(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024106448
(43)【公開日】2024-08-08
(54)【発明の名称】電源システム
(51)【国際特許分類】
H02M 7/48 20070101AFI20240801BHJP
B60L 3/00 20190101ALI20240801BHJP
B60L 9/18 20060101ALI20240801BHJP
B60L 50/60 20190101ALI20240801BHJP
B60L 58/10 20190101ALI20240801BHJP
H02P 27/06 20060101ALI20240801BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20240801BHJP
H02J 7/10 20060101ALI20240801BHJP
【FI】
H02M7/48 E
B60L3/00 S
B60L9/18 J
B60L50/60
B60L58/10
H02P27/06
H02J7/00 P
H02J7/00 S
H02J7/10 P
H02M7/48 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023010699
(22)【出願日】2023-01-27
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】100121821
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 強
(74)【代理人】
【識別番号】100139480
【弁理士】
【氏名又は名称】日野 京子
(74)【代理人】
【識別番号】100125575
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100175134
【弁理士】
【氏名又は名称】北 裕介
(74)【代理人】
【識別番号】100207859
【弁理士】
【氏名又は名称】塩谷 尚人
(72)【発明者】
【氏名】立川 勝久
【テーマコード(参考)】
5G503
5H125
5H505
5H770
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503BA02
5G503BB02
5G503CA11
5G503FA06
5G503FA16
5G503GB06
5G503GD03
5G503GD06
5H125AA01
5H125AC12
5H125AC24
5H125BA00
5H125BB00
5H125BC03
5H125BC05
5H125BC21
5H125BC25
5H125CD04
5H125DD02
5H125EE13
5H125EE23
5H125EE26
5H505AA16
5H505BB06
5H505CC04
5H505CC09
5H505DD03
5H505DD08
5H505EE08
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5H505HA06
5H505HA10
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5H505JJ03
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5H505LL24
5H505LL41
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5H505LL58
5H505MM03
5H505MM13
5H770BA02
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5H770DA03
5H770DA41
5H770GA07
5H770HA02Y
5H770HA03W
5H770HA03Z
5H770HA07Z
5H770JA06Z
5H770JA17W
5H770LA03Z
(57)【要約】
【課題】短絡制御を実施可能に構成するとともに、外部電源による充電を可能とする電源システムを提供すること。
【解決手段】電源システム10は、モータ20と、インバータ30と、ゲートドライバ52と、ゲートドライバ52への電力を供給するスイッチング電源54と、短絡制御が実施される際、ゲートドライバ52への電力を供給するサポート電源56と、を備える。スイッチング電源54は、通常状態において第1閾値よりも高い電圧で電力を供給する一方、外部充電中、電圧を下げて電力を供給する。ゲートドライバ52は、スイッチング電源54が失陥した際、サポート電源56からの供給電力によって短絡制御を実施する。その一方、ゲートドライバ52は、外部充電中、スイッチング電源54及びサポート電源56のうち出力電圧が高い方からの供給電力によって、若しくはサポート電源56からの供給電力によって、インバータ30を駆動制御する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部に設けられる外部電源(210)により蓄電装置(40)を充電する外部充電を実行可能な電源システム(10)において、
電機子巻線(21)を有する回転電機(20)と、
上アームスイッチ(SWH)及び下アームスイッチ(SWL)の直列接続体を有し、前記蓄電装置と前記回転電機との間で電力変換を行うインバータ(30)と、
前記上アームスイッチ及び前記下アームスイッチを駆動制御する駆動制御部(52)と、
前記駆動制御部への電力を供給する第1電源(54)と、
前記上アームスイッチ及び前記下アームスイッチのうち、一方のアームスイッチをオンするとともに他方のアームスイッチをオフする短絡制御が実施される際、前記駆動制御部への電力を供給する第2電源(56)と、を備え、
前記第1電源は、通常状態において第1閾値よりも高い電圧で電力を供給する一方、外部充電中、間欠的に電力を供給する、又は電圧を下げて電力を供給する、若しくは、電力供給を停止するように構成され、
前記駆動制御部は、前記第1電源が失陥した際、前記第2電源からの供給電力によって前記短絡制御を実施する一方、外部充電中、前記第1電源及び前記第2電源のうち出力電圧が高い方からの供給電力によって、若しくは前記第2電源からの供給電力によって、前記上アームスイッチ及び前記下アームスイッチを駆動制御するように構成されている電源システム。
【請求項2】
少なくとも前記駆動制御部及び前記第2電源は、高圧領域に配置される一方、第1電源は、低圧領域に配置される請求項1に記載の電源システム。
【請求項3】
前記第1電源は、通常状態中、第2閾値よりも高い電圧で電力を供給する一方、外部充電中、前記第2閾値以下の電圧であって、前記第1閾値よりも高い電圧で電力を供給するように構成され、
前記駆動制御部は、前記第1電源の出力電圧が前記第1閾値以下である場合、前記第1電源が失陥したとして、前記第2電源からの供給電力によって前記短絡制御を実施する請求項1又は2に記載の電源システム。
【請求項4】
前記第1電源の出力電圧を指示する電圧制御部(51)を備え、
前記電圧制御部は、外部充電中、前記第1電源に対して、前記第1閾値以下の電圧で電力を出力させるように指示するとともに、その旨を前記駆動制御部に通知し、
前記駆動制御部は、前記電圧制御部から前記通知がある場合、前記第1電源からの供給電力が前記第1閾値以下であっても、前記短絡制御を実施することなく、前記第2電源からの供給電力によって、前記上アームスイッチ及び前記下アームスイッチを駆動制御する請求項1又は2に記載の電源システム。
【請求項5】
前記上アームスイッチ及び前記下アームスイッチのオンオフ状態を指示するスイッチ制御部(51)を備え、
前記スイッチ制御部は、前記第1電源からの電力により作動し、
前記駆動制御部は、前記スイッチ制御部からの指示がある場合、前記第1電源の出力電圧が前記第1閾値以下であっても、前記短絡制御を実施することなく、前記スイッチ制御部からの指示に従って、前記上アームスイッチ及び前記下アームスイッチを駆動制御する請求項1又は2に記載の電源システム。
【請求項6】
前記第1電源の出力電圧を指示する電圧制御部(51)を備え、
前記電圧制御部は、異常診断処理を実行可能に構成されており、
前記電圧制御部は、前記異常診断処理において、前記第1電源に対して、前記第1閾値よりも低い電圧で電力を出力させるように指示し、その後、前記第2電源からの供給電力によって前記駆動制御部によって前記短絡制御が実施された場合、前記第2電源が正常に作動していると診断する一方、前記短絡制御が実施されなかった場合、異常が生じていると診断する請求項1又は2に記載の電源システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電源システムに関する。
【背景技術】
【0002】
電源システムの外部に設けられる外部電源により蓄電装置を充電する外部充電が行われる際、蓄電装置とともに負荷駆動装置にも外部電源の電圧が印加される場合がある。この場合、負荷駆動装置に寄生容量が発生し、負荷駆動装置が意図せず作動する可能性がある。このような事態を回避するために、外部充電中に負荷駆動装置への通電を遮断するスイッチング素子をオフ状態に制御する場合がある。
【0003】
この場合、外部充電中に当該スイッチング素子を作動させるための電力を供給する電源が必要となる。この電源がスイッチング電源により構成されている場合、外部充電中に当該スイッチング電源からノイズが発生する。外部充電中、このようなノイズは低減されることが好ましい。
【0004】
そこで、特許文献1では、外部充電中にスイッチング電源を間欠的に作動させてノイズを低減させている。また、例えば、スイッチング電源の出力電圧を低下させてノイズを低減させることも考えられる。
【0005】
また、近年の電気自動車では、一般的に、回転電機及びインバータがパワーユニットに採用されている。回転電機及びインバータが採用された車両では、回転電機の回転速度が高くなると、回転電機の永久磁石の磁束によってコイルに発生する逆起電圧が蓄電池の電圧よりも大きくなりうる。この状況下で、事故などによりインバータを駆動させるためのインバータ駆動電源が失陥すると、インバータを動作させることができず、全相シャットダウンとなり、逆起電力が発生する。その結果、例えば上,下アームスイッチが全てオフされている場合であっても、コイルから上,下アームスイッチに並列接続されたダイオードを介して蓄電池や電気負荷へ高圧の逆起電力が印加されうる。この場合、高圧の逆気電圧によって、蓄電池等が故障するといった問題が生じ得る。また、逆起電力により駆動輪に対して意図しないトルクが発生する可能性もある。
【0006】
そこで、近年の電気自動車では、第2特許文献に記載されているように、異常時において、ASC(Active Short Circuit)制御(短絡制御ともいう)を実施するようにしている。ASC制御は、インバータを構成する全相の上,下アームスイッチのうちいずれか一方をオンするとともに、他方をオフする制御である。これにより、逆起電力に基づく各種問題を防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2022-118417号公報
【特許文献2】特開2022-28347号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、特許文献1において、外部充電中に負荷駆動装置への通電を遮断するスイッチング素子は、インバータを構成するものであり、スイッチング電源は、インバータ駆動電源に相当する。
【0009】
このため、上述した特許文献1のように、外部充電中にスイッチング電源を間欠動作させるような構成において、特許文献2に記載のASC制御を採用しようとする場合、次のような問題が生じる。すなわち、外部電源による充電中、スイッチング電源(インバータ駆動電源)からの出力電圧を低下させる、若しくは間欠動作させる場合、スイッチング電源(インバータ駆動電源)が失陥したと誤判定され、ASC制御が実施される可能性がある。この場合、上述したように、全相の上,下アームスイッチのうちいずれか一方がオンされて、インバータを動作させることができず、外部電源によって充電を行うことができなくなる。
【0010】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その主たる目的は、短絡制御を実施可能に構成するとともに、外部電源による充電を可能とする電源システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するための電源システムは、
外部に設けられる外部電源により蓄電装置を充電する外部充電を実行可能な電源システムであって、
電機子巻線を有する回転電機と、
上アームスイッチ及び下アームスイッチの直列接続体を有し、前記蓄電装置と前記回転電機との間で電力変換を行うインバータと、
前記上アームスイッチ及び前記下アームスイッチを駆動制御する駆動制御部と、
前記駆動制御部への電力を供給する第1電源と、
前記上アームスイッチ及び前記下アームスイッチのうち、一方のアームスイッチをオンするとともに他方のアームスイッチをオフする短絡制御が実施される際、前記駆動制御部への電力を供給する第2電源と、を備え、
前記第1電源は、通常状態において第1閾値よりも高い電圧で電力を供給する一方、外部充電中、間欠的に電力を供給する、又は電圧を下げて電力を供給する、若しくは、電力供給を停止するように構成され、
前記駆動制御部は、前記第1電源が失陥した際、前記第2電源からの供給電力によって前記短絡制御を実施する一方、外部充電中、前記第1電源及び前記第2電源のうち出力電圧が高い方からの供給電力によって、若しくは前記第2電源からの供給電力によって、前記上アームスイッチ及び前記下アームスイッチを駆動制御するように構成されている。
【0012】
駆動制御部は、第1電源が失陥したときにおいて、短絡制御を実施することにより、逆起電力による影響を抑制することができる。このとき、第2電源からの電力により短絡制御を実施することにより、確実に短絡制御が実施されるようにしている。
【0013】
一方、外部充電中、第1電源からのノイズを低減させるため、第1電源を、間欠的に動作させるなどしている。この場合、第1電源からの供給電力で、上アームスイッチ及び下アームスイッチを安定して駆動制御できない場合がある。そこで、外部充電中、短絡制御において使用される第2電源からも供給可能に構成した。これにより、外部充電中、確実に駆動制御を実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図3】外部充電時における制御の流れを示すフロチャート。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本開示に係る「電源システム」を車両(例えば、ハイブリッド車や電気自動車などの移動体)に適用した一実施形態について、図面を参照しつつ複数の実施形態及びそれらの変形例を説明する。複数の実施形態及びそれらの変形例において、機能的に及び/又は構造的に対応する部分及び/又は関連付けられる部分には同一の参照符号、又は百以上の位が異なる参照符号が付される場合がある。対応する部分及び/又は関連付けられる部分については、他の実施形態の説明を参照することができる。
【0016】
<第1実施形態>
図1に示すように、電源システム10は、回転電機としてのモータ20と、モータ20に対して3相電流を流す電力変換器としてのインバータ30と、充放電可能な充電装置としての組電池40と、インバータ30を制御する制御装置50と、を備えている。
【0017】
モータ20(モータジェネレータ)は、車載主機であり、図示しない駆動輪と動力伝達可能とされている。本実施形態では、モータ20として、3相の永久磁石同期モータを用いている。
【0018】
インバータ30は、相巻線の相数と同数の上下アームを有するフルブリッジ回路により構成されており、各アームに設けられたスイッチのオンオフにより、各相巻線において通電電流が調整される。
【0019】
具体的には、インバータ30は、上アームスイッチSWHと下アームスイッチSWLとの直列接続体を3相分備えている。各相において、上アームスイッチSWHと下アームスイッチSWLとの接続点には、モータ20の電機子巻線21の第1端が接続されている。各相の電機子巻線21の第2端は、中性点で接続されている。各相の電機子巻線21は、電気角で互いに120°ずらされて配置されている。ちなみに、本実施形態では、上アームスイッチSWH及び下アームスイッチSWLとして、電圧制御形の半導体スイッチング素子が用いられており、より具体的には、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)が用いられている。また、上アームスイッチSWHには、フリーホイールダイオードである上アームダイオードDHが逆並列に接続されている。同様に、下アームスイッチSWLには、フリーホイールダイオードである下アームダイオードDLが逆並列に接続されている。
【0020】
各上アームスイッチSWHの高電位側端子であるコレクタには、高電位側電気経路31Hを介して、組電池40の正極端子が接続されている。各下アームスイッチSWLの低電位側端子であるエミッタには、低電位側電気経路31Lを介して、組電池40の負極端子が接続されている。
【0021】
高電位側電気経路31H及び低電位側電気経路31Lには、それぞれリレースイッチSMR(システムメインリレースイッチ)が設けられており、リレースイッチSMRにより、通電及び通電遮断が切り替え可能に構成されている。各リレースイッチSMRは、制御装置50によって駆動されてもよいし、制御装置50に対して上位の制御装置としての上位ECU100によって駆動されてもよい。
【0022】
インバータ30は、平滑コンデンサ32を備えている。平滑コンデンサ32の一端は、リレースイッチSMRとインバータ30との間において、高電位側電気経路31Hに接続されている。また、平滑コンデンサ32の他端は、リレースイッチSMRとインバータ30との間において、低電位側電気経路31Lに接続されている。すなわち、平滑コンデンサ32は、高電位側電気経路31Hと低電位側電気経路31Lとの間において、各相の上アームスイッチSWHと下アームスイッチSWLとの直列接続体に対して、並列になるように設けられている。なお、平滑コンデンサ32は、インバータ30の内部に設けられていてもよいし、外部に設けられていてもよい。
【0023】
組電池40は、インバータ30を介して、モータ20に電気的に接続されている。組電池40は、例えば百[V]以上となる端子間電圧を有し、複数の電池セル41が直列接続されて構成されている。電池セル41(2次電池)として、例えば、リン酸鉄リチウムイオン電池(LFP電池)や、リチウムイオン蓄電池、ニッケル水素蓄電池を用いることができる。各電池セル41は、電解液(電解質及び溶媒からなる溶液)と複数の電極とを有する蓄電池である。
【0024】
また、電源システム10は、外部充電機構60を備える。外部充電機構60は、イントレット62と、リレー61とを含む。イントレット62は、組電池40とインバータ30との間の電気経路31H,31Lにリレー61を介して接続されている。イントレット62は、リレースイッチSMR及びリレー61がオン状態(閉状態、通電状態)である外部充電中に、充電設備200の外部電源210からの電力を組電池40に供給するように構成される。なお、
図1に示すように、中性点と接続し、中性点充電を実施可能にしてもよい。
【0025】
外部充電は、車両が充電設備200に接続されたときに実施される。充電設備200は、外部電源210と、コネクタ220を備える。コネクタ220は、車両のイントレット62に接続可能に構成されている。外部電源210は、例えば、直流電源であるが、交流電源であってもよい。この場合、AC/DCコンバータが必要となる。
【0026】
また、電源システム10は、相電流センサ11と、角度センサ12とを備えている。相電流センサ11は、モータ20の電機子巻線21に流れるU,V,W相電流のうち、少なくとも2相分の電流を検出し、電流信号を出力する。角度センサ12は、モータ20の電気角に応じた角度信号を出力する。角度センサ12は、例えば、レゾルバ、エンコーダ又は磁気抵抗効果素子を有するMRセンサであり、本実施形態ではレゾルバである。また、電源システム10は、平滑コンデンサ32の端子間電圧を検出し、検出電圧VSを出力する電圧センサ13を備える。
【0027】
図2を用いて、制御装置50の構成について説明する。制御装置50は、低圧領域に設けられたマイコン51を備えている。マイコン51は、CPUや、RAM、ROMなどから構成されている。マイコン51(のCPU)は、ROMに格納されたプログラムを実施することにより、各種機能を実現する。
【0028】
マイコン51には、相電流センサ11の電流信号が入力される。マイコン51は、入力された電流信号に基づいて、相電流Irを算出する。また、マイコン51には、角度センサ12の角度信号が入力される。マイコン51は、入力された角度信号に基づいて、モータ20の電気角θeを取得する。
【0029】
マイコン51には、上位ECU100から指令値が入力される。マイコン51は、モータ20の制御量をその指令値に制御すべく、相電流Irと、電気角θeとに基づいて、インバータ30を構成する各相の上アームスイッチSWHと下アームスイッチSWLをオンオフさせるスイッチング指令を生成する。制御量は、例えばトルクである。
【0030】
制御装置50は、駆動制御部としてゲートドライバ52を備えている。ゲートドライバ52は、通常時、マイコン51からのスイッチング指令(オン指令又はオフ指令)に基づいて、各相の上アームスイッチSWHと下アームスイッチSWLをオンオフする。
【0031】
詳しくは、ゲートドライバ52は、各相の上アームスイッチSWH及び下アームスイッチSWLに対応して個別に設けられている。このため、ゲートドライバ52は合わせて6つ設けられている。なお、
図2では、図示を省略している。各ゲートドライバ52は、オン指令が入力された場合、対応するスイッチSWH,SWLのゲートに充電電流を供給する。これにより、スイッチSWH,SWLのゲート電圧が閾値電圧Vth以上となり、スイッチSWH,SWLがオンされる。一方、各ゲートドライバ52は、オフ指令が入力された場合、対応するスイッチSWH,SWLのゲートからエミッタ側へと放電電流を流す。これにより、スイッチSWH,SWLのゲート電圧が閾値電圧Vth未満となり、スイッチSWH,SWLがオフされる。なお、本実施形態において、ゲートドライバ52は高圧領域に備えられている。
【0032】
ゲートドライバ52は、上述した通常時駆動制御とは別に、過電圧異常等の異常が発生した場合に対処するべく実施される異常時制御を実施可能に構成されている。本実施形態において、異常時制御は、上アームスイッチSWHをオフし、下アームスイッチSWLをオンする短絡制御である。なお、短絡制御が実施されるのに先立ち、各相の上アームスイッチSWHと下アームスイッチSWLを強制的にオフするシャットダウン制御が実施されてもよい。
【0033】
また、ゲートドライバ52は、上述した通常時駆動制御及び異常時制御とは別に、外部充電中、各相の上アームスイッチSWHと下アームスイッチSWLをオフ状態に維持する外部充電時制御を実施可能に構成されている。外部充電時制御は、上位ECU100により、マイコン51を介して、車両に充電設備200が接続されたことが通知された場合、実施される。
【0034】
制御装置50は、異常判定部53を備えている。異常判定部53には、検出電圧VS、相電流Ir(又は電流信号)及び電気角θe(又は角度信号)が入力される。そして、異常判定部53は、これらのうちいずれか1つでも異常値となった場合、通常時駆動制御に用いられる構成のうち少なくとも1つに異常が発生していると判定する。通常時駆動制御に用いられる構成とは、例えば、相電流センサ11、角度センサ12、電圧センサ13、マイコン51、ゲートドライバ52、各相の上アームスイッチSWH及び各相の下アームスイッチSWL等である。
【0035】
異常判定部53は、異常が発生していると判定した場合、ゲートドライバ52に対してその旨を通知する(異常検知信号を出力する)。これにより、ゲートドライバ52は、異常時制御(本実施形態では短絡制御)を実施する。なお、異常時制御は、他の制御(通常時制御等)に対して優先的に実施される。この異常判定部53は、マイコン51に設けられてもよいし、ゲートドライバ52に設けられていてもよい。また、異常判定部53は、マイコン51及びゲートドライバ52にそれぞれ設けられていてもよい。また、異常判定部53は、ソフトウェアにより実現されてもよいし、ハードウェアにより実現されてもよい。
【0036】
また、制御装置50は、通常時制御が行われるときに使用される第1電源としてのスイッチング電源54を備える。スイッチング電源54は、例えば、絶縁型DC/DCスイッチング電源である。スイッチング電源54は、本実施形態において、鉛蓄電池など、組電池40に比較して出力電圧が低圧の低圧バッテリ55に接続されており、低圧バッテリ55の電圧を昇圧して各ゲートドライバ52にそれぞれ供給する。つまり、スイッチング電源54は、低圧領域において低圧バッテリ55と接続されており、高圧領域においてダイオード54aを介してゲートドライバ52に接続されている。なお、スイッチング電源54において、低圧領域と高圧領域との間は絶縁されている。また、図示はされていないが、スイッチング電源54からマイコン51に電力が供給されている。
【0037】
各ゲートドライバ52は、通常時制御を実施する際、スイッチング電源54からの供給電力を利用して、動作する。具体的には、各ゲートドライバ52は、通常時制御を実施する際、スイッチング電源54からの供給電力を利用して、各スイッチSWH,SWLのゲートに電流を流し、各スイッチSWH,SWLをオンオフする。
【0038】
また、
図2に示すように、スイッチング電源54とダイオード54aとの間の電気経路から出力電圧を入力して、出力電圧と第1閾値とを比較することにより、スイッチング電源54が失陥したか否かを判定する電源失陥判定部57を備える。電源失陥判定部57は、スイッチング電源54が失陥したと判定した場合、失陥信号をゲートドライバ52に出力する。ゲートドライバ52は、電源失陥判定部57からスイッチング電源54が失陥した旨の通知(失陥信号)を入力した場合、前述同様、異常時制御を実施する。なお、電源失陥判定部57は、高圧領域に配置されている。
【0039】
また、制御装置50は、異常時制御(短絡制御)が行われるときに使用される第2電源としてのサポート電源56を備える。サポート電源56は、例えば、ドロッパ電源などのリニア電源(シリーズ電源ともいう)である。これら電源からなるサポート電源56は、一般的に、スイッチング電源54に比較してノイズが低いものの、発熱ロスが大きい。しかしながら、サポート電源56は、異常時制御などに使用される非常用電源であり、使用期間が限られるため、発熱ロスは許容されている。
【0040】
このサポート電源56は、高圧領域に配置されており、高圧領域において低圧バッテリ55に比較して、高圧の組電池40と接続されている。また、サポート電源56は、高圧領域においてダイオード56aを介してゲートドライバ52に接続されている。そして、本実施形態において、サポート電源56は、組電池40の入力電圧を調整して、各ゲートドライバ52にそれぞれ供給している。各ゲートドライバ52は、異常時制御を実施する際、サポート電源56からの供給電力を利用して、動作する。具体的には、各ゲートドライバ52は、異常時制御を実施する際、サポート電源56からの供給電力を利用して、各スイッチSWH,SWLのゲートに電流を流し、各スイッチSWH,SWLをオンオフする。
【0041】
ところで、スイッチング電源54は、低圧領域においてマイコン51に接続されており、マイコン51により出力電圧などが調整可能に構成されている。具体的には、マイコン51は、通常時駆動制御が行われる場合と、外部充電時制御が行われる場合とで、出力電圧を変更するように構成されている。例えば、マイコン51は、通常時駆動制御が行われる場合には、第2閾値よりも大きい電圧で出力させる一方、外部充電時制御が行われる場合には、第1閾値よりも大きい電圧であって第2閾値以下の電圧で出力させる。これにより、外部充電時制御が行われる場合、通常時駆動制御が行われる場合に比較して、スイッチング電源54のノイズを低減させることができる。
【0042】
しかしながら、上述したように外部充電中、スイッチング電源54の出力電圧を低下させる場合、失陥と判定される第1閾値との間のマージンが小さくなる。このため、ノイズの影響や低圧バッテリ55の出力低下の影響を受けやすくなり、電源失陥判定部57によってスイッチング電源54が失陥したと誤判定される可能性が高くなる。この場合、ゲートドライバ52は、異常時制御(短絡制御)を優先して実施するため、外部充電時制御を実施することができなくなる。
【0043】
そこで、本実施形態では、外部充電中、サポート電源56からもゲートドライバ52への電力供給を可能にした。具体的には、本実施形態の各ゲートドライバ52は、外部充電中、スイッチング電源54及びサポート電源56のうち出力電圧が高い方から電力供給を受けるように構成されている。
【0044】
例えば、
図2に示すように、スイッチング電源54は、高圧領域においてダイオード54aを介してゲートドライバ52に接続されているとともに、サポート電源56は、高圧領域においてダイオード56aを介してダイオード54aとゲートドライバ52との間の電気経路に接続されている。これにより、各ゲートドライバ52は、スイッチング電源54及びサポート電源56のうち出力電圧が高い方から電力供給を受けることが可能となる。
【0045】
また、スイッチング電源54は、通常状態中、第2閾値よりも高い電圧で電力を供給する一方、外部充電中、第2閾値よりも低い電圧であって、第1閾値よりも高い電圧で電力を供給する。そして、外部充電中、上述したようにサポート電源56も動作させて、電力を供給するようにしている。なお、サポート電源56の出力電圧は、ゲートドライバ52を適切に作動させることができる電圧であれば、任意であるが、本実施形態では、ノイズなどの影響を考慮して、第2閾値よりも大きくしている。
【0046】
次に、
図3を参照して、外部充電が行われる際における制御の流れについて説明する。マイコン51は、車両状態が外部充電中であるか否かを判定する(ステップS101)。具体的には、マイコン51は、上位ECU100により、車両のイントレット62に充電設備200のコネクタ220が接続され、給電可能である旨の通知が入力されている場合、この判定を肯定判定する。なお、ステップS101の判定結果が否定の場合、マイコン51は、通常時の制御を行う(ステップS102)。
【0047】
ステップS101の判定結果が肯定の場合(外部充電中の場合)、マイコン51は、スイッチング電源54の出力電圧を低下させる(ステップS103)。具体的には、マイコン51は、第1閾値よりも大きい電圧であって第2閾値以下の電圧で出力させる。
【0048】
そして、マイコン51は、サポート電源56を作動させ、サポート電源56からもゲートドライバ52へ電力供給させる(ステップS104)。その後、マイコン51は、外部充電に係る制御を実施する(ステップS105)。このとき、例えば、マイコン51は、ゲートドライバ52に外部充電時制御を実施させるべく、各相の上アームスイッチSWHと下アームスイッチSWLに対してオフ指令を出力する。
【0049】
第1実施形態の構成により、以下の効果を得ることができる。
【0050】
ゲートドライバ52(駆動制御部)は、スイッチング電源54(第1電源)が失陥したときなど異常時において、短絡制御を実施することにより、逆起電力による影響を抑制することができる。このとき、ゲートドライバ52は、サポート電源56(第2電源)からの電力により短絡制御を実施することにより、確実に短絡制御が実施されるようにしている。
【0051】
一方、外部充電中、スイッチング電源54からのノイズを低減させるため、スイッチング電源54の出力電圧を低下させている。この場合、スイッチング電源54からの供給電力で、上アームスイッチSWH及び下アームスイッチSWLを安定して駆動制御できない可能性が生じる。そこで、外部充電中、短絡制御において使用されるサポート電源56からもゲートドライバ52へ電力供給することができるように構成した。これにより、外部充電中、確実に駆動制御を実施することができる。
【0052】
スイッチング電源54が低圧領域に配置され、ゲートドライバ52が高圧領域に配置される回路設計上、絶縁が必要となる。このため、スイッチング電源54は、高ノイズを発生する回路構成となってしまう。その一方、スイッチング電源54は、低圧領域に配置されるため、通常時において長期間使用しても、発熱ロスを小さくし、また、消費電力を小さくすることができるというメリットがある。
【0053】
ゲートドライバ52及びサポート電源56は、同じ高圧領域上に配置され、絶縁を考慮する必要がなく、また、非常用電源であるため、発熱ロスや電力ロスなどを考慮する必要もない。このため、リニア電源を採用して低ノイズとすることが可能となる。したがって、外部充電中に使用しても、ノイズの影響を小さくすることができる。
【0054】
なお、サポート電源56は、高圧領域上に配置されるため、発熱ロスが大きく、消費電力が大きくなりやすくなってしまうが、スイッチング電源54の失陥時又は外部充電という限られた期間において使用されるため、つまり、非常用電源であるため、このデメリットを許容することができる。
【0055】
スイッチング電源54は、外部充電中、通常状態における供給電圧(第2閾値)よりも低い電圧であって、異常であると判定される第1閾値よりも高い電圧で電力を供給する。このため、通常時制御においては、安定的にスイッチング電源54からゲートドライバ52に対して電力を供給することができる一方、外部充電中にはノイズを少なくすることができる。また、スイッチング電源54の異常判定を簡単に行うことができる。
【0056】
(第2実施形態)
上記第1実施形態の構成の一部を変更してもよい。以下、第1実施形態の構成の一部を変更した第2実施形態について説明する。
【0057】
第2実施形態において、マイコン51は、外部充電中、スイッチング電源54を停止させる一方、サポート電源56を動作させ、サポート電源56からゲートドライバ52に電力を供給する。
【0058】
また、ゲートドライバ52は、マイコン51からのスイッチング指令(オン指令又はオフ指令)が入力されているとともに、電源失陥判定部57からスイッチング電源54の失陥信号を入力した場合、当該失陥信号を無効として処理する(失陥信号をマスクする)ように構成されている。
【0059】
これにより、外部充電中、マイコン51の指示により意図的にスイッチング電源54を停止させ、それにより電源失陥判定部57が失陥信号を出力した場合であっても、ゲートドライバ52は、異常時制御を実施することなく、外部充電時制御を実施することが可能となる。
【0060】
なお、スイッチング電源54が実際に失陥した場合、スイッチング電源54からマイコン51への電力供給も途絶えるため、マイコン51からスイッチング指令が出力されることはない。すなわち、スイッチング電源54が実際に失陥した場合、ゲートドライバ52は、失陥信号の入力に伴い、異常時制御を実施することとなる。
【0061】
上記第2実施形態の構成によれば、外部充電中において、スイッチング電源54に対する制御を簡単にすることができる。
【0062】
(第3実施形態)
上記第1実施形態の構成の一部を変更してもよい。以下、第1実施形態の構成の一部を変更した第3実施形態について説明する。
【0063】
第3実施形態の電源システム10は、サポート電源56が正常に動作可能か否かについて診断する診断機能を備える。以下、詳しく説明する。
【0064】
ゲートドライバ52は、スイッチング電源54又はサポート電源56から入力する電源電圧が、動作可能下限電圧を下回った場合、FAIL信号をマイコン51に対して出力するように構成されている。そこで、マイコン51は、所定のタイミング(例えば、車両始動時)において、
図4に示す診断処理を実施し、意図的にスイッチング電源54の動作を停止させる(ステップS201)。これにより、ゲートドライバ52からマイコン51に対してFAIL信号が入力されることとなる。
【0065】
次に、マイコン51は、サポート電源56を動作させ(ステップS202)、サポート電源56からゲートドライバ52に電力を供給させることにより、FAIL信号の出力が停止されるか否かを判定する(ステップS203)。
【0066】
この判定結果が肯定の場合、すなわち、FAIL信号の出力が停止された場合、マイコン51は、サポート電源56が正常に動作していると判断し、通常時の制御に移行する(ステップS204)。一方、ステップS202の判定閣下が否定の場合、すなわち、FAIL信号の出力が停止されなかった場合、マイコン51は、サポート電源56が正常に動作していないと判断し、異常時の制御に移行する(ステップS205)。
【0067】
第3実施形態の構成によれば、サポート電源56の動作確認を簡単に行うことができ、ゲートドライバ52に外部充電時制御及び異常時制御(短絡制御)を確実に実施させることができる。
【0068】
(変形例)
上記実施形態の構成の一部を変更した変形例について説明する。
【0069】
・上記第2実施形態において、ゲートドライバ52は、マイコン51からのスイッチング指令(オン指令又はオフ指令)が入力されているとともに、電源失陥判定部57からスイッチング電源54の失陥信号を入力した場合、当該失陥信号を無効として処理するようにした。この変形例として、
図5に示すように、外部充電中、マイコン51は、スイッチング指令を出力する信号線とは別に設けられた専用線を介して、外部充電中であることを通知する外部充電指示信号をゲートドライバ52に入力してもよい。これにより、ノイズの影響等により、スイッチング指令が正しく入力されなかった場合でも、ゲートドライバ52に、外部充電中であることを確実に認識させることができる。
【0070】
・上記実施形態では、高圧領域において、サポート電源56をゲートドライバ52に接続させたが、
図6に示すように、低圧領域において、スイッチング電源54とダイオード54aとの間の電気経路に接続させてもよい。この場合、電源失陥判定部57は、低圧領域においてスイッチング電源54とダイオード54aとの間の電気経路から、スイッチング電源54の出力電圧を入力することとなる。
【0071】
・上記実施形態において、外部充電時制御が行われる場合、マイコン51は、第1閾値よりも大きい電圧であって第2閾値以下の電圧で出力させるようにスイッチング電源54を制御していた。この変形例として、外部充電時制御が行われる場合、マイコン51は、スイッチング電源54から間欠的に電圧が出力されるようにしてもよい。
【0072】
・上記実施形態において、電源失陥判定部57は、通常状態中、スイッチング電源54の出力電圧が第2閾値以下の場合、スイッチング電源54が失陥したと判定するようにする一方、外部充電中、スイッチング電源54の出力電圧が第1閾値以下の場合、スイッチング電源54が失陥したと判定するようにしてもよい。つまり、通常状態と外部充電中とで閾値を変更してもよい。
【0073】
・上記実施形態において、電源失陥判定部57は、ゲートドライバ52の内部に設けられていてもよい。
・上記実施形態の電源システム10において、中性点充電を可能に構成してもよい。
【0074】
・上記実施形態において、
図7に示すように、ゲートドライバ52は、トランジスタ等を用いたワイヤードOR回路300を介してスイッチング電源54及びサポート電源56に接続されていてもよい。
【0075】
・上記実施形態では、スイッチング電源54として、絶縁型の電源を採用したが、非絶縁型であってもよい。この場合、スイッチング電源54とゲートドライバ52との間に絶縁するための回路を設ける必要がある。
【0076】
以下、上述した各実施形態から抽出される特徴的な構成を記載する。
[構成1]
外部に設けられる外部電源(210)により蓄電装置(40)を充電する外部充電を実行可能な電源システム(10)において、
電機子巻線(21)を有する回転電機(20)と、
上アームスイッチ(SWH)及び下アームスイッチ(SWL)の直列接続体を有し、前記蓄電装置と前記回転電機との間で電力変換を行うインバータ(30)と、
前記上アームスイッチ及び前記下アームスイッチを駆動制御する駆動制御部(52)と、
前記駆動制御部への電力を供給する第1電源(54)と、
前記上アームスイッチ及び前記下アームスイッチのうち、一方のアームスイッチをオンするとともに他方のアームスイッチをオフする短絡制御が実施される際、前記駆動制御部への電力を供給する第2電源(56)と、を備え、
前記第1電源は、通常状態において第1閾値よりも高い電圧で電力を供給する一方、外部充電中、間欠的に電力を供給する、又は電圧を下げて電力を供給する、若しくは、電力供給を停止するように構成され、
前記駆動制御部は、前記第1電源が失陥した際、前記第2電源からの供給電力によって前記短絡制御を実施する一方、外部充電中、前記第1電源及び前記第2電源のうち出力電圧が高い方からの供給電力によって、若しくは前記第2電源からの供給電力によって、前記上アームスイッチ及び前記下アームスイッチを駆動制御するように構成されている電源システム。
[構成2]
少なくとも前記駆動制御部及び前記第2電源は、高圧領域に配置される一方、第1電源は、低圧領域に配置される構成1に記載の電源システム。
[構成3]
前記第1電源は、通常状態中、第2閾値よりも高い電圧で電力を供給する一方、外部充電中、前記第2閾値以下の電圧であって、前記第1閾値よりも高い電圧で電力を供給するように構成され、
前記駆動制御部は、前記第1電源の出力電圧が前記第1閾値以下である場合、前記第1電源が失陥したとして、前記第2電源からの供給電力によって前記短絡制御を実施する構成1又は2に記載の電源システム。
[構成4]
前記第1電源の出力電圧を指示する電圧制御部(51)を備え、
前記電圧制御部は、外部充電中、前記第1電源に対して、前記第1閾値以下の電圧で電力を出力させるように指示するとともに、その旨を前記駆動制御部に通知し、
前記駆動制御部は、前記電圧制御部から前記通知がある場合、前記第1電源からの供給電力が前記第1閾値以下であっても、前記短絡制御を実施することなく、前記第2電源からの供給電力によって、前記上アームスイッチ及び前記下アームスイッチを駆動制御する構成1又は2に記載の電源システム。
[構成5]
前記上アームスイッチ及び前記下アームスイッチのオンオフ状態を指示するスイッチ制御部(51)を備え、
前記スイッチ制御部は、前記第1電源からの電力により作動し、
前記駆動制御部は、前記スイッチ制御部からの指示がある場合、前記第1電源の出力電圧が前記第1閾値以下であっても、前記短絡制御を実施することなく、前記スイッチ制御部からの指示に従って、前記上アームスイッチ及び前記下アームスイッチを駆動制御する構成1又は2に記載の電源システム。
[構成6]
前記第1電源の出力電圧を指示する電圧制御部(51)を備え、
前記電圧制御部は、異常診断処理を実行可能に構成されており、
前記電圧制御部は、前記異常診断処理において、前記第1電源に対して、前記第1閾値よりも低い電圧で電力を出力させるように指示し、その後、前記第2電源からの供給電力によって前記駆動制御部によって前記短絡制御が実施された場合、前記第2電源が正常に作動していると診断する一方、前記短絡制御が実施されなかった場合、異常が生じていると診断する構成1~5のうちいずれかに記載の電源システム。
【符号の説明】
【0077】
10…電源システム、20…モータ、21…電機子巻線、30…インバータ、40…組電池、50…制御装置、51…マイコン、52…ゲートドライバ、53…異常判定部、54…スイッチング電源、56…サポート電源、57…電源失陥判定部。