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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024106501
(43)【公開日】2024-08-08
(54)【発明の名称】プログラム及び色見本システム
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/54 20060101AFI20240801BHJP
   G06F 3/12 20060101ALI20240801BHJP
   D06B 11/00 20060101ALI20240801BHJP
【FI】
H04N1/54
G06F3/12 308
G06F3/12 356
D06B11/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023010782
(22)【出願日】2023-01-27
(71)【出願人】
【識別番号】000107907
【氏名又は名称】セーレン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135448
【弁理士】
【氏名又は名称】北川 泰隆
(72)【発明者】
【氏名】山下 正汰
【テーマコード(参考)】
3B154
5C079
【Fターム(参考)】
3B154AB27
3B154AB35
3B154BA09
3B154BB33
3B154BB47
3B154BC08
3B154BC16
3B154BD01
3B154CA06
3B154CA13
3B154CA23
3B154CA29
3B154CA36
3B154DA13
5C079HB01
5C079HB03
5C079HB12
5C079KA12
5C079LA10
5C079LB01
5C079MA10
5C079MA17
5C079NA03
5C079NA27
5C079PA03
(57)【要約】
【課題】原画像を生地にインクジェット捺染させた記録画像を示す色見本画像を看者に確認させることができる、プログラム及び色見本システムを提供する。
【解決手段】表示処理は、記録画像を示す色見本画像を表示装置に表示させる。記録画像は、原画像を表す原画像データに従いインクジェット捺染装置から生地にそれぞれ異なる着色材を含む複数色のインクを吐出することで生地に形成される。原画像は、第一色の第一領域及び第二色の第二領域を含む。第二領域は、第一領域と隣接する。色見本画像は、第一部分と、第二部分と、第三部分とを含む。第一部分は、第一領域に対応し且つ第一色で表現される。第二部分は、第二領域に対応し且つ第二色で表現される。第三部分は、第一領域及び第二領域の境界を含む第一領域及び第二領域の隣接領域に対応する。第三部分は、第一色及び第二色の混色である第三色で表現され、第一部分及び第二部分の間に位置する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータのプロセッサに、第一色の第一領域及び前記第一領域と隣接する前記第一色とは異なる第二色の第二領域を含む原画像を表す原画像データに従いインクジェット捺染装置から生地にそれぞれ異なる着色材を含む複数色のインクを吐出することで前記生地に形成される記録画像を示す色見本画像を表示装置に表示させる、表示処理を実行させ、
前記表示処理は、前記第一領域に対応し且つ前記第一色で表現された第一部分と、前記第二領域に対応し且つ前記第二色で表現された第二部分と、前記第一領域及び前記第二領域の境界を含む前記第一領域及び前記第二領域の隣接領域に対応し且つ前記第一色及び前記第二色の混色である第三色で表現された、前記第一部分及び前記第二部分の間の第三部分と、を含む前記色見本画像を前記表示装置に表示させる、プログラム。
【請求項2】
前記プロセッサに、前記色見本画像を表す色見本画像データを生成する、生成処理を実行させ、
前記表示処理は、前記色見本画像データに従い前記色見本画像を前記表示装置に表示させる、請求項1に記載のプログラム。
【請求項3】
コンピュータと、
表示装置と、を備え、
前記コンピュータは、
第一色の第一領域及び前記第一領域と隣接する前記第一色とは異なる第二色の第二領域を含む原画像を表す原画像データに従いインクジェット捺染装置から生地にそれぞれ異なる着色材を含む複数色のインクを吐出することで前記生地に形成される記録画像を示す色見本画像を前記表示装置に表示させる、表示処理を実行し、
前記表示処理では、前記第一領域に対応し且つ前記第一色で表現された第一部分と、前記第二領域に対応し且つ前記第二色で表現された第二部分と、前記第一領域及び前記第二領域の境界を含む前記第一領域及び前記第二領域の隣接領域に対応し且つ前記第一色及び前記第二色の混色である第三色で表現された、前記第一部分及び前記第二部分の間の第三部分と、を含む前記色見本画像を前記表示装置に表示させる、色見本システム。
【請求項4】
前記コンピュータは、
前記色見本画像を表す色見本画像データを生成する、生成処理を実行し、
前記表示処理では、前記色見本画像データに従い前記色見本画像を前記表示装置に表示させる、請求項3に記載の色見本システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原画像を表す原画像データに従いインクジェット捺染装置から生地にそれぞれ異なる着色材を含む複数色のインクを吐出することで生地に形成される記録画像を示す色見本画像を表示装置に表示させる、プログラム及び色見本システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、画像形成装置を開示する。画像形成装置は、電子写真方式の複合機である。但し、画像形成装置は、インクジェット方式であってもよい。画像形成装置の給紙部は、第1トレー、第2トレー、第3トレー及び第4トレーを備える。第1トレーが収容するシートは、セミ上質紙である。第2トレーが収容するシートは、ラフ更である。第3トレーが収容するシートは、印刷用紙である。第4トレーが収容するシートは、コピー用紙である。プレビュー画像表示部は、シートの属性に応じたプレビュー画像を表示する。プレビュー画像は、シートの属性に基づいて、シートの色味、シートに実際に画像が形成されたときの画像の色味、及び画像の滲み具合を再現する。
【0003】
特許文献2は、カラープリントの再現色予測方法を開示する。カラープリントの再現色予測方法は、クベルカ-ムンクの混色理論を採用する。特許文献2は、従来の技術として次の手法を開示する。この手法は、次のモデルを立て、理論計算により分光反射率を演算し、再現色を予測する。このモデルでは、トナーが紙面上にYトナー、Mトナー、Cトナー、Kトナーの転写順に一様に層状になっている。この4層のトナーの分光反射率は、クベルカ-ムンクの混色理論を用い求められる。
【0004】
特許文献3は、再現色予測装置を開示する。1次色ドットゲイン補正部は、複数色の記録材の各々における1次色の分光反射率を、各記録材に設定された打ち込み量に基づいて補正する。推定初期値算出部は、1次色ドットゲイン補正部によって補正された分光反射率を用いて、Kubelka-Munk理論によってそれらの混色を推定する。インク重ね合わせ補正係数記憶部には、次のカラーパッチの分光反射率の実測値と、次の推定値との誤差に基づいて決定された補正係数が格納される。このカラーパッチは、複数色の記録材を用いて得られる。この推定値は、カラーパッチにおける各記録材の打ち込み量に基づいて推定初期値算出部で推定される。インク重ね合わせ補正部は、推定初期値算出部で算出された混色の分光反射率を補正係数に基づいて補正し、再現色の予測結果を得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2017-1231号公報
【特許文献2】特開平9-120185号公報
【特許文献3】特開2003-326749号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
インクジェット記録装置は、原画像データに従い記録媒体にインクを吐出する。原画像データは、原画像を表す。例えば、原画像は、記録媒体を装飾する。原画像の例としては、模様が挙げられる。記録媒体には、生地が採用される。生地の例としては、織物、編物及び不織布が挙げられる。インクは、着色材を含む。着色材は、生地を着色する。例えば、インクは、記録媒体としての生地に着弾した後、生地の繊維に染み込み、染み込んだ部分を染色する。原画像データに従い生地にインクを吐出して画像を形成する画像形成方法は、「インクジェット捺染」と称される。インクジェット捺染を実行するインクジェット記録装置は、「インクジェット捺染装置」と称される。
【0007】
発明者は、インクジェット捺染では、原画像が次の態様である場合に次の事象が発生することがあることを知っている。この態様は、第一色の第一領域及び第二色の第二領域を含む。第二色は、第一色とは異なる。この事象は、記録媒体としての生地にそれぞれ異なる着色材を含む複数色のインクを吐出することで生じる。この事象では、記録画像に第三色で表現された第三部分が形成される。第三色は、第一色及び第二色の混色である。記録画像は、原画像データに従いインクジェット捺染装置から生地に着色材を含むインクを吐出することでこの生地に形成される。記録画像の第三部分は、第一領域及び第二領域の隣接領域に対応する。隣接領域は、第一領域及び第二領域の境界を含む。記録画像の第三部分は、記録画像の第一部分及び第二部分の間に形成される。記録画像の第一部分は、原画像の第一領域に対応し且つ第一色で表現される。記録画像の第二部分は、原画像の第二領域に対応し且つ第二色で表現される。記録画像の第三部分では、第一色を表現するためのインク及び第二色を表現するためのインクがそれぞれ滲み混色する。その結果、記録画像は、第三色で表現された第三部分を含む。
【0008】
供給者が次の生地を需要者に納入したとする。この生地には、第三色で表現された第三部分を含む記録画像が形成される。供給者の例としては、インクジェット捺染の実施者が挙げられる。需要者は、原画像を形成させた生地を要求する。需要者は、納入品は自らが要求する品質を満足していないと判断し、供給者に納入品が自らの要求を満足するよう指示する。発明者は、このような指示は次の理由に起因すると考える。この理由は、生地上でのインクの滲み及び混色を想定していないことである。
【0009】
本発明は、原画像を生地にインクジェット捺染させた記録画像を示す色見本画像を看者に確認させることができる、プログラム及び色見本システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一側面は、コンピュータのプロセッサに、第一色の第一領域及び前記第一領域と隣接する前記第一色とは異なる第二色の第二領域を含む原画像を表す原画像データに従いインクジェット捺染装置から生地にそれぞれ異なる着色材を含む複数色のインクを吐出することで前記生地に形成される記録画像を示す色見本画像を表示装置に表示させる、表示処理を実行させ、前記表示処理は、前記第一領域に対応し且つ前記第一色で表現された第一部分と、前記第二領域に対応し且つ前記第二色で表現された第二部分と、前記第一領域及び前記第二領域の境界を含む前記第一領域及び前記第二領域の隣接領域に対応し且つ前記第一色及び前記第二色の混色である第三色で表現された、前記第一部分及び前記第二部分の間の第三部分と、を含む前記色見本画像を前記表示装置に表示させる、プログラムである。
【0011】
このプログラムによれば、色見本画像を表示装置に表示させることができる。実際に原画像を生地にインクジェット捺染させたサンプル(色見本)を作製しなくてもよい。このプログラムは、記録画像では、次の色変化が原画像の第一領域及び第二領域の境界のようには明瞭とならず、第三色で表現された第三部分が生じることを表示装置に表示させることができる。この色変化は、原画像の第一領域の第一色で表現された第一部分及び原画像の第二領域の第二色で表現された第二部分の間に生じる。
【0012】
前記プログラムでは、前記プロセッサに、前記色見本画像を表す色見本画像データを生成する、生成処理を実行させ、前記表示処理は、前記色見本画像データに従い前記色見本画像を前記表示装置に表示させる、ようにしてもよい。
【0013】
この構成によれば、色見本画像データを生成し、色見本画像を表示装置に表示させることができる。処理対象となる原画像データに対して予め色見本画像データを生成しなくてもよい。
【0014】
本発明の他の側面は、コンピュータと、表示装置と、を備え、前記コンピュータは、第一色の第一領域及び前記第一領域と隣接する前記第一色とは異なる第二色の第二領域を含む原画像を表す原画像データに従いインクジェット捺染装置から生地にそれぞれ異なる着色材を含む複数色のインクを吐出することで前記生地に形成される記録画像を示す色見本画像を前記表示装置に表示させる、表示処理を実行し、前記表示処理では、前記第一領域に対応し且つ前記第一色で表現された第一部分と、前記第二領域に対応し且つ前記第二色で表現された第二部分と、前記第一領域及び前記第二領域の境界を含む前記第一領域及び前記第二領域の隣接領域に対応し且つ前記第一色及び前記第二色の混色である第三色で表現された、前記第一部分及び前記第二部分の間の第三部分と、を含む前記色見本画像を前記表示装置に表示させる、色見本システムである。
【0015】
この色見本システムによれば、色見本画像を表示装置に表示することができる。実際に原画像を生地にインクジェット捺染させたサンプル(色見本)を作製しなくてもよい。この色見本システムは、記録画像では、次の色変化が原画像の第一領域及び第二領域の境界のようには明瞭とならず、第三色で表現された第三部分が生じることを表示装置に表示することができる。この色変化は、原画像の第一領域の第一色で表現された第一部分及び原画像の第二領域の第二色で表現された第二部分の間に生じる。
【0016】
前記色見本システムでは、前記コンピュータは、前記色見本画像を表す色見本画像データを生成する、生成処理を実行し、前記表示処理では、前記色見本画像データに従い前記色見本画像を前記表示装置に表示させる、ようにしてもよい。
【0017】
この構成によれば、色見本画像データを生成し、色見本画像を表示装置に表示させることができる。処理対象となる原画像データに対して予め色見本画像データを生成しなくてもよい。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、原画像を生地にインクジェット捺染させた記録画像を示す色見本画像を看者に確認させることができる、プログラム及び色見本システムを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】色見本システムの概略構成の一例を示すブロック図である。
図2】原画像を表示している操作画面の一例を示す図である。
図3】色見本画像を表示している操作画面の一例を示す図である。
図4】色見本処理のフローチャートである。
図5】生成処理のフローチャートである。
図6】生成処理で実行される滲み処理の概念を説明する図である。生地に着弾したインクによって着色される着色領域を示す。
図7】インクジェット捺染装置の概略構成の一例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明を実施するための実施形態について、図面を用いて説明する。本発明は、以下に記載の構成に限定されるものではなく、同一の技術的思想において種々の構成を採用することができる。例えば、以下に示す構成の一部は、省略し又は他の構成に置換してもよい。本発明は、他の構成を含んでもよい。各図面では、他の図面との対応又は後述する色の対応が正確ではない場合もある。図面は、所定の構成を模式的に示す。
【0021】
<色見本システム10>
色見本システム10について、図1~3を参照して説明する。色見本システム10は、コンピュータ20と、表示装置30とを備える(図1参照)。更に、色見本システム10は、操作装置31を備える。コンピュータ20、表示装置30及び操作装置31は、一体であってもよく、又は別体であってもよい。
【0022】
コンピュータ20、表示装置30及び操作装置31が一体であるとする(図1~3参照)。このような色見本システム10の例としては、ラップトップコンピュータ、タブレット端末及びスマートフォンが挙げられる。実施形態では、色見本システム10としてタブレット端末を例示する。
【0023】
実施形態とは異なり、コンピュータ20、表示装置30及び操作装置31が別体であるとする(不図示)。このような色見本システム10の例としては、デスクトップコンピュータが挙げられる。色見本システム10がデスクトップコンピュータである場合、コンピュータ20は、表示装置30及び操作装置31と信号ケーブルを介して有線接続される。但し、コンピュータ20は、操作装置31と無線接続されてもよい。コンピュータ20と表示装置30との接続方式及びコンピュータ20と操作装置31との接続方式は、諸条件を考慮して適宜決定される。
【0024】
色見本システム10は、表示装置30に原画像及び色見本画像を表示させる(図2,3参照)。原画像は、記録媒体としての生地90に形成され、この生地90の一部又は全部を装飾する。実施形態では、実際に生地90に形成された原画像を「記録画像」という(後述する図7参照)。図7で生地90の次の部分を装飾する模様は記録画像に対応する。この部分は、後述するインクジェットヘッド72C,72M,72Y,72Kより搬送方向の下流側となる生地90の一部である。色見本画像は、生地90に形成される記録画像を示す。即ち、色見本画像は、原画像が生地90に形成された仮想状態を表す。色見本画像の看者は、実際に生地90に記録された記録画像を見なくても、色見本画像によって原画像が生地90に形成された状態を予め確認することができる。
【0025】
生地90の例としては、織物、編物及び不織布が挙げられる。生地90の素材は、化学繊維及び天然繊維の何れであってもよい。化学繊維は、再生繊維、合成繊維、半合成繊維を含む。天然繊維は、植物繊維及び動物繊維を含む。生地90の素材は、諸条件を考慮して適宜決定される。
【0026】
原画像は、次の態様を有する(図2参照)。この態様は、第一色の第一領域R1及び第二色の第二領域R2を含む。第二領域R2は、第一領域R1と隣接する。第二色は、第一色とは異なる。色見本画像及び記録画像は、第一部分P1と、第二部分P2と、第三部分P3とを含む(図3及び後述する図7参照)。第一部分P1は、第一領域R1に対応し且つ第一色で表現される。第二部分P2は、第二領域R2に対応し且つ第二色で表現される。第三部分P3は、第一部分P1及び第二部分P2の間に位置する。第三部分P3は、隣接領域に対応し且つ第三色で表現される。隣接領域は、第一領域R1及び第二領域R2の境界を含む。第三色は、第一色及び第二色の混色である。
【0027】
原画像は、生地90に形成される。画像形成方法の例としては、インクジェット捺染が挙げられる。画像形成方法としてインクジェット捺染を採用するとする。この場合、原画像は生地90にインクジェット捺染される。これに伴い、生地90には記録画像が形成される。実施形態で色見本システム10は、インクジェット捺染を対象とする。実施形態では、インクジェット捺染を実行するインクジェット記録装置を「インクジェット捺染装置」といい、これの例としてインクジェット捺染装置70を示す(後述する図7参照)。インクジェット捺染装置70は、後述するように原画像データに従い生地90にインクを吐出する。
【0028】
実施形態では、生地90のインクジェット捺染に用いるインク色をシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)及びブラック(K)の4色とする。即ち、インクジェット捺染装置70は、生地90にシアンインク、マゼンタインク、イエローインク及びブラックインクを吐出する。但し、インクジェット捺染には、これらとは異なる色のインクを用いてもよい。インク色数は、3色以下又は5色以上としてもよい。
【0029】
原画像データは、原画像を表す。原画像データは、デザインソフトウェアを用いて制作される。デザインソフトウェアの例としては、Adobe Photoshop(登録商標)が挙げられる。原画像データは、色見本処理(図1及び後述する図4参照)の実行に先立ち制作される。実施形態では、第一領域R1を表す原画像データの部分を「第一データ部分」といい、第二領域R2を表す原画像データの部分を「第二データ部分」という。原画像として2色の縞模様を例示する(図2参照)。第一領域R1は第一色で表され、第二領域R2は第二色で表される。原画像データでは、第一データ部分の色は第一色値に設定され、第二データ部分の色は第二色値に設定される。第一色値は、第一色に対応する。第二色値は、第二色に対応する。色値の例としては、RGBカラーモデルのRGB値が挙げられる。実施形態では、原画像データはRGBカラーモデルを採用する。
【0030】
インクは、着色材を含む。着色材は、生地90を着色する。着色材の例としては、染料及び顔料が挙げられる。実施形態では、着色材は染料であるとする。この場合、インクは、記録媒体としての生地90に着弾した後、生地90に染み込み、染み込んだ部分を染色する。インクジェット捺染装置70は、生地90への原画像の形成に複数色のインクを吐出してもよい。インクジェット捺染装置70に関するこの他の説明は後述する。
【0031】
コンピュータ20は、プロセッサ21と、ストレージ22と、メモリ23とを含む(図1参照)。コンピュータ20は、色見本システム10を制御する。色見本システム10がタブレット端末である場合、プロセッサ21、ストレージ22、メモリ23、表示装置30及び操作装置31は、バス40に接続される。
【0032】
プロセッサ21は、演算処理を実行する。これに伴い、コンピュータ20は、色見本システム10において制御装置として機能する。プロセッサ21の例としては、CPUが挙げられる。
【0033】
ストレージ22は、記憶媒体である。記憶媒体は、記憶装置を含む。ストレージ22の例としては、フラッシュメモリが挙げられる。但し、ストレージ22は、フラッシュメモリでなくてもよい。更に、ストレージ22は、2種以上の記憶媒体の組み合わせであってもよい。ストレージ22は、各種のプログラム及びデータを記憶する。プログラムの例としては、OS(Operating System)及び各種のアプリケーションが挙げられる。アプリケーションは、色見本処理(後述する図4参照)のプログラムを含む。色見本処理のプログラムは、生成処理(後述する図4のS14及び図5参照)のプログラムを含む。色見本処理のプログラムは、ストレージ22に事前にインストールされる。
【0034】
ストレージ22は、原画像データを記憶する。但し、原画像データは、ストレージ22とは異なる記憶媒体に記憶されてもよい。例えば、コンピュータ20がデータ通信機能を備え、ストレージ22とは異なる記憶媒体とデータ通信可能に接続されているとする。この場合、原画像データは、この記憶媒体に記憶されていてもよい。原画像データの記憶先は、諸条件を考慮して適宜決定される。
【0035】
ストレージ22は、滲みテーブルを記憶する。滲みテーブルは、記録媒体としての生地90におけるインクの滲みの程度を定義する。インクの滲みの程度は、記録媒体とする生地90を対象としてインクジェット捺染に用いられる全てのインクについて定義される。滲みテーブルは、色見本処理のプログラムに登録される。
【0036】
インクジェット捺染にシアンインク、マゼンタインク、イエローインク及びブラックインクを用いるとする。この場合、滲みテーブルは、次のような実験を経て作成してもよい。即ち、この実験では、シアンインクによるインクジェット捺染が生地90を記録媒体として実施され、生地90に再現された画像からシアンインクの滲みが特定される。この実験では、マゼンタインクによるインクジェット捺染が生地90を記録媒体として実施され、生地90に再現された画像からマゼンタインクの滲みが特定される。この実験では、イエローインクによるインクジェット捺染が生地90を記録媒体として実施され、生地90に再現された画像からイエローインクの滲みが特定される。この実験では、ブラックインクによるインクジェット捺染が生地90を記録媒体として実施され、生地90に再現された画像からブラックインクの滲みが特定される。滲みテーブルは、このようなインクジェット捺染の実施によって得られた確認結果を反映する。
【0037】
インクの滲みは、設定値及び実測値の比較から適宜特定することができる。設定値は、この比較において基準とする図形の寸法である。実測値は、基準とする図形を表す画像データに従ったインクの吐出によって生地90にインクジェット捺染された図形の寸法である。基準とする図形の例としては、予め設定された幅の直線が挙げられる。
【0038】
例えば、上述した実験は次のように実施される。即ち、直線を表す画像データに従いシアンインクを生地90に吐出し、シアンインクによる直線を生地90にインクジェット捺染する。生地90にインクジェット捺染されたシアンインクによる直線の幅が測定される。直線を表す画像データに従いマゼンタインクを生地90に吐出し、マゼンタインクによる直線を生地90にインクジェット捺染する。生地90にインクジェット捺染されたマゼンタインクによる直線の幅が測定される。直線を表す画像データに従いイエローインクを生地90に吐出し、イエローインクによる直線を生地90にインクジェット捺染する。生地90にインクジェット捺染されたイエローインクによる直線の幅が測定される。直線を表す画像データに従いブラックインクを生地90に吐出し、ブラックインクによる直線を生地90にインクジェット捺染する。生地90にインクジェット捺染されたブラックインクによる直線の幅が測定される。インクの滲みは、シアンインク、マゼンタインク、イエローインク及びブラックインクのそれぞれで画像データで設定された直線の太さ(設定値)及び生地90にインクジェット捺染された直線の太さ(実測値)を比較することで特定される。
【0039】
但し、このようなインクの滲みの特定方法は例示である。基準とする図形の寸法は、直線の幅寸法でなくてもよい。基準とする図形は、矩形領域の幅寸法及びインクドットの直径であってもよい。インクドットは、生地90に着弾した1滴のインクによって形成される。インクの滲みの特定方法及び基準とする図形の寸法は、諸条件を考慮して適宜決定される。
【0040】
メモリ23は、プロセッサ21が各種のプログラムを実行する際に利用される。メモリ23は、プログラムの実行中、所定のデータを所定の領域に記憶する。例えば、メモリ23は、色見本処理のプログラムの実行中、滲みテーブルを記憶する。メモリ23の例としては、RAMが挙げられる。
【0041】
コンピュータ20でプロセッサ21は、メモリ23を用いてストレージ22に記憶されたOSを実行し、更にメモリ23を用いて色見本処理のプログラムを実行する。これに伴い、色見本システム10では、コンピュータ20が色見本処理を実行する。換言すれば、コンピュータ20は、色見本処理に含まれる複数の処理(後述する図4のS11~S18及び図5参照)を実行する。コンピュータ20は、色見本処理に対応可能な点において公知のコンピュータと相違する。但し、コンピュータ20は、ハードウェア的には公知のコンピュータと同じであってもよい。従って、コンピュータ20は、更に公知のコンピュータが備える構成を備えていてもよい。
【0042】
表示装置30は、各種の情報を表示する。例えば、表示装置30は、色見本処理の実行中、操作画面50を表示する(図2,3参照)。操作画面50については後述する。表示装置30の例としては、液晶ディスプレイが挙げられる。但し、表示装置30は、液晶ディスプレイでなくてもよい。表示装置30の仕様は、諸条件を考慮して適宜決定される。
【0043】
操作装置31は、操作に応じた指示を受け付ける。プロセッサ21は、操作装置31で受け付けられた指示を操作装置31から取得する。色見本システム10がタブレット端末である場合、操作装置31は、タッチパッドを含む。この場合、操作装置31は、表示装置30と一体で設けられる。表示装置30及び操作装置31は、タッチパネル32となる。操作者は、指示の入力に際し、操作装置31に対してタップ、ピンチ、フリック又はスワイプの操作を行う。但し、操作装置31は、キーボード及びマウスの一方又は両方であってもよく、又はこれらの一方又は両方を含んでもよい。
【0044】
操作画面50は、終了ボタン51と、画像表示領域52と、画像選択領域53とを含む(図2,3参照)。終了ボタン51は、色見本処理の終了指示に関連付けられる。終了指示は、色見本処理の終了を指示する。操作者は、色見本処理を終了する場合、終了ボタン51をタップする。終了ボタン51がタップされ、このタップが操作装置31で受け付けられたとする。この場合、プロセッサ21は、終了指示を取得する。これに伴い、プロセッサ21は、色見本処理を終了する。
【0045】
画像表示領域52は、原画像及び色見本画像の何れかを表示する。画像選択領域53は、選択肢として原画像及び色見本画像を含む(図2,3参照)。操作者は、画像選択領域53で原画像及び色見本画像の何れかを選択する。操作者が画像選択領域53で原画像を選択した場合(図2参照)、プロセッサ21は、操作装置31を介して原画像情報を取得する。操作者が画像選択領域53で色見本画像を選択した場合(図3参照)、プロセッサ21は、操作装置31を介して色見本画像情報を取得する。画像選択領域53は、グラフィカルユーザーインターフェース(GUI)としてラジオボタンB1,B2を含む(図2,3参照)。操作者は、原画像を選択する場合、ラジオボタンB1を選択する(図2参照)。操作者は、色見本画像を選択する場合、ラジオボタンB2を選択する(図3参照)。画像選択領域53では、ラジオボタンB1は原画像情報に関連付けられ、ラジオボタンB2は色見本画像情報に関連付けられる。
【0046】
<色見本処理>
色見本処理について、図4を参照して説明する。操作者は、操作装置31を操作して色見本処理の開始指示を入力する。色見本システム10は、操作装置31で開始指示を受け付ける。プロセッサ21は、操作装置31を介して開始指示を取得する。プロセッサ21は、開始指示の取得に応じてストレージ22に記憶された色見本処理のプログラムを起動する。これに伴い、色見本システム10では、コンピュータ20が色見本処理を開始する。
【0047】
色見本処理の開始に伴い、プロセッサ21は操作画面50としての初期画面(不図示)を表示装置30に表示させる。操作者は、操作装置31を操作して処理対象とする原画像データを指定する。このような原画像データの指定は、既に実用化されたアプリケーションで採用される公知の手順によって行われる。プロセッサ21は、原画像データを取得する(S11)。実施形態では、原画像データはストレージ22に記憶されている。プロセッサ21は、操作者によって指定された原画像データをストレージ22から読み出す。プロセッサ21は、原画像データをメモリ23に記憶させる。
【0048】
次に、プロセッサ21は、原画像データに従い原画像を表示装置30に表示させる(S12)。即ち、プロセッサ21は、メモリ23に記憶された原画像データを処理し、原画像を生成する。続けて、プロセッサ21は、原画像の表示指令を表示装置30に出力する。これに伴い、表示装置30では、原画像が操作画面50の画像表示領域52に表示される(図2参照)。色見本処理では、原画像の指定後の初期状態ではラジオボタンB1,B2の選択はラジオボタンB1に設定される。これに伴い、色見本処理は、原画像が指定された場合の初期の表示対象をこの指定された原画像とする。
【0049】
S12を実行した後、プロセッサ21は、次の原画像データを処理対象とした生成処理が実行済みであるかを判断する(S13)。詳細は後述するが、プロセッサ21はS14の生成処理で色見本画像データを生成し、これをメモリ23に記憶する(後述する図5のS25参照)。従って、色見本画像データがメモリ23に記憶されている状態では、生成処理は実行済みであり、プロセッサ21はS13の判断を肯定する(S13:Yes)。プロセッサ21は、処理をS15に移行する。これに対して、色見本画像データがメモリ23に記憶されていない状態では、生成処理は未実行であり、プロセッサ21はS13の判断を否定する(S13:No)。プロセッサ21は、生成処理を実行する(S14)。生成処理については後述する。プロセッサ21は、生成処理を実行した後、処理をS15に移行する。
【0050】
S15でプロセッサ21は、色見本画像情報を取得したかを判断する。ラジオボタンB2に対する操作が操作装置31で受け付けられていない場合、プロセッサ21は、色見本画像情報を取得しない。この場合、プロセッサ21は、色見本画像情報を取得したと判断しない(S15:No)。プロセッサ21は、処理をS18に移行する。
【0051】
ラジオボタンB2に対する操作が操作装置31で受け付けられ、プロセッサ21が操作装置31を介して色見本画像情報を取得したとする。この場合、プロセッサ21は、色見本画像情報を取得したと判断し(S15:Yes)、色見本画像データに従い色見本画像を表示装置30に表示させる(S16)。即ち、プロセッサ21は、メモリ23に記憶された色見本画像データを処理し、色見本画像を生成する。続けて、プロセッサ21は、色見本画像の表示指令を表示装置30に出力する。これに伴い、表示装置30では、色見本画像が操作画面50の画像表示領域52に表示される(図3参照)。換言すれば、表示装置30は、画像表示領域52の表示を原画像から色見本画像へと切り替える。
【0052】
S16を実行した後、プロセッサ21は、原画像情報を取得したかを判断する(S17)。ラジオボタンB1に対する操作が操作装置31で受け付けられていない場合、プロセッサ21は、原画像情報を取得しない。この場合、プロセッサ21は、原画像情報を取得したと判断しない(S17:No)。プロセッサ21は、処理をS18に移行する。
【0053】
ラジオボタンB1に対する操作が操作装置31で受け付けられ、プロセッサ21が操作装置31を介して原画像情報を取得したとする。この場合、プロセッサ21は、原画像情報を取得したと判断し(S17:Yes)、処理をS12に戻す。その後、プロセッサ21は、S12以降の処理を上記同様に実行する。S12の実行に伴い、表示装置30では、原画像が操作画面50の画像表示領域52に表示される(図2参照)。換言すれば、表示装置30は、画像表示領域52の表示を色見本画像から原画像へと切り替える。
【0054】
S18でプロセッサ21は、終了指示を取得したかを判断する。操作者は、操作画面50上で終了ボタン51を操作する。終了ボタン51に対する操作が操作装置31で受け付けられていない場合、プロセッサ21は、終了指示を取得しない。この場合、プロセッサ21は、終了指示を取得したと判断しない(S18:No)。プロセッサ21は、処理をS15に戻す。その後、プロセッサ21は、S15以降の処理を上記同様に実行する。終了ボタン51に対する操作が操作装置31で受け付けられた場合、プロセッサ21は、操作装置31を介して終了指示を取得する。この場合、プロセッサ21は、終了指示を取得したと判断し(S18:Yes)、色見本処理を終了する。
【0055】
<生成処理>
図4のS14で実行される生成処理について、図5,6を参照して説明する。プロセッサ21は、生成処理をS11で取得されメモリ23に記憶させた原画像データを処理対象として実行する。生成処理を開始させたプロセッサ21は、第一変換処理を実行する(S21)。第一変換処理は、原画像データのカラーモデルをRGBからCMYKへと変換する。第一変換処理では、RGBからCMYKへのカラーモデルの変換に公知の画像処理技術を採用することができる。従って、第一変換処理に関するこの他の説明は省略する。実施形態では、RGBの原画像データからカラーモデルがCMYKへと変換された画像データを「吐出データ」という。但し、原画像データと同様、第一領域R1を表す第一データ部分に対応する吐出データのデータ部分を「第一データ部分」といい、第二領域R2を表す第二データ部分に対応する吐出データのデータ部分を「第二データ部分」という。
【0056】
続けて、プロセッサ21は、吐出データを処理対象として滲み処理を実行する(S22)。滲み処理は、シアン、マゼンタ、イエロー及びブラックの各チャネルで実行される。即ち、S22でプロセッサ21は、吐出データに従い吐出されるシアンインクを特定する。プロセッサ21は、滲みテーブルにアクセスし、吐出データに従い吐出される全てのシアンインクについて滲みを特定する。これにより、プロセッサ21は、吐出データに従い吐出されるシアンインクによって着色されることとなる領域の位置情報を特定する。実施形態では、シアンインクによって着色されることとなる領域を「シアン領域」という。
【0057】
S22でプロセッサ21は、吐出データに従い吐出されるマゼンタインクを特定する。プロセッサ21は、滲みテーブルにアクセスし、吐出データに従い吐出される全てのマゼンタインクについて滲みを特定する。これにより、プロセッサ21は、吐出データに従い吐出されるマゼンタインクによって着色されることとなる領域の位置情報を特定する。実施形態では、マゼンタインクによって着色されることとなる領域を「マゼンタ領域」という。
【0058】
S22でプロセッサ21は、吐出データに従い吐出されるイエローインクを特定する。プロセッサ21は、滲みテーブルにアクセスし、吐出データに従い吐出される全てのイエローインクについて滲みを特定する。これにより、プロセッサ21は、吐出データに従い吐出されるイエローインクによって着色されることとなる領域の位置情報を特定する。実施形態では、イエローインクによって着色されることとなる領域を「イエロー領域」という。
【0059】
S22でプロセッサ21は、吐出データに従い吐出されるブラックインクを特定する。プロセッサ21は、滲みテーブルにアクセスし、吐出データに従い吐出される全てのブラックインクについて滲みを特定する。これにより、プロセッサ21は、吐出データに従い吐出されるブラックインクによって着色されることとなる領域の位置情報を特定する。実施形態では、ブラックインクによって着色されることとなる領域を「ブラック領域」という。
【0060】
実施形態では、シアン領域、マゼンタ領域、イエロー領域及びブラック領域を区別しない場合又はこれらを総称する場合、「着色領域」という(図6参照)。説明の便宜上、着色領域を「ドット領域」及び「滲み領域」に分けて特定する。ドット領域は、対応する色のインクが生地90に着弾して形成される。滲み領域は、対応する色のインクが着弾領域に着弾した後、その外周に滲んで形成される。
【0061】
次に、プロセッサ21は、減法混色処理を実行する(S23)。プロセッサ21は、シアン領域、マゼンタ領域、イエロー領域及びブラック領域から位置情報が重複する2個以上の着色領域を特定する。続けて、プロセッサ21は、この位置情報が重複する2個以上の着色領域の複数色の混色を取得する。S23の減法混色処理は、この混色の取得にクベルカ-ムンク理論を採用してもよい。クベルカ-ムンク理論による混色の取得は、既に実用化されており公知である(上述した特許文献2,3参照)。更に、プロセッサ21は、吐出データの次の第三データ部分の色値を取得された混色に対応する色値へと変更する。第三データ部分は、位置情報が重複する2個以上の着色領域を含み、吐出データの第一データ部分の一部及び吐出データの第二データ部分の一部から形成される。プロセッサ21は、S21で原画像データから変換させた吐出データを、第一データ部分の前述した一部を除く残部、第二データ部分の前述した一部を除く残部及び第三データ部分を含む形式とする。減法混色処理後の吐出データでは、第一データ部分の残部は色見本画像の第一部分P1に対応し、第二データ部分の残部は色見本画像の第二部分P2に対応し、第三データ部分は色見本画像の第三部分P3に対応する。
【0062】
その後、プロセッサ21は、S23で減法混色処理された吐出データを処理対象として第二変換処理を実行する(S24)。第二変換処理は、吐出データのカラーモデルをCMYKからRGBへと変換する。CMYKの吐出データからカラーモデルがRGBに変換された画像データは、色見本画像データとなる。第二変換処理では、CMYKからRGBへのカラーモデルの変換に公知の画像処理技術を採用することができる。従って、第二変換処理に関するこの他の説明は省略する。
【0063】
S24を実行した後、プロセッサ21は、色見本画像データをメモリ23に記憶する(S25)。その後、プロセッサ21は、生成処理を終了する。
【0064】
<インクジェット捺染装置70>
インクジェット捺染装置70について、図7を参照して説明する。インクジェット捺染装置70は、記録媒体としての生地90を搬送し、生地90に原画像をインクジェット捺染する(図7参照)。図7に示す例では、生地90は長尺とされている。図7では、長尺の生地90の一部を示す。但し、生地90は、短尺であってもよい。
【0065】
インクジェット捺染装置70は、搬送機71と、インクジェットヘッド72C,72M,72Y,72Kと、キャリッジ73と、メインタンク74C,74M,74Y,74Kと、供給流路75C,75M,75Y,75Kと、移動機76とを備える。
【0066】
搬送機71は、生地90を搬送する。インクジェット捺染装置70では、搬送機71による生地90の搬送は間欠的に行われる。インクジェット捺染装置70は、搬送機71としてベルトコンベアを採用する。実施形態では、搬送機71が生地90を搬送する方向を「搬送方向」という。搬送方向に直交する方向を「主走査方向」という。主走査方向の一方側を「第一側」といい、主走査方向の他方側を「第二側」という。
【0067】
インクジェットヘッド72Cは、シアンインクを吐出する。シアンインクは、着色材としてシアンの染料を含む。シアンインクでは、公知のシアンの染料を採用してもよい。インクジェットヘッド72Mは、マゼンタインクを吐出する。マゼンタインクは、着色材としてマゼンタの染料を含む。マゼンタインクでは、公知のマゼンタの染料を採用してもよい。インクジェットヘッド72Yは、イエローインクを吐出する。イエローインクは、着色材としてイエローの染料を含む。イエローインクでは、公知のイエローの染料を採用してもよい。インクジェットヘッド72Kは、ブラックインクを吐出する。ブラックインクは、着色材としてブラックの染料を含む。ブラックインクでは、公知のブラックの染料を採用してもよい。
【0068】
インクジェット捺染装置70によるインクジェット捺染では、シアンインク、マゼンタインク、イエローインク及びブラックインクとして公知のインクを採用することができる。従って、シアンインク、マゼンタインク、イエローインク及びブラックインクに関するこの他の説明は省略する。
【0069】
キャリッジ73には、インクジェットヘッド72C,72M,72Y,72Kが搭載される。キャリッジ73でインクジェットヘッド72C,72M,72Y,72Kは、主走査方向に隣り合う。インクジェット捺染装置70では、インクジェットヘッド72C,72M,72Y,72Kは、主走査方向の第一側から第二側にインクジェットヘッド72K、インクジェットヘッド72M、インクジェットヘッド72Y及びインクジェットヘッド72Cの順でキャリッジ73に搭載される。但し、主走査方向におけるインクジェットヘッド72C,72M,72Y,72Kの配列順序は、図7とは異なっていてもよい。これらの配列順序は、諸条件を考慮して適宜決定される。
【0070】
メインタンク74Cは、シアンインクを貯留する。供給流路75Cは、メインタンク74Cとインクジェットヘッド72Cとを接続する。シアンインクは、メインタンク74Cから流出し、供給流路75Cを流れてインクジェットヘッド72Cに供給される。
【0071】
メインタンク74Mは、マゼンタインクを貯留する。供給流路75Mは、メインタンク74Mとインクジェットヘッド72Mとを接続する。マゼンタインクは、メインタンク74Mから流出し、供給流路75Mを流れてインクジェットヘッド72Mに供給される。
【0072】
メインタンク74Yは、イエローインクを貯留する。供給流路75Yは、メインタンク74Yとインクジェットヘッド72Yとを接続する。イエローインクは、メインタンク74Yから流出し、供給流路75Yを流れてインクジェットヘッド72Yに供給される。
【0073】
メインタンク74Kは、ブラックインクを貯留する。供給流路75Kは、メインタンク74Kとインクジェットヘッド72Kとを接続する。ブラックインクは、メインタンク74Kから流出し、供給流路75Kを流れてインクジェットヘッド72Kに供給される。
【0074】
移動機76は、キャリッジ73を主走査方向に往復移動させる。移動機76は、2個のプーリ77,78と、タイミングベルト79と、モータ80とを含む。プーリ77は、搬送機71を基準として主走査方向の第一側に設けられる。プーリ78は、搬送機71を基準として主走査方向の第二側に設けられる。プーリ78は、回転自在に支持される。タイミングベルト79は、張力が作用した状態でプーリ77,78に掛け渡される。モータ80は、プーリ77に連結される。モータ80の例としては、エンコーダ付きのサーボモータが挙げられる。モータ80は、プーリ77を回転させる。図7でプーリ77の内部に示す矢印は、プーリ77の回転方向を示す。キャリッジ73は、ステー81を介してタイミングベルト79に取り付けられる。供給流路75C,75M,75Y,75Kは、移動機76によるキャリッジ73の主走査方向への往復移動に対応可能な状態で設けられる。
【0075】
インクジェット捺染装置70で生地90がインクジェット捺染される場合、移動機76、搬送機71及びインクジェットヘッド72C,72M,72Y,72Kは次のように動作する。
【0076】
移動機76では、モータ80が時計回り及び反時計回りに往復して回転する。モータ80の回転に伴い、プーリ77が左右両側に往復して回転する。モータ80が所定の方向に回転することでプーリ77が左回転すると、タイミングベルト79も左回転する。プーリ78は、左回転するタイミングベルト79に従動して回転する。これに伴い、キャリッジ73は、主走査方向の第二側から第一側に移動する。キャリッジ73が主走査方向の第一側の移動端に到達すると、モータ80の回転方向は反転し、プーリ77は右回転する。プーリ77が右回転すると、タイミングベルト79も右回転する。プーリ78は、右回転するタイミングベルト79に従動して回転する。これに伴い、キャリッジ73は、主走査方向の第一側から第二側に移動する。キャリッジ73が主走査方向の第二側の移動端に到達すると、モータ80の回転方向は再度反転し、プーリ77は再度左回転する。
【0077】
搬送機71は、キャリッジ73の主走査方向の第二側から第一側への移動及びキャリッジ73の主走査方向の第一側から第二側への移動に対応させて生地90を搬送方向に搬送する。
【0078】
インクジェットヘッド72Cは、キャリッジ73が主走査方向に移動している所定のタイミングで生地90に向けてシアンインクを吐出する。インクジェットヘッド72Cでのシアンインクの吐出は、原画像データに従い実行される。シアンインクは、生地90の表面に着弾する。その後、シアンインクは、生地90に染み込み、染み込んだ部分を染色する。
【0079】
インクジェットヘッド72Mは、キャリッジ73が主走査方向に移動している所定のタイミングで生地90に向けてマゼンタインクを吐出する。インクジェットヘッド72Mでのマゼンタインクの吐出は、原画像データに従い実行される。マゼンタインクは、生地90の表面に着弾する。その後、マゼンタインクは、生地90に染み込み、染み込んだ部分を染色する。
【0080】
インクジェットヘッド72Yは、キャリッジ73が主走査方向に移動している所定のタイミングで生地90に向けてイエローインクを吐出する。インクジェットヘッド72Yでのイエローインクの吐出は、原画像データに従い実行される。イエローインクは、生地90の表面に着弾する。その後、イエローインクは、生地90に染み込み、染み込んだ部分を染色する。
【0081】
インクジェットヘッド72Kは、キャリッジ73が主走査方向に移動している所定のタイミングで生地90に向けてブラックインクを吐出する。インクジェットヘッド72Kでのブラックインクの吐出は、原画像データに従い実行される。ブラックインクは、生地90の表面に着弾する。その後、ブラックインクは、生地90に染み込み、染み込んだ部分を染色する。
【0082】
シアンインク、マゼンタインク、イエローインク及びブラックインクのうち、原画像データの第一データ部分に従い生地90に吐出された1種又は2種以上のインクは、生地90に染み込み、染み込んだ部分を第一色に染色する。シアンインク、マゼンタインク、イエローインク及びブラックインクのうち、原画像データの第二データ部分に従い生地90に吐出された1種又は2種以上のインクは、生地90に染み込み、染み込んだ部分を第二色に染色する。実施形態では、生地90を第一色に染色する1種又は2種以上のインクを「第一色用インク」といい、生地90を第二色に染色する1種又は2種以上のインクを「第二色用インク」という。
【0083】
生地90には、記録画像が形成される(図7参照)。第一色用インクは生地90に染み込むことで第一部分P1を形成し、第二色用インクは生地90に染み込むことで第二部分P2を形成する。更に、生地90では、第一色用インクは第二部分P2の側に滲み広がり、第二色用インクは第一部分P1の側に滲み広がる。これに伴い、生地90には、第三部分P3が第一部分P1及び第二部分P2の間に形成される。インクジェット捺染装置70では、色見本画像によって示された記録画像が生地90に形成される。記録画像は、色見本画像と同じ又はこれと同視できる態様を有する。
【0084】
<実施形態の効果>
実施形態によれば、次のような効果を得ることができる。
【0085】
(1)色見本システム10は、コンピュータ20と、表示装置30とを備える(図1参照)。コンピュータ20は、ストレージ22に色見本処理のプログラムを記憶する。プロセッサ21は、色見本処理のプログラムを実行する。これに伴い、コンピュータ20は、色見本処理を実行する(図4参照)。即ち、色見本処理でプロセッサ21は、表示装置30に色見本画像を表示させる(図4のS16及び図3参照)。
【0086】
色見本システム10によれば、色見本画像を表示装置30に表示することができる。実際に原画像を生地90にインクジェット捺染させたサンプル(色見本)を作製しなくてもよい。色見本システム10は、記録画像では、次の色変化が原画像の第一領域R1及び第二領域R2の境界のようには明瞭とならず、第三色で表現された第三部分P3が生じることを表示装置30に表示することができる(図2,7参照)。この色変化は、原画像の第一領域R1の第一色で表現された第一部分P1及び原画像の第二領域R2の第二色で表現された第二部分P2の間に生じる(図7参照)。
【0087】
色見本画像の看者は、原画像を形成させた生地90を要求する。看者の例としては、次の製造者が挙げられる。この製造者は、原画像を形成させた生地90を素材として製品を製造する。この製品の製造を専門とする看者は、原画像はそのままの状態でインクジェット捺染することができると考えることがある。色見本システム10は、原画像を生地90にインクジェット捺染させた記録画像を示す色見本画像を看者に確認させることができる。看者は、生地90における記録画像の画像品質を理解することができる。
【0088】
(2)色見本処理は、生成処理を含む(図4のS14及び図5参照)。生成処理でプロセッサ21は、原画像データから色見本画像データを生成し、これをメモリ23に記憶させる(図5のS21~S25参照)。色見本画像データは、色見本画像を表す。色見本画像は、第一部分P1と、第二部分P2と、第三部分P3とを含む(図3参照)。第一部分P1は、第一領域R1に対応し且つ第一色で表現される。第二部分P2は、第二領域R2に対応し且つ第二色で表現される。第三部分P3は、第一部分P1及び第二部分P2の間に位置する。第三部分P3は、隣接領域に対応し且つ第三色で表現される。隣接領域は、第一領域R1及び第二領域R2の境界を含む。第三色は、第一色及び第二色の混色である。色見本処理では、プロセッサ21は、生成処理で生成されメモリ23に記憶された色見本データに従い色見本画像を表示装置30に表示させる(図4のS16及び図3参照)。
【0089】
この構成によれば、色見本画像データを生成し、色見本画像を表示装置30に表示させることができる。処理対象となる原画像データに対して予め色見本画像データを生成しなくてもよい。
【0090】
<変形例>
実施形態は、次のようにすることもできる。以下に示す変形例のうちの幾つかの構成は、適宜組み合わせて採用することもできる。以下では、上記とは異なる点を説明することとし、同様の点についての説明は適宜省略する。
【0091】
(1)原画像データのカラーモデルをRGBとした。生成処理(図4のS14及び図5参照)は、第一変換処理及び第二変換処理を含む(図5のS21,S24参照)。第一変換処理は、原画像データのカラーモデルをRGBからCMYKへと変換する。第二変換処理は、吐出データのカラーモデルをCMYKからRGBへと変換する。CMYKの吐出データからカラーモデルがRGBに変換された画像データは、色見本画像データとなる。原画像データのカラーモデルは、RGBとしてもよい。この場合、生成処理では、第一変換処理(図5のS21参照)は省略してもよい。但し、色見本処理では、プロセッサ21は、図4のS12でCMYKの原画像データのカラーモデルをRGBへと変換し、原画像を表示装置30に表示させる。
【0092】
(2)発明者は、インクジェット捺染における混色の態様は記録媒体としての生地90の相違によっても変化することを知っている。生地90の相違の例としては、素材の相違及び織組織又は編組織の相違が挙げられる。織物である2種類の生地90を例とする。2種類の生地90は、素材及び織組織の一方又は両方が相違する場合に相違する。編物である2種類の生地90を例とする。2種類の生地90は、素材及び編組織の一方又は両方が相違する場合に相違する。
【0093】
インクジェット捺染装置70は、各種の生地90を記録媒体として原画像をインクジェット捺染することができる。色見本処理は、複数種類の生地90に対応させた仕様としてもよい。この変形例では、色見本処理が第一生地及び第二生地の2種類の生地90に対応可能であるとする。この場合、コンピュータ20は、滲みテーブルとして第一生地用の第一滲みテーブル及び第二生地用の第二滲みテーブルをストレージ22に記憶する。
【0094】
操作画面は、画像表示領域52及び画像選択領域53に加え、生地選択領域を含む。生地選択領域は、選択肢として第一生地及び第二生地を含む。操作者は、生地選択領域で第一生地及び第二生地の何れかを選択する。生地選択領域は、画像選択領域53と同じ態様としてもよい。即ち、生地選択領域は、GUIとして2個のラジオボタンを含む。操作者は、第一生地を選択する場合、第一生地に関連付けられたラジオボタンを選択する。操作者は、第二生地を選択する場合、第二生地に関連付けられたラジオボタンを選択する。操作者は、所定のタイミングでこの操作を実施する。例えば、操作者は原画像データの指定に合わせてこの操作を実施してもよい。
【0095】
操作者が生地選択領域で第一生地を選択した場合、プロセッサ21は、操作装置31を介して第一生地情報を取得し、これをメモリ23に記憶させる。操作者が生地選択領域で第二生地を選択した場合、プロセッサ21は、操作装置31を介して第二生地情報を取得し、これをメモリ23に記憶させる。
【0096】
プロセッサ21は、生成処理(図4のS14及び図5参照)を実行し、色見本画像データとして第一色見本画像データ及び第二色見本画像データを生成する。第一色見本画像データは第一色見本画像を表し、第二色見本画像データは第二色見本画像を表す。第一色見本画像は第一生地に形成される第一記録画像を示し、第二色見本画像は第二生地に形成される第二記録画像を示す。第一記録画像は、原画像を第一生地にインクジェット捺染した場合に第一生地に形成される。第二記録画像は、原画像を第二生地にインクジェット捺染した場合に第二生地に形成される。
【0097】
プロセッサ21は、上記同様、図5のS22では、第一滲みテーブルにアクセスし、シアンインク、マゼンタインク、イエローインク及びブラックインクの全ての色のインクについて滲みを特定し、図5のS23では、S22で第一滲みテーブルを用いて特定されたシアン領域、マゼンタ領域、イエロー領域及びブラック領域を対象として混色処理を実行する。これに伴い、プロセッサ21は第一吐出データを取得する。更に、プロセッサ21は、上記同様、図5のS22では、第二滲みテーブルにアクセスし、シアンインク、マゼンタインク、イエローインク及びブラックインクの全ての色のインクについて滲みを特定し、図5のS23では、S22で第二滲みテーブルを用いて特定されたシアン領域、マゼンタ領域、イエロー領域及びブラック領域を対象として混色処理を実行する。これに伴い、プロセッサ21は第二吐出データを取得する。
【0098】
プロセッサ21は、図5のS24では、第一吐出データ及び第二吐出データを処理対象として第二変換処理を実行する。これに伴い、第一吐出データは第一色見本画像データとなり、第二吐出データは第二色見本画像データとなる。プロセッサ21は、図5のS25では、第一色見本画像データ及び第二色見本画像データをメモリ23に記憶させる。
【0099】
操作者が生地選択領域で第一生地を選択した場合、プロセッサ21は、操作装置31を介して第一生地情報を取得し、これをメモリ23に記憶させる。操作者が生地選択領域で第二生地を選択した場合、プロセッサ21は、操作装置31を介して第二生地情報を取得し、これをメモリ23に記憶させる。メモリ23に第一生地情報が記憶されているとする。この場合、プロセッサ21は、図4のS16では、第一色見本画像データに従い第一色見本画像を表示装置30に表示させる。メモリ23に第二生地情報が記憶されているとする。この場合、プロセッサ21は、図4のS16では、第二色見本画像データに従い第二色見本画像を表示装置30に表示させる。
【0100】
画像選択領域53で色見本画像が選択され、生地選択領域で第一生地が選択され、画像表示領域52に第一色見本画像が表示されているとする。この状態で、生地選択領域での選択が第一生地から第二生地に変更されたとする。この場合、プロセッサ21は、第二色見本画像データに従い第二色見本画像を表示装置30に表示させる。表示装置30は、画像表示領域52の表示を第一色見本画像から第二色見本画像へと切り替える。画像選択領域53で色見本画像が選択され、生地選択領域で第二生地が選択され、画像表示領域52に第二色見本画像が表示されているとする。この状態で、生地選択領域での選択が第二生地から第一生地に変更されたとする。この場合、プロセッサ21は、第一色見本画像データに従い第一色見本画像を表示装置30に表示させる。表示装置30は、画像表示領域52の表示を第二色見本画像から第一色見本画像へと切り替える。
【0101】
詳細は省略するが、プロセッサ21は、生成処理では、生地選択領域で選択された生地90に対応する色見本画像データを生成するようにしてもよい。例えば、先ず、生地選択領域で第一生地が選択されるとする。この場合、プロセッサ21は生成処理で第一色見本画像データを生成し、これをメモリ23に記憶させる。その後、生地選択領域での選択が第一生地から第二生地に変更された場合、プロセッサ21は生成処理を実行し、第二色見本画像データを生成し、これをメモリ23に記憶させる。これとは異なり、先ず、生地選択領域で第二生地が選択されるとする。この場合、プロセッサ21は生成処理で第二色見本画像データを生成し、これをメモリ23に記憶させる。その後、生地選択領域での選択が第二生地から第一生地に変更された場合、プロセッサ21は生成処理を実行し、第一色見本画像データを生成し、これをメモリ23に記憶させる。
【0102】
(3)色見本システム10は1台のコンピュータ20を含み、1台のコンピュータ20が色見本処理の全ての処理を実行する(図1,4,5参照)。色見本システムでは、色見本処理を実行するコンピュータは、別体である複数のコンピュータを含むシステムであってもよい。このようなシステムで複数のコンピュータは、通信可能に接続される。例えば、複数のコンピュータは、通信ネットワークを介して通信可能に接続される。複数のコンピュータは、互いに通信しつつ色見本処理を実行する。即ち、前述した複数のコンピュータを含むシステムは、上述したコンピュータ20として機能する。
【0103】
例えば、色見本システムが色見本処理を実行するコンピュータとして2台の第一コンピュータ及び第二コンピュータを含むとする。第一コンピュータは、上述したコンピュータ20と同様、表示装置30及び操作装置31と接続される。2台の第一コンピュータ及び第二コンピュータを例とする変形例の第一態様及び第二態様の色見本処理では、図4のS13は省略してもよい。
【0104】
変形例の第一態様の色見本処理では、第一コンピュータは、色見本処理の対象となる原画像データを識別する識別情報を取得し、識別情報を第二コンピュータに送信する。第二コンピュータは、第一コンピュータから送信された識別情報を受信する。これに伴い、第二コンピュータは識別情報を取得する。続けて、第二コンピュータは、識別情報に対応する原画像データを取得する。第二コンピュータは、原画像データを第一コンピュータに送信する。第一コンピュータは、第二コンピュータから送信された原画像データを受信する。これに伴い、第一コンピュータは原画像データを取得する(図4のS11参照)。
【0105】
次に、第一コンピュータは、上記同様、原画像データに従い原画像を表示装置30に表示させる(図4のS12参照)。表示装置30では、原画像が操作画面50の画像表示領域52に表示される(図2参照)。その後、第一コンピュータは、処理を図4のS15に移行する。
【0106】
第二コンピュータは、原画像データを処理対象として生成処理を実行する(図4のS14参照)。即ち、第二コンピュータは、上記同様、図5のS21~S24の処理を実行し、色見本画像データを第一コンピュータに送信する。その後、第二コンピュータは色見本処理を終了する。
【0107】
第一コンピュータは、第二コンピュータから送信された色見本画像データを受信する。これに伴い、第一コンピュータは、色見本画像データを取得し、これを記憶する(図5のS25参照)。その後、第一コンピュータは、上記同様、図4のS15~S18を実行する。第一コンピュータは、色見本画像情報を取得した場合(図4のS15:Yes参照)、受信済みの色見本画像データに従い色見本画像を表示装置30に表示させる。第一コンピュータでは、色見本画像の表示は上記同様に実行される。第一コンピュータは、上記同様、終了指示の取得に伴い色見本処理を終了する。
【0108】
変形例の第二態様の色見本処理では、第一コンピュータは、色見本処理の対象となる原画像データを識別する識別情報を取得した場合、この識別情報によって識別される原画像データを第二コンピュータに送信してもよい。例えば、第一コンピュータは、この識別情報によって識別される原画像データを取得し(図4のS11参照)、これを第二コンピュータに送信する。
【0109】
次に、第一コンピュータは、上記同様、原画像データに従い原画像を表示装置30に表示させる(図4のS12参照)。表示装置30では、原画像が操作画面50の画像表示領域52に表示される(図2参照)。その後、第一コンピュータは、処理を図4のS15に移行する。第一コンピュータが実行するその後の処理は、変形例の第一態様の色見本処理と同様である。
【0110】
第二コンピュータは、第一コンピュータから送信された原画像データを受信する。これに伴い、第二コンピュータは原画像データを取得する。その後、第二コンピュータは、上記同様、図5のS21~S24の処理を実行し、色見本画像データを第一コンピュータに送信する。その後、第二コンピュータは色見本処理を終了する。第一コンピュータは、変形例の第一態様の色見本処理と同様、第二コンピュータから送信された色見本画像データを受信し、これを取得及び記憶する(図5のS25参照)。
【0111】
第一コンピュータ及び第二コンピュータは、色見本処理に対応可能な点において公知のコンピュータと相違する。但し、第一コンピュータ及び第二コンピュータは、ハードウェア的には公知のコンピュータと同じであってもよい。例えば、第一コンピュータ及び第二コンピュータは、コンピュータ20と同様、プロセッサ、ストレージ及びメモリをそれぞれ備える。更に、第一コンピュータ及び第二コンピュータは、通信装置をそれぞれ備える。第一コンピュータは、通信装置を介して第二コンピュータと通信する。第二コンピュータは、通信装置を介して第一コンピュータと通信する。
【0112】
(4)色見本処理でプロセッサ21は、生成処理を実行する(図4のS14及び図5参照)。色見本処理では、生成処理は省略してもよい。この場合、色見本画像データは、原画像データから滲みテーブルを用いて予め生成される。ストレージ22は、この色見本画像データを記憶する。但し、原画像データと同様、色見本画像データは、ストレージ22とは異なる記憶媒体に記憶されてもよい。この変形例では、色見本画像データは、ストレージ22に記憶されるとする。原画像データ及び色見本画像データは、色見本処理のプログラムに登録される。滲みテーブルは、色見本処理のプログラムに登録されなくてもよい。色見本画像データは、素材となった原画像データに関連付けられる。プロセッサ21は、次の原画像データを取得する。この原画像データは、色見本処理のプログラムに登録された1又は複数の原画像データの中から操作者によって指定される。
【0113】
図4のS16でプロセッサ21は、上記同様、色見本画像データに従い色見本画像を表示装置30に表示させる。但し、プロセッサ21は、図4のS11で取得された原画像データに関連付けられた色見本画像データを処理対象とする。即ち、プロセッサ21は、この色見本画像データをストレージ22から読み出し、これを処理し、色見本画像を生成する。続けて、プロセッサ21は、色見本画像の表示指令を表示装置30に出力する。これに伴い、表示装置30では、上記同様、色見本画像が操作画面50の画像表示領域52に表示される(図3参照)。
【符号の説明】
【0114】
10 色見本システム、 20 コンピュータ、 21 プロセッサ
22 ストレージ、 23 メモリ、 30 表示装置、 31 操作装置
32 タッチパネル、 40 バス、 50 操作画面、 51 終了ボタン
52 画像表示領域、 53 画像選択領域、 70 インクジェット捺染装置
71 搬送機、 72C,72M,72Y,72K インクジェットヘッド
73 キャリッジ、 74C,74M,74Y,74K メインタンク
75C,75M,75Y,75K 供給流路、 76 移動機、 77,78 プーリ
79 タイミングベルト、 80 モータ、 81 ステー、 90 生地
B1,B2 ラジオボタン、 P1 第一部分、 P2 第二部分、 P3 第三部分
R1 第一領域、 R2 第二領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7