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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024106564
(43)【公開日】2024-08-08
(54)【発明の名称】垂直軸風車の翼連結構造
(51)【国際特許分類】
   F03D 3/06 20060101AFI20240801BHJP
【FI】
F03D3/06 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023010891
(22)【出願日】2023-01-27
(71)【出願人】
【識別番号】502444733
【氏名又は名称】日軽金アクト株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】504150461
【氏名又は名称】国立大学法人鳥取大学
(74)【代理人】
【識別番号】100096644
【弁理士】
【氏名又は名称】中本 菊彦
(74)【代理人】
【識別番号】100083998
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 丈夫
(72)【発明者】
【氏名】樋上 博幸
(72)【発明者】
【氏名】小池 洋光
(72)【発明者】
【氏名】石川 博光
(72)【発明者】
【氏名】朴 玉丹
(72)【発明者】
【氏名】原 豊
(72)【発明者】
【氏名】小野 猛
【テーマコード(参考)】
3H178
【Fターム(参考)】
3H178AA16
3H178AA40
3H178AA43
3H178BB35
3H178CC02
(57)【要約】
【課題】風車自体の大型化に対応すべく翼構造を強固にすると共に、風切り音を低減する垂直軸風車の翼連結構造を提供する。
【解決手段】風を受ける方向に対して垂直な軸周りに回転する回転軸2から上下斜め方向に延びる一対の延在部11と、上記両延在部の外端間に配置される外側部12と、上記延在部と上記外側部とを連結する連結部材13とを具備する。上記延在部と上記外側部の各断面は中空部10bを有し、上記中空部には、締結用ねじ孔37を有する固定受座30が挿着され、上記連結部材は、上記延在部と上記外側部の各端面に当接する一対の当接部13aを有しており、上記両当接部には上記各固定受座の上記締結用ねじ孔に対応した挿通孔13bが設けられる。上記挿通孔に挿通される固定ボルト18a,18bを上記各固定受座の上記締結用ねじ孔に締結して、上記延在部と上記外側部を連結する。
【選択図】 図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
風を受ける方向に対して垂直な軸周りに回転する回転軸と、上記回転軸に連結されて垂直軸周りに回転する翼とを具備する垂直軸風車の翼連結構造であって、
上記翼は、上記回転軸から上下斜め方向に延びる一対の延在部と、上記両延在部の外端間に配置される外側部と、上記延在部と上記外側部とを連結する連結部材とを具備し、
上記延在部と上記外側部の各断面は中空部を有し、
上記中空部には、締結用孔を有する固定受座が挿着され、
上記連結部材は、上記延在部と上記外側部の各端面に当接する一対の当接部を有しており、上記両当接部には上記各固定受座の上記締結用孔に対応した挿通孔が設けられ、
上記挿通孔に挿通される固定部材を上記各固定受座の上記締結用孔に締結して、上記延在部と上記外側部を連結してなる、
ことを特徴とする垂直軸風車の翼連結構造。
【請求項2】
請求項1に記載の垂直軸風車の翼連結構造であって、
上記延在部と上記外側部は同一の断面形状を有し、
上記連結部材の上記一対の当接部は、上記延在部及び上記外側部と同一の断面形状を有し、
上記連結部材の外形は、上記両当接部の当接面の内側延長線の交点を軸として、両当接部の外側を結ぶ円弧状の輪郭を有する形状に形成されている、
ことを特徴とする垂直軸風車の翼連結構造。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の垂直軸風車の翼連結構造であって、
上記連結部材は、上記両当接部に跨がって開放する凹部を有し、上記凹部に固定部材の挿通可能な挿入孔が設けられ、
上記凹部の開放側に、上記連結部材の外形と同形状のカバー材が被着されている、
ことを特徴とする垂直軸風車の翼連結構造。
【請求項4】
請求項3に記載の垂直軸風車の翼連結構造であって、
上記凹部に上記カバー材の締結用孔が設けられ、
上記カバー材は、上記凹部に当接する脚部を有すると共に、上記脚部は上記締結用孔に対応する挿通孔を有しており、
上記挿通孔に挿通される固定部材を上記締結用孔に締結して、上記凹部に上記カバー材を被着してなる、
ことを特徴とする垂直軸風車の翼連結構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、垂直軸風車の翼連結構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、風を受ける方向に対して垂直軸周りに回転する回転軸と、上記回転軸に軸受部を介して連結される発電部と、上記回転軸に連結されて垂直軸周りに回転する複数の風車翼(以下、翼という)とを具備する垂直軸風車が知られている。
また、この種の垂直軸風車において、上記翼は、上記回転軸から離れるにつれて互いの間隔が広くなるように延びる一対の延在部と、上記回転軸に略平行な方向に沿って延びる外側部と、上記延在部と外側部とを連結する連結部とを有する垂直軸風車が知られている(特に、特許文献1,2,3参照)。
【0003】
特許文献1~3に記載の垂直軸風車は、その性能が風向に依存しない特性があり、かつ騒音や振動を抑制可能なため、構造がシンプルになり、低コスト化に向いているとされている。また、最近では、再生可能エネルギーの導入促進において発電コストに優れる発電用風車が期待されている。
【0004】
反面、発電用風車として発電コストを安くするために風車自体の大型化が考えられることから、風車の構造において、翼の軽量化が図れ、より高強度と高い安定性が求められている。
【0005】
特許文献1に記載の垂直軸風車においては、回転部(回転軸)から上下斜め方向に延びる上部アーム部及び下部アーム部と、回転軸に略平行な方向に延びる回転翼を軸支する支持部とを連結する構造が開示されている。
【0006】
特許文献2に記載の垂直軸風車においては、ロータ(回転軸)から上下斜め方向に延びる支持材と、回転軸に略平行な方向に延びる翼とを、翼端面に被さって固定される接合部によって連結する構造が開示されている。
【0007】
特許文献3に記載の垂直軸風車においては、翼はそれぞれ断面中空状に形成され、回転軸から上下斜め方向に延びる延在部と、回転軸に略平行な方向に延びる外側部と、延在部と外側部とを湾曲状に連結する連結部とを有する構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2020-16169号公報
【特許文献2】特開2021-17823号公報
【特許文献3】特開2021-179184号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1に記載の垂直軸風車においては、上下のアーム部と回転翼の形状は異なっており、上下のアーム部と回転翼とを回転翼を軸支する支持部によって連結するため、連結部の形状が複雑な上、上下のアーム部と回転翼とがなす角部が角張っている。したがって、強度上の問題と風切り音の発生の懸念がある。
【0010】
特許文献2に記載の垂直軸風車においても、特許文献1に記載の垂直軸風車と同様に、連結部の形状が複雑な上、上下の支持材と翼とがなす角部が角張っているため、強度上の問題と風切り音の発生の懸念がある。
【0011】
特許文献3に記載の垂直軸風車においては、連結部が湾曲しているため、風切り音の低減が図れるが、連結部は大きく湾曲しているため、風を受ける外側部の長さが抑えられる懸念がある。
【0012】
この発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、風車自体の大型化に対応すべく翼構造を強固にすると共に、風切り音を低減する垂直軸風車の翼連結構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を達成するために、この発明は、風を受ける方向に対して垂直な軸周りに回転する回転軸と、上記回転軸に連結されて垂直軸周りに回転する翼とを具備する垂直軸風車の翼連結構造であって、上記翼は、上記回転軸から上下斜め方向に延びる一対の延在部と、上記両延在部の外端間に配置される外側部と、上記延在部と上記外側部とを連結する連結部材とを具備し、上記延在部と上記外側部の各断面は中空部を有し、上記中空部には、締結用孔を有する固定受座が挿着され、上記連結部材は、上記延在部と上記外側部の各端面に当接する一対の当接部を有しており、上記両当接部には上記各固定受座の上記締結用孔に対応した挿通孔が設けられ、上記挿通孔に挿通される固定部材を上記各固定受座の上記締結用孔に締結して、上記延在部と上記外側部を連結してなる、ことを特徴とする(請求項1)。
【0014】
このように構成することにより、延在部と外側部の断面の中空部に締結用孔を有する固定受座を挿着し、延在部と外側部とが交差した角部において、連結部材の当接部を延在部と外側部の各端面に当接した状態で、連結部材に設けられた挿通孔に挿通される固定部材を各固定受座の締結用孔に締結して、延在部と外側部を連結することができる。
【0015】
この発明において、上記延在部と上記外側部は同一の断面形状を有し、上記連結部材の上記一対の当接部は、上記延在部及び上記外側部と同一の断面形状を有し、上記連結部材の外形は、上記両当接部の当接面の内側延長線の交点を軸として、両当接部の外側を結ぶ円弧状の輪郭を有する形状に形成されているのが好ましい(請求項2)。
【0016】
このように構成することにより、延在部と外側部と連結部材の外形を同一の形状に形成することができる。
【0017】
また、この発明において、上記連結部材は、上記両当接部に跨がって開放する凹部を有し、上記凹部に固定部材の挿通可能な挿入孔が設けられ、上記凹部の開放側に、上記連結部材の外形と同形状のカバー材が被着されているのが好ましい(請求項3)。この場合、上記凹部に上記カバー材の締結用孔が設けられ、上記カバー材は、上記凹部に当接する脚部を有すると共に、上記脚部は上記締結用孔に対応する挿通孔を有しており、上記挿通孔に挿通される固定部材を上記締結用孔に締結して、上記凹部に上記カバー材を被着するのが好ましい(請求項4)
【0018】
このように構成することにより、連結部材の外形と同形状のカバー材によって連結部材の凹部に位置する固定部材の露呈を防ぐことができる。
【発明の効果】
【0019】
この発明によれば、上記のように構成されているので、以下のような効果が得られる。
(1)請求項1に記載の発明によれば、それぞれ中空部を有する延在部と外側部とが交差する角部において、連結部材の当接部を延在部と外側部の各端面に当接して連結することができるので、中空部を有する延在部と外側部の連結を強固にすることができると共に、翼の角部分を滑らかにすることで、風切り音を低減することができる。また、連結部材の形状を小さくすることで、その分外側部を長くすることができるので、風車の発電効率を向上させることができる。
【0020】
(2)請求項2に記載の発明によれば、延在部と外側部と連結部材の外形を同一の形状に形成することで、上記(1)に加えて、更に翼の角部分が滑らかになるため、風切り音を低減することができる。
【0021】
(3)請求項3,4に記載の発明によれば、連結部材の外形と同形状のカバー材によって連結部材の凹部に位置する固定部材の露呈を防ぐことができるので、上記(1),(2)に加えて、更に翼の外形の凹凸を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】この発明に係る垂直軸風車の一例の使用状態を示す概略正面図(a)及び(a)のA部拡大図(b)である。
図2】上記垂直軸風車の翼固定部の一部を断面で示す正面図である。
図3】上記垂直軸風車の翼固定部の平面図である。
図4】この発明における翼の側面図(a)及び平面図(b)である。
図5A図4のI-I線に沿う断面図である。
図5B図4のII-II線に沿う断面図である。
図6】この発明における固定受座の一部を断面で示す平面図(a)、側面図(b)及び(a)のIII-III線に沿う断面図(c)である。
図7】この発明における延在部と外側部の連結部の一部を断面で示す正面図である。
図8】この発明における延在部と外側部の連結部の一部を断面で示す側面図である。
図9A図8のIV-IV線に沿う断面図である。
図9B図8のV-V線に沿う断面図である。
図10】この発明における連結部材の下方斜視図(a)、正面上方斜視図(b)及び背面上方斜視図(c)である。
図11】上記連結部材の側面断面図である。
図12】上記連結部材の正面断面図(a)、(a)のVI矢視図(b)及び(a)のVII矢視図(c)である。
図13】この発明におけるカバー材の取付状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に、この発明を実施するための形態について、添付図面に基づいて詳細に説明する。
【0024】
この発明に係る垂直軸風車1(以下に、単に風車1という)は、図1に示すように、風を受ける方向に対して垂直、換言すると、地表に対して垂直な軸Z(以下に、垂直軸Zという)周りに回転する回転軸2と、回転軸2に軸受部3を介して連結される発電部6と、回転軸2に連結されて垂直軸Z周りに回転する複数(例えば、3枚)の風車翼10(以下に翼10という)と、風車1を支持する支持脚5とを備えている。
【0025】
翼10は、回転軸2に固定される翼取付部材20を構成する第1ブラケット21と、第1ブラケット21に固定される第2ブラケット22を介して回転軸2に固定されている。換言すると、翼10は、第1ブラケット21と第2ブラケット22とで構成される翼取付部材20を介して回転軸2に固定される。翼10は、垂直軸Zから離れるにつれて上下斜めに延びる一対の延在部11(以下に、斜翼11という)と、翼10の垂直軸Zに略平行な方向に沿って延びる外側部12(以下に、主翼12という)と、斜翼11と主翼12とを湾曲状に連結する連結部材13とを有する。具体的には、翼10は、側面視で、水平軸Xに対して略対称に形成された略三角形状に形成されている。なお、ここでいう略三角形状とは、翼10の全体形状が三角形に近い形状であることをいい、三辺のいずれかが湾曲したものを含む。
【0026】
また、翼10は、第1ブラケット21と第2ブラケット22を介して回転軸2に一端が固定され、他端が主翼12に連結される水平方向に延びる固定アーム14を具備する。なお、固定アーム14は、回転軸2と主翼10とを結ぶ水平軸Xの軸周りに回転可能な可動アーム15を有し、可動アーム15に、風車1の回転時に生じる遠心力の作用によって可動アーム15を上記水平軸周りに傾斜させ、風車1の回転停止時には可動アーム15を初期状態に戻す過回転抑制用の補助翼16が設けられている。
【0027】
翼10を形成する斜翼11、主翼12と、固定アーム14と可動アーム15及び補助翼16は、同じ断面形状の中空部10a~10gを有するアルミニウム製の押出形材にて形成されており、図4に示すように、前縁が湾曲し後縁が尖った流線形の断面を有し、複数のリブ10eによって中空部10a~10dが区画されている。図4において、前縁から2番目の中空部10bの上辺及び下辺は平坦になっており、両リブ10eとで矩形状に形成されている。この中空部10bの上側と下側は肉厚に形成されており、例えば、後述する固定受座30を取り付ける箇所には、固定ねじ17が貫通する複数の取付孔10fが設けられている。この場合、取付孔10fは、中空部10bの幅方向の中間部とその両側の3箇所に設けられた3個の組が翼10の長手方向に複数列設けられている。なお、図4においては、3つのリブ10eによって4つの中空部10a,10b,10c,10dを有する場合が示されているが、中空部の形状や数は任意である。
【0028】
翼取付部材20は、回転軸2の外周面における等分された3箇所に長手方向に沿って設けられた凹条2aに嵌合する凸条21aを有する複数(3個)の第1ブラケット21にて一部が形成されている。第1ブラケット21同士はボルト21h及びナット21iによって連結されている。第1ブラケット21は、アルミニウム製押出形材にて形成されている。
【0029】
第2ブラケット22は、図2に示すように、第1ブラケット21にボルト23及びナット23aを介して固定されている。第2ブラケット22には、幅方向の両側に鍔部を残して起立する一対の起立片の先端から互いに近接する方向に所定の角度をもって延在する翼取付片22dと、両翼取付片22dの先端同士を連結する回転軸2と略平行な固定アーム取付片22eとを有するアルミニウム製押出形材にて形成されている。
【0030】
固定受座30は、アルミニウム製押出形材にて形成されている。固定受座30は、図6に示すように、翼10(固定アーム14を含む)の前縁から2番目の中空部10bの上辺及び下辺の平坦面と両側のリブ10eの上下端部に接触する上部接触部31及び下部接触部32と、上部接触部31及び下部接触部32における翼10の中空部10bに設けられる3箇所の取付孔10fに対応する3箇所に隆起するねじ受け部33と、左右両側のねじ受け部33同士を連結する一対の連結部34とを有する。この場合、ねじ受け部33は、先端が円弧状に形成されると共に、固定受座30の長手方向に沿って断面円形の貫通孔35が設けられている。また、ねじ受け部33には、上下部から貫通孔35に向かってねじ孔36が設けられている。また、固定受座30の長手方向の一方の端部におけるねじ受け部33には、翼連結ボルト24が螺合される締結用ねじ孔37が設けられている。
【0031】
上記のように形成される固定受座30を用いて第2ブラケット22に翼10(具体的には、翼10を構成する斜翼11と固定アーム14)が当接した状態で固定される。例えば、第2ブラケット22に翼10(固定アーム14)を固定する場合について、図3図5A及び図5Bを参照して説明する。ここでは、説明を分かりやすくするために、固定アーム14を翼10で代表して説明する。まず、固定受座30を翼10の中空部10b内に挿入して翼10の中空部10b内に固定受座30を固定する(図5A参照)。次に、翼10の長手方向の端部を第2ブラケット22の固定アーム取付片22eの取付面に当接した状態で、固定受座30に設けられたアーム固定用ねじ孔37に翼連結ボルト24を螺合して、第2ブラケット22に翼10を固定する(図5B参照)。
【0032】
斜翼11と主翼12の端部を連結する連結部材13は、例えばアルミニウム製の鋳物にて形成されている。連結部材13は、図10図12に示すように、斜翼11と主翼12の各端面に当接する一対の当接部13aを有しており、両当接部13aには、斜翼11と主翼12の中空部10bに挿着された固定受座30に設けられた締結用ねじ孔37に対応した挿通孔13bが設けられている。なお、固定受座30は、上述した翼10(具体的には、翼10を構成する斜翼11と固定アーム14)を固定する固定受座30と同様であるので、同一部分には同一符号を付して説明は省略する。
【0033】
また、連結部材13の一対の当接部13aは、斜翼11及び主翼12と同一の断面形状を有しており、連結部材13の外形は、両当接部13aの当接面13a1の内側延長線Lの交点Cを軸として、両当接部13aの外側を結ぶ円弧状の輪郭を有する形状に形成されている。したがって、連結部材13の外形は、斜翼11と主翼12と同様に前縁が湾曲し後縁が尖った流線形の断面を有する。
【0034】
また、連結部材13は、挿通孔13bが設けられた両当接部13aに跨がって開放する凹部13cを有しており、凹部13cの底部に当接部13aの内側と外側に2列の計6個の挿通孔13bと、凹部13cに被着されるカバー材70の締結用ねじ孔13dが設けられている。なお、当接部13aにおいて、内側は外側に対して肉厚に形成されている。これにより、負荷が大きくなる内側の強度向上が図れる。また、連結部材13の両当接部13aの前縁側と後縁側の2箇所には、連結部材13の軽量化を図るための、空洞部13e,13fが設けられている。
【0035】
カバー材70は、例えばアクリル樹脂,ABS樹脂やポリエチレン系樹脂等のプラスチック製部材にて形成されている。カバー材70は、外形が連結部材13と同形状に形成されると共に、連結部材13の凹部13cの底部に当接する脚部71を有しており、脚部71には締結用ねじ孔13dに対応する挿通孔72が設けられている。挿通孔72を挿通する固定ボルト73を締結用ねじ孔13dに螺合することで、凹部13cにカバー材70を被着することができる。
【0036】
次に、連結部材13を用いて斜翼11と主翼12を連結する手順について、図7図8図9A及び図9Bを参照して説明する。
【0037】
まず、斜翼11と主翼12の中空部10bに固定受座30を挿入し、固定ねじ17をねじ孔36に螺合して、斜翼11と主翼12の中空部10b内に固定受座30を固定(挿着)する(図9A参照)。次に、斜翼11と主翼12の端部に連結部材13の当接部13aを当接した状態で、挿通孔13bに挿通される2種類の固定ボルト18a,18bを固定受座30に設けられた締結用ねじ孔37に螺合して固定受座30に連結部材13を固定すると共に、斜翼11と主翼12を連結する(図7図8図9B参照)。
【0038】
なお、2種類の固定ボルト18a,18bを用いた理由の一つは、近接して設けられた挿通孔13bを介して固定ボルト18a,18bを互いに傾斜した方向に取り付ける取付作業を容易にするためである。すなわち、一方の固定ボルト18aは、六角ボルトにて形成され、当接部13aに設けられた挿通孔13bに挿通されて締結用ねじ孔37に螺合される。他方の固定ボルト18bは、頭部に六角穴18cを有しており、当接部13aの外側に設けられた挿通孔13bに挿通されて、六角レンチ(図示せず)を用いて締結用ねじ孔37に螺合される。このように、2種類の固定ボルト18a,18bを用いることで、近接して設けられた挿通孔13bを介して固定ボルト18a,18bを互いに傾斜した方向に取り付ける取付作業を容易にすることができる。
【0039】
また、内側の固定ボルト18aを六角ボルトとし、外側の固定ボルト18bを六角穴18c付きボルトとした別の理由は、外側の固定ボルト18bの頭部がカバー材70と干渉してしまうので六角穴付きボルトとし、カバー材70と干渉しない内側をコストの安い六角ボルトにしているためである。
【0040】
軸受部3は、図2に示すように、回転軸2を回転自在に支承する円錐ころ軸受にて形成されるベアリング3c,3cと、長手方向の上部及び下部にベアリング3c,3cを保持する円筒状のハウジング3dとを具備する。なお、軸受部3を介して回転軸2に連結される発電部6は、増速機6aと発電機6bとで構成されている。
【0041】
上記のように構成される軸受部3のハウジング3dの外周面には、ハウジング3dを囲むように回転軸2の長手方向に沿って3分割されたハウジング受け材40が固定される。また、ハウジング受け材40の外周面に、回転軸2の周方向に沿って支持脚受け材50が固定ボルト55及びナット55aによって固定され、支持脚受け材50に支持脚5の端面が当接された状態で固定される。
【0042】
支持脚受け材50の脚締結片54には、主ボルト締結部材61及び補助ボルト締結部材62を介して支持脚5の端部が当接した状態で固定されている。支持脚受け材50と支持脚5の固定は、支持脚5に固定ボルト65及びナット65aによって固定された主ボルト締結部材61及び補助ボルト締結部材62に設けられたボルト挿通部(図示せず)を貫通する締結ボルト69を支持脚受け材50の脚締結片54に貫通させ、ナット69aを螺合して固定する。
【0043】
上記のようにして、翼10を連結した回転軸2の軸受部3は、回転軸2の周方向の3箇所に固定された支持脚5によって保持される。なお、支持脚5は設置面4に打ち込まれた杭9に接続部材9aを介して固定されている。また、隣接する杭9同士は繋ぎ材9bによって連結されている。また、支持脚5の強度を保持するために、各支持脚5にはブレース8が連結されている。この場合、ブレース8は、隣接する支持脚5の中間部に連結される水平材8aと、一端が水平材8aの連結部の下方側近傍に連結され、他端が支持脚5の下端側に連結される斜材8bとで構成されている。
【0044】
なお、上記実施形態では、翼10が3枚である場合について説明したが、翼10の数はこれに限定されるものではなく、翼10を5枚にした場合にも、翼取付部材20の第1ブラケット21と第2ブラケット22の数を変えることによって適用できる。
【0045】
上記のように構成される実施形態によれば、それぞれ中空部10a~10gを有する延在部である斜翼11と外側部である主翼12とが交差する角部において、連結部材13の当接部13aを斜翼11と主翼12の各端面に当接して連結することができるので、中空部を有する斜翼11と主翼12の連結を強固にすることができると共に、翼10の角部分を滑らかにすることで、風切り音を低減することができる。また、連結部材13の形状を小さくすることで、その分主翼12を長くすることができるので、風車の発電効率を向上させることができる。
【0046】
また、連結部材13の外形と同形状のカバー材70によって連結部材13の凹部13cに位置する固定ボルト18a,18bの露呈を防ぐことができるので、翼10の外形の凹凸を抑制することができる。
【符号の説明】
【0047】
1 風車
2 回転軸
2a 凹条
10 翼(風車翼)
11 斜翼(延在部)
12 主翼(外側部)
13 連結部材
13a 当接部
13b 挿通孔
13c 凹部
13d 締結用ねじ孔
17 固定ねじ
18a,18b 固定ボルト
30 固定受座
37 締結用ねじ孔
70 カバー材
71 脚部
72 挿通孔
73 固定ボルト
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9A
図9B
図10
図11
図12
図13