(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024106470
(43)【公開日】2024-08-08
(54)【発明の名称】複合構造体及び複合構造体の製造方法
(51)【国際特許分類】
D06M 11/83 20060101AFI20240801BHJP
B32B 5/00 20060101ALI20240801BHJP
D06M 23/08 20060101ALI20240801BHJP
B01J 37/02 20060101ALI20240801BHJP
B01J 37/14 20060101ALI20240801BHJP
B01J 23/52 20060101ALI20240801BHJP
B01J 31/06 20060101ALI20240801BHJP
【FI】
D06M11/83
B32B5/00 Z
D06M23/08
B01J37/02 301P
B01J37/14
B01J23/52 A
B01J31/06 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023010735
(22)【出願日】2023-01-27
(71)【出願人】
【識別番号】000003609
【氏名又は名称】株式会社豊田中央研究所
(74)【代理人】
【識別番号】110000017
【氏名又は名称】弁理士法人アイテック国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】後藤 康友
(72)【発明者】
【氏名】前川 佳史
(72)【発明者】
【氏名】東 相吾
【テーマコード(参考)】
4F100
4G169
4L031
【Fターム(参考)】
4F100AA17A
4F100AB01A
4F100AB25A
4F100AK19B
4F100AT00B
4F100DE01A
4F100DG15B
4F100EH66A
4F100EJ12A
4F100EJ91B
4F100JL08
4F100YY00A
4G169AA03
4G169BA04B
4G169BA17
4G169BA22B
4G169BB02A
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4G169BC33A
4G169BC33B
4G169BC50B
4G169CA07
4G169CA14
4G169DA05
4G169EA06
4G169EA10
4G169EB18X
4G169EC27
4G169FB02
4G169FB40
4G169FB79
4G169FC08
4L031AB34
4L031BA04
4L031BA09
4L031CB13
4L031DA00
(57)【要約】
【課題】より低温での酸化活性を有する新規な複合構造体及び複合構造体の製造方法を提供する。
【解決手段】複合構造体は、粒径が10nm以下であるAu粒子とAuとは異なる元素Mの金属及び/又は酸化物であるM粒子と、を含み、不織布構造を有するものである。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒径が10nm以下であるAu粒子と
Auとは異なる元素Mの金属及び/又は酸化物であるM粒子と、を含み、不織布構造を有する複合構造体。
【請求項2】
モル比であるAu/Mが0.01以上0.5以下の範囲である、請求項1に記載の複合構造体。
【請求項3】
Auを5μg/cm2以上80μg/cm2以下の範囲で含み、酸化物Mを40μg/cm2以上100μg/cm2以下の範囲で含む、請求項1又は2に記載の複合構造体。
【請求項4】
前記Au粒子及びM粒子は、不織布基材の表面に形成されている不織布構造を有するか、又は前記不織布基材が除去された半チューブ型の不織布構造を有する、請求項1又は2に記載の複合構造体。
【請求項5】
対象化合物を酸化する触媒として用いられる、請求項1又は2に記載の複合構造体。
【請求項6】
Au及びAuと異なる元素Mを含む複合構造体の製造方法であって、
Au原料のターゲットと前記元素M原料のターゲットとを用い共蒸着処理を行い、不織布構造を有する基材表面に粒径が10nm以下であるAu粒子と前記元素Mの金属及び/又は酸化物であるM粒子とを含む不織布構造を有する複合構造体を形成する形成工程、
を含む複合構造体の製造方法。
【請求項7】
前記形成工程では、モル比であるAu/Mが0.01以上0.5以下の範囲である前記複合構造体を得る、請求項6に記載の複合構造体の製造方法。
【請求項8】
前記形成工程では、Auを5μg/cm2以上80μg/cm2以下の範囲で含み、酸化物Mを40μg/cm2以上100μg/cm2以下の範囲で含む前記複合構造体を得る、請求項6又は7に記載の複合構造体の製造方法。
【請求項9】
前記形成工程では、酸化ガスを用いて前記元素Mの酸化物を前記基材表面に形成する、請求項6又は7に記載の複合構造体の製造方法。
【請求項10】
請求項6又は7に記載の複合構造体の製造方法であって、
前記形成工程のあと、前記基材の全部又は一部を除去し半チューブ型の不織布構造体を得る除去工程、を含む複合構造体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書では、複合構造体及び複合構造体の製造方法を開示する。
【背景技術】
【0002】
従来、複合構造体としては、有機配位子により安定化され、所定の原子数で金(Au)原子を有するAuクラスター化合物を担体上に複数担持させた後処理することにより、粒子径が10nm以下でありほぼAu原子のみからなるクラスターを担体上に担持させたAuクラスター触媒が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この複合構造体は、高い触媒活性および選択性をもって化学反応を促進・制御することが可能である、としている。また、複合構造体としては、貴金属、典型金属及び遷移金属のうちいずれか1以上である第1金属元素により構成される繊維体が3次元的に連結している自立構造体と、第1金属元素と異なる第2金属元素により構成され自立構造体上に形成された機能性部位とを備えるものが提案されている(例えば、特許文献2参照)。この複合構造体は、金属元素を含む自立構造を有する新規な複合体を提供することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-255887号公報
【特許文献2】特開2021-143442号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、触媒としては、一酸化炭素などの対象物を酸化させるものが挙げられるが、特許文献1では、粉末形状であり、使用の際には何らかの成形が必要であり、粉末ゆえにサンプルの飛散などの問題がある。また、特許文献2では、一酸化炭素などの対象物を酸化させる触媒は検討されていなかった。
【0005】
本開示は、このような課題に鑑みなされたものであり、より低温での酸化活性を有する新規な複合構造体及び複合構造体の製造方法を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した目的を達成するために鋭意研究したところ、本発明者らは、Au及びAuと異なる金属元素を含む自立構造体を共蒸着によって形成すると、より低温での酸化活性を有する新規な複合構造体が得られることを見出し、本開示の複合構造体及び複合構造体の製造方法を完成するに至った。
【0007】
即ち、本開示の複合構造体は、
粒径が10nm以下であるAu粒子と
Auとは異なる元素Mの金属及び/又は酸化物であるM粒子と、を含み、不織布構造を有するものである。
【0008】
本開示の複合構造体の製造方法は、
Au及びAuと異なる元素Mを含む複合構造体の製造方法であって、
Au原料のターゲットと前記元素M原料のターゲットとを用い共蒸着処理を行い、不織布構造を有する基材表面に粒径が10nm以下であるAu粒子と前記元素Mの金属及び/又は酸化物であるM粒子とを含む不織布構造を有する複合構造体を形成する形成工程、
を含むものである。
【発明の効果】
【0009】
本開示では、より低温での酸化活性を有する新規な複合構造体及び複合構造体の製造方法を提供することができる。このような効果が得られる理由は、以下のように推察される。例えば、直径10nm以下のAuナノ粒子は、低温でのCO酸化反応に優れた触媒活性を示す。本開示では、直径10nm以下のAuナノ粒子が、金属M又はその酸化物の表面もしくは骨格に安定して担持・固定されているため、低温にてCOを酸化除去することができるものと推察される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】構造体20の構成の概略の一例を示す説明図。
【
図2】構造体20Bの構成の概略の一例を示す説明図。
【
図3】製造装置30の構成の概略の一例を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[複合構造体]
本開示の複合構造体は、Au粒子と、Auとは異なる元素Mの金属及び/又は酸化物であるM粒子と、を含む。この複合構造体は、Au粒子とM粒子とにより構成される繊維状の不織布構造を有する。複合構造体は、不織布構造の基材の表面にAu粒子とM粒子とが形成されているものとしてもよい。この複合構造体では、ハンドリングが容易であり、好ましい。あるいは、複合構造体は、不織布構造の基材の表面にAu粒子とM粒子とが形成されたあと、この不織布構造の基材が除去された半チューブ型の構造を有するものとしてもよい。この複合構造体では、Au粒子の接触面積がより大きいため、触媒特性的に好ましい。また、この複合構造体は、Au及び元素Mを含むナノ粒子の凝集体が3次元的に連結している自立構造を有するものとしてもよい。ここで、「自立構造」とは、ハンドリングが可能な程度の強度を持つ構造をいうものとする。また、「不織布構造」とは、基材としての不織布と近似した構造を有するものとする。また、「ナノ粒子」とは、粒径が1nm以上10nm以下である粒子をいう。ナノ粒子は、結晶質であってもよく、あるいは、非晶質であってもよい。
【0012】
複合構造体において、Au粒子は、粒径が10nm以下であるものとし、粒径が8nm以下であることが好ましく、5nm以下であるものとしてもよい。Au粒子の粒径は、より小さいことが、より低温での触媒活性が高く、好ましい。なお、この粒径は、複合構造体を電子顕微鏡で観察し、その表面に存在する粒状のAuの長径の最大値をいうものとする。Au粒子は、Auが集合した一次粒子としてもよいし、一次粒子が更に集合した二次粒子としてもよいが、一次粒子であることがより好ましい。
【0013】
複合構造体において、元素Mは、卑金属であることが好ましく、例えば、Ti、Zr、Hfなどの第4属元素や、Fe、Co、Ni、Cu、Znなどや、Al、Siなどが挙げられる。このうち、元素Mは、Ti、Fe、Mn、Ni、Co及びCuのうち1以上とすることが好ましい。M粒子は、元素Mの金属又は酸化物とするが、酸化物であることがより好ましい。このM粒子は、例えば、酸化チタン、酸化鉄などがより好ましい。M粒子は、粒径が50nm以下であるものとし、粒径が20nm以下であることが好ましく、10nm以下であるものとしてもよい。
【0014】
複合構造体は、元素Mのモル数に対するAuのモル数のモル比Au/Mが0.01以上0.5以下の範囲であることが好ましい。この範囲では、例えば室温などの低温範囲で対象物の酸化反応を進行可能であり、好ましい。このモル比Au/Mは、より小さいことが貴金属低減の観点から好ましく、0.40以下が好ましく、0.3以下がより好ましく、0.2以下としてもよい。また、このモル比Au/Mは、より大きいことが触媒活性向上の観点から好ましく、0.02以上が好ましく、0.03以上がより好ましく、0.05以上としてもよい。
【0015】
この複合構造体は、Auを5μg/cm2以上80μg/cm2以下の範囲で含み、酸化物Mを40μg/cm2以上100μg/cm2以下の範囲で含むものとしてもよい。この範囲では、例えば室温などの低温範囲で対象物の酸化反応を進行可能であり、好ましい。ここで、Auは、より少ないことが貴金属低減の観点から好ましく、50μg/cm2以下がより好ましく、40μg/cm2以下が更に好ましく、20μg/cm2以下としてもよい。また、Auは、より多いことが触媒活性の向上の観点から好ましく、15μg/cm2以上がより好ましく、20μg/cm2以上が更に好ましく、250μg/cm2以上としてもよい。酸化物Mは、モル比であるAu/Mの関係からその含有量が求められるものとしてもよく、酸化物Mが酸化チタンである場合は、50μg/cm2以上がより好ましく、60μg/cm2以上が更に好ましく、70μg/cm2以上としてもよい。また、酸化物Mは、90μg/cm2以下がより好ましく、80μg/cm2以下が更に好ましく、70μg/cm2以下としてもよい。AuやMの単位面積あたりの量は、複合構造体を利用する触媒システムの仕様や規模に応じて適宜選択すればよい。
【0016】
複合構造体は、含まれる繊維体の長手方向に直交する幅が100nm以上500nm以下の範囲であるナノファイバーが連結した不織布構造を有するものとしてもよい。不織布構造に含まれる繊維体は、Au及び元素Mを含んで形成されるものである。この繊維体の平均直径は、例えば、100nm以上であることが好ましく、150nm以上であることがより好ましく、200nm以上であるものとしてもよい。この繊維体の平均直径は、例えば、400nm以下であることが好ましく、200nm以下であるものとしてもよい。このとき、基材の直径(
図1の直径d参照)、即ち、基材繊維の平均直径は、例えば、50nm以上であることが好ましく、100nm以上であることがより好ましく、200nm以上であるものとしてもよい。また、基材が除去された場合、基材により形成された基材空間の平均直径は、例えば、250nm以下であることが好ましく、200nm以下であることがより好ましく、100nm以下であるものとしてもよい。基材繊維の平均直径は、Auや酸化物Mが形成された繊維体の平均直径を決定する主因子であり、より細ければ不織布構造の表面積を増加することができる。なお、繊維体の断面が三日月形状など、一部欠けた形状である場合、繊維体の直径は、欠けた部分を含めて円形状にした疑似円の直径をいうものとする(
図2の直径D参照)。この平均直径は、SEMで所定視野(例えば5視野)観察し、各繊維の直径を求め、その平均値から求めるものとする。
【0017】
この複合構造体は、AuとMとが共蒸着されて形成されているものとしてもよい。共蒸着によれば、比較的簡便な処理で、より均一に2元素を含む複合構造体を作製することができる。共蒸着としては、例えば、共スパッタなどが挙げられる。この複合構造体は、ポリマーを含む基材表面にAu及び金属M及び/又は酸化物Mを形成することにより作製されるものとしてもよい。この複合構造体では、基材の表面形状に倣うように、繊維体が形成される。また、複合構造体は、基材表面にAu及び元素Mを物理蒸着させることにより形成されるものとしてもよい。この複合構造体は、表面に直径が1nm以上10nm以下のAu粒子が形成されているものとしてもよい。
【0018】
図1は、複合構造体20の構成の概略の一例を示す説明図である。この複合構造体20は、繊維体21が3次元的に連結している自立構造を備えている。この繊維体21には、その内部に不織布構造を形成する繊維状の基材23が含まれている。また、繊維体21を拡大すると、その表面に直径が1nm以上10nm以下のAu粒子24が形成されている。また、繊維体21は、卑金属の元素Mを含むM粒子25の凝集体により構成されている。このような構造を有する複合構造体20では、柔軟性を有し、取り扱いしやすく、更に表面積が大きくAu粒子の触媒活性をより高めることができる。
【0019】
図2は、別の複合構造体20Bの構成の概略の一例を示す説明図である。この複合構造体20Bは、複合構造体20と同様に、繊維体21が3次元的に連結している自立構造を備えている。この繊維体21には、基材22の繊維が除去されたあとの基材空間22Bが形成されている。また、繊維体21を拡大すると、その表面に直径が1nm以上10nm以下のAu粒子24が形成されている。この複合構造体20Bは、繊維体21の中央に基材空間22Bが形成されている以外は、複合構造体20と同様の構造を有している。このような構造を有する複合構造体20Bでは、柔軟性を有し、取り扱いしやすく、更に表面積が大きく、Au粒子24の触媒活性を更に高めることができる。
【0020】
[触媒システム]
本開示の複合構造体は、例えば、対象化合物を酸化する触媒として用いられるものとしてもよい。この複合構造体は、対象化合物及び酸化ガスを収容する収容部と、収容部に配設され対象化合物の酸化を行う複合構造体を固定する固定部と、を備える触媒システムに用いられるものとしてもよい。対象化合物は、例えば、酸化反応により無毒化を図ることができる化合物が挙げられ、具体的には、COなどが挙げられる。もしくは、対象化合物は、例えば、アルコールからアルデヒドを得る、アルデヒドからカルボン酸を得るなどのように、酸化反応によって所望の化合物が得られるものとしてもよいし、ビニル基交換反応や不活性アルケンの異性化反応により、所望の化合物が得られるものとしてもよい。酸化ガスは、酸素としてもよい。対象化合物及び酸化ガスの配合比や濃度は、適宜所望の範囲に設定することができる。また、触媒システムの酸化反応温度は、例えば、15℃以上40℃以下の範囲としてもよいし、20℃以上25℃以下の範囲などの室温としてもよい。なお、複合構造体の耐熱温度範囲、例えば、200℃以下などを酸化反応温度としても構わない。本開示の複合構造体は、COの常温酸化に適している。この触媒システムにおいて、Auの単位質量当たりのCO酸化の反応速度(mmol/g-Au/h)は、より高い方が好ましく、例えば、0.5以上が好ましく、1.0以上が好ましく、2.0以上が更に好ましく、3.0以上としてもよい。また、この反応速度は4.0以下としてもよい。
【0021】
[複合構造体の製造方法]
本開示の複合構造体の製造方法は、上述した複合構造体を製造する方法である。この製造方法は、Au及びAuと異なる元素Mを含む複合構造体を形成する形成工程を含む。形成工程では、Au原料のターゲットと、元素Mを含むM原料のターゲットとを用い共蒸着処理を行い、不織布構造を有する基材表面に粒径が10nm以下であるAu粒子と元素Mの金属及び/又は酸化物であるM粒子とを含む不織布構造を有する複合構造体を形成する。また、形成工程のあと、基材を除去する除去工程を加えるものとしてもよい。
【0022】
[形成工程]
この工程では、不織布構造を有する基材表面にAu原料とM原料とをターゲットとして物理蒸着し、Au及び元素Mを含みナノワイヤーが3次元的に連結した柔軟性を有する複合構造体を形成する。Au原料としては、例えば、Au金属などが挙げられる。また、M原料としては、例えば、M金属や酸化物Mなどが挙げられる。スパッタを行い基材上へ形成するAu及び元素Mの量は、上述した複合構造体で説明した範囲をすることができる。例えば、形成工程では、モル比であるAu/Mが0.01以上0.5以下の範囲である複合構造体を得るものとしてもよい。また、形成工程では、Auを5μg/cm2以上80μg/cm2以下の範囲で含み、酸化物Mを40μg/cm2以上100μg/cm2以下の範囲で含む複合構造体を得るものとしてもよい。更に、形成工程では、Ti、Fe、Mn、Ni、Co及びCuのうち1以上である元素Mを用いるものとしてもよい。
【0023】
この工程では、複合構造体が酸化物Mを含む場合、M原料のターゲットを金属Mとして処理中の雰囲気に酸化ガスを共存させて元素Mを酸化するものとしてもよいし、M原料のターゲットを酸化物Mとし、処理中の雰囲気を不活性ガスとしてもよいが、前者である方が好ましい。基材としては、ポリマーを用いることが好ましい。基材としてポリマーを用いると、複合構造体の形成時に基材表面において、ナノ粒子の核生成及び粒成長が比較的容易に進行する。基材に用いられるポリマーの組成は、特に限定されないが、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリビニルピロリドン(PVP)などが挙げられる。また、基材の除去を容易化する場合、基材は、溶媒可溶性のポリマーが好ましい。溶媒可溶性のポリマーとしては、例えば、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエステル、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリアクリレート、ポリプロピレンオキシドなどが挙げられる。基材の構造は、特に限定されるものではなく、目的に応じて最適な構造を選択することができる。本開示の複合構造体は、基材の表面形状が転写された構造を持つ。そのため、ナノサイズの構造を有するポリマーを基材に用いると、ナノサイズの構造を有する自立膜を製造することができる。基材としては、例えば、エレクトロスピニングなどにより作製したナノワイヤー不織布などが挙げられる。基材に用いるポリマー製の不織布は、電界紡糸により作製することができる。この基材不織布の繊維径は、例えば、上述した基材空間の直径の範囲とすることができる。基材不織布の繊維径は、例えば、電界紡糸に用いる溶液のポリマー濃度、電場、溶液の供給速度などにより調節することができる。
【0024】
この工程において、Au及び元素Mの形成方法は、特に限定されないが、物理蒸着としてもよい。物理蒸着法としては、例えば、スパッタリング法、パルスレーザーデポジション(PLD)法などがある。基材表面にAu及び元素Mの物理蒸着を行う場合、物理蒸着は基材の両面から行ってもよいが、片面から行うことが好ましい。例えば、基材としてポリマー製のナノワイヤー不織布を用いる場合において、ナノワイヤー不織布の片面のみから物理蒸着を行うと、半チューブ型のナノワイヤーからなる不織布構造が得られる。半チューブ型のナノワイヤーは、チューブ型のナノワイヤー又はロッド型のナノワイヤーに比べて比表面積が大きい。このため、例えば、これを触媒システムの酸化触媒に適用した場合には、Auの触媒活性をより高めることができる。また、半チューブ型のナノワイヤーでは、基材の除去がより容易であり好ましい。この工程では、Au原料のターゲットと元素M原料のターゲットとを用い、共蒸着処理を行うことが好ましい。物理蒸着の条件は、特に限定されるものではなく、目的に応じて最適な条件を選択することができる。一般に、蒸着時間が長くなるほど、繊維体の厚さを厚くすることができる。また、物理蒸着法は、蒸着量を原子レベルで制御可能である。そのため、蒸着条件を最適化すると、構造体の表面に直径が1nm以上10nm以下であるAu粒子の構造を形成することもできる。
【0025】
基材に用いる繊維体の平均径は、50nm以上とすることが好ましく、100nm以上とすることがより好ましく、200nm以上としてもよい。また、繊維体の平均径を250nm以下とすることが好ましく、200nm以下とすることがより好ましく、100nm以下としてもよい。平均径が50nm以上250nm以下の範囲では、酸化反応をより促進することができ好ましい。
【0026】
[除去工程]
この工程では、基材表面にAu及び金属M及び/又は酸化物Mを形成したあと、基材の全部又は一部を除去する処理を行う。基材は、その全部を除去してもよく、あるいは、一部を除去してもよい。基材/ナノ粒子界面の量を低減するためには、基材の全部を除去するのが好ましい。基材の除去方法は、特に限定されるものではなく、基材の種類に応じて最適な方法を選択することができる。例えば、基材として溶媒可溶性のポリマーを用いた場合、溶媒を用いて基材を除去するのが好ましい。各種ポリマーを溶解可能な溶媒としては、例えば、ジメチルホルムアミド(DMF)、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、NaBH4溶液(溶媒:水とエタノールの1対1混合液)、クロロホルム、アセトン、メタノール、エタノール等のアルコール類、水、2-メチルテトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、ニトロメタンなどが挙げられる。
【0027】
図3は、本開示の複合構造体の製造方法を実行する製造装置30の構成の概略の一例を示す説明図である。製造装置30は、共蒸着を実行する装置として構成されている。製造装置30は、チャンバ31と、試料ホルダ32と、第1ホルダ33と、第2ホルダ35と、電源37と、導入部38と、排気部39とを備える。チャンバ31は、共蒸着処理を実行する収容部であり、試料ホルダ32、第1ホルダ33、第2ホルダ35などを収容する。また、チャンバ31には、導入部38や、排気部39が接続されている。試料ホルダ32は、試料Sを載置する部材である。試料Sは、樹脂などの不織布構造体である。第1ホルダ33には、例えば、Auターゲット34が配設される。第2ホルダ35には、M原料ターゲット36が配設される。第1ホルダ33は、試料ホルダ32と対向し、第2ホルダ35は、試料ホルダ32に対して45°の傾斜角度を持って固定されている。なお、第1ホルダ33及び第2ホルダ35の配設角度は、上記に限られず、任意とすることができる。電源37は、試料ホルダ32と、第1ホルダ33及び第2ホルダ35との間に電圧を印加する装置である。導入部38は、不活性ガスや酸化ガスなどを適宜流通させる流通管である。導入部38には、共蒸着処理に必要な不活性ガスや酸化ガスなどのガスボンベが接続されている。排気部39は、チャンバ31内を減圧する装置であり、図示しない真空ポンプなどが接続されている。排気部39は、チャンバ31を減圧状態とし、共蒸着処理を実行することができる。この製造装置30を用いて、上述した組成などになるように、ガスの導入や、印加電圧、印加時間などを適宜調整し、上記製造方法の工程を実行することによって、複合構造体を共蒸着によって製造することができる。
【0028】
以上詳述したように、本開示では、例えば常温などの、より低温での酸化活性を有する新規な複合構造体及び複合構造体の製造方法を提供することができる。このような効果が得られる理由は、以下のように推察される。例えば、直径10nm以下のAuナノ粒子は、低温でのCO酸化反応に優れた触媒活性を示す。本開示では、AuとAu以外の金属Mとを、不織布構造体に共蒸着することで、Auの凝集を抑制し、高分散、かつ高密度に金属M又はその酸化物の表面もしくは骨格に安定して固定することができる。そして、本開示では、直径10nm以下のAuナノ粒子が、金属M又はその酸化物の表面もしくは骨格に安定して担持・固定されているため、低温にてCOを酸化除去することができるものと推察される。また、活性サイトであるAuナノ粒子が高分散、かつ安定して不織布状に固定されており、ナノ粒子触媒の飛散がなく安全であり、かつ取り扱いやすく、触媒の配置、固定など、取り扱いも容易である。更に、本開示の複合構造体は、幅100~500nmのナノファイバーが連結した不織布構造であり、安定な自立構造を形成しているため、安定的な触媒活性を発現することができる。
【0029】
なお、本開示は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本開示の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
【0030】
本開示は、以下の[1]~[15]のいずれかに示すものとしてもよい。
[1]粒径が10nm以下であるAu粒子と、
Auとは異なる元素Mの金属及び/又は酸化物であるM粒子と、を含み、不織布構造を有する複合構造体。
[2]モル比であるAu/Mが0.01以上0.5以下の範囲である、[1]に記載の複合構造体。
[3]Auを5μg/cm2以上80μg/cm2以下の範囲で含み、酸化物Mを40μg/cm2以上100μg/cm2以下の範囲で含む、[1]又は[2]に記載の複合構造体。
[4]前記Au粒子及びM粒子は、不織布基材の表面に形成されている不織布構造を有するか、又は前記不織布基材が除去された半チューブ型の不織布構造を有する、[1]~[3]のいずれか1つに記載の複合構造体。
[5]対象化合物を酸化する触媒として用いられる、[1]~[4]のいずれか1つに記載の複合構造体。
[6]前記元素Mが卑金属である、[1]~[5]のいずれか1つに記載の複合構造体。
[7]前記元素MがTi、Fe、Mn、Ni、Co及びCuのうち1以上である、[1]~[6]のいずれか1つに記載の複合構造体。
[8]前記不織布構造は、長手方向に直交する幅が100nm以上500nm以下の範囲であるナノファイバーが連結した構造を有する、[1]~[7]のいずれか1つに記載の複合構造体。
[9]Au及びAuと異なる元素Mを含む複合構造体の製造方法であって、
Au原料のターゲットと前記元素M原料のターゲットとを用い共蒸着処理を行い、不織布構造を有する基材表面に粒径が10nm以下であるAu粒子と前記元素Mの金属及び/又は酸化物であるM粒子とを含む不織布構造を有する複合構造体を形成する形成工程、を含む複合構造体の製造方法。
[10]前記形成工程では、モル比であるAu/Mが0.01以上0.5以下の範囲である前記複合構造体を得る、[9]に記載の複合構造体の製造方法。
[11]前記形成工程では、Auを5μg/cm2以上80μg/cm2以下の範囲で含み、酸化物Mを40μg/cm2以上100μg/cm2以下の範囲で含む前記複合構造体を得る、[9]又は[10]に記載の複合構造体の製造方法。
[12]前記形成工程では、酸化ガスを用いて前記元素Mの酸化物を前記基材表面に形成する、[9]~[11]のいずれか1つに記載の複合構造体の製造方法。
[13] [9]~[12]のいずれか1つに記載の複合構造体の製造方法であって、
前記形成工程のあと、前記基材の全部又は一部を除去し半チューブ型の不織布構造体を得る除去工程、を含む複合構造体の製造方法。
[14]前記形成工程では、卑金属である前記元素Mを用いる、[9]~[13]のいずれか1つに記載の複合構造体の製造方法。
[15]前記形成工程では、Ti、Fe、Mn、Ni、Co及びCuのうち1以上である前記元素Mを用いる、[9]~[14]のいずれか1つに記載の複合構造体の製造方法。
【実施例0031】
以下には自立構造を有する複合構造体を具体的に作製した例を実験例として説明する。なお、実験例1~5が本開示の実施例に相当し、実験例6が比較例に相当する。
【0032】
<金-チタニアナノ粒子複合布型触媒(Au-TiO
2-NUNO)の合成>
(実験例1~5)
Ti基板(面積:25cm
2)に固定したポリフッ化ビニリデン(PVdF)不織布(廣瀬製紙社製HOP-4(ファイバー径約100nm))を、3本のスパッタガンを備えた自作のスパッタリング装置の真空チャンバにセットし、2×10
-2Pa以下になるまで真空排気した後、流量30sccmのArと流量0.17sccmのO
2を導入した。チャンバ内を10.0Paに調整し、AuターゲットとTiターゲットを、表1に示す出力電力にて、それぞれ同時に、所定の時間放電し、Au/TiO
2-NUNO(実験例1~5)を得た。ターゲット金属基板として使用したAuとTi(直径25mm×厚さ2mm)は、それぞれ豊島製作所製のものを用いた。なお、AuターゲットとTiターゲットは、それぞれ基板に対して垂直と45°の角度で配置した(
図3参照)。表1には、実験例1~6の合成時のAr流量、O
2流量、ターゲット金属種、出力電力、放電時間、平均生成速度、試料の増量から経験的に求めた、蒸着したAu量及びTiO
2量及びAu/Ti比をまとめた。
【0033】
<金担持チタニアナノ粒子布型触媒(Au/TiO2-NUNO)の合成>
(実験例6)
ポリビニルピロリドン(PVP、Aldrich製、分子量:1,300,000)を8質量%含むメタノール溶液を調製した。メタノールは、富士フイルム和光純薬製のものを利用した。この溶液を、電界1kV/cmにて、Ti基板上に電界紡糸してPVP不織布(総送液量0.4mL、電解紡糸面積25cm2)を得た。得られたPVP不織布を、3本のスパッタガンを備えた自作のスパッタリング装置の真空チャンバにセットし、2×10-2Pa以下になるまで真空排気した後、流量30sccmのArと流量0.17sccmのO2を導入した。チャンバ内の圧力を10.0Paに調整し、出力電力98W、1643秒間に亘りTiターゲットを放電した。さらに、O2の導入を停止した後、流量30sccmのAr100%の雰囲気において、出力電力16W、243秒に亘ってAuターゲットを放電して、先に蒸着したTiO2の上にAuを積層・担持して、Au/TiO2-NUNOを得た。得られたAu/TiO2-NUNOは、2cm角に型抜きし、一旦水中で広げることでPVPを水洗・除去した後、カプトンフィルムに転写・固定した。
【0034】
<構造解析>
走査型電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)観察、ならびにエネルギー分散型X線分析(EDX:Energy dispersive X-ray spectroscopy)は、超高分解能電界放出形走査電子顕微鏡(Hitachi製S-5500)を用い、加速電圧10kVにて行った。なお、試料表面の組成情報を得るために、1.5kVの低加速電圧にて、2次電子(SE:Secondary Electron)像と高角度(HA:High Angle)反射電子(BSE:Back scattered Electron)像の観察を行った。
【0035】
【0036】
(実験例1~6の考察)
図4は、実験例1~6の観察写真であり、
図4A~4Fがそれぞれ実験例1~6である。
図4に示すように、合成した構造体は、いずれも均一な膜構造を有していることが確認できた。また、TiO
2に対するAuの割合が増えるにしたがい、表面の黒色度がより濃くなった。
【0037】
図5は、実験例1、3、6のSEM像であり、
図5A~5Cがそれぞれ実験例1,3,6である。
図5に示すように、いずれの試料も200~300nm幅の繊維が重なった網目状の布構造を有することがわかった。さらに高倍率でのSEM観察により、それぞれの繊維がナノ粒子により形成されていることが確認できた(
図5中段、下段)。AuとTiとの共蒸着により調製された実験例1,3では、ともに直径10nm以下のナノ粒子が連結した構造を有することがわかった。異種金属を共蒸着することにより、それぞれの凝集が抑制され、直径10nm以下の小さなナノ粒子を形成できるものと推察された。一方、実験例6では、先の蒸着により形成された繊維を形成するTiO
2ナノ粒子の上にAuが蒸着されているため、試料表面の粒子はAuであり、それらは凝集して数10~100nmの大きさになっていることが確認された(
図5C下段参照)。したがって、AuとAuとは異なる金属Mとを共蒸着することがナノ粒子化には効果的であることがわかった。
【0038】
図6は、実験例1、3のHA-BSE像であり、
図6Aが実験例1、
図6Bが実験例3である。実験例1、3に対してHA-BSA解析を行い、試料表面の組成分布を調べた。実験例1、3の両試料ともに、試料全体のコントラストとは異なる明るい粒子が表面に点在している様子が見られた。一般に、原子番号が大きいほど放出される2次電子の量は多く、明るい像として観察されるため、明るい粒子はAuと示唆された。また、Au粒子のサイズは、直径5nm以下であり、試料表面に多数存在していることも確認することができた。なお、Au割合の少ない実施例1よりも実施例3のAu粒子サイズが小さいことが確認された。この理由は不明であるが、5nm以下、あるいはクラスターサイズのナノ粒子を得るのに適したAu/TiO
2割合がある可能性が示唆された。
【0039】
図7は、実験例1、3、6のEDXスペクトルであり、
図7A~7Cがそれぞれ実験例1、3、6である。いずれもAuとTiが検出された。実験例1、3、6のモル比であるAu/Ti比(mol/mol)は、それぞれ0.05、0.3、0.3であった。いずれも蒸着量のAu/Ti比は、実験例1では0.03、実験例3では0.15、実験例6では0.23であり、EDXでの測定結果の方がより値が大きいのは、電子線の散乱深さの影響であり、試料表面の組成が強く反映されているためであると推察された。
【0040】
<触媒評価>
図8は、触媒評価装置40の概略を示す説明図である。触媒評価は、閉鎖ガス循環型の触媒評価装置40を用いて実施した。ガスとの接触を良くするために、
図8のガス流通経路図に示すように流路途中に触媒を配置した後、評価装置の系内に1体積%のCO(ベースガス:空気)を50kPa導入し、室温下において導入ガスを電磁ポンプで循環させた。所定時間ごとに自動で系内のガスを採取して、ガス中のCOの濃度変化をガスクロマトグラフィ(GC)により定量、評価した。触媒評価は、12時間行い、6時間時点でのCO濃度を主として用いて評価した。なお、CO濃度は、次式(1)にて算出した。
CO濃度=1%×(触媒存在下でのCO量(mol))/(触媒なしでのCO量(mol))…式(1)
【0041】
(結果と考察)
図9は、実験例1~6のCO濃度変化の検討結果である。また、表2に6時間時点でのCO転化率(%)及び単位Au質量当たりのCO酸化の反応速度(mmol/g-Au/h)をまとめた。
図9に示すように、共蒸着法にて合成した実験例1から5では、時間経過とともに系内のCO濃度が減少し、室温においてCO除去できることがわかった。いずれの試料においても、試料表面の直径10nm以下のAuナノ粒子が触媒活性点として機能しているためと推察された。一方、実験例6では、CO減少は全く見られなかった。Auの粒子サイズが大きいために、触媒活性を示さなかったものと推察された。このように、AuとTiとを共蒸着することで、Auの凝集を抑制しながら不織布構造を形成させることが、CO酸化除去触媒の合成に特に有効であることわかった。
【0042】
【0043】
以上の結果より、Au原料のターゲットと、例えばTiなどの卑金属元素Mの原料のターゲットとを用い共蒸着処理を行い、不織布構造を有する基材表面にAu粒子と元素Mの金属及び/又は酸化物であるM粒子とを形成すると、常温でのCO酸化活性を有する不織布構造の複合構造体が得られることがわかった。この複合構造体は、Au粒子が10nm以下であり、5nm以下であることがより好ましく、モル比であるAu/Mが0.01以上0.5以下の範囲が好ましく、0.03以上0.3以下の範囲がより好ましいことがわかった。また、この複合構造体は、Auを5μg/cm2以上80μg/cm2以下の範囲で含み、酸化物Mを40μg/cm2以上100μg/cm2以下の範囲で含むことが好ましいことがわかった。更に、この複合構造体は、不織布基材の表面に形成されている不織布構造を有することが好ましく、あるいは、不織布基材が除去された半チューブ型の不織布構造を有するものとしてもよいと推察された。
【0044】
以上、本開示の実施例について詳細に説明したが、本発明は上記実施例に何ら限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改変が可能である。
20,20B 構造体、21 繊維体、22 基材、22B 基材空間、24 Au粒子、25 M粒子、30 製造装置、31 チャンバ、32 試料ホルダ、33 第1ホルダ、34 Auターゲット、35 第2ホルダ、36 M原料ターゲット、37 電源、38 導入部、39 排気部、40 評価装置、S 試料。