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  • 特開-流体輸送装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024106342
(43)【公開日】2024-08-07
(54)【発明の名称】流体輸送装置
(51)【国際特許分類】
   B67D 9/00 20100101AFI20240731BHJP
   B63B 27/24 20060101ALI20240731BHJP
   B67D 9/02 20100101ALI20240731BHJP
【FI】
B67D9/00 A
B63B27/24 D
B67D9/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024010406
(22)【出願日】2024-01-26
(31)【優先権主張番号】23305099.6
(32)【優先日】2023-01-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】501044725
【氏名又は名称】ネクサン
(74)【代理人】
【識別番号】110002505
【氏名又は名称】弁理士法人航栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】ギュンツェル ジェラルド
(72)【発明者】
【氏名】エゲラー ラルフ
【テーマコード(参考)】
3E083
【Fターム(参考)】
3E083BB01
(57)【要約】
【課題】 流体輸送装置を提供する。
【解決手段】 第一の貯蔵槽と第二の貯蔵槽との間で流動材料を輸送するための輸送装置が提案される。輸送装置(100)は支持構造(101)に取り付けられた荷役装置(106)を含む。荷役装置(106)は、ピボットジョイント(113、116、118)により機械的に接続された複数のローディングアームセクション(103~105)を含む。輸送装置は、第一及び第二の貯蔵槽を接続する輸送ライン(122)をさらに含む。輸送ライン(122)は剛直及び柔軟輸送ライン(123~126、133)からなる。柔軟輸送ラインは、剛直輸送ラインセクション同士を接続する。上流端において、少なくとも1つの剛直輸送ラインセクションは複数の柔軟輸送ラインに分岐し、これらは流れの方向に次の剛直輸送ラインセクションと流体的に合流する。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一の貯蔵槽と第二の貯蔵槽との間で流動材料を輸送するための輸送装置において、
-機械的に接続された複数のローディングアームセクション(103~105)を含む荷役装置(106)と、
-前記第一及び第二の貯蔵槽を接続する輸送ライン(122)であって、剛直及び柔軟輸送ラインからなり、各剛直輸送ラインセクション(123~126)は少なくとも1つのローディングアームセクション(103~105)に沿って延び、前記柔軟輸送ライン(133)は前記剛直輸送ラインセクション同士を接続する輸送ライン(122)と、
を含み、
上流端において、少なくとも1つの剛直輸送ラインセクション(123~126)は複数の柔軟輸送ライン(133)に分岐し、これらは流れの方向に次の前記剛直輸送ラインセクションと流体的に合流することを特徴とする輸送装置。
【請求項2】
前記剛直輸送ラインセクションは前記ローディングアームセクションを形成する、請求項1に記載の輸送装置。
【請求項3】
前記複数のローディングアームセクション(103~105)は少なくとも1つのピボットジョイント(113、116、118)によって機械的に接続される、請求項1に記載の輸送装置。
【請求項4】
前記剛直及び柔軟輸送ラインは真空断熱輸送ラインである、請求項1に記載の輸送装置。
【請求項5】
前記柔軟輸送ライン(133)は剛直輸送ラインセクション(123~126)を、前記剛直輸送ラインセクションに関連付けられる前記ローディングアームセクションを接続する前記ピボットジョイント(113、116、118)を介して接続する、請求項3に記載の輸送装置。
【請求項6】
各剛直輸送ラインセクション(123~126)は、前記剛直輸送ラインセクションを前記複数の柔軟輸送ライン(133)に分岐させ、及び/又は前記複数の柔軟輸送ラインを合流させる分配-集束コンポーネント(129)と流体的に接続される、請求項1に記載の輸送装置。
【請求項7】
前記柔軟輸送ライン(133)はループ(137)を形成する、請求項1に記載の輸送装置。
【請求項8】
前記複数のローディングアームセクション(103~105)は少なくとも1つのピボットジョイント(113、116、118)によって機械的に接続され、
隣接する2つのローディングアームセクション(103、104)に関連付けられる隣接する2つの剛直輸送ラインセクション(124、125)には角度が付けられ、それによって前記隣接する2つの輸送ラインセクション(124、125)の角度の付いた部分が前記関連付けられるローディングアームセクション(103、104)との平行な向きから逸れる、請求項1に記載の輸送装置。
【請求項9】
前記隣接する2つの剛直輸送ラインセクション(124、125)の角度の付いた部分を流体的に接続する前記柔軟輸送ライン(133)は、前記2つの剛直輸送ラインセクションに関連付けられる前記ローディングアームセクションが180°の状態に近づくとS字形状をとる、請求項8に記載の輸送装置。
【請求項10】
前記S字形状の柔軟輸送ラインの曲線半径(R)は前記柔軟輸送ラインの可能最小曲げ半径より大きい、請求項9に記載の輸送装置。
【請求項11】
接続コンポーネント(138)は、前記関連付けられるローディングアームセクション(103、104)を接続する前記ピボットジョイント(116)の隣に配置され、前記接続コンポーネント(138)は水平な向きである、請求項8に記載の輸送装置。
【請求項12】
前記ピボットジョイント(116)の軸は前記接続コンポーネント(138)を通過する、請求項11に記載の輸送装置。
【請求項13】
上流及び下流の柔軟輸送ライン(133)は前記接続コンポーネント(138)と接続される、請求項11に記載の輸送装置。
【請求項14】
支持構造(101)の垂直部分(102)は台座軸受(111)内で旋回可能である、請求項1~13の何れか1項に記載の輸送装置。
【請求項15】
1つの剛直輸送ラインセクション(123)は前記支持構造(101)の前記垂直部分(102)に沿って延び、流体積み込み部(128)を提供し、前記流体積み込み部(128)は柔軟輸送ラインにより前記第一の貯蔵槽に接続される、請求項14に記載の輸送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、タンカ等の車両と係船所との間の流体輸送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
二酸化炭素排出削減に向けた世界的な努力により液化天然ガス(LNG:liquified natural gas)及び液化水素(LH2:liquified hydrogen)等の代替エネルギ源に対する関心が急増しているが、それはこれらのエネルギ源が二酸化炭素排出量の低減化に寄与し、地球気候変動の進行を遅らせ、さらにはそれに歯止めをかけさえし得るからである。以下において、上述の代替エネルギ源を概して極低温流体と呼ぶ。極低温流体は典型的に、液化状態で港湾間でタンカにより輸送される。このために、タンカのタンクを輸送ラインにより、タンカの積み下ろしが行われる港湾の貯蔵槽に連結する必要がある。船舶はそれぞれ大きさと高さが異なるほか、港湾内で完全に静止しているわけではないため、連結のための輸送ラインは、輸送ラインを異なる距離及び垂直方向の高さで船舶上のカプリングに連結し、船舶の動きを補償できなければならない。これらの理由から、輸送ラインは柔軟である必要がある。
【0003】
(特許文献1)は、船舶と港湾内の係船所との間で極低温流体を輸送する装置を開示している。この既知の装置は、異なる高さ及び大きさの船舶を係船所の貯蔵槽に連結できるようにする長い柔軟輸送ラインを含む。しかしながら、長い柔軟輸送ラインは気象状況によってはかなりの風による負荷を受ける。柔軟輸送ラインへの強い風の負荷は、負荷が許容レベルを超えた場合に輸送ラインにとって危険となり得、柔軟輸送ライン又はそれらの対応するカプリングに機械的な損傷が生じかねない。
【0004】
柔軟な輸送ラインの必要性とそれらの固有の問題は、固体、液体、又は気体の凝集状態を有する可能性のある流動材料のための何れの輸送装置にも当てはまる。以下において、その凝集状態に関係なく、あらゆる種類の流動材料を流体と呼び、これには液体のように汲み上げられて輸送ラインの中を流れることのできる固体の粉体が含まれる。この意味での流体はまた、エアロゾル及びエマルジョンも含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許出願公開第2020/0071155A1号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
既存の輸送装置の限界に鑑み、冒頭に記載の問題の1つ又は複数を克服するか、少なくとも改善する輸送装置が依然として必要である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の第一の態様によれば、第一の貯蔵槽と第二の貯蔵槽との間で流動材料を輸送するための輸送装置が提案される。流動材料は、背景の項で説明した意味での流体とすることができる。輸送装置は荷役装置を含み、これは機械的に接続された複数のローディングアームセクションを含む。輸送装置は、第一及び第二の貯蔵槽を接続する少なくとも1つの輸送ラインをさらに含む。輸送ラインは剛直及び柔軟輸送ラインからなる。各剛直輸送ラインセクションは少なくとも1つのローディングアームセクションに沿って延びる。柔軟輸送ラインは、剛直輸送ラインセクション同士を接続する。上流端において、少なくとも1つの剛直輸送ラインセクションは複数の柔軟輸送ラインに分岐し、これらは流れの方向に次の剛直輸送ラインセクションと流体的に合流する。
【0008】
本開示の輸送装置によれば、複数柔軟輸送ラインの口径が単独柔軟輸送ラインの場合に必要なものより小さいため、高い機械的柔軟性が得られ、小さい曲げ半径を実現できる。これは、輸送装置が係船所上の小さい面積しか占めないように折り畳まれる時に特に重要である。それに加えて、より小径の柔軟輸送ラインにより、高い作動圧力を実現できる。
【0009】
1つの実施形態において、剛直輸送ラインセクションはローディングアームセクションを形成する。この実施形態では、剛直輸送ラインセクションは安定なコンポーネントであり、ストラット様のローディングアームセクション等の追加の支持構造は一切不要である。
【0010】
輸送装置の好ましい実施形態において、複数のローディングアームセクションが少なくとも1つのピボットジョイントによって機械的に接続される。十分に大きいピボット角のピボットジョイントにより、特に輸送装置の不使用時に、輸送装置を折り畳んで小さい面積に置くことができる。
【0011】
有利な実施形態において、剛直及び柔軟輸送ラインは真空断熱輸送ラインである。真空断熱輸送ラインは、輸送装置が第一及び第二の貯蔵槽間で極低温流体を輸送するように配置される場合に特に有利であり、これは断熱輸送ラインにより輸送される極低温流体の気化が有効に制限されるからである。この実施形態では、剛直輸送ラインセクションを複数の柔軟輸送ラインに分岐させ、これらを流れの方向に次の剛直輸送ラインセクションに流体的に合流させることが非常に有益である。例えば、LNGを有効に輸送するためには、内径400~500mmの単独ラインが必要である。これに対して、断熱柔軟輸送ラインは内径200mm、外径300mmのものが最も入手しやすい。また、この観点からも、1つの剛直輸送ラインセクションを複数の柔軟輸送ラインに分岐させることが有利である。
【0012】
有利な実施形態において、柔軟輸送ラインは剛直輸送ラインセクションと、剛直輸送ラインセクションに関連付けられるローディングアームセクションを接続するピボットジョイントを介して接続される。
【0013】
好ましくは、各剛直輸送ラインセクションは分配/集束コンポーネントと流体的に接続され、これは剛直輸送ラインセクションを幾つかの柔軟輸送ラインに分岐させ、及び/又は幾つかの柔軟輸送ラインを集束させる。
【0014】
分配及び/又は集束コンポーネントが分配装置と集束装置の何れとして有効かは、輸送ライン内の流体の流れの方向に依存する。分配-集束コンポーネントは、輸送装置の具体的な用途に応じてT-、E-、X-等の異なるコンポーネントの形態をとることができる。
【0015】
好ましい実施形態において、柔軟輸送ラインはループを形成する。
【0016】
ループにより、輸送ラインは、最大のピボット角を有するピボットジョイントを、柔軟輸送ラインの可能最小曲げ半径を下回らずに通過することができる。
【0017】
輸送装置の代替的な実施形態では、隣接する2つのローディングアームセクションに関連付けられる隣接する2つの剛直輸送ラインセクションに角度が付けられ、それによって2つの輸送ラインセクションの角度の付いた部分が関連するローディングアームセクションと平行な向きから逸れる。
【0018】
この代替的な実施形態において、2つの隣接する剛直輸送ラインセクションの角度の付いた部分を流体的に接続する柔軟電輸送ラインは好ましくは、2つの剛直輸送ラインセクションに関連するローディングアームセクションが180°の状態に近付くとき、S字の形態をとる。
【0019】
有利な点として、S字形の柔軟輸送ラインの曲線半径は柔軟輸送ラインの可能最小曲げ半径より大きい。
【0020】
接続コンポーネントを、関連するローディングアームセクションを接続するピボットジョイントの隣に配置することが有益であることがわかっており、接続コンポーネントは水平の向きである。
【0021】
好ましくは、ピボットジョイントの軸は接続コンポーネントを通る。
【0022】
有利な実施形態において、上流及び下流の柔軟輸送ラインは、接続コンポーネントと接続される。
【0023】
実践上の理由から、支持構造の垂直部分が台座軸受内で旋回可能であることが有益である。台座軸受により、輸送装置を積み下ろし対象の船舶に向けることができる。
【0024】
好ましい実施形態において、1つの剛直輸送ラインセクションは支持構造の垂直部分に沿って延び、流体積込み部を提供する。流体積込み部は、第一の貯蔵槽と柔軟輸送ラインで接続可能である。流体積込み部は、ジョンストンカプリング等の積込みカプリングとすることができる。
【0025】
本開示の例示的な実施形態が図面に示され、以下の説明文でより詳しく説明されている。図中、同じ又は同様の要素には同じ又は同様の参照符号が付されている。それは以下を示す。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本開示による輸送装置の第一の実施形態を示す。
図2A図1に示される輸送装置の柔軟輸送ラインの詳細図である。
図2B図1に示される輸送装置の柔軟輸送ラインの詳細図である。
図3A】本開示による輸送装置の第二の実施形態を示す。
図3B】折り畳んだ状態の図3Aの輸送装置を示す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本開示による輸送装置は通常、陸上の係船所上又は他の船舶に貨物や燃料を積み込むバンカ船上に配置される。係船エリアという用語は、以下において、これらの可能性を表すために使用されている。簡潔にするために、実施形態に関する以下の説明の中では極低温流体についてのみ述べられている。しかしながら、極低温流体の代わりに、この輸送装置によって何れの種類の流体も輸送できると理解されたい。前述のように、流体という用語は、その凝集状態を問わないあらゆる種類の流動材料を含むという意味で理解すべきである。それゆえ、流体という用語には、液体のように輸送ラインを通じて流れることのできる気体、液体、固体の粉体又は粒状材料が包含される。
【0028】
図1は、本開示の輸送装置100の実例を示す。輸送装置100は、垂直部分、すなわち垂直支柱102を含む支持構造101と、第一、第二、及び第三のローディングアームセクション103~105を含む。ローディングアームセクション103~105は、従来の鉄骨構造で知られているストラット様構造である。ローディングアームセクション103~105の全体は、荷役装置106とも呼ばれる。
【0029】
支柱102は、台板107を有し、これは係船エリアの地面108にしっかりと接続される。補強リブ109は台板を支柱102に接続し、それによって支柱102は確実に係船エリア上に安定に立つ。台座軸受111により、支柱102は係船エリアの地面108に関して回転移動可能となり、これは両方向矢印112により示される。
【0030】
第一のローディングアームセクション103は、支柱102に第一のピボットジョイント113により蝶着される。第一のローディングアームセクション103の支柱102に関する旋回運動は、両方向矢印114により示されている。第一のローディングアームセクション103の先端には第二のピボットジョイント116が設けられ、これは第一のローディングアームセクション103を第二のローディングアームセクション104に接続する。第二のピボットジョイント116により、第二のローディングアームセクション104は第一のローディングアームセクション103に関して旋回運動でき、これは両方向矢印117により示されている。第二のローディングアームセクション104の先端は第三の旋回可能ジョイント118を有し、それが第二のローディングアームセクション104を第三のローディングアームセクション105に旋回可能に接続する。可能とされた第三のローディングアームセクション105の運動は、両方向矢印119により表される。第一のローディングアームセクション103は、第二のピボットジョイント116と反対の端に釣合い重り121を有し、これは荷役装置106の重みと少なくとも部分的に釣り合って、支柱102にかかるてこの力を軽減させる。
【0031】
支持構造101は輸送ライン122を担持し、これは旋回可能支柱102の下端から荷役装置106の先端まで延びる。輸送ラインは、荷役装置106に取り付けられた真空断熱ラインである。輸送ライン122は剛直輸送ラインセクション123~126を含み、これらはそれぞれ第一、第二、及び第三のローディングアームセクション103~105に取り付けられる。ローディングアームセクションはまた、それに取り付けられた剛直輸送ラインセクションに関する関連付けられたローディングアームセクションとも呼ばれる。剛直輸送ラインセクション123~126は単独ラインである。剛直ラインが容認可能であるかぎり、これは柔軟輸送ラインより好ましく、なぜなら剛直ラインの壁厚を所望の作動圧力に合わせて調整できるため、剛直輸送ラインセクションのほうがより高い圧力に耐えることができるからである。単独輸送ラインは、複数輸送ラインより有利であるが、これは同じスループットを実現するのに複数ラインより軽量であるからである。他の実施形態において、輸送ラインは真空断熱されているのではなく、断熱材料で包囲されるか、まったく断熱されない。輸送ラインが断熱されるか否か、及びどのような断熱が選択されるかは、輸送装置の用途の種類に依存する。
【0032】
垂直支柱102に沿って延びる剛直輸送ラインセクション123は一方の端に積み込みカプリング又はエントリフランジ128を有し、これは極低温流体を陸上の貯蔵槽から供給するための柔軟供給ライン(図示せず)と接続される。柔軟供給ラインによって支柱102は旋回可能に移動でき、供給ラインや剛直輸送ラインセクション123に回転可能シール等が必要とならない。通常、回転可能シールは、特に極低温流体がLH2である場合、漏出のない完全な密閉状態というわけではない。したがって、回転可能シーが不要であることは、環境保護及びハザード回避に関して有利である。
【0033】
剛直輸送ラインセクション123のもう一方の端は、パイプソケット132を備える横管131を含む分配-集束コンポーネント129に接続される。各パイプソケット132は柔軟輸送ライン133と接続される。柔軟輸送ライン133の口径は剛直輸送ラインセクション123の口径より小さいが、4つの柔軟輸送ライン133の自由通過面積は少なくとも剛直輸送ラインセクション123の自由通過面積と同程度の大きさである。したがって、柔軟輸送ライン133のスループットは、同じ作動圧力での剛直輸送ラインセクション123のスループットに対応する。剛直輸送ラインセクション124及び125には両端に同様の分配-集束コンポーネント129が設けられる。それに対して、剛直輸送ラインセクション126にはその一方の端のみにおいて分配-集束コンポーネント129が設けられ、その反対の端では、剛体輸送ライン126は排出カプリング又はフランジ124を有する。排出カプリング134は船舶上のタンクのカプリングと直接、又は船舶上のタンクに輸送ライン122を接続する単独柔軟輸送ラインと接続される。剛直輸送ラインセクション126にはさらに、緊急離脱カプリング136が備えられ、これは例えば緊急離脱カプリング136での負荷が大きくなりすぎた場合に流体の流れを直ちに停止させる。このような負荷の増大は、流体の積み下ろしが行われる船舶が意図せず動いたことを示す可能性がある。
【0034】
柔軟輸送ライン133により、ローディングアームセクション123~126はピボットジョイント113、116、及び118の周囲で旋回可能に移動でき、それによって排出カプリング134の水平及び垂直位置が調整される。排出カプリング134の水平及び垂直位置の調整は、船舶の規模の違いに適合させるのに重要である。積み込み及び排出カプリング128、134の役割は、タンカからの荷下ろしのためにタンカのタンクが排出カプリング134に接続されたときは逆にすることができる。
【0035】
剛直輸送ラインセクション123~126及び柔軟輸送ライン133は真空断熱ラインであり、極低温流体への熱の伝達が最小限とされる。剛体輸送ラインセクション123~126を接続する単独フレキシブルラインと比較して、複数柔軟輸送ラインは小さい口径を有することができる。これによって、より薄い柔軟輸送ラインで単独柔軟輸送ラインより高い作動圧力に耐えられるという利点がもたらされるが、これは真空断熱柔軟輸送ラインの壁厚を増大させることができないからである。さらに、複数の薄い柔軟輸送ラインにより、複数の薄い柔軟輸送ラインをまとめたものと同じ自由通過面積を有する単独柔軟輸送ラインより小さい曲げ径を実現できる。その理由から、薄い柔軟輸送ラインの場合、ローディングアームセクション103~105のスイベル角を大きくすることができ、これは小さい面積で輸送装置100を折り畳む際に重要である。この特性によって空間要件が緩和され、これは特定の据え付け現場にとって重要な利点であり得る。
【0036】
第一及び第二のローディングアームセクション103、104を接続する柔軟輸送ライン133はループ137を形成する。ループ137の直径は、第二のローディングアームセクション104が第一のローディングアームセクション103に関して180°の位置に向かって移動すると小さくなる。反対に、第一及び第二のローディングアームセクション103、104が折り畳まれると、ループ137の直径は大きくなる。ループ137により、第二のローディングアームセクション104はピボットジョイント116の周囲で、ループを形成せずに直接接続した場合より大きいスイベル運動を行うことができる。これは、輸送装置を不使用時に小さい面積上で折り畳む時に特に有利である。
【0037】
図2Aは、剛直輸送ラインセクション125及び126間の移行部をより詳しく示している。同様に、図2Bは剛直伝送ライン124及び125間の移行部分をより詳しく示している。図2A及び2Bの曲げ半径はRで示される。本開示による輸送装置の全ての実施形態において、曲げ半径は使用される柔軟輸送ライン133の最小曲げ半径より常に大きい。明瞭にするために、図2A及び2Bではローディングアームセクション104~105のストラット様構造は省かれている。
【0038】
図3Aは、代替的な実施形態の輸送装置100’を示しており、この場合、剛体輸送ライン124、125に角度が付けられている。この実施形態では、柔軟輸送ライン133のループ137は不要となっている。その代わりに、接続コンポーネント138が第二のピボットジョイント116の隣に位置付けられている。柔軟輸送ライン133は、剛直輸送ラインセクション124の分配-集束コンポーネントを接続コンポーネント138と接続する。別の柔軟輸送ライン133は接続コンポーネント138を剛直輸送ラインセクション125の分配-集束コンポーネントに接続する。接続コンポーネント138にはパイプソケット139が設けられ、これは水平の向きである。輸送ライン124、125の角度のついた構造と、パイプソケット139の水平向きによって、柔軟輸送ライン133の曲げ半径を容認可能な限界内に保つことができる。柔軟輸送ライン133の曲げ半径はRで示される。図3Aにおいて、ローディングアームセクション103、104は約130°の角度をなす。しかしながら、第一及び第二のローディングアームセクション103、104が180°の状態に近づくか、さらには到達したとしても、柔軟輸送ラインの最小曲げ半径は下回らない。
【0039】
図3Bは、輸送装置100’をそれが折り畳まれた状態で示しており、柔軟輸送ライン133が何れの曲げ限界も超えずに動く様子を図解している。特に、剛直輸送ラインセクション124及び125の角度付いた構造によって、それぞれの分配-集束コンポーネント129間の距離は十分に大きくなり、その結果、柔軟輸送ラインの曲げ半径を大きくすることができる。角度の付いた剛直輸送ラインセクション124の分配-集束コンポーネント129上に配置されたパイプソケット132と接続コンポーネント138のパイプソケット139との間の距離は(1+1/6)×Rであり、Rは柔軟輸送ライン133の曲げ半径である。
【0040】
万全を期すために付記すれば、輸送装置100の他の実施形態において、柔軟輸送ラインの数は4未満でもそれより多くてもよいが、柔軟輸送ラインのより小さい最小曲げ半径とより高い作動圧力に関する利点を実現するために常に1より多い点に留意されたい。
【0041】
図に示されていない他の実施形態では、輸送装置は伸展可能な荷役装置を含み、ローディングアームセクションは機械的に接続され、その長さ方向に伸展可能である。この場合、柔軟輸送ラインは伸展部分をまたぐ。短縮状態では、柔軟輸送ラインは曲げられ、伸長状態では、柔軟輸送ラインは伸ばされる。
【0042】
特許請求の範囲において、「~を含む(comprising)」という単語はその他の要素又はステップを排除せず、不定冠詞(a)は複数を排除しない。
【0043】
1つのユニット又は装置は、特許請求の範囲に記載された複数の要素の機能を実行し得る。個々の機能と要素が別々の従属項に記載されていることは、これらの機能及び要素の組合せを有利に使用できないことを意味していない。
【符号の説明】
【0044】
100 輸送装置
101 支持構造
102 支柱
103 第一のローディングアームセクション
104 第二のローディングアームセクション
105 第三のローディングアームセクション
106 荷役装置
107 台板
108 地面
109 補強リブ
111 台座軸受
112 両方向矢印
113 第一のピボットジョイント
114 両方向矢印
116 第二のピボットジョイント
117 両方向矢印
118 第三のピボットジョイント
119 両方向矢印
121 釣合い重り
122 輸送ライン
123~126 剛直輸送ラインセクション
128 エントリフランジ
129 分配-集束コンポーネント
131 横管
132 パイプソケット
133 柔軟輸送ライン
134 排出フランジ
136 緊急離脱カプリング
137 ループ
138 接続コンボーネント
図1
図2A
図2B
図3A
図3B