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特開2024-106687加熱装置及びはんだ接合済対象物の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024106687
(43)【公開日】2024-08-08
(54)【発明の名称】加熱装置及びはんだ接合済対象物の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 3/34 20060101AFI20240801BHJP
   B23K 1/008 20060101ALI20240801BHJP
   B23K 31/02 20060101ALI20240801BHJP
   B23K 3/04 20060101ALI20240801BHJP
   H05B 3/10 20060101ALI20240801BHJP
【FI】
H05K3/34 507K
B23K1/008 A
B23K31/02 310B
B23K3/04 Y
H05B3/10 B
H05K3/34 507J
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023011082
(22)【出願日】2023-01-27
(71)【出願人】
【識別番号】000103976
【氏名又は名称】株式会社オリジン
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】長▲はま▼ 正伸
(72)【発明者】
【氏名】黒田 正己
(72)【発明者】
【氏名】松田 純
【テーマコード(参考)】
3K092
5E319
【Fターム(参考)】
3K092PP09
3K092QA02
3K092QB49
3K092RA06
3K092VV21
5E319AA03
5E319AC01
5E319CC36
5E319CD26
5E319GG20
(57)【要約】
【課題】加熱対象物に温度むらが生じることを抑制する加熱装置及びはんだ接合済対象物の製造方法を提供する。
【解決手段】加熱装置1は、加熱対象物Wを支持する支持部材18と、支持部材18に支持された加熱対象物W、又は加熱対象物Wを支持している支持部材18、を輻射加熱する加熱器20であって、中央部分よりも両端部分の方が大きな輻射エネルギーを放出する加熱管21を有する加熱器20と、を備える。はんだ接合済対象物の製造方法は、加熱装置1を用いて、加熱対象物Wを支持部材18に供給し、支持部材18と加熱器20との距離を第1の所定の距離にすると共に加熱対象物Wを還元可能な温度に上昇させ、支持部材18と加熱器20との距離を第2の所定の距離にして加熱対象物Wを還元可能な温度に維持し、加熱対象物Wに還元ガスFを供給し、支持部材18と加熱器20との距離を第1の所定の距離にして加熱対象物Wをはんだの融点以上に上昇させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱対象物を支持する支持部材と、
前記支持部材に支持された前記加熱対象物、又は前記加熱対象物を支持している前記支持部材、を輻射加熱する加熱器であって、中央部分よりも両端部分の方が大きな輻射エネルギーを放出する加熱管を有する加熱器と、を備える、
加熱装置。
【請求項2】
前記支持部材と前記加熱器との間の距離を変化させる移動装置と、
前記支持部材と前記加熱器との間の距離を、前記加熱対象物を昇温させるときは第1の所定の距離に設定し、加熱された温度に前記加熱対象物を維持するときは前記第1の所定の距離よりも短い第2の所定の距離に設定するように、前記移動装置を制御する制御装置と、を備える、
請求項1に記載の加熱装置。
【請求項3】
前記加熱器は、前記加熱管を複数有すると共に、複数の前記加熱管が前記加熱管の軸線に交差する方向に配列されている、
請求項2に記載の加熱装置。
【請求項4】
請求項2又は請求項3に記載の加熱装置を用いてはんだ接合が行われた対象物を製造する方法であって、
はんだを有する前記加熱対象物を前記支持部材に供給する工程と、
前記支持部材と前記加熱器との間の距離を前記第1の所定の距離に設定すると共に前記加熱器によって前記加熱対象物を第1の所定の温度に上昇させる工程であって、前記第1の所定の温度は前記はんだの融点未満かつ前記加熱対象物に存在する酸化物を還元可能な温度である、工程と、
前記加熱対象物が前記第1の所定の温度に上昇した後、前記支持部材と前記加熱器との間の距離を前記第2の所定の距離に設定すると共に前記加熱器によって前記加熱対象物を前記第1の所定の温度に維持する工程と、
前記第1の所定の温度に維持されている前記加熱対象物に還元ガスを供給する工程と、
前記還元ガスが前記加熱対象物に供給された後、前記支持部材と前記加熱器との間の距離を前記第1の所定の距離に設定すると共に前記加熱器によって、前記加熱対象物を、前記はんだの融点以上の第2の所定の温度に上昇させてはんだ接合を行う工程と、を備える、
はんだ接合済対象物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は加熱装置及びはんだ接合済対象物の製造方法に関し、特に加熱対象物への温度むらの発生を抑制する加熱装置及びはんだ接合済対象物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
基板に対して半導体等の実装部品をはんだ付けするはんだ付け装置の一種に、以下のようなリフロー装置がある。そのリフロー装置は、棒状に形成された複数本の赤外線ランプを水平方向に平行に配列した加熱器、及び隣接する赤外線ランプ間から突出した冷却ブロックを有する冷却器の上方に、ワークを載置可能なプレートを配置している。また、プレートを支持する昇降ピンを上下方向に昇降させる昇降機を備えている。そして、ワークを冷却するときはプレートの下面が冷却ブロックの上面に接触する冷却位置とし、ワークを加熱するときはプレートを冷却位置よりも高い加熱位置としている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第7053939号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ワークを所定の温度(例えば、特許文献1における還元温度)まで加熱した後に、その所定の温度で所定の時間(例えば還元処理が終了するまで)維持する際、プレートの端部は中央部よりも温度が低下してしまう傾向にある。この点について、赤外線ランプの配列方向については、プレートの端部に近づくほど赤外線ランプに供給する電流を上げて発熱量を大きくすることで、温度維持時のプレートの端部と中央部との温度差を小さくすることが可能である。しかしながら、赤外線ランプの長手方向については、依然として端部と中央部とで工程に影響を及ぼす温度差が生じていた。
【0005】
本開示は上述の課題に鑑み、加熱対象物に温度むらが生じることを抑制する加熱装置及びはんだ接合済対象物の製造方法を提供することに関する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第1の態様に係る加熱装置は、加熱対象物を支持する支持部材と、前記支持部材に支持された前記加熱対象物、又は前記加熱対象物を支持している前記支持部材、を輻射加熱する加熱器であって、中央部分よりも両端部分の方が大きな輻射エネルギーを放出する加熱管を有する加熱器と、を備える。
【0007】
このように構成すると、加熱管の中央部分よりも両端部分の方が大きな輻射エネルギーが放出されるので、加熱後に加熱対象物の温度を維持する際に、加熱管の長手方向における、加熱対象物の温度むらを抑制することができる。
【0008】
また、本開示の第2の態様に係る加熱装置は、上記本開示の第1の態様に係る加熱装置において、前記支持部材と前記加熱器との間の距離を変化させる移動装置と、前記支持部材と前記加熱器との間の距離を、前記加熱対象物を昇温させるときは第1の所定の距離に設定し、加熱された温度に前記加熱対象物を維持するときは前記第1の所定の距離よりも短い第2の所定の距離に設定するように、前記移動装置を制御する制御装置とを備える。
【0009】
加熱後に加熱対象物の温度を維持することを重視して、中央部分よりも両端部分の方が大きな輻射エネルギーを放出する加熱管を用いると、加熱対象物の昇温過程において、中央部分よりも両端部分の方が高温になりやすく、温度むらが生じ得る。しかしながら、上記のように構成すると、加熱対象物の昇温時には加熱対象物又は支持部材の広範囲に輻射エネルギーが照射されることとなり、加熱対象物の温度むらを抑制することができる。昇温した加熱対象物の温度維持時には、温度低下の生じやすい外縁部分に大きな輻射エネルギーが照射されることとなり、加熱対象物の温度むらを抑制することができる。
【0010】
また、本開示の第3の態様に係る加熱装置は、上記本開示の第1の態様又は第2の態様に係る加熱装置において、前記加熱器は、前記加熱管を複数有すると共に、複数の前記加熱管が前記加熱管の軸線に交差する方向に配列されている。
【0011】
このように構成すると、加熱対象物を、温度むらの発生を抑制しながら広範囲にわたって加熱することができる。
【0012】
また、本開示の第4の態様に係るはんだ接合済対象物の製造方法は、上記本開示の第1の態様乃至第3の態様のいずれか1つの態様に係る加熱装置を用いてはんだ接合が行われた対象物を製造する方法であって、はんだを有する前記加熱対象物を前記支持部材に供給する工程と、前記支持部材と前記加熱器との間の距離を前記第1の所定の距離に設定すると共に前記加熱器によって前記加熱対象物を第1の所定の温度に上昇させる工程であって、前記第1の所定の温度は前記はんだの融点未満かつ前記加熱対象物に存在する酸化物を還元可能な温度である、工程と、前記加熱対象物が前記第1の所定の温度に上昇した後、前記支持部材と前記加熱器との間の距離を前記第2の所定の距離に設定すると共に前記加熱器によって前記加熱対象物を前記第1の所定の温度に維持する工程と、前記第1の所定の温度に維持されている前記加熱対象物に還元ガスを供給する工程と、前記還元ガスが前記加熱対象物に供給された後、前記支持部材と前記加熱器との間の距離を前記第1の所定の距離に設定すると共に前記加熱器によって、前記加熱対象物を、前記はんだの融点以上の第2の所定の温度に上昇させてはんだ接合を行う工程と、を備える。
【0013】
このように構成すると、加熱対象物が温度むらなく加熱されることとなり、良好なはんだ接合が行われたはんだ接合済対象物を製造することができる。
【発明の効果】
【0014】
本開示によれば、加熱後に加熱対象物の温度を維持する際に、加熱管の長手方向における、加熱対象物の温度むらを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】(A)は一実施の形態に係るリフロー装置の模式的正面縦断面図、(B)は一実施の形態に係るリフロー装置の概略平面図である。
図2】(A)はプレートが第1の加熱位置にある状態のリフロー装置の概略正面縦断面図、(B)はプレートが第2の加熱位置にある状態のリフロー装置の概略正面縦断面図である。
図3】一実施の形態に係るはんだ接合済基板の製造の手順を示すフローチャートである。
図4】(A)はプレートが第1の加熱位置にある状態の加熱器まわりの側面図、(B)はプレートが第2の加熱位置にある状態の加熱器まわりの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して実施の形態について説明する。なお、各図において互いに同一又は相当する部材には同一あるいは類似の符号を付し、重複した説明は省略する。
【0017】
まず図1(A)を参照して、一実施の形態に係るリフロー装置1を説明する。図1(A)は、リフロー装置1の模式的正面縦断面図である。リフロー装置1は、主としてはんだ接合を行う装置である。ここでいうはんだ接合は、基板にはんだバンプを形成すること、及び、はんだバンプを有する基板に電子部品を実装すること、が含まれる。基板にはんだバンプを形成する際は、表面に原料はんだを配列した基板をリフロー装置1の内部で加熱する。すると、原料はんだは一旦溶融し、溶融したはんだが冷え固まったときに典型的には半球状のはんだバンプとなる。他方、基板に電子部品を実装する際は、はんだバンプに電子部品を配置した基板をリフロー装置1の内部で加熱する。すると、はんだバンプは一旦溶融し、溶融したはんだが冷え固まることで、基板への電子部品のはんだ付けが行われる。このように、リフロー装置1では、はんだを有する基板の加熱が行われるため、リフロー装置1は加熱装置の一形態であるといえる。以下、まず、リフロー装置1の構成を説明する。リフロー装置1は、チャンバー10と、加熱器20と、移動装置30と、制御装置60とを備えている。
【0018】
チャンバー10は、基板Wを処理する処理空間11を形成するものである。基板Wは、はんだ接合が行われる対象物の一例であり、加熱を含む処理の対象となるものであるから加熱対象物に相当する。また、基板Wは、一般にワークピース(単に「ワーク」と省略されることもある)と呼ばれるものに対応するものである。チャンバー10は、床体12と、壁体13と、蓋体14とを有している。また、チャンバー10は、内部にプレート18が設けられている。つまり、リフロー装置1は、プレート18をも備えている。プレート18は、その上面に載置された基板Wを支持することができ、支持部材に相当する。プレート18は、本実施の形態では矩形の平板状に形成されている。プレート18の面の大きさは、一度に処理される1つ又は複数の基板Wの全体を包含できる大きさに形成されている。プレート18は、加熱又は冷却されたときの温度変化に対する追従を早くする観点から、グラファイトで形成されていることが好ましいが、銅、ステンレス、鋼板等の金属で形成されていてもよい。また、プレート18は、同じく加熱又は冷却されたときの温度変化に対する追従を早くする観点から、熱容量を小さくするべく、強度を確保できる範囲で極力薄く(体積が小さく)形成されていることが好ましい。
【0019】
床体12は、本実施の形態では、概ね、プレート18を包含することができる大きさの矩形の厚板状に形成されている。床体12は、典型的には、厚板状の上面が水平になるように配置されている。本実施の形態では、床体12はプレート18よりも下方に位置している。換言すれば、プレート18は、床体12よりも上方に配置されている。壁体13は、床体12の4つの辺を囲むようにして床体12に接続されている。壁体13は、床体12から上方に突き出ている。壁体13が床体12から突き出る高さは、基板Wの処理中においてプレート18が最高位置にあるときにそのプレート18に載置されている基板Wの上端よりも高い位置に、壁体13の上端面が来る高さである。壁体13の上端面は、床体12の周囲を囲む全体にわたって同じ高さに位置している。壁体13は、床体12と一体成形されていてもよく、別体の床体12に対して取り付けられたものであってもよい。いずれの場合も、床体12と壁体13との間に隙間が生じないようになっている。床体12と壁体13とが協働して形成された外観直方体状のものは、上面が開口して内部に処理空間11が形成されものになっている。蓋体14は、床体12と壁体13とで形成された外観直方体状のものの、上面の開口を塞ぐものである。蓋体14は、典型的には床体12と同じ大きさの板状に形成されている。蓋体14は、壁体13の上端面の全体に載置されるようになっている。これにより、床体12、壁体13、及び蓋体14に囲まれた処理空間11が密閉可能になっている。蓋体14は、壁体13に対して着脱可能に構成されている。壁体13に対する蓋体14の着脱は、典型的には開閉装置(不図示)によって自動で行われるが、作業者が手動で行う構成であってもよい。
【0020】
加熱器20は、基板Wが載置されているプレート18を輻射により加熱(輻射加熱)するものである。加熱器20は、加熱管21を有している。加熱管21は、輻射エネルギーを放出することができるものであり、本実施の形態では赤外線ランプヒータが用いられている。つまり、本実施の形態では、赤外線(典型的には遠赤外線)によって輻射エネルギーが伝達されるようになっている。加熱管21は、細長い棒状の外観を呈しており、本実施の形態では丸棒状の外観を呈している。
【0021】
ここで図1(B)を併せて参照して、加熱器20の構成をより詳細に説明する。図1(B)はチャンバー10の内部の構成を説明する概略平面図であり、加熱管21の構造の説明のためにプレート18を部分的に切り欠いて示している。加熱管21は、プレート18の矩形の一辺と概ね同じ長さを有している。ここでいう概ね同じ長さとは、プレート18の当該一辺と同じ長さのほか、プレート18の当該一辺の方向においてプレート18の全体を加熱することができる範囲で、当該一辺に対して短いもの及び長いものが含まれることを意図している。加熱器20は、本実施の形態では、加熱管21の複数が、加熱管21の長手方向(軸線が延びる方向)に直交する方向かつ水平方向に、所定の間隔で配列されている。所定の間隔は、プレート18全体を加熱することができる範囲で適宜調節することができる。また、本実施の形態では、複数の加熱管21のすべてが、矩形のプレート18の一方の一対の対向する辺に対して平行(他方の一対の対向する辺に対しては直角)に配置されているが、プレート18の辺に対して角度を持って延びるように配置されていてもよい。なお、加熱管21の複数は、相互に平行に配置されていなくてもよいが、温度むらの発生を抑制する観点から、相互に平行に配置されていることが好ましい。以下、複数の加熱管21が配列された、加熱管21の長手方向に交差する方向を、「配列方向」ということとする。
【0022】
図1(B)に示すように、加熱管21は、赤外線を放射するフィラメント22の巻回密度が、長手方向の中央部分よりも両端部分の方が高くなっている。つまり、加熱管21は、本実施の形態では、長手方向の中央部分が疎で両端部分が密な疎密巻き赤外線ランプヒータである。このため、加熱管21は、長手方向の中央部分よりも両端部分の方が大きな輻射エネルギーを放出するようになっている。このような加熱管21を採用しているのは、プレート18を加熱した後にその加熱した温度に維持するために赤外線の放射を継続する際、仮に長手方向に均等に放射すると、長手方向の端部側ほどプレート18の温度が低下してしまうためである。本実施の形態のような加熱管21を用いると、温度維持のための加熱の際に、プレート18の端部側の温度低下を抑制することができる。加熱管21のフィラメント22の巻回密度の変化は、中央部分から端部に移動するにつれて同じ変化率で高くなるようにしてもよい。あるいは、長手方向を複数の区間に分け、区間内では同じ巻回密度とし、端部側ほど高い巻回密度の区間となるようにしてもよい。いずれにしても、温度維持時におけるプレート18の温度むらが許容範囲となるような加熱をすることができるように、フィラメント22の巻回密度を決定するとよい。
【0023】
図1(A)に示すように、各加熱管21は、床体12に配置されている。したがって、各加熱管21は、プレート18の下方に配列されることとなる。本実施の形態では、加熱管21が配置される部分の床体12に、加熱管21に合った溝が形成され、当該溝に加熱管21が嵌められている。床体12に形成された溝の深さは、例えば加熱管21の直径の1/2~加熱管21の直径と同程度とすることができ、加熱管21の直径の2/3~3/4程度としてもよい。加熱管21の下部を床体12に埋め込むことで、加熱管21から下方に放射された赤外線が床体12で反射して上方に放射されることとなり、より多くの赤外線を上方(プレート18の側)に放射することができる。なお、各加熱管21の間に、冷却ブロック(不図示)を設けてもよい。冷却ブロック(不図示)は、冷却媒体(不図示)によって冷却されるものとすることができ、加熱管21の上端よりも上方に突出した構成とするとよい。このような冷却ブロック(不図示)にプレート18を接触させて、プレート18を強制冷却することができる。
【0024】
移動装置30は、本実施の形態ではプレート18を上下に移動させることで、プレート18と加熱器20との間の距離を変化させるものである。移動装置30は、支持ピン31と、連結アーム32と、軸33と、駆動源34とを有している。支持ピン31は、プレート18の下面を支持する部材である。支持ピン31は、細長い棒状に形成されている。支持ピン31は、鉛直方向に延びるように配置され、上端でプレート18を支えるようになっている。支持ピン31は、典型的にはプレート18の下面に固定されているが、プレート18の下面に単に接触する態様で支持することとしてもよい。支持ピン31は、本実施の形態では、矩形のプレート18の四隅のそれぞれを支持するように4個が設けられている。しかしながら、支持ピン31は、矩形のプレート18の一対の辺又は各辺の中間をも支持するように6個又は8個が設けられていてもよく、あるいはプレート18の大きさや形状に応じて3個又はそれ以外の数が設けられていてもよい。各支持ピン31は、床体12を貫通して配置されている。換言すれば、床体12には、支持ピン31を通す貫通孔が形成されている。床体12の貫通孔を貫通する支持ピン31まわりは密閉措置(不図示)が施されており、支持ピン31が軸線方向(上下)に移動しても処理空間11の密閉を維持できるようになっている。
【0025】
連結アーム32は、各支持ピン31を同期させて動かすための部材である。連結アーム32は、薄板状又は枠状に形成されており、すべての支持ピン31の下端が固定されている。軸33は、連結アーム32を支持する部材である。軸33は、棒状に形成されており、その軸線が鉛直に延びるように配置されている。軸33は、平面視における配置が、プレート18の図心に対応する位置になっている。軸33は、その上部が、連結アーム32に固定されている。軸33の下部は駆動源34に接続されている。駆動源34は、本実施の形態では、軸33を上下に移動させるものである。駆動源34によって軸33を上下に移動させることで、軸33に接続された連結アーム32及び各支持ピン31も上下に移動するようになっている。駆動源34としては、典型的には電動アクチュエータが用いられるが、流体圧(油圧や空圧等)を利用したアクチュエータが用いられてもよい。
【0026】
図2(A)及び図2(B)に、移動装置30を作動させた際のプレート18の位置の変化を示す。図2(A)及び図2(B)は、主としてプレート18まわりを示すリフロー装置1の概略正面縦断面図である。図2(A)は、プレート18を上昇させてプレート18と加熱器20との距離を比較的長くした状態を示している。図2(B)は、プレート18を下降させてプレート18と加熱器20との距離を比較的短くした状態を示している。
【0027】
本実施の形態に係るリフロー装置1は、上述の構成のほか、気体供給ユニット40を備えている。気体供給ユニット40は、処理空間11に、基板Wの処理に用いる不活性ガスとしての窒素ガスN及び還元ガスとしてのギ酸ガスFを供給するものである。気体供給ユニット40は、供給管41と、窒素管43と、ギ酸管45とを有している。供給管41は、一端が壁体13を貫通し、処理空間11に開口している。供給管41の他端には、窒素管43の一端とギ酸管45の一端とが接続されている。窒素管43の他端は、窒素ガスNの供給元となる窒素源(不図示)に接続されている。窒素管43には、流路を開閉する窒素弁44が設けられている。ギ酸管45の他端は、ギ酸ガスFの供給元となるギ酸源(不図示)に接続されている。ギ酸管45には、流路を開閉するギ酸弁46が設けられている。気体供給ユニット40は、窒素弁44及びギ酸弁46が閉じられているときは処理空間11にガスが供給されない。気体供給ユニット40は、ギ酸弁46を閉じた状態で窒素弁44を開けることで窒素ガスNが処理空間11に供給され、窒素管43を閉じた状態でギ酸弁46を開けることでギ酸ガスFが処理空間11に供給されるように構成されている。なお、本実施の形態では、供給管41を介して窒素ガスN又はギ酸ガスFを選択的に処理空間11に供給することとしているが、窒素ガスN及びギ酸ガスFをそれぞれ別系統で処理空間11に供給するように構成されていてもよい。換言すると、供給管41を省略して、窒素管43の一端及びギ酸管45の一端がそれぞれ個別に処理空間11に開口していてもよい。
【0028】
また、本実施の形態に係るリフロー装置1は、排気ユニット50を備えている。排気ユニット50は、処理空間11の気体をチャンバー10の外に排出するものである。排気ユニット50は、排気管51と、真空ポンプ52と、排気弁53とを有している。排気管51は、処理空間11の気体を系外に導く流路を形成する管である。排気管51は、一端が壁体13を貫通し、処理空間11に開口している。排気管51の他端は、排気処理装置(不図示)に接続されている。排気処理装置(不図示)は、処理空間11から排出された気体を、大気に放出できる程度に処理するものである。真空ポンプ52は、処理空間11の気体を排出することで処理空間11を負圧にすることができるように構成されている。真空ポンプ52は、排気管51に設けられている。排気弁53は、排気管51の流路を遮断可能な部材であり、開のときに気体の流れを許容し、閉のときに気体の流れを遮断するように構成されている。排気弁53は、本実施の形態では、チャンバー10と真空ポンプ52との間で排気管51に設けられている。排気ユニット50は、典型的には、リフロー装置1の作動中は真空ポンプ52を常に作動させておき、排気弁53の開閉で処理空間11の排気の有無を切り替えているが、排気弁53の開閉に連動して真空ポンプ52を発停させることとしてもよい。
【0029】
制御装置60は、リフロー装置1の動作を制御する機器である。制御装置60は、チャンバー10の蓋体14を開閉する開閉装置(不図示)と制御信号線で接続されており、開閉装置(不図示)を作動させることで蓋体14を開閉させることができるように構成されている。また、制御装置60は、加熱器20と制御信号線で接続されており、各加熱管21の出力を個別に調節することができるように構成されている。また、制御装置60は、移動装置30の駆動源34と制御信号線で接続されており、駆動源34を作動させることで支持ピン31(ひいてはプレート18)の移動方向及び移動量を制御することができるように構成されている。また、制御装置60は、気体供給ユニット40の窒素弁44及びギ酸弁46のそれぞれと個別に制御信号線で接続されており、窒素弁44及びギ酸弁46の開閉を個別に制御することができるように構成されている。また、制御装置60は、排気ユニット50の真空ポンプ52と制御信号線で接続されており、真空ポンプ52の発停を制御することができるように構成されている。また、制御装置60は、排気弁53と制御信号線で接続されており、排気弁53の開閉を個別に制御することができるように構成されている。また、制御装置60は、タイマーを有しており、任意の時間を計測することができるように構成されている。なお、上述した制御信号線は、制御信号をやりとりできる機能の概念を示すものであり、有線及び無線のいずれであってもよい。
【0030】
次に図3を参照して、はんだ接合済基板の製造方法を説明する。はんだ接合済基板は、はんだ接合が行われた基板Wであり、はんだ接合済対象物に相当する。図3は、はんだ接合済基板の製造の手順を示すフローチャートである。以下に説明するはんだ接合済基板の製造方法は、これまで説明してきたリフロー装置1を用いて実行される。以下のリフロー装置1を用いたはんだ接合済基板の製造方法の説明は、リフロー装置1の作用の説明を兼ねている。以下の説明において、リフロー装置1の構成に言及しているときは、適宜図1(A)及び図1(B)を参照することとする。
【0031】
リフロー装置1の停止中は、窒素弁44及びギ酸弁46が閉となっており、また、真空ポンプ52が停止していると共に排気弁53が閉になっている。はんだ接合済基板の製造を開始したら、まず、はんだを有する基板Wを、プレート18の上に載置する(S1)。プレート18への基板Wの載置は、プレート18への基板Wの供給の一形態である。プレート18に基板Wを載置する際、基板Wの図心がプレート18の図心と一致するように載置することが好ましい。ここでいう図心の一致は、厳密な一致を求めるものではなく、後の工程で基板Wを加熱した際にその温度むらが許容範囲となる程度に一致していれば足りる。プレート18に基板Wを載置したら、チャンバー10の蓋体14が閉じられる。蓋体14が閉じられることにより、チャンバー10内の処理空間11が密閉状態となる。
【0032】
次に制御装置60は、真空ポンプ52を起動させると共に、排気弁53と窒素弁44とを交互に開閉させて、処理空間11内の気体を窒素ガスNで置換する(S2)。本実施の形態では、まず排気弁53が開き、処理空間11の圧力が100Pa(絶対圧力)程度に減圧したら排気弁53が閉となる。その後、窒素弁44が開き、処理空間11の内部に窒素ガスNが流入したら窒素弁44が閉となる。これを1回~数回繰り返して処理空間11の内部の気体を窒素ガスNで置換する。
【0033】
次に制御装置60は、移動装置30を作動させ、これによってプレート18が上昇することで、プレート18を第1の加熱位置にセットする(S3)。ここで第1の加熱位置は、プレート18に載置された基板Wの温度を上昇させるときの位置であり、プレート18と加熱器20との距離が比較的長くなる位置である(図2(A)参照)。プレート18が第1の加熱位置にあるときのプレート18と加熱器20との距離が、第1の所定の距離に相当する。加熱管21の任意の点から、赤外線が、ある立体角で放射されるとき、プレート18に当たるその赤外線の面積は、加熱管21とプレート18との距離が長いほど、大きくなる。本実施の形態に係るリフロー装置1の加熱管21は、長手方向の中央部分より両端部分のフィラメント22の巻回密度が高くなっているので、プレート18と加熱器20とを近接させて基板Wの温度を上昇させると、基板Wの端の温度が高くなる温度むらが生じ得る。これは、温度を上昇させるときは比較的短時間で大きな輻射エネルギーが加熱管21から放射されるため、プレート18と加熱器20とが近接していると、輻射エネルギーの差が温度差となって現れるためであると思われる。そこで、本実施の形態に係るリフロー装置1では、昇温時に、プレート18と加熱器20との距離を比較的長くすることで、加熱管21の任意の点から放射された赤外線がプレート18に当たる面積を比較的大きくしている。したがって、プレート18が第1の加熱位置のときは、疎密巻き赤外線ランプヒータである加熱管21の疎密効果が弱まり(図4(A)参照)、プレート18の端部の温度が過度に上昇することが抑制される。つまり、加熱管21から放射されたときの赤外線の強度差は、プレート18に当たったときには緩和され、プレート18ひいては基板Wに温度むらが生じることを抑制することができる。このような観点から、第1の所定の距離は、昇温時のプレート18(ひいては基板W)の温度むらが許容範囲内となるように設定すればよい。
【0034】
プレート18を第1の加熱位置にセットしたら、制御装置60は、加熱器20を作動させ、基板Wの加熱を開始する(S4)。ここでの加熱は、基板Wを還元温度まで加熱することを目標とする。還元温度は、基板Wが有するはんだの融点未満で、かつ、はんだを有する基板Wに存在する酸化物を還元ガスの存在下で還元するのに適した温度であり、第1の所定の温度に相当する。本実施の形態では、還元ガスとしてギ酸ガスFを用いるため、還元温度は、例えば180℃~220℃(典型的には200℃程度)であり、幅があってもよい。この、基板Wの温度を還元温度まで昇温させる工程では、典型的には、複数の加熱管21の出力を同じにしている。これは、昇温時は比較的大きな輻射エネルギーを加熱管21が放出していて、部分的な温度低下が生じるおそれが少なく、大きな温度むらが生じるおそれが少ないためである。本実施の形態では、昇温時の条件で基板Wが還元温度まで到達するのに要する時間をあらかじめ求めておき、あらかじめ求められた時間だけ当該条件で基板Wを加熱することで、基板Wを還元温度に昇温させることとしている。
【0035】
基板Wの温度が還元温度に上昇したら、制御装置60は、移動装置30を作動させ、これによってプレート18が下降することで、プレート18を第2の加熱位置にセットする(S5)。ここで第2の加熱位置は、温度が上昇した基板Wをその温度に維持するときの位置であり、プレート18と加熱器20との距離が比較的短くなる位置である(図2(B)参照)。プレート18が第2の加熱位置にあるときのプレート18と加熱器20との距離が、第2の所定の距離に相当する。温度が上昇した基板Wをその温度に維持する際、フィラメントの巻回密度が一定である通常の加熱管の場合、加熱管の出力を、昇温時の出力から低下させると、プレートの端部の温度が中央部の温度よりも低下してしまう傾向にある。そこで、本実施の形態に係るリフロー装置1では、温度を維持する際に、プレート18の端部に中央部よりも大きな輻射エネルギーを供給するため、プレート18と加熱管21との距離を短くしている。このことにより、フィラメント22が密である加熱管21の両端部分から放射された赤外線は、中央部分まで広がらずにそのまま直上のプレート18の端部に当たり(図4(B)参照)、プレート18の端部に中央部よりも大きな熱エネルギーを与えることができる。
【0036】
プレート18を第2の加熱位置にセットしたら、制御装置60は、加熱管21の出力を低下させて、基板Wの温度を還元温度に維持する(S6)。加熱管21の出力を低下させるのは、昇温時の加熱管21の出力を継続した場合は還元温度を超えて基板Wの温度が上昇してしまうため、これを回避するためである。なお、加熱管21の出力を低下させすぎると基板Wの温度が還元温度を下回って低下してしまうことになる。したがって、ここでの加熱管21の出力は、基板Wの温度を還元温度に維持することができる出力とする。このとき、制御装置60は、本実施の形態では、配列方向に配置された複数の加熱管21に関し、中央に配置された加熱管21よりも両端部に配置された加熱管21の出力を大きくするように調節している。これは、上述のように、温度が上昇した基板Wの温度を所定の温度(本実施の形態では還元温度)に維持するために加熱管21の出力を低下させると、プレート18の端部の温度が中央部の温度よりも低下してしまう傾向にあるため、これを回避するためである。このように、基板Wの温度維持工程の際、加熱管21の長手方向についてはフィラメント22の両端部分の巻回密度が中央部分よりも高い加熱管21を用い、配列方向については両端部ほど加熱管21の出力を大きくすることで、基板Wの温度の平準化を図っている。
【0037】
また、基板Wの温度が還元温度に上昇したら、制御装置60は、排気弁53を開にして、処理空間11の内部の気体を排出する(S7)。このとき、処理空間11の内部の圧力が50Pa~100Pa(絶対圧力)程度に減圧されるようにして、処理空間11の内部の気体を実質的にすべて排出することが好ましい。ここで、処理空間11の内部の気体を実質的にすべて排出するとは、後の工程でギ酸ガスFを処理空間11の内部に流入させたときに処理空間11の内部のギ酸ガスFが所望の濃度になるようにギ酸ガスF以外の物質を排出することを意図している。本実施の形態では、処理空間11の内部の気体を排出するのに要する時間をあらかじめ求めておき、排気弁53を開にしてからあらかじめ決められた時間が経過したら、制御装置60は排気弁53を閉にする。なお、図3に示す例では、プレート18を第2の加熱位置にセットする工程(S5)、加熱管21の出力を低下させて基板Wの温度を還元温度に維持する工程(S6)、処理空間11の内部の気体を排出する工程(S7)の順に行うこととしている。しかしながら、プレート18を第2の加熱位置にセットする工程(S5)、基板Wの温度を還元温度に維持する工程(S6)、及び処理空間11の内部の気体を排出する工程(S7)を同時に行うこととしてもよい。あるいは、これらの工程(S5、S6、S7)を開始する順序を適宜入れ替えてもよい。
【0038】
基板Wの温度を還元温度に維持している間に、制御装置60は、ギ酸弁46を開にして、処理空間11の内部にギ酸ガスFを流入させる(S8)。処理空間11の内部にギ酸ガスFが流入すると、還元温度に加熱された基板Wでは、酸化物の還元が行われる。本実施の形態では、プレート18ひいては基板Wが、全体的に概ね均一な温度に維持されているので、酸化物の還元がむらなく適切に行われることとなる。また、本実施の形態では、酸化物の還元が行われる条件(基板Wの温度、処理空間11内のギ酸ガスF濃度等)で、酸化物の還元が完了するのに要する時間をあらかじめ求めておき、制御装置60はあらかじめ求められた時間の経過で還元の完了を判断している。
【0039】
基板Wの酸化物の還元が完了したら、制御装置60は、排気弁53と窒素弁44とを交互に開閉させて、処理空間11内の気体を窒素ガスNで置換する(S9)。ここでの窒素ガスNによる置換の要領は、前述の窒素ガスNによる置換の工程(S2)と同様である。窒素ガスNによる置換が完了したら、制御装置60は、移動装置30を作動させ、これによってプレート18が上昇することで、プレート18を第1の加熱位置にセットする(S10)。ここでの第1の加熱位置は、前述のプレート18を第1の加熱位置にセットする工程(S3)と同様に、プレート18に載置された基板Wの温度を上昇させるときの位置である(図2(A)参照)。
【0040】
プレート18を第1の加熱位置にセットしたら、制御装置60は、加熱器20の出力を上昇させ、基板Wの昇温を開始する(S11)。ここでの昇温は、はんだの溶融温度まで基板Wを加熱することを目標とする。溶融温度は、基板Wが有するはんだの融点以上の温度であって、はんだ付けに適した温度であり、第2の所定の温度に相当する。本実施の形態では、溶融温度は、例えば230℃~270℃(典型的には250℃程度)であり、幅があってもよい。この、基板Wの温度を溶融温度まで昇温させる工程では、典型的には、複数の加熱管21の出力を同じにしている。本実施の形態では、昇温時の条件で基板Wが溶融温度まで到達するのに要する時間をあらかじめ求めておき、あらかじめ求められた時間だけ当該条件で基板Wを加熱することで、基板Wを溶融温度に昇温させることとしている。基板Wの温度が溶融温度に上昇すると、基板Wが有していたはんだが溶融してはんだ付けが行われる。
【0041】
基板Wのはんだ付けが行われたら、制御装置60は、加熱器20を停止させて、基板Wの加熱を停止する(S12)。加熱器20が停止すると、プレート18ひいては基板Wの温度が低下していく。そして、溶融していたはんだが固化する温度以下に基板Wの温度が低下すると、はんだが固化してはんだ接合済基板が製造される。はんだ接合済基板が製造されたら、任意のタイミングでチャンバー10の蓋体14を開けて、はんだ接合済基板をチャンバー10から取り出す(S13)。これで、はんだ接合済基板の製造が完了する。
【0042】
以上で説明したように、本実施の形態に係るリフロー装置1によれば、以下の作用効果を有する。加熱管21のフィラメント22の巻回密度が、長手方向の中央部分よりも両端部分の方が高くなっているので、中央部分よりも両端部分の方が大きな輻射エネルギーを放出することができ、基板Wの温度維持時の基板Wの温度むらを抑制することができる。また、プレート18の位置を、基板Wの昇温時は第1の加熱位置とし、還元温度に維持するときは加熱器20により近い第2の加熱位置とするので、基板Wの昇温を迅速に行いつつ、還元温度に維持する際の基板Wの温度むらの発生を抑制することができる。
【0043】
以上の説明では、加熱装置の一態様としてリフロー装置1を例示して説明したが、リフロー装置以外の加熱を要する装置に対しても本開示に係る加熱装置を適用することができることはいうまでもない。
【0044】
以上の説明では、支持部材に相当する構成が、基板Wの下面全体を支えるプレート18であるとしたが、基板Wの端辺の全部又は一部を支持する枠体等の治具であってもよく、この場合は加熱器20からの輻射熱が基板Wに直接照射されることとなる。
【0045】
以上の説明では、加熱器20の位置が固定されていてプレート18が加熱器20に対して接近及び離れるように移動する構成であるとした。しかしながら、プレート18の位置が固定されていて加熱器20がプレート18に対して移動するように構成されていてもよく、プレート18及び加熱器20が相互に移動するように構成されていてもよい。
【0046】
以上の説明では、不活性ガスとして窒素ガスNを用いることとしたが、アルゴンガス等の、窒素ガスN以外の不活性ガスを用いてもよい。また、以上の説明では、還元ガスとしてギ酸ガスFを用いることとしたが、水素ガスや、ギ酸以外のカルボン酸のガスを、基板Wの酸化物を還元する還元ガスとして用いることとしてもよい。また、以上の説明では、還元ガス(ギ酸ガスF)を処理空間11に供給する前後に不活性ガス(窒素ガスN)を供給することとしたが、状況に応じて不活性ガスの供給を省略してもよい。この場合、窒素管43及び窒素弁44を設けるには及ばない。
【0047】
以上の説明では、はんだ接合済基板の製造時におけるプロセスの管理を、制御装置60が計測する時間で行うこととした。しかしながら、プレート18の温度を検出する温度計や処理空間11の圧力を検出する圧力計を設け、これらの計器で検出された値に基づいてプロセスの管理を行うこととしてもよい。
【0048】
以上の説明では、本発明の実施の形態に係る加熱装置及びはんだ接合済対象物の製造方法を、一例として主に図1(A)乃至図3を用いて説明したが、各部の構成、構造、数、配置、形状、材質などに関しては、上記具体例に限定されず、当業者が適宜選択的に採用したものも、本発明の要旨を包含する限り、本発明の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0049】
1 リフロー装置
10 チャンバー
11 処理空間
18 プレート(支持部材)
20 加熱器
21 加熱管
22 フィラメント
30 移動装置
40 気体供給ユニット
50 排気ユニット
60 制御装置
W 基板(加熱対象物)
図1
図2
図3
図4