(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024106652
(43)【公開日】2024-08-08
(54)【発明の名称】紙葉類処理装置
(51)【国際特許分類】
G07D 11/12 20190101AFI20240801BHJP
G07D 11/40 20190101ALI20240801BHJP
G07D 11/18 20190101ALI20240801BHJP
【FI】
G07D11/12
G07D11/40
G07D11/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023011025
(22)【出願日】2023-01-27
(71)【出願人】
【識別番号】000001432
【氏名又は名称】グローリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】南 喜智
(72)【発明者】
【氏名】狩野 彩
【テーマコード(参考)】
3E141
【Fターム(参考)】
3E141AA01
3E141BA08
3E141FC03
3E141FC05
3E141FG07
3E141FG11
(57)【要約】
【課題】小型化され、さらに、シンプルな制御で識別結果に応じた搬送をすることができる紙葉類処理装置を提供する。
【解決手段】紙葉類処理装置は、紙葉類を受け入れる入金口と、紙葉類を排出する出金口と、入金口と出金口との間で紙葉類を搬送する搬送機構と、紙葉類を識別する識別部と、紙葉類を収納する少なくとも1つのリサイクル庫と、を有し、搬送機構は、入金口から受け入れた紙葉類を下方に搬送する第1搬送機構と、第1搬送機構と出金口とを接続し第1搬送機構から搬送された紙葉類を上方に搬送する第2搬送機構と、を含み、識別部は、第1搬送機構によって紙葉類が搬送される搬送経路上に配置され、少なくとも1つのリサイクル庫は、第2搬送機構に接続される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙葉類を受け入れる入金口と、
紙葉類を排出する出金口と、
前記入金口と前記出金口との間で紙葉類を搬送する搬送機構と、
紙葉類を識別する識別部と、
紙葉類を収納する少なくとも1つのリサイクル庫と、を有し、
前記搬送機構は、前記入金口から受け入れた紙葉類を下方に搬送する第1搬送機構と、前記第1搬送機構と前記出金口とを接続し前記第1搬送機構から搬送された紙葉類を上方に搬送する第2搬送機構と、を含み、
前記識別部は、前記第1搬送機構によって前記紙葉類が搬送される搬送経路上に配置され、
前記少なくとも1つのリサイクル庫は、前記第2搬送機構に接続される、
紙葉類処理装置。
【請求項2】
前記識別部と前記少なくとも1つのリサイクル庫は、高さ方向の異なる位置に配置される、
請求項1に記載の紙葉類処理装置。
【請求項3】
前記識別部は、前記少なくとも1つのリサイクル庫より高い位置に配置される、
請求項2に記載の紙葉類処理装置。
【請求項4】
前記第2搬送機構から水平方向へ分岐して紙葉類を搬送する3方向分岐機構を有し、前記3方向分岐機構は前記少なくとも1つのリサイクル庫のうちの1つへ接続される、
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の紙葉類処理装置。
【請求項5】
前記入金口、前記出金口、前記搬送機構、前記識別部、前記少なくとも1つのリサイクル庫のいずれよりも下方に、出金に用いない紙葉類を収納する回収庫をさらに有する、
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の紙葉類処理装置。
【請求項6】
前記第1搬送機構が奥側に、前記第2搬送機構が手前側に配置される、
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の紙葉類処理装置。
【請求項7】
前記入金口と前記第1搬送機構とを接続する水平搬送機構をさらに有する、
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の紙葉類処理装置。
【請求項8】
前記少なくとも1つのリサイクル庫と前記第2搬送機構の間に、前記紙葉類を分岐する3方向分岐機構をさらに有する、
請求項1乃至7のいずれか1項に記載の紙葉類処理装置。
【請求項9】
前記3方向分岐機構による前記紙葉類の分岐は、先に搬送された紙葉類の通過を検知したことに応じて、次の紙葉類の搬送先に基づいて分岐を切り替える、
請求項8に記載の紙葉類処理装置。
【請求項10】
複数のリサイクル庫を有し、前記複数のリサイクル庫はそれぞれ、1つの前記3方向分岐機構と接続し、前記第2搬送機構に接続される、
請求項4に記載の紙葉類処理装置。
【請求項11】
前記1つのリサイクル庫に保管された紙葉類の精査を行うときに、前記1つのリサイクル庫から前記紙葉類を1枚繰り出して前記識別部に搬送し、前記紙葉類が前記識別部を通過した後に前記紙葉類の搬送を停止させる制御部、を有する
請求項1乃至10のいずれか1項に記載の紙葉類処理装置。
【請求項12】
前記少なくとも1つのリサイクル庫を含む複数の収納庫と、制御部を有し、
前記制御部は、
前記少なくとも1つのリサイクル庫のうちの第1のリサイクル庫に第1金種及び第2金種の紙葉類を収納可能とし、
前記入金口から前記第2金種の紙葉類が挿入されたときに、前記第1のリサイクル庫の先頭に前記第2金種の紙葉類が所定枚数以上収納されている場合は、前記挿入された第2金種の紙葉類を出金に用いない前記紙葉類を収納する回収庫へ搬送させる、
請求項1乃至10のいずれか1項に記載の紙葉類処理装置。
【請求項13】
前記制御部は、前記出金口へ前記紙葉類を出金するときに、前記第1のリサイクル庫から出金に不要な金種の紙葉類を前記第1のリサイクル庫とは異なる収納庫へ搬送する、請求項12に記載の紙葉類処理装置。
【請求項14】
前記第1のリサイクル庫とは異なる収納庫は、出金に用いない前記紙葉類を収納する回収庫である、
請求項13に記載の紙葉類処理装置。
【請求項15】
前記第1のリサイクル庫とは異なる収納庫は、第3金種をリサイクル可能に保管する第2のリサイクル庫である、
請求項14に記載の紙葉類処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、紙葉類処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、紙幣等の紙葉類の入出金処理を行う入出金装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1の入出金装置は、入金部及び出金部を含む操作部、紙幣搬送部、紙幣鑑別部、スタッカ、回収庫を有する。紙幣搬送部には、入金部から挿入された紙幣が紙幣鑑別部を通って装置の最下部へ設けられた回収庫へ繋がり、さらに、回収庫から上部のスタッカへ延びる紙幣搬送経路が含まれている。紙幣搬送経路は、入金部と紙幣鑑別部の間で分岐して、出金部へ延びている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の入出金装置は、入金された紙幣が搬送される紙幣搬送方向において、紙幣鑑別部より手前(上流側)に、スタッカに紙幣を搬送するか出金部へ紙幣を搬送するか分岐するための分岐点を設け、分岐点以降で、スタッカが接続され、上部へ延びる搬送部は出金部と直接、接続されていない。そのため、装置が大型になってしまう。
【0005】
また、シンプルな制御で識別結果に応じた搬送をすることができる紙葉類処理装置が求められている。
【0006】
本開示は、上記に鑑みてなされたものであって、小型化され、さらに、シンプルな制御で識別結果に応じた搬送をすることができる紙葉類処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本開示にかかる紙葉類処理装置は、紙葉類を受け入れる入金口と、紙葉類を排出する出金口と、入金口と出金口との間で紙葉類を搬送する搬送機構と、紙葉類を識別する識別部と、紙葉類を収納する少なくとも1つのリサイクル庫と、を有し、搬送機構は、入金口から受け入れた紙葉類を下方に搬送する第1搬送機構と、該第1搬送機構と出金口とを接続し第1搬送機構から搬送された紙葉類を上方に搬送する第2搬送機構と、を含み、識別部は、第1搬送機構によって紙葉類が搬送される搬送経路上に配置され、少なくとも1つのリサイクル庫は、第2搬送機構に接続されるように構成されている。
【0008】
識別部と少なくとも1つのリサイクル庫は、高さ方向の異なる位置に配置されてもよい。
【0009】
識別部は、少なくとも1つのリサイクル庫より高い位置に配置されてもよい。
【0010】
第2搬送機構から水平方向へ分岐して紙葉類を搬送する3方向分岐機構を有し、前記3方向分岐機構は少なくとも1つのリサイクル庫のうちの1つへ接続されてもよい。
【0011】
入金口、出金口、搬送機構、識別部、少なくとも1つのリサイクル庫のいずれよりも下方に、出金に用いない紙葉類を収納する回収庫をさらに有してもよい。
【0012】
第1搬送機構が奥側に、第2搬送機構が手前側に配置されてもよい。
【0013】
入金口と第1搬送機構とを接続する水平搬送機構をさらに有してもよい。
【0014】
少なくとも1つのリサイクル庫と第2搬送機構の間に、紙葉類を分岐する3方向分岐機構をさらに有してもよい。
【0015】
3方向分岐機構による紙葉類の分岐は、先に搬送された紙葉類の通過を検知したことに応じて、次に搬送される紙葉類の搬送先に基づいて分岐を切り替える方法により行われてもよい。紙葉類の通過の検知は、搬送機構に設けられたセンサが紙葉類により遮光されたあと、再度、透光されたことに応じて、紙葉類の後端が通過したことを検知する。
【0016】
複数のリサイクル庫を有し、複数のリサイクル庫は、それぞれ、1つの前記3方向分岐機構と接続し、第2搬送機構に接続されてもよい。
【0017】
リサイクル庫に保管された紙葉類の精査を行うときに、リサイクル庫から紙葉類を1枚繰り出して識別部に搬送し、紙葉類が識別部を通過した後に紙葉類の搬送を停止させる制御部、を有してもよい。第1搬送機構は、入金口と識別部を接続する第3搬送機構を含み、制御部は、紙葉類が識別部を通過した後に第3搬送機構の駆動を停止させてもよい。
【0018】
駆動系は、入金口から識別部に搬送する第3搬送機構と、識別部と識別部から収納部までの第4搬送機構とで分割してもよい。
【0019】
制御部は、リサイクル庫に保管されている紙葉類の精査処理のとき、収納部から識別部、識別部から入金口方向に各搬送機構を駆動して、識別部を通過した後に、第3搬送機構の駆動を停止させてもよい。このとき、第4搬送機構の駆動は継続してもよい。制御部は、識別結果を受け取った後に、再度、第3搬送機構を駆動させて、所定の搬送先に紙幣を搬送させてもよい。
【0020】
制御部は、第1リサイクル庫に保管された紙葉類の精査を行うときに、第1リサイクル庫から紙葉類を1枚繰り出して識別部に搬送し、紙葉類が識別部を通過した後に紙葉類の搬送を停止させてもよい。
【0021】
少なくとも1つのリサイクル庫を含む複数の収納庫と、制御部を有し、制御部は、少なくとも1つのリサイクル庫のうちの第1のリサイクル庫に第1金種及び第2金種の紙葉類を収納可能とし、入金口から第2金種の紙葉類が挿入されたときに、第1のリサイクル庫の先頭に第2金種の紙葉類が所定枚数以上収納されている場合は、挿入された第2金種の紙葉類を出金に用いない前記紙葉類を収納する回収庫へ搬送させてもよい。
【0022】
制御部は、出金口へ紙葉類を出金するときに、第1のリサイクル庫から出金に不要な金種の紙葉類を第1のリサイクル庫とは異なる収納庫へ搬送してもよい。このとき、第1のリサイクル庫とは異なる収納庫は、回収庫であってもよい。
【0023】
前記第1のリサイクル庫とは異なる収納庫は、出金に用いない前記紙葉類を収納する回収庫であってもよい。
【0024】
第1のリサイクル庫とは異なる収納庫は、第3金種をリサイクル可能に保管する第2のリサイクル庫であってもよい。
【0025】
制御部は、少なくとも1つのリサイクル庫のうちの第1のリサイクル庫に第1金種及び第2金種の紙葉類を収納可能とし、少なくとも1つのリサイクル庫のうちの他のリサイクル庫に第2金種及び第3金種の紙葉類を収納可能とし、入金口から第2金種の紙葉類が挿入されたときに、第1のリサイクル庫の先頭に第2金種の紙葉類が収納されておらず、かつ、他のリサイクル庫の先頭に第2金種の紙葉類が収納されている場合は、挿入された第2金種の紙葉類を他のリサイクル庫へ搬送させてもよい。制御部は、第1および第2のリサイクル庫の先頭に収納されている第2金種の紙葉類の合計が所定枚数以上の場合に、入金された第2金種の紙葉類を回収庫に搬送させてもよい。制御部は、第2のリサイクル庫から出金口へ紙葉類を出金するときに、第2のリサイクル庫から出金に不要な金種の紙葉類を第2のリサイクル庫とは異なる収納庫へ搬送させてもよい。
【0026】
制御部は、出金口へ紙葉類のうち第2金種を出金するときに、第1のリサイクル庫、又は、他のリサイクル庫から第2金種の紙葉類を出金口へ搬送させてもよい。
【0027】
制御部は、出金口へ紙葉類のうち第2金種を出金するときに、複数のリサイクル庫のうち、先頭の第2金種が多い方のリサイクル庫から出させてもよい。
【0028】
第1金種が第3金種より出金の頻度が高い金種である場合、制御部は、出金口へ紙葉類のうち第2金種を出金するときに、複数のリサイクル庫のうち、第3金種が収納される他のリサイクル庫から先に第2金種の紙葉類を出させてもよい。
【発明の効果】
【0029】
本開示によれば、紙葉類処理装置を小型化することができ、かつ、シンプルな制御で識別結果に応じた搬送をすることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】第1の実施の形態に係る紙葉類処理装置の基本構成を示す図である。
【
図2】紙葉類処理装置の内部構成を示す側面図である。
【
図3】紙葉類処理装置の機能構成を表すブロック図である。
【
図4】紙葉類処理装置の駆動系の分割例を示す図である。
【
図5】第2の実施の形態に係る紙葉類処理装置の駆動系の分割例を示す図である。
【
図6】分岐機構の切り替えのタイミングを説明する図である。
【
図7】第2の実施の形態に係る紙葉類処理装置を用いた紙幣の入金方法を示すフローチャートである。
【
図8A】第2の実施の形態に係る紙葉類処理装置を用いた紙幣の出金方法を示すフローチャートである。
【
図8B】第2の実施の形態に係る紙葉類処理装置を用いた紙幣の出金方法を示すフローチャートである。
【
図9】出金処理を行った場合に、紙幣がどのように搬送されるか一例を示す図である。
【
図10A】第3の実施の形態に係る紙葉類処理装置を用いた紙幣の出金方法を示すフローチャートである。
【
図10B】第3の実施の形態に係る紙葉類処理装置を用いた紙幣の出金方法を示すフローチャートである。
【
図11】出金処理を行った場合に、紙幣がどのように搬送されるか一例を示す図である。
【
図12A】第4の実施の形態に係る紙葉類処理装置を用いた紙幣の入金方法を示すフローチャートである。
【
図12B】第4の実施の形態に係る紙葉類処理装置を用いた紙幣の入金方法を示すフローチャートである。
【
図13A】第4の実施の形態に係る紙葉類処理装置を用いた紙幣の出金方法を示すフローチャートである。
【
図13B】第4の実施の形態に係る紙葉類処理装置を用いた紙幣の出金方法を示すフローチャートである。
【
図14】出金処理を行った場合に、紙幣がどのように搬送されるか一例を示す図である。
【
図15】センサによる紙幣の左右寄り検知を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、添付図を参照して、本開示の紙葉類処理装置を実施するための形態について説明する。
【0032】
(第1の実施の形態)
第1の実施の形態について、添付図を参照して説明する。
図1は、第1の実施の形態に係る紙葉類処理装置の基本構成を示す図であり、
図2は、紙葉類処理装置の内部構成を示す図であり、
図3は、紙葉類処理装置の機能構成を表すブロック図である。なお、
図1及び
図2の矢印は、入金処理または出金処理のときに、紙葉類が実際に移動する流れを示している。
【0033】
紙葉類処理装置1は、紙幣等の紙葉類の入金処理、出金処理、及び、精査処理を行う。以後、紙葉類が紙幣の場合について説明する。なお、紙葉類処理装置1は、数種類の紙幣を入金処理することが可能であるが、出金処理することが可能なリサイクル紙幣は2種類(2金種設定)となっている。リサイクル設定されていない金種の紙幣も入金可能であって、リサイクル設定されていない金種の紙幣が入金されると、回収庫に直接搬送される。
【0034】
紙葉類処理装置1は、筐体2、入金口部3、搬送機構4、識別部5、搬送機構6、回収庫7、搬送機構8、搬送機構9、分岐機構10、分岐機構11、分岐機構12、搬送機構13、出金口部14、第1リサイクル庫15、第2リサイクル庫16、制御部18、及び、記憶部19を備えている。回収庫7、第1リサイクル庫15、および、第2リサイクル庫16をまとめて収納部17と称する。
【0035】
筐体2は、紙葉類処理装置1を構成する部分を収容し、略直方体形状を有する。
【0036】
入金口部3は、紙幣を受け入れる部分である。入金口部3は、筐体2の前面上部(
図2の右側上部)に設けられる。入金口部3は、紙幣を一枚ずつ装置内に取り込む機構を有している。ユーザーは、入金口部3に、紙幣を投入する。
【0037】
搬送機構4は、入金口部3に投入された紙幣を識別部5に搬送する。搬送機構4は、入金口部3の後方、かつ、入金口部3とほぼ同じ高さの位置に設けられる。搬送機構4は、入金口部3からの紙幣を水平に搬送した後、筐体2の背面付近で搬送方向を変え、下方に配置される識別部5に垂直に搬送する。
【0038】
搬送機構4は、多数のローラ、複数のベルト、これらを駆動するモータ、及び、複数のガイドの組み合わせによって構成されている。なお、搬送機構4において紙幣を水平に搬送する部分は、水平搬送機構を構成する。搬送機構4において紙幣を垂直に搬送する部分は、第1搬送機構の一部を構成する。
【0039】
識別部5は、搬送機構4から搬送される紙幣を識別する。識別部5は、筐体2の背面、かつ、第2リサイクル庫16の上方に設けられる。識別部5は、画像センサ、光学センサ、磁気センサ等のセンサの少なくともいずれかを有し、紙幣の一枚一枚について画像を取得することにより、真偽、及び、金種等を識別する。識別部5は、また、紙幣の記番号を取得する。さらに、紙幣の正損を識別できてもよい。
【0040】
搬送機構6は、識別部5から搬送される紙幣を下方に、具体的には、回収庫7、搬送機構8へ搬送する。なお、回収庫7、又は、搬送機構8への紙幣の搬送の切り替えは、搬送機構6に設けられた分岐機構10により行われる。
【0041】
搬送機構6は、筐体2の背面側で、識別部5の下方、かつ、回収庫7の上方に設けられる。搬送機構6は、複数のローラ、複数のベルト、これらを駆動するモータ、及び、複数のガイドの組み合わせによって構成されている。なお、搬送機構6は、第1搬送機構の一部を構成する。なお、搬送機構6は、下方から上方へ紙幣を搬送することもできる。
【0042】
回収庫7は、識別部5を経由して搬送機構6から搬送される、リサイクルに用いない紙幣を回収する。ここで、リサイクルに用いない紙幣は、第1リサイクル庫15及び第2リサイクル庫16で保管して繰り出すように設定されていない種類の紙幣、第1リサイクル庫15及び第2リサイクル庫16で既に設定枚数保管されており、これ以上保管する必要のない、または保管できない紙幣等である。損傷している紙幣が判断できる場合は、それらを回収庫に搬送してもよい。第1リサイクル庫15及び第2リサイクル庫16で保管して繰り出すように設定されていない種類の紙幣には、例えば、釣銭に使えない高額金種の紙幣が含まれる。また、操作端末などを介したユーザーからの回収指示に応答して、第1リサイクル庫15、第2リサイクル庫16から繰り出されたすべての紙幣、もしくは、指定された金額に対応する一部の紙幣を回収するときにも、回収庫7が用いられる。回収庫7は、紙葉類を収納する収納庫の一例である。
【0043】
回収庫7は、筐体2の一番下の部分に設けられる。すなわち、回収庫7は、全ての搬送機構より下側に配置されており、紙葉類処理装置1(筐体2)の奥行方向全体にわたって、その容量を確保することが可能である。
【0044】
搬送機構8は、分岐機構10を介して、搬送機構6から出金口部14を接続する。搬送機構8は、搬送機構6から搬送される紙幣を上方に、具体的には、分岐機構11を介して搬送機構9へ搬送する。また、搬送機構8は、搬送機構6から搬送される紙幣を上方に、具体的には、分岐機構11、及び、分岐機構12を介して搬送機構13へ搬送する。または、搬送機構8は、搬送機構6から搬送される紙幣を上方に、具体的には、分岐機構11、及び、分岐機構12を介して、出金口部14へ搬送する。また、搬送機構8は、搬送機構9から搬送される紙幣を上方に、具体的には、分岐機構11、及び、分岐機構12を介して出金口部14へ搬送する。また、搬送機構8は、搬送機構13から搬送される紙幣を上方に、具体的には、分岐機構12を介して出金口部14へ搬送する。
【0045】
搬送機構8は、装置の前後方向において、搬送機構6と、第1リサイクル庫15及び第2リサイクル庫16の間に設けられ、すなわち、搬送機構6に対して筐体2の手前側に配置される。搬送機構8は、多数のローラ、複数のベルト、これらを駆動するモータ、及び、複数のガイドの組み合わせによって構成されている。なお、搬送機構8は、第2搬送機構である。なお、搬送機構8は、紙幣を下方に、すなわち、出金口部14から搬送機構6の方向へ搬送することもできる。
【0046】
搬送機構9は、分岐機構11を介して分岐した分岐機構で、搬送機構8により搬送される紙幣を第1リサイクル庫15へ搬送する。搬送機構8から分岐機構11を介して水平方向へ分岐した搬送機構9が第1リサイクル庫15に接続し、紙幣は水平方向に第1リサイクル庫15へ搬送される。また、搬送機構9は、第1リサイクル庫15から搬送される紙幣を、分岐機構11を介して搬送機構8へ搬送する。搬送機構9は、分岐機構11と第1リサイクル庫15の間に設けられる。
【0047】
搬送機構13は、分岐機構12を介して分岐した分岐機構で、搬送機構8から搬送される紙幣を第2リサイクル庫16へ搬送し、第2リサイクル庫16から搬送される紙幣を、分岐機構12を介して搬送機構8へ搬送する。搬送機構13は、分岐機構12と第2リサイクル庫16の間に設けられ、分岐機構12と第2リサイクル庫の間を水平方向に紙幣を搬送する。
【0048】
分岐機構10、11、12は、3つの搬送方向の間で搬送方向を切り替えて紙幣を搬送するための3方向分岐機構である。分岐機構10、11、12の分岐制御は、センサにより紙幣の通過を検知することに応じて分岐を切り替えることにより行われる。分岐の切り替えは、識別部5による識別結果と搬送機構6に設けられたセンサを用いた通過検知により、または、後述の記憶部19に記憶された情報と搬送機構9または搬送機構13に設けられたセンサを用いた通過検知により、行われる。例えば、紙幣の先端がセンサを遮光したことに応じて分岐を切り替える方法、または、先行している紙幣の後端が通過してセンサが透光したことに応じて、次の紙幣の搬送先に向けて分岐を切り替える方法、等がある。
【0049】
出金口部14は、紙幣を装置外へ排出する部分である。出金口部14は筐体2の前面上部で、かつ、入金口部3の下方に設けられる。出金口部14は、複数枚の紙幣を重ねた状態で保持する。ユーザーは、出金口部14から紙幣を取り出す。
【0050】
第1リサイクル庫15は、搬送機構9から搬送される紙幣を保管する。そして、出金処理で必要となった場合に、紙幣は、搬送機構9及び搬送機構8を介して、出金口部14へ搬送される。第1リサイクル庫15は、装置の前後方向において搬送機構9と筐体2の前面の間で、かつ、上下方向において回収庫7と第2リサイクル庫16の間に設けられる。第1リサイクル庫15は、紙幣をテープと共にドラムに巻き付けることによって紙幣を収納するテープ式収納である。第1リサイクル庫15は、フル検知センサを有し、収納された紙幣により収納庫がフルになっているかを検知する。フル検知センサは、例えば、フォトインタラプタにより構成される。第1リサイクル庫15は、紙幣を収納する収納庫の一例である。
【0051】
第2リサイクル庫16は、搬送機構13から搬送される紙幣を保管する。そして、出金処理で必要となった場合に、紙幣は、搬送機構13及び搬送機構8を介して、出金口部14へ搬送される。第2リサイクル庫16は、装置の前後方向において搬送機構13と筐体2の前面の間で、かつ、上下方向において第1リサイクル庫15と出金口部14の間に設けられる。第2リサイクル庫16は、紙幣をテープと共にドラムに巻き付けることによって紙幣を収納するテープ式収納である。第2リサイクル庫16は、フル検知センサを有し、収納された紙幣により収納庫がフルになっているかを検知する。フル検知センサは、例えば、フォトインタラプタにより構成される。第2リサイクル庫16は、紙幣を収納する収納庫の一例である。
【0052】
紙幣を収納する収納庫である回収庫7、第1リサイクル庫15、及び、第2リサイクル庫16で、入金された紙幣を収納する収納部17を構成する。
【0053】
本実施の形態では、第1リサイクル庫15、及び、第2リサイクル庫16に保管される紙幣の種類は決まっており、それぞれ設定された単一の金種の紙幣を保管する。
【0054】
ここで、識別部5と、第1リサイクル庫15及び第2リサイクル庫16は、高さ方向において異なる位置に配置されている。このため、紙葉類処理装置1(筐体2)の奥行方向を小型化することが可能である。
【0055】
また、識別部5は、収納部17より高い位置に配置されている。このため、紙幣の識別から収納までの距離を長くすることができ、識別の時間を確保することが可能である。紙幣を適切な搬送先に搬送するためには、各搬送先に向けて分岐するまでに(本実施形態では、分岐機構10に紙幣が到達する前までに)、識別結果を取得する必要がある。もし、識別部から分岐までの距離が短い場合には、識別が間に合わず適切な分岐ができない。もしくは、紙幣の搬送を停止するか、搬送速度を遅くして、識別結果を得るまでの時間を調整する必要がある。識別結果が出るまでに動く分の搬送機構の長さを確保することで、搬送を停止したり速度を遅くしたりすることなく、効率的に適切な搬送先に紙幣を搬送できる。
【0056】
図3に示すように、制御部18は、前述した、入金口部3、搬送機構4、識別部5、搬送機構6、回収庫7、搬送機構8、搬送機構9、分岐機構10、分岐機構11、分岐機構12、搬送機構13、出金口部14、第1リサイクル庫15、第2リサイクル庫16、及び、記憶部19の動作を制御する。制御部18は、例えば、CPUである。
【0057】
記憶部19は、収納部17に収納されている紙幣の識別情報を保存する。記憶部19は、例えば、回収庫7、第1リサイクル庫15、及び、第2リサイクル庫16の各収納庫に、収納されている紙幣の識別情報、収納順序、金種、枚数、フル状態か、などを記憶する。なお、記憶部19は、紙葉類処理装置1のメモリ、別途接続されたサーバのメモリ、又は、収納部17に内蔵されたメモリである。記憶部19は、例えば、回収庫7、第1リサイクル庫15、及び、第2リサイクル庫16の収納庫ごとに、複数備えてもよい。後述の各処理において、制御部18は、各リサイクル庫に何枚の紙葉類が保管されているか、各リサイクル庫の先頭に保管されている紙葉類の金種、フル検知状態など、を記憶部19に保持する情報から取得できる。
【0058】
図4は、紙葉類処理装置1の駆動系の分割例を示す図である。
図4に示すように、紙葉類処理装置1は、駆動系A、B、C、Dの4つの駆動系を有する。駆動系Aは、搬送機構4を駆動させる。駆動系Bは、識別部5、搬送機構6を駆動させる。駆動系Bは、さらに、回収庫7内部の搬送機構を駆動させてもよい。駆動系Cは、搬送機構9および搬送機構13を駆動させる。駆動系Dは、搬送機構8を駆動させる。
【0059】
図4は一例であり、駆動系の分割はこれに限定されない。
図4の駆動系のうち、いくつかの駆動をまとめてもよいし、逆に、さらに分割して駆動させてもよい。
【0060】
紙葉類処理装置1全体を概観すると、入金口部3から出金口部14までの紙幣の搬送路は、U字形状をしており、入金口部3側に識別部5、出金口部14側に収納部17を構成する収納庫である第1リサイクル庫15、第2リサイクル庫16が設けられている。
【0061】
(入金処理)
次に、第1の実施の形態に係る紙葉類処理装置1を用いた紙幣の処理方法について説明する。初めに、紙幣の入金処理方法について説明する。なお、本入金処理では、入金される紙幣は、第1リサイクル庫15に5ドル紙幣、第2リサイクル庫16に1ドル紙幣が保管される。
【0062】
初めに、入金口部3に紙幣が投入され、その後、紙幣は、搬送機構4により識別部5に搬送される。
【0063】
次に、識別部5は、紙幣の種類を識別する。識別部5による識別結果に基づいて、制御部18は、1ドル紙幣を第2リサイクル庫16に搬送するように各部を制御する。識別後、1ドル紙幣は、搬送機構6、分岐機構10、分岐機構11、搬送機構8、分岐機構12、及び、搬送機構13を経由して、第2リサイクル庫16まで搬送され、保管され、入金処理は終了する。
【0064】
第2リサイクル庫16に保管されている1ドル紙幣が設定枚数以下でない場合(フルの場合)、制御部18は、入金された1ドル紙幣を回収庫7に搬送するように各部を制御する。識別後、1ドル紙幣は、搬送機構6、及び、分岐機構10を経由して、回収庫7まで搬送され、保管され、入金処理は終了する。第2リサイクル庫16がフルかどうかは、フル検知センサにより検知してもよいし、収納枚数が所定枚数より多いかで判断してもよい。両方の判断手段を有してもよいし、どちらか一方の判断手段のみで判断する構成であってもよい。
【0065】
識別部5による識別結果に基づいて、制御部18は、5ドル紙幣を第1リサイクル庫15に搬送するように各部を制御する。識別後、5ドル紙幣は、搬送機構6、分岐機構10、搬送機構8、分岐機構11、及び、搬送機構9を経由して、第1リサイクル庫15まで搬送され、保管され、入金処理は終了する。
【0066】
第1リサイクル庫15に保管されている5ドル紙幣が設定枚数以下でない場合(フルの場合)、制御部18は、紙幣を回収庫7に搬送するように各部を制御する。5ドル紙幣は、搬送機構6、及び、分岐機構10を経由して、回収庫7まで搬送され、保管され、入金処理は終了する。第1リサイクル庫15がフルかどうかは、フル検知センサにより検知してもよいし、収納枚数が所定枚数より多いかで判断してもよい。両方の判断手段を有してもよいし、どちらか一方の判断手段のみで判断する構成であってもよい。
【0067】
一方、紙幣が1ドル紙幣でも5ドル紙幣でもない別の金種の紙幣だった場合、制御部18は、紙幣を回収庫7に搬送するように各部を制御する。識別後、紙幣は、搬送機構6、及び、分岐機構10を経由して、回収庫7まで搬送され、保管され、入金処理は終了する。
【0068】
なお、識別部5による識別結果に基づいて、偽券、または、偽券と疑わしいと判断された場合は、出金口部14へ搬送し、装置外に排出してもよい。または、不図示のリジェクト庫を配置し、リジェクト庫に搬送して保管するようにしてもよい。紙幣の正損が判断できる場合、同様に、損貨を装置外に排出、または、リジェクト庫に保管するようにしてもよい。
【0069】
(出金処理)
次に、紙幣の出金処理方法について説明する。なお、本出金処理では、第1リサイクル庫15に5ドル紙幣、第2リサイクル庫16に1ドル紙幣が保管されている。
【0070】
1ドル紙幣の出金指示を受けた場合、制御部18は、1ドル紙幣を第2リサイクル庫16から出金口部14まで搬送するように各部を制御する。1ドル紙幣は、搬送機構13、分岐機構12、及び、搬送機構8を経由して、出金口部14まで搬送され、出金される。なお、この動作は、出金指示に基づいて、必要な枚数が出金されるまで繰り返し行われる。
【0071】
5ドル紙幣の出金指示を受けた場合、制御部18は、5ドル紙幣を第1リサイクル庫15から出金口部14まで搬送するように各部を制御する。5ドル紙幣は、搬送機構9、分岐機構11、搬送機構8、及び、分岐機構12を経由して、出金口部14まで搬送され、出金される。なお、この動作は、出金指示に基づいて、必要な枚数が出金されるまで繰り返し行われる。
【0072】
(精査処理)
次に、精査処理について説明する。例えば、リサイクル庫の付近でのジャム、入金中のジャム、出金中のジャムなど、リサイクル庫の在り高に影響する可能性があるエラーが発生した場合に、制御部18は、対象のリサイクル庫のデータに精査が必要な状態(在り高が不確定であること)を示す精査フラグを立てる。
【0073】
精査フラグが立った場合、制御部18は、各部を制御して対象のリサイクル庫の精査処理を行う。第1リサイクル庫15に精査フラグが立った場合を例に、以下に説明する。
【0074】
第1リサイクル庫15に精査フラグが立った場合、第1リサイクル庫15から紙幣を1枚繰り出し、搬送機構9、分岐機構11、搬送機構6等を介して、識別部5へ搬送する。識別部5では、搬送された紙幣を識別する。記憶部19に記憶されている情報と、識別した紙幣の情報とが一致するかを確認することで精査を実現する。記憶部19に記憶されている情報と、識別した紙幣の情報とが一致した場合には、制御部18は、第1リサイクル庫15に収納されている紙幣の在り高がデータと一致して確定したものとして、精査フラグを外す。
【0075】
このとき、識別部5による識別結果を得るためには、識別部5を駆動し続ける必要がある。本実施形態においては、
図4に示す通り、搬送機構6+識別部5の駆動系と、搬送機構4の駆動系を異ならせている。識別部5を通過して搬送機構4に紙幣が搬送されると、駆動系Aはその駆動を停止する。一方、搬送機構6+識別部5の駆動系Bは継続して駆動させ、識別結果を得る。
【0076】
識別結果に基づいて、精査が完了すると、搬送機構4の駆動を反転して再開し、および搬送機構6の駆動を反転して、識別した紙幣を回収庫7に搬送する。または、識別の結果、記憶部19に記憶されている情報と、識別した情報とが一致する場合は、元々保管されていた第1リサイクル庫15に戻してもよい。
【0077】
識別の結果、記憶部19に記憶されている情報と、識別した情報とが一致しない場合は、紙幣を出金口部14に搬送して装置外へ排出した後、新たに第1リサイクル庫15から紙幣を繰り出し、識別して精査を行う。または、不図示のリジェクト庫などの別の収納部を設け、識別の結果、記憶部19に記憶されている情報と、識別した情報とが一致しない場合は、識別した紙幣をリジェクト庫に搬送する構成としてもよい。
【0078】
こうすることで、搬送機構6により搬送された紙幣を識別部5により識別している間、搬送機構4の駆動は停止させることができるため、識別している間に搬送される距離分の搬送路を確保する必要がなく、装置を小型化することができる。
【0079】
なお、識別部5と搬送機構4の駆動を分ける代わりに、搬送機構4から搬送機構8へ接続する循環搬送路を形成してもよい。その場合、駆動を停止しなくても紙幣を循環して搬送させることができるので、搬送機構4が識別の間で紙幣が搬送される距離分の長さを確保しなくても、入金口部3から紙幣が繰り出されてしまうことはない。また、識別結果が出た後は、駆動を反転することなく、そのまま回収庫7へ搬送してもよい。
【0080】
第2リサイクル庫16に精査フラグが立った場合も、同様の方法で精査処理を実行できる。
【0081】
このように、第1の実施の形態に係る紙葉類処理装置によれば、紙葉類処理装置を小型化することが可能となり、かつ、シンプルな制御で識別結果に応じた搬送をすることが可能となる。
【0082】
(第2の実施の形態)
次に、本開示の紙葉類処理装置の第2の実施の形態について説明する。なお、以下に説明する第2の実施の形態においては、第1の実施の形態と共通する構成については図中に同符号を付してその説明を省略する。第2の実施の形態では、第1リサイクル庫を金種混合で収納するように設定する。
【0083】
第2の実施の形態について、添付図を参照して説明する。
図5は、第2の実施の形態に係る紙葉類処理装置の駆動系の分割例を示す図である。紙葉類処理装置の内部構成、および、紙葉類処理装置の機能構成は、第1の実施形態と共通するため、その説明を省略する。
【0084】
図5に示すように、紙葉類処理装置1は、駆動系E、F、G、H、I、J、Kの7つの駆動系を有する。駆動系Eは、搬送機構4を駆動させる。駆動系Fは、識別部5、搬送機構6、および、搬送機構8のうちの分岐機構10と分岐機構11との間の区間を駆動させる。駆動系Gは、搬送機構9を駆動させる。駆動系Hは搬送機構13を駆動させる。駆動系Iは、搬送機構8のうちの分岐機構12から出金口部14までの区間を駆動させる。駆動系Jは、搬送機構8のうちの分岐機構11と分岐機構12との間の区間を駆動させる。駆動系Kは、分岐機構10から回収庫7までの搬送機構を駆動させる。駆動系Kは、さらに回収庫7の内部の駆動機構を駆動させてもよい。
【0085】
図5は一例であり、駆動系の分割はこれに限定されない。例えば、第2実施形態において、駆動系I、J、および、駆動系G、Hはそれぞれ1つの駆動系としてもよい。
【0086】
紙葉類処理装置1は、紙幣等の紙葉類の入金処理及び出金処理を行う。紙葉類処理装置1は、数種類の紙幣を入金処理することが可能であるが、出金処理することが可能な紙幣は3種類(3金種設定)となっている。本例では、出金される紙幣は、1ドル紙幣、5ドル紙幣、及び、10ドル紙幣の3種類である。
【0087】
第2の実施形態において、第1リサイクル庫15は、搬送機構9から搬送される2種類の紙幣を保管する。そして、出金処理で必要となった場合に、2種類の紙幣は、搬送機構9及び搬送機構8を介して、出金口部14へ搬送される。すなわち、第1リサイクル庫15は、金種混合で収納するように構成されている。本例では、第1リサイクル庫15には、5ドル紙幣と10ドル紙幣が保管される。
【0088】
第2リサイクル庫16は、搬送機構13から搬送される紙幣を保管する。そして、出金処理で必要となった場合に、紙幣は、搬送機構13及び搬送機構8を介して、出金口部14へ搬送される。本例では、第2リサイクル庫16には、1ドル紙幣が保管される。
【0089】
本実施の形態では、第1リサイクル庫15は2種類の紙幣が混合して保管される混合金種設定であるが、第2リサイクル庫16は保管される紙幣の種類は1種類であり単金種設定である。
【0090】
ここで、
図6を用いて、分岐機構において、先行紙幣の後端が透光したことにより分岐を切り替える方法を説明する。
図6は、分岐機構の切り替えのタイミングを説明する図である。この方法は、先行して搬送される紙幣の後端が光センサを通過した後に、次に搬送される紙幣の分岐方向を確定して分岐を切り替える方法である。搬送する紙幣先端の遮光確定の場合はセンサから分岐動作完了までの搬送距離が必要になる。一方、先行紙幣の後端の透光確定の場合は、リサイクル庫に巻き取られた先行紙幣と分岐対象の紙幣の札間を利用するため、センサから分岐動作完了までの搬送距離を短くすることが可能になる。先行紙幣の後端が通過したことに応じて、次の紙幣の搬送先に応じて分岐を切り替えるので、紙幣の先端がセンサを遮光するより前に分岐の切り替えを開始することが可能になり、分岐機構の切り替えに必要な搬送距離を短くすることができる。
【0091】
例えば、紙葉類処理装置1は、第1リサイクル庫15に金種混合で紙幣が保管されている場合、第1リサイクル庫15から紙幣を繰り出して搬送するときには、その金種に応じて分岐機構11で回収庫7方向又は出金口部14方向へ紙幣を振り分ける必要がある。分岐機構11と第1リサイクル庫15との距離を短くするためには、分岐機構11による分岐制御を、第1リサイクル庫15に設けられたセンサにより、先行紙幣の後端を検知したことに応じて分岐を切り替える方法により行う。分岐爪の切り替えは、先行紙幣の後端を検知してから所定時間後に動作開始する。所定時間は、先行紙幣の後端を検知してから、先行紙幣が分岐爪の動作範囲外に到達する見込みの時間が予め設定されている。なお、先行紙幣の後端を検知するセンサは、搬送機構9に設けられていてもよい。
【0092】
なお、第1リサイクル庫15および第2リサイクル庫16に保管される紙幣は、識別部5により金種、及び、記番号が識別され、その内容および順番は記憶部19に記憶されている。そのため、1枚目に搬送される紙幣は、実際に搬送を開始する前に分岐動作を完了させることができる。そして、
図6で説明した分岐制御は、2枚目以降に保管されていた紙幣を搬送する場合に、分岐を切り替えるときに使用される。
【0093】
(入金処理)
次に、第2の実施の形態に係る紙葉類処理装置1を用いた紙幣の処理方法について説明する。初めに、紙幣の入金処理方法について説明する。
図7は、第2の実施の形態に係る紙葉類処理装置1を用いた紙幣の入金方法を示すフローチャートである。なお、本入金処理では、第1リサイクル庫15に5ドル紙幣及び10ドル紙幣、第2リサイクル庫16に1ドル紙幣が保管される。なお、紙幣に損傷がある場合、又は、偽札、疑わしい紙幣は、出金口部14に搬送して装置外に排出してもよい。
【0094】
初めに、入金口部3に紙幣が入金され、その後、紙幣は、搬送機構4により識別部5に搬送される(ステップS301)。
【0095】
次に、識別部5は、紙幣の種類を識別する。識別部5による識別結果が1ドル紙幣だった場合(ステップS302、Yes)、制御部18は、第2リサイクル庫16に保管されている1ドル紙幣が設定枚数以下であるか確認する(ステップS303)。
【0096】
第2リサイクル庫16に保管されている1ドル紙幣が設定枚数以下である場合(ステップS303、Yes)、制御部18は、入金された1ドル紙幣を第2リサイクル庫16に搬送するように各部を制御する。識別後、1ドル紙幣は、搬送機構6、分岐機構10、分岐機構11、搬送機構8、分岐機構12、及び、搬送機構13を経由して、第2リサイクル庫16まで搬送され、保管され(ステップS304)、入金処理は終了する。
【0097】
第2リサイクル庫16に保管されている1ドル紙幣が設定枚数以下でない場合(フルの場合)(ステップS303、No)、制御部18は、入金された1ドル紙幣を回収庫7に搬送するように各部を制御する。識別後、1ドル紙幣は、搬送機構6、及び、分岐機構10を経由して、回収庫7まで搬送され、保管され(ステップS305)、入金処理は終了する。
【0098】
一方、識別部5による識別結果が5ドル紙幣または10ドル紙幣だった場合(ステップS306、Yes)、制御部18は、第1リサイクル庫15に保管されている紙幣が設定枚数以下であるか確認する(ステップS307)。
【0099】
第1リサイクル庫15に保管されている紙幣が設定枚数以下である場合(ステップS307、Yes)、制御部18は、入金された5ドル紙幣または10ドル紙幣を第1リサイクル庫15に搬送するように各部を制御する。識別後、5ドル紙幣または10ドル紙幣は、搬送機構6、分岐機構10、分岐機構11、及び、搬送機構9を経由して、第1リサイクル庫15まで搬送され、保管され(ステップS308)、入金処理は終了する。
【0100】
第1リサイクル庫15に保管されている紙幣が設定枚数以下でない場合(フルの場合)(ステップS307、No)、制御部18は、入金された紙幣を回収庫7に搬送するように各部を制御する。識別後、5ドル紙幣または10ドル紙幣は、搬送機構6、及び、分岐機構10を経由して、回収庫7まで搬送され、保管され(ステップS309)、入金処理は終了する。
【0101】
一方、識別部5による識別結果が、1ドル紙幣、5ドル紙幣、10ドル紙幣のいずれでもない場合(ステップS306、No)、制御部18は、入金された紙幣を回収庫7に搬送するように各部を制御する。入金された紙幣は、搬送機構8、及び、分岐機構10を経由して、回収庫7まで搬送され、保管され(ステップS310)、入金処理は終了する。
【0102】
上述の入金処理後は、第1リサイクル庫15では、5ドル紙幣と10ドル紙幣が混在して保管され、第2リサイクル庫16では、1ドル紙幣が保管される。
【0103】
なお、10ドル紙幣が入金された場合、第1リサイクル庫15の先頭に最も近い5ドル紙幣より先頭側に何枚の10ドル紙幣が保管されているかを確認してもよい。5ドル紙幣より先頭側に所定枚数以上の10ドル紙幣が既に保管されている場合、入金された10ドル紙幣は第1リサイクル庫15に搬送せずに、回収庫7に搬送するようにしてもよい。これにより、5ドル紙幣を出金する場合に、出金に不要な10ドル紙幣を回収庫7に搬送することで出金時間が増大してしまうことを低減できる。
【0104】
また、本フローチャートにおいては、各リサイクル庫がフル状態ではないことを、収納枚数が所定枚数以下かどうかで判断しているが、代わりに、各リサイクル庫に備えるフル検知センサによる検知状態で判断してもよい。また、枚数による判断と、フル検知センサによる判断の両方を有してもよい。
【0105】
(出金処理)
次に、紙幣の出金処理方法について説明する。
図8A及び
図8Bは、第2の実施の形態に係る紙葉類処理装置1を用いた紙幣の出金方法を示すフローチャートである。なお、本出金処理では、第1リサイクル庫15に5ドル紙幣及び10ドル紙幣、第2リサイクル庫16に1ドル紙幣が保管されている。なお、本フローチャートにおいて、出金処理のリクエストに含まれる出金対象の金種の紙幣が出金された後は、次のステップにおいては出金対象から除外される。
【0106】
初めに、制御部18は、出金処理のリクエストを受信すると、1ドル紙幣の出金が必要か(出金対象か)判断する(ステップS401)。
【0107】
1ドル紙幣の出金が必要な場合(ステップS401、Yes)、制御部18は、1ドル紙幣を必要な枚数だけ第2リサイクル庫16から出金口部14まで搬送するように各部を制御する。1ドル紙幣は、搬送機構13、分岐機構12、及び、搬送機構8を経由して、出金口部14まで搬送され、出金される(ステップS402)。
【0108】
ステップ402の動作が終了した場合、又は、1ドル紙幣の出金が不要な場合(ステップS401、No)、制御部18は、5ドル紙幣の出金が必要か(出金対象か)判断する(ステップS403)。
【0109】
5ドル紙幣の出金が必要な場合(ステップS403、Yes)、制御部18は、第1リサイクル庫15の先頭に5ドル紙幣があるか確認する(ステップS404)。
【0110】
第1リサイクル庫15の先頭に5ドル紙幣がある場合(ステップS404、Yes)、制御部18は、5ドル紙幣を第1リサイクル庫15から出金口部14まで搬送するように各部を制御する。5ドル紙幣は、搬送機構9、分岐機構11、及び、搬送機構8を経由して、出金口部14まで搬送され、出金される(ステップS405)。ステップS403へ戻る。
【0111】
第1リサイクル庫15の先頭に5ドル紙幣がない場合、すなわち、10ドル紙幣がある場合(ステップS404、No)、制御部18は、10ドル紙幣の出金が必要か(出金対象か)判断する(ステップS406)。
【0112】
10ドル紙幣の出金が必要な場合(ステップS406、Yes)、制御部18は、10ドル紙幣を第1リサイクル庫15から出金口部14まで搬送するように各部を制御する。10ドル紙幣は、搬送機構9、分岐機構11、及び、搬送機構8を経由して、出金口部14まで搬送され、出金される(ステップS407)。ステップS403へ戻る。
【0113】
10ドル紙幣の出金が不要な場合(ステップS406、No)、制御部18は、10ドル紙幣を回収庫7まで搬送するように各部を制御する。10ドル紙幣は、搬送機構9、分岐機構11、搬送機構8、及び、搬送機構6を経由して、回収庫7まで搬送され、保管される(ステップS408)。ステップS403へ戻る。
【0114】
ステップ403~ステップ408は、5ドル紙幣が必要な枚数だけ出金されるまで繰り返される。
【0115】
5ドル紙幣の出金が不要な場合(ステップS403、No)、制御部18は、10ドル紙幣の出金が必要か(出金対象か)判断する(ステップS409)。
【0116】
10ドル紙幣の出金が必要な場合(ステップS409、Yes)、制御部18は、第1リサイクル庫15の先頭に10ドル紙幣があるか確認する(ステップS410)。
【0117】
第1リサイクル庫15の先頭に10ドル紙幣がある場合(ステップS410、Yes)、制御部18は、10ドル紙幣を第1リサイクル庫15から出金口部14まで搬送するように各部を制御する。10ドル紙幣は、搬送機構9、分岐機構11、及び、搬送機構8を経由して、出金口部14まで搬送され、出金される(ステップS411)。ステップS409へ戻る。
【0118】
第1リサイクル庫15の先頭に10ドル紙幣がない場合、すなわち、5ドル紙幣がある場合(ステップS410、No)、制御部18は、5ドル紙幣を回収庫7まで搬送するように各部を制御する。5ドル紙幣は、搬送機構9、分岐機構11、搬送機構8、及び、搬送機構6を経由して、回収庫7まで搬送され、保管される(ステップS412)。ステップS409へ戻る。
【0119】
ステップ409~ステップ412は、10ドル紙幣が必要な枚数だけ出金されるまで繰り返される。
【0120】
10ドル紙幣の出金が不要な場合(ステップS409、No)、出金を要求された紙幣は全て出金されたことになり、出金処理は終了する。
【0121】
図9は、出金処理を行った場合に、紙幣がどのように搬送されるか一例を示す図である。本例では、合計6ドルを出金している。第2リサイクル庫16から1ドル紙幣1枚が出金され、第1リサイクル庫15から5ドル紙幣1枚が出金されている。第1リサイクル庫15の先頭にあった10ドル紙幣2枚は出金が不要(出金対象外)なため、回収庫7に回収されている。
【0122】
このように、第2の実施の形態に係る紙葉類処理装置によれば、2つのリサイクル庫のうち1つのリサイクル庫を複数の金種を混合で保管して繰り出しできるように設定することにより、リサイクルする金種より少ない数のリサイクル庫での入出金を実現することが可能となる。これにより、紙葉類処理装置を小型化することが可能となる。さらに、2つのリサイクル庫を混合にする場合より、何度も収納部内を移動することがないので、傷んだ紙葉類を出金することによるジャムの発生を低減することが可能となる。
【0123】
(第3の実施の形態)
次に、本開示の紙葉類処理装置の第3の実施の形態について説明する。なお、以下に説明する第3の実施の形態においては、第1および第2の実施の形態と共通する構成については図中に同符号を付してその説明を省略する。第3の実施の形態では、第1リサイクル庫及び第2リサイクル庫を金種混合で収納するように設定する。
【0124】
第3の実施の形態について、添付図を参照して説明する。紙葉類処理装置の内部構成、紙葉類処理装置の機能構成は、第1、第2の実施形態と共通するため、その説明を省略する。
【0125】
紙葉類処理装置の駆動系の分割構成については、第2の実施形態と共通するため、その説明を省略する。なお、駆動系の分割構成については、本実施形態においては、
図5における駆動系I、Jを1つの駆動系としてもよい。
【0126】
本実施形態において、第1リサイクル庫15は、搬送機構9から搬送される2種類の紙幣を保管する。本例では、第1リサイクル庫15には、5ドル紙幣と10ドル紙幣が保管される。
【0127】
第2リサイクル庫16は、搬送機構13から搬送される2種類の紙幣を保管する。本例では、第2リサイクル庫16には、通常、1ドル紙幣が保管されるが、10ドル紙幣を混合で保管することも可能とする。
【0128】
本実施の形態では、第1リサイクル庫15及び第2リサイクル庫16は、2種類の紙幣が混合して保管される混合金種設定である。ただし、入金される10ドル紙幣については、優先的に第1リサイクル庫15に収納するように設定されている。
【0129】
次に、第3の実施の形態に係る紙葉類処理装置1を用いた紙幣の処理方法について説明する。なお、紙幣の入金処理方法は、第2の実施の形態で説明した入金処理方法とおなじであり、説明を省略する。
【0130】
(出金処理)
紙幣の出金処理方法について説明する。
図10A及び
図10Bは、第3の実施の形態に係る紙葉類処理装置1を用いた紙幣の出金方法を示すフローチャートである。なお、本出金処理では、第1リサイクル庫15に5ドル紙幣及び10ドル紙幣、第2リサイクル庫16に1ドル紙幣が保管されている。なお、本フローチャートにおいて、出金処理のリクエストに含まれる出金対象の金種の紙幣が出金された後は、次のステップにおいては出金対象から除外される。
【0131】
初めに、制御部18は、出金処理のリクエストを受信すると、1ドル紙幣の出金が必要か(出金対象か)判断する(ステップS501)。
【0132】
1ドル紙幣の出金が必要な場合(ステップS501、Yes)、制御部18は、1ドル紙幣を必要な枚数だけ第2リサイクル庫16から出金口部14まで搬送するように各部を制御する。1ドル紙幣は、搬送機構13、分岐機構12、及び、搬送機構8を経由して、出金口部14まで搬送され、出金される(ステップS502)。
【0133】
ステップ502の動作が終了した場合、又は、1ドル紙幣の出金が不要な場合(ステップS501、No)、制御部18は、5ドル紙幣の出金が必要か(出金対象か)判断する(ステップS503)。
【0134】
5ドル紙幣の出金が必要な場合(ステップS503、Yes)、制御部18は、第1リサイクル庫15の先頭に5ドル紙幣があるか確認する(ステップS504)。
【0135】
第1リサイクル庫15の先頭に5ドル紙幣がある場合(ステップS504、Yes)、制御部18は、5ドル紙幣を第1リサイクル庫15から出金口部14まで搬送するように各部を制御する。5ドル紙幣は、搬送機構9、分岐機構11、及び、搬送機構8を経由して、出金口部14まで搬送され、出金される(ステップS505)。ステップS503へ戻る。
【0136】
第1リサイクル庫15の先頭に5ドル紙幣がない場合、すなわち、10ドル紙幣がある場合(ステップS504、No)、制御部18は、10ドル紙幣の出金が必要か(出金対象か)判断する(ステップS506)。
【0137】
10ドル紙幣の出金が必要な場合(ステップS506、Yes)、制御部18は、10ドル紙幣を第1リサイクル庫15から出金口部14まで搬送するように各部を制御する。10ドル紙幣は、搬送機構9、分岐機構11、及び、搬送機構8を経由して、出金口部14まで搬送され、出金される(ステップS507)。ステップS503へ戻る。
【0138】
10ドル紙幣の出金が不要(出金対象外)な場合(ステップS506、No)、制御部18は、10ドル紙幣を第2リサイクル庫16まで搬送するように各部を制御する。10ドル紙幣は、搬送機構9、分岐機構11、搬送機構8、分岐機構12、及び、搬送機構13を経由して、第2リサイクル庫16まで搬送され、保管される(ステップS508)。ステップS503へ戻る。なお、本ステップにおいて、第2リサイクル庫16がフル状態の場合は、10ドル紙幣を回収庫7に搬送する。第2リサイクル庫16がフル状態でないことは、収納枚数が所定枚数以下かどうかで判断する。または、フル検知センサによる検知状態で判断する。枚数による判断と、フル検知センサによる判断の両方で判断してもよい。
【0139】
ステップ503~ステップ508は、5ドル紙幣が必要な枚数だけ出金されるまで繰り返される。
【0140】
5ドル紙幣の出金が不要な場合(ステップS503、No)、制御部18は、10ドル紙幣の出金が必要か判断する(ステップS509)。
【0141】
10ドル紙幣の出金が必要な場合(ステップS509、Yes)、制御部18は、第1リサイクル庫15の先頭に10ドル紙幣があるか確認する(ステップS510)。
【0142】
第1リサイクル庫15の先頭に10ドル紙幣がある場合(ステップS510、Yes)、制御部18は、10ドル紙幣を第1リサイクル庫15から出金口部14まで搬送するように各部を制御する。10ドル紙幣は、搬送機構9、分岐機構11、及び、搬送機構8を経由して、出金口部14まで搬送され、出金される(ステップS511)。ステップS509へ戻る。
【0143】
第1リサイクル庫15の先頭に10ドル紙幣がない場合、すなわち、5ドル紙幣がある場合(ステップS510、No)、制御部18は、5ドル紙幣を第1リサイクル庫15から回収庫7まで搬送するように各部を制御する。5ドル紙幣は、搬送機構9、分岐機構11、及び、搬送機構6を経由して、回収庫7まで搬送され、保管される(ステップS512)。ステップS510へ戻る。
【0144】
最後に、10ドル紙幣の出金が不要な場合(ステップS509、No)、出金を要求された紙幣は全て出金されたことになり、出金処理は終了する。
【0145】
出金処理後は、第1リサイクル庫15では、5ドル紙幣と10ドル紙幣が混在した状態で保管され、第2リサイクル庫16では、1ドル紙幣が保管され、場合により、1ドル紙幣と10ドル紙幣が混在した状態で保管される。
【0146】
なお、出金処理の終了後、第2リサイクル庫16に10ドル紙幣が一時保管されている場合、後処理として、次の処理が開始される前に、第1リサイクル庫15に搬送する。その結果、入金処理後と同じく、第1リサイクル庫15では、5ドル紙幣と10ドル紙幣が混在した状態で保管され、第2リサイクル庫16では、1ドル紙幣が保管される。
【0147】
なお、上述のフローチャートにおいて、第2リサイクル庫16の先頭側に保管されている10ドル紙幣の枚数が所定の枚数より多かった場合、所定の枚数を超える10ドル紙幣を、第1リサイクル庫15ではなく、回収庫7に搬送するようにしてもよい。
【0148】
図11は、出金処理を行った場合に、紙幣がどのように搬送されるか一例を示す図である。本例では、合計6ドルを出金している。第2リサイクル庫16から1ドル紙幣1枚が出金され、第1リサイクル庫15から5ドル紙幣1枚が出金されている。第1リサイクル庫15の先頭にあった10ドル紙幣2枚は、第2リサイクル庫16から1ドル紙幣1枚が出金された後に、第2リサイクル庫16に搬送されている。前述したように、第2リサイクル庫16に搬送された10ドル紙幣2枚は、出金処理後の後処理で、次の処理が開始される前に、第1リサイクル庫15に搬送される。
【0149】
なお、ステップS512で、5ドル紙幣を回収庫7に収納する代わりに、第2リサイクル庫16に搬送して保管してもよい。この場合、上述の10ドル紙幣と同様に、出金処理後の後処理で、次の処理が開始される前に、第1リサイクル庫15に搬送してもよい。
【0150】
このように、第3の実施の形態に係る紙葉類処理装置によれば、2つのリサイクル庫を両方とも混合金種設定とすることにより、一方のリサイクル庫から出金対象外の紙幣を繰り出したときに、回収庫ではなく、他方のリサイクル庫に搬送することが可能となる。これにより、出金に使用できない紙幣を低減させることができ、紙葉類処理装置外への紙幣の回収、及び、紙葉類処理装置へ紙幣の補充の回数を低減することが可能となる。さらに、店舗内又はCITによる管理コストの低減、紙葉類処理装置の使用不可時間(アウトオブサービス)の発生リスクが低減できる。
【0151】
(第4の実施の形態)
次に、本開示の紙葉類処理装置の第4の実施の形態について説明する。なお、以下に説明する第4の実施の形態においては、第3の実施の形態と構成は共通しているため、具体的な構成の説明は省略する。第4の実施の形態では、第3の実施の形態と制御部による入金処理と出金処理の方法が異なる。
【0152】
なお、駆動系の分割構成については、本実施形態において、
図5における駆動系F、G、および、駆動系I、Jを、それぞれ1つの駆動系としてもよい。または、駆動系G,J、および、駆動系H,Iを、それぞれ1つの駆動系としてもよい。
【0153】
また、第2リサイクル庫16に金種混合でリサイクル用の紙幣を保管する場合、分岐機構12においても、
図6に示す、先行紙幣の後端によるセンサの遮光に応じて、次の紙幣の搬送方向に分岐を切り替える方法で、分岐制御を行う。
【0154】
第3の実施の形態では、出金処理において、第2リサイクル庫16に保管された10ドル紙幣は、次の処理が開始される前に、第1リサイクル庫15に搬送される。一方、第4の実施の形態では、第2リサイクル庫16に10ドル紙幣が保管された状態で、入金処理及び出金処理を行う例を説明する。
【0155】
(入金処理)
第4の実施の形態に係る紙葉類処理装置1を用いた紙幣の処理方法について説明する。初めに、紙幣の入金処理方法について説明する。
図12A及び12Bは、第4の実施の形態に係る紙葉類処理装置1を用いた紙幣の入金方法を示すフローチャートである。なお、本入金処理では、第1リサイクル庫15に5ドル紙幣及び10ドル紙幣、第2リサイクル庫16に1ドル紙幣及び10ドル紙幣が保管される。紙幣に損傷がある場合は回収庫7に保管し、偽札または疑わしい紙幣の場合は、出金口部14から装置外に排出してもよい。また、本実施形態では、10ドル紙幣は、第1リサイクル庫15に優先的に搬送されるように設定されている。
【0156】
初めに、入金口部3に紙幣が入金され、その後、紙幣は、搬送機構4により識別部5に搬送される(ステップS601)。
【0157】
次に、識別部5は、紙幣の種類を識別し、10ドル紙幣だった場合(ステップS602、Yes)、制御部18は、第2リサイクル庫16に保管されている紙幣が設定枚数以下であるか確認する(ステップS603)。
【0158】
第2リサイクル庫16に保管されている紙幣が設定枚数以下である場合(ステップS603、Yes)、制御部18は、第2リサイクル庫16の先頭に10ドル紙幣があるか確認する(ステップS604)。
【0159】
第2リサイクル庫16の先頭に10ドル紙幣がない場合(ステップS604、No)、制御部18は、第1リサイクル庫15に保管されている紙幣が設定枚数以下である(フルになっていない)か確認する(ステップS605)。
【0160】
第1リサイクル庫15に保管されている紙幣が設定枚数以下である場合(フルになっていない場合)(ステップS605、Yes)、制御部18は、入金された10ドル紙幣を第1リサイクル庫15に搬送するように各部を制御する。識別後、10ドル紙幣は、搬送機構6、分岐機構10、分岐機構11、搬送機構8、及び、搬送機構9を経由して、第1リサイクル庫15まで搬送され、保管され(ステップS606)、入金処理は終了する。入金された10ドル紙幣は、第1リサイクル庫15に優先的に搬送するように設定されているため、本ステップにおいて、入金された10ドル紙幣が第1リサイクル庫15に搬送される。
【0161】
第1リサイクル庫15に保管されている紙幣が設定枚数以下でない場合(フルの場合)(ステップS605、No)、制御部18は、入金された10ドル紙幣を回収庫7に搬送するように各部を制御する。識別後、10ドル紙幣は、搬送機構6、及び、分岐機構10を経由して、回収庫7まで搬送され、保管され(ステップS607)、入金処理は終了する。
【0162】
第2リサイクル庫16の先頭に10ドル紙幣がある場合(ステップS604、Yes)、制御部18は、第1リサイクル庫15の先頭に10ドル紙幣があるか確認する(ステップS608)。第1リサイクル庫15の先頭に10ドル紙幣がない場合(ステップS608、No)、制御部18は、入金された10ドル紙幣を第2リサイクル庫16に搬送するように各部を制御する。識別後、10ドル紙幣は、搬送機構6、分岐機構10、分岐機構11、搬送機構8、分岐機構12、及び、搬送機構13を経由して、第2リサイクル庫16まで搬送され、保管され(ステップS609)、入金処理は終了する。
【0163】
第1リサイクル庫15の先頭に10ドル紙幣がある場合(ステップS608、Yes)、制御部18は、入金された10ドル紙幣を第1リサイクル庫15に搬送するように制御する。識別後、10ドル紙幣は、搬送機構6、分岐機構10、搬送機構8、分岐機構11、及び、搬送機構9を経由して、第1リサイクル庫15まで搬送され、保管され(ステップS610)、入金処理は終了する。入金された10ドル紙幣は、第1リサイクル庫15に優先的に搬送するように設定されているため、本ステップにおいて、入金された10ドル紙幣が第1リサイクル庫15に搬送される。なお、第1リサイクル庫15に保管されている紙幣の枚数が所定枚数以下でない場合(フルの場合)は、入金された10ドル紙幣を回収庫7に搬送して保管する。
【0164】
このとき、第2リサイクル庫16の先頭に保管されていた10ドル紙幣を回収庫7に搬送するように各部を制御してもよい。または、第2リサイクル庫16の先頭に保管されていた10ドル紙幣を第1リサイクル庫15に搬送するように制御してもよい。第2リサイクル庫16の先頭に保管されていた10ドル紙幣の一部を回収庫7に搬送し、一部を第1リサイクル庫15に収納してもよい。第1リサイクル庫15の先頭に保管される10ドル紙幣の枚数が所定枚数以下になるように、一部を回収庫7に搬送してもよい。保管された経過時間に応じて、長時間保管されている10ドル紙幣を優先して、回収庫7に搬送してもよい。これらの紙幣の移動処理を、入金処理完了後の後処理で実行してもよい。
【0165】
第2リサイクル庫16に保管されている紙幣が設定枚数以下でない場合(フルの場合)(ステップS603、No)、制御部18は、第1リサイクル庫15に保管されている紙幣が所定枚数以下かどうかを確認する(ステップS611)。第1リサイクル庫15に保管されている紙幣が所定枚数以下の場合は(ステップS611、Yes)、入金された10ドル紙幣を第1リサイクル庫15へ搬送して保管するように、各部を制御する。識別後、10ドル紙幣は、搬送機構6、分岐機構10、分岐機構11、搬送機構8、及び、搬送機構9を経由して、第1リサイクル庫15まで搬送され、保管され(ステップS612)、入金処理は終了する。
【0166】
一方、第1リサイクル庫15に保管されている紙幣が所定枚数以下でない場合(フルの場合)は(ステップS611、No)、入金された10ドル紙幣を回収庫7に搬送するように各部を制御する。識別後、10ドル紙幣は、搬送機構6、及び、分岐機構10を経由して、回収庫7まで搬送され、保管され(ステップS607)、入金処理は終了する。
【0167】
一方、識別部5による識別の結果、紙幣が10ドル紙幣ではなく(ステップS602、No)、5ドル紙幣だった場合(ステップS613、Yes)、制御部18は、第1リサイクル庫15に保管されている紙幣が設定枚数以下であるか確認する(ステップS614)。
【0168】
第1リサイクル庫15に保管されている紙幣が設定枚数以下である場合(ステップS614、Yes)、制御部18は、5ドル紙幣を第1リサイクル庫15に搬送するように各部を制御する。識別後、5ドル紙幣は、搬送機構6、分岐機構10、搬送機構8、分岐機構11、及び、搬送機構9を経由して、第1リサイクル庫15まで搬送され、保管され(ステップS615)、入金処理は終了する。
【0169】
第1リサイクル庫15に保管されている紙幣が設定枚数以下でない場合(フルの場合)(ステップS614、No)。制御部18は、入金された紙幣を回収庫7に搬送するように各部を制御する。識別後、5ドル紙幣は、搬送機構6、及び、分岐機構10を経由して、回収庫7まで搬送され、保管され(ステップS616)、入金処理は終了する。
【0170】
一方、識別部5による識別の結果、紙幣が1ドル紙幣だった場合(ステップS617、Yes)、制御部18は、第2リサイクル庫16に保管されている紙幣が設定枚数以下であるか確認する(ステップS618)。
【0171】
第2リサイクル庫16に保管されている紙幣が設定枚数以下である場合(ステップS618、Yes)、制御部18は、入金された1ドル紙幣を第2リサイクル庫16に搬送するように各部を制御する。識別後、1ドル紙幣は、搬送機構6、分岐機構10、分岐機構11、搬送機構8、分岐機構12、及び、搬送機構13を経由して、第2リサイクル庫16まで搬送され、保管され(ステップS619)、入金処理は終了する。
【0172】
第2リサイクル庫16に保管されている紙幣が設定枚数以下でない場合(フルの場合)(ステップS618、No)。制御部18は、入金された1ドル紙幣を回収庫7に搬送するように各部を制御する。識別後、1ドル紙幣は、搬送機構6、及び、分岐機構10を経由して、回収庫7まで搬送され、保管され(ステップS620)、入金処理は終了する。また、識別部5による識別の結果、1ドル紙幣でなかった場合(ステップS617、No)も同様に、入金された紙幣を回収庫7に搬送して保管し(ステップS620)、入金処理は終了する。
【0173】
入金処理後は、第3の実施の形態の出金処理の直後と同じく、第1リサイクル庫15では、5ドル紙幣と10ドル紙幣が混在した状態で保管され、第2リサイクル庫16では、1ドル紙幣が保管され、場合により、1ドル紙幣と10ドル紙幣が混在した状態で保管される。
【0174】
なお、10ドル紙幣が入金された場合は、第1リサイクル庫15の先頭に最も近い5ドル紙幣より先頭側に何枚の10ドル紙幣が保管されているかを確認してもよい。5ドル紙幣より先頭側に所定枚数以上の10ドル紙幣が既に保管されている場合、入金された10ドル紙幣は第1リサイクル庫15に搬送せずに、回収庫7に搬送するようにしてもよい。同様に第2リサイクル庫16の先頭に最も近い1ドル紙幣より先頭側に所定以上の枚数の10ドル紙幣が保管されている場合、入金された10ドル紙幣を回収庫7に搬送するようにしてもよい。または、第1リサイクル庫15、第2リサイクル庫16の先頭側の10ドル紙幣の枚数の合計が所定枚数以上かどうかで、入金された10ドル紙幣を回収庫7に搬送するかを判断してもよい。これにより、5ドル紙幣を出金する場合に、不要な10ドル紙幣を多く回収庫7に搬送して出金時間が増大してしまうことを低減できる。
【0175】
また、第1リサイクル庫15、および、第2リサイクル庫16のいずれも先頭に10ドル紙幣が保管されている場合、入金された10ドル紙幣を第1リサイクル庫15に保管する代わりに、第1リサイクル庫15、および、第2リサイクル庫16の先頭側にある10ドル紙幣の枚数に応じて、入金された10ドル紙幣の保管先を判断してもよい。先頭側の10ドル紙幣が少ない方に保管してもよい。この場合、1ドル紙幣、5ドル紙幣のどちらを出金する場合にも、移動しなければならない10ドル紙幣の枚数を均等にできる。先頭側の10ドル紙幣が多い方に保管してもよい。この場合、10ドル紙幣をなるべく、まとめて保管することができる。その後、先頭側に保管されている10ドル紙幣が少ない方のリサイクル庫の先頭側に保管されている10ドル紙幣は、取引の合間に回収庫7に搬送してもよい。
【0176】
本実施形態では、5ドルと1ドルのうち、高額である5ドル紙幣を収納する第1リサイクル庫15に、10ドル紙幣を優先的に搬送するように設定したが、優先的に搬送するリサイクル庫の設定はこれに限らない。出金頻度が少ない金種の紙幣をリサイクルするリサイクル庫に、優先的に他の金種を混合させるように判断してもよい。回収庫との位置関係で、回収庫により近い方のリサイクル庫に他の金種を優先的に搬送するようにしてもよい。ユーザーの選択により決定してもよい。
【0177】
また、本フローチャートにおいては、各リサイクル庫がフル状態ではないことを、収納枚数が所定枚数以下かどうかで判断しているが、代わりに、各リサイクル庫に備えるフル検知センサによる検知状態で判断してもよい。また、枚数による判断と、フル検知センサによる判断の両方を有してもよい。
【0178】
(出金処理)
次に、紙幣の出金処理方法について説明する。
図13A及び
図13Bは、第4の実施の形態に係る紙葉類処理装置1を用いた紙幣の出金方法を示すフローチャートである。なお、本出金処理では、第1リサイクル庫15では、5ドル紙幣と10ドル紙幣が混在した状態で保管され、第2リサイクル庫16では、1ドル紙幣が保管され、場合により、1ドル紙幣と10ドル紙幣が混在した状態で保管されている。なお、本フローチャートにおいて、出金処理のリクエストに含まれる出金対象の金種の紙幣が出金された後は、次のステップにおいては出金対象から除外される。
【0179】
初めに、制御部18は、出金処理のリクエストを受信すると、10ドル紙幣の出金が必要か(出金対象か)判断する(ステップS701)。
【0180】
10ドル紙幣の出金が必要な場合(ステップS701、Yes)、制御部18は、第2リサイクル庫16の先頭に10ドル紙幣があるか確認する(ステップS702)。
【0181】
第2リサイクル庫16の先頭に10ドル紙幣がある場合(ステップS702、Yes)、制御部18は、10ドル紙幣を第2リサイクル庫16から出金口部14まで搬送するように各部を制御する。10ドル紙幣は、搬送機構13、分岐機構12、及び、搬送機構8を経由して、出金口部14まで搬送され、出金される(ステップS703)。
【0182】
一方、第2リサイクル庫16の先頭に10ドル紙幣がない場合(ステップS702、No)、制御部18は、第1リサイクル庫15の先頭に10ドル紙幣があるか確認する(ステップS704)。
【0183】
第1リサイクル庫15の先頭に10ドル紙幣がある場合(ステップS704、Yes)、制御部18は、10ドル紙幣を第1リサイクル庫15から出金口部14まで搬送するように各部を制御する。10ドル紙幣は、搬送機構9、分岐機構11、及び、搬送機構8を経由して、出金口部14まで搬送され、出金される(ステップS705)。ステップS701へ戻る。
【0184】
第1リサイクル庫15の先頭に10ドル紙幣がない場合、すなわち、5ドル紙幣がある場合(ステップS704、No)、制御部18は、5ドル紙幣の出金が必要か(出金対象か)判断する(ステップS706)。5ドル紙幣の出金が必要な場合(ステップS706、Yes)、制御部18は、5ドル紙幣を第1リサイクル庫15から出金口部14まで搬送するように各部を制御する。5ドル紙幣は、搬送機構9、分岐機構11、及び、搬送機構8を経由して、出金口部14まで搬送され、出金される(ステップS707)。
【0185】
5ドル紙幣の出金が不要(出金対象外)な場合(ステップS706、No)、制御部18は、5ドル紙幣を第1リサイクル庫15から回収庫7まで搬送するように各部を制御する。5ドル紙幣は、搬送機構9、分岐機構11、搬送機構8、及び、搬送機構6を経由して、回収庫7まで搬送され、保管される(ステップS708)。ステップS701へ戻る。
【0186】
以後、ステップS701~ステップS708の処理が繰り返され、最終的に10ドル紙幣の出金が不要な場合(ステップS701、No)、制御部18は、1ドル紙幣の出金が必要か判断する(ステップS709)。
【0187】
1ドル紙幣の出金が必要な場合(ステップS709、Yes)、制御部18は、第2リサイクル庫16の先頭に1ドル紙幣があるか確認する(ステップS710)。
【0188】
第2リサイクル庫16の先頭に1ドル紙幣がない場合、すなわち、10ドル紙幣がある場合(ステップS710、No)、制御部18は、第2リサイクル庫16の1ドル紙幣より先頭側に保管されている全ての10ドル紙幣を、第1リサイクル庫15まで搬送するように各部を制御する。10ドル紙幣は、搬送機構13、分岐機構12、搬送機構8、分岐機構11、及び、搬送機構9を経由して、第1リサイクル庫15まで搬送され、保管される(ステップS711)。
【0189】
この結果、第2リサイクル庫16の先頭には1ドル紙幣が保管されている状態になるので、制御部18は、1ドル紙幣を必要な枚数だけ第2リサイクル庫16から出金口部14まで搬送するように各部を制御する。1ドル紙幣は、搬送機構13、分岐機構12、及び、搬送機構8を経由して、出金口部14まで搬送され、出金される(ステップS712)。
【0190】
第2リサイクル庫16の先頭に1ドル紙幣がある場合も(ステップS710、Yes)、ステップS712の処理へ進む。
【0191】
1ドル紙幣の出金が不要な場合(ステップS709、No)、又は、1ドル紙幣の出金が終了した場合(ステップS712)、制御部18は、5ドル紙幣の出金が必要か判断する(ステップS713)。
【0192】
5ドル紙幣の出金が必要な場合(ステップS713、Yes)、制御部18は、第1リサイクル庫15の先頭に5ドル紙幣があるか確認する(ステップS714)。
【0193】
第1リサイクル庫15の先頭に5ドル紙幣がある場合(ステップS714、Yes)、制御部18は、5ドル紙幣を第1リサイクル庫15から出金口部14まで搬送するように各部を制御する。5ドル紙幣は、搬送機構9、分岐機構11、及び、搬送機構8を経由して、出金口部14まで搬送され、出金される(ステップS715)。ステップS713へ戻る。
【0194】
第1リサイクル庫15の先頭に5ドル紙幣がない場合、すなわち、10ドル紙幣がある場合(ステップS714、No)、制御部18は、先頭の10ドル紙幣を第2リサイクル庫16まで搬送するように各部を制御する。10ドル紙幣は、搬送機構9、分岐機構11、搬送機構8、分岐機構12、及び、搬送機構13を経由して、第2リサイクル庫16まで搬送され、保管される(ステップS716)。ステップS713へ戻る。
【0195】
ステップS713~ステップS716は、5ドル紙幣が必要な枚数だけ出金されるまで繰り返される。
【0196】
最後に、5ドル紙幣の出金が不要な場合(ステップS713、No)、出金を要求された紙幣は全て出金されたことになり、出金処理は終了する。
【0197】
出金処理後は、入金処理後と同じく、第1リサイクル庫15では、5ドル紙幣と10ドル紙幣が混在した状態で保管され、第2リサイクル庫16では、1ドル紙幣が保管され、場合により、1ドル紙幣と10ドル紙幣が混在した状態で保管される。
【0198】
なお、第1リサイクル庫15の先頭に5ドル紙幣がない場合、すなわち、10ドル紙幣がある場合(ステップS714、No)、ステップS716において10ドル紙幣を第2リサイクル庫16まで搬送しているが、第2リサイクル庫16に保管されている10ドル紙幣の枚数が所定の枚数より多かった場合、回収庫7へ搬送するようにしてもよい。この結果、出金処理時のスピードを所定範囲内で維持することが可能である。
【0199】
また、出金の順番は、本実施形態の順番に限られない。1ドル紙幣から順番に出金し、途中に10ドル紙幣がある場合に、都度、10ドル紙幣の出金が必要か判断してもよい。5ドル紙幣から順番に出金し、途中に10ドル紙幣がある場合に、都度、10ドル紙幣の出金が必要か判断してもよい。
【0200】
図14は、出金処理を行った場合に、紙幣がどのように搬送されるか一例を示す図である。本例では、合計16ドルを出金している。最初に、10ドル紙幣1枚が第2リサイクル庫16から出金される。その後、10ドル紙幣1枚が第2リサイクル庫16から第1リサイクル庫15へ移動し、1ドル紙幣1枚が第2リサイクル庫16から出金される。その後、10ドル紙幣1枚が第1リサイクル庫15から第2リサイクル庫16へ再び移動し、第1リサイクル庫15から5ドル紙幣1枚が出金される。
【0201】
このように、第4の実施の形態に係る紙葉類処理装置によれば、第1リサイクル庫15だけでなく、第2リサイクル庫16にも10ドル紙幣が保管された状態でも、入金処理及び出金処理を行うことが可能となる。これにより、先に収納されている3種類の紙幣の状況(収納場所、枚数)に応じて入金する紙幣の搬送先を変えることができるので、出金処理を効率よくすることが可能となる。さらに、収納されている3種類の紙幣の状況(収納場所、枚数)に応じて紙幣の移動が少なくなるように出金順序を制御することができるので、移動による紙幣の斜行等によるジャムの発生を低減することが可能となる。
【0202】
(第5の実施の形態)
次に、本開示の紙葉類処理装置の第5の実施の形態について説明する。第5の実施の形態では、第1リサイクル庫と第2リサイクル庫の間の搬送経路にセンサを設け、そこを通過する紙幣が搬送路のどの部分を通過するかを検知する。そして、紙幣が搬送路の左右に想定以上に寄った場合、回収庫に回収する。
【0203】
図15は、センサ20による紙幣の左右寄り検知を説明する図である。センサ20は、搬送される紙幣が搬送路に対して、左右に寄っていないかを検知する。センサ20は、第1リサイクル庫15と第2リサイクル庫16の間の搬送機構8に配置される。具体的には、センサ20は、搬送機構8内の第1リサイクル庫15(分岐機構11)と第2リサイクル庫16(分岐機構12)の間の搬送路の両端付近に配置される。
【0204】
そして、第1リサイクル庫15と第2リサイクル庫16の間を移動する紙幣が想定以上に搬送路の幅に対して右か左に寄った場合、制御部18は、紙幣を回収庫7へ搬送するように各部を制御する。
【0205】
このように、第5の実施の形態に係る紙葉類処理装置によれば、紙幣の搬送路にセンサを配置し、想定以上に左右に寄った紙幣を回収庫に搬送することができるので、ジャム発生率を低減することが可能となる。
【0206】
なお、本実施の形態では、紙幣が搬送路のどの部分を通過するかをセンサが検知することにより、紙幣を回収庫に搬送するかを判断しているが、紙幣が第1リサイクル庫15と第2リサイクル庫16の間を往来する回数をあらかじめ設定し、設定回数に到達した紙幣を回収庫に搬送するようにしてもよい。
【0207】
第1の実施の形態の第1リサイクル庫及び第2リサイクル庫は、紙幣を鉛直方向に重ねることによって紙幣を収納するスタック式収納でもよい。
【0208】
第1~第5の実施の形態では、リサイクル庫が2つの場合について説明しているが、リサイクル庫が3つ以上あってもよい。リサイクル庫が3つの場合は、最大6種類の紙幣のリサイクルが可能となる。いずれの場合でも、リサイクル庫は、第2搬送機構と接続する。
【0209】
第2~第5の実施の形態では、出金対象外の紙幣をリサイクル庫間で移動するようにしているが、リサイクル庫以外の場所、例えば、搬送駆動が分かれている搬送路内の箇所や補充用のIFカセットなどで保管し、出金処理後にリサイクル庫に戻すようにしてもよい。
【0210】
本開示に係る紙葉類処理装置は、これまでに詳細に説明された実施形態には限定されず、その趣旨を逸脱しない範囲内で種々の変更を加えたものも本開示に係る紙葉類処理装置に包含される。
【符号の説明】
【0211】
1 紙葉類処理装置
2 筐体
3 入金口部
4、6、8、9、13 搬送機構
5 識別部
7 回収庫
10、11、12 分岐機構
14 出金口部
15 第1リサイクル庫
16 第2リサイクル庫
17 収納部
18 制御部
19 記憶部
20 センサ
A、B、C、D、E、F、G、H、I、J、K 駆動系