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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024106665
(43)【公開日】2024-08-08
(54)【発明の名称】車両の制御装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 8/65 20180101AFI20240801BHJP
   G08G 1/16 20060101ALI20240801BHJP
【FI】
G06F8/65
G08G1/16 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023011050
(22)【出願日】2023-01-27
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002505
【氏名又は名称】弁理士法人航栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼久 裕貴
(72)【発明者】
【氏名】島本 岳
(72)【発明者】
【氏名】野口 順平
(72)【発明者】
【氏名】藤原 達朗
(72)【発明者】
【氏名】三友 歩
(72)【発明者】
【氏名】笹島 豪
【テーマコード(参考)】
5B376
5H181
【Fターム(参考)】
5B376CA05
5B376CA27
5B376CA36
5B376CA43
5B376GA07
5H181AA01
5H181BB04
5H181CC04
5H181CC11
5H181LL01
5H181LL02
5H181LL04
5H181LL09
5H181LL17
(57)【要約】
【課題】車両の利便性の向上を図る。
【解決手段】制御装置30は、車両1を目標位置に自動的に駐車させる駐車支援制御を行う演算部32と、車両1の走行制御に必要なプログラムが記憶される記憶部と、を備え、演算部32は、駐車支援制御として、車両1のユーザが車両1に非乗車の状態で車両1の目標位置への移動を開始させる第1駐車支援制御と、ユーザが車両1に乗車した状態で車両1の目標位置への移動を開始させる第2駐車支援制御と、を行い、第1駐車支援制御又は前記第2駐車支援制御の実行後、車両1の電源がオフになってから上記プログラムの更新を行い、上記プログラムの更新の開始条件は、第2駐車支援制御が実行された場合よりも、第1駐車支援制御が実行された場合の方が厳しく設定される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の制御装置であって、
前記車両を目標位置に自動的に駐車させる駐車支援制御を行うプロセッサと、
前記車両の走行制御に必要なプログラムが記憶される記憶部と、を備え、
前記プロセッサは、前記駐車支援制御として、前記車両のユーザが前記車両に非乗車の状態で前記車両の前記目標位置への移動を開始させる第1駐車支援制御と、前記ユーザが前記車両に乗車した状態で前記車両の前記目標位置への移動を開始させる第2駐車支援制御と、を行い、
前記プロセッサは、前記第1駐車支援制御又は前記第2駐車支援制御の実行後、前記車両の電源がオフになってから前記プログラムの更新を行い、
前記プログラムの更新の開始条件は、前記第2駐車支援制御が実行された場合よりも、前記第1駐車支援制御が実行された場合の方が厳しく設定される、車両の制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車両の制御装置であって、
前記第1駐車支援制御は、前記車両を停車させた後に前記車両の電源をオフする制御を含み、
前記第2駐車支援制御は、前記車両の電源をオフする制御を含まない、車両の制御装置。
【請求項3】
請求項1に記載の車両の制御装置であって、
前記プロセッサは、前記第1駐車支援制御を実行した場合には、前記開始条件に、前記第1駐車支援制御によって移動した前記車両の停車位置と前記目標位置との一致度に関するものを含める車両の制御装置。
【請求項4】
請求項1に記載の車両の制御装置であって、
前記プロセッサは、前記第1駐車支援制御を実行した場合には、前記開始条件に、前記車両の走行計画と前記第1駐車支援制御による前記車両の走行実績との一致度に関するものを含める車両の制御装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の車両の制御装置であって、
前記開始条件には、前記車両の電源がオフとなってから前記プログラムの更新が開始されるまでの時間が含まれ、
前記プロセッサは、前記第1駐車支援制御を実行した場合には、前記第2駐車支援制御を実行した場合よりも、前記時間を長くする、車両の制御装置。
【請求項6】
請求項1から4のいずれか1項に記載の車両の制御装置であって、
前記プロセッサは、
前記第1駐車支援制御又は前記第2駐車支援制御の実行後、前記車両の電源がオフになり、且つ、前記プログラムの更新の開始指示を受けてから、前記プログラムの更新を行い、
前記第1駐車支援制御を実行した場合には、前記開始指示を確認するための画面を前記車両に搭載された第1表示装置とは異なる第2表示装置に表示させ、前記第2駐車支援制御を実行した場合には、前記画面を前記第1表示装置に表示させる車両の制御装置。
【請求項7】
請求項6に記載の車両の制御装置であって、
前記プロセッサは、前記開始指示を受けた場合には、前記プログラムの更新状況に関する情報を前記第2表示装置に表示させる、車両の制御装置。
【請求項8】
請求項1から4のいずれか1項に記載の車両の制御装置であって、
前記ユーザは、前記車両の運転者である、車両の制御装置。
【請求項9】
車両の制御装置であって、
前記車両を目標位置に自動的に駐車させる駐車支援制御を行うプロセッサと、
前記車両の走行制御に必要なプログラムが記憶される記憶部と、を備え、
前記プロセッサは、
前記駐車支援制御として、前記車両のユーザが前記車両に非乗車の状態で前記車両の前記目標位置への移動を開始させる第1駐車支援制御を行い、
前記第1駐車支援制御の実行後、前記車両の電源がオフになってから前記プログラムの更新を行い、
前記第1駐車支援制御によって移動した前記車両の停車位置と、前記目標位置と、に基づいて、前記プログラムの更新を行うか否かを決定する車両の制御装置。
【請求項10】
車両の制御装置であって、
前記車両を、走行計画にしたがって、目標位置に自動的に駐車させる駐車支援制御を行うプロセッサと、
前記車両の走行制御に必要なプログラムが記憶される記憶部と、を備え、
前記プロセッサは、
前記駐車支援制御として、前記車両のユーザが前記車両に非乗車の状態で前記車両の前記目標位置への移動を開始させる第1駐車支援制御を行い、
前記第1駐車支援制御の実行後、前記車両の電源がオフになってから前記プログラムの更新を行い、
前記第1駐車支援制御によって移動した前記車両の走行実績と、前記走行計画と、に基づいて、前記プログラムの更新を行うか否かを決定する車両の制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、交通参加者の中でも脆弱な立場にある人々にも配慮した持続可能な輸送システムへのアクセスを提供する取り組みが活発化している。この実現に向けて、出願人は、運転支援技術に関する研究開発を通して交通の安全性や利便性をより一層改善する研究開発に注力している。運転支援技術の1つとして、車両の駐車を支援する駐車支援技術が知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4754883号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
駐車支援が行われるということは、通常は、車両を長時間にわたって停止させることが想定される。したがって、駐車支援が完了した後に、車両を作動させる各種のプログラムの更新処理を行うことが有効と考えられる。しかし、駐車支援の行われている状況やその内容によっては、プログラムの更新処理の実行タイミングを適切に制御しないと、利便性を損なう結果となる場合がある。
【0005】
本開示は、駐車支援が行われた後の利便性の向上を図ることを目的としている。そして、延いては持続可能な輸送システムの発展に寄与するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様の車両の制御装置は、前記車両を目標位置に自動的に駐車させる駐車支援制御を行うプロセッサと、
前記車両の走行制御に必要なプログラムが記憶される記憶部と、を備え、
前記プロセッサは、前記駐車支援制御として、前記車両のユーザが前記車両に非乗車の状態で前記車両の前記目標位置への移動を開始させる第1駐車支援制御と、前記ユーザが前記車両に乗車した状態で前記車両の前記目標位置への移動を開始させる第2駐車支援制御と、を行い、
前記プロセッサは、前記第1駐車支援制御又は前記第2駐車支援制御の実行後、前記車両の電源がオフになってから前記プログラムの更新を行い、
前記プログラムの更新の開始条件は、前記第2駐車支援制御が実行された場合よりも、前記第1駐車支援制御が実行された場合の方が厳しく設定される、ものである。
【0007】
本開示の一態様の車両の制御装置は、前記車両を目標位置に自動的に駐車させる駐車支援制御を行うプロセッサと、
前記車両の走行制御に必要なプログラムが記憶される記憶部と、を備え、
前記プロセッサは、前記駐車支援制御として、前記車両のユーザが前記車両に非乗車の状態で前記車両の前記目標位置への移動を開始させる第1駐車支援制御を行い、
前記プロセッサは、
前記第1駐車支援制御の実行後、前記車両の電源がオフになってから前記プログラムの更新を行い、
前記第1駐車支援制御によって移動した前記車両の停車位置と、前記目標位置と、に基づいて、前記プログラムの更新を行うか否かを決定するものである。
【0008】
本開示の一態様の車両の制御装置は、前記車両を、走行計画にしたがって、目標位置に自動的に駐車させる駐車支援制御を行うプロセッサと、
前記車両の走行制御に必要なプログラムが記憶される記憶部と、を備え、
前記プロセッサは、前記駐車支援制御として、前記車両のユーザが前記車両に非乗車の状態で前記車両の前記目標位置への移動を開始させる第1駐車支援制御を行い、
前記プロセッサは、
前記第1駐車支援制御の実行後、前記車両の電源がオフになってから前記プログラムの更新を行い、
前記第1駐車支援制御によって移動した前記車両の走行実績と、前記走行計画と、に基づいて、前記プログラムの更新を行うか否かを決定するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、駐車支援が行われた後の利便性の向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本開示の一実施形態の制御装置によって制御される車両1を示す図である。
図2図2は、自動駐車を行う際の制御装置30の処理を説明するためのフローチャートである。
図3図3は、自動駐車を行う際の制御装置30の処理の第一変形例を説明するためのフローチャートである。
図4図4は、自動駐車を行う際の制御装置30の処理の第二変形例を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は、本開示の一実施形態の制御装置によって制御される車両1を示す図である。図1に示す車両1は、駆動源と、駆動源の動力によって駆動される駆動輪及び転舵可能な転舵輪を含む車輪(いずれも不図示)と、を有する自動車である。例えば、車両1は、左右一対の前輪及び後輪を有する四輪の自動車である。車両1の駆動源は、電動機であってもよいし、ガソリンエンジンやディーゼルエンジン等の内燃機関であってもよいし、電動機と内燃機関との組み合わせであってもよい。また、車両1の駆動源は、左右一対の前輪を駆動してもよいし、左右一対の後輪を駆動してもよいし、左右一対の前輪及び後輪の四輪を駆動してもよい。前輪及び後輪は、いずれか一方が転舵可能な転舵輪であってもよいし、双方が転舵可能な転舵輪であってもよい。
【0012】
車両1は、車両1の乗員であるユーザ(好ましくは、車両1の運転者)が指定した目標位置へ自動操舵により移動可能に構成される。
【0013】
目標位置としては、車両1を駐車する位置(以下、単に「駐車位置」とも称する)が設定され得る。すなわち、車両1は、ユーザが指定した駐車位置に自動操舵により駐車可能に構成される。以下、ユーザが指定した駐車位置への自動操舵による駐車を「自動駐車」とも称する。
【0014】
また、車両1では、自動駐車のモードとして、乗車駐車モードと、遠隔駐車モードとを選択することが可能になっている。乗車駐車モードは、車両1に搭載されたデバイスをユーザが操作して、つまり、ユーザが車両1に乗車した状態で、自動駐車を開始させるモードである。遠隔駐車モードは、車両1とは別体のデバイス(後述の外部装置2)をユーザが操作して、つまり、ユーザが車両1に非乗車の状態で、自動駐車の開始を遠隔で行うことが可能なモードである。遠隔駐車モードで自動駐車を行う場合には、ユーザは、スマートフォン等の外部装置2にインストールしたアプリを起動させた上で降車し、車両1の外でそのアプリを操作することで、自動駐車を開始させる。
【0015】
図1に示すように、車両1は、センサ群10と、ナビゲーション装置20と、制御装置30と、EPSシステム(電動パワーステアリングシステム)40と、通信部50と、駆動力制御システム60と、制動力制御システム70と、操作入力部80と、を備える。
【0016】
センサ群10は、車両1又は車両1の周辺に関する各種の検出値を取得する。センサ群10によって取得された検出値は、制御装置30へ送られ、車両1の自動駐車等に供される。
【0017】
センサ群10には、例えば、前方カメラ11aと、後方カメラ11bと、左側方カメラ11cと、右側方カメラ11dと、前方ソナー群12aと、後方ソナー群12bと、左側方ソナー群12cと、右側方ソナー群12dとが含まれる。これらのカメラ及びソナー群は、車両1の周辺情報を取得する外界センサとして機能し得る。
【0018】
前方カメラ11a、後方カメラ11b、左側方カメラ11c、及び右側方カメラ11dは、車両1の周辺を撮像することにより得られた周辺画像の画像データを制御装置30へ出力する。前方カメラ11a、後方カメラ11b、左側方カメラ11c、及び右側方カメラ11dによって撮像される周辺画像は、それぞれ前方画像、後方画像、左側方画像、右側方画像とも称される。また、左側方画像と右側方画像とによって構成される画像は、側方画像とも称される。
【0019】
前方ソナー群12a、後方ソナー群12b、左側方ソナー群12c、及び右側方ソナー群12dは、車両1の周辺に音波を発射するとともに、他物体からの反射音を受信する。前方ソナー群12aは、例えば4つのソナーを含む。前方ソナー群12aを構成するソナーは、車両1の左斜め前方、前方左側、前方右側、及び右斜め前方にそれぞれ備えられている。後方ソナー群12bは、例えば4つのソナーを含む。後方ソナー群12bを構成するソナーは、車両1の左斜め後方、後方左側、後方右側、及び右斜め後方にそれぞれ備えられている。左側方ソナー群12cは、例えば2つのソナーを含む。左側方ソナー群12cを構成するソナーは、車両1の左側部前方、及び左側部後方にそれぞれ備えられている。右側方ソナー群12dは、例えば2つのソナーを含む。右側方ソナー群12dを構成するソナーは、車両1の右側部前方、及び右側部後方にそれぞれ備えられている。
【0020】
さらに、センサ群10には、車輪センサ13a、13bと、車速センサ14と、操作検出部15とが含まれる。車輪センサ13a、13bは、それぞれ車輪(不図示)の回転角度θa、θbを検出する。車輪センサ13a、13bは、角度センサによって構成されていてもよいし、変位センサによって構成されていてもよい。車輪センサ13a、13bは、車輪が所定角度回転する毎に検出パルスを出力する。車輪センサ13a、13bから出力される検出パルスは、車輪の回転角度及び車輪の回転速度の算出に用いられ得る。車輪の回転角度に基づいて、車両1の移動距離が算出され得る。車輪センサ13aは、例えば、左後輪の回転角度θaを検出する。車輪センサ13bは、例えば、右後輪の回転角度θbを検出する。
【0021】
車速センサ14は、車両1の車体(不図示)の走行速度、すなわち車速Vを検出し、検出した車速Vを制御装置30へ出力する。車速センサ14は、例えば、トランスミッションのカウンタシャフトの回転に基づいて車速Vを検出する。
【0022】
操作検出部15は、操作入力部80を用いて行われるユーザによる操作内容を検出し、検出した操作内容を制御装置30へ出力する。操作入力部80には、例えば、自動駐車を実行させる操作を受け付ける操作ボタン等が含まれ得る。操作入力部80は、後述するタッチパネル21と共通化されてもよい。
【0023】
ナビゲーション装置20は、例えばGPS(global positioning system)を用いて車両1の現在位置を検出するとともに、目的地までの経路をユーザに案内する。ナビゲーション装置20は、地図情報データベースが備えられた不図示の記憶装置を有する。
【0024】
ナビゲーション装置20には、タッチパネル21と、スピーカ22とが備えられている。タッチパネル21は、制御装置30に対する各種情報の入力を受け付ける入力装置、及び制御装置30によって制御される表示装置として機能する。すなわち、ユーザは、タッチパネル21を介して、制御装置30に対し、各種の指令を入力することが可能である。また、タッチパネル21には、各種の画面が表示される。
【0025】
スピーカ22は、ユーザに対して各種の案内情報を音声で出力する。一例として、自動駐車の際には、スピーカ22を介した音声案内が行われるようにしてもよい。具体的には、ユーザが指定した駐車位置への自動操舵による移動が開始される際に、車両1の移動が開始されることがスピーカ22を介した音声案内により行われるようにしてもよい。
【0026】
制御装置30は、車両1全体を統括制御する装置(コンピュータ)である。制御装置30は、例えば、入出力部31と、演算部32と、記憶部35と、を備える。入出力部31は、演算部32の制御に従って、制御装置30の内部と外部との間でデータの入出力を行うインターフェイスである。記憶部35は、例えばフラッシュメモリ等の不揮発性の記憶媒体を含んで構成され、車両1の動作を制御するための各種情報(例えばデータやプログラム)を記憶する。
【0027】
演算部32は、例えばCPU(central processing unit)等のプロセッサにより構成され、記憶部35等に記憶されたプログラムを実行することによって車両1の各構成要素を制御する。演算部32は、車両1を目標位置(駐車位置)に自動的に駐車させる駐車支援制御を行う。例えば、演算部32は、入出力部31等を介して自動駐車を実行させる操作を受け付けると、駐車支援制御を実行する。演算部32が行う駐車支援制御には、遠隔駐車モードにおいて行う第1駐車支援制御と、乗車駐車モードにおいて行う第2駐車支援制御と、が含まれる。
【0028】
演算部32は、車両1が備える表示装置(ここではタッチパネル21とする)を制御する。演算部32は、例えば、自動駐車を実行させる操作を受け付けたことに応じて、自動駐車関連画面をタッチパネル21に表示し得る。ユーザは、この自動駐車関連画面において、駐車位置を設定する。
【0029】
ユーザは、乗車駐車モードにて自動駐車を開始したい場合には、この自動駐車関連画面を操作して、自動駐車の開始指示を制御装置30に対して入力する。この開始指示を受けた演算部32は、第2駐車支援制御の実行を開始する。ユーザは、遠隔駐車モードにて自動駐車を開始したい場合には、この自動駐車関連画面に表示される遠隔駐車モードへの遷移手順を参照して、必要な作業を行う。例えば、ユーザは、車両1のシフトをパーキングに入れ、外部装置2のアプリを起動し、車両1から降りてドアロックを行い、その後、アプリを操作して、自動駐車の開始指示を制御装置30に対して入力する。演算部32は、この開始指示を受けて第1駐車支援制御の実行を開始する。
【0030】
なお、第1駐車支援制御には、車両1を目標位置まで移動させ、車両1を停車させた後に、車両1の電源をオフにする制御が含まれる。一方、第2駐車支援制御には、車両1を目標位置まで移動させ、車両1を停車させた後に、車両1の電源をオフにする制御は含まれない。つまり、乗車駐車モードにおいては、自動駐車の完了後、ユーザが、自分の意思で車両1の電源をオフにすることになる。一方、遠隔駐車モードにおいては、自動駐車の開始指示を行った後は、車両1の電源のオフまでが自動的に行われる。
【0031】
車両1の電源がオフの状態では、必要最小限の操作(例えば電源オン操作等)の検出に必要なデバイス、外部との通信に必要なデバイス、後述するプログラムの更新に必要なデバイス、及びセキュリティシステムに含まれるデバイス等の特定のデバイス以外のデバイスに供給される電力が最小化されて、車両1は休止状態となる。
【0032】
EPSシステム40は、舵角センサ41と、トルクセンサ42と、EPSモータ43と、レゾルバ44と、EPS ECU(EPS電子制御装置)45と、を有する。舵角センサ41は、ステアリング46の舵角θstを検出する。トルクセンサ42は、ステアリング46に加わるトルクTQを検出する。
【0033】
EPSモータ43は、ステアリング46に連結されたステアリングコラム47に対して駆動力又は反力を付与することにより、運転者によるステアリング46の操作支援や自動駐車時の自動操舵を可能とする。レゾルバ44は、EPSモータ43の回転角度θmを検出する。EPS ECU45は、EPSシステム40の全体の制御を司る。EPS ECU45には、入出力部と、演算部と、記憶部とが備えられている(いずれも不図示)。
【0034】
通信部50は、制御装置30の制御に従って、車両1とは別体の外部装置2との間で通信を行う通信インターフェイスである。本形態では、一例として、外部装置2を、ユーザの所持するスマートフォンとする。制御装置30は、通信部50を介して外部装置2との間で通信を行い得る。車両1と外部装置2との通信には、例えば、セルラー回線等の移動体通信網、WI-FI(登録商標)、bluetooth(登録商標)等を採用することができる。外部装置2は、例えば、車両1の製造業者によって管理され得る。
【0035】
駆動力制御システム60は、駆動ECU61を備えている。駆動力制御システム60は、車両1の駆動力制御を実行する。駆動ECU61は、不図示のアクセルペダルに対するユーザによる操作や制御装置30からの指示に基づいて、不図示のエンジンやモータ等を制御することによって、車両1の駆動力を制御する。駆動ECU61には、入出力部と、演算部と、記憶部とが備えられている(いずれも不図示)。
【0036】
制動力制御システム70には、制動ECU71が備えられている。制動力制御システム70は、車両1の制動力制御を実行する。制動ECU71は、不図示のブレーキペダルに対するユーザによる操作に基づいて、不図示のブレーキ機構等を制御することによって、車両1の制動力を制御する。制動ECU71には、入出力部と、演算部と、記憶部とが備えられている(いずれも不図示)。
【0037】
記憶部35には、車両1の走行制御に必要な走行制御用プログラムが記憶され得る。車両1の制御に用いられる走行制御用プログラムを含むプログラムは、通信部50を介して接続された外部サーバ等から更新版をダウンロードして、更新することが可能に構成されている。走行制御用プログラムの更新中は、車両1を移動させることは不可となる。このため、走行制御用プログラムを含むプログラムの更新は、車両1を長時間にわたって停止させるタイミングで行うことが好ましい。車両1において更新対象となるプログラムは、記憶部35だけでなく、EPS ECU45の記憶部、駆動ECU61の記憶部、及び制動ECU71の記憶部のいずれかに記憶されるものも含まれ得る。
【0038】
本形態では、演算部32が、第1駐車支援制御又は第2駐車支援制御の終了後に、走行制御用プログラムを含むプログラムの更新を行うようにしている。演算部32は、例えば、第1駐車支援制御を終了した後に、外部装置2の表示装置に、プログラムの更新を行うかどうかを確認するための画面を表示させる。演算部32は、この画面において、プログラムの更新を即時開始することを指示する操作がなされた場合に、更新開始の指示を受け付けて、プログラムの更新を開始する。或いは、演算部32は、第1駐車支援制御を終了した後に、上記画面において、次回の自動駐車の終了後にプログラムの更新を行うことを指示する操作がなされた場合には、次回の自動駐車の終了後に、ユーザへの確認を行うことなく、プログラムの更新を開始する。
【0039】
演算部32は、例えば、第2駐車支援制御を終了した後には、タッチパネル21に上記画面を表示させる。演算部32は、この画面において、プログラムの更新を即時開始することを指示する操作がなされた場合に、更新開始の指示を受け付け、車両1の電源がオフになった後に、プログラムの更新を開始する。或いは、演算部32は、第2駐車支援制御を終了した後に、上記画面において、次回の自動駐車の終了後にプログラムの更新を行うことを指示する操作がなされた場合には、次回の自動駐車の終了後且つ車両1の電源オフ後に、ユーザへの確認を行うことなく、プログラムの更新を開始する。
【0040】
演算部32は、上記画面を表示させた後、所定時間にわたってユーザ操作が検出されなかった場合には、更新を即時開始する意思があるものと判定して、プログラム更新の開始指示を受け付けるようにしてもよい。
【0041】
図2は、自動駐車を行う際の制御装置30の処理を説明するためのフローチャートである。演算部32は、自動駐車を実行させる操作を受け付けると、自動駐車関連画面をタッチパネル21に表示させる(ステップS1)。ユーザは、この自動駐車関連画面において、駐車位置を設定する。演算部32は、設定された駐車位置を取得して駐車計画を作成する(ステップS2)。駐車計画とは、設定された駐車位置までに、どのような経路で車両1を移動させるかを定めたものである。
【0042】
次に、演算部32は、自動駐車モードが遠隔駐車モードであるか否かを判定する(ステップS3)。演算部32は、遠隔駐車モードであった場合(ステップS3:YES)には、ステップS4からステップS8の処理を行い、遠隔駐車モードではなく、乗車駐車モードであった場合(ステップS3:NO)には、ステップS10からステップS14の処理を行う。
【0043】
遠隔駐車モードの場合には、ユーザによって外部装置2のアプリが起動され、ユーザが車両1の外に出て、車両1のロックが行われる。ステップS4において、演算部32は、遠隔駐車モードの終了後に行うべきプログラムの更新の開始条件を設定する(ステップS4)。ここで設定する開始条件は、車両1の電源がオフになってからの経過時間が第1時間に達すること、という時間に関する条件である。第1時間は、特に限定されるものではないが例えば30秒に設定される。
【0044】
ステップS4の後、又は、ステップS4と並行して、演算部32は、外部装置2のアプリ画面に、ステップS2で作成した駐車計画情報を表示させる(ステップS5)。
【0045】
次に、ユーザは、外部装置2のアプリ画面を操作して、自動駐車の開始を指示する。演算部32は、この指示を受けると、第1駐車支援制御を開始して、車両1の目標位置への移動を開始させる(ステップS6)。
【0046】
ステップS6の後、演算部32は、車両1を停止させて自動駐車を完了し、その後、車両1の電源をオフにして、第1駐車支援制御を終了する(ステップS7)。なお、演算部32は、車両1を停止させた後に、アプリ画面を利用して、プログラムの更新要否をユーザに確認し、ユーザからプログラムの更新の開始指示がなされた場合に、車両1の電源をオフにするようにしてもよい。
【0047】
ステップS7の後、演算部32は、車両1の電源をオフにしてからの経過時間をカウントし、その経過時間が、ステップS4にて設定した第1時間に到達すると、走行制御プログラムを含むプログラムの更新を開始する(ステップS8)。
【0048】
乗車駐車モードの場合には、ユーザによってタッチパネル21が操作されて、自動駐車の開始指示が制御装置30に入力される。演算部32は、この開始指示を受けると、乗車駐車モードの終了後に行うべきプログラムの更新の開始条件を設定する(ステップS10)。ここで設定する開始条件は、ステップS4にて設定したものと同様に、時間に関する条件である。ステップS10において、演算部32は、車両1の電源がオフになってからの経過時間が第2時間に達すること、という時間に関する条件を設定する。第2時間は、第1時間よりも短い値である。第2時間は、特に限定されるものではないが例えば15秒に設定される。
【0049】
ステップS10の後、又は、ステップS10と並行して、演算部32は、タッチパネル21に、ステップS2で作成した駐車計画情報を表示させる(ステップS11)。
【0050】
次に、ユーザは、タッチパネル21を操作して、自動駐車の開始を指示する。演算部32は、この指示を受けると、第2駐車支援制御を開始して、車両1の目標位置への移動を開始させる(ステップS12)。
【0051】
ステップS12の後、演算部32は、車両1を停止させて自動駐車を完了し、その後、車両1の電源をオフにすることなく、第2駐車支援制御を終了する。
【0052】
その後、ユーザが車両1の電源をオフにする操作を行うと、演算部32は、車両1の電源をオフにする(ステップS13)。その後、演算部32は、車両1の電源がオフになってからの経過時間をカウントし、その経過時間が、ステップS10にて設定した第2時間に到達すると、走行制御プログラムを含むプログラムの更新を開始する(ステップS14)。
【0053】
車両1は、ステップS8又はステップS14で開始したプログラムの更新が完了した後に、電源のオンが可能となり、走行可能な状態に復帰する。なお、演算部32は、第2駐車支援制御の終了後に、タッチパネル21を利用して、プログラムの更新要否をユーザに確認し、ユーザからプログラムの更新の開始指示がなされた場合に、車両1の電源のオフ後にプログラムの更新を開始するようにしてもよい。
【0054】
図2に示すフローチャートにおいて、ステップS4の処理は、ステップS5からステップS7の間に行われてもよい。同様に、ステップS10の処理は、ステップS11からステップS13の間に行われてもよい。
【0055】
以上のように、車両1によれば、第1駐車支援制御(遠隔駐車モード)が実行された場合には、車両1の電源がオフになってからプログラムの更新が開始されるまでの時間が、第2駐車支援制御(乗車駐車モード)が実行された場合よりも長くなる。換言すると、第1駐車支援制御(遠隔駐車モード)が実行された場合には、第2駐車支援制御(乗車駐車モード)が実行された場合よりも、プログラムの更新の開始条件が厳しく設定される。このため、第1駐車支援制御の終了後、プログラムの更新が開始される前に、車両1の外にいるユーザが車内に戻って、車両1を移動させる等の対応を行うだけの時間を十分に確保可能になる。この結果、例えば、第1駐車支援制御によって停車した車両1の位置を変更したい場合や、予定が変わって直ぐに出庫が必要な場合等に、これを実現することができ、利便性を高めることができる。
【0056】
また、車両1内にユーザが存在している状態で実行可能な第2駐車支援制御が実行された場合には、ユーザが、車両1の停止後に、その後の車両1の移動の必要性を判断した上で、車両1の電源をオフにすることで、プログラムの更新が開始される。このように、ユーザの意思で車両1の電源がオフになった場合には、プログラムの更新が短時間で開始されるように開始条件が設定されるため、プログラムの更新終了までの時間を短縮できる。
【0057】
図3は、自動駐車を行う際の制御装置30の処理の第一変形例を説明するためのフローチャートである。図3に示すフローチャートは、ステップS4がステップS4aに変更された点と、ステップS7とステップS8の間にステップS21が追加された点と、を除いては、図2に示すフローチャートと同じである。
【0058】
ステップS4aにおいて、演算部32は、遠隔駐車モードの終了後に行うべきプログラムの更新の開始条件を設定する。ここで設定する開始条件は、上述した時間に関する条件に加えて、遠隔駐車モードの終了後の車両1の停車位置に基づく条件が含まれる。停車位置に基づく条件とは、停車位置と目標位置との一致度に関する条件であり、この一致度が閾値以上であること、である。本変形例では、第1駐車支援制御(遠隔駐車モード)が実行された場合には、第2駐車支援制御(乗車駐車モード)が実行された場合よりも、プログラムの更新の開始条件の数が増えることで、この開始条件が厳しく設定される。
【0059】
ステップS7の後、演算部32は、第1駐車支援制御によって移動させた車両1の停車位置と、ステップS2で取得した目標位置との一致度を判定する(ステップS21)。演算部32は、この一致度が閾値以上である場合(ステップS21:YES)には、ステップS8において、車両1の電源がオフとなってからの経過時間が第1時間に達した場合に、プログラムの更新を開始する。演算部32は、この一致度が閾値未満である場合(ステップS21:NO)には、プログラムの更新を行わない。この場合、演算部32は、アプリ画面を利用して、プログラムの更新を今回は行わないことを通知してもよい。
【0060】
このように、第一変形例の処理によれば、車両1の停車位置が目標位置から大きくずれているような場合には、プログラムの更新が開始されないため、自動駐車の完了後に、ユーザが車両1の電源をオンして、車両1を移動させることが可能となる。このため、車両1の位置をユーザが修正することが可能となり、適切な位置に車両1を停車させることができる。
【0061】
なお、第一変形例の処理においては、ステップS4aにて設定する第1時間を、ステップS10にて設定する第2時間よりも長くすることは必須ではなく、第1時間と第2時間を同じ値としてもよい。このようにした場合でも、遠隔駐車モードにおいては、プログラムの更新の開始条件として停車位置に基づく条件が含まれることで、乗車駐車モードよりも、その開始条件が厳しく設定される。つまり、遠隔駐車モードにおいては、乗車駐車モードと比べて、容易にはプログラムの更新が開始されないため、車両1の停車後の様々な対応が可能となり、利便性を向上させることができる。
【0062】
図4は、自動駐車を行う際の制御装置30の処理の第二変形例を説明するためのフローチャートである。図4に示すフローチャートは、ステップS4がステップS4bに変更された点と、ステップS7とステップS8の間にステップS22が追加された点と、を除いては、図2に示すフローチャートと同じである。
【0063】
ステップS4bにおいて、演算部32は、遠隔駐車モードの終了後に行うべきプログラムの更新の開始条件を設定する。ここで設定する開始条件は、上述した時間に関する条件に加えて、遠隔駐車モードにおける車両1の走行実績に基づく条件が含まれる。走行実績に基づく条件とは、走行実績(走行経路を含む走行内容)と駐車計画との一致度に関する条件であり、この一致度が閾値以上であること、である。本変形例では、第1駐車支援制御(遠隔駐車モード)が実行された場合には、第2駐車支援制御(乗車駐車モード)が実行された場合よりも、プログラムの更新の開始条件の数が増えることで、この開始条件が厳しく設定される。
【0064】
ステップS7の後、演算部32は、第1駐車支援制御によって移動させた車両1の走行実績と、ステップS2で作成した駐車計画との一致度を判定する(ステップS22)。演算部32は、この一致度が閾値以上である場合(ステップS22:YES)には、ステップS8において、車両1の電源がオフとなってからの経過時間が第1時間に達した場合に、プログラムの更新を開始する。演算部32は、この一致度が閾値未満である場合(ステップS22:NO)には、プログラムの更新を行わない。この場合、演算部32は、アプリ画面を利用して、プログラムの更新を今回は行わないことを通知してもよい。
【0065】
このように、第二変形例の処理によれば、車両1の走行実績が駐車計画から大きくずれているような場合には、プログラムの更新が開始されないため、自動駐車の完了後に、車両1の電源をオンして、車両1を移動させることが可能となる。例えば、第1駐車支援制御によって車両1が移動しているときに、何らかの異常が発生して、駐車計画とおりに移動がなされたなかった場合には、第1駐車支援制御の終了後に、ユーザが車両1を再起動して、その異常に対処することが可能になる。
【0066】
なお、第二変形例の処理においては、ステップS4bにて設定する第1時間を、ステップS10にて設定する第2時間よりも長くすることは必須ではなく、第1時間と第2時間を同じ値としてもよい。このようにした場合でも、遠隔駐車モードにおいては、プログラムの更新の開始条件として走行実績に基づく条件が含まれることで、乗車駐車モードよりも、その開始条件が厳しく設定される。つまり、遠隔駐車モードにおいては、乗車駐車モードと比べて、容易にはプログラムの更新が開始されないため、車両1の停車後の様々な対応が可能となり、利便性を向上させることができる。
【0067】
第一変形例と第二変形例は組み合わせ可能である。つまり、演算部32は、遠隔駐車モードにおいては、プログラムの更新の開始条件として、時間に関する条件と、停車位置に基づく条件と、走行実績に基づく条件とを設定し、乗車駐車モードにおいては、プログラムの更新の開始条件として、時間に関する条件のみを設定するようにしてもよい。この場合、演算部32は、第1駐車支援制御の終了後、駐車計画と走行実績の一致度と、停車位置と目標位置との一致度との少なくとも一方が閾値未満であった場合には、プログラムの更新を行わないようにすればよい。
【0068】
演算部32は、プログラムの更新を行っている場合には、その更新状況に関する情報を、外部装置2の表示装置に表示させる制御を行うことが好ましい。更新状況に関する情報は、例えば、更新の進捗を示す情報、更新完了までの残り時間を示す情報等である。プログラムの更新が開始された後は、ユーザは、車両1の外にいることになるが、ユーザの所持する外部装置2の表示装置に更新状況に関する情報が表示されることで、更新が終わったかどうか、更新がどれくらいで終わるかといったことを、ユーザが容易に知ることができる。これにより、プログラムの更新が終わる頃に、車両1の駐車位置に戻るといった計画をたてることが可能となり、利便性を高めることができる。
【0069】
なお、演算部32は、プログラムの更新内容が、リコール等の安全性に関わるものであった場合には、自動駐車(第1駐車支援制御と第2駐車支援制御の両方)を実行不可とすることが好ましい。また、演算部32は、プログラムの更新要否をユーザに確認し、その確認の結果、更新せずの指示が所定回連続してなされた場合には、第1駐車支援制御と第2駐車支援制御のうち、第1駐車支援制御についてはこれを実行不可とすることが好ましい。
【0070】
以上、本開示の一実施形態について、添付図面を参照しながら説明したが、本開示は、かかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。また、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、前述した実施形態における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。
【0071】
例えば、前述した実施形態では、車両として、四輪の自動車を例示したが、これに限られない。本開示の技術が適用可能な車両は、二輪の自動車(いわゆる自動二輪車)であってもよいし、セグウェイ(登録商標)等であってもよい。
【0072】
本明細書には少なくとも以下の事項が記載されている。なお、括弧内には、上記した実施形態において対応する構成要素等を示しているが、これに限定されるものではない。
【0073】
(1) 車両の制御装置(制御装置30)であって、
前記車両を目標位置に自動的に駐車させる駐車支援制御を行うプロセッサ(演算部32)と、
前記車両の走行制御に必要なプログラム(走行制御用プログラム)が記憶される記憶部(記憶部35)と、を備え、
前記プロセッサは、前記駐車支援制御として、前記車両のユーザが前記車両に非乗車の状態で前記車両の前記目標位置への移動を開始させる第1駐車支援制御と、前記ユーザが前記車両に乗車した状態で前記車両の前記目標位置への移動を開始させる第2駐車支援制御と、を行い、
前記プロセッサは、前記第1駐車支援制御又は前記第2駐車支援制御の実行後、前記車両の電源がオフになってから前記プログラムの更新を行い、
前記プログラムの更新の開始条件は、前記第2駐車支援制御が実行された場合よりも、前記第1駐車支援制御が実行された場合の方が厳しく設定される、車両の制御装置。
【0074】
(1)によれば、プログラムの更新中は車両を移動させることが不可となるが、ユーザが車両外にいる状態で実行される第1駐車支援制御が実行された場合には、プログラムの更新の開始条件が厳しく設定されることで、例えば、車両の電源がオフとなってからプログラムの更新が開始されるまでの間に、車両外にいるユーザが車両内に戻って、車両を移動させる等の対応が可能になる。この結果、例えば、第1駐車支援制御によって停車した車両の位置を変更したい場合や、予定が変わって直ぐに出庫が必要な場合等に、これを実現することができ、利便性を高めることができる。
【0075】
(2) (1)に記載の車両の制御装置であって、
前記第1駐車支援制御は、前記車両を停車させた後に前記車両の電源をオフする制御を含み、
前記第2駐車支援制御は、前記車両の電源をオフする制御を含まない、車両の制御装置。
【0076】
(2)によれば、車両内にユーザが存在している状態で実行される第2駐車支援制御が実行された場合には、例えばユーザが、車両の停止後に、その後の車両の移動の必要性を判断した上で、車両の電源をオフにすることで、プログラムの更新が開始される。このように、ユーザの意思で車両の電源がオフになった場合には、例えばプログラムの更新が短時間で開始されるように開始条件を設定しておくことで、プログラムの更新終了までの時間を短縮できる。一方、第1駐車支援制御を実行した場合には、車両の電源オフが自動的に行われる。このため、第1駐車支援制御の終了後、ユーザが車両を起動させて車両を移動させるまでの時間を確保することが求められる。第1駐車支援制御の実行時には、プログラムの更新の開始条件が厳しくなるため、上記時間を確保することが可能となり、車両の位置を変更したい場合や、予定が変わって直ぐに出庫が必要な場合等に、これを実現することができ、利便性を高めることができる。
【0077】
(3) (1)又は(2)に記載の車両の制御装置であって、
前記プロセッサは、前記第1駐車支援制御を実行した場合には、前記開始条件に、前記第1駐車支援制御によって移動した前記車両の停車位置と前記目標位置との一致度に関するものを含める車両の制御装置。
【0078】
(3)によれば、車両の停車位置が目標位置から大きくずれているような場合には、例えばプログラムの更新を開始しないようにすることで、停車した車両の位置の修正が可能となる。
【0079】
(4) (1)から(3)のいずれかに記載の車両の制御装置であって、
前記プロセッサは、前記第1駐車支援制御を実行した場合には、前記開始条件に、前記車両の走行計画と前記第1駐車支援制御による前記車両の走行実績との一致度に関するものを含める車両の制御装置。
【0080】
(4)によれば、車両の走行実績が走行計画から大きくずれているような場合には、例えばプログラムの更新を開始しないようにすることで、停車後も、第1駐車支援制御中に発生したトラブル等に対応することが可能になる。
【0081】
(5) (1)から(4)のいずれかに記載の車両の制御装置であって、
前記開始条件には、前記車両の電源がオフとなってから前記プログラムの更新が開始されるまでの時間が含まれ、
前記プロセッサは、前記第1駐車支援制御を実行した場合には、前記第2駐車支援制御を実行した場合よりも、前記時間を長くする、車両の制御装置。
【0082】
(5)によれば、第1駐車支援制御が実行された場合には、車両の電源がオフになってからプログラムの更新が開始されるまでの時間が長くなる。このため、この時間を使って、車両の外にいるユーザが車内に戻って、車両を移動させる等の対応が可能になる。この結果、例えば、第1駐車支援制御によって停車した車両の位置を変更したい場合や、予定が変わって直ぐに出庫が必要な場合等に、これを実現することができ、利便性を高めることができる。
【0083】
(6) (1)から(5)のいずれかに記載の車両の制御装置であって、
前記プロセッサは、
前記第1駐車支援制御又は前記第2駐車支援制御の実行後、前記車両の電源がオフになり、且つ、前記プログラムの更新の開始指示を受けてから、前記プログラムの更新を行い、
前記第1駐車支援制御を実行した場合には、前記開始指示を確認するための画面を前記車両に搭載された第1表示装置(タッチパネル21)とは異なる第2表示装置(外部装置2の表示装置)に表示させ、前記第2駐車支援制御を実行した場合には、前記画面を前記第1表示装置に表示させる車両の制御装置。
【0084】
(6)によれば、第1駐車支援制御を行う場合と第2駐車支援制御を行う場合とで適切な場所にて画面を表示させることができ、プログラムの更新の開始指示をユーザが確実に実行できるようになる。
【0085】
(7) (6)に記載の車両の制御装置であって、
前記プロセッサは、前記開始指示を受けた場合には、前記プログラムの更新状況に関する情報を前記第2表示装置に表示させる、車両の制御装置。
【0086】
(7)によれば、車両に搭載された第1表示装置ではなく、第2表示装置(例えばユーザの所持するスマートフォン等の表示装置)に更新状況が表示されるため、車両外にユーザがいる場合であっても、ユーザは、プログラムの更新状況を容易に知ることができる。これにより、プログラムの更新が終わる頃に、車両の位置に戻るといった計画をたてることが可能となり、利便性を高めることができる。
【0087】
(8) (1)から(4)のいずれかに記載の車両の制御装置であって、
前記ユーザは、前記車両の運転者である、車両の制御装置。
【0088】
(9) 車両の制御装置(制御装置30)であって、
前記車両を目標位置に自動的に駐車させる駐車支援制御を行うプロセッサ(演算部32)と、
前記車両の走行制御に必要なプログラム(走行制御用プログラム)が記憶される記憶部(記憶部35)と、を備え、
前記プロセッサは、
前記駐車支援制御として、前記車両のユーザが前記車両に非乗車の状態で前記車両の前記目標位置への移動を開始させる第1駐車支援制御を行い、
前記第1駐車支援制御の実行後、前記車両の電源がオフになってから前記プログラムの更新を行い、
前記第1駐車支援制御によって移動した前記車両の停車位置と、前記目標位置と、に基づいて、前記プログラムの更新を行うか否かを決定する車両の制御装置
【0089】
(9)によれば、プログラムの更新中は車両を移動させることが不可となるが、第1駐車支援制御が実行され、車両の停車位置が目標位置から大きくずれているような場合には、例えばプログラムの更新を開始しないようにすることで、停車した車両の位置をユーザが修正可能となる。一方、車両の停車位置が目標位置とほぼ一致している場合には、例えばプログラムの更新を開始するようにすることで、プログラムを最新の状態に維持でき、最適な走行制御が可能になる。
【0090】
(10) 車両の制御装置(制御装置30)であって、
前記車両を、走行計画にしたがって、目標位置に自動的に駐車させる駐車支援制御を行うプロセッサ(演算部32)と、
前記車両の走行制御に必要なプログラム(走行制御用プログラム)が記憶される記憶部(記憶部35)と、を備え、
前記プロセッサは、
前記駐車支援制御として、前記車両のユーザが前記車両に非乗車の状態で前記車両の前記目標位置への移動を開始させる第1駐車支援制御を行い、
前記第1駐車支援制御の実行後、前記車両の電源がオフになってから前記プログラムの更新を行い、
前記第1駐車支援制御によって移動した前記車両の走行実績と、前記走行計画と、に基づいて、前記プログラムの更新を行うか否かを決定する車両の制御装置
【0091】
(10)によれば、プログラムの更新中は車両を移動させることが不可となるが、第1駐車支援制御が実行され、車両の走行実績が走行計画から大きくずれているような場合には、例えばプログラムの更新を開始しないようにすることで、第1駐車支援制御中に発生したトラブル等に対応することが可能になる。一方、車両の走行実績が走行計画とほぼ一致している場合には、例えばプログラムの更新を開始するようにすることで、プログラムを最新の状態に維持でき、最適な走行制御が可能になる。
【符号の説明】
【0092】
1 車両
30 制御装置
32 演算部
35 記憶部
図1
図2
図3
図4