(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024106632
(43)【公開日】2024-08-08
(54)【発明の名称】洗濯機
(51)【国際特許分類】
D06F 35/00 20060101AFI20240801BHJP
【FI】
D06F35/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023011002
(22)【出願日】2023-01-27
(71)【出願人】
【識別番号】512128645
【氏名又は名称】青島海爾洗衣机有限公司
【氏名又は名称原語表記】QINGDAO HAIER WASHING MACHINE CO.,LTD.
(71)【出願人】
【識別番号】307036856
【氏名又は名称】アクア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(74)【代理人】
【識別番号】100135356
【弁理士】
【氏名又は名称】若林 邦彦
(74)【代理人】
【識別番号】100169694
【弁理士】
【氏名又は名称】荻野 彰広
(72)【発明者】
【氏名】今西 佑太
(72)【発明者】
【氏名】三觜 紳平
【テーマコード(参考)】
3B168
【Fターム(参考)】
3B168AA15
3B168AE01
3B168AE02
3B168AE07
3B168BA42
3B168BA82
3B168FA13
3B168WA06
3B168WA12
(57)【要約】
【課題】洗浄ボールを効果的に使用する洗濯機を提供する。
【解決手段】外槽4と内槽5と排水機構44、11と複数個の洗浄ボール10とを有する洗濯機1である。排水口44の上方を覆うように、かつ、外槽4の内底面との間に洗浄ボール10が通過可能な隙間を空けて庇部21を設ける。庇部21は、洗浄ボール10の飛び出しを防止する。洗浄ボール10は、外槽4の水が排水された状態では貯留室11に収容される。外槽4に水が溜められると、浮力によって排水口44とカバー板20の隙間から外槽4内へ浮き上がる。
【選択図】
図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
底を有する円筒形状で、水を溜めるための外槽と、
前記外槽内に回転可能に設けられ、前記外槽よりも直径の小さな円筒形状で、洗濯物を収容するための内槽と、
前記外槽の底に設けられた水を排水するための排水機構と、
前記外槽の内周面及び前記内槽の外周面を洗浄するための複数個の洗浄ボールと、を有する洗濯機であって、
前記排水機構は、
前記外槽の内底面に開口した排水口と、
前記排水口の下方に接続して設けられ、所定の内容積を有する貯留室と、
を含み、
前記排水口の上方を覆うように、かつ、前記外槽の内底面との間に前記洗浄ボールが通過可能な隙間を空けて設けられ、前記貯留室に収容された前記洗浄ボールが前記排水口から前記外槽内へ飛び出すのを防止する庇部を備える、
洗濯機。
【請求項2】
前記外槽の内底面は、中央を中心に一方向に内底面の高さが変化するように勾配がつけられ、かつ、内底面の高さが高い位置と高さが低い位置との境界部には段差が形成されており、
前記排水口は、前記段差に隣接する内底面の高さが最も低い位置に開口しており、
前記庇部の前記段差に対向する側には、前記庇部の上面から上方へ立ち上がったガード柵が備えられている、
請求項1に記載の洗濯機。
【請求項3】
前記庇部は、その上面が前記内底面の勾配と逆方向にわずかに傾斜している、請求項2に記載の洗濯機。
【請求項4】
前記洗浄ボールは、比重が1未満の弾性材料で形成された楕円体を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の洗濯機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、洗濯機に関し、特に洗浄ボールを備えた縦型洗濯機に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1~3には、それぞれ、洗浄粒子又は洗浄顆粒と称される洗浄ボールを備えた洗濯機が開示されている。
【0003】
特許文献1~3に記載の発明では、洗濯運転中は、洗浄粒子又は洗浄顆粒が外槽と内槽との間の洗濯水中を漂い、洗濯水の流動によって外槽の内周面及び内槽の外周面に衝突し続けることで、外槽の内周面及び内槽の外周面を浄化する。
【0004】
また、洗濯運転が終わり、洗濯水が排水されると、洗浄粒子又は洗浄顆粒は、排水装置に備えられた粒子収納チャンバに納められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第6103045号公報
【特許文献2】特許第6210351号公報
【特許文献3】特許第6544602号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1及び2に記載の洗濯機において、脱水運転時等の洗濯機に振動が生じる場合、振動によって収納チャンバから洗浄粒子又は洗浄顆粒が外槽内へ飛び出すことがあった。
【0007】
この点に関し、特許文献3には、排水口部分に遮断カバーが設けられ、遮断カバーが洗濯機内の水位の変化に伴って上昇または下降することが記載されている。これにより、洗濯機内の水位の低下に伴って遮断カバーが下降し、脱水運転時等に振動が生じても、収容空洞から洗浄顆粒が外槽内へ飛び出すことが防止される。しかし、洗濯機内の水位の低下に伴って遮断カバーが下降する構造では、洗濯機内の水位が下がり切る前に、洗浄顆粒が通過できない程度まで遮断カバーが下降してしまい、全ての洗浄顆粒が収容空洞に収容されないことが考えられる。
【0008】
本開示は、かかる背景のもとでなされたもので、外槽に溜まった水を排水する際に、外槽内に存在する洗浄ボールを残さずに排水口から貯留室へと回収でき、洗濯機に振動等が生じても、貯留室から排水口を通って外槽内へ洗浄ボールが飛び出すことのない洗濯機を提供することを1つの目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)本開示に係る洗濯機は、底を有する円筒形状で、水を溜めるための外槽と、前記外槽内に回転可能に設けられ、前記外槽よりも直径の小さな円筒形状で、洗濯物を収容するための内槽と、前記外槽の底に設けられた水を排水するための排水機構と、前記外槽の内周面及び前記内槽の外周面を洗浄するための複数個の洗浄ボールと、を有する洗濯機であって、前記排水機構は、前記外槽の内底面に開口した排水口と、前記排水口の下方に接続して設けられ、所定の内容積を有する貯留室とを含み、前記排水口の上方を覆うように、かつ、前記外槽の内底面との間に前記洗浄ボールが通過可能な隙間を空けて設けられ、前記貯留室に収容された前記洗浄ボールが前記排水口から前記外槽内へ飛び出すのを防止する庇部を備える。
【0010】
本開示によれば、外槽に溜まった水が排出される際に、水に浮遊する洗浄ボールは、排出される水と共に外槽内から排水口を通り貯留室へと流入し、貯留室内に収容される。このとき、本開示によれば、排水口の上方を覆うように、かつ、外槽の内底面との間に洗浄ボールが通過可能な隙間を空けて、庇部が設けられているので、水位が下がっても、外槽の内底面と庇部との間隔が維持され、洗浄ボールが排水口と庇部との隙間を通ることができる。そのため、洗浄ボールを残さずに排水口から貯留室へと回収することができる。
【0011】
洗浄ボールが貯留室へ収容されている状態で、洗濯機に脱水運転等によって振動が生じる場合、振動によって貯留室内の洗浄ボールが上方へ跳ね、排水口から外槽へ飛び出そうとすることがある。しかし、排水口の上方は庇部で覆われているから、上方へ跳ねた洗浄ボールは庇部の下面にぶつかって跳ね返され、貯留室内へ戻る。そのため、貯留室から外槽内へ洗浄ボールが飛び出すことを抑制することができる。
【0012】
また、外槽に水が供給されると、外槽に溜まる水の水位の上昇と共に、貯留室内の洗浄ボールは浮力によって浮き上がり、排水口と庇部との隙間を通って外槽内へ入る。
【0013】
このように、本開示によれば、外槽に水が溜まり、外槽内に洗浄ボールが必要な場合には、外槽に溜まった水の中に洗浄ボールを浮遊させ、外槽の水が排水されて外槽内の洗浄ボールを貯留室に収容した場合は、貯留室から洗浄ボールが外槽内へ飛び出さないようにできる。よって、洗浄ボールを効果的に使用することができる。
【0014】
(2)(1)に記載の洗濯機において、前記外槽の内底面は、中央を中心に一方向に内底面の高さが変化するように勾配がつけられ、かつ、内底面の高さが高い位置と高さが低い位置との境界部には段差が形成されており、前記排水口は、前記段差に隣接する内底面の高さが最も低い位置に開口しており、前記庇部の前記段差に対向する側には、前記庇部の上面から上方へ立ち上がったガード柵が備えられていてもよい。
【0015】
これによれば、外槽の内底面に勾配がつけられ、排水口は内底面の最も低い位置に開口している。よって、排水時には、排水口へ水がスムーズに流れ込むと共に、水に浮遊する洗浄ボールも水と共にスムーズに排水口から貯留室へと移動する。また、庇部には、庇部の上面から上方へ立ち上がったガード柵が備えられている。よって、排水時に庇部の上面に乗り上げた洗浄ボールは、ガード柵によって動きが止められ、庇部の上面を転がって庇部の上面から落下し、庇部と内底面との隙間から排水口へと転がり落ちる。よって、排水口の近傍で洗浄ボールが溜まることを抑制することができ、洗浄ボールを残さずに排水口から貯留室へと回収することができる。
【0016】
(3)(2)に記載の洗濯機において、前記庇部は、その上面が前記内底面の勾配と逆方向にわずかに傾斜していてもよい。
【0017】
これによれば、上記のガード柵によって動きが止められた洗浄ボールが、傾斜に沿って庇部の上面を転がり落ち易くすることができる。
【0018】
(4)(1)から(3)のいずれか一項に記載の洗濯機において、前記洗浄ボールは、比重が1未満の弾性材料で形成された楕円体を含んでいてもよい。
【0019】
これによれば、洗浄ボールが弾性の楕円体であれば、水流に応じて動く洗浄ボールの動きがランダムになって洗浄作用が高くなる。
【発明の効果】
【0020】
本開示によれば、洗浄ボールを備えた洗濯機において、外槽に溜まった水を排水する際に、外槽内に存在する洗浄ボールを残さずに排水口から貯留室へと回収でき、洗濯機に振動等が生じても、貯留室から排水口を通って外槽内へ洗浄ボールが飛び出すことを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本開示の一実施形態に係る洗濯機の外観形状を示す斜視図である。
【
図2】本開示の一実施形態に係る洗濯機の中央縦断面側面図である。
【
図3】
図2に示す断面図の枠IIIで囲った部分の拡大断面図である。
【
図4】
図2に示す断面図の枠IVで囲った部分の拡大断面図である。
【
図5】
図4に示す断面構造を後方側から見た断面図である。
【
図6】本開示の一実施形態に係る外槽底部材の平面図である。
【
図8】本開示の一実施形態に係る外槽底部材の平面図である。
【
図10】本開示の一実施形態に係る外槽の底部を示す部分斜視図である。
【
図11】カバー板、より具体的には庇部および櫛状リブ(ガード柵)の一例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下では、図面を参照して、本開示の実施形態について具体的に説明する。
【0023】
図1は、本開示の一実施形態に係る洗濯機1の外観形状を示す斜視図である。また、
図2は、洗濯機1の中央縦断面側面図である。
図1、2において、矢印Xは、洗濯機1の前後方向(F,B)を示し、矢印Yは洗濯機1の左右方向(L,R)を示している。なお、
図3~
図10においても、矢印X、Yは前述と同じ意味の表示である。
【0024】
図1、2を参照して、洗濯機1は、外郭をなす縦長直方体状の筺体2を有する。筺体2の上面は、前方に向かって緩やかに下向き傾斜しており、外蓋3で覆われている。
【0025】
筺体2内には、外槽4及び内槽5が設けられている。外槽4は、平面視が円形で、周縁に立ち上がり部41を有する底部材42と、立ち上がり部41に接続された円筒状の側壁部材43とを含み、その中に水を溜めることができる。
【0026】
内槽5は、外槽4よりも直径が一回り小さい円筒状の側壁部材51と、側壁部材51の底部開口に設けられた回転翼52とを含む。内槽5の側壁部材51には、外槽4内に溜められた水を内槽5内に行き来させるための通水孔53が多数形成されていてもよい。なお、通水孔53は、水を通過させるが、後述する洗浄ボール10は通過させないし、挟まったりもしない。つまり、通水孔53は、洗浄ボール10の大きさに比べ、十分に小さな狭い孔とされている。
【0027】
内槽5の側壁部材51の内面には、糸くずフィルターユニット54が設けられていてもよい。糸くずフィルターユニット54は、外槽4と内槽5との間の水が背面側(内槽5の外側面側)から糸くずフィルターユニット54内へ進入し、水に含まれるリント等を濾過して内槽5内へ臨んでいる糸くずフィルターユニット54の正面側から内槽5内へ水を循環させるものである。
【0028】
また、内槽5の側壁部材51の内面には、シャワー部材55が設けられていてもよい。シャワー部材55は、下方に形成された入口56から内槽5内の水を取り込んで上方へ導き、上方に形成された出口57から内槽5内に収容された洗濯物(図示せず)に上から水を浴びせ掛けるものである。シャワー部材55の入口56からの水の取り込みは、内槽5が回転されて水に遠心力が加わることにより実現される。
【0029】
筺体2内において、外槽4の底部材42の下には、駆動部6が設けられている。駆動部6は、内槽5及び内槽5に設けられた回転翼52を回転させるトルクを発生する電動のモータ7と、モータ7が発生したトルクの伝達先を切り替える伝達機構8とを含む。伝達機構8は、同芯状に二重になった支軸9を含む。支軸9は、外槽4の底部材42の中央部を液密的に上下方向に貫通しており、その上端は、内槽5及び回転翼52に取り付けられている。モータ7の発生するトルクの伝達先を切り替えることにより、垂直方向に延びる回転軸線Sを中心に、内槽5及び回転翼52を一緒に一方方向に回転させたり、回転翼52だけを一方方向及び/又は他方方向に回転又は反転回転させたりできる。
【0030】
図3は、
図2に示す洗濯機1における断面図の枠IIIで囲った部分の拡大断面図である。
図3では、外槽4に所定量の水(洗濯水)が溜められた状態とされ、水面Wが示されている。外槽4に水が溜められた状態では、複数個の洗浄ボール10は外槽4と内槽5の外周面との間に溜まった水の中を漂う。そして、洗濯時に内槽5が回転され、遠心力により溜まった水に水流が生じると、洗浄ボール10は外槽4の内周面及び内槽5の外周面に衝突しつつ水流と共に動く。洗浄ボール10が外槽4の内周面及び内槽5の外周面に衝突すると、衝突した部分の水垢や洗剤滓等の汚れが落とされる。係る仕組みにより、外槽4の内周面及び内槽5の外周面が、自動的に洗浄される。
【0031】
なお、洗浄ボール10は、一例として20個程度が用いられ、外槽4の内周面と内槽5の外周面との間の隙間を浮遊し、内槽5の中へは入り込まないようにされている。
図4は、
図2に示す洗濯機1の断面図における枠IVで囲った部分の拡大断面図である。また、
図5は、
図4に示す断面構造を後方B側から見た断面図である。
【0032】
図4及び
図5を参照して、外槽4の底を形成する底部材42の後方寄りの内底面には排水口44が形成されている。内底面には、一例として2段のステップ(段差)45、46が形成され、最も低い内底面に排水口44が開口している。排水口44は内底面から下方へ突出する円筒部材47の内周面によって、その内径が設定されている。
【0033】
排水口44の下方には、貯留室11が接続されている。また、貯留室11の左方向Lには、排水路12が接続されている。貯留室11及び排水路12は、一例として、樹脂部材により一体的に成型されていてもよい。貯留室11は、円筒部材47の外周面に嵌合された接続部111を備え、その下方に所定の内容積の貯留室11を有している。貯留室11は、
図4及び
図5に黒太矢印Aで示すように水と共に流入する洗浄ボール10を全て収容できる内容積とされている。
【0034】
貯留室11と排水路12との境界部の流出口には、洗浄ボール10の通過を阻止するための阻止部材13が設けられている。また、貯留室11と排水路12との境界部の流出口には、流出口を閉じたり、開いたりする排水バルブ14が設けられている。排水バルブ14は、排水路12側から流出口を塞ぐバルブ15を有する。
図5において、バルブ15が右方向Rに変位することで流出口が塞がれ、左方向Lに変位することで流出口が開かれる。排水バルブ14の左右方向LRの変位は、一例として、トルクモータにより行われる。
上述した排水口44、貯留室11、排水路12、阻止部材13および排水バルブ14は、排水機構48を構成する。
【0035】
図6は、洗濯機1に備えられた外槽4の底部材42の平面図である。
図7は、
図6のVII-VIIに沿う底部材42の断面図である。
【0036】
底部材42の後方寄りの内底面には排水口44が形成されている。底部材42の内底面の中央には、支軸9(
図2を参照)が挿通される穴16が形成されている。そして、内底面は、穴16を中心に、一例として時計回りに内底面の高さが変化するように勾配がつけられている。より具体的には、排水口44に隣接する角度位置A1から穴16を中心に時計回りに内底面はその高さが徐々に低くされている。角度位置A1は、内底面の高さが高い位置と高さが低い位置との境界部であり、半径方向に延びる。その結果、角度位置A1において、内底面には、半径方向に延びる段差17が形成されている。排水口44は、内底面における最も高さの低い位置に形成されている。
【0037】
内底面における排水口44の周囲には、一例として2段のステップ(段差)45、46が形成され、最も低い内底面に排水口44が開口している。また、上段のステップ45の平面には、一例として3つのねじ受柱18が設けられている。ねじ受柱18は、排水口44の上方を所定の隙間を空けて覆うカバー板20(より具体的には後述する庇部)を取り付けるための柱体である。
【0038】
図8は、洗濯機1に備えられた外槽4の底部材42の平面図であり、カバー板20が取り付けられた状態を示す。
図9は、
図8のIX-IXに沿う底部材42の断面図である。
【0039】
図8及び
図9に示す底部材42は、
図6及び
図7に示す底部材42と同じものであり、同一の部位には同一の参照符号を付す。
図8及び
図9に示す底部材42には、排水口44の上方を覆うカバー板20(より具体的には後述する庇部)が取り付けられている。カバー板20(より具体的には後述する庇部)は、ねじ受柱18によって所定の高さに保持され、排水口44から所定の隙間を空けて、排水口44の上方を覆っている。
【0040】
【0041】
カバー板20は、平板状で、ステップ45の上方を覆う程度の大きさをした庇部21と、庇部21の右側縁(段差17に対向する側縁)に沿って、庇部21から直角に立設されたガード柵としての櫛状リブ22とを有している。庇部21には、離れた位置の縁部に3つのねじ穴23が形成されている。庇部21の下面には、各ねじ穴23に対応して、取付突部24が設けられている。庇部21は、その上面が、反時計方向に、すなわち外層の内底面の勾配と逆方向に、わずかに傾斜している。櫛状リブ22における各リブは等間隔で配置されている。櫛状リブ22における外層の中央側は、内層と干渉しないように、内層の形状に応じて、次第に高さが低くなっている。
【0042】
図10に示すように、カバー板20が排水口44の上方に取り付けられた状態では、庇部21と底部材42の内底面との間には、洗浄ボール10が通過し得る十分な隙間が形成される。このため、排水時に水と一緒に洗浄ボール10は庇部21と底部材42の内底面との隙間を通って排水口44へ流れ込むことができる(
図8の白抜き太矢印A2を参照)。また、水位が下がっても、外槽4の内底面と庇部21との間隔が維持され、洗浄ボール10が排水口44と庇部21との隙間を通ることができる。そのため、洗浄ボール10を残さずに排水口44から貯留室11へと回収することができる。
【0043】
また、仮に庇部21の上へ乗り上げて時計回りに転がろうとする洗浄ボール10があっても、係る洗浄ボール10は、櫛状リブ22で受け止められる。そして、受け止められた洗浄ボール10は、反時計方向にわずかに傾斜した庇部21の上面を転がり落ち、庇部21と底部材42の内底面との隙間から排水口44へ入る(
図8の黒太矢印A3を参照)。そのため、洗浄ボール10を残さずに排水口44から貯留室11へと回収することができる。
【0044】
さらに、カバー板20、より具体的には庇部21が排水口44の上方に設けられているので、洗濯機1に生じる振動、例えば脱水時の振動によって、貯留室11に収容された洗浄ボール10が、上方に跳ねても、庇部21の下面にぶつかって跳ね返され、貯留室11内へ戻る。そのため、貯留室11から外槽4内へ洗浄ボール10が飛び出すことを抑制することができる。
【0045】
詳説すると、洗濯機1において、洗濯運転後に脱水運転を行う場合、外槽4の水は排水口44から排水路12を通じて機外へ排出される。その際、洗浄ボール10は、水と共に排水口44から貯留室11へ移動するが、貯留室11から排水路12へは行けず、貯留室11に留まって収容される。排水の完了後に脱水運転が開始されると、洗濯機1には振動が生じることがある。この振動によって、貯留室11内の洗浄ボール10が跳ね上がり、排水口44から外槽4内へ飛び出ようとする場合がある。このような洗浄ボール10に対し、カバー板20、より具体的には庇部21は、洗浄ボール10が排水口44から外槽4内へ飛び出るのを有効に阻止する(
図9の黒太矢印A4、A5を参照)。
【0046】
図12は、洗浄ボール10の一例を示す図であり、(A)は正面図、(B)は右側面図、(C)は(A)のXIIC-XIICに沿う断面図である。
【0047】
洗浄ボール10は、一例として、ゴム等の弾性材料で形成することができる。ゴムとしては、一例として、ブタジエンゴムを用いてもよい。洗浄ボール10は、また、比重が1未満の弾性材料で形成された楕円体であってもよい。楕円体とした洗浄ボール10の形状は、
図12の(A)に示す正面形状、(B)に示す右側面形状を有する。洗浄ボール10は、(C)に示すように、弾性材料によって中実に構成されている。
【0048】
洗浄ボール10を、
図12に示す楕円体とした場合の寸法の一例を示すと、長さLが、13.5±0.5(mm)、直径Dが9.5±0.5(mm)とすることができる。このように洗浄ボール10が弾性の楕円体であれば、水流に応じて動く洗浄ボールの動きがランダムになって洗浄作用が高くなる。
【0049】
また、洗浄ボール10は楕円体に替えて、球体としてもよい。
【0050】
また、洗浄ボール10は、弾性材料以外の材料で形成することができる。さらに、比重が1以上の材料で形成することもできる。その場合、洗浄ボール10が水中に浮遊することができるように、洗浄ボール10を中空構成として、洗浄ボール10の浮力を調整してもよい。
【0051】
洗浄ボール10の形状や大きさは、一例であり、洗濯機1の構造、特に外槽4と内槽5との隙間の寸法等に応じて変更してもよい。
【0052】
本実施形態に係る洗濯機1において、洗濯行程や濯ぎ行程等で排水を行う場合、内槽5を、一例として30rpm程度の低速度で、時計回りに回転させてもよい。それにより、水及び洗浄ボール10をスムーズに排水口44へ誘導することができる。
【0053】
本開示は、以上説明した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載の範囲内で種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0054】
1 洗濯機
2 筺体
3 外蓋
4 外槽
5 内槽
6 駆動部
7 モータ
8 伝達機構
9 支軸
10 洗浄ボール
11 貯留室
12 排水路
13 阻止部材
14 排水バルブ
15 バルブ
16 穴
17 段差
18 ねじ受柱
20 カバー板
21 庇部
22 櫛状リブ(ガード柵)
23 ねじ穴
24 取付突部
41 立ち上がり部
42 底部材
43 側壁部材
44 排水口
45 ステップ
46 ステップ
47 円筒部材
48 排水機構
51 側壁部材
52 回転翼
53 通水孔