された光信号の測定値のストリームから、前記1つまたは複数のステージのうちの第1のステージの前記ソフトデータシンボルの入力ストリームを作り出すように構成される、方法。
【請求項2】
前記摂動項を使用して前記ソフトデータシンボルのそれぞれのものを前記補償することが、前記ソフトデータシンボルのそれぞれのものから前記摂動項を減じて、前記ソフトデータシンボルの前記補償されたものを作り出すこと(240)を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ステージのシリーズにおいて実行され、前記シリーズの前記第1のステージの後の各ステージにおいて、前記得ることが、前記シリーズの前記ステージのうちの前のステージによって生成された前記補償されたソフトデータシンボルを得ること(250)を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記重み係数の各々が、少なくとも部分的に、チャネル係数のセットと、ハードデータシンボルの乗法積のセットとの間の畳み込みを実行することによって形成され、
前記チャネル係数が、前記光伝送チャネルの非線形効果を特徴づける複素数である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
各それぞれの畳み込みが、時間ドメインにおいて数値的に実行される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
各畳み込みが、それぞれの線形フィルタに対応し、各それぞれの畳み込みが、周波数ドメインにおいて前記対応する線形フィルタを評価することによって数値的に実行される、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記シリーズが、前記ステージの内の1つまたは複数のステージ(190、195)を有し、
各ステージにおいて、摂動項のストリームにおける前記摂動項の各々を前記生成することが、そのステージに対して前記ハードデータシンボルの入力ストリームからN個の項のセットの加重和を形成することを含み、Nは所定の正整数であり、
前記異なるステージで使用される前記N個の項のそれぞれのセットが、互いに独立している、請求項4に記載の方法。
【請求項8】
前記1つまたは複数のステージのうちの最後のステージ(195)が、前記補償されたソフトデータシンボルのストリームをデコーダに導き、
前記方法が、前記デコーダにおいて、前記導かれたストリームを復号すること(280)をさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項9】
前記摂動項を使用して前記ソフトデータシンボルのそれぞれのものを前記補償することが、
前記摂動項のうちの少なくともいくつかを軟判定FECデコーダに進めることと、
前記FECデコーダにおいて、前記摂動項のうちの前記進められた少なくともいくつかを使用して、前記ソフトデータシンボルのうちの少なくともいくつかの軟判定補償を実行すること(290)と
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
光受信機において光データ信号の測定値の摂動ベース光非線形性補償を実行するための、1つまたは複数のPNCステージ(121、122、123)を含むデジタル信号プロセッサを含む装置であって、
各PNCステージが、
ソフトデータシンボルのストリームをハードデータシンボルのストリームに変換するように構成された回路(108)と、
摂動項のストリームを前記ハードデータシンボルから生成するように構成されたPNC回路(100)であって、前記PNC回路(100)が、前記摂動項の個々のものを前記ハードデータシンボルの加重和として生成するように構成される、PNC回路(100)と
を含み、
前記デジタル信号プロセッサが、前記摂動項のうちの対応するものを使用して、前記ソフトデータシンボルの個別のものを補償するように構成された少なくとも1つの回路(104、106)をさらに含む、装置。
【請求項11】
前記デジタル信号プロセッサが、前記PNCステージ(121、122、123)のシリーズを含み、
各PNCステージにおける前記PNC回路が、前記摂動項の個別のものを前記ソフトデータシンボルのそれぞれのものから減じて、補正されたソフトデータシンボルを生成するように構成され、
前記シリーズの最後のPNCステージを除く各PNCステージにおける前記PNC回路が、そこから、前記補正されたソフトデータシンボルを前記シリーズの次のPNCステージに出力するように構成され、
前記シリーズの前記最後のPNCステージ(123)の前記PNC回路が、そこから、前記補正されたソフトデータシンボルをデコーダ(148、150)に出力するように構成される、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
各PNCステージにおけるPNC回路が、チャネル係数のセットと、ハードデータシンボルの乗法積のセットとの間の畳み込みを実行して、重み係数を生成するように適合され、
前記チャネル係数が、前記光伝送チャネルの非線形効果を表す、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
各PNCステージにおける前記PNC回路が、対応する線形フィルタを周波数ドメインにおいて評価することによって、前記畳み込みを数値的に実行するように適合される、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記シリーズが、前記PNCステージのうちの2つ以上を含み、
各PNCステージにおける前記PNC回路が、そのそれぞれの加重和の各々を、ハードデータシンボルのストリームから選択されたN個の項のセットから形成するように構成され、Nは所定の正整数であり、
前記それぞれのPNCステージによって使用される前記N個の項のセットが、互いに独立している、請求項12に記載の装置。
【請求項15】
前記デジタル信号プロセッサが、軟判定FECデコーダ(160)をさらに含み、
前記1つまたは複数のPNCステージのうちの最後のステージの前記PNC回路が、ソフトデータシンボルのストリームおよび摂動項のストリームを前記軟判定FECデコーダ(160)に出力するように構成され、
前記軟判定FECデコーダが、前記出力された摂動項を使用して、前記出力されたソフトデータシンボルの軟判定補償を実行するように構成される、請求項10に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コヒーレント光通信で使用するためのデバイスおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
このセクションは、本発明のよりより良い理解を容易にするのに役立つことができる態様を紹介する。したがって、このセクションの記述は、その観点で読まれるべきであり、何が先行技術かまたは何が先行技術ではないかに関しての承認として理解されるべきではない。
【0003】
光ファイバ通信システムにおいて、線形および非線形光学効果は、光信号を劣化させ、それによって、システム性能を制限することがある。いくつかの光ファイバ通信システムは、デジタル信号プロセッサ(DSP)を使用して、光チャネルの線形障害に起因する信号劣化を少なくとも部分的に補償する。
【0004】
非線形光学効果から、特にファイバ非線形性から生じる信号劣化のデジタル補償はまた、光ファイバ通信システムの性能を改善するのに有用であり得る。ファイバ非線形性補償(NLC)の1つの潜在的な利益は、光ファイバ通信システムにおいて、そのような補償が、ソース光データ送信機とターゲット光データ受信機との間の光信号再生の必要性を減じることができることである。
【0005】
デジタル補償のいくつかの技法が、チャネル非線形性を最小化または軽減するために提案されている。この分野の開発者が、この問題の計算の複雑さを克服することは困難であった。過去数年間、多くのアルゴリズムが、受信信号から非線形性を等化するために必要とされる信号処理操作の数を最小限に抑えることを目的として提案されている。これらのアルゴリズムのうちのいくつかは、計算の複雑さを実質的に低減している。
【0006】
コヒーレント光データ受信機における実用化が有望である1つの手法は、摂動ベース非線形性補償器(PNC)である。この手法の実施態様は、チャネル内ファイバ非線形性に関連する摂動項を計算し、次いで、それを受信信号から減じることを含む。
【0007】
例えば、PNCの有効な実施態様が、EP 3,157,180として2017年4月19日に公開された欧州特許出願第15306613.9号において提案された。EP 3,157,180の全体が、参照により本明細書に組み込まれる。そこに提案されているように、非線形チャネル応答が、いくつかの相互作用シンボルにわたって動作する線形フィルタの組合せを使用して計算される。
【0008】
PNCの別の実施態様が、2020年8月25日に発行された米国特許第10,756,822号において提案された。米国特許第10,756,822号の全体が、参照により本明細書に組み込まれる。そこに提案されている手法は、非線形光学効果へのいくつかの寄与がデジタルデータシンボルレートよりもはるかに低い周波数成分を有するという認識に基づく。それらの寄与に関して、低周波近似が、計算の全体的な複雑さを低減するために使用される。
【0009】
しかしながら、著しい進歩にもかかわらず、PNCは、少なくともいくつかのコヒーレント光ファイバ通信システムのDSPの実施態様では依然として過度に複雑であることがある。したがって、実用的な高速DSPのためにASICで実施することができるさらに単純な回路の必要性が依然として存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】欧州特許出願第15306613.9号
【特許文献2】EP 3,157,180
【特許文献3】米国特許第10,756,822号
【発明の概要】
【0011】
発明者らは、コヒーレント光ファイバ通信システムにおいてPNCを実施するための新しい方式を開発した。発明者らが「硬判定PNC」と呼ぶ新しい方式は、受信したソフトシンボルの処理の代わりに、判定後のハードシンボルの処理に基づく。この技術革新のおかげで、PNCにおいて非線形摂動を計算する計算コストを著しく低減することができる。特定の適用シナリオに応じて、判定誤差によるわずかな性能ペナルティがある場合がある。しかしながら、このペナルティは、シンボルへの判定が各ステージの最初に行われる多数のステージで硬判定PNCを実行することによって克服することができる。判定の信頼性は、ステージごとに徐々に改善することができる。
【0012】
より具体的には、入力ストリームにおける受信データシンボルのあり得る破損は、PNCにおいて、受信データシンボルを摂動項と加法的に組み合わせることによって補正される。摂動項は、システムパラメータとともに受信入力ストリームから計算される。既知の実施態様では、補正は、受信されたソフトシンボルからさらに計算される摂動項を使用してソフトシンボルに実行される。
【0013】
これに関して、「ソフトシンボル」は、線形等化後の入力光チャネルからの受信コンステレーションシンボルに対応する複素平面内のポイントである。そのため、それは、ノイズによって影響されることがあり、その結果、元のコンステレーションシンボルが配置された複素平面内の正確なポイントから逸脱することがある。
【0014】
ソフトシンボルは、数ある要因の中でとりわけ、ファイバ非線形およびノイズの影響を受けるので、破損する可能性がある。その結果、ソフトシンボルは、一般に、送信に使用されるコンステレーションからのシンボルと値が正確に一致しないことになる。
【0015】
「ハードシンボル」の出力をもたらす、ソフトシンボルのコンステレーションシンボルへのマッピングは、ハード判定プロセッサによって実行される。ソフトシンボルの可能な値の範囲は、離散的なコンステレーションポイントに限定されるハードシンボルの範囲よりもはるかに大きい。それゆえに、一般に、十分な精度でソフトシンボルを表すのに必要とするビットは、ハードシンボルを表すのに必要とするビットよりもかなり多い。
【0016】
発明者らの新しい方式では、摂動項は、ソフトシンボルではなくハードシンボルから計算される。ハードシンボルを表すには少ないビットしか必要としないので、計算の複雑さを低減することができる。
【0017】
上記のように、摂動項を計算する前に実施されるハード判定は、多分、受信機の性能を劣化させることがある判定誤差を導入する可能性がある。さらに上記のように、発明者らは、マルチステージ手法がこの欠点を克服することができると考える。マルチステージ手法の第1のステージにおいて、入力ソフトシンボルは、ハード判定を受け、摂動項が、結果として得られるハードシンボルと、非線形寄与の第1のサブセットとから計算され、計算された摂動項を使用して、新しいソフトシンボルが計算される。
【0018】
各々の後続のステージにおいて、摂動項の新しいセットが、上述のように、しかし、前の1つまたは複数のステージで使用されたサブセットから独立している非線形寄与のサブセットを使用して計算される。「独立している」サブセットとは、共通の要素がないサブセットを意味する。摂動計算は、多数のステージを通って進むにつれて、次第により精密になる。
【0019】
したがって、本開示は、1つの態様では、コヒーレント光受信機のためのデジタル信号プロセッサ内の1つまたは複数のステージの各々で実行され得る方法に関する。この方法は、ソフトデータシンボルの入力ストリームを得ることと、光伝送チャネルの光非線形性を表す摂動項のストリームを生成することと、摂動項を使用して、光非線形性に関して、ソフトデータシンボルの入力ストリーム内のソフトデータシンボルのそれぞれのものを補償することとを含む。
【0020】
摂動項のストリームを生成するために、ソフトデータシンボルの入力ストリームが、ハードデータシンボルの入力ストリームに変換され、この方法は、ハードデータシンボルの入力ストリームに作用して摂動項を作り出す。ハードデータシンボルの入力ストリームに作用することは、重み係数を形成することを含む。摂動項の各々に対して、ハードデータシンボルの入力ストリームに作用することは、重み係数を使用してハードデータシンボルの加重和を形成することをさらに含む。
【0021】
1つまたは複数のステージのうちの第1のステージのソフトデータシンボルの入力ストリームは、光受信機によって受信された光信号の測定値のストリームから作り出される。
【0022】
実施形態において、補償のために摂動項を使用することは、ソフトデータシンボルのそれぞれのものから摂動項を減じて、ソフトデータシンボルの補償されたものを作り出すことを含むことができる。
【0023】
実施形態において、この方法は、ステージのシリーズで実行され得る。シリーズの第1のステージの後の各ステージにおいて、ソフトデータシンボルの入力ストリームを得ることは、シリーズのステージのうちの前のステージによって生成された補償されたソフトデータシンボルを得ることを含む。
【0024】
上述の実施形態のいずれかに付け加えた実施形態において、各重み係数は、少なくとも部分的に、チャネル係数のセットと、ハードデータシンボルの乗法積のセットとの間の畳み込みを実行することによって形成され、チャネル係数は、光伝送チャネルの非線形効果を特徴づける複素数である。各それぞれの畳み込みは、時間ドメインにおいて数値的に実行され得る。代替として、各畳み込みは、それぞれの線形フィルタに対応することができ、各それぞれの畳み込みは、周波数ドメインにおいて対応する線形フィルタを評価することによって数値的に実行され得る。
【0025】
上述の実施形態のいずれかに付け加えた実施形態において、この方法は、2つ以上のステージのシリーズで実行され得る。各ステージにおいて、各摂動項を生成する際に、そのステージに対してハードデータシンボルの入力ストリームからN個の項のセットの加重和が形成され、Nは所定の正整数である。異なるステージで使用されるN個の項のそれぞれのセットは、互いに独立している。
【0026】
上述の実施形態のいずれかに付け加えた実施形態において、1つまたは複数のステージのうちの最後のステージは、補償されたソフトデータシンボルのストリームをデコーダに導くことができ、導かれたストリームは、デコーダにおいて復号される。
【0027】
実施形態において、ソフトデータシンボルを補償するために摂動項を使用することは、摂動項のうちの少なくともいくつかを軟判定FECデコーダに進めることと、FECデコーダにおいて、進められた摂動項を使用して、ソフトデータシンボルのうちの少なくともいくつかの軟判定補償を実行することとを含むことができる。
【0028】
本開示は、第2の態様では、光受信機において光データ信号の測定値の摂動ベース光非線形性補償を実行するための、1つまたは複数のPNCステージを含むデジタル信号プロセッサを含む装置に関する。各PNCステージは、ソフトデータシンボルのストリームをハードデータシンボルのストリームに変換するように構成された回路を含む。各PNCステージは、ハードデータシンボルから摂動項のストリームを生成するように構成されたPNC回路をさらに含む。各PNC回路は、摂動項の個々のものをハードデータシンボルの加重和として生成するように構成される。デジタル信号プロセッサは、摂動項のうちの対応するものを使用してソフトデータシンボルの個別のものを補償するように構成された少なくとも1つの回路をさらに含む。
【0029】
実施形態において、デジタル信号プロセッサは、PNCステージのシリーズを含むことができ、それらの各々は、それぞれのソフトデータシンボルから個別の摂動項を減じて、補正されたソフトデータシンボルを生成するように構成される。シリーズの最後のPNCステージを除く各PNCステージにおけるPNC回路は、そこから、補正されたソフトデータシンボルをシリーズの次のPNCステージに出力するように構成される。シリーズの最後のPNCステージのPNC回路は、そこから、補正されたソフトデータシンボルをデコーダに出力するように構成される。
【0030】
上述の実施形態のいずれかに付け加えた装置の実施形態において、各PNCステージにおけるPNC回路は、チャネル係数のセットと、ハードデータシンボルの乗法積のセットとの間の畳み込みを実行して、重み係数を生成するように適合され得、チャネル係数は、光伝送チャネルの非線形効果を表す。いくつかの実施形態では、各PNCステージにおけるPNC回路は、対応する線形フィルタを周波数ドメインにおいて評価することによって、畳み込みを数値的に実行するように適合され得る。
【0031】
上述の実施形態のいずれかに付け加えた装置の実施形態において、デジタル信号プロセッサは、PNCステージのうちの2つ以上のシリーズを含むことができる。各PNCステージにおけるPNC回路は、そのそれぞれの加重和の各々を、ハードデータシンボルのストリームから選択されたN個の項のセットから形成するように構成され、Nは所定の正整数であり、それぞれのPNCステージによって使用されるN個の項のセットは、互いに独立している。
【0032】
実施形態において、デジタル信号プロセッサは、軟判定FECデコーダをさらに含むことができる。1つまたは複数のPNCステージのうちの最後のステージのPNC回路は、ソフトデータシンボルのストリームおよび摂動項のストリームを軟判定FECデコーダに出力するように構成される。軟判定FECデコーダは、出力された摂動項を使用して、出力されたソフトデータシンボルの軟判定補償を実行するように構成される。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】光ファイバ通信システムを概略的に示す図である。
【
図2】DSPにおいて非線形光学効果のいくつかの事前補償をデジタル的に実施するコヒーレント光データ送信機を示すブロック図である。
【
図3】DSPにおいて非線形光学効果のいくつかの事後補償をデジタル的に実施するコヒーレント光データ受信機を示すブロック図である。
【
図4】PNC等化器回路のブロック図であり、PNC等化器回路は、入力信号ストリームに作用することによって、非線形処理を実行して、摂動項のストリームを作り出し、入力信号ストリームのシンボル成分をそれぞれの摂動項と組み合わせることによって入力信号ストリームのシンボル成分を補正し、補正された信号ストリームを出力することができる。
【
図5】本明細書で説明される原理によるFFT処理を用いたPNC実施の簡略化されたブロック図である。
【
図6】計算複雑さが低減されたPNC等化のためのアーキテクチャの簡略化されたブロック図である。
【
図7】本明細書で説明される原理による軟判定PNCの方式の簡略化されたブロック図である。
【
図8】本明細書で説明される原理による硬判定PNCの新しい方式の簡略化されたブロック図である。
【
図9】本明細書で説明される原理によるマルチステージの実施態様における硬判定PNCの方式の簡略化されたブロック図である。
【
図10】コヒーレント光受信機のためのアーキテクチャが光フロントエンドおよびDSPチェーンとして表されるブロック図である。
【
図11】本明細書で説明される原理による軟判定補償の例示の方式の簡略化されたブロック図である。
【
図12】多数の波長チャネルの処理が示されている光受信機アーキテクチャの簡略化されたブロック図である。
【
図13】本明細書で説明される原理のうちのいくつかによる方法を要約している流れ図である。
【
図14】本明細書で説明される原理のうちのいくつかによる代替方法を要約している流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
この「発明を実施するための形態」およびその添付図面は、単に本発明の原理を示すように意図されている。本明細書に基づいて、当業者は、本明細書に明示的に説明または図示されていないが、本発明を具現化し、特許請求の範囲の範囲内に含まれる様々な構成を考案することができるであろう。さらに、原理、態様、および実施形態を列挙する本明細書の記述は、その均等物を包含するように意図される。
【0035】
図1は、光データ送信機12、光データ受信機14、および光ファイバライン16を含む光ファイバ通信システム10を示す。光ファイバライン16は、光データ送信機12と光データ受信機14との間の全光通信チャネルを形成する。光ファイバライン16は、光ノード(ON)で全光学的に接続される1つまたは複数の光ファイバスパン、典型的には、図に示されるような単一モード光ファイバスパン(FS)を有する。光データ送信機12、または光データ受信機14、または送信機12および受信機14の各々は、デジタル信号プロセッサ(DSP)を含み、デジタル信号プロセッサ(DSP)は、送信された光信号への補正を評価し、少なくとも部分的に、光ファイバライン16の非線形光学効果に起因するチャネル内および/またはチャネル間の信号劣化をデジタル的に補正するように構成される。
【0036】
図2は、
図1の光データ送信機12の例示の実施形態12’を示す。図示のように、送信機12’は、従来、それぞれ、x偏波およびy偏波と呼ばれる光キャリアの2つの直交偏波の各々にそれぞれのデータ変調を課すように構成される。送信機12’はまた、少なくとも部分的に、例えば
図1の光ファイバライン16において生じる非線形光学効果に関して光信号をデジタル的に事前補償することができる。
【0037】
光データ送信機12’は、異なる波長を有する多数の光キャリアの各々で、独立した信号を送信することができる。言い換えれば、光データ送信機12’は、多数の波長チャネルで送信することができる。しかしながら、説明を簡単にするために、光データ送信機12’は、本明細書では、単一波長チャネルより多いチャネルを明示的に言及することなく説明される。
【0038】
図示のように、光データ送信機12’は、光源22と、それぞれ第1および第2の光データ変調器24、26と、光データ変調器24、26用の電気ドライバ28、30と、デジタル信号プロセッサ(DSP)32とを含む。
【0039】
光源22は、一般に、狭帯域電気通信レーザである。図示のように、光源22からの光波長キャリアは、入力として、光偏波スプリッタPSに導かれる。互いに直交する偏波を有するスプリッタPSの2つの出力は、光路OPを経由してそれぞれの光データ変調器24、26に入力される。各光データ変調器24、26は、デジタルデータストリームを光波長キャリアのそのそれぞれの偏波成分に光学的に変調する。光データ変調器24、26の光出力部は、光路OPを介して偏波コンバイナPCの光入力部に接続される。偏波コンバイナPCは、光ファイバライン16の近端に接続する光出力部を有する。変調器24、26からの変調された光信号は、光ファイバライン16の近端に注入され、光ファイバライン16を介して、光波長キャリアのそれぞれの直交偏波状態で搬送される。
【0040】
各電気ドライバ28、30は、DSP32からのデジタル制御信号を受け取り、それに応じて、それぞれのアナログ電圧駆動信号を出力して、光データ変調器24、26を動作させる。より具体的には、各電気ドライバ28、30は、デジタル制御信号
【数1】
または
【数2】
のそれぞれのシリーズをDSP32から受け取り、それを、対応する光データ変調器を動作させるために、一般に無線周波数のアナログ電圧駆動信号に変換する。インデクスk,k+1,などは、離散変調パルスのタイムスロットを識別する。
【0041】
x系列およびy系列デジタル制御信号は、それぞれ、光キャリアのxおよびy偏波成分の変調を制御する。いくつかの実施態様では、駆動制御信号はまた、非線形光学効果の事前補償、および多分光ファイバライン16の分散の事前補償を行うことができる。
【0042】
図に示されるように、DSP32は、入力として、デジタルシンボルストリーム{X
k}=X
k,X
k+1,など、およびデジタルシンボルストリーム{Y
k}=Y
k,Y
k+1,などを受け取り、DSP32は、それぞれ、これらの受け取ったデジタルシンボルストリームを処理して、対応するデジタル信号
【数3】
および
【数4】
を生成する。デジタルシンボルストリームX
k,X
k+1,など、およびY
k,Y
k+1,などは、DSP32の上流に位置し、図には示されていないQAM変調器などのデジタル変調器によって生成される。
【0043】
デジタル変調器は、バイナリビットストリームの形態の入力データを、所望の変調コンステレーションから選択されたシンボルにマッピングすることによって、デジタルシンボルストリームを作り出す。
【0044】
図3は、コヒーレント光ファイバ通信システムで使用するように構成された
図1の光データ受信機14の例示の実施形態14’を示す。以下で説明するように、光データ受信機14’は、全光ファイバライン16において生じる非線形光学効果をデジタル的に少なくとも部分的に事後補償する。
【0045】
光データ受信機14’は、異なる波長を有する多数の光キャリアの各々で独立した信号を受信することができる。言い換えれば、光データ受信機14’は、多数の波長チャネルで受信することができる。しかしながら、説明を簡単にするために、光データ受信機14’は、本明細書では、単一波長チャネルより多いチャネルを明示的に言及することなく説明される。
【0046】
図に示されるように、光データ受信機14’は、局部光発振器40と、第1および第2の偏波スプリッタ41.1、41.2と、第1および第2の光ミキサ42、44と、光検出器アレイ46、48と、2つの電気ハードウェアシリーズ50、52と、DSP54とを含む。
【0047】
局部光発振器40は、典型的には、例えば、イントラダインコヒーレント光検出に適するような、
図1の光データ送信機12の波長に近い波長をもつ狭帯域電気通信レーザである。
【0048】
図示の例では、光ファイバライン16の端部から受信した光信号は、光偏波スプリッタ41.1に導かれ、光偏波スプリッタ41.1は、受信した光の2つの直交偏波成分を分解し、それらを光路OPを介して第1および第2の光ミキサ42、44のそれぞれの光入力部に送る。局部発振器40からの光出力は、光路OPを介して光偏波スプリッタ41.2に導かれ、光偏波スプリッタ41.2は、局部発振器40からの光の2つの直交偏波成分を分解し、それらを光路OPを介して第1および第2の光ミキサ42、44のそれぞれの光入力部に送る。したがって、光ミキサ42、44の各々は、偏波スプリッタ41.1および41.2の各々から、光信号の直交偏波成分のそれぞれのもの、すなわち、x成分またはy成分を受け取る。
【0049】
光ミキサ42、44の各々は、光入力信号から受け取った光を、局部光発振器から受け取った光と組み合わせて、受信した光入力信号の2つの変調成分のそれぞれのものを作り出す。例として、光ミキサ42は、例えば、光偏波スプリッタから受け取った光のx成分を組み合わせて、受け取った光信号の同相(I)成分を表す光信号を出力として提供することができる。対応して、光ミキサ44は、例えば、光偏波スプリッタから受け取った光のy成分を組み合わせて、受け取った光信号の直交(Q)成分を表す光信号を出力として提供することができる。
【0050】
光ミキサ42および44の各々は、
図3に示されるように、互いに位相シフトされた1対の光出力を有する。これらの位相シフトは、当技術分野でよく知られている原理に従って、コヒーレント光検出のために出力信号を調整する。
【0051】
光ミキサ42および44からの出力の各対は、それぞれの光検出器アレイ46、48に導かれる。光検出器アレイ46、48の各々は、それぞれの光ミキサから受け取った入力に応じて、受け取った光信号のI成分またはQ成分をそれぞれ示すアナログ電気信号を生成するように構成される。当技術分野における典型的な慣例によれば、x偏波チャネルの信号は、I成分に対応し、y偏波チャネルの信号は、受け取った光信号のQ成分に対応する。
【0052】
例示的な例では、光ミキサ42、44の各々は、90度光ハイブリッドを含み、光強度光検出器アレイ46、48の各々は、光強度の差動検出のために接続されたフォトダイオードの平衡対を含む。
【0053】
図3に示された例では、各光検出器アレイ46、48からの電気出力は、電子ハードウェア構成要素のそれぞれのシリーズ50、52に導かれる。当技術分野で知られているように、各シリーズ50、52は、例えば、電子増幅器、電子ローパスフィルタ、およびアナログ-デジタル変換器を含むことができる。シリーズ50およびシリーズ52は、ローパスフィルタリングなどの既知の方法によりそれぞれのx偏波チャネルおよびy偏波チャネルの光検出器出力を処理する。シリーズ50およびシリーズ52における処理は、アナログ-デジタル変換(図には明示的に示されていない)を含み、それにより、デジタル電気信号が各偏波チャネルで出力される。
【0054】
シリーズ50およびシリーズ52から出力されたデジタル信号ストリームは、デジタル信号プロセッサ(DSP)54に導かれる。
【0055】
DSP54は、シリーズ50およびシリーズ52から受け取ったxチャネルデジタル信号ストリームおよびyチャネルデジタル信号ストリームをデジタル的に処理し、それによって、
図1の光データ送信機12によって送信されたデータシンボルストリームを回復する。典型的な例では、例えば
図3に示されるように、DSP54は、線形処理回路(LC)を含む。線形処理回路は、例えば、光ファイバライン16における波長分散、偏波分散、偏波回転、および減衰などの原因による信号劣化を少なくとも部分的に補償するために使用することができる。
【0056】
DSP54はまた、一般に、局部光発振器40と、光ファイバライン16から受信した光入力信号との間の周波数オフセットを補正するための回路を含む。周波数オフセット補償は、一般に、線形処理の一部と見なされる。そのため、周波数オフセット補償は、
図3では別々に呼び出されていないが、代わりに、線形処理回路によって実行される動作の中に含まれるとして理解されるべきである。(対照的に、線形処理は、以下で論じる
図10では、別々の「線形等化器」ブロックおよび「復調器」ブロックによって表されている。
図10における復調器ブロックは、キャリア周波数回復およびキャリア位相回復を実行する。)
【0057】
線形処理回路LCの出力は、図示の例では、xチャネルにおけるデジタル信号ストリーム{xk}=xk,xk+1・・・と、yチャネルのデジタル信号ストリーム{yk}=yk,yk+1・・・とからなる。インデクス「k」は、サンプリングタイムスロットの連続ラベルである。
【0058】
線形処理回路LCの下流で、DSP54は、デジタル信号ストリーム{x
k}および{y
k}を処理して、デジタル信号ストリーム
【数5】
および
【数6】
を作り出す。
【0059】
信号ストリーム
【数7】
および
【数8】
を作り出す処理は、
図1の光ファイバライン16における非線形光学効果に起因する信号劣化を少なくとも部分的に補償するために実行される。
【0060】
より具体的には、DSP54は、デジタル信号ストリーム{x
k}および{y
k}を処理するための非線形処理回路NPCを含む。これらのデジタル信号ストリーム{x
k}および{y
k}の各々について、非線形処理回路NPCは、補正係数のそれぞれのストリーム{Δx
k}=Δx
k,Δx
k+1・・・および{Δy
k}=Δy
k,Δy
k+1・・・を出力する。DSP54は、
図3に示されるように、補正係数Δx
k、Δy
kをそれらの対応するデジタル信号要素x
kおよびy
kから減じて、少なくとも部分的に補償されたデジタルデータ出力信号
【0061】
【数9】
、
【数10】
を作り出すための要素をさらに含む。図に示されるように、DSP54は、信号ストリーム{x
k}、{y
k}が、補正係数を減じる要素において補正ストリーム{Δx
k}、{Δy
k}と時間的に整合されるように、処理遅延を補正するための遅延要素Dをさらに含む。
【0062】
上述で説明したように、
図1の光データ送信機12は、バイナリビットストリームの形態の入力データを、所望の変調コンステレーションから選択されたシンボルにマッピングすることによって、送信のためのデジタルシンボルストリームを作り出すデジタル変調器を含む。
図3に戻ると、DSP54は、光データ送信機12によって送信されたバイナリビットストリームを回復するように動作する処理ステージを含むことができる。
【0063】
より具体的には、DSP54は、例えば、送信されたデータシンボルをバイナリビットストリームとして回復するように動作する従来のデジタルデコーダDDを含むことができる。デジタルデコーダDDに入力される信号ストリーム
【数11】
および
【数12】
は、共同して、シンボルコンステレーションからデータシンボルの送信されたストリームの表現を構成する。動作中、デジタルデコーダDDは、これらのコンステレーションシンボルの逆マッピングを実行して、
図3において「データ」と指定されているバイナリビットストリームに戻す。デジタルデコーダDDはまた、従来の誤り訂正を提供することができる。例えば、それは、
図1の光データ送信機12において実施されるFECコーディングに対応する前方誤り訂正(FEC)を実行することができる。
【0064】
図4は、PNC等化器回路のブロック図であり、PNC等化器回路は、入力信号ストリーム{x
k}および{y
k}に非線形処理を実行して摂動項のストリーム{Δx
k}および{Δy
k}を作り出し、各シンボル成分x
kまたはy
kをそれぞれの摂動項Δx
kまたはΔy
kと組み合わせることによって各シンボル成分x
kまたはy
kを補正し、補正された信号ストリーム
【0065】
【数13】
および
【数14】
を出力することができる。
【0066】
したがって、
図4は、ストリーム{Δx
k}を作り出すxチャネル摂動計算のためのブロック60と、ストリーム{Δy
k}を作り出すyチャネル摂動計算のためのブロック62と、各摂動項Δx
kを、対応するシンボル成分x
kから減じて、対応する補正されたシンボル成分
【数15】
を出力として作り出すための加算要素64と、各摂動項Δy
kを、対応するシンボル成分y
kから減じて、対応する補正されたシンボル成分
【数16】
を出力として作り出すための加算要素66とを示す。
【0067】
説明を簡単にするために図面から省略されているが、当業者は、
図4の等化器回路が、それぞれのシンボル成分x
kおよびy
kが、それぞれの加算要素において対応する摂動項と時間的に整列されるように、{x
k}および{y
k}ストリームのための遅延要素をさらに含むことを理解するであろう。
【0068】
図4は、さらに、ルックアップテーブル(LUT)68を示し、ルックアップテーブル(LUT)68は、xチャネルおよびyチャネル摂動計算への入力として摂動係数C
m,nを提供する。摂動係数と、摂動計算におけるその役割とは、以下で、より詳細に定義される。摂動係数は、リンク構成に依存する。例では、摂動係数は、オフラインで計算するか、または、代替として、例えば、W. Peng et al, "Training-based Determination of Perturbation Coefficients for Fiber Nonlinearity Mitigation," 2015 Optical Fiber Communications Conference and Exhibition (OFC) (2015) 1-3に報告されているように、最小2乗平均(LMS)アルゴリズムによって推定することができる。
【0069】
摂動係数の計算は、例えば、チャネル波長分散、ファイバ非線形係数、不均質なスパン長、およびランダムなファイバ出射パワーについての先験的に知られている送信機情報に基づくことができる。
【0070】
摂動係数について得られた値は、LUT68に準静的に格納され得る。
【0071】
例として、摂動係数の有用な計算は、R . Dar et al., "Inter-Channel Nonlinear Interference Noise in WDM Systems: Modeling and Mitigation," J. Lightwave Technol. 33 (2015)1044-1053に報告されているチャネルモデルに基づくことができる。そこに報告されているように、ファイバ非線形性のモデルは、例えば、A. Ghazisaeidi and R. Essiambre, "Calculation of coefficients of perturbative nonlinear pre-compensation for Nyquist pulses," The European Conference on Optical Communication (ECOC), Cannes (2014) 1-3に報告されているように、時間的パルス整合条件を仮定する。それらのモデルの下で、摂動係数は、
Cm,n=-Sm,n,m+n (1)
【0072】
【数17】
(2)
によって計算することができる。
【0073】
上述の表現において、Sm,n,lは、複素係数であり、m,n,およびlは、離散時間インデクスであり、tは、(連続)時間変数であり、Lは、全リンク長であり、関数f(z)は、ファイバリンクの損失/利得プロファイルを説明し、h(z,t)は、距離zまでファイバ中を伝搬したパルス整形波形である。
【0074】
例えば、
図4のPNC回路によって実行され得る摂動計算は、
【数18】
よって与えられる。
【0075】
上述の式における合計の限界MおよびNは、主として、ファイバリンクにおける信号蓄積分散に依存する。そのため、それらは、システムパラメータである。所与のシステムシナリオに対して、一般に、等化器性能を最適化する最も好ましいM値とN値の対が存在することになる。これらの値は、実際の用途では、システムアーキテクチャに応じて、約1000以上の値までの広い範囲を有する。M値およびN値を減少させると、回路の複雑さを単純化することができるが、そのような単純化は、等化器性能の劣化という犠牲を強いることがある。
【0076】
最適値は信号蓄積分散に依存するが、この関係は、非線形挙動をモデル化することの複雑さのために、閉形表現として適切にモデル化されていない。したがって、最適値は、一般に、数値シミュレーションによって得られることになる。
【0077】
摂動計算の複雑さを低減することができる計算手法が、上述で引用した刊行物EP 3,157,180に報告されている。そこで説明されているように、式(3)および(4)は、k番目の摂動項が、2M+1個のシンボルxk-mまたはyk-mの加重和として表されるように書き換えることができ、重みの各々は、摂動係数Cm,nと積項
【0078】
【数19】
との間のインデクスnに対する畳み込みとして表される。積項は、
【数20】
によって定義される。
【0079】
すなわち、量
【数21】
を代入することによって、
【数22】
および
【数23】
の表現は、
【0080】
【数24】
として書き換えることができ、ここで、括弧内の式の各々は、2M+1個の畳み込みを表す。
【0081】
そのため、畳み込みは、離散時間ドメインにおいて評価される。しかしながら、式(6)および(7)における畳み込みの各々は、等価的に、周波数ドメインにおいて評価される線形フィルタとして定式化することができる。時間ドメインにおけるフィルタタップは、係数Cm,nである。
【0082】
時間ドメインと周波数ドメインとの間の変換は、例えば、高速フーリエ変換(FFT)および逆高速フーリエ変換(IFFT)を使用することによって達成される。高速フーリエ変換(FFT)によって周波数ドメインにおいてフィルタリングを計算し、次いで、逆高速フーリエ変換(IFFT)で逆変換することは、計算の複雑さがO(M log N)に低減されるので有益である。
【0083】
したがって、式(6)および(7)における累積二重和項は、各々、以下の3つのステップで計算することができる。
(i)積
【数25】
を計算する、
(ii)2M+1個の線形フィルタのバンクの出力値を並列に計算する、
(iii)フィルタ出力の加重和を計算する。
【0084】
図5は、FFT処理によるPNC実施の簡略化されたブロック図である。図において、ブロック70および71は、積
【数26】
を計算する。ブロック72および73は、問題を周波数ドメインに変換し、上述の括弧内の式における畳み込みは乗法積になる。ブロック74および75はIFFTを計算する。摂動係数C
m,nとの乗算は、周波数ドメインにおいて乗算器76および77で実行される。
【0085】
図5において、記号C
MおよびC
-Mは、説明文2*M+1とともに、2M+1のブランチのバンクがあることを示しており、それらのうちの2つのみが、図では明確に描かれている。各インデクスm=-M,・・・,0,・・・,Mについて、摂動係数のフルセット、または、等価的に、対応する線形フィルタのタップのフルセットは、C
m={C
m,-N,・・・,C
m,N}である。同様に、記号
【0086】
【数27】
および
【数28】
は、積
【数29】
の2M+1セットのうちの2つを表す。
【0087】
上述で引用した米国特許出願第10,756,822号は、計算の複雑さをさらに低減することができる手法を報告している。
図6は、そのような手法を実施することができるアーキテクチャの簡略化されたブロック図である。図に示されるように、アーキテクチャは、
図5におけるように、
【0088】
【数30】
計算80、81と、FFTステージ82、83と、乗算器ステージ84と、IFFTステージ86、87とを含む。しかしながら、
【数31】
項は、ローパスアンチエイリアシングデジタルフィルタP(z)により、フィルタ処理88、89され、それに応じて、デシメート90、91される。これらの操作は、ダウンサンプリングと等価である。それらは、シンボル当たり計算されるべきアレイ
【0089】
【数32】
のサイズを(2M+1)・(2N+1)/Wに縮小し、ここで、Wは、デシメーションレートとも呼ばれるデシメーション係数である。10のデシメーションレートは例示的であるが、他の値は排除されない。
【0090】
ローパスアンチエイリアシングフィルタP(z)の帯域幅は、デシメーションレートによって決定される。異なるインパルス応答をローパスアンチエイリアシングフィルタのために採用することができる。ローパスフィルタリングの後、
【数33】
項は、Wサンプルごとに1つのみを選択することによってデシメーションレートに従ってデシメートされる。
【0091】
次いで、
【数34】
項のダウンサンプリングされたセットは、(2M+1)個の並列フィルタによってフィルタリングされる。フィルタリングステップは、FIRフィルタを用いて実行することができ、または、
図6に示されるように、周波数ドメインにおいてFFTを用いて実行することができる。ダウンサンプリングのために、フィルタタップサイズは、(2N+1)/Wである。次いで、フィルタ出力項は、入力x
kおよびy
kサンプルと乗算される出力ステージにおいて、入力x
kおよびy
kサンプルと同じサンプリングレートを有するように補間92、93によってアップサンプリングされる。
図6に示されるように、補間プロセスは、当技術分野で知られているように、ローパスアンチイメージングフィルタG(z)を表すブロック94および95を含む。
【0092】
摂動項は、以下の式(8)および(9)
【数35】
に従って軟判定PNCで計算することができる。
【0093】
式(8)および(9)は、計算された摂動項には、これらの項がソフトシンボルである受信入力シンボルから計算されていることを強調するために、上つき文字「soft」がマークされていることを除いて、式(3)および(4)と同様である。
【0094】
図7は、軟判定PNC方式の簡略化されたブロック図である。補正されたシンボルが、PNCブロック100において計算される。図を簡単にするために、式(8)および(9)におけるnに対する合計は、各々がインデクスmを有する2M+1個の計算ブランチに包含されることが暗に意味されており、説明文「m∈[-M,M]」は、値-M,・・・,・・・,Mをとることを示している。図に示されるように、ソフトシンボルx
kおよびy
kは、2つの経路をとる。上の方の経路では、ソフトシンボルは、遅延される102。下の方の経路では、ソフトシンボルは、PNCブロック100を通過し、PNCブロック100は、摂動項を出力する。摂動項は、遅延されたソフトシンボルx
kおよびy
kに加算される104、106。
【0095】
上述で指摘したように、
図7の方法による摂動項の評価は、少なくとも、式(8)および(9)における形式x
k-mx
k-nx
*
k-m-n,x
k-my
k-ny
*
k-m-n,y
k-my
k-ny
*
k-m-n,およびy
k-mx
k-nx
*
k-m-nの乗法積が、複素数値ソフトシンボル間の複数の乗算を含むので、計算上高価である。
【0096】
発明者らの新しい硬判定PNC方式の下では、摂動項は、
【数36】
に従って評価される。
【0097】
式(10)および(11)は、式(8)および(9)と同様の形式である。しかしながら、摂動項は、それがソフトシンボルではなくハードシンボルから計算されることを強調するために、上つき文字「hard」でマークされている。同様に、式(10)および(11)におけるxkおよびyk項は、それらがソフトシンボルではなくハードシンボルから計算されることを強調するために、サーカムフレックスでマークされている。
【0098】
図8は、発明者らの新しい硬判定PNC方式の簡略化されたブロック図である。
図8が
図7と共通している要素は、同様の参照番号で呼ばれる。
図8のアーキテクチャは、PNCブロック100への入力が今ではハードシンボルであることを除いて、
図7のアーキテクチャと同様である。より具体的には、入力ソフトシンボルx
kおよびy
kは、2つの経路をとる。上の方の経路では、ソフトシンボルは、遅延される102。下の方の経路では、ソフトシンボルは、ハード判定が実施されるそれぞれの判定指示(D
Dir)ブロック108、110を通過する。D
Dirブロックからの出力は、ハードシンボル
【0099】
【数37】
および
【数38】
であり、それらは、入力としてPNCブロック100に供給される。したがって、D
Dirは、例えば最大事後(MAP)検出による硬判定演算における、受信ソフトシンボルのコンステレーションポイントへのシンボル間マッピングである。
【0100】
摂動がハードシンボルを使用して計算された後、それは、遅延されたソフトシンボルxkおよびykに加算される104、106。
【0101】
図8の硬判定PNC方式は、単一PNCステージを有する。そのような単一ステージ方式は、計算の複雑さの有益な低減を提供するが、少なくともいくつかのシナリオの下では、受信したシンボルへのハード判定が判定誤差を導入することがあるので、性能劣化を受けやすいという欠点も有する。
【0102】
しかしながら、発明者らは、判定をより信頼できものにすることができるマルチステージ方式を開発した。
図9は、発明者らのマルチステージ硬判定PNC方式の簡略化されたブロック図である。図に示されるように、PNC計算は、今では、複数の直列ステージ121、122、123に分割され、それらの各々は,2つの偏波チャネルの各々におけるソフトシンボルへの硬判定演算125を含む。
【0103】
各ステージにおいて、異なる非線形寄与が評価され、入力信号に適用される。「非線形寄与」が何を意味するかは、
図5に戻って参照することによって最もよく理解され、
図5は、摂動項が2M+1個の計算ブランチで計算され、各計算ブランチはインデクスmのそれぞれの値によってインデクスづけされている一例を示す。2M+1個の計算ブランチの各々は、それぞれの「非線形寄与」を提供する。
【0104】
図9に戻ると、
図9の各PNCステージは、2M+1個の計算ブランチのすべてではなく選択された少数の計算ブランチのみを実施することによって摂動項を計算することに留意されたい。
【0105】
マルチステージ方式の各ステージにおいて、選択されたブランチを識別するインデクスmは、-M~Mのすべての可能な値のサブセットのみをとることができる。各ステージは、他のステージによって実施されるサブセットから独立しているサブセットを実施する、すなわち、これらのサブセットのうちの2つは、共通の要素を有していない。例として、
図9は、第1のステージでは、mが値-2、-1、1、2をとり、第2のステージでは、mが値-4、-3、3、4をとり、第3のステージでは、mが値-6、-5、5、6をとる非限定的な例を提供する。この種類の直列方式は、各非線形寄与が他のものから独立しているので実行可能である。
【0106】
図9は3つのステージがある例を提供しているが、この数は、限定として理解されるべきではない。特定の実施形態では、わずか2つのステージ、またはさらに単一ステージであってもよく、一方、他の実施形態では、ステージの数は、3つより多くてもよい。
【0107】
各PNCステージの後、ソフトシンボルは、それらを摂動係数の新しい値と合計することによって更新される。各更新の後、各偏波チャネルの更新されたシンボルは、上の方のブランチでは次の更新に進み、下の方のブランチでは、次のPNCステージの前にあるハード判定に進む。このようにして、信号の実効信号対雑音比(SNR)は、ステージごとに改善され得る。結果として、それぞれのステージの前に行われるハード判定は、次第により信頼性が高いものとなることができ、それは、単一ステージをもつ硬判定PNCと比べて全体的な判定誤差を低減することができる。
【0108】
光データ受信機の例示の実施形態は、
図3を参照して上述で論じられた。
図3に戻ると、図示の光データ受信機14’は、局部光発振器40と、第1および第2の偏波スプリッタ41.1、41.2と、第1および第2の光ミキサ42、44と、光検出器アレイ46、48と、2つの電気ハードウェアシリーズ50、52と、DSP54とを含むことが分かるであろう。2つの光検出器アレイのうちの一方は、x偏波チャネルの電気出力を作り出し、他方の光検出器アレイは、y偏波チャネルの電気出力を作り出す。
【0109】
各光検出器アレイ46、48からの電気出力は、電子ハードウェア構成要素のそれぞれのシリーズ50、52に導かれ、各シリーズは、例えば、電子増幅器と、電子ローパスフィルタと、アナログ-デジタル変換器(ADC)とを含むことも分かるであろう。2つの偏波チャネルの各々にADC出力がある。
【0110】
図3に示されているように、それぞれの偏波チャネルのADC出力(図ではシリーズ50およびシリーズ52のそれぞれの出力として示される)は、デジタル信号プロセッサ(DSP)54に導かれる。
【0111】
図3をさらに参照すると、DSP54は、線形処理回路(LC)と、摂動項を計算する非線形処理回路NPCと、摂動項を受信信号からの対応するシンボルと組み合わせる要素と、図に示されるデジタルデコーダDDなどの処理ステージとを含むことが分かる。
【0112】
デジタル信号プロセッサ(DSP)によって実行され得る
図3に示された様々な処理ステージは、代替の図表現では、DSPチェーンの要素として示され得る。
図10は、
図3のアーキテクチャが部分的にDSPチェーン130として表されているブロック図である。
【0113】
図10において、光フロントエンド132は、
図3の局部光発振器、偏波スプリッタ、光ミキサ、および光検出器アレイを含む。光フロントエンド132は、
図3の各電気ハードウェアシリーズの一部をさらに含む。しかしながら、
図10では、ADC機能は、光フロントエンドから取り出されており、代わりに、DSPチェーンのフロント部分132として示されている。したがって、ADC機能は、
図10では、2つの偏波チャネルの一方のためのADC134と、2つの偏波チャネルの他方のためのADC136とによって表されている。
【0114】
図10をさらに参照すると、DSPチェーン130はそれぞれの偏波チャネルのための線形等化器ブロック138および140を含むことが分かる。これらのブロックは、
図3の線形処理回路(LC)に対応する。復調器ブロック142および144は、線形等化器ブロックに続く。
図3において線形回路LCでは暗黙であったこれらの復調器は、線形等化の後のADC出力からソフトシンボルx
k、y
kを計算するためにキャリア周波数回復およびキャリア位相回復を実行する。
【0115】
図10の非線形等化ブロック146は、
図3の非線形処理回路NPCに対応し、
図10のデコーダブロック148および150は、
図3に示されたデジタルデコーダDDに対応する。例として、デコーダブロック148および150は、FEC復号を実施することができる。
【0116】
図10をさらに参照すると、硬判定NPCのための等化器は、好ましくは、図示のように、線形等化および信号復調の後に配置される。これは、計算がシンボル当たり1サンプルのレートで実行され得ることを保証する方法を提供する。計算された後、非線形等化器により出力される各摂動項は、FEC復号の前に、対応するシンボルから直接減じられ得る。このシーケンスは、「硬判定補償」と呼ばれる。
【0117】
代替として、摂動項は、軟判定FEC復号で必要とされるシンボル対数尤度比(LLR)の計算に含まれ得る。この代替シーケンスは、「軟判定補償」と呼ばれる。
【0118】
図11は、軟判定補償の例示の方式の簡略化されたブロック図である。
図8および
図11に共通する図面要素は、同様の参照番号で示されている。
図11に示されるように、ソフトシンボルx
kおよびy
kは、タイミング遅延102の後に、ソフトFECデコーダ160に渡される。PNCステージ100からの出力は、摂動項Δx
kおよびΔy
kであり、それらもソフトFECデコーダに渡される。
【0119】
図11に示されるように、摂動項が軟判定補償のためにソフトFECデコーダに渡される前に、単一PNCステージのみがある。PNCが多数のステージで実行される場合、最後のステージで計算された摂動項が、ソフトFECデコーダに渡され得る。
【0120】
硬判定補償でも軟判定補償でも、受信機側で非線形補償を実行することは、LMSアルゴリズムによってCm,n係数を推定する適応等化器で実施することができるという潜在的な利益がある。
【0121】
上記のように、光データ受信機は、異なる波長を有する多数の光キャリアの各々で独立した信号を受信することができる。言い換えれば、光データ受信機は、多数の波長チャネルで受信することができる。しかしながら、説明を簡単にするために、光データ受信機の説明および添付の図面は、単一波長チャネルよりも多くのものに明示的に言及しない。
図12は、光受信機アーキテクチャの簡略化されたブロック図であり、多数の波長チャネルの処理が示されている。図面に示されているように、光入力信号170は、デマルチプレクサ175において個別の波長チャネルに波長多重分離される。各波長チャネルの信号は、それぞれの光フロントエンド180.1,180.2,・・・,180.n、およびそれぞれのDSPチェーン185.1,185.2,・・・,185.nに導かれる。説明を簡単にするために図から省略されているが、チャネル間相互作用の補正を容易にするために、多数の波長チャネルの信号は、各DSPチェーンにルーティングされ得る。
【0122】
本明細書で説明される硬判定NPCの技法は、付加的な計算の複雑さを導入することなく、光ファイバ伝送システムのための任意の標準変調フォーマットに適用することができることは注目に値する。
【0123】
図13は、本明細書で説明される原理のうちのいくつかによる方法を流れ図で要約している。この方法は、1つまたは複数のステージで実行される。図には、第1のステージ190および最後のステージ195が示される。最初に第1のステージ190を参照すると、ソフトデータシンボルが、ブロック200において、入力信号ストリーム205から得られる。ブロック210において、ソフトデータシンボルは、ハードシンボルに変換される。ブロック220において、重み係数が、チャネルモデル225からのデータを使用して形成される。ブロック230において、重み係数を使用して、摂動項が加重和として生成される。ブロック210、220、および230は、共同で、摂動項を提供する操作235を構成する。ブロック240において、摂動項を使用してソフトデータシンボルが補償され、それによって、補償されたソフトデータシンボルが提供され、補償されたソフトデータシンボルは、単一ステージ手法ではデコーダに出力され得、または
図13に示されているように、マルチステージ手法では、次のステージに渡される。
【0124】
マルチステージ手法の最後のステージ195では、直前に補償されたソフトデータシンボルが、ブロック250において、前のステージから得られ、摂動項が、上述で議論したブロック235と同様のブロック260において提供される。ブロック270において、補償されたソフトデータシンボルのストリームが生成され、復号されたビットの出力ストリームに復号するためのデコーダブロック280に渡される。
【0125】
図14は、本明細書で説明される原理のうちのいくつかによる代替方法を流れ図で要約している。図示のように、この方法は単一ステージ285で実行されるが、マルチステージ実施態様の可能性は排除されない。
【0126】
図14に示されたブロックのうちのいくつかは、
図13の対応ブロックに表された操作と類似する操作を表し、そのため、同様の参照番号を使用して示されている。
【0127】
ソフトデータシンボルが、ブロック200において、入力信号ストリーム205から得られる。ブロック210において、ソフトデータシンボルは、ハードシンボルに変換される。ブロック220において、重み係数が、チャネルモデル225からのデータを使用して形成される。ブロック230において、重み係数を使用して、摂動項が加重和として生成される。ブロック210、220、および230は、共同で、摂動項を提供する操作235を構成する。
【0128】
図13の方法から離脱して、摂動項およびソフトデータシンボルは、軟判定補償およびFEC復号のためにデコーダブロックに渡される290。
【符号の説明】
【0129】
10 光ファイバ通信システム
12 光データ送信機
12’ 送信機
14 光データ受信機
16 光ファイバライン
22 光源
24、26 光データ変調器
28、30 電気ドライバ
32 デジタル信号プロセッサ(DSP)
40 局部光発振器
41.1、41.2 偏波スプリッタ
42、44 光ミキサ
46、48 光検出器アレイ
50、52 電気ハードウェアシリーズ
54 DSP
60 xチャネル摂動計算のためのブロック
62 yチャネル摂動計算のためのブロック
64、66 加算要素
68 ルックアップテーブル(LUT)
70、71 積を計算するブロック
72、73 問題を周波数ドメインに変換するブロック
74、75 IFFTを計算するブロック
76、77 乗算器
80、81 計算
82、83 FFTステージ
84 乗算器ステージ
86、87 IFFTステージステージ
88、89 フィルタ処理
90、91 デシメート
92、93 補間
94、95 ローパスアンチイメージングフィルタG(z)を表すブロック
100 PNCステージ
102 タイミング遅延
104、106 回路
108、110 判定指示(DDir)ブロック
121、122、123 直列ステージ
125 硬判定演算
130 DSPチェーン
132 光フロントエンド
134、135 ADC
138、140 線形等化器
142、144 復調器
146 非線形等化
148、150 デコーダブロック
160 ソフトFECデコーダ
170 光入力信号
175 デマルチプレクサ
180.1、180.2、180.n 光フロントエンド
185.1、185.2、185.n DSPチェーン
190 第1のステージ
195 最後のステージ
200 ソフトデータシンボルを得るブロック
205 入力信号ストリーム
210 ハードデータシンボルに変換するブロック
220 重み係数を形成するブロック
225 チャネルモデル
230 摂動項を加重和として生成するブロック
235 摂動項を提供する操作
240 ソフトデータシンボルを補償するブロック
250 ソフトデータシンボルを得るブロック
260 ハードデータシンボルに変換するブロック
270 ソフトデータシンボルを補償するブロック
280 デコーダブロック
285 単一ステージ
290 軟判定補償およびFEC復号のためにデコーダブロックに渡される
LC 線形処理回路
NPC 非線形処理回路
D 遅延要素
DD デジタルデコーダ
【外国語明細書】