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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024106630
(43)【公開日】2024-08-08
(54)【発明の名称】冷却器
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/473 20060101AFI20240801BHJP
   H05K 7/20 20060101ALI20240801BHJP
【FI】
H01L23/46 Z
H05K7/20 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023011000
(22)【出願日】2023-01-27
(71)【出願人】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003177
【氏名又は名称】弁理士法人旺知国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中村 修
(72)【発明者】
【氏名】中村 淳
(72)【発明者】
【氏名】讃岐 育孝
(72)【発明者】
【氏名】藤本 裕地
【テーマコード(参考)】
5E322
5F136
【Fターム(参考)】
5E322AA07
5E322AA10
5E322DA04
5E322DB06
5F136CB07
5F136CB08
5F136DA27
5F136FA02
5F136FA03
(57)【要約】
【課題】分流流路への冷媒の流入部、及び、分流流路からの冷媒の流出部のうち、少なくとも一方における圧力損失を、従来技術に比較して低減しながら、発熱体を安定的に冷却することを可能とする。
【解決手段】冷却器100は、第1軸に沿って冷媒が流通する第1幅の第1流路FP1と、第1軸に沿って冷媒が流通する第2幅の第2流路FP3と、第1軸に交差する第2軸に沿う複数の分流流路FP3が第1軸の方向に配列された第1面と、第1面の反対側の面であって被冷却体と熱交換する第2面とを含む第1部分とを備え、第1流路FP1は、第1面に対向する第1開口OPb1を有し、第2流路FP2は、第1面に対向する第2開口OPb2を有し、第2軸の方向における第1開口OPb1の幅と第1幅との組、及び、第2軸の方向における第2開口OPb2の幅と第2幅との組のうちの少なくとも一方は、互いに等しい。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1軸に沿って冷媒が流通する第1幅の第1流路と、
前記第1軸に沿って冷媒が流通する第2幅の第2流路と、
前記第1軸に交差する第2軸に沿う複数の分流流路が前記第1軸の方向に配列された第1面と、前記第1面の反対側の面であって被冷却体と熱交換する第2面とを含む第1部分とを備え、
前記第1流路は、前記第1面に対向する第1開口を有し、
前記第2流路は、前記第1面に対向する第2開口を有し、
前記第1流路から前記第1開口を介して前記複数の分流流路に冷媒が流入し、前記複数の分流流路から前記第2開口を介して前記第2流路に冷媒が流出し、
前記第2軸の方向における前記第1開口の幅と前記第1幅との組、及び、前記第2軸の方向における前記第2開口の幅と前記第2幅との組のうちの少なくとも一方は、互いに等しい、冷却器。
【請求項2】
前記第2軸の方向における前記第1開口の幅は、前記第1幅よりも小さく、前記第2軸の方向における前記第2開口の幅と前記第2幅とは、互いに等しい、請求項1に記載の冷却器。
【請求項3】
前記第2軸の方向における前記第1開口の幅と前記第1幅とは互いに等しく、前記第2軸の方向における前記第2開口の幅は、前記第2幅よりも小さい、請求項1に記載の冷却器。
【請求項4】
前記第2軸の方向における前記第1開口の幅と前記第1幅とは互いに等しく、前記第2軸の方向における前記第2開口の幅と前記第2幅とは互いに等しい、請求項1に記載の冷却器。
【請求項5】
前記第1流路において前記冷媒が流通する向きと、前記第2流路において前記冷媒が流通する向きとは、互いに逆である、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の冷却器。
【請求項6】
前記第1流路において前記冷媒が流通する向きと、前記第2流路において前記冷媒が流通する向きとは、同一である、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の冷却器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷却器に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば半導体パッケージなどの発熱体を備える電力変換装置には、通常、当該冷却体を冷媒で冷却する冷却器が搭載される。
【0003】
電力変換装置における発熱体の冷却に関し、例えば特許文献1は、複数の半導体パッケージのそれぞれを効率的に冷却するため、複数の半導体パッケージと、複数の多穴管と、当該複数の半導体パッケージのいずれかと、当該複数の多穴管のいずれかとの間に設けられる複数の接合部材と、を備える半導体装置を開示している。当該半導体装置においては、一例として、複数の半導体パッケージのうちの第1半導体パッケージは、第1放熱板と、第2放熱板と、を備える。複数の多穴管のうちの第1多穴管は、第1外側接合部材を介して、第1放熱板に接合する。第2放熱板には、第1内側接合部材が設けられる。第1外側部材は、第1内側部材よりも熱抵抗が低い。この結果、複数の半導体パッケージは均等に冷却される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2022-146511号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に係る技術において、ヘッダ部から、第1多穴管及び第2多穴管を含む分流流路に至る流路の途中で、流路に直交する方向の幅が狭くなっている。この結果、ヘッダ部から分流流路に冷媒が流入する場合、圧力損失が増大する。逆に分流流路からヘッダ部に冷媒が流出する場合も同様である。
【0006】
本発明は、分流流路への冷媒の流入部、及び、分流流路からの冷媒の流出部のうち、少なくとも一方における圧力損失を、従来技術に比較して低減しながら、発熱体を安定的に冷却することが可能な冷却器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の好適な態様に係る冷却器は、第1軸に沿って冷媒が流通する第1幅の第1流路と、前記第1軸に沿って冷媒が流通する第2幅の第2流路と、前記第1軸に交差する第2軸に沿う複数の分流流路が前記第1軸の方向に配列された第1面と、前記第1面の反対側の面であって被冷却体と熱交換する第2面とを含む第1部分とを備え、前記第1流路は、前記第1面に対向する第1開口を有し、前記第2流路は、前記第1面に対向する第2開口を有し、前記第1流路から前記第1開口を介して前記複数の分流流路に冷媒が流入し、前記複数の分流流路から前記第2開口を介して前記第2流路に冷媒が流出し、前記第2軸の方向における前記第1開口の幅と前記第1幅との組、及び、前記第2軸の方向における前記第2開口の幅と前記第2幅との組のうちの少なくとも一方は、互いに等しい、冷却器である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施形態に係る電力変換装置10の要部を模式的に示す斜視図。
図2】ヘッダ部140を説明するための説明図。
図3】ヘッダ部140を説明するための説明図。
図4】ヘッダ部140を説明するための説明図。
図5】本体部120を説明するための説明図。
図6】流入路FP1及び流出路FP2が有する開口の説明図。
図7】本体部120を説明するための説明図。
図8】本体部120を説明するための説明図。
図9】本体部120を説明するための説明図。
図10】本体部120を説明するための説明図。
図11】対比例に係る電力変換装置10Aの断面図。
図12】流入路FP1及び流出路FP2が有する開口の説明図。
図13】対比例に係る冷却器100Aと第1実施形態に係る冷却器100の各々における圧力損失と半導体モジュール200における最大温度を示すグラフ。
図14】電力変換装置10全体の概略的な内部構造の一例を示す斜視図。
図15】第2実施形態に係る電力変換装置10Bの断面図。
図16】流入路FP1及び流出路FP2が有する開口の説明図。
図17】対比例に係る冷却器100Aと第2実施形態に係る冷却器100Bの各々における圧力損失と半導体モジュール200における最大温度を示すグラフ。
図18】第2実施形態に係る冷却器100Bにおける開口OPb2の長さと、電力変換装置10Bにおける各属性値との関係を示すグラフ。
図19】第3実施形態に係る電力変換装置10Cの断面図。
図20】流入路FP1及び流出路FP2が有する開口の説明図。
図21】対比例に係る冷却器100Aと第3実施形態に係る冷却器100Cの各々における圧力損失と半導体モジュール200における最大温度を示すグラフ。
図22】第3実施形態に係る冷却器100Cにおける開口OPb1の長さと、電力変換装置10Cにおける各属性値との関係を示すグラフ。
図23】変形例における+Z方向から平面視した冷却器100Dの平面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明する。各図において、各部の寸法及び縮尺は、実際のものと適宜に異ならせてある。また、以下に述べる実施形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限られるものではない。
【0010】
1:第1実施形態
以下、本発明の実施形態を説明する。先ず、図1を参照しながら、第1実施形態に係る電力変換装置10の概要の一例について説明する。
【0011】
1-1:第1実施形態の構成
図1は、第1実施形態に係る電力変換装置10の要部を模式的に示す斜視図である。
【0012】
なお、以下では、説明の便宜上、互いに直交するX軸、Y軸及びZ軸を有する3軸の直交座標系を導入する。以下では、X軸の矢印の指す方向は+X方向と称され、+X方向の反対方向は-X方向と称される。Y軸の矢印の指す方向は+Y方向と称され、+Y方向の反対方向は-Y方向と称される。また、Z軸の矢印の指す方向は+Z方向と称され、+Z方向の反対方向は-Z方向と称される。以下では、+X方向及び-X方向を特に区別することなく、X方向と称し、+Y方向及び-Y方向を、特に区別することなく、Y方向と称する場合がある。また、+Z方向及び-Z方向を、特に区別することなく、Z方向と称する場合がある。
【0013】
Y軸は「第1軸」の一例であり、+Y方向及び-Y方向の各々は、「第1軸の方向」の一例である。X軸は「第2軸」の一例であり、+X方向及び-X方向の各々は、「第2軸の方向」の一例であり、Z軸は「第3軸」の一例であり、+Z方向及び-Z方向の各々は、「第3軸の方向」の一例である。また、以下では、特定の方向から対象物をみることを、平面視と称する場合がある。
【0014】
電力変換装置10としては、例えば、インバータ及びコンバータ等の任意のパワー半導体装置を採用することができる。本実施形態では、電力変換装置10として、電力変換装置10に入力される直流電力を、U相、V相及びW相の3相の交流電力に変換するパワー半導体装置を想定する。
【0015】
例えば、電力変換装置10は、直流電力を交流電力に変換する3つの半導体モジュール200u、200v及び200wと、半導体モジュール200u、200v及び200wを冷却する冷却器100とを有する。半導体モジュール200u、200v及び200wは、「発熱体」の一例である。
【0016】
半導体モジュール200u、200v及び200wの各々は、例えば、スイッチング素子等のパワー半導体素子を含むパワー半導体チップを樹脂ケースに収容したパワー半導体モジュールである。スイッチング素子としては、例えば、パワーMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)及びIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)等が該当する。
【0017】
半導体モジュール200uは、例えば、入力端子202u及び204uと、出力端子206uと、複数の制御端子208uとを有する。例えば、半導体モジュール200uは、入力端子202u及び204uに入力される直流電力を3相の交流電力のうちのU相の交流電力に変換し、U相の交流電力を出力端子206uから出力する。例えば、入力端子202uの電位は、入力端子204uの電位よりも高い。具体的には、直流電力にはP相とN相とがあり、例えば、入力端子202uにP相の電力が入力され、入力端子204uにN相の電力が入力される。また、複数の制御端子208uには、半導体モジュール200uが有するスイッチング素子等の動作を制御するための制御信号が入力される。
【0018】
半導体モジュール200v及び200wの各々は、3相の交流電力のうちのV相又はW相の交流電力を出力することを除いて、半導体モジュール200uと同様である。例えば、半導体モジュール200vは、入力端子202v及び204vと出力端子206vと複数の制御端子208vとを有し、V相の交流電力を出力端子206vから出力する。また、例えば、半導体モジュール200wは、入力端子202w及び204wと出力端子206wと複数の制御端子208wとを有し、W相の交流電力を出力端子206wから出力する。
【0019】
以下では、半導体モジュール200u、200v及び200wを、半導体モジュール200と総称する場合がある。また、入力端子202u、202v及び202wを入力端子202と総称し、入力端子204u、204v及び204wを入力端子204と総称し、出力端子206u、206v及び206wを出力端子206と総称する場合がある。
【0020】
冷却器100は、Y方向に延在する本体部120と、本体部120に冷媒を供給する供給管160と、本体部120から冷媒を排出する排出管162と、供給管160及び排出管162と本体部120とを接続するヘッダ部140とを有する。なお、図1の破線の矢印は、冷媒の流れの一例を示す。本実施形態では、冷媒が水等の液体である場合を想定する。
【0021】
図1では、本体部120の概要を説明する。本体部120の詳細については、後述の図5図10において説明される。また、ヘッダ部140については、後述の図2図4において説明される。
【0022】
本体部120は、例えば、Y方向に延在する直方体に形成された中空の構造体である。例えば、本体部120は、Y方向に延在し、一端から冷媒が流入する流入路FP1と、Y方向に延在し、一端から冷媒を流出させる流出路FP2と、複数の分流流路FP3とを有する。なお、流入路FP1及び流出路FP2の各々の他端(+Y方向の端部)は、外壁122eにより画定される。流入路FP1は、「第1流路」の一例である。流出路FP2は、「第2流路」の一例である。
【0023】
また、本体部120は、半導体モジュール200が配置される外壁122aを有する。外壁122aは、半導体モジュール200が配置される外面OFa、及び、外面OFaとは反対側の内面IFaを含む。内面IFaは、複数の分流流路FP3の壁面の一部である。なお、内面IFaは、「第1面」の一例である。外面OFaは、「第2面」の一例である。
【0024】
複数の分流流路FP3は、Y方向に配列され、かつ、Y方向に交差するX方向に延在する。複数の分流流路FP3の各々の一端及び他端は、外壁122c及び122dによりそれぞれ画定される。また、例えば、本体部120は、Y方向に配列され、かつ、X方向に延在する複数の隔壁124cを有する。複数の分流流路FP3のうちの互いに隣接する2つの分流流路FP3は、当該2つの分流流路FP3の間に位置する隔壁124cにより、互いに仕切られる。当該複数の分流流路FP3と、外壁122aとを備える部分は、「第1部分」の一例である。
【0025】
なお、図1では、冷媒の流れを分かり易くするために、複数の隔壁124cは、外壁122aから離して記載されているが、本実施形態では、図8図10に示されるように、複数の隔壁124cが外壁122aと一体に形成される場合を想定する。なお、隔壁124cの数は複数に限定されない。例えば、分流流路FP3の数が2つの場合、隔壁124cの数は1つでもよい。
【0026】
また、複数の分流流路FP3は、外面OFaに垂直なZ方向において、流入路FP1及び流出路FP2と、外壁122aとの間に位置する。そして、複数の分流流路FP3の各々は、流入路FP1と流出路FP2とをX方向に連通する。
【0027】
冷却器100は、外壁122aの内面IFaを壁面の一部とする複数の分流流路FP3を流れる冷媒により、外壁122aの外面OFaに配置された半導体モジュール200を冷却する。例えば、半導体モジュール200に発生した熱は、外壁122aを介して冷媒に放熱される。
【0028】
ここで、本体部120は、熱伝導性に優れる材料で形成される。本体部120の具体的な構成材料としては、例えば、銅、アルミニウム又はこれらのいずれかの合金等の金属が挙げられる。また、ヘッダ部140、供給管160及び排出管162は、例えば、本体部120と同一材料で形成される。すなわち、ヘッダ部140、供給管160及び排出管162の具体的な構成材料としては、例えば、銅、アルミニウム又はこれらのいずれかの合金等の金属が挙げられる。なお、ヘッダ部140、供給管160及び排出管162の一部又は全部は、本体部120と異なる材料で形成されてもよい。
【0029】
なお、本体部120の形状は、Y方向に延在する直方体に限定されない。例えば、-Y方向からの平面視における本体部120の形状は、曲線を有する形状でもよい。すなわち、外壁122c及び122dは、湾曲していてもよい。
【0030】
次に、図2図4を参照しながら、ヘッダ部140について説明する。
【0031】
図2図4は、図1に示されたヘッダ部140を説明するための説明図である。なお、図2は、+Z方向から平面視した冷却器100及び半導体モジュール200の平面図である。図3は、-Y方向から平面視した冷却器100及び半導体モジュール200の平面図である。また、図4は、図2におけるA1-A2線に沿う冷却器100の断面図である。なお、図2図4では、図を見やすくするために、入力端子202u等の符号の記載が省略されている。図5以降の図においても、入力端子202u等の符号の記載は適宜省略される。
【0032】
ヘッダ部140は、例えば、図1に示される流入路FP1と連通する開口Li、及び流出路FP2と連通する開口Loを有する。また、ヘッダ部140は、図3に示される供給口Hi及び排出口Hoを有する。ヘッダ部140は、中空の直方体である。
【0033】
供給口Hi及び排出口Hoは、図3に示されるように、X-Z平面に略平行な外壁142eに形成された貫通孔である。なお、「略平行」等は、誤差を含む概念である。例えば、「略平行」とは、設計上平行であればよい。外壁142eには、供給管160及び排出管162が接続される。例えば、供給管160は、供給管160内の流路が供給口Hiと連通するように、外壁142eに接続され、排出管162は、排出管162内の流路が排出口Hoと連通するように、外壁142eに接続される。
【0034】
また、図4に示されるように、ヘッダ部140は、外壁142eの他に、X-Y平面に略平行な外壁142a及び142bと、Y-Z平面に略平行な外壁142c及び142dと、X-Z平面に略平行な外壁142f及び142gとを有する。更に、ヘッダ部140は、Y-Z平面に略平行な隔壁144を有する。
【0035】
外壁142f及び142gは、例えば、外壁142eから+Y方向に離れて配置され、本体部120の外壁122c及び122dにそれぞれ接続される。そして、供給口Hiから流入路FP1までの流路と、流出路FP2から排出口Hoまでの流路とを仕切る隔壁144が、X方向において本体部120の外壁122c及び122d間に配置される。例えば、隔壁144は、外壁142a及び142bと、本体部120の複数の隔壁124cのうち最もヘッダ部140に近い隔壁124cと、図5において後述する本体部120の隔壁124bとに接続される。
【0036】
なお、ヘッダ部140の形状は、図2図4に示される形状に限定されない。例えば、-Y方向からの平面視におけるヘッダ部140の形状は、曲線を有する形状でもよい。すなわち、外壁142c及び142dは、湾曲していてもよい。
【0037】
次に、図5図10を参照しながら、本体部120について説明する。
【0038】
図5は、図1に示された本体部120を説明するための説明図である。なお、図5は、図2に示されたB1-B2線に沿う電力変換装置10の断面図である。図の破線の矢印は、冷媒の流れを示す。また、半導体モジュール200の断面図では、半導体モジュール200に含まれるスイッチング素子等の要素の記載が省略されている。図6以降に示される半導体モジュール200の断面図においても、半導体モジュール200に含まれるスイッチング素子等の要素の記載が省略される。
【0039】
本体部120は、図1において説明された外壁122a、122b、122c、122d及び122eと隔壁124cとの他に、隔壁124bを有する。以下では、外壁122a、122b、122c、122d及び122eを、外壁122と総称する場合がある。
【0040】
隔壁124bは、外壁122cと外壁122dとの間に配置され、外壁122bに接続される。例えば、隔壁124bの面SFb1は、隔壁124bの面のうち、外壁122cの内面IFcに対向する面であり、外壁122cの内面IFcと略平行である。また、隔壁124bの面SFb2は、隔壁124bの面のうち、外壁122dの内面IFdに対向する面であり、外壁122dの内面IFdと略平行である。
【0041】
外壁122cと外壁122dとの間に配置された隔壁124bは、流入路FP1と流出路FP2とを仕切る。例えば、隔壁124bの面SFb1、及び、外壁122bの内面IFb1は、流入路FP1の壁面の一部である。また、隔壁124bの面SFb2、及び、外壁122bの内面IFb2は、流出路FP2の壁面の一部である。また、外壁122bの内面IFb1は、外壁122bの内面IFbのうち、隔壁124bよりも+X方向の部分であり、外壁122bの内面IFb2は、外壁122bの内面IFbのうち、隔壁124bよりも-X方向の部分である。
【0042】
隔壁124cは、外壁122aの内面IFaに略垂直な壁であり、X方向に延在する。例えば、隔壁124cは、隔壁124bと外壁122aとの間に配置される。隔壁124cは、外壁122aと一体に構成されることが好適である。更に、隔壁124cは、外壁122c、外壁122d、及び隔壁124bに接触する。複数の分流流路FP3の各々は、例えば、複数の隔壁124cのうちの互いに隣接する2個の隔壁124cの間に形成される。また、外壁122aの内面IFaは、複数の分流流路FP3の壁面の一部である。図5に示されるように、複数の分流流路FP3の各々は、一端で流入路FP1に連通し、他端で流出路FP2に連通する。
【0043】
図5において、流入路FP1は、開口OPb1を有する。開口OPb1は、Y方向に長尺な直方体状の流入路FP1における上面を構成する領域である。流入路FP1において、開口OPb1は、内面IFaに対向する。開口OPb1の幅W1は、X方向における開口OPb1の寸法である。具体的には、当該幅W1は、隔壁124bにおける面SFb1の端部E1と外壁122cの内面IFcとの間の距離である。また、流入路FP1の幅w1は、流入路FP1のX方向の横幅である。具体的には、当該幅w1は、隔壁124bの面SFb1と外壁122cの内面IFcとの間の距離である。本実施形態において、開口OPb1の幅W1と、流入路FP1の幅w1とは、互いに等しい。なお、開口OPb1は「第1開口」の一例である。流入路FP1の幅w1は「第1幅」の一例である。
【0044】
同様に図5において、流出路FP2は、開口OPb2を有する。開口OPb2は、Y方向に長尺な直方体状の流出路FP2における上面を構成する領域である。流出路FP2において、開口OPb2は、内面IFaに対向する。開口OPb2の幅W2は、X方向における開口OPb2の寸法である。具体的には、当該幅W2は、隔壁124bにおける面SFb2の端部E2と外壁122dの内面IFdとの間の距離である。また、流出路FP2の幅w2は、流出路FP2のX方向の横幅である。具体的には、当該幅w2は、隔壁124bの面SFb2と外壁122dの内面IFdとの間の距離である。本実施形態において、開口OPb2の幅W2と、流出路FP2の幅w2とは等しい。図5に示される例においては、開口OPb1の幅W1と、開口OPb2の幅W2とは等しい。従って、流入路FP1の幅w1と、流出路FP2の幅w2とも等しい。なお、開口OPb2は「第2開口」の一例である。流出路FP2の幅w2は「第2幅」の一例である。
【0045】
図6は、流入路FP1及び流出路FP2が有する開口の説明図である。図6は、図5に示されたC1-C2線に沿う冷却器100の断面図の例である。図6に示される例において、流入路FP1及び流出路FP2は、Y方向に延伸する。また、流入路FP1のX方向の横幅はW1である。及び流出路FP2のX方向の横幅は、W2である。
【0046】
流入路FP1は、図6に示される断面において、開口OPb1を有する。開口OPb1は、複数の隔壁124cのうちの最も-Y方向に位置する隔壁124cと、外壁122cと、外壁122eと、隔壁124bとによって画定される。図6に示される例において、開口OPb1は、略長方形である。また、開口OPb1のX方向の幅は、W1である。開口OPb1のX方向の幅W1は、流入路FP1のX方向の幅w1と等しい。
【0047】
同様に、流出路FP2は、図6に示される断面において、開口OPb2を有する。開口OPb2は、複数の隔壁124cのうちの最も-Y方向に位置する隔壁124cと、外壁122dと、外壁122eと、隔壁124bとによって画定される。図6に示される例において、開口OPb2は、略長方形である。また、開口OPb2のX方向の幅は、W2である。開口OPb2のX方向の幅W2は、流出路FP2のX方向の幅w2と等しい。
【0048】
図5及び図6の破線の矢印は、冷媒の流れを示す。図5及び図6において、冷媒は、流入路FP1から開口OPb1を介して、複数の分流流路FP3に流入する。また、当該冷媒は、複数の分流流路FP3から開口OPb2を介して、流出路FP2に流出する。本実施形態では、典型的には図1に示されるように、複数の分流流路FP3の壁面の一部である内面IFaを含む外壁122aの外面OFaに半導体モジュール200が配置される。これにより、例えば、半導体モジュール200で発生した熱は、半導体モジュール200の表面のうちの外壁122aの外面OFaに対向する面から複数の分流流路FP3内の冷媒に伝達される。所謂、片面冷却により、半導体モジュール200が冷却される。図5では、特に図示していないが、半導体モジュール200と外壁122aの外面OFaとの間には、熱伝導性のグリス、熱伝導性の接着剤、熱伝導性のシート及びはんだ等のTIM(Thermal Interface Material)が介在してもよい。
【0049】
また、本実施形態では、複数の分流流路FP3がZ方向において流入路FP1及び流出路FP2と外壁122aとの間に位置するため、半導体モジュール200の端子(例えば、入力端子202、204及び出力端子206等)のZ方向に空間を確保することができる。例えば、流入路FP1及び流出路FP2は、複数の分流流路FP3を仕切る隔壁124cよりも-Z方向に位置する。これにより、本実施形態では、複数の分流流路FP3の各々の一端を画定する外壁122cの内面IFcを流入路FP1の壁面の一部とし、複数の分流流路FP3の各々の他端を画定する外壁122dの内面IFdを流出路FP2の壁面の一部とすることができる。この場合、半導体モジュール200の端子のZ方向に空間が確保されるため、半導体モジュール200の端子に配線等を容易に接続することができる。
【0050】
図7図10は、図1に示された本体部120を説明するための別の説明図である。なお、図7の平面図は、+Z方向から平面視した冷却器100の平面図である。また、図8のD1-D2断面図は、図7の平面図におけるD1-D2線に沿う冷却器100の断面図である。図9のE1-E2断面図は、図7の平面図におけるE1-E2線に沿う冷却器100の断面図である。図10のF1-F2断面図は、図7の平面図におけるF1-F2線に沿う冷却器100の断面図である。図の破線の矢印は、冷媒の流れを示す。
【0051】
供給管160から流入路FP1に流入した冷媒は、複数の分流流路FP3のいずれかに流入する。そして、複数の分流流路FP3に流入した冷媒と半導体モジュール200との間で熱交換が行われる。また、複数の分流流路FP3に流入した冷媒は、流出路FP2に流れる。そして、流出路FP2に流入した冷媒は、排出管162から排出される。このように、本実施形態では、流入路FP1から複数の分流流路FP3に流入する新鮮な冷媒により、半導体モジュール200を冷却することができる。新鮮な冷媒とは、例えば、半導体モジュール200との熱交換が行われる前の冷媒、又は、半導体モジュール200との熱交換が行われる前の冷媒とほぼ同じ温度の冷媒等である。
【0052】
また、本実施形態では、図8図10に示されるように、複数の隔壁124cは、外壁122aと一体に形成される。例えば、外壁122a及び複数の隔壁124cが互いに一体に形成された構造物と冷媒との接触面積は、複数の隔壁124cが接続されていない場合の外壁122aと冷媒との接触面積よりも大きい。このため、本実施形態では、半導体モジュール200から外壁122aを介して冷媒に熱を伝達させる場合の熱伝達の効率を向上させることができる。
【0053】
図8図10では、外壁122eのうち、外壁122aと一体に形成される部分は、外壁122eaとも称され、外壁122eのうち、外壁122ea以外の部分は、外壁122ebとも称される。
【0054】
なお、複数の隔壁124c等の製造方法は、特に限定されない。例えば、複数の隔壁124cは、外壁122aと一体に形成されてもよく、外壁122aと一体に形成されなくてもよい。あるいは、外壁122aとは別に形成された複数の隔壁124cが、外壁122aに接続されてもよい。
【0055】
次に、電力変換装置10と対比される形態(以下、対比例とも称する)について、図11及び図12を参照しながら、説明する。
【0056】
図11は、対比例としての電力変換装置10Aの断面図である。より詳細には、図11は、図5に示される電力変換装置10の断面図の比較対象としての、電力変換装置10Aの断面図である。また、図12は、対比例における流入路FP1及び流出路FP2が有する開口の説明図である。図12は、図11に示されたC1-C2線に沿う冷却器100Aの断面図の例である。
【0057】
本体部120Aは、図5における外壁122a、122b、122c、122d及び122eと、隔壁124b及び124cとの他に、隔壁124aを有する。
【0058】
隔壁124aは、外壁122a及び122b間における、隔壁124bの端部に配置される。すなわち、隔壁124aは、外壁122aから-Z方向に間隔を空けて配置される。本対比例では、隔壁124aが、外壁122aと略平行である場合を想定する。例えば、隔壁124aの面のうち、外壁122aの内面IFaに対向する面SFa1は、外壁122aの内面IFaと略平行である。なお、隔壁124aの面SFa1は、外壁122aの内面IFaと平行でなくてもよい。例えば、隔壁124aの面SFa1は、面SFa1の+X方向の縁部が外壁122aから遠ざかるように、傾斜していてもよい。
【0059】
外壁122a及び122b間に配置された隔壁124aは、流入路FP1と複数の分流流路FP3とを仕切り、かつ、流出路FP2と複数の分流流路FP3とを仕切る。なお、隔壁124aの+X方向の縁部と外壁122cの内面IFcとの間には、流入路FP1と複数の分流流路FP3とを連通する空間が確保されている。同様に、隔壁124aの-X方向の縁部と外壁122dの内面IFdとの間には、流出路FP2と複数の分流流路FP3とを連通する空間が確保されている。
【0060】
図11に示される対比例において、流入路FP1は、第1実施形態と同様に開口OPb1を有する。開口OPb1の幅W1は、隔壁124aにおける面SFa1の+X方向の端部E1と外壁122cの内面IFcとの間の距離である。流入路FP1の横幅w1は、隔壁124bの面SFb1と外壁122cの内面IFcとの間の距離である。本対比例において、開口OPb1の幅W1は、流入路FP1の横幅w1よりも小さい。
【0061】
また、流出路FP2は、第1実施形態と同様に開口OPb2を有する。開口OPb2の幅W2は、隔壁124aにおける面SFa1の-X方向の端部E2と外壁122dの内面IFdとの間の距離である。流出路FP2の横幅w2は、隔壁124bの面SFb2と外壁122dの内面IFdとの間の距離である。本対比例において、開口OPb2の幅W2は、流出路FP2の横幅w2よりも小さい。
【0062】
図13は、対比例に係る冷却器100Aと第1実施形態に係る冷却器100との各々における圧力損失と半導体モジュール200での最大温度を示すグラフである。対比例に係る冷却器100Aにおいては、冷媒が、流入路FP1から開口OPb1を通って分流流路FP3に流入する場合、及び、分流流路FP3から開口OPb2を通って流出路FP2に流出する場合に、圧力損失が増大する。圧力損失の増大は、冷媒の流路面積が急激に変化することに起因する。具体的には、冷媒が流入路FP1から開口OPb1を通過する過程、及び、冷媒が各分流流路FP3から開口OPb2を通過する過程において、流路面積は急激に変化する。また、圧力損失の増大は、冷媒の方向が急激に変化することにも起因する。具体的には、冷媒が流入路FP1から各分流流路FP3に流入する過程、及び、冷媒が各分流流路FP3から流出路FP2に流入する過程において、冷媒の方向が急激に変化する。
【0063】
一方で、第1実施形態に係る冷却器100においては、対比例に係る冷却器100Aに比較して、X軸の方向における開口OPb1及び開口OPb2の幅が拡大されている。この結果、対比例に係る冷却器100Aに備わる本体部120A全体での圧力損失が7.4kPaであるところ、冷却器100に備わる本体部120全体での圧力損失は、4.6kPaに減少している。圧力損失の減少率は38%となり、大幅な改善効果が認められる。とりわけ、分流流路FP3における圧力損失が大幅に低減する。一方で、半導体モジュール200の最高温度は、110.8℃から112.5℃に上昇し、幾分の冷却効率の低下が認められるものの、大幅な悪化は見られない。換言すれば、対比例に係る電力変換装置10Aの冷却効率に比較して、第1実施形態に係る電力変換装置10の冷却効率は、比較的維持されていると言える。
【0064】
次に、図14を参照しながら、電力変換装置10全体の概略的な内部構造について説明する。
【0065】
図14は、電力変換装置10全体の概略的な内部構造の一例を示す斜視図である。
【0066】
電力変換装置10は、図1等に示された冷却器100及び半導体モジュール200の他に、コンデンサ300、制御基板400、筐体500、入力コネクタ520及び出力コネクタ540等を有する。コンデンサ300は、半導体モジュール200の入力端子202及び204間に印加される直流電圧を平滑化する。制御基板400には、半導体モジュール200を制御する制御回路等が設けられる。筐体500は、冷却器100、半導体モジュール200、コンデンサ300及び制御基板400等の電力変換装置10の内部部品を収納する。また、筐体500には、入力コネクタ520及び出力コネクタ540が設けられている。例えば、図示されない直流電源から入力コネクタ520を介して、半導体モジュール200の入力端子202及び204間に直流電圧が印加される。また、例えば、U相、V相及びW相の3相の交流電力が半導体モジュール200の出力端子206から出力コネクタ540を介して、図示されない外部装置(例えば、モータ)に出力される。
【0067】
なお、電力変換装置10の構成は、図12に示される例に限定されない。例えば、本実施形態では、半導体モジュール200が片面から冷却されるため、冷却器100のZ方向の大きさを小さくすることができる。このため、本実施形態では、半導体モジュール200の+Z方向に他の部材等を配置する空間が確保される。例えば、制御基板400は、+Z方向からの平面視において、一部が半導体モジュール200に重なるように配置されてもよい。この場合、電力変換装置10のZ方向の大きさが大きくなることを抑制しつつ、電力変換装置10のX方向の大きさを小さくすることができる。
【0068】
1-2:第1実施形態が奏する効果
以上、本実施形態では、電力変換装置10は、冷却器100を有する。冷却器100は、Y軸に沿って冷媒が流通する流入路FP1と、Y軸に沿って冷媒が流通する流出路FP2と、を備える。流入路FP1の幅はw1である。流出路FP2の幅はw2である。また、冷却器100は、X軸に沿う複数の分流流路FP3がY軸の方向に配列された内面IFaと、内面IFaの反対側の面であって被冷却体と熱交換する外面OFaとを含む第1部分とを備える。流入路FP1は、内面IFaに対向する開口OPb1を有する。流出路FP2は、内面IFaに対向する開口OPb2を有する。流入路FP1から開口OPb1を介して複数の分流流路FP3に冷媒が流入する。複数の分流流路FP3から開口OPb2を介して流出路FP2に冷媒が流出する。X軸の方向における開口OPb1のW1と流入路FP1の幅w1とは、互いに等しい。また、X軸の方向における開口OPb2の幅W2と流出路FP2の幅w2とは、互いに等しい。
【0069】
冷却器100は、上記の構成を備えるので、分流流路FP3への流入部、及び分流流路FP3からの流出部の双方における圧力損失を、従来技術に比較して低減しながら、発熱体としての被冷却体を安定的に冷却することが可能となる。
【0070】
また、流入路FP1において冷媒が流通する向きと、流出路FP2において冷媒が流通する向きとは、互いに逆である。
【0071】
冷却器100は、上記の構成を備えるので、供給管160及び排出管162を、冷却器100の同じ側に配置できる。供給管160と排出管162とが冷却器100の同じ側に位置することにより、双方の管を同一のヘッダ部140に接続できる。この結果、冷却器100の構成は単純化される。
【0072】
2:第2実施形態
以下、図15図18を参照しながら、第2実施形態に係る電力変換装置10Bの概要の一例について説明する。なお以下では、説明の簡略化のため、第2実施形態に係る電力変換装置10Bに備わる構成要素のうち、第1実施形態に係る電力変換装置10及び対比例に係る電力変換装置10Aと同一の構成要素については、同一の符号を用いると共にその機能の説明を省略することがある。また、以下では主として、第2実施形態に係る電力変換装置10Bが、第1実施形態に係る電力変換装置10及び対比例に係る電力変換装置10Aと相違する点について説明する。
【0073】
2-1:第2実施形態の構成
図15は、第2実施形態に係る電力変換装置10Bの断面図である。より詳細には、図15は、図5に示される電力変換装置10の断面図、及び図11に示される電力変換装置10Aの断面図の双方に対応する断面図である。また、図16は、第2実施形態における流入路FP1及び流出路FP2が有する開口の説明図である。図16は、図15に示されたC1-C2線に沿う冷却器100Bの断面図の例である。
【0074】
冷却器100Bに備わる本体部120Bは、図11に示される本体部120Aと同様に、外壁122a、122b、122c、122d及び122eと、隔壁124b及び124cとの他に、隔壁124aを有する。
【0075】
しかし、本体部120Bにおいて、隔壁124aは、隔壁124bから+X方向に延伸する一方で、-X方向には延伸しない。この結果、本体部120Bにおいて、隔壁124aは、流入路FP1と複数の分流流路FP3とを仕切る一方で、流出路FP2と複数の分流流路FP3とは仕切らない。
【0076】
図15において、流入路FP1は、第1実施形態と同様に開口OPb1を有する。開口OPb1の幅W1は、隔壁124aにおける面SFa1の+X方向の端部E1と外壁122cの内面IFcとの間の距離である。流入路FP1の横幅w1は、隔壁124bの面SFb1と外壁122cの内面IFcとの間の距離である。本実施形態において、開口OPb1の幅W1は、流入路FP1の横幅w1よりも小さい。
【0077】
また、流出路FP2は、第1実施形態と同様に開口OPb2を有する。開口OPb2の幅W2は、隔壁124aにおける面SFa1の-X方向の端部E2と外壁122dの内面IFdとの間の距離である。流出路FP2の横幅w2は、隔壁124bの面SFb2と外壁122dの内面IFdとの間の距離である。本実施形態において、開口OPb2の幅W2と、流出路FP2の横幅w2とは、互いに等しい。
【0078】
図17は、対比例に係る冷却器100Aと第2実施形態に係る冷却器100Bとの各々における圧力損失と半導体モジュール200の最大温度を示すグラフである。第2実施形態に係る冷却器100Bにおいては、対比例に係る冷却器100Aに比較して、X軸の方向における開口OPb2の幅が拡大されている。この結果、対比例に係る冷却器100Aに備わる本体部120A全体での圧力損失が7.4kPaであるところ、冷却器100Bに備わる本体部120B全体での圧力損失は、6.2kPaに減少している。圧力損失の減少率は16%となり、大幅な改善効果が認められる。とりわけ、分流流路FP3における圧力損失が大幅に低減する。また、半導体モジュール200の最高温度は、110.8℃から110.2℃に低下した。
【0079】
第2実施形態に係る冷却器100Bは、第1実施形態に係る冷却器100とは異なり、X軸の方向における開口OPb1及び開口OPb2の幅のうち、開口OPb2の幅しか拡大されていない。このため、冷却器100Bは、冷却器100に比較して、対比例からの圧力損失の減少率は抑えられている。しかし、開口OPb1の幅が拡大されていないため、対比例と同様に、流入路FP1から開口OPb1を通って分流流路FP3に流入する冷媒の流れの断面積が急に縮小する。この結果、冷媒の流速が速くなることによって、第1実施形態に係る冷却器100に比較して、冷却効率が高くなっている。
【0080】
図18は、第2実施形態に係る冷却器100Bにおける開口OPb2の長さと、電力変換装置10Bにおける各属性値との関係を示すグラフである。より具体的には、図18は、開口OPb2の長さと、分流流路FP3における圧力損失、半導体モジュール200の最大温度、及び半導体モジュール200内での温度のばらつきとの関係を示すグラフである。図18に示されるように、開口OPb2の長さが長いほど、分流流路FP3における圧力損失は低下する。また、開口OPb2の長さが長いほど、半導体モジュール200の最大温度は、やや低下する。更に、開口OPb2の長さが長いほど、半導体モジュール200内での温度のばらつきは低減される。
【0081】
2-2:第2実施形態が奏する効果
本実施形態に係る冷却器100Bにおいて、X軸の方向における開口OPb1の幅W1は、流入路FP1の幅w1よりも小さい。また、X軸の方向における開口OPb2の幅W2と流出路FP2の幅w2とは、互いに等しい。
【0082】
冷却器100Bは、上記の構成を備えるので、分流流路FP3からの流出部における圧力損失を、従来技術に比較して低減しながら、発熱体としての被冷却体を安定的に冷却することが可能となる。
【0083】
3:第3実施形態
以下、図19図22を参照しながら、第3実施形態に係る電力変換装置10Cの概要の一例について説明する。なお以下では、説明の簡略化のため、第3実施形態に係る電力変換装置10Cに備わる構成要素のうち、第1実施形態に係る電力変換装置10及び対比例に係る電力変換装置10Aと同一の構成要素については、同一の符号を用いると共にその機能の説明を省略することがある。また、以下では主として、第3実施形態に係る電力変換装置10Cが、第1実施形態に係る電力変換装置10及び対比例に係る電力変換装置10Aと相違する点について説明する。
【0084】
3-1:第3実施形態の構成
図19は、第3実施形態に係る電力変換装置10Cの断面図である。より詳細には、図19は、図5に示される電力変換装置10の断面図、及び図11に示される電力変換装置10Aの断面図の双方に対応する断面図である。また、図20は、第3実施形態における流入路FP1及び流出路FP2が有する開口の説明図である。図20は、図19に示されたC1-C2線に沿う冷却器100Cの断面図の例である。
【0085】
冷却器100Cに備わる本体部120Cは、図11に示される本体部120Aと同様に、外壁122a、122b、122c、122d及び122eと、隔壁124b及び124cとの他に、隔壁124aを有する。
【0086】
しかし、本体部120Cにおいて、隔壁124aは、隔壁124bから-X方向に延伸する一方で、+X方向には延伸しない。この結果、本体部120Cにおいて、隔壁124aは、流出路FP2と複数の分流流路FP3とを仕切る一方で、流入路FP1と複数の分流流路FP3とは仕切らない。
【0087】
図19において、流入路FP1は、第1実施形態と同様に開口OPb1を有する。開口OPb1の幅W1は、隔壁124aにおける面SFa1の+X方向の端部E1と外壁122cの内面IFcとの間の距離である。流入路FP1の横幅w1は、隔壁124bの面SFb1と外壁122cの内面IFcとの間の距離である。本実施形態において、開口OPb1の幅W1と、流入路FP1の横幅w1とは、互いに等しい。
【0088】
また、流出路FP2は、第1実施形態と同様に開口OPb2を有する。開口OPb2の幅W2は、隔壁124aにおける面SFa1の-X方向の端部E2と外壁122dの内面IFdとの間の距離である。流出路FP2の横幅w2は、隔壁124bの面SFb2と外壁122dの内面IFdとの間の距離である。本実施形態において、開口OPb2の幅W2は、流出路FP2の横幅w2よりも小さい。
【0089】
図21は、対比例に係る冷却器100Aと第3実施形態に係る冷却器100Cとの各々における圧力損失と半導体モジュール200の最大温度を示すグラフである。第3実施形態に係る冷却器100Cにおいては、対比例に係る冷却器100Aに比較して、X軸の方向における開口OPb1の幅が拡大されている。この結果、対比例に係る冷却器100Aに備わる本体部120A全体での圧力損失が7.4kPaであるところ、冷却器100Cに備わる本体部120C全体での圧力損失は、6.2kPaに減少している。圧力損失の減少率は16%となり、大幅な改善効果が認められる。とりわけ、分流流路FP3における圧力損失が大幅に低減する。一方で、半導体モジュール200の最高温度は、110.8℃から113.0℃に上昇し、幾分の冷却効率の低下が認められるものの、大幅な悪化は見られない。換言すれば、対比例に係る電力変換装置10Aの冷却効率に比較して、第3実施形態に係る電力変換装置10Cの冷却効率は、比較的維持されていると言える。
【0090】
図22は、第3実施形態に係る冷却器100Cにおける開口OPb1の長さと、電力変換装置10Cにおける各属性値との関係を示すグラフである。より具体的には、図22は、開口OPb1の長さと、分流流路FP3における圧力損失、半導体モジュール200の最大温度、及び半導体モジュール200内での温度のばらつきとの関係を示すグラフである。図18に示されるように、開口OPb1の長さが長いほど、分流流路FP3における圧力損失は低下する。また、開口OPb1の長さが長いほど、半導体モジュール200の最大温度は、やや上昇する。更に、開口OPb1の長さが長いほど、半導体モジュール200内での温度のばらつきは、やや増加する。
【0091】
3-2:第3実施形態が奏する効果
本実施形態に係る冷却器100Bにおいて、X軸の方向における開口OPb1の幅W1と、流入路FP1の幅w1とは互いに等しい。また、X軸の方向における開口OPb2の幅W2は、流出路FP2の幅w2よりも小さい。
【0092】
冷却器100Cは、上記の構成を備えるので、分流流路FP3への流入部における圧力損失を、従来技術に比較して低減しながら、発熱体としての被冷却体を安定的に冷却することが可能となる。
【0093】
開口OPb1の幅W1と流入路FP1の幅w1との組(以下「第1組」という)と、開口OPb2の幅W2と流出路FP2の幅w2との組(以下「第2組」という)とに着目する。第1実施形態は、第1組に係る各幅(W1,w1)と第2組に係る各幅(W2,w2)との双方が互いに等しい形態である。第2実施形態は、第2組に係る各幅が互いに等しく、第1組に係る各幅は相違する形態である。第3実施形態は、第1組に係る各幅が違いに等しく、第2組に係る各幅は相違する形態である。以上の例示から理解される通り、第1実施形態から第3実施形態は、第1組及び第2組の少なくとも一方が互いに等しい形態として包括的に表現される。
【0094】
4:変形例
本開示は、以上に例示した実施形態に限定されない。具体的な変形の態様を以下に例示する。以下の例示から任意に選択された2以上の態様を併合してもよい。
【0095】
上記の実施形態において、第1流路としての流入路FP1において冷媒が流通する向きと、第2流路としての流出路FP2において冷媒が流通する向きとは、互いに逆であった。このため、供給管160と排出管162とが冷却器100の同じ側に位置していた。しかし、第1流路としての流入路FP1において冷媒が流通する向きと、第2流路としての流出路FP2において冷媒が流通する向きとは、同一であってもよい。
【0096】
図23は、本変形例における+Z方向から平面視した冷却器100Dの平面図である。冷却器100Dは、2つのヘッダ部140A及び140Bを備える。ヘッダ部140Aは、本体部120に対して-Y方向側に接続される。一方、ヘッダ部140Bは、本体部120に対して、+Y方向側に接続される。ヘッダ部140Aは、例えば、流入路FP1と連通する開口、及び供給口Hiを有する中空の直方体である。ヘッダ部140Bは、例えば、流出路FP2と連通する開口、及び排出口Hoを有する中空の直方体である。供給管160は、供給管160内の流路が供給口Hiと連通するように、ヘッダ部140Aに接続される。排出管162は、排出管162内の流路が排出口Hoと連通するように、ヘッダ部140Bに接続される。供給管160に流入した冷媒は、流入路FP1を+Y方向に流れた後、開口OPb1を介して、複数の分流流路FP3に流入する。また、当該冷媒は、複数の分流流路FP3から開口OPb2を介して、流出路FP2に流出する。流出路FP2を+Y方向に流れた冷媒は、排出管162から排出される。
【0097】
本変形例においては、流入路FP1と流出路FP2における冷媒が流れる向きが同一となることにより、流入路FP1に流入した冷媒が、分流流路FP3でUターンして、流出路FP2に流出する構成に比較して、複数の分流流路FP3の各々に流入する冷媒の量が均一化されやすい。
【符号の説明】
【0098】
10,10A,10B,10C…電力変換装置、100,100A,100B,100C,100D…冷却器、120,120A,120B,120C…本体部、122,122a,122b,122c,122d,122e,122ea,122eb…外壁、124a,124b,124c…隔壁、140,140A,140B…ヘッダ部、142a,142c,142e,142f…外壁、144…隔壁、160…供給管、162…排出管、200,200u,200v,200w…半導体モジュール、202,202u,202v,202w,204,204u…入力端子、206,206u,206v,206w…出力端子、208u,208v,208w…制御端子、300…コンデンサ、400…制御基板、500…筐体、520…入力コネクタ、540…出力コネクタ、FP1…流入路、FP2…流出路、FP3…分流流路
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