(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024106457
(43)【公開日】2024-08-08
(54)【発明の名称】印刷システム及び印刷方法
(51)【国際特許分類】
G06F 3/12 20060101AFI20240801BHJP
B41J 29/38 20060101ALI20240801BHJP
【FI】
G06F3/12 336
G06F3/12 332
G06F3/12 331
G06F3/12 304
B41J29/38 201
B41J29/38 401
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023010712
(22)【出願日】2023-01-27
(71)【出願人】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100174104
【弁理士】
【氏名又は名称】奥田 康一
(72)【発明者】
【氏名】小嶋 響
【テーマコード(参考)】
2C061
【Fターム(参考)】
2C061AP01
2C061HK05
2C061HK11
2C061HK19
2C061HN06
2C061HN08
2C061HN15
(57)【要約】
【課題】印刷のセキュリティと利便性の双方を向上する。
【解決手段】情報処理装置は、印刷装置が直接接続されているネットワークに直接接続され、もしくは前記ネットワークにVPN接続され、印刷データとともに前記ネットワーク上で前記情報処理装置を識別する為の識別情報を含む付加情報を前記印刷装置に送信する情報処理装置側通信部を備え、前記印刷装置は、前記情報処理装置から送信される前記印刷データと前記付加情報を受信する印刷装置側通信部と、前記印刷装置側通信部により受信された前記印刷データと前記付加情報を対応付けて記憶する記憶部と、前記ネットワークに直接接続されている情報処理装置の中に、前記記憶部に記憶されている前記付加情報に含まれる前記識別情報を持つ前記情報処理装置が存在する場合に、当該識別情報に対応付けられた前記印刷データの印刷を許可する制御部と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理装置と、当該情報処理装置から受信した印刷データに基づいて印刷を実行する印刷装置とを有する印刷システムであり、
前記情報処理装置は、
前記印刷装置が直接接続されているネットワークに直接接続され、もしくは前記ネットワークにVPN接続され、
前記印刷データとともに前記ネットワーク上で前記情報処理装置を識別する為の識別情報を含む付加情報を前記印刷装置に送信する情報処理装置側通信部と
を備え、
前記印刷装置は、
前記情報処理装置から送信される前記印刷データと前記付加情報を受信する印刷装置側通信部と、
前記印刷装置側通信部により受信された前記印刷データと前記付加情報を対応付けて記憶する記憶部と、
前記ネットワークに直接接続されている装置の中に、前記記憶部に記憶されている前記付加情報に含まれる前記識別情報を持つ前記情報処理装置が存在する場合に、当該識別情報に対応付けられた前記印刷データの印刷を許可する制御部と
を備える
ことを特徴とする印刷システム。
【請求項2】
前記識別情報は、
前記情報処理装置のMACアドレスであり、
前記情報処理装置は、
前記ネットワークにVPN接続されている場合に、前記情報処理装置側通信部により前記印刷データとともに前記付加情報を前記印刷装置に送信する
ことを特徴とする請求項1に記載の印刷システム。
【請求項3】
前記制御部は、
所定のネットワークコマンドを用いて、前記ネットワークに直接接続されている装置の中に、前記記憶部に記憶されている前記付加情報に含まれる前記MACアドレスを持つ前記情報処理装置が存在するか否かを判定する
ことを特徴とする請求項2に記載の印刷システム。
【請求項4】
前記制御部は、
前記ネットワークに直接接続されているもしくはVPN接続されている装置のIPアドレスとMACアドレスの組のリストを取得し、当該リストの中に、前記記憶部に記憶されている前記付加情報に含まれる前記MACアドレスが存在する場合に、前記情報処理装置が前記ネットワークに接続されていると判定し、
さらに前記印刷装置と前記情報処理装置との間の通信経路上に存在するネットワーク機器のIPアドレスのリストを取得し、当該リストの中に、予め登録されているVPN接続用のネットワーク機器のIPアドレスが含まれていない場合に、前記情報処理装置が、前記ネットワークに直接接続されていると判定する
ことを特徴とする請求項3に記載の印刷システム。
【請求項5】
前記制御部は、
前記ネットワークに直接接続されている装置の中に、前記記憶部に記憶されている前記付加情報に含まれる前記識別情報を持つ前記情報処理装置が存在すると判定した場合に、当該付加情報に対応付けられた前記印刷データの印刷を許可し、実行する
ことを特徴とする請求項1に記載の印刷システム。
【請求項6】
前記付加情報には、前記印刷データの生存時間が含まれ、
前記制御部は、
前記印刷装置側通信部により前記印刷データとともに前記付加情報を受信すると、当該付加情報に含まれる前記生存時間が示す期間、定期的に、前記ネットワークに直接接続されている装置の中に、前記記憶部に記憶されている前記付加情報に含まれる前記識別情報を持つ前記情報処理装置が存在するか否かを判定する
ことを特徴とする請求項1に記載の印刷システム。
【請求項7】
前記付加情報に含まれる前記識別情報は、
ランダム生成されたMACアドレスである
ことを特徴とする請求項2に記載の印刷システム。
【請求項8】
前記印刷装置は、
前記情報処理装置からの要求に応じてMACアドレスをランダム生成するMACアドレス生成部を備え、
前記印刷装置側通信部は、
前記MACアドレス生成部によりランダム生成されたMACアドレスを前記情報処理装置に送信し、
前記情報処理装置は、
自装置のMACアドレスを更新するMACアドレス更新部を備え、
前記情報処理装置側通信部は、
前記印刷装置にMACアドレスを要求して、当該要求に応じて前記印刷装置から送信されてくるMACアドレスを受信し、
前記MACアドレス更新部は、
現在のMACアドレスを、前記情報処理装置側通信部が前記印刷装置から受信したMACアドレスに更新し、
前記情報処理装置側通信部は、
前記印刷データとともに、更新後のMACアドレスを含む前記付加情報を前記印刷装置に送信する
ことを特徴とする請求項7に記載の印刷システム。
【請求項9】
前記情報処理装置は、
MACアドレスをランダム生成するMACアドレス生成部と、
自装置のMACアドレスを更新するMACアドレス更新部と
を備え、
前記MACアドレス更新部は、
現在のMACアドレスを、前記MACアドレス生成部により生成されたMACアドレスに更新し、
前記情報処理装置側通信部は、
前記印刷データとともに、更新後のMACアドレスを含む前記付加情報を前記印刷装置に送信する
ことを特徴とする請求項7に記載の印刷システム。
【請求項10】
印刷装置が直接接続されているネットワークに直接接続され、もしくは前記ネットワークにVPN接続される情報処理装置と、当該情報処理装置から受信した印刷データに基づいて印刷を実行する前記印刷装置とを有する印刷システムによる印刷方法であり、
前記情報処理装置が、前記印刷データとともに前記ネットワーク上で前記情報処理装置を識別する為の識別情報を含む付加情報を前記印刷装置に送信するステップと、
前記印刷装置が、前記情報処理装置から受信した前記印刷データと前記付加情報を対応付けて記憶部に記憶するステップと、
前記印刷装置が、前記ネットワークに直接接続されている装置の中に、前記記憶部に記憶されている前記付加情報に含まれる前記識別情報を持つ前記情報処理装置が存在する場合に、当該識別情報に対応付けられた前記印刷データの印刷を許可するステップと
を備える
ことを特徴とする印刷方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷システム及び印刷方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、情報処理装置としてのPC(Personal Computer)のIPアドレスと印刷装置としてのプリンタのIPアドレスとを比較して、PCとプリンタとが同一ネットワーク内に存在するか否かを判断し、存在しないと判断した場合に警告を表示する印刷システムがある(例えば特許文献1参照)。
【0003】
一方で、近年テレワークなどの普及にともない、自宅のPCからVPN(Virtual Private Network)サーバを介して会社のネットワークにVPN接続するような状況が増えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の印刷システムでは、PCとプリンタとがVPNサーバを経由してVPN接続されているか否かに応じて警告を表示するようなことはできない。この為、例えば自宅のPCから会社のネットワークにVPN接続している状況で、自宅のPCから会社のネットワークに接続されたプリンタに誤って印刷要求を出してしまう場合があり、この場合、プリンタから出力された印刷物が放置されてしまい、印刷のセキュリティが低下する可能性があった。
【0006】
一方で、自宅のPCから会社のネットワークに接続されたプリンタに出した印刷要求をプリンタ側で拒否するようにすれば、印刷のセキュリティの低下を防止できるようになると考えられるが、この場合、ユーザが出社時に会社のPCから再度印刷要求を出さねばならず、利便性が損なわれてしまう。
【0007】
本発明は以上の点を考慮したものであり、印刷のセキュリティと利便性の双方を向上し得る印刷システム及び印刷方法を提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の印刷システムは、情報処理装置と、当該情報処理装置から受信した印刷データに基づいて印刷を実行する印刷装置とを有する印刷システムであり、前記情報処理装置は、前記印刷装置が直接接続されているネットワークに直接接続され、もしくは前記ネットワークにVPN接続され、前記印刷データとともに前記ネットワーク上で前記情報処理装置を識別する為の識別情報を含む付加情報を前記印刷装置に送信する情報処理装置側通信部とを備え、前記印刷装置は、前記情報処理装置から送信される前記印刷データと前記付加情報を受信する印刷装置側通信部と、前記印刷装置側通信部により受信された前記印刷データと前記付加情報を対応付けて記憶する記憶部と、前記ネットワークに直接接続されている装置の中に、前記記憶部に記憶されている前記付加情報に含まれる前記識別情報を持つ前記情報処理装置が存在する場合に、当該識別情報に対応付けられた前記印刷データの印刷を許可する制御部とを備える。
【0009】
また本発明の印刷方法は、印刷装置が直接接続されているネットワークに直接接続され、もしくは前記ネットワークにVPN接続される情報処理装置と、当該情報処理装置から受信した印刷データに基づいて印刷を実行する前記印刷装置とを有する印刷システムによる印刷方法であり、前記情報処理装置が、前記印刷データとともに前記ネットワーク上で前記情報処理装置を識別する為の識別情報を含む付加情報を前記印刷装置に送信するステップと、前記印刷装置が、前記情報処理装置から受信した前記印刷データと前記付加情報を対応付けて記憶部に記憶するステップと、前記印刷装置が、前記ネットワークに直接接続されている装置の中に、前記記憶部に記憶されている前記付加情報に含まれる前記識別情報を持つ前記情報処理装置が存在する場合に、当該識別情報に対応付けられた前記印刷データの印刷を許可するステップとを備える。
【0010】
本発明によれば、情報処理装置が例えばVPNサーバを経由してネットワークにVPN接続されている場合に情報処理装置から印刷装置に送信された印刷データを印刷装置側で印刷せずに保持することができ、その後、情報処理装置がネットワークに直接接続された場合に、印刷装置が保持している印刷データの印刷を許可して印刷することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、印刷のセキュリティと利便性の双方を向上し得る印刷システム及び印刷方法を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】第1の実施の形態による印刷システムの構成(PCがリモート環境に含まれる場合)を示す図である。
【
図2】第1の実施の形態による印刷システムの構成(PCがローカル環境に含まれる場合)を示す図である。
【
図3】第1の実施の形態によるVPN接続判定用情報の構成を示す図である。
【
図4】第1の実施の形態による印刷ジョブの構成を示す図である。
【
図5】第1の実施の形態による印刷システムの動作を示すシーケンスチャートである。
【
図7】第2の実施の形態によるMACアドレス情報の構成を示す図である。
【
図8】第2の実施の形態による印刷システムの動作を示すシーケンスチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、発明を実施するための形態(以下、これを実施の形態と呼ぶ)について、図面を用いて詳細に説明する。
【0014】
[1.第1の実施の形態]
[1-1.印刷システムの構成]
図1及び
図2に、第1の実施の形態による印刷システム1の構成を示す。この印刷システム1には、リモート環境100とローカル環境200の2つのネットワーク環境が含まれている。リモート環境100は、印刷システム1を利用する利用者(ユーザ)のネットワーク環境であり、例えば利用者宅のネットワーク環境である。一方、ローカル環境200は、例えば利用者が勤務する会社のネットワーク環境である。
【0015】
リモート環境100とローカル環境200は、例えばインターネットなどの外部ネットワークNtを介してVPN接続できるようになっている。
【0016】
ここで、
図1は、リモート環境100に、ユーザの端末であるPC10が接続されている例であり、例えばユーザが自宅でテレワークを行う場合、
図1のようなシステム構成となる。一方、
図2は、ローカル環境200に、ユーザの端末であるPC10が接続されている例であり、例えばユーザが会社で作業する場合、
図2のようなシステム構成となる。
【0017】
図1及び
図2に示すように、リモート環境100には、ルータ110が含まれている。ルータ110は、外部ネットワークNtと接続されている。またルータ110は、例えば利用者の自宅内のLAN(Local Area Network)120(
図1参照)に接続されている。尚、例えばユーザが自宅でテレワークを行う場合、
図1に示すように、ユーザの端末であるPC10が自宅内のLAN120に接続される。ここでは、このようにPC10がリモート環境100のLAN120に接続されることを、PC10がリモート環境100に直接接続されるという。
【0018】
ルータ110は、制御部111と通信部112とを有している。制御部111は、ルータ110の各部を制御する。通信部112は、LAN120及び外部ネットワークNtと接続し、これらLAN120及び外部ネットワークNt間を中継する。
【0019】
一方、ローカル環境200には、VPNサーバ210とルータ220とプリンタ230が含まれている。VPNサーバ210とルータ220は、会社内のLAN240に接続され、ルータ220とプリンタ230は、会社内のLAN250に接続されている。さらにVPNサーバ210は、外部ネットワークNtとも接続されていて、外部ネットワークNtを介してリモート環境100にVPN接続できるようになっている。さらにルータ220は、会社内のLAN260(
図2参照)に接続されている。尚、例えばユーザが会社で作業する場合、
図2に示すように、ユーザの端末であるPC10が会社内のLAN260に接続される。ここでは、このようにPC10がローカル環境200のLAN260に接続されることを、PC10がローカル環境200に直接接続されるという。
【0020】
VPNサーバ210は、制御部211と通信部212と記憶部213を有している。制御部211は、例えばCPUとメモリで構成され、VPNサーバ210の各部を制御する。通信部212は、LAN240及び外部ネットワークNtと接続し、これらLAN240及び外部ネットワークNt間を中継する。記憶部213には、例えばVPNサーバソフトウェアがインストールされている。VPNサーバ210の制御部211は、VPNサーバソフトウェアを用いて通信部212を制御することにより、VPNクライアント(例えばリモート環境100に接続されたPC10)とVPN接続する。
【0021】
ルータ220は、制御部221と通信部222とを有している。制御部221は、ルータ220の各部を制御する。通信部222は、LAN240、250、260と接続し、これらLAN240、250、260間を中継する。
【0022】
プリンタ230は、制御部231と通信部232と記憶部233と印刷部234と操作部235と表示部236を有している。制御部231は、例えばCPUとメモリで構成され、プリンタ230の各部を制御する。通信部232は、LAN250と接続する。つまりプリンタ230は、通信部232により、LAN250、ルータ220、LAN240を介してVPNサーバ210と接続できるようになっていて、例えばリモート環境100のPC10から送信されてくる印刷ジョブを、VPNサーバ210を介して受信する。また通信部232は、LAN250、ルータ220、LAN260を介して例えばPC10と接続できるようになっていて、PC10から送信されてくる印刷ジョブを受信する。
【0023】
記憶部233は、通信部232により受信した印刷ジョブなどを記憶する。印刷部234は、制御部231からの指示に従って、記憶部233に記憶されている印刷ジョブに基づいて印刷媒体に画像を印刷し、当該媒体を出力(排出)する。
【0024】
操作部235は、例えば操作ボタンやタッチパネルなどであり、ユーザ操作を受け付ける。表示部236は、例えば液晶ディスプレイやタッチパネルであり、各種情報を表示する。
【0025】
PC10は、例えばノートブック型パーソナルコンピュータなどの情報処理装置であり、制御部11と通信部12と記憶部13とを有している。制御部11は、例えばCPUとメモリで構成され、PC10の各部を制御する。記憶部13は、各種プログラム及び各種データを記憶する。この記憶部13には、例えばOS(Operating System)とアプリケーションとプリンタ230で印刷を行う為のプリンタドライバとVPNクライアントソフトウェアがインストールされている。PC10の制御部11は、アプリケーションとプリンタドライバを用いて印刷ジョブを生成する。
【0026】
通信部12は、
図1に示すようにPC10がリモート環境100に直接接続される場合、LAN120と接続する。つまりこの場合、PC10は、通信部12により、LAN120、ルータ110、外部ネットワークNtを介してローカル環境200と接続できるようになっている。
【0027】
このときPC10の制御部11は、VPNクライアントソフトウェアを用いて通信部12を制御することにより、ローカル環境200のVPNサーバ210とVPN接続し、当該VPNサーバ210を介して、プリンタ230へ印刷ジョブを送信する(つまりプリンタ230へ印刷指示を出す)ことができるようになっている。尚、VPNクライアントソフトウェアについては、OSに組み込まれていてもよい。
【0028】
このように、PC10は、VPNを利用してローカル環境200にVPN接続でき、ローカル環境200に含まれるプリンタ230へ印刷指示を出すことができるようになっている。
【0029】
また通信部12は、
図2に示すようにPC10がローカル環境200に直接接続される場合、LAN260と接続する。つまりこの場合、PC10は、通信部12により、LAN260、ルータ220、LAN250を介してプリンタ230と接続できるようになっていて、プリンタ230へ印刷ジョブを送信する(つまり印刷指示を出す)ことができるようになっている。
【0030】
尚、例えばリモート環境100のLAN120に図示しないプリンタが接続されている場合、PC10は、リモート環境100に直接接続されている際に、このプリンタに印刷指示を出すこともできる。またPC10は、ローカル環境200とは別の図示しないネットワーク環境にVPN接続し、当該ネットワーク環境に含まれるプリンタへ印刷指示を出すこともできる。
【0031】
さらにPC10の記憶部13は、
図3に示すVPN接続判定用情報D1を記憶する。このVPN接続判定用情報D1は、PC10が印刷ジョブの送信先となるプリンタ(例えばプリンタ230)との通信にVPNを用いているか否か(つまりVPNサーバを介しているか否か)を判定する為の情報である。具体的には、VPN接続判定用情報D1は、ネットワーク機器の名前と、当該ネットワーク機器のIPアドレスとを紐付けたものである。
図3では一例として、ネットワーク機器名「VPNサーバ1」とIPアドレス「aa.bb.cc.dd」、及びネットワーク機器名「VPNサーバ2」とIPアドレス「aa.bb.cc.ee」がそれぞれ紐付けられて、VPN接続判定用情報D1として登録されている。尚、このVPN接続判定用情報D1には、任意のネットワーク機器の名前とIPアドレスを登録することができ、例えば、プリンタドライバの設定画面上で登録できるようになっている。
【0032】
さらにPC10の制御部11は、PC10とプリンタ(例えばプリンタ230)との間の通信経路を示す通信経路情報を取得することができるようになっている。つまり制御部11は通信経路情報取得部としても機能する。通信経路情報の取得には、例えばpingコマンドを用いる。具体的には、制御部11は、pingコマンドを、宛先をプリンタとして「-R」オプションで実行する。これにより、制御部11は、通信経路情報として、PC10とプリンタとの間の通信経路に含まれる(つまり通信経路上に存在する)ネットワーク機器のIPアドレスのリストを取得することができる。尚、pingコマンドの代わりに、tracertコマンドなどを実行してもよく、これらpingコマンドやtracertコマンドのことを、ここでは通信経路確認コマンド(または単に経路確認コマンド)と呼ぶ。
【0033】
PC10の制御部11は、通信経路確認コマンドを実行することで取得した通信経路情報に、上述したVPN接続判定用情報D1に記されているネットワーク機器(例えばVPNサーバ210)のIPアドレスが含まれているか否かにより、印刷ジョブの送信先となるプリンタ(例えばプリンタ230)との通信にVPNを用いているか否かを判定するようになっている。
【0034】
ここで、ネットワーク機器名「VPNサーバ1」とIPアドレス「aa.bb.cc.dd」が、例えばローカル環境200に含まれるVPNサーバ210の名前とIPアドレスであるとする。そして、
図1に示すように、PC10がリモート環境100に直接接続されている場合(つまりPC10がリモート環境100からローカル環境200にVPN接続している場合)、PC10の制御部11が、通信経路確認コマンドにより取得したプリンタ230までの経路情報には、VPNサーバ210のIPアドレスが含まれていることになる。よって、この場合、PC10の制御部11は、プリンタ230との通信にVPNを用いていると判定することになる。
【0035】
一方で、
図2に示すように、PC10がローカル環境200に直接接続されている場合、PC10の制御部11が、通信経路確認コマンドにより取得したプリンタ230までの経路情報には、VPNサーバ210のIPアドレスが含まれていないことになる。よって、この場合、PC10の制御部11は、プリンタ230との通信にVPNを用いていないと判定することになる。
【0036】
またPC10の制御部11は、プリンタ(例えばプリンタ230)との通信にVPNを用いていると判定した場合、アプリケーションとプリンタドライバを用いて生成した印刷ジョブに後述する付加情報を追記したうえで、プリンタに送信するようになっている。つまり、制御部11は、付加情報追記部としても機能する。
【0037】
具体的には、制御部11は、プリンタとの通信にVPNを用いていないと判定した場合には、
図4(A)に示すように、プリンタドライバが生成したデータRwを印刷ジョブPjとしてプリンタへと送信する一方で、プリンタとの通信にVPNを用いていると判定した場合には、
図4(B)に示すように、生成したデータRwに付加情報Adを追記したものを印刷ジョブPjとしてプリンタへと送信するようになっている。追記される付加情報Adには、PC10からプリンタまでの経路上に存在するVPNサーバのIPアドレスと、識別用IDと、PC10のメールアドレスと、印刷ジョブPjの生存時間が含まれている。
【0038】
このうち、識別用IDは、例えばPC10の固定MACアドレスである。また印刷ジョブPjの生存時間は、印刷ジョブPjがプリンタ側で保持される時間であり、例えば「24時間」のように設定される。尚、付加情報Adに含まれるPC10のメールアドレスと、印刷ジョブPjの生存時間は、例えばプリンタドライバの設定画面上で設定され、PC10の記憶部13に記憶されるようになっている。
【0039】
このようにしてPC10から例えばプリンタ230へと送信された印刷ジョブPjは、プリンタ230の記憶部233に記憶される。ここで、プリンタ230の制御部231は、記憶部233に記憶されている印刷ジョブPjに付加情報Adが追記されていない場合(つまり
図2に示すように、ローカル環境200に直接接続されたPC10から印刷ジョブPjが送信された場合)、当該印刷ジョブPjに基づいて印刷を実行するように印刷部234に指示を出す。印刷部234は、制御部231からの指示に従って、当該印刷ジョブPjに基づいて印刷媒体に画像を印刷し、当該媒体を出力(排出)する。
【0040】
一方で、プリンタ230の制御部231は、記憶部233に記憶されている印刷ジョブPjに付加情報Adが追記されている場合(つまり
図1に示すように、ローカル環境200にVPN接続されたPC10から印刷ジョブPjが送信された場合)、当該付加情報Adに基づいてローカル環境200の監視を行う。つまり制御部231はローカル環境200を監視する監視部としても機能する。ローカル環境200の監視には、上述した経路確認コマンド(例えばpingコマンド)に加えて、例えばarpコマンドを用いる。
【0041】
具体的には、制御部231は、定期的にarpコマンドを「-a」オプションで実行する。これにより、制御部231は、ローカル環境200に直接接続されているネットワーク機器と、ローカル環境200にVPN接続されているネットワーク機器のそれぞれのIPアドレスとMACアドレスの組のリストを取得することができる。尚、arpコマンドのことを、ここでは環境監視コマンドと呼ぶ。
【0042】
プリンタ230の制御部231は、環境監視コマンドを実行することで取得したIPアドレスとMACアドレスの組のリストに、付加情報Adに含まれている識別用ID(つまりPC10の固定MACアドレス)が含まれているか否かを判定し、含まれている場合には、IPアドレスとMACアドレスの組のリストから、当該識別用IDに対応するIPアドレス(つまりPC10のIPアドレス)を取得する。この時点で、プリンタ230の制御部231は、ローカル環境200に直接接続もしくはVPN接続されているPC10のIPアドレスを取得できたことになる。別の言い方をすると、この時点では、
図2に示すようにPC10がローカル環境200に直接接続されているのか、
図1に示すようにローカル環境200にVPN接続されているのかまでは特定できない。
【0043】
その後、プリンタ230の制御部231は、取得したIPアドレス(つまりPC10のIPアドレス)を宛先として経路確認コマンドを実行することにより、通信経路情報として、プリンタ230とPC10との間の通信経路に含まれる(つまり通信経路上に存在する)ネットワーク機器のIPアドレスのリストを取得する。
【0044】
さらにプリンタ230の制御部231は、取得した通信経路情報に、付加情報Adに含まれているVPNサーバのIPアドレスが含まれているか否かにより、PC10がローカル環境200にVPN接続されているのか、ローカル環境200に直接接続されているのかを判定する。
【0045】
そしてプリンタ230の制御部231は、PC10がローカル環境200に直接接続されていると判定した場合に、記憶部233に記憶されている印刷ジョブPjに基づいて印刷を実行するように印刷部234に指示を出す。印刷部234は、制御部231からの指示に従って、当該印刷ジョブPjに基づいて印刷媒体に画像を印刷し、当該媒体を出力(排出)する。
【0046】
一方で、プリンタ230の制御部231は、PC10がローカル環境200に直接接続されていないと判定した場合には、付加情報Adに含まれている印刷ジョブPjの生存時間が終了するまで、ローカル環境200の監視を継続する。印刷システム1の構成は、以上のようになっている。
【0047】
上述の構成により、印刷システム1では、ローカル環境200に直接接続されているプリンタ230が、ローカル環境200にVPN接続されているPC10から印刷ジョブPjを受信すると、これを印刷せずに記憶部233に記憶する。その後、プリンタ230は、ローカル環境200を監視し、PC10がこのローカル環境200に直接接続されたことを確認すると、記憶部233に記憶してある印刷ジョブPjを印刷するようになっている。
【0048】
[1-2.印刷システムの動作]
つぎに印刷システム1の動作について説明する。ここでは、一例として、PC10がアプリケーションとプリンタドライバを用いて印刷ジョブを生成し、当該印刷ジョブをプリンタ230に送信する際の動作について
図5及び
図6に示すシーケンスチャートを用いて説明する。尚、
図5、
図6、及び後述する
図8に示すシーケンスチャートにおいて、「opt」は条件を満たした場合のみ実行される処理を表し、「alt」は分岐処理を表し、「loop」はループ(繰り返し)処理を表し、「break」は処理の中断を表す。また本シーケンスの開始前の時点で、PC10は、VPNサーバ210にVPN接続されていて、VPNサーバ210を介してプリンタ230と通信可能な状態であるとする。またPC10の記憶部13には、
図3に示すVPN接続判定用情報D1と、PC10のメールアドレスと、印刷ジョブの生存時間が記憶されているとする。
【0049】
そのうえで、最初のステップSP1において、PC10の制御部11は、例えばユーザがアプリケーションからプリンタ230への印刷を開始する操作を行った場合に、本シーケンスを開始する。
【0050】
つづくステップSP2及びステップSP3において、PC10の制御部11は、プリンタ230を宛先とする通信経路確認コマンドを実行する。つづくステップSP4及びステップSP5において、PC10の制御部11は、通信経路確認コマンドの実行結果として、PC10からプリンタ230までの通信経路を示す通信経路情報を取得する。尚、本シーケンスでは適宜説明を省略するが、PC10とプリンタ230との通信は、ルータ110、VPNサーバ210、ルータ220など、PC10とプリンタ230との間を中継するネットワーク機器を介して行われる。
【0051】
つづくステップSP6において、PC10の制御部11は、アプリケーション内のデータに基づいて、プリンタドライバにより印刷ジョブを生成する。尚、ここでは、印刷ジョブの生成を、ステップSP5の後に行うようにしたが、これに限らず、例えばステップSP1とステップSP2の間で行うようにしてもよい。
【0052】
つづくステップSP7において、PC10の制御部11は、ステップSP4及びステップSP5で取得した通信経路情報に、VPN接続判定用情報D1に記されているネットワーク機器のIPアドレス(例えばVPNサーバ210のIPアドレス)が含まれているか否かを判定する。ここで、取得した通信経路情報に、VPN接続判定用情報D1に記されているネットワーク機器のIPアドレスが含まれている場合、このことはPC10とプリンタ230がVPN接続されていることを意味する。この場合、PC10の制御部11は、ステップSP7で肯定結果を得て、ステップSP8に移り、ステップSP6で生成した印刷ジョブに付加情報を追記したうえで、ステップSP9に移る。
【0053】
一方で、取得した通信経路情報に、VPN接続判定用情報D1に記されているネットワーク機器のIPアドレスが含まれていない場合、このことはPC10とプリンタ230とがローカル環境200に直接接続されていることを意味する。この場合、PC10の制御部11は、ステップSP7で否定結果を得、ステップSP8をスキップしてステップSP9に移る。
【0054】
ステップSP9及びステップSP10において、PC10の制御部11は、印刷ジョブをプリンタ230へ送信する。
【0055】
つづくステップSP11において、プリンタ230の制御部231は、PC10から印刷ジョブを受信すると、当該印刷ジョブを記憶部233に記憶する。つづくステップSP12(
図6)において、プリンタ230の制御部231は、記憶部233に記憶した印刷ジョブに付加情報が追記されているか否かを判定する。ここで、印刷ジョブに付加情報が追記されていない場合、このことは当該印刷ジョブがVPNを用いずに受信したものであること(つまり当該印刷ジョブがローカル環境200に直接接続されているPC10から受信したものであること)を意味する。この場合、プリンタ230の制御部231は、ステップSP12で否定結果を得て、ステップSP13へと移り、当該印刷ジョブを実行する。
【0056】
つづくステップSP14において、プリンタ230の制御部231は、印刷が成功したか否かを判定する。ここで印刷が成功した場合、プリンタ230の制御部231は、ステップSP14で肯定結果を得て、ステップSP15に移り、印刷した印刷ジョブを破棄して(つまり記憶部233から削除して)、本シーケンスを終了する。一方で、印刷が失敗した場合、プリンタ230の制御部231は、ステップSP14で否定結果を得、ステップSP15をスキップして、本シーケンスを終了する。
【0057】
また一方で、印刷ジョブに付加情報が追記されている場合、このことは当該印刷ジョブがVPNを介して受信したものであること(つまり当該印刷ジョブがローカル環境200にVPN接続されているPC10から受信したものであること)を意味する。この場合、プリンタ230の制御部231は、ステップSP12で肯定結果を得て、ステップSP16へと移る。
【0058】
ステップSP16において、プリンタ230の制御部231は、ステップSP17、ステップSP18、ステップSP21、ステップSP22、及びステップSP27の5つのステップを、印刷ジョブを実行するか、印刷ジョブの生存時間が終了するまで定期的に繰り返す。具体的には、プリンタ230の制御部231は、まずステップSP17において、ローカル環境200に対して環境監視コマンドを実行する。ここで、ローカル環境200にPC10が直接接続されているもしくはVPN接続されていれば、つづくステップSP18が肯定結果となることで、ステップSP19において、ルータ220の制御部221は、プリンタ230からの環境監視コマンドを受けて、PC10に対して環境監視コマンドを実行する。つづくステップSP20において、ルータ220の制御部221は、コマンド実行結果として、PC10からIPアドレスとMACアドレスの組のリストを受信して、ステップSP21に移る。
【0059】
一方で、ローカル環境200にPC10が接続されていなければ、ステップSP18が否定結果となることで、ルータ220の制御部221は、ステップSP19、ステップSP20をスキップして、ステップSP21に移る。ステップSP21において、ルータ220の制御部221は、コマンド実行結果として、ローカル環境200に接続されているネットワーク機器のIPアドレスとMACアドレスの組のリストを、プリンタ230に送信する。これにより、プリンタ230の制御部231は、環境監視コマンドの実行結果として、ローカル環境200に接続されているネットワーク機器のIPアドレスとMACアドレスの組のリストを取得する。
【0060】
ステップSP22において、プリンタ230の制御部231は、取得したIPアドレスとMACアドレスの組のリストに、PC10から受信した印刷ジョブの付加情報に含まれている識別用IDと一致するMACアドレスが存在するか否かを判定する。ここで、IPアドレスとMACアドレスの組のリストに、付加情報に含まれている識別用IDと一致するMACアドレスが存在する場合、このことは、ローカル環境200に、印刷ジョブの送信元であるPC10が直接接続されているもしくはVPN接続されていることを意味する。この場合、プリンタ230の制御部231は、ステップSP22で肯定結果を得て、ステップSP23に移り、ステップSP23及びステップSP24において、PC10を宛先とする(すなわちIPアドレスとMACアドレスの組のリストから取得したPC10のIPアドレスを宛先とする)通信経路確認コマンドを実行する。つづくステップSP25及びステップSP26において、プリンタ230の制御部231は、通信経路確認コマンドの実行結果として、プリンタ230からPC10までの通信経路を示す通信経路情報を取得し、ステップSP27に移る。
【0061】
一方で、IPアドレスとMACアドレスの組のリストに、付加情報に含まれている識別用IDと一致するMACアドレスが存在しない場合、このことは、ローカル環境200に、印刷ジョブの送信元であるPC10が接続されていないことを意味する。この場合、プリンタ230の制御部231は、ステップSP22で否定結果を得、ステップSP23~ステップSP26をスキップしてステップSP27に移る。
【0062】
ステップSP27において、プリンタ230の制御部231は、通信経路情報を取得している場合に、当該通信経路情報に、印刷ジョブの付加情報に含まれているVPNサーバ210のIPアドレスが含まれているか否かを判定する。ここで、通信経路情報に、印刷ジョブの付加情報に含まれているVPNサーバ210のIPアドレスが含まれていない場合、このことは、印刷ジョブの送信元であるPC10がローカル環境200にVPN接続ではなく直接接続されていることを意味する。
【0063】
この場合、プリンタ230の制御部231は、ステップSP28において、印刷ジョブの実行を許可し、実行したうえで、ステップSP29に移る。ステップSP29及びステップSP30において、プリンタ230の制御部231は、印刷ジョブの付加情報に含まれているPC10のメールアドレスに対して、印刷が成功したか否かを示すメッセージが記載されたメールを送信したのち、ステップSP16(すなわち、ステップSP17、ステップSP18、ステップSP21,ステップSP22、及びステップSP27の5つのステップの繰り返し)を抜けて、ステップSP31に移る。
【0064】
ステップSP31において、プリンタ230の制御部231は、ステップSP10で受信した印刷ジョブについて、印刷に成功するか生存時間が終了するまで、つづくステップSP32を繰り返す。ステップSP32において、プリンタ230の制御部231は、ステップSP10で受信した印刷ジョブについて、印刷に成功しているか、生存時間が終了している場合、肯定結果を得て、ステップSP33に移る。ステップSP33において、プリンタ230の制御部231は、当該印刷ジョブを破棄(つまり記憶部233から削除)して、本シーケンスを終了する。
【0065】
一方で、ステップSP32において、プリンタ230の制御部231は、ステップSP10で受信した印刷ジョブについて、印刷に成功しておらず、また生存時間も終了していない場合、否定結果を得て、ステップSP33をスキップし、ステップSP32を繰り返す。その後、時間経過により当該印刷ジョブの生存時間が終了することで、プリンタ230の制御部231は、ステップSP32において肯定結果を得、ステップSP33に移る。ステップSP33において、プリンタ230の制御部231は、当該印刷ジョブを破棄(つまり記憶部233から削除)したのち、本シーケンスを終了する。
【0066】
また一方で、通信経路情報を取得していない場合(つまりPC10がローカル環境200に接続されていない場合)や、通信経路情報に、印刷ジョブの付加情報に含まれているVPNサーバ210のIPアドレスが含まれている場合(つまりPC10がローカル環境200にVPN接続されている場合)、プリンタ230の制御部231は、ステップSP28~ステップSP30をスキップし、印刷ジョブを実行することなく、当該印刷ジョブの生存時間が終了すると、ステップSP27とステップSP32の双方で肯定結果を得てステップSP33に移り、ステップSP33において、当該印刷ジョブを破棄(つまり記憶部233から削除)して、本シーケンスを終了する。印刷システム1の動作は、以上のようになっている。
【0067】
[1-3.まとめと効果]
ここまで説明したように、第1の実施の形態は、情報処理装置としてのPC10と、当該PC10から受信した印刷データとしての印刷ジョブに基づいて印刷を実行する印刷装置としてのプリンタ230を有する印刷システム1であり、PC10は、プリンタ230が直接接続されているネットワークとしてのローカル環境200に直接接続され、もしくはリモート環境100からローカル環境200にVPN接続されていて、ローカル環境200上でPC10を識別する為の識別情報としての識別用IDを含む付加情報を印刷ジョブに追記してプリンタ230に送信する情報処理装置側通信部としての通信部12を有する。
【0068】
またプリンタ230に、PC10から送信されてくる印刷ジョブを受信する印刷装置側通信部としての通信部232と、通信部232により受信された印刷ジョブを記憶する記憶部233と、ローカル環境200に直接接続されている装置の中に、記憶部233に記憶している印刷ジョブの付加情報に含まれている識別用IDを持つPC10が存在する場合に、当該印刷ジョブ(つまり当該PC10から受信した印刷ジョブ)の実行を許可し、実行する制御部231を設けた。
【0069】
すなわち、プリンタ230の制御部231は、VPN接続されたPC10から印刷ジョブを受信すると、当該印刷ジョブをすぐには印刷せずに記憶するとともに、ローカル環境200を監視し、印刷ジョブの送信元であるPC10がローカル環境200に直接接続されたことを確認すると、当該PC10から先に受信した印刷ジョブを実行するようにした。
【0070】
こうすることで、第1の実施の形態の印刷システム1では、PC10が例えばVPNサーバ210を経由してローカル環境200にVPN接続されている場合(つまりユーザが自宅で作業しているとき)にPC10からプリンタ230に送信された印刷ジョブをプリンタ230側で印刷せずに保持することができ、その後、PC10がローカル環境200に直接接続された場合(つまりユーザが会社に出社したとき)に、プリンタ230が保持している印刷ジョブの実行を許可し、印刷することができる。かくして、第1の実施の形態の印刷システム1によれば、印刷のセキュリティの向上と利便性の向上を両立することができる。
【0071】
またプリンタ230の制御部231は、ローカル環境200に接続されているネットワーク機器のIPアドレスとMACアドレスの組のリストを取得するネットワークコマンドである環境監視コマンドと、プリンタ230からPC10までの通信経路に存在するネットワーク機器のIPアドレスのリストを取得するネットワークコマンドである通信経路確認コマンドを利用して、ローカル環境200に直接接続されているネットワーク機器の中に、記憶部233に記憶している印刷ジョブの付加情報に含まれている識別用IDに等しいMACアドレスを持つPC10が存在するか否か(つまりPC10がローカル環境200に直接接続されているか否か)を判定するようにした。
【0072】
すなわち、プリンタ230の制御部231は、まず環境監視コマンドを実行することで、ローカル環境200に直接接続されているネットワーク機器とVPN接続されているネットワーク機器のIPアドレスとMACアドレスの組のリストを取得する。次にプリンタ230の制御部231は、取得したIPアドレスとMACアドレスの組のリストの中に、印刷ジョブの付加情報に含まれている、当該印刷ジョブの送信元であるPC10の識別用IDと一致するMACアドレスが存在するか否かを判定する。ここで、取得したIPアドレスとMACアドレスの組のリストの中に、PC10の識別用IDと一致するMACアドレスが存在すれば、ローカル環境200にPC10が直接接続されているもしくはVPN接続されていることになる。
【0073】
ここでさらにプリンタ230の制御部231は、PC10のMACアドレスに対応するIPアドレスを用いて通信経路確認コマンドを実行することで、プリンタ230からPC10までの通信経路に存在するネットワーク機器のIPアドレスのリストを取得する。そしてプリンタ230の制御部231は、取得したIPアドレスのリストの中に、印刷ジョブの付加情報に含まれている、VPN接続用のネットワーク機器であるVPNサーバ210のIPアドレスと一致するIPアドレスが存在するか否かを判定する。ここで、取得したIPアドレスのリストの中に、VPNサーバ210のIPアドレスと一致するIPアドレスが存在しなければ、プリンタ230とPC10との間の通信経路にVPNサーバ210が存在しないことから、ローカル環境200にPC10が直接接続されていることになる。このようにして、プリンタ230の制御部231は、印刷ジョブの送信元であるPC10がローカル環境200に直接接続されているか否かを判定するようにした。
【0074】
こうすることで、第1の実施の形態の印刷システム1では、印刷ジョブの送信元であるPC10がローカル環境200に直接接続されているか否かを判定する為の専用のハードウェアやソフトウェアを別途用意する必要がなく、システム構築に要するコストを抑えることができる。
【0075】
[2.第2の実施の形態]
次に第2の実施の形態について説明する。この第2の実施の形態は、PC10とプリンタ230がMACアドレスのランダム生成機能を備え、PC10のMACアドレスを、PC10又はプリンタ230によってランダム生成されたMACアドレスに更新できるようになっている点が、第1の実施の形態とは異なる点である。よってここでは、第2の実施の形態について、主に第1の実施の形態とは異なる部分のみを説明し、第1の実施の形態と同一部分についての説明は適宜省略する。
【0076】
第2の実施の形態についても、第1の実施の形態と同様の構成を有する印刷システム1(
図1参照)となっている。この第2の実施の形態では、プリンタ230の制御部231と、PC10の制御部11が、それぞれMACアドレスをランダム生成できるようになっている。つまりプリンタ230の制御部231とPC10の制御部11はそれぞれMACアドレス生成部としても機能する。尚、プリンタ230の制御部231がランダム生成するMACアドレスと、PC10の制御部11がランダム生成するMACアドレスは、異なるアドレス空間を持ち、衝突する(つまり一致する)ことはないようになっている。
【0077】
またこの第2の実施の形態では、PC10の記憶部13に、
図7に示すMACアドレス情報D2が記憶されるようになっている。このMACアドレス情報D2は、PC10が使用するMACアドレスを決定する為の情報である。具体的には、MACアドレス情報D2は、プリンタ230によって生成されてPC10に割り当てられたMACアドレスと、当該MACアドレスを用いてプリンタ230に送信した印刷ジョブの生存時間の終了時刻とを紐付けたものである。
図7では一例として、MACアドレス「11.22.33.44.55.66」と印刷ジョブの生存時間の終了時刻「2022/12/31 23:59」が紐付けられて、MACアドレス情報D2として登録されている。
【0078】
PC10の制御部11は、MACアドレス情報D2に登録されているMACアドレスと印刷ジョブの生存時間の終了時刻の組について、終了時刻が現在時刻を過ぎている組があれば、当該組を破棄(すなわち記憶部13から削除)するようになっている。
【0079】
またPC10の制御部11は、ネットワーク機器に接続する際、MACアドレス情報D2にMACアドレスと印刷ジョブの生存時間の終了時刻の組が登録されていなければ、新たにMACアドレスをランダム生成して、当該MACアドレスを用いる。一方で、PC10の制御部11は、ネットワーク機器に接続する際、MACアドレス情報D2にMACアドレスと印刷ジョブの生存時間の終了時刻の組が登録されていれば、当該組のMACアドレスを用いるようになっている。
【0080】
尚、この第2の実施の形態の印刷システム1では、PC10からVPNを用いてプリンタ(例えばプリンタ230)に印刷ジョブを送信した場合、当該印刷ジョブの生存時間が終了するまで、VPNを用いて他のプリンタ(例えばプリンタ230以外のプリンタ)に印刷ジョブを送信することはできないようになっている。
【0081】
[2-1.印刷システムの動作]
ここで、第2の実施の形態による印刷システム1の動作について説明する。ここでは、一例として、PC10がアプリケーションとプリンタドライバを用いて印刷ジョブを生成し、当該印刷ジョブをプリンタ230に送信する際の動作について、
図8に示すシーケンスチャートを用いて説明する。尚、本シーケンスの開始前の時点で、PC10は、VPNサーバ210にVPN接続されていて、VPNサーバ210を介してプリンタ230と通信可能な状態であるとする。またPC10の記憶部13には、
図3に示すVPN接続判定用情報D1と、PC10のメールアドレスと、印刷ジョブの生存時間が記憶されているとする。
【0082】
最初のステップSP1~ステップSP6までは、第1の実施の形態による印刷システム1の動作(つまり
図5に示すシーケンスチャート)のステップSP1~ステップSP6までと同様である。すなわち、PC10の制御部11が、PC10からプリンタ230までの通信経路情報を取得して、印刷ジョブを生成する。
【0083】
つづくステップSP100において、PC10の制御部11は、ステップSP4及びステップSP5で取得した通信経路情報にVPN接続判定用情報D1に記されているネットワーク機器のIPアドレス(例えばVPNサーバ210のIPアドレス)が含まれているか否かを判定する。ここで、取得した通信経路情報に、VPN接続判定用情報D1に記されているネットワーク機器のIPアドレスが含まれている場合、このことはPC10とプリンタ230がVPN接続されていることを意味する。この場合、PC10の制御部11は、ステップSP100で肯定結果を得、ステップSP101及びステップSP102において、プリンタ230に対して、PC10の現在の識別用ID(MACアドレス)を送信するとともに、識別用ID(MACアドレス)の割り当て要求を行う。
【0084】
ステップSP103において、プリンタ230の制御部231は、PC10からの割り当て要求に応じて、識別用ID(MACアドレス)を発行する。尚、ここで発行する識別用ID(MACアドレス)は、プリンタ230の記憶部233に記憶されている印刷ジョブの付加情報に含まれているいずれの識別用ID(MACアドレス)とも異なる。後述するが、今回発行した識別用ID(MACアドレス)が、PC10の新たな識別用ID(MACアドレス)となる。
【0085】
つづくステップSP104において、プリンタ230の制御部231は、記憶部233に記憶されている印刷ジョブの中に、PC10から受信したPC10の現在のMACアドレスと同一の識別用IDを付加情報として持つ印刷ジョブが存在するか否かを判定する。
【0086】
ここで、PC10の現在のMACアドレスと同一の識別用IDを付加情報として持つ印刷ジョブが存在する場合、このことは、今回受信した印刷ジョブの送信元であるPC10から過去にも印刷ジョブを受信していて、且つ過去に受信した印刷ジョブがまだ印刷されておらず、また生存時間も切れていないことを意味する。この場合、プリンタ230の制御部231は、ステップSP104で肯定結果を得て、ステップSP105に移り、記憶部233に記憶されている印刷ジョブのうち、PC10の現在のMACアドレスと同一の識別用IDを持つ印刷ジョブの識別用IDを、ステップSP103で発行した新たな識別用ID(MACアドレス)に更新して、ステップSP106に移る。こうすることで、記憶部233に記憶されている、PC10から受信した印刷ジョブが、今回発行したPC10の新たな識別用ID(MACアドレス)に紐付けられたことになる。
【0087】
一方で、PC10の現在のMACアドレスと同一の識別用IDを付加情報として持つ印刷ジョブが存在しない場合、このことは、今回印刷ジョブを受信したPC10から過去に印刷ジョブを受信していない、もしくは過去に印刷ジョブを受信したが既に生存時間が切れていて破棄されていることを意味する。この場合、プリンタ230の制御部231は、ステップSP104で否定結果を得、ステップSP105をスキップしてステップSP106に移る。
【0088】
ステップSP106及びステップSP107において、プリンタ230の制御部231は、今回発行した識別用ID(MACアドレス)をPC10に送信する。つづくステップSP108において、PC10の制御部11は、ステップSP6で生成した印刷ジョブに付加情報を追記する。このとき追記する付加情報には、識別用IDとして、プリンタ230によって今回発行された新たな識別用ID(MACアドレス)が記される。
【0089】
つづくステップSP109において、PC10の制御部11は、PC10(つまり自装置)のMACアドレスを、プリンタ230によって今回発行された新たな識別用IDに更新する。つまり制御部11はMACアドレス更新部としても機能する。ここで、PC10の制御部11は、記憶部13に記憶されているMACアドレス情報D2にMACアドレスと印刷ジョブの生存時間の終了時刻の組が登録されていなければ、プリンタ230によって今回発行された新たな識別用IDであるMACアドレスと、記憶部13に記憶されている印刷ジョブの生存時間を現在時刻に加算した終了時刻との組を追加して、ステップSP9に移る。反対に、MACアドレス情報D2にMACアドレスと印刷ジョブの生存時間の終了時刻の組が登録されていれば、当該組のMACアドレスを、プリンタ230によって今回発行された新たな識別用IDであるMACアドレスに更新し、また当該組の印刷ジョブの生存時間の終了時刻を、現在登録されているものと、記憶部13に記憶されている印刷ジョブの生存時間を現在時刻に加算した時刻のうち遅い方としたうえで、ステップSP9に移る。ステップSP9以降の動作は、第1の実施の形態による印刷システム1の動作(つまり
図5に示すシーケンスチャート)のステップSP9以降の動作と同様である為、説明及び図を省略する。印刷システム1の動作は、以上のようになっている。
【0090】
[2-2.まとめと効果]
ここまで説明したように、第2の実施の形態の印刷システム1では、プリンタ230の制御部231にMACアドレス生成部としての機能を追加し、制御部231によりランダム生成されたMACアドレスを通信部232によりPC10に送信するようにした。またPC10の制御部11にMACアドレス更新部としての機能を追加し、通信部12によりプリンタ230にMACアドレスを要求して、当該要求に応じてプリンタ230から送信されてくるMACアドレスを受信するようにした。そしてPC10の制御部11が、現在のMACアドレスをプリンタ230から受信したMACアドレスに更新した後、更新後のMACアドレスを含む付加情報を印刷ジョブに追記して通信部12によりプリンタ230に送信するようにした。
【0091】
こうすることで、第2の実施の形態では、ローカル環境200上でPC10を識別する為の識別情報としてランダム生成されたMACアドレスを用いることができるので、固定MACアドレスを用いる第1の実施の形態と比較して、印刷システム1全体のセキュリティを向上させることができる。
【0092】
またプリンタ230によって発行された(ランダム生成された)MACアドレスには、印刷ジョブの生存時間の終了時刻までという有効期限を設け、当該有効期限が過ぎると新たなMACアドレスを発行するようにしたことにより、例えば、MACアドレスが流出した場合でも、その影響を最小限に抑えることができる。
【0093】
またプリンタ230の制御部231は、PC10に対して新しいMACアドレスを発行した際、記憶部233にPC10から過去に受信した印刷ジョブが印刷されずに残っている場合、当該印刷ジョブの付加情報に含まれているPC10の古いMACアドレスを、新たに発行したMACアドレスで更新するようにした。こうすることで、プリンタ230では、PC10のMACアドレスが更新されても、PC10と印刷ジョブとを新たなMACアドレスにより紐付けておくことができ、PC10がローカル環境200に直接接続された際に、PC10から受信して記憶部233に記憶してある印刷ジョブを確実に実行することができる。
【0094】
[3.他の実施の形態1]
[3-1.他の実施の形態1]
尚、上述した第1及び第2の実施の形態の印刷システム1では、印刷ジョブの送信元であるPC10がローカル環境200に直接接続されたことを、プリンタ230の制御部231が検出すると、当該PC10から受信して保持している印刷ジョブを自動的に実行するようにした。これに限らず、例えば、印刷ジョブの送信元であるPC10がローカル環境200に直接接続されたことを、プリンタ230の制御部231が検出すると、当該PC10から受信して保持している印刷ジョブの実行を許可するとともに、当該PC10に対して、印刷ジョブの実行を許可する旨を通知するようにしてもよい。
【0095】
この場合、PC10の制御部11は、プリンタ230から印刷ジョブの実行を許可する旨の通知を受けると、図示しない表示部に、この旨を表示するとともに印刷ジョブを実行するか否かをユーザに選択させる為の画面を表示させ、この画面上で、ユーザにより印刷ジョブを実行するよう指示する操作が行われると、当該指示を、プリンタ230に送信する。プリンタ230の制御部231は、この指示を受信すると、PC10から受信して保持してある印刷ジョブを実行する。
【0096】
このように、印刷ジョブの送信元であるPC10がローカル環境200に直接接続されたことを、プリンタ230の制御部231が検出すると、当該PC10から受信して保持している印刷ジョブの実行を許可するようにして、その後、ユーザ操作に応じて、当該印刷ジョブを実行するようにしてもよい。
【0097】
[3-2.他の実施の形態2]
また第1及び第2の実施の形態として説明した印刷システム1の機能と、本願と同一出願人により出願された特願2022-11832号に記載された機能の中から、どの機能を利用するかを、PC10上もしくはプリンタ230上でユーザに選択させるようにしてもよい。
【0098】
尚、特願2022-11832号に記載された機能の1つは、PC10からVPNを用いてプリンタ230に送信されてきた印刷ジョブについては印刷を拒否する機能であり、もう1つは、PC10からVPNを用いてプリンタ230に送信されてきた印刷ジョブについては印刷する際に認証情報(ユーザIDとパスワードなど)の入力が必要となる機能である。
【0099】
[3-3.他の実施の形態3]
さらに上述した第2の実施の形態では、PC10の制御部11が、印刷ジョブを送信する際に、自装置のMACアドレスを、プリンタ230により発行されたMACアドレスに更新するようにしたが、これに限らず、PC10の制御部11が、印刷ジョブを送信する際に、MACアドレスをランダム生成し、自装置のMACアドレスを、ランダム生成したMACアドレスに更新するようにしてもよい。この場合、例えば、印刷ジョブの付加情報に含める識別用IDとして、PC10側で発行したMACアドレスをそのまま用いてもよいし、MACアドレスに例えばPC10の名前などを紐付けたものを用いてもよい。
【0100】
[3-4.他の実施の形態4]
さらに上述した第2の実施の形態では、PC10が他のネットワーク機器と接続する際に、ランダム生成されたMACアドレスを用いるようにしたが、これに限らず、例えば、PC10がローカル環境200にVPN接続されている際にはランダム生成されたMACアドレスを用い、ローカル環境200に直接接続されている際には予め設定された固定MACアドレスを用いるようにしてもよい。この場合、印刷ジョブに追記する付加情報の識別用IDには、第1の実施の形態と同様、予め設定された固定MACアドレスを記せばよい。またこの場合、PC10側でMACアドレスをランダム生成するのであれば、
図8に示したシーケンスチャートのステップSP101~ステップSP107とステップSP109の処理を省略することができる。
【0101】
[3-5.他の実施の形態5]
さらに上述した第1の実施の形態では、プリンタ230の制御部231が、PC10から付加情報付きの印刷ジョブを受信すると、当該付加情報に含まれる、印刷ジョブの生存時間が終了する(例えば「24時間」が経過する)までの間、ローカル環境200にPC10が直接接続されているか否かを監視するようにした。
【0102】
ここで、印刷ジョブの生存時間については、例えば24時間のように、印刷ジョブを受信してからの経過時間を設定するばかりでなく、例えば1月6日の午前10時から午後12時までのように、未来の所定期間を設定するようにしてもよい。
【0103】
こうすることで、ユーザが次に出社する日時が例えば5日後の午前中というようにわかっている場合に、印刷ジョブの生存時間を、5日後の午前中に設定することにより、プリンタ230側では、今から5日後の午前中までローカル環境200を監視し続けるのではなく、5日後の午前中のみ監視するようになる。このようにすれば、プリンタ230のリソースをより効率的に利用することができる。尚、このとき、PC10の記憶部13に記憶されているMACアドレス情報D2には、MACアドレスと生存期間のリストを組にしたものを登録できるものとし、MACアドレス情報D2の更新時すでにMACアドレスと生存期間のリストの組が登録されていたならば、当該組のMACアドレスを新たな識別用IDであるMACアドレスに変更したのち、直前に送信した印刷ジョブの生存期間を当該組の生存期間のリストに加えるものとする。
【0104】
[3-6.他の実施の形態6]
さらに上述した第1及び第2の実施の形態では、PC10が印刷ジョブに付加情報を追記してプリンタ230に送信するようにしたが、これに限らず、印刷ジョブとともに付加情報をプリンタ230に送信するようにしてもよい。この場合、プリンタ230の制御部231は、印刷ジョブと付加情報を紐付けて記憶部233に記憶するようにすればよい。
【0105】
[3-7.他の実施の形態7]
さらに上述した各実施の形態では、リモート環境100に含まれるPC10が、ローカル環境200に含まれるVPNサーバ210とVPN接続される印刷システム1に本発明を適用したが、これに限らず、外部のネットワークに接続されているPCが、ローカル環境に接続されている印刷装置とVPN接続するような様々な印刷システムに適用することができる。例えば、リモート環境に含まれるVPN対応ルータと、ローカル環境に含まれるVPN対応ルータとの間でVPN接続するような印刷システムにも適用できる。この場合、リモート環境に含まれるPCではVPNクライアントソフトウェアを必要としない。
【0106】
さらに上述した各実施の形態では、プリンタ230にVPN接続する情報処理装置としてノートブック型のパーソナルコンピュータであるPC10を用いたが、これに限らず、スマートフォンやタブレットなどであってもよい。さらに上述した各実施の形態では、印刷装置としてプリンタ230を用いたが、これに限らず、複合機などであってもよい。
【0107】
[3-8.他の実施の形態8]
さらに本発明は、上述した各実施の形態に限定されるものではない。すなわち本発明は、上述した各実施の形態の一部または全部を任意に組み合わせた実施の形態や、一部を抽出した実施の形態にもその適用範囲が及ぶものである。
【産業上の利用可能性】
【0108】
本発明は、例えば情報処理装置が印刷装置にVPN接続する印刷システムなどで広く利用することができる。
【符号の説明】
【0109】
1……印刷システム、10……PC、11……制御部、12……通信部、13……記憶部、100……リモート環境、110……ルータ、111……制御部、112……通信部、120……LAN、200……ローカル環境、210……VPNサーバ、211……制御部、212……通信部、213……記憶部、220……ルータ、221……制御部、222……通信部、230……プリンタ、231……制御部、232……通信部、233……記憶部、234……印刷部、235……操作部、236……表示部、240、250……LAN、D1……VPN接続判定用情報、D2……MACアドレス情報、Pj……印刷ジョブ、Ad……付加情報、Nt……外部ネットワーク。