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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024106423
(43)【公開日】2024-08-08
(54)【発明の名称】栽培物切断装置
(51)【国際特許分類】
   A01G 18/70 20180101AFI20240801BHJP
   B26D 3/26 20060101ALI20240801BHJP
   B26D 7/26 20060101ALI20240801BHJP
   A01G 3/00 20060101ALI20240801BHJP
   A01D 45/26 20060101ALI20240801BHJP
   B26D 7/08 20060101ALN20240801BHJP
【FI】
A01G18/70
B26D3/26 605A
B26D7/26
A01G3/00 Z
A01D45/26
B26D7/08 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023010660
(22)【出願日】2023-01-27
(71)【出願人】
【識別番号】000242024
【氏名又は名称】株式会社北研
(74)【代理人】
【識別番号】100129056
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 信雄
(72)【発明者】
【氏名】高橋 信
【テーマコード(参考)】
2B075
3C021
【Fターム(参考)】
2B075GA01
2B075GA05
3C021JA04
3C021JA08
(57)【要約】
【課題】必要な寸法と異なる汎用の刃を用いつつ、切断時に、茎が刃以外の箇所に当たることを防ぐ切断構造を備えた栽培物切断装置を提供する。
【解決手段】栽培瓶で栽培された栽培物を収穫する栽培物切断装置であって、平行四辺形の刃部を保持するホルダ部と複数の押え部とを備え、ホルダ部は、1本の腕部と、栽培瓶の間隔で腕部から突出した複数の舌状部を持ち、該舌状部の先端には刃保持部を備え、押え部は、ホルダ部に固定され、複数の刃部を該刃部の長手方向に並べ、隣り合う刃部の端辺同士を刃保持部と押え部で挟持し、刃部と腕部との間に隙間がある構成を採用した。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
栽培瓶で栽培された栽培物を収穫する栽培物切断装置であって、
平行四辺形の刃部を保持するホルダ部と複数の押え部とを備え、
ホルダ部は、1本の腕部と、栽培瓶の間隔で腕部から突出した複数の舌状部を持ち、該舌状部の先端には刃保持部を備え、
押え部は、ホルダ部に固定され、
複数の刃部を該刃部の長手方向に並べ、隣り合う刃部の端辺同士を刃保持部と押え部で挟持し、
刃部と腕部との間に隙間があることを特徴とする栽培物切断装置。
【請求項2】
前記刃部の刃先が栽培物の茎の切断中に、該栽培物の茎が前記ホルダ部の腕部に接触しないことを特徴とする請求項1に記載の栽培物切断装置。
【請求項3】
前記刃保持部と前記押え部で、前記刃部の端辺の少なくとも一部を挟持することを特徴とする請求項2に記載の栽培物切断装置。
【請求項4】
(刃保持部と刃部の寸法を規定しています)
少なくとも前記刃保持部の1つは、隣り合う前記刃部の端辺をすべて保持することを特徴とする請求項3に記載の栽培物切断装置。
【請求項5】
隣り合う前記刃部の端辺同士は、当接していることを特徴とする請求項2に記載の栽培物切断装置。
【請求項6】
前記刃保持部の間隔は、前記刃部の長手方向の1辺の長さよりも短いことを特徴とする請求項3に記載の栽培物切断装置。
【請求項7】
前記刃保持部又は前記押え部の先端に、前記刃部の刃先方向への移動を規制する縁部があることを特徴とする請求項2に記載の栽培物切断装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、瓶様の栽培容器(以下「栽培瓶」と表現する。)で栽培された植物、菌類等の栽培物の収穫時における栽培物の茎の切断に関し、詳しくは、栽培物の茎の切断の品質向上技術に関する。
尚、栽培瓶(瓶様の栽培容器)とは、独立した瓶様容器以外にも、容器を遮断物などで分割した容器なども含まれる。
また、説明の便宜上、栽培物の「切断部位」を「茎」と表現する。
【背景技術】
【0002】
従来、栽培瓶で栽培された植物、菌類等の栽培物を収穫するために、栽培物の茎を切断する際、くさび状の台座の先端に薄い刃を固定し切断していた。
しかし、植物やキノコの茎の太さによっては、切断が完了する前に、くさび部分に茎が当たってしまうことがあった。キノコの場合は、茎に割れ、ゆがみが出てしまうことがあった。野菜の場合は、切り口が不連続となり、見た目が悪くなるし、痛みも早くなることがあった。対応方法の1つとして、刃先を長くすることが考えられるが、加工精度が高くなるし、破損の可能性も高くなってしまうため、対応しにくかった。
また、茎部の切断の効率化のため、複数の栽培瓶の栽培物を一度に切断する場合、栽培瓶のサイズに合わせて、複数の刃を用いることになる。その際、複数の刃を並べると、栽培瓶の位置、サイズと合致した刃が必要であり、特別製となり、納期や在庫の管理等が煩雑であった。
そこで、必要な寸法と異なる汎用の刃を用いて、切断時に、茎が刃以外の箇所に当たることを防ぐ切断構造が求められていた。
【0003】
このような問題に対して、従来からも様々な技術が提案されている。例えば、栽培ビンで栽培されたキノコの不要な部分を容易に切断できるきのこ収穫装置(特許文献1参照)が提案され、公知技術となっている。より詳しくは、キノコ栽培ビンのビン口から上方に伸長、生育したキノコを、切断装置により、キノコの茎部で切断して収穫するキノコ収穫装置であって、切断装置は、各栽培ビンに対応した刃先を対向させて設けられ、刃部の進行方向に対して斜めの2つの刃先を有することが記載されている。
しかしながら、本先行技術による構造では、栽培ビンの寸法に適合した寸法の刃を用いなければならないため、未だ上記問題点の解決には至っていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015-119650号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記問題点に鑑み、必要な寸法と異なる汎用の刃を用いつつ、切断時に、茎が刃以外の箇所に当たることを防ぐ切断構造を備えた栽培物切断装置を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明は、栽培瓶で栽培された栽培物を収穫する栽培物切断装置であって、平行四辺形の刃部を保持するホルダ部と複数の押え部とを備え、ホルダ部は、1本の腕部と、栽培瓶の間隔で腕部から突出した複数の舌状部を持ち、該舌状部の先端には刃保持部を備え、押え部は、ホルダ部に固定され、複数の刃部を該刃部の長手方向に並べ、隣り合う刃部の端辺同士を刃保持部と押え部で挟持し、刃部と腕部との間に隙間がある手段を採る。
【0007】
また、本発明は、前記刃部の刃先が栽培物の茎の切断中に、該栽培物の茎が前記ホルダの腕部に接触しない手段を採る。
【0008】
さらに、本発明は、刃保持部と押え部で、刃部の端辺の少なくとも一部を挟持する手段を採る。
【0009】
またさらに、本発明は、少なくとも刃保持部の1つが、隣り合う刃部の端辺をすべて保持する手段を採る。
【0010】
さらにまた、本発明は、隣り合う刃部の端辺同士が、当接している手段を採る。
【0011】
またさらに、本発明は、刃保持部の間隔が、刃部の長手方向の1辺の長さよりも短い手段を採る。
【0012】
そしてまた、本発明は、刃保持部又は押え部の先端に、刃の刃先方向への移動を規制する縁部がある手段を採る。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る栽培物切断装置によれば、汎用の刃を用いて、栽培瓶の栽培物の茎を切断する際、茎が刃以外の箇所に当たらず、茎の割れやゆがみを生じにくくすることが可能であって、作業品質並びに作業効率の向上に資する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明に係る栽培物切断装置の実施形態を示す全体斜視図である。
図2】本発明に係る栽培物切断装置の実施形態を示す説明図である。
図3】本発明に係る栽培物切断装置の実施態様を示す説明図である。
図4】本発明に係る栽培物切断装置の実施態様を示す説明図である。
図5】本発明に係る栽培物切断装置の実施形態を示す説明図である。
図6】本発明に係る栽培物切断装置の他の実施形態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明に係る栽培物切断装置は、必要な寸法と異なる汎用の刃を用いて、切断時に、茎が刃以外の箇所に当たることを防ぐことができることを最大の特徴とする。
以下、本発明に係る栽培物切断装置の実施形態について、図面に基づき説明する。
なお、以下に示される栽培物切断装置の全体形状及び各部の形状は、下記に述べる実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内、即ち、同一の作用効果を発揮できる形状や寸法、構造等の範囲内で適宜変更することができるものである。
【0016】
図1から図6に従って、本発明を説明する。
図1は、本発明を斜め下から見た全体斜視図を示す。
図2は、本発明に係る栽培物切断装置の刃部とホルダ部と押え部の関係を示しており、(a)は分解図、(b)は上面図、(c)は断面図である。
図3は、本発明に係る栽培物切断装置の実施態様を示す説明図であり、(a)から(d)は本発明におけるキノコの切断工程、(e)から(h)は、従来におけるキノコの切断工程を示している。
図4は、本発明に係る栽培物切断装置の実施形態を示す説明図であり、(a)から(d)は本発明における野菜の切断工程、(e)から(h)は従来における野菜の切断工程を示している。
図5は、本発明に係る栽培物切断装置の刃部の保持構造を示す説明図であり、(a)、(b)、(c)はそれぞれ図2(b)のA、B、Cで示す刃保持部と刃部の位置関係を示している。
図6は、本発明に係る栽培物切断装置の他の実施形態を示しており、(a)はホルダの上面図、(b)はホルダと刃部の位置関係を示す図、(c)は刃保持部付近の断面図、(d)は刃部と刃保持部の関係を示す図、(e)は変形例として押え部を変形した例を示す断面図である。
【0017】
栽培物切断装置1は、栽培瓶で栽培された葉物などの野菜やキノコを収穫する収穫装置の一部を構成するものであり、野菜やキノコの茎を切断する装置である。
栽培物切断装置1を、図1に沿って説明する。図1は、栽培物切断装置の要部のみを描画した模式図である。
栽培物収穫装置において、栽培瓶60で栽培されたキノコ70や野菜75の茎71,76を切断する際、栽培瓶60を上下反転させて、切断するものである。図1は、切断の作業を下から見たものである。並んだ栽培瓶60を栽培瓶保持部12によって、反転させる。その後、切断部20を栽培瓶60の瓶口61に沿ってスライドさせていき、栽培物の茎71,76を切断していく。
栽培物切断装置1は、ホルダ駆動部10とホルダスライド用レール11と栽培瓶保持部12と切断部20を備える。
【0018】
栽培瓶保持部12は、栽培瓶60を保持する部分であり、複数の栽培瓶60を保持し、保持したまま栽培瓶60を反転して上下逆にして、栽培瓶60の瓶口61から伸びるキノコ70や野菜75などが下にぶら下がる形にする。
栽培瓶保持部12は、栽培瓶60を、例えば4行4列単位で一度に保持する。
ホルダスライド用レール11は、栽培物の茎71,76を切断する切断部20を移動させるレールであり、栽培瓶60の端から端まで切断部20を移動させるものである。
ホルダ駆動部10は、切断部20を、刃部50の長手方向に振動させるものである。刃部50で栽培物の茎71,76を切断する際、刃部50を長手方向に振動させることによって、スムーズに茎71,76を切断することができる。
振動幅は、例えば8mm程度である。
【0019】
切断部20は、栽培物の茎71,76を切断する部分である。一列に並んだ栽培瓶60のキノコ70や野菜75の茎71,76を、一度に切断する。
切断部20は、ホルダ部30と押え部40と刃部50から成る。
【0020】
ホルダ部30は、切断部20の本体部分であり、一列に並んだ栽培瓶60をカバーする長さを持つ。
ホルダ部30は、1本の腕部31と栽培瓶の間隔で、腕部から突出した複数の舌状部を持つ。腕部31は、棒状であり、ホルダ部30の主部分である。腕31の側面方向である栽培瓶60のキノコ70や野菜75を切断する方向に、突出した舌状部32を持つ。
刃部50と腕部31との間に隙間がある。舌状部32は、刃部50の端部分を保持し、刃部50を腕部31から隙間Gだけ離した位置に配置するためのものである。舌状部32は、栽培瓶60同士の間に位置するように配置されている。栽培瓶60が1列4つの場合、刃部50も4本必要である。舌状部32は、刃部50の端同士を挟み、保持するので、全部で5か所に配置される(図2(b))。
ホルダ部30は、押え部40によって刃部50を固定するためのビス用孔34を持つ。
舌状部32の先端部分には、刃部50を保持するために、刃部50の厚さ分の凹み部分を持つ刃保持部33が設けられている。他の部分と刃保持部33の間には段差部36があり、刃部50の位置決めができる。刃部50は、刃保持部33と押え部40によって挟まれるように保持される(図2(c))。
【0021】
押え部40は、複数あり、ホルダ部30と共に刃部50を保持するための部分であり、ホルダ部30に固定されている。概ね細く、短い棒状であり、ビス用孔41を持ち、ビス80で、舌状部32に固定されることで、刃部50を挟み、保持する(図2(a))。
【0022】
刃部50は、汎用の刃である。例えば、市販のカッター刃を使用する。刃部50は、刃先の先端部が鋭角や鈍角、直角を成す平行四辺形のものを用いる。
複数の刃部50を、刃部50の長手方向に並べ、隣り合う刃部50の端辺同士を、刃保持部33と押え部40で挟持する。
刃部50は、長手方向の辺で刃先側を刃先側辺51とし、刃先と反対側の辺をみね側辺52とする。先端方向の端辺を先端端辺53とし、元の側の端辺を基端端辺54とする。
本実施形態では、刃部50として、刃先の先端部が鋭角であって、刃先側辺51、みね側辺52の長さが100mm、幅18mmのものを使用した場合について例示している。刃先側辺51とみね側辺52のずれ幅は10mmであり、先端の角度は約60度である。
【0023】
図3に沿って、キノコ70の茎71の切断工程について説明する。
まず、図3(e)から(h)に沿って、従来の切断部90での切断過程を説明する。
従来の切断部90は、刃部50の刃先と反対側の辺を、くさび状の固定部であるくさび部分91で固定している形状である。刃部は、本実施形態と同等のものである。
従来の切断部90が、栽培瓶60の瓶口61付近を瓶口61に平行にスライドしていく(図3(e))。刃部50がキノコ70の茎71に当たり、茎71を水平に切断していく。ある程度以上、切断が進むと、茎71に、くさび部分91が当たる(図3(f))。
くさび部分91は、茎71を押し広げるため、茎71の切断面には、多くの亀裂が発生する(図3(g))。この状態で、茎71の切断が完了するので、キノコ70の茎71の切断面は、亀裂のある不連続な形となり、商品としての品質が大きく低下してしまう(図3(h))。
【0024】
次に、図3(a)から(d)に沿って、本実施形態の切断部20での切断過程を説明する。
刃部14は、長手方向の端辺である先端端辺53、基端端辺54にて、ホルダ部30に固定され、刃の中央部分については、みね側辺52と腕部31との間に、隙間Gが空いている。この隙間Gがあることで、刃先側辺51と腕部31との距離は、キノコ70の茎71よりも大きくなっている。
刃部50が、栽培瓶60の瓶口61付近を瓶口61に平行にスライドしていく(図3(a))。刃部50がキノコ70の茎71に当たり、茎71を水平に切断していく(図3(b))。
刃部50が茎71を切断していく際、刃部50の後ろの腕部31は、茎71から十分離れている。言い換えれば、刃部の刃先でキノコ70の茎71を切断している最中に、キノコ70の茎71が前記ホルダの腕に接触しない。従って、腕部31が茎71を圧迫したり、押し広げたりすることは無い(図3(c))。
腕部31が茎71に当たることなく、茎71の切断が完了するので、キノコ70の茎71の切断面は、亀裂の無いきれいな円形となり、商品としての品質が向上する(図3(d))。
【0025】
このように、本実施形態によれば、キノコ70の茎71を切断する際、茎71が刃以外の箇所に当たらず、茎71の割れやゆがみを生じにくくすることができ、品質の良いキノコ70を収穫することができる。
【0026】
図4に沿って、野菜75の茎76の切断工程について説明する。
野菜として、サニーレタスの例を示す。
まず、図4(e)から(h)に沿って、従来の切断部90での切断過程を説明する。
従来の切断部90は、刃部50の刃先と反対側の辺を、くさび状の固定部であるくさび部分91で固定している形状である。刃部は、本実施例と同等のものである。
従来の切断部90を、栽培瓶60の瓶口61付近を瓶口61に平行にスライドさせていく(図4(e))。刃部50が野菜75の茎76に当たり、茎76を水平に切断していく。ある程度以上、切断が進むと、茎76に、くさび部分91が当たる(図4(f))。
くさび部分91は、茎76を押し広げるため、茎76の切断面には、多くの亀裂が発生する(図4(g))。また、切断面が平坦にならず、見た目も悪くなる。この状態で、茎76の切断が完了するので、野菜75の茎76の切断面は、亀裂のある不連続な形となり、商品としての品質が大きく低下してしまう(図4(h))。
サニーレタスの例でいえば、切断面の変色が早くなってしまい、市場価値も下がってしまう。
【0027】
次に、図4(a)から(d)に沿って、本実施形態の切断部20での切断過程を説明する。
刃部14は、長手方向の端辺である先端端辺53、基端端辺54にて、ホルダ部30に固定され、刃の中央部分については、みね側辺52と腕部31との間に、隙間Gが空いている。この隙間があることで、刃先側辺51と腕部31との距離は、野菜75の茎76よりも大きくなっている。
刃部50が、栽培瓶60の瓶口61付近を瓶口61に平行にスライドしていく(図4(a))。刃部50が野菜75の茎76に当たり、茎76を水平に切断していく(図4(b))。
刃部50が茎76を切断していく際、刃部50の後ろの腕部31は、茎76から十分離れている。言い換えれば、刃部の刃先で野菜75の茎76を切断している最中に、野菜75の茎76が前記ホルダの腕に接触しない。従って、腕部31が茎76を圧迫したり、押し広げたりすることは無い(図4(c))。
腕部31が茎76に当たることなく、茎76の切断が完了するので、野菜75の茎76の切断面は、亀裂の無い平坦な切断面となり、商品としての品質が向上する(図4(d))。
【0028】
このように、本実施形態によれば、野菜75の茎76を切断する際、茎76が刃以外の箇所に当たらず、茎76の割れ、ゆがみが生じにくくすることができ、品質の良い野菜75を収穫することができる。
【0029】
図5に沿って、ホルダ部30の刃保持部33と刃部50との関係を説明する。
図5(a)は、図2(b)のAの刃保持部33付近を表している。同様に、図5(b)は、Bの刃保持部33付近を、図5(c)は、Cの刃保持部33付近を表している。
本実施形態の栽培瓶60の外径を例えば95mmとした場合、刃保持部33で保持される刃部50の長さも95mmであると最適である。しかし、刃部50の長さを95mmにするためには、専用の刃を用意することになり、作成に時間がかかるし、管理等も煩雑である。
そこで、本実施形態では、市販のカッター刃を用いることができる構造としている。ここでは、市販の長辺が100mmのカッター刃を用いる。全体として平行四辺形であり、刃のある刃先側辺51と、反対側の側辺であるみね側辺52との長手方向のずれ量は、約10mmである。
【0030】
栽培瓶が4列であるので、市販のカッター刃である刃部50は、4つ使用する。4つの刃部の端辺を、重なりなく、並べて、保持する。隣り合う刃部50同士は、当接してもいいし、一定の間隔を開けても良い。
対応する刃保持部33は、5つある。内3か所は、隣り合う2つの刃部50を保持する構造である。図5に、3か所の刃保持部33と、刃部50の位置関係を描いている。
刃保持部33の幅は10mmであり、刃部50の刃先側辺51とみね側辺52のずれ量も約10mmである。
【0031】
刃保持部33の間隔が95mmで、刃部50の長辺が100mmであるので、刃保持部33の間隔は、刃部50の長手方向の1辺の長さよりも短く、両方の寸法差は、5mmである。従って、刃保持部33に対する刃部50の端辺の位置は、各刃保持部33ごとに異なる。
5つの刃保持部33のうち中央となるBの刃保持部33で、刃部の位置を合わせ、左右の刃保持部33で、徐々に刃部の位置がずれるようにする。
中央のBの位置では、隣り合う刃部50の端辺は、同面積程度刃保持部33に配置される。挟持される面積は、R2とS2で、ほぼ同等である。
刃保持部33の幅は、100mmであり、刃部50は平行四辺形で、刃先側辺51とみね側辺52のずれ量も約10mmである。従って、刃部50の端辺は、刃保持部33の幅方向の一方の辺と他方の辺に接する型となる(図5(b))。
言い換えれば、刃保持部33の1つであるBの刃保持部33は、隣り合う刃部50の端辺をすべて保持している。
【0032】
Aの刃保持部33では、隣り合う刃部50と刃保持部33の位置関係がBと異なることになる。AとBとの間隔は95mmで、刃部50の長辺の長さは100mmであるので、5mm位置が移動する。そのため、刃部50の先端端辺53側の挟持面積S1が増え、基端端辺54側の挟持面積R1は減る。
R1側の挟持面積は小さいが、刃部50は、剛性が強く、基端端辺54が一部のみ乗る形でも刃部50の保持としては問題ない。また、基端端辺54は、段差部36に接しているので、キノコ70や野菜75を切断する際の力の一部は、段差部36で受けとめることもできる。
【0033】
同様の、Cの刃保持部33では、刃部50の先端端辺53側の挟持面積S3が減り、基端端辺54側の挟持面積R3は増える。
S3側の挟持面積は小さいが、刃部50は、剛性が強く、先端端辺53が一部のみ乗る形でも刃部50の保持としては問題ない。
【0034】
刃保持部33と刃部50の関係を言い換えると、刃保持部33の幅が10mmで、刃先側辺51とみね側辺52の長手方向のずれ量である10mmと等しいか、それ以上の長さを持つことによって、一部の刃保持部33では、隣り合う刃部50の端辺をすべて挟持することができ、一部の刃保持部と隣り合う他の刃保持部33では、隣り合う刃部50の端辺のいずれも、少なくとも半分以上である5mm以上挟持することができると言える。
このような寸法とすることによって、保持する間隔と異なる寸法の刃を安定して保持することができる。
刃が長方形の場合は、取付位置と刃部50の長さの違いの許容量は、ほぼゼロである。
【0035】
また、刃部の端辺同士を当接させることで、栽培物を切断する際の刃部50への力を、隣り合う刃部50の端辺へも分散することができるので好適である。
例えば、Cにおいて、先端端辺53で挟持された刃部50は、段差部36で支持されていないが、先端端辺53を隣接する刃部50の基端端辺54に当接することで、栽培物を切断する際の刃部50への力を、基端端辺54に分散することができる。
【0036】
図6に沿って、変形例について説明する。
上記した実施形態では、2つの刃部50を刃保持部33と押え部40で挟む形で保持するものであるが、刃部50の厚さにばらつきがあると、一方の刃部50のみを保持し、他の刃部50を十分挟み込むことができない場合がある。そうすると、挟み込みが緩い刃部50が脱落する恐れがある。
そこで、そのような場合にも、刃部50が脱落しない形状とする。
図6(a)に示すように、刃保持部33の先端に縁部35を設ける。刃部50を配置した状態を図6(b)に示す。刃保持部33と刃部50と押え部40の位置関係を図6(c)の断面図で示す。
刃部50は、刃保持部33の段差部36と縁部35によって、前後方向に規制されるので、刃部50が脱落することは無い。
また、刃部50の先端端辺53の一部のみが刃保持部33で保持される場合も、縁部35があることで、安定して保持することができる(図6(d))。
【0037】
また、縁の付け方として、図6(e)のように、縁部42を押え部40側につけても良い。その場合は、刃保持部33の段差部36と、押え部40の段差である縁部42によって、刃部50は安定して保持される。
言い換えれば、刃保持部33又は押え部40の先端には、刃部50の刃先方向への移動を規制する縁部42があると言える。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明に係る栽培物切断装置は、栽培瓶によって栽培された栽培物を高品位で切断する技術であり、産業上の利用可能性は大きいと解する。
【符号の説明】
【0039】
1 栽培物切断装置
10 ホルダ駆動部
11 ホルダスライド用レール
12 栽培瓶保持部
20 切断部
30 ホルダ部
31 腕部
32 舌状部
33 刃保持部
34 ビス用孔
35 縁部
36 段差部
40 押え部
41 ビス用孔
42 縁部
50 刃部
51 刃先側辺
52 みね側辺
53 先端端辺
54 基端端辺
60 栽培瓶
61 瓶口
70 キノコ
71 茎
75 野菜
76 茎
80 ビス
90 従来の切断部
91 くさび部分
G 隙間


図1
図2
図3
図4
図5
図6