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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024106502
(43)【公開日】2024-08-08
(54)【発明の名称】キャスタ
(51)【国際特許分類】
   B60B 33/00 20060101AFI20240801BHJP
【FI】
B60B33/00 V
B60B33/00 501Z
B60B33/00 502D
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023010783
(22)【出願日】2023-01-27
(71)【出願人】
【識別番号】394016874
【氏名又は名称】河淳株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】390003816
【氏名又は名称】株式会社ユーエイ
(74)【代理人】
【識別番号】100080746
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 武嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100217881
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 由美
(72)【発明者】
【氏名】吉次 徹
(72)【発明者】
【氏名】岡田 陽介
(72)【発明者】
【氏名】雄島 耕太
(72)【発明者】
【氏名】小早川 直人
(57)【要約】
【課題】キャスタ本体からブレーキ操作部材等が突出せず、他の物体に不意に干渉することのないキャスタを提供する。
【解決手段】鉛直状一軸心L0 に沿って上下動する作動ピン10と、この作動ピン10の下端に固着した制動部材12を、備え、この作動ピン10の下動によって、車輪回転制動機能と、旋回ロック機能とを、発揮する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車輪(1)と、該車輪(1)を水平軸心(L1 )廻りに回転自在に枢着したフォーク形キャスタ本体(2)と、該キャスタ本体(2)の天井壁部(4)を鉛直状一軸心(L0 )廻りに回転自在に受持すると共に台車に固着される取付台盤(3)とを、備えたキャスタに於て、
上記鉛直状一軸心(L0 )に沿って、上下動自在に挿通した作動ピン(10)を、設け、
上記取付台盤(3)とキャスタ本体(2)の上記鉛直状一軸心(L0 )廻りの相対的回転を、上記作動ピン(10)の下降作動によって、阻止する旋回ロック手段(S)を、具備したことを、
特徴とするキャスタ。
【請求項2】
車輪(1)と、該車輪(1)を水平軸心(L1 )廻りに回転自在に枢着したフォーク形キャスタ本体(2)と、該キャスタ本体(2)の天井壁部(4)を鉛直状一軸心(L0 )廻りに回転自在に受持すると共に台車に固着される取付台盤(3)とを、備えたキャスタに於て、
上記鉛直状一軸心(L0 )に沿って、上下動自在に挿通した作動ピン(10)を、設け、
多数の小凸部(21)又は小凹部(23)を外周に有すると共に上記車輪(1)の一側面又は両側面に固設された被制動用円板(20)と、上記作動ピン(10)の下端に固着されると共に上記小凸部(21)又は小凹部(23)に対して係合自在な小雌部(17)又は小雄部を有する制動部材(12)と、を有する車輪回転制動手段(M)を、具備し、
さらに、上記取付台盤(3)とキャスタ本体(2)の上記鉛直状一軸心(L0 )廻りの相対的回転を、上記作動ピン(10)の下降作動によって、阻止する旋回ロック手段(S)を、具備したことを、
特徴とするキャスタ。
【請求項3】
車輪(1)と、該車輪(1)を水平軸心(L1 )廻りに回転自在に枢着したフォーク形キャスタ本体(2)と、該キャスタ本体(2)の天井壁部(4)を鉛直状一軸心(L0 )廻りに回転自在に受持すると共に台車に固着される取付台盤(3)とを、備えたキャスタに於て、
上記鉛直状一軸心(L0 )に沿って、上下動自在として挿通されると共に、上記キャスタ本体(2)と一体状に上記鉛直状一軸心(L0 )廻りに回転自在な作動ピン(10)を、有し、
さらに、多数の小凸部(21)又は小凹部(23)を外周に有する被制動用円板(20)を、上記車輪(1)の一側面又は両側面に固設し、
上記被制動用円板(20)の上記小凸部(21)又は小凹部(23)に対して係合自在な小雌部(17)又は小雄部を有する制動部材(12)を、上記作動ピン(10)の下端に固着し、
上記作動ピン(10)に対して下方向に外力(F10)を付与すると、上記作動ピン(10)
と制動部材(12)が下方へ移動して、上記小雌部(17)又は小雄部が、上記被制動用円板(20)の上記小凸部(21)又は小凹部(23)に係合して、車輪(1)の回転制動状態となるように構成したことを、
特徴とするキャスタ。
【請求項4】
車輪(1)と、該車輪(1)を水平軸心(L1 )廻りに回転自在に枢着したフォーク形キャスタ本体(2)と、該キャスタ本体(2)の天井壁部(4)を鉛直状一軸心(L0 )廻りに回転自在に受持すると共に台車に固着される取付台盤(3)とを、備えたキャスタに於て、
上記鉛直状一軸心(L0 )に沿って、上下動自在として挿通されると共に、上記キャスタ本体(2)と一体状に上記鉛直状一軸心(L0 )廻りに回転自在な作動ピン(10)を、有し、
さらに、多数の小凸部(21)又は小凹部(23)を外周に有する被制動用円板(20)を、上記車輪(1)の一側面又は両側面に固設し、
上記被制動用円板(20)の上記小凸部(21)又は小凹部(23)に対して係合自在な小雌部(17)又は小雄部を有する制動部材(12)を、上記作動ピン(10)の下端に固着し、
さらに、上記制動部材(12)を常時下方向に弾発付勢して車輪(1)の回転制動状態を保つコイルスプリング(29)を付設し、
上記作動ピン(10)に対して上方向に外力(F20)を付与すると、上記作動ピン(10)
と制動部材(12)が上方へ移動して、上記小雌部(17)又は小雄部が、上記被制動用円板(20)の上記小凸部(21)又は小凹部(23)から離脱して、車輪(1)の回転可動状態となるように構成したことを、
特徴とするキャスタ。
【請求項5】
上記作動ピン(10)の下端に固着された制動部材(12)には、左右水平方向に貫孔(5)が形成されると共に、上記キャスタ本体(2)には、上下方向に長い長孔(6)(6)が貫設され、ストッパ軸(8)を、上記長孔(6)(6)と上記貫孔(5)(5)に串挿状として挿通し、
作動ピン(10)とキャスタ本体(2)は、上記鉛直状一軸心(L0 )廻りに、常に、一体状に回転するよう構成した請求項2,3又は4記載のキャスタ。
【請求項6】
上記作動ピン(10)の下端に固着された制動部材(12)には、上下方向に長い長孔が左右水平方向に貫設されると共に、上記キャスタ本体(2)には、左右水平方向に貫孔が形成され、ストッパ軸(8)を、上記長孔と上記貫孔に串挿状として挿通し、
作動ピン(10)とキャスタ本体(2)は、上記鉛直状一軸心(L0 )廻りに、常に、一体状に回転するよう構成した請求項2,3又は4記載のキャスタ。
【請求項7】
取付台盤(3)は大径の中心孔部(31)を有し、該中心孔部(31)の上方拡径状テーパ内周面(32)には、旋回止め突起部(34)が周方向に複数個所定ピッチで配設され、
上記作動ピン(10)には、廻り止め機構(Y)を介してかつ上下動可能に旋回止め皿(35)が外嵌され、しかも、該旋回止め皿(35)は上記旋回止め突起部(34)に対して噛合可能な小凹部(36)を周方向に複数個配設され、
さらに、上記作動ピン(10)の上端には、上記旋回止め皿(35)を下方へ弾発付勢する円錐バネ(27)又はコイルバネが外嵌状に付設され、
上記旋回ロック手段(S)は、上記旋回止め突起部(34)と、上記旋回止め皿(35)と、上記円錐バネ(27)又はコイルバネとを、具備している請求項1,2,3又は4記載のキャスタ。
【請求項8】
取付台盤(3)は大径の中心孔部(31)を有し、該中心孔部(31)の上方拡径状テーパ内周面(32)には、旋回止め小凹部が周方向に複数個所定ピッチで配設され、
上記作動ピン(10)には、廻り止め機構(Y)を介してかつ上下動可能に旋回止め皿(35)が外嵌され、しかも、該旋回止め皿(35)は上記旋回止め小凹部に対して噛合可能な突起部を周方向に複数個配設され、
さらに、上記作動ピン(10)の上端には、上記旋回止め皿(35)を下方へ弾発付勢する円錐バネ(27)又はコイルバネが外嵌状に付設され、
上記旋回ロック手段(S)は、上記旋回止め小凹部と、上記旋回止め皿(35)の上記突起部と、上記円錐バネ(27)又はコイルバネとを、具備している請求項1,2,3又は4記載のキャスタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャスタに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、車輪にブレーキを掛ける回転制動機能、及び、鉛直状軸心廻りに旋回自在なフォーク形キャスタ本体を所望の進行方向に設定するための旋回ロック機能の、両機能を備えたキャスタが公知である。
また、回転制動機能のみを有するキャスタ(特許文献1参照)や、旋回ロック機能のみを有するキャスタ(特許文献2参照)も、知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-6703号公報
【特許文献2】登録実用新案第3014588号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、車輪の回転制動機能の構成部品としてブレーキ操作レバーは、フォーク形キャスタ本体の側面に突出状に、付設されていた(特許文献1参照)。
さらに、旋回ロック機能の一構成部品として旋回規制レバーは、フォーク形キャスタ本体の前後一方向に突出状に、付設されていた(特許文献2参照)。
【0005】
しかし、従来のこのようなキャスタにあっては、下記のような欠点があった。
即ち、
(i)ブレーキ操作レバーや旋回規制レバーが、キャスタ本体から側方又は前後方向に突出していたので、他の物体に不意に干渉して切り替わる場合がある点、
(ii)ブレーキ操作レバーや旋回規制レバーは、キャスタ本体の左右回動に伴って、旋回してしまって、そのレバー位置をさぐりだす手間が掛かり、不便である点、
(iii) 台車には、ブレーキ操作レバー付キャスタと旋回規制レバー付キャスタを、各々、複数ずつ、配設することがあるが、手又は足によっての全部のレバー切替えが面倒であり、レバー切替えに時間と手間が掛かっていた点。
【0006】
そこで、本発明は、このような欠点(i)(ii)(iii)を解決することを、目的とする。
さらに、上記欠点(iii)を解決するにとどまらず、台車に設けた車輪の内で、車輪の回転制動機能及び旋回ロック機能を有する全てのキャスタを、単数の簡易な統一制御系によって、確実に、切替えコントロールすることを実現可能とすることを、別の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るキャスタは、車輪と、該車輪を水平軸心廻りに回転自在に枢着したフォーク形キャスタ本体と、該キャスタ本体の天井壁部を鉛直状一軸心廻りに回転自在に受持すると共に台車に固着される取付台盤とを、備えたキャスタに於て;上記鉛直状一軸心に沿って、上下動自在に挿通した作動ピンを、設け;上記取付台盤とキャスタ本体の上記鉛直状一軸心廻りの相対的回転を、上記作動ピンの下降作動によって、阻止する旋回ロック手段を、具備している。
【0008】
また、本発明に係るキャスタは、車輪と、該車輪を水平軸心廻りに回転自在に枢着したフォーク形キャスタ本体と、該キャスタ本体の天井壁部を鉛直状一軸心廻りに回転自在に受持すると共に台車に固着される取付台盤とを、備えたキャスタに於て;上記鉛直状一軸心に沿って、上下動自在に挿通した作動ピンを、設け;多数の小凸部又は小凹部を外周に有すると共に上記車輪の一側面又は両側面に固設された被制動用円板と、上記作動ピンの下端に固着されると共に上記小凸部又は小凹部に対して係合自在な小雌部又は小雄部を有する制動部材と、を有する車輪回転制動手段を、具備し;さらに、上記取付台盤とキャスタ本体の上記鉛直状一軸心廻りの相対的回転を、上記作動ピンの下降作動によって、阻止する旋回ロック手段を、具備している。
【0009】
また、本発明に係るキャスタは、車輪と、該車輪を水平軸心廻りに回転自在に枢着したフォーク形キャスタ本体と、該キャスタ本体の天井壁部を鉛直状一軸心廻りに回転自在に受持すると共に台車に固着される取付台盤とを、備えたキャスタに於て;上記鉛直状一軸心に沿って、上下動自在として挿通されると共に、上記キャスタ本体と一体状に上記鉛直状一軸心廻りに回転自在な作動ピンを、有し;さらに、多数の小凸部又は小凹部を外周に有する被制動用円板を、上記車輪の一側面又は両側面に固設し;上記被制動用円板の上記小凸部又は小凹部に対して係合自在な小雌部又は小雄部を有する制動部材を、上記作動ピンの下端に固着し;上記作動ピンに対して下方向に外力を付与すると、上記作動ピンと制動部材が下方へ移動して、上記小雌部又は小雄部が、上記被制動用円板の上記小凸部又は小凹部に係合して、車輪の回転制動状態となるように構成している。
【0010】
また、車輪と、該車輪を水平軸心廻りに回転自在に枢着したフォーク形キャスタ本体と、該キャスタ本体の天井壁部を鉛直状一軸心廻りに回転自在に受持すると共に台車に固着される取付台盤とを、備えたキャスタに於て;上記鉛直状一軸心に沿って、上下動自在として挿通されると共に、上記キャスタ本体と一体状に上記鉛直状一軸心廻りに回転自在な作動ピンを、有し;さらに、多数の小凸部又は小凹部を外周に有する被制動用円板を、上記車輪の一側面又は両側面に固設し;上記被制動用円板の上記小凸部又は小凹部に対して係合自在な小雌部又は小雄部を有する制動部材を、上記作動ピンの下端に固着し;さらに、上記制動部材を常時下方向に弾発付勢して車輪の回転制動状態を保つコイルスプリングを付設し;上記作動ピンに対して上方向に外力を付与すると、上記作動ピンと制動部材が上方へ移動して、上記小雌部又は小雄部が、上記被制動用円板の上記小凸部又は小凹部から離脱して、車輪の回転可動状態となるように構成した。
【0011】
また、上記作動ピンの下端に固着された制動部材には、左右水平方向に貫孔が形成されると共に、上記キャスタ本体には、上下方向に長い長孔が貫設され、ストッパ軸を、上記長孔と上記貫孔に串挿状として挿通し;作動ピンとキャスタ本体は、上記鉛直状一軸心廻りに、常に、一体状に回転するよう構成した。
また、上記作動ピンの下端に固着された制動部材には、上下方向に長い長孔が、左右水平方向に貫設されると共に、上記キャスタ本体には、左右水平方向に貫孔が形成され、ストッパ軸を、上記長孔と上記貫孔に串挿状として挿通し;作動ピンとキャスタ本体は、上記鉛直状一軸心廻りに、常に、一体状に回転するよう構成した。
【0012】
また、取付台盤は大径の中心孔部を有し、該中心孔部の上方拡径状テーパ内周面には、旋回止め突起部が周方向に複数個所定ピッチで配設され;上記作動ピンには、廻り止め機構を介してかつ上下動可能に旋回止め皿が外嵌され、しかも、該旋回止め皿は上記旋回止め突起部に対して噛合可能な小凹部を周方向に複数個配設され;さらに、上記作動ピンの上端には、上記旋回止め皿を下方へ弾発付勢する円錐バネ又はコイルバネが外嵌状に付設され;上記旋回ロック手段は、上記旋回止め突起部と、上記旋回止め皿と、上記円錐バネ又はコイルバネとを、具備している。
また、取付台盤は大径の中心孔部を有し、該中心孔部の上方拡径状テーパ内周面には、旋回止め小凹部が周方向に複数個所定ピッチで配設され;上記作動ピンには、廻り止め機構を介してかつ上下動可能に旋回止め皿が外嵌され、しかも、該旋回止め皿は上記旋回止め小凹部に対して噛合可能な突起部を周方向に複数個配設され;さらに、上記作動ピンの上端には、上記旋回止め皿を下方へ弾発付勢する円錐バネ又はコイルバネが外嵌状に付設され;上記旋回ロック手段は、上記旋回止め小凹部と、上記旋回止め皿の上記突起部と、上記円錐バネ又はコイルバネとを、具備している。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、作動ピンは他の物体に不意に干渉しにくい箇所に存在し、誤動作を発生しない。また、キャスタ本体の左右回動によっても、作動ピンの軸心は不動(一定の位置)を保ち、作動ピンの上部に対して、上方(又は下方)への外力(ベクトル)を付与させれば、迅速、かつ、確実に、車輪の回転制動及び旋回ロックを、行い得る。しかも、小凸部と小雌部の係合、又は、小凹部と小雄部の係合によって、強力かつ確実な車輪回転制動力を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施の一形態を示す斜視図である。
図2】作動ピンを押下げた状態を示す斜視図である。
図3図1に対応する図であって、一部断面側面図である。
図4図2に対応する図であって、一部断面側面図である。
図5】分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図示の実施の形態に基づいて本発明を詳説する。
図1図5に示す本発明の実施の一形態に於て、1は車輪であり、(車軸38の)水平軸心L1 廻りに回転自在として、フォーク形キャスタ本体2に枢着されている。
3は、キャスタ本体2の天井壁部4を、鉛直状一軸心L0 廻りに回転自在に受持する取付台盤である。
この取付台盤3は、(図示省略した)台車に固着される。
【0016】
10は、上記鉛直状一軸心L0 に沿って、上下動自在に挿通された作動ピンである。この作動ピン10の下端には、制動部材12が、固着されている。制動部材12は、例えば、平行な2辺を有する貫孔13を天井壁部14に有する。
上記作動ピン10の下端には、上記貫孔13に挿入される横断面形状が貫孔13の形状に略一致した挿入部を有する。
この挿入部を上記貫孔13に挿入して、溶接又はカシメ等の手段にて、作動ピン10と制動部材12とを、一体化する。即ち、制動部材12は作動ピン10の下端に、固着されて、常に一体に作動する。
【0017】
そして、20は被制動用円板であり、多数の小凸部21を外周に有すると共に、車輪1の一側面に固設される。例えば、図5に示すように、ボルト等の締結部材22によって、車輪1の一側面に円板20が固設される。
制動部材12は、天井壁部14と、天井壁部14から垂設された(前方側の)左右一対の垂下片15,15と、天井壁部14の右辺から垂設されたL字型後方垂下片16とを、有する。
【0018】
そして、L字型後方垂下片16には下方から見上げて矩形状の小雌部17が凹設(貫設)されている。制動部材12の小雌部17は、被制動用円板20の外周の小凸部21に係合自在である。つまり、作動ピン10が、図3から図4のように下方へ移動すれば、小凸部21に対して、小雌部17が外嵌状に係合する。この係合によって、円板20の水平軸心廻りの回転が阻止される。円板20は車輪1の側方に固着されているので、当然に、車輪1の回転を阻止する。
言い換えれば、本発明では、多数の小凸部21を外周に有する被制動用円板20と、作動ピン10の下端に固着された小雌部17を有する制動部材12とをもって、車輪回転制動手段Mを、具備する。
【0019】
ところで、被制動用円板20には、小凸部21,21の間に小凹部23が形成されていると、見ることもできる。
従って、制動部材12のL字型後方垂下片16における矩形の窓形の小雌部17を省略して、代りにこの垂下片16に単数又は複数個の小凸部を形成して、上記円板20の小凹部23に対して係合自在な小雄部を形成するも、自由である(図示省略)。
【0020】
言い換えれば、多数の小凹部23を外周に有する被制動用円板20と、作動ピン10の下端に固着された制動部材12の小雄部とをもって、車輪回転制動手段Mとするも、望ましい。
そして、本発明は、上記取付台盤3とキャスタ本体2の上記鉛直状一軸心L0 廻りの相対的回転を、上記作動ピン10の下降作動によって、阻止する旋回ロック手段Sを、具備している(詳しくは後述する)。
【0021】
また、本発明を別の観点から繰返し説明すれば、次のようになる。即ち、多数の小凸部21又は小凹部23を外周に有する被制動用円板20を、上記車輪1の一側面に固設し、上記被制動用円板20の上記小凸部21又は小凹部23に対して係合自在な小雌部17又は小雄部を有する制動部材12を、上記作動ピン10の下端に固着する。
そして、上記作動ピン10に対して下方向に外力F10を付与すると、上記作動ピン10と制動部材12が下方へ移動して、上記小雌部17又は小雄部が、上記被制動用円板20の上記小凸部21又は小凹部23に係合して、車輪1の回転制動状態となる。
【0022】
また、上記制動部材12には、左右水平方向の貫孔5が形成されている。他方、キャスタ本体2の両脚片には、上下方向に長い長孔6,6が貫設されている。
8はストッパ軸である。このストッパ軸8を、上記長孔6,6と貫孔5,5に串挿状に挿通する。即ち、ストッパ軸8を長孔6と貫孔5を挿通させることによって、キャスタ本体2と、制動部材12とは、常に一体状に、鉛直状一軸心L0 廻りに回転する。
【0023】
ところで、作動ピン10の下端を、制動部材12の貫孔13に挿入し、溶接等によって、一体に連結される。しかも、作動ピン10の下端10Aの断面形状と、貫孔13の形状を、嵌合状態下では非回転となる形状として、小判型や長円型や角型とするのが望ましい。
このようにして、作動ピン10と制動部材12とは、鉛直状一軸心L0 廻りに、常に、一体状に回転するように、連結されている。
【0024】
次に、取付台盤3は、大径の中心孔部31を有する。この中心孔部31は、図3図5に示すように、上方拡径状テーパ内周面32を上部に有すると共に、下部には外鍔付きブッシュ33が固着されている。29は押し下げ用弾発力を発揮するコイルスプリングである。(このコイルスプリング29の押し下げ方向の弾発力の大小(強弱)の設定に関しては、後述する。)
そして、取付台盤3に於て、大径の中心孔部31の上方拡径状テーパ内周面32には、旋回止め突起部34が周方向に複数個所定ピッチで配設されている。
【0025】
他方、作動ピン10には、廻り止め機構Yを介して、上下動可能に旋回止め皿35が外嵌されている。上記廻り止め機構Yとは、旋回止め皿35の平行2辺を有する長円形状孔26と、作動ピン10の上下所定長さの平行2面を削除した長円形状軸部10Bと、から成る場合を例示する(図5参照)。
そして、旋回止め皿35は、前記突起部34に対して噛合可能な小凹部36を周方向に複数個有している。
【0026】
また、作動ピン10の上端には、上記旋回止め皿35を下方へ弾発付勢する円錐バネ27(又は図示省略のコイルバネ)を、外嵌状に付設している。
28は、止めワッシャであって、作動ピン10の上端の外周面に弾発的に圧接係止する内爪片を複数有する。上記円錐バネ27(又は、コイルバネ)の上端を、このワッシャ28にて受持している。
そして、旋回ロック手段Sは、上記旋回止め突起部34と、旋回止め皿35と、上記円錐バネ27(又はコイルバネ)とを、備えている。
【0027】
ところで、図1図5に示したように、被制動用円板20を(側方)外面側から被覆する略円形板状のカバー40を、付設する。
このカバー40によって、被制動用円板20の小凸部21等が他の物体に当ることを防止できると共に、人の足首等の怪我も防ぎ得る。
図3から図4のように、作動ピン10が下方へ移動すれば、旋回ロック手段Sは旋回ロック状態となる。
さらに、旋回ロック手段Sには、制動部材12を下方へ弾発付勢するコイルスプリング29を付設されている。
【0028】
このコイルスプリング29の押し下げ方向の弾発力を弱く(小さく)設定した場合(第1の実施例と呼ぶ)、作動ピン10の上端部10Pを押下げる(図2図4の矢印F10参照)ことにより、作動ピン10を下降作動させて旋回ロック手段Sをロック状態とすることができる。
または、このコイルスプリング29の押し下げ方向の弾発力を強く(大きく)設定した場合(第2の実施例と呼ぶ)、コイルスプリング29の強い弾発力によって、作動ピン10は常時下降状態となって、(上述の)旋回ロック手段Sは、(非回転を保つ)ロック状態となっている。
このロック状態における作動ピン10の上端部(鍔部)を引掛け状等として、引き上げる(図2図4の矢印F20参照)ことにより、作動ピン10を上昇作動させて、旋回ロック手段Sを非ロック状態とすることができる。
【0029】
なお、本発明は、上述の図示の実施形態に限定されず、以下のように設計変更することも自由である。即ち、被制動用円板20を、車輪1の(左右の)両側面に固設することも、望ましい。制動部材12が制動作動状態下で左右のバランスがとれる等の効果が発揮される。また、コイルスプリング29を省略しても良い場合もある。即ち、作動ピン10がその自重によって下方へ移動するようにして、コイルスプリング29を省略する。
【0030】
本発明は、以上詳述したように、車輪1と、該車輪1を水平軸心L1 廻りに回転自在に枢着したフォーク形キャスタ本体2と、該キャスタ本体2の天井壁部4を鉛直状一軸心L0 廻りに回転自在に受持すると共に台車に固着される取付台盤3とを、備えたキャスタに於て;上記鉛直状一軸心L0 に沿って、上下動自在に挿通した作動ピン10を、設け;上記取付台盤3とキャスタ本体2の上記鉛直状一軸心L0 廻りの相対的回転を、上記作動ピン10の下降作動によって、阻止する旋回ロック手段Sを、具備しているので、構造が簡素化でき、外形もシンプルとなって、作動ピン10は、キャスタ本体2から、側方や前後方向に全く突出せず、誤動作することも防止できる。さらに、キャスタ本体2が左右に旋回した際にも、作動ピン10の軸心L0 は移動せず、従って、上下方向への動きはスムーズに行われる。
【0031】
また、本発明は、車輪1と、該車輪1を水平軸心L1 廻りに回転自在に枢着したフォーク形キャスタ本体2と、該キャスタ本体2の天井壁部4を鉛直状一軸心L0 廻りに回転自在に受持すると共に台車に固着される取付台盤3とを、備えたキャスタに於て;上記鉛直状一軸心L0 に沿って、上下動自在に挿通した作動ピン10を、設け;多数の小凸部21又は小凹部23を外周に有すると共に上記車輪1の一側面又は両側面に固設された被制動用円板20と、上記作動ピン10の下端に固着されると共に上記小凸部21又は小凹部23に対して係合自在な小雌部17又は小雄部を有する制動部材12と、を有する車輪回転制動手段Mを、具備し;さらに、上記取付台盤3とキャスタ本体2の上記鉛直状一軸心L0 廻りの相対的回転を、上記作動ピン10の下降作動によって、阻止する旋回ロック手段Sを、具備しているので、全体の構造と外形がシンプルなものとなり、作動ピン10は、キャスタ本体2から、側方や前後方向へ突出せず、他の物体に不意に干渉せず、従って、誤動作することを防止できる。さらに、キャスタ本体2が左右に旋回した際にも、作動ピン10の軸心L0 は移動せず、図2図4に示した矢印F10又はF20のように、作動ピン10を上方外部から確実かつ容易に操作できる。
【0032】
また、被制動用円板20と制動部材12とは、小凸部21と小雌部17との係合、又は、小凹部23と小雄部との係合によって、確実かつ強力な制動状態が維持できる。そして、車輪1の回転制動と、旋回ロック手段Sによる車輪1の旋回ロックとを、共通の部材―――作動ピン10―――をもって、同時に行うことが可能となり、構造が一層シンプルとなる。
さらに、車輪回転制動手段Mと旋回ロック手段Sとは、共通の一本の作動ピン10にて制御されるので、作動ピン10の上部を単数のコントロール制御系にて、切替えて、簡単・容易に制御することができる。
【0033】
また、本発明は、車輪1と、該車輪1を水平軸心L1 廻りに回転自在に枢着したフォーク形キャスタ本体2と、該キャスタ本体2の天井壁部4を鉛直状一軸心L0 廻りに回転自在に受持すると共に台車に固着される取付台盤3とを、備えたキャスタに於て;上記鉛直状一軸心L0 に沿って、上下動自在として挿通されると共に、上記キャスタ本体2と一体状に上記鉛直状一軸心L0 廻りに回転自在な作動ピン10を、有し;さらに、多数の小凸部21又は小凹部23を外周に有する被制動用円板20を、上記車輪1の一側面又は両側面に固設し;上記被制動用円板20の上記小凸部21又は小凹部23に対して係合自在な小雌部17又は小雄部を有する制動部材12を、上記作動ピン10の下端に固着し;上記作動ピン10に対して下方向に外力F10を付与すると、上記作動ピン10と制動部材12が下方へ移動して、上記小雌部17又は小雄部が、上記被制動用円板20の上記小凸部21又は小凹部23に係合して、車輪1の回転制動状態となるように構成したので、全体の構造と外形がシンプルなものとなり、作動ピン10は側方や前後方向へ突出せず、他の物体に干渉したりすることが防止されて、誤動作することもなくなる。かつ、キャスタ本体2が左右に旋回した際にも、作動ピン10の軸心L0 は移動しないので、作動ピン10の外部からの操作は、作動ピン10の上端部10Pを、図2図4の矢印F10のように、押圧して、簡単・確実に行い得る。
【0034】
また、車輪1と、該車輪1を水平軸心L1 廻りに回転自在に枢着したフォーク形キャスタ本体2と、該キャスタ本体2の天井壁部4を鉛直状一軸心L0 廻りに回転自在に受持すると共に台車に固着される取付台盤3とを、備えたキャスタに於て;上記鉛直状一軸心L0 に沿って、上下動自在として挿通されると共に、上記キャスタ本体2と一体状に上記鉛直状一軸心L0 廻りに回転自在な作動ピン10を、有し;さらに、多数の小凸部21又は小凹部23を外周に有する被制動用円板20を、上記車輪1の一側面又は両側面に固設し;上記被制動用円板20の上記小凸部21又は小凹部23に対して係合自在な小雌部17又は小雄部を有する制動部材12を、上記作動ピン10の下端に固着し;さらに、上記制動部材12を常時下方向に弾発付勢して車輪1の回転制動状態を保つコイルスプリング29を付設し;上記作動ピン10に対して上方向に外力F20を付与すると、上記作動ピン10と制動部材12が上方へ移動して、上記小雌部17又は小雄部が、上記被制動用円板20の上記小凸部21又は小凹部23から離脱して、車輪1の回転可動状態となるように構成したので、全体の構造と外形がシンプルなものとなる。また、作動ピン10は側方や前後方向へ突出せず、他の物体に干渉したりすることが防止されて、誤動作することもなくなる。かつ、キャスタ本体2が左右に旋回した際にも、作動ピン10の軸心L0 は移動しないので、作動ピン10の外部からの操作は、作動ピン10を、図2図4の矢印F10,F20の如く、作動させることによって、簡単かつ確実に行うことができる。
【0035】
また、上記作動ピン10の下端に固着された制動部材12には、左右水平方向に貫孔5が形成されると共に、上記キャスタ本体2には、上下方向に長い長孔6,6が貫設され、ストッパ軸8を、上記長孔6,6と上記貫孔5,5に串挿状として挿通し;作動ピン10とキャスタ本体2は、上記鉛直状一軸心L0 廻りに、常に、一体状に回転するよう構成したので、制動部材12は板金等にて比較的大きいので、貫孔5を形成し易く、作動ピン10への貫孔の形成を省略できて、作動ピン10を小径とすることが可能となる。
【0036】
また、上記作動ピン10の下端に固着された制動部材12には、上下方向に長い長孔が左右水平方向に貫設されると共に、上記キャスタ本体2には、左右水平方向に貫孔が形成され、ストッパ軸8を、上記長孔と上記貫孔に串挿状として挿通し;作動ピン10とキャスタ本体2は、上記鉛直状一軸心L0 廻りに、常に、一体状に回転するよう構成したので、制動部材12は板金等にて比較的大きいので、上下方向に長い長孔を形成し易い。そして、作動ピン10への貫孔の形成が不要となり、作動ピン10を小径とすることが可能となる。
【0037】
また、取付台盤3は大径の中心孔部31を有し、該中心孔部31の上方拡径状テーパ内周面32には、旋回止め突起部34が周方向に複数個所定ピッチで配設され;上記作動ピン10には、廻り止め機構Yを介してかつ上下動可能に旋回止め皿35が外嵌され、しかも、該旋回止め皿35は上記旋回止め突起部34に対して噛合可能な小凹部36を周方向に複数個配設され;さらに、上記作動ピン10の上端には、上記旋回止め皿35を下方へ弾発付勢する円錐バネ27又はコイルバネが外嵌状に付設され;上記旋回ロック手段Sは、上記旋回止め突起部34と、上記旋回止め皿35と、上記円錐バネ27又はコイルバネとを、具備しているので、車輪1の旋回方向がどちらを向いていても、作動ピン10の下方への移動によって、突起部34と小凹部36との噛合により、簡単かつ確実に、旋回を止めることができる。また、作動ピン10を上方へ移動すれば、突起部34と小凹部36の係合状態がスムーズに解除できる。即ち、軸心L0 廻りに自由に旋回可能となる。
【0038】
また、取付台盤3は大径の中心孔部31を有し、該中心孔部31の上方拡径状テーパ内周面32には、旋回止め小凹部が周方向に複数個所定ピッチで配設され;上記作動ピン10には、廻り止め機構Yを介してかつ上下動可能に旋回止め皿35が外嵌され、しかも、該旋回止め皿35は上記旋回止め小凹部に対して噛合可能な突起部を周方向に複数個配設され;さらに、上記作動ピン10の上端には、上記旋回止め皿35を下方へ弾発付勢する円錐バネ27又はコイルバネが外嵌状に付設され;上記旋回ロック手段Sは、上記旋回止め小凹部と、上記旋回止め皿35の上記突起部と、上記円錐バネ27又はコイルバネとを、具備しているので、車輪1の旋回方向がどちらを向いていても、作動ピン10の下方への移動によって、突起部と小凹部との噛合により、簡単かつ確実に、旋回を止めることができる。また、作動ピン10を上方へ移動すれば、突起部と小凹部の係合状態がスムーズに解除できる。即ち、軸心L0 廻りに自由に旋回可能となる。
【符号の説明】
【0039】
1 車輪
2 キャスタ本体
3 取付台盤
4 天井壁部
5 貫孔
6 長孔
8 ストッパ軸
10 作動ピン
12 制動部材
17 小雌部
20 被制動用円板
21 小凸部
23 小凹部
27 円錐バネ
31 中心孔部
32 テーパ内周面
34 突起部
35 旋回止め皿
36 小凹部
10 外力
0 鉛直状一軸心
1 水平軸心
車輪回転制動手段
旋回ロック手段
Y 廻り止め機構
図1
図2
図3
図4
図5