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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024106426
(43)【公開日】2024-08-08
(54)【発明の名称】可変容量型液圧回転機
(51)【国際特許分類】
   F04B 1/324 20200101AFI20240801BHJP
   F04B 53/16 20060101ALI20240801BHJP
【FI】
F04B1/324
F04B53/16 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023010664
(22)【出願日】2023-01-27
(71)【出願人】
【識別番号】000005522
【氏名又は名称】日立建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002457
【氏名又は名称】弁理士法人広和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】萩谷 淳史
(72)【発明者】
【氏名】藪内 愛智
(72)【発明者】
【氏名】山形 拓也
【テーマコード(参考)】
3H070
3H071
【Fターム(参考)】
3H070AA01
3H070BB04
3H070BB06
3H070CC12
3H070DD96
3H071AA03
3H071BB01
3H071CC47
3H071DD26
3H071DD31
(57)【要約】
【課題】 第1パイロット圧油路と第2パイロット圧油路を短くして圧力損失を抑え、傾転アクチュエータ、レギュレータおよび電磁弁の動作性を向上できるようにする。
【解決手段】 可変容量型アキシャルピストンポンプ1は、サーボピストン18の上側に位置してケーシング2に設けられ、電磁弁21と傾転アクチュエータ16とに接続された第1パイロット圧油路22と、サーボピストン18の上側に位置してケーシング2に設けられ、傾転アクチュエータ16に接続された第2パイロット圧油路25と、を備えている。また、電磁弁21は、傾転アクチュエータ16のサーボピストン18との間で第1パイロット圧油路22および第2パイロット圧油路25を挟むように、ケーシング2の上側に形成されたアクチュエータ取付部5の電磁弁取付面5Bに取り付けられている。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部がドレン室となったケーシングと、
前記ケーシング内に回転可能に設けられた回転軸と、
前記ケーシング内において前記回転軸の周囲に設けられ、周方向に離間して軸方向に延びる複数のシリンダを有するシリンダブロックと、
前記シリンダブロックの前記複数のシリンダ内に往復動可能に挿嵌された複数のピストンと、
前記ケーシング内において前記回転軸に対して傾転されることによって前記複数のピストンの往復動ストロークを増減する容量可変部と、
前記ケーシングに設けられ、サーボピストンが移動されることによって前記容量可変部を傾転させる傾転アクチュエータと、
前記ケーシングに設けられ、前記サーボピストンを移動させるレギュレータと、
前記レギュレータを動作させるためのパイロット圧を生成する電磁弁と、を備えた可変容量型液圧回転機において、
前記サーボピストンの上側に位置して前記ケーシングに設けられ、前記電磁弁と前記傾転アクチュエータとに接続された第1パイロット圧油路と、
前記サーボピストンの上側に位置して前記ケーシングに設けられ、前記傾転アクチュエータに接続された第2パイロット圧油路と、
を備え、
前記電磁弁は、前記サーボピストンとの間で前記第1パイロット圧油路および前記第2パイロット圧油路を挟むように前記ケーシングの上側に形成された電磁弁取付面に取り付けられていることを特徴とする可変容量型液圧回転機。
【請求項2】
請求項1に記載の可変容量型液圧回転機において、
前記ケーシングには、前記ドレン室に連通してケーシングドレン圧油路が設けられ、
前記電磁弁には、電磁弁ドレン圧油路が設けられ、
前記電磁弁ドレン圧油路は、前記ケーシングドレン圧油路を通じて前記ドレン室に連通していることを特徴とする可変容量型液圧回転機。
【請求項3】
請求項2に記載の可変容量型液圧回転機において、
前記ケーシングドレン圧油路と前記電磁弁ドレン圧油路は、前記ドレン室から前記電磁弁の上部まで上下方向に一直線に延びていることを特徴とする可変容量型液圧回転機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、例えば油圧ショベル等の建設機械に搭載され、可変容量型の油圧ポンプまたは油圧モータとして用いられる可変容量型液圧回転機に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、油圧ショベル等の建設機械には、動力源として可変容量型の油圧ポンプ等が搭載され、動作装置として可変容量型の油圧モータ等が搭載されている。可変容量型の油圧ポンプおよび油圧モータは、可変容量型液圧回転機を構成している。
【0003】
可変容量型液圧回転機は、例えば、内部がドレン室となったケーシングと、ケーシングに回転可能に設けられた回転軸と、回転軸の周囲に設けられ、周方向に離間して軸方向に延びる複数のシリンダを有するシリンダブロックと、シリンダブロックの複数のシリンダ内に往復動可能に挿嵌された複数のピストンと、回転軸に対して傾転されることによって複数のピストンの往復動ストロークを増減する容量可変部と、ケーシングに設けられ、サーボピストンが移動されることによって容量可変部を傾転させる傾転アクチュエータと、ケーシングに設けられ、サーボピストンを移動させるレギュレータと、レギュレータを動作させるためのパイロット圧を生成する電磁弁と、を備えている。また、ケーシングには、傾転アクチュエータに接続された第1パイロット圧油路と第2パイロット圧油路とがサーボピストンの上側に位置して設けられている。
【0004】
ここで、傾転アクチュエータ、レギュレータおよび電磁弁には、複数の油路、例えば、1次圧油路となるパイロット圧油路、調整された2次圧油路、ドレン圧油路が接続されている。このために、可変容量型液圧回転機には、各油路の配策を考慮して電磁弁をレギュレータに取り付ける構成としたものがある(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007-211682号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、特許文献1は、ケーシング(傾転アクチュエータ)にレギュレータを取り付け、レギュレータに電磁弁を取り付ける構成としている。このために、第1パイロット圧油路と第2パイロット圧油路は、レギュレータに接続する必要がないにも関わらず、傾転アクチュエータ、レギュレータおよび電磁弁に亘って設けられている。従って、第1パイロット圧油路と第2パイロット圧油路が必要以上に長くなって圧力損失が増大するから、傾転アクチュエータ、レギュレータおよび電磁弁を動作させるときの動作性が低下するという問題がある。
【0007】
本発明は、上述した従来技術の問題に鑑みなされたもので、本発明の目的は、第1パイロット圧油路と第2パイロット圧油路を短くすることにより、圧力損失を抑えて傾転アクチュエータ、レギュレータおよび電磁弁の動作性を向上できるようにした可変容量型液圧回転機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、内部がドレン室となったケーシングと、前記ケーシング内に回転可能に設けられた回転軸と、前記ケーシング内において前記回転軸の周囲に設けられ、周方向に離間して軸方向に延びる複数のシリンダを有するシリンダブロックと、前記シリンダブロックの前記複数のシリンダ内に往復動可能に挿嵌された複数のピストンと、前記ケーシング内において前記回転軸に対して傾転されることによって前記複数のピストンの往復動ストロークを増減する容量可変部と、前記ケーシングに設けられ、サーボピストンが移動されることによって前記容量可変部を傾転させる傾転アクチュエータと、前記ケーシングに設けられ、前記サーボピストンを移動させるレギュレータと、前記レギュレータを動作させるためのパイロット圧を生成する電磁弁と、を備えた可変容量型液圧回転機において、前記サーボピストンの上側に位置して前記ケーシングに設けられ、前記電磁弁と前記傾転アクチュエータとに接続された第1パイロット圧油路と、前記サーボピストンの上側に位置して前記ケーシングに設けられ、前記傾転アクチュエータに接続された第2パイロット圧油路と、を備え、前記電磁弁は、前記サーボピストンとの間で前記第1パイロット圧油路および前記第2パイロット圧油路を挟むように前記ケーシングの上側に形成された電磁弁取付面に取り付けられている。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、可変容量型液圧回転機は、第1パイロット圧油路と第2パイロット圧油路を短くすることができるから、圧力損失を抑えて傾転アクチュエータ、レギュレータおよび電磁弁の動作性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態に係る可変容量型アキシャルピストンポンプを図2中の矢示I-I方向から見た断面図である。
図2】可変容量型アキシャルピストンポンプを図1中の矢示II-II方向から見た断面図である。
図3】斜板を傾転させるための油圧回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態に係る可変容量型液圧回転機として、斜板式の可変容量型アキシャルピストンポンプを例に挙げ、図1ないし図3に従って詳細に説明する。
【0012】
図1図2において、可変容量型液圧回転機としての斜板式の可変容量型アキシャルピストンポンプ1(以下、ポンプ1という)は、後述のケーシング2、回転軸7、シリンダブロック8、ピストン10、斜板13、傾転アクチュエータ16、レギュレータ20、電磁弁21、第1パイロット圧油路22、第2パイロット圧油路25、ケーシングドレン圧油路26、電磁弁ドレン圧油路27を含んで構成されている。
【0013】
ポンプ1の外殻を構成するケーシング2は、エンジン、電動モータ等の原動機(図示せず)に取り付けられる。ケーシング2は、後述のフロントケーシング3、リヤケーシング4、アクチュエータ取付部5を含んで構成されている。
【0014】
フロントケーシング3は、原動機側となる基端側の底部3Aと、底部3Aの周囲から原動機と反対側の先端側に向けて延びた筒部3Bと、によって有底筒状に形成されている。フロントケーシング3は、底部3Aが原動機に取り付けられている。フロントケーシング3の内部には、後述のケーシングドレン室6が形成されている。
【0015】
また、リヤケーシング4は、フロントケーシング3を閉塞するようにフロントケーシング3の先端側(原動機と反対側)に取り付けられている。リヤケーシング4には、吸込管路4A、吐出管路4B等が形成されている。
【0016】
アクチュエータ取付部5は、原動機に対する取付状態(図1に示す状態)でフロントケーシング3の筒部3Bの上側に設けられている。アクチュエータ取付部5は、筒部3Bの軸方向(後述する回転軸7の長さ方向)の中間部から先端側に配置されている。アクチュエータ取付部5は、例えば、箱型状に形成され、内部は、後述する傾転アクチュエータ16の傾転制御シリンダ(ケーシング2の内表面の一部である円筒面)17となっている。
【0017】
また、アクチュエータ取付部5は、筒部3Bの軸方向の中間部に位置する基端側の端面(ケーシング2の外表面の一部)がレギュレータ取付面5Aとなり、上側の端面(ケーシング2の外表面の一部)が電磁弁取付面5Bとなっている。レギュレータ取付面5Aには、後述のレギュレータ20が取り付けられ、電磁弁取付面5Bには、後述の電磁弁21が取り付けられている。
【0018】
このように、アクチュエータ取付部5には、傾転アクチュエータ16、レギュレータ20、電磁弁21等が取り付けられているから、これらの傾転アクチュエータ16、レギュレータ20、電磁弁21等を油圧的に接続するための後述の第1パイロット圧油路22、第2パイロット圧油路25、ケーシングドレン圧油路26が設けられている。
【0019】
ドレン室としてのケーシングドレン室6は、ケーシング2内に設けられている。ケーシングドレン室6の下側部分には、シリンダブロック8、ピストン10、斜板13等が配置されている。また、ケーシングドレン室6の上側部分は、アクチュエータ取付部5まで達し、傾転制御シリンダ17に接続(連通)している。ケーシングドレン室6は、シリンダ9等から溢れ出た作動油を貯留しつつ、余剰分の作動油をドレン油としてケーシングドレン圧油路26、電磁弁ドレン圧油路27から排出する。
【0020】
図2に示すように、回転軸7は、フロントケーシング3の筒部3Bの軸方向に延び、ケーシング2内、具体的には、フロントケーシング3、リヤケーシング4に回転可能に支持されている。回転軸7の基端側は、原動機の出力軸(図示せず)に接続されている。
【0021】
シリンダブロック8は、フロントケーシング3内のケーシングドレン室6の下側部分に設けられている。シリンダブロック8は、周方向に並んで複数のシリンダ9を有し、その中央に回転軸7がスプライン結合されている。シリンダブロック8の複数のシリンダ9には、ピストン10が摺動可能に挿嵌されている。シリンダブロック8とリヤケーシング4との間には、シリンダブロック8に摺接する弁板11が配置されている。この弁板11には、リヤケーシング4に形成された吸込管路4A、吐出管路4Bに、シリンダ9を連通させるための吸込ポート11A、吐出ポート11Bが形成されている。
【0022】
シリンダブロック8の原動機側の端面に対向するフロントケーシング3の底部3Aの内面には、クレードル12が固定されている。このクレードル12は、ケーシング2内において容量可変部としての斜板13を摺動可能に保持すると共に斜板13の傾転をガイドすることにより、斜板13をクレードル12に対して摺動しながら傾転させる。斜板13とピストン10との間には、カムプレート14とシュー15とが配置されている。これにより、斜板13の傾転がカムプレート14とシュー15を介してピストン10に伝達され、シリンダ9内におけるピストン10の往復動ストローク、すなわち押し退け容積が決まるようになっている。
【0023】
また、斜板13が傾転したときの角度を検出する傾転角センサ(図示せず)が設けられている。この傾転角センサが検出した斜板13の角度は、押し退け容積および回転軸7の回転数と共にポンプの吐出流量を算出するのに用いられる。
【0024】
傾転アクチュエータ16は、ケーシング2のアクチュエータ取付部5内に設けられている。傾転アクチュエータ16は、外部から給排される傾転制御圧に応じて斜板13を傾転させる。傾転アクチュエータ16は、アクチュエータ取付部5に形成された傾転制御シリンダ17と、傾転制御シリンダ17内に設けられたサーボピストン18と、を含んで構成されている。
【0025】
傾転制御シリンダ17は、フロントケーシング3の筒部3Bの軸方向と直交して左右方向に延びた円形穴として形成されている。この上で、図2に示すように、傾転制御シリンダ17は、長さ方向の一方が小径穴部17Aとなり、長さ方向の他方が大径穴部17Bとなっている。傾転制御シリンダ17は、ケーシングドレン室6の上部と接続されている。
【0026】
サーボピストン18は、傾転制御シリンダ17内に摺動可能に挿嵌されている。サーボピストン18は、傾転制御シリンダ17の小径穴部17Aに挿嵌された小径部18Aと、大径穴部17Bに挿嵌された大径部18Bとにより段付きの円柱体として形成されている。サーボピストン18は、小径部18Aと小径穴部17Aとの間に小径油室19Aを形成し、大径部18Bと大径穴部17Bとの間に大径油室19Bを形成している。また、サーボピストン18の長さ方向の中間部には、係合溝18Cが設けられている。この係合溝18Cには、斜板13のアーム13Aの先端部が係合している。
【0027】
そして、傾転アクチュエータ16は、後述のレギュレータ20、電磁弁21から小径油室19A、大径油室19B等に傾転制御圧が給排されることにより、サーボピストン18を傾転制御シリンダ17内で摺動変位させる。このサーボピストン18の変位がアーム13Aを介して斜板13に伝達されることにより、傾転アクチュエータ16は、斜板13の傾転角度を調節することができる。
【0028】
図1に示すように、レギュレータ20は、ケーシング2のフロントケーシング3に設けられたアクチュエータ取付部5のレギュレータ取付面5Aに取り付けられている。レギュレータ20は、傾転アクチュエータ16の小径油室19A、大径油室19Bに給排する傾転制御圧を可変に制御する。図1図3に示すように、レギュレータ20は、レギュレータケーシング20A、スプール弁20B、フィードバックリンク20C等を備えている。レギュレータ20は、斜板13の傾転動作に応じてスプール弁20Bを変位させることにより、フィードバックリンク20Cを介して傾転アクチュエータ16をフィードバック制御している。
【0029】
電磁弁21は、ケーシング2の上側に設けられている。具体的には、電磁弁21は、アクチュエータ取付部5の電磁弁取付面5Bに取り付けられている。電磁弁21は、傾転アクチュエータ16、レギュレータ20を動作させるためのパイロット圧(動作圧)を生成する。電磁弁21は、弁ブロック21A、弁体21B、電磁アクチュエータ21Cを含んで構成されている。また、電磁弁21の弁ブロック21Aには、後述の電磁弁パイロット圧油路24、電磁弁ドレン圧油路27等が設けられている。
【0030】
弁ブロック21Aは、直方体状のブロック体として形成され、アクチュエータ取付部5の電磁弁取付面5Bに取り付けられている。弁ブロック21Aは、回転軸7と平行をなすように延びた弁体収容穴(図示せず)を備えている。この弁体収容穴には、弁体21Bが変位可能に収容されている。
【0031】
電磁アクチュエータ21Cは、弁ブロック21Aの先端面(リヤケーシング4側の端面)に取り付けられている。電磁アクチュエータ21Cは、弁体21Bを弁体収容穴で変位させる動力源を構成している。
【0032】
ここで、電磁弁21は、傾転アクチュエータ16のサーボピストン18との間で後述の第1パイロット圧油路22および第2パイロット圧油路25を挟むようにケーシング2の上側に形成された電磁弁取付面5Bに取り付けられている。従って、電磁弁21を、傾転アクチュエータ16の外殻をなすアクチュエータ取付部5に取り付けたことで、電磁弁21と傾転アクチュエータ16は、レギュレータ20を挟むことなく、互いに近傍に配置することができる。
【0033】
第1パイロット圧油路22は、傾転アクチュエータ16のサーボピストン18の上側に位置してケーシング2のアクチュエータ取付部5に設けられている。図2に示すように、第1パイロット圧油路22は、サーボピストン18に沿って左右方向に延びている。第1パイロット圧油路22の一端は、傾転アクチュエータ16の小径油室19Aに接続されている。また、第1パイロット圧油路22の長さ方向の中間部は、ケーシング2(アクチュエータ取付部5)に設けられたケーシングパイロット圧油路23を介して電磁弁21に設けられた後述の電磁弁パイロット圧油路24に接続されている。ケーシングパイロット圧油路23と電磁弁パイロット圧油路24は、第1パイロット圧油路22から上側に向けて直線状に延びている。
【0034】
第2パイロット圧油路25は、第1パイロット圧油路22に並ぶように、サーボピストン18の上側に位置してアクチュエータ取付部5に設けられている。第2パイロット圧油路25は、傾転アクチュエータ16の大径油室19Bに接続されている。
【0035】
ここで、第1パイロット圧油路22と第2パイロット圧油路25は、傾転アクチュエータ16に電磁弁21を近付けて配置したことにより、油路の長さを短くすることができる。換言すると、短い油路は、作動油を流通させるときの圧力損失を抑える(小さくする)ことができる。また、ケーシングパイロット圧油路23と電磁弁パイロット圧油路24を一直線に配置したことでも、作動油を流通させるときの圧力損失を抑えることができる。
【0036】
図1に示すように、ケーシングドレン圧油路26は、ケーシング2(アクチュエータ取付部5)に設けられている。ケーシングドレン圧油路26は、上下方向に直線状に延び、下側が傾転制御シリンダ17(ケーシングドレン室6)に連通され、上側が電磁弁取付面5Bに開口している。
【0037】
また、電磁弁ドレン圧油路27は、電磁弁21の弁ブロック21Aに設けられている。電磁弁ドレン圧油路27は、上下方向に直線状に延び、下側がケーシングドレン圧油路26に連通されている。また、電磁弁ドレン圧油路27の上部は、弁ブロック21Aの上面に開口し、通常時はドレンプラグ28によって閉塞されている。これにより、電磁弁ドレン圧油路27は、ケーシングドレン圧油路26を通じてケーシングドレン室6に連通している。
【0038】
さらに、ケーシングドレン圧油路26と電磁弁ドレン圧油路27は、傾転アクチュエータ16に電磁弁21を近付けて配置したことにより、油路の長さを短くすることができる。これにより、ドレン油を流通させるときの圧力損失を抑える(小さくする)ことができる。
【0039】
しかも、ケーシングドレン圧油路26と電磁弁ドレン圧油路27は、ケーシングドレン室6から電磁弁21の弁ブロック21Aの上部まで上下方向に一直線に延びている。従って、ケーシングドレン圧油路26および電磁弁ドレン圧油路27の油路を短くできる上に、ドレン油やエアが流通するときの抵抗を抑えることができる。
【0040】
本実施形態による可変容量型アキシャルピストンポンプ1は、上述の如き構成を有するもので、次に、その動作について説明する。
【0041】
原動機によって回転軸7を回転駆動すると、シリンダブロック8が回転軸7と一体に回転する。シリンダブロック8の各シリンダ9に挿嵌されたピストン10には、シュー15がそれぞれ設けられており、各シュー15は、斜板13上を摺動する。これにより、各ピストン10は、シリンダ9内を上死点から下死点へと摺動変位する間にシリンダ9内に作動油を吸込む吸入行程と、下死点から上死点へと摺動変位する間にシリンダ9内の作動油を圧油として吐出する吐出行程とを繰返す。
【0042】
ポンプ1のポンプ容量(圧油の吐出量)を調整する場合には、電磁弁21によって傾転アクチュエータ16を動作させて斜板13の傾転角度を変更する。これにより、各ピストン10のストローク量が増大または減少し、ポンプ1のポンプ容量を可変に制御することができる。
【0043】
かくして、本実施形態によれば、可変容量型アキシャルピストンポンプ1は、サーボピストン18の上側に位置してケーシング2に設けられ、電磁弁21と傾転アクチュエータ16とに接続された第1パイロット圧油路22と、サーボピストン18の上側に位置してケーシング2に設けられ、傾転アクチュエータ16に接続された第2パイロット圧油路25と、を備えている。また、レギュレータ20を動作させるためのパイロット圧を生成する電磁弁21は、傾転アクチュエータ16のサーボピストン18との間で第1パイロット圧油路22および第2パイロット圧油路25を挟むように、ケーシング2の上側に形成されたアクチュエータ取付部5の電磁弁取付面5Bに取り付けられている。従って、第1パイロット圧油路22と第2パイロット圧油路25は、傾転アクチュエータ16に電磁弁21を近付けて配置したことにより、油路の長さを短くすることができる。
【0044】
これにより、短い油路は、作動油を流通させるときの圧力損失を抑える(小さくする)ことができる。この結果、傾転アクチュエータ16、レギュレータ20および電磁弁21を動作させるときの動作性を向上することができる。
【0045】
また、ケーシング2には、ケーシングドレン室6に連通してケーシングドレン圧油路26が設けられ、電磁弁21には、電磁弁ドレン圧油路27が設けられている。この上で、電磁弁ドレン圧油路27は、ケーシングドレン圧油路26を通じてケーシングドレン室6に連通している。これにより、ケーシングドレン圧油路26と電磁弁ドレン圧油路27は、傾転アクチュエータ16と電磁弁21とが近いから、油路の長さを短くすることができる。
【0046】
しかも、ケーシングドレン圧油路26と電磁弁ドレン圧油路27は、ケーシングドレン室6から電磁弁21の上部まで上下方向に一直線に延びている。これにより、ケーシングドレン圧油路26と電磁弁ドレン圧油路27を流通するときの圧力損失を小さくできるから、ドレン油やエアを効率よく排出することができる。
【0047】
なお、実施形態では、可変容量型液圧回転機として斜板式の可変容量型アキシャルピストンポンプ1に適用した場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えば、斜板式の可変容量型アキシャルピストンモータ、斜軸式の可変容量型アキシャルピストンポンプまたはモータ等に適用してもよいものである。
【符号の説明】
【0048】
1 可変容量型アキシャルピストンポンプ(可変容量型液圧回転機)
2 ケーシング
5 アクチュエータ取付部
5B 電磁弁取付面
6 ケーシングドレン室(ドレン室)
7 回転軸
8 シリンダブロック
9 シリンダ
10 ピストン
13 斜板(容量可変部)
16 傾転アクチュエータ
18 サーボピストン
20 レギュレータ
21 電磁弁
22 第1パイロット圧油路
25 第2パイロット圧油路
26 ケーシングドレン圧油路
27 電磁弁ドレン圧油路
図1
図2
図3