(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024106336
(43)【公開日】2024-08-07
(54)【発明の名称】神経筋電気刺激生体測定システム
(51)【国際特許分類】
A61N 1/36 20060101AFI20240731BHJP
A61N 1/04 20060101ALI20240731BHJP
【FI】
A61N1/36
A61N1/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024009488
(22)【出願日】2024-01-25
(31)【優先権主張番号】P 2023010071
(32)【優先日】2023-01-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】523029401
【氏名又は名称】リテラス・メディカ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100166338
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 正夫
(72)【発明者】
【氏名】織田 聡
【テーマコード(参考)】
4C053
【Fターム(参考)】
4C053BB36
4C053JJ01
4C053JJ11
(57)【要約】
【課題】生体に対して継続的により効果的な治療を行うことができる神経筋電気刺激生体測定システムを提供すること。
【解決手段】神経筋電気刺激生体測定システム1は、被施術者に電気刺激を印加する電極部10と、刺激制御信号b1に応じた電気刺激を、電極部10を介して被施術者に印加すると共に、電気刺激を印加した前記被施術者の生体情報a1を、電極部10を介して測定する生体刺激測定装置20と、電極部10を介して測定された前記被施術者の生体情報a1を記憶する記憶装置と、前記記憶装置に記憶された前記被施術者の生体情報a1を用いて機械学習を行い、前記被施術者に最適化した電気刺激を与えるための刺激制御信号b1を生成して前記生体刺激測定装置にフィードバックする解析装置と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被施術者に電気刺激を印加する電極部と、
刺激制御信号に応じた電気刺激を、前記電極部を介して被施術者に印加すると共に、電気刺激を印加した前記被施術者の生体情報を、前記電極部を介して測定する生体刺激測定装置と、
前記電極部を介して測定された前記被施術者の生体情報を記憶する記憶装置と、
前記記憶装置に記憶された前記被施術者の生体情報を用いて機械学習を行い、前記被施術者に最適化した電気刺激を与えるための刺激制御信号を生成して前記生体刺激測定装置にフィードバックする解析装置と、
を備える神経筋電気刺激生体測定システム。
【請求項2】
前記生体刺激測定装置から前記被施術者に印加される電気刺激の強弱を制御すると共に、前記生体刺激測定装置で測定された前記被施術者の生体情報を前記記憶装置に記憶させる刺激制御装置を備え、
前記解析装置は、前記被施術者に最適化した電気刺激を与えるための刺激制御信号を前記刺激制御装置にもフィードバックする、
請求項1に記載の神経筋電気刺激生体測定システム。
【請求項3】
前記刺激制御装置に接続され、前記生体刺激測定装置から前記被施術者に印加される電気刺激の強弱を接触又は非接触で制御可能な刺激コントローラを備える、
請求項2に記載の神経筋電気刺激生体測定システム。
【請求項4】
前記被施術者に関する情報を管理する被施術者管理装置と、
前記施術者に関する情報を管理する施術者管理装置と、
を備え、
前記記憶装置は、前記被施術者に関する情報と、前記施術者に関する情報とを記憶し、
前記刺激制御装置は、前記記憶装置に記憶された前記被施術者に関する情報と、前記施術者に関する情報とに基づいて、前記生体刺激測定装置から前記被施術者に印加される電気刺激の強弱を制御する、
請求項2に記載の神経筋電気刺激生体測定システム。
【請求項5】
前記電極部を介して測定される生体情報以外の生体内外環境情報を測定する環境測定装置と、
前記生体内外環境情報を管理する環境管理装置と、
を備え、
前記記憶装置は、前記生体内外環境情報を記憶し、
前記解析装置は、前記記憶装置に記憶された前記被施術者の生体情報と前記生体内外環境情報とを用いて機械学習を行い、前記被施術者に最適化した電気刺激を与えるための刺激制御信号を生成して前記生体刺激測定装置及び/又は前記刺激制御装置にフィードバックする、
を備える請求項2~4のいずれかに記載の神経筋電気刺激生体測定システム。
【請求項6】
前記電極部は、
施術者の手に直接装着される絶縁手袋と、
前記生体刺激測定装置と電気的に接続され、前記絶縁手袋を介して施術者の指に装着されるループ状の電極端子と、
前記電極端子を間に挟んで前記絶縁手袋の外側に装着される第1導電性手袋と、
を備える請求項1に記載の神経筋電気刺激生体測定システム。
【請求項7】
前記電極端子は、ループ状のワイヤー端子である、
請求項6に記載の神経筋電気刺激生体測定システム。
【請求項8】
前記電極端子は、ループ状の導電性ゴム端子である、
請求項6に記載の神経筋電気刺激生体測定システム。
【請求項9】
前記電極部は、
前記第1導電性手袋の外側に装着可能な使い捨ての第2導電性手袋を備える、
請求項6に記載の神経筋電気刺激生体測定システム。
【請求項10】
前記絶縁手袋は、前記電極端子と接触する部分に導電性部材を備える、
請求項6に記載の神経筋電気刺激生体測定システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、神経筋電気刺激生体測定システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電気刺激を用いた治療として、被施術者の体表面から体内に低周波のパルス電流を繰り返し流すことにより、筋肉を収縮弛緩させて筋虚血状態を改善し、疼痛を緩和する経皮的電気刺激治療や、筋緊張亢進の緩和、随意収縮の促通、筋委縮進行の遅延、浮腫軽減等を行う神経筋電気刺激療法が知られている。また、電気刺激を用いた治療に関連する技術として、生体に電気刺激を付与し、その電気刺激による生体の生体インピーダンス(反応)を測定する生体測定システムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の電気刺激を用いた治療や生体測定システムにおいては、生体から得た各種の情報を継続的な治療に活用することが考慮されていないため、生体に対して継続的により効果的な治療を行うことが難しいという課題があった。
【0005】
本発明は、生体に対して継続的により効果的な治療を行うことができる神経筋電気刺激生体測定システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る神経筋電気刺激生体測定システムは、被施術者に電気刺激を印加する電極部と、刺激制御信号に応じた電気刺激を、前記電極部を介して被施術者に印加すると共に、電気刺激を印加した前記被施術者の生体情報を、前記電極部を介して測定する生体刺激測定装置と、前記電極部を介して測定された前記被施術者の生体情報を記憶する記憶装置と、前記記憶装置に記憶された前記被施術者の生体情報を用いて機械学習を行い、前記被施術者に最適化した電気刺激を与えるための刺激制御信号を生成して前記生体刺激測定装置にフィードバックする解析装置と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る神経筋電気刺激生体測定システムによれば、生体に対して継続的により効果的な治療を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1実施形態に係る神経筋電気刺激生体測定システム1の概要を示す図である。
【
図3】生体刺激測定装置20の機能的な構成を示すブロック図である。
【
図4】刺激制御装置30の機能的な構成を示すブロック図である。
【
図5】サーバ40のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【
図6】サーバ40の機能的な構成を示すブロック図である。
【
図7】第2実施形態に係るNMES生体測定システム1Aの概要を示す図である。
【
図8】第3実施形態に係るNMES生体測定システム1Bの概要を示す図である。
【
図9】第4実施形態に係るNMES生体測定システム1Cの概要を示す図である。
【
図10】第5実施形態の電極端子112の構成を示す図である。
【
図11】(A)及び(B)は、第6実施形態の電極部110の構成を示す図である。
【
図12】(A)及び(B)は、第7実施形態の絶縁手袋111の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係る神経筋電気刺激生体測定システムの実施形態について、図面を用いて説明する。なお、本明細書に添付した図面は、いずれも模式図であり、理解しやすさ等を考慮して、各部の形状、縮尺、縦横の寸法比等を、実物から変更又は誇張している。
【0010】
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態に係る神経筋電気刺激生体測定システム1の概要を示す図である。
図2Aは、電極部10の構成を示す図である。
図2Bは、電極端子12の構成を示す図である。
【0011】
図1に示すように、第1実施形態に係る神経筋電気刺激生体測定システム(以下、「NMES生体測定システム」ともいう)1は、電極部10、生体刺激測定装置20、刺激制御装置30、サーバ40を備えている。
【0012】
電極部10は、施術者の手に装着され、被施術者(生体)LBに電気刺激を印加する導子である。電極部10は、手袋型に形成されている。
図2Aに示すように、電極部10は、施術者の右手に装着される電極部10Rと、施術者の左手に装着される電極部10Lとを備えている。電極部10は、被施術者LBの体表面から体内に低周波のパルス電流を繰り返し流して、被施術者LBの筋肉を収縮弛緩させる器具として用いられる。なお、電極部10Rと10Lは、施術者の各指が嵌められる部分の形状が左右で異なる以外は、実質的に同一構成である。
【0013】
電極部10は、絶縁手袋11、電極端子12、導電性手袋13を備えている。絶縁手袋11は、施術者の手に通電を生じさせないための手袋であり、施術者の手に直接装着される。絶縁手袋11は、例えば、シリコン等の絶縁性と柔軟性を備えた素材により形成される。なお、絶縁手袋11は、少なくとも施術者の手と接する部分が絶縁性の素材で形成されていればよい。
【0014】
電極端子12は、生体刺激測定装置20から供給されるパルス電流を導電性手袋13に伝えるループ状のワイヤー端子である。
図2Bに示すように、電極端子12は、絶縁手袋11の外側に装着される。電極端子12は、ループ状であるため、施術者の指に簡単且つ確実に装着することができる。また、スナップ端子を用いて導電性手袋と導線とを接続する方式に比べると、着脱の際に導電性手袋13が引っ張られないため、着脱を繰り返しても劣化しにくく、着脱も容易に行うことができる。
【0015】
導電性手袋13は、生体刺激測定装置20から供給されるパルス電流を被施術者に導通させるための手袋である。導電性手袋13は、電極端子12を間に挟んで絶縁手袋11の外側に装着される。導電性手袋13を装着すると、導電性手袋13の裏面と電極端子12とが接触するため、電極端子12に供給されたパルス電流は、導電性手袋13の裏面から表面に伝達される。上述したように、電極端子12は、ループ状であるため、スナップ端子よりもより大きな面積で導電性手袋13にパルス電流を伝えることができる。また、施術者の指先により近い位置まで確実にパルス電流を流すことができる。
【0016】
導電性手袋13は、導電性繊維を手袋型に編み込むことにより形成される。導電性繊維としては、例えば、ナイロン、アクリル等の化学繊維の表面に銀、銅等の金属をメッキコーティングした糸、導電性高分子等の素材で作られた導電性染料でコーティングした糸等を用いることができる。これらの導電性繊維を用いて、18ゲージ(1インチの間に編み機の針が18本)以上の細かさで手袋型に編み込むことにより、薄く且つ表面が滑らかで、伸縮性や劣化耐性に優れた手袋とすることができる。また、表面抵抗率を50~1000Ω/sqとすることにより、導電性が向上し、電気刺激の表皮体感を向上させることができる。
【0017】
電極部10は、導線14を介して生体刺激測定装置20と電気的に接続されている。生体刺激測定装置20から供給される低周波のパルス電流による電気刺激は、電極部10を介して被施術者LBに印加される。また、電気刺激を印加した被施術者LBの生体情報a1は、電極部10を介して測定され、生体刺激測定装置20に送られる。
【0018】
図1に戻り、生体刺激測定装置20は、サーバ40から受信した刺激制御信号(後述)に応じた電気刺激を、電極部10を介して被施術者LBに印加すると共に、電気刺激を印加した被施術者LBの生体情報a1を、電極部10を介して測定する。生体刺激測定装置20は、有線又は無線により刺激制御装置30と接続されている。また、生体刺激測定装置20は、インターネットを含むネットワーク網(不図示)を介してサーバ40と接続されている。
【0019】
図3は、生体刺激測定装置20の機能的な構成を示すブロック図である。
図3に示すように、生体刺激測定装置20は、制御部21、刺激発生部22、計測部23、通信部24等を備えている。
【0020】
制御部21は、CPUにより構成され、刺激発生部22、計測部23及び通信部24の動作を制御する。制御部21は、メモリ(不図示)に記憶されているプログラムを実行することにより、各ハードウェアと協働して、後述する機能を実現する。
【0021】
制御部21は、通信部24を介してサーバ40から刺激制御信号b1(
図1参照)を取得し、この刺激制御信号b1に応じた電気刺激を出力するように刺激発生部22を制御する。制御部21は、電気刺激を印加した被施術者LBの生体情報a1を取得するように計測部23を制御する。制御部21は、計測部23により測定された被施術者LBの生体情報(以下、「測定データ」ともいう)a1を、通信部24を介してサーバ40又は刺激制御装置30に送信する。また、制御部21は、電極部10に出力される電気刺激の強弱を監視しており、電気刺激の強さが所定値を上回る場合、刺激発生部22からの電気刺激の印加を停止する。
【0022】
刺激発生部22は、パルスジェネレータ、アンプ等(不図示)により構成される電気回路である。刺激発生部22において、パルスジェネレータで生成されたパルス電流は、アンプにより所定の振幅となるように増幅され、電極部10に出力される。電極部10に出力されたパルス電流は、電極部10を介して被施術者LBに電気刺激として印加される。電気刺激としてのパルス電流は、例えば、電圧、周波数、パルス波形、パルス幅、パルス間隔等のほか、これら各要素の時系列的な変化を含めて規定される。刺激発生部22から出力されるパルス電流に関する情報は、通信部24を介して刺激制御装置30及びサーバ40に送信される。
【0023】
計測部23は、電気刺激を印加した被施術者LBの生体情報a1を、電極部10を介して測定する電気回路である。被施術者LBの生体情報a1には、例えば、生体を流れる電流、電圧(電位差)、インピーダンス、静電容量等の導電率や誘電率に関わる生体の電気的特性を表す指標のほか、電気刺激に対して神経や筋肉が反応するまでの潜時、反応強度等の生体反応に関する指標等が含まれる。
図1に示すように、計測部23により測定された被施術者LBの生体情報(測定データ)a1は、通信部24を介してサーバ40に送信される。なお、生体情報a1は、生体刺激測定装置20からサーバ40へ送信されてもよいし、刺激制御装置30を介してサーバ40に送信されてもよい。
【0024】
通信部24は、他の装置との間で通信を行うための通信インターフェースである。本実施形態において、通信部24は、ネットワーク網(不図示)を介してサーバ40との間で通信を行う。また、通信部24は、有線又は無線の通信媒体を介して刺激制御装置30との間で通信を行う。
【0025】
図1に戻り、刺激制御装置30は、生体刺激測定装置20から被施術者LBに印加される電気刺激の強弱を制御する。刺激制御装置30における電気刺激の強弱は、施術者の操作により制御できるが、刺激制御装置30により自動的に電気刺激の強弱を制御することもできる。刺激制御装置30は、有線又は無線により生体刺激測定装置20と接続されている。また、刺激制御装置30は、インターネットを含むネットワーク網(不図示)を介してサーバ40と接続されている。刺激制御装置30は、例えば、タブレット端末、パーソナルコンピュータ等により構成される。
【0026】
図4は、刺激制御装置30の機能的な構成を示すブロック図である。
図4に示すように、刺激制御装置30は、制御部31、入力部32、表示部33、通信部34を備えている。
【0027】
制御部31は、CPUにより構成され、入力部32、表示部33、通信部34の動作を制御する。制御部31は、メモリ(不図示)に記憶されているプログラムを実行することにより、各ハードウェアと協働して、後述する機能を実現する。制御部31は、通信部34を介してサーバ40から刺激制御信号b1(
図1参照)を取得し、この刺激制御信号b1に応じた電気刺激を出力するように生体刺激測定装置20を制御する。本実施形態において、被施術者LBに印加される電気刺激の強弱は、生体刺激測定装置20において自律的に制御されるが、刺激制御装置30において並列的に制御することもできる。
【0028】
入力部32は、施術者による各種情報の入力を受け付ける。表示部33は、各種情報に関する画像を表示する。表示部33には、例えば、刺激発生部22(生体刺激測定装置20)のパルスジェネレータ、アンプ等の状態のほか、被施術者LBの生体情報a1等が表示される。入力部32と表示部33は、例えば、タッチパネルにより構成される。
【0029】
通信部34は、他の装置との間で通信を行うための通信インターフェースである。本実施形態において、通信部34は、ネットワーク網(不図示)を介してサーバ40との間で通信を行う。また、通信部34は、有線又は無線の通信媒体を介して生体刺激測定装置20との間で通信を行う。
【0030】
図1に戻り、サーバ40は、施術者により管理される情報処理装置である。サーバ40は、生体刺激測定装置20及び刺激制御装置30との間で相互に通信を行うことにより、後述する各種の処理を実行する。サーバ40は、例えば、ネットワーク事業者により提供されるクラウドサーバであってもよい。
【0031】
図5は、サーバ40のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図5に示すように、サーバ40は、CPU41、ROM42、RAM43、バス44、入力部45、出力部46、記憶部47、通信部48、ドライブ49、入出力インターフェースIFを備える。
【0032】
CPU41は、ROM42に記録されているプログラム又は記憶部47からRAM43にロードされたプログラムに従って、後述する各種の処理を実行する。RAM43には、CPU41が各種の処理を実行する上において必要なデータ等も適宜記憶される。
【0033】
CPU41、ROM42及びRAM43は、バス44を介して相互に接続されている。バス44には、入出力インターフェースIFも接続されている。入出力インターフェースIFには、入力部45、出力部46、記憶部47、通信部48及びドライブ49が接続されている。
【0034】
入力部45は、例えば、タッチパネル、キーボード、マウス等により構成され、各種情報を入力する。
出力部46は、ディスプレイ、プリンタ、スピーカ等により構成され、各種情報を画像、印刷物、音声等として出力する。
【0035】
記憶部47は、ハードディスク、補助記憶装置等で構成され、データベースとして各種データを記憶する。
通信部48は、インターネットを含むネットワーク網(不図示)を介して、他の装置との間で通信を行う。
【0036】
ドライブ49には、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、半導体メモリ等のリムーバブルメディアRMが適宜装着される。ドライブ49によってリムーバブルメディアRMから読み出されたプログラムは、必要に応じて記憶部47にインストールされる。また、リムーバブルメディアRMは、記憶部47に記憶されている各種データも、記憶部47と同様に記憶することができる。
【0037】
図6は、サーバ40の機能的な構成を示すブロック図である。
図6に示すように、サーバ40は、主な構成として、CPU41、記憶部47、通信部48を備えている。
CPU41は、生体情報a1等を用いて機械学習により最適化した刺激制御信号b1を、生体刺激測定装置20及び刺激制御装置30にフィードバックする処理において、情報処理部411、解析部412、通信制御部413として機能する。
【0038】
情報処理部411は、通信部48から取得したデータや指示に基づいて各種の情報処理(演算)を行い、処理結果を解析部412や通信制御部413へ出力する。
【0039】
解析部(解析装置)412は、記憶部47の生体情報DB471に記憶されている被施術者の生体情報a1を用いて機械学習を行い、被施術者に最適化した電気刺激を与えるための刺激制御信号b1を生成する。刺激制御信号b1は、通信部48を介して生体刺激測定装置20又は刺激制御装置30へ送信される。これにより、サーバ40の解析部412においては、最適化した電気刺激を与えるための刺激制御信号b1の生成と、電気刺激が印加された被施術者の生体情報a1の取得という連続したフィードバックループを構築することができる。
【0040】
このようなフィードバックループは、サーバ40と生体刺激測定装置20との間だけでなく、サーバ40と刺激制御装置30との間にも構築することができる。すなわち、サーバ40の解析部412で生成された、被施術者に最適化した電気刺激を与えるための刺激制御信号b1を、生体刺激測定装置20又は刺激制御装置30に送信することにより、電極部10において最適な電気刺激を印加することができる。
【0041】
機械学習は、例えば、CPU41を人工知能コンピュータとして構築することにより実現される。解析部412は、被施術者に与えた電気刺激と被施術者から取得した生体情報a1とに基づいて、被施術者に印加する電気刺激の強弱を最適化する。具体的には、被施術者に印加したパルス電流に関する情報、パルス電流による電気刺激を受けた被施術者の生体情報a1等を学習データとして、電気刺激に対する反応の特徴やパターンを被施術者毎に抽出することにより、被施術者に最適化した電気刺激の強さを推測する。この最適化により、刺激により被施術者が感じる不快感を極力低減しながら、刺激による生体反応を引き出せる最低限の刺激の強さを、被施術者ごとに求めることができる。また、被施術者により、生体反応が十分に引き出す為に必要な刺激を加える時間も異なるため、これも最適化することが可能となる。
【0042】
通信制御部413は、通信部48において、生体刺激測定装置20及び刺激制御装置30との間で行われる通信を制御する。通信部48は、生体刺激測定装置20の通信部24(
図3参照)や、刺激制御装置30の通信部34(
図4参照)と協働して、データや指示の送受信を行う。
【0043】
記憶部(記憶装置)47は、生体情報DB(データベース)471を備えている。生体情報DB471は、生体刺激測定装置20の計測部23により測定された被施術者の生体情報a1を記憶するデータベースである。なお、記憶部47は、他の実施形態の構成として、被施術者情報DB472、施術者情報DB473、生体内外環境情報DB474を備えている。これらのDBについては、後述する他の実施形態において説明する。
【0044】
上述した第1実施形態のNMES生体測定システム1によれば、サーバ40の解析部412において、最適化した電気刺激を与えるための刺激制御信号b1の生成と、電気刺激が印加された被施術者の生体情報a1の取得という連続したフィードバックループを構築することができるため、被施術者(生体)に対して継続的により効果的な治療を行うことができる。
【0045】
また、刺激制御装置30において、生体刺激測定装置20から被施術者に印加される電気刺激の強弱を制御することができるため、被施術者に対して、より最適な電気刺激を印加することが可能となる。更に、刺激制御装置30においても、サーバ40(解析部412)において、最適化した電気刺激を与えるための刺激制御信号b1の生成と、電気刺激が印加された被施術者の生体情報a1の取得という連続したフィードバックループを構築することができるため、生体刺激測定装置20とサーバ40(解析部412)とのフィードバックループと併用することにより、被施術者に対して継続的により一層効果的な治療を行うことができる。
【0046】
[第2実施形態]
第2実施形態のNMES生体測定システム1Aは、刺激コントローラ50を備える点が第1実施形態と相違する。第2実施形態のNMES生体測定システム1Aにおいて、その他の構成は、第1実施形態と同じである。そのため、第2実施形態の説明及び図面において、第1実施形態と共通する構成要素には、第1実施形態と同一の符号又は末尾(下2桁)に同一の符号や識別文字(アルファベット)を付して、重複する説明を省略する。第3実施形態以降についても同様とする。
【0047】
図7は、第2実施形態に係るNMES生体測定システム1Aの概要を示す図である。
図7に示すように、第2実施形態のNMES生体測定システム1Aは、刺激コントローラ50を備えている。刺激コントローラ50は、生体刺激測定装置20から被施術者に印加される電気刺激の強弱を制御可能な装置である。刺激コントローラ50は、有線又は無線により刺激制御装置30に接続されている。
【0048】
刺激コントローラ50は、タッチセンサ51、通信部52を備えている。タッチセンサ51は、例えば、静電容量式の非接触型タッチセンサである。施術者は、タッチセンサ51に直接触れなくても、濡れた手袋の他、顎や頬等の体の一部を近づけることにより、タッチセンサ51に対して操作を行うことができる。タッチセンサ51で受信した操作信号は、通信部52に送られる。
【0049】
通信部52は、刺激制御装置30との間で通信を行うための通信インターフェースである。通信部52は、タッチセンサ51で受信した操作信号を、刺激制御装置30に送信する。なお、タッチセンサ51、通信部52は、防水型の筐体(不図示)に収納されている。
【0050】
NMES生体測定システム1Aの電極部10(
図2参照)は、両手を使う手袋型であるため、施術中において、施術者の両手は、被施術者に電気刺激を印加するために塞がっている。これに対して、本実施形態のNMES生体測定システム1Aでは、施術者が刺激コントローラ50を首や肩にかけて、顎や頬等の体の一部を近づけることにより、電気刺激の強さや種類を非接触で操作することができる。また、静電容量式の非接触型タッチセンサは、水やノイズに強いが、本実施形態の刺激コントローラ50は、防水型の筐体に収納されているため、施術者は、濡れた手袋でも手軽に操作を行うことができる。
【0051】
[第3実施形態]
第3実施形態のNMES生体測定システム1Bは、被施術者管理装置60及び施術者管理装置70を備える点が第1実施形態と相違する。第3実施形態のNMES生体測定システム1Bにおいて、その他の構成は、第1実施形態と同じである。
【0052】
図8は、第3実施形態に係るNMES生体測定システム1Bの概要を示す図である。
図8に示すように、第3実施形態のNMES生体測定システム1Bは、被施術者管理装置60及び施術者管理装置70を備えている。被施術者管理装置60及び施術者管理装置70は、インターネットを含むネットワーク網(不図示)を介して、それぞれサーバ40と接続されている。また、第3実施形態のNMES生体測定システム1Bのサーバ40は、
図6に示すように、被施術者情報DB472及び施術者情報DB473を備えている。被施術者情報DB472は、被施術者に関する情報を記憶するデータベースである。施術者情報DB473は、施術者に関する情報を記憶するデータベースである。
【0053】
被施術者管理装置60は、被施術者情報DB472に記憶されている被施術者に関する情報を管理する装置である。被施術者に関する情報は、例えば、被施術者の名前、住所等の個人情報、過去に施術を受けた際の被施術データ、その施術を行った際の画像(動画、静止画)等である。
【0054】
被施術者管理装置60は、被施術者情報DB472に記憶されている被施術者に関する情報を、その被施術者の電子カルテと組み合わせて管理する。施術者やシステム管理者は、被施術者管理装置60を介して被施術者情報DB472(サーバ40)にアクセスすることにより、被施術者に関する情報を追加したり、編集したりすることができる。被施術者管理装置60は、例えば、
図5に示すようなサーバ40と同じハードウェア構成により実現することができる。
【0055】
施術者管理装置70は、施術者情報DB473に記憶されている施術者に関する情報を管理する装置である。施術者に関する情報は、例えば、施術者の名前、所属、施術歴等の個人情報、過去の施術を行った際の施術データ等である。施術者やシステム管理者は、施術者管理装置70を介して施術者情報DB473(サーバ40)にアクセスすることにより、施術者に関する情報を追加したり、編集したりすることができる。施術者管理装置70は、例えば、
図5に示すようなサーバ40と同じハードウェア構成により実現することができる。
【0056】
本実施形態のNMES生体測定システム1Bによれば、施術者が施術者管理装置70を介してシステムにログインして、被施術者の情報を入力すると、被施術者管理装置60で管理されている被施術者に関する情報及びその被施術者の電子カルテを、ディスプレイ画面上に表示させることができる。また、施術者が自身に関する情報を、施術者管理装置70を介して入力することにより、どの施術者が、どの施設で、どの被施術者に、どのような施術を行った等に関する情報を施術者情報DB473に蓄積することができる。
【0057】
[第4実施形態]
第4実施形態のNMES生体測定システム1Cは、第3実施形態のNMES生体測定システム1Bにおいて、環境測定装置80及び環境管理装置90を備える点が第3実施形態と相違する。第4実施形態のNMES生体測定システム1Cにおいて、その他の構成は、第3実施形態と同じである。
【0058】
図9は、第4実施形態に係るNMES生体測定システム1Cの概要を示す図である。
図9に示すように、第4実施形態のNMES生体測定システム1Cは、環境測定装置80及び環境管理装置90を備えている。環境測定装置80は、有線又は無線により環境管理装置90と接続されている。環境管理装置90は、インターネットを含むネットワーク網(不図示)を介して、サーバ40と接続されている。また、第4実施形態のNMES生体測定システム1Cのサーバ40は、
図6に示すように、生体内外環境情報DB474を備えている。
【0059】
生体内外環境情報DB474は、電極部10を介して測定される生体情報a1以外の生体内外環境情報を記憶するデータベースである。生体内外環境情報は、例えば、被施術者の体温、施術を行う部屋の温度、湿度、照度等の環境データ、施術部位のカメラ画像、施術部位の超音波画像等の画像データ、被施術者の発声、心音、呼吸音等の音声データ、パルスオキシメータ、血糖測定等の吸光度を用いた経皮モニター測定値、施術部位における手袋(電極部10)の位置データ、施術時の皮膚に対する圧力データ等である。
【0060】
環境測定装置80は、上述した生体内外環境情報に関するデータを測定したり、取得したりする装置である。
図9では、上述した生体内外環境情報を測定したり、取得したりする各種装置を、模式的に環境測定装置80として図示している。
【0061】
環境管理装置90は、生体内外環境情報DB474に記憶されている生体内外環境情報を管理する装置である。施術者やシステム管理者は、環境管理装置90を介して生体内外環境情報DB474(サーバ40)にアクセスすることにより、生体内外環境情報を追加したり、編集したりすることができる。環境管理装置90は、例えば、
図5に示すようなサーバ40と同じハードウェア構成により実現することができる。
【0062】
本実施形態のNMES生体測定システム1Cにおいて、サーバ40の解析部412(
図6参照)は、生体情報DB471に記憶されている被施術者の生体情報a1と、生体内外環境情報DB474に記憶されている生体内外環境情報とを用いて機械学習を行うため、機械学習の精度をより高めることができる。したがって、本実施形態のNMES生体測定システム1Cによれば、被施術者により最適化した電気刺激を与えるための刺激制御信号b1を生成することができる。また、このような生体内外環境情報と機械学習により、例えば、施術の効果が現れるタイミングを予測して、そのタイミングを施術者に通知することもできる。
【0063】
[第5実施形態]
図10は、第5実施形態の電極端子112の構成を示す図である。本実施形態の電極端子112は、導電性ゴムにより形成されており、指に引っ掛ける部分がループ状となるように構成されている。すなわち、本実施形態の電極端子112は、ループ状の導電性ゴム端子として構成されている。電極端子112は、接続端子15を介して導線14と接続されている。接続端子15は、電極端子112に対して着脱自在であってもよいし、電極端子112に固定されていてもよい。
【0064】
本実施形態の電極端子112においても、施術者の指に掛かる部分がループ状であるため、施術者の指に簡単且つ確実に装着することができる。また、スナップ端子を用いて導電性手袋と導線とを接続する方式に比べると、着脱の際に導電性手袋13が引っ張られないため、着脱を繰り返しても劣化しにくく、着脱も容易に行うことができる。
【0065】
[第6実施形態]
図11(A)及び(B)は、第6実施形態の電極部110の構成を示す図である。
図11(A)に示すように、第6実施形態の電極部110は、導電性手袋13の外側に第2導電性手袋16を備えている。本実施形態において、内側に装着される導電性手袋13は、第1導電性手袋に相当する。第2導電性手袋16は、例えば、導電性ゴム、導電性プラスチック等の素材により形成される。
図11(B)に示すように、第2導電性手袋16は、導電性手袋13を覆うように装着される。
図11(B)は、導電性手袋13の全体を覆うように第2導電性手袋16を装着した状態を示している。
【0066】
本実施形態によれば、導電性手袋13の外側に、更に第2導電性手袋16を備えるため、電極部110の表面を更に滑らかにすることができる。また、導電性繊維に比べて安価な導電性ゴム、導電性プラスチック等で第2導電性手袋16を形成することにより、第2導電性手袋16を使い捨てにできるため、感染予防の効果を含め、より衛生的な施術を行うことができる。
【0067】
[第7実施形態]
図12(A)及び(B)は、第7実施形態の絶縁手袋111の構成を示す図である。
図12(A)に示すように、本実施形態の絶縁手袋111は、電極端子12(
図2A、
図2B参照)と接触する部分に導電性部材17を備えている。導電性部材17は、例えば、アルミガラステープ等の導電性テープでもよいし、導電性塗料をコーティングした導電性層でもよい。絶縁手袋111において、電極端子12と接触する部分に導電性部材17を設けることにより、
図12(B)に示すように、電極端子12との接触面積が広がるため、より安定したパルス電流を流すことが可能となる。また、本実施形態の絶縁手袋111によれば、電極端子12との接触面積を広くできるため、電極端子12の形状はループ状に限らず、例えば、T形、J形等であってもよい。なお、導電性部材17の形状、配置は、図示の例に限らず、電極端子12と十分な面積で接触することができれば、どのような形状、配置としてもよい。
【0068】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、前述した各実施形態に限定されるものではなく、後述する変形形態のように種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の技術的範囲内に含まれる。また、実施形態に記載した効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、実施形態に記載したものに限定されない。なお、上述の実施形態及び後述する変形形態は、適宜に組み合わせて用いることもできるが、詳細な説明は省略する。
【0069】
第1実施形態の
図2Bにおいては、電極部10の電極端子12を施術者の中指に引っ掛ける例を示しているが、電極端子12は、施術者のどの指に引っ掛けてもよい。電極端子12を引っ掛ける指は、1本でもよいし、複数本でもよい。電極端子12は、導線14を介して生体刺激測定装置20(
図1参照)と電気的に接続されている。
【0070】
第1~第5実施形態では、電極部10を手袋型とした例について説明したが、これに限定されない。電極部10は、被施術者に電気刺激を印加することができれば、どのような形態であってもよい。例えば、電極部10は、パッド型、ロール型等であってもよい。
【0071】
第2実施形態において、タッチセンサ51(
図7参照)は、非接触型に限らず、接触型であってもよい。例えば、投影型静電容量式のタッチセンサを用いることができる。投影型静電容量式のタッチセンサは、マルチタッチが可能なため、ジョイステックのようにXYの二種の値を容易に操作することができる。また、第2実施形態の刺激コントローラ50は、第3又は第4実施形態のシステムにも適用することができる。
【0072】
第4実施形態のNMES生体測定システム1Cは、第3実施形態のNMES生体測定システム1Bをベースとして、更に環境測定装置80及び環境管理装置90を備えた構成としているが、この構成に限定されるものではない。第4実施形態の環境測定装置80及び環境管理装置90は、第1実施形態のNMES生体測定システム1や第2実施形態のNMES生体測定システム1Aに適用することもできる。
【符号の説明】
【0073】
1、1A、1B、1C:神経筋電気刺激(NMES)生体測定システム
10、110:電極部
11、111:絶縁手袋
12、112:電極端子
13:導電性手袋(第1導電性手袋)
16:第2導電性手袋
17:導電性部材
20:生体刺激測定装置
30:刺激制御装置
40:サーバ
50:刺激コントローラ
60:被施術者管理装置
70:施術者管理装置
80:環境測定装置
90:環境管理装置
471:生体情報DB
472:被施術者情報DB
473:施術者情報DB
474:生体内外環境情報DB