(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024106636
(43)【公開日】2024-08-08
(54)【発明の名称】車両の制御装置
(51)【国際特許分類】
G06F 9/50 20060101AFI20240801BHJP
B60R 16/02 20060101ALI20240801BHJP
【FI】
G06F9/50 150D
B60R16/02 660G
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023011006
(22)【出願日】2023-01-27
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002505
【氏名又は名称】弁理士法人航栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】鳥居 稔
(57)【要約】
【課題】車両の製造コストを低減する。
【解決手段】制御装置30は、第1制御部(AD-ECU11)と、前記第1制御部によって制御される第2制御部(第1GW-ECU41、第1操舵制御器51、第1制動制御器61、第2GW-ECU42、第2操舵制御器52、第2制動制御器62)と、を備え、前記第1制御部は、前記車両の走行制御に必要な第1処理(処理A)に用いる情報を前記第2制御部に送信し、前記第2制御部は、前記第1制御部から受信した前記情報に基づいて前記第1処理を行い、当該第1処理の結果を前記第1制御部に送信し、前記第1制御部は、前記第2制御部から受信した前記結果に基づき前記車両の走行制御を行う。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の制御装置であって、
第1制御部と、
前記第1制御部によって制御される第2制御部と、を備え、
前記第1制御部は、前記車両の走行制御に必要な第1処理に用いる情報を前記第2制御部に送信し、
前記第2制御部は、前記第1制御部から受信した前記情報に基づいて前記第1処理を行い、当該第1処理の結果を前記第1制御部に送信し、
前記第1制御部は、前記第2制御部から受信した前記結果に基づき前記車両の走行制御を行う、車両の制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車両の制御装置であって、
前記第1制御部は、前記第1制御部自体の処理負荷が閾値を超える場合に、前記情報を前記第2制御部に送信する、車両の制御装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の車両の制御装置であって、
前記第2制御部は、前記第1制御部に接続された第1装置と、前記第1装置に接続された第2装置と、を含む、車両の制御装置。
【請求項4】
請求項3に記載の車両の制御装置であって、
前記第1制御部と前記第2制御部は、前記車両に搭載された第1バッテリからの電力で作動する、車両の制御装置。
【請求項5】
請求項1に記載の車両の制御装置であって、
前記車両には第1バッテリと第2バッテリが搭載され、
前記第1制御部は、前記第1バッテリからの電力により作動する装置と、前記第2バッテリからの電力により作動する装置と、を含み、
前記第2制御部は、前記第1バッテリからの電力により作動する装置と、前記第2バッテリからの電力により作動する装置と、を含む、車両の制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、交通参加者の中でも脆弱な立場にある人々にも配慮した持続可能な輸送システムへのアクセスを提供する取り組みが活発化している。この実現に向けて自動運転技術に関する研究開発を通して交通の安全性や利便性をより一層改善する研究開発に注力している。
【0003】
特許文献1には、自車両の周辺状態を認識する外界認識部と、前記外界認識部の認識結果に基づいて前記自車両が行うべき行動を判断する行動計画部と、前記行動計画部の判断結果に基づいて前記自車両の走行制御を行う車両制御部と、を備える車両制御装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
自動運転等のための車両の制御には多くの処理が必要である。これらの処理を行うプロセッサの負荷が高くなると、プロセッサの発熱等に対する対策のためのコストが大きくなる。
【0006】
本開示は、車両の製造コストを抑制することを目的としている。そして、延いては持続可能な輸送システムの発展に寄与するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様の車両の制御装置は、第1制御部と、前記第1制御部によって制御される第2制御部と、を備え、前記第1制御部は、前記車両の走行制御に必要な第1処理に用いる情報を前記第2制御部に送信し、前記第2制御部は、前記第1制御部から受信した前記情報に基づいて前記第1処理を行い、当該第1処理の結果を前記第1制御部に送信し、前記第1制御部は、前記第2制御部から受信した前記結果に基づき前記車両の走行制御を行う、ものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、車両の製造コストを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本開示の一実施形態の制御装置によって制御される車両1を示す図である。
【
図2】
図2は、処理Aの分散先の一例を示す模式図である。
【
図3】
図3は、処理Aの分散先の別の例を示す模式図である。
【
図4】
図4は、処理Aの分散先の別の例を示す模式図である。
【
図5】
図5は、処理Aの分散先の別の例を示す模式図である。
【
図6】
図6は、処理Aの分散先の別の例を示す模式図である。
【
図7】
図7は、処理Bの分散先の例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、本開示の一実施形態の制御装置によって制御される車両1を示す図である。
図1に示す車両1は、駆動源と、駆動源の動力によって駆動される駆動輪及び転舵可能な転舵輪を含む車輪(いずれも不図示)と、を有する自動車である。例えば、車両1は、左右一対の前輪及び後輪を有する四輪の自動車である。車両1の駆動源は、電動機であってもよいし、ガソリンエンジンやディーゼルエンジン等の内燃機関であってもよいし、電動機と内燃機関との組み合わせであってもよい。また、車両1の駆動源は、左右一対の前輪を駆動してもよいし、左右一対の後輪を駆動してもよいし、左右一対の前輪及び後輪の四輪を駆動してもよい。前輪及び後輪は、いずれか一方が転舵可能な転舵輪であってもよいし、双方が転舵可能な転舵輪であってもよい。
【0011】
図1に示すように、車両1は、電源として第1バッテリ81と第2バッテリ82とを備え、第1バッテリ81から供給される電力で作動する第一系統A1と、第2バッテリ82から供給される電力で作動する第二系統A2と、を備える。
【0012】
車両1は、制御装置30を備えている。制御装置30は、1つ以上のプロセッサを含む制御部を複数有している。
図1の例では、制御装置30には、AD(Autonomous Driving)-ECU(Electronic Control Unit)11と、ADAS(Advanced Driver Assistance Systems)-ECU12と、TPU(Telematics Control Unit)21と、MPU(マップポジショニングユニット)22と、ナビゲーションユニット(NAVI)23と、第1GW(ゲートウエイ)-ECU41と、第2GW-ECU42と、第1操舵制御器51と、第2操舵制御器52と、第1制動制御器61と、第2制動制御器62と、が含まれている。
【0013】
制御装置30に含まれる各制御部には、CPU(central processing unit)等のプロセッサと、入出力部と、記憶部と、が含まれる。入出力部は、プロセッサの制御に従って、制御部の内部と外部との間でデータの入出力を行うインターフェイスである。記憶部は、例えばフラッシュメモリ等の不揮発性の記憶媒体を含んで構成され、プロセッサの作動プログラムや各種データを記憶する。
【0014】
ADAS-ECU12は、ACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)や車線維持支援等を行う。
【0015】
AD-ECU11は、ADAS-ECU12で用いられているプロセッサに加えて、画像処理や各種通信処理に必要な大容量データ処理を行う為の高性能プロセッサが搭載されている。AD-ECU11は、ハンズオフ制御、渋滞時の自動運転制御、又は非常時の縮退制御等を行う。
【0016】
TPU21は、無線通信によって外部装置と接続して各種の情報をダウンロードする制御を行う。TPU21は、MPU22を介して、AD-ECU11により制御される。
【0017】
MPU22は、衛星測位や慣性航法等により高精度に算出した自車位置にもとづく自車周辺地図情報や、目的地までの車線レベルの推奨経路情報等を、AD-ECU11、ADAS-ECU12、又はNAVI23に出力し、車両統合制御を支援する。MPU22は、AD-ECU11により制御される。
【0018】
NAVI23は、車両1の位置情報と地図情報に基づいて、車両1のナビゲーションを行う。NAVI23は、車両1に必要な各種情報を図示省略のディスプレイに表示する制御も行う。NAVI23は、MPU22を介して、AD-ECU11により制御される。
【0019】
第1GW-ECU41は、AD-ECU11やADAS-ECU12から受け取った制御情報に基づいて、第1操舵制御器51と第1制動制御器61を制御して、操舵角の変更や制動力の変更を行う。第1GW-ECU41は、AD-ECU11により制御される。
【0020】
第2GW-ECU42は、AD-ECU11やADAS-ECU12から受け取った制御情報に基づいて、第2操舵制御器52と第2制動制御器62を制御して、操舵角の変更や制動力の変更を行う。第2GW-ECU42は、ADAS-ECU12により制御される。第1GW-ECU41と第2GW-ECU42は例えば車両1において離れた別々の場所(例えば中央と前方等)に配置される。
【0021】
第1操舵制御器51と第2操舵制御器52は、それぞれ、第1GW-ECU41又は第2GW-ECU42からの指示に基づいて、後述の第1モータM1又は第2モータM2を駆動することにより、車両1の操舵角を制御する。
【0022】
第1制動制御器61と第2制動制御器62は、それぞれ、第1GW-ECU41又は第2GW-ECU42からの指示に基づいて、不図示のブレーキ機構等を制御することによって、車両1の制動力を制御する。
【0023】
第1操舵制御器51及び第1制動制御器61は、第1GW-ECU41及び第2GW-ECU42を介して、AD-ECU11により制御される。AD-ECU11は、第2GW-ECU42を介して、第2操舵制御器52及び第2制動制御器62を制御することも可能である。
【0024】
第2操舵制御器52及び第2制動制御器62は、第2GW-ECU42を介して、ADAS-ECU12により制御される。ADAS-ECU12は、第1GW-ECU41及び第2GW-ECU42を介して、第1操舵制御器51及び第1制動制御器61を制御することも可能である。
【0025】
車両1は、更に、外界(白線、物体、他車両、信号等)を認識するのに用いるセンサ群を備える。このセンサ群には、AD-ECU11により制御される第1カメラ71と、ADAS-ECU12により制御される第2カメラ72と、ADAS-ECU12により制御されるレーダ装置群73と、が含まれる。センサ群は、車両1又は車両1の周辺に関する各種の検出値を取得する。センサ群によって取得された検出値は、AD-ECU11又はADAS-ECU12へ送られ、車両1の走行制御等に供される。
【0026】
車両1は、更に、車輪に接続されたシャフトを駆動するための第1モータM1と第2モータM2とを備える。第1モータM1と第2モータM2の何れかを駆動することで、操舵角を変更することが可能となっている。
【0027】
制御装置30において、AD-ECU11は第1制御部を構成し、TPU21、MPU22、NAVI23、第1GW-ECU41、第1操舵制御器51、及び第1制動制御器61は、それぞれ、第2制御部を構成する。また、制御装置30において、ADAS-ECU12は第1制御部を構成し、第2GW-ECU42、第2操舵制御器52、及び第2制動制御器62は、それぞれ、第2制御部を構成する。
【0028】
制御装置30において、第1GW-ECU41は第1装置を構成し、第1操舵制御器51及び第1制動制御器61はそれぞれ第2装置を構成する。また、制御装置30において、第2GW-ECU42は第1装置を構成し、第2操舵制御器52及び第2制動制御器62はそれぞれ第2装置を構成する。
【0029】
車両1では、第一系統A1と第二系統A2が別のバッテリで作動するため、第1バッテリ81と第2バッテリ82の一方に異常が生じた場合であっても、車両1の走行制御を行うことができる。また、センサ群として、第一系統A1には第1カメラ71が含まれ、第二系統A2には第2カメラ72及びレーダ装置群73が含まれる。また、第一系統A1と第二系統A2は、それぞれ、制動制御器と操舵制御器を含む。このため、2つの操舵制御器の一方に異常が生じた場合であっても、他方の操舵制御器を利用して走行制御を継続できる。また、2つの制動制御器の一方に異常が生じた場合であっても、他方の制動制御器を利用して走行制御を継続できる。また、第1カメラ71と第2カメラ72の一方に異常が生じた場合であっても、他方によって外界センシングを継続できる。
【0030】
AD-ECU11は、車両1の走行制御に必要な処理(センサ群の出力に基づく車両1の周囲の各種の認識処理(物標認識、白線認識、他車両認識等)、認識処理の結果に基づく操舵角や制動力等の決定処理、認識処理の結果に基づくユーザへの通知処理等)のうちの一部(以下、処理Aと記載)を、制御装置30内の他の制御部(TPU21、MPU22、NAVI23、第1GW-ECU41、第1操舵制御器51、第1制動制御器61、第2GW-ECU42、第2操舵制御器52、及び第2制動制御器62の少なくとも1つ)に実行させることで、処理負荷の抑制が可能となっている。
【0031】
同様に、ADAS-ECU12は、車両1の走行制御に必要な処理のうちの一部(以下、処理Bと記載)を、制御装置30内の他の制御部(第1GW-ECU41、第1操舵制御器51、第1制動制御器61、第2GW-ECU42、第2操舵制御器52、及び第2制動制御器62の少なくとも1つ)に実行させることで、処理負荷の抑制が可能となっている。
【0032】
図2は、処理Aの分散先の一例を示す模式図である。
図2では、AD-ECU11で行うべき処理Aが、第1GW-ECU41と第2GW-ECU42のそれぞれによって実行可能な例を示している。
【0033】
AD-ECU11は、自身の処理負荷が閾値以下の場合には処理Aを自身で実行し、自身の処理負荷が閾値を超える場合に、第1GW-ECU41と第2GW-ECU42の少なくとも一方に処理Aを代わりに実行させるようにしてもよい。AD-ECU11は、自身を除く複数の制御部において処理Aを実行させる場合には、この複数の制御部のうち最も早く処理結果が出力できるものを選択してその制御部に処理Aを実行させてもよいし、この複数の制御部の各々に処理Aを実行させ、各制御部から送信されてくる処理結果のうちの1つを選択して走行制御に利用するようにしてもよい。AD-ECU11は、他の制御部にも処理Aを実行させると共に、自身でも処理Aを実行し、どちらかの処理結果を選択して走行制御に利用するようにしてもよい。
【0034】
AD-ECU11は、処理Aに用いる情報のみを他の制御部に送信し、他の制御部は、AD-ECU11から受信した情報と、自身の作動プログラムに含まれている演算式とに基づいて処理Aを実行するようにしてもよい。AD-ECU11は、処理Aに用いる情報と処理Aの演算式との両方を他の制御部に送信し、他の制御部は、AD-ECU11から受信した情報と演算式を用いて処理Aを実行するようにしてもよい。
【0035】
図2に示す分散例によれば、処理Aを複数の制御部に分散できるため、処理Aを単一の制御部で分散可能な構成と比べると、処理Aをより効率的に実行して、処理結果をAD-ECU11が高速に取得可能となる。また、第一系統A1に含まれる第1GW-ECU41と、第二系統42に含まれる第2GW-ECU42とが処理Aを実行可能なため、例えば、第2バッテリ82に異常が生じて第二系統A2の各部が作動不可となった場合であっても、処理Aの分散が実行可能となる。
【0036】
図3は、処理Aの分散先の別の例を示す模式図である。
図3では、AD-ECU11で行うべき処理Aが、第1GW-ECU41と第1操舵制御器51のそれぞれによって実行可能な例を示している。
図3に示す分散例によれば、処理Aを複数の制御部に分散できるため、
図2と同様の効果が得られる。また、例えば、第2バッテリ82に異常が生じて第二系統A2の各部が作動不可となった場合であっても、処理Aの効率的な分散が実行可能となる。
【0037】
図4は、処理Aの分散先の別の例を示す模式図である。
図4では、AD-ECU11で行うべき処理Aが、第1制動制御器61と第2制動制御器62のそれぞれによって実行可能な例を示している。この例では、第1制動制御器61と第2制動制御器62の一方が作動不可となった場合でも、他方によって処理Aを実行できるため、AD-ECU11の負荷軽減が可能となる。
【0038】
図5は、処理Aの分散先の別の例を示す模式図である。
図5では、AD-ECU11で行うべき処理Aが、第1操舵制御器51と第2操舵制御器52のそれぞれによって実行可能な例を示している。この例では、第1操舵制御器51と第2操舵制御器52の一方が作動不可となった場合でも、他方によって処理Aを実行できるため、AD-ECU11の負荷軽減が可能となる。
【0039】
図6は、処理Aの分散先の別の例を示す模式図である。
図6では、AD-ECU11で行うべき処理Aが、NAVI23によって実行可能な例を示している。NAVI23は、一般的に、高性能のプロセッサを搭載し、且つ、空冷冷却システムを有する。また、100%の負荷では作動しないことが多い。このように、余剰能力の大きいNAVI23にて処理Aを実行できるようにすることで、AD-ECU11以外の他の制御部の負荷を軽減できる。
【0040】
図7は、処理Bの分散先の例を示す模式図である。
図7では、ADAS-ECU12で行うべき処理Bが、第2GW-ECU42、第2操舵制御器52、第2制動制御器62、第1GW-ECU41、第1操舵制御器51、及び第1制動制御器61の少なくとも1つによって実行可能な例を示している。
図7に示すように、ADAS-ECU12についても、AD-ECU11と同様に、他の1つ又は複数の制御部によって処理Bを実行させて、自身の負荷を軽減できる。
【0041】
以上、本開示の一実施形態について、添付図面を参照しながら説明したが、本開示は、かかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。また、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、前述した実施形態における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。
【0042】
例えば、前述した実施形態では、車両として、四輪の自動車を例示したが、これに限られない。本開示の技術が適用可能な車両は、二輪の自動車(いわゆる自動二輪車)、自動運転型農作業機、又はドローンなどであってもよい。
【0043】
本明細書には少なくとも以下の事項が記載されている。なお、括弧内には、上記した実施形態において対応する構成要素等を示しているが、これに限定されるものではない。
【0044】
(1) 車両(車両1)の制御装置(制御装置30)であって、
第1制御部(AD-ECU11)と、
前記第1制御部によって制御される第2制御部(第1GW-ECU41、第1操舵制御器51、第1制動制御器61、第2GW-ECU42、第2操舵制御器52、第2制動制御器62)と、を備え、
前記第1制御部は、前記車両の走行制御に必要な第1処理(処理A)に用いる情報を前記第2制御部に送信し、
前記第2制御部は、前記第1制御部から受信した前記情報に基づいて前記第1処理を行い、当該第1処理の結果を前記第1制御部に送信し、
前記第1制御部は、前記第2制御部から受信した前記結果に基づき前記車両の走行制御を行う、車両の制御装置。
【0045】
(1)によれば、第1制御部が行うべき第1処理を第2制御部が代わりに行うため、第1制御部の負荷を軽減して発熱を抑制でき、熱対策のためのコストを抑制できる。また、第1制御部が他の処理を行うのと並行して第1処理の結果を得ることができるため、処理を効率よく実行でき、第1制御部として処理能力がそれほど高くないものを採用することができる。これらの結果、車両の製造コストを抑制できる。また、車両の出荷後に、第1制御部の作動プログラムを更新して処理数が増えた場合であっても、一部の処理を第2制御部に分散させることができるため、ハードウェアの更新を行うことなく、機能の追加が可能になる。
【0046】
(2) (1)に記載の車両の制御装置であって、
前記第1制御部は、前記第1制御部自体の処理負荷が閾値を超える場合に、前記情報を前記第2制御部に送信する、車両の制御装置。
【0047】
(2)によれば、処理負荷が閾値以下の場合には第1制御部が第1処理を行うため、その結果に基づく走行制御を高速に行うことができる。
【0048】
(3) (1)又は(2)に記載の車両の制御装置であって、
前記第2制御部は、前記第1制御部に接続された第1装置(第1GW-ECU41)と、前記第1装置に接続された第2装置(第1操舵制御器51、第1制動制御器61)と、を含む、車両の制御装置。
【0049】
(3)によれば、第1装置と第2装置の少なくとも一方にて第1処理を実行できるため、例えば、第1制御部の処理負荷が中程度の場合には第1装置と第2装置の一方で第1処理を行い、第1制御部の処理負荷が高い場合には第1装置と第2装置の両方で第1処理を行うといったことが可能となり、より効率的に処理を行うことができる。
【0050】
(4) (3)に記載の車両の制御装置であって、
前記第1制御部と前記第2制御部は、前記車両に搭載された第1バッテリ(第1バッテリ81)からの電力で作動する、車両の制御装置。
【0051】
(4)によれば、例えば、第1バッテリの電力で作動する系統と、第2バッテリの電力で作動する系統とが車両に存在する場合に、第2バッテリからの電力供給が途絶えても、同じ第1バッテリからの電力で作動する第1制御部と第2制御部とで、その第1制御部が行う処理を分散できる。このように、第1処理の分散を高い確度で実現できる。
【0052】
(5) (1)に記載の車両の制御装置であって、
前記車両には第1バッテリ(第1バッテリ81)と第2バッテリ(第2バッテリ82)が搭載され、
前記第1制御部は、前記第1バッテリからの電力により作動する装置(AD-ECU11)と、前記第2バッテリからの電力により作動する装置(ADAS-ECU12)と、を含み、
前記第2制御部は、前記第1バッテリからの電力により作動する装置(第1GW-ECU41、第1操舵制御器51、第1制動制御器61)と、前記第2バッテリからの電力により作動する装置(第2GW-ECU42、第2操舵制御器52、第2制動制御器62)と、を含む、車両の制御装置。
【0053】
(5)によれば、例えば、第1バッテリからの電力で作動する第1制御部の装置と第2制御部の装置とで、その第1制御部の装置が行う処理を分散できる。このため、第2バッテリで作動する系統に異常が発生した場合でも、第1処理の分散を高い確度で実現できる。また、第1バッテリからの電力で作動する第1制御部の装置で行うべき処理を、第1バッテリからの電力で作動する第2制御部の装置と、第2バッテリからの電力で作動する第2制御部の装置とに分散できるため、処理の分散先を増やして、第1制御部の処理負荷をより軽減できる。
【符号の説明】
【0054】
1 車両
30 制御装置
11 AD-ECU
12 ADAS-ECU