(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024010657
(43)【公開日】2024-01-24
(54)【発明の名称】アモルファスシリコンアルミニウム内包金属酸化物触媒の製造方法及びその使用
(51)【国際特許分類】
B01J 23/745 20060101AFI20240117BHJP
B01J 35/51 20240101ALI20240117BHJP
B01J 23/22 20060101ALI20240117BHJP
B01J 23/26 20060101ALI20240117BHJP
B01J 23/10 20060101ALI20240117BHJP
B01J 23/34 20060101ALI20240117BHJP
B01J 23/72 20060101ALI20240117BHJP
B01J 23/75 20060101ALI20240117BHJP
B01J 23/889 20060101ALI20240117BHJP
B01J 23/847 20060101ALI20240117BHJP
B01J 23/86 20060101ALI20240117BHJP
B01J 23/83 20060101ALI20240117BHJP
B01J 37/08 20060101ALI20240117BHJP
B01J 35/60 20240101ALI20240117BHJP
B01J 37/04 20060101ALI20240117BHJP
C02F 1/72 20230101ALI20240117BHJP
【FI】
B01J23/745 M
B01J35/08 Z
B01J23/22 M
B01J23/26 M
B01J23/10 M
B01J23/34 M
B01J23/72 M
B01J23/75 M
B01J23/889 M
B01J23/847 M
B01J23/86 M
B01J23/83 M
B01J37/08
B01J35/10 301Z
B01J37/04 102
C02F1/72 Z
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023106287
(22)【出願日】2023-06-28
(31)【優先権主張番号】202210815998.5
(32)【優先日】2022-07-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】515352674
【氏名又は名称】南京工▲業▼大学
(71)【出願人】
【識別番号】523247463
【氏名又は名称】ナンジン リソースィズ アンド エンバイロメント エンジニアリング テクノロジー リサーチ インスティテュート カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】NANJING RESOURCES AND ENVIRONMENT ENGINEERING TECHNOLOGY RESEARCH INSTITUTE CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】No. 59 Wangqiao Road, Luhe District, Nanjing, Jiangsu, China
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジャン ジューシウ
(72)【発明者】
【氏名】チャオ スー
(72)【発明者】
【氏名】ウェイ タオ
(72)【発明者】
【氏名】タン ジーハイ
(72)【発明者】
【氏名】チュイ ミーフェン
(72)【発明者】
【氏名】ジョウ ジーハン
(72)【発明者】
【氏名】ジョウ ゼー
(72)【発明者】
【氏名】ファン ジンハオ
(72)【発明者】
【氏名】チェン シーアン
(72)【発明者】
【氏名】フェイ チャオヤン
(72)【発明者】
【氏名】リウ チン
【テーマコード(参考)】
4D050
4G169
【Fターム(参考)】
4D050AA12
4D050AB07
4D050AB12
4D050AB17
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4G169FB57
4G169FC04
4G169FC07
4G169FC08
(57)【要約】 (修正有)
【課題】酸性部位と酸素空孔が高度に分散し且つ豊富な細孔構造を有するアモルファスシリコンアルミニウム内包金属酸化物触媒の製造方法及びその使用を提供する。
【解決手段】触媒の製造方法は、金属錯体を真空乾燥装置に入れ、温度80~120℃、真空度15~25Paの条件下で4~6h活性化し、続いてシリコン前駆体と、アルミニウム前駆体と、酸性キレート剤と、加水分解抑制剤との混合溶液中に3~4h浸漬するステップと、アルコール溶媒で浸漬後のサンプルを洗浄し、乾燥させて溶媒を除去した後、得られた固体を500~800℃の高温下で4~6h熱処理して有機成分を除去し、酸性部位と酸素空孔が高度に分散し且つ豊富な細孔構造を有するMOx@SiO2-Al2O3二機能有酸素熱分解触媒を得るステップと、を有する。埋立地浸出水の有酸素熱分解浄化のための、製造されたアモルファスシリコンアルミニウム内包金属酸化物触媒の使用も提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属錯体を真空乾燥装置に入れ、温度80~120℃、真空度15~25Paの条件下で4~6h活性化し、続いてシリコン前駆体と、アルミニウム前駆体と、酸性キレート剤と、加水分解抑制剤との混合溶液中に3~4h浸漬するステップと、アルコール溶媒で浸漬後のサンプルを洗浄し、乾燥させて溶媒を除去した後、得られた固体を500~800℃の高温下で4~6h熱処理して有機成分を除去し、酸性部位と酸素空孔が高度に分散し且つ豊富な細孔構造を有するMOx@SiO2-Al2O3二機能有酸素熱分解触媒を得るステップと、をすることを特徴とする、アモルファスシリコンアルミニウム内包金属酸化物触媒の製造方法。
【請求項2】
金属酸化物MOxはFe2O3、Co3O4、Cr2O3、CeO2、V2O5、Mn2O3、CuOのうちの1種又は2種であることを特徴とする、請求項1に記載のアモルファスシリコンアルミニウム内包金属酸化物触媒の製造方法。
【請求項3】
金属の錯体はMIL-101、MIL-100、MIL-68、MOF-808、PCN-222結晶構造のうちの1種であり、
好ましくは、前記金属錯体はFe-MIL-101、Fe-MIL-68、Fe-MIL-100、Cr-MIL-101、Ce-MOF-808、V-MIL-101、V-MIL-68、Mn-MIL-100、Cu-PCN-222のうちの1種であり、
又は前記金属錯体はFe/Cu-MIL-101、Fe/Co-MIL-101、Fe/Mn-MIL-101、V/Cu-MIL-101、Cr/Cu-MIL-101、V/Cr-MIL-101、V/Mn-MIL-101、Fe/Cu-MIL-68、V/Cu-MIL-68、Ce/Cu-MOF-88、Ce/V-MOF-88、Ce/Mn-MOF-88、Ce/Mn-MIL-100、Fe/Cu-MIL-100及びCu/Mn-PCN-222のうちの1種であることを特徴とする、請求項1に記載のアモルファスシリコンアルミニウム内包金属酸化物触媒の製造方法。
【請求項4】
前記シリコン前駆体はテトラメトキシシラン、ケイ酸テトラエチル、メチルトリメトキシシランのうちの1種であり、好ましくは、シリコン前駆体と金属錯体の質量比は9:1~11.8:1であり、前記シリコン前駆体はテトラメトキシシラン、ケイ酸テトラエチルであることを特徴とする、請求項1に記載のアモルファスシリコンアルミニウム内包金属酸化物触媒の製造方法。
【請求項5】
前記アルミニウム前駆体はアルミニウムイソプロポキシド、アルミニウムsec-ブトキシド、ジ(sec-ブタノール)アルミニウムアセトアセテートのうちの1種であり、アルミニウム前駆体とシリコン前駆体の質量比は0.11:1~0.37:1であることを特徴とする、請求項1に記載のアモルファスシリコンアルミニウム内包金属酸化物触媒の製造方法。
【請求項6】
前記酸性キレート剤は酢酸、シュウ酸のうちの1種であり、前記加水分解抑制剤はアセト酢酸エチル及びアルコール類であり、前記アルコール類はイソプロパノール又はsec-ブタノールであり、
好ましくは、アセト酢酸エチルとアルミニウム前駆体の質量比は0.1:1~0.3:1であり、アルコール類とアルミニウム前駆体の質量比は1.6:1~4.7:1であることを特徴とする、請求項1に記載のアモルファスシリコンアルミニウム内包金属酸化物触媒の製造方法。
【請求項7】
酸性キレート剤とアルミニウム前駆体の質量比は0.21:1~0.63:1であり、
前記アルコール溶媒はメタノール、エタノール、sec-ブタノールのうちの1種又は2種であることを特徴とする、請求項1に記載のアモルファスシリコンアルミニウム内包金属酸化物触媒の製造方法。
【請求項8】
アモルファスシリコンアルミニウムを基準として、金属酸化物MOxの担持量は20~35%であり、
前記二機能触媒の酸量は2.3~4.5mmol/gであり、酸化活性成分の水素消費量は8.5~17.5mmol/gであり、
前記触媒の細孔容積は0.8~1.7cm3/gであり、メソ孔径範囲は2.2~18.5nmであることを特徴とする、請求項1に記載のアモルファスシリコンアルミニウム内包金属酸化物触媒の製造方法。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか1項に記載の方法を用いて製造されたことを特徴とする、アモルファスシリコンアルミニウム内包金属酸化物触媒。
【請求項10】
埋立地浸出水の有酸素熱分解浄化のための、請求項1に記載の製造方法で製造されたアモルファスシリコンアルミニウム内包金属酸化物触媒の使用であって、さらに好ましくは、前記触媒は埋立地浸出水中の炭素/窒素系汚染物質を分解-酸化カスケード反応によって二酸化炭素、水及び窒素に変換する、前記使用。
【請求項11】
前記埋立地浸出水の有酸素熱分解浄化反応は循環流動床反応器内で接触反応を行い、空気及び埋立地浸出水はいずれも有酸素熱分解反応器の底部から供給され、
好ましくは、前記埋立地浸出水COD濃度は1000~100000mg/Lであり、アンモニア性窒素濃度は500~5000mg/Lであり、反応圧力は0.1~0.2MPaであり、
接触反応温度は250~450℃であり、好ましくは、接触反応温度は300~400℃であり、
酸素と埋立地浸出水の供給モル比は0.1~5であり、好ましくは1.25~3であり、
空間速度は0.5~3.5h-1であり、好ましくは1~2.5h-1であることを特徴とする、請求項10に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は環境保全の分野に属し、埋立地浸出水の有酸素熱分解浄化用の分解-酸化二機能触媒及びその製造方法、並びにその使用に関し、特に埋立地浸出水の有酸素熱分解浄化用のアモルファスシリコンアルミニウム内包金属酸化物触媒で、埋立地浸出水中の炭素/窒素系汚染物質を当該触媒の作用により、分解-酸化カスケード反応によって二酸化炭素、水、窒素等の無機物として浄化する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
埋立地浸出水は、腐食性、生体毒性及び高い病原性を有し、未処理のまま排出されると、環境汚染を引き起こすのみならず、人の生命と健康にまで害を与える。従来の「生化学的処理+膜分離」の組み合わせプロセスには長いフロー、多いエネルギー消費、膜濃縮液による二次汚染の問題が存在しており、埋立地浸出水中の汚染物質を無害物質に完全に変換する、化学反応に基づく埋立地浸出水の無害化処理技術の開発は急務である。
【0003】
埋立地浸出水中の高揮発性の炭素/窒素系汚染物質(例えば脂肪酸、アンモニア等)は、接触燃焼等の化学酸化技術によって環境に無害な物質に変換可能である。しかし、揮発性が低い大分子汚染物質は、気体分子の形で接触燃焼できず、その化学結合を切断して酸化しやすい小分子に変換する必要がある。中国特許第112794571号には、高度の酸化技術が、大分子有機汚染物質の化学結合の酸化的切断を実現でき、生化学的処理過程とのカスケードプロセスを形成していることが示されている。しかし、高度の酸化技術は実用において独立した浄化プロセスを形成できないのみならず、作業条件の差により、接触燃焼過程と結合することもできない。中国特許出願公開第107010709号及び中国特許出願公開第107099051号には、高濃度の有機廃水及び廃樹脂の処理過程において適用される、分解と酸化を結合した有酸素熱分解過程が提案されている。しかし、有酸素熱分解触媒の主要成分は希土類修飾ゼオライト分子篩であり、ゼオライトのナノスケール細孔は大分子有機汚染物質の内部物質移動に不利であるため、接触分解反応の効率が低下し、ひいては炭素堆積が発生する。有機廃水は有酸素熱分解反応器で処理された後の放流水CODが依然として1000mg/Lと高く、排水基準を達成するために接触酸化反応器とのカスケード接続が必要であるが、これにより浄化のプロセスフローが増加し、操作コスト及び過程のエネルギー消費が増加する。
【0004】
アモルファスシリコンアルミニウムは流動接触分解用の工業触媒の重要な組成部分であり、細孔構造が豊富で、孔径範囲が広いという特徴を有し、大分子物質の物質移動効率を高めることができ、主に原油中の重質成分の予備分解に用いられている。しかし、従来の浸漬法、研磨法等の技術で製造された分解-酸化二機能触媒は、金属酸化物/アモルファスシリコンアルミニウムに、酸素空孔と酸性部位の分布が不均一で、金属酸化物が凝集する等の欠点が存在し、分解-酸化カスケード反応を特徴とした有酸素熱分解過程に適していない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、アモルファスシリコンアルミニウム担持金属酸化物触媒に存在する酸素空孔と酸性部位の分布が不均一で、金属酸化物が凝集する等の欠点に対して、酸性部位と酸素空孔が高度に分散し、孔径範囲が大きく、物質移動効率が高い等の利点を有するアモルファスシリコンアルミニウム内包金属酸化物触媒及びその製造方法並びに使用を提供する。
【0006】
本発明の目的は、酸性部位と酸素空孔が高度に分散し且つ豊富な細孔構造を有するアモルファスシリコンアルミニウム内包金属酸化物触媒(MOx@SiO2-Al2O3)を開発することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
アモルファスシリコンアルミニウム内包金属酸化物触媒の製造方法は、
金属錯体を真空乾燥装置に入れ、温度80~120℃、真空度15~25Paの条件下で4~6h活性化し、続いてシリコン前駆体と、アルミニウム前駆体と、酸性キレート剤と、加水分解抑制剤との混合溶液中に3~4h浸漬するステップと、アルコール溶媒で浸漬後のサンプルを洗浄し、乾燥させて溶媒を除去した後、得られた固体を500~800℃の高温下で4~6h熱処理して有機成分を除去し、酸性部位と酸素空孔が高度に分散し且つ豊富な細孔構造を有するMOx@SiO2-Al2O3二機能有酸素熱分解触媒を得るステップと、を含む。
【0008】
上記製造方法において、金属酸化物MOxはFe2O3、Co3O4、Cr2O3、CeO2、V2O5、Mn2O3、CuOのうちの1種又は2種である。
【0009】
上記製造方法において、前記金属錯体はFe-MIL-101、Fe-MIL-100、Fe-MIL-68、Fe-MIL-100、Cr-MIL-101、Ce-MOF-808、V-MIL-101、V-MIL-68、Mn-MIL-100、Cu-PCN-222のうちの1種である、又は、
前記金属錯体はFe/Cu-MIL-101、Fe/Co-MIL-101、Fe/Mn-MIL-101、V/Cu-MIL-101、Cr/Cu-MIL-101、V/Cr-MIL-101、V/Mn-MIL-101、Fe/Cu-MIL-68、V/Cu-MIL-68、Ce/Cu-MOF-88、Ce/V-MOF-88、Ce/Mn-MOF-88、Ce/Mn-MIL-100、Fe/Cu-MIL-100及びCu/Mn-PCN-222のうちの1種である。
【0010】
上記製造方法において、前記シリコン前駆体はテトラメトキシシラン、ケイ酸テトラエチル、メチルトリメトキシシランのうちの1種であり、好ましくは、シリコン前駆体と金属錯体の質量比は9:1~11.8:1であり、前記シリコン前駆体はテトラメトキシシラン、又はケイ酸テトラエチルである。
【0011】
上記製造方法において、前記アルミニウム前駆体はアルミニウムイソプロポキシド、アルミニウムsec-ブトキシド、ジ(sec-ブタノール)アルミニウムアセトアセテートのうちの1種である。
【0012】
いくつかの具体的な形態において、アルミニウム前駆体とシリコン前駆体の質量比は0.11:1~0.37:1であり、前記アルミニウム前駆体はアルミニウムsec-ブトキシドである。
【0013】
上記製造方法において、前記酸性キレート剤は酢酸、シュウ酸のうちの1種であり、前記加水分解抑制剤はアセト酢酸エチル、イソプロパノール及びsec-ブタノールのうちの少なくとも1種である。
【0014】
上記製造方法において、酸性キレート剤とアルミニウム前駆体の質量比は0.21:1~0.63:1であり、加水分解抑制剤はアセト酢酸エチル及びsec-ブタノールであり、アセト酢酸エチルとアルミニウム前駆体の質量比は0.1:1~0.3:1であり、sec-ブタノールとアルミニウム前駆体の質量比は1.6:1~4.7:1である。
【0015】
上記製造方法において、アルコール溶媒はメタノール、エタノール、sec-ブタノールのうちの1種又は2種である。
【0016】
上記製造方法において、アモルファスシリコンアルミニウムを基準として、金属酸化物MOxの担持量は20~35%であり、
アンモニア-昇温脱離法で測定したところ、二機能有酸素熱分解触媒の酸量は2.3~4.5mmol/gであり、酸化活性成分の水素消費量は8.5~17.5mmol/gであり、
二機能有酸素熱分解触媒の細孔容積は0.8~1.7cm3/gであり、メソ孔径範囲は2.2~18.5nmである。
【0017】
アモルファスシリコンアルミニウム内包金属酸化物触媒は、上記の方法で製造されたものである。
【0018】
本発明の技術的解決手段において、埋立地浸出水の有酸素熱分解浄化のための、前記製造方法で製造されたアモルファスシリコンアルミニウム内包金属酸化物触媒の使用は、さらに好ましくは、前記触媒が埋立地浸出水中の炭素/窒素系汚染物質を分解-酸化カスケード反応によって二酸化炭素、水及び窒素に変換する。
【0019】
さらに、前記埋立地浸出水の有酸素熱分解浄化反応は循環流動床反応器内で接触反応を行い、空気及び埋立地浸出水はいずれも有酸素熱分解反応器の底部から供給され、
さらに、前記埋立地浸出水COD濃度は1000~100000mg/Lであり、アンモニア性窒素濃度は500~5000mg/Lであり、反応圧力は0.1~0.2MPa(ゲージ圧)であり、
さらに、接触反応温度は250~450℃であり、好ましくは、接触反応温度は300~400℃であり、
さらに、酸素と埋立地浸出水の供給モル比は0.1~5であり、好ましくは1.25~3であり、
さらに、空間速度は0.5~3.5h-1であり、好ましくは1~2.5h-1である。
【発明の効果】
【0020】
本発明の有益な効果は以下のとおりである。
【0021】
本発明で製造されたMOx@SiO2-Al2O3触媒は高度に分散する酸性部位と酸素空孔の二重活性触媒部位を有し、細孔構造が豊富で且つ孔径サイズの範囲が大きく、反応物の触媒内での物質移動過程が強化され、分解-酸化カスケード反応の効率が高まる。
【0022】
本発明で製造されたMOx@SiO2-Al2O3触媒は埋立地浸出水の有酸素熱分解浄化過程で、埋立地浸出水中COD除去率が98.3%以上に達し、アンモニア性窒素除去率が98.0%以上に達し、有酸素熱分解浄化の放流水COD濃度が98.7mg/L未満であり、アンモニア性窒素濃度が24.9mg/L未満であることが可能である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に実施例により本発明をさらに説明する。
【0024】
実施例1
30mgの単一金属錯体Fe-MIL-101(上海楷樹化学科技有限公司、MIL-101(Fe))を真空度20Paの真空装置内で100℃にて5h活性化し、続いてシリコン前駆体のテトラメトキシシラン300μL(300mg)と、酸性キレート剤の酢酸20μL(20.9mg)と、加水分解抑制剤のアセト酢酸エチル10μL(10.3mg)と、アルミニウム前駆体(アルミニウムsec-ブトキシド/sec-ブタノール0.099g/150μL、0.0495g/150μL及び0.033g/150μL)との混合液中に浸漬する。そして3h浸漬した後に10mLのsec-ブタノール及び10mLのメタノールでサンプルを3回遠心洗浄し、その後、80℃にて12h真空乾燥し、得られたサンプルは順にSiAl-1@MIL-101、SiAl-2@MIL-101及びSiAl-3@MIL-101となる。
【0025】
サンプルを管状炉内に入れて空気雰囲気下において5℃/minの昇温速度で600℃まで加熱して2h保持し、製造された二機能触媒はそれぞれFe2O3@SiO2-Al2O3-1、Fe2O3@SiO2-Al2O3-2及びFe2O3@SiO2-Al2O3-3である。
【0026】
Fe2O3@SiO2-Al2O3-1、Fe2O3@SiO2-Al2O3-2及びFe2O3@SiO2-Al2O3-3について、アンモニア-昇温脱離法で製造された触媒の酸量を測定したところ、順に、それぞれ4.5、3.2及び2.9mmol/gである。Fe2O3@SiO2-Al2O3-1、Fe2O3@SiO2-Al2O3-2及びFe2O3@SiO2-Al2O3-3について、水素-昇温還元法で触媒の水素消費量を測定したところ、順に17.5、14.8及び11.5mmol/gであり、触媒の細孔容積はそれぞれ、順に1.7、1.3、0.8cm3/gであり、対応する孔径範囲は2.2~18.5nmである。
【0027】
触媒の性能試験は三段温度制御流動床の鋼製反応器内で行い、埋立地浸出水COD濃度は8327mg/Lであり、アンモニア性窒素濃度は1263mg/Lである。製造された異なるシリコンアルミニウム質量比の二機能触媒を用いて埋立地浸出水の有酸素熱分解浄化を行い、触媒を有酸素熱分解反応器内に充填し、埋立地浸出水を蠕動ポンプによって反応器内に圧送する。反応条件は、反応圧力(ゲージ圧)0.1MPa、反応温度350℃、酸素と埋立地浸出水の供給モル比2.3、空間速度1.5h-1とする。埋立地浸出水中のCOD除去率、濃度及びアンモニア性窒素除去率、濃度並びに非メタン全炭化水素の濃度を表1に示す。
【0028】
【0029】
アルミニウム前駆体とシリコン前駆体の質量比が33%のFe2O3@SiO2-Al2O3触媒は、埋立地浸出水中COD及びアンモニア性窒素の除去率が最高で、浄化放流水COD及びアンモニア性窒素濃度がそれぞれ8.3及び6.9mg/Lである。
【0030】
実施例2
実施例1における条件で、活性化後のFe-MIL-101をそれぞれ、
シリコン前駆体のテトラメトキシシラン300μL(300mg)と、アルミニウム前駆体のアルミニウムイソプロポキシド/sec-ブタノール(0.099gのアルミニウムイソプロポキシドが150μLのsec-ブタノール中に分散する)とによるケース1と、
シリコン前駆体のケイ酸テトラエチル300μL(354mg)と、アルミニウム前駆体のアルミニウムイソプロポキシド/イソプロパノール(0.099gのアルミニウムイソプロポキシドが150μLのイソプロパノール中に分散する)とによるケース2と、
シリコン前駆体のメチルトリメトキシシラン300μL(270mg)と、アルミニウム前駆体のジ(sec-ブタノール)アルミニウムアセトアセテート/sec-ブタノール(0.099gのジ(sec-ブタノール)アルミニウムアセトアセテートが150μLのsec-ブタノール中に分散する)とによるケース3と、
の異なるケースのシリコン前駆体と、アルミニウム前駆体と、一部の加水分解抑制剤との混合溶液中に浸潤する以外、他の条件は実施例1と同様にし、製造された触媒は順にFe2O3@SiO2-Al2O3-4、Fe2O3@SiO2-Al2O3-5、Fe2O3@SiO2-Al2O3-6である。
【0031】
Fe2O3@SiO2-Al2O3-4、Fe2O3@SiO2-Al2O3-5、Fe2O3@SiO2-Al2O3-6について、アンモニア-昇温脱離法で製造された触媒の酸量を測定したところ、順に、それぞれ、4.5、4.1及び3.7mmol/gである。Fe2O3@SiO2-Al2O3-4、Fe2O3@SiO2-Al2O3-5、Fe2O3@SiO2-Al2O3-6について、水素-昇温還元法で触媒の水素消費量を測定したところ、順に、それぞれ16.9、15.6、13.5mmol/gであり、触媒の細孔容積は順に、それぞれ1.7、1.5、1.5cm3/gであり、対応する孔径範囲は2.2~18.5nmである。
【0032】
触媒の性能試験は実施例1に従って行い、選択される埋立地浸出水COD濃度は51422mg/Lであり、アンモニア性窒素濃度は964mg/Lである。埋立地浸出水中のCOD除去率、濃度及びアンモニア性窒素除去率、濃度並びに非メタン全炭化水素の濃度を表2に示す。
【0033】
【0034】
テトラメトキシシランをシリコン前駆体とし、アルミニウムsec-ブトキシドをシリコンアルミニウム前駆体として製造された触媒は、埋立地浸出水中COD及びアンモニア性窒素の除去率が最高で、それぞれ99.9%及び99.2%である。
【0035】
実施例3
単一金属錯体はV-MIL-101(MIL-101(V))とし、
活性化条件は3つのケースに分けられ、具体的には、
15Paの真空装置内で100℃にて6h活性化するケース1と、
20Paの真空装置内で100℃にて6h活性化するケース2と、
25Paの真空装置内で100℃にて6h活性化するケース3と、
のケースに分けられ、他の条件は実施例1と同様にする。
【0036】
製造された二機能触媒は順にV2O5@SiO2-Al2O3-15、V2O5@SiO2-Al2O3-20、V2O5@SiO2-Al2O3-25であり、触媒の性能試験は実施例1に従って行う。埋立地浸出水中のCOD除去率、濃度及びアンモニア性窒素除去率、濃度並びに非メタン全炭化水素の濃度を表3に示す。
【0037】
【0038】
実施例4
酸性キレート剤の使用量をそれぞれ30μL(31.4mg)及び40μL(41.8mg)に変更する以外、他の条件は実施例1と同様にする。
【0039】
製造された二機能触媒はそれぞれFe2O3@SiO2-Al2O3-30(酸性キレート剤の使用量は30μL)及びFe2O3@SiO2-Al2O3-40(酸性キレート剤の使用量は40μL)である。製造された触媒の酸量は順に、それぞれ、3.1及び2.3mmol/gであり、触媒の水素消費量は11.6、8.5mmol/gであり、触媒の細孔容積は順に、それぞれ1.3、0.8cm3/gであり、対応する孔径範囲は3.6~18.5nmである。触媒の性能試験は実施例1に従って行い、選択される埋立地浸出水COD濃度は5186mg/Lであり、アンモニア性窒素濃度は2045mg/Lである。埋立地浸出水中のCOD除去率、濃度及びアンモニア性窒素除去率、濃度並びに非メタン全炭化水素の濃度を表4に示す。
【0040】
【0041】
酸性キレート剤が30μLの場合に二機能触媒は埋立地浸出水中の有機汚染物質及びアンモニア性窒素系物質に対して浄化効率が最高で、有酸素熱分解浄化の放流水COD及びアンモニア性窒素濃度がそれぞれ49.9mg/L及び12.3mg/Lであり、非メタン全炭化水素が28.2mg/m3である。
【0042】
実施例5
単一金属錯体Fe-MIL-101を単一金属錯体Fe-MIL-100(MIL-100(Fe))、Fe-MIL-68(MIL-68(Fe))、Cr-MIL-101(MIL-101(Cr))、Ce-MOF-808(MOF-808(Zr))、V-MIL-101、Mn-MIL-100、Cu-PCN-222(PCN-222(Cu))に変更する以外は、実施例1と同様にし、製造された二機能触媒はそれぞれFe2O3@SiO2-Al2O3-7、Fe2O3@SiO2-Al2O3-8、Cr2O3@SiO2-Al2O3、CeO2@SiO2-Al2O3、V2O5@SiO2-Al2O3、Mn2O3@SiO2-Al2O3及びCuO@SiO2-Al2O3である。
【0043】
埋立地浸出水COD濃度は8327mg/Lであり、アンモニア性窒素濃度は1263mg/Lであり、触媒の性能試験は実施例1に従って行い、埋立地浸出水中のCOD除去率、濃度及びアンモニア性窒素除去率、濃度並びに非メタン全炭化水素の濃度を表5に示す。
【0044】
【0045】
選択される単一金属錯体でアモルファスシリコンアルミニウムを内包した触媒は、埋立地浸出水中のCOD除去率が98.8%以上に達し、アンモニア性窒素除去率が98.1%以上に達する。
【0046】
実施例6
単一金属錯体Fe-MIL-101を二金属錯体Fe/Cu-MIL-101、Fe/Co-MIL-101、Fe/Mn-MIL-101、V/Cu-MIL-101、Cr/Cu-MIL-101、V/Cr-MIL-101、V/Mn-MIL-101、Fe/Cu-MIL-68、V/Cu-MIL-68、Ce/Cu-MOF-808、Ce/V-MOF-808、Ce/Mn-MOF-808、Ce/Mn-MIL-100、Fe/Cu-MIL-100及びCu/Mn-PCN-222に変更する以外は、実施例1と同様にする。
【0047】
MIL-101型二金属錯体の製造方法は、1.66gのテレフタル酸、金属1(種類及び使用量は下記表を参照)、金属2(種類及び使用量は下記表を参照)をそれぞれ150mLのN,N-ジメチルホルムアミド溶液で溶解して恒温オーブンで110℃にて30時間反応させ、反応終了後に300mLのN,N-ジメチルホルムアミド及び300mLのアセトンで二金属錯体を濾過洗浄した後に80℃にて真空乾燥する。得られたサンプルはFe/Cu-MIL-101となる。
【0048】
【0049】
MIL-68型二金属錯体の製造方法は、反応温度が180℃である以外は、MIL-101型二金属錯体の製造方法と同様にする。
【0050】
【0051】
MOF-808型二金属錯体の製造方法は、テレフタル酸をトリメシン酸に変更し、反応時間を2時間に変更する以外は、MIL-101型二金属錯体の製造方法と同様にする。
【0052】
【0053】
MIL-100型二金属錯体の製造方法は、テレフタル酸をトリメシン酸に変更する以外は、MIL-101型二金属錯体の製造方法と同様にする。
【0054】
【0055】
PCN-222型二金属錯体の製造方法は、テレフタル酸をポルフィリンに変更し、反応温度を100℃とする以外、他の条件がMIL-101型の製造プロセスと同様にする。
【0056】
【0057】
それにより、製造された二機能触媒はそれぞれFe2O3-CuO@SiO2-Al2O3-1、Fe2O3-Co3O4@SiO2-Al2O3、Fe2O3-Mn2O3@SiO2-Al2O3、V2O5-CuO@SiO2-Al2O3-1、Cr2O3-CuO@SiO2-Al2O3、V2O5-Cr2O3@SiO2-Al2O3、V2O5-Mn2O3@SiO2-Al2O3、Fe2O3-CuO@SiO2-Al2O3-2、V2O5-CuO@SiO2-Al2O3-2、CeO2-CuO@SiO2-Al2O3、CeO2-V2O5@SiO2-Al2O3、CeO2-Mn2O3@SiO2-Al2O3、Fe2O3-CuO@SiO2-Al2O3-3及びCuO-Mn2O3@SiO2-Al2O3となる。
【0058】
埋立地浸出水COD濃度は8327mg/Lであり、アンモニア性窒素濃度は1263mg/Lであり、触媒の性能試験は実施例1に従って行い、埋立地浸出水中のCOD除去率、濃度及びアンモニア性窒素除去率、濃度並びに非メタン全炭化水素の濃度を表6に示す。
【0059】
【0060】
選択される二金属錯体でアモルファスシリコンアルミニウムを内包した触媒は、埋立地浸出水中のCOD除去率が99.8%以上に達し、アンモニア性窒素除去率が98.1%以上に達する。
【0061】
実施例7
異なる埋立段階で発生した埋立地浸出水を選択し、LL-1はCOD濃度8327mg/L、アンモニア性窒素濃度1263mg/Lとし、LL-2はCOD濃度42064mg/L、アンモニア性窒素濃度853mg/Lとし、LL-3はCOD濃度78426mg/L、アンモニア性窒素濃度692mg/Lとし、実施例1で製造された触媒Fe2O3@SiO2-Al2O3-1を採用し、反応条件は、反応圧力0.2MPa、反応温度350℃、酸素と埋立地浸出水の供給モル比2.3、空間速度1.5h-1とし、埋立地浸出水中のCOD除去率、濃度及びアンモニア性窒素除去率、濃度並びに非メタン全炭化水素の濃度を表7に示す。
【0062】
【0063】
Fe2O3@SiO2-Al2O3-1二機能触媒は浸出水中の汚染物質CODの除去率が99.9%以上に達し、アンモニア性窒素除去率が99.0%以上に達する。
【0064】
実施例8
埋立地浸出水の有酸素熱分解処理過程は有酸素熱分解反応温度の影響をも受ける。実施例1で製造された触媒Fe2O3@SiO2-Al2O3-1を採用し、実施例1における埋立地浸出水サンプルを選択し、実施例3の触媒性能試験における酸素と埋立地浸出水の供給モル比及び空間速度に従って、有酸素熱分解反応温度を変更する。埋立地浸出水中のCOD除去率、濃度及びアンモニア性窒素除去率、濃度並びに非メタン全炭化水素の濃度を表8に示す。
【0065】
【0066】
反応温度が350℃の場合、埋立地浸出水中の有機汚染物質の除去効率は最高になる。
【0067】
実施例9
埋立地浸出水の有酸素熱分解処理過程は有酸素熱分解過程での酸素と埋立地浸出水の供給モル比の影響をも受ける。実施例1で製造された触媒Fe2O3@SiO2-Al2O3-1を採用し、実施例1における埋立地浸出水サンプルを選択し、実施例1の触媒性能試験における反応温度及び空間速度に従って、酸素と埋立地浸出水の供給モル比を変更する。埋立地浸出水中のCOD除去率、濃度及びアンモニア性窒素除去率、濃度並びに非メタン全炭化水素の濃度を表9に示す。
【0068】
【0069】
酸素と埋立地浸出水の供給モル比が2.3の場合、埋立地浸出水の浄化効率は最高になり、浄化水COD濃度及びアンモニア性窒素濃度はそれぞれ7.4及び7.7mg/Lである。
【0070】
実施例10
実施例1で製造された触媒Fe2O3@SiO2-Al2O3-1を採用して実施例1に従って触媒安定性試験を行う。浸出水の有酸素熱分解浄化装置を安定して100h稼働させたところ、触媒には明らかな失活現象が見られなかった。触媒は埋立地浸出水中の有機汚染物質に対して極めて高い浄化効果を有し、触媒安定性も100hに達する。
【0071】
比較例1
1.6875gの塩化第二鉄六水和物を20mLの脱イオン水で完全に溶解し、溶解後にシリコンアルミニウム比5:1のHY分子篩9.5gを加えて12h撹拌した後に100℃の油浴槽内に入れて撹拌して緩徐に脱水し、その後、管状炉内に入れて空気雰囲気下において5℃/minで600℃まで昇温させて3h熱処理し、触媒はFe2O3/HY-5と名付ける。触媒の性能試験は三段温度制御流動床の鋼製反応器内で行い、埋立地浸出水COD濃度は8327mg/Lとし、アンモニア性窒素濃度は1263mg/Lとし、上記方法で製造された二機能触媒を用いて埋立地浸出水の有酸素熱分解浄化を行い、触媒を流動床反応管内に充填し、埋立地浸出水を蠕動ポンプによって反応器内に圧送し、反応条件は、反応温度350℃、酸素と埋立地浸出水の供給モル比2.3、空間速度1.5h-1とする。COD除去率は92.1%であり、アンモニア性窒素除去率は79.5%であり、放流水COD濃度は657.8mg/Lと高く、アンモニア性窒素濃度は258.9mg/Lと高く、排水基準を満たしていない。浄化反応の長期安定効果が低く、僅か22h維持した後、明らかな触媒失活現象が見られ、触媒効率が大幅に低下する。
【0072】
比較例2
1.1419gの硝酸セリウム六水和物を20mLの脱イオン水で完全に溶解し、溶解後にシリコンアルミニウム比5:1のアモルファスシリコンアルミニウム9.5gを加えて12h撹拌した後に100℃の油浴槽内に入れて撹拌して緩徐に脱水し、その後、管状炉内に入れて空気雰囲気下において5℃/minで600℃まで昇温させて3h熱処理し、触媒はCeO2/SiO2-Al2O3-5と名付ける。比較例1のプロセス条件で浸出水を浄化したところ、COD濃度除去率は94.6%であり、アンモニア性窒素除去率は81.3%であり、放流水COD濃度は449.7mg/Lと高く、アンモニア性窒素濃度は236.2mg/Lと高く、浄化反応の長期安定性は比較例1で製造された触媒より少し向上したが、僅か42h維持した後、明らかな触媒失活現象も見られ、触媒効率が大幅に低下する。
【手続補正書】
【提出日】2023-07-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属錯体を真空乾燥装置に入れ、温度80~120℃、真空度15~25Paの条件下で4~6h活性化し、続いてシリコン前駆体と、アルミニウム前駆体と、酸性キレート剤と、加水分解抑制剤との混合溶液中に3~4h浸漬するステップと、アルコール溶媒で浸漬後のサンプルを洗浄し、乾燥させて溶媒を除去した後、得られた固体を500~800℃の高温下で4~6h熱処理して有機成分を除去し、酸性部位と酸素空孔が高度に分散し且つ豊富な細孔構造を有するMOx@SiO2-Al2O3二機能有酸素熱分解触媒を得るステップと、をすることを特徴とする、アモルファスシリコンアルミニウム内包金属酸化物触媒の製造方法。
【請求項2】
金属酸化物MOxはFe2O3、Co3O4、Cr2O3、CeO2、V2O5、Mn2O3、CuOのうちの1種又は2種であることを特徴とする、請求項1に記載のアモルファスシリコンアルミニウム内包金属酸化物触媒の製造方法。
【請求項3】
金属の錯体はMIL-101、MIL-100、MIL-68、MOF-808、PCN-222結晶構造のうちの1種であることを特徴とする、請求項1に記載のアモルファスシリコンアルミニウム内包金属酸化物触媒の製造方法。
【請求項4】
前記金属錯体はFe-MIL-101、Fe-MIL-68、Fe-MIL-100、Cr-MIL-101、Ce-MOF-808、V-MIL-101、V-MIL-68、Mn-MIL-100、Cu-PCN-222のうちの1種であることを特徴とする、請求項3に記載のアモルファスシリコンアルミニウム内包金属酸化物触媒の製造方法。
【請求項5】
前記金属錯体はFe/Cu-MIL-101、Fe/Co-MIL-101、Fe/Mn-MIL-101、V/Cu-MIL-101、Cr/Cu-MIL-101、V/Cr-MIL-101、V/Mn-MIL-101、Fe/Cu-MIL-68、V/Cu-MIL-68、Ce/Cu-MOF-88、Ce/V-MOF-88、Ce/Mn-MOF-88、Ce/Mn-MIL-100、Fe/Cu-MIL-100及びCu/Mn-PCN-222のうちの1種であることを特徴とする、請求項3に記載のアモルファスシリコンアルミニウム内包金属酸化物触媒の製造方法。
【請求項6】
前記シリコン前駆体はテトラメトキシシラン、ケイ酸テトラエチル、メチルトリメトキシシランのうちの1種であることを特徴とする、請求項1に記載のアモルファスシリコンアルミニウム内包金属酸化物触媒の製造方法。
【請求項7】
前記シリコン前駆体と金属錯体の質量比は9:1~11.8:1であり、前記シリコン前駆体はテトラメトキシシラン、ケイ酸テトラエチルであることを特徴とする、請求項6に記載のアモルファスシリコンアルミニウム内包金属酸化物触媒の製造方法。
【請求項8】
前記アルミニウム前駆体はアルミニウムイソプロポキシド、アルミニウムsec-ブトキシド、ジ(sec-ブタノール)アルミニウムアセトアセテートのうちの1種であり、アルミニウム前駆体とシリコン前駆体の質量比は0.11:1~0.37:1であることを特徴とする、請求項1に記載のアモルファスシリコンアルミニウム内包金属酸化物触媒の製造方法。
【請求項9】
前記酸性キレート剤は酢酸、シュウ酸のうちの1種であり、前記加水分解抑制剤はアセト酢酸エチル及びアルコール類であり、前記アルコール類はイソプロパノール又はsec-ブタノールであることを特徴とする、請求項1に記載のアモルファスシリコンアルミニウム内包金属酸化物触媒の製造方法。
【請求項10】
前記アセト酢酸エチルと前記アルミニウム前駆体の質量比は0.1:1~0.3:1であり、前記アルコール類と前記アルミニウム前駆体の質量比は1.6:1~4.7:1であることを特徴とする、請求項9に記載のアモルファスシリコンアルミニウム内包金属酸化物触媒の製造方法。
【請求項11】
酸性キレート剤とアルミニウム前駆体の質量比は0.21:1~0.63:1であり、
前記アルコール溶媒はメタノール、エタノール、sec-ブタノールのうちの1種又は2種であることを特徴とする、請求項1に記載のアモルファスシリコンアルミニウム内包金属酸化物触媒の製造方法。
【請求項12】
アモルファスシリコンアルミニウムを基準として、金属酸化物MOxの担持量は20~35%であり、
前記アモルファスシリコンアルミニウム内包金属酸化物触媒の酸量は2.3~4.5mmol/gであり、酸化活性成分の水素消費量は8.5~17.5mmol/gであり、
前記触媒の細孔容積は0.8~1.7cm3/gであり、メソ孔径範囲は2.2~18.5nmであることを特徴とする、請求項1に記載のアモルファスシリコンアルミニウム内包金属酸化物触媒の製造方法。
【請求項13】
請求項1から8のいずれか1項に記載の方法を用いて製造されたことを特徴とする、アモルファスシリコンアルミニウム内包金属酸化物触媒。
【請求項14】
埋立地浸出水の有酸素熱分解浄化のための、請求項1に記載の製造方法で製造されたアモルファスシリコンアルミニウム内包金属酸化物触媒の使用。
【請求項15】
前記触媒は埋立地浸出水中の炭素/窒素系汚染物質を分解-酸化カスケード反応によって二酸化炭素、水及び窒素に変換する、請求項14に記載の使用。
【請求項16】
前記埋立地浸出水の有酸素熱分解浄化反応は循環流動床反応器内で接触反応を行い、空気及び埋立地浸出水はいずれも有酸素熱分解反応器の底部から供給され、
接触反応温度は250~450℃であり、
酸素と埋立地浸出水の供給モル比は0.1~5であり、
空間速度は0.5~3.5h
-1
であることを特徴とする、請求項14に記載の使用。
【請求項17】
前記埋立地浸出水のCOD濃度は1000~100000mg/Lであり、アンモニア性窒素濃度は500~5000mg/Lであり、反応圧力は0.1~0.2MPaであることを特徴とする、請求項16に記載の使用。
【請求項18】
前記接触反応温度は300~400℃であることを特徴とする、請求項16に記載の使用。
【請求項19】
前記酸素と埋立地浸出水の供給モル比は1.25~3であることを特徴とする、請求項16に記載の使用。
【請求項20】
前記空間速度は1~2.5h
-1
であることを特徴とする、請求項16に記載の使用。
【外国語明細書】