(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024106513
(43)【公開日】2024-08-08
(54)【発明の名称】スイッチ装置、電子装置
(51)【国際特許分類】
H01H 13/14 20060101AFI20240801BHJP
H01H 13/06 20060101ALI20240801BHJP
H01H 13/704 20060101ALI20240801BHJP
H01H 13/02 20060101ALI20240801BHJP
【FI】
H01H13/14 Z
H01H13/06 B
H01H13/704
H01H13/02 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023010800
(22)【出願日】2023-01-27
(71)【出願人】
【識別番号】000003964
【氏名又は名称】日東電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】村重 毅
(72)【発明者】
【氏名】西森 才将
【テーマコード(参考)】
5G206
【Fターム(参考)】
5G206AS33H
5G206AS33J
5G206AS33Z
5G206AS35H
5G206AS35J
5G206AS35Q
5G206AS38H
5G206AS38J
5G206AS44H
5G206AS46H
5G206AS46J
5G206AS46Q
5G206BS02H
5G206BS02J
5G206BS44H
5G206BS44J
5G206CS01J
5G206CS07H
5G206CS07J
5G206DS02H
5G206DS02J
5G206FS32K
5G206FU03
5G206GS03
5G206HS25
5G206HU54
5G206KS03
5G206KS07
5G206KS15
5G206NS04
5G206NS05
5G206QS02
(57)【要約】
【課題】質感と操作性とを兼ね備えたスイッチ装置を提供する。
【解決手段】本スイッチ装置は、連続する1つの表面を備えたガラス層と、前記ガラス層の裏面側に積層された樹脂層と、前記樹脂層の裏面側の、互いに重ならない位置に配置された物理スイッチ及びタッチスイッチと、を有し、前記ガラス層の厚さは、20μm以上150μm以下であり、前記物理スイッチは、上下に可動する接点を含む複数の接点を備え、前記物理スイッチ上に位置する前記ガラス層が押されると、前記ガラス層及び前記樹脂層が弾性変形して複数の前記接点の導通と非導通とが切り替わる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続する1つの表面を備えたガラス層と、
前記ガラス層の裏面側に積層された樹脂層と、
前記樹脂層の裏面側の、互いに重ならない位置に配置された物理スイッチ及びタッチスイッチと、を有し、
前記ガラス層の厚さは、20μm以上150μm以下であり、
前記物理スイッチは、上下に可動する接点を含む複数の接点を備え、
前記物理スイッチ上に位置する前記ガラス層が押されると、前記ガラス層及び前記樹脂層が弾性変形して複数の前記接点の導通と非導通とが切り替わる、スイッチ装置。
【請求項2】
連続する1つの表面を備えたガラス層と、
前記ガラス層の裏面側に積層された樹脂層と、
前記樹脂層の裏面側の、互いに重ならない位置に配置された物理スイッチ及びタッチスイッチと、を有し、
前記ガラス層の表面は、湾曲している領域を含み、
前記ガラス層の厚さは、20μm以上150μm以下であり、
前記物理スイッチは、上下に可動する接点を含む複数の接点を備え、
前記物理スイッチ上に位置する前記ガラス層が押されると、前記ガラス層及び前記樹脂層が弾性変形して複数の前記接点の導通と非導通とが切り替わる、スイッチ装置。
【請求項3】
連続する1つの表面を備えたガラス層と、
前記ガラス層の裏面側に積層された樹脂層と、
前記樹脂層の裏面側の、互いに重ならない位置に配置された複数の物理スイッチと、
前記樹脂層の裏面と各々の前記物理スイッチとの間に介在する、互いに厚さの異なる複数の操作釦と、を有し、
前記ガラス層の表面は、湾曲している領域を含み、
前記ガラス層の厚さは、20μm以上150μm以下であり、
前記物理スイッチは、上下に可動する接点を含む複数の接点を備え、
前記物理スイッチ上に位置する前記ガラス層が押されると、前記ガラス層及び前記樹脂層が弾性変形して複数の前記接点の導通と非導通とが切り替わる、スイッチ装置。
【請求項4】
複数の前記物理スイッチは、平坦な基板上に配置されている、請求項3に記載のスイッチ装置。
【請求項5】
複数の前記操作釦は、前記物理スイッチ側に配置される柱状部と、前記柱状部の前記樹脂層側に配置されて前記柱状部の外周側に延伸するフランジ部と、を備えた操作釦を含む、請求項3又は4に記載のスイッチ装置。
【請求項6】
複数の前記操作釦は、前記樹脂層側の端面が前記樹脂層の裏面に沿って湾曲している操作釦を含む、請求項3又は4に記載のスイッチ装置。
【請求項7】
前記樹脂層の裏面側の、前記物理スイッチに重ならない位置に配置されたタッチスイッチを有する、請求項3に記載のスイッチ装置。
【請求項8】
前記タッチスイッチの裏面側に表示部が積層されている、請求項1、2、又は7に記載のスイッチ装置。
【請求項9】
前記ガラス層の表面側から視て、前記物理スイッチと重複する位置に、前記物理スイッチの操作に関連する絵記号が視認される、請求項1乃至4のいずれか一項に記載のスイッチ装置。
【請求項10】
前記絵記号は、前記樹脂層の裏面側に配置されるフィルム、又は前記樹脂層の表面若しくは裏面に印刷されている、請求項9に記載のスイッチ装置。
【請求項11】
請求項1乃至4のいずれか一項に記載のスイッチ装置を有する電子装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スイッチ装置、電子装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子装置のインプットの手法として電気的な接触を機械的に制御するスイッチが多く用いられている。このようなスイッチとして、例えば、特許文献1に示すタクトスイッチが挙げられる。この種のスイッチでは、摺動タイプのボタンはオン/オフを自己認識できるため、タッチスイッチに比べて誤動作を招かない特長を有すると考えられる。
【0003】
この種のスイッチの中でも、上下に可動する接点を備え、上下に摺動するスイッチは、柔軟性があって破損し難い樹脂を最表面に用いる。しかし、樹脂は、傷等により表面が劣化しやすく、溶剤等による清掃がしにくく、質感もあまりよくなく、強度も十分ではない。また、多数のスイッチが必要な電子装置では、操作性も求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたもので、質感と操作性とを兼ね備えたスイッチ装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本スイッチ装置は、連続する1つの表面を備えたガラス層と、前記ガラス層の裏面側に積層された樹脂層と、前記樹脂層の裏面側の、互いに重ならない位置に配置された物理スイッチ及びタッチスイッチと、を有し、前記ガラス層の厚さは、20μm以上150μm以下であり、前記物理スイッチは、上下に可動する接点を含む複数の接点を備え、前記物理スイッチ上に位置する前記ガラス層が押されると、前記ガラス層及び前記樹脂層が弾性変形して複数の前記接点の導通と非導通とが切り替わる。
【発明の効果】
【0007】
開示の技術によれば、質感と操作性とを兼ね備えたスイッチ装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1実施形態に係るスイッチ装置を例示する断面図(その1)である。
【
図2】第1実施形態に係るスイッチ装置を例示する断面図(その2)である。
【
図3】第1実施形態の変形例1に係るスイッチ装置を例示する断面図である。
【
図4】第1実施形態の変形例2に係るスイッチ装置を例示する断面図である。
【
図5】第1実施形態の変形例3に係るスイッチ装置を例示する断面図である。
【
図6】第1実施形態の変形例4に係るスイッチ装置を例示する断面図である。
【
図7】第1実施形態の変形例5に係るスイッチ装置を例示する断面図である。
【
図8】第2実施形態に係る電子装置を例示する斜視図である。
【
図9】第2実施形態に係る電子装置を例示する上面図である。
【
図10】第2実施形態に係る電子装置を例示する分解斜視図である。
【
図11】第2実施形態に係る電子装置を構成する支持部について説明する斜視図である。
【
図12】第2実施形態に係る電子装置を構成する支持部について説明する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して発明を実施するための形態について説明する。各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
【0010】
〈第1実施形態〉
図1は、第1実施形態に係るスイッチ装置を例示する断面図(その1)である。
図1に示すように、スイッチ装置1は、ガラス層10と、樹脂層20と、物理スイッチ30と、タッチスイッチ40と、支持部50と、接合層60とを有している。支持部50及び接合層60は、スイッチ装置1の必須の構成要素ではない。なお、
図1には、参考のため、互いに直交するX軸、Y軸、及びZ軸が示されている。他の図においても、同様のX軸、Y軸、及びZ軸が示される場合がある。
【0011】
以下、スイッチ装置1の構成要素について説明する。
【0012】
[ガラス層]
ガラス層10は、表面10aと、表面10aと反対側の面となる裏面10bとを備えている。表面10aは、連続する1つの面である。また、裏面10bは、連続する1つの面である。ガラス層10の表面10a側は、スイッチ装置1の最表面となる。ガラス層10は、鉛筆硬度試験9H以上からなる高い表面耐久性と優れた寸法安定性を備えている。
【0013】
ガラス層10は、特に限定はなく、目的に応じて適切なものを採用できる。ガラス層10は、組成による分類によれば、例えば、ソーダ石灰ガラス、ホウ酸ガラス、アルミノ珪酸ガラス、石英ガラス等が挙げられる。又、アルカリ成分による分類によれば、無アルカリガラス、低アルカリガラスが挙げられる。上記ガラスのアルカリ金属成分(例えば、Na2O、K2O、Li2O)の含有量は、好ましくは15重量%以下であり、更に好ましくは10重量%以下である。
【0014】
ガラス層10の厚さは、ガラスの持つ表面硬度や気密性や耐腐食性を考慮すると、20μm以上が好ましい。又、ガラス層10はフィルムのような可撓性と繰り返し耐久性を有する必要があるため、ガラス層10の厚さは150μm以下が好ましい。ガラス層10の厚さは、更に好ましくは30μm以上120μm以下、特に好ましくは50μm以上100μm以下である。
【0015】
ガラス層10の波長550nmにおける光透過率は、好ましくは85%以上である。ガラス層10の波長550nmにおける屈折率は、好ましくは1.4~1.65である。ガラス層10の密度は、好ましくは2.3g/cm3~3.0g/cm3であり、更に好ましくは2.3g/cm3~2.7g/cm3である。
【0016】
ガラス層10の成形方法は、特に限定はなく、目的に応じて適切なものを採用できる。代表的には、ガラス層10は、シリカやアルミナ等の主原料と、芒硝や酸化アンチモン等の消泡剤と、カーボン等の還元剤とを含む混合物を、1400℃~1600℃程度の温度で溶融し、薄板状に成形した後、冷却して作製できる。ガラス層10の成形方法としては、例えば、スロットダウンドロー法、フュージョン法、フロート法等が挙げられる。これらの方法によって板状に成形されたガラス層は、薄板化したり、平滑性を高めたりするために、必要に応じて、フッ酸等の溶剤により化学的に研磨されてもよい。
【0017】
ガラス層10は、強化ガラスから構成されてもよい。強化ガラスは、化学強化ガラスでも熱強化ガラスでもよいが、圧縮応力層を有する化学強化ガラスの方が熱強化ガラスよりも製造が容易である。ガラス層10が強化ガラスから構成される場合、圧縮応力が600MPa以上であることが好ましい。
【0018】
なお、化学強化とは、ガラス板の表面付近のイオンを、イオン半径の大きいイオンに置換することである。イオン交換により、ガラス板の表面に圧縮応力層が形成され、化学強化ガラスができあがる。圧縮応力層におけるガラス組成は、ガラス内部におけるガラス組成と異なる。
【0019】
化学強化ガラスにおいて、強化前のガラス板としては、例えば、ソーダライムガラス、アルミノシリケートガラス、ボロシリケートガラス、アルミノボロシリケートガラス等を用いることができる。圧縮応力層の深さが必要以上に大きくなり過ぎない点では、ソーダライムガラス又はソーダシリケートガラスが好ましく、ソーダライムガラスがより好ましい。
【0020】
イオン交換は、例えば、ガラス板の表面のLiイオンをNaイオン及び/又はKイオンに置換することで行うことができる。あるいは、ガラス板の表面のNaイオンをKイオンに置換してもよい。これらのイオン交換により、ガラス板の表面に圧縮応力層が形成される。
【0021】
NaイオンをKイオンに置換する場合は、例えば、硝酸カリウムを含む無機溶融塩に、ナトリウムを含むガラス板を接触させればよい。硝酸カリウムを含む無機溶融塩は、K2CO3、Na2CO3、KHCO3、NaHCO3、KOH及びNaOHからなる群より選ばれる少なくとも一種の塩を含むことが好ましい。
【0022】
ガラス層10の表面10a及び/又は裏面10bに、防汚層、反射防止層、導電層、反射層、加飾層等の機能層を設けてもよい。また、ガラス層10の表面10aに、点字を設けてもよい。なお、本実施形態に係るスイッチ装置では、ガラス層10が最表面に位置する。ここで、『ガラス層10が最表面に位置する』とは、ガラス層10が実質的に最表面に位置することであり、上記のような付加的な層が設けられた場合であっても、本実施形態では、ガラス層10が最表面に位置すると表現する。
【0023】
[樹脂層]
樹脂層20は、ガラス層10の裏面10b側に積層されている。樹脂層20は、表面20aと、表面20aと反対側の面となる裏面20bとを有している。樹脂層20は、可撓性を有する。樹脂層20の厚さは、可撓性の観点から50μm以上150μmであることが好ましい。
【0024】
樹脂層20の材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート系樹脂やポリエチレンナフタレート系樹脂等のポリエステル系樹脂、ノルボルネン系樹脂等のシクロオレフィン系樹脂、ポリエーテルサルホン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、アクリル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミドアミド系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリサルホン系樹脂、ポリエーテルイミド系樹脂、ウレタン系樹脂等が挙げられる。
【0025】
このように、ガラス層10と樹脂層20とを積層すると、樹脂層20がガラス層10の必要以上の変形を抑制し、ガラス層10の割れを防止する効果があるとともに、適正な変形量を実現するため、ガラス層10が繰り返し弾性変形する際の耐久性を向上することができる。なお、樹脂層20の厚さを変えることで、ガラス層10の変形量を制御できる。
【0026】
ガラス層10と樹脂層20の間に接合層が設けられてもよい。接合層としては、後述する任意の粘着剤又は接着剤を使用できる。ただし、強度の観点から、接合層として、接着剤を用いることが好ましい。接合層の厚さは、外観の観点から、0.5μm以上25μm以下であることが好ましく、0.5μm以上5μm以下であることがより好ましく、0.5μm以上3μm以下であることが更に好ましい。
【0027】
ガラス層10の裏面10b側に、複数の樹脂層を積層してもよい。このような積層構造により、ガラス層10の割れをさらに抑制することができると共にガラス層10が繰り返し弾性変形する際の耐久性をさらに向上することができる。
【0028】
[物理スイッチ]
物理スイッチ30は、押される際の物理的変化を検出するスイッチである。物理スイッチ30を操作することにより、クリック感が得られる。
【0029】
物理スイッチ30は、樹脂層20の裏面20b側に配置されている。
図1の例では、物理スイッチ30は、上下に可動する接点を含む複数の接点を備える。物理スイッチ30は、タクトスイッチであり、ハウジング31と、フィルム32と、フレーム33と、ステム34と、第1接点35と、第2接点36とを有している。第1接点35及び第2接点36のうち、第2接点36が上下に可動する接点である。
【0030】
ハウジング31とフレーム33は、それぞれが枡状であり、粘着性のフィルム32を挟んで対向して配置されている。フィルム32は、例えば、ハウジング31の開口部を塞ぐように配置されている。ステム34は、上下方向に摺動自在な状態でフレーム33に保持されている。
【0031】
ハウジング31の底面には第1接点35及び第2接点36が配置されている。第2接点36は、第1接点35と離隔して第1接点35の上方に配置されている。フィルム32及び第2接点36は、弾性変形可能に構成されている。ハウジング31、フィルム32、フレーム33、及びステム34は、例えば、樹脂製である。
【0032】
図1において、第1接点35と第2接点36と電気的に接続される外部接続用端子については、図示が省略されている。なお、物理スイッチ30は、タクトスイッチには限定されず、メンブレンスイッチ等のクリック感が得られる任意のスイッチであってよい。
【0033】
[タッチスイッチ]
タッチスイッチ40は、人あるいは物が接触することで動作する接触式のスイッチである。タッチスイッチ40を操作しても、クリック感は得られない。
【0034】
タッチスイッチ40は、樹脂層20の裏面20b側に配置されている。物理スイッチ30及びタッチスイッチ40は、樹脂層20の裏面20b側の、互いに重ならない位置に配置されている。タッチスイッチ40としては、例えば、静電容量方式、光学方式、超音波方式等の任意の方式を採用することができる。
【0035】
[支持部]
支持部50は、樹脂層20の裏面20b側に配置され、ガラス層10及び樹脂層20を支持する。支持部50は、物理スイッチ30やタッチスイッチ40を支持してもよい。支持部50は、例えば、物理スイッチ30の外側に、物理スイッチ30を囲むように枠状に配置することができる。或いは、複数の支持部50を物理スイッチ30の外側の任意の位置に間隔を置いて配置してもよい。支持部50は、例えば、樹脂や金属等から形成される。
【0036】
なお、物理スイッチ30を構成する部品を支持部としてもよい。或いは、物理スイッチ30自体を支持部としてもよい。すなわち、支持部は、物理スイッチ30の一部であってもよいし、全部であってもよい。これらの場合には、
図1に示す支持部50は配置しなくてもよい。或いは、物理スイッチ30の一部又は全部を支持部として用い、これとは別に、さらに
図1に示す支持部50を配置してもよい。
【0037】
[接合層]
接合層60は、樹脂層20と支持部50とを接着する。接合層60としては、任意の粘着剤又は接着剤を使用できる。接合層60の厚さは、例えば、5μm以上20mm以下とすることができる。
【0038】
本明細書において、粘着剤とは、常温で接着性を有し、軽い圧力で被着体に接着する層をいう。従って、粘着剤に貼着した被着体を剥離した場合にも、粘着剤は実用的な粘着力を保持する。一方、接着剤とは、物質の間に介在することによって物質を結合できる層をいう。従って、接着剤に貼着した被着体を剥離した場合には、接着剤は実用的な接着力を有さない。
【0039】
粘着剤としては、例えば、アクリル系ポリマー、シリコーン系ポリマー、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、ポリエーテル、フッ素系やゴム系等のポリマーをベースポリマーとする粘着剤が挙げられる。
【0040】
接着剤としては、例えば、ポリエステル系接着剤、ポリウレタン系接着剤、ポリビニルアルコール系接着剤、エポキシ系接着剤が挙げられ。接着剤が熱硬化型接着剤である場合は、加熱して硬化(固化)することにより剥離抵抗力を発揮できる。又、接着剤が紫外線硬化型等の光硬化型接着剤である場合は、紫外線等の光を照射して硬化することにより剥離抵抗力を発揮できる。又、接着剤が湿気硬化型接着剤である場合は、空気中の水分等と反応して硬化し得るので、放置することによっても硬化して剥離抵抗力を発揮できる。
【0041】
図2は、第1実施形態に係るスイッチ装置を例示する断面図(その2)であり、ガラス層10の表面10a側が矢印方向に押された様子を示している。
【0042】
前述のようにガラス層10の厚さは、20μm以上150μm以下が好ましい。ガラス層10をこのような厚さとすることで、ガラス層10は弾性変形が可能となり、局所的に凹ませることができる。
【0043】
物理スイッチ30上に位置するガラス層10の表面10a側が押されると、ガラス層10及び樹脂層20が弾性変形してステム34を可動させ、物理スイッチ30の第1接点35と第2接点36の接触(導通)と非接触(非導通)とが切り替わる。ガラス層10は、例えば、垂直方向に0.5mm~2mm程度沈み込むように弾性変形することができる。
【0044】
図1の例では、ガラス層10が押されていないときに物理スイッチ30の第1接点35と第2接点36が非接触(非導通状態)である。そのため、
図2に示すように、ガラス層10及び樹脂層20が押されて変形すると、それに伴って物理スイッチ30のステム34が押されてフィルム32及び第2接点36が弾性変形して第2接点36が第1接点35に近づき、第1接点35と第2接点36が接触して導通状態になる。ガラス層10を押す力をとり除くと、ガラス層10及び樹脂層20は
図1の状態に戻り、第1接点35と第2接点36とは再び非接触となる。
【0045】
このように、ガラス層10の厚さを20μm以上150μm以下とすることで、ガラス層10が弾性変形可能となる。これにより、ガラス層10が押されると、ガラス層10の局所的な変形に伴なって物理スイッチ30の接点を上下に摺動させ、物理スイッチ30の複数の接点の導通と非導通とを切り替えることができる。
【0046】
スイッチ装置1は、最表面がガラス層10であるため、最表面が樹脂であるスイッチ装置と比べて、耐擦傷性、溶剤清掃性、及び質感を向上することができる。スイッチ装置1は、ガラス層10の硬質感や上質感を持ちながらも、フラットなガラス層10により清潔感を保ち、ガラス層10の本来の美しさと、物理的にクリックできる機能性を両立した従来とは異なる新しい質感のスイッチ装置である。
【0047】
また、スイッチ装置1では、連続する1つの表面10a(すなわちシームレスな表面)を備えたガラス層10の裏面10b側の、互いに重ならない位置に物理スイッチ30及びタッチスイッチ40を配置している。これにより、従来のように物理スイッチとタッチスイッチとが別々の表面を有するスイッチ装置と比べて、質感を向上することができる。
【0048】
また、スイッチ装置1では、連続する1つの表面10aを備えることにより、従来のような表面に凹凸のある構造と比べて、汚れが付きにくい、隙間にゴミが入りにくい等の利点が有られる。また、ガラス層10の表面10aは、アルコール等の溶剤でも容易に洗浄可能である。
【0049】
また、スイッチ装置1では、誤動作を極力低減したい機能には操作者がクリック感により操作したことを認識できる物理スイッチ30を割り当て、それ以外の機能にはタッチスイッチ40を割り当てることができるため、操作性を向上することができる。スイッチ装置1では、物理スイッチ30を割り当てた機能については、クリック感のフィードバックがあるため誤作動を低減することができ、操作性及び正確性を向上することが可能となる。
【0050】
また、スイッチ装置1において、ガラス層10が強化ガラスである場合は、ガラス層10が未強化ガラスである場合と比べて、強度及び耐久性を向上させることができる。
【0051】
〈第1実施形態の変形例〉
図3は、第1実施形態の変形例1に係るスイッチ装置を例示する断面図である。
図3に示すように、スイッチ装置1Aは、表示部70を有する点が、
図1に示すスイッチ装置1と相違する。
【0052】
表示部70は、タッチスイッチ40の裏面側に積層されている。表示部70は、例えば、液晶表示部や有機EL(Electro Luminescence)表示部等である。タッチスイッチ40を可視光線透過率の高い部材から構成することで、タッチスイッチ40と表示部70により、タッチスイッチ式表示装置を構成することができる。このように、本発明に係るスイッチ装置は、必要に応じて表示部を有してもよい。
【0053】
スイッチ装置1Aは、スイッチ装置1と同様の効果を奏する。また、スイッチ装置1Aでは、連続する1つの表面10a(すなわちシームレスな表面)を備えたガラス層10の裏面10b側の、互いに重ならない位置に物理スイッチ30及びタッチスイッチ式表示装置を配置している。これにより、シームレスな表面を有し、かつ映像等の表示が可能な質感の高いスイッチ装置を実現することができる。
【0054】
図4は、第1実施形態の変形例2に係るスイッチ装置を例示する断面図である。
図4に示すように、スイッチ装置1Bは、ガラス層10及び樹脂層20が湾曲している点が、
図1に示すスイッチ装置1と相違する。スイッチ装置1Bは、タッチスイッチ40の裏面側に積層された表示部70を有してもよい。
【0055】
このように、ガラス層10の表面10a及び裏面10bは、平面であってもよいし、湾曲面であってもよい。同様に、樹脂層20の表面20a及び裏面20bは、平面であってもよいし、湾曲面であってもよい。また、ガラス層10の表面10a及び裏面10bには、平面と湾曲面とが混在してもよい。同様に、樹脂層20の表面20a及び裏面20bには、平面と湾曲面とが混在してもよい。ガラス層10の表面10aが湾曲面を有する場合、湾曲面の曲率半径は、例えば、30mm以上1000mm以下とすることができる。
【0056】
スイッチ装置1Bは、スイッチ装置1と同様の効果を奏する。また、スイッチ装置1Bでは、連続する1つの表面10a(すなわちシームレスな表面)を備えたガラス層10の裏面10b側の、互いに重ならない位置に物理スイッチ30及びタッチスイッチ40を配置し、かつガラス層10の表面10aは湾曲する領域を含む。ガラス層10の表面10aは湾曲する領域により、物理的形状の滑らかさを表現することが可能となるため、一層質感の高いスイッチ装置を実現することができる。
【0057】
図5は、第1実施形態の変形例3に係るスイッチ装置を例示する断面図である。
図5に示すように、スイッチ装置1Cは、複数の物理スイッチ30を有し、かつ釦保持部80及び複数の操作釦90Aが追加された点が、
図1に示すスイッチ装置1と相違する。なお、スイッチ装置1Cは、樹脂層20の裏面20b側の、各々の物理スイッチ30に重ならない位置に配置されたタッチスイッチ40を有してもよい。また、スイッチ装置1Cは、タッチスイッチ40の裏面側に積層された表示部70を有してもよい。
【0058】
スイッチ装置1Cにおいて、ガラス層10の表面10aは、湾曲する領域(X軸方向負側)と平面領域(X軸方向正側)とを含んでいる。また、スイッチ装置1Cにおいて、複数の物理スイッチ30は、同一平面上に配置されている。ガラス層10の表面10aの湾曲する領域の裏面側に1つの物理スイッチ30が配置され、ガラス層10の表面10aの平面領域の裏面側に他の1つの物理スイッチ30が配置されている。
【0059】
釦保持部80は、各々に操作釦90Aを配置する複数の釦配置孔80xを有している。釦配置孔80xは、釦保持部80を貫通している。釦配置孔80xの形状は、例えば、ガラス層10の表面10a側から視て円形とすることができる。釦配置孔80xが円形である場合、直径が一定の1つの孔であってもよいし、釦保持部80の厚さ方向の異なる位置に配置した直径の異なる複数の孔を連通させたものであってもよいし、その他の任意の形状であってもよい。
【0060】
図5の例では、樹脂層20に近い側に大径の孔が配置され、樹脂層20から遠い側に小径の孔が配置され、両者は同心的に連通している。なお、釦配置孔80xの形状は、ガラス層10の表面10a側から視て円形には限らず、楕円形や矩形等であってもよい。
【0061】
操作釦90Aは、樹脂層20と物理スイッチ30との間に介在し、ガラス層10の表面10a側が指等で押されると物理スイッチ30側に移動し、物理スイッチ30のステム34を押すための部材である。操作釦90Aは、釦配置孔80x内に配置されている。操作釦90Aの一端面は、例えば、樹脂層20の裏面20bと接している。操作釦90Aの他端面は、例えば、ステム34と接している。
【0062】
操作釦90Aは、例えば、円柱状である。操作釦90Aは、楕円柱状、多角柱状等であってもよい。なお、ここでいう柱状は、一端面及び他端面が所定面積で、かつ所定厚さを有する形状を指す。一端面及び他端面の面積に対する厚さの大小は問わない。
【0063】
複数の操作釦90Aは、互いに厚さの異なる操作釦90Aを有している。具体的には、ガラス層10の表面10aの湾曲する領域に配置される操作釦90Aは、ガラス層10の表面10aの平面領域に配置される操作釦90Aよりも薄い。操作釦90Aの一端面と他端面とは平行であってもよいが、樹脂層20の裏面20bの湾曲する領域と接する場合、操作釦90Aの一端面は、樹脂層20の裏面20bに沿って湾曲していることが好ましい。
【0064】
操作釦90Aは、物理スイッチ30のステム34を確実に押すために、釦保持部80の物理スイッチ30側の面から突出してもよい。すなわち、操作釦90Aの他端面は、釦保持部80の物理スイッチ30側の面よりも物理スイッチ30に近い側に位置してもよい。
【0065】
スイッチ装置1Cは、スイッチ装置1と同様の効果を奏する。また、スイッチ装置1Cでは、連続する1つの表面10a(すなわちシームレスな表面)を備えたガラス層10の裏面10b側の、互いに重ならない位置に複数の物理スイッチ30を配置し、かつガラス層10の表面10aは湾曲する領域を含む。ガラス層10の表面10aは湾曲する領域により、物理的形状の滑らかさを表現することが可能となるため、一層質感の高いスイッチ装置を実現することができる。
【0066】
また、スイッチ装置1Cでは、樹脂層20の裏面20bと各々の物理スイッチ30との間に介在する、互いに厚さの異なる複数の操作釦90Aを有している。ガラス層10の表面10aの湾曲する領域や平面領域に合わせて操作釦90Aの厚さを変えることにより、複数の物理スイッチ30が同一平面上に配置されていても、確実に各々の物理スイッチ30を押すことができる。つまり、操作性を向上することができる。
【0067】
また、釦保持部80及び操作釦90Aの厚さを調整することで、樹脂層20の裏面20bと物理スイッチ30との距離を変えることができるため、設計の自由度を向上することができる。
【0068】
図6は、第1実施形態の変形例4に係るスイッチ装置を例示する断面図である。
図6に示すように、スイッチ装置1Dは、操作釦90Aが操作釦90Bに置換された点が、
図5に示すスイッチ装置1Cと相違する。なお、スイッチ装置1Dは、樹脂層20の裏面20b側の、各々の物理スイッチ30に重ならない位置に配置されたタッチスイッチ40を有してもよい。また、スイッチ装置1Dは、タッチスイッチ40の裏面側に積層された表示部70を有してもよい。
【0069】
操作釦90Bは、物理スイッチ30側に配置される柱状部と、柱状部の樹脂層20側に配置されて柱状部の外周側に延伸するフランジ部とを備えている。操作釦90Bの樹脂層20側の端面の面積は、物理スイッチ30側の端面の面積よりも大きい。柱状部とフランジ部とは、接合されている。柱状部とフランジ部とは、一体成型されたものであってもよい。
【0070】
操作釦90Bは、釦配置孔80x内に配置されている。操作釦90Bの一端面(フランジ部の端面)は、例えば、樹脂層20の裏面20bと接している。操作釦90Bの他端面(柱状部の端面)は、例えば、ステム34と接している。
【0071】
操作釦90Bの柱状部は、例えば、円柱状である。操作釦90Bの柱状部は、楕円柱状、多角柱状等であってもよい。操作釦90Bのフランジ部は、例えば、円板状である。操作釦90Bのフランジ部は、楕円板状、多角板状等であってもよい。フランジ部と柱状部との厚さの大小は問わない。
【0072】
複数の操作釦90Bは、互いに厚さの異なる操作釦90Bを有している。具体的には、ガラス層10の表面10aの湾曲する領域に配置される操作釦90Bは、ガラス層10の表面10aの平面領域に配置される操作釦90Bよりも薄い。なお、操作釦90Bの厚さは、樹脂層20側に位置するフランジ部の端面と、物理スイッチ30側に位置する柱状部の端面により規定される。操作釦90Bの一端面と他端面とは平行であってもよいが、樹脂層20の裏面20bの湾曲している領域と接する場合は、操作釦90Bの一端面は、樹脂層20の裏面20bに沿って湾曲していることが好ましい。
【0073】
操作釦90Bの柱状部は、物理スイッチ30のステム34を確実に押すために、釦保持部80の物理スイッチ30側の面から突出してもよい。すなわち、操作釦90Bの他端面は、釦保持部80の物理スイッチ30側の面よりも物理スイッチ30に近い側に位置してもよい。
【0074】
なお、1つのスイッチ装置に、操作釦90Aと操作釦90Bとが混在してもよい。
【0075】
このように、スイッチ装置1Dにおいて、操作釦90Bは、物理スイッチ30側に配置される柱状部と、柱状部の樹脂層20側に配置されて柱状部の外周側に延伸するフランジ部とを備えている。これにより、ガラス層10の表面10a側を指等で押す場合に、押す対象となる領域が広くなるため、物理スイッチ30を容易かつ確実に押すことが可能となる。そのため、スイッチ装置1Cよりも操作性を向上できる。
【0076】
図7は、第1実施形態の変形例5に係るスイッチ装置を例示する断面図である。
図7に示すように、スイッチ装置1Eは、物理スイッチ30上に表示部70Aが配置された点が、
図1に示すスイッチ装置1と相違する。
【0077】
表示部70Aは、可撓性を有する薄型の部材である。表示部70Aは、例えば、液晶表示部や有機EL表示部等である。表示部70Aは、例えば、樹脂層20の裏面20bに接するように配置することができる。物理スイッチ30は、ガラス層10の表面10a側から視て、表示部70Aと重なる位置に配置することができる。
【0078】
スイッチ装置1Eにおいて、物理スイッチ30上に位置するガラス層10が押されると、ガラス層10、樹脂層20、及び表示部70Aが弾性変形して物理スイッチ30の複数の接点の導通と非導通とが切り替わる。これにより、表示部を有すると共に、クリック感のあるスイッチ操作が可能であり、かつ加飾性と操作性に優れたスイッチ装置を実現することができる。
【0079】
〈第2実施形態〉
第2実施形態では、第1実施形態及び/又はその変形例に係るスイッチ装置を有する電子装置の例を示す。なお、第2実施形態において、既に説明した実施形態と同一構成部についての説明は省略する場合がある。
【0080】
図8は、第2実施形態に係る電子装置を例示する斜視図である。
図9は、第2実施形態に係る電子装置を例示する上面図である。なお、ここでは、電子装置において、スイッチ操作を行う面を上面としている。
【0081】
図8及び
図9に示すように、電子装置200は、例えば、基部210と、透明フィルム270と、フレーム280とを有している。電子装置200は、スタンド290を有してもよい。基部210と透明フィルム270との間に配置される部材については、後述する。
【0082】
透明フィルム270は、前述のガラス層10と樹脂層20との積層体である。すなわち、透明フィルム270は、連続する1つの表面を備えたガラス層と、ガラス層の裏面側に積層された樹脂層とを有している。透明フィルム270は、ガラス層が表面側に位置するようにフレーム280の内側に露出している。透明フィルム270は、第1領域201から第2領域202に至る連続する1つの表面を備えており、その表面は湾曲している。
【0083】
フレーム280の内側には、画像を表示する表示部と、操作を入力する操作部とが設けられている。
図8及び
図9の例では、表示部は、第1領域201に設けられている。また、
図8及び
図9の例では、操作部は、第1領域201及び第2領域202の両方に設けられている。ただし、この例には限定されず、表示部と操作部は、フレーム280の内側の任意の位置に設けることができる。
【0084】
表示部及び操作部となる第1領域201において、透明フィルム270の裏面側には、タッチスイッチと表示部が積層されたタッチスイッチ式表示装置が配置されている。表示部は、例えば、液晶表示部や有機EL表示部等である。操作部となる第2領域202において、透明フィルム270の裏面側には、物理スイッチが配置されている。
【0085】
電子装置200は、タッチスイッチ又は物理スイッチを介した使用者の入力操作に基づいて、他の電子装置を制御することができる。電子装置200は、例えば、自動車等の車両に搭載可能であり、有線又は無線を介して、車両に搭載された空調装置、照明装置、オーディオ装置、ナビゲーション装置等を制御することができる。電子装置200は、例えば、車両のセンターコンソール、ハンドル、ドア、ダッシュボード、天井等に配置することができる。電子装置200は、車両の任意の位置に固定してもよいし、着脱可能としてもよい。
【0086】
なお、上記は一例であり、本発明に係るスイッチ装置は、例えば、携帯電話、パーソナルコンピュータ、電子辞書等の車載用以外の用途に用いてもよい。
【0087】
図10は、第2実施形態に係る電子装置を例示する分解斜視図である。
図10に示すように、電子装置200は、基部210とフレーム280との間に、支持部220、タッチスイッチ式表示装置230、黒フィルム240、スモークフィルム250、印刷フィルム260、及び透明フィルム270が基部210側から順次積層された構造である。なお、電子装置200は、任意の余剰スペースに、電子部品が実装された基板を有してもよい。また、電子装置200は、電池や電源入力端子を有してもよい。
【0088】
図11は、第2実施形態に係る電子装置を構成する支持部について説明する斜視図である。
図12は、第2実施形態に係る電子装置を構成する支持部について説明する断面図である。
図10、
図11、及び
図12を参照すると、支持部220は、部品保持部221と、裏蓋222とを備えている。
【0089】
部品保持部221と裏蓋222との間には、複数の物理スイッチ30が実装された基板100が配置されている。複数の物理スイッチ30は、例えば、平坦な基板100上に配置されている。ここでいう平坦は、意図的に湾曲させたものでないことを意味し、基板が通常有する反りや寸法誤差は許容するものとする。
【0090】
部品保持部221は、各々に操作釦90Bを配置する複数の釦配置孔と、タッチスイッチ式表示装置230を配置する1つの凹部とを備えている。各々の操作釦90Bは、各々の物理スイッチ30上に配置される。
【0091】
支持部220において、タッチスイッチ式表示装置230が配置される領域が前述の第1領域201である。また、支持部220において、物理スイッチ30及び操作釦90Bが配置される領域が前述の第2領域202である。部品保持部221及び裏蓋222は、例えば、透明な樹脂材料から形成することができる。
【0092】
図10の説明に戻り、黒フィルム240は、加飾用のフィルムであり、タッチスイッチ式表示装置230に対応する位置に開口部が設けられている。スモークフィルム250は、加飾用のフィルムであり、タッチスイッチ式表示装置230及び各々の操作釦90Bに対応する位置に開口部が設けられている。
【0093】
印刷フィルム260は、透明フィルム270を構成する樹脂層の裏面側に配置される。印刷フィルム260は、透明フィルム270を構成するガラス層の表面側から視て、物理スイッチ30と重複する位置に、物理スイッチ30の操作に関連する絵記号が視認されるように印刷が施されたフィルムである。
【0094】
透明フィルム270の表面側から視る際の、印刷フィルム260に印刷された絵記号の視認性を向上するため、基部210にバックライトとなる光源215が配置されてもよい。光源215は、例えば、発光ダイオード等から構成することができる。
【0095】
絵記号は、透明フィルム270を構成する樹脂層の表面若しくは裏面に印刷されてもよい。この場合は、印刷フィルム260は不要となる。
【0096】
なお、
図9及び
図10の第1領域201における表示内容は、タッチスイッチ式表示装置230により表示されているため、電子装置200の動作状況に応じて表示内容が切り替わる。一方、
図9及び
図10の第2領域202における表示内容は、印刷フィルム260に印刷されているため、表示内容は切り替わらない。
【0097】
このように、電子装置200は、第1実施形態及び/又はその変形例に係るスイッチ装置の構造を含むため、第1実施形態及び/又はその変形例で示した様々な効果を奏することができる。なお、本発明に係る電子装置は、第1実施形態及びその変形例に係るスイッチ装置の構造の1以上を含んだものであればよい。
【0098】
以上、好ましい実施形態等について詳説したが、上述した実施形態等に制限されることはなく、特許請求の範囲に記載された範囲を逸脱することなく、上述した実施形態等に種々の変形及び置換を加えることができる。
【0099】
以上の実施形態に加えて、さらに以下の付記を開示する。
(付記1)
連続する1つの表面を備えたガラス層と、
前記ガラス層の裏面側に積層された樹脂層と、
前記樹脂層の裏面側の、互いに重ならない位置に配置された物理スイッチ及びタッチスイッチと、を有し、
前記ガラス層の厚さは、20μm以上150μm以下であり、
前記物理スイッチは、上下に可動する接点を含む複数の接点を備え、
前記物理スイッチ上に位置する前記ガラス層が押されると、前記ガラス層及び前記樹脂層が弾性変形して複数の前記接点の導通と非導通とが切り替わる、スイッチ装置。
(付記2)
連続する1つの表面を備えたガラス層と、
前記ガラス層の裏面側に積層された樹脂層と、
前記樹脂層の裏面側の、互いに重ならない位置に配置された物理スイッチ及びタッチスイッチと、を有し、
前記ガラス層の表面は、湾曲している領域を含み、
前記ガラス層の厚さは、20μm以上150μm以下であり、
前記物理スイッチは、上下に可動する接点を含む複数の接点を備え、
前記物理スイッチ上に位置する前記ガラス層が押されると、前記ガラス層及び前記樹脂層が弾性変形して複数の前記接点の導通と非導通とが切り替わる、スイッチ装置。
(付記3)
連続する1つの表面を備えたガラス層と、
前記ガラス層の裏面側に積層された樹脂層と、
前記樹脂層の裏面側の、互いに重ならない位置に配置された複数の物理スイッチと、
前記樹脂層の裏面と各々の前記物理スイッチとの間に介在する、互いに厚さの異なる複数の操作釦と、を有し、
前記ガラス層の表面は、湾曲している領域を含み、
前記ガラス層の厚さは、20μm以上150μm以下であり、
前記物理スイッチは、上下に可動する接点を含む複数の接点を備え、
前記物理スイッチ上に位置する前記ガラス層が押されると、前記ガラス層及び前記樹脂層が弾性変形して複数の前記接点の導通と非導通とが切り替わる、スイッチ装置。
(付記4)
複数の前記物理スイッチは、平坦な基板上に配置されている、付記3に記載のスイッチ装置。
(付記5)
複数の前記操作釦は、前記物理スイッチ側に配置される柱状部と、前記柱状部の前記樹脂層側に配置されて前記柱状部の外周側に延伸するフランジ部と、を備えた操作釦を含む、付記3又は4に記載のスイッチ装置。
(付記6)
複数の前記操作釦は、前記樹脂層側の端面が前記樹脂層の裏面に沿って湾曲している操作釦を含む、付記3乃至5のいずれか一に記載のスイッチ装置。
(付記7)
前記樹脂層の裏面側の、前記物理スイッチに重ならない位置に配置されたタッチスイッチを有する、付記3乃至6のいずれか一に記載のスイッチ装置。
(付記8)
前記タッチスイッチの裏面側に表示部が積層されている、付記1、2、又は7に記載のスイッチ装置。
(付記9)
前記ガラス層の表面側から視て、前記物理スイッチと重複する位置に、前記物理スイッチの操作に関連する絵記号が視認される、付記1乃至8のいずれか一に記載のスイッチ装置。
(付記10)
前記絵記号は、前記樹脂層の裏面側に配置されるフィルム、又は前記樹脂層の表面若しくは裏面に印刷されている、付記9に記載のスイッチ装置。
(付記11)
付記1乃至10のいずれか一に記載のスイッチ装置を有する電子装置。
【符号の説明】
【0100】
1,1A,1B,1C,1D,1E スイッチ装置
10 ガラス層
10a,20a 表面
10b,20b 裏面
20 樹脂層
30 物理スイッチ
31 ハウジング
32 フィルム
33 フレーム
34 ステム
35 第1接点
36 第2接点
40 タッチスイッチ
50 支持部
60 接合層
70,70A 表示部
80 釦保持部
80x 釦配置孔
90A,90B 操作釦
200 電子装置
210 基部
215 光源
220 支持部
221 部品保持部
222 裏蓋
230 タッチスイッチ式表示装置
240 黒フィルム
250 スモークフィルム
260 印刷フィルム
270 透明フィルム
280 フレーム