(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024106684
(43)【公開日】2024-08-08
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
G09G 5/10 20060101AFI20240801BHJP
G09G 5/00 20060101ALI20240801BHJP
G09G 5/37 20060101ALI20240801BHJP
H10K 50/10 20230101ALI20240801BHJP
H10K 59/13 20230101ALI20240801BHJP
B60K 35/00 20240101ALI20240801BHJP
B60R 16/02 20060101ALN20240801BHJP
【FI】
G09G5/10 B
G09G5/00 550C
G09G5/37 320
G09G5/00 550B
H10K50/10
H10K59/13
B60K35/00 Z
B60R16/02 640Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023011078
(22)【出願日】2023-01-27
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110001128
【氏名又は名称】弁理士法人ゆうあい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】張 鳴暁
【テーマコード(参考)】
3D344
3K107
5C182
【Fターム(参考)】
3D344AA22
3D344AA27
3D344AB01
3D344AD01
3D344AD13
3K107AA01
3K107BB01
3K107BB08
3K107CC32
3K107EE68
3K107FF12
3K107HH04
5C182AA03
5C182AB15
5C182AB25
5C182BA45
5C182BA46
5C182BC01
5C182CA01
5C182CA02
5C182CB44
5C182DA64
(57)【要約】
【課題】ディスプレイの表示面の少なくとも一部が日射領域である場合に、消費電力の増大抑制と、見易い画像表示とを両立可能な表示装置とする。
【解決手段】表示装置は、太陽の位置情報に基づいて、ディスプレイ20の表示面20aに対する日射方向と、表示面20aのうち日射されている領域である日射領域R1と、表示面20aの残部である非日射領域R2とを推定する。また、表示面20aのうち日射の正反射光が所定の位置にいるユーザの目に入射する領域である正反射領域R
Aを推定する。そして、日射領域R1に位置する日射画素群の輝度を、非日射領域R2に位置する非日射画素群の輝度よりも高くすると共に、非日射画素群のうち正反射領域R
Aに位置する画素群の輝度を他の非日射画素群の輝度よりも低くする輝度制御を実行する。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自発光素子で構成された複数の画素を有するディスプレイ(20)における画像表示を制御する表示装置であって、
太陽の位置情報に基づいて、前記ディスプレイの表示面(20a)に対する日射方向と、前記表示面のうち日射されている領域である日射領域と、前記表示面の残部である非日射領域とを推定する日射推定部(12c)と、
推定された前記日射方向に基づいて前記表示面のうち日射の正反射光が前記ディスプレイに対して所定の位置にいるユーザの目に入射する領域である正反射領域(RA)を推定する正反射推定部(12e)と、
前記日射推定部の推定結果に基づいて、前記複数の画素のうち前記日射領域に位置する画素群である日射画素群の輝度を、前記非日射領域に位置する画素群である非日射画素群の輝度よりも高くすると共に、前記非日射画素群のうち前記正反射領域に位置する画素群の輝度を他の前記非日射画素群の輝度よりも低くする輝度制御を行う輝度制御部(12f)と、を備える表示装置。
【請求項2】
前記輝度制御部は、前記非日射画素群のうち前記正反射領域から遠い位置にある画素群ほど輝度を高くする制御を実行する、請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記輝度制御部は、前記日射画素群のうち前記正反射領域に位置にする画素群の輝度を他の前記日射画素群の輝度よりも高くする制御を実行する、請求項1または2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記輝度制御部は、前記日射画素群のうち前記正反射領域から遠い位置にある画素群ほど輝度を低くする制御を実行する、請求項3に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機発光ダイオード(OLED)などの自発光型のディスプレイの表示を制御可能な表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ディスプレイの表示面に日射が当たる状況において、ディスプレイの輝度を制御することにより、画面の見易さを向上した表示装置が提案されている(例えば特許文献1)。特許文献1に記載の装置は、自動車等の移動体に搭載される車両用表示装置であって、使用時刻や車両の走行位置という条件に基づいて、ディスプレイ画面全体の輝度レベルを自動的に制御する構成となっている。これにより、明るさを検知するためのセンサを設けなくても、表示装置が搭載される周囲環境の明るさに対応した輝度となり、表示画面の見易さが向上している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、この表示装置は、所定の条件に対応して自動的にディスプレイ画面全体の輝度レベルを制御するため、画面の一部領域のみの輝度レベルの調整を行うことができない。例えば、この表示装置は、ディスプレイ画面の一部領域だけに日射が当たっているような状況であっても、画面全体の輝度レベルを上げてしまい、消費電力が必要以上に増大してしまう。
【0005】
そこで、ディスプレイの周囲に照度センサを複数配置し、照度センサからの照度信号に応じてディスプレイのうち日射が当たる領域である日射領域を推定し、推定した日射領域を他の領域よりも相対的に輝度を大きくする輝度制御を実行することが考えられる。これにより、ディスプレイの構成画素のうち日射領域に位置する画素群、すなわち日射画素群について部分的な輝度制御が可能となり、消費電力の増大を抑えつつ、表示画像のうち日射領域における見易さを向上させることができる。
【0006】
しかしながら、本発明者らの鋭意検討により、ディスプレイの表示面での日射反射光の反射角度とユーザの目の位置との関係により日射領域内での明るさの差が存在し、日射画素群の輝度を一様に大きくする制御を実行すると、見づらい表示となることが判明した。
【0007】
本発明は、上記の点に鑑み、ディスプレイの表示面の少なくとも一部が日射領域となっている場合に、消費電力の増大を抑えつつも、見易い画像表示が可能な表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の表示装置は、自発光素子で構成された複数の画素を有するディスプレイ(20)における画像表示を制御する表示装置であって、太陽の位置情報に基づいて、ディスプレイの表示面(20a)に対する日射方向と、表示面のうち日射されている領域である日射領域と、表示面の残部である非日射領域とを推定する日射推定部(12c)と、推定された日射方向に基づいて表示面のうち日射の正反射光がディスプレイに対して所定の位置にいるユーザの目に入射する領域である正反射領域(RA)を推定する正反射推定部(12e)と、日射推定部の推定結果に基づいて、複数の画素のうち日射領域に位置する画素群である日射画素群の輝度を、非日射領域に位置する画素群である非日射画素群の輝度よりも高くすると共に、非日射画素群のうち正反射領域に位置する画素群の輝度を他の非日射画素群の輝度よりも低くする輝度制御を行う輝度制御部(12f)と、を備える。
【0009】
これによれば、自発光型のディスプレイの表示面に対する日射方向、日射領域および非日射領域を推定する日射推定部と、当該表示面のうち日射の正反射光が所定の位置にいるユーザの目に入射する領域である正反射領域を推定する正反射推定部とを備える。そして、非日射領域に位置する非日射画素群のうち正反射領域に位置する画素群の輝度を、他の非日射画素群の輝度よりも低くしつつ、日射領域に位置する日射画素群の輝度を非日射画素群の輝度よりも高くする。このため、画像のうち日射領域に位置する部分を見易くしつつ、隣接する日射領域と非日射領域との境界全域における見かけ上の輝度差が低減され、消費電力の増大を抑えつつも、見易い画像表示が可能な表示装置となる。
【0010】
なお、各構成要素等に付された括弧付きの参照符号は、その構成要素等と後述する実施形態に記載の具体的な構成要素等との対応関係の一例を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施形態に係る表示システムを示すブロック図である。
【
図3】表示システムにおける輝度制御を示すフローチャートである。
【
図5】輝度制御の実行前における日射領域と非日射領域との間のコントラスト比の差についての説明図である。
【
図6】輝度制御の実行による日射領域と非日射領域との間のコントラスト比の差の低減についての説明図である。
【
図7】他の輝度制御の実行例についての説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、同一符号を付して説明を行う。
【0013】
(実施形態)
実施形態に係る表示装置が適用されたOLED表示システムについて説明する。本実施形態では、OLED表示システムが自動車などの車両用とされた車載用表示システムである場合を代表例として説明するが、勿論、他の用途にも適用され得る。なお、OLED表示システムは、「有機EL表示システム」とも、「EL表示システム」とも称され得る。OLED、ELとは、それぞれOrganic Light Emitting Diode、Electro-Luminescenceの略称である。
【0014】
〔基本構成〕
本実施形態のOLED表示システムは、例えば
図1に示すように、描画用コントローラ10と、ディスプレイ20、車載機器30を有した構成とされている。
【0015】
描画用コントローラ10は、ディスプレイ20による画像表示を制御する表示制御装置に相当するものであり、車載機器30から伝えられる各種信号に基づいてディスプレイ20での画像表示を制御する。例えば、描画用コントローラ10とディスプレイ20とは直接的に接続配線を介して接続され、描画用コントローラ10と車載機器30とは車載用通信バス(以下、車内LAN)40を通じて接続されている。LANとは、Local Area Networkの略称である。このため、描画用コントローラ10には、直接もしくは車内LAN40を通じて車載機器30からの各種信号が入力される。なお、この描画用コントローラ10の詳細構成については後述する。
【0016】
ディスプレイ20は、例えば、OLED等の自発光素子により構成された複数の画素を有する自発光型のディスプレイである。ディスプレイ20は、描画用コントローラ10からの映像出力信号に対応する画像表示を行う。ディスプレイ20は、画像表示を行う表示領域を構成している自発光素子ごと、すなわち画素ごとに、駆動電圧を可変して印加することで、輝度レベルの調整が可能な構成となっている。
【0017】
なお、本明細書では、ディスプレイ20がOLEDディスプレイである場合を代表例として説明するが、OLEDディスプレイ等の自発光型ディスプレイについては公知であるため、ディスプレイ自体の詳細な説明については省略する。また、自発光素子としては、OLEDを代表例として説明するが、これに限定されるものではなく、無機ELやマイクロLEDなどの他の自発光素子であっても構わない。
【0018】
車載機器30は、例えば、映像信号や車両情報を描画用コントローラ10に入力するための各種機器、並びに照度や角速度などの物理量に応じた検出信号を描画用コントローラ10に出力する各種センサなどで構成されている。ここでは、車載機器30は、ナビゲーション装置31、ジャイロセンサ32、照度センサ33、乗員撮像装置34、通信機器35、および車両ECU36により構成されている。ただし、上記の車載機器30の構成は、あくまで一例に過ぎず、上記した機器やセンサなどのほか、マルチメディア、空調装置などの各種機器を有したものであっても良く、適宜変更されうる。
【0019】
ナビゲーション装置31は、地図データベースに記憶してある地図情報に基づいて、自車両の現在位置や地図の映像などを示す映像信号を描画用コントローラ10に入力する。また、ナビゲーション装置31は、ユーザの操作に基づいて、例えば目的地設定を行うための映像や、車両周辺もしくは目的地周辺の施設や店舗情報に関する映像などを示す映像信号を描画用コントローラ10に入力する。さらに、ナビゲーション装置31は、例えば、公知のGPSにより車両の緯度、経度、現在時刻、車両が向いている方位に関する情報を取得し、これらの情報を描画用コントローラ10に入力している。GPSとは、Global Positioning Systemの略称である。
【0020】
ジャイロセンサ32は、自車両の姿勢変化に応じた角速度を電圧値として検出するセンサである。ジャイロセンサ32は、自車両に固定されており、車両に対して予め規定された互いに直交する三軸について、各軸周りに生じる角速度を計測する。例えば、ジャイロセンサ32は、自車両のヨーイング、ピッチング、及びローリングに伴う角速度を計測し、計測データを描画用コントローラ10などへ逐次出力する。例えば、ジャイロセンサ32が出力する自車両のヨーイングに対応する角速度の計測データは、自車両が進行する方向、すなわち自車両を上方から見たときにおける自車両が向く方位の推定に用いられる。
【0021】
照度センサ33は、例えば、ディスプレイ20の近傍に配置され、ディスプレイ20への日射量、すなわち環境照度に応じた信号を出力する。照度センサ33は、例えば、ディスプレイ20の近傍に1つまたは複数配置され、ディスプレイ20の表示面全体あるいは表示面を複数に分割してなる分割領域ごとの環境照度を検出する。例えば、照度センサ33の数が3つである場合には、ディスプレイ20のうち映像を表示する領域を表示領域として、表示領域を3つの領域に分割し、3つの照度センサ33がそれぞれ第1領域~第3領域の1つに関連付けされる。照度センサ33が複数である場合、その配置や表示領域の対応領域については任意であり、前述した例に限定されず、適宜変更されうる。このように、照度センサ33は、関連付けられた領域の照度を検出し、その照度に応じた検出信号を描画用コントローラ10に出力する。
【0022】
乗員撮像装置34は、例えば、自車両の乗員のうちディスプレイ20のユーザを撮像する任意の撮像装置である。撮像対象のユーザは、例えば、自車両の運転席に着座する運転者や助手席に着座する乗員である。乗員撮像装置34は、例えば、株式会社デンソー製のドライバーステータスモニター(登録商標)とされるが、これに限定されない。乗員撮像装置34は、例えば、公知の画像認証技術に基づいて、撮像したユーザの眼を含む画像データから、当該ユーザの目の位置や視線方向を推定し、推定した目の位置情報等を描画用コントローラ10に出力する。乗員撮像装置34は、ディスプレイ20のユーザの眼を撮像可能な位置に搭載されていればよく、自車両の車室内の任意の位置に配置される。
【0023】
通信機器35は、例えば、無線LANなどにより、インターネット経由で気象情報などの各種情報を取得し、車内LAN40を介して当該天候情報を描画用コントローラ10に出力する。通信機器35が取得する気象情報は、例えば、後述する照度取得部12dに入力され、ディスプレイ20の環境照度の推定に用いられうる。なお、通信機器35は、気象情報以外の各種情報の取得や外部とのデータのやり取りなどにも使用されてもよい。
【0024】
車両ECU36は、例えば、上記したナビゲーション装置31ないし通信機器35と車内LAN40を介して接続され、これらの各種機器等からの信号および情報を描画用コントローラ10に出力する。ECUとは、Electronic Control Unitの略称である。
【0025】
なお、例えば、ナビゲーション装置31は、
図1に示すように、描画用コントローラ10に映像信号を直接入力する構成とされる。また、ジャイロセンサ32、照度センサ33、乗員撮像装置34、および通信機器35は、ナビゲーション装置31と同様に、車両ECU36を介さずに、車内LAN40を介して描画用コントローラ10に各種信号等を入力する構成であってもよい。
【0026】
以上が、OLED表示システムの基本的な構成である。
【0027】
〔描画用コントローラ〕
続いて、描画用コントローラ10の詳細構成について説明する。
【0028】
上記したように、描画用コントローラ10は、ディスプレイ20による画像表示を制御する電子制御ユニットであり、それを実現するための機能部として、例えば、通信部11、制御部12、外部記憶装置13を有した構成とされている。
【0029】
通信部11は、車内LAN40を通じて車載機器30からの情報を取得する部分である。車載機器30から車内LAN40に伝えられている信号や情報については、通信部11にて取得される。
図1では、例えば、ナビゲーション装置31について、情報や映像信号を描画用コントローラ10に対して直接入力できる取得経路と、通信部11を通じて入力できる取得経路を示した。このように、車載機器30からの情報や映像信号の取得経路については任意であり、情報や映像信号が描画用コントローラ10に直接入力されても良いし、車内LAN40から通信部11を通じて入力されても良い。
【0030】
制御部12は、例えば、CPU、ROM、RAM、I/Oなどを備えたマイクロコンピュータによって構成されている。なお、CPU、ROM、RAM、I/Oとは、それぞれ、Central Processing Unit、Read Only Memory、Random Access Memory、Input/Outputの略称である。制御部12は、外部記憶装置13に記憶されている各種プログラムを読み出して実行することで、車載機器30から伝えられる映像信号や情報に基づいてディスプレイ20での表示画像の映像出力を行う。また、ここでは制御部12は、照度センサ33の検出信号が入力され、その検出信号に基づいてディスプレイ20の輝度レベルの調整も行っている。具体的には、制御部12は、映像入力/結合部12a、描画部12b、日射推定部12c、照度取得部12d、正反射推定部12e、輝度制御部12fおよび映像出力部12gを有した構成とされている。
【0031】
映像入力/結合部12aは、車載機器30から直接もしくは車内LAN40を通じて映像信号が入力され、その映像信号が示す画像データを輝度制御部12fに出力する。また、映像入力/結合部12aは、描画部12bで描画された画像データがある場合、それを入力して映像信号が示す画像データと結合し、結合後の画像データを輝度制御部12fに出力する。
【0032】
描画部12bは、通信部11が取得した、車載機器30から伝えられる車両に関する各種情報などが入力され、その情報をディスプレイ20に描画するための画像データを生成する。
【0033】
日射推定部12cは、太陽の位置情報、ディスプレイ20の設置状態および自車両の姿勢情報に基づいて、ディスプレイ20のうち日射されている領域となる日射領域を推定し、その推定結果を輝度制御部12fに出力する。具体的には、日射推定部12cは、例えば、ナビゲーション装置31から自車両に対する太陽の高度・方位の角度情報、すなわち太陽情報を取得する。また、例えば、外部記憶装置13には、自車両におけるディスプレイ20の表示面に対する法線方向が差す方向であって、太陽の高度・方位の角度に対応するパネル取付角の情報が記憶されている。日射推定部12cは、太陽情報と、パネル取付角と、ジャイロセンサ32から取得する自車両の進行方向とに基づいて、ディスプレイ20の表示面に対する太陽光の高度・方位の角度であるパネル入射角を推定する。また、例えば、外部記憶装置13には、自車両の三次元形状データ、および太陽光のパネル入射角に応じてディスプレイ20の表示面に生じる日射領域および非日射領域の分布データである複数の日射領域データが予め記憶されている。そして、日射推定部12cは、複数の日射領域データのうち推定したパネル入射角に対応する1つまたは複数の日射領域データに基づいて、ディスプレイ20の表示面における日射領域および非日射領域を推定する。
【0034】
なお、非日射領域とは、ディスプレイ20の表示面のうち日射領域とは異なる残部の領域、すなわち日射が直接入射していない領域を意味する。日射領域データは、例えば、
図2に示すように、日射領域に対応する白、および非日射領域に対応する黒の二値化された画像形式のデータとされ、ディスプレイ20の表示面における座標と関連付けされている。日射領域データは、例えば、光学シミュレーションソフトを用い、自車両の三次元形状データに基づき、パネル入射角を適宜設定することにより、異なるパネル入射角に対応して1つずつ予め作成されている。
【0035】
また、日射推定部12cは、例えば特開2022-187806号公報に記載のように、パネル入射角の変化量に対する日射領域の変化方向および変化量を示すベクトルであるオプティカルフロー(OF)を算出し、OFを用いて日射領域を推定する構成でもよい。日射推定部12cは、特開2021-92626号公報に記載のように、ディスプレイ20の表示面近傍に配置された複数の照度センサ33からの出力信号に基づいて、日射領域を推定する構成であってもよい。このように、日射推定部12cは、他の公知の方法により、日射領域および非日射領域を推定する構成であってもよい。
【0036】
照度取得部12dは、照度センサ33からの検出信号が入力され、ディスプレイ20が設置された環境照度を取得する。照度取得部12dは、例えば、環境照度に応じた電気信号を照度情報として輝度制御部12fに出力する。また、照度取得部12dは、例えば、通信機器35から入力される気象情報と、時刻情報と、外部記憶装置13等に格納された時刻に対応する基準照度のデータとに基づいて、環境照度を推定する構成であってもよい。例えば、気象情報が晴れの場合には100%、曇りの場合には70%、雨の場合には30%といった具合に、気象情報に対応した基準照度に対する割合を予め設定し、外部記憶装置13等に格納しておく。そして、例えば、照度取得部12dは、取得した気象情報に対応する割合を基準照度に乗じて得られる値を環境照度として推定する。このように、照度取得部12dは、照度センサ33から照度情報を取得するか、あるいは通信機器35からの時刻情報や気象情報に基づいて照度を推定する構成とされる。
【0037】
正反射推定部12eは、例えば、日射推定部12cからディスプレイ20に対するパネル入射角の情報を、乗員撮像装置34からユーザの目の位置情報をそれぞれ取得し、ディスプレイ20の表示面における正反射領域を推定する。ここでいう「正反射領域」とは、ディスプレイ20の表示面のうち日射の正反射光がユーザの目に直接入射しうる領域を意味する。正反射推定部12eは、例えば、日射角度、ディスプレイ20の位置情報およびユーザの目の位置情報に基づいて、ディスプレイ20の表示面における正反射領域を推定する。この詳細については後述する。
【0038】
以下、説明の便宜上、ディスプレイ20を構成する画素群のうち日射領域に位置する画素群を「日射画素群」と称し、日射が当たらない領域である非日射領域に位置する画素群を「非日射画素群」と称する。
【0039】
輝度制御部12fは、映像入力/結合部12aから入力される画像データに対して、ディスプレイ20の日射画素群および非日射画素群のそれぞれについて輝度調整を行い、そのデータを映像出力部12gに出力する。輝度制御部12fは、例えば、日射推定部12cにより推定された日射領域に基づいて、輝度制御の対象を決定する。輝度制御部12fは、例えば、照度取得部12dからの環境照度、日射推定部12cからの日射領域/非日射領域の推定結果および正反射推定部12eからの正反射領域の情報に基づき、日射画素群および非日射画素群の設定輝度を変更した画像データを生成する。そして、輝度制御部12fは、例えば、設定輝度を調整した画像データを映像出力部12gに出力する。この輝度制御の詳細については後述する。
【0040】
映像出力部12gは、輝度制御部12fから伝えられる輝度調整後の画像データをディスプレイ20で表示させるべく、映像出力信号を出力する。
【0041】
外部記憶装置13は、制御部12で実行する各種プログラムや制御部12から伝えられる各種データなどを記憶しており、制御部12によるプログラムの読み出しやデータの書き込みが可能となっている。なお、ここでは非遷移有形記録媒体として外部記憶装置13を挙げ、制御部12とは別の構成としたが、制御部12内のROMやRAMとしても良い。
【0042】
以上が、描画用コントローラ10の基本的な構成である。なお、描画用コントローラ10は、例えば、車載機器30とは独立した電子制御ユニットとされるが、これに限定されるものではなく、車両ECU36の一部として構成されてもよい。
【0043】
〔輝度制御〕
次に、OLED表示システムにおける輝度制御について説明する。
【0044】
なお、
図4~
図6では、ディスプレイ20のうち紙面左右方向に沿った方向をX方向としている。
図5、
図6におけるグラフの縦軸の「設定輝度」とは、ディスプレイ20の画素群の通電による輝度を意味し、「視認輝度」とは、設定輝度の画素群を見たユーザが認識する見かけ上の輝度を意味する。また、
図4~
図6では、断面を示すものではないが、日射領域R1と非日射領域R2と設定輝度の差、および非日射領域R2における設定輝度の差を示すものとして、非日射領域R2にハッチングを施している。
図4~
図6では、表示面20aのうち設定輝度が高い領域ほど白い領域とし、設定輝度が低い領域ほど黒い領域として示している。
【0045】
OLED表示システムは、例えば、ディスプレイ20がオン状態になるなどの所定の開始条件を満たした場合、
図3に示す制御フローを実行する。
【0046】
ステップS100では、例えば、制御部12は、車載機器30から自車両の位置情報および日時情報を取得し、自車両の緯度を指定し、太陽の赤緯・時角を用いた球面三角法などの公知の方法により、自車両に対する太陽の高度角および方位角を算出する。
【0047】
ステップS110では、例えば、制御部12は、ジャイロセンサ32から自車両の進行方向を取得し、当該進行方向と、パネル取付角と、太陽の高度角および方位角とに基づいて、パネル入射角を算出する。これにより、ディスプレイ20の表示面20aに対する太陽光の入射方向、すなわち日射方向が推定される。
【0048】
ステップS120では、例えば、日射推定部12cは、上記した複数の日射領域データのうちステップS110で推定した日射方向に対応する1つまたは複数の日射領域データに基づいて、ディスプレイ20における日射領域および非日射領域を推定する。
【0049】
ステップS130では、例えば、正反射推定部12eは、乗員撮像装置34から乗員の目の位置情報を取得する。そして、正反射推定部12eは、乗員の目の位置情報と、ステップS110で推定されたディスプレイ20の表示面20aに対する日射方向とに基づいて、表示面20aにおける正反射領域を推定する。
【0050】
具体的には、正反射推定部12eは、例えば
図4に示すように、日射推定部12cからディスプレイ20の表示面20aに入射する太陽光L1の日射方向を、乗員撮像装置34からユーザの左目E
L、右目E
Rの位置情報を、それぞれ取得する。続けて、正反射推定部12eは、表示面20aにおいて太陽光L1が正反射した光である正反射光L2の射出方向を算出する。次に、正反射推定部12eは、表示面20aの位置情報、算出した正反射光L2の射出方向およびユーザの左目E
L、右目E
Rの位置情報を用いた幾何学計算により、表示面20aのうち正反射光L2がユーザの目に入射する領域である正反射領域R
Aを推定する。正反射推定部12eは、例えば、ユーザが運転席に着座する運転者であり、運転者が表示面20aから70cm前方に位置する場合、表示面20aのうち正反射光L2がユーザの左目E
L、右目E
Rに到達する領域を正反射領域R
Aとして推定する。例えば、正反射推定部12eは、表示面20aのうち正反射光L2がユーザの左目E
Lのみに到達する部位のX方向における最外端を、正反射領域R
AのX方向左側の端部として推定する。例えば、正反射推定部12eは、表示面20aのうち正反射光L2がユーザの右目E
Rのみに到達する部位のX方向における最外端を、正反射領域R
AのX方向右側の端部として推定する。
【0051】
なお、上記では、乗員撮像装置34がユーザの左目EL、右目ERの位置を直接取得する例について説明しているが、これに限定されるものではない。例えば、乗員撮像装置34は、ユーザの左目ELと右目ERとの中心位置を取得し、中心位置から左および右に所定の距離だけ離れた位置の座標を左目ELおよび右目ERの位置座標として推定し、その推定結果を制御部12に出力する構成であってもよい。
【0052】
ステップS140では、輝度制御部12fは、照度取得部12dから環境照度の情報を取得し、日射領域R1、非日射領域R2のそれぞれについて輝度制御を実行する。輝度制御部12fは、表示面20aに日射領域R1および非日射領域R2が存在する場合、日射画素群の輝度を、非日射画素群の輝度よりも高くする第1の輝度制御を実行する。これにより、日射領域R1は、環境照度に応じて輝度が高くされた画像が表示されることとなり、画像が見易い状態となる。
【0053】
また、ステップS140では、輝度制御部12fは、第1の輝度制御と合わせて、非日射領域R2に位置する非日射画素群について、正反射領域RAに対する位置に応じた輝度とする第2の輝度制御を実行する。これは、日射領域R1と非日射領域R2との境界全域における見かけ上の輝度差、ひいてはコントラスト比の差を低減し、ユーザに違和感を覚えさせない画像を表示させるためである。
【0054】
ここで、第2の輝度制御を実行しない場合における日射領域R1と非日射領域R2との間に生じ得る見かけ上の輝度差について説明する。
【0055】
ユーザが認識する日射領域R1の明るさ(以下「実態輝度」という)は、照度センサ33等で推定される日射領域R1の照度とは完全に同一ではなく、当該ユーザの目に入射する日射の正反射光L2の光量(以下「正反射光量」という)に比例する。つまり、実態輝度は、正反射光量が最も多い正反射領域RAが最も高く、正反射領域RAから遠く、正反射光量が少ない領域ほど低くなる。言い換えると、ユーザは、表示面20aの日射領域R1のうち正反射領域RAから離れた位置ほど暗く感じる。
【0056】
例えば
図5に示すように、表示面20aのうちX方向における中心付近の領域が正反射領域R
Aであり、X方向における正反射領域R
Aとの距離が異なる3つの領域R
B~R
Dが存在する場合について考える。3つの領域R
B~R
Dは、X方向における正反射領域R
Aとの距離が近い順に、第1領域R
B、第2領域R
C、第3領域R
Dとなっている。そして、実態輝度は、正反射領域R
A>第1領域R
B>第2領域R
C>第3領域R
Dの関係となる。この場合、例えば、第1の輝度制御により、環境照度に基づいて日射画素群および非日射画素群の設定輝度を一律でそれぞれL
R1-1、L
R2-1(<L
R1-1)で調整したとする。また、この輝度制御がなされた日射領域R1、非日射領域R2についてユーザが認識する視認輝度を、それぞれL
R1-2、L
R2-2とする。なお、視認輝度は、実態輝度と設定輝度(すなわち表示輝度)との合計値となる。
【0057】
このとき、ユーザは、日射領域R1全域について同じ設定輝度であっても、実態輝度の差によって情報部分と背景部分とのコントラスト比の差が生じてしまい、画像のうち実態輝度が小さい領域に位置する部分ほど明るい表示に感じてしまう。ここでいうコントラスト比とは、背景部分の輝度に対する情報部分の輝度の比率をいう。具体的には、例えば、日射画素群のうち情報部分の設定輝度が40cd/m2、非日射画素群のうち情報部分の設定輝度が10cd/m2、双方の画素群のうち背景部分の設定輝度が0cd/m2であるとする。また、日射領域R1のうち各領域RA~RDにおける実態輝度がそれぞれ10cd/m2、8cd/m2、5cd/m2、4cd/m2であり、非日射領域R2の照度によりユーザが認識する輝度が5cd/m2であるとする。このとき、日射領域R1のコントラスト比は、正反射領域RAが(40+10)/(0+10)=5、第1領域RBが(40+8)/(0+8)=6、第2領域RCが(40+5)/(0+5)=9、第3領域RDが(40+4)/(0+4)=11となる。一方、非日射領域R2のコントラスト比は、各領域RA~RDとも(10+5)/(0+5)=3となる。つまり、日射領域R1と非日射領域R2とのコントラスト比の差は、正反射領域RAが最も小さく、第1領域RB、第2領域RC、第3領域RDの順に大きくなる。このため、ユーザは、コントラスト比の差が大きくなるほど、日射領域R1の表示が非日射領域R2よりも明るいと感じてしまう。
【0058】
つまり、例えば
図5に示すように、日射領域R1は、視認輝度L
R1-2については、正反射領域R
Aが最も高く、第1領域R
B、第2領域R
C、第3領域R
Dの順に、正反射領域R
Aから遠い領域ほど低くなる。一方、非日射領域R2の視認輝度L
R2-2は、正反射光L2による影響がないため、同じ設定輝度である場合には領域R
A~R
Dにおいて一定となる。しかしながら、非日射領域R2のコントラスト比が一定であるの対し、日射領域R1のコントラスト比は、実態輝度の差により、正反射領域R
A、第1領域R
B、第2領域R
C、第3領域R
Dの順に大きくなる。このため、ユーザは、正反射領域R
Aから離れるほど日射領域R1と非日射領域R2との間でのコントラスト比の差が大きく、日射領域R1が非日射領域R2よりも明るい表示であると感じるため、違和感を覚えるおそれがある。
【0059】
そこで、ステップS140では、輝度制御部12fは、領域R
B~R
Dに位置する画素群の輝度を正反射領域R
Aに位置する画素群の輝度よりも高くする第2の輝度制御を合わせて実行する。例えば、輝度制御部12fは、
図6に示すように、非日射画素群について設定輝度が正反射領域R
A<第1領域R
B<第2領域R
C<第3領域R
Dの関係となる画像データを生成し、映像出力部12gに出力する。ステップS140における非日射画素群の各領域R
A~R
Dの設定輝度は、コントラスト比が正反射領域R
A<第1領域R
B<第2領域R
C<第3領域R
Dの関係、かつ日射領域R1の各領域R
A~R
Dとの差が所定以下となるように調整される。例えば、日射画素群の設定輝度および実態輝度が上記した例である場合、非日射領域R2の情報部分の設定輝度は、正反射領域R
Aでは10cd/m
2のままとし、領域R
B~R
Dではそれぞれ13cd/m
2、22cd/m
2、28cd/m
2と調整される。すると、非日射領域R2のコントラスト比は、正反射領域R
Aが3、第1領域R
Bが(13+5)/(0+5)=3.6、第2領域R
Cが(22+5)/(0+5)=5.4、第3領域R
Dが(28+5)/(0+5)=6.6となる。この結果、非日射領域R2のコントラスト比に対する日射領域R1のコントラスト比の比率は、正反射領域R
Aでは5/3、第1領域R
Bでは6/3.6、第2領域R
Cでは9/5.4、第3領域R
Dでは11/6.6となる。つまり、第2の輝度制御により、各領域R
A~R
Dのいずれも非日射領域R2のコントラスト比に対する日射領域R1のコントラスト比の比率が約1.67となる。最後に、映像出力部12gは、輝度制御部12fからの出力信号に基づいて、輝度制御後の映像信号をディスプレイ20に出力する。その後、制御部12は、処理をステップS100に戻す。
【0060】
これにより、非日射領域R2の視認輝度LR2-2は、日射領域R1と同様に、正反射領域RA<第1領域RB<第2領域RC<第3領域RDとなり、各領域RA~RDにおいて日射領域R1の視認輝度LR1-2との差が同程度となる。また、各領域RA~RDにおいて、日射領域R1と非日射領域R2との間のコントラスト比の比率が所定以下となる。この結果、正反射光量に起因する領域R1、R2の境界全域における視認輝度の差およびコントラスト比の比率が所定以下となり、ユーザに違和感を覚えさせない画像となる。
【0061】
なお、上記の輝度制御は、あくまで一例であり、各ステップの処理の順番については可能な範囲内で適宜変更されてもよい。また、
図6では、非日射画素群について正反射領域R
Aから第3領域R
Dに向かうにつれて、階段状に設定輝度を高くする例を示しているが、これに限定されるものではなく、例えば正反射領域R
Aからの距離に応じて連続的に設定輝度が高くされてもよい。
【0062】
また、上記した第1の輝度制御において、日射画素群の輝度が非日射画素群の輝度よりも高くするとは、日射画素群の一部のみが非日射画素群よりも輝度が高い状態とすることも含む。例えば、各領域R1、R2の表示画像に文字・図形・記号等の情報部分とその他の背景部分とが含まれる場合、日射画素群の情報部分については、非日射画素群の情報部分よりも輝度が高ければよい。日射画素群の背景部分については、非日射画素群の背景部分よりも輝度以上であればよく、非日射画素群の情報部分よりも輝度が低くても構わない。また、第1の輝度制御では、環境照度に応じて見易い画像となるように、日射領域R1の背景部分に対する情報部分の輝度比、すなわちコントラスト比が環境照度の数値に応じた値に適宜変更されうる。
【0063】
本実施形態によれば、自発光型のディスプレイ20の表示面20aに対する日射方向、日射領域R1および非日射領域R2を推定すると共に、表示面20aのうち日射の正反射光L2が所定の位置にいるユーザの目に入射する領域である正反射領域RAを推定する。そして、非日射領域R2に位置する非日射画素群のうち正反射領域RAに位置する画素群の輝度を、他の非日射画素群の輝度よりも低くしつつ、日射領域R1に位置する日射画素群の輝度を非日射画素群の輝度よりも高くする。これにより、画像のうち日射領域に位置する部分を見易くしつつ、隣接する日射領域R1と非日射領域R2との境界全域における見かけ上の輝度差が低減され、消費電力の増大を抑えつつも、見易い画像表示が可能な表示装置となる。
【0064】
また、非日射領域R2のうち正反射領域RAから離れた領域ほど他の非日射領域R2よりも輝度を高くする制御を行うことにより、日射領域R1のうち相対的に暗く見える部位と当該部位に隣接する非日射領域R2との輝度差がより低減される効果が得られる。
【0065】
また、上記では、第2の輝度制御において、日射画素群の設定輝度を各領域R
A~R
Dで一定とする例について説明したが、これに限定されない。例えば
図7に示すように、第2の輝度制御において、日射領域R1について正反射領域R
Aに位置する画素群の輝度を他の日射画素群の輝度よりも高くする制御を実行してもよい。例えば、日射領域R1の設定輝度を正反射領域R
A、第1領域R
B、第2領域R
C、第3領域R
Dの順に小さくし、コントラスト比もこの順に小さくする制御を実行してもよい。これにより、領域R
B~R
Dの日射画素群の輝度を正反射領域R
Aよりも相対的に低くすることができ、より低消費電力となる効果が得られる。
【0066】
また、
図7では、非日射領域R2についても第2の輝度制御を実行する例を示しているが、日射領域R1について第2の輝度制御を行い、コントラスト比を調整する場合には、非日射領域R2については第2の輝度制御を実行しないケースもありうる。このような場合、低消費電力化の効果をさらに高めることが可能となる。
【0067】
(他の実施形態)
本開示は、実施例に準拠して記述されたが、本開示は当該実施例や構造に限定されるものではないと理解される。本開示は、様々な変形例や均等範囲内の変形をも包含する。加えて、様々な組み合わせや形態、さらには、それらの一要素のみ、それ以上、あるいはそれ以下、を含む他の組み合わせや形態をも、本開示の範疇や思想範囲に入るものである。
【0068】
なお、上記各実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。また、上記各実施形態において、実施形態の構成要素の個数、数値、量、範囲等の数値が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではない。また、上記各実施形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に特定の形状、位置関係等に限定される場合等を除き、その形状、位置関係等に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0069】
20 ディスプレイ
20a 表示面
12c 日射推定部
12e 正反射推定部
12f 輝度制御部
RA 正反射領域