IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 花王株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-パンツ型吸収性物品 図1
  • 特開-パンツ型吸収性物品 図2
  • 特開-パンツ型吸収性物品 図3
  • 特開-パンツ型吸収性物品 図4
  • 特開-パンツ型吸収性物品 図5
  • 特開-パンツ型吸収性物品 図6
  • 特開-パンツ型吸収性物品 図7
  • 特開-パンツ型吸収性物品 図8
  • 特開-パンツ型吸収性物品 図9
  • 特開-パンツ型吸収性物品 図10
  • 特開-パンツ型吸収性物品 図11
  • 特開-パンツ型吸収性物品 図12
  • 特開-パンツ型吸収性物品 図13
  • 特開-パンツ型吸収性物品 図14
  • 特開-パンツ型吸収性物品 図15
  • 特開-パンツ型吸収性物品 図16
  • 特開-パンツ型吸収性物品 図17
  • 特開-パンツ型吸収性物品 図18
  • 特開-パンツ型吸収性物品 図19
  • 特開-パンツ型吸収性物品 図20
  • 特開-パンツ型吸収性物品 図21
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024010661
(43)【公開日】2024-01-24
(54)【発明の名称】パンツ型吸収性物品
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/496 20060101AFI20240117BHJP
   A61F 13/51 20060101ALI20240117BHJP
【FI】
A61F13/496 100
A61F13/51
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023110094
(22)【出願日】2023-07-04
(31)【優先権主張番号】P 2022111629
(32)【優先日】2022-07-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003339
【氏名又は名称】弁理士法人南青山国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石橋 京子
(72)【発明者】
【氏名】川口 宏子
【テーマコード(参考)】
3B200
【Fターム(参考)】
3B200AA01
3B200BA16
3B200BB09
3B200BB20
3B200CA04
3B200DA21
3B200EA24
(57)【要約】
【課題】着用動作時及び着用時の剥がれ防止と、廃棄時の引き裂き容易性とを両立させることが可能なパンツ型吸収性物品に関する。
【解決手段】パンツ型吸収性物品は、吸収性本体と外装体とサイド接合部とを備える。外装体は複数の熱可塑性シートが積層されて構成される。サイド接合部は、ウエスト端部から縦方向に25mm以内のウエスト領域と、縦方向及び横方向に沿って離間して配置された複数のシール部と、を有する。サイド接合部は、熱可塑性シート間において線状に設けられた接合強度低下剤を有する。ウエスト領域に配置される複数のシール部は、縦方向レッグ側に向かう成分と横方向内側に向かう成分を含む縦方向及び横方向に対して45°傾く仮想線を引いた際に、仮想線と重なるn(nは1以上の整数)行目に位置する第1シール部とn+1行目に位置する第2シール部とを含む。第1シール部及び第2シール部の少なくとも一方は接合強度低下剤と重なる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸収性本体と、前記吸収性本体の非肌対向面側に配置され、縦方向の両側に位置する腹側領域及び背側領域を含み、複数の熱可塑性シートが積層されて構成された外装体と、前記外装体の前記腹側領域と前記背側領域とを前記縦方向と直交する横方向の側縁部において接合する一対のサイド接合部と、を備えるパンツ型吸収性物品であって、
前記一対のサイド接合部は、前記縦方向の両端部を構成するウエスト端部及びレッグ端部と、前記ウエスト端部から前記縦方向に25mm以内のウエスト領域と、前記縦方向及び前記横方向に沿って離間して配置された複数のシール部と、を有し、
前記一対のサイド接合部の少なくとも一方は、前記熱可塑性シート間において線状に設けられた接合強度低下剤を更に有し、
前記サイド接合部の前記ウエスト領域に配置される複数のシール部は、縦方向レッグ側に向かう成分と横方向内側に向かう成分を含む前記縦方向及び前記横方向に対して45°傾く仮想線を引いた際に、前記仮想線と重なる第1シール部と第2シール部とを含み、
前記第1シール部は前記ウエスト端部側からn(nは1以上の整数)行目に位置し、前記第2シール部はn+1行目に位置し、
前記第1シール部及び前記第2シール部の少なくとも一方は前記接合強度低下剤と重なる
パンツ型吸収性物品。
【請求項2】
前記第1シール部及び前記第2シール部に対して、前記仮想線を前記ウエスト端部から前記レッグ端部に向かって平行移動して重ねた際、前記第1シール部は、前記仮想線が前記第1シール部及び前記第2シール部の両方に重なる間の前記仮想線が通る第1領域を有し、前記第2シール部は、前記仮想線が前記第1シール部及び前記第2シール部の両方に重なる間の前記仮想線が通る第2領域を有し、
前記接合強度低下剤は、前記第1領域及び前記第2領域の少なくとも一方と重なる
請求項1に記載のパンツ型吸収性物品。
【請求項3】
前記第1シール部の縦方向ウエスト側端部と前記第2シール部の縦方向ウエスト側端部との前記縦方向の距離をD1とし、前記第1シール部の横方向内側端部と前記第2シール部の横方向内側端部との前記横方向の距離をD2としたときに、D1>D2であり、
前記第1シール部及び前記第2シール部に対して、前記仮想線を前記ウエスト端部から前記レッグ端部に向かって平行移動して重ねた際、前記第1シール部は、前記仮想線が前記第1シール部及び前記第2シール部の両方に重なる間の前記仮想線が通る第1領域と、前記仮想線が前記第1シール部のみに重なる間の前記仮想線が通る第3領域とを有し、
前記第3領域と前記接合強度低下剤とが重なる
請求項1又は2に記載のパンツ型吸収性物品。
【請求項4】
前記第1シール部の縦方向ウエスト側端部と前記第2シール部の縦方向ウエスト側端部との前記縦方向の距離をD1とし、前記第1シール部の横方向内側端部と前記第2シール部の横方向内側端部との前記横方向の距離をD2としたときに、D1<D2であり、
前記第1シール部及び前記第2シール部に対して、前記仮想線を前記ウエスト端部から前記レッグ端部に向かって平行移動して重ねた際、前記第2シール部は、前記仮想線が前記第1シール部及び前記第2シール部の両方に重なる間の前記仮想線が通る第2領域と、前記仮想線が前記第2シール部のみに重なる間の前記仮想線が通る第4領域とを有し、
前記第4領域と前記接合強度低下剤とが重なる
請求項1又は2に記載のパンツ型吸収性物品。
【請求項5】
前記接合強度低下剤は、ホットメルト接着剤を含む
請求項1から4のいずれか1項に記載のパンツ型吸収性物品。
【請求項6】
前記複数の熱可塑性シートは、前記ウエスト領域において、前記外装体の肌対向面を構成する肌側シートと、それに隣接する隣接シートと、を含み、
前記接合強度低下剤は、前記肌側シートと前記隣接シートとの間に配置される
請求項1から5のいずれか1項に記載のパンツ型吸収性物品。
【請求項7】
前記サイド接合部は、前記熱可塑性シートの積層数が互いに異なる領域を有し、
相対的に前記熱可塑性シートの積層数が少ない領域に位置するシール部の繊維の溶融度合いは、相対的に前記熱可塑性シートの積層数が多い領域に位置するシール部の繊維の溶融度合いよりも高い
請求項1から6のいずれか1項に記載のパンツ型吸収性物品。
【請求項8】
前記サイド接合部は、前記ウエスト端部から前記レッグ端部に向かって順に前記熱可塑性シートの積層数が減少するように積層数が互いに異なる3つの領域を有する
請求項7に記載のパンツ型吸収性物品。
【請求項9】
前記サイド接合部は、
肌対向面を構成する第1肌側シートを含む6以上の前記熱可塑性シートが積層された第1積層領域と、
肌対向面を構成する第2肌側シートを含む、前記第1積層領域よりも少ない数の前記熱可塑性シートが積層された第2積層領域と、を有し、
前記第1肌側シートと、前記第2肌側シートとが、それぞれ、複数のエンボスを含むスパンボンド不織布で構成され、
前記第1肌側シートでは前記第2肌側シートよりも前記複数のエンボス部が占める面積率が高い
請求項1から8のいずれか1項に記載のパンツ型吸収性物品。
【請求項10】
前記サイド接合部は、
肌対向面を構成する第1肌側シートを含む6以上の前記熱可塑性シートが積層された第1積層領域と、
肌対向面を構成する第2肌側シートを含む、前記第1積層領域よりも少ない数の前記熱可塑性シートが積層された第2積層領域と、を有し、
前記第1肌側シートの融点は、前記第2肌側シートの融点よりも高い
請求項1から9のいずれか1項に記載のパンツ型吸収性物品。
【請求項11】
前記サイド接合部は、
肌対向面を構成する第1肌側シートを含む6以上の前記熱可塑性シートが積層された第1積層領域と、
肌対向面を構成する第2肌側シートを含む、前記第1積層部よりも少ない数の前記熱可塑性シートが積層された第2積層領域と、を有し、
前記第1肌側シートの坪量は、前記第2肌側シートの坪量よりも低い
請求項1から10のいずれか1項に記載のパンツ型吸収性物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使い捨ておむつ等のパンツ型吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
パンツ型吸収性物品は、一般に、吸収性本体と、外装体と、腹側の外装体と背側の外装体とが側端部で接合されたサイド接合部(サイドシール部)と、を備えている。腹側の外装体と背側の外装体とがサイド接合部によって接合されることで、パンツ型吸収性物品のウエスト部分が形成される。
一方で、パンツ型吸収性物品の着用後には、衛生上の観点等から、サイド接合部を引き裂いて廃棄することがある。このため、サイド接合部は、着用動作時(パンツ型吸収性物品を履かせる際)及び着用時には剥がれることがなく、廃棄時には容易に引き裂くことができる機能が求められている。
【0003】
このような観点から、特許文献1には、外装体の腹側部と背側部の両側端の接合部に、接合強度を低減させる接合強度低減剤が配置された強度低減領域部と、接合強度低減剤が配置されていない非強度低減領域部と、を有するパンツ型吸収性物品が開示されている。同文献において、接合部は、長手方向に連続して配置され、強度低減領域部は、例えば、接合部の幅方向内側及び/又は外側に配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011-72577号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の技術は、接合強度低減剤によってサイド接合部の接合強度を調整するものであるが、着用動作時及び着用時の剥がれ防止と、廃棄時の引き裂き容易性との観点からは、さらに改善の余地があった。
【0006】
本発明の課題は、着用動作時及び着用時の剥がれ防止と、廃棄時の引き裂き容易性とを両立させることが可能なパンツ型吸収性物品に関する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一形態に係るパンツ型吸収性物品は、吸収性本体と、外装体と、一対のサイド接合部と、を備える。
上記外装体は、上記吸収性本体の非肌対向面側に配置され、縦方向の両側に位置する腹側領域及び背側領域を含み、複数の熱可塑性シートが積層されて構成される。
上記一対のサイド接合部は、上記外装体の上記腹側領域と上記背側領域とを上記縦方向と直交する横方向の側縁部において接合する。
上記一対のサイド接合部は、上記縦方向の両端部を構成するウエスト端部及びレッグ端部と、上記ウエスト端部から上記縦方向に25mm以内のウエスト領域と、上記縦方向及び上記横方向に沿って離間して配置された複数のシール部と、を有する。
上記一対のサイド接合部の少なくとも一方は、上記熱可塑性シート間において線状に設けられた接合強度低下剤を更に有する。
上記サイド接合部の上記ウエスト領域に配置される複数のシール部は、縦方向レッグ側に向かう成分と横方向内側に向かう成分を含む上記縦方向及び上記横方向に対して45°傾く仮想線を引いた際に、上記仮想線と重なる第1シール部と第2シール部とを含む。
上記第1シール部は上記ウエスト端部側からn(nは1以上の整数)行目に位置し、上記第2シール部はn+1行目に位置する。
上記第1シール部及び上記第2シール部の少なくとも一方は上記接合強度低下剤と重なる。
【発明の効果】
【0008】
本発明のパンツ型吸収性物品によれば、着用動作時及び着用時の剥がれ防止と、廃棄時の引き裂き容易性とを両立させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の第1実施形態に係るパンツ型吸収性物品を示す模式的な斜視図である。
図2】上記パンツ型吸収性物品の肌対向面側を示す模式的な平面図であり、上記パンツ型吸収性物品を展開し、各部の弾性部材を伸長させて平面状に広げた態様を示す図である。
図3】上記パンツ型吸収性物品のサイド接合部を示す模式的な平面図である。
図4】上記サイド接合部のウエスト領域における部分拡大図であり、シール部と接合強度低下剤との位置関係を説明する図である。
図5】上記サイド接合部の模式的な断面図であり、腹側領域と背側領域とを分離した態様を示す図である。
図6】第2実施形態に係わるパンツ型吸収性物品のサイド接合部のウエスト領域における部分拡大図であり、シール部と接合強度低下剤との位置関係を説明する図である。
図7】第3実施形態に係わるパンツ型吸収性物品のサイド接合部のウエスト領域における部分拡大図であり、シール部と接合強度低下剤との位置関係を説明する図である。
図8】第4実施形態に係わるパンツ型吸収性物品のサイド接合部のウエスト領域における部分拡大図であり、シール部と接合強度低下剤との位置関係を説明する図である。
図9】第5実施形態に係わるパンツ型吸収性物品のサイド接合部のウエスト領域における部分拡大図であり、シール部と接合強度低下剤との位置関係を説明する図である。
図10】第6実施形態に係わるパンツ型吸収性物品のサイド接合部のウエスト領域における部分拡大図であり、シール部と接合強度低下剤との位置関係を説明する図である。
図11】第7実施形態に係わるパンツ型吸収性物品のサイド接合部のウエスト領域における部分拡大図であり、シール部と接合強度低下剤との位置関係を説明する図である。
図12】第8実施形態に係わるパンツ型吸収性物品のサイド接合部のウエスト領域における部分拡大図であり、シール部と接合強度低下剤との位置関係を説明する図である。
図13】第9実施形態に係わるパンツ型吸収性物品のサイド接合部のウエスト領域における部分拡大図であり、シール部と接合強度低下剤との位置関係を説明する図である。
図14】第10実施形態に係わるパンツ型吸収性物品のサイド接合部のウエスト領域における部分拡大図であり、シール部と接合強度低下剤との位置関係を説明する図である。
図15】第11実施形態に係わるパンツ型吸収性物品のサイド接合部のウエスト領域における部分拡大図であり、シール部と接合強度低下剤との位置関係を説明する図である。
図16】第12実施形態に係わるパンツ型吸収性物品のサイド接合部のウエスト領域における部分拡大図であり、シール部と接合強度低下剤との位置関係を説明する図である。
図17】第13実施形態に係わるパンツ型吸収性物品のサイド接合部を示す模式的な平面図である。
図18】第14実施形態に係るパンツ型吸収性物品のサイド接合部の模式的な断面図であり、腹側領域と背側領域とを分離した態様を示す図である。
図19】第15実施形態に係るパンツ型吸収性物品のサイド接合部の模式的な断面図であり、腹側領域と背側領域とを分離した態様を示す図である。
図20】第16実施形態に係るパンツ型吸収性物品のサイド接合部の模式的な断面図であり、腹側領域と背側領域とを分離した態様を示す図である。
図21】上記サイド接合部のシール部を約500倍に拡大した顕微鏡画像を模式的に示す図であり、(A)は第1積層領域T1のシール部の繊維、(B)は第2積層領域T2のシール部の繊維を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。
【0011】
<第1実施形態>
[パンツ型使い捨ておむつの全体構成]
図1及び図2には、本発明の第1実施形態に係るパンツ型吸収性物品として、パンツ型使い捨ておむつ1が示されている。パンツ型使い捨ておむつ1は、以下、おむつ1と称する。
【0012】
図1に示すように、おむつ1は、ウエスト開口部1W及び一対のレッグ開口部ILを備え、着用時に、着用者の胴回り及び股間部に着用される。ウエスト開口部1Wは、ウエスト開口端Waを有する。おむつ1は、縦方向X、横方向Yを有する。縦方向Xは、着用者の腹側から股間部を通って背側に延びる。横方向Yは、縦方向Xに直交し、着用者の左右方向に対応する。さらに、図2等に示すように、おむつ1の縦方向X及び横方向Yに直交する方向を、厚み方向Zとする。
本明細書において、「ウエスト側」とは、縦方向Xにおいて、ウエスト開口部1Wのウエスト開口端Waに近づく側を意味し、「レッグ側」とは、縦方向Xにおいて、ウエスト開口端Waから遠ざかる側を意味する。
本明細書において、「横方向Y内側」とは、横方向Yにおいて、パンツ型吸収性物品(おむつ1)を横方向Yに2等分する縦中心線CLに近づく側を意味し、「横方向Y外側」とは、縦中心線CLから遠ざかる側を意味する。
本明細書では、厚み方向Zに関しては、パンツ型吸収性物品(おむつ1)の着用時において着用者の肌に近い側を肌側、着衣に近い側を非肌側という事がある。また、「肌対向面」とは、パンツ型吸収性物品(おむつ1)又はその構成部材における、着用者の肌側に向けられる面、すなわち相対的に着用者の肌に近い面を意味する。「非肌対向面」とは、パンツ型吸収性物品(おむつ1)又はその構成部材における、肌対向面とは反対側(着衣側)に向けられる面、すなわち相対的に着用者の肌から遠い面を意味する。
【0013】
着用者がおむつ1を着用する際には、まず、一対のレッグ開口部1Lに脚を通し、おむつ1を胴体側に引き上げ、おむつ1を着用者の胴回り及び股間部に配置する。本明細書において、この一連の動作を、「着用動作」と称する。着用動作は、おむつ1の着用者ではなく、介助者によって行われることもある。このため、本明細書では、着用動作の主体を、「介助者等」とする。
また、本明細書において、着用者の通常想定される適正な着用位置におむつ1が配置された状態を、「着用時」と称する。
【0014】
図1及び図2に示すように、おむつ1は、吸収性本体4と、吸収性本体4の非肌対向面側に配置された外装体5と、を備える。
なお、図2は、おむつ1を展開し、各部の弾性部材を伸長させて、弾性部材の影響を一切排除した状態の設計寸法となるように平面状に広げた形態を示す。この態様をおむつ1の「展開伸長状態」とも称する。おむつ1を展開するとは、後述するサイド接合部8の腹側領域5a及び背側領域5bを分離することを意味する。
【0015】
吸収性本体4は、外装体5の肌対向面側に固定されている。吸収性本体4は、吸収体40を少なくとも有し、さらに、表面シート2、裏面シート(図示せず)等を有していてもよい。例えば、吸収性本体4は、裏面シート、吸収体40及び表面シート2が厚み方向Zに積層された構成を有する。吸収体40は、液保持性の吸収性コアを含み、さらに、当該吸収性コアを被覆するコアラップシートを含んでいてもよい。
吸収性本体4に含まれる各構成(裏面シート、吸収体40、表面シート2等)に用いられる材料としては、当該技術分野において用いられるものを特に制限なく用いることができる。
【0016】
外装体5は、複数の熱可塑性シート50を含む。外装体5は、例えば、複数の熱可塑性シート50の積層体として構成される。
熱可塑性シート50は、熱可塑性樹脂を主体とするシート材である。熱可塑性シート50は、好ましくは90質量%以上の熱可塑性樹脂を含み、より好ましくは100質量%の熱可塑性樹脂で構成される。
熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン;ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル;ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド;ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸アルキルエステル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。熱可塑性繊維は、短繊維でも長繊維でも良い。熱可塑性繊維としては、芯鞘型又はサイド・バイ・サイド型等の複合繊維、分割繊維、異形断面繊維、熱収縮繊維等を用いることもできる。
【0017】
外装体5は、着用者の腹側に配置される腹側領域5aと、着用者の背側に配置される背側領域5bと、を少なくとも有する。本実施形態の外装体5は、さらに、腹側領域5a及び背側領域5bの間に位置し着用者の股間部に配置される股下領域5cを含む。この例において、腹側領域5a、股下領域5c、及び背側領域5b、は、縦方向Xに沿って配置されている。また、外装体5は、股下領域5cにおいて横方向Y内側に括れた形状を有する。これにより、着用者の脚繰りに沿ったレッグ開口部1L(図1参照)が形成される。
外装体5の外縁は、縦中心線CLに関して線対称(左右対称)に構成されることが好ましい。
【0018】
さらに、外装体5は、腹側領域5aの横方向Yにおける側縁部5dと、背側領域5bの横方向Yにおける側縁部5eとがそれぞれ接合された、一対のサイド接合部8を有する。つまり、右側のサイド接合部8は、腹側領域5aの右側の側縁部5dと、背側領域5bの右側の側縁部5eとが、厚み方向Zに重ねられて接合された構成を有する。左側のサイド接合部8は、腹側領域5aの左側の側縁部5dと、背側領域5bの左側の側縁部5eとが、厚み方向Zに重ねられて接合された構成を有する。
サイド接合部8は、詳細を後述するように、ヒートシールや超音波シールなどによって接合されることが好ましい。
【0019】
[サイド接合部の構成]
図2に示すように、一対のサイド接合部8は、縦方向Xの両端部を構成する、ウエスト端部8aと、レッグ端部8bと、をそれぞれ有する。
ウエスト端部8aは、サイド接合部8におけるウエスト側の端部である。
レッグ端部8bは、サイド接合部8におけるレッグ側の端部である。
各サイド接合部8は、全体として、ウエスト端部8aからレッグ端部8bまで、縦方向Xに延びる構成を有する。
【0020】
ウエスト端部8aからレッグ端部8bまでそれぞれ延びる一対のサイド接合部8によって、腹側領域5aと背側領域5bとが着用者の胴周りに沿った筒状となり、おむつ1のウエスト開口部1W及びレッグ開口部1Lが形成される。サイド接合部8は、着用動作時及び着用時には、腹側領域5aと背側領域5bとが剥がれることなく、接合された状態を維持することが好ましい。
本明細書において、おむつ1の着用動作時及び着用時に、サイド接合部8の腹側領域5aと背側領域5bとが意図せずに分離することを「剥がれる」と表現する。
一方で、着用後におむつ1を交換する際には、おむつ1に付着した排泄物を衛生的に処理する観点から、介助者等が、サイド接合部8の腹側領域5aと背側領域5bとを分離して、おむつ1を展開してから廃棄することがある。
本明細書において、おむつ1の廃棄時に、サイド接合部8及び/又はその周囲に外力を加えて、意図的にサイド接合部8の腹側領域5aと背側領域5bを分離する動作を、「引き裂く」と表現する。
このように、サイド接合部8は、着用動作時及び着用時においては剥がれを防止でき、かつ、廃棄時においては容易に引き裂ける構成を有することが好ましい。
【0021】
上記観点から、図3に示すように、本実施形態において、一対のサイド接合部8はそれぞれ、複数のシール部Sと、接合強度低下剤9と、を含む。一対のサイド接合部8は、同様の構成を有していることが好ましい。以下では、一方のサイド接合部8の構成について詳細に説明する。
また、本明細書において、各部位の寸法及び角度は、説明のない限り、各部の弾性部材を伸長させない自然状態において測定したものとする。
【0022】
シール部Sは、腹側領域5a及び背側領域5bの双方の熱可塑性シート50が融着して接合された部分である。シール部Sは、例えば、加圧手段及び/又は加熱手段によって接合され、具体的には、ヒートシールや超音波シールなどによって接合される。
本明細書において、サイド接合部8のウエスト領域8cにおけるシール領域とは、ウエスト領域8cに位置する複数のシール部S全体の輪郭を囲んだ矩形状の領域とする。より詳細には、該矩形状のシール領域は、ウエスト領域8cにおいて、最もウエスト端部8aに近いシール部Sの縦方向Xウエスト側端部を通る辺と、最もレッグ端部8bに近いシール部Sの縦方向Xレッグ側端部を通る辺と、横方向Yの最も外側に位置するシール部Sの横方向Y外側端部を通る辺と、横方向Yの最も内側に位置するシール部Sの横方向Y内側端部を通る辺と、を有する。
【0023】
図3に示すように、複数のシール部Sは、縦方向X及び横方向Yに沿って間欠配置される。シール部Sの位置の説明において、ウエスト端部8aからレッグ端部8bに向かって順に1行目、2行目、3行目・・・とし、横方向Y外側から内側に向かって順に1列目、2列目、3列目・・・とする。
【0024】
複数のシール部Sは、多列で配置される。複数のシール部Sは、縦方向Xに沿って離間して配置された複数のシール部Sからなるシール列SLが横方向に複数位置するように配置される。図3に示す例では、サイド接合部8は、4列のシール列SL1~SL4から構成される。シール列SL1は1列目に、シール列SL2は2列目に、シール列SL3は3列目に、シール列SL4は4列目に位置する。
図3に示す例では、各シール部Sは同大同形であり、矩形状である。各シール列SLにおいて、複数のシール部Sは、縦方向Xに等間隔に離間して配置される。シール列SLにおけるシール部Sの配置間隔は、各シール列で同じである。
シール列SL1及びSL3は、シール列SL2及びSL4を縦方向Xに半ピッチ分(同一シール列に位置する隣り合う2つのシール部の間隔の半分)ずれた構成となっている。これにより、複数のシール部Sは千鳥状に配置される。千鳥状に配置されることで、見掛けの縦方向のシール部間隔が狭くなり(同一シール列に位置する隣り合う2つのシール部の間隔の半分の間隔にみえる)、シール部間距離が大きく広がらず、引き裂き時、サイド接合部に力が連続的にかかりやすく、引き裂きやすくなる。
シール列SL1(SL2)に属するシール部Sと、シール列SL3(SL4)に属するシール部Sとは、横方向Yに沿って間欠して位置し、同じ行に位置する。隣り合う2つのシール列(SL1とSL2、SL2とSL3、SL3とSL4)において、各シール列に位置するシール部S同士は、横方向Yに沿って並ばないように位置し、同じ行に位置しない。
【0025】
本実施形態及び後述する各実施形態のサイド接合部8では、隣り合う2つのシール列において、横方向Yのより外側に位置するシール列SLに属するシール部Sの横方向Y内側端部と、横方向Yのより内側のシール列SLに属するシール部Sの横方向Y外側端部とは、同一の縦方向Xに平行な仮想縦線(図4における一転鎖線)上に位置する。言い換えると、シール列間隔は0mmとなっている。つまり、サイド接合部8のウエスト領域8cにおけるシール領域では、その横方向Y全幅に亘ってシール部Sが位置する形態となっている。
一方で、該シール領域では、その縦方向X全長に亘ってシール部Sが位置しない形態となっており、シール部Sは縦方向Xに離間して位置する。言い換えると、n(nは1以上の整数)行目に位置するシール部Sの縦方向レッグ側端部と、n+1行目に位置するシール部Sの縦方向ウエスト側端部とは縦方向Xに0mmより大きい間隔で配置される形態となっている。
【0026】
上記構成では、複数のシール部Sは、縦方向X及び横方向Yに離間して配置され、多列配置される。これにより、着用時及び着用動作時に1つのシール部Sが剥がれた際に、その影響が他のシール部Sに伝搬しにくくなる。したがって、複数のシール部Sを多列配置することで、着用動作時に及び着用時のサイド接合部8の剥がれを効果的に防止することができる。
【0027】
接合強度低下剤9は、外装体5の熱可塑性シート50間に配置され、線状に延びる構成を有する。接合強度低下剤9は、例えば、シール部Sを形成するためのシール工程の前に、シール部Sの一部と重なる位置の外装体5の熱可塑性シート50間に配置される。接合強度低下剤9は、このシール工程における熱可塑性樹脂の融着を阻害し、シール部Sの接合強度を低下させる機能を有する。接合強度低下剤9の具体例については、後述する。
接合強度低下剤9は、腹側領域5aに含まれる熱可塑性シート50間に配置されていてもよいし、背側領域5bに含まれる熱可塑性シート50間に配置されていてもよい。あるいは、接合強度低下剤9は、サイド接合部8において対向する、腹側領域5aの最も肌側の熱可塑性シート50及び背側領域5bの最も肌側の熱可塑性シート50間に配置されていてもよい。
「接合強度低下剤9が線状に延びる」とは、接合強度低下剤9が直線状及び/又は曲線状に延びることを意味する。
【0028】
[シール部と接合強度低下剤の位置関係]
おむつ1の廃棄時、サイド接合部8を引き裂き、サイド接合部8の腹側領域5aと背側領域5bとを分離しておむつ1を展開して廃棄することがある。
本発明者らの知見では、サイド接合部8の引き裂き動作の開始時において、介助者の指は、ウエスト端部8aから縦方向Xに25mm~30mm程度離れた箇所までの間の、サイド接合部8の左右両側(腹側及び背側)に配置されやすい。着用者が立位の場合には、介助者の指はウエスト側に配置されやすい。
そこで、サイド接合部8において、引き裂きのための外力(「引き裂き力」とも称する)が特に付加されやすい領域を、ウエスト端部8aから縦方向Xに25mm以内のウエスト領域8cと定める。
【0029】
図3を参照して、引き裂き開始時には、縦方向Xレッグ側に向かう成分及び横方向Y外側に向かう成分を含む斜め方向の力Fが加わる。力Fの方向は、縦方向X及び横方向Yに対しておよそ45°傾いている。
引き裂き開始側のウエスト領域8cにおける引き裂きは、この力Fの方向に沿って進行するため、これと直交する方向に沿って剥離界面が移動する。つまり、剥離界面は、縦方向Xレッグ側に向かう成分及び横方向Y内側に向かう成分を含む方向に沿った仮想線L上に形成される。仮想線Lは、縦方向X及び横方向Yに対しておよそ45°傾いている。
【0030】
サイド接合部8のウエスト領域8cにおいて、引き裂き時、仮想線L(剥離界面)がウエスト端部8aからレッグ端部8bに向かって平行移動する。複数のシール部Sを多列配置する場合、図3及び図4に示すように、引き裂き時、ある1つの仮想線L上に複数のシール部Sが配置されやすい。
【0031】
ここで、図4を参照して、ある1つの仮想線Lと同時に重なる2つのシール部Sをそれぞれ第1シール部S1、第2シール部S2という。
第1シール部S1はn行目に位置するシール部である。第2シール部S2は、n+1行目、すなわち、第1シール部S1が属する行のすぐ下の行に位置するシール部である。
第1シール部S1は、第2シール部S2よりも横方向Y外側に位置する。
【0032】
図4及び後述する他の実施形態を示す図6~15において、引き裂き時、第1シール部及び/又は第2シール部に重なる仮想線LにL1~L4の符号を付した。サイド接合部8をウエスト端部8aからレッグ端部8bに向かって引き裂く際、L1、L2、L3、L4の順で剥離界面が移動する。
同様に、後述する他の実施形態を示す図16において、仮想線Lに仮想線L1及びL2の符号を付した。サイド接合部8をウエスト端部8aからレッグ端部8bに向かって引き裂く際、L1、L2の順で剥離界面が移動する。
尚、仮想線L1~L4というように特に区別する必要がない場合は仮想線Lという。
【0033】
上述したように、複数のシール部Sを多列配置する場合、ある1つの仮想線L上に複数のシール部Sが配置されやすい。このような場合、引き裂き時、同一仮想線L上に配置される複数のシール部Sが同時に引き裂かれることになる。つまり、引き裂き時には、これら複数のシール部Sの合計のシール強度以上の力が確実に必要となる。
【0034】
これに対し、本実施形態では、ウエスト領域8cにおけるシール部Sと接合強度低下剤9の位置関係を次のようにした。
すなわち、図4に示すように、サイド接合部8のウエスト領域8cにおいて、同一仮想線L上に位置する第1シール部S1と第2シール部S2の少なくとも一方が接合強度低下剤9と重なる位置関係とした。図4に示す例では、接合強度低下剤9は、第1シール部S1と重なる。
第1シール部S1及び/又は第2シール部S2に接合強度低下剤9が重なることで、2つのシール部S(第1シール部S1と第2シール部S2)の合計のシール強度が、接合強度低下剤9が重ならない形態と比べて、弱くなる。つまり、2つのシール部S(第1シール部S1と第2シール部S2)を同時に引き裂く際に、弱い力で引き裂くことができ、外装体5に加わる負荷が抑制される。これにより、サイド接合部8では、外装体5がシール部Sに隣接する部分で破断し、更に外装体5の破断が横方向Y外向きに進行するいわゆる横裂けを効果的に防止できる。外装体5の横裂けの発生が抑制されることで、横裂けの度に引き裂き動作が中断されることが軽減され、介助者等や着用者のストレスを軽減することができる。
【0035】
このように、複数のシール部Sを、縦方向X及び横方向Yに離間して複数配置して多列配置構造とし、ウエスト領域8cにおける第1シール部S1と第2シール部S2の少なくとも一方が接合強度低下剤9とが重なるように構成とすることで、着用時及び着用動作時の破れを防止しつつ、廃棄時の引き裂きを容易にすることができる。
【0036】
シール部Sと接合強度低下剤9のより詳細な位置関係について説明する。
図4を参照して、ウエスト領域8cにおいて、第1シール部S1の縦方向Xウエスト側端部SF1と第2シール部S2の縦方向Xウエスト側端部SF2との縦方向Xの距離を距離D1とする。第1シール部S1の横方向Y内側端部SC1と第2シール部S2の横方向Y内側端部SC2との横方向Yの距離を距離D2とする。
【0037】
本実施形態では、図4に示すように、ウエスト領域8cにおいて、第1シール部S1と第2シール部S2とは、D1>D2の関係を満たす配置となっている。
このような配置とすることにより、サイド接合部8をウエスト端部8aからレッグ端部8bに向かって引き裂く際、第1シール部S1及び第2シール部S2に着目すると、まず第1シール部S1が引き裂かれ始め、第1シール部S1の一部のみが引き裂かれる。続いて、第1シール部S1と第2シール部S2の両方が引き裂かれる。続いて、第1シール部S1の引き裂きが終わり、第2シール部S2の一部のみが引き裂かれる。
図4において、仮想線L1は、第1シール部S1の引き裂き開始の箇所に対応する。仮想線L2は、第1シール部S1の引き裂きが継続しつつ、第2シール部S2の引き裂きが開始する箇所に対応する。仮想線L3は、第2シール部S2の引き裂きが継続しつつ第1シール部S1の引き裂きが終了する箇所に対応する。仮想線L4は、第2シール部S2の引き裂きが終了する箇所に対応する。
【0038】
図4において、第1シール部S1は、第1領域11と、第3領域13とを有する。第2シール部S2は、第2領域12と、第4領域14とを有する。
第1領域11及び第2領域12は、第1シール部S1及び第2シール部S2における、仮想線L2と仮想線L3との間に挟まれる領域に対応する。
第3領域13は、第1シール部S1における仮想線L1と仮想線L2との間に挟まれる領域に対応する。
第4領域14は、第2シール部S2における仮想線L3と仮想線L4との間に挟まれる領域に対応する。
【0039】
第1領域11は、第1シール部S1において、仮想線Lをウエスト端部8aからレッグ端部8bに向かって平行移動(L1、L2、L3、L4の順に平行移動)して重ねた際、仮想線Lが第1シール部S1及び第2シール部S2の両方に重なる間の仮想線Lが通る領域である。図において、第1シール部S1の第1領域11に右下がりの太斜線を引いた。
第2領域12は、第2シール部S2において、仮想線Lをウエスト端部8aからレッグ端部8bに向かって平行移動して重ねた際、仮想線Lが第1シール部S1及び第2シール部S2の両方に重なる間の仮想線Lが通る領域である。図において、第2シール部S2の第2領域12に右下がりの太斜線を引いた。
【0040】
第3領域13は、第1シール部S1において、仮想線Lをウエスト端部8aからレッグ端部8bに向かって平行移動して重ねた際、仮想線Lが第1シール部S1のみに重なる間の仮想線Lが通る領域である。図において、第2シール部S2の第2領域12に右上がりの細斜線を引いた。
第4領域14は、第2シール部S2において、仮想線Lをウエスト端部8aからレッグ端部8bに向かって平行移動して重ねた際、仮想線Lが第2シール部S2のみに重なる間の仮想線Lが通る領域である。図において、第2シール部S2の第4領域14に右上がりの細斜線を引いた。
【0041】
図4に示す例では、引き裂き時、第1シール部S1及び第2シール部S2において、剥離界面に対応する仮想線Lは、第1シール部S1の第3領域13のみを通ったのち、第1シール部S1の第1領域11と第2シール部S2の第2領域12の両方を同時に通り、続いて第2シール部S2の第4領域14のみを通る。
【0042】
廃棄時の引き裂きをより容易にする観点から、引き裂き時、第1シール部S1及び第2シール部S2の両方が同時に引き裂かれる第1領域11と第2領域12の少なくとも一方に接合強度低下剤9が重なることがより好ましい。
本実施形態では、接合強度低下剤9は、第1シール部S1の第1領域11に重なる。
このように、第1領域11と接合強度低下剤9とが重なることで、第1領域11と第2領域12の合計のシール強度が、接合強度低下剤9が重ならない形態と比べて、弱くなる。つまり、第1シール部S1の第1領域11と第2シール部S2の第2領域12を同時に引き裂く際に、弱い力で引き裂くことができる。また、外装体5に局所的に大きな力が負荷されることを抑制でき、外装体5の横裂けをより効果的に防止できる。これにより、廃棄時の引き裂きをより容易にすることができる。
【0043】
更に、接合強度低下剤9は、第1シール部S1の第1領域11に加えて第3領域13にも配置されることがより好ましい。
第3領域13と接合強度低下剤9とが重なることで、第3領域13のシール強度は、接合強度低下剤9が重ならない形態と比べて、弱くなる。
引き裂き時、まず第1シール部S1の第3領域13が引き裂かれたのち、第1シール部S1の第1領域11及び第2シール部S2の第2領域12が引き裂かれる。上記構成とすることで、第3領域13の引き裂き、第1領域11及び第2領域12の引き裂きは、いずれも、弱い力で引き裂くことができ、第3領域13の引き裂きに要する力と、第1領域11及び第2領域12の引き裂きに要する力との差が大きくなりすぎない。これにより、仮想線L1から仮想線L3までの間の引き裂きに要する力の変化を小さくすることができ、引き裂き動作を安定して滑らかに行うことができる。
【0044】
更に、本実施形態のように、接合強度低下剤9が、第1シール部S1の第1領域11及び第3領域の両方の領域を連続した形状で跨いで通ることがより好ましい。
これにより、第3領域13の引き裂き、及び、これに続く第1領域11及び第2領域12の引き裂き動作を連続して安定してより滑らかに行うことができる。
【0045】
また、着用動作時及び着用時の剥がれを防止する観点から、接合強度低下剤9が重なるシール部Sと同じ行に位置する他のシール材は、接合強度低下剤9と重ならないことが好ましい。
図3に示す例では、接合強度低下剤9と重なる第1シール部S1(2行1列目に位置)と同じ行に位置する他のシール部S(2行3列目に位置)は、接合強度低下剤9と重なっていない。
【0046】
図3に示す例では、接合強度低下剤9が重なる第1シール部S1が、2行目1列目に位置する例をあげたが、これに限られない。例えば、第1シール部S1が1行目にあってもよいし、第1シール部S1が3行目以降にあってもよい。
ウエスト領域8cにおいて、ある1つの仮想線Lに同時に重なる、n(nは1以上の整数)行目に位置する第1シール部S1とn+1行目に位置する第2シール部S2のうち少なくとも一方が接合強度低下剤9と重なる構成が少なくとも1つあればよい。また、ウエスト領域8cにおいて、該構成が複数あってもよい。
尚、着用時及び着用動作時の破れをより一層防止する観点から、最もウエスト端部8aに近い位置にある1行目のシール部Sと接合強度低下剤9とが重ならない構成とすることが好ましい。
【0047】
[外装体の構成例]
図5に示すように、外装体5は、複数の熱可塑性シート50として、例えば、外層シート51と、内層シート52と、を含むことが好ましい。外層シート51は、内層シート52よりも非肌側に配置され、外装体5の非肌対向面を形成する。内層シート52と外層シート51との間には、後述する弾性部材10が配置されていることが好ましい。
本実施形態において、外装体5の少なくとも一部がウエスト開口端Waから肌側に折り返されることにより、外装体5が折り返し構造を有している。図5に示す例では、外層シート51のみがウエスト端部8aから肌側に折り返されている。
なお、図5の断面図では、説明のため、サイド接合部8の腹側領域5aと背側領域5bとを分離した状態で示している。
【0048】
図5に示す例では、ウエスト領域8cが外装体5の折り返し構造を含む領域に配置されている。
この場合、ウエスト領域8cでは、外装体5の複数の熱可塑性シート50において、肌対向面を構成する肌側シートPは折り返された外層シート51であり、肌側シートPに隣接する隣接シートQは、内層シート52となる。
なお、肌側シートPは、腹側領域5a及び背側領域5b各々のウエスト領域8cにおいて最も肌側に位置するシートである。腹側領域5aの肌側シートP及び背側領域5bの肌側シートPは、対向した状態で接触してシールされる。つまり、肌側シートPの肌対向面は、サイド接合部8の接合界面となる。
【0049】
[接合強度低下剤の配置例]
接合強度低下剤9は、シール部Sの接合強度をより効果的に低下させる観点から、以下のように配置されることが好ましい。
図5に示すように、接合強度低下剤9は、ウエスト領域8cにおいて、肌側シートPと、隣接シートQとの間に配置されることが好ましい。図5に示す例では、接合強度低下剤9は、腹側領域5aに配置されるが、背側領域5bに配置されてもよく、腹側領域5aと背側領域5bの双方に配置されていてもよい。
これにより、シール時に接合界面となる肌側シートPと、それに隣接する隣接シートQとの間に、接合強度低下剤9が配置されることになる。したがって、接合強度低下剤9による腹側領域5a及び背側領域5b間の融着阻害作用が発揮されやすくなり、シール部Sと接合強度低下剤9とが重なる領域の接合強度を効果的に低下できる。この結果、引き裂き容易性をより向上させることができる。
【0050】
引き裂き容易性をさらに向上させる観点から、肌側シートPにおける接合強度低下剤9の染み込み深さは、隣接シートQにおける接合強度低下剤9の染み込み深さよりも深いことが好ましい。
染み込み深さとは、接合強度低下剤9の、塗布面からシート厚み方向への染み込んだ深さを意味する。染み込み深さは、以下のように測定することができる。
【0051】
(接合強度低下剤の染み込み深さの測定方法)
測定対象のサイド接合部8を縦方向X及び横方向Yにカットして切り出し、接合強度低下剤9の断面が現れた測定片を作製する。次いで、前記測定片におけるサイド接合部8の断面の拡大画像を、KEYENCE社製のマイクロスコープVHX1000を用いて倍率200倍にて撮影し、その観察視野の画像を得る。前記観察視野において、接合強度低下剤9が染み込んだ部分は透明に光った部分として観察されるので、当該部分の輪郭を特定し、さらに該輪郭で囲まれた領域の面積を測定する。この測定を、ウエスト領域8cの5箇所について行い、これらの平均値をウエスト領域8cにおける接合強度低下剤9の染み込み深さとする。
【0052】
これにより、接合強度低下剤9が、肌側シートPの非肌対向面から、接合界面となる肌対向面側へ移行しやすくなり、接合強度低下剤9による融着阻害作用がより効果的に発揮され得る。したがって、引き裂き容易性をより効果的に向上させることができる。
【0053】
[シール部の寸法例]
シール部Sの寸法等としては、着用動作時及び着用時の剥がれ防止と引き裂き容易性とを両立させる観点から、以下の例が挙げられる。なお、以下の寸法は、弾性部材を伸長させていない自然状態において測定されるものである。
シール部Sの横方向Yの寸法(最大寸法)は、好ましくは0.15mm以上、より好ましくは0.2mm以上であり、また好ましくは7mm以下、より好ましくは5mm以下である。
シール部Sの縦方向Xの寸法(最大寸法)は、好ましくは0.1mm以上、より好ましくは0.3mm以上であり、また好ましくは2mm以下、より好ましくは0.6mm以下である。
【0054】
同じ行に属する複数のシール部Sの横方向Yにおけるピッチは、好ましくは0.4mm以上、より好ましくは0.7mm以上であり、また好ましくは7mm以下、より好ましくは4mm以下である。
なお、同じ行に属する複数のシール部Sの横方向Yにおけるピッチとは、横方向Yに隣り合うシール部Sにおいて、各シール部Sを横方向Yに二等分する線の間の横方向Yにおける距離を意味する。また、このピッチが一定でない場合には、5箇所の横方向Yにおけるピッチを測定し、その平均値を横方向Yにおけるピッチとする。
図4及び後述する図6図16に示す例では、同じ行に属する複数のシール部Sの横方向Yにおけるピッチは、シール部Sの横方向Yの寸法と同じとなっている。尚、これに限定されず、同じ行に属する複数のシール部Sの横方向Yにおけるピッチは、シール部Sの横方向Yの寸法よりも小さい、又は、大きくてもよい。また、後述する図17に示す例では、同じ行に属する複数のシール部Sの横方向Yにおけるピッチは、シール部Sの横方向Yの寸法の2倍の大きさとなっている。
【0055】
図4及び後述する図6図17に示す例では、隣り合うシール列間距離は0mmとなっているが、0mmよりも大きくてもよいし、隣り合う2つのシール列それぞれに属する2つのシール部が横方向Yで重なるように位置してもよい。シール領域の横方向Yの寸法を狭くして引き裂き時の力を分散しにくくし、より引き裂きやすくする観点から、隣り合うシール列間距離は2mm以下であることがより好ましい。
【0056】
各シール列SLにおける複数のシール部Sの縦方向Xにおけるピッチは、好ましくは1.5mm以上、より好ましくは1.7mm以上であり、また好ましくは5.0mm以下、より好ましくは4mm以下である。
複数のシール部Sの縦方向Xにおけるピッチとは、縦方向Xに隣り合うシール部Sにおいて、各シール部Sを縦方向Xに二等分する線間の縦方向Xにおける距離を意味する。また、このピッチが一定でない場合には、5箇所の縦方向Xにおけるピッチを測定し、その平均値を縦方向Xにおけるピッチとする。
【0057】
ある1つの仮想線Lに同時に重なる、n行目に位置する第1シール部S1の縦方向Xウエスト側端部と、n+1行目に位置する第2シール部S2の縦方向Xウエスト側端部との距離D1は、好ましくは0.7mm以上、より好ましくは0.8mm以上であり、また好ましくは2.5mm以下、より好ましくは2mm以下である。
ある1つの仮想線Lに同時に重なる第1シール部S1の横方向Y内側端部と、第2シール部S2の横方向Y内側端部との距離D2は、好ましくは0.5mm以上、より好ましくは1mm以上であり、また好ましくは8mm以下、より好ましくは6mm以下である。
【0058】
[接合強度低下剤の平面視における構成例]
より安定した引き裂き動作を実現する観点から、接合強度低下剤9は、平面視において、図3に示すように、接合強度低下剤9が均一な線幅を有することが好ましい。
【0059】
また、接合強度低下剤9は、主に直線状に延びる構成に限定されず、曲線状であってもよい。例えば、接合強度低下剤9は、腹側領域5a及び背側領域5bの少なくとも一方にスパイラル状又は波状の曲線状に設けられてもよい。接合強度低下剤9を形成するスパイラル状又は波状の曲線は、複数の単位形状が、一方向に繰り返し配置される形状を有する。
ここでいうスパイラル状とは、円形又は楕円形に近い形状を一つの単位形状として、複数の単位形状が一方向に沿って繰り返し配置された形状を意味する。一つの単位形状は、閉鎖された環状で形成されていてもよいし、一つの単位形状の一部が隣接する単位形状とつながって複数の単位形状が連続的に形成されていてもよい。
上記波状とは、一方向とその反対方向に凸状に起伏する形状を一つの単位形状として、複数の単位形状が、他の方向に沿って繰り返し配置された形状を意味する。
【0060】
この場合に、上記単位形状は、横方向Yの寸法よりも縦方向Xの寸法の方が大きいことが好ましい。これにより、単位形状が縦方向Xに長い形状となる。この単位形状の寸法は、サイド接合部8に少なくとも一部が重なる単位形状又はそれと隣接する単位形状の寸法とする。また、縦方向Xの寸法は、当該単位形状の縦方向Xの最大寸法を意味し、横方向Yの寸法は、当該単位形状の横方向Yの最大寸法を意味する。
【0061】
本実施形態及び後述の各実施形態において、サイド接合部8のウエスト領域8cにおけるシール領域では、その横方向Y全幅に亘ってシール部Sが位置するため、接合強度低下剤9の単位形状を縦方向Xに長い形状とすることで、接合強度低下剤9とシール部Sとを重なりしやすくすることができる。
更に、接合強度低下剤9の単位形状の縦方向Xの長さ寸法を、n行目に位置するシール部Sの縦方向Xレッグ側端部とn+1行目に位置するシール部Sの縦方向Xウエスト側端部との縦方向Xにおける距離よりも大きくすることがより好ましい。これにより、接合強度低下剤9とシール部Sとがより確実に重なるように制御しやすくなる。
【0062】
[接合強度低下剤の具体例]
接合強度低下剤9は、シール部Sの形成工程であるシール工程時に付与される熱の影響を抑制することができる物質を特に制限なく用いることができる。接合強度低下剤9は、このような物質として、例えば、油剤、熱可塑性シート50よりも高融点の高融点樹脂、ホットメルト接着剤等を含むことが好ましい。
シール工程において発生する熱の低減に加え、シート同士を接合する観点から、接合強度低下剤9は、ホットメルト接着剤を含むことが好ましい。ホットメルト接着剤としては、例えば、スチレン系(SIS、SBS、SEBS)、又はポリオレフィン系の材料を用いることができる。
接合強度低下剤9を配置する方法は、通常用いられる方法を特に制限なく用いることができるが、コーターガンを用いて接合強度低下剤9を塗工する方法が好ましい。これにより、接合強度低下剤9の塗工形状及び坪量等を容易に制御でき、接合強度を容易に制御することができる。
【0063】
[サイド接合部の外装体の積層数が異なる場合の構成例]
本実施形態では、図5に示すように、サイド接合部8を構成する外装体5が折り返し構造を有しており、サイド接合部8が、熱可塑性シート50の積層数の異なる複数の領域を有している。
つまり、本実施形態では、サイド接合部8は、6枚の熱可塑性シート50が積層された第1積層領域T1と、第1積層領域T1よりも少ない数の熱可塑性シート50が積層された第2積層領域T2と、を有する。第1積層領域T1は、熱可塑性シート50として、肌対向面を構成する第1肌側シートP1を含む。第2積層領域T2は、熱可塑性シート50として、肌対向面を構成する第2肌側シートP2を含む。本実施形態において、第1積層領域T1は、外装体5が折り返された領域に相当し、ウエスト領域8cの肌側シートPは、第1肌側シートP1に相当する。
【0064】
図5に示す例では、腹側領域5aの第1積層領域T1は、折り返されていない外層シート51と、折り返されていない内層シート52と、折り返された外層シート51と、の3層で構成される。背側領域5bの第1積層領域T1も、同様の3層で構成される。これにより、第1積層領域T1は、合計6層で構成される。第1積層領域T1において、第1肌側シートP1は、折り返された外層シート51で構成される。
図5に示す例では、腹側領域5aの第2積層領域T2は、折り返されていない外層シート51と、折り返されていない内層シート52と、の2層で構成される。背側領域5bの第2積層領域T2も、同様の2層で構成される。これにより、第2積層領域T2は、合計4層で構成される。第2積層領域T2において、第2肌側シートP2は、折り返されていない内層シート52で構成される。
【0065】
上記構成では、第1積層領域T1は、第2積層領域T2よりも熱可塑性シート50の積層数が多いため、熱可塑性樹脂の量も多くなる。このため、第1積層領域T1は、第2積層領域T2よりも熱融着する樹脂の量が多くなり、シール部Sの接合強度が高くなりやすい。
これに対し、下記1~5のうち少なくとも1つの構成をとることで、第1積層領域T1と第2積層領域T2における接合強度を調整し、引き裂き安定性の向上を図ることができる。尚、下記1~5の構成を2以上組み合わせてもよい。
【0066】
(1.シール強度の振れ)
サイド接合部8が、熱可塑性シート50の積層数が異なる複数の積層領域を有する場合、上述したように、相対的に積層数が多い領域の方が、少ない領域よりもシール部Sの接合強度が高くなりやすい。
これに対し、着用時及び着用動作時の破れを防止しつつ、引き裂き安定性の向上を図る観点から、相対的に積層数が少ない領域に位置する複数のシール部のシール強度の振れ(ばらつき)が、相対的に積層数が多い領域に位置する複数のシール部のシール強度の振れよりも小さいことが好ましい。
【0067】
図5に示す例では、第1積層領域T1は、第2積層領域T2よりも熱可塑性シート50の積層数が多く、シール部Sの接合強度が高くなりやすくなっている。図5に示す構成において、第2積層領域T2に位置する複数のシール部Sのシール強度の振れが、第1積層領域T1に位置する複数のシール部Sのシール強度の振れよりも小さいことが好ましい。
このような構成とすることで、着用時及び着用動作時の意図しない破れをより防止することができる。また、このような構成とすることで、引き裂き時において、第1積層領域T1と第2積層領域T2とで引き裂きに要する力の差を小さくすることができ、引き裂き動作を安定してより滑らかに行うことができる。
【0068】
シール強度の振れは、繊維の溶融度合いによって調整することができる。溶融度合いが低いと、繊維が溶けているところと溶けていないところとが混在するため、強度の振れが大きくなる。一方、溶融度合いが高いと、どのシール部位でも繊維が完全に溶融しているため、溶融度合いが均一となり、強度が高く、強度の振れが小さくなる。
繊維の溶融度合いは、シール工程時の熱、圧力及び/又は時間等の条件、シール部の面積、繊維の組成等によって調整することができる。
【0069】
(2.シール部の溶融度合い)
サイド接合部8が、熱可塑性シート50の積層数が異なる複数の積層領域を有する場合、上述したように、相対的に積層数が多い領域の方が少ない領域よりも、シール部Sの接合強度が高くなりやすい。
これに対し、着用時及び着用動作時の破れを防止しつつ、引き裂き安定性の向上を図る観点から、相対的に積層数が少ない領域に位置するシール部の繊維の溶融度合いが、相対的に積層数が多い領域に位置するシール部の繊維の溶融度合いよりも高いことが好ましい。
シール部Sは、外装体5の複数の熱可塑性シート50の繊維が融着して形成された部分である。このため、繊維が十分に溶融している部分ほど、冷却後に繊維同士が固着し、シール強度が高くなる傾向を有する。
【0070】
図5に示す例では、第1積層領域T1は、第2積層領域T2よりも熱可塑性シート50の積層数が多く、シール部Sの接合強度が高くなりやすくなっている。図5に示す構成において、第2積層領域T2に位置するシール部Sの繊維の溶融度合いが、第1積層領域T1に位置するシール部Sの繊維の溶融度合いよりも高いことが好ましい。
このように、接合強度が低くなりやすい積層数が少ない領域に位置するシール部Sでの繊維の溶融度合いを高くするように構成することで、着用時及び着用動作時の意図しない破れをより防止することができる。また、このような構成とすることで、引き裂き時において、第1積層領域T1と第2積層領域T2とで引き裂きに要する力の差を小さくすることができ、引き裂き動作を安定してより滑らかに行うことができる。
【0071】
((溶融度合いの算出方法))
まず、サイド接合部8を切断して、第1積層領域T1及び第2積層領域T2それぞれにおいて、該領域の位置するシール部SのX-Z断面(シールSを縦方向Xに横切る断面)を含む測定用サンプルを準備する。測定用サンプルを公知の方法によって固定した後、測定用サンプルのX-Z断面を、走査電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)によって500倍に拡大して撮像する。撮像された各画像において、画像解析ソフトを用いて繊維の外縁を検出し、検出した線の長さを繊維の周長として算出する。第1積層領域T1及び第2積層領域T2各々について、5枚以上(5つ以上のシール部S)の画像から算出された繊維の周長の平均値を算出し、その平均値を各領域におけるシール部Sの繊維の周長とする。
第1積層領域T1及び第2積層領域T2各々のシール部Sの繊維の周長を比較し、繊維の周長が長いほど、溶融度合いが低いと判定する。
【0072】
図21(A)は、第1積層領域T1のシール部SのX-Z断面の拡大図の例を示し、図21(B)は、第2積層領域T2のシール部SのX-Z断面の拡大図の例を示す。
図21(A)の繊維55は、外縁55aに多くの凹凸を含み、周長が長い。つまり、繊維55があまり溶融されておらず、表面である外縁55aに、繊維55の本来の凹凸が残っている。
一方で、図21(B)の繊維55は、外縁55aが比較的平滑であり、図21(A)の繊維55よりも周長が短い。つまり、繊維55が十分に溶融されており、外縁55aの凹凸が平滑化されている。
この場合、図21(B)の第2積層領域T2のシール部Sの繊維55の溶融度合いは、図21(A)の第1積層領域T1のシール部Sの繊維55の溶融度合いよりも高いと判定される。
【0073】
繊維の溶融度合いは、シール工程時の熱、圧力及び/又は時間等の条件、シール部の面積、繊維の組成等によって調整することができる。
【0074】
(3.肌側シートを構成する不織布の種類及びエンボス面積率)
ウエスト領域8cにおいて、外装体5の肌対向面を構成する肌側シートPは、引き裂き容易性を向上させる観点から、スパンボンド不織布で構成されることが好ましい。スパンボンド不織布は、シート形成性の観点から、上述の熱可塑性樹脂のうち、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンを含んでいることが好ましく、より好ましくは、ポリプロピレンを含んでいることがより好ましい。ポリプロピレンとしては、α-オレフィン等が挙げられる。
【0075】
肌側シートPに用いられるスパンボンド不織布は、繊維同士を確実に融着してシートを形成する観点から、複数のエンボス部(図示せず)を含む。エンボス部は、繊維が圧着されて融着した部分である。エンボス部は、例えば、エンボス凸ロールとフラットロールなどによる熱圧着により間欠的に形成されたもの、超音波融着により形成されたもの、間欠的に熱風を加えて部分融着させて形成されたものなどが挙げられる。高い生産性と低い装置コストという観点から、エンボス部は熱圧着により形成されたものが好ましい。
エンボス部の平面形状は、円形状、楕円形状、多角形状、又はこれらに類似する形状等の任意の形状を採り得る。
エンボス部は、一定のパターンで形成されることが好ましいが、ランダムなパターンで形成されていてもよい。エンボス部は、例えば、縦方向X及び横方向Yにおいて略一定の間隔(ピッチ)で配置され、かつ、横方向Yに沿った各列が隣接する列と相互に半ピッチずつずれて配置される。
【0076】
ここで、外装体において、積層数が多いとシール部での樹脂量が増えるためシール強度が高くなる。このため、サイド接合部8において、積層数が異なることでシール強度が変化し、ウエスト端部からレッグ端部まで引き裂く際、引き裂きに要する力が変化し、弱い力で引き裂きにくくなる。
これに対し、積層数が多い領域(第1積層領域T1)の肌側シートP1のエンボス面積率を、積層数の少ない領域(第2積層領域T2)の肌側シートP2のエンボス面積率よりも高くすることが好ましい。
このように積層数が相対的に多い第1積層領域T1において、エンボス部の面積率を高くする構成とすることで、エンボス部では、形成時の加熱処理及び/又は加工処理によって繊維が切れやすいので、第1積層領域T1のシール部Sの接合強度が高まることを抑制することができ、積層数が多い領域であっても弱い力で引き裂くことができる。したがって、ウエスト端部からレッグ端部まで引き裂く際、引き裂きに要する力の変化を小さくすることができ、引き裂きが容易となる。
このように、熱可塑性シートの積層数が異なる領域の肌側シートのエンボス面積率を調整することで、第1積層領域T1と第2積層領域T2における接合強度を調整し、引き裂き安定性の向上を図ることができる。
【0077】
((肌側シートにおけるエンボス部の面積率))
スパンボンド不織布におけるエンボス部の面積率は、複数のエンボス部を充分多く含む領域で測定され、例えば、スパンボンド不織布の20mm×20mmの正方形状の領域で測定することができる。なお、各エンボス部が占める領域は、繊維の熱融着が見られる一連の領域として認識することができる。また、上記距離の測定については、展開伸長状態で行うものとする。
【0078】
第1肌側シートP1のエンボス部の面積率は、好ましくは5%以上、より好ましくは7%以上であり、好ましくは20%以下、より好ましくは17%以下である。
第2肌側シートP2のエンボス部の面積率は、好ましくは3%以上、より好ましくは5%以上であり、好ましくは17%以下、より好ましくは15%以下である。
【0079】
(4.肌側シートの融点)
サイド接合部8が、熱可塑性シート50の積層数が異なる複数の積層領域を有する場合、上述したように、相対的に積層数が多い領域の方が少ない領域よりも、シール部Sの接合強度が高くなりやすい。
これに対し、着用時及び着用動作時の破れを防止しつつ、引き裂き安定性の向上を図る観点から、相対的に積層数が多い第1積層領域T1に含まれる第1肌側シートP1の融点は、相対的に積層数が少ない第2積層領域T2に含まれる第2肌側シートP2の融点よりも高いことが好ましい。
融点の高い熱可塑性シート50は、融点の低い熱可塑性シート50と比較して、同一の条件のシール工程を実施した場合に熱融着しにくくなり、接合強度が低下しやすくなる。このため、積層数が多い第1積層領域T1において、第1肌側シートP1の融点を高くすることにより、第1積層領域T1のシール部Sの接合強度が高まることを抑制することができる。これにより、第1積層領域T1と第2積層領域T2との間の接合強度の差を小さくすることができ、サイド接合部8全体における接合強度をより安定化させることができる。したがって、サイド接合部8の引き裂き容易性を高めることができる。
【0080】
第1肌側シートP1の融点は、好ましくは125℃以上、より好ましくは155℃以上であり、好ましくは260℃以下、より好ましくは250℃以下である。
第2肌側シートP2の融点は、好ましくは123℃以上、より好ましくは125℃以上であり、好ましくは180℃以下、より好ましくは170℃以下である。
【0081】
(5.肌側シートの坪量)
サイド接合部8が、熱可塑性シート50の積層数が異なる複数の積層領域を有する場合、上述したように、相対的に積層数が多い領域の方が少ない領域よりも、シール部Sの接合強度が高くなりやすい。
これに対し、着用時及び着用動作時の破れを防止しつつ、引き裂き安定性の向上を図る観点から、相対的に積層数が多い第1積層領域T1に含まれる第1肌側シートP1の坪量は、相対的に積層数が少ない第2積層領域T2に含まれる第2肌側シートP2の坪量よりも低いことが好ましい。
坪量の高い熱可塑性シート50では、熱可塑性樹脂の量も多くなり、シール部Sにおける接合強度が高くなりやすい。このため、積層数が多い第1積層領域T1において、第1肌側シートP1の坪量を低くすることにより、第1積層領域T1のシール部Sの接合強度が高まることを抑制することができる。これにより、第1積層領域T1と第2積層領域T2との間の接合強度の差を小さくすることができ、サイド接合部8全体における接合強度をより安定化させることができる。したがって、サイド接合部8の引き裂き安定性を高めることができる。
【0082】
第1肌側シートP1の坪量は、好ましくは10g/m以上、より好ましくは12g/m以上であり、好ましくは30g/m以下、より好ましくは25g/m以下である。
第2肌側シートP2の坪量は、好ましくは12g/m以上、より好ましくは14g/m以上であり、好ましくは40g/m以下、より好ましくは30g/m以下である。
【0083】
[弾性部材の構成例]
図2に示すように、外装体5の腹側領域5a及び背側領域5bは、横方向Yに延びる複数の弾性部材10を含む。
複数の弾性部材10は、外装体5の複数の熱可塑性シート50間に配置される。図5に示す例では、複数の弾性部材10は、外層シート51及び内層シート52の間に配置されている。
これらの弾性部材10により、おむつ1の胴周りに伸縮性が発揮され、着用動作が容易になるとともに、着用時のフィット性が維持される。
なお、「弾性部材10が横方向Yに延びる」とは、展開伸長状態において弾性部材10が横方向Yに延びることを意味する。但し、上記表現は、弾性部材10が展開伸長状態において横方向Yに平行な態様に限定されず、全体として横方向Yに延びる態様を含むものとする。
さらに、図2に示すように、外装体5は、上記弾性部材10の他、レッグ開口部1Lの周囲に配置されたレッグ用弾性部材61を含んでいてもよい。
【0084】
弾性部材60,61は、断面が矩形、正方形、円形、多角形状等の糸状(糸ゴム等)若しくは紐状(平ゴム等)のもの、又はマルチフィラメントタイプの糸状のもの等を好ましく用いることができる。弾性部材60,61の材料は、使い捨ておむつ等の吸収性物品に従来用いられるもの等を特に制限なく用いることができ、例えば、スチレン-ブタジエン、ブタジエン、イソプレン、ネオプレン等の合成ゴム、天然ゴム、EVA、伸縮性ポリオレフィン、ポリウレタン等を挙げることができる。
【0085】
腹側領域5a及び背側領域5b各々の弾性部材10の横方向Y外側の端部は、胴周り全体の伸縮性を確保する観点から、サイド接合部8又はその近傍に位置していることが好ましい。具体的に、当該端部は、サイド接合部8との横方向Yにおける距離が10mm以下であることが好ましく、当該距離が0mmであって当該端部がサイド接合部8内に位置していることがより好ましい。
弾性部材10は、引き裂き時に力が加えられる領域又はその近傍まで配置されることが一般的であり、廃棄時の引き裂き容易性に影響を与えやすい。
そこで、廃棄時の引き裂き容易性を向上させる観点から、弾性部材の伸長率を以下のように調整することが好ましい。
【0086】
図2に示すように、腹側領域5a及び背側領域5bは、それぞれ、ウエスト伸縮領域5fと、レッグ側伸縮領域5gと、に区分される伸縮領域を有する。これらの領域は、ウエスト開口端Waから縦方向Xに25mmの位置において横方向Yに平行に延びる仮想的な境界線によって区分された領域である。すなわち、ウエスト伸縮領域5fは、ウエスト開口端Waから縦方向Xに25mm以内に位置する。ウエスト伸縮領域5fの横方向Y両側縁部は、上述のウエスト領域8cに相当する。レッグ側伸縮領域5gは、ウエスト伸縮領域5fよりも縦方向Xにおけるレッグ側に位置する。なお、ウエスト伸縮領域5f及びレッグ側伸縮領域5gを区画する境界線は、展開伸長状態において、ウエスト開口端Waから縦方向Xに25mmの位置に横方向Yに平行に延びるものとする。
【0087】
ウエスト伸縮領域5fは、横方向Yに延びる複数の弾性部材10を含む。同様に、レッグ側伸縮領域5gは、横方向Yに延びる複数の弾性部材10を含む。ウエスト伸縮領域5fにおける複数の弾性部材10の平均伸長率は、レッグ側伸縮領域5gにおける複数の弾性部材10の平均伸長率よりも低いことが好ましい。
弾性部材10の伸長率は、パンツ型吸収性物品から取り出された自然長における弾性部材の長さに対する、パンツ型吸収性物品の展開伸長状態において伸長された弾性部材の長さの割合を意味する。
つまり、この伸長率が低いほど、弾性部材10を引っ張った際の弾性力がより小さくなる傾向となる。
なお、弾性部材10の伸長率は、製造時において、外装体5に配置される弾性部材10の伸長の度合いを調整することで、調整することができる。製造時には、例えば、弾性部材10を所定の長さまで伸長させ、コーム等によって弾性部材10に接着剤を塗布し、外装体5の熱可塑性シート50に弾性部材10を固定する。
【0088】
ウエスト領域8cには、上述のように、引き裂き動作時に横方向Yの力が直接加えられやすい。上記構成では、ウエスト伸縮領域5fの弾性部材10の平均伸長率が低いことで、引き裂き力に対する抗力となる弾性部材10の弾性力が低くなる。これにより、引き裂き力に係るエネルギが弾性部材10の伸長によって消費されにくくなり、より弱い力でも効率よく引き裂くことができる。したがって、上記構成により、安定した引き裂き動作が可能となり、引き裂き力が強すぎることによる外装体5の破れ等の不具合を防止することができる。
【0089】
(弾性部材の平均伸長率の測定方法)
パンツ型吸収性物品のサイド接合部8を分離して吸収性本体4を外し、外装体5の腹側領域5a及び背側領域5bを切り出す。さらに、腹側領域5a及び背側領域5bのウエスト開口端Waから縦方向Xに25mmの位置において横方向Yに平行に切断し、ウエスト伸縮領域5f及びレッグ側伸縮領域5gを切り出す。
そして、パンツ型吸収性物品の展開伸長状態における、切り出した各領域の弾性部材10の長さを測定する。この測定値から、各領域5f,5gにおける全ての弾性部材10の最大伸長状態の長さの平均値を算出する。
各領域5f,5gに接着剤等によって固定された全ての弾性部材10を、酢酸エチル等の適当な溶剤を用いて外装体5の他の構成部材から取り外し、各領域5f,5gにおける自然長の弾性部材10の長さを測定する。この測定値から、各領域5f,5gにおける自然長の全ての弾性部材10の長さの平均値を算出する。
そして、各領域5f,5gにおいて、自然長における弾性部材10の長さの平均値に対する、展開伸長状態における弾性部材10の長さの平均値の割合を算出し、これを各領域5f,5gの弾性部材10の平均伸長率とする。
【0090】
ウエスト伸縮領域5fにおける複数の弾性部材10の平均伸長率は、好ましくは120%以上、より好ましくは130%以上であり、好ましくは500%以下、より好ましくは450%以下である。
レッグ側伸縮領域5gにおける複数の弾性部材10の平均伸長率は、好ましくは150%以上、より好ましくは180%以上であり、好ましくは550%以下、より好ましくは500%以下である。
レッグ側伸縮領域5gにおける複数の弾性部材10の平均伸長率に対する、ウエスト伸縮領域5fにおける複数の弾性部材10の平均伸長率の割合は、上記作用効果を効果的に得る観点から、好ましくは20%以上、より好ましくは30%以上であり、好ましくは90%以下、より好ましくは80%以下である。
【0091】
<他の実施形態>
第1実施形態では、第1シール部S1の第1領域11及び第3領域13に接合強度低下剤9が重なる例をあげたが、これに限定されない。
また、第1実施形態では、第1シール部S1と第2シール部S2の縦方向Xにおける距離D1と横方向Yにおける距離D2が、D1>D2を満たす構成となる例をあげたが、これに限定されず、D1<D2であってもよいし、D1=D2であってもよい。
また、第1実施形態では、1行に2つのシール部Sが位置する例をあげたが、3つ以上のシール部Sが位置してもよい。
また、第1実施形態では、シール部Sが4列配置構造である例をあげたが、5列以上の配置構造であってもよい。
以下、これら他の形態を、第2~第13実施形態として説明する。これら実施形態では、第1実施形態と同様に、複数のシール部Sは同大同形であり矩形状である例をあげ、各シール列SLを構成する複数のシール部Sは等間隔に離間して配置される例をあげる。
【0092】
第2~第9実施形態は、第1実施形態と比較して、接合強度低下剤9の配置位置が異なる点でのみ相違し、いずれも第1シール部S1と第2シール部S2とが、D1>D2を満たす位置関係となっている。第2~第9実施形態では、第1実施形態と同様に、1行に2つのシール部が位置し、4列配置となっている。
第10実施形態は、第1実施形態と比較して、第1シール部S1と第2シール部S2とが、D1<D2を満たす位置関係となっている点、及び、接合強度低下剤9と第1シール部S1及び第2シール部S2との位置関係が異なる点で相違する。第10実施形態は、第1実施形態と同様に、1行に2つのシール部が位置し、4列配置となっている。
第11実施形態は、第1実施形態と比較して、第1シール部S1と第2シール部S2において、D1<D2を満たす位置関係とD1>D2を満たす位置関係が混在している点、1行に3つのシール部Sが位置し6列配置となっている点、及び、接合強度低下剤9と第1シール部S1及び第2シール部S2との位置関係が異なる点で相違する。
第12実施形態は、第1実施形態と比較して、第1シール部S1と第2シール部S2とがD1=D2を満たす位置関係となっている点で主に相違する。
第13実施形態は、第1実施形態と比較して、1行に2つのシール部が位置し6列配置となっている点で主に相違する。
【0093】
以下の各実施形態の説明では、第1実施形態と相違する点を中心に説明し、同様の構成については同様の符号を付し、説明を省略することがある。
また、以下の各実施形態において、第1実施形態と同様に、サイド接合部8のウエスト領域8cにおいて、仮想線Lと重なる2つのシール部Sをそれぞれ第1シール部S1,第2シール部S2という。第1シール部S1はn行目に位置するシールであり、第2シール部S2はn+1行目(第1シール部S1が属する行のすぐ下の行)に位置する。
以下の第1~第13実施形態のいずれにおいても、第1実施形態と同様に、複数のシール部Sを、縦方向X及び横方向Yに離間して複数配置して多列配置構造とし、ウエスト領域8cにおける第1シール部S1と第2シール部S2の少なくとも一方が接合強度低下剤9とが重なるように構成される。これにより、着用時及び着用動作時の破れを防止しつつ、廃棄時の引き裂きを容易にすることができる。
以下、各実施形態について説明する。
【0094】
<第2実施形態>
第1実施形態では、接合強度低下剤9が第1シール部S1の第1領域11及び第3領域13に重なる例をあげた。これに対し、図6に示す本実施形態のように、接合強度低下剤9が第1シール部S1の第1領域11のみに重なる形態であってもよい。
図6に示すように、本実施形態では、引き裂き時、同時に引き裂かれる第1領域11と第2領域12の一方である第1領域11に接合強度低下剤9が重なっている。
第1領域11と接合強度低下剤9とが重なることで、第1領域11と第2領域12の合計のシール強度が、接合強度低下剤9が重ならない形態と比べて、弱くなる。つまり、第1領域11と第2領域12を同時に引き裂く際に、弱い力で引き裂くことができ、引き裂きを容易にすることができる。
【0095】
<第3実施形態>
第1実施形態では、接合強度低下剤9が第1シール部S1の第1領域11及び第3領域13に重なる例をあげた。これに対し、図7に示す本実施形態のように、接合強度低下剤9が第2シール部S2の第2領域12のみに重なる形態であってもよい。
図7に示すように、本実施形態では、引き裂き時、同時に引き裂かれる第1領域11と第2領域12の一方である第2領域12に接合強度低下剤9が重なっている。
第2領域12と接合強度低下剤9とが重なることで、第1領域11と第2領域12の合計のシール強度が、接合強度低下剤9が重ならない形態と比べて、弱くなる。つまり、第1領域11と第2領域12を同時に引き裂く際に、弱い力で引き裂くことができ、引き裂きを容易にすることができる。
【0096】
<第4実施形態>
第1実施形態では、接合強度低下剤9が第1シール部S1の第1領域11及び第3領域13に重なる例をあげた。これに対し、図8に示す本実施形態のように、接合強度低下剤9が第1シール部S1の第1領域11及び第2シール部S2の第2領域に重なる形態であってもよい。
図8に示すように、本実施形態では、引き裂き時、同時に引き裂かれる第1領域11と第2領域12の双方が接合強度低下剤9と重なっている。
第1領域11及び第2領域12と接合強度低下剤9とが重なることで、第1領域11と第2領域12の合計のシール強度が、接合強度低下剤9が重ならない形態と比べて、弱くなる。つまり、第1領域11と第2領域12を同時に引き裂く際に、弱い力で引き裂くことができ、引き裂きを容易にすることができる。
【0097】
<第5実施形態>
第1実施形態では、接合強度低下剤9が第1シール部S1の第1領域11及び第3領域13に重なる例をあげた。これに対し、図9に示す本実施形態のように、接合強度低下剤9が第1シール部S1の第1領域11及び第3領域13、第2シール部S2の第2領域12に重なる形態であってもよい。
図9に示すように、本実施形態では、引き裂き時、同時に引き裂かれる第1領域11と第2領域12の双方に接合強度低下剤9が重なっている。
第1領域11及び第2領域12と接合強度低下剤9とが重なることで、第1領域11と第2領域12の合計のシール強度が、接合強度低下剤9が重ならない形態と比べて、弱くなる。つまり、第1領域11と第2領域12を同時に引き裂く際に、弱い力で引き裂くことができる。
更に、第1領域11及び第2領域12に加えて第3領域13も接合強度低下剤9が重なることで、第3領域13を弱い力で引き裂くことができる。
これにより、引き裂き時、まず第1シール部S1の第3領域13が引き裂かれたのち、第1シール部S1の第1領域11及び第2シール部S2の第2領域12が引き裂かれるが、第3領域13の引き裂きに要する力と、第1領域11及び第2領域12の引き裂きに要する力との差が大きくなりすぎないため、引き裂き動作を安定して滑らかに行うことができる。
【0098】
<第6実施形態>
第1実施形態では、接合強度低下剤9が第1シール部S1の第1領域11及び第3領域13に重なる例をあげた。これに対し、図10に示す本実施形態のように、接合強度低下剤9が、第1シール部S1の第1領域11及び第3領域13、第2シール部S2の第4領域14に重なる形態であってもよい。
図10に示すように、本実施形態では、引き裂き時、同時に引き裂かれる第1領域11と第2領域12の一方である第1領域11に接合強度低下剤9が重なっている。
第1領域11と接合強度低下剤9とが重なることで、第1領域11と第2領域12の合計のシール強度が、接合強度低下剤9が重ならない形態と比べて、弱くなる。つまり、第1領域11と第2領域12を同時に引き裂く際に、弱い力で引き裂くことができる。
更に、第1領域11に加えて第3領域13及び第4領域14も接合強度低下剤9が重なることで、第3領域13及び第4領域14を弱い力で引き裂くことができる。
これにより、引き裂き時、第3領域13が引き裂かれたのち、第1シール部S1の第1領域11及び第2シール部S2の第2領域12が引き裂かれ、続いて第4領域14が引き裂かれるが、第3領域13及び第4領域14の引き裂きに要する力と、第1領域11及び第2領域12の引き裂きに要する力との差が大きくなりすぎないため、引き裂き動作を安定してより滑らかに行うことができる。
【0099】
<第7実施形態>
第1実施形態では、接合強度低下剤9が第1シール部S1の第1領域11及び第3領域13に重なる例をあげた。これに対し、図11に示す本実施形態のように、接合強度低下剤9が、第1シール部S1の第1領域11、第2シール部S2の第2領域12及び第4領域14に重なる形態であってもよい。
図11に示すように、本実施形態では、引き裂き時、同時に引き裂かれる第1領域11と第2領域12の双方に接合強度低下剤9が重なっている。
第1領域11及び第2領域12と接合強度低下剤9とが重なることで、第1領域11と第2領域12の合計のシール強度が、接合強度低下剤9が重ならない形態と比べて、弱くなる。つまり、第1領域11と第2領域12を同時に引き裂く際に、弱い力で引き裂くことができる。
更に、第1領域11及び第2領域12に加えて第4領域14も接合強度低下剤9が重なることで、第4領域14を弱い力で引き裂くことができる。
これにより、引き裂き時、第1シール部S1の第1領域11及び第2シール部S2の第2領域12が引き裂かれたのち、第4領域14が引き裂かれるが、第1領域11及び第2領域12の引き裂きに要する力と第4領域14の引き裂きに要する力との差が大きくなりすぎないため、引き裂き動作を安定して滑らかに行うことができる。
【0100】
<第8実施形態>
第1実施形態では、接合強度低下剤9が第1シール部S1の第1領域11及び第3領域13に重なる例をあげた。これに対し、図12に示す本実施形態のように、接合強度低下剤9が、第1シール部S1の第1領域11及び第3領域13、第2シール部S2の第2領域12及び第4領域14に重なる形態であってもよい。
図12に示すように、本実施形態では、引き裂き時、同時に引き裂かれる第1領域11と第2領域12の双方に接合強度低下剤9が重なっている。
第1領域11及び第2領域12と接合強度低下剤9とが重なることで、第1領域11と第2領域12の合計のシール強度が、接合強度低下剤9が重ならない形態と比べて、弱くなる。つまり、第1領域11と第2領域12を同時に引き裂く際に、弱い力で引き裂くことができる。
更に、第1領域11及び第2領域12に加えて第3領域13及び第4領域14も接合強度低下剤9が重なることで、第3領域13及び第4領域14を弱い力で引き裂くことができる。
これにより、引き裂き時、第1シール部S1の第3領域13が引き裂かれたのち、第1シール部S1の第1領域11及び第2シール部S2の第2領域12が引き裂かれ、続いて第4領域14が引き裂かれるが、第1領域11及び第2領域12の引き裂きに要する力と、第3領域13及び第4領域14の引き裂きに要する力との差が大きくなりすぎないため、引き裂き動作を安定して滑らかに行うことができる。
【0101】
<第9実施形態>
第1実施形態では、接合強度低下剤9が第1シール部S1の第1領域11及び第3領域13に重なる例をあげた。これに対し、図13に示す本実施形態のように、接合強度低下剤9が、第1シール部S1の第3領域13、第2シール部S2の第2領域12及び第4領域14に重なる形態であってもよい。
図13に示すように、本実施形態では、引き裂き時、同時に引き裂かれる第1領域11と第2領域12の一方である第2領域12に接合強度低下剤9が重なっている。
第2領域12と接合強度低下剤9とが重なることで、第1領域11と第2領域12の合計のシール強度が、接合強度低下剤9が重ならない形態と比べて、弱くなる。つまり、第1領域11と第2領域12を同時に引き裂く際に、弱い力で引き裂くことができる。
更に、第2領域12に加えて第3領域13及び第4領域14も接合強度低下剤9が重なることで、第3領域13及び第4領域14を弱い力で引き裂くことができる。
これにより、引き裂き時、第3領域13が引き裂かれたのち、第1シール部S1の第1領域11及び第2シール部S2の第2領域12が引き裂かれ、続いて第4領域14が引き裂かれるが、第3領域13及び第4領域14の引き裂きに要する力と、第1領域11及び第2領域12の引き裂きに要する力との差が大きくなりすぎないため、引き裂き動作を安定してより滑らかに行うことができる。
【0102】
<第10実施形態>
第1実施形態では、第1シール部と第2シール部との位置関係がD1>D2である例をあげた。これに対し、図14に示す本実施形態のように、第1シール部と第2シール部との位置関係がD1<D2となる形態であってもよい。
本実施形態では、接合強度低下剤9が、第1シール部S1の第3領域13、第2シール部S2の第2領域12及び第4領域14に重なる形態となっているが、上述の各実施形態の第1シール部S1及び第2シール部S2と接合強度低下剤9との位置関係を適用することもできる。
【0103】
図14に示すように、本実施形態では、ウエスト領域8cにおいて、第1シール部S1と第2シール部S2とは、D1<D2の関係を満たす配置となっている。
このような配置とすることにより、サイド接合部8をウエスト端部8aからレッグ端部8bに向かって引き裂く際、第1シール部S1及び第2シール部S2に着目すると、まず第2シール部S2が引き裂かれ始め、第2シール部S2の一部のみが引き裂かれる。続いて、第1シール部S1と第2シール部S2の双方が引き裂かれる。続いて、第2シール部S2の引き裂きが終わり、第1シール部S1の一部のみが引き裂かれる。
図14において、仮想線L1は、第2シール部S2の引き裂き開始の箇所に対応する。仮想線L2は、第2シール部S2の引き裂きが継続しつつ、第1シール部S1の引き裂きが開始の箇所に対応する。仮想線L3は、第1シール部S1の引き裂きが継続しつつ第2シール部S2の引き裂きが終了する箇所に対応する。仮想線L4は、第1シール部S1の引き裂きが終了する箇所に対応する。
【0104】
図14において、第1シール部S1は、第1領域11と、第3領域13とを有する。第2シール部S2は、第2領域12と、第4領域14とを有する。
第1領域11及び第2領域12は、第1シール部S1及び第2シール部S2における、仮想線L2と仮想線L3との間に挟まれる領域に対応する。
第3領域13は、第1シール部S1における仮想線L3と仮想線L4との間に挟まれる領域に対応する。
第4領域14は、第2シール部S2における仮想線L1と仮想線L2との間に挟まれる領域に対応する。
【0105】
第1領域11は、第1シール部S1において、仮想線Lをウエスト端部8aからレッグ端部8bに向かって平行移動(L1、L2、L3、L4の順に平行移動)して重ねた際、仮想線Lが第1シール部S1及び第2シール部S2の両方に重なる間の仮想線Lが通る領域である。図において、第1シール部S1の第1領域11に右下がりの太斜線を引いた。
第2領域12は、第2シール部S2において、仮想線Lをウエスト端部8aからレッグ端部8bに向かって平行移動して重ねた際、仮想線Lが第1シール部S1及び第2シール部S2の両方に重なる間の仮想線Lが通る領域である。図において、第2シール部S2の第2領域12に右下がりの太斜線を引いた。
【0106】
第3領域13は、第1シール部S1において、仮想線Lをウエスト端部8aからレッグ端部8bに向かって平行移動して重ねた際、仮想線Lが第1シール部S1のみに重なる間の仮想線Lが通る領域である。図において、第1シール部S1の第3領域13に右上がりの細斜線を引いた。
第4領域14は、第2シール部S2において、仮想線Lをウエスト端部8aからレッグ端部8bに向かって平行移動して重ねた際、仮想線Lが第2シール部S2のみに重なる間の仮想線Lが通る領域である。図において、第2シール部S2の第4領域14に右上がりの細斜線を引いた。
【0107】
図14に示す例では、引き裂き時、第1シール部S1及び第2シール部S2において、剥離界面に対応する仮想線Lは、第2シール部S2の第4領域14のみを通ったのち、第1シール部S1の第1領域11と第2シール部S2の第2領域12の両方を同時に通り、続いて第1シール部S1の第3領域13のみを通る。
【0108】
本実施形態において、引き裂き時、同時に引き裂かれる第1領域11と第2領域12の一方である第2領域12に接合強度低下剤9が重なっている。
第2領域12と接合強度低下剤9とが重なることで、第1領域11と第2領域12の合計のシール強度が、接合強度低下剤9が重ならない形態と比べて、弱くなる。つまり、第1領域11と第2領域12を同時に引き裂く際に、弱い力で引き裂くことができる。
更に、第2領域12に加えて第4領域14も接合強度低下剤9が重なることで、第4領域14を弱い力で引き裂くことができる。
これにより、引き裂き時、第4領域14が引き裂かれたのち、第1シール部S1の第1領域11及び第2シール部S2の第2領域12が引き裂かれるが、第4領域14の引き裂きに要する力と、第1領域11及び第2領域12の引き裂きに要する力との差が大きくなりすぎないため、引き裂き動作を安定してより滑らかに行うことができる。
【0109】
<第11実施形態>
第1実施形態では、第1シール部と第2シール部との位置関係がD1>D2であり、1行に2つのシール部Sが位置する4列配置構造である例をあげた。これに対し、図15に示す本実施形態のように、D1<D2の位置関係とD1>D2の位置関係が混在し、1行に3つのシール部Sが位置する6列配置構造となる形態であってもよい。尚、本実施形態では、D1<D2の位置関係とD1>D2の位置関係が混在する例をあげるが、D1<D2、D1>D2及びD1=D3から選択される2つ以上の位置関係が混在してもよい。
【0110】
本実施形態では、1行に3つのシール部Sが位置する。これにより、1つの第1シール部が、異なる仮想線L上それぞれで異なる第2シール部と重なることがある。また、ある1つの仮想線L上で3つのシール部が重なることがある。
このような形態においても、1つの仮想線L上で重なるn行目に位置する第1シール部S1とn+1行目に位置する第2シール部S2の少なくとも一方のシール部Sと接合強度低下剤9とが重なるように構成されることで、着用時及び着用動作時の破れを防止しつつ、廃棄時の引き裂きを容易にすることができる。
【0111】
図15に示すように、仮想線L2から仮想線L3への移動の間、n行目1列目に位置するシール部S1(第1シール部に相当)とn+1行目4列目に位置するシール部S2(第2シール部に相当)とが同一仮想線上に重なる。シール部S1とシール部S2とは、D1<D2の位置関係を満たす。
仮想線L3から仮想線L4への移動の間、n行目1列目に位置するシール部S1(第1シール部に相当)とn+1行目2列目に位置するシール部S2´(第2シール部に相当)は、同一の仮想線上に重なる。シール部S1とシール部S2´とは、D1>D2の位置関係を満たす。
このように、図15に示す例では、1つの第1シール部S1が、異なる仮想線L上それぞれで異なる第2シール部S2、S2´と重なる。
【0112】
更に、図15に示す例では、仮想線L2から仮想線L3への移動の間、1つの仮想線上に、シール部S1、シール部S2、及び、n+2行目5列目に位置するシール部S3が重なる。シール部S1とシール部S2において、シール部S1は第1シール部に相当し、シール部S2は第2シール部に相当する。シール部S2とシール部S3において、シール部S2は第1シール部に相当し、シール部S3は第2シール部に相当する。シール部S2とシール部S3とは、D1>D2の位置関係を満たす。
また、仮想線L3から仮想線L4への移動の間、1つの仮想線L上に、シール部S1、シール部S2´、及びシール部S3が重なる。シール部S1とシール部S2´において、シール部S1は第1シール部に相当し、シール部S2´は第2シール部に相当する。シール部S2´とシール部S3において、シール部S2´は第1シール部に相当し、シール部S3は第2シール部に相当する。シール部S2´とシール部S3とは、D1<D2の位置関係を満たす。
尚、本実施形態では、シール部S1とシール部S3において、シール部S1の縦方向Xウエスト側端部とシール部S3の縦方向Xウエスト側端部との縦方向Xの距離と、シール部S1の横方向内側端部とシール部S3の横方向Y内側端部との横方向Yの距離とが同じである場合をあげるが、これに限定されない。
このように、図15に示す例では、ある1つの仮想線L上で3つのシール部が重なる。
【0113】
図15に示す例では、シール部S1、S2、S2´、S3に着目した場合、まず、シール部S2の一部のみが引き裂かれ、続いてシール部S2、シール部S1及びシール部S3が同時に引き裂かれる。次にシール部S2が引き裂き終わったのちは、シール部S1、シール部S3及びシール部S2´が同時に引き裂かれる。次にシール部S1及びシール部S3が引き終わったのちはシール部S2´の一部が引き裂かれる。
【0114】
本実施形態においても、ある1つの仮想線L上に位置する複数のシール部Sの少なくとも1つに接合強度低下剤9が重なることで、該複数のシール部Sの合計のシール強度が弱くなり、弱い力で引き裂くことができる。また、外装体5に局所的に大きな力が負荷されることを抑制でき、外装体5の横裂けを効果的に防止できる。
【0115】
<第12実施形態>
第1実施形態では、第1シール部と第2シール部との位置関係がD1>D2である例をあげた。これに対し、図16に示す本実施形態のように、第1シール部と第2シール部との位置関係がD1=D2となる形態であってもよい。
本実施形態では接合強度低下剤9が、第1シール部S1の第1領域11のみに重なる形態となっているが、第2シール部S2の第2領域12のみに重なってもよいし、第1領域11及び第2領域12の双方に重なってもよい。
【0116】
図16に示すように、本実施形態では、ウエスト領域8cにおいて、第1シール部S1と第2シール部S2とは、D1=D2の関係を満たす配置となっている。
このような配置とすることにより、サイド接合部8をウエスト端部8aからレッグ端部8bに向かって引き裂く際、第1シール部S1及び第2シール部S2に着目すると、第1シール部S1と第2シール部S2の両方が同時に引き裂かれる。
図16において、仮想線L1は、第1シール部S1及び第2シール部S2の引き裂き開始の箇所に対応する。仮想線L2は、第1シール部S1及び第2シール部S2の引き裂きが終了する箇所に対応する。
【0117】
第1領域11は、第1シール部S1において、仮想線Lをウエスト端部8aからレッグ端部8bに向かって平行移動(L1、L2の順に平行移動)して重ねた際、仮想線Lが第1シール部S1及び第2シール部S2の両方に重なる間の仮想線Lが通る領域である。図において、第1シール部S1の第1領域11に右下がりの太斜線を引いた。
第2領域12は、第2シール部S2において、仮想線Lをウエスト端部8aからレッグ端部8bに向かって平行移動して重ねた際、仮想線Lが第1シール部S1及び第2シール部S2の両方に重なる間の仮想線Lが通る領域である。図において、第2シール部S2の第2領域12に右下がりの太斜線を引いた。
【0118】
図16に示す例では、第1シール部S1及び第2シール部S2において、引き裂き時、剥離界面に対応する仮想線Lは、第1シール部S1の第1領域11と第2シール部S2の第2領域12の両方を同時に通る。
図16に示す例では、引き裂き時、同時に引き裂かれる第1領域11と第2領域12の一方である第1領域11に接合強度低下剤9が重なっている。
第1領域11と接合強度低下剤9とが重なることで、第1領域11と第2領域12の合計のシール強度が、接合強度低下剤9が重ならない形態と比べて、弱くなる。つまり、第1領域11と第2領域12を同時に引き裂く際に、弱い力で引き裂くことができる。また、外装体5に局所的に大きな力が負荷されることを抑制でき、外装体5の横裂けを効果的に防止できる。
【0119】
<第13実施形態>
第1実施形態では、1行に2つのシール部Sが位置する4列配置構造である例をあげたが、図17に示す本実施形態のように、1行に2つのシール部Sが位置する6列配置構造となる形態であってもよい。
図17に示す例では、複数のシール部Sは、縦方向Xに沿って離間して配置された複数のシール部Sからなるシール列SLが横方向に複数位置するように配置される。本実施形態では、サイド接合部8は、6列のシール列SL1~SL6から構成される。シール列SL1は1列目に、シール列SL2は2列目に、シール列SL3は3列目に、シール列SL4は4列目に、シール列SL5は5列目に、シール列SL6は6列目に位置する。
隣り合うシール列SLは、縦方向Xに1/3ピッチ分(同一シール列に位置する隣り合う2つのシール部の1/3の間隔)ずれた構成となっている。これにより、シール列SL1に位置するシール部Sと、シール列SL4に位置するシール部Sとは、横方向に沿って間欠して位置し、同じ行に位置する。シール列SL2に位置するシール部Sと、シール列SL5に位置するシール部Sとは、横方向に沿って間欠して位置し、同じ行に位置する。シール列SL3に位置するシール部Sと、シール列SL6に位置するシール部Sとは、横方向に沿って間欠して位置し、同じ行に位置する。隣り合う2つのシール列(SL1とSL2、SL2とSL3、SL3とSL4、SL4とSL5、SL5とSL6)において、各シール列に位置するシール部S同士は横方向に沿って並ばないように位置し、同じ行に位置しない。
【0120】
更に、他の実施形態として第14~16実施形態について説明する。
【0121】
<第14実施形態>
上述の第1実施形態では、外装体5の折り返し構造として、外層シート51のみ折り返す構成について説明したが、これに限定されない。
図18に示す本実施形態のように、外層シート51及び内層シート52の双方が折り返されていてもよい。
なお、以下の第14~第16実施形態において、上述の第1実施形態と同一の構成は、同一の符号を付して説明を省略する。
【0122】
図18に示す例では、外層シート51及び内層シート52がウエスト開口端Waから肌側に折り返されている。折り返された領域の外層シート51及び内層シート52のレッグ側の端部は、縦方向Xにおいて略同一の位置に配置される。
【0123】
ウエスト領域8cでは、外装体5の複数の熱可塑性シート50において、肌対向面を構成する肌側シートPは折り返された外層シート51であり、肌側シートPに隣接する隣接シートQは、折り返された内層シート52となる。
この場合、第1実施形態と同様に、接合強度低下剤9は、ウエスト領域8cにおいて、肌側シートPと、隣接シートQとの間に配置されることが好ましい。図18に示す例では、接合強度低下剤9は、折り返された外層シート51と、それに隣接する折り返された内層シート52との間に配置される。これにより、サイド接合部8の接合界面の近傍に接合強度低下剤9が配置され、シール部Sと接合強度低下剤9とが重なる領域の接合強度を効果的に低下できる。
また、引き裂き容易性をさらに向上させる観点から、肌側シートPにおける接合強度低下剤9の染み込み深さは、隣接シートQにおける接合強度低下剤9の染み込み深さよりも深いことが好ましい。
なお、図18に示す例では、接合強度低下剤9は、背側領域5bに配置されるが、上述のように、腹側領域5aに配置されてもよく、腹側領域5a及び背側領域5bの双方に配置されてもよい。
【0124】
また、第1実施形態と同様に、本実施形態でも、サイド接合部8は、第1肌側シートP1を含み6枚以上の熱可塑性シート50が積層された第1積層領域T1と、第2肌側シートP2を含み第1積層領域T1よりも少ない数の熱可塑性シート50が積層された第2積層領域T2と、を有する。この例において、第1積層領域T1は、外装体5が折り返された領域に相当し、ウエスト領域8cの肌側シートPは、第1肌側シートP1に相当する。
【0125】
図18に示す例では、腹側領域5aの第1積層領域T1は、折り返されていない外層シート51と、折り返されていない内層シート52と、折り返された内層シート52と、折り返された外層シート51と、の4層で構成される。背側領域5bの第1積層領域T1も、同様の4層で構成される。これにより、第1積層領域T1は、合計8層で構成される。第1積層領域T1において、第1肌側シートP1は、折り返された外層シート51で構成される。
図18に示す例では、腹側領域5aの第2積層領域T2は、折り返されていない外層シート51と、折り返されていない内層シート52と、の2層で構成される。背側領域5bの第2積層領域T2も、同様の2層で構成される。これにより、第2積層領域T2は、合計4層で構成される。第2積層領域T2において、第2肌側シートP2は、折り返されていない内層シート52で構成される。
【0126】
本実施形態においても、サイド接合部8全体における接合強度をより安定化させる観点から、以下のような構成としてもよい。
例えば、相対的に熱可塑性シートの積層数が少ない第2積層領域T2に位置する複数のシール部のシール強度の振れが、相対的に熱可塑性シートの積層数が多い第1積層領域T1に位置する複数のシール部のシール強度の振れよりも小さいことが好ましい。
例えば、相対的に熱可塑性シートの積層数が少ない第2積層領域T2に位置するシール部の繊維の溶融度合いが、相対的に熱可塑性シートの積層数が多い第1積層領域T1に位置するシール部の繊維の溶融度合いよりも高いことが好ましい。
【0127】
また、本実施形態においても、サイド接合部8全体における接合強度をより安定化させる観点から、第1肌側シートP1及び第2肌側シートP2をそれぞれ以下のような構成としてもよい。
例えば、第1肌側シートP1及び第2肌側シートP2は、それぞれ、複数のエンボス部を含むスパンボンド不織布で構成されることが好ましく、第1肌側シートP1におけるエンボス部の面積率は、第2肌側シートP2におけるエンボス部の面積率よりも大きいことが好ましい。
例えば、本実施形態においても、第1肌側シートP1の融点は、第2肌側シートP2の融点よりも高いことが好ましい。
例えば、本実施形態においても、第1肌側シートP1の坪量は、第2肌側シートP2の坪量よりも低いことが好ましい。
【0128】
本実施形態のサイド接合部8を有するパンツ型吸収性物品においても、上記構成に加えて、第1シール部及び第2シール部と接合強度低下剤9との位置関係を第1~第13実施形態のいずれかと同様の構成とすることで、着用動作時及び着用時の剥がれ防止と、廃棄時の引き裂き容易性とを両立させることができる。
【0129】
<第15実施形態>
折り返し構造を有する外装体5の構成は、上述の例に限定されない。例えば、外層シート51の折り返された領域の端部である折り返し端部51aと、内層シート52の折り返された領域の端部である折り返し端部52aの位置が縦方向Xにおいて異なっていてもよい。
図19に示す例では、内層シート52の折り返し端部52aが、外層シート51の折り返し端部51aよりも縦方向Xにおいてウエスト側に位置している。
【0130】
図19に示す例において、ウエスト領域8cでは、外層シート51及び内層シート52の双方が折り返されている。この場合、肌対向面を構成する肌側シートPは折り返された外層シート51であり、肌側シートPに隣接する隣接シートQは、折り返された内層シート52となる。
この場合、第1実施形態と同様に、接合強度低下剤9は、ウエスト領域8cにおいて、肌側シートPと、隣接シートQとの間に配置されることが好ましい。図19に示す例では、接合強度低下剤9は、折り返された外層シート51と、それに隣接する折り返された内層シート52との間に配置される。
また、引き裂き容易性をさらに向上させる観点から、肌側シートPにおける接合強度低下剤9の染み込み深さは、隣接シートQにおける接合強度低下剤9の染み込み深さよりも深いことが好ましい。
なお、図19に示す例では、接合強度低下剤9は、腹側領域5aに配置されるが、上述のように、背側領域5bに配置されてもよく、腹側領域5a及び背側領域5bの双方に配置されてもよい。
【0131】
また、第14実施形態と同様に、本実施形態でも、サイド接合部8は、第1肌側シートP1を含む6枚以上の熱可塑性シート50が積層された第1積層領域T1と、第2肌側シートP2を含む第1積層領域T1よりも少ない数の熱可塑性シート50が積層された第2積層領域T2と、を有する。この例において、第1積層領域T1は、外装体5が折り返された領域に相当し、ウエスト領域8cの肌側シートPは、第1肌側シートP1に相当する。
さらに、本実施形態では、第1積層領域T1が、熱可塑性シート50の積層数の異なる領域を含む。つまり、第1積層領域T1は、第2積層領域T2に隣接し第2積層領域T2よりも多い数の熱可塑性シート50が積層されたレッグ側積層領域T12と、レッグ側積層領域T12よりも多い数の熱可塑性シート50が積層されたウエスト側積層領域T11と、を含む。
図19に示す例では、ウエスト領域8cは、ウエスト側積層領域T11に含まれる。
【0132】
図19に示す例では、腹側領域5aのウエスト側積層領域T11は、折り返されていない外層シート51と、折り返されていない内層シート52と、折り返された内層シート52と、折り返された外層シート51と、の4層で構成される。背側領域5bのウエスト側積層領域T11も、同様の4層で構成される。これにより、ウエスト側積層領域T11は、合計8層で構成される。
また、腹側領域5aのレッグ側積層領域T12は、折り返されていない外層シート51と、折り返されていない内層シート52と、折り返された外層シート51と、の3層で構成される。背側領域5bのレッグ側積層領域T12も、同様の3層で構成される。これにより、レッグ側積層領域T12は、合計6層で構成される。
また、ウエスト側積層領域T11及びレッグ側積層領域T12のいずれも、第1肌側シートP1は、折り返された外層シート51で構成される。
図19に示す例では、腹側領域5aの第2積層領域T2は、折り返されていない外層シート51と、折り返されていない内層シート52と、の2層で構成される。背側領域5bの第2積層領域T2も、同様の2層で構成される。これにより、第2積層領域T2は、合計4層で構成される。第2積層領域T2において、第2肌側シートP2は、折り返されていない内層シート52で構成される。
【0133】
本実施形態においても、サイド接合部8全体における接合強度をより安定化させる観点から、以下のような構成としてもよい。
例えば、相対的に熱可塑性シートの積層数が少ない領域に位置する複数のシール部のシール強度の振れが、相対的に熱可塑性シートの積層数が多い領域に位置する複数のシール部のシール強度の振れよりも小さいことが好ましい。本実施形態では、ウエスト側積層領域T11が最も積層数が多く、次いでレッグ側積層領域T12の積層数が多く、第2積層領域T2が最も積層数が少ない。第2積層領域T2におけるシール強度の振れが最も小さく、次いでレッグ側積層領域T12におけるシール強度の振れが小さく、ウエスト側積層領域T11におけるシール強度の振れが最も大きいことが好ましい。このようにウエスト端部からレッグ端部に向かって段階的に熱可塑性シートの積層数が減少し、かつ、積層数が少ない領域ほどシール強度の振れが小さくなる構成とすることで、ウエスト側積層領域T11、レッグ側積層領域T12及び第2積層領域T2の3つの領域それぞれでの引き裂きに必要な力の差を小さくすることができ、引き裂き動作を安定して滑らかに行うことができる。
例えば、相対的に熱可塑性シートの積層数が少ない領域に位置するシール部の繊維の溶融度合いが、相対的に熱可塑性シートの積層数が多い領域に位置するシール部の繊維の溶融度よりも高いことが好ましい。本実施形態では、ウエスト側積層領域T11が最も積層数が多く、次いでレッグ側積層領域T12の積層数が多く、第2積層領域T2が最も積層数が少ない。第2積層領域T2のシール部Sの繊維の溶融度が最も高く、次いでレッグ側積層領域T12のシール部Sの繊維の溶融度が高く、ウエスト側積層領域T11のシール部Sの繊維の溶融度が最も低いことが好ましい。このようにウエスト端部からレッグ端部に向かって段階的に熱可塑性シートの積層数が減少し、かつ、積層数が少ない領域ほど繊維の溶融度合いを高くする構成とすることで、ウエスト側積層領域T11、レッグ側積層領域T12及び第2積層領域T2の3つの領域それぞれでの必要な引き裂き力の差を小さくすることができ、引き裂き動作を安定して滑らかに行うことができる。
【0134】
本実施形態においても、サイド接合部8全体における接合強度をより安定化させる観点から、第1肌側シートP1及び第2肌側シートP2をそれぞれ以下のような構成としてもよい。
例えば、第1肌側シートP1及び第2肌側シートP2は、それぞれ、複数のエンボス部を含むスパンボンド不織布で構成されることが好ましく、第1肌側シートP1におけるエンボス部の面積率は、第2肌側シートP2におけるエンボス部の面積率よりも大きいことが好ましい。
例えば、本実施形態においても、第1肌側シートP1の融点は、第2肌側シートP2の融点よりも高いことが好ましい。
例えば、本実施形態においても、第1肌側シートP1の坪量は、第2肌側シートP2の坪量よりも低いことが好ましい。
【0135】
本実施形態のサイド接合部8を有するパンツ型吸収性物品においても、上記構成に加えて、第1シール部及び第2シール部と接合強度低下剤9との位置関係を第1~第13実施形態のいずれかと同様の構成とすることで、着用動作時及び着用時の剥がれ防止と、廃棄時の引き裂き容易性とを両立させることができる。
【0136】
<第16実施形態>
本発明のパンツ型吸収性物品は、上述の各実施形態のように、外装体5が折り返し構造を有する例に限定されず、外装体5が折り返し構造を有していなくてもよい。
本実施形態では、図20に示すように、外層シート51及び内層シート52の双方が折り返されておらず、これらのシートの端部がウエスト開口端Waに一致していてもよい。
つまり、この例では、外装体5は、全体が同一の積層数で構成され、例えば、腹側領域5a及び背側領域5bがそれぞれ外層シート51と内層シート52の2層で構成される。
【0137】
つまり、サイド接合部8のウエスト領域8cでは、外装体5の複数の熱可塑性シート50において、肌対向面を構成する肌側シートPは内層シート52であり、肌側シートPに隣接する隣接シートQは、外層シート51となる。
この場合においても、第1実施形態と同様に、接合強度低下剤9は、シール部Sと接合強度低下剤9とが重なる領域の接合強度を効果的に低下させる観点から、ウエスト領域8cにおいて、肌側シートPと、隣接シートQとの間に配置されることが好ましい。図20に示す例では、接合強度低下剤9は、内層シート52と、それに隣接する外層シート51と、の間に配置される。
また、シール部Sと接合強度低下剤9とが重なる領域の接合強度をより効果的に低下させる観点から、肌側シートPにおける接合強度低下剤9の染み込み深さは、隣接シートQにおける接合強度低下剤9の染み込み深さよりも深いことが好ましい。
なお、図20に示す例では、接合強度低下剤9は、腹側領域5a及び背側領域5bの双方に配置されるが、上述のように、腹側領域5a又は背側領域5bの一方に配置されてもよい。
【0138】
また、本実施形態では、肌側シートPは、サイド接合部8全体における接合強度をより安定化させる観点から、サイド接合部8全体において同一の不織布で構成されることが好ましい。
例えば、肌側シートPは、複数のエンボス部を含むスパンボンド不織布で構成されることが好ましく、サイド接合部8の全体において、エンボス部の面積率が実質的に一定であることが好ましい。なお、「サイド接合部8の全体において、エンボス部の面積率が実質的に一定」とは、サイド接合部8における10箇所以上のエンボス部の面積率を比較した場合に、最も低い面積率を100%とした場合に、最も高い面積率が110%以下に収まっていることを意味する。
例えば、本実施形態では、肌側シートPの融点は、サイド接合部8全体において、実質的に一定であることが好ましい。「肌側シートPの融点は、サイド接合部8全体において、実質的に一定」とは、サイド接合部8における10箇所以上の肌側シートPの融点を比較した場合に、最も低い融点を100%とした場合に、最も高い融点が110%以下に収まっていることを意味する。
例えば、本実施形態では、肌側シートPの坪量は、サイド接合部8全体において、実質的に一定であることが好ましい。「肌側シートPの坪量は、サイド接合部8全体において、実質的に一定」とは、サイド接合部8における10箇所以上の肌側シートPの坪量を比較した場合に、最も低い坪量を100%とした場合に、最も高い坪量が110%以下に収まっていることを意味する。
【0139】
本実施形態のサイド接合部8を有するパンツ型吸収性物品においても、上記構成に加えて、第1シール部及び第2シール部と接合強度低下剤9との位置関係を第1~第13実施形態のいずれかと同様の構成とすることで、着用動作時及び着用時の剥がれ防止と、廃棄時の引き裂き容易性とを両立させることができる。
【0140】
<その他の実施形態>
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0141】
例えば、上記実施形態では、外装体5が、腹側領域5aと、背側領域5bと、股下領域5cと、を有すると説明したが、これに限定されない。例えば、外装体5は、股下領域を有さず、腹側領域と背側領域とが分割された構成を有していてもよい。
【0142】
また、例えば、上述の実施形態では、シール部Sが4列配置又は6列配置とする例をあげたが、好ましくは3列以上7列以下である。列数を3つ以上というように多列構造とすることで、各シール部Sの強度の振れ(強度のばらつき)が大きくても、1つのシール部Sが剥がれた際に、他のシール部Sによってサイド接合部8での接合を保持することができ、着用動作時に及び着用時のサイド接合部8の剥がれを効果的に防止することができる。また、7列以下とすることで、サイド接合部8のシール領域の幅が広くなりにくくなって、引き裂き時の力が分散しにくく、サイド接合部の引き裂きがより容易となる。
【0143】
また、例えば、上述の実施形態では、各シール部Sが同大同形の矩形状である例をあげたが、各シール部Sは形状や大きさが異なってもよい。また、上述の実施形態では、縦方向Xにおけるシール部Sの間隔を等間隔としたが、異なってもよい。
このような場合、サイド接合部8において、最も低いシール面積率を100%とした場合に、最も高いシール面積率が150%以下となるように、複数のシール部Sが分布するように構成することで、ウエスト端部からレッグ端部まで同じ力で引き裂きやすい。
【0144】
本発明に係るパンツ型吸収性物品は、乳幼児用の使い捨ておむつでなくてもよく、例えば、大人用や子供用の使い捨ておむつであってもよい。更に、本発明に係るパンツ型吸収性物品は、下半身に着用するタイプの吸収性物品であれば、使い捨ておむつでなくてもよい。このようなパンツ型吸収性物品としては、例えば、パンツ型の生理用ナプキンなどが挙げられる。
【0145】
本発明は以下の構成をとることもできる。
<1>
吸収性本体と、前記吸収性本体の非肌対向面側に配置され、縦方向の両側に位置する腹側領域及び背側領域を含み、複数の熱可塑性シートが積層されて構成された外装体と、前記外装体の前記腹側領域と前記背側領域とを前記縦方向と直交する横方向の側縁部において接合する一対のサイド接合部と、を備えるパンツ型吸収性物品であって、
前記一対のサイド接合部は、前記縦方向の両端部を構成するウエスト端部及びレッグ端部と、前記ウエスト端部から前記縦方向に25mm以内のウエスト領域と、前記縦方向及び前記横方向に沿って離間して配置された複数のシール部と、を有し、
前記一対のサイド接合部の少なくとも一方は、前記熱可塑性シート間において線状に設けられた接合強度低下剤を更に有し、
前記サイド接合部の前記ウエスト領域に配置される複数のシール部は、縦方向レッグ側に向かう成分と横方向内側に向かう成分を含む前記縦方向及び前記横方向に対して45°傾く仮想線を引いた際に、前記仮想線と重なる第1シール部と第2シール部とを含み、
前記第1シール部は前記ウエスト端部側からn(nは1以上の整数)行目に位置し、前記第2シール部はn+1行目に位置し、
前記第1シール部及び前記第2シール部の少なくとも一方は前記接合強度低下剤と重なる
パンツ型吸収性物品。
<2>
前記第1シール部及び前記第2シール部に対して、前記仮想線を前記ウエスト端部から前記レッグ端部に向かって平行移動して重ねた際、前記第1シール部は、前記仮想線が前記第1シール部及び前記第2シール部の両方に重なる間の前記仮想線が通る第1領域を有し、前記第2シール部は、前記仮想線が前記第1シール部及び前記第2シール部の両方に重なる間の前記仮想線が通る第2領域を有し、
前記接合強度低下剤は、前記第1領域及び前記第2領域の少なくとも一方と重なる
前記<1>に記載のパンツ型吸収性物品。
<3>
前記第1シール部及び前記第2シール部に対して、前記仮想線を前記ウエスト端部から前記レッグ端部に向かって平行移動して重ねた際、前記第1シール部は、前記第1領域と、前記仮想線が前記第1シール部のみに重なる間の前記仮想線が通る第3領域とを有し、
前記第3領域と前記接合強度低下剤とが重なる
前記<2>に記載のパンツ型吸収性物品。
<4>
前記第1シール部及び前記第2シール部に対して、前記仮想線を前記ウエスト端部から前記レッグ端部に向かって平行移動して重ねた際、前記第2シール部は、前記第2領域と、前記仮想線が前記第2シール部のみに重なる間の前記仮想線が通る第4領域とを有し、
前記第4領域と前記接合強度低下剤とが重なる
前記<2>又は<3>に記載のパンツ型吸収性物品。
<5>
前記第1シール部の縦方向ウエスト側端部と前記第2シール部の縦方向ウエスト側端部との前記縦方向の距離をD1とし、前記第1シール部の横方向内側端部と前記第2シール部の横方向内側端部との前記横方向の距離をD2としたときに、D1>D2であり、
前記第1シール部及び前記第2シール部に対して、前記仮想線を前記ウエスト端部から前記レッグ端部に向かって平行移動して重ねた際、前記第1シール部は、前記仮想線が前記第1シール部及び前記第2シール部の両方に重なる間の前記仮想線が通る第1領域と、前記仮想線が前記第1シール部のみに重なる間の前記仮想線が通る第3領域とを有し、
前記第3領域と前記接合強度低下剤とが重なる
前記<1>又は<2>に記載のパンツ型吸収性物品。
<6>
前記第1シール部の縦方向ウエスト側端部と前記第2シール部の縦方向ウエスト側端部との前記縦方向の距離をD1とし、前記第1シール部の横方向内側端部と前記第2シール部の横方向内側端部との前記横方向の距離をD2としたときに、D1<D2であり、
前記第1シール部及び前記第2シール部に対して、前記仮想線を前記ウエスト端部から前記レッグ端部に向かって平行移動して重ねた際、前記第2シール部は、前記仮想線が前記第1シール部及び前記第2シール部の両方に重なる間の前記仮想線が通る第2領域と、前記仮想線が前記第2シール部のみに重なる間の前記仮想線が通る第4領域とを有し、
前記第4領域と前記接合強度低下剤とが重なる
前記<1>又は<2>に記載のパンツ型吸収性物品。
<7>
前記接合強度低下剤は、ホットメルト接着剤を含む
前記<1>から<6>のいずれか1に記載のパンツ型吸収性物品。
<8>
前記複数の熱可塑性シートは、前記ウエスト領域において、前記外装体の肌対向面を構成する肌側シートと、それに隣接する隣接シートと、を含み、
前記接合強度低下剤は、前記肌側シートと前記隣接シートとの間に配置される
前記<1>から<7>のいずれか1に記載のパンツ型吸収性物品。
<9>
前記サイド接合部は、前記熱可塑性シートの積層数が互いに異なる領域を有し、
相対的に前記熱可塑性シートの積層数が少ない領域に位置するシール部の繊維の溶融度合いは、相対的に前記熱可塑性シートの積層数が多い領域に位置するシール部の繊維の溶融度合いよりも高い
前記<1>から<8>のいずれか1に記載のパンツ型吸収性物品。
<10>
前記サイド接合部は、前記ウエスト端部から前記レッグ端部に向かって順に前記熱可塑性シートの積層数が減少するように積層数が互いに異なる3つの領域を有する
前記<9>に記載のパンツ型吸収性物品。
<11>
前記サイド接合部は、
肌対向面を構成する第1肌側シートを含む6以上の前記熱可塑性シートが積層された第1積層領域と、
肌対向面を構成する第2肌側シートを含む、前記第1積層領域よりも少ない数の前記熱可塑性シートが積層された第2積層領域と、を有し、
前記第1肌側シートと、前記第2肌側シートとが、それぞれ、複数のエンボスを含むスパンボンド不織布で構成され、
前記第1肌側シートでは前記第2肌側シートよりも前記複数のエンボス部が占める面積率が高い
前記<1>から<10>のいずれか1に記載のパンツ型吸収性物品。
<12>
前記サイド接合部は、
肌対向面を構成する第1肌側シートを含む6以上の前記熱可塑性シートが積層された第1積層領域と、
肌対向面を構成する第2肌側シートを含む、前記第1積層領域よりも少ない数の前記熱可塑性シートが積層された第2積層領域と、を有し、
前記第1肌側シートの融点は、前記第2肌側シートの融点よりも高い
前記<1>から<11>のいずれか1に記載のパンツ型吸収性物品。
<13>
前記サイド接合部は、
肌対向面を構成する第1肌側シートを含む6以上の前記熱可塑性シートが積層された第1積層領域と、
肌対向面を構成する第2肌側シートを含む、前記第1積層部よりも少ない数の前記熱可塑性シートが積層された第2積層領域と、を有し、
前記第1肌側シートの坪量は、前記第2肌側シートの坪量よりも低い
前記<1>から<12>のいずれか1に記載のパンツ型吸収性物品。
【符号の説明】
【0146】
1…パンツ型吸収性物品(使い捨ておむつ、おむつ)
4…吸収性本体
5…外装体
5a…腹側領域
5b…背側領域
50…熱可塑性シート
8…サイド接合部
8a…ウエスト端部
8b…レッグ端部
9…接合強度低下剤
S…シール部
S1…第1シール部
S2…第2シール部
L、L1~L4…仮想線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21