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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024106420
(43)【公開日】2024-08-08
(54)【発明の名称】送迎計画生成システム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/123 20060101AFI20240801BHJP
【FI】
G08G1/123 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023010656
(22)【出願日】2023-01-27
(71)【出願人】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(74)【代理人】
【識別番号】110000660
【氏名又は名称】Knowledge Partners弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】久野 真登
(72)【発明者】
【氏名】岡部 英文
(72)【発明者】
【氏名】仙波 輝
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA14
5H181BB04
5H181FF13
5H181FF32
5H181MA07
5H181MA08
5H181MA10
(57)【要約】
【課題】車両の現在位置の情報を用いずに、既存の計画に新規の予約を受け入れ可能か否かを判定することができるシステムを提供する。
【解決手段】送迎車両が、出発地点および送迎地点のうち少なくとも一つの地点を通過している状態で、新規乗車地点、新規降車地点、新規乗車希望時刻と新規降車希望時刻との少なくとも一方を含む新規の予約情報取得した場合に、これらの情報に基づいて、仮の送迎計画を生成し、仮の送迎計画において、新規乗車地点が現在時刻から見て次に到着する地点である場合に、現在時刻の以後、仮の送迎計画に従って走行した場合に新規乗車地点に到達するまでに要する最大所要時間に現在時刻を加えた時刻が、新規予約情報に含まれる新規乗車希望時刻または新規降車希望時刻に対応した乗車時刻より前の時刻である場合に、新規予約情報を受け入れ、仮の送迎計画を新たな送迎計画とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
現在位置を取得しない送迎車両によって利用者を送迎するための送迎計画を生成する送迎計画生成システムであって、
前記利用者から乗車地点、および、降車地点、ならびに、前記乗車地点における乗車希望時刻と前記降車地点における降車希望時刻との少なくとも一方を含む送迎の予約である予約情報を取得する取得部と、
取得した前記予約情報に基づいて前記送迎車両の前記送迎計画を生成する送迎計画生成部と、を備え、
前記送迎計画生成部は、
前記送迎車両が、前記送迎車両における出発地点および送迎地点のうち、少なくとも一つの地点を通過している状態で、前記取得部により新規の利用者から新規乗車地点、および、新規降車地点、ならびに、前記新規乗車地点における新規乗車希望時刻と前記新規降車地点における新規降車希望時刻との少なくとも一方を含む新規の予約情報である新規予約情報を取得した場合に、前記予約情報と前記新規予約情報とに基づいて、仮の送迎計画を生成し、
前記仮の送迎計画において、前記新規乗車地点が現在時刻から見て次に到着する地点である場合に、前記現在時刻の以後、前記仮の送迎計画に従って走行した場合に前記新規乗車地点に到達するまでに要する最大時間である最大所要時間を算出し、
前記現在時刻に算出した前記最大所要時間を加えた時刻が、前記新規予約情報に含まれる前記新規乗車希望時刻または前記新規降車希望時刻に対応した乗車時刻より前の時刻である場合に、前記新規予約情報を受け入れ、前記仮の送迎計画を新たな送迎計画とする、
送迎計画生成システム。
【請求項2】
前記送迎計画生成部は、
前記仮の送迎計画が、
前記現在時刻において前記送迎車両に前記利用者が乗車しない計画である場合、前記現在時刻の前後に到着する地点と、前記送迎車両の運転者が休憩する休憩地点と、から選択された任意の地点を通って前記新規乗車地点まで走行した場合に要する前記最大時間である前記最大所要時間を算出し、
前記仮の送迎計画が、
前記現在時刻において前記送迎車両に前記利用者が乗車する計画である場合、前記現在時刻の前後に到着する地点から選択された任意の地点を通って前記新規乗車地点まで走行した場合に要する前記最大時間である前記最大所要時間を算出する、
請求項1に記載の送迎計画生成システム。
【請求項3】
前記送迎計画および前記休憩地点を表示させる表示制御部を更に備え、
前記表示制御部は、
生成された前記新たな送迎計画を、前記送迎計画を管理する管理者の管理者端末と前記送迎車両における車載端末との少なくとも一方に表示させ、
前記送迎車両に前記利用者が乗車していない区間は、当該区間に対応付けて前記休憩地点を前記車載端末に表示させ、
前記送迎車両に前記利用者が乗車している区間は、当該区間に対応付けて前記休憩地点を前記車載端末に表示させない、
請求項2に記載の送迎計画生成システム。
【請求項4】
前記休憩地点は、複数存在する候補休憩地点のうち前記乗車地点と前記降車地点とから最小コストで行くことが可能な地点である、
請求項2に記載の送迎計画生成システム。
【請求項5】
前記表示制御部は、
生成された前記新たな送迎計画を前記利用者の利用者端末に表示させる、
請求項3に記載の送迎計画生成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送迎計画生成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、乗り合い(相乗り)をする際の配車を支援するシステムが記載されている。この特許文献1においては、既存の運行計画(運行工程)に新たな乗り降りする場所である乗降場所を挿入可能か否かについて判定し、当該乗降場所を挿入可能とであると判定した場合には、当該乗降場所を経路に加えた配車を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-20973号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の技術においては、既存の運行経路(例えば地点Aから地点B)の間に、新たな乗降場所(例えば乗車地点C、降車地点B)を挿入する場合に、地点A-C間、および、地点C-B間の2地点間を直行した場合の時間である運行直行時間を考慮している。これら2地点間の運行直行時間を正確に求めるには、通常、車両の現在位置の情報を取得する必要があるが、車両の現在位置の情報を常に取得することは、当該車両の運転者や利用者のプライバシーを侵害するおそれがある。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、車両の現在位置の情報を用いずに、既存の計画に新規の予約を受け入れ可能か否かを判定することができるシステムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するため、現在位置を取得しない送迎車両によって利用者を送迎するための送迎計画を生成する送迎計画生成システムであって、前記利用者から乗車地点、および、降車地点、ならびに、前記乗車地点における乗車希望時刻と前記降車地点における降車希望時刻との少なくとも一方を含む送迎の予約である予約情報を取得する取得部と、取得した前記予約情報に基づいて前記送迎車両の前記送迎計画を生成する送迎計画生成部と、を備え、前記送迎計画生成部は、前記送迎車両が、前記送迎車両における出発地点および送迎地点のうち、少なくとも一つの地点を通過している状態で、前記取得部により新規の利用者から新規乗車地点、および、新規降車地点、ならびに、前記新規乗車地点における新規乗車希望時刻と前記新規降車地点における新規降車希望時刻との少なくとも一方を含む新規の予約情報である新規予約情報を取得した場合に、前記予約情報と前記新規予約情報とに基づいて、仮の送迎計画を生成し、前記仮の送迎計画において、前記新規乗車地点が現在時刻から見て次に到着する地点である場合に、前記現在時刻の以後、前記仮の送迎計画に従って走行した場合に前記新規乗車地点に到達するまでに要する最大時間である最大所要時間を算出し、前記現在時刻に算出した前記最大所要時間を加えた時刻が、前記新規予約情報に含まれる前記新規乗車希望時刻または前記新規降車希望時刻に対応した乗車時刻より前の時刻である場合に、前記新規予約情報を受け入れ、前記仮の送迎計画を新たな送迎計画とする。
【0007】
すなわち、送迎計画生成システムでは、車両の現在位置の情報を取得せずに、既存の送迎計画に新規の予約を受け入れ可能か否かを判定する。具体的には、送迎計画生成システムは、新規乗車地点、新規降車地点、および、新規乗車地点における新規乗車希望時刻と前記新規降車地点における新規降車希望時刻との少なくとも一方を含む新規予約情報を取得した場合に、既存の送迎計画における予約情報と当該新規予約情報とに基づいて、仮の送迎計画を生成する。そして、仮の送迎計画において、新規乗車地点が現在時刻から見て次に到着する地点である場合であって、現在時刻の以後、仮の送迎計画に従って走行した場合に、新規乗車地点に到達するまでに要する最大所要時間を現在時刻に加えた時刻が、新規乗車希望時刻または新規降車希望時刻に対応した乗車時刻より前の時刻である場合、新規の予約を受け入れ可能と判定する。つまり、送迎計画生成システムでは、送迎車両の現在位置を取得せずに、新規予約情報を考慮した仮の送迎計画に対して、現在時刻を基準とし、当該現在時刻から最も時間を要する場合であっても新規予約情報における希望時刻に間に合うか否かの判定をすることで、新規の予約を受け入れ可能かの判定を行う。これにより、送迎車両の現在位置を取得しない場合であっても、新規の予約を受け入れ可能かの判定を正確に行うことができる。そして、このように、送迎車両の現在位置を取得しないで(言い換えれば現在位置を用いずに)、新規の予約を受け入れ可能かの判定ができることにより、当該現在位置の取得を要因として送迎車両の運転者や送迎車両の利用者のプライバシーを侵害することを回避できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】送迎計画生成システムの構成を示すブロック図である。
図2図2Aは予約情報の一例を示し、図2Bは送迎計画情報の一例を示す図である。
図3】送迎計画生成処理の一例を示すフローチャートである。
図4】送迎順序を含む訪問経路の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
ここでは、下記の順序に従って本発明の実施の形態について説明する。
(1)システムの構成:
(1-1)利用者端末の構成:
(1-2)管理者端末の構成:
(1-3)車載端末の構成
(1-4)送迎計画生成システムの構成:
(2)送迎計画生成処理:
(3)他の実施形態:
【0010】
(1)システムの構成:
図1は、本発明における送迎計画生成システム10の構成を示すブロック図である。本実施形態における送迎計画生成システム10は、送迎を希望する利用者(被送迎者、送迎対象者)を所定の乗車地点で迎え、目的地である所定の降車地点まで送り届ける際の訪問順序を含む送迎計画を生成するシステムである。利用者には、例えば塾、予備校、運動教室などの習い事の施設や学校(幼稚園、保育園、小学校、中学校、高等学校、大学など)へ行く者、家へ帰る者、駅へ行く者、介護施設、ワークスペースなどその他の利用施設へ行く者が含まれる。利用者は、例えば複数の利用者が相乗りする乗合車両(例えば送迎バス)やタクシーなどの送迎車両によって、目的地まで送迎される。なお、これ以降に説明では、特に説明する場合を除いて、送迎車両は乗合車両として説明する。
【0011】
図1に示すように、本実施形態における送迎計画生成システム10は、例えば据置型の汎用コンピュータやクラウド型のサーバ等であり、通信を介して利用者端末100、管理者端末200、および車載端末300と協働する。利用者端末100は、送迎車両を利用する利用者が使用する端末である。利用者は、利用者端末100を操作して送迎車両の予約を行う。なお、図1において、1つの利用者端末100を示しているが、本実施形態における送迎車両は複数の利用者が相乗りする乗合車両であるため、利用者端末は複数存在する。管理者端末200は、送迎計画を管理する管理者が使用する端末である。車載端末300は、送迎車両の運転者が使用する端末である。送迎車両の運転者は、送迎計画生成システムで生成された送迎計画に基づいて利用者の送迎を行う。送迎車両では、当該送迎計画に従った送迎を行うための案内がなされる。この図1に示す送迎計画生成システム10では、利用者から送迎車両の予約を行うと、送迎計画生成システム10がPDP(Pickup and Delivery Problem)を解いて、訪問順序を含む送迎計画を生成することにより送迎計画が生成される。なお、PDPは、利用者を迎える乗車地点(ピックアップ地点)から利用者を降ろす降車地点(デリバリー地点)まで送り届ける送迎計画を公知の種々のアルゴリズムによって生成する。具体的な態様については、後述のフローチャートにて説明する。
【0012】
本実施形態において、送迎計画は、1箇所以上の出発地から出発する1台以上の送迎車両が複数の乗車地点を決められた順序で訪問し、乗車地点で利用者を迎え目的地まで送り届ける送迎のための計画である。本実施形態において送迎計画は、送迎車両のそれぞれについて、複数の乗車地点に到着する順序(訪問順序)と、各乗車地点への経路と、各乗車地点への到着時刻等が定義されることによって生成される。なお、送迎計画においては、送迎車両毎に乗車地点に到達する順序等が対応付けられるため、乗車地点が対応付けられている送迎車両が送迎計画に用いられる。従って、送迎計画においては、送迎車両の車両数も実質的に定義される。このような訪問順序を含む送迎計画を生成するために、送迎計画生成システム10は、各種の情報(または条件)を取得する。
【0013】
(1-1)利用者端末の構成:
利用者端末100は、送迎車両を利用する利用者が使用する端末である。利用者端末100は、例えば、汎用コンピュータ、タブレット端末、または、携帯端末等で実現可能であり、CPU,RAM,ROM等を備える制御部110と、他の装置と通信を行うための通信部120を備えている。また、利用者端末100は、利用者に対して各種の情報を提供し、利用者の入力を受け付けるためのユーザI/F部130を備えている。ユーザI/F部130は、利用者の入力を受け付ける他、利用者に各種の情報を提供するための、図示しないタッチパネル等のディスプレイからなる表示部やスイッチ等の入力部、スピーカ等の音声出力部を備えている。
【0014】
本実施形態において制御部110は、通信部120を介して送迎計画生成システム10と通信を行うことができる。制御部110は、記録媒体140に記録された図示しないプログラムを実行することができる。当該プログラムには、送迎計画生成システム10に送迎計画を生成させるための情報である予約情報を生成するためのプログラムが含まれる。また、制御部210は、送迎計画生成システム10で生成された訪問順序を含む送迎計画の一部(すなわち予約者である利用者の送迎計画)を取得し、当該取得した送迎計画をユーザI/F部130の表示部に表示する。なお、当該取得した送迎計画は送迎計画情報140aとして記録媒体140に記録される。
【0015】
図2Aは、本実施形態における予約情報の一例を示す図である。ここに示す予約情報は、各利用者が使用する利用者端末100から送迎計画生成システム10に送信されることにより生成される予約情報である。具体的には、予約情報は、送迎車両を利用する各利用者がそれぞれユーザI/F部130を操作して、乗車地点、降車地点等の情報を入力することにより、当該情報が送迎計画生成システム10に送信され、それにより当該予約情報が生成される。そして、予約情報は、送迎計画を生成するPDPエンジン(本実施形態では送迎計画生成システム10)に対して入力される入力パラメータとなる。すなわち、予約情報は、送迎計画生成システム10に訪問順序を含む送迎計画を生成させるための情報である。図2Aに示されるように、予約情報には、利用者IDと、乗車地点と、降車地点と、乗車希望時刻と、降車希望時刻と、人数と、が含まれている。なお、この図2に示す例では、乗車希望時刻と降車希望時刻とが指定されているものの、これら乗車と降車との希望時刻は少なくとも一方の希望時刻が指定されていればよい。利用者は、何時に乗車地点で乗りたい、または、何時に降車地点で降りたい(言い換えれば目的地に何時に着きたい)、または、何時に乗車地点を乗って何時に降車地点を降りたい、という要望が想定できるためである。
【0016】
利用者IDは、各利用者の識別情報を示し、図2Aに示すように、この利用者IDに乗車地点などの各種情報が対応付いている。
【0017】
乗車地点は、利用者が乗車する地点であり、図2Aに示すように、S(X,Y)などの乗車地点の識別情報(S)と座標(X,Y)とが対応付いている。
【0018】
降車地点は、利用者の降車する地点(すなわち目的地)である。降車地点は、乗車地点と同様、D(X,Y)などの降車地点の識別情報(D)と座標(X,Y)とが対応付いている。
【0019】
乗車希望時刻は、利用者が乗車地点で乗車を希望する時間であって、例えば利用者ID「001」には、「8:30」の乗車希望時刻が対応付いている。また、降車希望時刻は、利用者が降車地点で降車を希望する時間であって、例えば利用者ID「001」には、「9:30」の降車希望時刻が対応付いている。
【0020】
人数は、図2Aにおいて「2人」、「1人」、「3人」などと示しているように、各乗車地点において乗車する予定の人数を示している。なお、降車地点で降りる人数は定義されていないものの、本実施形態においては、利用者毎に乗車人数と降車人数とは同じとする。むろん、乗車する人数と同様に定義されてもよい。
【0021】
(1-2)管理者端末の構成:
管理者端末200は、送迎計画の管理を行う管理者が使用する端末である。管理者端末200は、利用者端末と同様、例えば、汎用コンピュータ、タブレット端末、携帯端末等で実現可能であり、CPU,RAM,ROM等を備える制御部210と、他の装置と通信を行うための通信部220を備えている。また、管理者端末200は、管理者に対して各種の情報を提供し、管理者の入力を受け付けるためのユーザI/F部230を備えている。ユーザI/F部230の構成は、管理者の入力を受け付ける他、管理者に各種の情報を提供するための、図示しないタッチパネル等のディスプレイからなる表示部やスイッチ等の入力部、スピーカ等の音声出力部を備えている。
【0022】
本実施形態において制御部210は、通信部220を介して送迎計画生成システム10と通信を行うことができる。制御部210は、送迎計画生成システム10で生成された訪問順序を含む送迎計画を取得し、当該取得した送迎計画をユーザI/F部230の表示部に表示する。なお、管理者端末200が取得する送迎計画は、上述の利用者端末100に送信される送迎計画のように、利用者毎の送迎計画ではなく、利用者全ての送迎計画を含む。管理者端末200は送迎計画を管理する管理者が使用するものであるから、利用者全ての送迎計画が把握できることが好ましいためである。そして、当該取得した送迎計画は送迎計画情報240aとして記録媒体240に記録される。
【0023】
(1-3)車載端末の構成:
車載端末300は、送迎車両の運転者のそれぞれが使用する端末であり、車載端末300は、例えば車両に搭載されている端末や運転者自身が携帯する携帯端末等で実現される。車載端末300は、CPU,RAM,ROM等を備える制御部310、通信部320、ユーザI/F部330、および、記録媒体340を備えている。ユーザI/F部330は、運転者の指示を入力し、また運転者に各種の情報を提供するためのインタフェース部であり、図示しないタッチパネルディスプレイからなる表示部やスイッチ等の入力部、スピーカ等の音声出力部を備えている。
【0024】
本実施形態において制御部310は、通信部320を介して送迎計画生成システム10と通信を行うことができる。制御部310は、送迎計画生成システム10で生成された訪問順序を含む送迎計画の一部を取得し、当該取得した送迎計画および送迎計画に含まれる訪問順序および訪問経路をユーザI/F部330の表示部に表示する。表示部に表示される画面の詳細については後述する。なお、車載端末300が取得する送迎計画は、当該車載端末300が搭載された車両についての送迎計画である。つまり、車載端末300で取得される送迎計画は、他の送迎車両の送迎計画は含まれなくてもよい。そして、当該取得した送迎計画は送迎計画情報340aとして記録媒体340に記録される。
【0025】
なお、送迎計画情報340aは、車両の出発前に作業日の送迎計画情報340aが一括して送迎計画生成システム10から取得されてもよいし、必要になった段階で必要な情報が送迎計画生成システム10から順次、送信されてもよい。
【0026】
(1-4)送迎計画生成システムの構成:
送迎計画生成システム10は、CPU,RAM,ROM等を備える制御部20、記録媒体30、通信部40を備えている。通信部40は、上述の利用者端末100、管理者端末200、および、車載端末300と情報の授受を行う回路を備えている。制御部20は、通信部40を介してこれら利用者端末100、管理者端末200、および、車載端末300と通信を行うことができる。
【0027】
記録媒体30には、予約情報30aと、地図情報30bと、送迎計画情報30cと、が記録される。予約情報30aは、図2Aを参照しつつ説明したように、上述の各利用者の利用者端末100によって入力された情報が送迎計画生成システム10に対して送信されて生成されることにより、当該記録媒体30に記録される。なお、予約情報30aは各利用者から予約の情報が既定量集まることで生成されるなど、予め定められたタイミングで生成されてよい。
【0028】
地図情報30bは、乗車地点を訪問する訪問順序の決定などに利用される情報であり、送迎車両が走行する道路上に設定された、ノードの位置を示すノードデータ、ノード間の道路の形状を特定するための形状補間点の位置を示す形状補間点データ、ノード同士の連結を示すリンクデータ、道路やその周辺に存在する地物の位置や属性等を示す地物データ等を含んでいる。リンクデータにはリンクデータが示す道路区間毎のコストを示す情報が対応付けられている。地物は、経路の出発地および目的地になり得る。本実施形態において、当該地物を示すデータには、地物の属性(施設の種類等)が含まれている。本実施形態においては、これらの地物が利用者の乗車地点、降車地点、送迎車両の運転者の休憩地点となり得る。
【0029】
送迎計画情報30cは、訪問順序を含む送迎計画を生成するための条件を示す予約情報30aに基づいて生成される。具体的には、後述する制御部20が公知のアルゴリズムを用いて、各乗車地点および各降車地点を含む送迎地点への訪問順序、および、当該訪問経路を示す情報を送迎車両毎に生成し、送迎計画情報30cとして記録媒体30に記録する。
【0030】
図2Bは、送迎計画情報30cの一例を示す図である。送迎計画情報30cは、複数の送迎車両毎の送迎計画を示す情報であり、制御部20により予約情報30aに基づいて生成される。図2Bにおいては、複数の送迎車両のうち車両ID(T001)についての送迎計画情報を示している。車両IDは、送迎車両の識別情報である。
【0031】
本実施形態においては、出発地点Sと最終目的地Gとが同一であり、これらの地点は送迎車両の拠点(例えば送迎車両の駐車場)である。図2Bに示す例において、送迎車両の運転者は、出発地点Sから送迎先G1,G2,G3、さらに最終目的地Gという順で車両を移動させる。すなわち、送迎先の到達順序は、早い順にG1,G2,G3である。なお、送迎先G1,G2,G3は、それぞれ利用者が乗り降りする乗車地点にも降車地点にもなり得る。
【0032】
送迎先のそれぞれには、送迎先の識別情報(本実施形態においては地点名)が対応付けられている。また、送迎先のそれぞれには、各送迎先に到着する予定の時刻である到着時刻と、各送迎先から出発する予定の時刻である出発時刻と、各送迎先において利用者が乗車する人数である乗車人数と、各送迎先において利用者が降車する人数である降車人数と、が対応付けられている。図2Bに示す例では、少なくとも最初の送迎先である送迎先G1で2人乗車し、送迎先G2,G3の順に移動し、最終目的地Gに戻る際には、乗車人数は「0」になっている。
【0033】
さらに、送迎計画情報30cには、走行予定経路が含まれている。走行予定経路は、地図情報30bに基づいて各送迎先に対応付けられた駐車位置を目的地とした経路が探索されることによって得られた経路である。図2Bにおいては、走行予定経路がノードの順列である例が示されている(ノードはNx(xはノードを示す数値))。むろん、走行予定経路の定義は種々の定義であってよく、リンクの順列等であってもよい。なお、到着時刻は、走行予定経路に基づいて決定されてよい。
【0034】
本実施形態においては、送迎車両を利用する各利用者が利用者端末100を使用して、乗車地点や降車地点などの送迎の依頼に関する情報を入力することで当該情報が送迎計画生成システム10に送信され予約情報30aが生成される。そして、送迎計画生成システム10は、後述する制御部20により、当該予約情報30aおよび地図情報30bに基づいて、送迎計画情報30cを生成する。当該生成された送迎計画情報は、利用者端末100、および、管理者端末200と車載端末300との少なくとも一方に送信される。このような送迎計画情報の生成は一例であり、例えば、図2Bの少なくとも一部の情報が送迎計画生成システム10で生成され、残りの情報が他の装置や端末で生成されてもよい。
【0035】
制御部20は、記録媒体30やROMに記憶されたプログラムを実行することができる。本実施形態においては、このプログラムとして、送迎計画生成プログラム21を実行可能である。従来知られている送迎計画においては、PDPを解いて生成された運行中の送迎計画に対して、送迎車両を利用したい利用者から新規の予約が入った場合に、送迎車両の現在位置を取得して、当該送迎計画に対して新規の予約を受け入れる(すなわち組み込む)ことが可能か否かを判定する。一方、送迎車両の現在位置の情報を新規の予約が入る度に取得することは、当該送迎車両の運転者や送迎車両の利用者のプライバシーを侵害するおそれがある。そこで、本実施形態においては、送迎車両の現在位置の情報を用いずに、既存の送迎計画に新規の予約を受け入れ可能か否かを判定し、当該新規の予約を受け入れ可能である場合には、新規の予約を含む新たな送迎計画を生成する。送迎計画生成プログラム21は、当該送迎計画を生成するためのプログラムである。送迎計画生成プログラム21が実行されると、制御部20は、取得部21a、送迎計画生成部21b、表示制御部21cとして機能する。なお、以下において、取得部21a、送迎計画生成部21b、および、表示制御部21cが行うものとして記載する処理は、制御部20により実現される処理である。
【0036】
取得部21aは、乗車地点と、降車地点と、乗車地点における乗車希望時刻と、降車地点における降車希望時刻と、乗車人数と、を取得する機能である。すなわち、制御部20は、取得部21aの機能により、記録媒体30を参照して各利用者からの予約情報を取得する。当該予約情報は、各乗車地点の訪問順序を決定するためのパラメータであり、各利用者がユーザI/F部130を操作することで予約情報30aとして記録媒体30に記録される。
【0037】
送迎計画生成部21bは、各乗車地点への訪問順序を含む送迎計画を生成する機能である。本実施形態において、制御部20は、送迎計画生成部21bの機能により、予約情報30aおよび地図情報30bを参照し、PDPを解いて訪問順序を含む送迎計画を生成する。なお、訪問順序は、記録媒体30に記録されたコストテーブル(図示せず)を参照して、移動距離や移動時間のコストが最小化されるように決定される。また、制御部20は、送迎車両が、送迎車両における出発地点および送迎地点のうち少なくとも一つの地点を通過している状態(すなわち送迎計画を運行している状態)で、取得部21aの機能により新規の利用者から新規の予約情報である新規予約情報を取得した場合に、予約情報30aと新規予約情報とに基づいて、仮の送迎計画を生成する。すなわち、制御部20は、新規予約情報を考慮して、再度PDPを解いて、既存の送迎計画に新規の予約を組み込むことが可能か否かを判定する。なお、新規予約情報には、新規乗車地点、新規降車地点、および、新規乗車地点における新規乗車希望時刻と新規降車地点における新規降車希望時刻との少なくとも一方、ならびに、乗車人数の情報が含まれる。そして、制御部20は、生成した仮の送迎計画において、新規乗車地点が現在時刻から見て次に到着する地点である場合に、現在時刻の以後、仮の送迎計画に従って走行した場合に、新規乗車地点に到達するまでに要する最大時間である最大所要時間を算出する。
【0038】
さらに、制御部20は、現在時刻に算出した最大所要時間を加えた時刻が、新規予約情報に含まれる新規乗車希望時刻または新規降車希望時刻に対応した乗車時刻より前の時刻である場合に、当該新規予約情報を受け入れ、仮の送迎計画を新たな送迎計画とする。すなわち、制御部20は、新規予約情報に含まれる希望時刻が新規乗車希望時刻の場合には、現在時刻に最大所要時間を加えた時刻が新規乗車希望時刻より前である場合に、新規予約情報を受け入れて仮の送迎計画を新たな送迎計画とする。また、制御部20は、新規予約情報に含まれる希望時刻が新規降車希望時刻の場合には、現在時刻に最大所要時間を加えた時刻が当該新規降車希望時刻を満たすための乗車時刻より前である場合に、新規予約情報を受け入れて仮の送迎計画を新たな送迎計画とする。なお、新規予約情報に新規乗車希望時刻と新規降車希望時刻との両方が含まれる場合には、現在時刻に最大所要時間を加えた時刻が双方の希望時刻を満たす乗車時刻(すなわち新規乗車希望時刻および新規降車希望時刻に対応する乗車時刻)より前である場合に、新規予約情報を受け入れて仮の送迎計画を新たな送迎計画とする。
【0039】
また、制御部20は、送迎計画生成部21bの機能により、仮の送迎計画が、現在時刻において送迎車両に利用者が乗車しない計画である場合、上述の最大所要時間を算出する際に、現在時刻の前後に到着する地点と、送迎車両の運転者が休憩する休憩地点と、から選択された任意の地点を通って新規乗車地点まで走行した場合に要する最大時間を最大所要時間として算出する。これは、現在時刻において、送迎車両に利用者(すなわち客)が乗車していない場合には、運転者は休憩地点で休憩を取る可能性があり、その場合には、休憩地点に寄る時間を考慮して最大所要時間を算出することが好ましいためである。一方、制御部20は、仮の送迎計画が、現在時刻において送迎車両に利用者が乗車する計画である場合、上述の最大所要時間を算出する際に、現在時刻の前後に到着する地点から選択された任意の地点を通って新規乗車地点まで走行した場合に要する最大時間を最大所要時間として算出する。なお、現在時刻において、送迎車両に利用者が乗車している場合には、送迎車両に利用者が乗車していない場合とは異なり、利用者が乗車している間は休憩地点に寄る可能性はないので、休憩地点を考慮せずに現在時刻の前後に到着する地点を通って新規乗車地点まで走行した場合の最大所要時間を算出する。なお、送迎計画を生成するためのより具体的な態様については図3のフローチャートにて後述する。
【0040】
表示制御部21cは、送迎計画や新規の予約を受け入れた場合の新たな送迎計画を、利用者端末100、管理者端末200、および、車載端末300に表示させる機能である。すなわち制御部20は、表示制御部21cの機能により、送迎計画生成部21bで生成された送迎計画情報30cを参照し、訪問順序を含む送迎計画を各種端末の表示部に表示させる。また、制御部20は、表示制御部21cの機能により、送迎車両に利用者が乗車していない区間は、当該区間に対応付けて休憩地点を車載端末300に表示させる。また、制御部20は、表示制御部21cの機能により、送迎車両に利用者が乗車している区間は、当該区間に対応付けて前記休憩地点を車載端末300に表示させない。また、制御部20は、表示制御部21cの機能により、送迎計画情報30cおよび地図情報30bを参照し、各乗車地点と各降車地点を地図上に重畳させ、かつ訪問経路を描画した情報を管理者端末200や車載端末300に送信し、当該管理者端末200のユーザI/F部230の表示部や当該車載端末300のユーザI/F部330の表示部に当該訪問経路を含む地図を表示させる。具体的な態様については図3のフローチャートにて後述する。
【0041】
この構成によれば、送迎車両の現在位置の情報を取得しないで、既存の送迎計画に対して新規の予約を受け入れることが可能か否かを判定でき、新規の予約を受け入れることができると判定した場合には、新規の予約を含む新たな送迎計画を生成することができる。また、このように、送迎車両の現在位置を取得せずに、新たな送迎計画を生成できることにより、当該現在位置の取得を要因として、送迎車両の運転者や利用者のプライバシーを侵害する可能性を回避できる。
【0042】
(2)送迎計画生成処理:
つぎに、制御部20が実行する送迎計画生成処理について説明する。制御部20は、既存の送迎計画に対して新規の予約が入った場合に、この送迎計画生成処理を実行する。送迎計画生成処理は、既定のトリガに応じて実行開始される。既定のトリガは、例えば、送迎車両が出発地点、送迎地点(乗車地点、降車地点)のうち、少なくとも一つの地点を通過している状態で、制御部20が利用者から新規の予約を受信した場合である。なお、新規の予約は、新規の予約を行う利用者が利用者端末100のユーザI/F部130を操作するなどにより行われ、当該新規の予約が送迎計画生成システム10に送信される。また、この送迎計画生成処理が開始される前提として、上述のように、既存の送迎計画が立てられている。具体的には、利用者が利用者端末100のユーザI/F部130を操作して送迎車両の予約を行うことで、当該予約の情報が利用者端末100から送迎計画生成システム10に送信され、記録媒体30に予約情報30aとして記録される。送迎計画生成システム10の制御部20は、当該予約情報30aと地図情報30bとを参照して訪問順序を含む送迎計画を生成する。当該訪問順序は、移動時間や移動距離のコストが最小化されるように公知のアルゴリズムに用いたPDPを解くことで決定される。この際に、制御部20は、1台の送迎車両に乗車可能な最大人数、および、使用可能な送迎車両の上限台数を制約条件とし、制約条件を満たさない訪問順序はコストが小さくなっても除外する。このようにして決定した訪問順序を含む送迎計画が送迎計画情報30cとして記録媒体30に記録される。なお、PDPは、移動に要するコストを評価する目的関数を定義し、各種の制約条件内で当該コストが小さくなるように解を決定する問題であり、種々のアルゴリズムを採用可能である。例えば制御部20は、記録媒体30に記録された2地点間の移動に要するコストを定義したコストテーブル(図示せず)、および、取得部21aの機能により取得した予約情報30a、および、地図情報30bを参照して、移動時間と移動距離との少なくとも一方のコストを最小化するように公知のアルゴリズムにより訪問順序を決定する。
【0043】
なお、上記のコストテーブルや上記の制約条件を示す情報等は、図示しないが予め記録媒体30に記録されているものとする。コストテーブルは、地点間の移動に要する負荷を評価した情報であり、この移動に要するコストの値が大きいほど負荷が大きい。この移動に要するコストは、例えば、地点間の移動に要する時間や地点間の距離等に対応した値である。本実施形態においては、地点は、乗車地点、降車地点、休憩地点であり、すなわち複数の乗車地点、降車地、および、休憩地点の中から任意の2個の地点を選択して得られる組み合わせの全てについて、地点間の移動に関する所要時間、移動距離に対応したコストが定義される。
【0044】
図3に示すように、送迎計画生成処理が開始されると、制御部20は、先ず、取得部21aの機能により、予約情報30aを参照して、新規の予約情報である新規予約情報を取得する(ステップS1)。新規予約情報は、既存の送迎計画と同様、利用者がユーザI/F部130を操作することで、新規乗車地点、新規降車地点、新規乗車地点における新規乗車希望時刻と新規降車地点における新規降車希望時刻との少なくとも一方の希望時刻、および、新規乗車地点における乗車人数、新規降車地点における降車人数が入力され、当該情報が利用者端末100から送迎計画生成システム10に送信されることで、記録媒体30に予約情報30aとして記録される。なお、新規予約情報に含まれる希望時刻が新規乗車希望時刻と新規降車希望時刻との少なくとも一方であるのは、利用者は、何時に乗車地点で乗りたい、または、何時に降車地点で降りたい(言い換えれば目的地に何時に着きたい)、または、何時に乗車地点を乗って何時に降車地点を降りたい、という要望が想定できるためである。制御部20は、ステップS1において、新規予約情報を取得したら処理をステップS2へ進める。
【0045】
ステップS2において、制御部20は、送迎計画生成部21bの機能により、ステップS1で取得した新規予約情報を考慮して、仮の送迎計画を生成する。すなわち、制御部20は、再度PDPを解いて、既存の送迎計画に、新規の予約を組み込むことが可能か否かを判定する。なお、このステップS2においては、あくまで既存の送迎計画に新規の予約を組み込めるか否かを判定するのであって、現在時刻や送迎車両の現在位置は考慮しない。また、制御部20は、このステップS2において、PDPを解く際に、既存の送迎計画における乗車時刻、乗車順序、降車時刻、降車順序と、新規予約情報が示す乗車希望時刻、降車希望時刻を入力パラメータとし、乗り降りの順序や乗り降りの時刻に制約条件を課す。例えば、既存の送迎計画における乗車時刻、乗車順序は固定し、既存の送迎計画における降車順序、降車時刻、および、新規予約情報が示す乗車希望時刻、降車希望時刻は、既定範囲内で変動してもよい制約条件を課す。なお、時刻に対する既定範囲は、例えば既定時刻や希望時刻から前後15分以内などの制約条件を課す。制御部20は、このようにして仮の送迎計画を生成したら、処理をステップS3に進める。
【0046】
制御部20は、ステップS3において、ステップS2で生成した仮の送迎計画が成立ししたかの判定を行う。すなわち、制御部20は、送迎計画生成部21bの機能により、再度PDPを解いた結果、既存の送迎計画に新規の予約を組み込むことができたかの判定を行う。制御部20は、このステップS3において、新規予約情報を考慮して再度PDPを解いた結果、少なくとも1つの解が得られた場合には、仮の送迎計画が成立したと見なす。一方、制御部20は、新規予約情報を考慮して再度PDPを解いた結果、1つの解も得られない場合には、仮の送迎計画は不成立であると見なす。このステップS3において、否定的に判定された場合、すなわち既存の送迎計画に新規の予約を組み込むことができないと判定した場合には、制御部20は、処理をステップS4に進める。
【0047】
ステップS4において、制御部20は、表示制御部21cの機能により、新規の予約の受け入れが拒否された旨を利用者端末100に送信して、当該旨の情報をユーザI/F部130の表示部に表示させる。つまり、制御部20は、通信部40を介して新規の予約受け入れ拒否の旨の通知を利用者端末100に行う。それとは反対に、上述のステップS3で肯定的に判定された場合、すなわち既存の送迎計画に新規の予約を組み込むことができると判定した場合には、制御部20は、処理をステップS5に進める。
【0048】
ステップS5において、制御部20は、送迎計画生成部21bの機能により、現在時刻から見て次の到着地点が新規乗車地点であるか否かを判定する。ステップS3で成立すると判定した仮の送迎計画は、現在位置および現在時刻を考慮してPDPを解いた送迎計画ではないため、現在時刻から見て次の予約が新規の予約の新規乗車地点である場合、新規の予約を即時に受け入れ可能かが不明である。具体的には、PDPを解いてステップS3で仮の送迎計画が成立すると判定したと言うことは、既存の送迎計画における各送迎地点(乗車地点、降車地点)については元の送迎計画からほぼずれていないことになる(ずれるとしても制約条件の範囲である)。したがって、仮に現在時刻の次の到着地点が既存の送迎計画における地点である場合には、既存の送迎計画で送迎が間に合っていたはずなので、ステップS2で解いたPDPでも間に合うことになる。つまり、現在時刻の次の地点が既存の送迎計画の地点であると言うことは、新規予約情報に含まれる地点は、当該次の地点よりさらに先の予定となるから、この状態でステップS2におけるPDPが解けたと言うことは、新規予約情報の地点を含む全ての地点の送迎が間に合うことになる。
【0049】
一方、現在時刻の次の地点が新規予約情報における新規乗車地点である場合には、新規乗車地点での送迎に間に合うかどうか分からないことになる。そのため、本実施形態においては、制御部20は、現在時刻から見て次の到着地点が新規乗車地点であるか否かを判定する。つまり、現在時刻から見て次の予約が新規の予約に関する事項である場合、送迎車両の現在位置が不明であるため次の予約に間に合うか否かを判定できない。なお、現在時刻から見て次の到着地点が新規乗車地点であるかの判定は、制御部20は、仮の送迎計画を参照し、現在時刻より先(未来)であって、現在時刻から最も近い時刻に対応付けられた地点を特定し、当該地点が新規乗車希望時刻であれば、現在時刻から見て次の予約が新規乗車地点であると判定する。すなわち仮の送迎計画においては、乗車地点、降車地点の各地点に対して到着時刻、出発時刻が対応付けられているため、制御部20は、当該仮の送迎計画を参照して、現在時刻から最も近い時刻に対応付けられた地点を特定することで、次の到着地点が新規乗車地点予約であるかの判定ができる。
【0050】
このステップS5で肯定的に判断された場合、すなわち現在時刻から見て次の予約が新規乗車地点である場合、制御部20は、処理をステップS6へ進め、現在時刻を考慮して新規の予約の受け入れが可能か否かを判定する。一方、このステップS5で否定的に判断された場合、すなわち現在時刻から見て次の予約が新規乗車地点でない場合には、上述のように、新規予約情報に含まれる地点は、当該次の地点よりさらに先となるから、仮の送迎計画で新規の予約を受け入れ可能と見なし、制御部20は、処理をステップS7に進める。ステップS7については後述する。
【0051】
ステップS6において、制御部20は、送迎計画生成部21bの機能により、新規の予約の受け入れが可能か否かを判定する。具体的には、制御部20は、現在時刻以後、仮の送迎計画に従って送迎車両が走行した場合に、新規乗車地点に到着するまでに要する最大時間である最大所要時間を算出する。そして、制御部20は、現在時刻に算出した最大所要時間を加えた時刻が、新規予約情報に含まれる新規乗車希望時刻または新規降車希望時刻に対応した乗車時刻より前の時刻である場合に、当該新規予約情報を受け入れ、仮の送迎計画を新たな送迎計画とする。なお、送迎車両の運転者は、運転中や勤務中に休憩することがある。休憩地点は、予め所定のエリアにて複数箇所(例えば3,4箇所)決められており、地図情報30bに地物データとして対応付いている。使用する休憩地点は、休憩地点を行き来する距離や時間を短くするために、複数存在する候補休憩地点のうち乗車地点と降車地点とから最小コストで行くことが可能な地点が選択される。そして、新規乗車地点までの最大所要時間は、ステップS2で生成した仮の送迎計画において、利用者が乗車しない計画と、利両者が乗車する計画とで異なる。利用者が乗車しない計画とは、仮の送迎計画で現在時刻の直前の地点が、降車地点であり、その降車地点で全ての利用者が降車した場合の計画を意味する。つまり、直前の地点が降車地点であっても、送迎車両が乗合車両であれば一部の利用者が降車したのみで他の一部の利用者は継続して乗っている場合には、当該乗車しない計画には該当しない。なお、送迎車両がタクシーのような乗合車両でない場合には、現在時刻の直前の地点が降車地点の場合には、当該計画は乗車しない計画に該当する。また、利用者が乗車する計画とは、仮の送迎計画で現在時刻の直前の地点が乗車地点、または、当該直前の地点が降車地点であるが、送迎車両が乗合車両であり、一部の利用者が降車し、一部の利用者が継続して乗っている場合の計画を意味する。
【0052】
制御部20は、仮の送迎計画において利用者が乗車しない計画である場合には、地図情報30bを参照して、現在時刻の前後に到着する地点と、休憩地点とから選択された任意の地点を通って新規乗車地点まで走行した場合の所要時間を全て求めて、最大所要時間を算出する。より具体的には、既存の送迎計画において、地点Aから地点Cに利用者を送迎する送迎計画を運行中に、地点Aと地点Cとの間に存在する地点Bを新規乗車地点とする新規の予約が入った場合を想定し、当該地点Bまでの最大所要時間を算出すると仮定する。この場合において、現在、送迎車両が位置する可能性がある地点としては、地点A、地点C、休憩地点、地点Aから地点Cに移動中の地点、地点Aから休憩地点に移動中の地点、休憩地点から地点Cに移動中の地点の6パターンである。制御部20は、この6パターンについて、それぞれ新規乗車地点である地点Bまでの所要時間を算出する。なお、送迎車両が地点A、地点C、休憩地点に位置する場合には、それぞれの地点と地点Bとの2地点間を移動する際の所要時間を算出する。一方、送迎車両が移動中(例えば地点Aから地点Cに移動中)の場合には、送迎車両の現在位置が不明であるため、最大所要時間という意味で地点Aを起点とし、移動先である地点Cを経由して地点Bに移動(すなわち地点A→地点C→地点Bの順に移動)する際の所要時間を算出する。また、所要時間は、距離を車速で除算することで求められるが、その際の車速は、送迎車両の平均車速などを用いてよい。制御部20は、このようにして算出した6パターンの所要時間のうち最大の時間を最大所要時間とする。
【0053】
なお、上述のように、最大所要時間を算出する際に、制御部20は、6パターンの所要時間を算出してもよいが、経由地点が存在する場合には、必然的に経由地点を通る経路が最大所要時間となる。したがって、仮の送迎計画において、利用者が乗車しない計画である場合には、制御部20は、実質的に、送迎車両が位置する可能性がある地点を、地点Aから地点Cに移動中の地点、地点Aから休憩地点に移動中の地点、休憩地点から地点Cに移動中の地点、とする3パターンについて、地点Bまでの所要時間を算出し、当該3パターンのうちの最大の所要時間を最大所要時間とすればよい。
【0054】
また、制御部20は、仮の送迎計画において利用者が乗車する計画である場合、地図情報30bを参照して、現在時刻の前後に到着する地点から選択された任意の地点を通って新規乗車地点まで走行した場合の所要時間を全て求めて、最大所要時間を算出する。より具体的には、仮の送迎計画において利用者が乗車しない計画と同様の条件を想定して、地点Bまでの最大所要時間を算出すると仮定する。この場合には、利用者が乗車しているため、休憩地点は、現在、送迎車両が位置する点からは除かれる。したがって、送迎車両が位置する可能性がある地点としては、地点A、地点C、地点Aから地点Cに移動中の地点の3パターンとなる。制御部20は、この3パターンについてのそれぞれ新規乗車地点である地点Bまでの所要時間を算出し、当該算出した所要時間のうちの最大時間を最大所要時間とする。なお、このように、最大所要時間を算出する際に、制御部20は、3パターンの所要時間を算出してもよいが、経由地点が存在する場合には、必然的に経由地点を通る経路が最大所要時間となる。したがって、仮の送迎計画において、利用者が乗車する計画である場合には、制御部20は、実質的に、送迎車両が位置する可能性がある地点を、地点Aから地点Cに移動中の地点とする1パターンについて、地点Bまでの所要時間を算出すればよい。
【0055】
そして、制御部20は、利用者が乗車する計画の場合と、利用者が乗車しない計画との一方の計画において、現在時刻に算出した最大所要時間を加えた時刻が、新規予約情報に含まれる新規乗車希望時刻または新規降車希望時刻に対応した乗車時刻より前の時刻である場合に、当該新規予約情報を受け入れ、仮の送迎計画を新たな送迎計画とする。すなわち、制御部20は、新規予約情報に含まれる希望時刻が新規乗車希望時刻の場合には、現在時刻に最大所要時間を加えた時刻が新規乗車希望時刻より前である場合に、新規予約情報を受け入れて、仮の送迎計画を新たな送迎計画とする。また、制御部20は、新規予約情報に含まれる希望時刻が新規降車希望時刻の場合には、現在時刻に最大所要時間を加えた時刻が当該新規降車希望時刻を満たすための乗車時刻より前である場合に、新規予約情報を受け入れて仮の送迎計画を新たな送迎計画とする。なお、新規予約情報に新規乗車希望時刻と新規降車希望時刻との両方が含まれる場合には、現在時刻に最大所要時間を加えた時刻が双方の希望時刻を満たす乗車時刻(すなわち新規乗車希望時刻および新規降車希望時刻に対応する乗車時刻)より前である場合に、新規予約情報を受け入れて仮の送迎計画を新たな送迎計画とする。制御部20は、ステップS6において、肯定的に判断された場合、すなわち新規の予約の受け入れが可能であると判定した場合には、処理をステップS7に進める。
【0056】
ステップS7において、制御部20は、ステップS6で新規の予約を受け入れ可能と判定することで生成した新たな送迎計画を、表示制御部21cの機能により、利用者端末100、および、車載端末300に送信し、それぞれの表示部に当該新たな送迎計画を表示させる。すなわち制御部20は、表示制御部21cの機能により、通信部40を介して、訪問順序を含む送迎計画情報30cを利用者端末100および車載端末300に送信する。この結果、利用者(すなわち送迎車両の予約者)、および、送迎車両の運転者は、訪問順序を含む送迎計画を認識することができる。なお、車載端末300に送信される新たな送迎計画は、当該車載端末300が搭載された送迎車両における送迎計画が送信されればよい。すなわち他の送迎車両における送迎計画は送信されなくてもよい。また、車載端末300への新たな送迎計画の表示は、管理者端末200を介して行われてもよい。すなわち、制御部20から新たな送迎計画が管理者端末200に送信され、管理者端末200を介して車載端末300に当該送迎計画が送信されることで車載端末300への表示がされてもよい。
【0057】
また、車載端末300への新たな送迎計画の表示は、単に訪問順序(地点A→地点B→地点Cのような)を表示部に表示してもよいが、図4のように、訪問経路を併せて表示することが好ましい。図4は、地点Aおよび地点Cを既存の送迎計画における送迎地点(乗車地点および降車地点)、地点Bを新規乗車地点とし、現在時刻の直前の地点が、降車地点(地点A)であり、その降車地点で全ての利用者が降車している場合の例である。なお、図4において、太線で示された実線、破線の各線と矢印とが送迎車両の訪問経路を示し、「●」が乗車地点、降車地点、休憩地点を示している。図4に示す例では、地点Aで全ての利用者が降車していることから、運転者が休憩する可能性があるため、地点Aと地点Cとの間には休憩地点が示されている。制御部20は、表示制御部21cの機能により、利用者が乗車しない区間においては、当該区間に対応付けて休憩地点を車載端末に表示させ、利用者が乗車している区間は、当該区間に対応付けて休憩地点を表示させない。すなわち、制御部20は、表示制御部21cの機能により、予約情報30a、および、地図情報30bに基づいて、乗車位置、降車位置、休憩地点等を特定し、これら地点を地図に重畳させて表示させる。なお、訪問経路は、外部の経路探索サーバ(図示せず)より決定され、訪問順序決定システムに送信される。経路探索サーバは、2地点間を最小の移動コストで移動可能な経路を例えば、ダイクストラ法、A*アルゴリズム、または、これらの改良型アルゴリズムなどの公知のアルゴリズムによって探索するサーバである。
【0058】
また、上述のように、ステップS5で否定的に判断された場合にも、当該ステップS7の処理が実行される。すなわちステップS5で、現在時刻から見て次の予約が新規乗車地点でない場合には、制御部20は、ステップS3で成立すると判定した仮の送迎計画で新規の予約を受け入れ可能と見なす。その場合には、制御部20は、表示制御部21cの機能により、ステップS6で肯定的に判断された場合と同様に、仮の送迎計画を新たな送迎計画とし、当該新たな送迎計画を利用者端末100および車載端末300に送信するとともに、それぞれの表示部に当該新たな送迎計画を表示させる。
【0059】
なお、上述のステップS6において、新規の予約を受け入れることができず、否定的に判断された場合には、制御部20は、処理をステップS4に進める。すなわち、制御部20は、現在時刻に算出した最大所要時間を加えた時刻が、新規予約情報に含まれる新規乗車希望時刻または新規降車希望時刻に対応した乗車時刻以後の時刻である場合には、新規の予約を受け入れ不可と判定し、ステップS4にて、新規の予約の受け入れが拒否された旨を利用者端末100に送信し、当該旨の情報をユーザI/F部130の表示部に表示させる。
【0060】
以上のように、本実施形態においては、車両の現在位置の情報を取得せずに、既存の送迎計画に新規の予約を受け入れ可能か否かを判定する。すなわち、制御部20は、新規乗車地点、新規降車地点、新規乗車地点における新規乗車希望時刻と前記新規降車地点における新規降車希望時刻との少なくとも一方を含む新規予約情報を取得した場合に、既存の送迎計画における予約情報と当該新規予約情報とに基づいて、仮の送迎計画を生成する。そして、制御部20は、仮の送迎計画において、新規乗車地点が現在時刻から見て次に到着する地点である場合に、現在時刻の以後、仮の送迎計画に従って走行した場合に、新規乗車地点に到達するまでに要する最大所要時間を現在時刻に加えた時刻が、新規乗車希望時刻または新規降車希望時刻に対応した乗車時刻より前の時刻である場合に、新規の予約を受け入れ可能と判定する。つまり、送迎車両の現在位置を取得しないことから、新規予約情報を考慮した仮の送迎計画に対して、現在時刻を基準とし、当該現在時刻から最も時間を要する場合であっても新規予約情報における希望時刻に間に合うか否かの判定をすることで、新規の予約を受け入れ可能かの判定を行う。これにより、送迎車両の現在位置を取得しない場合であっても、新規の予約を受け入れ可能かの判定を正確に行うことができる。そして、このように、送迎車両の現在位置を取得しないで(言い換えれば現在位置を用いずに)、新規の予約を受け入れ可能かの判定ができることにより、当該現在位置の取得を要因として送迎車両の運転者や送迎車両の利用者のプライバシーを侵害することを回避できる。
【0061】
また、本実施形態において、制御部20は、最大所要時間を算出する際に、仮の送迎計画が、現在時刻において送迎車両に利用者が乗車しない計画である場合、現在時刻の前後に到着する地点と、送迎車両の運転者が休憩する休憩地点と、から選択された任意の地点を通って新規乗車地点まで走行した場合に要する最大時間を算出する。つまり、上述のステップS6で説明したように、6パターンの所要時間のうちの最大時間を最大所要時間とする。なお、上述のように、仮の送迎計画が送迎車両に利用者が乗車しない計画である場合には、最大所要時間は、実質的には地点間を移動中であって、移動先を経由地点とする3パターンから算出することができる。一方、制御部20は、最大所要時間を算出する際に、仮の送迎計画が、現在時刻において送迎車両に利用者が乗車する計画である場合、現在時刻の前後に到着する地点から選択された任意の地点を通って新規乗車地点まで走行した場合に要する最大時間を算出する。つまり、上述のステップS6で説明したように、3パターンの所要時間のうちの最大時間を最大所要時間とする。なお、上述のように、仮の送迎計画が送迎車両に利用者が乗車する計画である場合には、最大所要時間は、実質的には地点間を移動中であって、移動先を経由地点とする1パターンから算出することができる。このように、所定の地点から新規乗車地点(例えば地点A→新規乗車地点である地点B)および、所定の地点から経由地点を通って新規乗車地点(例えば地点A→休憩地点→新規乗車地点である地点B)までの想定し得る全ての地点から新規乗車地点までの所要時間を算出することで、例えば経由地点を考慮しないで新規乗車地点までの所要時間を算出する場合に比べて、新規乗車地点での乗車希望時刻に間に合うか否かの判定を正確に行うことができる。言い換えれば、新規の予約を受け入れ可能かの判断の精度を向上させることができる。
【0062】
また、本実施形態において、制御部20は、生成された新たな送迎計画を、管理者端末200と車載端末300との少なくとも一方の表示部に表示させる。これにより、送迎計画を管理する管理者や車載端末300が搭載された送迎車両の運転者は、生成された送迎計画を視覚的に認識することができる。また、本実施形態においては、制御部20は、送迎計画における訪問順序に加えて訪問経路を車載端末300に表示部に表示させる。これにより、送迎車両の運転者は訪問順序に加えて訪問経路を認識することができる。また、制御部20は、送迎計画における訪問順序を表示させる際に、送迎車両に利用者が乗車していない区間は、当該区間に対応付けて休憩地点を車載端末300に表示させ、送迎車両に利用者が乗車している区間は、当該区間に対応付けて休憩地点を車載端末300に表示させない。すなわち、利用者が乗車していない区間は、運転者が休憩する可能性があるため、当該区間に対応付けて休憩地点を表示させる。これにより、例えば運転者は、休憩する際に、自ら休憩地点を検索等しなくても容易に休憩地点を見つけることが可能となる。一方、利用者が乗車している区間は、運転者が休憩する可能性はないため、当該区間に対応付けて休憩地点を表示させない。これにより、休憩できない状況においては当該休憩地点の表示がされないことになるので、例えば、当該休憩できない状況を含めて常に当該休憩地点の表示がされる場合に比べて、運転者に対して不要な情報の表示をさせることを抑制できる。
【0063】
また、本実施形態において、休憩地点は、複数存在する候補休憩地点のうち乗車地点と降車地点とから最小コストで行くことが可能な地点である。このように休憩地点として、2地点間から最小コストで行くことが可能な地点が選択されることで、例えば、複数存在する候補地点のうち最も遠い地点が選択される場合に比べて、休憩地点に行き来する時間や距離が増大することを回避できる。また、このように候補地点のうち最小コストで行くことが可能な地点が選択されることで、最小コストで行くことができない他の地点を選択した場合に比べて、休憩地点を行き来する時間が短縮できるので、送迎可能な利用者の数を増大させることができる。
【0064】
また、本実施形態において、制御部20は、生成された新たな送迎計画を利用者端末100に表示させる。これにより、利用者(すなわち予約者)は、自身の送迎計画を認識することができる。
【0065】
(3)他の実施形態:
以上の実施形態は本発明を実施するための一例であり、他にも種々の実施形態を採用可能である。例えば、上述の実施形態においては、送迎車両の運転者のプライバシーの保護の観点から送迎車両の現在位置を取得せずに、既存の送迎計画に対して新規の予約を受け入れ可能か否かを判定した。これはあくまで、上述の送迎計画生成処理を行う際に、送迎車両の現在位置を用いずに、新規の予約の受け入れが可能か否かを判定できればよい。したがって、送迎車両が例えばGNSS受信部等により現在位置を取得できる機能を備えていてもよい。その場合には、送迎車両は、送迎計画生成システム10に現在位置の情報を送信しなければよい。言い換えれば、送迎計画生成システム10は送迎車両の現在位置を取得しなければよい。
【0066】
また、上述の実施形態において、制御部20は、仮の送迎計画を生成する際のPDPにおいて、乗り降りの順序や乗り降りの時刻に制約条件を課したが、この制約条件の内容は、送迎するシチュエーションによって適宜変更してもよい。例えば送迎先が駅(あるいは駅が含まれる)であるような場合には、降車時間が遅れることは許容できない可能性が高いので、その場合には、例えば降車時間に対して遅れることは許容しないが、早く到着することは許容する制約条件とする。また、上述の実施形態においては、既存の送迎計画に対して、このような乗り降りの順序や乗り降りの時刻に制約条件を課していないものとして説明したが、既存の送迎計画に対しても乗り降りの順序や乗り降りの時刻の制約条件を課してもよい。
【0067】
また、上述の実施形態を構成する各システムは、機能を共有したより少ない装置で構成されてもよい。このような例としては、図1に示す少なくとも1台のシステムが、他の1台以上のシステムと同一の装置で構成される例が挙げられる。例えば、送迎計画生成システム10と利用者端末100とが一体の装置で構成されていてもよいし、送迎計画生成システム10と管理者端末200とが一体の装置で構成されてもよいし、送迎計画生成システム10と車載端末300とが一体の装置で構成されていてもよいし、利用者端末100と管理者端末200とが一体の装置で構成されていてもよいし、利用者端末100と車載端末300とが一体の装置で構成されていてもよいし、管理者端末200と車載端末300とが一体の装置で構成されていてもよい。また、送迎計画生成システム10の一部(取得部21a、送迎計画生成部21b、表示制御部21cの少なくとも一部)の機能が送迎計画生成システム10で実現されてもよい。さらに、図1に示すシステムがより多数のシステムで構成されてもよい。例えば、送迎計画生成システム10、利用者端末100、管理者端末200、車載端末300の少なくとも一部がクラウドサーバで構成されてもよい。
【0068】
また、送迎計画生成システム10を構成する各部(取得部21a、送迎計画生成部21b、表示制御部21c)の少なくとも一部が複数の装置に分かれて存在していてもよい。さらに、上述の実施形態の一部の構成が省略される構成や、処理が変動または省略される構成も想定し得る。
【0069】
さらに、本発明の手法は、プログラムや方法としても適用可能である。また、以上のようなシステム、プログラム、方法は、単独の装置として実現される場合もあれば、車両に備えられる各部と共有の部品を利用して実現される場合もあり、各種の態様を含むものである。また、一部がソフトウェアであり一部がハードウェアであったりするなど、適宜、変更可能である。さらに、システムを制御するプログラムの記録媒体としても発明は成立する。むろん、そのプログラムの記録媒体は、磁気記録媒体であってもよいし半導体メモリであってもよいし、今後開発されるいかなる記録媒体においても全く同様に考えることができる。
【符号の説明】
【0070】
10…送迎計画生成システム、20…制御部、21…送迎計画生成プログラム、21a…取得部、21b…送迎計画生成部、21c…表示制御部、30…記録媒体、30a…予約情報、30b…地図情報、30c…送迎計画情報、40…通信部、100…利用者端末、110…制御部、120…通信部、130…ユーザI/F部、140…記録媒体、140a…送迎計画情報、200…管理者端末、210…制御部、220…通信部、230…ユーザI/F部、240…記録媒体、240a…送迎計画情報、300…車載端末、310…制御部、320…通信部、330…ユーザI/F部、340…記録媒体、340a…送迎計画情報。
図1
図2
図3
図4