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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024106616
(43)【公開日】2024-08-08
(54)【発明の名称】電力供給システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 9/04 20060101AFI20240801BHJP
   H02B 1/40 20060101ALI20240801BHJP
【FI】
H02J9/04
H02B1/40 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023010979
(22)【出願日】2023-01-27
(71)【出願人】
【識別番号】502139910
【氏名又は名称】株式会社クリーンベンチャー21
(74)【代理人】
【識別番号】100107478
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 薫
(74)【代理人】
【識別番号】100117972
【弁理士】
【氏名又は名称】河崎 眞一
(72)【発明者】
【氏名】室園 幹男
(72)【発明者】
【氏名】金森 洋一
(72)【発明者】
【氏名】高見 潤
(72)【発明者】
【氏名】中村 俊之
【テーマコード(参考)】
5G015
5G211
【Fターム(参考)】
5G015FA10
5G015JA21
5G015JA52
5G211AA05
5G211AA07
5G211DD13
5G211DD21
5G211DD36
5G211FF02
(57)【要約】
【課題】外部電力専用コンセントを設置するための業者による屋内配線工事を行なわなくとも、商用系統電源の停電時に、一般家庭やオフィスなどに設置した独立電源装置から、既存の屋内配線コンセントに接続された電気機器に電力を供給することが可能な電力供給システムを提供する。
【解決手段】独立電源装置と、独立電源装置と屋内配線のコンセントとの間に接続され、独立電源装置から前記屋内配線への給電を制御する独立電源制御装置と、屋内配線の分電盤に備えたメインブレーカの状態を検出する状態検出部を有し、状態検出部により前記メインブレーカが遮断状態であることを検知すると、独立電源制御装置に給電信号を送信する給電状態検出装置と、を備え、独立電源制御装置は、給電状態検出装置から送信された前記給電信号を受信すると、独立電源装置からコンセントを介して屋内配線への給電制御を開始する電力供給システムである。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
独立電源装置と、
前記独立電源装置と屋内配線のコンセントとの間に接続され、前記独立電源装置から前記屋内配線への給電を制御する独立電源制御装置と、
前記屋内配線の分電盤に備えたメインブレーカの状態を検出する状態検出部を有し、前記状態検出部により前記メインブレーカが遮断状態であることを検知すると、前記独立電源制御装置に給電信号を送信する給電状態検出装置と、
を備えて構成され、
前記独立電源制御装置は、前記給電状態検出装置から送信された前記給電信号を受信すると、前記独立電源装置から前記コンセントを介して前記屋内配線に給電する給電制御を開始することを特徴とする電力供給システム。
【請求項2】
独立電源装置と、
前記独立電源装置と屋内配線のコンセントとの間に接続され、前記独立電源装置から前記屋内配線への給電を制御する独立電源制御装置と、
前記屋内配線の分電盤に備えたメインブレーカの状態を検出する状態検出部を有し、前記状態検出部により前記メインブレーカが遮断状態であることを検知すると、前記独立電源制御装置に給電信号を送信する給電状態検出装置と、
を備えて構成され、
前記給電状態検出装置は、前記メインブレーカの近傍に設置され、前記メインブレーカの前記遮断状態を機械的に維持するロック機構を備え、
前記独立電源制御装置は、前記給電状態検出装置から送信された前記給電信号を受信すると、前記独立電源装置から前記コンセントを介して前記屋内配線に給電する給電制御を開始することを特徴とする電力供給システム。
【請求項3】
前記独立電源制御装置に備えた配線プラグに、前記コンセントと電気的に接続する金属端子を被覆する絶縁性のカバー体が設けられ、前記カバー体は、前記コンセントへの前記金属端子の非挿入状態で前記金属端子を被覆する被覆姿勢と、前記コンセントへの前記金属端子の挿入状態で前記金属端子を開放する開放姿勢との間で姿勢切替可能に構成されている請求項1または2記載の電力供給システム。
【請求項4】
前記独立電源制御装置に備えた配線プラグに、前記コンセントと電気的に接続する金属端子を前記コンセントに挿入した挿入状態で閉成するとともに、前記独立電源装置からの給電を許容し、前記金属端子を前記コンセントから引き抜いた離脱状態で開成し、前記独立電源装置からの給電を停止するスイッチ機構を備えている請求項1または2記載の電力供給システム。
【請求項5】
前記状態検出部は、前記メインブレーカの状態を検出するアクチュエータを備えて構成され、前記アクチュエータは手動操作可能に構成されている請求項1記載の電力供給システム。
【請求項6】
前記給電状態検出装置の前記メインブレーカの近傍への設置状態を検出する設置状態検出部を備え、
前記設置状態検出部により前記給電状態検出装置の設置状態が異常であることが検出されると、前記給電信号を停止する請求項2記載の電力供給システム。
【請求項7】
前記給電状態検出装置に、前記給電信号の送信中と前記給電信号の停止中の何れかを目視確認可能な表示部を備えている請求項1または2記載の電力供給システム。
【請求項8】
前記独立電源制御装置が前記コンセントに接続された状態で、前記給電状態検出装置から出力される前記給電信号が停止すると警告信号を出力する警告出力部を備えている請求項1または2記載の電力供給システム。
【請求項9】
前記給電状態検出装置にスマートメータと交信する通信部を備え、
前記給電状態検出装置は、前記通信部を介して前記スマートメータから系統電源の停電状態を検出すると、前記ロック機構を作動させて前記メインブレーカを遮断するとともに、前記給電信号を送信するように構成されている請求項2記載の電力供給システム。
【請求項10】
前記給電状態検出装置は、前記スマートメータから系統電源の停電状態からの復帰を検出すると、前記給電信号を停止するとともに、前記ロック機構を非作動状態に復帰させるように構成されている請求項9記載の電力供給システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商用系統電源の停電時に、安全を確保しながら独立電源装置を屋内配線のコンセントに接続することにより、屋内配線に接続される電気製品に電力を供給する電力供給システムに関する。
【背景技術】
【0002】
災害時などに商用系統電源が停電すると、屋内配線のコンセントを活用して独立電源装置などの充放電システムから電力を供給することで、商用系統電源の復旧まで家庭内の電気機器を使用することができる方法が提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、外部からの電力供給と、一般商用電源の分電盤からの電力供給とを受け、前記外部から供給された電力を電力消費機器に供給する複数の外部電力専用コンセントと、前記分電盤から供給された電力を前記電力消費機器に供給する複数の通常電力専用コンセントとを有する配電盤を備え、前記外部からの電力供給として、蓄電池からの電力供給と、電気自動車の車載バッテリーからの電力供給を含む配電システムが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3225898号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載された配電システムは、外部から供給された電力を電力消費機器に供給する複数の外部電力専用コンセントと、分電盤から供給された電力を電力消費機器に供給する複数の通常電力専用コンセントとを有する配電盤を備える必要があり、外部電力専用の屋内配線工事を電気工事事業者に依頼する必要があり設備コストや施工コストが嵩むという問題があった。
【0006】
また、通常電力専用コンセントに接続された電気機器などの電気負荷を外部電力専用のコンセントに接続し直す手間を要するという問題があり、一般家庭やオフィスなどに独立電源装置を設置して、商用系統電源の停電時に簡易に使用することが困難であるという問題点があった。
【0007】
本発明の目的は、上述した課題に鑑み、外部電力専用コンセントを設置するための業者による屋内配線工事を行なわなくとも、商用系統電源の停電時に、一般家庭やオフィスなどに設置した独立電源装置から、既存の屋内配線コンセントに接続された電気機器に電力を供給することが可能な電力供給システムを提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的を達成するため、本発明による電力供給システムの第一の特徴構成は、独立電源装置と、前記独立電源装置と屋内配線のコンセントとの間に接続され、前記独立電源装置から前記屋内配線への給電を制御する独立電源制御装置と、前記屋内配線の分電盤に備えたメインブレーカの状態を検出する状態検出部を有し、前記状態検出部により前記メインブレーカが遮断状態であることを検知すると、前記独立電源制御装置に給電信号を送信する給電状態検出装置と、を備えて構成され、前記独立電源制御装置は、前記給電状態検出装置から送信された前記給電信号を受信すると、前記独立電源装置から前記コンセントを介して前記屋内配線に給電する給電制御を開始する点にある。
【0009】
給電状態検出装置に備えた状態検出部により分電盤のメインブレーカが遮断されたことが検知されると、給電状態検出装置は独立電源制御装置に給電信号を送信する。給電信号を受けた独立電源制御装置は独立電源装置からの通電可能な状態とし、給電を開始すると、コンセントを介して屋内配線に給電され、屋内配線に接続されている電気機器に給電される。メインブレーカの遮断を条件に独立電源装置から屋内配線に給電されるので、仮に商用系統電源が復旧した場合でも、逆潮流などが生じることがない。
【0010】
同第二の特徴構成は、独立電源装置と、前記独立電源装置と屋内配線のコンセントとの間に接続され、前記独立電源装置から前記屋内配線への給電を制御する独立電源制御装置と、前記屋内配線の分電盤に備えたメインブレーカの状態を検出する状態検出部を有し、前記状態検出部により前記メインブレーカが遮断状態であることを検知すると、前記独立電源制御装置に給電信号を送信する給電状態検出装置と、を備えて構成され、前記給電状態検出装置は、前記メインブレーカの近傍に設置され、前記メインブレーカの前記遮断状態を機械的に維持するロック機構を備え、前記独立電源制御装置は、前記給電状態検出装置から送信された前記給電信号を受信すると、前記独立電源装置から前記コンセントを介して前記屋内配線に給電する給電制御を開始する点にある。
【0011】
給電状態検出装置に備えた状態検出部により分電盤のメインブレーカが遮断されたことが検知されると、給電状態検出装置は独立電源制御装置に給電信号を送信する。給電信号を受けた独立電源制御装置は独立電源装置からの通電可能な状態とし、給電を開始すると、コンセントを介して屋内配線に給電され、屋内配線に接続されている電気機器に給電される。給電状態検出装置は、メインブレーカの近傍に設置され、ロック機構によりメインブレーカの遮断状態が機械的に維持されるので、仮に商用系統電源が復旧した場合でも、逆潮流などが生じることがない。
【0012】
同第三の特徴構成は、上述した第一または第二の特徴構成に加えて、前記独立電源制御装置に備えた配線プラグに、前記コンセントと電気的に接続する金属端子を被覆する絶縁性のカバー体が設けられ、前記カバー体は、前記コンセントへの前記金属端子の非挿入状態で前記金属端子を被覆する被覆姿勢と、前記コンセントへの前記金属端子の挿入状態で前記金属端子を開放する開放姿勢との間で姿勢切替可能に構成されている点にある。
【0013】
独立電源制御装置に備えた配線プラグがコンセントに挿入されていない状態で独立電源装置から給電が開始されると、人が配線プラグに接触することで感電事故が発生する虞がある。しかし、配線プラグに備えた金属端子を被覆する絶縁性のカバー体が設けられ、カバー体が金属端子を被覆する被覆姿勢にあれば、感電事故は未然に防ぐことができる。そして、カバー体は、配線プラグに備えた金属端子をコンセントに挿入すると金属端子が開放姿勢となるので、配線プラグと屋内配線とが電気的に接触することになる。
【0014】
同第四の特徴構成は、上述した第一または第二の特徴構成に加えて、前記独立電源制御装置に備えた配線プラグに、前記コンセントと電気的に接続する金属端子を前記コンセントに挿入した挿入状態で閉成するとともに、前記独立電源装置からの給電を許容し、前記金属端子を前記コンセントから引き抜いた離脱状態で開成し、前記独立電源装置からの給電を停止するスイッチ機構を備えている点にある。
【0015】
独立電源制御装置に備えた配線プラグがコンセントに挿入されていない状態で独立電源装置から給電が開始されると、人が配線プラグに接触することで感電事故が発生する虞がある。しかし、配線プラグにスイッチ機構を備え、配線プラグに備えた金属端子がコンセントに挿入されていない離脱状態で開成し、金属端子をコンセントに挿入した挿入状態で閉成するようにスイッチ機構を作動させることにより、感電事故を未然に防ぐことができる。
【0016】
同第五の特徴構成は、上述した第一の特徴構成に加えて、前記状態検出部は、前記メインブレーカの状態を検出するアクチュエータを備えて構成され、前記アクチュエータは手動操作可能に構成されている点にある。
【0017】
メインブレーカの状態に応じて姿勢が変化するアクチュエータを備え、メインブレーカの遮断状態に対応する位置にアクチュエータを手動で操作することで、メインブレーカの遮断状態を検出することができる。
【0018】
同第六の特徴構成は、上述した第二の特徴構成に加えて、前記給電状態検出装置の前記メインブレーカの近傍への設置状態を検出する設置状態検出部を備え、前記設置状態検出部により前記給電状態検出装置の設置状態が異常であることが検出されると、前記給電信号を停止する点にある。
【0019】
給電状態検出装置がメインブレーカの近傍に設置されることにより、ロック機構が有効に機能するのであるが、給電状態検出装置の設置位置が変化する等、設置状態が異常になると、ロック機構の機能が無効化する虞がある。そのような場合でも、設置状態検出部を備えることにより、給電状態検出装置の設置状態が異常になると給電信号が停止する。
【0020】
同第七の特徴構成は、上述した第一または第二の特徴構成に加えて、前記給電状態検出装置に、前記給電信号の送信中と前記給電信号の停止中の何れかを目視確認可能な表示部を備えている点にある。
【0021】
給電状態検出装置に備えた表示部を目視することにより、給電信号の送信中であるか停止中であるか、すなわち独立電源装置からの給電中であるか否かが速やかに判断できる。
【0022】
同第八の特徴構成は、上述した第一または第二の特徴構成に加えて、前記独立電源制御装置が前記コンセントに接続された状態で、前記給電状態検出装置から出力される前記給電信号が停止すると警告信号を出力する警告出力部を備えている点にある。
【0023】
前記給電信号の停止は、状態検出部によりメインブレーカが遮断状態を解除できる、あるいは給電状態検出装置が正常でない可能性を示す。この状態を警告出力部から出力される警告信号により報知することができる。
【0024】
同第九の特徴構成は、上述した第二の特徴構成に加えて、前記給電状態検出装置にスマートメータと交信する通信部を備え、前記給電状態検出装置は、前記通信部を介して前記スマートメータから系統電源の停電状態を検出すると、前記ロック機構を作動させて前記メインブレーカを遮断するとともに、前記給電信号を送信するように構成されている点にある。
【0025】
スマートメータと更新可能な通信部を備えることにより、スマートメータからの信号を受けて系統電源の停電状態を検出することができる。その際に、ロック機構を作動させてメインブレーカを遮断した後に、独立電源制御装置に給電信号を送信することで、メインブレーカを自動で遮断して、独立電源装置からの給電を開始させることができる。
【0026】
同第十の特徴構成は、上述した第九の特徴構成に加えて、前記給電状態検出装置は、前記スマートメータから系統電源の停電状態からの復帰を検出すると、前記給電信号を停止するとともに、前記ロック機構を非作動状態に復帰させるように構成されている点にある。
【0027】
スマートメータからの信号を受けて系統電源の復旧を検出すると、給電信号を停止して、独立電源装置からの給電を停止させ、ロック機構を非作動状態に復帰させることで、メインブレーカを自動で復帰させることができる。
【発明の効果】
【0028】
以上説明した通り、本発明によれば、外部電力専用コンセントを設置するための屋内配線工事を行なわなくとも、商用の系統電源の停電時に、一般家庭やオフィスなどに設置した独立電源装置から、既存の屋内配線コンセントに接続された電気機器に電力を供給することが可能な電力供給システムを提供することができるようになった。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明による電力供給システムの機能ブロックを示す回路図である。
図2】(a)は給電状態検出装置の機能ブロックを示す回路図であり、(b)は給電状態検出装置の別実施形態を示す機能ブロックを示す回路図である。
図3】独立電源装置および独立電源制御装置の機能ブロックを示す回路図である。
図4】(a)は独立電源制御装置に備えた配線プラグを示し、金属端子がカバー体で被覆された状態の説明図であり、(b)は金属端子がコンセントに挿入され、カバー体から開放された状態の説明図である。
図5】(a)は独立電源制御装置に備えた配線プラグを示し、金属端子がコンセントに挿入されていないときに、スイッチの押圧部が端面から吐出してスイッチが開成された状態の説明図であり、(b)は金属端子がコンセントに挿入されたときに、スイッチの押圧部が端面に向けて沈み込みスイッチが閉成された状態の説明図である。
図6】給電状態検出装置の動作を示すフローチャートである。
図7】独立電源制御装置の動作を示すフローチャートである。
図8】別実施形態を示す給電状態検出装置の動作を示すフローチャートである。
図9】分電盤に給電状態検出装置が設置された状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下に、図面を参照しながら、本発明の実施の形態について説明する。
[第1の実施の形態]
図1には、本発明の第1の実施の形態に係る電力供給システムが示されている。
柱上変圧器で降圧された商用の系統電源GPSの低圧引き込み線が需要家の構内の分電盤DBに引き込まれ、分電盤DBに備えた主幹漏電遮断器であるメインブレーカMBに接続されている。メインブレーカMBの出力側に設けられる端子が一対の電圧線端子L1,L2及び中性線端子Nを備えた単相3線式の交流端子となる。
【0031】
一対の端子L1,NおよびL2,Nの其々がサーキットブレーカCB1,CB2を介して屋内配線され、其々の屋内配線にはコンセントOLT1,OLT2,・・・や照明器具LTなどが接続されている。
【0032】
分電盤DBに備えたメインブレーカMBの近傍に給電状態検出装置10が配置され、コンセントOLT1には、独立電源装置IPSが電気的に接続された独立電源制御装置20が配線プラグPLG1を介して接続される。独立電源装置IPSとして様々な型式の蓄電池を用いることができる。
【0033】
また、他のコンセントOLT2には、家庭内に配された電気機器LOAD1,LOAD2などが配線プラグPLG2,PLG3を介して接続される。
【0034】
図2(a)に示すように、給電状態検出装置10は、一次電池BATと一次電池BATで駆動される状態検出回路12と、表示部LEDなどを備えている。状態検出回路12には、Wi-Fiなどの無線通信可能な通信回路を備えている。なお、通信回路は状態検出回路12とは別に構成されていてもよい。
【0035】
給電状態検出装置10の筐体は、分電盤DBのカバー体の表面などメインブレーカMBの近傍位置に接着層を介して接着固定されている。給電状態検出装置10には、筐体がカバー体の表面などに接着固定された状態で、状態検出回路12に設けられているセットスイッチSETSW1が閉じ、一次電池BATから状態検出回路12への給電線が閉じれば通信可能な状態となっている。
【0036】
セットスイッチSETSW1は、筐体の接着面に向けて配置され、接着状態でオンし、離脱状態でオフする自己復帰式のスイッチで構成することができる。給電状態検出装置10がメインブレーカMBの近傍に設置された状態から離脱して、ロック機構11の状態が適切に検知できない状態になっても、状態検出回路12のセットスイッチSETSW1が開放されることで給電信号が停止される。
【0037】
符号11は、メインブレーカMBの遮断状態を手動でロックするロック機構11を示している。系統電源GPSが停電した状態で、居住者が手動でメインブレーカMBを遮断し、さらにロック機構11を作動させてメインブレーカMBの遮断状態をロックすると、ロック機構11の作動を検知するスイッチSW1が閉じ、一次電池BATから状態検出回路12への給電が開始される。
【0038】
給電状態検出装置10は、セットスイッチSETSW1が閉じられているという条件下で、スイッチSW1が閉じると、一次電池BATから給電される通信回路を介して独立電源制御装置20に対して給電信号を送信するように構成されている。さらに、給電状態検出装置10は、給電信号を送信すると同時にスイッチSW2を閉じて表示部LEDを点灯させる。
【0039】
ロック機構11として、手動操作可能な可動式の固定プレートや回転式の固定具などで構成すればよく、メインブレーカMBの揺動操作部を遮断状態から接続状態に切り替える操作を阻止可能な構造であればよい。手動操作によりロック機構11が作動するとスイッチSW1が閉じられて、一次電池BATから給電される通信回路が起動して給電信号が送信され、手動によりロック機構11が解除されるとスイッチSW1が開いて、一次電池BATから通信回路への給電が途絶えて給電信号が停止する。
【0040】
系統電源GPSが復帰すると、居住者が手動でロック機構11を解除してメインブレーカMBのロック状態を解除することで、スイッチSW1が開放され、状態検出回路12から出力されている給電信号が停止する。その後、メインブレーカMBを復帰操作することで、系統電源GPSからの電力が屋内配線に供給される。この状態では、給電状態検出装置10は停止しているので、一次電池BATが消耗することはない。
【0041】
図3に示すように、独立電源制御装置20は、給電制御回路22、電流トランスCTなどを備えている。
【0042】
給電制御回路22には、過電流検出回路、Wi-Fiなどの無線通信可能な通信回路を備えている。給電制御回路22に備えた通信回路により、給電状態検出装置10から送信された給電信号を受信すると、給電制御回路22は、独立電源装置IPSからの通電を開始する。
【0043】
過電流検出回路は、独立電源装置IPSから出力される交流電流を電流トランスCTで検出し、過電流が流れていることを検出すると、独立電源装置IPSからの交流電力の出力を、SW2を開くことで停止させる。なお、電流トランスCTとSW2に代えてブレーカー回路23(図3に破線で示されている、)を設けることでも同様の機能が実現できる。
図1から図3の符号ATNは無線通信のためのアンテナを示す。
【0044】
図4(a),(b)には、独立電源制御装置20の配線プラグPLG1が例示されている。独立電源制御装置20に備えた配線プラグPLG1には、コンセントOLT1と電気的に接続する一対の金属端子E1,E2を被覆する絶縁性のカバー体CVRが設けられ、カバー体CVRは、コンセントOLT1への金属端子E1,E2の非挿入状態で金属端子E1,E2を被覆する被覆姿勢(図4(a)参照。)と、コンセントOLT1への金属端子E1,E2の挿入状態で金属端子E1,E2を開放する開放姿勢(図4(b)参照。)との間で姿勢切替可能に構成されている。
【0045】
カバー体CVRは、配線プラグPLG1の本体部に収容される状態と突出する状態とに切替可能に本体部にバネ部材を介して取り付けられている。カバー体CVRは、は、コンセントOLT1から金属端子E1,E2を引き抜いた状態で、バネ部材による押圧力で被覆姿勢となり、コンセントOLT1に金属端子E1,E2を挿入する際に、コンセントOLT1の対向面にカバー体CVRが押圧されて、バネ部材による押圧力に抗して本体部に収容されるように構成されている。
【0046】
独立電源制御装置20に備えた配線プラグPLG1がコンセントOLT1に挿入されていない状態で独立電源装置IPSから給電が開始されると、人が配線プラグPLG1に接触することで感電事故が発生する虞がある。しかし、配線プラグPLG1に備えた金属端子E1,E2を被覆する絶縁性のカバー体CVRが設けられ、カバー体CVRが金属端子E1,E2を被覆する被覆姿勢にあれば、感電事故は未然に防ぐことができる。そして、カバー体CVRは、配線プラグPLG1に備えた金属端子E,EをコンセントOLT1に挿入すると金属端子E1,E2が開放姿勢となるので、配線プラグPLG1と屋内配線とが電気的に接触することになる。
【0047】
図5(a),(b)には、独立電源制御装置20の配線プラグPLG1の他の例が例示されている。独立電源制御装置20に備えた配線プラグPLG1に、コンセントOLT1と電気的に接続する金属端子E1,E2をコンセントOLT1に挿入した挿入状態で閉成するとともに、独立電源装置IPSからの給電を許容し、金属端子E1,E2をコンセントOLT1から引き抜いた離脱状態で開成し、独立電源装置IPSからの給電を停止するスイッチ機構SETSW2を備えている。
【0048】
スイッチ機構SETSW2の接点信号が給電制御回路22に入力され、接点がオフ、つまり、配線プラグPLG1が離脱状態であるときに、独立電源装置IPSからの交流電力の出力を停止させる。
なお、スイッチ機構SETSW2を金属端子E1,E2に接続される給電線の何れか一方に直列接続して、配線プラグPLG1が離脱状態であるときにスイッチ機構SETSW2がオフするように構成してもよい。
【0049】
図6には、給電状態検出装置10の動作手順が示されている。図中、破線で示すステップは人による操作である。図7には、独立電源制御装置20の動作手順が示されている。ステップSA6のロック確認スイッチは図2(a)に示すSW1であり、ステップSA8のセットスイッチは図2(a)に示すSETSW1である。また、ステップSB1のコンセント差込SWは図3のSETSW2であり、ステップSB2の給電信号は図3のアンテナATNを介して受信される給電信号である。
【0050】
[第2の実施の形態]
図2(b)には、第二の実施形態を示す給電状態検出装置10の回路図が示されている。給電状態検出装置10は、図1に示すコンセントOLT1,OLT2,・・・の何れかから給電されるように配線プラグが設けられている。
【0051】
給電状態検出装置10は、AC/DCコンバータ13、ロックレバー駆動機構14、状態検出回路12、表示部LEDなどを備えている。状態検出回路12には、Wi-Fiなどの無線通信可能な通信回路を備えている。
【0052】
通信回路は、独立電源制御装置20に備えた通信回路との間で無線通信するとともに、スマートメータ40との間でも通信可能に構成されている。
ロックレバー駆動機構14は、分電盤DBに備えたメインブレーカMBを遮断または復帰作動させるロックレバー14Aとロックレバー14Aを駆動するアクチュエータ14Bを備えている(図9参照)。アクチュエータ14Bとしてロックレバーを出退作動させるソレノイドコイルや、回転駆動させる電磁モータなどが採用可能である。
【0053】
状態検出回路12は、スマートメータ40を介して系統電源GPSの停電を検知すると、ロックレバー駆動機構14を介してメインブレーカMBを自動で遮断駆動させてその状態をロックし、その後に通信回路を介して独立電源制御装置20に対して給電信号を送信するように構成されている。さらに、給電状態検出装置10は、給電信号を送信すると同時にスイッチSW2を閉じて表示部LEDを点灯させる。
【0054】
スマートメータ40と常時交信するため、一次電池BATに代えて系統電源GPSの電力を用いる構成としている。なお、系統電源GPSの停電時に十分な電力を確保するために、AC/DCコンバータ13にはスーパーキャパシタなどを備えている。
【0055】
図9に示すように、分電盤DBのカバー体の表面のうち、メインブレーカMBの近傍位置に給電状態検出装置10の筐体が接着固定されている。
図8には、第二の実施形態の給電状態検出装置10の動作手順が示されている。
【0056】
以上、説明したように、本発明による電力供給システムは、独立電源装置と、独立電源装置と屋内配線のコンセントとの間に接続され、独立電源装置から屋内配線への給電を制御する独立電源制御装置と、屋内配線の分電盤に備えたメインブレーカの状態を検出する状態検出部を有し、状態検出部によりメインブレーカが遮断状態であることを検知すると、独立電源制御装置に給電信号を送信する給電状態検出装置と、を備えて構成され、独立電源制御装置は、給電状態検出装置から送信された給電信号を受信すると、独立電源装置からコンセントを介して屋内配線に給電する給電制御を開始することを特徴とする。
【0057】
また、本発明による電力供給システムは、独立電源装置と、独立電源装置と屋内配線のコンセントとの間に接続され、独立電源装置から前記屋内配線への給電を制御する独立電源制御装置と、屋内配線の分電盤に備えたメインブレーカの状態を検出する状態検出部を有し、状態検出部によりメインブレーカが遮断状態であることを検知すると、独立電源制御装置に給電信号を送信する給電状態検出装置と、を備えて構成され、給電状態検出装置は、メインブレーカの近傍に設置され、メインブレーカの前記遮断状態を機械的に維持するロック機構を備え、独立電源制御装置は、給電状態検出装置から送信された前記給電信号を受信すると、独立電源装置からコンセントを介して屋内配線への給電制御を開始することを特徴とする。
【0058】
独立電源制御装置に備えた配線プラグに、コンセントと電気的に接続する金属端子を被覆する絶縁性のカバー体が設けられ、カバー体は、コンセントへの金属端子の非挿入状態で金属端子を被覆する被覆姿勢と、コンセントへの金属端子の挿入状態で金属端子を開放する開放姿勢との間で姿勢切替可能に構成されていることが好ましい。
【0059】
独立電源制御装置に備えた配線プラグに、コンセントと電気的に接続する金属端子をコンセントに挿入した挿入状態で閉成するとともに、独立電源装置からの給電を許容し、金属端子をコンセントから引き抜いた離脱状態で開成し、独立電源装置からの給電を停止するスイッチ機構を備えていることが好ましい。
【0060】
状態検出部は、メインブレーカの状態を検出するアクチュエータを備えて構成され、アクチュエータは手動操作可能に構成されていることが好ましい。
【0061】
給電状態検出装置のメインブレーカの近傍への設置状態を検出する設置状態検出部を備え、設置状態検出部により給電状態検出装置の設置状態が異常であることが検出されると、給電信号を停止するように構成することが好ましい。
【0062】
給電状態検出装置に、給電信号の送信中と給電信号の停止中の何れかを目視確認可能な表示部を備えていることが好ましい。
【0063】
独立電源制御装置がコンセントに接続された状態で、給電状態検出装置から出力される給電信号が停止すると警告信号を出力する警告出力部を備えていることが好ましい。
【0064】
給電状態検出装置にスマートメータと交信する通信部を備え、給電状態検出装置は、通信部を介してスマートメータから系統電源の停電状態を検出すると、ロック機構を作動させてメインブレーカを遮断するとともに、給電信号を送信するように構成されていることが好ましい。
【0065】
給電状態検出装置は、スマートメータから系統電源の停電状態からの復帰を検出すると、給電信号を停止するとともに、ロック機構を非作動状態に復帰させるように構成されていることが好ましい。
【0066】
上述した実施形態は、本発明の一例であり、該記載により本発明の範囲が限定されるものではなく、各回路ブロックの具体的構成は、公知技術に基づいて適宜変更することができることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0067】
GPS:系統電源
DB:分電盤
MB:メインブレーカ
OLT1,OLT2:コンセント
PLG2,PLG3:配線プラグ
10:給電制御装置
BAT:一次電池
11:ロック機構
12:状態検出回路
13:AC/DCコンバータ
14:ロックレバー駆動機構
LED:表示部
20:独立電源制御装置
22:給電制御回路
CT:電流トランスCT
23:ブレーカー回路
IPS:独立電源装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9