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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024106674
(43)【公開日】2024-08-08
(54)【発明の名称】シート搬送ガイド
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/04 20060101AFI20240801BHJP
   B65H 5/38 20060101ALI20240801BHJP
【FI】
H04N1/04 101
B65H5/38
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023011064
(22)【出願日】2023-01-27
(71)【出願人】
【識別番号】000153236
【氏名又は名称】株式会社光波
(71)【出願人】
【識別番号】000001432
【氏名又は名称】グローリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002583
【氏名又は名称】弁理士法人平田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】長下 広輔
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 敏夫
(72)【発明者】
【氏名】関根 康夫
(72)【発明者】
【氏名】石野 浩輝
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼島 瑛太
【テーマコード(参考)】
3F101
5C072
【Fターム(参考)】
3F101FB17
3F101FC01
3F101FC16
3F101FD07
3F101FE17
3F101LA01
3F101LA08
3F101LA11
3F101LB01
3F101LB07
5C072AA01
5C072BA12
5C072CA02
5C072EA07
(57)【要約】      (修正有)
【課題】シートの搬送面の平坦性を確保しつつ、周囲温度の変化に対してシートの搬送面の歪みや透明部材のクラックの発生を抑制することができるシート搬送ガイドを提供する。
【解決手段】シート5を搬送する搬送路10cの搬送面10aに設けられるシート搬送ガイド10であって、光透過性を有し、表面111が搬送面10aと面一となるように形成された透明部材11と、透明部材11を収容する収容部を有し、収容部の周囲の表面121が搬送面10aと面一となるように形成されたガイド部材12と、を備える。透明部材11は、透明部材11をガイド部材12の収容部の内壁122に接着する接着領域115aと、接着領域115aよりも搬送路10cの幅方向の外側に設けられ、透明部材11に生じる応力を解放する応力解放領域115bと、を有する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートを搬送する搬送路の搬送面に設けられるシート搬送ガイドであって、
光透過性を有し、表面が前記搬送面と面一となるように形成された透明部材と、
前記透明部材を収容する収容部を有し、前記収容部の周囲の表面が前記搬送面と面一となるように形成された収容部材と、を備え、
前記透明部材は、前記透明部材を前記収容部材の前記収容部の内壁に接着する接着領域と、前記接着領域よりも前記搬送路の幅方向の外側に設けられ、前記透明部材に生じる応力を解放する応力解放領域とを有する、
シート搬送ガイド。
【請求項2】
前記透明部材は、さらに、前記接着領域よりも前記搬送路の幅方向の外側に設けられ、前記透明部材を位置決めする位置決め領域を有する、
請求項1に記載のシート搬送ガイド。
【請求項3】
前記透明部材は、平面視において、長手方向を前記シートの搬送方向に直交する方向とする長方形を有する板状であり、
前記応力解放領域は、前記透明部材の長手方向の2つの端面の少なくとも一方に設けられた、
請求項1に記載のシート搬送ガイド。
【請求項4】
前記透明部材を位置決めする位置決め領域が、前記透明部材の長手方向の両端部の短手方向の端面に設けられ、
前記収容部材は、前記位置決め領域の前記端面に接触して前記透明部材の短手方向の位置を規制する規制部を備えた、
請求項3に記載のシート搬送ガイド。
【請求項5】
前記収容部材の前記位置決め領域の前記収容部は、前記透明部材の前記両端部の裏面に接触する受け面を有し、前記受け面は、前記透明部材の長手方向に所定の長さを有する、
請求項4に記載のシート搬送ガイド。
【請求項6】
前記収容部材は、前記受け面に接着剤溜りを設け、
前記透明部材は、前記両端部の裏面が前記接着剤溜りに溜められた接着剤により接着される、
請求項5に記載のシート搬送ガイド。
【請求項7】
前記透明部材は、ガラスから形成され、
前記収容部材は、樹脂から形成された、
請求項1から6のいずれか1項に記載のシート搬送ガイド。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート搬送ガイドに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、被照射体の搬送経路面に歪がないようにした密着型イメージセンサが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載された密着型イメージセンサは、平面視において、長手方向を被照射体の搬送方向に直交する方向とする長方形を有し、ガラス板で構成された平板の透過体と、透過体を保持し、透過体とともに被照射体の搬送経路面と面一となるように設けられた樹脂成形されたカバーと、を備え、カバーの空間領域に四方から突出するように設けられた複数の突起に透過体の周面を接触させ、透過体の周囲の隙間に接着剤を充填することにより、透過体をカバーに固定したものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010-268131号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来の密着型イメージセンサによれば、透過体とカバーとの間の隙間に隙間部分を補うように接着剤を充填することで搬送経路面は平坦となるが、透過体とカバーとの間に線膨張係数差があることから、周囲温度の変化により透過体が変形した場合に、搬送経路面に歪みが生じたり、透過体にクラックが入るおそれがある。
【0006】
本発明の課題は、シートの搬送面の平坦性を確保しつつ、周囲温度の変化に対してシートの搬送面の歪みや透明部材のクラックの発生を抑制することができるシート搬送ガイドを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、上記課題を解決するため、シートを搬送する搬送路の搬送面に設けられるシート搬送ガイドであって、光透過性を有し、前記搬送面と面一となるように形成された透明部材と、前記透明部材を収容する収容部を有し、前記収容部の周囲の表面が前記搬送面と面一となるように形成されたガイド部材と、を備え、前記透明部材は、前記透明部材を前記ガイド部材の前記収容部の内壁に接着する接着領域と、前記接着領域よりも前記搬送路の幅方向の外側に設けられ、前記透明部材に生じる応力を解放する応力解放領域とを有する、シート搬送ガイドを提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、シートの搬送面の平坦性を確保しつつ、周囲温度の変化に対してシートの搬送面の歪みや透明部材のクラックの発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本発明の実施の形態に係る光照射装置の外観の一例を示す斜視図である。
図2図2(a)は、図1図3のA-A線断面図、図2(b)は、(a)のB部拡大図である。
図3図3は、図1に示すシート搬送ガイドの平面図である。
図4図4は、図1に示すシート搬送ガイドの要部斜視図である。
図5図5は、図3のC-C線断面図である。
図6図6は、ガイド部材の斜視図である。
図7図7は、透明部材のガイド部材への接着工程を説明するためのX方向から見た断面図である。
図8図8は、変形例1に係るガイド部材の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。なお、各図中、実質的に同一の機能を有する構成要素については、同一の符号を付してその重複した説明を省略する。また、本実施の形態では、シート搬送ガイドを光照射装置に適用した場合について説明するが、これに限られない。
【0011】
[実施の形態]
図1は、本発明の実施の形態に係る光照射装置の外観の一例を示す斜視図である。この光照射装置1は、複数の発光素子20(図2参照)から出射された光を搬送対象のシート5に照射する光照射部2と、光照射部2に組み合わされたシート搬送ガイド10とを備えて構成されている。光照射部2からは、発光素子20に電力を供給するためのケーブル3が導出され、ケーブル3の端部にコネクタ4が接続されている。なお、本明細書及び図面において、Yはシート5の搬送方向(透明部材の短手方向、Y方向ともいう。)を示し、Xは搬送面10aに平行で搬送方向Yに直交する方向(透明部材の長手方向、X方向ともいう。)を示す。発光素子20は、光素子の一例である。
【0012】
シート5は、例えば、紙(紙幣、原稿、記録紙、用紙、写真等)、プラスチックフィルム等であるが、これらに限られない。搬送面10aがY方向に沿って形成されており、シート5は、搬送路10cの搬送面10aに沿って搬送される。シート5は、Y方向において、一方向のみに搬送されてもよく、両方向に搬送されてもよい。
【0013】
シート搬送ガイド10は、光透過性を有する板状の透明部材11と、透明部材11を露出するように保持するとともに、シート5を搬送方向Yに案内するガイド部材12とを備え、透明部材11を接着剤13によりガイド部材12に固定した構造を有する。ガイド部材12は、収容部材の一例である。
【0014】
図2(a)は、図1図3のA-A線断面図、図2(b)は、(a)のB部拡大図である。光照射部2は、複数の発光素子20がX方向に沿って実装された基板21と、基板21の裏面側に配置され、発光素子20の発熱を外部に放出するヒートシンク22とを備えている。
【0015】
発光素子20は、発光ダイオード(LED)でもレーザダイオード(LD)でもよい。なお、シート搬送ガイド10を画像読取装置に適用する場合には、光素子として発光素子20及び受光素子を用いてもよい。また、光素子として発光素子20の代わりに受光素子を用いてもよい。
【0016】
透明部材11は、発光素子20から出射される光に対して光透過性を有する材料、例えば、ガラスやアクリル、ポリカーボネート等の樹脂から形成されている。例えば、発光素子20として、シート5の除菌のために紫外線発光ダイオード(LED)を用いる場合は、透明部材11の材料として紫外線の透過性に優れた材料、例えば、石英ガラス、紫外線透過ガラス等を用いるのが好ましい。
【0017】
ガイド部材12は、例えば、ポリカーボネート等の樹脂から形成されている。なお、ガイド部材12を透明部材11と線膨張係数が近い材料又は同一の材料により形成してもよい。これにより、周囲温度の変化に対してシートの搬送面10aの歪みや透明部材11のクラックの発生をより一層抑制することができる。
【0018】
接着剤13は、透明部材11をガイド部材12に接着するための後述する接着剤充填部123に充填される。接着剤充填部123のX方向及びY方向に直交する方向の厚さは、透明部材11と同程度の厚さでなくてもよく、透明部材11の厚さの1/2以下あるいは1/3以下でもよい。接着剤13は、紫外線硬化型接着剤、熱硬化型接着剤、常温硬化型接着剤等を用いることができる。接着剤13として、紫外線硬化型接着剤を用いる場合は、接着剤13に紫外線を照射して硬化させる。接着剤13として、熱硬化型接着剤を用いる場合は、加熱炉を用いて硬化させる。
【0019】
(搬送面の説明)
次に、搬送面10aについて、図1図2を参照して説明する。搬送面10aは、搬送路10c上のシート5が搬送される領域(図1の2点鎖線で囲まれる領域)である。通常の搬送状態においては、シート5は図1の2点鎖線で囲まれる領域内で搬送されるが、シート5の一部が、図1の2点鎖線で囲まれる領域をはみ出した状態で搬送されることもある。透明部材11は、内側の面(以下「裏面」という。)110及び外側の面(以下「表面」という。)111を備え、表面111がシート5の搬送面10aと面一となるように形成されている。また、透明部材11は、ガイド部材12との接着性を高めるため、角部が面取りされた面取り部112を有している。
【0020】
ガイド部材12は、透明部材11を収容する開口部120及び受け面125を有し、開口部120の周囲の表面121が搬送面10aと面一となるように形成されている。また、ガイド部材12は、透明部材11と同様に、透明部材11との接着性を高めるため、及びシート5の搬送を円滑にするために、角部が面取りされた面取り部121aを有している。
【0021】
シート5は、搬送方向Yに対して傾斜したり、X方向に位置ずれを起こして搬送されることがあるため、搬送面10aのX方向の幅は、シート5のX方向の幅よりも大きく設定されている。
【0022】
透明部材11がガイド部材12に接着された後は、搬送面10aの内側において、透明部材11の表面111、ガイド部材12の表面121、及び接着剤13の表面131は、シート5が搬送中に引っ掛からないように平坦であることが好ましい。すなわち、搬送面10aから突出した凸部、搬送面10aから凹んだ凹部や段差が無いことが好ましい。
【0023】
(各部の構成)
次に、各部の構成について、図3乃至6を参照してさらに説明する。図3は、図1に示すシート搬送ガイド10の平面図である。図4は、図1に示すシート搬送ガイド10の要部斜視図である。図5は、図3のC-C線断面図である。図6は、ガイド部材12の斜視図である。
【0024】
透明部材11は、平面視において、長手方向をシート5の搬送方向Yに直交する方向とする長方形を有する。シート5の搬送方向Yに直交する方向は、搬送路10cの幅方向である。透明部材11は、接着領域115aと、接着領域115aよりも搬送路10cの幅方向の外側に設けられた応力解放領域115bを有する。透明部材11は、さらに、接着領域115aよりも搬送路10cの幅方向の外側に設けられた位置決め領域115cを有してもよい。接着領域115aは搬送面10aの内側に設けられ、応力解放領域115b及び位置決め領域115cは搬送面10aの外側に設けられるとしてもよい。
【0025】
接着領域115aは、透明部材11の短手方向の両方の端面113とガイド部材12の開口部120の内壁122との間の隙間の接着剤充填部123に接着剤13を充填することにより、透明部材11がガイド部材12に接着(接合)される領域である。接着領域115aは、搬送面10aのX方向の範囲(搬送範囲)10bと同じ範囲でもよいが、当該範囲(搬送範囲)10bよりもやや広い範囲でもよい。接着剤充填部123は、断面形状が長手方向に渡って同一形状であるため、接着剤13が透明部材11の表面111側のエッジ部分(面取り部112)、及びガイド部材12の表面121側のエッジ部分(面取り部121a)まで流れやすい。
【0026】
応力解放領域115bは、透明部材11の長手方向の2つの端面114の少なくとも一方が、ガイド部材12に接着されず、かつ、ガイド部材12に接触しない領域である。応力解放領域115bは、透明部材11の長手方向の両方の端面114に設けられてもよい。これにより、周囲温度が変化して透明部材11が長手方向に変形した場合に透明部材11に生じる応力を解放することができる。
【0027】
位置決め領域115cは、透明部材11の長手方向の両方の端部116の短手方向の端面113が、ガイド部材12の後述する規制面124に接触することで、透明部材11の短手方向の位置を規制する領域である。これにより、透明部材11の短手方向を位置決めすることができる。
【0028】
応力解放領域115b及び位置決め領域115cを搬送面10aの外側に設けることにより、搬送面10aの平坦性を確保することができる。すなわち、搬送面10aのX方向の範囲10bにおける透明部材11の表面111、ガイド部材12の表面121、及び接着剤充填部123に充填された接着剤13の表面131の平坦性を確保することができる。
【0029】
ガイド部材12は、搬送面10aに対応する接着剤充填部123と、透明部材11のY方向の位置を規制する規制面124と、透明部材11の両方の端部116の裏面110に接触する一対の受け面125とを備えている。透明部材11の裏面110とガイド部材12の受け面125とが接するX方向の長さを所定の長さ(例えば、5mmあるいは10mm以上)とすることにより、所望の防塵性能を発揮することができる。開口部120及び受け面125は、透明部材11を収容する収容部の一例である。規制面124は、規制部の一例である。
【0030】
(接着工程)
次に、透明部材11をガイド部材12に接着する接着工程を、図7を参照して説明する。図7は、透明部材11のガイド部材12への接着工程を説明するためのX方向から見た断面図であり、図7(a)は、透明部材11及びガイド部材12を第1治具6A及び第2治具6Bにより挟み込んだ状態を示す断面図、図7(b)は、(a)のD部拡大図、図7(c)は、(b)の変形例を示すD部拡大図である。なお、図7(b)、(c)では、後述するノズル7の図示を省略している。
【0031】
透明部材11の表面111、及びガイド部材12の表面121が第1治具6Aの上面60aに接触するように、第1治具6A上に接着工程前の透明部材11及びガイド部材12を配置する。なお、図7(c)に示すように、接着剤13が第1治具6Aの上面60aに付着しないよう搬送面10aと面一となる面にPTFE(フッ素樹脂)製のテープ9を貼ってもよい。接着剤13として、紫外線硬化型接着剤を用いる場合は、テープ9として、紫外線の透過性を有するセロハンテープ、ポリプロピレン(PP)製のPPテープ等を用いてもよい。透明部材11の表面111、ガイド部材12の表面121、及び接着剤13の表面131が同一面上に形成されるため、搬送面10aの平坦性が確保できる。
【0032】
次に、第2治具6Bで透明部材11及びガイド部材12を第1治具6A側に押える。このとき、透明部材11の傷、クラック等の損傷を抑制するため、透明部材11と第1治具6Aとの間に軟性シート8を介在させるのが好ましい。軟性シート8を第2治具6Bに貼り付けることで、透明部材11への軟性シート8の貼り付け作業を削減することができる。
【0033】
なお、透明部材11の自重により第1治具6Aの上面60aに接触させる方法や、第1治具6Aに真空吸着用の穴を設け、この穴から透明部材11を吸着により第1治具6Aの上面60aに接触させる方法もある。この場合は、第2治具6Bによる透明部材11の押えを不要とすることもできる。
【0034】
第2治具6Bは、接着剤充填部123に対応する位置にX方向に沿って開口60bが形成され、開口60bから接着剤13を滴下するための液体定量吐出装置(ディスペンサ)のノズル7を挿入できるように構成されている。
【0035】
次に、ノズル7をX方向に移動させながら、ノズル7から所定量の接着剤13を接着剤充填部123に流し込む。その後接着剤13を硬化させる。これにより透明部材11がガイド部材12に接着される。
【0036】
(本実施の形態の作用、効果)
本実施の形態によれば、以下の作用、効果を奏する。
(a)透明部材11の搬送面10aの外側に応力解放領域115bを設けているため、透明部材11とガイド部材12が異なる材料から形成されていても、周囲温度の変化により透明部材11が長手方向に変形した場合に、線膨張係数差による透明部材11に生じる応力を解放することができる。これにより、シートの搬送面10aの歪みや透明部材11のクラックの発生を抑制することができる。
(b)透明部材11の搬送面10aの外側に位置決め領域115cを設けているため、接着工程において透明部材11の短手方向を位置決めしてガタつきを押さえることができる。この状態で透明部材11の位置決め領域115cの接着剤充填部123に接着剤13を充填して透明部材11をガイド部材12に固定することができる。すなわち、搬送範囲(搬送面10a)外で位置決めを行うことにより、搬送面10aの平坦性を確保することができる。また、接着範囲(接着領域115aの接着剤充填部123)に位置決め用の突起が不要になるため、塗布作業を安定して行うことができ、接着剤充填部123の接着断面を均一化することができる。
(c)搬送面10aの外まで透明部材11をX方向に延ばすことで、透明部材11の端部116側に段差等を管理すべき接着剤13が存在しないため、工程管理を簡素化することができる。
【0037】
(変形例1)
図8は、変形例1に係るガイド部材12の斜視図である。この変形例1は、ガイド部材12の両方の受け面125に貫通孔による接着剤溜り127をそれぞれ設けたものである。接着工程において、接着剤充填部123に接着剤13を充填するとともに、接着剤溜り127にも接着剤13を充填することにより、透明部材11の裏面110と受け面125との密着性が向上し、防塵性能をより高めることができる。
【0038】
(変形例2)
上記実施の形態では、ガイド部材12の規制面124により透明部材11の短手方向の位置を規制したが、規制面124の代わりに1つ又は複数の突部により透明部材11の短手方向の位置を規制してもよい。これより、突部と位置決め領域115cの端面113との接触面積が小さくなることで摩擦抵抗が減ることから、透明部材11が膨張する際に長手方向に変形しやすくなり、透明部材11に生じる応力を解放しやすくなる。
【0039】
(実施例)
JISD0207(自動車部品の防じん及び耐じん試験通則)に基づいて、以下の通り防塵試験を行った。
(1)実施例の構成
透明部材11は、長手方向の長さ218mm、短手方向の幅20mm、厚さ2mmのものを用い、接着剤充填部123の長手方向の長さを190mmとし、ガイド部材12は、接着剤溜り127を設けたもの(変形例1)を用い、他は本実施の形態と同様の構成とした。
(2)試験条件
・塵量:1kg(粉塵濃度:1000mg/m
・噴射時間:5秒
・休止時間:15分
・試験時間:72時間
・粉塵の種類:関東ローム層8種
(3)判定項目及び判定基準
発光照度に支障となる粉塵の侵入がないこと。
(4)判定結果
目視及び顕微鏡検査で発光照度に支障となる粉塵がなく、合格であった。
【0040】
[他の実施の形態]
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明の実施の形態は上記実施の形態に限定されるものではなく、種々の変形、実施が可能である。例えば、上記実施の形態のシート搬送ガイド10では、シート5に光を照射する光照射装置1に適用する場合について説明したが、シート5に光を照射し、その反射光からシート5の画像を読み取る画像読取装置に適用してもよい。また、上記実施の形態の構成要素の一部を省くことや変更してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明は、光照射装置等の光学装置だけでなく、シートを搬送する各種の装置、例えば、プリンター、複写機、ファクシミリ、複合機等の画像形成装置や、ドキュメントスキャナー等の画像読取装置、紙幣計数機、現金自動預入支払機(ATM)等の紙葉類処理装置、紙幣等のシートを除菌させる除菌処理装置等に利用可能である。
【符号の説明】
【0042】
1…光照射装置、2…光照射部、3…ケーブル、4…コネクタ、5…シート、
6A…第1治具、6B…第2治具、7…ノズル、8…軟性シート、9…テープ、
10…シート搬送ガイド、10a…搬送面、10b…搬送面のX方向の範囲、
10c…搬送路、11…透明部材、12…ガイド部材、13…接着剤、
20…発光素子、21…基板、22…ヒートシンク、60a…上面、60b・・・開口、
110…裏面、111…表面、112…面取り部、113、114…端面、
115a…接着領域、115b…応力解放領域、115c…位置決め領域、
116…端部、120…開口部、121…表面、121a…面取り部、122…内壁、
123…接着剤充填部、124…規制面、125…受け面、127…接着剤溜り、
131・・・表面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8