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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024106467
(43)【公開日】2024-08-08
(54)【発明の名称】プリーツスクリーン
(51)【国際特許分類】
   E06B 9/384 20060101AFI20240801BHJP
   E06B 9/262 20060101ALI20240801BHJP
【FI】
E06B9/384
E06B9/262
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023010732
(22)【出願日】2023-01-27
(71)【出願人】
【識別番号】000134958
【氏名又は名称】株式会社ニチベイ
(74)【代理人】
【識別番号】110003339
【氏名又は名称】弁理士法人南青山国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大塚 英希
【テーマコード(参考)】
2E043
【Fターム(参考)】
2E043AA01
2E043BC01
2E043CA03
(57)【要約】
【課題】レール材に下端が連結されたスクリーンが折りたたまれた際に、スクリーン下端におけるプリーツの前端部同士が広がらない意匠性のよいプリーツスクリーンを提供すること。
【解決手段】プリーツスクリーンは、上下方向に連なる折りたたみ可能な複数のプリーツを有するスクリーンと、前記スクリーンの下端に連結されるレール材と、前記複数のプリーツを挿通し、一端が前記レール材に連結されることで該レール材を昇降可能に吊下支持するコードと、を具備する。前記レール材は、その前後方向における重心位置よりも前方の位置において前記コードの一端に吊下げられることにより、前記プリーツが折りたたまれた状態で下端のプリーツの前方側にスクリーンを押し上げる力が作用するように吊下支持される。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下方向に連なる折りたたみ可能な複数のプリーツを有するスクリーンと、
前記スクリーンの下端に連結されるレール材と、
前記複数のプリーツを挿通し、一端が前記レール材に連結されることで該レール材を昇降可能に吊下支持するコードと、
を具備し、
前記レール材は、その前後方向における重心位置よりも前方の位置において前記コードの一端に吊下げられることにより、前記プリーツが折りたたまれた状態で下端のプリーツの前方側にスクリーンを押し上げる力が作用するように吊下支持される
プリーツスクリーン。
【請求項2】
請求項1に記載のプリーツスクリーンであって、
前記コードは、前記複数のプリーツの後部を挿通し、
前記レール材は、前記下端のプリーツの前端側を上方に押し上げる
プリーツスクリーン。
【請求項3】
請求項1に記載のプリーツスクリーンであって、
前記レール材は、その前端部の上下幅よりもその後端部の上下幅が大きく形成されることにより、前記重心位置が前後方向における中心位置よりも後方に位置するように構成される
プリーツスクリーン。
【請求項4】
請求項1に記載のプリーツスクリーンであって、
前記レール材は、その後端部にその前端部よりも肉厚な肉厚部を有することにより、前記重心位置が前後方向における中心位置よりも後方に位置するように構成される
プリーツスクリーン。
【請求項5】
請求項1に記載のプリーツスクリーンであって、
前記レール材は、その後端部にウエイト部材を収容可能な収容部を有し、該収容部に該ウエイト部材が収容されることにより、前記重心位置が前後方向における中心位置よりも後方に位置するように構成される
プリーツスクリーン。
【請求項6】
請求項2に記載のプリーツスクリーンであって、
前記コードを垂下するヘッドボックスの上面及び後面に配置され、該ヘッドボックスを固定面に固定可能な略L字状のブラケットを更に具備し、
前記レール材は、上昇操作による上昇時に、前記ヘッドボックスの下面より下方に突出する前記ブラケットの一部と干渉するのを回避可能に形成された干渉回避部を、その後方側上端部に有する
プリーツスクリーン。
【請求項7】
請求項1に記載のプリーツスクリーンであって、
前記スクリーンは、前記コードを垂下するヘッドボックスの下方に上下に配置される上部スクリーン及び下部スクリーンのうちの上部スクリーンであり、
前記レール材は、前記上部スクリーンの下端及び前記下部スクリーンの上端が連結される中間バーである
プリーツスクリーン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリーツスクリーンに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のプリーツスクリーンとして、例えば下記特許文献1に開示されるものが知られている。
【0003】
下記特許文献1に開示されるプリーツスクリーンは、ヘッドボックスから第一の昇降コードを介して中間レールを吊下支持するとともに、第二の昇降コードを介してボトムレールを吊下支持し、ヘッドボックスと中間レールとの間に上部スクリーンを支持するとともに、中間レールとボトムレールとの間に下部スクリーンを支持している。そして、第一の昇降コードは上部スクリーンの後部に挿通するとともに中間レールの後端部を吊下支持し、第二の昇降コードは上部スクリーンの後部から中間レールの後部を経て下部スクリーンの後部に挿通し、第一及び第二の昇降コードを介して中間レール及びボトムレールを独立して昇降して、上部スクリーン及び下部スクリーンをそれぞれ昇降する。また、中間レールの後部には一対の滑車が設けられており、第2昇降コードは一対の滑車に挟まれた状態で中間レールに挿通されている。
【0004】
このようなプリーツスクリーンでは、ボトムレールを下限位置あるいは中間位置まで下降させ、更に中間レールをボトムレールとヘッドボックスの中間位置まで下降させると、中間レールは第一の昇降コードによる吊下げ位置を回動支点としてその前端が下方に回動して斜め方向に支持される。このとき、一対の滑車で第二の昇降コードを挟んでいるので、中間レールはその上面が室内側斜め上方を向く斜め方向に回動される。
【0005】
このように、中間レールを中間位置まで下降させると中間レールは前傾状態で支持されるが、中間レールの上面が上部スクリーンの下端部でほぼ覆われているため、中間レールを上部スクリーンに見せかけて意匠性を向上させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010-144406号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、プリーツスクリーンはたたみ込まれた状態であっても、水平面上に支持されていないとプリーツ同士が広がる性質があり、中間レールが前傾すると折りたたまれた上部スクリーン下端におけるプリーツの前端部同士が広がってしまうため、依然として意匠性についての課題があった。また、このような課題は下部スクリーンの下端が連結されるボトムレールにおいても同様に生じ得るものである。
【0008】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、レール材に下端が連結されたスクリーンが折りたたまれた際に、スクリーン下端におけるプリーツの前端部同士が広がらない意匠性のよいプリーツスクリーンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係るプリーツスクリーンは、上下方向に連なる折りたたみ可能な複数のプリーツを有するスクリーンと、前記スクリーンの下端に連結されるレール材と、前記複数のプリーツを挿通し、一端が前記レール材に連結されることで該レール材を昇降可能に吊下支持するコードと、を具備する。前記レール材は、その前後方向における重心位置よりも前方の位置において前記コードの一端に吊下げられることにより、前記プリーツが折りたたまれた状態で下端のプリーツの前方側にスクリーンを押し上げる力が作用するように吊下支持される。
【0010】
この構成により、折りたたまれたスクリーン下端におけるプリーツの前端部同士が広がり意匠性が損なわれることを防止することができる。ここで、コードは、典型的にはプリーツの後部を挿通するが、プリーツの中央を挿通するものであっても構わない。またレール材は中間バーであってもボトムレールであってもよい。
【0011】
前記コードは、前記複数のプリーツの後部を挿通し、前記レール材は、前記下端のプリーツの前端側を上方に押し上げてもよい。
【0012】
この構成により、コードがプリーツ後部を挿通しプリーツが前傾しやすい構成にありながらも、レール材が下端のプリーツの前端側を上方に押し上げることで、当該前端部の広がりを抑えることができる。
【0013】
前記レール材は、その前端部の上下幅よりもその後端部の上下幅が大きく形成されることにより、前記重心位置が前後方向における中心位置よりも後方に位置するように構成されてもよい。
【0014】
この構成により、レール材の傾動を目立ちにくくするためにレール材の前端部の上下幅を小さくしたとしても、プリーツの前端部同士が広がるのを防ぐことができる。
【0015】
前記レール材は、その後端部にその前端部よりも肉厚な肉厚部を有することにより、前記重心位置が前後方向における中心位置よりも後方に位置するように構成されてもよい。
【0016】
また前記レール材は、その後端部にウエイト部材を収容可能な収容部を有し、該収容部に該ウエイト部材が収容されることにより、前記重心位置が前後方向における中心位置よりも後方に位置するように構成されてもよい。
【0017】
これらの構成により、レール材の形状によらず、プリーツの前端部同士が広がるのを防ぐことができる。
【0018】
前記コードを垂下するヘッドボックスの上面及び後面に配置され、該ヘッドボックスを固定面に固定可能な略L字状のブラケットを更に具備してもよい。この場合前記レール材は、上昇操作による上昇時に、前記ヘッドボックスの下面より下方に突出する前記ブラケットの一部と干渉するのを回避可能に形成された干渉回避部を、その後方側上端部に有してもよい。
【0019】
この構成により、勢いよく上昇操作してレール材が後方に煽られてしまった場合でも、レール材が略L字状のブラケットの一部に干渉することを回避することができる。
【0020】
前記スクリーンは、前記コードを垂下するヘッドボックスの下方に上下に配置される上部スクリーン及び下部スクリーンのうちの上部スクリーンであってもよい。この場合前記レール材は、前記上部スクリーンの下端及び前記下部スクリーンの上端が連結される中間バーであってもよい。
【0021】
この構成により、プリーツスクリーンが上部及び下部スクリーンを有する仕様である場合、上述の課題が特に顕著となる中間バーにおいて上記と同様の効果を得ることができる。特に中間バーの前方側に下部スクリーンが連結されている場合には、中間バーの前方側に下方に引き下げる力が作用し中間バーが前傾する傾向にあるが、上記構成によりその前傾量を抑えることができる。
【発明の効果】
【0022】
以上説明したように、本発明によれば、レール材に下端が連結されたスクリーンが折りたたまれた際に、スクリーン下端におけるプリーツの前端部同士が広がらない意匠性のよいプリーツスクリーンを提供することができる。しかし、当該効果は本発明を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の第1実施形態に係るプリーツスクリーンの展開(下降)状態の正面図である。
図2図1のプリーツスクリーンの中間バーの右側面図である。
図3図1のA-A断面図である。
図4】上記プリーツスクリーンの中間バー近傍の右側面方向の断面図である。
図5】上記プリーツスクリーンの中間バーの下限位置から上昇を開始したときの状態の変化を示した右側面方向の断面図である。
図6】上記プリーツスクリーンの中間バーを上限位置まで上昇させたときのヘッドボックス近傍の右側面方向の断面図である。
図7】上記プリーツスクリーンの中間バーの干渉回避部を説明するための中間バーの側面図である。
図8】上記プリーツスクリーンの中間バーが上昇時に後方に煽られてしまった場合のヘッドボックス近傍の右側面方向の断面図である。
図9】本発明の第2実施形態に係るプリーツスクリーンの中間バーの右側面図である。
図10】本発明の第2実施形態に係るプリーツスクリーンの中間バー近傍の右側面方向の断面図である。
図11】本発明の第3実施形態に係るプリーツスクリーンの中間バーの右側面図である。
図12】本発明の第3実施形態に係るプリーツスクリーンの中間バー近傍の右側面方向の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。
【0025】
<第1実施形態>
まず、本発明の第1実施形態を説明する。
【0026】
[プリーツスクリーンの構成]
図1は、本実施形態に係るプリーツスクリーンの展開(下降)状態の正面図である。また図3図1のA-A断面図である。
【0027】
両図に示すように、本実施形態に係るプリーツスクリーン100は、ヘッドボックス1と、当該ヘッドボックス1によって昇降可能に支持される上部スクリーン2及び下部スクリーン4を有する。
【0028】
上部スクリーン2の上端は、取付プレート2aを介してヘッドボックス1に連結されている。上部スクリーン2の下端は、取付プレート2bを介して中間バー3に連結され、下部スクリーン4の上端は、取付プレート4aを介して中間バー3に連結されている。下部スクリーン4の下端は、取付プレート4bを介してボトムレール5に連結されている。
【0029】
上部スクリーン2及び下部スクリーン4はいずれも、同図Y方向に蛇腹状に折り加工された複数のプリーツが上下方向(Y方向)に畳み込み及び展開可能に形成されたプリーツスクリーンである。上部スクリーン2の生地は、例えば光を透過可能なシースルー素材で形成されている。一方、下部スクリーン4の生地は、例えば光を透過しない遮光性が高い素材で形成されている。当該上部スクリーン2及び下部スクリーン4の畳み込まれたときの前後幅(Z方向の長さ)は例えば30~35mmである。
【0030】
図3に示すように、上部スクリーン2の背面側の各プリーツには突出部21が形成され、下部スクリーン4の背面側の各プリーツには突出部41が形成されている。当該突出部21及び41は、例えば、各プリーツの頂点部から所定長(例えば5~10mm)分の山部を重ねて溶着等により接合することで形成される。
【0031】
当該突出部21には挿通孔25a及び挿通孔25bが形成され、突出部41には挿通孔45が形成されている。昇降コード6は、上記ヘッドボックス1から垂下され、当該挿通孔25a及び挿通孔45を挿通している。昇降コード6の下端は、ボトムレール5のコードホルダ51に係止されることでボトムレール5に連結されている。また調光コード7は、上記ヘッドボックス1から垂下され、挿通孔25bを挿通している。調光コード7の下端は、中間バー3のコードホルダ35に係止されることで、中間バー3に連結されている。
【0032】
このように、上部スクリーン2を挿通する調光コード7並びに上部スクリーン2及び下部スクリーン4を挿通する昇降コード6をスクリーン表面側に露出させないことで意匠性を向上させ、挿通孔25a、25b及び45からの光漏れを防止することが可能となる。
【0033】
また図3に示すように、上部スクリーン2(突出部21)の背面側には、上部スクリーン2のプリーツを一定間隔で保持するためのピッチコード27が設けられ、下部スクリーン4(突出部41)の背面側には、下部スクリーン4のプリーツを一定間隔で保持するためのピッチコード47が設けられている。ピッチコード27の上端はヘッドボックス1に連結され、その下端は中間バー3に連結されている。ピッチコード47の上端は中間バー3(取付プレート4a)に連結され、その下端はボトムレール5のコードホルダ51に連結されている。
【0034】
上記上部スクリーン2は、上記調光コード7の昇降により中間バー3が昇降することで展開可能とされており、上記下部スクリーン4は、上記昇降コード6の昇降によりボトムレール5が昇降することで展開可能とされている。
【0035】
ヘッドボックス1は、横長直方体形状を有し、その上面及び後面に配置された略L字状のブラケット16を介して建物内部の窓枠の天井面や壁面等の固定面にネジ等により固定される。ブラケット16の後方下端には、当該ブラケット16とヘッドボックス1との連結を解除するための解除操作部16aが設けられている。
【0036】
ヘッドボックス1内には、上部スクリーン2の昇降動作のための第1駆動系と、下部スクリーン4の昇降動作のための第2駆動系が設けられている。第1駆動系と第2駆動系はヘッドボックス1の内部に前後方向(同図Z方向)で並列して配置されており、図1ではそのうち前方の第1駆動系のみが図示されている。
【0037】
なお、例えば、第1駆動系と第2駆動系とを上下方向に位置を異ならせるように並設してもよく、第1駆動系と第2駆動系の配列を前後方向あるいは上下方向に逆にしてもよい。
【0038】
図1に示すように、各駆動系は、2つの巻取ドラム9(中間バー3用の巻取ドラム9a及び不図示のボトムレール5用の巻取ドラム9b)、駆動軸10(中間バー3用の駆動軸10a及び不図示のボトムレール用の駆動軸10b)、ブレーキ11(中間バー3用のブレーキ11a及び不図示のボトムレール5用のブレーキ11b)、ストッパ12(中間バー3用のストッパ12a及び不図示のボトムレール用のストッパ12b)で構成される。その他、ヘッドボックス1の例えば左端には下限リミット17が設けられている。
【0039】
駆動軸10a及び10bは、それぞれ、同図左右方向(X方向)に延在する角柱状の部材であり、ヘッドボックス1内において軸心方向を左右方向に向けて回転可能に軸支される。
【0040】
巻取ドラム9aは、駆動軸10aと一体回転するように駆動軸10aに貫通され、調光コード7の一端が巻取り及び巻解き可能に連結される。巻取ドラム9bは、駆動軸10bと一体回転するように駆動軸10bに貫通され、昇降コード6の一端が巻取り及び巻解き可能に連結される。
【0041】
ストッパ12a及び12bは、それぞれ、駆動軸10a及び10bの巻解き方向の回転を規制する。またストッパ12a及び12bは、それぞれ、駆動軸10a及び10bの回転を規制する状態と許容する状態とに切替可能である。
【0042】
ブレーキ11a及び11bは、それぞれ、調光コード7及び昇降コード6の巻解速度(巻取ドラム9a及び9bの回転速度)を減速することで、上部スクリーン2が下端位置まで下降した際の中間バー3による衝撃力、及び、下部スクリーン4が下端位置まで下降した際のボトムレール5による衝撃力を緩和する。
【0043】
下限リミット17は、駆動軸10a及び10bそれぞれの他端部を支持すると共に、駆動軸10bの回転に連動して巻取ドラム9bによる昇降コード6の巻解き量を、予め設定された最大巻解き量に規制する。最大巻解き量は調節可能であり、これによりボトムレール5の下限位置を設定することができる。
【0044】
その他、ヘッドボックス1には、巻取ドラム9aの駆動軸10aと巻取ドラム9bの駆動軸10bとを独立的に回転させる単独状態と連動して回転させる連動状態とに切り替える連動機構も設けられている。
【0045】
操作ユニット13は、無端状の操作コード14(例えばボールチェーン)、当該操作コード14が巻き掛けられるプーリ15、その他、プーリ15と一体回転するように連結される操作軸等で構成されており、ユーザの操作コード14に対する昇降操作に応じて上記上部スクリーン2及び下部スクリーン4を昇降させる。
【0046】
上記操作コード14のうち、正面から見て奥側のチェーンは、調光コード7(上部スクリーン2及び中間バー3)の昇降動作に用いられ、手前側のチェーンは、昇降コード6(下部スクリーン4及びボトムレール5)の昇降動作に用いられる。
【0047】
中間バー3の長手方向の両端部は、組立時に上記上部スクリーン2の下端(取付プレート2b)及び下部スクリーン4の上端(取付プレート4a)を挿入可能とするために開口しており、当該開口には、レールキャップ3aが着脱可能に設けられている。同様に、ボトムレール5の長手方向の両端部の開口にも、下部スクリーン4の下端(取付プレート4b)を挿入可能とするためにレールキャップ5aが着脱可能に設けられている。
【0048】
図3に示すように、ボトムレール5は、断面略台形状(上底よりも下底が長い台形柱状)を有している。当該ボトムレール5の面のうち同図において上記台形の上底に対応する面には、上記昇降コード6の下端が連結され、上記台形の左脚(左側辺)に対応する面には、下部スクリーン4の下端が連結される。
【0049】
また、ボトムレール5は、同図において台形の右脚(右側辺)と下底との間の角に対応する下部後方寄りの空間に、ボトムレール5の重量を補うための棒状のウエイト部材52を保持したウエイトホルダ53を収容している。ウエイト部材52は、ボトムレール5の重量が確保されれば省略できる。
【0050】
同図に示すように、ボトムレール5の、下部スクリーン4の下端との連結面は、下部スクリーン4が全て展開されて下限位置にある時に上方(Y方向)を向くように設計される。
【0051】
[中間バーの詳細]
次に、本実施形態における上記中間バー3の詳細について説明する。図2は、中間バー3の右側面図(レールキャップ3aを外した状態)である。図4は、中間バー3の近傍の右側面方向の断面図である。図4のうち(a)は本実施形態、(b)は中間バーをその重心位置で吊り下げた比較例を示す。
【0052】
図2に示すように、中間バー3は、その上端に、取付プレート2bを保持する取付プレート保持部31を有し、その下端に、取付プレート4aを保持する取付プレート保持部32を有する。
【0053】
またその後方側には、ウエイト部材を保持可能な空間であるウエイトホルダ33が形成されている。当該ウエイトホルダ33は、X方向において大小2つの円が合成されたような断面形状を有しX方向の一端から他端に亘って形成される。これは中間バー3の押出成型時に生じる孔であるが、これをウエイトホルダとしても利用することができる。同図ではウエイトホルダ33にウエイト部材は装填されていないが、棒状のウエイト部材が装填されてもよい。
【0054】
また中間バー3の後方上部には、後述する干渉回避部34が形成されている。
【0055】
図2乃至図4に示すように、中間バー3は、その前後方向(Z方向)における重心位置よりも前方の位置において上記調光コード7の一端に吊下げられる。
【0056】
また中間バー3は、その前端部の上下幅よりもその後端部の上下幅が大きく形成されている。したがって、中間バー3の重心位置は、中間バー3の前後方向(Z方向)における中心位置よりも後方に位置する。
【0057】
これにより中間バー3は、図3及び図4(a)に示すように、上部スクリーン2のプリーツが折りたたまれた状態で下端のプリーツの前方側を上方に押し上げるように、従来よりも後傾した状態で吊下支持される。
【0058】
一般的にプリーツスクリーンでは、たたみ込まれた状態であっても、水平面上に支持されていないとプリーツ同士が広がる性質がある。そして図4(b)に示すように、比較例においては、調光コード7により中間バーの後部の重心位置で中間バーを吊下げているため、上部スクリーン2の重量と下部スクリーン4による引き下げ方向の力が作用して中間バーは前傾しやすい構造となっており、中間バーが前傾すると折りたたまれたスクリーンの下端におけるプリーツの前端部同士が広がってしまうため、意匠性についての課題があった。
【0059】
一方、本実施形態では、上述の通り、昇降コード6及び調光コード7がプリーツの後部(突出部21)を挿通していることから、その点では中間バー3は前傾しやすい構造と言えるが、中間バー3の重心を後方に設定し、当該重心位置よりも前方において調光コード7の一端に吊下げられることで、同図(a)に示すように、中間バー3が下端のプリーツの前端側を上方に押し上げる力が作用し、折りたたまれたスクリーン下端におけるプリーツの前端部同士が広がり意匠性が損なわれることを防止することができる。
【0060】
また中間バー3の前端部の上下幅を後端部の上下幅よりも小さくすることで、昇降時に中間バー3の傾動を目立ちにくくすることができ、かつ、そのような構成にあってもプリーツの前端部同士が広がるのを防ぐことができる。
【0061】
[プリーツスクリーンの動作]
次に、以上のように構成されたプリーツスクリーン100の動作について、特に中間バー3に関する点を中心に説明する。
【0062】
図5は、中間バー3の下限位置から上昇を開始したときの状態の変化を示した右側面方向の断面図である。
【0063】
同図(a)に示すように、中間バー3が下限位置にあり、下部スクリーン4が完全にたたみ込まれた状態から、ユーザが操作コード14の奥側のチェーンを操作することで、巻取ドラム9aに調光コード7を巻き取らせる。
【0064】
そうすると、巻き取られる調光コード7がその吊り下げ位置を作用点として中間バー3を矢印方向(Y方向)に吊り上げ、中間バー3が上昇を開始する。このとき、同図(b)に示すように、当該吊下げ位置よりも中間バー3の重心が後方にあることから、中間バー3は後傾し、その前端部が持ち上げられた状態で上昇する。
【0065】
この状態でさらに操作コード14が操作され中間バー3が上昇することで、プリーツが徐々に折りたたまれていくとともに、中間バー3の前端部が下端のプリーツの前端部を常に上方に押圧するため、折りたたまれたスクリーン下端におけるプリーツの前端部同士が広がって意匠性が損なわれるのが防止される。
【0066】
[干渉回避部]
次に、上記干渉回避部34について説明する。図6は、中間バー3を上限位置まで上昇させたときのヘッドボックス1近傍の右側面方向の断面図である。図7は、干渉回避部34を説明するための中間バー3の側面図である。図8は、中間バー3が上昇時に後方に煽られてしまった場合のヘッドボックス近傍の右側面方向の断面図である。
【0067】
これらの図に示すように、中間バー3は、その後方上端部に干渉回避部34を有する。当該干渉回避部34は、図7に示すように、従来の断面横長矩形状の中間バーから、その後方上端部の角部の領域Rを削除(面取り)するように形成されたものである。
【0068】
すなわち、ユーザの上昇操作による中間バー3の上昇時において、図8に示すように、例えば、中間バー3とボトムレール5とを同時に上限位置まで巻き上げた場合や、ユーザが中間バー3を上限位置まで巻き上げ、さらに誤って巻き上げ操作してしまった場合等に、中間バー3が勢い余って後方に煽られてしまう場合がある。
【0069】
この時に、従来の中間バーでは、その後方上端部が上記ブラケットの解除操作部と干渉してしまい、中間バーやブラケットが損傷してしまうおそれがある。そこで本実施形態では、中間バー3の後方上端部に干渉回避部34を設けることで、上記のように巻き上げ操作時に中間バー3が後方に煽られたとしても、中間バー3の解除操作部16aとの干渉を回避することができる。
【0070】
[まとめ]
以上説明したように、本実施形態によれば、中間バー3の前端部の上下幅よりもその後端部の上下幅を大きくしてその前後方向における重心位置を後方にし、吊下げ位置をその前方とすることで、折りたたまれた上部スクリーン2の下端におけるプリーツの前端部同士が広がり意匠性が損なわれることを防止することができる。
【0071】
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
【0072】
図9は、本実施形態に係るプリーツスクリーン100の中間バー3の右側面図である。また図10は、本実施形態に係るプリーツスクリーン100の中間バー3近傍の右側面方向の断面図である。
【0073】
上記第1実施形態では、中間バー3の前端部の上下幅よりもその後端部の上下幅を大きくすることで、その前後方向における重心位置を後方にしていた。
【0074】
これに対して本実施形態では、両図に示すように、中間バー3から上記第1実施形態のウエイトホルダ33や干渉回避部34を廃し、その後端部にその前端部よりも肉厚な肉厚部36を有することにより、重心位置を第1実施形態のそれよりもさらに後方に設定している。
【0075】
ここで、中間バー3は、アルミニウムや鉄等の金属で形成されるが、一定量の比重を有するものであれば樹脂等で形成されてもよい。また、同図では中間バー3の上下幅は第1実施形態と同様に前端部よりも後端部が大きく形成されているが、前端部と後端部とで上下幅が同じであっても構わない。
【0076】
これにより本実施形態によれば、図10に示すように、肉厚部36を有することで、中間バー3の形状によらずに、中間バー3を後傾させプリーツの前端部に当接して上方に押し上げることで、当該前端部同士が広がるのをより効果的に防ぐことができる。
【0077】
<第3実施形態>
次に、本発明の第3実施形態について説明する。
【0078】
図11は、本実施形態に係るプリーツスクリーン100の中間バー3の右側面図である。また図12は、本実施形態に係るプリーツスクリーン100の中間バー3近傍の右側面方向の断面図である。
【0079】
本実施形態では、両図に示すように、中間バー3の後端部にウエイト部材を収容可能な四角筒状の収容部37を有し、該収容部37に例えば角柱状の金属製のウエイト部材38が収容されることにより、重心位置を第1実施形態のそれよりもさらに後方に設定している。
【0080】
これにより本実施形態によっても、図12に示すように、収容部37及びウエイト部材38を有することで、中間バー3の形状によらずに、中間バー3を後傾させプリーツの前端部に当接して上方に押し上げることで、当該前端部同士が広がるのをより効果的に防ぐことができる。
【0081】
[変形例]
本発明は上述の実施形態にのみ限定されるものではなく、本技術の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更され得る。
【0082】
上述の各実施形態においては、中間バー3について、その重心を後方に位置させその前方で調光コード7が中間バー3を吊下げることで後傾させ、その前方側部分が、たたみ込まれた上部スクリーン2の前方側を押し上げるように構成していた。これに代えて、または加えて、ボトムレール5の重心についても、その昇降コード6による吊下げ位置よりも後方に位置させることで後傾させ、その前方側部分が、たたみ込まれた下部スクリーン4の前方側を押し上げるように構成してもよい。また、上記各実施形態のように上部スクリーンと下部スクリーンに分割されたスクリーンではなく単一のスクリーンを有するプリーツスクリーンのボトムレールに本発明が適用されてもよい。
【0083】
上述の各実施形態では、上部スクリーン2及び下部スクリーン4は、それぞれ後方に突出部21及び41を有し、当該突出部21及び41を昇降コード6及び調光コード7が挿通していた。しかし、上部スクリーン2及び下部スクリーン4がそのような突出部を有さず、各プリーツの例えば中央部を挿通する場合でも、本発明は適用可能である。
【符号の説明】
【0084】
1………ヘッドボックス
2………上部スクリーン
3………中間バー
4………下部スクリーン
5………ボトムレール
6………昇降コード
7………調光コード
9………巻取ドラム
14……ボールチェーン(操作コード)
16……ブラケット
16a…解除操作部
34……干渉回避部
36……肉厚部
37……収容部
38……ウエイト部材
100…プリーツスクリーン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12