(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024106671
(43)【公開日】2024-08-08
(54)【発明の名称】基板処理装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/304 20060101AFI20240801BHJP
【FI】
H01L21/304 648G
H01L21/304 644B
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023011059
(22)【出願日】2023-01-27
(71)【出願人】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100093056
【弁理士】
【氏名又は名称】杉谷 勉
(74)【代理人】
【識別番号】100142930
【弁理士】
【氏名又は名称】戸高 弘幸
(74)【代理人】
【識別番号】100175020
【弁理士】
【氏名又は名称】杉谷 知彦
(74)【代理人】
【識別番号】100180596
【弁理士】
【氏名又は名称】栗原 要
(74)【代理人】
【識別番号】100195349
【弁理士】
【氏名又は名称】青野 信喜
(72)【発明者】
【氏名】田中 克典
(72)【発明者】
【氏名】帆角 良平
(72)【発明者】
【氏名】矢野 航
【テーマコード(参考)】
5F157
【Fターム(参考)】
5F157AA14
5F157AB02
5F157AB16
5F157AB33
5F157AB90
5F157AC01
5F157AC13
5F157BA07
5F157BA14
5F157BA31
5F157CD29
5F157CE27
5F157CE29
5F157CF42
5F157CF44
5F157CF50
5F157DB02
5F157DB45
(57)【要約】
【課題】検出部により摩耗状態を表す摩耗指標を検出することにより、確実にブラシの長寿命化を図ることができる。
【解決手段】ブラシ27が継続的に使用されると、ブラシ27が摩耗する。制御部13は、カメラ43と制御部13で検出されたブラシ27の摩耗状態を表す摩耗指標が予め設定された閾値を超えたと判断した場合には、回転昇降機構19を操作して、ブラシ27が基板Wの外周縁に作用する鉛直方向の位置を移動させる。したがって、カメラ43と制御部13により摩耗状態を表す摩耗指標を検出することにより、確実にブラシ27の一部が寿命となったことを判断できる。さらに回転昇降機構19によりブラシ27を摩耗していない位置に移動させるので、ブラシ27の摩耗していない箇所で洗浄処理を継続できる。その結果、確実にブラシ27の長寿命化を図ることができる。さらに、ブラシの消費数を抑制できるので、環境負荷を軽減できる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の外周縁を洗浄する基板処理装置において、
基板を保持して水平面内で回転させる回転保持部と、
前記回転保持部に保持されて回転されている前記基板の外周縁に作用して、前記基板の外周縁を洗浄するブラシと、
前記ブラシを保持するブラシ保持部と、
前記ブラシが前記基板の外周縁に作用する作用位置と、前記ブラシが前記基板の外周縁から離間した離間位置とにわたって、前記ブラシ保持部を水平方向に移動させる水平駆動部と、
前記基板の外周縁に対して前記ブラシを鉛直方向に昇降移動させる昇降駆動部と、
前記ブラシが前記基板の外周縁に作用する洗浄面における摩耗状態を表す摩耗指標を検出する検出部と、
前記検出部で検出された前記ブラシにおける前記摩耗指標が予め設定された閾値を超えたと判断した場合には、前記昇降駆動部を操作して、前記洗浄面が前記基板の外周縁に作用する鉛直方向の位置を、前記洗浄面が摩耗していない位置に移動させる制御部と、
を備えていることを特徴とする基板処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の基板処理装置において、
前記検出部は、
前記ブラシの画像を撮像する撮像部と、
前記ブラシで撮像した前記画像から前記摩耗指標を算出する算出部と、を含み、
前記撮像部は、前記回転保持部より外側に配置されていることを特徴とする基板処理装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の基板処理装置において、
前記ブラシは、前記洗浄面が、前記基板の上面側の外周縁に臨み、かつ、中心部へ傾斜した上部洗浄面と、前記基板の下面側の外周縁に臨み、かつ、中心部へ傾斜した下部洗浄面とを有するダブルテーパ型であることを特徴とする基板処理装置。
【請求項4】
請求項1に記載の基板処理装置において、
前記ブラシ保持部は、前記ブラシが前記基板の外周縁に作用する押し圧を付与する押圧機構を備え、
前記制御部は、前記ブラシの洗浄面について鉛直方向の位置を移動させた後、前記押圧機構を操作して押し圧を調整することを特徴とする基板処理装置。
【請求項5】
請求項1に記載の基板処理装置において、
前記検出部は、前記ブラシの洗浄面を撮影するカメラを備え、
前記制御部は、前記洗浄面の形状変化に基づいて前記閾値を越えたか否かを判断することを特徴とする基板処理装置。
【請求項6】
請求項1に記載の基板処理装置において、
アラームを発する報知部をさらに備え、
前記制御部は、前記ブラシにおける前記摩耗指標が予め設定された閾値を超えたと判断した場合には、前記報知部によりアラームを発生させることを特徴とする基板処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウエハ、液晶表示器や有機EL(Electroluminescence)表示装置用基板、フォトマスク用ガラス基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、セラミック基板、太陽電池用基板などの基板(以下、単に基板と称する)の外周縁を洗浄処理する基板処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の装置として、回転保持部と、ブラシと、移動部とを備えたものがある(例えば、特許文献1参照)。回転保持部は、基板を水平姿勢で回転可能に保持する。ブラシは、鉛直軸周りで自転されつつ、回転されている基板の外周縁に作用して、基板の外周縁を洗浄する。移動部は、ブラシを鉛直方向に移動させ、基板の外周縁に作用する位置を変える。基板の外周縁によりブラシの洗浄面が摩耗し、その洗浄面が寿命に到達したと判断される場合には、この移動部によるブラシの移動により、ブラシの洗浄面のうち摩耗していない箇所を基板の外周縁に作用させることができる。したがって、ブラシの交換頻度を低減でき、ブラシの長寿命化を図れる。さらに、ブラシ交換に伴う装置の停止時間を短縮でき、スループットを向上できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような構成を有する従来例の場合には、次のような問題がある。
すなわち、従来の装置は、ブラシの洗浄面が寿命に到達したとの判断は、ユーザにより行われる。その判断は、例えば、ブラシの洗浄面の摩耗度合いの目視、基板の処理枚数、洗浄処理に使用した時間などに基づいて行われる。そのため、必ずしもブラシの長寿命化を図ることができないという問題がある。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、確実にブラシの長寿命化を図ることができる基板処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、このような目的を達成するために、次のような構成をとる。
すなわち、請求項1に記載の発明は、基板の外周縁を洗浄する基板処理装置において、基板を保持して水平面内で回転させる回転保持部と、前記回転保持部に保持されて回転されている前記基板の外周縁に作用して、前記基板の外周縁を洗浄するブラシと、前記ブラシを保持するブラシ保持部と、前記ブラシが前記基板の外周縁に作用する作用位置と、前記ブラシが前記基板の外周縁から離間した離間位置とにわたって、前記ブラシ保持部を水平方向に移動させる水平駆動部と、前記基板の外周縁に対して前記ブラシを鉛直方向に昇降移動させる昇降駆動部と、前記ブラシが前記基板の外周縁に作用する洗浄面における摩耗状態を表す摩耗指標を検出する検出部と、前記検出部で検出された前記ブラシにおける前記摩耗指標が予め設定された閾値を超えたと判断した場合には、前記昇降駆動部を操作して、前記洗浄面が前記基板の外周縁に作用する鉛直方向の位置を、前記洗浄面が摩耗していない位置に移動させる制御部と、を備えていることを特徴とするものである。
【0007】
[作用・効果]請求項1に記載の発明によれば、回転保持部に保持され回転されている基板に対して、水平駆動部によりブラシが作用位置に移動される。これにより、基板の外周縁にブラシの洗浄面が作用して洗浄処理が行われる。ブラシが継続的に使用されると、ブラシの洗浄面が摩耗する。制御部は、検出部で検出されたブラシの洗浄面における摩耗状態を表す摩耗指標が予め設定された閾値を超えたと判断した場合には、昇降駆動部を操作して、ブラシの洗浄面が基板の外周縁に作用する鉛直方向の位置を移動させる。したがって、検出部により摩耗指標を検出することにより、確実にブラシの洗浄面の一部が寿命となったことを判断できる。さらに昇降駆動部によりブラシの洗浄面を摩耗していない位置に移動させるので、ブラシの摩耗していない洗浄面で洗浄処理を継続できる。その結果、確実にブラシの長寿命化を図ることができる。さらに、ブラシの消費数を抑制できるので、環境負荷を軽減できる。
【0008】
また、本発明において、前記検出部は、前記ブラシの画像を撮像する撮像部と、前記ブラシで撮像した前記画像から前記摩耗指標を算出する算出部と、を含み、前記撮像部は、前記回転保持部より外側に配置されていることが好ましい(請求項2)。
【0009】
待機ポットと回転保持部に保持された基板との間をブラシが移動する際に、検出部でブラシの洗浄面の摩耗指標を検出できる。したがって、従来装置におけるブラシの移動制御を変更することなく適用できる。
【0010】
また、本発明において、前記ブラシは、前記洗浄面が、前記基板の上面側の外周縁に臨み、かつ、中心部へ傾斜した上部洗浄面と、前記基板の下面側の外周縁に臨み、かつ、中心部へ傾斜した下部洗浄面とを有するダブルテーパ型であることが好ましい(請求項3)。
【0011】
基板の上面の外周縁と、基板の下面の外周縁とを交互に一つのブラシで洗浄処理できる。したがって、上面用または下面用のブラシを備える構成に比較して水平駆動部などの構成を簡易化できる。よって、部品点数を少なくでき、装置コストを抑制できる。
【0012】
また、本発明において、前記ブラシ保持部は、前記ブラシが前記基板の外周縁に作用する押し圧を付与する押圧機構を備え、前記制御部は、前記ブラシの洗浄面について鉛直方向の位置を移動させた後、前記押圧機構を操作して押し圧を調整することが好ましい(請求項4)。
【0013】
ブラシの洗浄面が傾斜していると、ブラシが鉛直方向に移動されることで、基板の外周縁に作用するブラシの洗浄面との距離が変わる。すると、同じ押し圧でブラシを作用させても基板の外周縁から中心側への洗浄幅が変わる。そこで、押圧機構を操作して押し圧を調整することで、同じ洗浄幅を確保できる。その結果、ブラシの長寿命化を図りつつも、洗浄度合いを一定化できる。
【0014】
また、本発明において、前記検出部は、前記ブラシの洗浄面を撮影するカメラを備え、前記制御部は、前記洗浄面の形状変化に基づいて前記閾値を越えたか否かを判断することが好ましい(請求項5)。
【0015】
カメラでブラシの洗浄面を撮影すると、制御部は、洗浄面の形状変化に基づいて摩耗指標が閾値を超えたか否かを判断できる。したがって、非接触でブラシの摩耗指標を正確に把握できる。
【0016】
また、本発明において、アラームを発する報知部をさらに備え、前記制御部は、前記ブラシにおける前記摩耗指標が予め設定された閾値を超えたと判断した場合には、前記報知部によりアラームを発生させることが好ましい(請求項6)。
【0017】
摩耗指標が予め設定された閾値を超えたと判断した場合には、報知部によりアラームを発生させる。したがって、装置のオペレータに注意を喚起できる。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る基板処理装置によれば、回転保持部に保持され回転されている基板に対して、水平駆動部によりブラシが作用位置に移動される。これにより、基板の外周縁にブラシの洗浄面が作用して洗浄処理が行われる。ブラシが継続的に使用されると、ブラシの洗浄面が摩耗する。制御部は、検出部で検出されたブラシの洗浄面における摩耗状態を表す摩耗指標が予め設定された閾値を超えたと判断した場合には、昇降駆動部を操作して、ブラシの洗浄面が基板の外周縁に作用する鉛直方向の位置を移動させる。したがって、検出部により摩耗指標を検出することにより、確実にブラシの洗浄面の一部が寿命となったことを判断できる。さらに昇降駆動部によりブラシの洗浄面を摩耗していない位置に移動させるので、ブラシの摩耗していない洗浄面で洗浄処理を継続できる。その結果、確実にブラシの長寿命化を図ることができる。さらに、ブラシの消費数を抑制できるので、環境負荷を軽減できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】実施例に係る基板処理装置の全体構成を示す図である。
【
図3】ブラシの摩耗状態の一例を示す模式図である。
【
図4】ブラシの下部洗浄面に関する撮影視野の例を示す側面図である。
【
図5】ブラシの下部洗浄面について画像処理の説明に供する図である。
【
図6】ブラシの下部洗浄面について設定された複数個の洗浄高さの一例を示す側面図である。
【
図7】ブラシの上部洗浄面について設定された複数個の洗浄高さの一例を示す側面図である。
【
図8】洗浄処理の動作を示すフローチャートである。
【
図9】変形例に係る基板処理装置の全体構成を示す図である。
【
図10】(a)~(c)は、寿命判断の他の態様について説明する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して本発明の一実施例について説明する。
図1は、実施例に係る基板処理装置の全体構成を示す図である。
【0021】
本実施例に係る基板処理装置1は、基板Wを処理する装置である。基板処理装置1は、一枚ずつ処理する、いわゆる枚葉式の装置である。基板Wは、例えば、平面視で円形状を呈する。基板処理装置1は、例えば、基板Wの外周縁の下面または上面に対して処理を行う。処理としては、例えば、基板Wに付着したパーティクルなどの汚れを除去するための洗浄処理が挙げられる。
【0022】
<1.全体構成>
【0023】
基板処理装置1は、ベースユニット3と、チャックユニット5と、ガード7と、ブラシ洗浄ユニット9と、ノズル11と、制御部13とを備えている。
【0024】
<2.ベースユニット>
【0025】
ベースユニット3は、チャックユニット5を備えている。ベースユニット3は、チャックユニット5を回転させる。チャックユニット5は、基板Wを水平姿勢で保持した状態で、基板Wを水平面内で回転させる。
【0026】
ベースユニット3は、電動モータ15を備えている。電動モータ15は、回転軸17を備えている。回転軸17は、鉛直方向に延出されている。回転軸17は、電動モータ15によって鉛直方向の軸芯P1周りに回転される。回転軸17の上端には、チャックユニット5が取り付けられている。
【0027】
<3.チャックユニット>
【0028】
チャックユニット5は、平面視で円形状を呈する。チャックユニット5は、基板Wの直径より小さな直径を有する。チャックユニット5は、平面視で基板Wの中央部に位置する。チャックユニット5は、図示しない吸引穴を上面に形成されている。チャックユニット5は、図示しない吸引源を有しており、吸引源によって吸引穴から基板Wに対して吸引が行われる。チャックユニット5は、吸引力により基板Wの中央部における下面を保持する。チャックユニット5は、基板Wを水平姿勢で保持する。チャックユニット5は、吸引力が解除されると、基板Wを開放する。
【0029】
なお、上述したチャックユニット5が本発明における「回転保持部」に相当する。
【0030】
<4.ガード>
【0031】
ガード7は、電動モータ15を囲うように側方に配置されている。ガード7は、ブラシ洗浄ユニット9による洗浄処理時に、ノズル11から基板Wに供給された処理液が周囲に飛散するのを防止する。ガード7は、
図1中に実線で示す処理高さと、
図1中に二点鎖線で示す受け渡し高さ(
図1中の二点鎖線)とにわたって昇降される。受け渡し高さは、処理高さより下方に位置する。ガード7は、処理高さにおいて、基板Wの外周縁から周囲に飛散した処理液を下方へ案内する。
【0032】
<5.ブラシ洗浄ユニット>
【0033】
ブラシ洗浄ユニット9は、回転昇降機構19と、アーム21と、ブラシヘッド23とを備えている。回転昇降機構19は、アーム21を鉛直方向に昇降駆動する。回転昇降機構19は、鉛直方向の軸芯P2周りにアーム21を回転駆動する。回転昇降機構19は、例えば、鉛直方向の回転軸を備えた電動モータからなる回転機構と、その電動モータを鉛直方向に昇降移動する昇降機構とを備えている。アーム21は、基端部が回転昇降機構19に連結されている。アーム21は、先端部にブラシヘッド23が取り付けられている。ブラシヘッド23は、回転昇降機構19によって水平面内で揺動駆動される。なお、ブラシヘッド23は、水平方向に配置されたボールネジ等により、アーム21の基端部と先端部とを同時に水平方向に直線的に移動される構成であってもよい。
【0034】
ブラシヘッド23は、ヘッドボディ25と、ブラシ27とを備えている。ヘッドボディ25は、アーム21の先端部に取り付けられている。ヘッドボディ25は、電動モータ29を内蔵している。電動モータ29は、鉛直方向に回転軸29aを備えている。電動モータ29は、鉛直方向の軸芯P3周りに回転軸29aを回転駆動する。ヘッドボディ25の下部には、ブラシ27が配置されている。ブラシ27は、回転軸29の下端部に連結されている。ブラシ27は、電動モータ29によって軸芯P3周りに回転される。ヘッドボディ25は、ブラシ27を着脱自在に保持する。
【0035】
回転昇降機構19は、ブラシ27を作用位置と離間位置とにわたって移動する。作用位置は、ブラシ27が基板Wの外周縁に作用する位置である。離間位置は、ブラシ27が基板Wの外周縁から離れた位置である。離間位置は、ブラシ27が基板Wに作用しない位置である。
【0036】
なお、上述したブラシヘッド23が本発明における「ブラシ保持部」に相当し、上述した回転昇降機構19が本発明における「水平駆動部」及び「昇降駆動部」並びに「押圧機構」に相当する。
【0037】
ここで、
図2を参照する。
図2は、ブラシの構成を示す側面図である。
【0038】
ブラシ27は、例えば、PVA(ポリビニルアルコール)で構成されている。ブラシ27は、いわゆるダブルテーパ型である。ブラシ27は、上部ブラシ31と、境界部33と、下部ブラシ35とから構成されている。上部ブラシ31は、基板Wの上面側の外周縁に臨み、かつ、軸芯P3に傾斜した上部洗浄面37を外周面に有する。換言すると、上部ブラシ31は、下向きの円錐形状を呈する。下部ブラシ35は、基板Wの下面側の外周縁に臨み、かつ、軸芯P3へ傾斜した下部洗浄面39を外周面に有する。換言すると、下部ブラシ35は、上向きの円錐形状を呈する。
【0039】
ブラシ27は、上部洗浄面37または下部洗浄面39が基板Wの外周縁に接した位置から、さらに基板Wの中心側、つまり、軸芯P1側に向かって押し圧を付与される。これにより、ブラシ27は、基板Wの外周縁の最外周面から中心側に所定の洗浄幅CWで基板Wに作用するように操作される。
図2では、基板Wの下面を例にとって洗浄幅CWを示したが、基板Wの上面についても同様の操作により洗浄幅CWが設定される。洗浄幅CWで基板Wにブラシ27が作用している位置は、上述した作用位置である。
【0040】
ベースユニット3の側方には、待機ポット41が配置されている。待機ポット41は、ガード7の側方に配置されている。待機ポット41は、回転昇降機構19の側方に配置されている。待機ポット41は、ブラシ27を待機させる。待機ポット41は、ブラシ27を内部に収容可能である。待機ポット41は、ブラシ27に付着しているパーティクルなどの汚れを除去する。待機ポット41は、ブラシ27に洗浄液を供給してブラシ27を洗浄し、ブラシ27を清浄にする機能を備えている。待機ポット41の位置は、上述した離間位置である。
【0041】
ベースユニット3の側方には、カメラ43が配置されている。カメラ43は、ブラシ27を撮像する。カメラ43は、ガード7と待機ポット41との間に配置されている。カメラ43は、ブラシ27の移動経路において、移動経路の側方で隣接する位置に配置されている。カメラ43は、ブラシ27を撮影可能な視野を有する。カメラ43は、ブラシ27の上部ブラシ31及び下部ブラシ35の全体を含む領域を撮影視野とする。カメラ43は、必要に応じて、少なくともブラシ27の上部ブラシ31または下部ブラシ35のいずれか一方の全体を含む領域を撮影可能な視野を有する。カメラ43は、必要に応じて、撮影視野が調整される。
【0042】
カメラ43は、カラー画像や白黒画像のいずれかで撮影可能な機能を有する。カメラ43は、上述した撮影視野が確保できれば、配置位置を問わない。カメラ43は、固定されていてもよいが、移動可能に配置されていてもよい。移動する場合は、少なくとも撮影の間だけ、ブラシ27と同期して移動することが好ましい。また、カメラ43が撮像したブラシ27の画像は、制御部13に送られ、後述の処理が行われる。
【0043】
<6.制御部>
【0044】
制御部13は、上述した各部を統括して制御する。制御部13は、CPUやメモリを備えている。制御部13には、報知部45が接続されている。報知部45は、アラームを発する。報知部45は、文字や図形などでアラームを発する表示装置や、色や光でアラームを発する光源や、音や音声でアラームを発するスピーカなどで構成されている。
【0045】
制御部13は、ガード7の昇降動作、ノズル11からの処理液の供給動作、電動モータ15の回転動作、回転昇降機構19の回転動作及び昇降動作、電動モータ29の回転動作、カメラ43の撮影動作、報知部45のアラーム発報動作を制御する。制御部13は、ブラシ27の寿命判断を行う。制御部13は、ブラシ27の外形の変化に基づいて、ブラシ27の寿命を判断する。
【0046】
<7.ブラシの寿命判断>
【0047】
図3から
図5を参照して、ブラシの寿命判断について説明する。
図3は、ブラシの摩耗状態の一例を示す模式図である。
図4は、ブラシの下部洗浄面に関する撮影視野の例を示す側面図である。
図5は、ブラシの下部洗浄面について画像処理の説明に供する図である。
【0048】
以下の説明においては、ブラシ27の下部ブラシ35を例にとって説明する。ブラシ27の上部ブラシ31についても同様に寿命判断を適用できる。
【0049】
ブラシ27の下部ブラシ35が基板Wの外周縁に当接されて作用され、複数枚の基板Wに対する処理が継続されると、下部ブラシ35の下部洗浄面39が摩耗する。具体的には、基板Wの外周縁に所定の押し圧で押し込まれている関係上、点線で示すように軸芯P3側へ摩耗が進行する。例えば、下部洗浄面39から軸芯P3側へ閾値DLに摩耗が進行した場合を寿命とする。つまり、摩耗により、下部洗浄面39が軸芯P3側へえぐれるように摩耗穴SHが形成されていく。この摩耗穴SHは、軸芯P3側へ深くなっていく。このように摩耗が進行して、摩耗穴SHが一定の深さとなると寿命と判断する。寿命の判断は、例えば、摩耗穴SHの深さが閾値DLだけに達したときである。閾値DLは、例えば、下部洗浄面39の傾斜面を軸芯P3側へ平行移動させた水平方向の距離である。閾値DLは、従来、廃棄されてきたブラシ27の摩耗穴SHにおける深さに基づいて設定されることが好ましい。
【0050】
図4に示すように、例えば、制御部13は、下部ブラシ35の下部洗浄面39を含み、軸芯P3側に少なくとも所定領域だけ含むようにカメラ43の撮影視野IA1を設定する。所定領域は、従来、廃棄されてきたブラシ27の摩耗穴SHの深さや形状などに基づいて設定されることが好ましい。
【0051】
図5に示すように、制御部13は、例えば、カメラ43により撮像された画像F0のうち、下部ブラシ部35を含む領域を二値化する。制御部13は、二値化した画像F0から、摩耗穴SHの水平方向の奥行きDPを求める。具体的には、制御部13は、基板Wの洗浄処理時に回転昇降機構19を操作しているので、下部ブラシ部35のうち、どの高さが基板Wの外周縁に作用しているかがわかっている。換言すると、制御部13は、基板Wの外周縁に作用している高さである洗浄高さHを特定できる。したがって、制御部13は、画像F0のうち、基板Wの外周縁が作用された位置を特定できる。制御部13は、下部ブラシ部35のうち、基板Wの外周縁が作用された洗浄高さHにおいて、下部洗浄面39からの白画素値の個数に基づいて奥行きDPを求めることができる。制御部13は、奥行きDPと閾値DLとを比較する。制御部13は、奥行きDPが閾値DLを越えた場合には、現在の洗浄高さHにおける下部ブラシ部35が寿命になったと判断する。制御部13は、寿命であると判断すると、報知部45を操作して、ブラシ27の寿命を報知する。
【0052】
なお、上述した奥行きDPが本発明における「摩耗状態を表す摩耗指標」に相当する。また、上述したカメラ43が本発明における「撮像部」に相当し、カメラ43により撮像された画像F0から摩耗穴SHの水平方向の奥行きDPを求める制御部14が、本発明における「算出部」に相当する。そして、本発明における「検出部」は「撮像部」と「算出部」によって摩耗状態を表す摩耗指標を検出する。
【0053】
さらに、制御部13は、回転昇降機構19を操作して、次の洗浄処理に備える。具体的には、制御部13は、回転昇降機構19により、ブラシ27の高さを低くなるように洗浄高さHを移動させる。
【0054】
ここで、
図6を参照する。
図6は、ブラシの下部洗浄面について設定された複数個の洗浄高さの一例を示す側面図である。
【0055】
制御部13は、ブラシ27の下部洗浄ブラシ35が寿命であると判断した場合には、例えば、洗浄高さHを次のように移動させる。
【0056】
ここでは、最初の洗浄高さHがHL1であったとする。制御部13は、洗浄高さHL1で寿命であると判断した場合には、回転昇降機構19を操作して、下部ブラシ35を所定距離だけ下降させる。具体的には、洗浄高さHL1から、洗浄高さHL1に形成された摩耗穴SHの開口高さの上縁を越える洗浄高さHL2となるようにブラシ27を下降させる。洗浄高さHL2は、この高さにおいて同様の摩耗穴SHが形成された場合でも、洗浄高さHL1における摩耗穴SHの開口上縁と、洗浄高さHL2における摩耗穴SHの開口下縁とが重複しない高さであって、少しの余裕をもたせた高さである。同様に、洗浄高さHL3は、洗浄高さHL2の摩耗穴SHと、洗浄高さHL3に摩耗穴SHが形成されても縁が重複しない高さであって、少しの余裕を持たせた高さである。このように、摩耗穴SH同士の開口縁が重複しないように下部ブラシ35の洗浄高さHを移動させる。したがって、洗浄効果を一定にしつつ、下部ブラシ35の下部洗浄面39を最大限に利用できる。
【0057】
本実施例では、下部ブラシ35の下部洗浄面39に3箇所の洗浄高さHL1~HL3を設定している。
【0058】
基板Wの外周縁上面を洗浄する上部ブラシ31に関しても、
図7に示すように、洗浄高さHについて三箇所の洗浄高さHH1~HH3を設定する。
【0059】
したがって、従来に比較して、ブラシ27の寿命を3倍にすることができる。したがって、ブラシ27の廃棄量を1/3にでき、環境負荷を低減できる。
【0060】
上述した洗浄高さH、つまり、下部ブラシ35の洗浄高さHL1~HL3と、上部ブラシ31の洗浄高さHH1~HH3とは、予め制御部13の内部に記憶されている。また、上述した閾値DLも同様に予め制御部13の内部に記憶されている。
【0061】
<7.洗浄処理>
【0062】
ここで、上述した基板処理装置1による処理の一例について説明する。
【0063】
図8を参照する。
図8は、洗浄処理の動作を示すフローチャートである。なお、以下の説明においては、発明の理解を容易にするため、基板Wの外周縁のうち、下面側を洗浄処理(下ベベル洗浄処理)する場合を例にとって説明する。つまり、ブラシ27の下部ブラシ35によって基板Wを洗浄処理する場合を例にとって説明する。
【0064】
ステップS1
制御部13は、洗浄処理前の基板Wを基板処理装置1へ搬入させる。チャックユニット5は、搬入された基板Wの下面を吸引して水平姿勢で保持する。
【0065】
ステップS2
制御部13は、回転昇降機構19を操作して、ブラシ27を待機ポット41から作用位置に移動させる。
【0066】
ステップS3
制御部13は、カメラ43を操作して、ブラシ27を対象にして、
図4に示すように撮影視野IA1の撮影を行わせる。制御部13は、撮影視野IA1の画像を処理して、下部ブラシ35の摩擦穴SHの奥行きDPの長さを求める。奥行きDPは、現時点で設定されている洗浄高さHにおける摩擦穴SHを対象に求める。新規のブラシ27である場合には、通常、奥行きDPが0として求められる。
【0067】
ステップS4
制御部13は、ブラシ27が寿命か否かを判断する。制御部13は、閾値DLと奥行きDPとを比較してブラシ27の寿命を判断し、その結果に応じて処理を分岐する。ブラシ27が寿命となったと判断された場合には、ステップS5へ処理を移行し、寿命でないと判断された場合には、ステップS9に処理を移行する。
【0068】
ここでは、ブラシ27の洗浄高さHL1にて寿命と判断されたとして説明する。
【0069】
ステップS5
制御部13は、ブラシ27が寿命であると判断した場合、報知部45を作動させる。報知部45は、ブラシ27が寿命であることを報知する。これにより、基板処理装置1のオペレータは、ブラシ27が寿命となったことを知ることができる。オペレータは、寿命報知により、通常と同程度の期間で洗浄高さ位置における寿命が生じているか否かにより、ブラシ27の摩耗に影響する部分に問題が生じているか否かを知ることができる。摩耗に影響する部分とは、例えば、ブラシ27の取付状態や、チャックユニット5の回転状態などである。
【0070】
ステップS6
制御部13は、ブラシ27が寿命となったことを受けて、洗浄高さHを決定する。具体的には、制御部13は、ブラシ27の下部ブラシ35の洗浄高さHを洗浄高さHL1から洗浄高さHL2に変更する。
【0071】
ステップS7
制御部13は、ステップS6においてブラシ27が移動できない場合には、移動限界に達したと判断する。ここでは、ブラシ27を移動できるとして、ステップS8へ処理を分岐する。
【0072】
ステップS8
制御部13は、押し圧を決定する。具体的には、洗浄高さHが洗浄高さHL2へ移動したことにより、下部洗浄面39と基板Wの外周縁との距離が長くなる。その距離を補うように、ブラシ27が基板Wの軸芯P1側へ移動する距離を変更する。
【0073】
ステップS9
制御部13は、ステップS6で決定された洗浄高さHL2と、ステップS8で決定された新たな押し圧となるように、回転昇降機構19を操作する。つまり、制御部13は、ブラシ27を移動された洗浄高さHL2とし、調整された押し圧で基板Wの外周縁を洗浄処理する。
【0074】
ステップS10
洗浄処理が完了すると、制御部13は、基板Wを基板処理装置1から搬出する。
【0075】
これにより、一枚の基板Wに対する外周縁の下面(下ベベル洗浄処理)に対する処理が完了する。なお、続いて同じ基板Wに対して外周縁の上面(上ベベル洗浄処理)を行うことが一般的であるが、ここでは説明を省略する。
【0076】
ここで、上述したステップS7において、移動限界に達したか否かの判断について説明する。
【0077】
ステップS7
図6に示したように、洗浄高さHは、予め3種類設定されている。したがって、洗浄高さHL3に移動された後、基板Wを処理していくうちにブラシ27が寿命となった場合には、次の洗浄高さHに移動することができない。この場合には、制御部13は、ステップS6において洗浄高さHを次の洗浄高さHに変更することができない。そのためステップS7では、ステップS11に処理を分岐する。
【0078】
ステップS11
制御部13は、ブラシ27の交換を報知させる。具体的には、制御部13は、報知部45を操作することによりブラシ27の交換を報知させる。
【0079】
ステップS12
制御部13は、ブラシ27の交換を報知させた後、搬入されている基板Wを搬出させ、基板処理装置1の動作を停止する。基板処理装置1のオペレータは、ブラシ27を新しいものに交換する。
【0080】
なお、基板Wの外周縁の下面に続いて上面を連続して処理する基板処理装置1においては、下部ブラシ35の移動限界に続いて上部ブラシ31が移動限界であるとステップS7で判断された場合に、ステップS11へと処理を分岐すればよい。
【0081】
本実施例によると、チャックユニット5に保持され回転されている基板Wに対して、ブラシ27が作用位置に移動される。これにより、基板Wの外周縁にブラシ27が作用して洗浄処理が行われる。ブラシ27が継続的に使用されると、ブラシ27が摩耗する。制御部13は、カメラ43と制御部13で検出されたブラシ27の摩耗状態を表す摩耗指標が予め設定された閾値DLを超えたと判断した場合には、回転昇降機構19を操作して、ブラシ27が基板Wの外周縁に作用する鉛直方向の位置を移動させる。したがって、カメラ43と制御部13により摩耗指標を検出することにより、確実にブラシ27の一部が寿命となったことを判断できる。さらに回転昇降機構19によりブラシ27を摩耗していない位置に移動させるので、ブラシ27の摩耗していない箇所で洗浄処理を継続できる。その結果、確実にブラシ27の長寿命化を図ることができる。さらに、ブラシ27の消費数を抑制できるので、環境負荷を軽減できる。
【0082】
<装置構成の変形例>
【0083】
ここで
図9を参照する。
図9は、変形例に係る基板処理装置の全体構成を示す図である。
【0084】
基板処理装置1Aは、上述した基板処理装置1におけるブラシ洗浄ユニット9と同様の構として、ブラシ洗浄ユニット9Aとブラシ洗浄ユニット9Bとを備えている点において構成が相違する。
【0085】
ブラシ洗浄ユニット9A及びブラシ洗浄ユニット9Bは、上述したブラシ洗浄ユニット9と同様の構成を備えている。ブラシ洗浄ユニット9Aは、ブラシ27の下部ブラシ31により基板Wの外周縁のうち下面だけを洗浄処理する。ブラシ洗浄ユニット9Bは、ブラシ27の上部ブラシ31により基板Wの外周縁のうち上面だけを洗浄処理する。
【0086】
このような構成によると、基板Wの外周縁の上下面を同時に洗浄処理できるので、スループットを向上できる。また、2個のブラシ洗浄ユニット9A及びブラシ洗浄ユニット9Bを備えているものの、ブラシ27を共通のものとしている。したがって、部品の共通化によりコストを抑制できる。
【0087】
<ブラシの寿命判断の変形例>
【0088】
ここで、
図10を参照する。
図10(a)~(c)は、寿命判断の他の態様について説明する模式図である。なお、
図10では、視野範囲IA1の記載は省略している。
【0089】
上述した実施例では、ブラシ27の摩耗状態を表す摩耗指標を検出する例として、摩耗穴SHの奥行きDPと閾値DLとに基づいて行っている。制御部13は、ブラシ27の寿命について、カメラ43の画像に基づいて以下の態様で判断するようにしてもよい。
【0090】
制御部13は、新規のブラシ27が取り付けられた状態においてブラシ27を撮影する。そして、このときの画像F1(
図10(a))を二値化し、黒画素の面積を基準値として記憶しておく。次に、ブラシ27が摩耗して摩耗穴SHが形成されていくが、このときの画像F2(
図10(b))を二値化する。そして、制御部13は、二値化した画像F1(
図10(a))の黒画素の面積と、二値化した画像F2(
図10(b))の黒画素の面積との差分と閾値DLとを比較して寿命を判断する。さらに、ブラシ27が摩耗して摩耗穴SHが形成された画像F3(
図10(c))を二値化する。そして、制御部13は、二値化した画像F1(
図10(a))の黒画素の面積と、二値化した画像F3(
図10(c))の黒画素の面積との差分と閾値DLとを比較して寿命を判断する。なお、上述の場合では、二値化した画像F1の黒画像の面積と二値化した画像F2の黒画像の面積との差分、および二値化した画像F1の黒画像の面積と二値化した画像F3の黒画像の面積との差分が、摩耗状態を表す摩耗指標である。
【0091】
なお、この場合は、閾値DLとして、予め摩耗状態を表す摩耗指標から要交換と判断されたブラシ27について、カメラ43で撮影を行い、その画像を二値化して、黒画素の面積を求める。さらに、この黒画素の面積と、新規ブラシ27の画像を二値化した画像の黒画素の面積との差分を閾値DLとして記憶しておく。また、次の洗浄高さHにおける寿命の判断は、閾値DLに閾値DLをさらに加算し、次の洗浄高さHにおける新たな閾値とすることで寿命の判断ができる。このような寿命の判断によると、黒画素の面積を求める演算と、基準値との差分を求める演算だけですむので、上述した奥行きDPを求める場合に比較して制御部13の負荷を軽減できる。
【0092】
本発明は、上記実施形態に限られることはなく、下記のように変形実施することができる。
【0093】
(1)上述した実施例では、撮像部として2次元の画像を撮像できるカメラ43を採用している。しかしながら、本発明は、このような構成に限定されない。例えば、撮像部としてラインセンサを配置して、ブラシ27の画像を撮像するような構成を採用してもよい。この際、ラインセンサは、ラインセンサ内の画素方向が高さ方向に対して直交させる様に配置され、かつブラシ27の撮像時に洗浄高さHへラインセンサを移動させる様な構成を採用してもよい。上述の構成によれば、ラインセンサは、ブラシ27の摩耗が最も起きた高さでブラシ27の撮像を行っていることから1次元の画像であっても、奥行きDPを検出できる。また、ブラシ27をラインセンサでスキャンするような構成を採用してもよい。上述の構成によれば、算出部によって、スキャン動作に伴って撮像した複数の1次元の画像から2次元の画像を形成することができる。そのため、ラインセンサを用いた場合であっても、奥行きDPを検出できる。また、光を照射する投光部と受光センサを対向配置し、これを複数個水平方向に備えた構成を採用してもよい。この場合には、受光センサが本発明の撮像部に相当し、受光センサが受光したオン情報および受光しないオフ情報が本発明の画像に相当する。また、受光センサのこのオンオフ情報に基づいて、算出部は、奥行きDPを検出できる。
【0094】
(2)上述した実施例では、カメラ43が待機ポット41とチャックユニット5との間に配置されている構成を例にとって説明した。しかしながら、本発明は、このような構成に限定されない。例えば、カメラ43を待機ポット41の内部に配置してもよい。また、カメラ43は、待機ポット41を挟んでチャックユニット5の反対側に配置される構成であってもよい。また、待機ポッド41を透明な素材で構成した場合には、待機ポッド41内にあるブラシ27を、待機ポッド41の外側から検出することができる。この場合、カメラ43は待機ポッド41を取り囲むどの位置に配置されてもよい。
【0095】
(3)上述した実施例では、摩耗穴SHの深さが閾値DLに達した場合を寿命と判断している。しかしながら、これに代えて、例えば、摩耗穴SHの開口高さに基づいて寿命を判断してもよい。摩耗穴SHの開口高さは、摩耗穴SHの深さが深くなるにつれて大きくなる。そのため、寿命判断に利用できる。
【0096】
(4)上述した実施例では、ブラシ27の上部ブラシ31及び下部ブラシ35について三箇所の洗浄高さを設定している。しかしながら、本発明は、このような設定に限定されない。例えば、少なくとも二箇所の洗浄高さを設定すれば、従来に比較してブラシ27の寿命を長くできる。
【0097】
(5)上述した実施例では、ブラシ27のうち、下部ブラシ35の複数箇所の洗浄高さHを下から上に移動させ、上部ブラシ31の複数箇所の洗浄高さHを上から下に移動させた。しかしながら、本発明は、このような実施形態に限定されない。つまり、これらの方向とは逆方向に移動させてもよい。
【0098】
(6)上述した実施例では、ブラシ27としてダブルテーパ型のものを採用している。しかしながら、本発明は、ダブルテーパ型のブラシ27に限定されない。つまり、基板の一方面の外周縁のみを洗浄するブラシであってもよい。
【0099】
(7)上述した実施例では、報知部45を備えているが、本発明は報知部45を必ずしも備える必要はない。これにより構成を簡易化してコストを抑制できる。
【0100】
(8)上述した実施例では、ブラシ27を待機ポット41から作用位置に移動させる際に摩耗状態を表す摩耗指標を検出した。しかしながら、本発明は、このような実施形態に限定されない。例えば、ブラシ27が作用位置から待機ポット41に移動する際に摩耗状態を表す摩耗指標を検出するようにしてもよい。これにより、洗浄を終えた基板Wの搬出の後、速やかにブラシ27を交換することができる。
【符号の説明】
【0101】
1 … 基板処理装置
W … 基板
3 … ベースユニット
5 … チャックユニット
7 … ガード
9 … ブラシ洗浄ユニット
13 … 制御部
15 … 電動モータ
19 … 回転昇降機構
21 … アーム
23 … ブラシヘッド
27 … ブラシ
31 … 上部ブラシ
33 … 境界部
35 … 下部ブラシ
37 … 上部洗浄面
39 … 下部洗浄面
CW … 洗浄幅
41 … 待機ポット
43 … カメラ
45 … 報知部
DL … 閾値
SH … 摩耗穴
DP … 奥行き
H(HL1~HL3、HH1~HH3) … 洗浄高さ