(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024106565
(43)【公開日】2024-08-08
(54)【発明の名称】風車の支持構造
(51)【国際特許分類】
F03D 13/20 20160101AFI20240801BHJP
E04H 12/00 20060101ALI20240801BHJP
【FI】
F03D13/20
E04H12/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023010892
(22)【出願日】2023-01-27
(71)【出願人】
【識別番号】502444733
【氏名又は名称】日軽金アクト株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】504150461
【氏名又は名称】国立大学法人鳥取大学
(74)【代理人】
【識別番号】100096644
【弁理士】
【氏名又は名称】中本 菊彦
(74)【代理人】
【識別番号】100083998
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 丈夫
(72)【発明者】
【氏名】樋上 博幸
(72)【発明者】
【氏名】小池 洋光
(72)【発明者】
【氏名】石川 博光
(72)【発明者】
【氏名】朴 玉丹
(72)【発明者】
【氏名】原 豊
(72)【発明者】
【氏名】小野 猛
【テーマコード(参考)】
3H178
【Fターム(参考)】
3H178AA12
3H178AA40
3H178AA43
3H178BB35
3H178BB77
3H178CC22
3H178DD67Z
3H178DD70X
(57)【要約】
【課題】支持脚の設置位置や支持脚角度のずれに対応した補強材の固定位置の変更を容易にすると共に、より高強度と高い安定性が得られる風車の支持構造を提供する。
【解決手段】風車を支持する少なくとも3本以上の支持脚5と、上記各支持脚同士を連結する補強材80とを具備し、上記各支持脚は、該支持脚の長手方向に沿う狭隘開口の凹溝5aを有し、上記補強材は、隣接する上記支持脚の対向する位置に固定される水平材81と、一端が上記水平材の一方の固定位置の下方近接位置に固定され、他端が上記支持脚の下端側に固定される斜材82とで構成され、上記水平材及び上記斜材は、上記凹溝内に摺動のみ可能な固定ボルト90とナット91によって固定位置が変更可能に固定される。
【選択図】
図8A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
風車を支持する少なくとも3本以上の支持脚と、上記各支持脚同士を連結する補強材とを具備し、
上記各支持脚は、該支持脚の長手方向に沿う狭隘開口の凹溝を有し、
上記補強材は、隣接する上記支持脚の対向する位置に固定される水平材と、一端が上記水平材の一方の固定位置の下方近接位置に固定され、他端が上記支持脚の下端側に固定される斜材とで構成され、
上記水平材及び上記斜材は、上記凹溝内に摺動のみ可能な固定部材によって固定位置が変更可能である、
ことを特徴とする風車の支持構造。
【請求項2】
請求項1に記載の風車の支持構造であって、
上記支持脚は、断面が多角形に形成され、多角形を構成する一面を挟んで対向する一対の面がなす角度と、上記各補強材同士が平面視でなす角度とが同じに形成され、上記一対の面に上記凹溝が設けられている、ことを特徴とする風車の支持構造。
【請求項3】
請求項1に記載の風車の支持構造であって、
上記水平材及び上記斜材は、断面中空矩形状の基部と、該基部の一辺から外方に延在する一対のフランジ部とを有し、上記両フランジ部が上記固定部材によって固定される、ことを特徴とする風車の支持構造。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載の風車の支持構造であって、
上記固定部材は、上記凹溝内に摺動のみ可能な頭部を有する固定ボルトと、上記補強材を構成する上記水平材及び上記斜材に設けられた貫通孔を貫通する上記固定ボルトに螺合するナットとで構成されている、ことを特徴とする風車の支持構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、風車の支持構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、再生可能エネルギーの導入促進において発電コストに優れる発電用風車が期待されている。発電用風車には、風力を受けて発電機を回転させるプロペラ等を有する発電装置と、これを所定高さに保持するための支持装置とを備えた風車が知られている(例えば、特許文献1参照)。また、風を受ける方向に対して垂直軸周りに回転する回転軸と、上記回転軸に軸受部を介して連結される発電部と、上記回転軸に連結されて垂直軸周りに回転する複数の風車翼とを具備する垂直軸風車が知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0003】
発電用風車として発電コストを安くするために風車自体の大型化が考えられることから、風車を支持する構造として、より高強度と高い安定性が求められている。
【0004】
特許文献1に記載の支持装置においては、風車を支持する3本以上のレグ(以下に支持脚という)と、隣接する支持脚の中間部分を連結するストラット(以下に補強材という)とを有し、補強材は、外管及び内管を備えて長手方向に伸縮可能な二重管構造に形成されると共に、支持脚に対してジョイントを介して回動可能に連結される構造が開示されている。
【0005】
特許文献1に記載の支持装置によれば、支持脚が傾斜している際に、補強材の連結位置を上下に調整する場合、支持脚の勾配に応じて補強材の長さ調整を容易に行うことができる。
【0006】
また、特許文献2に記載の垂直軸風車においては、風車を支持する複数の脚と補強材がラチス構造に形成される点が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2013-241911号公報
【特許文献2】特表平11-502584号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に記載の支持装置においては、支持脚同士を連結する補強材は、支持脚に固定されているため、支持脚の設置位置や支持脚角度のずれに対して、補強材の連結位置の変更ができない。したがって、支持脚の設置位置や支持脚角度のずれに対応した十分な強度が得られない懸念がある。
【0009】
特許文献2に記載の垂直軸風車においては、ラチス構造であるため、支持脚の設置位置や支持脚角度のずれに対して、補強材の連結位置の変更ができない。したがって、支持脚の設置位置や支持脚角度のずれに対応した十分な強度が得られない懸念がある。
【0010】
この発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、支持脚の設置位置や支持脚角度のずれに対応した補強材の固定位置の変更を容易にすると共に、より高強度と高い安定性が得られる風車の支持構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を達成するために、この発明は、風車を支持する少なくとも3本以上の支持脚と、上記各支持脚同士を連結する補強材とを具備し、上記各支持脚は、該支持脚の長手方向に沿う狭隘開口の凹溝を有し、上記補強材は、隣接する上記支持脚の対向する位置に固定される水平材と、一端が上記水平材の一方の固定位置の下方近接位置に固定され、他端が上記支持脚の下端側に固定される斜材とで構成され、上記水平材及び上記斜材は、上記凹溝内に摺動のみ可能な固定部材によって固定位置が変更可能である、ことを特徴とする(請求項1)。
【0012】
このように構成することにより、支持脚の設置位置や支持脚角度のずれに対して補強部材を構成する水平材と斜材の固定位置を変更することができる。
【0013】
この発明において、上記支持脚は、断面が多角形に形成され、多角形を構成する一面を挟んで対向する一対の面がなす角度と、上記各補強材同士が平面視でなす角度とが同じに形成され、上記一対の面に上記凹溝が設けられているのが好ましい(請求項2)。
【0014】
このように構成することにより、隣接する支持脚と各補強材を構成する水平材及び斜材との固定を同様にすることができる。
【0015】
また、この発明において、上記水平材及び上記斜材は、断面中空矩形状の基部と、該基部の一辺から外方に延在する一対のフランジ部とを有し、上記両フランジ部が上記固定部材によって固定されるのが好ましい(請求項3)。
【0016】
このように構成することにより、補強材を構成する水平材自体及び斜材自体に強度をもたせることができると共に、各水平材及び斜材と支持脚の固定を2箇所で行うことで強固にすることができる。
【0017】
加えて、この発明において、上記固定部材は、上記凹溝内に摺動のみ可能な頭部を有する固定ボルトと、上記補強材を構成する上記水平材及び上記斜材に設けられた貫通孔を貫通する上記固定ボルトに螺合するナットとで構成されているのが好ましい(請求項4)。
【0018】
このように構成することにより、支持脚の長手方向に沿う狭隘開口の凹溝内に固定ボルトを摺動可能に配置し、固定ボルトを水平材及び斜材に設けられた貫通孔を貫通させた状態でナットを螺合して固定することができる。
【発明の効果】
【0019】
この発明によれば、支持脚の設置位置や支持脚角度のずれに対して補強部材を構成する水平材と斜材の固定位置を変更することができるので、支持脚の設置位置や支持脚角度のずれに対応した補強材の固定位置の変更を容易にすると共に、より高強度と高い安定性が得られる。
【0020】
また、隣接する支持脚と各補強材を構成する水平材及び斜材との固定を同様にすることで、施工を容易にすることができる共に、更に高強度と高い安定性が得られる。
【0021】
また、補強材を構成する水平材自体及び斜材自体に強度をもたせることができると共に、各水平材及び斜材と支持脚の固定を2箇所で行うことで強固にすることができるので、支持脚全体に更に高強度と高い安定性が得られる。
【0022】
また、支持脚の凹溝内に固定ボルトを摺動可能に配置し、水平材及び斜材に設けられた貫通孔を貫通させた状態でナットを螺合して固定することができるので、補強材を構成する水平材と斜材の固定位置の変更を容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】この発明に係る風車の一例の使用状態を示す概略側面図である。
【
図2】上記風車の翼固定部及び支持脚固定部の一部を断面で示す側面図である。
【
図3】上記風車の支持脚固定部の一部を断面で示す要部拡大側面図である。
【
図4】上記風車の支持脚固定部を示す正面図である。
【
図5】この発明における支持脚に締結部材を固定した状態を示す側面図である。
【
図6】この発明における支持脚の正面図(a)及び平面図(b)である。
【
図7】
図6(b)のD部矢視図(a)、
図6(a)のI-I線に沿う断面図(b)及び
図6(a)のII-II線に沿う断面図(c)である。
【
図9】この発明における支持脚と、水平材との固定状態を示す概略平面図である。
【
図10】この発明における支持脚と、水平材との固定状態を示す断面図である。
【
図12】この発明における水平材の一部を断面で示す斜視図(a)及び斜材の一部を断面で示す斜視図(b)である。
【
図13】この発明における支持脚と、水平材及び斜材との固定位置を変更する例を示す概略側面図であって、(a)は杭位置が正規の場合、(b)は杭位置がプラスの場合、(c)は杭位置がマイナスの場合である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に、この発明を実施するための形態について、添付図面に基づいて詳細に説明する。
【0025】
この発明に係る風車1は、
図1に示すように、風を受ける方向に対して垂直、換言すると、地表に対して垂直な軸Z(以下に、垂直軸Zという)周りに回転する回転軸2と、回転軸2に軸受部3を介して連結される発電部6と、回転軸2に連結されて垂直軸Z周りに回転する複数(例えば、3枚)の風車翼10(以下に翼10という)と、風車1を支持する支持脚5とを備えている。
【0026】
軸受部3は、
図2及び
図3に示すように、内部に回転軸2を回転自在に支承するベアリング3cを保持する円筒状のハウジング3dを具備し、ハウジング受け材40と支持脚受け材50を介して取り付けられる支持脚5によって風車1の翼10を設置面4から所定の高さに位置させるために所定の高さに設置されている。なお、軸受部3の下方に突出する回転軸2に発電部6を構成する増速機6aと発電機6bが連結されている。
【0027】
翼10は、回転軸2に固定される翼取付部材20を構成する第1ブラケット21と、第1ブラケット21に固定される第2ブラケット22を介して回転軸2に固定されている。翼10は、翼10の垂直軸Zに略平行な方向に沿って延びる主翼12と、一端が主翼12に鋭角に連結されると共に、他端が回転軸2に翼取付部材20を介して連結される一対の斜翼11と、斜翼11と主翼12とを湾曲状に連結する連結部13とを有する。具体的には、翼10は、側面視で、水平軸Xに対して略対称に形成された略三角形状に形成されている。なお、ここでいう略三角形状とは、翼10の全体形状が三角形に近い形状であることをいい、三角形の角部が湾曲したものや、三辺のいずれかが湾曲したものを含む。
【0028】
また、翼10は、第1ブラケット21と第2ブラケット22を介して回転軸2に一端が固定され、他端が主翼12に連結される水平方向に延びる固定アーム14を具備する。なお、固定アーム14は、回転軸2と主翼10とを結ぶ水平軸Xの軸周りに回転可能な可動アーム15を有し、可動アーム15に、風車1の回転時に生じる遠心力の作用によって可動アーム15を上記水平軸周りに傾斜させ、風車1の回転停止時には可動アーム15を初期状態に戻す過回転抑制用の補助翼16が設けられている。
【0029】
上記のように構成される軸受部3のハウジング3dの外周面には、ハウジング3dを囲むように回転軸2の長手方向に沿って3分割されたハウジング受け材40が、ハウジング3dに嵌合された状態で固定される。また、ハウジング受け材40の外周面に、回転軸2の周方向に沿って支持脚受け材50が固定ボルト55及びナット55aによって固定され、支持脚受け材50に支持脚5の端面が当接された状態で固定される。
【0030】
上記支持脚受け材50は、
図3に示すように、ハウジング受け材40の締結部の先端面に当接する固定片51と、固定片51の長手方向の上端部に鍔部52aを残して斜め下方に延在する傾斜片53と、固定片51の長手方向の下端部に鍔部52bを残して斜め上方に延在し、傾斜片53と交差した先端側に鍔部52cを有する脚締結片54とを有するアルミニウム製押出形材にて形成されている。
【0031】
このように形成される支持脚受け材50は、
図3に示すように、固定ボルト55と中空部43a内に配置されるナット55aによってハウジング受け材40の外周面に固定される。
【0032】
また、支持脚受け材50の脚締結片54には、後述する主ボルト締結部材61及び補助ボルト締結部材62を介して支持脚5の端部が当接した状態で固定されている。支持脚受け材50と支持脚5の固定は、支持脚5に固定ボルト65及びナット65aによって固定された主ボルト締結部材61及び補助ボルト締結部材62に設けられたボルト挿通部64,67を貫通する締結ボルト69を支持脚受け材50の脚締結片54に設けられた締結孔(図示せず)に貫通させ、ナット69aを螺合して固定する。
【0033】
支持脚5は、
図7及び
図8に示すように、略六角筒状のアルミニウム製押出形材にて形成され、正面を挟んで対向する一対の面に、支持脚5の長手方向に沿う狭隘開口の凹溝5aを有し、凹溝5aを有する辺以外の4辺に複数の取付孔5bが設けられている。
【0034】
主ボルト締結部材61は、支持脚5の正面側辺と凹溝5aを有する辺に当接する基部63と、基部63の正面側の中央と両側の3箇所に長手方向に沿って隆起するボルト挿通部64とを有するアルミニウム製押出形材にて形成されている。この主ボルト締結部材61は、支持脚5に設けられた取付孔5bと主ボルト締結部材61に設けられた取付孔(図示せず)を貫通する固定ボルト65及びナット65aによって固定されると共に、凹溝5a内に挿入され、主ボルト締結部材61に設けられた取付孔(図示せず)を貫通する固定ボルト65及びナット65aによって固定される。
【0035】
補助ボルト締結部材62は、支持脚5の裏面側に隣接する辺に当接する板状基部66と、板状基部66の中央部に長手方向に沿って隆起するボルト挿通部67とを有するアルミニウム製押出形材にて形成されている。この補助ボルト締結部材62は、支持脚5の内方から座金68を介して支持脚5に設けられた取付孔5bと補助ボルト締結部材62に設けられた取付孔(図示せず)を貫通するボルト65及びナット65aによって固定される。
【0036】
支持脚5を支持脚受け材50に固定する場合は、支持脚5の端部を支持脚受け材50の締結片54に当接した状態で、支持脚5の正面と正面に隣接する左右側面の上部側に固定された主ボルト締結部材61に設けられた3個のボルト挿通部64と、支持脚5の裏面に隣接する左右側面の下部側に固定された一対の補助ボルト締結部材62にそれぞれに設けられたボルト挿通部67を貫通する締結ボルト69及びナット69aによって固定する。このように、支持脚受け材50に支持脚5の端部を当接した状態で、支持脚5の正面及び正面に隣接する左右側面の上部側と支持脚5の裏面に隣接する左右側面の下部側の6箇所を締結ボルト69及びナット69aによって固定することで、支持脚5と支持脚受け部材50との固定を強固にすることができる。
【0037】
上記のようにして、翼10を連結した回転軸2の軸受部3は回転軸2の周方向の3箇所に固定された支持脚5によって保持される。なお、支持脚5は設置面4に打ち込まれた杭9に接続部材9aを介して固定されている。また、隣接する杭9同士は繋ぎ材9bによって連結されている。
【0038】
支持脚5の強度を保持するために、各支持脚5同士は補強材80によって連結されている。
図1、
図8Aないし
図8Cに示すように、補強材80は、隣接する支持脚5の対向する中間位置に固定される水平材81と、一端が水平材81の一方の固定位置の下方側近傍に固定され、他端が支持脚5の下端側に固定される斜材82とで構成されている。
【0039】
水平材81と斜材82を支持脚5に固定する固定部材は、支持脚5に設けられた狭隘開口の凹溝5a内に摺動のみ可能な頭部90aを有する固定ボルト90と、水平材81及び斜材82に設けられた貫通孔83a,83bを貫通する固定ボルト90に螺合するナット91とで構成されている(
図10,
図11参照)。
【0040】
水平材81と斜材82は、
図12(a),(b)に示すように、同様の形状をしており、断面中空矩形状の基部84と、該基部84の一辺から外方に延在する一対のフランジ部85とを有し、両フランジ部85には、固定ボルト90が挿通可能な貫通孔83a,83bが設けられている。この場合、一方のフランジ部85に設けられる貫通孔83aと他方のフランジ部85に設けられる貫通孔83bは支持脚5の傾斜に対応させた位置に設けられている。なお、貫通孔83a,83bは、円形以外に水平材81及び斜材82の長手方向に沿う長孔であってもよい。
【0041】
また、
図9及び
図10に示すように、支持脚5の正面5eを挟んで対向する一対の面5c,5dがなす角度θは、各補強材80(水平材81,斜材82)同士が平面視でなす角度とが同じに形成されている。このように形成することにより、隣接する支持脚5と各補強材80を構成する水平材81及び斜材82との固定を同様にすることができる。
【0042】
上記のように構成することにより、傾斜する各支持脚5同士を補強材80(水平材81と斜材82)によって連結する場合、支持脚5の長手方向に沿って設けられた狭隘開口の凹溝5a内に摺動のみ可能な固定ボルト90を、補強材80(水平材81,斜材82)に設けられた貫通孔83a,83bに貫通させ、その突出部に座金92を介してナット91を螺合することで、固定位置を変更可能に固定することができる。
【0043】
上記のように、各補強材80(水平材81と斜材82)は、固定位置が変更可能に固定されるので、
図13(a)に示すように、支持脚5が正規の位置に設置される場合に対して、隣接する支持脚5がプラスすなわち広がる方向に設置される場合は、
図13(b)に示すように、水平材81及び斜材82の固定位置を上方に変更して固定する。また、これとは逆に隣接する支持脚5がマイナスすなわち狭まる方向に設置される場合は、
図13(c)に示すように、水平材81及び斜材82の固定位置を下方に変更して固定する。
【0044】
上記のように構成される実施形態の支持構造によれば、支持脚5の設置位置や支持脚角度のずれに対して補強材80を構成する水平材81と斜材82の固定位置を変更することができるので、支持脚5の設置位置や支持脚角度のずれに対応した補強材80(水平材81と斜材82)の固定位置の変更を容易にすると共に、より高強度と高い安定性が得られる。
【0045】
また、隣接する支持脚5と各補強材80(水平材81と斜材82)との固定を同様にすることで、施工を容易にすることができる共に、更に高強度と高い安定性が得られる。
【0046】
また、補強材80(水平材81と斜材82)自体に強度をもたせることができると共に、各水平材及び斜材と支持脚の固定を2箇所で行うことで強固にすることができるので、支持脚全体に更に高強度と高い安定性が得られる。
【0047】
また、支持脚5の長手方向に沿って設けられた狭隘開口の凹溝5a内に固定ボルト90を摺動可能に配置し、水平材81及び斜材82に設けられた貫通孔83a,83bを貫通させた状態でナット91を螺合して固定することができるので、補強材80(水平材81と斜材82)の固定位置の変更を容易にすることができる。
【0048】
なお、上記実施形態では支持脚5が略六角筒状に形成される場合について説明したが、支持脚5の形状はこれに限定されるものではなく、例えば、支持脚5を略四角筒状に形成してもよい。この場合は、主ボルト締結部材61を支持脚5の正面及び正面に隣接する左右側面の上部側に固定し、補助ボルト締結部材62を支持脚5の裏面に隣接する左右側面の下部側に固定して、上記と同様に、支持脚受け材50に支持脚5の端部を当接した状態で、支持脚5の正面及び正面に隣接する左右側面の上部側と支持脚5の裏面に隣接する左右側面の下部側の6箇所を締結ボルト69及びナット69aによって固定することができる。
【符号の説明】
【0049】
1 風車
2 回転軸
3 軸受部
5 支持脚
5a 凹溝
5c 正面(一面)
5d,5e 一対の面
6 発電部
10 風車翼
80 補強材
81 水平材
82 斜材
83a,83b 貫通孔
84 基部
85 フランジ部
90 固定ボルト(固定部材)
90a 頭部
91 ナット(固定部材)
θ 支持脚の一対の面と補強材同士が平面視でなす角度