(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024106358
(43)【公開日】2024-08-08
(54)【発明の名称】ワイパ及び撮像装置
(51)【国際特許分類】
H04N 23/52 20230101AFI20240801BHJP
【FI】
H04N23/52
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023010574
(22)【出願日】2023-01-27
(71)【出願人】
【識別番号】000203634
【氏名又は名称】多摩川精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100221729
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 圭介
(74)【代理人】
【識別番号】100188514
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 隆裕
(72)【発明者】
【氏名】北林 正樹
【テーマコード(参考)】
5C122
【Fターム(参考)】
5C122EA02
5C122GE01
5C122GE11
5C122HA82
5C122HA83
(57)【要約】
【課題】アームの部分の雪または氷によりワイパの動作が妨げられず、電力の消費を増やすことのないワイパ、及び、このワイパを備えた撮像装置を提供する。
【解決手段】ワイパ130は、ケース110の一部に設けられた透過部115の外側を払拭するワイパ130であって、ワイパ130は、モータ131と、モータ131の回転により往復運動するアーム134と、アーム134に取り付けられ、透過部115を払拭するブレード135と、アーム134の可動範囲に対応するケース110の内側の領域を少なくとも含むように、ケース110の内側に接するように取り付けられ、モータに流れる電流を制限する制限抵抗136と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケース(110)の一部に設けられた透過部(115)の外側を払拭するワイパ(130)であって、
前記ワイパ(130)は、
モータ(131)と、
前記モータ(131)の回転により往復運動するアーム(134)と、
前記アーム(134)に取り付けられ、前記透過部(115)を払拭するブレード(135)と、
前記アーム(134)の可動範囲に対応する前記ケース(110)の内側の領域を少なくとも含むように、前記ケース(110)の内側に接するように取り付けられ、前記モータに流れる電流を制限する制限抵抗(136)と、
を備えるワイパ。
【請求項2】
前記制限抵抗(136)は、前記ワイパ(130)の動作停止時における前記アーム(134)の停止位置に対応する前記ケース(110)の内側の領域を少なくとも含むように、前記ケース(110)の内側に取り付けられている、
請求項1に記載のワイパ。
【請求項3】
前記ワイパ(130)は、前記ケース(110)に対して前記ワイパ(130)を取り付けるためのプレート(132)を備え、
前記プレート(132)は、前記ケース(110)の外側に取り付けられ、
前記制限抵抗(136)は、前記プレート(132)の範囲に対応する前記ケース(110)の内側の領域を少なくとも含むように、前記ケース(110)の内側に取り付けられている、
請求項1に記載のワイパ。
【請求項4】
前記ワイパ(130)は、前記ケース(110)に対して前記ワイパ(130)を取り付けるためのプレート(132)を備え、
前記プレート(132)は、前記ケース(110)の外側に取り付けられ、
前記制限抵抗(136)は、前記プレート(132)の範囲に対応する前記ケース(110)の内側の領域、及び、前記ワイパ(130)の動作停止時における前記アーム(134)の停止位置に対応する前記ケース(110)の内側の領域を少なくとも含むように、前記ケース(110)の内側に取り付けられている、
請求項1に記載のワイパ。
【請求項5】
前記ケース(110)は、内部にカメラ(120)を収容するカメラケースであり、
前記透過部(115)は、前記カメラ(120)の撮影方向に取り付けられた透過性保護部材である、
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のワイパを備える撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワイパ及び撮像装置に関し、特に、アームの凍結及び着雪に配慮されたワイパ及びこのワイパを備える撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
屋外の環境において、低温時にワイパのブレードがガラス面に凍り付いて、ワイパが動かなくなる現象があった。このような現象を防止するため、ゴム製のブレードにヒータを埋め込み、ヒータに電流を流すことで、凍り付いたブレードの凍結を解消する手法が存在していた。この種のワイパは、以下の特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ワイパのブレードがガラス面の雪を正常に除去したとしても、ブレードの存在しないアームの部分とガラス面との間、または、ブレードの存在しないアームの部分とガラス周囲の面との間に、除去されない雪や氷がたまり続ける問題がある。たまり続ける雪や氷は、塊となってアームの動きを妨げ、ワイパの動作を妨げる可能性がある。
【0005】
このような雪の塊の問題は、特許文献1に記載のブレードにヒータを埋め込む技術では解消することができない。また、ブレードに専用のヒータを設ける場合、電力の消費が増大するという新たな問題があった。
よって、ブレードの存在しないアームの部分の雪または氷によりワイパの動作が妨げられることがなく、電力の消費を増やすことのないワイパの実現が待たれていた。
【0006】
本発明は、以上のような課題を解決するためになされたものであって、ブレードの存在しないアームの部分の雪または氷によりワイパの動作が妨げられず、電力の消費を増やすことのないワイパ、及び、このワイパを備えた撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に係るワイパは、ケースの一部に設けられた透過部の外側を払拭するワイパであって、ワイパは、モータと、モータの回転により往復運動するアームと、アームに取り付けられ、透過部を払拭するブレードと、アームの可動範囲に対応するケースの内側の領域を少なくとも含むように、ケースの内側に接するように取り付けられ、モータに流れる電流を制限する制限抵抗と、を備える。
【0008】
この発明に係るワイパにおいて、制限抵抗は、ワイパの動作停止時におけるアームの停止位置に対応するケースの内側の領域を少なくとも含むように、ケースの内側に取り付けられている。
【0009】
この発明に係るワイパにおいて、ワイパは、ケースに対してワイパを取り付けるためのプレートを備え、プレートは、ケースの外側に取り付けられ、制限抵抗は、プレートの範囲に対応するケースの内側の領域を少なくとも含むように、ケースの内側に取り付けられている。
【0010】
この発明に係るワイパにおいて、ワイパは、ケースに対してワイパを取り付けるためのプレートを備え、プレートは、ケースの外側に取り付けられ、制限抵抗は、プレートの範囲に対応するケースの内側の領域、及び、ワイパの動作停止時におけるアームの停止位置に対応するケースの内側の領域を少なくとも含むように、ケースの内側に取り付けられている。
【0011】
この発明に係るワイパを備える撮像装置において、ケースは、内部にカメラを収容するカメラケースであり、透過部は、カメラの撮影方向に取り付けられた透過性保護部材である。
【発明の効果】
【0012】
この発明によれば、ケースの一部に設けられた透過部の外側を払拭するように構成されたワイパにおいて、モータに流れる電流を制限する制限抵抗が、アームの可動範囲に対応するケースの内側の領域を少なくとも含むように、ケースの内側に接するように取り付けられている。ここで、アームとケースの間にあってブレードで除去されない雪または氷は、ワイパの動作中に、制限抵抗を流れる電流による熱により、凍結が防止される。また、アームとケースの間のブレードで除去されずに凍結した雪または氷は、ワイパの動作開始時にモータに流れるストール電流の電流値を制限する制限抵抗からの熱により、凍結が解消される。このため、ブレードの存在しないアームの部分の雪または氷によりワイパの動作が妨げられない。そして、モータ電流を制限する制限抵抗を熱源として利用するため、消費電力が増えることはない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の実施の形態1のワイパ及び撮像装置の構成を示す斜視図である。
【
図2】本発明の実施の形態1のワイパ及び撮像装置の構成を示す斜視図である。
【
図3】本発明の実施の形態2のワイパ及び撮像装置の構成を示す斜視図である。
【
図4】本発明の実施の形態3のワイパ及び撮像装置の構成を示す斜視図である。
【
図5】本発明の実施の形態3のワイパ及び撮像装置の構成を示す斜視図である。
【
図6】本発明の実施の形態4のワイパ及び撮像装置の構成を示す斜視図である。
【
図7】本発明の実施の形態5のワイパ及び撮像装置の構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明のワイパと、ワイパを有する撮像装置の実施の形態につき、図面を用いて説明する。
【0015】
実施の形態1.
はじめに、
図1と
図2とを用いて、本発明の実施の形態1におけるワイパ130を備える撮像装置100の構成について説明する。
図1及び
図2は本発明の実施の形態1のワイパ130及び撮像装置100の構成を示す斜視図である。なお、撮像装置100の内部を明らかにするため、
図2ではケース110の一部を省略して示している。
【0016】
図1及び
図2において、撮像装置100は、主に、ケース110と、カメラ120と、ワイパ130とを備えている。
【0017】
ケース110には、前面パネル111と、透過部115とが設けられている。前面パネル111には、透過部115とワイパ130とが設けられる。透過部115は、カメラ120の撮影方向を向くように前面パネル111に設けられており、被写体からの光を透過すると共に、カメラ120を外部から保護する透過性保護部材、すなわち保護フィルタの機能を有している。
【0018】
カメラ120は、カメラケースとしてのケース110の内部に収容されている。カメラ120には、カメラレンズ121が設けられている。その他、カメラ120には、図示されない撮像素子と信号処理部とが設けられている。被写体からの光は、透過部115を透過してカメラレンズ121に入射する。カメラ120は、動画または静止画のいずれを撮影するものであってもよく、可視光だけでなく、可視光以外を撮影対象とするものであってもよい。
【0019】
ワイパ130には、モータ131と、アーム134と、ブレード135と、制限抵抗136とが設けられている。モータ131は、一定の角度範囲でアーム134を往復運動させる動力源である。モータ131は、変速機構や制御ユニットを含んでいてもよい。アーム134は、モータ131からの動力により、ブレード135と共に一定の角度範囲を往復運動する。
図1及び
図2では、ワイパ130の動作停止時におけるアーム134の停止位置を示している。ブレード135は、アーム134の先端側に取り付けられている。ブレード135は、透過部115に接触しつつ、アーム134の動きに応じて、一定の角度範囲の往復運動により透過部115の外側に付着する雨、雪、または氷などを払拭する。
【0020】
制限抵抗136は、モータ131に直列接続されており、モータ131と同じ値の電流が流れると共に、モータ131に流れるストール電流を制限する。具体的には、制限抵抗136は、ワイパ130の動作時にアーム134の動きが停止した状態でモータ131に流れるストール電流の電流値を制限する。
【0021】
制限抵抗136は、アーム134の往復運動時の可動範囲に対応するケース110の内側の領域を少なくとも含むように、ケース110の内側に接するように取り付けられている。ここで、アーム134の往復運動時の可動範囲は、ブレード135の存在しないアーム134の部分による可動範囲を意味する。「領域を少なくとも含む」とは、制限抵抗136の少なくとも一部が、目的とする領域に掛かるような状態を意味する。
具体的には、制限抵抗136は、
図1及び
図2に示すように、ワイパ130の動作停止時におけるアーム134の停止位置に対応するケース110の内側の領域を少なくとも含むように、ケース110の内側に取り付けられている。
【0022】
制限抵抗136は、
図1及び
図2に示す直方体形状の抵抗体として、たとえば、セメント抵抗を用いることができる。しかし、これ以外にも、各種の形状であって、各種の方式の抵抗体を用いることができる。
【0023】
以下、降雪環境での撮像装置100におけるワイパ130の動作について説明する。
【0024】
・ワイパ130の動作中
降雪環境におけるワイパ130の動作中において、ブレード135は、透過部115に接触しつつ、アーム134の動きに応じて、一定の角度範囲の往復運動により透過部115の外側に付着する雨、雪、または氷などを払拭する。
アーム134と前面パネル111との間にあってブレード135で除去されない雪または氷は、ワイパ130の動作中に制限抵抗136を流れる電流により生じる熱により凍結が防止される。すなわち、制限抵抗136は、熱源として作用し、ケース110の内側から、前面パネル111を通してワイパ130の動作停止時におけるアーム134の停止位置に熱を供給し、凍結を防止する。この際に、制限抵抗136を熱源として利用するため、凍結防止専用のヒータとヒータ用電力は不要であり、消費電力が増えることはない。
【0025】
・ワイパ130の動作開始時
降雪環境におけるワイパ130の停止中には、透過部115の外側に雪または氷が付着するだけでなく、アーム134と前面パネル111との間にも雪または氷がたまりやすい。アーム134と前面パネル111との間にたまった雪または氷は、ワイパ130の動作開始時において、アーム134の動きを妨げる。アーム134の動きを妨げられると、モータ131は駆動電流を供給されつつも回転することができない。回転を妨げられたモータ131には、定格電流より大きいものの、制限抵抗136により電流値を制限されたストール電流が流れる。
制限抵抗136は、ストール電流により熱源として作用し、ケース110の内側から前面パネル111を通して、ワイパ130の動作停止時におけるアーム134の停止位置に熱を供給する。
アーム134と前面パネル111との間にたまった雪または氷は、ワイパの動作開始時に制限抵抗136からの熱により凍結が解消される。このため、アーム134と前面パネル111との間にたまっている雪または氷によりワイパ130の動作が妨げられなくなり、ワイパ130は動作を開始する。この際に、制限抵抗136を熱源として利用するため、凍結解消専用のヒータとヒータ用電力は不要であり、消費電力が増えることはない。
【0026】
実施の形態2.
つぎに、
図3を用いて、本発明の実施の形態2におけるワイパ130を備える撮像装置100の構成について説明する。
図3は本発明の実施の形態2のワイパ130及び撮像装置100の構成を示す斜視図である。なお、撮像装置100の内部を明らかにするため、
図3ではケース110の一部を省略して示している。なお、
図3において、実施形態1と同一物には同一番号を付すことで、同一部分の説明を省略し、異なる部分を中心に説明する。
【0027】
制限抵抗136は、
図3に示すように、ブレード135の存在しないアーム134の部分における往復運動時の可動範囲のいずれかの位置に対応するケース110の内側の領域を少なくとも含むように、ケース110の内側に接するように取り付けられている。
【0028】
・ワイパ130の動作中
降雪環境におけるワイパ130の動作中において、ブレード135は、透過部115に接触しつつ、アーム134の動きに応じて、一定の角度範囲の往復運動により透過部115の外側に付着する雨、雪、または氷などを払拭する。
アーム134と前面パネル111との間にあってブレード135で除去されない雪または氷は、ワイパ130の動作中に制限抵抗136を流れる電流により生じる熱により凍結が防止される。すなわち、制限抵抗136は、熱源として作用し、ケース110の内側から前面パネル111を通して、アーム134の往復運動時の可動範囲のいずれかの位置に熱を供給し、凍結を防止する。この際に、制限抵抗136を熱源として利用するため、凍結防止専用のヒータとヒータ用電力は不要であり、消費電力が増えることはない。
【0029】
・ワイパ130の動作開始時
降雪環境におけるワイパ130の停止中に、アーム134と前面パネル111との間にたまった雪または氷は、ワイパ130の動作開始時において、アーム134の動きを妨げる。アーム134の動きを妨げられると、モータ131には、制限抵抗136により電流値を制限されたストール電流が流れる。制限抵抗136は、ストール電流により熱源として作用し、ケース110の内側から、前面パネル111を通して、アーム134の往復運動時の可動範囲の位置に熱を供給する。
アーム134と前面パネル111との間にたまった雪または氷は、ワイパの動作開始時に制限抵抗136からの熱により凍結が解消される。このため、アーム134と前面パネル111との間にたまっている雪または氷によりワイパ130の動作が妨げられなくなり、ワイパ130は動作を開始する。この際に、制限抵抗136を熱源として利用するため、凍結解消専用のヒータとヒータ用電力は不要であり、消費電力が増えることはない。
【0030】
実施の形態3.
つぎに、
図4及び
図5を用いて、本発明の実施の形態3におけるワイパ130を備える撮像装置100の構成について説明する。
図4及び
図5は本発明の実施の形態3のワイパ130及び撮像装置100の構成を示す斜視図である。なお、撮像装置100の内部を明らかにするため、
図5ではケース110の一部を省略して示している。なお、
図4及び
図5において、実施形態1及び2と同一物には同一番号を付すことで、同一部分の説明を省略し、異なる部分を中心に説明する。
【0031】
ワイパ130は、ケース110の前面パネル111に対してワイパ130を取り付けるためのプレート132を備えている。プレート132は、ケース110の前面パネル111の外側に突出して取り付けられている。このため、アーム134とプレート132との間隔は、アーム134と前面パネル111との間隔より狭くなっており、雪や氷がたまりやすい状況にある。
制限抵抗136は、
図4及び
図5に示すように、ブレード135の存在しないアーム134の部分における往復運動時の可動範囲のいずれかの位置に対応し、かつ、プレート132の範囲に対応するケース110の内側の領域を少なくとも含むように、ケース110の内側に接するように取り付けられている。
【0032】
・ワイパ130の動作中
降雪環境におけるワイパ130の動作中において、ブレード135は、透過部115に接触しつつ、アーム134の動きに応じて、一定の角度範囲の往復運動により透過部115の外側に付着する雨、雪、または氷などを払拭する。
アーム134とプレート132との間にある雪または氷は、ワイパ130の動作中に制限抵抗136を流れる電流により生じる熱により凍結が防止される。すなわち、制限抵抗136は、熱源として作用し、ケース110の内側から前面パネル111とプレート132とを通して、アーム134とプレート132との間にある雪または氷の位置に熱を供給し、凍結を防止する。この際に、制限抵抗136を熱源として利用するため、凍結防止専用のヒータとヒータ用電力は不要であり、消費電力が増えることはない。
【0033】
・ワイパ130の動作開始時
降雪環境におけるワイパ130の停止中に、アーム134とプレート132との間にたまる雪または氷は、ワイパ130の動作開始時において、アーム134の動きを妨げる。アーム134の動きを妨げられると、モータ131には、制限抵抗136により電流値を制限されたストール電流が流れる。
制限抵抗136は、ストール電流により熱源として作用し、ケース110の内側から、前面パネル111とプレート132とを通して、アーム134の往復運動時の可動範囲の位置に熱を供給する。
アーム134とプレート132との間にたまった雪または氷は、ワイパの動作開始時に、制限抵抗136からの熱により凍結が解消される。このため、アーム134とプレート132との間にたまっている雪または氷によりワイパ130の動作が妨げられなくなり、ワイパ130は動作を開始する。この際に、制限抵抗136を熱源として利用するため、凍結解消専用のヒータとヒータ用電力は不要であり、消費電力が増えることはない。
【0034】
実施の形態4.
つぎに、
図6を用いて、本発明の実施の形態4におけるワイパ130を備える撮像装置100の構成について説明する。
図6は本発明の実施の形態4のワイパ130及び撮像装置100の構成を示す斜視図である。なお、撮像装置100の内部を明らかにするため、
図6ではケース110の一部を省略して示している。なお、
図6において、実施形態1~3と同一物には同一番号を付すことで、同一部分の説明を省略し、異なる部分を中心に説明する。
【0035】
所望の抵抗値になるように合成抵抗を設定した複数の抵抗体136a~136cにより制限抵抗136を構成し、複数の抵抗体136a~136cを複数の異なる箇所に配置することが可能である。この場合、複数の抵抗体136a~136cは、直列接続であってもよいし、並列接続であってもよい。
異なる箇所に複数の抵抗体136a~136cを配置して制限抵抗136とする例としては、以下のa~cのようにすることができる。
a.ワイパ130の動作停止時におけるアーム134の停止位置に対応するケース110の内側の領域を少なくとも含むように、ケース110の内側に接するように取り付けられている抵抗体136aと、
b.アーム134の往復運動時の可動範囲のいずれかの位置に対応するケース110の内側の領域を少なくとも含むように、ケース110の内側に接するように取り付けられている抵抗体136bと、
c.アーム134の往復運動時の可動範囲のいずれかの位置に対応し、かつ、プレート132の範囲に対応するケース110の内側に接するように取り付けられている抵抗体136cと、
により、制限抵抗136を構成する。
【0036】
ここで、合成抵抗を所望の抵抗値にすればよいため、複数の抵抗体136a~136cをそれぞれ異なる抵抗値に設定することが可能である。すなわち、他より暖めたい領域の抵抗体について、直列接続の構成であれば他の抵抗体より高い抵抗値、並列接続の構成であれば他の抵抗体より低い抵抗値、とすればよい。そして、制限抵抗136として複数の抵抗体136a~136cを複数の異なる箇所に配置する具体例は、ここに示した例に限定されず、各種の変形が可能である。
【0037】
図6では制限抵抗136を抵抗体136a、136b、及び136cの組み合わせにより制限抵抗136を構成した例を示すが、これに限定されるものではない。すなわち、抵抗体136a及び抵抗体136bの組み合わせ、抵抗体136a及び抵抗体136cの組み合わせ、抵抗体136b及び抵抗体136cの組み合わせ、のいずれであってもよい。また、図示しない更に別の抵抗体を用いた4個以上の抵抗体の組み合わせを用いた制限抵抗136としてもよい。
なお、ワイパ130がプレート132を有する場合、プレート132の範囲を含むように、抵抗体136a及び抵抗体136cの組み合わせ、または、抵抗体136b及び抵抗体136cの組み合わせ、のいずれかが、前面パネル111とプレート132との間の雪または氷の凍結の防止または解消の観点から望ましい。
【0038】
実施の形態5.
つぎに、
図7を用いて、本発明の実施の形態5におけるワイパ130を備える撮像装置100の構成について説明する。
図7は本発明の実施の形態5のワイパ130及び撮像装置100の構成を示す斜視図である。なお、撮像装置100の内部を明らかにするため、
図7ではケース110の一部を省略して示している。なお、
図7において、実施形態1~4と同一物には同一番号を付すことで、同一部分の説明を省略し、異なる部分を中心に説明する。
【0039】
制限抵抗136は、実施の形態1~実施の形態4に示した直方体の形状に限定されず、各種の形状であって、所望の抵抗値を有する抵抗体であればよい。例えば、ケース110の内側に貼付可能なラバーヒータを面状抵抗体136dとして用いることができる。面状抵抗体136dは、アーム134の往復運動時の可動範囲に対応するケース110の内側の領域を少なくとも含むように、ケース110の内側に接するように取り付けられている。具体的には、面状抵抗体136dは、ワイパ130の動作停止時におけるアーム134の停止位置に対応するケース110の内側の領域と、アーム134の往復運動時の可動範囲に対応するケース110の内側の領域とを少なくとも含むように、ケース110の内側に接するように取り付けられている。ここで、面状抵抗体136dは、
図7に示す正方形または長方形以外に、雪または氷の凍結の防止または解消を望む領域に合わせた任意の形状とすることができる。
【0040】
[実施の形態により得られる効果]
実施の形態1~5に説明したワイパ130、及びワイパ130を備える撮像装置100によれば、以下のような効果を得ることができる。
【0041】
実施形態1~2に係るワイパ130は、ケース110の一部に設けられた透過部115の外側を払拭するワイパ130であって、ワイパ130は、モータ131と、モータ131の回転により往復運動するアーム134と、アーム134に取り付けられ、透過部115を払拭するブレード135と、アーム134の可動範囲に対応するケース110の内側の領域を少なくとも含むように、ケース110の内側に接するように取り付けられ、モータに流れる電流を制限する制限抵抗136と、を備える。
これにより、アーム134とケース110の間にあってブレード135で除去されない雪または氷は、ワイパ130の動作中に、制限抵抗136を流れる電流により生じる熱により、凍結が防止または解消される。すなわち、制限抵抗136を熱源として利用するため、ブレード135の存在しないアーム134の部分の雪または氷によりワイパ130の動作が妨げられず、消費電力が増えることはない。
【0042】
実施形態1に係るワイパ130において、制限抵抗136は、ワイパ130の動作停止時におけるアーム134の停止位置に対応するケース110の内側の領域を少なくとも含むように、ケース110の内側に取り付けられている。これにより、ワイパ130の動作停止時におけるアーム134の停止位置にたまる雪または氷は、制限抵抗136を流れる電流により生じる熱により、凍結が防止または解消される。すなわち、制限抵抗136を熱源として利用するため、ブレード135の存在しないアーム134の部分の雪または氷によりワイパ130の動作が妨げられず、消費電力が増えることはない。
【0043】
実施形態3に係るワイパ130において、ケース110に対してワイパ130を取り付けるためのプレート132をケース110の外側に備え、制限抵抗136は、プレート132の範囲に対応するケース110の内側の領域を少なくとも含むように、ケース110の内側に取り付けられている。これにより、アーム134とプレート132との間にたまっている雪または氷は、制限抵抗136を流れる電流により生じる熱により、凍結が防止または解消される。すなわち、制限抵抗136を熱源として利用するため、アーム134とプレート132との間にたまっている雪または氷によりワイパ130の動作が妨げられず、消費電力が増えることはない。
【0044】
実施形態4に係るワイパ130において、ケース110に対してワイパ130を取り付けるためのプレート132をケース110の外側に備え、制限抵抗136は、プレート132の範囲に対応するケース110の内側の領域、及び、ワイパ130の動作停止時におけるアーム134の停止位置に対応するケース110の内側の領域を少なくとも含むように、ケース110の内側に取り付けられている。これにより、アーム134とケース110との間にたまる雪または氷、及び、アーム134とプレート132との間にたまる雪または氷は、制限抵抗136を流れる電流により生じる熱により、凍結が防止または解消される。すなわち、制限抵抗136を熱源として利用するため、雪または氷によりワイパ130の動作が妨げられず、消費電力が増えることはない。
【0045】
実施形態5に係るワイパ130において、面状抵抗体136dにより制限抵抗136を構成し、雪または氷による凍結の防止または解消を望む領域に合わせた形状とすることができる。これにより、凍結の防止または解消を効果的かつ適切に行うことができ、ワイパ130の動作が妨げられず、面状抵抗体136dによる制限抵抗136を熱源として利用するため、消費電力が増えることはない。
【0046】
実施形態1~5に係るワイパ130を備える撮像装置100において、制限抵抗136を熱源として利用するため、雪または氷によりワイパ130の動作が妨げられることはなく、消費電力が増えることもなく、雪や氷が存在する荒天時にも撮像を確実に行うことが可能になる。
【0047】
その他の実施の形態
ケース110内にカメラ120の代わりに光照射装置または電光表示装置を収容し、ワイパ130を備える映像装置を構成することができる。この映像装置の場合も、制限抵抗136を熱源とするため、アーム134とケース110との間にたまる雪または氷、及び、アーム134とプレート132との間にたまる雪または氷によってワイパ130の動作が妨げられることがなく、電力の消費を増やすことがなく、光照射または電光表示を確実に行うことができるという良好な効果を得られる。
【0048】
ケース110内に送信部と受信部とを有するレーダ装置を収容し、ワイパ130を備えるレーダシステムを構成することができる。レーダシステムを構成する場合、透過部115は、レーダ装置が使用する電波の周波数において減衰の小さい透過特性を有することが望ましく、光学的に透明である必要はない。このレーダシステムの場合も、制限抵抗136を熱源とするため、アーム134とケース110との間にたまる雪または氷、及び、アーム134とプレート132との間にたまる雪または氷によってワイパ130の動作が妨げられることがなく、電力の消費を増やすことがなく、レーダ電波の照射及び受信を確実に行うことができるという良好な効果を得られる。
【符号の説明】
【0049】
100 撮像装置、110 ケース、111 前面パネル、115 透過部、120 カメラ、121 カメラレンズ、130 ワイパ、131 モータ、132 プレート、134 アーム、135 ブレード、136 制限抵抗、136a~136c 抵抗体、136d 面状抵抗体。