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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024106506
(43)【公開日】2024-08-08
(54)【発明の名称】印刷装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20240801BHJP
【FI】
B41J2/01 125
B41J2/01 305
B41J2/01 401
B41J2/01 451
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023010789
(22)【出願日】2023-01-27
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】濱田 展光
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EB13
2C056EB36
2C056EC14
2C056EC37
2C056FA10
2C056HA47
2C056KD10
(57)【要約】
【課題】搬送される媒体の先端が、搬送経路から離脱して浮いてしまう場合がある。
【解決手段】ロールから媒体を繰り出す繰出部と、繰り出された媒体を搬送経路に沿って搬送する搬送部と、繰出部より搬送経路の下流で搬送経路に対向し、液体を吐出することによって媒体に印刷を行う印刷部と、印刷部より搬送経路の下流に位置し、媒体に向けて送風する送風部と、送風部による送風を制御する制御部と、を備え、送風部は、気流を発生させるファンと、ファンを収容するケースとを備え、ケースは、搬送経路に向かって開口する送風口を有し、制御部は、印刷部が媒体への印刷を開始し、且つ媒体の先端が、送風口からの送風の向きに見て送風口に重なる重畳領域に到達した後に、ファンの駆動を開始させる、印刷装置。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体が巻かれたロールから前記媒体を繰り出す繰出部と、
前記繰出部から繰り出された前記媒体を搬送経路に沿って搬送する搬送部と、
前記繰出部より前記搬送経路の下流で前記搬送経路に対向し、前記媒体に向けて液体を吐出することによって前記媒体に印刷を行う印刷部と、
前記印刷部より前記搬送経路の下流に位置し、前記媒体に向けて送風する送風部と、
前記送風部による送風を制御する制御部と、を備え、
前記送風部は、気流を発生させるファンと、前記ファンを収容するケースとを備え、
前記ケースは、前記搬送経路に向かって開口する送風口を有し、
前記制御部は、前記印刷部が前記媒体への印刷を開始し、且つ前記繰出部から繰り出された前記媒体の先端が、前記送風口からの送風の向きに見て前記送風口に重なる重畳領域に到達した後に、前記ファンの駆動を開始させる、
印刷装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記印刷部による前記印刷の開始後に、前記媒体のうち前記印刷が行われた印刷領域が前記重畳領域に到達したと判断したことに基づいて、前記ファンの駆動を開始させる、
請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記印刷部より前記搬送経路の下流で前記媒体を巻き取る巻取部をさらに備え、
前記媒体が前記巻取部に巻き取られていない状態で印刷が開始される場合に、前記制御部は、前記印刷部による前記印刷の開始後に、前記印刷領域が前記重畳領域に到達したと判断したことに基づいて、前記ファンの駆動を開始させ、
前記媒体が前記巻取部に巻き取られている状態で印刷が開始される場合に、前記制御部は、前記印刷部による前記印刷が開始したときに前記ファンの駆動を開始させる、
請求項2に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記搬送部は、前記搬送経路を挟んで互いに反対側に位置する第1ローラーと第2ローラーとを有し、
前記第1ローラー及び前記第2ローラーは、前記繰出部と前記印刷部との間に位置し、前記第1ローラー及び前記第2ローラーの間に前記媒体を挟持した状態で回転することによって前記媒体を搬送し、
前記第1ローラー及び前記第2ローラーによる前記媒体の挟持が解除された状態から前記媒体を挟持した状態に変化した後に前記印刷が開始される場合に、前記制御部は、前記印刷部が前記印刷を開始し、且つ前記媒体の前記先端が前記重畳領域に到達した後に、前記ファンの駆動を開始させ、
前記第1ローラー及び前記第2ローラーによる前記媒体の挟持が解除された状態から前記媒体を挟持した状態に変化することなく前記印刷が開始される場合に、前記制御部は、前記印刷部による前記印刷が開始したときに前記ファンの駆動を開始させる、
請求項1に記載の印刷装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記印刷部による前記印刷が開始されたときからの前記媒体の搬送量に基づいて、前記印刷領域が前記重畳領域に到達したと判断する、
請求項2に記載の印刷装置。
【請求項6】
前記印刷部による前記印刷が終了した後に前記印刷領域が前記重畳領域を通過した後に、前記制御部は、前記ファンの駆動を停止させる、
請求項2に記載の印刷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、媒体に吐出されたインクを乾燥させるための送風装置を備えた印刷装置を開示する。送風装置は、搬送経路に沿って搬送される媒体に向けて送風する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-215428号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された印刷装置では、送風装置に起因する気流によって媒体の先端が搬送経路から浮いてしまうことがある。媒体の先端が浮いてしまうと、媒体が正常に搬送されなくなる事態が生じ得る。
【課題を解決するための手段】
【0005】
媒体が巻かれたロールから前記媒体を繰り出す繰出部と、前記繰出部から繰り出された前記媒体を搬送経路に沿って搬送する搬送部と、前記繰出部より前記搬送経路の下流で前記搬送経路に対向し、前記媒体に向けて液体を吐出することによって前記媒体に印刷を行う印刷部と、前記印刷部より前記搬送経路の下流に位置し、前記媒体に向けて送風する送風部と、前記送風部による送風を制御する制御部と、を備え、前記送風部は、気流を発生させるファンと、前記ファンを収容するケースとを備え、前記ケースは、前記搬送経路に向かって開口する送風口を有し、前記制御部は、前記印刷部が前記媒体への印刷を開始し、且つ前記繰出部から繰り出された前記媒体の先端が、前記送風口からの送風の向きに見て前記送風口に重なる重畳領域に到達した後に、前記ファンの駆動を開始させる、印刷装置。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】印刷装置の構成を示す概略断面図。
図2】印刷装置の構成を説明するブロック図。
図3】印刷装置の構成を示す概略断面図。
図4】印刷装置の構成を示す概略断面図。
図5】印刷処理の流れを示すフローチャート。
図6】印刷装置の構成を示す概略断面図。
図7】印刷処理の流れを示すフローチャート。
図8】印刷装置の構成を示す概略断面図。
図9】印刷装置の構成を示す概略断面図。
図10】印刷処理の流れを示すフローチャート。
図11】印刷処理の流れを示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0007】
図1に示す印刷装置1は、例えば、搬送される用紙等の媒体2に対して、液体の一例であるインクを吐出することにより、媒体2に文字や写真等の画像を印刷するインクジェット式のプリンターである。印刷装置1は、印刷部3を備える。印刷部3は、媒体2にインクを付着させることによって印刷を行う。印刷部3は、媒体2の幅方向に往復移動しながら印刷を行うシリアルタイプである。印刷部3は、媒体2の幅方向に亘って設けられるラインタイプとして構成されてもよい。
【0008】
図1には、X軸、Y軸、及びZ軸が付されている。X軸、Y軸、及びZ軸は、相互に直交する座標軸である。これ以降に示す図についても必要に応じてX軸、Y軸、及びZ軸が付される。この場合、各図におけるX軸、Y軸、及びZ軸は、図1におけるX軸、Y軸、及びZ軸に対応する。図1は、X軸とY軸とによって規定されるXY平面に印刷装置1を配置した状態を示す。本実施形態では、XY平面を水平な平面に一致させた状態で印刷装置1をXY平面に配置したときの状態が、印刷装置1の使用状態である。水平面に一致させたXY平面に印刷装置1を配置したときの印刷装置1の姿勢を、印刷装置1の使用姿勢と呼ぶ。
【0009】
以下において、印刷装置1の構成部品やユニットを示す図や説明にX軸、Y軸、及びZ軸が表記されている場合には、その構成部品やユニットを印刷装置1に組み込んだ状態でのX軸、Y軸、及びZ軸を意味する。また、印刷装置1の使用姿勢における各構成部品やユニットの姿勢を、それらの構成部品やユニットの使用姿勢と呼ぶ。そして、以下において、印刷装置1や、その構成部品、ユニット等の説明では、特にことわりがないときには、それぞれの使用姿勢での説明とする。
【0010】
なお、印刷装置1が実際に使用される場面では、水平面は、実質的に水平な面であればよい。実質的な水平には、例えば、印刷装置1が使用されるときに載置される面について許容される傾斜範囲内で傾斜が含まれる。このようなことから、実質的な水平面は、例えば、高精度に形成された定盤などの面に限定されない。実質的な水平面には、例えば、印刷装置1が使用されるときに載置される机や、台、棚、床などの種々の面が含まれる。また、鉛直方向は、厳密に重力方向に限定されず、実質的な水平面に対する垂直方向も含まれる。このため、実質的な水平面が、例えば、机や、台、棚、床などの面であるときには、鉛直方向は、これらの面に対する垂直方向を指す。
【0011】
X軸、Y軸、及びZ軸には、それぞれ、矢印が付される。X軸、Y軸、及びZ軸のそれぞれにおいて、矢印の向きが+(正)の方向を示し、矢印の向きとは反対の向きが-(負)の方向を示す。Z軸は、XY平面に直交する軸である。印刷装置1の使用状態において、+Z方向が鉛直上方向となる。印刷装置1の使用状態では、図1において、-Z方向が鉛直下方向である。なお、印刷部3は、X軸に沿って往復移動する。このためX軸は、印刷部3が往復移動する方向であると定義される。
【0012】
図1に示すように、印刷装置1は、繰出軸5と、第1支持部6と、搬送部7と、第2支持部8と、第3支持部9と、送風装置11と、巻取軸12と、制御ユニット13と、を備える。繰出軸5は、X軸に沿って延在する棒状の部材であり、±X方向の両端部において、図示しないフレーム等に支持されている。繰出軸5は、長尺の媒体2を円筒状に巻き重ねたロール15を回転可能に支持する。繰出軸5は、回転することで、ロール15から媒体2を第1支持部6に向けて繰り出す。繰出軸5は、繰出部の一例である。
【0013】
第1支持部6、第2支持部8及び第3支持部9は、搬送方向に搬送される長尺の媒体2を支持する部材である。媒体2は、第1支持部6、第2支持部8及び第3支持部9の表面に沿って搬送される。第1支持部6、第2支持部8及び第3支持部9の表面に沿う方向が、媒体2の搬送方向である。搬送方向は、X軸と交差する。第1支持部6、第2支持部8及び第3支持部9は、印刷装置1の全体を支持する図示しないフレーム等に固定されている。
【0014】
第1支持部6は、媒体2のうち、印刷部3と対向する部位よりも搬送方向の上流側の部位を支持する。第1支持部6は、印刷部3によって印刷がなされる前の部位を支持することが多い。第2支持部8は、第1支持部6よりも搬送方向の下流に位置する。第1支持部6によって支持される媒体2は、搬送部7によって第2支持部8に搬送される。搬送部7は、第1支持部6よりも搬送方向の下流に位置する。また、搬送部7は、第2支持部8よりも搬送方向の上流に位置する。
【0015】
搬送部7は、第1ローラー18と、第2ローラー19とを有する。第1ローラー18及び第2ローラー19は、それぞれX軸に沿って延在する。搬送部7は、図示しないモーターを有する。モーターからの動力は、第1ローラー18に伝達される。第1ローラー18は、モーターからの動力によって回転可能である。媒体2は、第1ローラー18と第2ローラー19との間に挟持される。第1ローラー18と第2ローラー19との間に媒体2を挟持した状態で第1ローラー18を回転させることによって、媒体2を搬送することができる。搬送部7は、媒体2を第2支持部8に向けて搬送する。
【0016】
印刷装置1では、第1ローラー18が駆動ローラーとされ、第2ローラー19が従動ローラーとされている。駆動ローラーは、モーターからの動力によって回転駆動される。従動ローラーは、駆動ローラーの回転駆動に従動する。しかし、第1ローラー18及び第2ローラー19のいずれが駆動ローラーでも従動ローラーでもよい。なお、第1ローラー18と第2ローラー19との間に媒体2を挟持することをニップするとも表現される。印刷装置1では、第2ローラー19を第1ローラー18から離間させることによって、第1ローラー18と第2ローラー19とによる媒体2のニップを解除することができる。
【0017】
印刷装置1では、第2ローラー19を第1ローラー18に対して上昇させることによってニップを解除することができる。ニップを解除した状態から第2ローラー19を下降させることによってニップ状態に変化させることができる。ニップ状態とニップの解除状態とは、媒体2の有無は関与しない。つまり、媒体2の有無に関係なく、第2ローラー19を第1ローラー18に対して上昇させた状態がニップの解除状態である。同様に、媒体2の有無に関係なく、ニップの解除状態から第2ローラー19を下降させた状態がニップ状態である。例えば、新たなロール15を繰出軸5にセットしたときに、ロール15から繰り出された媒体2の先端を第1ローラー18及び第2ローラー19の間に通すためにニップが解除される。
【0018】
第2支持部8は、印刷部3の-Z方向に位置する。第2支持部8は、印刷部3に対向する。第2支持部8は、媒体2のうち、印刷部3によって印刷がなされる部位を支持する。第2支持部8の+Z方向を向く面である支持面8Aは、略水平である。第2支持部8は、媒体2に吸引力を作用させることができる。第2支持部8のうち印刷部3に対向する面は平坦である。第2支持部8の支持面8Aは、印刷部3による印刷が可能な範囲に亘って延伸する。第2支持部8の支持面8Aには、複数の吸引孔が形成されている。吸引ファンによって複数の吸引孔から空気を吸引することによって、媒体2を第2支持部8の支持面8Aに吸引することができる。第2支持部8は、吸引プラテンとも呼ばれる。
【0019】
印刷部3は、吐出ヘッド25と、キャリッジ26と、ガイド軸27と、を備える。吐出ヘッド25には、インクを吐出する複数のノズル28が形成されている。複数のノズル28は、吐出ヘッド25のノズル面25Aに開口されている。ガイド軸27は、X軸に沿って延在する棒状の部材であり、±X方向の両端部において、図示しないフレーム等に支持されている。ガイド軸27は、キャリッジ26の移動を案内する。キャリッジ26は、吐出ヘッド25を保持し、図示しない駆動機構の駆動により、吐出ヘッド25をガイド軸27に沿って±X方向に往復移動させる。吐出ヘッド25は、移動しながら媒体2に向けてインクを吐出することにより、媒体2に印刷を行う。印刷装置1では、媒体2のうち第2支持部8に重なる領域に向けて吐出ヘッド25からインクを吐出することによって印刷が行われる。
【0020】
なお、第2支持部8が印刷部3に対向するというのは、第2支持部8の支持面8Aが吐出ヘッド25のノズル面25Aに向いている状態を指す。支持面8Aがノズル面25Aに向いている状態は、支持面8Aとノズル面25Aとが互いに平行に向き合う状態に限定されない。ノズル28からインクを吐出する方向に沿ってノズル面25Aを支持面8Aに投影したときに、ノズル面25Aと支持面8Aとが互いに重なる領域を有すれば、支持面8Aがノズル面25Aに向いている状態である。
【0021】
媒体2は、第2支持部8の支持面8Aを+Y方向に搬送される。媒体2は、第2支持部8から第3支持部9に向けて搬送される。第3支持部9は、第2支持部8よりも搬送方向の下流に位置する。第3支持部9は、媒体2のうち、印刷部3と対向する部位よりも搬送方向の下流側の部位を支持する。第3支持部9は、印刷部3によって印刷がなされた後の部位を支持することが多い。
【0022】
巻取軸12は、印刷部3よりも搬送方向の下流に位置する。巻取軸12は、搬送される媒体2を巻き取る。巻取軸12は、第3支持部9よりも搬送方向の下流に位置する。印刷装置1では、巻取軸12は、印刷部3の-Z方向に位置する。第3支持部9は、媒体2を巻取軸12に向けて案内する。第3支持部9は、傾斜している。第3支持部9は、+Y方向に向かって-Z方向に向かう向きに傾斜する。印刷部3で印刷がなされた媒体2は、第3支持部9に沿って、+Y成分と-Z成分を有する斜め方向に搬送された後で、巻取軸12によって巻き取られる。巻取軸12は、巻取部の一例である。
【0023】
これ以降、X軸と交差し、第3支持部9の傾斜方向に沿った座標軸をU軸とし、X軸及びU軸と交差する座標軸をV軸とする。具体的には、X軸、U軸及びV軸は、互いに直交する。そして、U軸に平行な方向のうち、第3支持部9の表面に沿って搬送される媒体2の搬送方向を+U方向とし、その反対方向を-U方向とする。また、V軸に平行な方向のうち、第3支持部9から見て媒体2が位置する方向を+V方向とし、その反対方向を-V方向とする。
【0024】
なお、図面では、媒体2が第1支持部6、第2支持部8及び第3支持部9から離れて図示されている。しかし、媒体2は、第1支持部6、第2支持部8及び第3支持部9に接触し、第1支持部6、第2支持部8及び第3支持部9の表面上を滑るように搬送される。印刷装置1では、繰出軸5から、第1支持部6、第2支持部8及び第3支持部9を経て巻取軸12に至る経路が媒体2の搬送経路である。
【0025】
送風装置11は、印刷部3より搬送経路の下流に位置する。送風装置11は、第3支持部9の+Z方向に位置する。送風装置11は、搬送経路に対向する。送風装置11は、送風部の一例である。送風装置11は、ファン31と、ケース32とを有する。ファン31は、図示しないモーターからの動力によって回転する。ファン31は、回転することにより気流を発生させる。ファン31としては、例えば、プロペラファン、シロッコファン、ターボファン等を適用することができる。ファン31は、ケース32に収容される。ケース32には、吸気口33と、送風口34とが形成されている。吸気口33と送風口34とは、それぞれ搬送経路に向かって開口する。吸気口33と送風口34とは、それぞれ搬送経路に対向するとも表現される。
【0026】
ファン31は、ケース32内で、吸気口33と送風口34との間に位置する。モーターからの動力によってファン31が回転すると、吸気口33からケース32内に空気が流入し、且つケース32内の空気が送風口34から流出する。ケース32は、送風装置11における気流の流路である。このため、ケース32は、送風装置11のダクトであるとも表現される。送風装置11は、ファン31が回転することにより、ケース32の送風口34から搬送経路に向けて送風する。第3支持部9に媒体2がある場合に、送風装置11は、ケース32の送風口34から媒体2に向けて送風する。
【0027】
送風口34が搬送経路に対向するというのは、送風口34が搬送経路に向かって開口している状態を指す。送風口34が搬送経路に向かって開口している状態は、送風口34と搬送経路とが互いに平行に向き合う状態に限定されない。送風口34からの送風の向きに見たときに、送風口34の開口領域と搬送経路とが互いに重なる領域を有すれば、送風口34が搬送経路に向いている状態である。印刷装置1では、送風口34からの送風の向きは、-Z方向である。印刷装置1では、送風口34が第3支持部9に向かって開口している。つまり、印刷装置1では、第3支持部9に媒体2がある場合、送風口34が媒体2に対向する。印刷装置1では、搬送経路のうち、送風口34からの送風の向きに見たときに送風口34の開口領域に重なる領域を重畳領域35と呼ぶ。
【0028】
送風装置11は、図示しないフレーム等によって支持されている。送風装置11は、媒体2に向けて送風する。インクが吐出された媒体2に送風装置11が送風することにより、媒体2に付着したインクの乾燥を促進することができる。送風装置11は、媒体2のX軸に沿った幅方向の全域に延在する。送風装置11が加熱部36を備える構成も採用され得る。加熱部36は、ケース32内に配置される。加熱部36は、ケース32内で送風口34とファン31との間に配置される。
【0029】
加熱部36は、ヒーター管等の長尺な発熱体によって構成される。加熱部36は、X軸に沿って延在し、ケース32内の空気を加熱する。加熱部36がケース32内の空気を加熱することにより、送風口34から送風される空気は、吸気口33から流入する空気と比較して高温となる。送風装置11が加熱部36を備える構成により、媒体2に付着したインクの乾燥を一層促進することができる。なお、加熱部36を構成する発熱体は、ヒーター管に限定されず、電熱線や熱源ランプ等も適用することができる。また、加熱部36は、長尺な1つの発熱体からなる構成に限定されず、X軸に沿って配列された複数の発熱体によって構成されてもよい。また、加熱部36は、ファン31と吸気口33との間に配置されてもよい。なお、送風装置11が加熱部36を備えない構成を採用してもよいし、第3支持部9を加熱する構成を採用してもよい。
【0030】
制御ユニット13は、印刷装置1を制御するコントローラーである。制御ユニット13は、図2に示すように、演算部41と、メモリー42とを含む。演算部41は、制御部の一例である。演算部41は、一例として、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)を有するプロセッサーである。制御ユニット13は、メモリー42で記憶される制御プログラムを実行することによって、印刷装置1の動作を統括制御する。メモリー42は、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)等で構成される。RAMは、演算部41のワークエリアとして機能する。RAMは、各種の制御プログラムや、各種データ等の一時記憶に用いられる。ROMは、印刷装置1の動作を制御するための制御プログラムや、各種設定情報等を記憶する。
【0031】
演算部41は、メモリー42に記憶される制御プログラムを実行することによって、各種の機能部として機能する。演算部41は、機能部として、繰出制御部44と、搬送制御部45と、キャリッジ制御部46と、印刷制御部47と、ファン制御部48と、巻取制御部49と、を含む。演算部41は、制御プログラムを実行することによって、繰出制御部44、搬送制御部45、キャリッジ制御部46、印刷制御部47、ファン制御部48、及び巻取制御部49として機能する。
【0032】
また、印刷装置1は、繰出モーター51と、搬送モーター52と、ニップ解除センサー54と、媒体幅検出センサー55と、キャリッジモーター56と、巻取モーター57と、電流センサー58と、を有する。繰出モーター51は、繰出軸5を駆動するための動力を発生する。搬送モーター52は、第1ローラー18を駆動するための動力を発生する。ニップ解除センサー54は、第1ローラー18と第2ローラー19とのニップが解除された状態を検出する。ニップ解除センサー54には、フォトセンサーなどの光学式センサーや、マイクロスイッチなどのメカニカルスイッチなど、種々のセンサーを適用することができる。ニップ解除センサー54による検出結果は、演算部41に送信される。演算部41は、ニップ解除センサー54による検出結果に基づいて、印刷装置1の作動を規制する。例えば、ニップが解除された状態でユーザーから印刷の指示を受けた場合、演算部41は、印刷処理の実行を停止する。
【0033】
媒体幅検出センサー55は、搬送部7によって搬送される媒体2のX軸に沿った幅寸法を検出する。媒体幅検出センサー55には、フォトセンサーなどの光学式センサーや、マイクロスイッチなどのメカニカルスイッチなど、種々のセンサーを適用することができる。媒体幅検出センサー55による検出結果は、演算部41に送信される。演算部41は、媒体幅検出センサー55による検出結果に基づいて、印刷装置1の作動を規制する。例えば、ユーザーから指示された印刷ジョブでの媒体2のサイズと、媒体幅検出センサー55による検出結果とが互いに異なる場合、演算部41は、印刷処理の実行を停止する。媒体幅検出センサー55による検出結果には、第2支持部8の支持面8Aに媒体2があるか否かの検出結果も含まれる。支持面8Aに媒体2がない場合、媒体幅検出センサー55は、支持面8Aに媒体2がない旨の検出結果を演算部41に送信する。
【0034】
キャリッジモーター56は、キャリッジ26を駆動するための動力を発生する。巻取モーター57は、巻取軸12を駆動するための動力を発生する。電流センサー58は、巻取モーター57の電流値を検出する。電流センサー58には、抵抗式や、磁場検出式など、種々のセンサーを適用することができる。
【0035】
繰出制御部44は、繰出モーター51の駆動を制御することによって繰出軸5の回転を制御する。搬送制御部45は、搬送モーター52の駆動を制御することによって第1ローラー18の回転を制御する。キャリッジ制御部46は、キャリッジモーター56の駆動を制御することによってキャリッジ26の駆動を制御する。印刷制御部47は、吐出ヘッド25の駆動を制御することによってノズル28からのインクの吐出を制御する。ファン制御部48は、ファン31の駆動を制御することによって送風口34からの送風を制御する。巻取制御部49は、巻取モーター57の駆動を制御することによって巻取軸12の回転を制御する。
【0036】
上記の構成を有する印刷装置1では、ユーザーが指定する印刷ジョブに基づいて、媒体2への印刷が行われる。印刷ジョブは、印刷装置1に1回の印刷動作を行わせるためのデータの集合である。印刷ジョブは、ユーザーが指示する印刷指令である。印刷ジョブは、媒体2に印刷すべき文字や画像などを指示する印刷データを含む。また、印刷ジョブは、媒体2の種類やサイズ、印刷データを印刷すべき領域などを指定する設定データを含む。印刷装置1が印刷ジョブを受け付けると、演算部41が印刷ジョブに基づいて制御プログラムを実行することによって、媒体2に印刷処理が行われる。
【0037】
印刷装置1が印刷ジョブを受け付けると、演算部41は、印刷データに基づいて、搬送モーター52、キャリッジモーター56及び吐出ヘッド25の駆動を制御する。この結果、印刷装置1では、媒体2を搬送方向に間欠搬送させながら、且つキャリッジ26をX軸に沿って移動させながら、吐出ヘッド25からインクを吐出させることによって、印刷ジョブに基づく印刷が行われる。なお、印刷装置1では、印刷を開始する前に、ニップ解除センサー54による検出結果に基づいて、ニップ状態であることが確認される。また、印刷装置1では、印刷を開始する前に、媒体幅検出センサー55による検出結果に基づいて、媒体2のサイズが設定データに合致していることが確認される。
【0038】
印刷装置1の繰出軸5にロール15をセットするとき、ユーザーは、図3に示すように、第1ローラー18と第2ローラー19とのニップを解除する。ニップ状態の解除は、第2ローラー19を上昇させることによって行われる。第1ローラー18と第2ローラー19とのニップが解除されると、ニップ解除センサー54から制御ユニット13に検出信号が送信される。このときのニップ解除センサー54からの検出信号は、ニップが解除された旨の検出結果を示す。第1ローラー18と第2ローラー19とのニップを解除した状態で、ユーザーは、第1ローラー18と第2ローラー19との間に媒体2の先端2Aを通す。
【0039】
次に、ユーザーは、図4に示すように、第1ローラー18と第2ローラー19とをニップ状態にする。このとき、ニップ解除センサー54から制御ユニット13に送信される検出信号は、第1ローラー18と第2ローラー19とがニップ状態である旨の検出結果を示す。次に、ユーザーは、印刷装置1に媒体2の搬送を指示する。このとき、ユーザーは、例えば、印刷装置1の操作パネルを介して媒体2の搬送を指示する。次に、ユーザーは、媒体2が第2支持部8の支持面8Aに搬送されたことを確認してから、印刷ジョブの実行を指示する。これにより、印刷ジョブに基づく印刷が開始される。
【0040】
ユーザーによって印刷ジョブの実行が指示されると、演算部41は、図5に示す印刷処理を実行する。印刷処理では、まず、ステップS1で印刷データ及び設定データを読み込む。印刷データ及び設定データは、印刷ジョブに含まれるデータである。次に、ステップS2でニップ解除センサー54の検出結果がニップ状態を示す結果であるか否か判定する。ステップS2でNOと判定されると、ステップS3でアラートを出力してから処理を終了する。ステップS2でYESと判定されると、ステップS4に移行する。
【0041】
ステップS4で媒体幅検出センサー55の検出結果が設定データに合致するか否かを判定する。ステップS4でNOと判定されると、ステップS3でアラートを出力してから処理を終了する。ステップS4でYESと判定されると、ステップS5に移行する。ステップS5で印刷データに基づく印刷を実行する。次に、ステップS6で媒体2の先端2Aが重畳領域35に到達したか否かを判定する。ステップS6でNOと判定されると、先端2Aが重畳領域35に到達するまでステップS6の処理を繰り返す。ステップS6でYESと判定されると、ステップS7に移行する。
【0042】
ステップS7でファン31の駆動を開始させる。次に、ステップS8で印刷ジョブが終了したか否かを判定する。ステップS8でNOと判定されると、印刷ジョブが終了するまでステップS8の処理を繰り返す。ステップS8でYESと判定されると、印刷処理を終了する。印刷装置1によれば、媒体2の先端2Aが重畳領域35に到達した後に、ファン31の駆動が開始する。媒体2の先端2Aが重畳領域35に到達してからファン31の駆動を開始する印刷方法を送風制御印刷方法と呼ぶ。
【0043】
印刷装置1では、図5に示す送風制御印刷方法が適用される。印刷装置1によれば、ファン31の駆動によって送風口34からの気流が媒体2の先端2Aに吹きかかると、気流によって媒体2が搬送経路に向かって押される。つまり、送風口34からの気流によって媒体2が搬送経路から離脱する方向とは逆方向に押される。これにより、媒体2が搬送経路から浮いてしまうことを抑えやすい。この結果、媒体2の詰まりを抑制しやすい。
【0044】
また、印刷装置1では、媒体2の先端2Aが巻取軸12に巻き取られる前に印刷を実行することができるので、媒体2の無駄を軽減することができる。ロール15を繰出軸5にセットしたときに、媒体の2の先端2Aを巻取軸12に巻き取らせてから印刷を開始する場合、搬送経路のうち第2支持部8から巻取軸12までの間では印刷が行われない。このようなことに対して印刷装置1では、先端2Aが巻取軸12に巻き取られる前に印刷を実行することができるので、媒体2の無駄を軽減することができる。
【0045】
なお、媒体2の先端2Aが重畳領域35に到達したか否かは、例えば、印刷領域の位置に基づいて判定することができる。つまり、演算部41は、ステップS5での印刷の開始後に、媒体2のうち印刷が行われた印刷領域が重畳領域35に到達したと判断したことに基づいて、先端2Aが重畳領域35に到達したことを判定することができる。媒体2の先端2Aは、印刷領域の下流に位置する。従って、印刷領域が重畳領域35に到達すれば媒体2の先端2Aも重畳領域35に到達している。このため、この印刷装置1によれば、印刷領域が重畳領域35に到達したことに基づいて、ファン31の駆動を開始させることによって、媒体2が搬送経路から浮いてしまうことを抑えやすい。この結果、媒体2の詰まりを抑制しやすい。
【0046】
また、印刷領域が重畳領域35に到達したか否かは、例えば、媒体2の搬送量に基づいて判定することができる。媒体2の搬送量は、搬送モーター52の駆動量によって把握することができる。つまり、演算部41は、ステップS5での印刷が開始されたときからの媒体2の搬送量に基づいて、先端2Aが重畳領域35に到達したことを判定することができる。この印刷装置1によれば、印刷部3による印刷が開始されたときからの媒体2の搬送量に基づいて、印刷領域が重畳領域35に到達したことを判断することができる。
【0047】
送風制御印刷方法の適用可否は、先端2Aが巻取軸12に巻き取られていないことに基づいて判断することができる。図6に示すように、先端2Aが巻取軸12に巻き取られていない状態で、ユーザーが印刷ジョブを指示する場合が考えられる。先端2Aが巻取軸12に巻き取られているか否かは、図2に示す電流センサー58による検出結果に基づいて判定することができる。先端2Aが巻取軸12に巻き取られている状態のときに巻取モーター57にかかる負荷は、先端2Aが巻取軸12に巻き取られていないときに巻取モーター57にかかる負荷よりも大きい。よって、電流センサー58によって検出される搬送モーター52の電流値に基づいて、先端2Aが巻取軸12に巻き取られているか否かを判定することができる。
【0048】
図7に示すように、演算部41は、ステップS11において媒体2が巻取軸12に巻き取られているか否かを判定する。媒体2が巻取軸12に巻き取られているか否かの判定は、上述した電流センサー58による電流値の検出結果に基づく。電流センサー58による検出結果が所定の電流値を超えている場合に、媒体2が巻取軸12に巻き取られていると判定される。なお、図7において、図5と同一の処理については同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0049】
ステップS11でNOと判定されると、ステップS5に移行する。次に、ステップS5からステップS8の処理を実行した後に処理を終了する。ステップS5からステップS8の処理は、図5と同一の処理である。ステップS11でYESと判定されると、ステップS12に移行する。ステップS12で印刷データに基づく印刷を実行する。次に、ステップS13でファン31の駆動を開始させてからステップS8に移行する。
【0050】
この印刷装置1によれば、媒体2が巻取軸12に巻き取られていない状態で印刷が開始される場合に、印刷部3が印刷を開始し、且つ媒体2の先端2Aが重畳領域35に到達した後に、ファン31の駆動が開始する。ここで、媒体2のうち印刷が行われた印刷領域が重畳領域35に到達したと判断したことに基づいて、先端2Aが重畳領域35に到達したことを判定することができる。これにより、媒体2が搬送経路から浮いてしまうことを抑えやすい。この結果、媒体2の詰まりを抑制しやすい。また、図7に示すフローによれば、媒体2が巻取軸12に巻き取られている状態で印刷が開始される場合に、演算部41は、印刷部3による印刷が開始したときにファン31の駆動を開始させる。これにより、媒体2に付着したインクの乾燥を促進しやすい。なお、図7では、ステップS12で印刷を開始した後にステップS13でファン31の駆動を開始するフローになっている。しかし、フローの順序はこれに限定されない。ステップS12でファン31の駆動を開始してから、ステップS13で印刷を開始するフローも適用することができる。
【0051】
印刷装置1において、ロール15から繰り出される媒体2を搬送経路に沿って搬送していくときに、媒体2にしわやよれなどが発生することがある。このような場合に、図8に示すように、第2支持部8と巻取軸12との間で媒体2を切断することがある。そして、図9に示すように、第1ローラー18と第2ローラー19とのニップを解除した状態で、しわやよれを修正することがある。しわやよれを修正した後、ユーザーは、第1ローラー18と第2ローラー19とをニップ状態に戻す。
【0052】
このとき、巻取軸12に巻き取った媒体2が存在する場合には、搬送モーター52に負荷がかかる。このため電流センサー58による検出結果は、媒体2が巻取軸12に巻き取られているという結果になり得る。しかし、媒体2の先端2Aは、第2支持部8と巻取軸12との間に位置する。先端2Aが重畳領域35よりも上流に位置する場合、送風装置11による送風で媒体2が搬送経路から浮いてしまうことがある。
【0053】
そこで印刷装置1では、直前の送風制御印刷処理の後にニップが解除された履歴が記録されている。ニップが解除された履歴をニップ解除履歴と呼ぶ。印刷装置1では、ニップ解除履歴が記録されている場合に、送風制御印刷方法が適用される。図10に示すように、演算部41は、ステップS21においてニップ解除履歴があるか否かを判定する。なお、図10において、図7と同一の処理については同一の符号を付して詳細な説明を省略する。ステップS21でYESと判定されると、ステップS5に移行する。次に、ステップS5からステップS8の処理を実行した後に処理を終了する。ステップS5からステップS8の処理は、図7と同一の処理である。
【0054】
ステップS21でNOと判定されると、ステップS12に移行する。ステップS12で印刷データに基づく印刷を実行する。次に、ステップS13でファン31の駆動を開始させてからステップS8に移行する。この印刷装置1によれば、第1ローラー18及び第2ローラー19による媒体2の挟持が解除された状態から媒体2を挟持した状態に変化した状態で印刷が開始される場合に、送風制御印刷処理が実施される。これにより印刷装置1では、印刷部3が印刷を開始し、且つ媒体2の先端2Aが重畳領域35に到達した後に、ファン31の駆動が開始する。これにより、媒体2が搬送経路から浮いてしまうことを抑えやすい。この結果、媒体2の詰まりを抑制しやすい。また、図10に示すフローによれば、第1ローラー18及び第2ローラー19による媒体2の挟持が解除された状態から媒体2を挟持した状態に変化することなく印刷が開始される場合に、演算部41は、印刷部3による印刷が開始したときにファン31の駆動を開始させる。これにより、媒体2に付着したインクの乾燥を促進しやすい。なお、ニップ解除履歴は、ステップS8の後にリセットされる。
【0055】
なお、印刷装置1において、媒体2が巻取軸12に巻き取られておらず、且つニップ解除履歴が記録されている状態で印刷が開始される場合に、送風制御印刷処理を実施するフローも適用され得る。これにより、媒体2が搬送経路から浮いてしまうことを抑えやすい。この結果、媒体2の詰まりを抑制しやすい。
【0056】
また、印刷装置1では、図11に示すように、ステップS8の後にステップS31の処理を実施するフローも適用することができる。この印刷装置1では、演算部41は、ステップS8で印刷ジョブが終了したと判定した後に、ステップS31でファン31の駆動を停止させる。この印刷装置1によれば、ファン31の駆動にかかる動力の消費を軽減することができる。なお、印刷ジョブに基づく印刷が終了後に直ちにファン31の駆動を停止させてもよい。また、印刷ジョブに基づく印刷が終了後に印刷領域が重畳領域35を通過してからファン31の駆動を停止させてもよい。印刷領域が重畳領域35を通過してからファン31の駆動を停止させ方法であれば、印刷領域を乾燥させてからファン31の駆動を停止させることができる。
【符号の説明】
【0057】
1…印刷装置、2…媒体、2A…先端、3…印刷部、5…繰出軸、6…第1支持部、7…搬送部、8…第2支持部、8A…支持面、9…第3支持部、11…送風装置、12…巻取軸、13…制御ユニット、15…ロール、18…第1ローラー、19…第2ローラー、25…吐出ヘッド、25A…ノズル面、26…キャリッジ、27…ガイド軸、28…ノズル、31…ファン、32…ケース、33…吸気口、34…送風口、35…重畳領域、36…加熱部、41…演算部、42…メモリー、44…繰出制御部、45…搬送制御部、46…キャリッジ制御部、47…印刷制御部、48…ファン制御部、49…巻取制御部、51…繰出モーター、52…搬送モーター、54…ニップ解除センサー、55…媒体幅検出センサー、56…キャリッジモーター、57…巻取モーター、58…電流センサー。
図1
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