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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024106369
(43)【公開日】2024-08-08
(54)【発明の名称】情報管理システム
(51)【国際特許分類】
   G06F 16/906 20190101AFI20240801BHJP
   G06Q 50/163 20240101ALI20240801BHJP
   G06F 16/83 20190101ALI20240801BHJP
【FI】
G06F16/906
G06Q50/16 300
G06F16/83
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023010598
(22)【出願日】2023-01-27
(71)【出願人】
【識別番号】390037154
【氏名又は名称】大和ハウス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100162031
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 豊彦
(74)【代理人】
【識別番号】100175721
【弁理士】
【氏名又は名称】高木 秀文
(72)【発明者】
【氏名】井谷 佳史
【テーマコード(参考)】
5B175
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5B175DA10
5B175FA03
5L049CC29
5L050CC29
(57)【要約】
【課題】サーバへの登録作業を簡素化することが可能な情報管理システムを提供する。
【解決手段】建物の不具合に対して行われる補修作業に関する補修資料SをDBサーバ11及びファイルサーバ12で管理する情報管理システム1であって、外部から取得された補修資料Sを解析することによって、補修資料Sを複数のグループに分類する分類部と、補修資料Sの分類結果に基づいて、補修資料SをDBサーバ11及びファイルサーバ12に登録する登録部と、を具備する。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物に関する関連資料をサーバで管理する情報管理システムであって、
外部から取得された前記関連資料を解析することによって、前記関連資料を複数のグループに分類する分類部と、
前記関連資料の分類結果に基づいて、前記関連資料を前記サーバに登録する登録部と、
を具備する、情報管理システム。
【請求項2】
前記関連資料は、
前記建物に関する作業のマニュアル又は事例集の少なくとも一方を含む、請求項1に記載の情報管理システム。
【請求項3】
前記分類部は、
前記関連資料に含まれるテキスト情報を解析することによって、前記関連資料を分類する、請求項1に記載の情報管理システム。
【請求項4】
前記分類部は、
前記テキスト情報の中から前記関連資料の分類に不要な単語を除外した後で、当該テキスト情報を解析する、請求項3に記載の情報管理システム。
【請求項5】
前記分類部は、
1つの前記関連資料に対して、前記グループに関するグループ情報を複数付与することで前記関連資料を分類し、
前記情報管理システムは、
前記建物の不具合についての申し出に関する申し出情報、及び当該申し出情報に応じた複数の前記グループ情報が入力される入力部と、
前記サーバに登録された前記関連資料の中から、入力された前記申し出情報の前記複数のグループ情報のうち、少なくとも一部の前記グループ情報が一致する前記関連資料を検索する検索部と、
をさらに具備する、請求項1に記載の情報管理システム。
【請求項6】
前記登録部は、
前記申し出情報に応じて行われた作業内容を前記サーバに登録可能であり、
前記検索部は、
登録された前記作業内容の中から、入力された前記申し出情報と不具合の内容が類似するものを検索し、前記関連資料の検索結果と共に表示可能である、請求項5に記載の情報管理システム。
【請求項7】
前記検索部は、
前記関連資料の検索結果及び前記作業内容の検索結果のうち、前記関連資料の検索結果のみを表示させる第1表示モードと、前記作業内容の検索結果のみを表示させる第2表示モードと、前記関連資料及び前記作業内容の検索結果をそれぞれ表示させる第3表示モードと、を切替可能である、請求項6に記載の情報管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物に関する情報を管理する情報管理システムの技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建物に関する情報を管理する情報管理システムは公知となっている。例えば、特許文献1に記載の如くである。
【0003】
特許文献1には、建物に関する情報を蓄積(登録)したデータベースサーバと、当該データベースサーバと通信ネットワークを介して接続された端末機と、を具備する情報管理システムが記載されている。前記端末機は、検索画面に所定の入力を行うことにより、データベースサーバに蓄積された情報に対して検索処理を行い、検索結果を画面に表示させる検索手段を具備している。
【0004】
特許文献1のようなシステムにおいて、建物に関する情報は、全てデータベースサーバに登録されていることが望ましい。しかしながら、一部の情報はデータベースサーバに登録されず、サーバ外で管理されることが多い。こうした一部の情報を手作業でデータベースサーバに登録するのは手間がかかるため、サーバへの登録作業を簡素化するための技術が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006-285355号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、以上の如き状況を鑑みてなされたものであり、その解決しようとする課題は、サーバへの登録作業を簡素化することが可能な情報管理システムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0008】
即ち、請求項1においては、建物に関する関連資料をサーバで管理する情報管理システムであって、外部から取得された前記関連資料を解析することによって、前記関連資料を複数のグループに分類する分類部と、前記関連資料の分類結果に基づいて、前記関連資料を前記サーバに登録する登録部と、を具備するものである。
【0009】
請求項2においては、前記関連資料は、前記建物に関する作業のマニュアル又は事例集の少なくとも一方を含むものである。
【0010】
請求項3においては、前記分類部は、前記関連資料に含まれるテキスト情報を解析することによって、前記関連資料を分類するものである。
【0011】
請求項4においては、前記分類部は、前記テキスト情報の中から前記関連資料の分類に不要な単語を除外した後で、当該テキスト情報を解析するものである。
【0012】
請求項5においては、前記分類部は、1つの前記関連資料に対して、前記グループに関するグループ情報を複数付与することで前記関連資料を分類し、前記情報管理システムは、前記建物の不具合についての申し出に関する申し出情報、及び当該申し出情報に応じた複数の前記グループ情報が入力される入力部と、前記サーバに登録された前記関連資料の中から、入力された前記申し出情報の前記複数のグループ情報のうち、少なくとも一部の前記グループ情報が一致する前記関連資料を検索する検索部と、をさらに具備するものである。
【0013】
請求項6においては、前記登録部は、前記申し出情報に応じて行われた作業内容を前記サーバに登録可能であり、前記検索部は、登録された前記作業内容の中から、入力された前記申し出情報と不具合の内容が類似するものを検索し、前記関連資料の検索結果と共に表示可能である。
【0014】
請求項7においては、前記検索部は、前記関連資料の検索結果及び前記作業内容の検索結果のうち、前記関連資料の検索結果のみを表示させる第1表示モードと、前記作業内容の検索結果のみを表示させる第2表示モードと、前記関連資料及び前記作業内容の検索結果をそれぞれ表示させる第3表示モードと、を切替可能である。
【発明の効果】
【0015】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0016】
請求項1においては、サーバへの登録作業を簡素化することができる。
【0017】
請求項2においては、マニュアルや事例集をサーバに登録する作業を簡素化することができる。
【0018】
請求項3においては、関連資料の中で比較的取得し易いテキスト情報を用いて、関連資料を容易に分類することができる。
【0019】
請求項4においては、関連資料の分類に不要な単語を除外することで、関連資料の分類に要する処理の負担を低減することができる。
【0020】
請求項5においては、申し出情報と関連する関連資料をより多く表示させることができる。
【0021】
請求項6においては、関連資料及び申し出情報の検索結果をまとめて確認可能となるため、利便性を向上させることができる。
【0022】
請求項7においては、必要に応じて表示モードを切り替えることができるため、利便性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】情報管理システムの構成及び補修結果情報の入力の概要を示した図。
図2】情報管理システムの構成及び補修結果情報の活用の概要を示した図。
図3】携帯型端末に表示された入力画面の一例を示した図。
図4】携帯型端末に表示された検索画面の一例を示した図。
図5】補修結果情報の検索方法のフローチャート。
図6】携帯型端末に表示された推定結果画面の一例を示した図。
図7】(a)補修コードの重み付けの一例を示した図。(b)重み付けの合計値の算出方法のイメージを示す図。
図8】補修資料を登録する手順を示した図。
図9】補修資料を分類する処理を示したフローチャート。
図10】補修資料の検索方法の手順を示した図。
図11】携帯型端末に表示された検索結果画面の一例を示した図。
図12】補修結果情報の検索方法の別例を示したフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の一実施形態に係る情報管理システム1は、建物で生じている不具合に関する各種情報を管理するものである。本実施形態においては、建物は住宅であるものとする。情報管理システム1は、住宅及び住宅設備の不具合に関するデータを蓄積し、この蓄積したデータを活用して、前記不具合への対応(アフターサービス)に役立てることを目的としている。具体的には、情報管理システム1においては、蓄積されたデータから所望のデータを検索することにより、アフターサービスに役立てることができる。情報管理システム1は、主としてサーバ10及び携帯型端末20を具備する。
【0025】
図1及び図2に示すサーバ10は、情報管理システム1の各種制御を行うものである。サーバ10は、CPU等の演算処理部や、RAMやROM等の記憶部等を具備する複数のサーバによって構成される。サーバ10には、DBサーバ11及びファイルサーバ12(図8参照)が含まれる。
【0026】
DBサーバ11は、不具合に関する各種情報が登録されたデータベース11a(図8参照)を管理するためのものである。DBサーバ11は、データベース11aへのデータの登録(挿入)、更新及び削除を行うことができる。
【0027】
ファイルサーバ12は、後述する携帯型端末20からアップロードされるファイルを共有するためのものである。ファイルサーバ12は、外部からの要求に応じて、アップロードされたファイルへのアクセスを許可することができる。
【0028】
携帯型端末20は、建物のアフターサービスを担当する作業者が携帯可能なものである。携帯型端末20としては、例えばスマートフォンやタブレット、ノートパソコン等を用いることが可能である。本実施形態においては、携帯型端末20としてノートパソコンが用いられるものとする。携帯型端末20は、キーボード及びマウス等の入力装置、表示装置としてのディスプレイ21、RAM、ROM等の記憶部、CPU等の演算処理部等を具備する。携帯型端末20は、インターネットを介してサーバ10と通信することができる。
【0029】
このように構成される情報管理システム1は、住宅及び住宅設備に不具合が発生した場合、住宅の居住者等からの不具合の申し出を受けて、アフターサービスを担当する作業者が当該住宅に訪問し、補修作業を行う場合に用いることができる。
【0030】
この場合、情報管理システム1は、実際に行った補修作業に関する情報(以下、「補修結果情報」という)をDBサーバ11のデータベース11aに蓄積する。また、情報管理システム1は、補修作業を行う際に、蓄積した補修結果情報を活用する。以下、補修結果情報の蓄積及び活用について詳細に説明する。
【0031】
まず、図1を参照して、補修結果情報(データ)の蓄積の流れについて説明する。なお、詳細は後述するが、補修結果情報の蓄積と活用とは並行して行われるものであるが、説明の便宜上、ここでは補修結果情報の活用については考慮しないものとする。
【0032】
まず、コールセンターで、住宅の居住者等から、住宅及び住宅設備の困りごとの申し出を受け付ける。住宅及び住宅設備の困りごととしては、例えば、基礎のひび割れや雨漏り等の住宅の不具合や、ドアが閉まらない、床暖房の一部が温まらない等の住宅設備の不具合が挙げられる。この不具合(困りごと)に現場で対応する作業者(担当者)には、コールセンターのオペレーターを介して(オペレーターが申し出の内容をコンピュータに入力することにより)、申し出のあった不具合の内容(以下、「お申し出内容」ともいう)が報告される(図1の(1))。
【0033】
オペレーターから報告を受けた作業者は、現場(不具合の申し出があった住宅)に出向き、不具合の補修作業を行う。作業者は、不具合の補修作業が完了すると、携帯型端末20を起動させ、ディスプレイ21に入力画面(補修結果情報を入力するための画面)を表示させる(図1の(2))。ディスプレイ21に表示される入力画面の一例を図3に示す。
【0034】
図3に示すように、ディスプレイ21に表示される入力画面には、(1)「原因」の入力欄Q1、(2)「直し方」の入力欄Q2、(3)担当者の入力欄Q3、(4)補修コードの入力欄Q4が含まれる。
【0035】
「原因」の入力欄Q1には、住宅の居住者等から申し出のあった不具合について、当該不具合の原因が入力される。「直し方」の入力欄Q2には、住宅の居住者等から申し出のあった不具合に対して、作業者が実際に行った補修作業の内容が入力される。「担当者」の入力欄Q3には、実際に補修作業を行った作業者の氏名が入力される。「補修コード」の入力欄Q4には、各補修コードが入力される。
【0036】
ここで、「補修コード」とは、住宅の居住者等から申し出のあった不具合の内容を所定の基準に従って区分したものである。補修コードには、例えば、「項目」、「名称」、「種類」、「部位」、「現象」が含まれる。ここで、前記補修コードのうち、「項目」、「名称」、「種類」、「部位」は、不具合の対象(不具合が生じている箇所)を示すものであり、「現象」は、不具合の現象(どのような不具合が生じているか)を示すものである。不具合の対象を示す補修コードにおいては、「部位」の方が「種類」より詳細な箇所を示し、「種類」の方が「名称」より詳細な箇所を示し、「名称」の方が「項目」より詳細な箇所を示している。
【0037】
「補修コード」の入力欄Q4においては、各補修コードごとに複数の具体的な選択肢が定められている。作業者は、複数の選択肢から一の選択肢を選択することができる。
【0038】
補修コード「項目」には、不具合の対象の大まかな概念が選択肢として定められており、例えば、「住宅設備」、「階段」等が選択肢として定められている。
【0039】
補修コード「名称」には、「項目」をより具体的にしたもの(「項目」の名称)が選択肢として定められている。補修コード「名称」には、「項目」の選択肢ごとに異なる選択肢が定められている。「項目」が「住宅設備」である場合の補修コード「名称」の選択肢としては、例えば、「暖房器具」、「ユニットバス」等が定められている。
【0040】
補修コード「種類」には、「名称」をより具体的にしたもの(「名称」の種類)が選択肢として定められている。補修コード「種類」には、「名称」の選択肢ごとに異なる選択肢が定められている。「名称」が「暖房器具」である場合の補修コード「種類」の選択肢としては、例えば、「床暖房温水式」、「エアコン」等が定められている。
【0041】
補修コード「部位」には、「種類」をより具体的にしたもの(「種類」の部位)が選択肢として定められている。補修コード「部位」には、「種類」の選択肢ごとに異なる選択肢が定められている。「種類」が「床暖房温水式」である場合の補修コード「部位」の選択肢としては、例えば、「本体」、「リモコン」等が定められている。
【0042】
また、補修コード「現象」には、前述の不具合の対象の補修コードのいずれか(例えば、「種類」)の選択肢ごとに、異なる選択肢が定められている。「種類」が「床暖房温水式」である場合の補修コード「現象」の選択肢としては、例えば、「温度調整できない」、「作動が悪い」等が定められている。
【0043】
作業者は、アフターサービスの完了報告として、実際に行った補修作業の内容を入力画面に入力する。入力された補修結果情報は、DBサーバ11に送信され、DBサーバ11のデータベース11aに登録される(図1の(3))。なお、オペレーターが入力した申し出の内容と作業者が入力した補修結果情報とは、受付番号等で紐付けされる。
【0044】
このようにして、作業者が現場で不具合への対応(補修作業)を行うごとに、実際に行った補修作業に関する情報(補修結果情報)が入力されることにより、補修結果情報がDBサーバ11のデータベース11aに蓄積される。
【0045】
次に、図2を参照して、DBサーバ11のデータベース11aに蓄積された補修結果情報の活用の流れについて説明する。
【0046】
上述の如く、コールセンターで、住宅の居住者等から、住宅及び住宅設備の不具合(困りごと)の申し出を受け付ける。この不具合に現場で対応する作業者には、オペレーターが申し出の内容をコンピュータに入力することにより、申し出のあった不具合の内容が報告される(図2の(1))。
【0047】
オペレーターから報告を受けた作業者は、現場(不具合の申し出があった住宅)に出向く前に、携帯型端末20を起動させ、ディスプレイ21に検索画面を表示させる(図2の(2))。ここで、検索画面とは、申し出のあった不具合に類似する過去の事例(案件)を検索するための画面である。ディスプレイ21に表示される検索画面の一例を図4に示す。
【0048】
図4に示すように、ディスプレイ21に表示される検索画面には、住宅の居住者等からの不具合の申し出の受付番号を入力する入力欄R1と、住宅の居住者等から申し出のあった不具合の内容(及び依頼内容)が表示される表示欄R2とが含まれる。
【0049】
作業者は、入力欄R1に受付番号を入力する。すると、表示欄R2に、お申し出内容が表示される。なお、表示欄R2に表示される内容は、住宅の居住者等からの申し出に基づいてオペレーターが入力した内容である。或いは、作業者は、お申し出内容を表示欄R2に直接入力するようにしてもよい。表示欄R2には、例えば「暖房の温度調整が効かなくなった」と入力される。作業者が検索ボタンを押す(クリックする)と、携帯型端末20は、入力欄R1に入力された内容(受付番号)、及び表示欄R2に表示された情報(住宅の居住者等からの申し出に基づいてオペレーターが入力した内容)をサーバ10に送信する(図2の(3))。
【0050】
サーバ10は、携帯型端末20から送信された情報に基づいて、補修結果情報の検索を行う。
【0051】
以下、図5から図7を用いて、補修結果情報の検索方法について説明する。当該検索方法は、DBサーバ11のデータベース11aに蓄積された補修結果情報の中から、お申し出内容と類似する過去の補修結果情報を検索するものである。
【0052】
図5に示すステップS10において、サーバ10は、検索画面にお申し出内容の入力があったことを確認する。
【0053】
次に、ステップS11において、サーバ10は、携帯型端末20から送信されたお申し出内容に含まれたキーワードに基づいて、補修結果情報の絞込みを行う。具体的には、サーバ10は、データベース11aに蓄積された補修結果情報の中から、お申し出内容に含まれるキーワード(名詞や動詞等の文字列)が含まれたものを抽出する、いわゆる全文検索を行う。これにより、補修結果情報の絞込みを行う。
【0054】
次に、サーバ10は、ステップS11で絞り込んだ補修結果情報に対して、以下に示すステップS12からS14の処理を行うことで、補修結果情報のさらなる絞り込みを行う。
【0055】
ステップS12において、サーバ10は、作業者が補修結果情報の補修コードに対して一の選択肢を決定したのと同様に(図3の入力欄Q4参照)お申し出内容に対して各補修コードごとに選択肢を決定する。お申し出内容の各補修コード及び各補修コードの選択肢は、補修結果情報の各補修コード及び各補修コードの選択肢と同じである。サーバ10は、AIを用いて、各補修コードごとにお申し出内容に応じた適切な選択肢を決定する。サーバ10は、各選択肢の具体的な組み合わせを複数作成し、携帯型端末20に送信する。
【0056】
図6に示すように、携帯型端末20は、推定結果画面に、各選択肢の具体的な組み合わせを表示する。図6においては、3つの組み合わせが示されている。各組み合わせには、お申し出内容に対する類似の度合いを示す確信度が表示されている。
【0057】
作業者は、3つの組み合わせそれぞれの下方にある「これで検索」をクリックすることにより、3つの組み合わせの中から希望する組み合わせを選択することができる。ここでは、図6に示す3つの組み合わせのうち、最も左側の組み合わせを選択したとする。すなわち、補修コード「項目」には「住宅設備」が選択され、補修コード「名称」には「暖房器具」が選択され、補修コード「種類」には「床暖房温水式」が選択され、補修コード「部位」には「本体」が選択され、補修コード「現象」には「温度調整できない」が選択されたものとする。
【0058】
次に、ステップS13において、サーバ10は、お申し出内容と選択肢が一致する補修コードの重み付けの合計値を算出する。以下、具体的に説明する。
【0059】
DBサーバ11のデータベース11aに記憶された補修結果情報には、各補修コードに対して予め重み付けがなされている。図7(a)は、補修コードの重み付けの一例を示した図である。
【0060】
複数の補修コードのうち、「部位」及び「現象」は、補修作業を行った作業者が補修コードの複数の選択肢から一の選択肢を決定するにあたり(図3の入力欄Q4参照)、当該作業者の主観的な判断が入り込む余地があると考えられる。すなわち、補修コード「部位」及び「現象」は、作業者によっては異なる選択肢を選択する可能性があると考えられる。
【0061】
具体的には、不具合の内容によっては、不具合が発生した「部位」がどの箇所であるのか明確に判断できない場合がある。例えば、不具合の内容が「温水式の床暖房の温度調整ができない」というものである場合、不具合の対象が「本体」又は「リモコン」のいずれが適切であるのか明確に判断できない場合がある。また、補修コード「現象」の選択肢には、似たような内容のものも含まれており、例えば、不具合の内容が「温水式の床暖房の温度が上がらない」というものである場合、不具合の現象が「温度調整できない」又は「作動が悪い」のいずれが適切であるのか明確に判断できない場合がある。
【0062】
一方、複数の補修コードのうち、「項目」、「名称」及び「種類」は、補修作業を行った作業者が補修コードの複数の選択肢から一の選択肢を決定するにあたり、「部位」及び「現象」と比べて、当該作業者の主観的な判断が入り込む余地が少ないと考えられる。すなわち、補修コード「項目」、「名称」及び「種類」は、どの作業者でも同じ選択肢を選択する可能性が高いと考えられる。
【0063】
本実施形態においては、複数の補修コードのうち、作業者の主観的な判断を必要とする(作業者の主観的な判断が入り込む余地がある)と考えられる補修コード(部位、現象)は、作業者の主観的な判断を必要としない(作業者の主観的な判断が入り込む余地がない)と考えられる補修コード(項目、名称、種類)よりも、重み付けの値を低くしている。例えば、図7に示すように、補修コード「項目」、「名称」及び「種類」の重み付けの値は10点、補修コード「部位」及び「現象」の重み付けの値は5点とされる。
【0064】
図7(b)に示すように、サーバ10は、お申し出内容の各補修コードの選択肢と、ステップS11で絞り込んだ補修結果情報の各補修コードの選択肢と、を比較する。そして、サーバ10は、ステップS11で絞り込んだ補修結果情報それぞれについて、お申し出内容と選択肢が一致する補修コードの重み付けの合計値を算出する。
【0065】
例えば、補修結果情報とお申し出内容とで全ての補修コードの選択肢が一致する場合、当該補修結果情報(図7(b)に示す補修結果情報A)の重み付けの合計値は40点と算出される。また、全ての補修コードのうち、「項目」、「名称」、「種類」及び「部位」の選択肢が一致する場合(「現象」のみ一致しない場合)、当該補修結果情報(図7(b)に示す補修結果情報B)の重み付けの合計値は35点と算出される。また、全ての補修コードのうち、「項目」、「名称」、「種類」及び「現象」の選択肢が一致する場合(「部位」のみ一致しない場合)、当該補修結果情報(図7(b)に示す補修結果情報C)の重み付けの合計値は35点と算出される。また、全ての補修コードのうち、「項目」、「名称」及び「種類」の選択肢が一致する場合(「部位」及び「部位」のみ一致しない場合)、当該補修結果情報(図7(b)に示す補修結果情報D)の重み付けの合計値は30点と算出される。
【0066】
次に、ステップS14において、サーバ10は、ステップS11で絞り込んだ補修結果情報の中から、重み付けの合計値が所定値以上の補修結果情報を抽出する。所定値は任意の値とすることができ、本実施形態においては35点とする。
【0067】
このように、サーバ10は、ステップS11で絞り込んだ補修結果情報に対して、重み付けされた補修コードを用いてフィルターをかける(ステップS12からS14の処理を行う)ことで、検索結果の件数をさらに絞り込むことができる。
【0068】
再び図2を参照する。サーバ10は、抽出した補修結果情報を、申し出された不具合の内容と類似する過去の事例(類似事例)として、携帯型端末20に送信する(図2の(4))。
【0069】
携帯型端末20は、サーバ10から送信された検索結果を示す画面(検索結果画面)をディスプレイ21に表示する(図2の(5))。作業者は、表示された類似事例を参考にアフターサービスを行うことで、データベース11aに蓄積されたデータを活用することができる。
【0070】
ここで、本実施形態の検索結果画面には、類似事例だけではなく、補修資料S(図8参照)も表示可能に構成される。なお補修資料Sは、建物で生じる不具合の補修作業に関する資料である。補修資料Sは、類似事例のように作業者が現場で不具合への対応を行うたびに作成されるものではなく、補修資料Sの作成者により任意のタイミングで作成される。当該補修資料Sには、補修作業の手順を示すマニュアル、補修作業の事例集等が含まれる。
【0071】
検索結果画面に補修資料Sが表示されることにより(図11参照)、作業者は、類似事例に加えて補修資料Sも参考にすることができるため、データの更なる有効活用を図ることができる。以下では、補修資料Sを管理するためのサーバ10の構成について説明する。
【0072】
図8に示すDBサーバ11のデータベース11aには、補修資料Sが、各補修コードの選択肢と紐付けて登録される。なお、当該選択肢は、類似事例の各補修コードの選択肢のうち、補修資料Sの内容からAIが推定可能な選択肢(後述するステップS22の処理で推定可能な選択肢)となっている。具体的には、「基礎」、「外壁」、「外部建具」といった、不具合の対象を大まかに示した補修コード(「項目」、「名称」)の選択肢となっている。またデータベース11aには、補修資料Sそのものが登録されるのではなく、補修資料Sへのアクセス方法(URL等)が上記選択肢と関連付けて登録される。
【0073】
図8に示すように、ファイルサーバ12には、上記選択肢(AIが推定可能な選択肢)に応じた複数のフォルダが作成される。なお図8には、ファイルサーバ12に作成されるフォルダのうち、一部のフォルダ(「基礎」、「外壁」、「外部建具」)のみ記載されている。補修資料Sは、ファイルサーバ12において、自身に紐付けられた補修コードの選択肢と一致するフォルダに記憶される。このように、本実施形態のサーバ10では、ファイルサーバ12における補修資料Sの記憶先と、データベース11aに登録される補修コードと、が互いに対応することで、補修資料Sが補修コード別に管理されている。
【0074】
ここで、社内(例えば作業者が勤務する会社内)で作成された全ての補修資料Sがサーバ10で管理されることが望ましいが、実際には一部の補修資料Sは、サーバ10外で管理されることが多い。こうした一部の補修資料Sを手動でサーバ10に登録する場合、補修資料Sの内容を作業者が確認して補修コード(選択肢)を決定する必要がある。また当該補修コードに応じたフォルダに補修資料Sを手動でアップロードする必要がある。また、決定した補修コード及びアップロード先と整合性が取れるように、データベース11aに情報を手動で登録する必要がある。
【0075】
このように、補修資料Sを手作業でサーバ10に登録するのは手間がかかるため、本実施形態の情報管理システム1は、補修資料Sの登録作業の一部を自動的に実行可能に構成される。これによって、登録作業の負担を低減することができる。以下、情報管理システム1による登録作業の一例を説明する。
【0076】
まず図8に示すように、作業者は、携帯型端末20を操作することによって、補修資料Sをアップロードするための画面をディスプレイ21に表示させる。作業者は、当該画面を適宜操作することで、補修資料Sをサーバ10に送信することができる。
【0077】
サーバ10は、携帯型端末20から送信された補修資料Sを解析し、当該解析結果に基づいて補修資料Sを分類する。以下では図9を参照し、補修資料Sを分類する処理の一例を説明する。
【0078】
まずサーバ10はステップS20において、アップロードされた補修資料Sからテキスト情報を抽出する。例えばサーバ10は、補修資料Sにテキスト形式のデータが含まれる場合に、当該データをテキスト情報として抽出することができる。またサーバ10は、例えば補修資料Sにテキスト形式のデータが含まれていない場合に、OCR(Optical character recognition)等による文字解析を行うことで、テキスト情報を抽出することができる。
【0079】
次に、ステップS21においてサーバ10は、ステップS20で抽出したテキスト情報の中から、不要な単語を除外する。より詳細には、ステップS21では補修資料Sの全てのテキスト情報が抽出されるため、当該テキスト情報の中には、どの補修資料Sにも記載されるような単語(不要な単語)が含まれることが想定される。例えば、補修資料Sの作成日、仕入れ先、問い合わせ先、品名、記号、内線、外線といった単語が含まれることが想定される。当該単語は補修資料Sを分類するのに役立つものではないため、サーバ10は当該単語を除外する。
【0080】
次に、ステップS22においてサーバ10は、ステップS21で不要な単語が除外されたテキスト情報に基づいて、補修資料Sを分類する。この際サーバ10は、AIを用いてテキスト情報を解析することで、テキスト情報に応じた適切な補修コードの選択肢を推定する。これによってサーバ10は、アップロードされた補修資料Sを補修コード別に分類することができる。
【0081】
図8に示すように、サーバ10は、補修資料Sの分類結果に従ってデータ登録を行う。この際サーバ10は、ファイルサーバ12へのデータ登録と、DBサーバ11へのデータ登録とを実行する。
【0082】
より詳細には、サーバ10は、ファイルサーバ12の各フォルダうち、上記ステップS22で推定した補修コード(選択肢)に応じたフォルダに、アップロードされた補修資料Sを記憶させる。これによってサーバ10は、補修資料Sをファイルサーバ12へ登録することができる。
【0083】
またサーバ10は、ファイルサーバ12に記憶させた補修資料Sへのアクセス方法(URL等)と、上記ステップS22で推定した補修コードとを互いに紐付けてデータベース11aに登録する。これによってサーバ10は、補修資料Sをデータベース11aに登録することができる。
【0084】
このように、本実施形態では、作業者が補修資料Sをサーバ10にアップロードするだけで、以降の作業がサーバ10により自動的に行われる。これによって、補修資料Sの登録作業を簡略化することができ、作業者の負担を低減することができる。
【0085】
またAIを用いて補修コードを推定することで(ステップS22)、補修コードを精度よく推定することができる。また本実施形態では、不要な単語を除外してから補修コードを推定するようにしている(ステップS21・S22)。これにより、補修資料Sを分類する処理(AIの処理)の負担を低減することができる。
【0086】
以下、図10及び図11を用いて、補修資料Sの検索方法について説明する。図10に示すように、まず作業者は、検索画面を用いて先方申し出内容(お申し出内容)を入力する。なお検索画面は、上述した類似事例の検索で用いられる画面と共通のものである。
【0087】
先方申し出内容の入力が完了すると、作業者は、当該先方申し出内容についての補修コードを選択する。なお補修コードを選択する処理は、上述した類似事例の検索方法(図5のステップS12及び図6)と同様である。
【0088】
サーバ10は、選択された補修コードに基づいて、データベース11aから補修資料Sの情報を抽出する。ここで、上述した類似事例については、調べたい先方申し出内容にできる限り類似した事例を取り出したいというニーズがあるため、重み付けを行う等してこのニーズに合うように類似事例を抽出するようにしていた。これに対し、補修資料Sについては、補修作業を行うにあたり、補修作業に関連するマニュアルや事例集等の情報を漏れなく知っておきたいというニーズがある。
【0089】
このように、補修資料Sは、作業者の求めるニーズが類似事例とは異なるため、本実施形態では、このニーズに合うように、補修資料Sの検索方法を類似事例の検索方法とは別のものとしている。
【0090】
具体的にはサーバ10は、データベース11aに登録される補修資料Sの中で、作業者が選択した補修コードの選択肢と少なくとも一部が一致する補修資料Sを抽出する。本実施形態では、補修コード「項目」、「名称」、「種類」、「部位」及び「現象」のうち、「項目」及び「名称」が一致する補修資料Sを抽出する。サーバ10は、抽出した補修資料Sを携帯型端末20に送信する。携帯型端末20は、サーバ10から送信された補修資料Sをディスプレイ21に表示させる。
【0091】
なお、上述した補修資料Sの検索は類似事例の検索と並行して行われる。すなわち、先方申し出内容の入力及び補修コードの選択が行われると、補修コードにより抽出された補修資料Sと、重み付けの処理(図5に示すステップS13・S14)により抽出された類似事例と、がそれぞれディスプレイ21に表示される。以下、図11を参照し、ディスプレイ21に表示される検索結果画面の一例を説明する。
【0092】
図11に示すように、検索結果画面には、「検索条件」、「フィルタ」及び「検索結果」が表示されている。ここで検索結果画面における「検索条件」とは、補修資料S等の検索で用いられた条件である。本実施形態では、前記「検索条件」は、図4及び図10に示す検索画面に入力された先方申し出内容である。また検索結果画面における「フィルタ」は、検索結果画面に表示される検索結果を絞り込むためのものである。前記「フィルタ」には、グループ欄Gが含まれる。グループ欄Gでは、補修資料S及び類似事例別に検索結果を絞り込むことができる。
【0093】
より詳細には、作業者は、グループ欄Gにおいて、検索結果を補修資料Sのみに絞り込む項目と、検索結果を類似事例のみに絞り込む項目と、絞り込みを行わないようにする項目とを選択することができる。グループ欄Gの項目を適宜選択することで、検索結果に表示される内容を任意に切り替えることができるため、利便性を向上させることができる。
【0094】
検索結果画面における「検索結果」には、グループ欄Gでの選択に応じて、補修資料S又は類似事例の少なくとも一方のリストが表示される。なお図11には、補修資料S及び類似事例のリストが記載されている。「検索結果」のリストには、「Gr」、「先方申出内容」、「原因」、「直し方」等の項目が含まれる。
【0095】
「Gr」の項目には、補修資料S及び類似事例を識別可能な情報が表示される。例えば検索結果が類似事例である場合、「Gr」の項目には、類似事例を示す文字(例えば、類似事例との文字、社内の規則に従った記号等)が表示される。一方前記検索結果が補修資料Sである場合、「Gr」の項目には、補修資料Sを示す情報として、「マニュアル」、「事例集」といった文字が表示される。
【0096】
このように、本実施形態では、補修資料Sをより具体的に示す情報が「Gr」欄に表示される。これによって、特定の種類の補修資料S(例えばマニュアル)を「検索結果」のリストから見つけ易くなるため、利便性を向上させることができる。なお、補修資料Sの種類(マニュアル、事例集)の判別方法は、特に限定されない。例えば、AIが補修資料Sのテキスト情報から判別してもよいし、補修資料Sのファイル名からサーバ10が判別してもよい。
【0097】
「先方申出内容」の項目には、住宅の居住者等からのお申し出内容(住宅や住宅設備等の不具合や困りごとの具体的な内容)が表示される。例えば検索結果が類似事例である場合、「先方申出内容」には、コールセンターのオペレーターにより入力された内容が表示される(図1の(1)及び図2の(1)参照)。一方検索結果が補修資料Sである場合、「先方申出内容」には、当該補修資料Sと関連性が高いと考えられる先方申し出内容が適宜表示される。例えばサーバ10は、補修資料Sに先方申し出内容が記載されている場合、その先方申し出内容を表示することができる。
【0098】
「原因」の項目には、不具合の原因が表示される。例えば検索結果が類似事例である場合、「原因」には、図3の「原因」の入力欄Q1に入力された内容が表示される。一方検索結果が補修資料Sである場合、「原因」には、当該補修資料Sと関連性が高いと考えられる原因の情報が適宜表示される。例えばサーバ10は、補修資料Sに不具合の原因が記載されている場合、その原因を表示することができる。
【0099】
図11に示す「直し方」の項目には、補修作業(補修方法)の内容が表示される。例えば検索結果が類似事例である場合、「直し方」には、図3の「直し方」の入力欄Q2に入力された内容が表示される。一方検索結果が補修資料Sである場合、「直し方」には、当該補修資料Sと関連性が高いと考えられる直し方の情報が適宜表示される。例えばサーバ10は、補修資料Sに直し方が記載されている場合、その直し方を表示することができる。
【0100】
また図11に示すように、検索結果が補修資料Sである場合、「直し方」には、補修資料Sにアクセス可能な情報も表示される。例えば、ファイルサーバ12にアップロードされた補修資料Sへのハイパーリンク(「詳細はこちら」)が表示される。なお当該ハイパーリンクは、DBサーバ11のデータベース11aに登録された情報に基づいて作成可能である。こうしてハイパーリンクが表示されることにより、作業者が速やかに補修資料Sを閲覧可能となるため、利便性を向上させることができる。
【0101】
以上のように、本実施形態に係る情報管理システム1においては、図4及び図10に示す検索画面に住宅の居住者等から申し出のあった不具合の内容を入力することにより、携帯型端末20のディスプレイ21に、当該不具合の内容と類似する過去の事例(類似事例)、及び当該不具合に関連する補修資料S(マニュアル、事例集)が表示される。これにより、作業者は、現場(不具合の申し出があった住宅)に出向く前に、表示された情報を参考にして、申し出のあった不具合に対してどのように対応するかを検討することができる。
【0102】
具体的には、作業者は、類似事例の原因及び補修方法(直し方)等を参考にして、住宅の居住者等から申し出のあった不具合に対する補修の仕方等をある程度把握することができる。よって、補修に必要な部品や工具を把握することができ、何度も現場に足を運ばなくても補修が可能となる。また、場合によっては、現場に出向くことなく不具合の解消を図ることができる。したがって、補修に要する時間や費用の削減を図ることができる。また、補修に必要な部品を把握することで、補修費用を予め算出することができ、これにより居住者とのやり取りをスムーズに行うことが可能となる。
【0103】
また作業者は、補修資料Sを閲覧することで補修作業についての知識を深めることができるため、補修作業をより適切に行うことが可能となる。このように、本実施形態に係る情報管理システム1においては、補修作業を行うに際して、サーバ10に蓄積された類似事例及び補修資料Sを活用することができる。
【0104】
また本実施形態では、作業者のニーズに合うように、補修資料S及び類似事例でデータベース11aの検索条件を変えている(図5及び図10参照)。これによって、情報管理システム1の使い勝手を向上させることができる。
【0105】
なお、本実施形態では、類似事例の検索方法において、お申し出内容と選択肢が一致する補修コードの重み付けの合計値(図7参照)に基づいて類似事例を絞り込むものとしたが、類似事例を絞り込む方法は、本実施形態に限定されるものではない。例えば前記合計値の算出に用いられる重み付けの値(図7(a)の値)を本実施形態と異なるものとしてもよいし、前記合計値とは異なる指標を用いて類似事例を絞り込むことも可能である。以下、図12を参照し、類似事例を絞り込む手順の別例について説明する。
【0106】
別例では、上述したステップS10~S12の処理の後で、ステップS110~S114の処理を行うことで、前記合計値とは異なる指標(後述する総合スコア)を用いて類似事例を絞り込むことができる。
【0107】
具体的には、まずステップS110においてサーバ10は、ステップS10で入力されたお申し出内容から単語を抽出する。この際サーバ10は、不具合と関係があると考えられる単語を抽出する。例えば、ステップS10で「HEMSの蓄電池の値がエラー表示される」と入力された場合、その中から「HEMS」、「蓄電池」、「値」、「エラー」、「表示」という5つの単語を抽出する。
【0108】
次にステップS111においてサーバ10は、ステップS11で絞り込んだ類似事例それぞれについて、以下の数式を用いて第1スコアを算出する。
第1スコア=申し出内容一致スコア×重み付けA
【0109】
なお上記申し出内容一致スコアとは、ステップS110で抽出した単語と類似事例のお申し出内容との一致度合を示すものである。申し出内容一致スコアは、0から100の範囲の値となっている。申し出内容一致スコアは、ステップS110で抽出された単語と、類似事例のお申し出内容とを比較した結果に基づいて算出される。例えば、ステップS110で5つの単語が抽出され、そのうち4つの単語が類似事例のお申し出内容と一致した場合、単語1つの一致につき20点(100÷抽出された単語の総数)が加算され、お申し出内容一致スコアとして80点が算出される。
【0110】
なお上記申し出内容一致スコアの算出においては、単語1つの一致につき共通の点数を加算するのではなく、単語の出現回数等に応じて単語ごとに異なる点数を加算するものとしてもよい。
【0111】
上記数式の重み付けAは、1以上の値(別例では1.2)とされる。また別例では第1スコアの最大値が100点とされる。したがって上記数式の結果が100点を超えたとしても、第1スコアは100点として処理される。
【0112】
次にステップS112においてサーバ10は、ステップS11で絞り込んだ類似事例それぞれについて、以下の数式を用いて第2スコアを算出する。
第2スコア=補修コード一致スコア×重み付けB
【0113】
なお上記補修コード一致スコアとは、ステップS12で選択された補修コードと類似事例の補修コードとの一致度合を示すものである。補修コード一致スコアは、本実施形態の図7で説明した重み付けの合計値に対応する。別例では、補修コード「項目」の重み付けの値が30点、補修コード「名称」の重み付けの値が25点、補修コード「種類」及び「部位」の重み付けの値が20点、補修コード「現象」の重み付けの値が15点とされる。また上記数式の重み付けBは、1以下の値(0.5)とされる。
【0114】
例えば、ステップS12で選択された各補修コードのうち、補修コード「項目」及び「名称」が類似事例の補修コードと一致する場合、上記第2スコアの数式に基づいて、27.5点((30+25+0+0+0)×0.5)が第2スコアとして算出される。
【0115】
次に図12に示すステップS113においてサーバ10は、第1スコア及び第2スコアに基づいて総合スコアを算出する。サーバ10は、第1スコア及び第2スコアの平均を求めることで、総合スコアを算出する。例えば第1スコアが96点、第2スコアが27.5点である場合、61.8点((96+27.5)÷2)が総合スコアとして算出される。
【0116】
次にステップS114においてサーバ10は、総合スコアに応じて検索結果を携帯型端末20のディスプレイ21に表示させる。例えばサーバ10は、総合スコアが所定値以上の類似事例を、検索結果として表示させる。またサーバ10は、総合スコアの降順に類似事例を表示させる。
【0117】
別例の検索方法によると、補修コードだけではなく、お申し出内容の重み付け(第1スコア)も考慮して類似事例を抽出することができる。
【0118】
以上の如く、本実施形態に係る情報管理システム1は、補修資料S(建物に関する関連資料)をDBサーバ11及びファイルサーバ12(サーバ10)で管理する情報管理システム1であって、外部から取得された前記補修資料Sを解析することによって、前記補修資料Sを複数のグループ(補修コード)に分類する分類部(サーバ10)と、前記補修資料Sの分類結果に基づいて、前記補修資料Sを前記DBサーバ11及びファイルサーバ12に登録する登録部(サーバ10)と、を具備するものである。
【0119】
このように構成することにより、外部から取得(アップロード)された補修資料Sが分類部及び登録部(サーバ10)の処理によって自動的にDBサーバ11及びファイルサーバ12に登録されるため、登録作業を簡素化することができる。
【0120】
また、前記補修資料Sは、前記建物に関する作業のマニュアル又は事例集の少なくとも一方を含むものである。
【0121】
このように構成することにより、マニュアルや事例集をDBサーバ11及びファイルサーバ12に登録する作業を簡素化することができる。
【0122】
また、前記分類部(サーバ10)は、前記補修資料Sに含まれるテキスト情報を解析することによって、前記補修資料Sを分類するものである(ステップS20~S22)。
【0123】
このように構成することにより、補修資料Sの中で比較的取得し易いテキスト情報を用いて、補修資料Sを容易に分類することができる。
【0124】
また、前記分類部(サーバ10)は、前記テキスト情報の中から前記補修資料Sの分類に不要な単語を除外した後で、当該テキスト情報を解析するものである(ステップS21・S22)。
【0125】
このように構成することにより、補修資料Sの分類に要する処理の負担を低減することができる。
【0126】
また、前記分類部(サーバ10)は、1つの前記補修資料Sに対して、前記グループに関するグループ情報を複数付与する(本実施形態では補修コード「項目」、「名称」の選択肢を推定する)ことで前記補修資料Sを分類し(ステップS22)、前記情報管理システム1は、前記建物の不具合についての申し出に関する申し出情報(図4の表示欄R2)、及び当該申し出情報に応じた複数の前記グループ情報(図6に示す各補修コードの選択肢)が入力される入力部(携帯型端末20)と、前記DBサーバ11及びファイルサーバ12に登録された前記補修資料Sの中から、入力された前記申し出情報の前記複数のグループ情報のうち、少なくとも一部の前記グループ情報(補修コード「項目」、「名称」の選択肢)が一致する前記補修資料Sを検索する検索部(サーバ10)と、をさらに具備するものである。
【0127】
このように構成することにより、申し出情報と関連する補修資料Sをより多く表示させることができる。
【0128】
また、前記登録部(サーバ10)は、前記申し出情報に応じて行われた作業内容を前記DBサーバ11及びファイルサーバ12に登録可能であり、前記検索部(サーバ10)は、登録された前記作業内容の中から、入力された前記申し出情報と不具合の内容が類似するものを検索し、前記補修資料Sの検索結果と共に表示可能である(図11参照)。
【0129】
このように構成することにより、補修資料S及び作業内容の検索結果をまとめて確認可能となるため、利便性を向上させることができる。
【0130】
また、前記検索部(サーバ10)は、前記補修資料Sの検索結果及び前記作業内容の検索結果のうち、前記補修資料Sの検索結果のみを表示させる第1表示モードと、前記作業内容の検索結果(類似事例)のみを表示させる第2表示モードと、前記補修資料S及び前記作業内容の検索結果をそれぞれ表示させる第3表示モードと、を切替可能である。
なお、本実施形態では図11に示すグループ欄Gの設定に応じて、各表示モードを切り替えることができる。
【0131】
このように構成することにより、必要に応じて表示モードを切り替えることができるため、利便性を向上させることができる。
【0132】
なお、本実施形態に係るサーバ10は、本発明に係る分類部、登録部及び検索部の実施の一形態である。
また、本実施形態に係る携帯型端末20は、本発明に係る入力部の実施の一形態である。
【0133】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能である。
【0134】
例えば、本実施形態では、ディスプレイ21に表示された画面の操作によってサーバ10に補修資料Sをアップロードするものとしたが(図8参照)、補修資料Sをアップロードする方法は、特に限定されるものではない。
【0135】
また本実施形態では、補修作業のマニュアル及び事例集がデータベース11aに登録されるものとしたが、データベース11aに登録される資料(補修資料S)は、建物に関する資料であれば、本実施形態に限定されるものではない。したがってデータベース11aには、マニュアル及び事例集とは異なる種類の資料(例えば実験結果、調査結果等)を登録可能である。またデータベース11aには、補修作業とは異なる作業(例えば建設作業、設計作業等)についての資料を登録可能である。
【0136】
また本実施形態では、アップロードされた補修資料Sのテキスト情報を解析することによって当該補修資料Sを分類するものとしたが(図9に示すステップS22)、補修資料Sを分類する方法は、特に限定されるものではない。補修資料Sには、部材等の画像データが使われることも多いため、例えば当該画像データを解析して補修資料Sを分類することも可能である。これによって、テキスト情報からは得られない情報を用いて補修資料Sの補修コードを高精度に推定することができ、ひいては補修資料Sを精度良く分類することができる。
【0137】
また本実施形態では、アップロードされた補修資料Sのテキスト情報の中から不要な単語を除外するものとしたが(図9に示すステップS21)、当該処理はスキップ可能である。
【0138】
また本実施形態では、サーバ10は、作業者により選択された補修コードのうち、補修コード「項目」及び「名称」が一致する補修資料Sをデータベース11aから抽出するものとしたが(図10参照)、補修資料Sの検索方法は、本実施形態に限定されない。例えばサーバ10は、補修コード「項目」又は「名称」の少なくとも一方が一致する補修資料Sをデータベース11aから抽出してもよいし、補修コード「項目」のみが一致する補修資料Sをデータベース11aから抽出してもよい。
【符号の説明】
【0139】
1 情報管理システム
10 サーバ
S 補修資料
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12