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特開2024-106599磁気共鳴イメージング装置及び寝台装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024106599
(43)【公開日】2024-08-08
(54)【発明の名称】磁気共鳴イメージング装置及び寝台装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/055 20060101AFI20240801BHJP
【FI】
A61B5/055 366
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023010952
(22)【出願日】2023-01-27
(71)【出願人】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】奥住 啓介
(72)【発明者】
【氏名】池田 薫
(72)【発明者】
【氏名】山口 直子
(72)【発明者】
【氏名】石崎 庄治
【テーマコード(参考)】
4C096
【Fターム(参考)】
4C096AB47
4C096AD18
4C096EB03
4C096EB04
4C096EB05
4C096EB10
4C096FC20
(57)【要約】
【課題】天板移動時における天板のがたつきを低減させること。
【解決手段】実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置は、寝台装置、位置取得部、重量取得部、算出部、軌道生成部及び移動制御部を備える。寝台装置は、被験者を載置する天板を有する。位置取得部は、前記天板における前記被験者の位置を示す被験者位置情報を取得する。重量取得部は、前記被験者の重量を示す重量情報を取得する。算出部は、前記被験者位置情報と前記重量情報とに基づいて、前記天板に生じるたわみ量を算出する。軌道生成部は、前記天板のたわみ量に基づいて、前記天板を前記寝台装置から前記被験者の撮像を行う架台に移動させる際の軌道を示す第1軌道情報を生成する。移動制御部は、前記天板を前記寝台装置から前記架台に移動することが可能な移動機構を動作させ、前記第1軌道情報が示す軌道で前記天板を前記架台に移動させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験者を載置する天板を有する寝台装置と、
前記天板における前記被験者の位置を示す被験者位置情報を取得する位置取得部と、
前記被験者の重量を示す重量情報を取得する重量取得部と、
前記被験者位置情報と前記重量情報とに基づいて、前記天板に生じるたわみ量を算出する算出部と、
前記天板のたわみ量に基づいて、前記天板を前記寝台装置から前記被験者の撮像を行う架台に移動させる際の軌道を示す第1軌道情報を生成する軌道生成部と、
前記天板を前記寝台装置から前記架台に移動することが可能な移動機構を動作させ、前記第1軌道情報が示す軌道で前記天板を前記架台に移動させる移動制御部と、
を備える磁気共鳴イメージング装置。
【請求項2】
前記位置取得部は、前記天板の上面を撮像した第1撮像画像に基づいて、前記被験者位置情報を取得する、
請求項1に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項3】
前記天板を撮像した第2撮像画像に基づいて、前記天板に生じたたわみの状態を実測値として取得する実測値取得部と、
前記実測値に基づいて、前記算出部が算出した前記天板のたわみ量を補正する補正部と、
をさらに備え、
前記軌道生成部は、前記補正部が補正した前記天板のたわみ量に基づいて前記第1軌道情報を生成する、
請求項1に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項4】
前記軌道生成部は、前記天板のたわみ量に基づいて、前記天板を前記架台から前記寝台装置に移動させる際の軌道を示す第2軌道情報を生成し、
前記移動制御部は、前記天板を前記架台から前記寝台装置に移動することが可能な移動機構を動作させ、前記第2軌道情報が示す軌道で前記天板を前記寝台装置に移動させる、
請求項1に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項5】
前記軌道生成部は、前記天板を前記寝台装置から前記架台に移動させる際の各位置における前記天板の垂直方向の高さを少なくとも含んだ前記第1軌道情報を生成する、
請求項1から3の何れか1項に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項6】
前記寝台装置は、前記天板を水平方向及び垂直方向に移動することが可能な移動機構を有し、
前記移動制御部は、前記第1軌道情報に基づき前記移動機構を動作させることで、前記第1軌道情報が示す軌道で前記天板を前記架台に移動させる、
請求項5に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項7】
前記軌道生成部は、前記天板を前記架台から前記寝台装置に移動させる際の各位置における前記天板の垂直方向の高さを少なくとも含んだ前記第2軌道情報を生成する、
請求項4に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項8】
前記寝台装置は、前記天板を水平方向及び垂直方向に移動することが可能な移動機構を有し、
前記移動制御部は、前記第2軌道情報に基づき前記移動機構を動作させることで、前記架台から移動される前記天板を、前記第2軌道情報が示す軌道で前記寝台装置に移動させる、
請求項7に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項9】
被験者を載置する天板と、
前記天板における前記被験者の位置を示す被験者位置情報を取得する位置取得部と、
前記被験者の重量を示す重量情報を取得する重量取得部と、
前記被験者位置情報と前記重量情報とに基づいて、前記天板に生じるたわみ量を算出する算出部と、
前記天板のたわみ量に基づいて、前記天板を前記被験者の撮像を行う架台に移動させる際の軌道を示す第1軌道情報を生成する軌道生成部と、
前記天板を前記架台に移動することが可能な移動機構を動作させ、前記第1軌道情報が示す軌道で前記天板を前記架台に移動させる移動制御部と、
を備える寝台装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書及び図面に開示の実施形態は、磁気共鳴イメージング装置及び寝台装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、磁気共鳴イメージング(Magnetic Resonance Imaging:MRI)装置では、被験者を載置した天板を架台内に移動することで、被験者を架台内に運ぶことが行われている。また、磁気共鳴イメージング装置では、天板に磁性体やカーボンファイバーを使用することができず、強度の関係で天板を片持ち梁状の構造にすることが難しい。そのため、磁気共鳴イメージングでは、架台側に天板を支持する天板支持部材(例えばレール構造)を設けることが行われている。
【0003】
また、架台の外部で天板を支持する寝台は、架台との間に隙間を設けて配置されるため、天板と架台の間には水平方向及び高さ方向のギャップが生じることがある。従来、天板を支持する寝台を架台に設けられた天板支持部材と同じ高さまで上昇させた後、天板を水平方向に移動させる技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002-177263号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、天板や天板を支える寝台のフレームは、被験者の荷重によってたわむことが知られている。また、たわみ量は、天板上での被験者の載置位置、載置方法(ヘッドファースト又はフィートファースト)等によって変化する。そのため、例えば、寝台の高さを天板支持部材と同じ高さまで上昇させたとしても、天板や寝台に生じたたわみにより、寝台から架台に天板を移動させる際にがたつき(揺れや振動)が発生する可能性がある。
【0006】
このような、天板移動時における天板のがたつきにより、Sedation状態(一例として、薬剤による傾眠状態等)にある被験者が覚醒してしまったり、被験者が不快に感じたりする等の問題がある。
【0007】
本明細書及び図面に開示の実施形態が解決しようとする課題の一つは、天板移動時における天板のがたつきを低減させることである。ただし、本明細書及び図面に開示の実施形態により解決しようとする課題は上記課題に限られない。後述する実施形態に示す各構成による各効果に対応する課題を他の課題として位置付けることもできる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置は、寝台装置、位置取得部、重量取得部、算出部、軌道生成部及び移動制御部を備える。寝台装置は、被験者を載置する天板を有する。位置取得部は、前記天板における前記被験者の位置を示す被験者位置情報を取得する。重量取得部は、前記被験者の重量を示す重量情報を取得する。算出部は、前記被験者位置情報と前記重量情報とに基づいて、前記天板に生じるたわみ量を算出する。軌道生成部は、前記天板のたわみ量に基づいて、前記天板を前記寝台装置から前記被験者の撮像を行う架台に移動させる際の軌道を示す第1軌道情報を生成する。移動制御部は、前記天板を前記寝台装置から前記架台に移動することが可能な移動機構を動作させ、前記第1軌道情報が示す軌道で前記天板を前記架台に移動させる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、第1実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置の構成の一例を示すブロック図である。
図2図2は、第1実施形態に係る移動する天板と架台の位置関係の一例を説明する模式図である。
図3図3は、第1実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置が実行する処理の一例を示すフローチャートである。
図4図4は、第2実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置の構成の一例を示すブロック図である。
図5図5は、第2実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置が実行する処理の一例を示すフローチャートである。
図6図6は、第3実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置の構成の一例を示すブロック図である。
図7図7は、第3実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置が実行する処理の一例を示すフローチャートである。
図8図8は、第4実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置の構成の一例を示すブロック図である。
図9図9は、第5実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置の構成の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら、本願に係る磁気共鳴イメージング装置及び寝台装置の実施形態について詳細に説明する。
【0011】
図1は、実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置の構成の一例を示すブロック図である。
【0012】
例えば、図1に示すように、磁気共鳴イメージング装置100は、静磁場磁石1、傾斜磁場コイル2、傾斜磁場電源3、全身用RFコイル4、局所用RFコイル5、送信回路6、受信回路7、RFシールド8、架台9、寝台10、入力インタフェース11、ディスプレイ12、記憶回路13、処理回路14~17及びカメラ18を備える。
【0013】
静磁場磁石1は、被験者Pが配置される撮像空間に静磁場を発生させる。具体的には、静磁場磁石1は、中空の略円筒状(中心軸に直交する断面の形状が楕円状となるものを含む)に形成されており、その内周側に形成された撮像空間に静磁場を発生させる。例えば、静磁場磁石1は、超伝導磁石や永久磁石等である。ここでいう超伝導磁石は、例えば、液体ヘリウム等の冷却剤が充填された容器と、当該容器に浸漬された超伝導コイルとから構成される。
【0014】
傾斜磁場コイル2は、静磁場磁石1の内側に配置されており、被験者Pが配置される撮像空間に傾斜磁場を発生させる。具体的には、傾斜磁場コイル2は、中空の略円筒状(中心軸に直交する断面の形状が楕円状となるものを含む)に形成されており、互いに直交するX軸、Y軸及びZ軸それぞれに対応するXコイル、Yコイル及びZコイルを有している。
【0015】
Xコイル、Yコイル及びZコイルは、傾斜磁場電源3から供給される電流に基づいて、各軸方向に沿って線形に変化する傾斜磁場を撮像空間に発生させる。ここで、Z軸は、静磁場磁石1によって発生する静磁場の磁束に沿うように設定される。また、X軸は、Z軸に直交する水平方向に沿うように設定され、Y軸は、Z軸に直交する鉛直方向に沿うように設定される。ここで、X軸、Y軸及びZ軸は、磁気共鳴イメージング装置100に固有の装置座標系を構成する。
【0016】
傾斜磁場電源3は、傾斜磁場コイル2に電流を供給することで、撮像空間に傾斜磁場を発生させる。具体的には、傾斜磁場電源3は、傾斜磁場コイル2のXコイル、Yコイル及びZコイルに個別に電流を供給することで、互いに直交するリードアウト方向、位相エンコード方向及びスライス方向それぞれに沿って線形に変化する傾斜磁場を撮像空間に発生させる。
【0017】
ここで、リードアウト方向に沿った軸、位相エンコード方向に沿った軸、及びスライス方向に沿った軸は、撮像の対象となるスライス領域又はボリューム領域を規定するための論理座標系を構成する。
【0018】
具体的には、リードアウト方向、位相エンコード方向及びスライス方向それぞれに沿った傾斜磁場は、静磁場磁石1によって発生する静磁場に重畳されることで、被験者Pから発生するNMR(Nuclear Magnetic Resonance)信号に空間的な位置情報を付与する。具体的には、リードアウト方向の傾斜磁場は、リードアウト方向の位置に応じてNMR信号の周波数を変化させることで、リードアウト方向の位置情報をNMR信号に付与する。
【0019】
また、位相エンコード方向の傾斜磁場は、位相エンコード方向の位置に応じてNMR信号の位相を変化させることで、位相エンコード方向の位置情報をNMR信号に付与する。また、スライス方向の傾斜磁場は、スライス方向の位置情報をNMR信号に付与する。
【0020】
例えば、スライス方向の傾斜磁場は、撮像領域がスライス領域の場合(2D撮像)は、スライス領域の方向、厚さ及び枚数を決めるために用いられ、撮像領域がボリューム領域の場合(3D撮像)は、スライス方向の位置に応じてNMR信号の位相を変化させるために用いられる。
【0021】
全身用RFコイル4は、傾斜磁場コイル2の内周側に配置されており、撮像空間に配置された被験者PにRFパルスを送信し、当該RFパルスの影響によって被験者Pから発生するNMR信号を受信する。
【0022】
具体的には、全身用RFコイル4は、中空の略円筒状(中心軸に直交する断面の形状が楕円状となるものを含む)に形成されており、送信回路6から供給されるRFパルスに基づいて、その内周側に位置する撮像空間に配置された被験者PにRF磁場を印加する。そして、全身用RFコイル4は、RF磁場の影響によって被験者Pから発生するNMR信号を受信し、受信したNMR信号を受信回路7へ出力する。
【0023】
例えば、全身用RFコイル4は、バードケージ型コイルや、TEM(Transverse Electromagnetic)コイルである。なお、全身用RFコイル4は、必ずしも送信機能及び受信機能の両方を有していなくてもよく、送信機能のみを有していてもよい。
【0024】
局所用RFコイル5は、撮像時に被験者Pの近傍に配置され、撮像空間に配置された被験者PにRFパルスを送信し、当該RFパルスの影響によって被験者Pから発生するNMR信号を受信する。
【0025】
具体的には、局所用RFコイル5は、被験者Pの部位ごとに用意されており、被験者Pの撮像が行われる際に撮像対象の部位の近傍に配置され、送信回路6から供給されるRFパルスに基づいて、被験者PにRF磁場を印加する。
【0026】
そして、局所用RFコイル5は、RF磁場の影響によって被験者Pから発生するNMR信号を受信し、受信したNMR信号を受信回路7へ出力する。例えば、局所用RFコイル5は、サーフェスコイルや、複数のサーフェスコイルをコイルエレメントとして組み合わせて構成されたフェーズドアレイコイルである。なお、局所用RFコイル5は、必ずしも送信機能及び受信機能の両方を有していなくてもよく、受信機能のみを有していてもよい。
【0027】
送信回路6は、静磁場内に置かれた対象原子核に固有の共鳴周波数(ラーモア周波数)に対応するRFパルスを全身用RFコイル4又は局所用RFコイル5に出力する。
【0028】
受信回路7は、全身用RFコイル4又は局所用RFコイル5から出力されるNMR信号に基づいてNMRデータを生成し、生成したNMRデータを処理回路15に出力する。また、受信回路7は、複数のADC(Analog to Digital Converter)を備える。ADCは、全身用RFコイル4又は局所用RFコイル5から出力されるNMR信号をデジタルデータに変換する。ADCは変換部の一例である。ADCについては後述する。
【0029】
RFシールド8は、傾斜磁場コイル2と全身用RFコイル4との間に配置されており、全身用RFコイル4によって発生するRF磁場から傾斜磁場コイル2を遮蔽する。具体的には、RFシールド8は、中空の略円筒状(円筒の中心軸に直交する断面の形状が楕円状となるものを含む)に形成されており、傾斜磁場コイル2の内周側の空間に、全身用RFコイル4の外周面を覆うように配置されている。
【0030】
架台9は、略円筒状(中心軸に直交する断面の形状が楕円状となるものを含む)に形成された中空のボア91を有し、静磁場磁石1、傾斜磁場コイル2、全身用RFコイル4、RFシールド8及び架台レール92を収容している。
【0031】
具体的には、架台9は、ボア91の外周側に全身用RFコイル4を配置し、全身用RFコイル4の外周側にRFシールド8を配置し、RFシールド8の外周側に傾斜磁場コイル2を配置し、傾斜磁場コイル2の外周側に静磁場磁石1を配置した状態で、それぞれを収容している。
【0032】
また、架台9は、被験者Pが載置される天板101をボア91内で移動可能に支持する架台レール92を有している。架台レール92は、例えば架台9のボア91内の下側に、ボア91の軸方向に沿って延在するように設けられている。ここで、架台9が有するボア91内の空間が、撮像時に被験者Pが配置される撮像空間となる。
【0033】
寝台10は、被験者Pを載置する天板101、天板101を架台9に移動させる移動部材102、寝台10の高さを変更する駆動部材103、天板101の位置を検出する天板位置検出センサ104及び寝台10の高さを検出する寝台高さ検出センサ105を備える。寝台10は、寝台装置の一例である。寝台10は、被験者Pの撮像が行われる際に、被験者Pが載置された天板101を架台9のボア91(撮像空間)内に移動する。例えば、寝台10は、天板101の長手方向(Z軸方向)が静磁場磁石1の中心軸と平行になるように設置されている。なお、天板101が架台9内に移動される前の初期状態において、寝台10と架台9との間には隙間が設けられているものとする。
【0034】
移動部材102は、天板101を架台9内の撮像空間に移動させるための部材であり、天板101の下部に設けられる。移動部材102は、例えば、天板101をZ軸方向に移動させるためのローラである。なお、本実施形態では、移動部材102が天板101に取り付けられる構成について説明するが、天板101を下方から支持する寝台10の上面に移動部材102が取り付けられてもよい。
【0035】
駆動部材103は、寝台10の高さを上下方向(Y軸方向)に移動させるための部材であり、寝台10の内部に設けられる。また、駆動部材103は、天板101をZ軸方向に移動させるための駆動でもある。駆動部材103は、例えば、駆動モータである。移動部材102及び駆動部材103は、移動機構の一例である。移動機構は、天板101を水平方向及び垂直方向に移動することが可能である。
【0036】
天板位置検出センサ104は、天板101のZ軸方向における位置(以下、天板位置ともいう)を検出する検出センサである。天板位置検出センサ104は、例えば天板101の下に設けられる。具体的には、天板位置検出センサ104は、寝台10上で移動される天板101のZ軸方向での位置を検出する。
【0037】
なお、天板位置検出センサ104が検出する天板位置は、寝台10に対する天板101のZ軸方向での相対位置であってもよい。例えば、天板位置検出センサ104は、天板101が架台9内に移動される前の初期状態での天板101の位置を基準位置とし、当該基準位置から天板101がZ軸方向に移動した距離を天板位置として検出する。また、天板位置検出センサ104は、検出した天板位置を処理回路14に送信する。
【0038】
寝台高さ検出センサ105は、寝台10のY軸方向の高さを検出する検出センサである。寝台高さ検出センサ105は、例えば、寝台10の内部に設けられる。具体的には、寝台高さ検出センサ105は、駆動部材103によって移動される寝台10又は天板101のY軸方向での位置(高さ)を検出する。また、寝台高さ検出センサ105は、検出した高さを処理回路14に送信する。
【0039】
入力インタフェース11は、操作者から各種指示及び各種情報の入力操作を受け付ける。具体的には、入力インタフェース11は、処理回路17に接続されており、操作者から受け取った入力操作を電気信号へ変換して処理回路17に出力する。
【0040】
例えば、入力インタフェース11は、撮像条件や関心領域(Region Of Interest:ROI)の設定等を行うためのトラックボール、スイッチボタン、マウス、キーボード、操作面へ触れることで入力操作を行うタッチパッド、表示画面とタッチパッドとが一体化されたタッチスクリーン、光学センサを用いた非接触入力回路、及び音声入力回路等によって実現される。
【0041】
なお、本明細書において、入力インタフェース11は、マウス、キーボード等の物理的な操作部品を備えるものだけに限られない。例えば、装置とは別体に設けられた外部の入力機器から入力操作に対応する電気信号を受け取り、この電気信号を制御回路へ出力する電気信号の処理回路も入力インタフェース11の例に含まれる。
【0042】
ディスプレイ12は、各種情報を表示する。具体的には、ディスプレイ12は、処理回路17に接続されており、処理回路17から送られる各種情報のデータを表示用の電気信号に変換して出力する。例えば、ディスプレイ12は、液晶モニタやCRTモニタ、タッチパネル等によって実現される。
【0043】
カメラ18は、カメラ18は、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサやCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサにより構成され、天板101に載置された被験者Pを撮像する。カメラ18は、被験者Pの光学画像(以下、第1撮像画像ともいう)を生成し、処理回路14に送信する。
【0044】
なお、カメラ18は、ボア91内に挿入される前の天板101の上面を撮像可能な位置に設けることが好ましい。例えば、カメラ18は、架台9の寝台10側の外壁面や、磁気共鳴イメージング装置100が設置された部屋の天井、壁面等に設けられる。
【0045】
記憶回路13は、各種データを記憶する。具体的には、記憶回路13は、処理回路14~17に接続されており、各処理回路によって入出力される各種データを記憶する。例えば、記憶回路13は、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子やハードディスク、光ディスク等によって実現される。
【0046】
処理回路15は、収集機能151を有する。収集機能151は、各種のパルスシーケンスを実行することで、k空間データを収集する。具体的には、収集機能151は、処理回路17から出力されるシーケンス実行データに従って傾斜磁場電源3、送信回路6及び受信回路7を駆動することで、各種のパルスシーケンスを実行する。
【0047】
ここで、シーケンス実行データは、パルスシーケンスを表すデータであり、傾斜磁場電源3が傾斜磁場コイル2に電流を供給するタイミング及び供給する電流の強さ、送信回路6が全身用RFコイル4にRFパルスを供給するタイミング及び供給するRFパルスの強さ、受信回路7がNMR信号をサンプリングするタイミング等を規定した情報である。
【0048】
そして、収集機能151は、パルスシーケンスを実行した結果として受信回路7から出力されるNMRデータを受信し、記憶回路13に記憶させる。このとき、記憶回路13に記憶されるNMRデータは、前述した各傾斜磁場によってリードアウト方向、位相エンコード方向及びスライス方向の各方向に沿った位置情報が付与されることで、2次元又は3次元のk空間を表すk空間データとして記憶される。
【0049】
処理回路16は、生成機能161を有する。生成機能161は、処理回路15によって収集されたk空間データから画像を生成する。具体的には、生成機能161は、処理回路15によって収集されたk空間データを記憶回路13から読み出し、読み出したk空間データにフーリエ変換等の再構成処理を施すことで、2次元又は3次元の画像を生成する。そして、生成機能161は、生成した画像を記憶回路13に記憶させる。
【0050】
処理回路17は、撮像制御機能171、受付機能172及び決定機能173を有する。撮像制御機能171は、磁気共鳴イメージング装置100が有する各構成要素を制御することで、各種の撮像を行う。具体的には、撮像制御機能171は、操作者から各種指示及び各種情報の入力操作を受け付けるためのGUI(Graphical User Interface)をディスプレイ12に表示し、入力インタフェース11を介して受け付けられた入力操作に応じて、磁気共鳴イメージング装置100が有する各構成要素を制御する。
【0051】
例えば、撮像制御機能171は、操作者によって入力された撮像条件に基づいてシーケンス実行データを生成し、生成したシーケンス実行データを処理回路15に出力することで、k空間データを収集させる。また、例えば、撮像制御機能171は、処理回路16を制御することで、処理回路15によって収集されたk空間データから画像を再構成させる。また、例えば、撮像制御機能171は、操作者からの要求に応じて、記憶回路13から画像を読み出し、読み出した画像をディスプレイ12に表示させる。
【0052】
受付機能172は、ユーザから入力を受け付ける。例えば、受付機能172は、入力インタフェース11を介して、ユーザから被験者Pの重量を示す重量情報(一例として、被験者Pの体重等)、撮像条件や関心領域を設定するための情報の入力を受け付ける。また、例えば、受付機能172は、入力インタフェース11を介して、天板101に載置される被験者Pの姿勢や、当該姿勢を特定可能な情報の入力を受け付ける。
【0053】
ここで、被験者Pの姿勢は、例えば頭部を架台9に向けて載置するヘッドファースト、足部を架台9に向けて載置するフィートファースト等を意味する。
【0054】
決定機能173は、被験者Pの撮像条件を決定する。例えば、決定機能173は、受付機能172で受け付けた、撮像条件や関心領域を設定するための情報に基づいて、被験者Pの撮像部位を含む撮像条件を決定する。なお、決定機能173は、病院情報システム(HIS:Hospital Information System)等で管理される検査オーダ情報等に基づいて、撮像条件を決定してもよい。
【0055】
処理回路14は、移動制御機能141を有する。移動制御機能141は、移動制御部の一例である。移動制御機能141は、制御用の電気信号を寝台10へ出力することで、寝台10の動作を制御する。
【0056】
例えば、移動制御機能141は、入力インタフェース11を介して、天板101を長手方向、上下方向又は左右方向へ移動させる指示を操作者から受け付け、受け付けた指示に従って天板101を移動するように、寝台10が有する移動機構(移動部材102及び駆動部材103)を動作させる。なお、処理回路14は、寝台10が備えてもよい。
【0057】
ところで、寝台10や天板101は、被験者Pの荷重によって寝台10や天板101がたわむことが知られている。また、たわみ量は、天板上での被験者Pの載置位置、載置方法(ヘッドファースト又はフィートファースト)等によって変化する。
【0058】
そのため、例えば、寝台10の高さを架台9に設けられた天板支持部材と同じ高さまで上昇させたとしても、寝台10や天板101に生じたたわみにより、寝台10から架台9に天板101を移動させる際にがたつき(揺れや振動)が発生する可能性がある。
【0059】
このような、天板移動時における天板101のがたつきにより、Sedation状態(一例として、薬剤による傾眠状態等)にある被験者Pが覚醒してしまったり、被験者Pが不快に感じたりする等の問題がある。
【0060】
そこで、本実施形態の処理回路14は、移動制御機能141に加え、画像取得機能142、位置取得機能143、重量取得機能144、算出機能145及び軌道生成機能146を有する。移動制御機能141は、天板101を寝台10から架台9に移動することが可能な移動機構を動作させ、第1軌道情報が示す軌道で天板101を架台9に移動させる。なお、軌道生成機能146が生成する第1軌道情報について、後述する。
【0061】
画像取得機能142は、第1撮像画像を取得する。画像取得機能142は、画像取得部の一例である。具体的には、画像取得機能142は、カメラ18により撮像された、天板101に載置された被験者Pを含む、天板101の上面を撮像した第1撮像画像を取得する。
【0062】
位置取得機能143は、天板101に載置された被験者Pの位置を示す被験者位置情報を取得する。位置取得機能143は、位置取得部の一例である。具体的には、位置取得機能143は、画像取得機能142が取得した、天板101の上面を撮像した第1撮像画像に基づいて、天板101上における被験者Pの位置を検出することで、当該位置を示す被験者位置情報を取得する。
【0063】
また、位置取得機能143は、画像取得機能142が取得した第1撮像画像から、天板101上における被験者Pの姿勢を検出することで、当該姿勢を被験者位置情報として取得してもよい。なお、位置取得機能143は、受付機能172が受け付けた被験者Pの姿勢を被験者位置情報として取得してもよい。
【0064】
重量取得機能144は、被験者Pの重量を示す重量情報を取得する。重量取得機能144は、重量取得部の一例である。具体的には、重量取得機能144は、受付機能172が受け付けた被験者Pの重量を示す重量情報を取得する。
【0065】
算出機能145は、天板101に生じるたわみ量を算出する。算出機能145は、算出部の一例である。具体的には、算出機能145は、位置取得機能143が取得した被験者位置情報と、重量取得機能144が取得した重量情報と、に基づいて、被験者Pの載置により天板101にかかる負荷を導出し、天板101のY軸方向に対するたわみ量を算出する。
【0066】
より具体的には、算出機能145は、被験者位置情報及び重量情報に基づいて、天板101のZ軸方向の端部におけるY軸方向へのたわみ量を算出する。ここで、天板101のZ軸方向の端部は、天板101をZ軸方向に移動させる際の移動方向の前端部を意味する。なお、たわみ量の算出方法は特に問わず、公知の算出方法を用いることができる。また、算出機能145は、天板101及び寝台10の剛性や構造を示す仕様情報を用いてたわみ量の算出を行ってもよい。
【0067】
また、算出機能145は、天板101に生じるたわみ量とともに、天板101を下方から支持する寝台10の上面に生じるたわみ量を算出してもよい。この場合も天板101と同様に、算出機能145は、寝台10のZ軸方向の端部におけるY軸方向へのたわみ量を算出する。
【0068】
軌道生成機能146は、天板101を寝台10から被験者Pの撮像を行う架台9に移動させる際の軌道を示す第1軌道情報を生成する。軌道生成機能146は、軌道生成部の一例である。
【0069】
ここで、図2を参照しながら天板101を寝台10から架台9に移動させる際の軌道について説明する。図2は、第1実施形態に係る天板101の移動軌道の一例を説明する模式図である。図2には、天板101が移動する軌道を示す軌道A、天板101及び寝台10がY軸方向の負の方向にたわんでいる状態を示す、たわみ状態B、たわみ状態C及びたわみ状態Dを示す。
【0070】
軌道生成機能146は、算出機能145が算出した天板101のたわみ量に基づいて、天板101を寝台10から架台9に移動させる際の軌道を示す第1軌道情報を生成する。第1軌道情報は、天板101を寝台10から架台9に移動させる際の各位置における天板101の垂直方向の高さを少なくとも含む。例えば、第1軌道情報は、天板101が架台9に移動する前の寝台10の高さ、天板101が架台9に移動した直後の寝台10の高さ、天板101が架台9に移動した後の寝台10の高さを含む。
【0071】
ここで、寝台10の高さは、算出機能145によって算出された、天板101の移動過程における各位置のたわみ量に基づいて設定される。具体的には、軌道生成機能146は、天板101を寝台10から架台9に移動する過程において、天板101に取り付けられた移動部材102が、架台9の架台レール92に乗り上げることが無いよう、天板101のたわみ量を加味した高さに設定する。なお、架台9(及び架台レール)の高さは、既知であるものとする。
【0072】
例えば、軌道生成機能146は、天板101をZ軸方向に移動させる前の軌道として、天板101(及び寝台10)の端部のたわみ量(図2に示すたわみ状態B)に基づき、寝台10を架台9の架台レール92よりも高くなる位置に移動させることを指示した第1起動情報を生成する。
【0073】
なお、寝台10の高さは、スループット向上の観点から、天板101をZ軸方向に移動させた際に、天板101の移動部材102が、架台9の架台レール92に乗り上げない程度の高さまで上昇させればよい。また、寝台10の高さは、被験者Pの重量に対応して調整してもよい。
【0074】
また、軌道生成機能146は、天板101のZ軸方向への移動開始後の軌道として、天板101(及び寝台10)の端部のたわみ量(図2に示すたわみ状態C)に基づき、天板101の移動部材102を架台9の架台レール92上に乗せるため、寝台10の高さを架台レール92の高さまで下げる(移動させる)ことを指示した第1起動情報を生成する。
【0075】
さらに、軌道生成機能146は、天板101のZ軸方向への移動を開始し、架台9への着地後の軌道として、天板101(及び寝台10)の端部のたわみ量(図2に示すたわみ状態D)に基づき、天板101の移動部材102を架台9の架台レール92上に乗せるため、寝台10の高さと、架台レール92の高さと、を同じ高さにすることを指示した第1起動情報を生成する。なお、寝台10の高さは、天板101の移動部材102が架台9の架台レール92に緩やかに着地(ソフトランディング)するよう、徐々に下げる(移動させる)ことが好ましい。
【0076】
また、軌道生成機能146は、天板101をZ軸方向に移動させる際の移動速度や加速タイミング、停止タイミング等を含んだ第1軌道情報を生成してもよい。
【0077】
移動制御機能141は、天板101が架台9内に移動する過程で、第1軌道情報に基づき駆動部材103を制御することで、寝台10の高さを調整する。これにより、天板101は、図2に示す軌道Aを辿りながら架台レール92上にソフトランディングされる。
【0078】
また、移動制御機能141は、天板101の移動速度等が第1軌道情報に含まれる場合、第1軌道情報に基づき(天板101をZ軸方向に移動させる)移動部材102及び駆動部材103を制御することで、天板101を架台9内に移動させる。この場合も、天板101は、図2に示す軌道Aを辿りながら架台レール92上にソフトランディングされる。
【0079】
天板101は、移動制御機能141により、軌道生成機能146が生成した第1軌道情報に基づいて、寝台10の高さ(Y軸方向)及び天板101の移動位置(Z軸方向)を連動させながら、架台レール92に移動する。
【0080】
ここで、上述した処理回路14~17は、例えば、プロセッサによって実現される。この場合に、各処理回路が有する処理機能は、例えば、コンピュータによって実行可能なプログラムの形態で記憶回路13に記憶される。そして、各処理回路は、記憶回路13から各プログラムを読み出して実行することで、各プログラムに対応する処理機能を実現する。換言すると、各プログラムを読み出した状態の各処理回路は、図1の各処理回路内に示された各機能を有することとなる。
【0081】
なお、ここでは、単一のプロセッサによって各処理回路が実現されるものとして説明するが、実施形態はこれに限られず、複数の独立したプロセッサを組み合わせて各処理回路を構成し、各プロセッサがプログラムを実行することによって各処理機能を実現するものとしてもよい。また、各処理回路が有する処理機能は、単一又は複数の処理回路に適宜に分散又は統合されて実現されてもよい。
【0082】
また、図1に示す例では、単一の記憶回路13が各処理機能に対応するプログラムを記憶するものとして説明したが、複数の記憶回路を分散して配置して、処理回路が個別の記憶回路から対応するプログラムを読み出す構成としても構わない。
【0083】
以下、第1実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置100が実行する処理について説明する。図3は、第1実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置100が実行する処理の一例を示すフローチャートである。なお、図3において、磁気共鳴イメージング装置100は、処理回路17の決定機能173により、被験者Pの撮像部位が決定され、カメラ18が天板101に載置された被験者Pを撮像した後から開始するものとする。
【0084】
まず、処理回路14の画像取得機能142は、カメラ18により撮像された第1撮像画像を取得する(ステップS31)。続いて、処理回路14の位置取得機能143は、画像取得機能142が取得した第1撮像画像から、天板101に載置された被験者Pの位置及び姿勢を示す被験者位置情報を取得する(ステップS32)。
【0085】
続いて、処理回路14の重量取得機能144は、被験者Pの重量を示す重量情報を取得する(ステップS33)。続いて、処理回路14の算出機能145は、位置取得機能143が取得した被験者位置情報と、重量取得機能144が取得した重量情報とに基づいて、天板101のたわみ量を算出する(ステップS34)。
【0086】
続いて、処理回路14の軌道生成機能146は、算出機能145が算出した天板101のたわみ量に基づいて、天板101を寝台10から架台9に移動させる際の寝台10の高さを少なくとも含んだ、天板101の軌道を示す第1軌道情報を生成する(ステップS35)。
【0087】
続いて、処理回路14の移動制御機能141は、軌道生成機能146が生成した第1軌道情報に基づき駆動部材103を動作させることで、第1軌道情報に規定された軌道で天板101を架台9に移動させ(ステップS36)、本処理を終了する。
【0088】
以上のように、第1実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置100は、天板101における被験者Pの位置を示す被験者位置情報を取得し、被験者Pの重量を示す重量情報を取得し、被験者位置情報と重量情報とに基づいて、天板101に生じるたわみ量を算出する。そして、磁気共鳴イメージング装置100は、天板101のたわみ量に基づいて、天板101を寝台10から被験者Pの撮像を行う架台9に移動させる際の軌道を示す第1軌道情報を生成し、天板101を寝台10から架台9に移動することが可能な移動機構を動作させ、第1軌道情報が示す軌道で天板101を架台9に移動させる。
【0089】
これにより、天板101は、第1軌道情報に沿って架台9に移動するため、架台9と寝台10との間に隙間がある場合であっても、架台9へのスムーズな移動を実現することができる。したがって、磁気共鳴イメージング装置100及び寝台10は、天板101を架台9に移動させる際のがたつきを低減させることができ、がたつきに由来する被験者Pの不快感を軽減させることができる。
【0090】
なお、上述した実施形態は、各装置が有する構成又は機能の一部を変更することで、適宜に変形して実施することも可能である。そこで、以下では、上述した実施形態に係るいくつかの変形例を他の実施形態として説明する。なお、以下では、上述した実施形態と異なる点を主に説明することとし、既に説明した内容と共通する点については同一の符号を付与し詳細な説明を省略する。また、以下で説明する他の実施形態は、個別に実施されてもよいし、適宜組み合わせて実施されてもよい。
【0091】
(第2実施形態)
上述の実施形態では、天板101における被験者Pの位置を示す被験者位置情報と、被験者Pの重量を示す重量情報とに基づき、天板101のたわみ量を算出する形態について説明した。しかしながら、天板101のたわみ量の算出に係る形態はこれに限定されない。以下、天板101のたわみ量の算出に係る他の形態の一例を、第2実施形態として説明する。
【0092】
まず、第2実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置100について説明する。図4は、第2実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置100の構成の一例を示すブロック図である。第2実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置100は、カメラ19をさらに備える。
【0093】
カメラ19は、カメラ18と同様、例えば、CCDイメージセンサやCMOSイメージセンサにより構成される。カメラ19は、カメラ18とは異なる位置又は角度から天板101を撮像する。例えば、カメラ19は、図4に示すように、架台9のボア91越しに、Z軸方向から天板101を撮像する。
【0094】
ここで、カメラ19は、被験者Pの載置により天板101(及び架台9)に発生したたわみの状態を撮像するために設けられている。カメラ19は、天板101の光学画像(以下、第2撮像画像ともいう)を生成し、処理回路14に送信する。
【0095】
なお、カメラ19の設置位置は図4の例に限らないものとするが、ボア91内に挿入される前の天板101を撮像可能な位置に設けることが好ましい。
【0096】
また、第2実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置100の処理回路14は、移動制御機能141、画像取得機能142、位置取得機能143、重量取得機能144、算出機能145、軌道生成機能146、実測値取得機能147及び補正機能148を有する。
【0097】
ここで、実測値取得機能147は、実測値取得部の一例である。実測値取得機能147は、第2撮像画像から天板101のたわみ量を取得する。第2撮像画像から天板101のたわみ量は、実測値の一例である。具体的には、実測値取得機能147は、カメラ19から第2撮像画像を取得する。そして、実測値取得機能147は、取得した第2撮像画像に基づいて、天板101に生じたたわみの状態を実測値として取得する。
【0098】
補正機能148は、補正部の一例である。補正機能148は、算出機能145が算出した天板101のたわみ量を補正する。具体的には、補正機能148は、実測値取得機能147が取得した実測値(たわみ量)に基づいて、算出機能145が算出した天板101のたわみ量を補正する。
【0099】
例えば、補正機能148は、実測値取得機能147により取得された、天板101をZ軸方向に移動させる前の天板101(及び寝台10)の端部のたわみ量に基づき、算出機能145が算出した天板101のたわみ量を補正する。
【0100】
また、例えば、補正機能148は、実測値取得機能147により取得された、天板101のZ軸方向への移動開始後の天板101(及び寝台10)の端部のたわみ量に基づき、算出機能145が算出した天板101のたわみ量を補正する。
【0101】
さらに、補正機能148は、実測値取得機能147により取得された、天板101のZ軸方向への移動を開始し、架台9への着地後の天板101(及び寝台10)の端部のたわみ量に基づき、算出機能145が算出した天板101のたわみ量を補正する。
【0102】
軌道生成機能146は、補正機能148が補正した天板101のたわみ量に基づいて、天板101を寝台10から架台9に移動させる際の軌道を示す第1軌道情報を生成する。なお、軌道生成機能146が生成する第1軌道情報は、上述した第1実施形態と同様である。
【0103】
以下、第2実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置100が実行する処理について説明する。図5は、第2実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置100が実行する処理の一例を示すフローチャートである。なお、図5において、磁気共鳴イメージング装置100は、処理回路17の決定機能173により、被験者Pの撮像部位が決定され、カメラ18が天板101に載置された被験者Pを撮像した後から開始するものとする。また、第1実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置100が実行する処理と共通する処理の説明は省略する。
【0104】
処理回路14の実測値取得機能147は、カメラ19により撮像された第2撮像画像を取得し、取得した第2撮像画像から、天板101のY軸方向に対する、実測の天板101のたわみ量を取得する(ステップS51)。続いて、処理回路14の補正機能148は、実測値取得機能147が取得した実測のたわみ量に基づいて、算出機能145が算出した天板101のたわみ量を補正する(ステップS52)。
【0105】
続いて、軌道生成機能146は、補正機能148が補正した天板101のたわみ量に基づいて、天板101を寝台10から架台9に移動させる際の軌道を示す第1軌道情報を生成する(ステップS53)。
【0106】
以上のように、第2実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置100は、被験者Pを載置した天板101を含む第2撮像画像を取得し、第2画像から、天板101のY軸方向に対する、実測の天板101のたわみ量を取得する。そして、磁気共鳴イメージング装置100は、実測の天板101のたわみ量に基づいて、算出した天板101のたわみ量を補正し、補正した天板101のたわみ量に基づいて、寝台10の高さを算出し、天板101を寝台10から架台9に移動させる際の軌道を示す第1軌道情報を生成する。
【0107】
例えば、天板101は、第1軌道情報に沿って架台9に移動するため、架台9と寝台10との間に隙間がある場合であっても、架台9へのスムーズな移動を実現することができる。したがって、磁気共鳴イメージング装置100及び寝台10は、天板101を架台9に移動させる際のがたつきを低減させることができ、がたつきに由来する被験者Pの不快感を軽減させることができる。
【0108】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置100について説明する。図6は、第3実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置100の構成の一例を示すブロック図である。第3実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置100の寝台10は、天板101の下方に重量センサ106を備える。なお、第3実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置100は、第1実施形態及び第3実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置100とは異なり、カメラ18を備えない。
【0109】
重量センサ106は、天板101に載置された被験者Pの重量を検出するセンサである。重量センサ106は、重量検出部の一例である。重量センサ106は、被験者Pと天板101とが接する面に加わる負荷を検出する。重量センサ106は、検出した被験者Pの重量を処理回路14に送信する。
【0110】
そして、第3実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置100の処理回路14は、移動制御機能141、重量取得機能144、算出機能145及び軌道生成機能146を有する。
【0111】
重量取得機能144は、負荷情報を取得する。具体的には、重量取得機能144は、重量センサ106が検出した、被験者Pと天板101とが接する面の位置と、被験者Pと天板101とが接する面の位置に加わる重量(負荷)を示す負荷情報を取得する。
【0112】
算出機能145は、天板101のたわみ量を算出する。具体的には、算出機能145は、重量取得機能144が取得した負荷情報に基づいて、被験者Pの載置により天板101に発生したたわみ量を算出する。
【0113】
軌道生成機能146は、算出機能145が算出した天板101のたわみ量に基づいて、寝台10の高さを算出し、天板101を寝台10から架台9に移動させる際の軌道を示す第1軌道情報を生成する。
【0114】
以下、第3実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置100が実行する処理について説明する。図7は、第3実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置100が実行する処理の一例を示すフローチャートである。
【0115】
なお、図7において、磁気共鳴イメージング装置100は、処理回路17の決定機能173により、被験者Pの撮像部位が決定され、重量センサ106により、被験者Pと天板101とが接する面に加わる負荷を検出された後から開始するものとする。また、第1実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置100が実行する処理と共通する処理の説明は省略する。
【0116】
まず、処理回路14の重量取得機能144は、重量センサ106が検出した、被験者Pと天板101とが接する面の位置と、被験者Pと天板101とが接する面の位置に加わる負荷を示す負荷情報を取得する(ステップS71)。続いて、処理回路14の算出機能145は、重量取得機能144が取得した負荷情報に基づいて、被験者Pの載置により天板101に発生したたわみ量を算出する(ステップS72)。
【0117】
続いて、軌道生成機能146は、算出機能145が算出した天板101のたわみ量に基づいて、天板101を寝台10から架台9に移動させる際の軌道を示す第1軌道情報を生成する(ステップS73)。
【0118】
以上のように、第3実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置100は、被験者Pと天板101とが接する面の位置と、被験者Pと天板101とが接する面の位置に加わる負荷を示す負荷情報を取得し、負荷情報に基づいて、天板101のY軸方向に対する、天板101のたわみ量を算出する。そして、磁気共鳴イメージング装置100は、算出した天板101のたわみ量に基づいて、天板101を寝台10から架台9に移動させる際の軌道を示す第1軌道情報を生成する。
【0119】
例えば、天板101は、第1軌道情報に沿って架台9に移動するため、架台9と寝台10との間に隙間がある場合であっても、架台9へのスムーズな移動を実現することができる。したがって、磁気共鳴イメージング装置100及び寝台10は、天板101を架台9に移動させる際のがたつきを低減させることができ、がたつきに由来する被験者Pの不快感を軽減させることができる。
【0120】
(第4実施形態)
上述の実施形態では、寝台10上に位置する天板101が架台9に移動する形態について説明した。第4実施形態では、架台レール92上に位置する天板101が寝台10に移動する形態について説明する。
【0121】
例えば、天板101が架台9の内部に位置する場合、寝台10は、被験者Pを載置した天板101からの負荷が除されたために、寝台10のたわみが解消され寝台10の高さが高くなる現象が発生する。
【0122】
そこで、第4実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置100は、架台レール92に位置する天板101が寝台10に移動させる際には、天板101のがたつきを防止するために、寝台10の高さを下げて、天板101のがたつきを低減し、寝台10に移動するように、移動機構を動作させる。
【0123】
具体的には、処理回路14の軌道生成機能146は、天板101のたわみ量に基づいて、天板101を架台9から寝台10に移動させる際の軌道を示す第2軌道情報を生成する。第2軌道情報は、天板101を架台9から寝台10に移動させる際の各位置における天板101の垂直方向の高さを少なくとも含む。また、第2軌道情報は、天板101の移動位置に対応する寝台10の高さを含む。
【0124】
なお、架台9の内部に位置する天板101の位置検出については、一例として、例えば、架台9の内部に天板位置検出センサ(図示せず)が備えられる。例えば、天板位置検出センサは、天板101が寝台10内に移動される前の初期状態での天板101の位置を基準位置とし、当該基準位置から天板101がZ軸方向に移動した距離を天板位置として検出する。また、天板位置検出センサは、検出した天板位置を処理回路14に送信する。
【0125】
例えば、第2軌道情報に含まれる寝台10の高さは、天板101が架台9から移動する前の寝台10の高さ、天板101が架台9から移動した直後の寝台10の高さ、天板101が架台9から移動した後の寝台10の高さである。
【0126】
処理回路14の移動制御機能141は、移動機構を動作させ、第2軌道情報が示す軌道で天板101を寝台10に移動させる。なお、移動機構は、架台レール92の内部に備えられる。移動機構は、天板101を水平方向及び垂直方向に移動することが可能である。
【0127】
以上のように、第4実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置100は、天板101のたわみ量に基づいて、天板101を架台9から寝台10に移動させる際の軌道を示す第2軌道情報を生成し、第2軌道情報に基づいて、被験者Pを載置する天板101を架台9から寝台10に移動する移動機構を動作させる。
【0128】
例えば、天板101を架台9から移動させる際には、ガタつき防止のため寝台高さを下げ、天板101がガタつきなく寝台10に移動させることができる。
【0129】
(第5実施形態)
上述の実施形態では、架台9に設けられる架台レール92の長手方向は、寝台10に対して平行である形態について説明した。第5実施形態では、図9を参照して、架台レール92の寝台側の端部を屈曲させる形態について説明する。
【0130】
図9に示すように、架台レール92の寝台10側の端部は、架台9の下方に向けて延設されている。また、架台レール92の延設部分の角部(以下、屈曲部921ともいう)は曲線形状に形成されている。
【0131】
架台レール92に屈曲部921を設けることで、天板101が架台9内に移動させる際に、天板101の移動部材102が架台レール92に接触した場合であっても、移動部材102が架台レール92に乗り上げる衝撃を抑えることができ、架台レール92へのソフトランディングを実現することができる。
【0132】
なお、本実施形態の構成を採用する場合、軌道生成機能146は、架台レール92に設けられた屈曲部921の位置や形状をさらに加味した上で、天板101を寝台10から架台9に移動させる際の軌道を示す第1軌道情報を生成する。
【0133】
例えば、軌道生成機能146は、天板101をZ軸方向に移動させる前の軌道として、天板101(及び寝台10)の端部のたわみ量に基づき、寝台10を架台9の屈曲部921よりも低くなる位置に移動させることを指示した第1起動情報を生成する。
【0134】
また、軌道生成機能146は、天板101のZ軸方向への移動開始後の軌道として、天板101(及び寝台10)の端部のたわみ量に基づき、天板101の移動部材102を架台9の架台9の屈曲部921上に乗せるため、寝台10の高さを架台レール92の高さまで上げることを指示した第1起動情報を生成する。
【0135】
さらに、軌道生成機能146は、天板101のZ軸方向への移動を開始し、架台9への着地後の軌道として、天板101(及び寝台10)の端部のたわみ量に基づき、天板101の移動部材102を架台9の架台レール92上に乗せるため、寝台10の高さと、架台レール92の高さと、を同じ高さにすることを指示した第1起動情報を生成する。なお、寝台10の高さは、天板101の移動部材102が架台9の架台レール92に緩やかに着地(ソフトランディング)するよう、徐々に移動させることが好ましい。
【0136】
例えば、架台9が屈曲部921を有する場合、スループット向上のために寝台高さを上げながら天板101の移動位置を制御することで、天板101を屈曲部921にガタつきなく移動させるように制御する。これにより、被験者Pが載置された天板101のがたつきを低減することができる。また、寝台10は、天板101にがたつきが生じないため、被験者Pに対し、天板101の移動から生ずる不快感を軽減させることができる。
【0137】
以上、上記の各実施形態では、「プロセッサ」が各処理機能に対応するプログラムを記憶回路から読み出して実行する例を説明したが、実施形態はこれに限定されない。「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。
【0138】
プロセッサが例えばCPUである場合、プロセッサは記憶回路に保存されたプログラムを読み出して実行することで、各処理機能を実現する。一方、プロセッサがASICである場合、記憶回路にプログラムを保存する代わりに、当該処理機能がプロセッサの回路内に論理回路として直接組み込まれるなお、本実施形態の各プロセッサは、プロセッサごとに単一の回路として構成される場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて一つのプロセッサとして構成され、その処理機能を実現するようにしてもよい。さらに、図1における複数の構成要素を一つのプロセッサへ統合して、その処理機能を実現するようにしてもよい。
【0139】
ここで、プロセッサによって実行されるプログラムは、ROM(Read Only Memory)や記憶回路等に予め組み込まれて提供される。このプログラムは、これらの装置にインストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD(Compact Disc)-ROM、FD(Flexible Disk)、CD-R(Recordable)、DVD(Digital Versatile Disc)等のコンピュータで読み取り可能な記憶媒体に記録されて提供されてもよい。
【0140】
また、このプログラムは、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納され、ネットワーク経由でダウンロードされることにより提供又は配布されてもよい。例えば、このプログラムは、上述した各機能部を含むモジュールで構成される。実際のハードウェアとしては、CPUが、ROM等の記憶媒体からプログラムを読み出して実行することにより、各モジュールが主記憶装置上にロードされて、主記憶装置上に生成される。
【0141】
以上説明した少なくとも一つの実施形態によれば、被験者が載置された天板のガタツキを低減させることができる。
【0142】
いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、実施形態同士の組み合わせを行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0143】
9 架台
10 寝台
14 処理回路
92 架台レール
101 天板
102 移動部材(移動機構)
103 駆動部材(移動機構)
106 重量センサ
141 移動制御機能
142 画像取得機能
143 位置取得機能
144 重量取得機能
145 算出機能
146 軌道生成機能
147 実測値取得機能
148 補正機能
921 屈曲部
P 被験者
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9