(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024106568
(43)【公開日】2024-08-08
(54)【発明の名称】電動車両
(51)【国際特許分類】
B60K 1/04 20190101AFI20240801BHJP
B62J 50/30 20200101ALI20240801BHJP
B62J 43/30 20200101ALI20240801BHJP
B62J 43/20 20200101ALI20240801BHJP
B62J 9/14 20200101ALI20240801BHJP
【FI】
B60K1/04 Z
B62J50/30
B62J43/30
B62J43/20
B62J9/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023010895
(22)【出願日】2023-01-27
(71)【出願人】
【識別番号】000002082
【氏名又は名称】スズキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111202
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 周彦
(74)【代理人】
【識別番号】100139365
【弁理士】
【氏名又は名称】中嶋 武雄
(74)【代理人】
【識別番号】100150304
【弁理士】
【氏名又は名称】溝口 勉
(72)【発明者】
【氏名】長屋 啓太
(72)【発明者】
【氏名】泉 博章
【テーマコード(参考)】
3D235
【Fターム(参考)】
3D235AA23
3D235BB17
3D235BB36
3D235CC14
3D235DD24
3D235HH08
(57)【要約】
【課題】冷却ファンの大型化や個数を増やすことなく、充電器とバッテリを効率的に冷却する。
【解決手段】電動車両(1)は、充電器(51)によってバッテリ(41)が充電され、バッテリからの電力によって走行可能である。充電器には冷却ファン(53)が取り付けられ、充電器とバッテリの間に冷却ファンが位置し、冷却ファンの吹出口がバッテリに向けられている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
充電器によってバッテリが充電され、前記バッテリからの電力によって走行可能な電動車両であって、
前記充電器には冷却ファンが取り付けられ、
前記充電器と前記バッテリの間に前記冷却ファンが位置し、
前記冷却ファンの吹出口が前記バッテリに向けられていることを特徴とする電動車両。
【請求項2】
前記バッテリは車両内部に設置され、前記充電器は車両外部に着脱可能に設置され、
前記バッテリと前記充電器を隔てる隔壁には、前記冷却ファンの吹出口からの冷却風を取り込む開口が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の電動車両。
【請求項3】
前記車両内部はシート下方の収容部の内側であり、前記車両外部は前記収容部の前側であることを特徴とする請求項2に記載の電動車両。
【請求項4】
シート前方には足載せ用のフートボードが設けられ、
前記充電器は前記フートボードよりも上方かつ前記シートの上面よりも下方に位置していることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の電動車両。
【請求項5】
前記冷却ファンは前記バッテリからの電力によって駆動可能であることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の電動車両。
【請求項6】
上面視にて前記充電器及び前記バッテリの左右幅内に前記冷却ファンが位置していることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の電動車両。
【請求項7】
前記充電器から前記バッテリ側に冷却フィンが突き出し、
前記冷却フィンの先端が前記冷却ファンの吹出口と同一平面又は前記冷却ファンの吹出口よりも前記充電器側に位置していることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電動車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動車両に関する。
【背景技術】
【0002】
鞍乗型の電動車両として、バッテリの充電中に冷却ファンを作動させて、バッテリや充電器を冷却するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の電動車両では、シート下方のボディ内側にバッテリ及び充電器の収容スペースが確保されている。バッテリの側面に充電器が取り付けられており、この充電器を覆うように設けられた冷却ケースに冷却ファンが取り付けられている。冷却ファンが作動することによって、車外からボディ内側に取り込まれた冷却風が、ボディ内側で循環されてバッテリや充電器が冷却されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、冷却ファンの性能が不足すると、バッテリの温度上昇による充電出力の制限や電池劣化の恐れがある。冷却ファンの大型化や冷却ファンの個数を増やすと、十分な設置スペースを確保しなければならない他、消費電力、コスト、重量が増加する等の問題があった。
【0005】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、冷却ファンの大型化や個数を増やすことなく、充電器とバッテリを効率的に冷却することができる電動車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様の電動車両は、充電器によってバッテリが充電され、前記バッテリからの電力によって走行可能な電動車両であって、前記充電器には冷却ファンが取り付けられ、前記充電器と前記バッテリの間に前記冷却ファンが位置し、前記冷却ファンの吹出口が前記バッテリに向けられていることで上記課題を解決する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一態様の電動車両によれば、冷却ファンによって充電器が冷却されると共に、冷却ファンの吹出口からバッテリに冷却風が吹き当てられる。充電器とバッテリが効率的に冷却されて冷却効率を向上され、充電中にバッテリの温度上昇による充電出力の制限や電池劣化を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】本実施例の電動車両のシート周辺の側面図である。
【
図3】本実施例の電動車両のシート周辺の上面図である。
【
図5】固定レールを用いた充電器の設置構造を示す図である。
【
図6】荷掛けフックを用いた充電器の設置構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の一態様の電動車両は、充電器によってバッテリが充電され、バッテリからの電力によって走行可能である。充電器には冷却ファンが取り付けられており、充電器とバッテリの間に冷却ファンが位置している。冷却ファンの吹出口がバッテリに向けられており、冷却ファンによって充電器が冷却されると共に、冷却ファンの吹出口からバッテリに冷却風が吹き当てられる。充電器とバッテリが効率的に冷却されて冷却効率を向上され、充電中にバッテリの温度上昇による充電出力の制限や電池劣化を抑えることができる。
【実施例0010】
以下、添付図面を参照して、本実施例の電動車両について説明する。
図1は本実施例の電動車両の左側面図である。また、以下の図では、矢印FRは車両前方、矢印REは車両後方、矢印Lは車両左方、矢印Rは車両右方をそれぞれ示している。
【0011】
図1に示すように、電動車両1は、スクータタイプの鞍乗型車両であり、車体フレームに車体外装として各種カバーを装着して構成されている。車両前側にはフロントフレームカバー11が設けられており、フロントフレームカバー11の後側にはライダーの足回りを保護するレッグシールド12が設けられている。レッグシールド12の下端から後方に向かってフートボード13が延在しており、フートボード13の後方にはシートフレームカバー31が設けられている。レッグシールド12とフートボード13によってシート21の前方に運転者の足置き空間が形成されている。
【0012】
フロントフレームカバー11の上側にはハンドル22が設けられ、フロントフレームカバー11の下側には一対のフロントフォーク23を介して前輪24が回転可能に支持されている。シートフレームカバー31の上側にはシート21が設けられており、シートフレームカバー31の下側にはスイングアームカバー25に覆われたスイングアーム(不図示)が設けられている。スイングアームの後部には後輪26が回転可能に支持されており、このスイングアームの後部はサスペンション27を介して車体フレームに接続されている。また、シート21の下方にはバッテリ41が収容されている。
【0013】
ところで、一般的な電動車両では、車両内部の充電器によってバッテリが充電されるが、バッテリの充電中に自然空冷や備付けの冷却ファンによってバッテリや充電器が冷却されている。自然空冷や小型の冷却ファンではバッテリや充電器が十分に冷却できずに、バッテリの温度上昇による充電出力の制限や電池劣化の恐れがある。大型の冷却ファンを使用することでバッテリの温度上昇が抑えられるが設置スペース等の問題が生じる。また、充電器は走行中には使用されない部品であり、車両の重量が増加することによって走行距離の減少や走行安定性が悪化するおそれがある。
【0014】
持ち運び式の充電器であれば、車両内部には充電器用の設置スペースが不要になる。車両内部に冷却ファン用の十分な設置スペースが確保され、充電器を持ち運ばずに走行することで車両が軽量化される。移動先での充電を考慮すると、充電器を持ち運ぶことが好ましいが、充電器がヘルメットボックス等に収容されて、バッテリの充電の度に充電器の取り出し作業が必要になる。そこで、本実施例の電動車両1では、持ち運びや据え置きに対応できるように、車両外部に充電器51を着脱可能に設置すると共に、充電器51に取り付けた冷却ファン53によってバッテリ41を効率的に冷却可能にしている。
【0015】
図2から
図4を参照して、充電器のレイアウトについて説明する。
図2は本実施例の電動車両のシート周辺の側面図である。
図3は本実施例の電動車両のシート周辺の上面図である。
図4は本実施例の充電器の模式図である。
【0016】
図2及び
図3に示すように、シートフレームカバー31によってシート21下方に収容部が形成されている。シートフレームカバー31の内側には収容空間が形成されており、シートフレームカバー31の上部の開口がシート21によって覆われている。シート21の後端側がヒンジ43を介してシートフレームカバー31に連結され、ヒンジ43を支点にしてシートフレームカバー31に対してシート21が開閉される。シート21の前端側にはロック機構(不図示)が設けられており、シート21が閉じられることでシート21がシートフレームカバー31にロックされる。シート21の前端はシートフレームカバー31よりも前方に突き出している。
【0017】
シートフレームカバー31の内側には、走行用の電力を蓄えるバッテリ41が設置されている。バッテリ41は、側面視矩形状のバッテリケースの内側に複数のセル(単電池)を収容して形成されている。バッテリ41の短手方向が車幅方向に向けられた状態で、シートフレームカバー31の内側で車幅方向の中心位置にバッテリ41が位置付けられている。バッテリ41がシートフレームカバー31の前壁(隔壁)32に近づけられており、バッテリ41の前面から突き出した充電用のコネクタ42がシートフレームカバー31の前壁32の開口(不図示)から前方に露出している。
【0018】
シートフレームカバー31の前側、すなわち前壁32の外面には、バッテリ41を充電する充電器51が着脱可能に設置されている。シートフレームカバー31の外側に充電器51が設置されると、充電器51のコネクタ52(
図4参照)がシートフレームカバー31の内側のバッテリ41のコネクタ42に接続される。詳細は後述するが、充電器51はシートフレームカバー31の前壁32に設けられた固定レール34(
図5参照)や荷掛けフック36(
図6参照)に上方から取り付けられる。シート21の前端によって充電器51が上方から押さえ込まれて、充電器51が装着状態でロックされている。
【0019】
充電器51の背面には冷却ファン53が取り付けられており、冷却ファン53が充電器51とバッテリ41の間に位置している。冷却ファン53の吹出口54(
図4参照)がバッテリ41に向けられており、充電器51とバッテリ41を隔てるシートフレームカバー31の前壁32には冷却ファン53の吹出口54からの冷却風を取り込む開口(不図示)が形成されている。シートフレームカバー31の開口は、スリットやパンチング穴等の細かな穴によって形成されている。車両外部に充電器51が設置された状態では冷却ファン53からの冷却風がシートフレームカバー31の開口を通るが、充電器51が取り外された状態では水や埃等の異物が開口を通じて車両内部に入り込み難くなっている。
【0020】
このように、電動車両1の車両内部にバッテリ41が設置され、電動車両1の車両外部に充電器51が着脱可能に設置されている。車両外部では冷却ファン53によって充電器51が冷却され、冷却ファン53の吹出口54からシートフレームカバー31の開口を通じて車両内部に冷却風が送り込まれてバッテリ41が冷却される。電動車両1に充電器51を設置したまま走行可能だが、電動車両1から充電器51を取り外すことで電動車両1の軽量化を図ることができる。なお、充電器51を設置したまま走行する場合には、バッテリ41からの電力によって冷却ファン53を動かしてバッテリ41を冷却することもできる。
【0021】
図4に示すように、充電器51の背面は冷却ケース55によって部分的に覆われており、冷却ケース55の内側には冷却ファン53が取り付けられている。冷却ケース55の側面は開口しており、冷却ケース55の背面中央には冷却ファン53の吹出口54が開口している。冷却ファン53の駆動によって冷却ケース55の側面の開口から外気が冷却風として取り込まれる。冷却ケース55内の冷却風は充電器51の熱を吸収しながら充電器51の背面に沿って流れて、吹出口54からバッテリ41に向かって冷却風が吹き出されている。冷却ケース55の背面上側からはコネクタ52が突き出している。
【0022】
充電器51の背面には冷却ケース55の側方に多数の冷却フィン56が設けられており、多数の冷却フィン56によって充電器51の冷却性能が向上されている。各冷却フィン56の延在方向が冷却ファン53に向けられ、冷却フィン56の間を冷却風が流れることで放熱効果が高められている。冷却フィン56は充電器51の背面からバッテリ41側に突き出しており、冷却フィン56の先端が冷却ファン53の吹出口54よりも充電器51側に位置している。冷却ファン53の吹出口54よりも冷却フィン56の先端がバッテリ41側に位置することがないため、冷却ファン53の吹出口54をバッテリ41に近づけてバッテリ41の冷却性能が向上されている。
【0023】
図2に示すように、シートフレームカバー31の前壁32は上方から下方に向かって後方に傾斜している。また、シート21前方には足載せ用のフートボード13が設けられ、充電器51がフートボード13よりも上方かつシート21の上面よりも下方に位置している。充電器51がシートフレームカバー31の前壁32に設置されても、充電器51が前方に大きく突き出すことがなく、シート21に座った運転者の乗車姿勢に干渉することがない。走行中にも充電器51が車両外部に設置されるため、シートフレームカバー31の収容量を犠牲にすることなく充電器51を持ち運ぶことができる。
【0024】
図3に示すように、充電器51がシートフレームカバー31の前側に位置している。車両外部に充電器51が設置されても、充電器51が電動車両1から車幅方向外側にはみ出すことがない。車両前方から充電器51、冷却ファン53、バッテリ41の順に並んでいて、上面視にて充電器51及びバッテリ41の左右幅内に冷却ファン53が位置している。充電器51に冷却ファン53が取り付けられても、充電器51やバッテリ41が大型化することがなく、冷却ファン53からの冷却風を充電器51及びバッテリ41に効率よく吹き当てて冷却性能を向上させることができる。
【0025】
なお、充電器の設置構造は特に限定されないが、例えば固定レールや荷掛けフックを用いて充電器がシートフレームカバーに設置される。以下、
図5及び
図6を参照して、充電器の設置構造について説明する。
図5は固定レールを用いた充電器の設置構造を示す図である。
図6は荷掛けフックを用いた充電器の設置構造を示す図である。なお、以下の説明では、説明の便宜上、本実施例と同一名称の構成については同一の符号を付して説明する。
【0026】
図5(A)に示すように、シートフレームカバー31の前壁32には固定レール34が設けられ、充電器51の背面にはレール溝57(
図5(B)参照)が形成されている。固定レール34及びレール溝57はそれぞれ上下方向に延びており、固定レール34の断面形状に合わせてレール溝57の断面形状が形成されている。固定レール34の下端にはストッパ35が設けられており、ストッパ35によって充電器51の下方へのスライドが規制されている。固定レール34の上端はシート21の先端に覆われており、シート21の先端によって充電器51上方から押さえ込まれて、充電器51の上方へのスライドが規制されている。
【0027】
図5(B)に示すように、充電器51の取り付け時にはシート21が開かれることで、シートフレームカバー31の固定レール34の上端が開放される。固定レール34に対して充電器51のレール溝57が上方から嵌め込まれ、シートフレームカバー31に対して充電器51が下方にスライドされる。充電器51がストッパ35に突き当たることで冷却ファン53の吹出口54がシートフレームカバー31の開口に位置合わせされる。シート21が閉じられてシート21がロックされることで充電器51が固定される。また、シート21のロックが解除されてシート21が開かれることで充電器51が取り外し可能になっている。
【0028】
バッテリ41の充電時にはシートフレームカバー31に充電器51が設置され、冷却ファン53が動かされて充電器51が冷却されると共に冷却ファン53の吹出口54からバッテリ41に冷却風が送り出される。充電中のバッテリ41の温度上昇が抑えられて充電出力の制限がかかり難くなると共にバッテリ41の寿命が長くなる。シートフレームカバー31から充電器51を取り外して走行すれば、電動車両1の軽量化が図られて走行距離が増加すると共に走行安定性が向上される。この場合、シートフレームカバー31の開口からの走行風によってバッテリ41が冷却される。
【0029】
シートフレームカバー31に充電器51を設置したまま走行すれば、移動先においても充電可能になって走行距離の心配が低減される。この場合、バッテリ41の電力を利用して冷却ファン53が動かされてバッテリ41が冷却される。シートフレームカバー31に充電器51を設置したままにすることで、充電の度に充電器51の着脱作業が不要になるのでユーザの利便性が向上される。充電器51が車両外部に設置されているが、シートロックによって充電器51の取り外しが規制されるため、電動車両1が屋外に駐車されていても充電器51の盗難を防止することができる。
【0030】
図6(A)に示すように、シートフレームカバー31の前壁32には荷掛けフック36が設けられ、充電器51の背面には引っ掛け穴58(
図6(B)参照)が形成されている。荷掛けフック36の先端は上方に向けられており、荷掛けフック36に対して引っ掛け穴58が上方から挿し込み可能になっている。荷掛けフック36の上方にはシート21の先端が位置しており、シート21の先端によって充電器51上方から押さえ込まれて、充電器51の上方への持ち上げが規制されている。荷掛けフック36はバッテリ41の充電時には充電器51の設置に利用されるが、充電時以外には一般的な荷物を吊り下げる際に利用される。
【0031】
図6(B)に示すように、充電器51の取り付け時にはシート21が開かれることで、シートフレームカバー31の荷掛けフック36の上方が開放される。荷掛けフック36に対して充電器51の引っ掛け穴58が上方から挿し込まれ、荷掛けフック36に充電器51が吊り下げられる。このとき、冷却ファン53の吹出口54がシートフレームカバー31の開口に位置合わせされる。シート21が閉じられてシート21がロックされることで充電器51が固定される。また、シート21のロックが解除されてシート21が開かれることで充電器51が取り外し可能になっている。このような構成でも、充電器51及びバッテリ41が効果的に冷却される。
【0032】
以上、本実施例の電動車両1によれば、冷却ファン53によって充電器51が冷却されると共に、冷却ファン53の吹出口54からバッテリ41に冷却風が吹き当てられる。充電器51とバッテリ41が効率的に冷却されて冷却効率を向上され、充電中にバッテリ41の温度上昇による充電出力の制限や電池劣化を抑えることができる。
【0033】
なお、本実施例では、バッテリが車両内部に設置され、充電器が車両外部に設置されたが、充電器とバッテリの間に冷却ファンが位置付けられていれば、バッテリと充電器が車両内部に設置されていてもよい。
【0034】
また、本実施例では、シートフレームカバーの開口がスリットやパンチング穴によって形成されたが、シートフレームカバーの開口は冷却ファンの吹出口からの冷却風を取り込み可能な形状であればよい。
【0035】
また、本実施例では、充電器はフートボードよりも上方かつシートの上面よりも下方に設置されたが、運転者に干渉しない位置であれば充電器の設置場所は特に限定されない。
【0036】
また、本実施例では、冷却フィンの先端が冷却ファンの吹出口よりも前記充電器側に位置しているが、冷却フィンの先端が冷却ファンの吹出口と同一平面に位置していてもよい。
【0037】
また、本実施例のスクータタイプの電動車両に限定されず、充電器によってバッテリが充電され、バッテリからの電力によって走行可能な電動車両であればよい。また、電動車両は自動二輪車に限定されず、バッテリによって駆動するバギータイプの自動三輪車、自動四輪車、水上バイク、農業者小型車両、船外機等でもよい。
【0038】
以上の通り、第1態様は、充電器(51)によってバッテリ(41)が充電され、バッテリからの電力によって走行可能な電動車両(1)であって、充電器には冷却ファン(53)が取り付けられ、充電器とバッテリの間に冷却ファンが位置し、冷却ファンの吹出口(54)がバッテリに向けられている。この構成によれば、冷却ファンによって充電器が冷却されると共に、冷却ファンの吹出口からバッテリに冷却風が吹き当てられる。充電器とバッテリが効率的に冷却されて冷却効率を向上され、充電中にバッテリの温度上昇による充電出力の制限や電池劣化を抑えることができる。
【0039】
第2態様は、第1態様の電動車両において、バッテリは車両内部に設置され、充電器は車両外部に着脱可能に設置され、バッテリと充電器を隔てる隔壁(前壁32)には、冷却ファンの吹出口からの冷却風を取り込む開口が形成されている。この構成によれば、車両外部では冷却ファンによって充電器が冷却され、冷却ファンの吹出口から開口を通じて車両内部に冷却風が送り込まれてバッテリが冷却される。車両に充電器を設置したまま走行可能だが、車両から充電器を取り外すことで車両の軽量化を図ることができる。
【0040】
第3態様は、第1態様又は第2態様の電動車両において、車両内部はシート(21)下方の収容部(シートフレームカバー31)の内側であり、車両外部は収容部の前側である。この構成によれば、車両外部に充電器が設置されても、充電器が電動車両から車幅方向外側にはみ出すことがない。
【0041】
第4態様は、第2態様又は第3態様の電動車両において、シート前方には足載せ用のフートボード(13)が設けられ、充電器はフートボードよりも上方かつシートの上面よりも下方に位置している。この構成によれば、運転者が乗車姿勢をとったときに運転者に干渉し難い位置に充電器が設置される。走行中にも充電器が車両外部に設置されるため、収容部の容量を犠牲にすることなく充電器を持ち運ぶことができる。
【0042】
第5態様は、第2態様から第4態様のいずれか1態様において、冷却ファンはバッテリからの電力によって駆動可能である。この構成によれば、走行中にバッテリ温度が上昇した場合には、冷却ファンによってバッテリを効果的に冷却することができる。
【0043】
第6態様は、第2態様から第5態様のいずれか1態様において、上面視にて充電器及びバッテリの左右幅内に冷却ファンが位置している。この構成によれば、充電器に冷却ファンが取り付けられても、充電器やバッテリが大型化することがなく、充電器及びバッテリに冷却風を効率よく吹き当てて冷却性能を向上させることができる。
【0044】
第7態様は、第1態様から第6態様のいずれか1態様において、充電器からバッテリ側に冷却フィン(56)が突き出し、冷却フィンの先端が冷却ファンの吹出口と同一平面又は冷却ファンの吹出口よりも充電器側に位置している。この構成によれば、充電器に冷却フィンが設けられることで充電器の冷却性能が向上されている。冷却ファンの吹出口よりも冷却フィンの先端がバッテリ側に位置することがなく、冷却ファンの吹出口をバッテリに近づけてバッテリの冷却性能を向上させることができる。
【0045】
なお、本実施例を説明したが、他の実施例として、上記実施例及び変形例を全体的又は部分的に組み合わせたものでもよい。
【0046】
また、本発明の技術は上記の実施例に限定されるものではなく、技術的思想の趣旨を逸脱しない範囲において様々に変更、置換、変形されてもよい。さらには、技術の進歩又は派生する別技術によって、技術的思想を別の仕方で実現することができれば、その方法を用いて実施されてもよい。したがって、特許請求の範囲は、技術的思想の範囲内に含まれ得る全ての実施態様をカバーしている。