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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024106566
(43)【公開日】2024-08-08
(54)【発明の名称】風車の支持構造
(51)【国際特許分類】
   F03D 13/20 20160101AFI20240801BHJP
   E04H 12/00 20060101ALI20240801BHJP
【FI】
F03D13/20
E04H12/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023010893
(22)【出願日】2023-01-27
(71)【出願人】
【識別番号】502444733
【氏名又は名称】日軽金アクト株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】504150461
【氏名又は名称】国立大学法人鳥取大学
(74)【代理人】
【識別番号】100096644
【弁理士】
【氏名又は名称】中本 菊彦
(74)【代理人】
【識別番号】100083998
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 丈夫
(72)【発明者】
【氏名】樋上 博幸
(72)【発明者】
【氏名】小池 洋光
(72)【発明者】
【氏名】石川 博光
(72)【発明者】
【氏名】朴 玉丹
(72)【発明者】
【氏名】原 豊
(72)【発明者】
【氏名】小野 猛
【テーマコード(参考)】
3H178
【Fターム(参考)】
3H178AA12
3H178AA40
3H178AA43
3H178BB35
3H178BB77
3H178CC22
3H178DD67Z
3H178DD70X
(57)【要約】
【課題】風等による風車設置部分に加わる水平方向の加重を各杭で均等に分散することによる設置強度の向上が図れる風車の支持構造を提供する。
【解決手段】風車1を支持する少なくとも3本以上の支持脚5と、上端が地表に露出した状態で地中に打設される杭9と、各々の支持脚5の下端と杭9とを接続する接続部材90(上部接続部材91,下部接続部材95)とを具備し、各支持脚5と杭9とを接続する接続部材90同士を繋ぎ材100によって連結する。
【選択図】 図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
風車を支持する少なくとも3本以上の支持脚と、上端が地表に露出した状態で地中に打設される杭と、各々の上記支持脚の下端と上記杭とを接続する接続部材とを具備し、
上記各支持脚と上記杭とを接続する上記接続部材同士が繋ぎ材によって連結されている、
ことを特徴とする風車の支持構造。
【請求項2】
請求項1に記載の風車の支持構造であって、
上記接続部材と上記繋ぎ材との連結部が上記杭の上端面と同一平面上に位置している、ことを特徴とする風車の支持構造。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の風車の支持構造であって、
上記接続部材と上記繋ぎ材とを連結する連結部材を具備し、
上記連結部材と上記繋ぎ材の連結は、上記繋ぎ材の長手方向に沿って変更可能に形成されている、ことを特徴とする風車の支持構造。
【請求項4】
請求項3に記載の風車の支持構造であって、
上記繋ぎ材は、断面中空矩形状に形成され、長手方向の端部に対向する側片に挿通孔が設けられ、
上記連結部材は、上記繋ぎ材の中空部内に挿入される固定部を有し、該固定部には、挿入方向に沿って適宜間隔をおいて上記挿通孔と対応する複数の調整用貫通孔が設けられ、
上記繋ぎ材の上記挿通孔と上固定部の選択された上記調整用貫通孔を貫通する固定部材によって変更可能に形成されている、ことを特徴とする風車の支持構造。
【請求項5】
請求項1又は2に記載の風車の支持構造であって、
上記接続部材は、上記支持脚の下端に固定される上部接続部材と、上記杭の上端に固定されると共に、上記繋ぎ材に連結される下部接続部材とからなり、上記上部接続部材と上記下部接続部材とが連結されている、ことを特徴とする風車の支持構造。
【請求項6】
請求項5に記載の風車の支持構造であって、
上記上部接続部材は、上記支持脚の下端に固定される支持脚取付片と、上記下部接続部材に当接する下部固定片とを有し、
上記下部接続部材は、上記杭の上端に固定される杭取付片と、上記上部接続部材の上記下部固定片に当接する上部固定片とを有し、
上記上部接続部材の上記下部固定片と、上記下部接続部材の上記上部固定片とを当接した状態で、固定部材によって連結されている、ことを特徴とする風車の支持構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、風車の支持構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、再生可能エネルギーの導入促進において発電コストに優れる発電用風車が期待されている。発電用風車には、風力を受けて発電機を回転させる風車翼を有する発電装置と、これを所定高さに保持するための支持装置とを備えた風車が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
発電用風車として発電コストを安くするために風車自体の大型化が考えられることから、風車を支持する構造として、より高強度と高い安定性が求められている。
【0004】
特許文献1に記載の支持装置においては、風車を支持する3本以上のレグ(以下に支持脚という)と、隣接する支持脚の中間部分を連結するストラット(以下に補強材という)とを有する構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2013-241911号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の支持装置においては、補強材は、地面に対して水平であるが、支持脚に連結されているものであるため、補強材による効果は支持脚を設置する杭には及ばない。そのため、風等による風車設置部分に加わる水平方向の加重に対する強度に懸念がある。
【0007】
この発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、風等による風車設置部分に加わる水平方向の加重を各杭で均等に分散することによる設置強度の向上が図れる風車の支持構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を達成するために、この発明は、風車を支持する少なくとも3本以上の支持脚と、上端が地表に露出した状態で地中に打設される杭と、各々の上記支持脚の下端と上記杭とを接続する接続部材とを具備し、上記各支持脚と上記杭とを接続する上記接続部材同士が繋ぎ材によって連結されている、ことを特徴とする(請求項1)。
【0009】
このように構成することにより、各支持脚と杭とを接続する接続部材同士が繋ぎ材によって連結されているので、風等による風車設置部分に加わる水平方向の加重を各杭で均等に分散することができる。
【0010】
この発明において、上記接続部材と上記繋ぎ材との連結部が上記杭の上端面と同一平面上に位置しているのが好ましい(請求項2)。
【0011】
このように構成することにより、水平方向の加重を杭自体が受けることなく、各支持脚と杭とを接続する接続部材で均等に分散することができる。
【0012】
また、この発明において、上記接続部材と上記繋ぎ材とを連結する連結部材を具備し、上記連結部材と上記繋ぎ材の連結は、上記繋ぎ材の長手方向に沿って変更可能に形成されているのが好ましい(請求項3)。
【0013】
このように構成することにより、杭の設置間隔がずれた場合に対応して接続部材と繋ぎ材とを連結することができる。
【0014】
また、この発明において、上記繋ぎ材は、断面中空矩形状に形成され、長手方向の端部に対向する側片に挿通孔が設けられ、上記連結部材は、上記繋ぎ材の中空部内に挿入される固定部を有し、該固定部には、挿入方向に沿って適宜間隔をおいて上記挿通孔と対応する複数の調整用貫通孔が設けられ、上記繋ぎ材の上記挿通孔と上記固定部の選択された上記調整用貫通孔を貫通する固定部材によって変更可能に形成されているのが好ましい(請求項4)。
【0015】
このように構成することにより、繋ぎ材と連結部材との連結を強固にすることができると共に、連結部の露呈を少なくすることができる。
【0016】
また、この発明において、上記接続部材は、上記支持脚の下端に固定される上部接続部材と、上記杭の上端に固定されると共に、上記繋ぎ材に連結される下部接続部材とからなり、上記上部接続部材と上記下部接続部材とが連結されているのが好ましい(請求項5)。この場合、上記上部接続部材は、上記支持脚の下端に固定される支持脚取付片と、上記下部接続部材に当接する下部固定片とを有し、上記下部接続部材は、上記杭の上端に固定される杭取付片と、上記上部接続部材の上記下部固定片に当接する上部固定片とを有し、上記上部接続部材の上記下部固定片と、上記下部接続部材の上記上部固定片とを当接した状態で、固定部材によって連結されているのが好ましい(請求項6)。
【0017】
このように構成することにより、予め支持脚の下端に上部接続部材を固定する一方、杭の上端に下部接続部材を固定することができるので、傾斜する支持脚と、上端が地表に露出した状態で地中に打設される杭との接続を容易にすることができる。また、接続部材と繋ぎ材の連結を容易にすることができる。
【発明の効果】
【0018】
この発明によれば、上記のように構成されているので、以下のような効果が得られる。(1)請求項1に記載の発明によれば、風等による風車設置部分に加わる水平方向の加重を各杭で均等に分散することができるので、風車を支持する支持脚の設置強度の向上が図れる。
【0019】
(2)請求項2に記載の発明によれば、水平方向の加重を杭自体が受けることなく、各支持脚と杭とを接続する接続部材で均等に分散することができるので、杭に掛かる負荷を抑制することができ、上記(1)に加えて、更に風車を支持する支持脚の設置強度の向上が図れる。
【0020】
(3)請求項3,4に記載の発明によれば、杭の設置間隔がずれた場合に対応して接続部材と繋ぎ材とを連結することができるので、上記(1),(2)に加えて、更に支持脚の設置に自由度、施工を容易にすることができる。
【0021】
(4)請求項5,6に記載の発明によれば、傾斜する支持脚と、上端が地表に露出した状態で地中に打設される杭との接続を容易にすることができると共に、接続部材と繋ぎ材の連結を容易にすることができる。したがって、上記(1),(2)に加えて、更に支持脚の設置の施工を容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】この発明に係る風車の一例の使用状態を示す概略側面図である。
図2】上記風車の翼固定部及び支持脚固定部の一部を断面で示す側面図である。
図3】上記風車の支持脚固定部の一部を断面で示す要部拡大側面図である。
図4】上記風車の支持脚固定部を示す正面図である。
図5】この発明における支持脚に上部締結部材を固定した状態を示す側面図である。
図6】この発明における支持脚の正面図(a)及び平面図(b)である。
図7図6(b)のA部矢視図(a)、図6(a)のI-I線に沿う断面図(b)及び図6(a)のII-II線に沿う断面図(c)である。
図8】この発明に係る支持脚の支持構造の一部を断面で示す側面図である。
図9】この発明における支持脚に下部締結部材を固定した状態を示す側面図である。
図10図8のIII-III線に沿う断面図(a)及び(a)のB部拡大断面である。
図11】この発明における支持脚、杭及び接続部材の接続前の状態を示す側面図である。
図12】この発明における繋ぎ材と連結部材の連結状態を示す断面図(a)及び(a)のC部拡大断面図(b)である。
図13】この発明における繋ぎ材と連結部材の連結状態を示す断面図であって、(a)は杭の設置間隔が基準より狭い場合、(b)は杭の設置間隔が基準より広い場合である。
図14】この発明における連結部材の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に、この発明を実施するための形態について、添付図面に基づいて詳細に説明する。
【0024】
この発明に係る風車1は、図1に示すように、風を受ける方向に対して垂直、換言すると、地表に対して垂直な軸Z(以下に、垂直軸Zという)周りに回転する回転軸2と、回転軸2に軸受部3を介して連結される発電部6と、回転軸2に連結されて垂直軸Z周りに回転する複数(例えば、3枚)の風車翼10(以下に翼10という)と、風車1を支持する支持脚5とを備えている。
【0025】
軸受部3は、図2及び図3に示すように、内部に回転軸2を回転自在に支承するベアリング3cを保持する円筒状のハウジング3dを具備し、ハウジング受け材40と支持脚受け材50を介して取り付けられる支持脚5によって風車1の翼10を設置面4から所定の高さに位置させるために所定の高さに設置されている。なお、軸受部3の下方に突出する回転軸2に発電部6を構成する増速機6aと発電機6bが連結されている。
【0026】
翼10は、回転軸2に固定される翼取付部材20を構成する第1ブラケット21と、第1ブラケット21に固定される第2ブラケット22を介して回転軸2に固定されている。翼10は、翼10の垂直軸Zに略平行な方向に沿って延びる主翼12と、一端が主翼12に鋭角に連結されると共に、他端が回転軸2に翼取付部材20を介して連結される一対の斜翼11と、斜翼11と主翼12とを湾曲状に連結する連結部13とを有する。具体的には、翼10は、側面視で、水平軸Xに対して略対称に形成された略三角形状に形成されている。なお、ここでいう略三角形状とは、翼10の全体形状が三角形に近い形状であることをいい、三角形の角部が湾曲したものや、三辺のいずれかが湾曲したものを含む。
【0027】
また、翼10は、第1ブラケット21と第2ブラケット22を介して回転軸2に一端が固定され、他端が主翼12に連結される水平方向に延びる固定アーム14を具備する。なお、固定アーム14は、回転軸2と主翼10とを結ぶ水平軸Xの軸周りに回転可能な可動アーム15を有し、可動アーム15に、風車1の回転時に生じる遠心力の作用によって可動アーム15を上記水平軸周りに傾斜させ、風車1の回転停止時には可動アーム15を初期状態に戻す過回転抑制用の補助翼16が設けられている。
【0028】
上記のように構成される軸受部3のハウジング3dの外周面には、ハウジング3dを囲むように回転軸2の長手方向に沿って3分割されたハウジング受け材40が、ハウジング3dに嵌合された状態で固定される。また、ハウジング受け材40の外周面に、回転軸2の周方向に沿って支持脚受け材50が固定ボルト55及びナット55aによって固定され、支持脚受け材50に支持脚5の端面が当接された状態で固定される。
【0029】
上記支持脚受け材50は、図3に示すように、ハウジング受け材40の締結部の先端面に当接する固定片51と、固定片51の長手方向の上端部に鍔部52aを残して斜め下方に延在する傾斜片53と、固定片51の長手方向の下端部に鍔部52bを残して斜め上方に延在し、傾斜片53と交差した先端側に鍔部52cを有する脚締結片54とを有するアルミニウム製押出形材にて形成されている。
【0030】
このように形成される支持脚受け材50は、図3に示すように、固定ボルト55と中空部40a内に配置されるナット55aによってハウジング受け材40の外周面に固定される。
【0031】
また、支持脚受け材50の脚締結片54には、後述する上部締結部材である主ボルト締結部材61及び補助ボルト締結部材62を介して支持脚5の端部が当接した状態で固定されている。支持脚受け材50と支持脚5の固定は、支持脚5に固定ボルト65及びナット65aによって固定された主ボルト締結部材61及び補助ボルト締結部材62に設けられたボルト挿通部64,67を貫通する締結ボルト69を支持脚受け材50の脚締結片54に設けられた締結孔(図示せず)に貫通させ、ナット69aを螺合して固定する。
【0032】
支持脚5は、図7及び図8に示すように、略六角筒状のアルミニウム製押出形材にて形成され、正面を挟んで対向する一対の面に、支持脚5の長手方向に沿う狭隘開口の凹溝5aを有し、凹溝5aを有する辺以外の4辺に複数の取付孔5bが設けられている。
【0033】
主ボルト締結部材61は、支持脚5の正面側辺と凹溝5aを有する辺に当接する基部63と、基部63の正面側の中央と両側の3箇所に長手方向に沿って隆起するボルト挿通部64とを有するアルミニウム製押出形材にて形成されている。この主ボルト締結部材61は、支持脚5に設けられた取付孔5bと主ボルト締結部材61に設けられた取付孔(図示せず)を貫通する固定ボルト65及びナット65aによって固定されると共に、凹溝5a内に挿入され、主ボルト締結部材61に設けられた取付孔(図示せず)を貫通する固定ボルト65及びナット65aによって固定される。
【0034】
補助ボルト締結部材62は、支持脚5の裏面側に隣接する辺に当接する板状基部66と、板状基部66の中央部に長手方向に沿って隆起するボルト挿通部67とを有するアルミニウム製押出形材にて形成されている。この補助ボルト締結部材62は、支持脚5の内方から座金68を介して支持脚5に設けられた取付孔5bと補助ボルト締結部材62に設けられた取付孔(図示せず)を貫通するボルト65及びナット65aによって固定される。
【0035】
支持脚5を支持脚受け材50に固定する場合は、支持脚5の端部を支持脚受け材50の締結片54に当接した状態で、支持脚5の正面と正面に隣接する左右側面の上部側に固定された主ボルト締結部材61に設けられた3個のボルト挿通部64と、支持脚5の裏面に隣接する左右側面の下部側に固定された一対の補助ボルト締結部材62にそれぞれに設けられたボルト挿通部67を貫通する締結ボルト69及びナット69aによって固定する。このように、支持脚受け材50に支持脚5の端部を当接した状態で、支持脚5の正面及び正面に隣接する左右側面の上部側と支持脚5の裏面に隣接する左右側面の下部側の6箇所を締結ボルト69及びナット69aによって固定することで、支持脚5と支持脚受け部材50との固定を強固にすることができる。
【0036】
上記のようにして、翼10を連結した回転軸2の軸受部3は回転軸2の周方向の3箇所に固定された支持脚5によって保持される。各支持脚5は、上端が設置面4の地表に露出した状態で地中に打設された杭9に接続部材90を介して固定されている。また、各支持脚5と杭9とを接続する接続部材90同士は繋ぎ材100によって連結されている。
【0037】
なお、支持脚5の強度を保持するために、各支持脚5同士は補強材80によって連結されている。この場合、補強材80は、隣接する支持脚5の対向する中間位置に固定される水平材81と、一端が水平材81の一方の固定位置の下方側近傍に固定され、他端が支持脚5の下端側に固定される斜材82とで構成されている。
【0038】
上記接続部材90は、支持脚5の下端に固定される上部接続部材91と、杭9の上端に固定されると共に、繋ぎ材100に連結部材200を介して連結される下部接続部材95とからなり、上部接続部材91と下部接続部材95とが固定ボルト90aとナット90bによって連結されている。
【0039】
上部接続部材91は、アルミニウム製の押出形材にて形成されており、傾斜した支持脚5の下端に固定される傾斜した支持脚取付片92と、下部接続部材95に固定される水平の下部固定片93とを有する。具体的には、上部接続部材91は、図8及び図11に示すように、支持脚取付片92の傾斜上方側にフランジ部92aを残し、下部固定片93の両端側にフランジ部93a,93bを残して連結片91a,91bによって連結されて中空部94が形成されている。中空部94において、支持脚取付片92の傾斜上方側角部と下部固定片93の対角部に補強片91cが連結されている。なお、支持脚取付片92におけるフランジ部92aと、フランジ部92aと反対側の端部側には、それぞれ締結ボルト69の締結孔91dが設けられている。また、下部固定片93におけるフランジ部93a,93bには固定ボルト90aの挿通孔91eが設けられている。
【0040】
上記のように形成される上部接続部材91は、上記上部締結部材と同様に形成された主ボルト締結部材61A及び補助ボルト締結部材62Aを介して支持脚5の下端部に当接した状態で固定されている。なお、主ボルト締結部材61A及び補助ボルト締結部材62Aと上部締結部材である主ボルト締結部材61及び補助ボルト締結部材62とは同一の形状であるので、同一部分には同一の符号を付して説明は省略する。
【0041】
支持脚5の下端部に上部接続部材91を固定する場合は、支持脚5の下端部に上部接続部材91の支持脚取付片92を当接した状態で、支持脚5の正面と正面に隣接する左右側面の上部側に固定された主ボルト締結部材61Aに設けられた3個のボルト挿通部64と、支持脚5の裏面に隣接する左右側面の下部側に固定された一対の補助ボルト締結部材62Aにそれぞれに設けられたボルト挿通部67を貫通する締結ボルト69及びナット69aによって固定する。このように、支持脚5の端部に支持脚取付片92を当接した状態で、支持脚5の正面及び正面に隣接する左右側面の上部側と支持脚5の裏面に隣接する左右側面の下部側の6箇所を締結ボルト69及びナット69aによって固定することで、支持脚5と上部接続部材91との固定を強固にすることができる。
【0042】
下部接続部材95は、アルミニウム製の押出形材にて形成されており、杭9の上端に固定される杭取付片96と、上部接続部材91の下部固定片93に当接する上部固定片97とを有する。具体的には、下部接続部材95は、図8及び図11に示すように、杭取付片96と上部固定片97は互いに平行な板状に形成されており、上部固定片97の両端側にフランジ部97a,97bを残し、杭取付片96の一端部から外方に延在する繋ぎ材取付部96aを残して連結片95a,95bによって連結されて中空部98が形成されている。中空部98において、上部固定片97の両側角部と杭取付片96の中間部を残した部分に一対の補強片95cが連結されている。上部固定片97におけるフランジ部97a,97bには固定ボルト90aの挿通孔95eが設けられている。なお、上部固定片97の中心部には、杭締結ボルト99の締結に用いられる工具のガイド用開口95dが設けられている。また、杭取付片96における中心部すなわち一対の補強片95c間の中間部には杭締結ボルト99の締結孔95fが設けられている。
【0043】
上記のように形成される下部接続部材95は、杭9の上端部に杭締結ボルト99と締結ナット99aによって固定されている。この場合、杭9はステンレス製の円筒管にて形成されており、上端開口部に塞ぎ材9aが溶接によって固着されている。塞ぎ材9aの中心部には、杭締結ボルト99の締結孔9bが設けられている。塞ぎ材9aの裏面側の締結孔9bと対向する部位には締結用ナット99aが固着されている。
【0044】
杭9の上端部に下部接続部材95を固定する場合は、杭9の上端部の塞ぎ材9aに下部接続部材95の下部固定片93を当接した状態で、上部固定片97に設けられたガイド用開口95dを介して挿入された杭締結ボルト99を、下部固定片93と塞ぎ材9aに設けられた締結孔95f,9bに挿通させて締結ナット99aに螺合させて固定することができる。
【0045】
また、上部接続部材91と下部接続部材95とを連結する場合は、上部接続部材91の下部固定片93と、下部接続部材95の上部固定片97とを当接した状態で、下部固定片93のフランジ部93a,93bに設けられた挿通孔91eと、上部固定片97のフランジ部97a,97bに設けられた挿通孔95eとに挿通される固定ボルト90aにナット90bを螺合させて連結することができる。
【0046】
繋ぎ材100は、アルミニウム製の押出形材にて中空矩形状に形成されており、長手方向の端部の上下2箇所には、連結部材200を連結する固定ボルト110の挿通孔101が設けられている(図14参照)。
【0047】
下部接続部材95と繋ぎ材100とを連結する連結部材200は、アルミニウム製の押出形材にて形成されており、図14に示すように、繋ぎ材100の中空部102内に挿入される固定部210と、下部接続部材95の繋ぎ材取付部96aの下面に連結される固定片220とを有する。
【0048】
固定部210は、固定片220の一端から上下方向に傾斜する一対の傾斜片230と、両傾斜片230の先端部に連結される補強片240とからなり、両傾斜片230と補強片240との連結部に、挿入方向に沿って適宜間隔をおいて複数例えば3個の調整用貫通孔200a,200b,200c(以下に、調整孔200a,200b,200cという)が、繋ぎ材100の奥側から手前側に順に設けられている。この場合、中央の調整孔200bは、杭9の設置間隔が基準の場合、奥側の調整孔200aは、杭9の設置間隔が基準より狭い場合、手前側の調整孔200cは、杭9の設置間隔が基準より広い場合である。
【0049】
固定片220は、図12に示すように、下部接続部材95の繋ぎ材取付部96aに設けられた挿通孔96bに対応する長手方向に沿う長孔221が設けられている。また、固定片220の下面には、固定片220の長手方向に対して直交方向の凹凸細条222が設けられている。
【0050】
上記のように形成される連結部材200と繋ぎ材100とを連結する場合は、固定部210を繋ぎ材100の中空部102内に挿入し、繋ぎ材100の挿通孔101と固定部210の選択された調整孔200bを貫通する固定ボルト110にナット111を螺合して連結部材200と繋ぎ材100とを連結する(図12参照)。
【0051】
なお、杭9の設置間隔が基準より狭い場合は、図13(a)に示すように、繋ぎ材100の挿通孔101と、固定部210の奥側の調整孔200aを貫通する固定ボルト110にナット111を螺合して連結部材200と繋ぎ材100とを連結する。また、杭9の設置間隔が基準より広い場合は、図13(b)に示すように、繋ぎ材100の挿通孔101と、固定部210の手前側の調整孔200cを貫通する固定ボルト110にナット111を螺合して連結部材200と繋ぎ材100とを連結する。
【0052】
連結部材200と下部接続部材95とを連結する場合は、図12及び図13に示すように、下部接続部材95の杭取付片96の端部から外方に延在する繋ぎ材取付部96aの下面に固定片220を当接した状態で、固定片220に設けられた長孔221と繋ぎ材取付部96aに設けられた挿通孔96bに、凹凸細条222に咬合する凹凸部251を施した座金250を介して固定ボルト260を貫通し、ナット261を螺合して連結部材200を連結する。このように連結することで、連結部材200と下部接続部材95の連結部は、杭9の上端面と同一平面上に位置する。また、連結部材200と下部接続部材95の連結は繋ぎ材100の長手方向に沿って微調整可能に連結することができると共に、固定片220の下面に設けられた凹凸細条222aと座金250の凹凸部251との咬合によって強固に連結することができる。
【0053】
次に、上記のように形成された接続部材90(上部接続部材91,下部接続部材95)、繋ぎ材100と連結部材200を用いて支持脚5を設置する施工手順の一例について説明する。
【0054】
予め、上部接続部材91を各支持脚5の下端部に固定し、下部接続部材95を各杭9の上端に固定しておく。そして、下部接続部材95を固定した杭9を、所定の位置に上端が地表に露出した状態で地中に打設する。各杭9に固定された下部接続部材95同士を繋ぎ材100によって連結する場合は、上述したように、連結部材200の固定部210を繋ぎ材100の中空部102内に挿入し、繋ぎ材100の挿通孔101と固定部210の選択された調整孔200a,200b,200cすなわち杭9の設置間隔に対応した調整孔200a,200b,200cのいずれかを貫通する固定ボルト110にナット111を螺合して連結部材200と繋ぎ材100とを連結する。また、連結部材200と下部接続部材95とを連結する場合は、下部接続部材95の繋ぎ材取付部96aの下面に固定片220を当接した状態で、固定片220に設けられた長孔221と繋ぎ材取付部96aに設けられた挿通孔96bに、凹凸細条222に咬合する凹凸部251を施した座金250を介して固定ボルト260を貫通し、ナット261を螺合して連結部材200を連結する。
【0055】
支持脚5を杭9に接続する場合は、支持脚5に固定された上部接続部材91の下部固定片93と、杭9に固定された下部接続部材95の上部固定片97とを当接した状態で、下部固定片93のフランジ部93a,93bに設けられた挿通孔91eと、上部固定片97のフランジ部97a,97bに設けられた挿通孔95eとに挿通される固定ボルト90aにナット90bを螺合させて連結する。
【0056】
なお、上記施工手順では、各杭9に固定された下部接続部材95同士を繋ぎ材100によって連結した後に、支持脚5に固定される上部接続部材91と杭9に固定される下部接続部材95とを接続(連結)する場合について説明したが、逆にしてもよい。すなわち、支持脚5に固定される上部接続部材91と杭9に固定される下部接続部材95とを接続(連結)した後、各杭9に固定された下部接続部材95同士を繋ぎ材100によって連結してもよい。
【0057】
上記のように構成される実施形態によれば、各支持脚5と杭9とを接続する接続部材90同士が繋ぎ材100によって連結されることで、風等による風車設置部分に加わる水平方向の加重を各杭で均等に分散することができるので、風車を支持する支持脚5の設置強度の向上が図れる。
【0058】
また、接続部材90と繋ぎ材100との連結部が杭9の上端面と同一平面上に位置することで、水平方向の加重を杭自体が受けることなく、各支持脚5と杭とを接続する接続部材で均等に分散することができるので、杭9に掛かる負荷を抑制することができる。
【0059】
また、繋ぎ材100の挿通孔101と固定部210の選択された調整孔200a,200b,200cすなわち杭9の設置間隔に対応した調整孔200a,200b,200cのいずれかを貫通する固定ボルト110にナット111を螺合して連結部材200と繋ぎ材100とを連結することで、杭9の設置間隔がずれた場合に対応して接続部材90と繋ぎ材100とを連結することができるので、支持脚5の設置に自由度をもたせることができると共に、施工を容易にすることができる。
【0060】
また、予め支持脚5の下端に上部接続部材91を固定する一方、杭9の上端に繋ぎ材100に連結される下部接続部材95を固定することができるので、傾斜する支持脚5と、上端が地表に露出した状態で地中に打設される杭9との接続を容易にすることができる。また、接続部材90と繋ぎ材100の連結を容易にすることができる。
【符号の説明】
【0061】
1 風車
5 支持脚
9 杭
90 接続部材
90a 固定ボルト
90b ナット
91 上部接続部材
92 支持脚取付片
93 下部固定片
95 下部接続部材
96 杭取付片
96a 繋ぎ材取付部
96b 長孔
97 上部固定片
99 杭締結ボルト
99a 締結ナット
100 繋ぎ材
101 挿通孔
102 中空部
110 固定ボルト
111 ナット
200 連結部材
200a,200b,200c 調整孔(調整用貫通孔)
210 固定部
220 固定片
221 長孔
260 固定ボルト
261 ナット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図10
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図13
図14