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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024106550
(43)【公開日】2024-08-08
(54)【発明の名称】ストレッチャブルデバイス
(51)【国際特許分類】
   G01L 5/00 20060101AFI20240801BHJP
   G01L 1/18 20060101ALI20240801BHJP
   G01L 1/22 20060101ALI20240801BHJP
【FI】
G01L5/00 101Z
G01L1/18 B
G01L1/22 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023010858
(22)【出願日】2023-01-27
(71)【出願人】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】菱沼 賢智
(72)【発明者】
【氏名】佐野 匠
【テーマコード(参考)】
2F049
2F051
【Fターム(参考)】
2F049CA04
2F049CA09
2F051AB09
(57)【要約】
【課題】ヒンジ部のひずみ量を精度良く検出できるストレッチャブルデバイスを提供する。
【解決手段】ストレッチャブルデバイスは、ひずみゲージと、ひずみゲージの抵抗値の変化量を検出する電気配線を有する。電気配線は、縦ひずみ用電気配線と横ひずみ用電気配線を有する。縦ひずみ用電気配線と横ひずみ用電気配線は、ひずみゲージの一端に第1電位を印加する第1電位線と、第2電位をひずみゲージの他端に印加する第2電位線と、周辺領域に配置され、第1電位線と第2電位線とを接続する接続線と、第1信号線と、周辺領域に延在する第2信号線を有する。第1信号線が検出する所定の電位には、ひずみゲージの他端と第2電位線とが接続する第1接続点の第3電位である。第2信号線が検出する所定の電位には、接続線の中間点の第4電位である。第3電位と第4電位の電位差によりひずみゲージの抵抗値の変化量を検出する。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向と、前記第1方向に交差する第2方向と、を含む平面方向に延在する樹脂基材と、
前記樹脂基材に配置される複数のひずみゲージと、
前記ひずみゲージの抵抗値の変化量を検出する電気配線と、
前記樹脂基材、前記ひずみゲージ、及び前記電気配線を収容する筐体と、
を有し、
前記筐体は、前記平面方向と直交する方向から視て、入力された荷重を検出可能な検出領域と、前記検出領域を囲む枠状の周辺領域と、に区分けされ、
前記樹脂基材は、
前記検出領域に配置され、互いに前記第1方向及び前記第2方向に離隔する複数のボディ部と、
前記検出領域に配置され、蛇行しながら前記第1方向に延在し、前記第1方向に隣り合う前記ボディ部同士を接続する複数の縦ヒンジ部と、
前記検出領域に配置され、蛇行しながら前記第2方向に延在し、前記第2方向に隣り合う前記ボディ部同士を接続する複数の横ヒンジ部と、
を有し、
前記ひずみゲージは、
前記縦ヒンジ部に配置された縦ひずみゲージと、
前記横ヒンジ部に配置された横ひずみゲージと、
を有し、
前記電気配線は、
前記縦ひずみゲージの抵抗値の変化量を検出する縦ひずみ用電気配線と、
前記横ひずみゲージの抵抗値の変化量を検出する横ひずみ用電気配線と、
を有し、
前記縦ひずみ用電気配線と前記横ひずみ用電気配線のそれぞれは、
前記周辺領域と前記ボディ部と前記縦ヒンジ部とに跨って配置され、前記ひずみゲージの一端に第1電位を印加する第1電位線と、
前記周辺領域と前記ボディ部と前記縦ヒンジ部とに跨って配置され、前記第1電位よりも低い第2電位を前記ひずみゲージの他端に印加する第2電位線と、
前記周辺領域に配置され、前記第1電位線と前記第2電位線とを接続する接続線と、
前記周辺領域と前記ボディ部と前記縦ヒンジ部とに跨って配置され、所定の電位を検出する第1信号線と、
前記周辺領域に配置され、所定の電位を検出する第2信号線と、
を有し、
前記第1信号線が検出する所定の電位には、前記ひずみゲージの他端と前記第2電位線とが接続する第1接続点における第3電位であり、
前記第2信号線が検出する所定の電位には、前記接続線の中間点における第4電位であり、
前記第1信号線から検出された前記第3電位と、前記第2信号線から検出された前記第4電位と、の電位差により前記ひずみゲージの抵抗値の変化量を検出する
ストレッチャブルデバイス。
【請求項2】
前記ボディ部に配置され、前記第1信号線と前記ひずみゲージの一端との間に介在するスイッチ素子と、
前記周辺領域と前記ボディ部と前記横ヒンジ部とに跨って配置され、前記スイッチ素子を開閉させるゲート線と、
を有している
請求項1に記載のストレッチャブルデバイス。
【請求項3】
前記縦ひずみ用電気配線と前記横ひずみ用電気配線は、1つの前記第1電位線を共有している
請求項1又は請求項2に記載のストレッチャブルデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ストレッチャブルデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
ストレッチャブルデバイスは、伸縮性及び可撓性に優れている。このようなストレッチャブルデバイスは、配線層が積層される樹脂基材を有している。樹脂基材は、マトリクス状に配置されたボディ部と、ボディ部同士を接続するヒンジ部と、を有している。特許文献1のヒンジ部は、複数の円弧部を有し、蛇行するミアンダ形状となっている。そして、ストレッチャブルデバイスに引っ張り荷重が作用すると、ヒンジ部の円弧部が拡大するように変形する。この結果、ボディ部同士が離隔し、ストレッチャブルデバイスが伸長する。
【0003】
また、特許文献2には、表示装置が開示されている。この表示装置は、画素毎に圧力センサが設けられている。よって、画素毎に加えられた圧力を検出することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-118273号公報
【特許文献2】特開2019-28435号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、ストレッチャブルデバイスに作用した荷重を検出するため、ヒンジ部にひずみゲージを設け、ヒンジ部のひずみ量(変形量)を検出することが検討されている。併せて、ひずみゲージに電圧を印加する電圧線と、ひずみゲージからの信号を受ける信号線と、をヒンジ部とボディ部に跨って配置することが検討されている。但し、この配置によれば、電圧線や信号線のうちヒンジ部に配置される部分にひずみが発生する。つまり、電圧線や信号線の抵抗値が変化する(ノイズが入力される)。よって、ヒンジ部のひずみ量を精度良く検出できない可能性がある。
【0006】
特許文献2の表示装置では、信号線に入力されたノイズを除去するため、ホイートストンブリッジ回路を利用している。しかしながら、ストレッチャブルデバイスのヒンジ部はいわゆる2軸であり、2方向に延在している。よって、特許文献2のホイートストンブリッジ回路をそのまま適用することができない。以上から、ストレッチャブルデバイスにおいて、信号線等をヒンジ部に配置しても、ヒンジ部のひずみ量を精度良く検出できるストレッチャブルデバイスの開発が望まれている。
【0007】
本発明は、ヒンジ部のひずみ量を精度良く検出できるストレッチャブルデバイスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一態様に係るストレッチャブルデバイスは、第1方向と、前記第1方向に交差する第2方向と、を含む平面方向に延在する樹脂基材と、前記樹脂基材に配置される複数のひずみゲージと、前記ひずみゲージの抵抗値の変化量を検出する電気配線と、前記樹脂基材、前記ひずみゲージ、及び前記電気配線を収容する筐体と、を有する。前記筐体は、前記平面方向と直交する方向から視て、入力された荷重を検出可能な検出領域と、前記検出領域を囲む枠状の周辺領域と、に区分けされる。前記樹脂基材は、前記検出領域に配置され、互いに前記第1方向及び前記第2方向に離隔する複数のボディ部と、前記検出領域に配置され、蛇行しながら前記第1方向に延在し、前記第1方向に隣り合う前記ボディ部同士を接続する複数の縦ヒンジ部と、前記検出領域に配置され、蛇行しながら前記第2方向に延在し、前記第2方向に隣り合う前記ボディ部同士を接続する複数の横ヒンジ部と、を有する。前記ひずみゲージは、前記縦ヒンジ部に配置された縦ひずみゲージと、前記横ヒンジ部に配置された横ひずみゲージと、を有する。前記電気配線は、前記縦ひずみゲージの抵抗値の変化量を検出する縦ひずみ用電気配線と、前記横ひずみゲージの抵抗値の変化量を検出する横ひずみ用電気配線と、を有する。前記縦ひずみ用電気配線と前記横ひずみ用電気配線のそれぞれは、前記周辺領域と前記ボディ部と前記縦ヒンジ部とに跨って配置され、前記ひずみゲージの一端に第1電位を印加する第1電位線と、前記周辺領域と前記ボディ部と前記縦ヒンジ部とに跨って配置され、前記第1電位よりも低い第2電位を前記ひずみゲージの他端に印加する第2電位線と、前記周辺領域に配置され、前記第1電位線と前記第2電位線とを接続する接続線と、前記周辺領域と前記ボディ部と前記縦ヒンジ部とに跨って配置され、所定の電位を検出する第1信号線と、前記周辺領域に配置され、所定の電位を検出する第2信号線と、を有する。前記第1信号線が検出する所定の電位には、前記ひずみゲージの他端と前記第2電位線とが接続する第1接続点における第3電位である。前記第2信号線が検出する所定の電位には、前記接続線の中間点における第4電位である。前記第1信号線から検出された前記第3電位と、前記第2信号線から検出された前記第4電位と、の電位差により前記ひずみゲージの抵抗値の変化量を検出する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施形態に係るストレッチャブルデバイスを斜視した模式図である。
図2図2は、実施形態に係るストレッチャブルデバイスの断面を模式的に示した図であり、詳細には、図3のII-II線に沿って切った断面図である。
図3図3は、実施形態に係るストレッチャブルデバイスの表面の方から樹脂基材及び第1樹脂板の一部を見た拡大図である。
図4図4は、実施形態の第1ヒンジを拡大した拡大図である。
図5図5は、実施形態の縦ヒンジ部であって第1方向に伸張するような荷重が作用した場合の拡大図である。
図6図6は、実施形態の配線層の回路図である。
図7図7は、実施形態のボディ部と縦ヒンジ部を平面視した図である。
図8図8は、実施形態のボディ部と横ヒンジ部を平面視した図である。
図9図9は、実施形態の回路を模式的に示した図である。
図10図10は、実施形態の回路においてヒンジ部が変形した場合模式的に示した図である。
図11図11は、図3のXI-XI線矢視断面図である。
図12図12は、図3のXII-XII線矢視断面図である。
図13図13は、変形例のストレッチャブルデバイスにおけるの配線層の回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本開示の発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。なお、開示はあくまで一例にすぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の構成要素には、同一の符号を付し、詳細な説明を適宜省略することがある。
【0011】
また、本明細書及び特許請求の範囲において、ある構造体の上に他の構造体を配置する態様を表現するにあたり、単に「上に」と表記する場合、特に断りの無い限りは、ある構造体に接するように、直上に他の構造体を配置する場合と、ある構造体の上方に、さらに別の構造体を介して他の構造体を配置する場合との両方を含むものとする。
【0012】
(実施形態)
図1は、実施形態に係るストレッチャブルデバイスを斜視した模式図である。図1に示すように、ストレッチャブルデバイス1は、平板状を成している。ストレッチャブルデバイス1は、互いに反対方向を向く表面1aと裏面1b(図1で不図示。図2参照)を有している。
【0013】
以下、表面1a及び裏面1bのそれぞれと平行な方向を平面方向と称する。また、平面方向と平行な一方向を第1方向Dxと称する。平面方向と平行であり、かつ第1方向Dxと交差する方向を第2方向Dyと称する。表面1aの法線方向(積層方向)を第3方向Dzと称する。そのほか、ストレッチャブルデバイス1を第3方向Dzから視ることを平面視と称する場合がある。
【0014】
ストレッチャブルデバイス1は、平面視で長方形(四角形)に形成されている。よって、表面1aは、一対の短辺1cと、一対の長辺1dと、を有している。第1方向Dxは、長辺1dと平行な方向とする。第2方向Dyは、短辺1cと平行な方向とする。よって、本実施形態では、第1方向Dxと第2方向Dyとは、互いに直交している。
【0015】
ストレッチャブルデバイス1は、平面視で、ストレッチャブルデバイス1に入力された荷重を検出可能な検出領域2と、検出領域2の外側を囲む枠状の周辺領域3と、に区分けされる。なお、図1では、検出領域2と周辺領域3の境界を理解し易くするため、境界線L1を引いている。
【0016】
図2は、実施形態に係るストレッチャブルデバイスの断面を模式的に示した図であり、詳細には、図3のII-II線に沿って切った断面図である。図2に示すように、ストレッチャブルデバイス1は、裏面1bを有する第1樹脂板60と、表面1aを有する第2樹脂板70と、第1樹脂板60と第2樹脂板70の間に挟まれた樹脂基材10及び配線層30と、を備えている。第1樹脂板60及び第2樹脂板70は、互いに協働して樹脂基材10及び配線層30を収容する筐体となっている。第1樹脂板60は、裏面1bの反対面である積層面60aを有している。この積層面60aに、樹脂基材10、配線層30の順で積層されている。
【0017】
第1樹脂板60及び第2樹脂板70は、ポリイミドにより製造され、伸縮性及び可撓性を有している。なお、第1樹脂板60及び第2樹脂板70を形成する樹脂材料は、ポリイミドに限定されず、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂などであってもよく、本開示は上記したものに限定されない。また、以下の説明において、上側又は上方とは、第3方向Dzの一方向であり、第1樹脂板60から視て第2樹脂板70が配置されている方を指す。また、下側又は下方とは、第3方向Dzの他方向であり、第2樹脂板70から視て第1樹脂板60が配置されている方を指す。
【0018】
図3は、実施形態に係るストレッチャブルデバイスの表面の方から樹脂基材及び第1樹脂板の一部を見た拡大図である。なお、図3において樹脂基材10を見易くするため、樹脂基材10にハッチングを施している。樹脂基材10は、第1樹脂板60の積層面60aに設けられている。樹脂基材10は、伸縮性、可撓性、及び絶縁性を有している。樹脂基材10は、例えばポリイミドなどの樹脂材料から形成されている。
【0019】
樹脂基材10は、複数のボディ部11と、蛇行しながら平面方向に延在する複数のヒンジ部12と、を有している。ボディ部11及びヒンジ部12は、それぞれ検出領域2に配置されている。
【0020】
ボディ部11は、平面視で四角形状(正方形状)となっている。ボディ部11は、4つの角部が第1方向Dxと第2方向Dyを指すように配置されている。複数のボディ部11は、第1方向Dx及び第2方向Dyに配列し、かつ互いに離隔している。ボディ部11に積層される配線層30には、スイッチ素子(トランジスタ41)が含まれている(図11参照)。なお、本開示は、平面視でのボディ部11の形状に関し、四角形状に限定されず、円形状や他の多角形状であってもよい。
【0021】
ヒンジ部12は、隣り合うボディ部11同士を接続している。ヒンジ部12は、第1方向Dxに延在するする縦ヒンジ部12Aと、第2方向Dyに延在する横ヒンジ部12Bと、の2種類がある。また、樹脂基材10においてボディ部11とヒンジ部12とが設けられていない部分は、樹脂基材10を第3方向Dzに貫通する肉抜き部19となっている。つまり、樹脂基材10は、複数の肉抜き部19を有している。
【0022】
肉抜き部19と重なる領域には、配線層30が積層されない。図2に示すように、肉抜き部19は、第2樹脂板70により埋められている。このため、ストレッチャブルデバイス1は、肉抜き部19と重なる範囲の剛性が低く、伸縮性や屈曲性(ストレッチャブル性)を備える。よって、ストレッチャブルデバイス1に荷重が作用すると、ヒンジ部12が変形する。一方で、ボディ部11の変形が小さく、ボディ部11に積層される機能素子(本実施形態ではトランジスタ41)の破損が抑制される。
【0023】
なお、本実施形態の肉抜き部19は、第2樹脂板70により埋められているが、本開示は、第1樹脂板60により埋められてもよい。又は、肉抜き部19は、第1樹脂板60と第2樹脂板70により埋められていてもよい。若しくは、肉抜き部19は、第1樹脂板60と第2樹脂板70以外の樹脂材により埋められていてもよい。そのほか、肉抜き部19は、何も配置されておらず、空間となっていてもよい。
【0024】
次に、ヒンジ部12の詳細を説明する。なお、縦ヒンジ部12Aを90°回転させると、横ヒンジ部12Bと同一形状となる。よって、以下では、縦ヒンジ部12Aを代表例として説明する。
【0025】
図4は、実施形態の第1ヒンジを拡大した拡大図である。図5は、実施形態の縦ヒンジ部であって第1方向に伸張するような荷重が作用した場合の拡大図である。なお、図4図5で示す仮想線Kは、縦ヒンジ部12Aの幅方向の中央を通過する仮想線である。
【0026】
図4に示すように、縦ヒンジ部12Aの幅方向の大きさWは、縦ヒンジ部12Aが延在する長さ方向に一定となっている。縦ヒンジ部12Aは、縦ヒンジ部12Aの長さ方向の両端部に位置する2つの基部13と、2つの基部13の間に配置された4つの屈曲部14と、を有している。よって、縦ヒンジ部12Aは、2つのボディ部11の間を蛇行しながら第1方向Dxに延在している。説明の都合上、縦ヒンジ部12Aを挟む2つのボディ部11のうち、一方を第1ボディ部11aと称し、他方を第2ボディ部11bと称する。
【0027】
基部13は、ボディ部11に連続し、ボディ部11から第1方向Dxに直線状に延びている。なお、2つの基部13のうち第1ボディ部11aに連続する基部13を第1基部13aと称し、第2ボディ部11bに連続する基部13を第2基部13bと称する。
【0028】
屈曲部14は、第2方向Dyに折れ曲がっている。本実施形態の屈曲部14は、円弧状を成している。なお、本開示の屈曲部は、円弧状でなく、角状に形成されていてもよい。4つの屈曲部14は、第1基部13aから第2基部13bに向かって順に配置される第1円弧部21、第2円弧部22、第3円弧部23、第4円弧部24である。第1円弧部21及び第4円弧部24は、四分円状を成し、90度折れ曲がっている。第2円弧部22及び第3円弧部23は、半円弧状を成し、180度折れ曲がっている。
【0029】
第1円弧部21の一端は、第1基部13aと接続している。第1円弧部21は、第1基部13aに対し、第2方向Dyの一方に折れ曲がっている。また、第4円弧部24の一端は、第2基部13bと接続している。第4円弧部24は、第2基部13bから第2方向Dyの他方に折れ曲がっている。よって、第1円弧部21と第4円弧部24とは、折れ曲がる方向が反対となっている。
【0030】
第2円弧部22の一端は、第1円弧部21と接続している。第2円弧部22の他端は、第2方向Dyの他方を向いている。また、第3円弧部23は、一端が第4円弧部24と接続し、他端が第2方向Dyの一方を向き、第2円弧部22の他端と接続している。以上か、4つの屈曲部14により縦ヒンジ部12Aが蛇行している。
【0031】
図4で示すように、各屈曲部14は、仮想線Kを境界として、内側(内周側)に配置される内周部と、外側(外周側)に配置される外周部と、に区分けされる。なお、図4では、各屈曲部14の内周部と外周部の範囲を明確にするため、内周部と外周部を楕円形で囲んでいる。ただし、仮想線Kよりも内周側の全てが内周部であり、仮想線Kよりも外周側の全てが外周部である。よって、楕円で囲まれた範囲は、内周部又は外周部の一部である。
【0032】
図5に示すように、ストレッチャブルデバイス1に第1方向Dxに引っ張られると(図5の矢印F参照)、縦ヒンジ部12Aが第1方向Dxに伸張する。つまり、各屈曲部14が折れ曲がり角度が大きくなり、縦ヒンジ部12Aの第1方向Dxの長さが大きくなる。また、各屈曲部14が折れ曲がり角度が大きくなった場合、各屈曲部14の内周部と外周部とでは、つぎのような荷重(応力)が作用する。
【0033】
第1円弧部21の第1内周部21Nには、引っ張り荷重が作用する。第1円弧部21の第1外周部21Gに圧縮荷重が作用する。第2円弧部22の第2内周部22Nには、引っ張り荷重が作用する。第2円弧部22の第2外周部22Gには、圧縮荷重が作用する。第3円弧部23の第3内周部23Nには、引っ張り荷重が作用する。第3円弧部23の第3外周部23Gは、圧縮荷重が作用する。第4円弧部24の第4内周部24Nは、引っ張り荷重が作用する。第4円弧部24の第4外周部24Gは、圧縮荷重が作用する。
【0034】
以上から、各屈曲部14の内周部に引っ張り荷重が作用し、一方、各屈曲部14の外周部に圧縮荷重が作用するようになっている。
【0035】
図4に示すように、ヒンジ部12には、配線層30のひずみゲージ27が配置される。ひずみゲージ27は、ヒンジ部12の変形に対応して変形し、抵抗値が変化する。また、ひずみゲージ27は、縦ヒンジ部12Aに配置される縦ひずみゲージ127(図7参照)と、横ヒンジ部12Bに配置される横ひずみゲージ227(図8参照)と、を有している。仮に、ひずみゲージ27が屈曲部14の内周部と外周部のそれぞれに配置されると、ひずみゲージ27に引っ張り荷重と圧縮荷重の両方が入力され、ヒンジ部12に作用した荷重を検出できない。これを回避するため、ひずみゲージ27(縦ひずみゲージ127及び横ひずみゲージ227)は、各屈曲部14において、内周部(第1内周部21N、第2内周部22N、第3内周部23N、第4内周部24N)のみと重なるように配置されている。つまり、ひずみゲージ27は、各屈曲部14において共通した応力(引っ張り荷重)が作用するようになっている。なお、本開示は、各屈曲部14において外周部と重なるように配置されたひずみゲージであってもよい。次に配線層30について説明する。
【0036】
図6は、実施形態の配線層の回路図である。配線層30は、ヒンジ部12のひずみ量を検出するための層である。図6に示すように、配線層30は、前記した複数のひずみゲージ27と、電気配線40と、を有している。電気配線40は、各ボディ部11に配置されたスイッチ素子(トランジスタ41)と、第2方向Dyに延在するゲート線43と、第1方向Dxに延在する第1電位線44、第2電位線45、及び第1信号線46と、周辺領域3に配置された第2信号線47及び接続線49と、を備えている。なお、電気配線40の各構成については後述する。
【0037】
また、図1に示すように、配線層30は、電気配線40を駆動させるため、周辺領域3に配置された接続部101と、ゲート線駆動回路102と、第1電位線選択回路103と、第2電位線選択回路104と、第1信号線選択回路105と、第2信号線選択回路106と、を有している。
【0038】
接続部101は、ストレッチャブルデバイス1の外部に配置された駆動IC(Integrated Circuit)と接続するためのものである。なお、駆動ICは、接続部101に接続される図示しないフレキシブルプリント基板やリジット基板の上に、COF(Chip On Film)として実装されてもよい。または、駆動ICは、第1樹脂板60の周辺領域3にCOG(Chip On Glass)として実装されてもよい。
【0039】
ゲート線駆動回路102は、駆動ICからの各種制御信号に基づいて複数のゲート線43(図6参照)を駆動する回路である。ゲート線駆動回路102は、複数のゲート線43を順次又は同時に選択し、選択したゲート線43にゲート駆動信号を供給する。
【0040】
第1電位線選択回路103は、複数の第1電位線44を順次又は同時に選択するスイッチ回路である。第1電位線選択回路103は、駆動ICから供給される選択信号に基づき、選択された第1電位線44と駆動ICとを接続し、第1電位線44に所定の第1電位V1を印加する。
【0041】
第2電位線選択回路104は、複数の第2電位線45を順次又は同時に選択するスイッチ回路である。第2電位線選択回路104は、駆動ICから供給される選択信号に基づき、選択された第2電位線45と駆動ICとを接続し、第2電位線45に所定の第2電位V2を印加する。また、第2電位V2は、第1電位V1よりも低い(V2>V1)。本実施形態において、第2電位V2は0Vである。
【0042】
第1信号線選択回路105は、複数の第1信号線46を順次又は同時に選択するスイッチ回路である。第1信号線選択回路105は、駆動ICから供給される選択信号に基づき、第1信号線46と駆動ICと接続する。これにより、第1信号線46の信号(電位)が駆動ICに送られる。
【0043】
第2信号線選択回路106は、複数の第2信号線47を順次又は同時に選択するスイッチ回路である。第2信号線選択回路106は、駆動ICから供給される選択信号に基づき、第2信号線47と駆動ICと接続する。これにより、第2信号線47の信号(電位)が駆動ICに送られる。次に電気配線40の各構成の詳細を説明する。
【0044】
図7は、実施形態のボディ部と縦ヒンジ部を平面視した図である。図8は、実施形態のボディ部と横ヒンジ部を平面視した図である。図7に示すように、電気配線40は、縦ひずみゲージ127と接続する縦ひずみ用電気配線140と、横ひずみゲージ227と接続する横ひずみ用電気配線240と、を有している。なお、ゲート線43は、縦ひずみ用電気配線140と横ひずみ用電気配線240とで共用されている。最初にゲート線43を説明する。
【0045】
図8に示すように、ゲート線43は、複数の横ヒンジ部12Bと複数のボディ部11とに跨って配置されている。これにより、ゲート線43は、検出領域2内を第2方向Dyに延在している。また、ゲート線43は、第1方向Dxに複数配置されている(図7参照)。ゲート線43の第2方向Dyの端部は、周辺領域3に延在し、ゲート線駆動回路102に接続している。
【0046】
図7に示すように、縦ひずみ用電気配線140は、縦ひずみ用トランジスタ141と、縦ひずみ用第1電位線144、縦ひずみ用第2電位線145、縦ひずみ用第1信号線146、縦ひずみ用第2信号線147(図6参照)、及び縦ひずみ用接続線149(図6参照)を有している。
【0047】
縦ひずみ用第1電位線144と、縦ひずみ用第2電位線145と、縦ひずみ用第1信号線146は、それぞれ、複数の縦ヒンジ部12Aと複数のボディ部11とに跨って配置されている。これにより、検出領域2内を第1方向Dxに延在している。縦ひずみ用第1電位線144と、縦ひずみ用第2電位線145と、縦ひずみ用第1信号線146は、それぞれ、第2方向Dyに複数配置されている(図8参照)。
【0048】
縦ひずみ用第1電位線144と、縦ひずみ用第2電位線145と、縦ひずみ用第1信号線146は、それぞれの端部が周辺領域3まで延在している(図6参照)。そして、縦ひずみ用第1電位線144は、第1電位線選択回路103(図1参照)に接続している。縦ひずみ用第2電位線145は、第2電位線選択回路104(図1参照)に接続している。縦ひずみ用第1信号線146は、第1信号線選択回路105(図1参照)に接続している。
【0049】
図7に示すように、縦ひずみ用トランジスタ141は、各ボディ部11に配置されている。縦ひずみ用トランジスタ141のゲート電極は、ゲート線43と接続している。縦ひずみ用トランジスタ141のドレイン電極は、縦ひずみ用第1電位線144と接続している。縦ひずみ用トランジスタ141のソース電極は、縦ひずみゲージ127の一端127aと接続している。よって、縦ひずみ用トランジスタ141は、縦ひずみ用第1電位線144と縦ひずみゲージ127の一端127aとの間に介在している。また、縦ひずみゲージ127の他端127bは、縦ひずみ用第2電位線145と接続している。よって、縦ひずみ用トランジスタ141が閉じると、縦ひずみゲージ127には、第1電位V1と第2電位V2の電位差(電圧)が印加される。
【0050】
以下、縦ひずみゲージ127の他端127bと縦ひずみ用第2電位線145との接続点を第1接続点P11と称する。縦ひずみ用第1信号線146は、第1接続点P11と接続している。よって、縦ひずみ用第1信号線146には、第1接続点P11の電位(以下、第3電位V3と称する)が入力される。
【0051】
図5に示すように、縦ひずみ用第2信号線147と縦ひずみ用接続線149は、周辺領域3に配置されている。縦ひずみ用接続線149は、縦ひずみ用第1電位線144と縦ひずみ用第2電位線145とを接続している。以下、縦ひずみ用接続線149と縦ひずみ用第1電位線144との接続点を第2接続点P12と称する。縦ひずみ用接続線149と縦ひずみ用第2電位線145との接続点を第3接続点P13と称する。
【0052】
縦ひずみ用第2信号線147の一端は、縦ひずみ用接続線149の中間点P14と接続している。よって、縦ひずみ用第2信号線147には、中間点P14の電位(以下、第4電位V4を称する)が入力される。そして、縦ひずみ用第2信号線147の他端は、信号線選択回路8に接続している。
【0053】
横ひずみ用電気配線240は、横ひずみ用トランジスタ241と、横ひずみ用第1電位線244、横ひずみ用第2電位線245、横ひずみ用第1信号線246、横ひずみ用第2信号線247(図6参照)、及び横ひずみ用接続線249(図6参照)を有している。
【0054】
図7に示すように、横ひずみ用第1電位線244と、横ひずみ用第2電位線245と、横ひずみ用第1信号線246は、それぞれ、複数の縦ヒンジ部12Aと複数のボディ部11とに跨って配置されている。これにより、検出領域2内を第1方向Dxに延在している。また、横ひずみ用第1電位線244、横ひずみ用第2電位線245、横ひずみ用第1信号線246は、それぞれ、第2方向Dyに複数配置されている(図8参照)。
【0055】
横ひずみ用第1電位線244と、横ひずみ用第2電位線245と、横ひずみ用第1信号線246は、それぞれの端部が周辺領域3まで延在している(図6参照)。そして、横ひずみ用第1電位線244は、第1電位線選択回路103(図1参照)に接続している。横ひずみ用第2電位線245は、第2電位線選択回路104(図1参照)に接続している。横ひずみ用第1信号線246は、第1信号線選択回路105(図1参照)に接続している。
【0056】
横ひずみ用トランジスタ241は、各ボディ部11に配置されている。横ひずみ用トランジスタ241のゲート電極は、ゲート線43に接続している。横ひずみ用トランジスタ241のドレイン電極側は、横ひずみ用第1電位線244と接続している。横ひずみ用トランジスタ241のソース電極側は、横ひずみゲージ227の一端227aと接続している。よって、横ひずみ用トランジスタ241は、横ひずみ用第1電位線244と横ひずみゲージ227の一端227aとの間に介在している。また、横ひずみゲージ227の他端227bは、横ひずみ用第2電位線245と接続している。よって、横ひずみ用トランジスタ241が閉じると、横ひずみゲージ227には、第1電位V1と第2電位V2の電位差(電圧)が印加される。
【0057】
以下、横ひずみゲージ227の他端227bと横ひずみ用第2電位線245との接続点を第1接続点P21と称する。横ひずみ用第1信号線246は、第1接続点P21と接続している。よって、横ひずみ用第1信号線246には、第1接続点P21の電位(以下、第3電位V3と称する)が入力される。
【0058】
図5に示すように、横ひずみ用第2信号線247と横ひずみ用接続線249は、周辺領域3に配置されている。横ひずみ用接続線249は、横ひずみ用第1電位線244と横ひずみ用第2電位線245とを接続している。以下、横ひずみ用接続線249と横ひずみ用第1電位線244との接続点を第2接続点P22と称する。横ひずみ用接続線249と横ひずみ用第2電位線245との接続点を第3接続点P23と称する。
【0059】
横ひずみ用第2信号線247の一端は、横ひずみ用接続線249の中間点P24と接続している。よって、横ひずみ用第2信号線247には、中間点P24の電位(以下、第4電位V4を称する)が入力される。横ひずみ用第2信号線247の他端は、信号線選択回路8に接続している。
【0060】
図6に示すように、電気配線40(縦ひずみ用電気配線140及び横ひずみ用電気配線240)において、トランジスタ41(141、241)が閉じている場合、第1接続点P11、P21と、第2接続点P12、P22と、第3接続点P31、P32と、中間点P14、P24と、のそれぞれを結ぶ4つの配線から回路(第1回路150、第2回路250)が構成される。なお、図6において、回路(第1回路150、第2回路250)を分かり易くするため、回路を構成する配線を他の配線よりも太く表している。
【0061】
また、第3接続点P31、P32から第1接続点P11、P21までの間に、第2抵抗値R2を有する第2抵抗部品52が配置されている。第2接続点P12、P22から中間点P14、P24までの間に、第3抵抗値R3を有する第3抵抗部品53が配置されている。第3接続点P31、P32から中間点P14、P24までの間に、第4抵抗値R4を有する第4抵抗部品54が配置されている。第2抵抗部品52と第3抵抗部品53と第4抵抗部品54のそれぞれは、周辺領域3に配置されている。第2抵抗値R2と第3抵抗値R3と第4抵抗値R4は、ひずみゲージ27にひずみが発生していない状態の第1抵抗値R1と等しい(R1=R2=R3=R4)。
【0062】
図9は、実施形態の回路を模式的に示した図である。図9に示すように、回路(第1回路150、第2回路250)は、ホイートストンブリッジ回路を構成している。つまり、第1信号線46から検出された第3電位V3と、第2信号線47から検出された第4電位V4と、の電位差によりひずみゲージ27の抵抗値の変化量を検出することができる。例えば、ひずみゲージ27にひずみが生じていない場合、第1信号線46で読み込まれた第1接続点P11、P21の第3電位V3と、第2信号線47で読み込まれた中間点P14、P24の第4電位V4と、が同電位となる。また、ヒンジ部12が変形し、ひずみゲージにひずみが生じると、第1抵抗値R1が変化し、第1接続点P11、P21の第3電位V3が変化する。よって、第1接続点P11、P21と中間点P14、P24との間に電位差が生じる。
【0063】
具体的には、ひずみゲージ27の抵抗値の変化量は、以下の式(1)から算出される。
【0064】
【数1】
【0065】
式(1)中のVoutは、第3電位V3と第4電位V4との電位差である。Vinは、第1電位V1と第2電位V2との電位差である。ΔR1は、第2接続点P12、P22からひずみゲージを経由した第1接続点P11、P21までの抵抗値の変化量である。ΔR2は、第1接続点P11、P21から第3接続点P13、P23までの抵抗値の変化量である。ΔR3は、第2接続点P12、P22から中間点P14、P24までの抵抗値の変化量である。ΔR4は、中間点P14、P24から第3接続点P13、P23までの抵抗値の変化量である。
【0066】
図10は、実施形態の回路においてヒンジ部が変形した場合模式的に示した図である。次に、ストレッチャブルデバイス1のヒンジ部12が変形した場合について説明する。図10に示すように、ヒンジ部12が変形すると、ひずみゲージ27にひずみが生じる。ここで、ひずみゲージ27の抵抗値の変化量をΔrgとする。また、ヒンジ部12に配置される第1電位線44と第2電位線45と第1信号線46も変形し、抵抗値が変化する。
【0067】
第1電位線44と第2電位線45と第1信号線46は、それぞれヒンジ部に配置されており、変形量(抵抗値の変化量)も略同じである。よって、第1電位線44と第2電位線45と第1信号線46のそれぞれの抵抗値の変化量をΔrとする。
【0068】
第1電位線44は、第1接続点P11、P21から第2接続点P12、P22までの配線の一部を構成している。よって、第1接続点P11、P21から第2接続点P12、P22の間の抵抗値の変化量ΔR1は、ひずみゲージ27の変化量Δrgと、第1電位線44の変化量Δrgを足し合わせたものとなる(ΔR1=Δr+Δrg)。
【0069】
第2電位線45は、第2接続点P12、P22から第3接続点P13、P23までの配線の一部を構成している。よって、第2接続点P12、P22から第3接続点P13、P23の間の抵抗値の変化量ΔR2は、Δrとなる(ΔR2=Δr)。
【0070】
第1信号線46は、回路(第1回路150、第2回路250)の外にある。よって、第1接続点P11、P21の電位に影響を与えない。
【0071】
また、接続線49は、周辺領域3に配置されて変形しない。よって、第2接続点P12、P22から中間点P14、P24までの抵抗値の変化量ΔR3はゼロ(ΔR3=0)である。同様に、中間点P14、P24から第3接続点P13、P23までの抵抗値の変化量ΔR4はゼロ(ΔR4=0)である。
【0072】
上記したΔR1=Δr+Δrg、ΔR2=Δr、ΔR3=0、ΔR4=0を式(1)に代入すると、下記の式(2-1)となる。また、第1抵抗値Rgと第2抵抗値R2が等しいため、式(2-1)から下記の式(2-2)にとなる。
【0073】
【数2】
【0074】
式(2-2)には、第1電位線44と第2電位線45と第1信号線46の抵抗値の変化量Δrが含まれていない。つまり、第1電位線44と第2電位線45と第1信号線46の抵抗値の変化(ノイズ)を無視し、ひずみゲージ27の抵抗値の変化量Δrgを求めることができる。
【0075】
次に、配線層30の断面構造について説明する。また、断面構造では、配線層30のうちボディ部11に積層される部分と、ヒンジ部12に積層される部分と、に分けて説明する。
【0076】
図11は、図3のXI-XI線矢視断面図である。配線層30のうちボディ部11に積層される部分には、複数の絶縁層が積層されている。具体的に複数の絶縁層は、ボディ部11の上方には、順に積層された、第1絶縁層31、第2絶縁層32、第3絶縁層33、及び第4絶縁層34である。第1絶縁層31、第2絶縁層32、第3絶縁層33、及び第4絶縁層34は、例えばシリコン酸化膜であり、ひずみゲージ27及び電気配線40の各構成を覆っている。また、第1絶縁層31と第2絶縁層32の間には、トランジスタ41のゲート絶縁膜41bが介在している。
【0077】
第2絶縁層32上には、第1電位線44(縦ひずみ用第1電位線144、横ひずみ用第1電位線244)、第2電位線45(縦ひずみ用第2電位線145、横ひずみ用第2電位線245)、第1信号線(縦ひずみ用第1信号線146、横ひずみ用第1信号線246)が積層されている。第3絶縁層33上には、ゲート線43が積層されている。第4絶縁層34上には、ひずみゲージ27(縦ひずみゲージ127、横ひずみゲージ227)が積層されている。ひずみゲージ27は、第2樹脂板70に覆われ、ひずみゲージ27の絶縁性が確保されている。なお、本開示は、ひずみゲージ27の上にシリコン酸化膜からなる絶縁層を設け、その上を第2樹脂板70で覆うようにしてもよい。
【0078】
トランジスタ41(縦ひずみ用トランジスタ141、横ひずみ用トランジスタ241)は、半導体層41aと、ゲート絶縁膜41bと、ゲート電極41cと、ドレイン電極41dと、ソース電極41eと、を備えている。半導体層41aは、コンタクト層を介して、ドレイン電極41dとソース電極41eと接続している。
【0079】
ゲート電極41cは、コンタクト層を介して、ゲート線43と接続している。ドレイン電極41dは、第1電位線44(縦ひずみ用第1電位線144、横ひずみ用第1電位線244)と同層に配置され、第1電位線44(縦ひずみ用第1電位線144、横ひずみ用第1電位線244)と接続している。
【0080】
ソース電極41eは、ひずみゲージ27と同層に配置され、ひずみゲージ27の一端(縦ひずみゲージ127の一端127a、横ひずみゲージ227の一端227a)と接続している。
【0081】
ひずみゲージ27の他端(縦ひずみゲージ127の他端127b、横ひずみゲージ227の他端227b)は、コンタクト層を介して中間層36と接続している。この中間層36は、2つのコンタクト層を介して、第2電位線45(縦ひずみ用第2電位線145、横ひずみ用第2電位線245)と、第1信号線(縦ひずみ用第1信号線146、横ひずみ用第1信号線246)と、に接続している。この中間層36は、ひずみゲージ27の他端(縦ひずみゲージ127の他端127b、横ひずみゲージ227の他端227b)と、第2電位線45(縦ひずみ用第2電位線145、横ひずみ用第2電位線245)と、を接続する第1接続点P11、P21に相当する。
【0082】
図12は、図3のXII-XII線矢視断面図である。配線層30のうち縦ヒンジ部12Aに積層される部分について説明する。縦ヒンジ部12A上に、第1電位線44(縦ひずみ用第1電位線144、横ひずみ用第1電位線244)、第2電位線45(縦ひずみ用第2電位線145、横ひずみ用第2電位線245)、第1信号線46(縦ひずみ用第1信号線146、横ひずみ用第1信号線246)が配置されている。
【0083】
第1電位線44、第2電位線45、第1信号線46は、絶縁層37に覆われている。そして、絶縁層37の上に、縦ひずみゲージ127が積層されている。また、縦ひずみゲージ127は、第2樹脂板70に覆われ、縦ひずみゲージ127の絶縁性が確保されている。なお、絶縁層37を形成する樹脂材料は、特に限定されないが、柔軟性が高いポリイミド等が好ましい。
【0084】
配線層30のうち横ヒンジ部12Bに積層される部分について説明する。特に図示しないが、縦ヒンジ部12A上には、ゲート線43が積層されている。ゲート線43は、絶縁層37に覆われている。そして、絶縁層37の上に、横ひずみゲージ227が積層されている。また、横ひずみゲージ227は、第2樹脂板70に覆われ、縦ひずみゲージ127の絶縁性が確保されている。
【0085】
以上、実施形態のストレッチャブルデバイス1によれば、第1電位線44と第2電位線45と第1信号線46の抵抗値の変化(ノイズ)を無視して、ひずみゲージ27の抵抗値の変化量Δrgを求めることができる。このため、ヒンジ部12のひずみ量を精度良く検出できる。
【0086】
以上、実施形態について説明したが、本開示は、実施形態で示した例に限定されない。次に変形例について説明する。なお、変形例の説明では、実施形態との相違点に絞って説明する。
【0087】
図13は、変形例のストレッチャブルデバイスにおけるの配線層の回路図である。変形例について説明する。変形例1のストレッチャブルデバイス1の電気配線40において、横ひずみ用電気配線240は、横ひずみ用第1電位線244を有していない点で、実施形態と相違する。また、横ひずみ用電気配線240は、横ひずみ用第1電位線244の代わりに、第1方向Dxに延在する第1連絡線344を有している点で実施形態と相違する。
【0088】
第1連絡線344は、複数のボディ部11と複数の縦ヒンジ部12Aに跨って配置され、第1方向Dxに延在している。第1連絡線344の一端は、周辺領域3に配置され、横ひずみ用接続線249に接続している。また、第1連絡線344には、横ひずみ用トランジスタ241のソース電極が接続している。よって、第1連絡線344と、横ひずみ用第1電位線244と、の相違点は、第1連絡線344は、第1電位線選択回路103に接続していないが、横ひずみ用第1電位線244は、第1電位線選択回路103に接続している点である。
【0089】
また、変形例のストレッチャブルデバイス1の電気配線40は、第2連絡線345を有している点で、実施形態と相違する。第2連絡線345は、縦ひずみ用第1電位線144と第1連絡線344とを連絡している。これによれば、第2連絡線345を介して、第1連絡線344には第1電位V1が入力される。よって、横ひずみ用第1電位線244を削減される。
【符号の説明】
【0090】
1 ストレッチャブルデバイス
2 検出領域
3 周辺領域
10 樹脂基材
11 ボディ部
12 ヒンジ部
12A 縦ヒンジ部
12B 横ヒンジ部
27 ひずみゲージ
30 配線層
40 電気配線
41 トランジスタ
43 ゲート線
44 第1電位線
45 第2電位線
46 第1信号線
47 第2信号線
49 接続線
52 第2抵抗部品
53 第3抵抗部品
54 第4抵抗部品
60 第1樹脂板
70 第2樹脂板
127 縦ひずみゲージ
140 縦ひずみ用電気配線
141 縦ひずみ用トランジスタ
144 縦ひずみ用第1電位線
145 縦ひずみ用第2電位線
146 縦ひずみ用第1信号線
147 縦ひずみ用第2信号線
149 縦ひずみ用接続線
227 横ひずみゲージ
240 横ひずみ用電気配線
241 横ひずみ用トランジスタ
244 横ひずみ用第1電位線
245 横ひずみ用第2電位線
246 横ひずみ用第1信号線
247 横ひずみ用第2信号線
249 横ひずみ用接続線
344 第1連絡線
345 第2連絡線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13