(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024106651
(43)【公開日】2024-08-08
(54)【発明の名称】ポンプディスペンサ、吐出容器及び内容物入り吐出容器
(51)【国際特許分類】
B65D 47/34 20060101AFI20240801BHJP
B65D 83/76 20060101ALI20240801BHJP
【FI】
B65D47/34 110
B65D83/76 140
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023011023
(22)【出願日】2023-01-27
(71)【出願人】
【識別番号】000208455
【氏名又は名称】大和製罐株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡部 早紀
(72)【発明者】
【氏名】孫工 貴行
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 進
【テーマコード(参考)】
3E014
3E084
【Fターム(参考)】
3E014PA01
3E014PB04
3E014PC03
3E014PD12
3E014PE01
3E014PE11
3E084AA04
3E084AA12
3E084AB01
3E084BA02
3E084CA01
3E084CB02
3E084CC03
3E084DA01
3E084DB12
3E084FA09
3E084FB01
3E084KB05
3E084LB02
3E084LD22
3E084LD26
(57)【要約】
【課題】泡質の安定性を保ちつつ、吐出する泡の飛距離を向上させることができるポンプディスペンサ、吐出容器及び内容物入り吐出容器を提供すること。
【解決手段】ポンプディスペンサ3は、空気シリンダ52と、空気シリンダ52に設けられ、往復動する空気ピストン102と、液シリンダ54と、液シリンダ54に設けられ、往復動する液ピストン104と、空気ピストン102及び液ピストン104の二次側に設けられ、空気ピストン102及び液ピストン104の往復動により供給される液状体400及び空気を混合する、上壁に連通孔138が形成された混合室136と、混合室136の二次側に設けられた多孔体24と、多孔体24の二次側の流路22aを形成するとともに、流路22aの開口面積よりも小さい開口面積の吐出孔48dが形成され、往復動することで、空気ピストン102及び液ピストン104を往復動させるノズル22と、を備える。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気シリンダと、
前記空気シリンダに設けられ、往復動する空気ピストンと、
液シリンダと、
前記液シリンダに設けられ、往復動する液ピストンと、
前記空気ピストン及び前記液ピストンの二次側に設けられ、前記空気ピストン及び前記液ピストンの前記往復動により供給される液状体及び空気を混合する、上壁に連通孔が形成された混合室と、
前記混合室の二次側に設けられた多孔体と、
前記連通孔の二次側の流路を形成するとともに、前記流路の開口面積よりも小さい開口面積の吐出孔が形成され、往復動することで、前記空気ピストン及び前記液ピストンを往復動させるノズルと、
を備えるポンプディスペンサ。
【請求項2】
前記吐出孔の流路断面積は、前記連通孔の流路断面積以下である、請求項1に記載のポンプディスペンサ。
【請求項3】
前記吐出孔の孔径は、0.5mm~3.0mmである、請求項1に記載のポンプディスペンサ。
【請求項4】
前記吐出孔の孔径は、前記流路のうち最も流路断面積が小さい部位に対して0.5%~40%の範囲である、請求項1に記載のポンプディスペンサ。
【請求項5】
前記連通孔の孔径は、前記流路のうち最も流路断面積が小さい部位に対して2%~60%の範囲である、請求項1に記載のポンプディスペンサ。
【請求項6】
前記流路は、前記ノズルの移動方向に沿った第1流路と、前記第1流路に交差する方向に沿った第2流路と、を含み、
前記吐出孔は、前記第2流路に設けられ、
前記吐出孔の軸方向は、前記第2流路の軸方向に沿う、請求項1に記載のポンプディスペンサ。
【請求項7】
前記吐出孔は、前記第2流路の中途部に設けられる、請求項6に記載のポンプディスペンサ。
【請求項8】
前記吐出孔の二次側の前記第2流路の流路断面積は、前記吐出孔側から先端に向かって漸次増加する、請求項7に記載のポンプディスペンサ。
【請求項9】
前記ノズルは、前記流路に設けられる、前記吐出孔が形成される筒状のノズルチップを有する、請求項1に記載のポンプディスペンサ。
【請求項10】
前記ノズルチップの前記吐出孔の二次側は、前記流路の一部を形成し、
前記ノズルチップの前記吐出孔の二次側の流路断面積は、前記吐出孔側から先端に向かって漸次増加する、請求項9に記載のポンプディスペンサ。
【請求項11】
液状体を収容する容器体と、
前記容器体に固定される、請求項1乃至請求項10のいずれか一項に記載のポンプディスペンサと、
を備える吐出容器。
【請求項12】
液状体と、
前記液状体を収容する容器体と、
前記容器体に固定される、請求項1乃至請求項10のいずれか一項に記載のポンプディスペンサと、
を備える内容物入り吐出容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液状体を泡状にして吐出させるポンプディスペンサ、吐出容器及び内容物入り吐出容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従前から、液状体を泡状にして吐出させるポンプディスペンサ及びポンプディスペンサが用いられた吐出容器が知られている(例えば、特許文献1参照)。このような吐出容器は、ノズルを押下することで圧送された泡を吐出させるが、吐出した泡は、緩やかにノズルを押下した場合はノズル先端から略鉛直落下する。また、吐出した泡は、素早くノズルを押下した場合でも水平投射されるものの容器近傍に吐出される程度である。このため、泡をノズルから離れたターゲットに付着させたり、ノズル付近で勢いよくターゲットに吹き付けたりする等、吐出する泡の飛距離を向上させることはできなかった。
【0003】
また、良好な泡を形成するために、空気と液状体を混合する混合室から混合室出口の泡流路に設けられる多孔体(メッシュホルダ)へ、空気が混合した液状体を圧送する必要があるが、この圧送時における圧力が泡質に影響する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した吐出容器では、泡質に影響が及ばないようにするために、ノズルを押下したときに得られる混合室からメッシュホルダへ圧送する液状体の圧力を大きく変えることができない。
【0006】
そこで、本発明は、泡質の安定性を保ちつつ、吐出する泡の飛距離を向上させることができるポンプディスペンサ、吐出容器及び内容物入り吐出容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様によれば、ポンプディスペンサは、空気シリンダと、前記空気シリンダに設けられ、往復動する空気ピストンと、液シリンダと、前記液シリンダに設けられ、往復動する液ピストンと、前記空気ピストン及び前記液ピストンの二次側に設けられ、前記空気ピストン及び前記液ピストンの前記往復動により供給される液状体及び空気を混合する、上壁に連通孔が形成された混合室と、前記混合室の二次側に設けられた多孔体と、前記多孔体の二次側の流路を形成するとともに、前記流路の開口面積よりも小さい開口面積の吐出孔が形成され、往復動することで、前記空気ピストン及び前記液ピストンを往復動させるノズルと、を備える。
【0008】
本発明の一態様によれば、吐出容器は、液状体を収容する容器体と、前記容器体に固定される、上述のポンプディスペンサと、を備える。
【0009】
本発明の一態様によれば、内容物入り吐出容器は、液状体と、前記液状体を収容する容器体と、前記容器体に固定される、上述のポンプディスペンサと、を備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、泡質の安定性を保ちつつ、吐出する泡の飛距離を向上させることができるポンプディスペンサ、吐出容器及び内容物入り吐出容器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施形態に係る吐出容器の構成を一部断面で示す側面図。
【
図2】同吐出容器のポンプディスペンサの構成を示す正面図。
【
図3】同ポンプディスペンサの構成を、ノズルが第1位置における状態で示す断面図。
【
図4】同ポンプディスペンサの構成を、ノズルが第2位置における状態で示す断面図。
【
図5】同ポンプディスペンサに用いられるノズルチップの構成を示す斜視図。
【
図8】同ノズルチップの構成を、
図7中VIII-VIII線断面で示す断面図。
【
図9】同ノズルチップの他の例の構成を示す正面図。
【
図10】同ノズルチップの他の例の構成を示す正面図。
【
図11】吐出容器の第1評価試験の結果を示す説明図。
【
図12】吐出容器の第2評価試験の結果を示す説明図。
【
図13】吐出容器の第3評価試験の結果を示す説明図。
【
図14】吐出容器の第4評価試験の結果を示す説明図。
【
図15】同ノズルチップの他の変形例の構成を示す正面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態に係る吐出容器1の構成を、
図1乃至
図10を用いて説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る吐出容器1の構成を一部断面で示す側面図である。
図2は、吐出容器1のポンプディスペンサ3の構成を示す正面図である。
図3は、ポンプディスペンサ3の構成を、ノズル22が第1位置における状態で示す断面図であり、
図4は、ポンプディスペンサ3の構成を、ノズル22が第2位置における状態で示す断面図である。
【0013】
図5及び
図6は、ポンプディスペンサ3に用いられるノズルチップ48の構成を異なる方向から示す斜視図である。
図7は、ノズルチップ48の構成を示す正面図。
図8は、ノズルチップ48の構成を、
図7中VIII-VIII線断面で示す断面図である。
図9は、ノズルチップ48の他の例の構成を示す正面図であり、
図10は、ノズルチップ48の他の例の構成を示す正面図である。
【0014】
[吐出容器1]
図1に示すように、吐出容器1は、容器体2と、ポンプディスペンサ3と、管体4と、を備える。また、
図1に示す吐出容器1は、内容物としての液状体400を収容した内容物入り吐出容器である。
【0015】
吐出容器1は、ポンプディスペンサ3によって、管体4を通して容器体2内に貯留された液状体400を吸い上げ、液状体400を泡状として吐出する、所謂ハンドポンプである。本実施形態において、吐出容器1の容器体2を下方、ポンプディスペンサ3を上方として、上下方向を規定し、以下説明する。
【0016】
液状体400は、容器体2内に貯留される内容物である。液状体400は、化粧品、洗剤、医薬品、医薬部外品、食品などであり、具体例として、シャンプー、ハンドソープ、洗顔料及びシェービングクリーム等の界面活性剤を含有する液体が挙げられる。
【0017】
容器体2は、例えば有底円筒状など、有底筒状であるが、液状体400を貯留可能であれば、筒状に限定されない。容器体2は、その内部に液状体400を貯留できる。容器体2は、樹脂材料、金属材料、ガラス又は陶器等により形成される。容器体2は、液状体400が貯められる本体12と、本体12の上端の一部が突出して開口する固定部14とを備える。固定部14は、ポンプディスペンサ3を固定可能に形成される。
図3に示すように、固定部14は、例えば、外周面に雄ネジ部14aを有する。
【0018】
図1乃至
図4に示すように、ポンプディスペンサ3は、支持部20と、ノズル22と、メッシュホルダ24と、シリンダ26と、ピストンユニット28と、球状弁体30とを備える。なお、ノズル22、メッシュホルダ24、ピストンユニット28は、支持部20及びシリンダ26に対して、一方向に沿って往復動するステムを構成する。
【0019】
支持部20は、例えば、筒状のノズル案内筒32と、ノズル案内筒32よりも大径の筒状に形成された、容器体2の固定部14に固定される被固定部34と、を備える。支持部20は、例えば、被固定部34の一端の開口から、被固定部34の外方にノズル案内筒32が延びる。換言すると、ノズル案内筒32は、被固定部34の中央側から上方に延びる。ノズル案内筒32及び被固定部34は例えば樹脂材料により一体成形される。ノズル案内筒32及び被固定部34は、例えば、同軸上にある。
【0020】
ノズル案内筒32は、ノズル22を上下方向に沿って移動可能に、換言すると、ノズル22を、ノズル案内筒32の軸心上に沿って移動可能に、ノズル22を案内する。
【0021】
被固定部34は、例えば、上端側が曲面状に漸次縮径する。被固定部34は、内周面に形成された雌ネジ部34aを有する。雌ネジ部34aは、容器体2の雄ネジ部14aに螺合する。これにより、容器体2及びポンプディスペンサ3は、着脱可能に形成される。なお、被固定部34は、嵌合によって容器体2に固定される構成であってもよい。また、吐出容器1がノズル22の誤操作を防止するためのキャップを有していても良く、このような吐出容器1とする場合には、被固定部34は、嵌合可能な嵌合部を外周面に有する。
【0022】
ノズル22は、支持部20の上側に配置される。ノズル22は、内筒42と、内筒42よりも大径の外筒44と、内筒42に流体的に連続する吐出筒46と、吐出筒46内に設けられるノズルチップ48と、を有する。内筒42、外筒44、及び、吐出筒46は、例えば、樹脂材料により一体成形される。外筒44の内径は、ノズル案内筒32の外径よりも大径に形成される。
【0023】
内筒42は、吐出筒46とともに、メッシュホルダ24から外部まで連続する、泡状の液状体400が移動する流路22aを形成する。ここで、ノズル22の流路22aは、例えば、内筒42に形成され、ノズル22の移動方向に沿って延びる第1流路22a1と、第1流路22a1に交差する方向、本実施形態においては第1流路22a1に直交する方向に延びる第2流路22a2と、を含む。
【0024】
内筒42は、下端側の一部がノズル案内筒32の内部に配置されるとともに、ノズル案内筒32内を一方向の往復動可能に形成される。外筒44は、支持部20に対して、ノズル案内筒32の軸心に沿って第1位置(通常位置)と、第1位置とは異なる第2位置(押圧位置)との間を往復動する。内筒42及び外筒44は、例えば、同軸上にある。
【0025】
吐出筒46は、内筒42の上端から、内筒42の軸心と交差する方向、例えば、側方に向かって突出する。吐出筒46の流路断面積は、第2流路22a2のうち内筒42と連続する開口端から第2流路22a2の中途部まで、具体的には、ノズルチップ48まで、漸次増加する。吐出筒46は、先端にノズルチップ48を嵌合可能に形成される。
図1乃至
図4に示すように、吐出筒46は、例えば、矩形筒状に形成される。具体例として、
図2に示すように、吐出筒46は、幅方向が上下方向よりも長い矩形筒状に形成される。なお、吐出筒46は、矩形筒状以外の形状、例えば円筒状、楕円筒状、矩形以外の多角形筒状であってもよい。吐出筒46は、先端側の内周面に、例えば、ノズルチップ48を嵌合するための突起又は溝等の係合部46aを有する。係合部46aは、例えば、環状の突起である。
【0026】
図2乃至
図8に示すように、ノズルチップ48は、有底筒状に形成される。ノズルチップ48は、第2流路22a2に設けられる。
図3及び
図4に示すように、ノズルチップ48は、ノズルチップ48の軸方向が吐出筒46の軸方向(第2流路22a2の軸方向)と同方向となる姿勢で、吐出筒46に嵌合される。例えば、吐出筒46が矩形筒状であることから、
図5に示すように、ノズルチップ48は、幅方向が上下方向よりも長い有底の矩形筒状に形成される。ノズルチップ48は、周壁部48aと、底壁部48bとを有する。
【0027】
周壁部48aは、矩形筒状に形成される。周壁部48aは、外周面に、吐出筒46の係合部46aと係合し、吐出筒46に嵌合するための突起又は溝等の被係合部48cを有する。周壁部48aの内部空間は、第2流路22a2の一部を構成する。
【0028】
被係合部48cは、例えば、周壁部48aに形成された軸方向に並ぶ環状の溝及び環状の突起により形成される。換言すると、被係合部48cは、周壁部48aの底壁部48b側において、外形状が縮小し、そして、縮小した部位に隣接して環状の突起が形成されることで、環状の溝及び突起が連続する。そして、被係合部48cの溝に係合部46aが配置されることで、被係合部48cの突起と係合部46aとが、吐出筒46及びノズルチップ48の軸方向で係合し、ノズルチップ48が吐出筒46に嵌合する。
【0029】
底壁部48bは、平板状に形成される。底壁部48bは、ノズルチップ48が吐出筒46に嵌合した状態において、吐出筒46の軸方向に直交する方向に延びる。底壁部48bには、吐出孔48dが形成される。底壁部48bの板厚は、例えば、0.5~3.0mmに形成される。これは、底壁部48bの板厚は、底壁部48bの剛性を保つこと、及び、底壁部48bに形成された吐出孔48dを通過する泡状の液状体400の圧力損失の影響を最小限とし、好適な吐出距離を確保できる範囲とするためである。
【0030】
吐出孔48dは、ノズル22内に形成される流路22aに設けられる。吐出孔48dは、第2流路22a2に設けられる。吐出孔48dの軸方向は、例えば、周壁部48aの軸方向及び吐出筒46(第2流路22a2)の軸方向に沿う。吐出孔48dは、吐出筒46の先端から吐出筒46の内筒42と連続する端部(第1流路22a1と第2流路22a2の境界)までの間に配置される。即ち、吐出孔48dは、吐出筒46の先端か、又は、吐出筒46の先端よりも内筒42側である内側に設けられる。好ましくは、吐出孔48dは、吐出筒46の先端よりも内側に設けられる。吐出孔48dは、例えば、底壁部48bの中心に形成される。吐出孔48dの流路断面積(開口面積)は、内筒42の流路断面積、吐出筒46の流路断面積、周壁部48aの流路断面積よりも小さい。吐出孔48dは、例えば、円形の開口である。また、例えば、吐出孔48dの内径は、一定に形成される。
【0031】
吐出孔48dの内径は、0.5mm~3.0mmの範囲であり、より好ましくは、1.0mm~2.0mmの範囲である。換言すると、吐出孔48dの流路断面積(開口面積)は、0.19mm2~7.10mm2の範囲であり、より好ましくは、0.78mm2~3.20mm2の範囲である。
【0032】
なお、吐出孔48dは、
図9に示す変形例のように、矩形状の開口であってもよく、また、
図10に示す他の変形例のように、楕円形の開口であってもよい。また、矩形状の吐出孔48dとする場合には、吐出孔48dは、正方形状であってもよく、また、長方形状であってもよい。また、吐出孔48dは、他の形状、多角形状や異形状に形成されていてもよい。
【0033】
メッシュホルダ24は、内筒42に設けられる。メッシュホルダ24は、流路22aの一次側に設けられる。メッシュホルダ24は、液状体400及び気体を通過させたときに、良質な泡状の液状体400を生じさせる。メッシュホルダ24は、例えば、内筒42の内部に支持される。メッシュホルダ24は、筒状のボディ24aと、ボディ24aに互いに離間した2つの網24b、24cと、を有する多孔体である。例えば、2つの網24b、24cは、ボディ24aの両端に固定される。
【0034】
シリンダ26は、支持部20の下側に支持される。シリンダ26は、円筒状である。シリンダ26は、第1筒(空気シリンダ)52と、第1筒52の内周面よりも小径の内周面を有する第2筒(液シリンダ)54と、第2筒54の内周面よりも小径の内周面を有し、管体4が取り付けられる取付筒56とを備える。第1筒52、第2筒54及び取付筒56は、例えば、樹脂材料により一体成型される。第1筒52、第2筒54及び取付筒56は、同軸上にあり、また、支持部20と同軸上にある。
【0035】
第1筒52は、ピストンユニット28の後述する空気ピストン102が摺動する第1被摺動部62と、支持部20のノズル案内筒32の外周面及び被固定部34の内周面との間に支持される固定端64と、第1筒52の下端及び第2筒54を連続する第1環状部66と、を有する。第1被摺動部62は、例えば、内径が一定である。また、第1被摺動部62には、第1位置における空気ピストン102に塞がれ、そして、第2位置における空気ピストン102と離間して、第1筒52内と容器体2内とを連通する貫通孔62bが形成される。
【0036】
固定端64は、第1被摺動部62の上端に、第1被摺動部62と連続して設けられる。固定端64は、例えば、支持部20のノズル案内筒32の外周面及び被固定部34の内周面との間に嵌合されるとともに、容器体2の固定部14の上端に、パッキン64aを介して支持される。第1環状部66は第1被摺動部62の下方に設けられる。第1環状部66は、外周縁に第1被摺動部62が一体に連続し、そして、中央側が開口するとともに、この中央側に第2筒54が一体に連続する。例えば、第1環状部66は、外周縁側から中心側の開口に向かって、外周縁側が下方、中心側が上方となるように軸心に対して傾斜する。
【0037】
第2筒54は、ピストンユニット28の後述する液ピストン104が摺動する第2被摺動部72と、ピストンユニット28の後述するプラグ112を支持するプラグ用座部74と、取付筒56との間を連続させる第2環状部76とを有する。
【0038】
第2被摺動部72は、例えば、内径が一定である。プラグ用座部74は、第2筒54の軸心に対して直交する方向に延びる座面74aを有する。座面74aは、上面にプラグ112を支持する。第2環状部76は、球状弁体30の弁座76aを有する。弁座76aは、球状弁体30の外周面の一部と環状に当接する。
【0039】
ピストンユニット28は、ノズル22に支持され、支持部20、ノズル22及びシリンダ26内に配置される。ピストンユニット28は、空気ピストン102と、液ピストン104と、空気室用弁体106と、インナーロッド110と、プラグ112と、付勢部材114とを有する。
【0040】
空気ピストン102は、液ピストン104と同軸上にある。空気ピストン102は、環状の胴部122と、空気室用弁体106を保持する保持部124と、液ピストン104と嵌合する筒状の第1嵌合筒126と、ノズル22と嵌合する筒状の第2嵌合筒128と、を有する。胴部122、保持部124、第1嵌合筒126及び第2嵌合筒128は、例えば、樹脂材料により一体成形される。また、空気ピストン102の胴部122と保持部124との間の一部には、空気ピストン102を上下方向に貫通する単数又は複数の貫通孔102aが形成される。
【0041】
胴部122は、空気ピストン102が上下方向(軸心方向)に沿って移動するとき、シリンダ26の第1被摺動部62の内周面を摺動する。胴部122の少なくとも一部の外径、例えば、胴部122の上端及び下端の外径が、シリンダ26の第1被摺動部62の内周面の内径と同一径又は若干大径に形成され、シリンダ26の第1被摺動部62に接触するときに弾性変形し、シリンダ26の第1被摺動部62の内周面との接触を維持し、空気室210を密封しながら摺動できる。
【0042】
保持部124は、胴部122よりも径方向で内方に設けられる。保持部124は、胴部122の内径よりも小径な、例えば、二重円筒状に形成され、内筒及び外筒の間に空気室用弁体106を嵌合させて保持する。
【0043】
第1嵌合筒126は、保持部124の内筒の内径よりも小径である。第1嵌合筒126は、液ピストン104の上端部と嵌合する。第1嵌合筒126の内側には、液ピストン104の上端及びインナーロッド110の上端が配置される。第1嵌合筒126は、液ピストン104の上端とともに、供給された空気及び液状体400の混合室136を内部に形成する。すなわち、空気ピストン102の二次側及び液ピストン104の二次側には、空気ピストン102から供給された空気及び液ピストン104から供給された液状体400を混合させる混合室136が形成される。混合室136は、ノズル22の流路22aに連通する。また、第1嵌合筒126には、混合室136の上部に、混合室136及びノズル22の流路22aを連通させる連通孔138が形成される。
【0044】
第1嵌合筒126の内側の混合室136の内面136aは、インナーロッド110の弁体164を押圧可能な傾斜面又はリブ等を有する。混合室136の傾斜面又はリブは、液ピストン104側からノズル22の流路22aに向かって内径又は幅が縮小するように傾斜する。
【0045】
連通孔138は、混合室136の上部に形成される上壁に形成される。連通孔138は、例えば、混合室136の上壁の中心に形成される。連通孔138の流路断面積(開口面積)は、内筒42の流路断面積、吐出筒46の流路断面積、混合室136の流路断面積よりも小さい。連通孔138は、例えば、円形の開口である。
【0046】
第2嵌合筒128は、ノズル22の内筒42の例えば内周面と嵌合する。このため、空気ピストン102はノズル22の移動に伴って移動する。
【0047】
空気室用弁体106は、環状に形成され、空気ピストン102に比べて可撓性が高い樹脂材により形成されている。空気室用弁体106は、保持部124の下方の位置に、保持部124に保持される円筒部140と、円筒部140の下端に一体に形成された外側環状弁体142及び内側環状弁体144とを有する。
【0048】
円筒部140は、保持部124の外筒及び内筒の間の隙間に嵌合される。外側環状弁体142は円筒部140の下端から、径方向外方に延びる環状に形成されている。外側環状弁体142は、空気ピストン102の空気の流路となる貫通孔102aを開閉する。内側環状弁体144は、円筒部140の下端側から径方向内方に延びる環状に形成されている。内側環状弁体144は、液ピストン104と第1嵌合筒126との間の空気の流路を開閉する。外側環状弁体142及び内側環状弁体144は、ノズル22の移動に伴う空気圧の変化により弾性変形し、空気の流路を開閉する。
【0049】
液ピストン104は、空気ピストン102の内方で、第1嵌合筒126に嵌合される。液ピストン104は、シリンダ26の第1筒52と空気ピストン102とともに空気室210を形成する。また、液ピストン104は、シリンダ26の第2筒54とともに、液室220を形成する。液ピストン104は、ノズル22の往復動にしたがって空気ピストン102と一緒に往復動し、空気室210及び液室220の容積を変化させる。
【0050】
液ピストン104は、筒状体152と、弁座154と、付勢部材114の上端を支持する支持座156と、筒状体152から径方向外方に延出するフランジ158と、を有する。筒状体152、弁座154、支持座156及びフランジ158は、例えば樹脂材料により一体成型される。
【0051】
筒状体152の上端部は、空気ピストン102の第1嵌合筒126に嵌合される。筒状体152の上端部の外周面には、軸心方向に延び、径方向外方に突出する複数のリブ152aを有する。リブ152aは、筒状体152の上端とフランジ158との間に設けられる。リブ152aは、筒状体152の上端部の外周面に周方向に所定間隔で形成されていることが好適である。周方向に隣接するリブ152a間は、液ピストン104の筒状体152の上端部が空気ピストン102の第1嵌合筒126に嵌合された状態において、複数のリブ152aにより、液ピストン104の筒状体152の外周面と、空気ピストン102の第1嵌合筒126との間に、空気の流れを許容する空気通路を形成する。なお、筒状体152が空気通路を形成する複数のリブ152aを有さず、第1嵌合筒126の内側に形成された切欠等によって空気通路が形成される構成であってもよい。
【0052】
筒状体152のフランジ158よりも下方の下端部の外径は、シリンダ26の第2筒54の第2被摺動部72の内径と同じか、第2被摺動部72の内径よりも僅かに大きい。このため、液ピストン104の筒状体152は、液室220を密封しながら、シリンダ26の第2筒54の第2被摺動部72の内周面を摺動する。
【0053】
弁座154は、筒状体152の上端の内周面に設けられる。弁座154は環状に形成される。
【0054】
支持座156は、軸心方向に直交する方向に延びる円環状の座面である。支持座156は、付勢部材114の上端を支持する。支持座156は、液ピストン104の内部に設けられる。例えば、支持座156は、フランジ158と軸心方向で同位置に設けられる。
【0055】
図3及び
図4に示すように、インナーロッド110は、軸体162と、軸体162の上端に設けられた弁体164と、軸体162の下端に設けられた第1係合部166と、を有する。軸体162、弁体164及び第1係合部166は、同軸上にある。また、軸体162、弁体164及び第1係合部166は、樹脂材料により一体成形される。
【0056】
軸体162の外径は、液ピストン104の内径よりも小径に形成される。軸体162は、例えば、第1軸部172と、第2軸部174と、軸径変化部176とを有する。軸体162の第1軸部172は、弁体164に連続する。軸体162の第2軸部174は、第1係合部166に連続する。第1軸部172及び第2軸部174は、円柱状に形成される。軸体162の弁体164に連続する第1軸部172の軸心に直交する断面積は、第1係合部166に連続する第2軸部174の断面積に比べて大きい。軸体162の第1軸部172と第2軸部174との間の断面積が変化する軸径変化部176は、テーパ状に形成されている。軸体162の径が変化する領域は、段差として形成されていてもよい。また、第2軸部174は、軸心方向に延び、径方向に突出する補強部としてのビードやリブ等を有していてもよい。
【0057】
弁体164は、例えばポペット弁として形成される。弁体164の軸心を含む縦断面は、傾斜面を有する略三角錐状又は略V字状に形成される。弁体164は、液ピストン104の弁座154に接離可能である。
【0058】
第1係合部166は、軸体162の第2軸部174に比べて軸心に直交する断面積が大きい。第1係合部166は、円錐状、ドーム状、球状等に形成される。
【0059】
図3及び
図4に示すように、プラグ112は、円筒状のボディ180と、ボディ180の上端の内周面に形成された円形状の開口である第2係合部182と、下端に形成されたフランジ部184と、を有する。ボディ180、第2係合部182及びフランジ部184は、同軸上にある。
【0060】
ボディ180の下端側には、プラグ112の内側と外側とを連通する液体通路となる開口186が複数形成される。開口186は、軸心方向に沿って延びる矩形状に形成される。ボディ180の内径は、第2係合部182の内径よりも大きい。
【0061】
第2係合部182は、ボディ180の上端にもうけられ、インナーロッド110の第1係合部166が嵌入され、そして、軸心方向において、インナーロッド110及びプラグ112が離れる方向で第1係合部166と係合する円環状に開口する部位である。
【0062】
フランジ部184は、プラグ用座部74の座面74aに支持される。フランジ部184の外径はシリンダ26の第2筒54の内径よりも小さい。フランジ部184の外径は、第2筒54の第2環状部76の弁座76aの内径よりも大きい。このため、プラグ112は、フランジ部184を下側にして、プラグ用座部74に支持される。
【0063】
次に、このように構成されたポンプディスペンサ3のノズル22に形成される吐出孔48d及び混合室136に形成される連通孔138の具体例を説明する。
【0064】
例えば、吐出孔48dは、連通孔138の二次側におけるノズル22の流路22aにおいて、最も小さい流路断面積に形成される。また、ノズル22の流路22aのうち、連通孔138の二次側から吐出孔48dまでの間で最も流路断面積の小さい箇所を基準部位22bとしたときに、吐出孔48dの流路断面積は、基準部位22bの流路断面積よりも小さい。本実施形態において、基準部位22bは、内筒42内の第1流路22a1及び吐出筒46内の第2流路22a2が交わる部位である。
【0065】
具体例として、吐出孔48dの流路断面積は、基準部位22bの流路断面積に対して、0.5%~40%の範囲に設定される。より好ましくは、吐出孔48dの流路断面積は、基準部位22bの流路断面積に対して、0.5%~20%の範囲に設定される。
【0066】
また、吐出孔48dは、連通孔138と同じか、又は、連通孔138よりも小さい。換言すると、吐出孔48dの流路断面積は、連通孔138の流路断面積以下である。本実施形態の例において、吐出孔48dが形成される底壁部48bの厚さは、0.8mmであり、連通孔138が形成される壁の厚さ1.0mmである。
【0067】
連通孔138の流路断面積は、基準部位22bの流路断面積よりも小さい。具体例として、吐出孔48dの流路断面積は、基準部位22bの流路断面積に対して、2%~60%の範囲に設定される。より好ましくは、吐出孔48dの流路断面積は、基準部位22bの流路断面積に対して、2%~40%の範囲に設定される。
【0068】
また、吐出筒46内の第2流路22a2の流路断面積は、基準部位22b(第2流路22a2の一次側)から吐出孔48dまで漸次増加する。また、第2流路22a2の一部となるノズルチップ48の周壁部48a内の流路断面積は、吐出孔48d側からノズルチップ48(吐出筒46の先端)の先端まで、漸次増加する。
【0069】
このように構成された吐出容器1は、ノズル22内の流路22aに流路22aの流路断面積よりも小さい流路断面積となる吐出孔48dを有する。吐出容器1は、メッシュホルダ(多孔体)24を通過した泡状の液状体400の圧力を吐出孔48dにより増加させることで、泡質を維持したまま、泡状の液状体400の吐出距離を伸長することが可能となる。これにより、吐出容器1は、ノズル22から離れたターゲットへ泡状の液状体400を付着させることができる。
【0070】
また、吐出容器1は、メッシュホルダ24の一次側であって、混合室136の二次側に連通孔138を有する。これにより、吐出容器1は、泡状の液状体400の吐出距離をより向上させることができる。また、吐出容器1は、吐出孔48dを吐出筒46の先端から吐出筒46の内筒42と連続する端部までの間に設けることで、泡状の液状体400の吐出距離を向上させることができる。また、吐出容器1は、吐出孔48dを先端よりも内側に設けることで、吐出孔48dの先端に吐出孔48dを設ける構成に比べて、泡状の液状体400の吐出距離をさらに向上させることができる。
【0071】
また、ノズル22は、吐出孔48dの二次側の第2流路22a2の流路断面積、即ち、周壁部48aの内径を、吐出孔48d側である底壁部48bの主面から吐出筒46の先端に向かって漸次増加する形状である。これにより、吐出孔48dを通過した泡状の液状体400は、吐出時に周壁部48aの内面に接触することを防止できるため、吐出時に周壁部48aに接触することによる吐出距離の減少を防止できる。
【0072】
[吐出容器1の評価試験]
次に、このように構成された吐出容器の評価試験及び評価結果を、以下に説明する。なお、評価試験は本実施形態の効果をより具体的に説明するためのものであり、本発明の範囲は、以下の例に限定されるものではない。
【0073】
[第1評価試験]
第1評価試験として、液状体400の吐出量(g)の異なる3種類のポンプディスペンサ3を用いて、吐出孔48dの有無、及び、吐出孔48dの孔径(mm)に対する泡状の液状体100の吐出距離(mm)の評価を行った。
【0074】
ポンプディスペンサ3は、吐出量が0.95g、0.80g、0.45gの3種類を用いた。ここで、吐出量が0.95gのポンプディスペンサ3をポンプA、吐出量が0.80gのポンプディスペンサ3をポンプB、吐出量が0.45gのポンプディスペンサをポンプCとして、以下説明する。なお、ポンプA~Cは、シリンダ26の及びピストンユニット28の径を異ならせ、ピストンユニット28(ノズル22)のストローク量は同じとすることで、吐出量を異ならせた。
【0075】
また、実施例として、ポンプA~Cのそれぞれにおいて、吐出孔48dの孔径を1.0mm、2.0mm、3.0mmとし、吐出孔48dの軸方向の長さをそれぞれ0.8mmとした3種類のノズルチップ48を用いた。また、比較例として、従来技術のポンプディスペンサのように吐出孔48dが無いポンプA~Cを用いた。ここで、吐出孔48dが無いポンプA~Cとは、吐出筒46内にノズルチップ48を有さないポンプA~Cである。ポンプA~Cのいずれにおいても、混合室136の内径を6.4mmとし、連通孔138の孔径を2.0mmとし、連通孔138の軸方向の長さを1.0mmとした。
【0076】
また、使用する液状体400は、界面活性剤として、モノゲン Y-500T(第一工業製薬株式会社製)(登録商標)を用いた。
【0077】
そして、ポンプA~Cのノズル22を50mm/secで操作し、泡状の液状体400の吐出距離をそれぞれ3回測定し、平均値を求めた。
【0078】
[第1評価試験の結果]
図11に、第1評価試験の結果を示す。先ず、ポンプAにおける第1評価試験の結果を説明する。比較例として、吐出孔48dを有さないポンプAにおいては、泡状の液状体400の吐出距離は140mmであった。これに対し、実施例として、吐出孔48dを有するポンプAにおいては、吐出孔48dの孔径が1.0mmの場合に、吐出距離は1275mmであり、吐出孔48dの孔径が2.0mmの場合に、吐出距離は1156mmであり、吐出孔48dの孔径が3.0mmの場合に、吐出距離は493mmであった。
【0079】
このことからも明らかなように、吐出孔48dを有するポンプAにおいては、吐出孔48dが無いポンプAに比較して、泡状の液状体400の吐出距離が伸長することが明らかとなった。なお、吐出孔48dの孔径が大きくなるにつれて、吐出距離が小さくなることも明らかとなった。このため、吐出孔48dの孔径を調整することで、吐出距離を調整することが可能であることも明らかとなった。
【0080】
次に、ポンプBにおける第1評価試験の結果を説明する。比較例として、吐出孔48dを有さないポンプBにおいては、泡状の液状体400の吐出距離は112mmであった。これに対し、実施例として、吐出孔48dを有するポンプBにおいては、吐出孔48dの孔径が1.0mmの場合に、吐出距離は1597mmであり、吐出孔48dの孔径が2.0mmの場合に、吐出距離は1563mmであり、吐出孔48dの孔径が3.0mmの場合に、吐出距離は760mmであった。
【0081】
このことからも明らかなように、吐出孔48dを有するポンプBにおいては、吐出孔48dが無いポンプBに比較して、泡状の液状体400の吐出距離が伸長することが明らかとなった。なお、吐出孔48dの孔径が1.0mmから3.0mmになるにつれて、吐出距離が小さくなることも明らかとなった。このため、吐出孔48dの孔径を調整することで、吐出距離を調整することが可能であることも明らかとなった。
【0082】
次に、ポンプCにおける第1評価試験の結果を説明する。比較例として、吐出孔48dを有さないポンプCにおいては、泡状の液状体400の吐出距離は100mmであった。これに対し、実施例として、吐出孔48dを有するポンプCにおいては、吐出孔48dの孔径が1.0mmの場合に、吐出距離は1778mmであり、吐出孔48dの孔径が2.0mmの場合に、吐出距離は802mmであり、吐出孔48dの孔径が3.0mmの場合に、吐出距離は157mmであった。
【0083】
このことからも明らかなように、吐出孔48dを有するポンプCにおいては、吐出孔48dが無いポンプCに比較して、泡状の液状体400の吐出距離が伸長することが明らかとなった。なお、吐出孔48dの孔径が1.0mmから3.0mmになるにつれて、吐出距離が小さくなることも明らかとなった。このため、吐出孔48dの孔径を調整することで、吐出距離を調整することが可能であることも明らかとなった。
【0084】
また、ポンプA~Cの評価試験の結果からも明らかなように、吐出孔48dを設けることで、ポンプディスペンサ3の吐出量に関わらず、泡状の液状体400の吐出距離を伸長することができるとともに、吐出孔48dの孔径によって吐出距離を調整できることが明らかとなった。なお、ポンプCにおいては、吐出孔48dの孔径が3.0mmの場合には、吐出孔48dが無い場合と比較して吐出距離が50mmしか伸長しておらず、また、ポンプA~Cのいずれにおいても、吐出孔48dの孔径が2.0mmと3.0mmとにおいて、吐出距離の差が大きい。よって、吐出距離を確保したい場合においては、吐出孔48dの孔径は、3.0mm以下が好ましく、2.0mm以下であることがより好ましいことが分かる。但し、吐出孔48dを設ける構成とすることで、吐出孔48dを有さない構成に比べて吐出距離が伸びることから、所望の吐出距離によっては、吐出孔3.0mm以上であってもよい。
【0085】
[第2評価試験]
第2評価試験として、液状体400の吐出量(g)の異なる3種類のポンプA~Cを用いて、吐出孔48dの孔径(mm)に対する泡状の液状体100の泡密度(g/cm3)の評価を行った。
【0086】
第2評価試験は、第1評価試験と同じポンプA~Cを用いるとともに、ポンプA~Cのそれぞれにおいて、吐出孔48dの孔径を1.0mm、2.0mm、3.0mmとし、吐出孔48dの軸方向の長さをそれぞれ0.8mmとした3種類のノズルチップ48を用いた。
【0087】
また、使用する液状体400は、界面活性剤として、モノゲン Y-500T(第一工業製薬株式会社製)(登録商標)を用いた。
【0088】
そして、ポンプA~Cのノズル22を50mm/secで操作し、内容積を測定した所定の容器に泡状の液状体400をすり切り一杯まで入れ、その重さをそれぞれ3回測定し、平均値を求めた。
【0089】
なお、ポンプA~Cの吐出量から、ポンプAにおける泡密度の規格値は、0.095g/cm3±0.015g/cm3であり、ポンプBにおける泡密度の規格値は、0.08g/cm3±0.015g/cm3であり、ポンプCにおける泡密度の規格値は、0.045g/cm3±0.015g/cm3である。
【0090】
[第2評価試験の結果]
図12に、第2評価試験の結果を示す。吐出孔48dを有するポンプAにおいては、吐出孔48dの孔径が1.0mmの場合の泡密度は0.1046g/cm
3であり、吐出孔48dの孔径が2.0mmの場合の泡密度は0.1017g/cm
3であり、吐出孔48dの孔径が3.0mmの場合の泡密度は0.1001g/cm
3であった。
【0091】
吐出孔48dを有するポンプBにおいては、吐出孔48dの孔径が1.0mmの場合の泡密度は0.0846g/cm3であり、吐出孔48dの孔径が2.0mmの場合の泡密度は0.0805g/cm3であり、吐出孔48dの孔径が3.0mmの場合の泡密度は0.0804g/cm3であった。
【0092】
吐出孔48dを有するポンプCにおいては、吐出孔48dの孔径が1.0mmの場合の泡密度は0.0490g/cm3であり、吐出孔48dの孔径が2.0mmの場合の泡密度は0.0496g/cm3であり、吐出孔48dの孔径が3.0mmの場合の泡密度は0.0466g/cm3であった。
【0093】
ポンプA~Cのいずれの吐出孔48dの孔径においても、泡密度は、規格値の範囲であり、このことからも明らかなように、吐出孔48dを設けても、泡状の液状体400の泡質は、好適な泡質であり、泡質の安定性を確保できることが明らかとなった。
【0094】
[第3評価試験]
第3評価試験として、ポンプディスペンサ3を用い、連通孔138の有無に対する泡状の液状体100の吐出距離(mm)の評価を行った。
【0095】
ポンプディスペンサ3は、吐出量が0.95gの2つのポンプAを用い、吐出孔48dの孔径(mm)を1.0mmとし、混合室136の内径を6.4mmとし、一方のポンプA(連通孔有り)は、連通孔138の孔径を2.0mmとし、他方のポンプA(連通孔無し)は、連通孔138を有さずに、混合室136の上端が混合室136の内径と同径(6.4mm)で開口する(即ち、混合室136が上壁を有さない)構成とした。
【0096】
また、使用する液状体400は、界面活性剤として、モノゲン Y-500T(第一工業製薬株式会社製)(登録商標)を用いた。
【0097】
そして、ポンプA~Cのノズル22を50mm/secで操作し、泡状の液状体400の吐出距離をそれぞれ3回測定し、平均値を求めた。
【0098】
[第3評価試験の結果]
図13に、第3評価試験の結果を示す。連通孔138を有するポンプAにおいては、泡状の液状体400の吐出距離は1424mmであった。これに対し、連通孔138を有さないポンプAでは、泡状の液状体400の吐出距離は1166mmであった。
【0099】
このことからも明らかなように、混合室136の二次側であって、且つ、メッシュホルダ24の一次側に連通孔138を有する構成とすることで、液状の液状体400の吐出距離を伸長することが可能であることが明らかとなった。これは、混合室136を通過し、メッシュホルダ24に浸入する空気が混合された液状体400の速度が向上することから、液状体400の圧力及び速度が増加するためである。
【0100】
[第4評価試験]
第4評価試験として、ポンプディスペンサ3を用い、吐出孔48dの位置に対する泡状の液状体100の吐出距離(mm)の評価を行った。
【0101】
ポンプディスペンサ3は、吐出量が0.95gの2つのポンプAを用い、吐出孔48dの孔径(mm)を1.0mmとし、混合室136の内径を6.4mmとし、連通孔138の孔径を2.0mmとし、一方のポンプAは、吐出孔48dを吐出筒46(第2流路22a2)の先端とし、他方のポンプAは、吐出孔48dを吐出筒46(第2流路22a2)の先端よりも内側(第2流路22a2の中途部)として、吐出筒46の基準部位22b(第1流路22a1と第2流路22a2の境界)に設けた。
【0102】
また、使用する液状体400は、界面活性剤として、モノゲン Y-500T(第一工業製薬株式会社製)(登録商標)を用いた。
【0103】
そして、ポンプA~Cのノズル22を50mm/secで操作し、泡状の液状体400の吐出距離をそれぞれ3回測定し、平均値を求めた。
【0104】
[第4評価試験の結果]
図14に、第4評価試験の結果を示す。吐出筒46の先端に吐出孔48dを設けたポンプAにおいては、泡状の液状体400の吐出距離は1424mmであった。これに対し、吐出筒46の中途部に吐出孔48dを設けたポンプAにおいては、泡状の液状体400の吐出距離は1478mmであった。
【0105】
このことからも明らかなように、吐出孔48dは、吐出筒46の先端よりも内側に設けることで、泡状の液状体400の吐出距離を伸長することが可能であることが明らかとなった。
【0106】
上述したように、実施形態に係る吐出容器1によれば、吐出孔48dがノズル22に形成された吐出容器1によれば、泡質の安定性を保ちつつ、吐出する泡の飛距離を向上させることができることが明らかである。
【0107】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されない。例えば、上述した例では、吐出孔48dは、軸方向で一定の内径を有する開口であることを説明したが、吐出孔48dはこれに限定されない。例えば、吐出孔48dは、
図15に示す変形例のように、吐出孔48dは、軸方向で径が異なる開口であってもよい。例えば、
図15の例において、吐出孔48dは、吐出孔48dの軸方向で中央側が最も小さい径(幅)となる形状であるが、例えば、軸方向でいずれか一方側が最も小さくなる形状であってもよい。
【0108】
また、上述した例では、ノズル22に設けられる吐出孔48dは、ノズルチップ48に設けられる構成を説明したがこれに限定されない。即ち、吐出孔48dは、ノズル22の吐出筒46の内周面を突出させることで、吐出筒46に一体成形されていてもよく、また、オリフィスプレート等の吐出孔48dが形成された部材を吐出筒46(ノズル22)にインサート成形により設けても良い。また、吐出孔48dの周囲の壁は、吐出孔48d(第2流路22a2)の軸方向に直交する方向に延びる例を説明したがこれに限定されず、吐出孔48d(第2流路22a2)の軸方向に対して傾斜する形状であってもよい。
【0109】
また、上述した例では、吐出容器1は、液状体400を泡状として吐出する例を説明したが、泡状とならない液状体400を用い、液状のまま液状体400を吐出する構成であっても、飛距離を向上させる効果が得られる。
【0110】
即ち、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わせた効果が得られる。更に、上記実施形態には種々の発明が含まれており、開示される複数の構成要件から選択された組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、課題が解決でき、効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【符号の説明】
【0111】
1…吐出容器、2…容器体、3…ポンプディスペンサ、4…管体、12…本体、14…固定部、14a…雄ネジ部、20…支持部、22…ノズル、22a…流路、22a1…第1流路、22a2…第2流路、22b…基準部位、24…メッシュホルダ(多孔体)、24a…ボディ、24b…網、24c…網、26…シリンダ、28…ピストンユニット、30…球状弁体、32…ノズル案内筒、34…被固定部、34a…雌ネジ部、42…内筒、44…外筒、46…吐出筒、46a…係合部、48…ノズルチップ、48a…周壁部、48b…底壁部、48c…被係合部、48d…吐出孔、52…第1筒(空気シリンダ)、54…第2筒(液シリンダ、56…取付筒、62…第1被摺動部、62b…貫通孔、64…固定端、64a…パッキン、66…第1環状部、72…第2被摺動部、74…プラグ用座部、74a…座面、76…第2環状部、76a…弁座、100…液状体、102…空気ピストン、102a…貫通孔、104…液ピストン、106…空気室用弁体、110…インナーロッド、112…プラグ、114…付勢部材、122…胴部、124…保持部、126…第1嵌合筒、128…第2嵌合筒、136…混合室、136a…内面、138…連通孔、140…円筒部、142…外側環状弁体、144…内側環状弁体、152…筒状体、152a…リブ、154…弁座、156…支持座、158…フランジ、158a…切欠、162…軸体、164…弁体、166…第1係合部、172…第1軸部、174…第2軸部、176…軸径変化部、180…ボディ、182…第2係合部、184…フランジ部、186…開口、210…空気室、220…液室、400…液状体。