(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024106697
(43)【公開日】2024-08-08
(54)【発明の名称】洗面カウンター及びこれを備えた洗面化粧台
(51)【国際特許分類】
A47K 1/00 20060101AFI20240801BHJP
A47K 1/04 20060101ALI20240801BHJP
【FI】
A47K1/00 M
A47K1/00 F
A47K1/04 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023011097
(22)【出願日】2023-01-27
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 株式会社ハウステック新宿ショールームLafisteでの展示(展示日:令和4年5月27日~現在展示中)
(71)【出願人】
【識別番号】301050924
【氏名又は名称】株式会社ハウステック
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100139686
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 史朗
(74)【代理人】
【識別番号】100196058
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 彰雄
(72)【発明者】
【氏名】三澤 真
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 倫子
(72)【発明者】
【氏名】鴻池 明日香
(57)【要約】
【課題】本発明はボウル部と天板部を有する洗面カウンター及びこれを備えた洗面化粧台の提供を目的とする。
【解決手段】本発明の洗面カウンターは、洗面ボウル部と天板部を一体で成型した洗面カウンターであって、前記洗面ボウル部は、底部に排水口を有する水槽部と、前記水槽部の外周に形成されたフランジ部と、を有し、前記フランジ部の上面から外側に垂下するフランジ外周面と、前記フランジ外周面の下端から連続して外方に延在する前記天板部を有し、前記天板部は略水平に設置される平板状であることを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗面ボウル部と天板部を一体で成型した洗面カウンターであって、
前記洗面ボウル部は、底部に排水口を有する水槽部と、
前記水槽部の外周に形成されたフランジ部と、を有し、
前記フランジ部の上面から外側に垂下するフランジ外周面と、
前記フランジ外周面の下端から連続して外方に延在する前記天板部を有し、
前記天板部は略水平に設置される平板状である
ことを特徴とする洗面カウンター。
【請求項2】
前記フランジ外周面に上窄まり状の外周側テーパー面が形成された
ことを特徴とする請求項1に記載の洗面カウンター。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の洗面カウンターをキャビネットに載置した
ことを特徴とする洗面化粧台。
【請求項4】
板厚方向に貫通する開口部を有する平板状の拡張カウンターが、
前記洗面ボウル部の前記フランジ外周面に前記開口部を嵌めるように、かつ、前記天板部を覆うように上部から被着された
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の洗面カウンター。
【請求項5】
前記洗面カウンターは、前記天板部の一部に、前記拡張カウンターを被せる前に切り取り加工部を有する
ことを特徴とする請求項4に記載の洗面カウンター。
【請求項6】
前記拡張カウンターの前記開口部の内周に上窄まり状の拡張カウンター側テーパー面が形成され、前記フランジ外周面に上窄まり状の外周側テーパー面が形成され、前記拡張カウンターの前記フランジ部への嵌合状態において、前記外周側テーパー面と前記拡張カウンター側テーパー面が対向された
ことを特徴とする請求項4に記載の洗面カウンター。
【請求項7】
前記拡張カウンターの前記開口部の内周に上窄まり状の拡張カウンター側テーパー面が形成され、前記フランジ外周面に上窄まり状の外周側テーパー面が形成され、前記拡張カウンターの前記フランジ部への嵌合状態において、前記外周側テーパー面と前記拡張カウンター側テーパー面が対向された
ことを特徴とする請求項5に記載の洗面カウンター。
【請求項8】
請求項4に記載の洗面カウンターをキャビネットに載置した
ことを特徴とする洗面化粧台。
【請求項9】
請求項5に記載の洗面カウンターをキャビネットに載置した
ことを特徴とする洗面化粧台。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボウル部と天板部を有する洗面カウンター、及びこれを備えた洗面化粧台に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ホテル、マンション、住宅等の洗面化粧台は、脱衣所の一角に設置され、隣に洗濯機を置くスタイルが主流となっている。
この構成として、収納用のキャビネットの上部にボウル部と天板部を有する洗面カウンターを備え、鏡、照明器具などでユニット化されたものが多い。
洗面ボウルは、陶器製、樹脂製等があるが、樹脂製は様々な形状、各種サイズへの対応がしやすく、SMC(Sheet Molding Compound)、BMC(Bulk Molding Compound)等の合成樹脂成型体から構成される。
近年では、洗面ボウルとカウンターを一体成型した構成が主流となっている。
その他、洗面ボウル部分をカウンター上に設置する置き型では、多彩なデザインが存在するボウルを選択し、オリジナリティを有する洗面化粧台に仕上げることができる。
【0003】
特許文献1では、キャビネットと、その上面に取り付けられる合成樹脂等の天板とを備え、該天板の中央部に、シンクを一体的に成型した洗面台の天板取付構造が開示されている。
【0004】
特許文献2では、一つのカウンター用の成形体から幅寸法の異なる複数種類の樹脂製カウンターを形成できる構造が開示されている。該成形体は、表面側に開口する洗面ボールを有する。
【0005】
特許文献3では、洗面ボウルとカウンター本体とがシームレス状態に接続され、接合部分の強度が高く、外観性にも優れた、洗面ボウルカウンターの構造が開示されている。
【0006】
特許文献4では、開口部を有するカウンターと、前記開口部を覆うように前記カウンターの上面に載置される洗面ボウルを有し、前記洗面ボウルは、水受け部と、該水受け部の上端部に前記カウンターの上面に載置されるリム部を有する洗面ユニットの取付構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2010-178817号公報
【特許文献2】特開2005-253599号公報
【特許文献3】特開2007-117657号公報
【特許文献4】特開2022-015653号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に記載の構造では、合成樹脂等の天板と、該天板の中央部のシンクが一体的に成型されているため、洗面台としての奥行方向、幅方向のサイズが限定され、別のサイズを準備するには、天板を成型する金型が必要なので、新たな投資が発生する。また、一体的に成型されているということは、天板とシンクは、同じ材質、色柄となり、キャビネット以外のバリエーションが少ない、という問題があった。
【0009】
特許文献2に記載の構造では、カウンターの裏面に複数のリブを有するため、切断することで幅方向のサイズ対応は可能であるが、対応できるのは金型のサイズまでであり、奥行寸法の変更はできない、といった問題があった。
また、特許文献1と同様でカウンターと洗面ボールが一体の成形体のため、同じ材質、色柄となり、キャビネット以外のバリエーションが少ない、という問題があった。
【0010】
特許文献3に記載の構造では、洗面ボウルとカウンター本体を成形後に一体化するため、洗面ボウルとカウンター本体を異なる材質、色柄にすることが可能であり、多くのバリエーションを準備できるが、各々に金型が必要であった。
また、洗面ボウルとカウンター本体を接合するにも型が必要で、金型や設備への新たな投資が必要であった。接合部分の仕上げも難易度が高く、一体化したバリエーションが多くなることで品種増となり、管理費用の増加も起きるなどの問題点があった。
さらに、この接合方法の場合、洗面ボウルの周囲を立ち上げることはできないという課題もあった。
【0011】
特許文献4に記載の構造では、開口部を有するカウンターに洗面ボウルを載置するため、カウンターと洗面ボウルとを異なる材質、色柄にすることが可能であり、多くのバリエーションを準備できるが、各々に金型が必要であった。
また、洗面ボウルをカウンターの上面に載置する際、嵌合部材があるため、載置しにくいという問題があった。さらに、洗面ボウルの位置決めが困難である、といった問題があった。
【0012】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであって、ボウル部と天板部とが一体成型でありながらも、使い勝手がよく、サイズ・材質・色柄のバリエーションが豊富で、しかも、置き型のように見え意匠性がよい洗面カウンターへの展開も可能な洗面カウンターの提供を目的とする。また、本発明は、前記洗面カウンターを備えた洗面化粧台の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、上述の課題を解決する手段として、以下の構成を有する。
(1)本発明に係る洗面カウンターは、洗面ボウル部と天板部を一体で成型した洗面カウンターであって、前記洗面ボウル部は、底部に排水口を有する水槽部と、前記水槽部の外周に形成されたフランジ部と、を有し、前記フランジ部の上面から外側に垂下するフランジ外周面と、前記フランジ外周面の下端から連続して外方に延在する前記天板部を有し、
前記天板部は略水平に設置される平板状であることを特徴とする。
【0014】
(2)本発明に係る洗面カウンターは、 前記フランジ外周面に上窄まり状の外周側テーパー面が形成されたことを特徴とする。
(3)本発明に係る洗面化粧台は、(1)または(2)に記載の洗面カウンターをキャビネットに載置したことを特徴とする。
【0015】
(4)本発明に係る洗面カウンターは、(1)または(2)に記載の洗面カウンターにおいて、板厚方向に貫通する開口部を有する平板状の拡張カウンターが、前記洗面ボウル部の前記フランジ外周面に前記開口部を嵌めるように、かつ、前記天板部を覆うように上部から被着されたことを特徴とする。
(5)本発明に係る洗面カウンターは、(4)に記載の洗面カウンターの前記天板部の一部に、前記拡張カウンターを被せる前に切り取り加工部を有することを特徴とする。
【0016】
(6)本発明に係る洗面カウンターは、(4)または(5)に記載の洗面カウンターにおいて、前記拡張カウンターの前記開口部内周に上窄まり状の拡張カウンター側テーパー面が形成され、前記フランジ外周面に上窄まり状の外周側テーパー面が形成され、前記拡張カウンターの前記フランジ部への嵌合状態において、前記外周側テーパー面と前記拡張カウンター側テーパー面が対向されたことが好ましい。
(7)本発明に係る洗面化粧台は、(4)~(6)のいずれかに記載の洗面カウンターをキャビネットに載置したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る洗面カウンターによれば、洗面ボウル部とフランジ部と天板部が一体成型のため、成型効率がよく、安価な洗面化粧台にできる。その上、洗面ボウル部の水槽部の外周にフランジ部を有するため、天板部に置いた物が洗面ボウル内に滑り落ちて濡れてしまうおそれがない。
また、本発明によれば、前記一体成型の洗面カウンターに対し、開口部を有する拡張カウンターを上部から被せることで、置き型のように見える洗面化粧台にすることが可能である。
従って、拡張カウンターの材質、色柄は選択肢も多く、洗面カウンターとしてバリエーションが豊富となる。また、洗面カウンターと拡張カウンターの各々を在庫しておけば、一体型にした在庫を持つことなく、注文に合わせてこれらを一体化できるため、管理点数も少なくできる。
【0018】
例えば拡張カウンターのサイズを複数準備することで、各種サイズに対応でき、拡張カウンターの開口位置を変えることで、洗面ボウルの位置も変更でき、1つの拡張カウンターに2つの洗面ボウルを設けることも可能である。
また、拡張カウンターの位置決めは、洗面ボウルとフランジ部に合わせて落し込めばよいので、位置決め作業が容易な特徴を有する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明に係る洗面ボウル部と天板部を一体で成型した洗面カウンターの斜視図であり、(A)は上面側を示す斜視図、(B)は底面側を示す斜視図である。
【
図2】本発明に係る洗面ボウル部に形成されているフランジ部の拡大断面図である。
【
図3】本発明に係る洗面ボウル部一体型の洗面カウンターをキャビネットに載置した洗面化粧台の斜視図である。
【
図4】本発明に係る洗面ボウル部一体型の洗面カウンターにおいて、天板部を部分的に除去した状態を示す斜視図であり、(A)は天板部の切り取り加工部を示す斜視図、(B)は切り取り後のカウンターを示す斜視図である。
【
図5】
図4に示す洗面ボウルに対し開口を有する拡張カウンターを組み合わせる状態を示す斜視図である。
【
図6】
図5に示す洗面ボウルに開口を有する拡張カウンターを被せた状態を示す斜視図である。
【
図7】
図6に示す洗面ボウル及びカウンターを載置する為のキャビネットの斜視図である。
【
図8】
図6示す洗面ボウル及びカウンターを
図7に示すキャビネットに取り付けた状態を示す側断面図である。
【
図9】
図8に示す洗面ボウルとカウンターの開口部の納まり部分を拡大した部分拡大図である。
【
図10】
図6に示す洗面ボウル及びカウンターを
図7に示すキャビネットに取り付けた洗面化粧台の斜視図である。
【
図11】カウンターの開口を増やし、洗面ボウルを複数取り付けた状態の洗面化粧台を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を用いて本発明の第1実施形態に係る洗面カウンター及び洗面化粧台について説明する。
なお、本発明の範囲は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。また、以下の図面においては、各構成をわかりやすくするために、実際の構造と各構造における縮尺や数等を異ならせる場合がある。
【0021】
図1は、本発明の第1実施形態に係る洗面カウンターの斜視図である。
図1(A)は洗面カウンターの上面側を示し、
図1(B)は洗面カウンターの下面側を示している。
本願明細書において、床に設置した洗面化粧台と向き合う使用者から見て手前側を「前方」とし、奥側を「後方」とし、上側を「上方」とし、下側を「下方」とし、右側を「右側方」とし、左側を「左側方」とする。
【0022】
本実施形態の洗面カウンター10は、
図1に示すように、洗面ボウル部1と、天板部2を一体的に成型したものである。洗面カウンター10を構成する材料は、一般的に硬質合成樹脂を使用し、洗面カウンター10はプレス成型型で成型されている。この一体構造により洗面ボウル部1と天板部2を別個に成型した場合と比べて、加工費を抑制することができる。
【0023】
洗面ボウル部1は湯水を貯留する水槽部7を有する。水槽部7は、底部3に排水口4を有し、背面5にオーバーフロー孔6を有する。
図1に示す例において水槽部7は、平面視略矩形状の凹部型に形成され、前方側と後方側に水槽部7の長辺部が配置され、右側方と左側方に水槽部7の短辺部が配置されている。即ち、水槽部7は平面視横長の略矩形状に形成されている。
図2に示す例において、水槽部7の上縁外周には、天板部2に連続する平面視略矩形状のフランジ部8が形成されている。水槽部7の上縁部分は天板部2の上面より一段高く形成されており、水槽部7の上縁外周に連続するフランジ部8の上面部8aから、水槽部7に対して外側に湾曲して垂下するフランジ外周面8bが形成されている。フランジ外周面8bの下端は略水平な天板部2に連続するように一体化されている。天板部2は、フランジ外周面8bの下端部から外方に延在するように平板状に形成されている。水槽部7とフランジ部8を含め、洗面ボウル部1と天板部2は一体成型されている。
【0024】
天板部2の横幅は、水槽部7の横幅より若干大きく、天板部2の奥行きは、水槽部7の奥行きより若干大きい。このため、水槽部7の手前側、奥側、左側、右側には、それぞれ所定の幅で天板部2が延在されている。
【0025】
水槽部7が平面視略矩形状であるため、フランジ外周面8bは水槽部7の前方縁と後方縁と左側縁と右側縁にそれぞれ形成され、それぞれが天板部2に一体化されている。フランジ外周面8bは上窄まり状の外周側テーパー面とされている。水槽部7のコーナー部分は所定の曲率で湾曲されたラウンド形状とされている。
【0026】
なお、水槽部7の形状は平面視略矩形状に限らず、楕円形や卵形などそれぞれ種々のデザイン形状が適用される。
天板部2の前方縁には、天板面(上面)に対して垂下した前垂部9が一体で成型されている。
天板部2の後方縁には、天板面(上面)に対して垂直に立ち上がる後縁部2Aが一体で成型されている。
【0027】
天板部2より高い位置にフランジ部8の上面部8aが存在するので、フランジ部8を設けたことで、天板部2の上面に置いた物が、水槽部7に落ちるおそれがなくなる。また、フランジ部8の全周の外側に天板部2を設けたことでフランジ部8の周囲を物置スペースとして使用できる。
水槽部7、フランジ部8、天板部2は前述した通り、一体成型である為、継目が無く清掃性に優れている。
【0028】
フランジ部8の高さ(天板部2の上面からの高さ)は35~40mm程度、幅は30~40mm程度が望ましい。フランジ部8が高すぎると、成型の際、成型材料がフランジ部8の全体に流れにくくなり、表面にピンホールやカスレなどの外観不良を発生する恐れがある。また、フランジ部8が低すぎると後述の「上から被せる拡張カウンター30」を取り付けた時、拡張カウンター30の板厚でフランジ部8が隠れてしまい、水槽部7内への物の落下を防止し難くなるおそれがある。
【0029】
図3は前記洗面カウンター10と、その下方に位置するキャビネット20を有する洗面化粧台60を示す。
図3に示すキャビネット20は、扉61、62を備えた観音開き扉仕様であるが、引出し仕様やオープン棚仕様でも良い。洗面ボウル部1と天板部2を一体に成型することで、洗面ボウル部1と天板部2を組み立てる必要が無くなり、これによりキャビネット20の組立が容易となる。
【0030】
図4は、前記洗面カウンター10に対し、天板部2の前垂部9と、天板部2の左右両側の水平部分と、天板部2の後方側の水平部分について、それぞれ一部を残し切断し除去した状態の加工済洗面ボウル部11を示す。
一体成型物としての洗面カウンター10に対し、
図4(A)に鎖線で示す部分を切断し除去すると、
図4(B)に示す加工済洗面ボウル部11が得られる。従って、洗面カウンター10において鎖線で示す部分は切り取り加工部10aと称することができる。切り取り加工部10aを除去した後の洗面ボウル部11において、天板部2の左右両側縁側には加工面2aが形成され、天板部2の後方側には加工面2bが形成される。
【0031】
図5に示すように、加工済洗面ボウル部11に対しその上方(上部)から開口部30aを有する平板型の拡張カウンター30を被せることで、
図6に示すように置き型のように見える大型の洗面カウンター31を構成することが可能となる。開口部30aは拡張カウンター30をその板厚方向に貫通するように形成されている。拡張カウンター30は加工済洗面ボウル部11の天板部2を覆う。
前記拡張カウンター30は、メラミンポストフォームなどを使用することができる。なお、拡張カウンター30は、加工済洗面ボウル部11と異なる硬質合成樹脂を使用したプレス成型品や、注入成型品でも良い。
拡張カウンター30の前方縁には拡張カウンター30の上面に対し直角下向きに延在する前垂部30Aが形成されている。
【0032】
本実施形態では、
図5に示すように間口を一つとしているが、拡張カウンター30は間口や奥行きを増やしたり、開口部30aを増やすことで、
図11に示すように加工済洗面ボウル部11の数を増やしたり、開口部30aの位置を変えることで加工済洗面ボウル部11を左右片寄せや中央に配置できるなどの複数のバリエーションも可能となる。
【0033】
図6は、加工済洗面ボウル部11と拡張カウンター30を一体化した一例を示し、
図7はこれらを載置するためのキャビネット40を示す。
図7に示す通り、キャビネット40は左右に側板41を備え、前方に戸当り前板42、後方に背板43を備え、扉46、47を有する。前記戸当り前板42の後方には、洗面カウンター10の天板部2を受けるための受け桟(前部)44と受け桟(後部)45が戸当り前板42と同じ長さで設けられている。受け桟(前部)44と受け桟(後部)45は左右の側板41の上端部より天板部2の板厚と固定用ビス頭の高さ分程度の下方の位置に取り付けられている。
【0034】
図8、
図9に示すように、戸当り前板42と受け桟(前部)44の隙間50は、加工済洗面ボウル部11の天板部2における板厚分程度の寸法とすることが望ましい。そうすることで天板部2の前垂部9をそのまま隙間50に差し込めるようになり、加工済洗面ボウル部11の前後方向の位置決めが容易になる。この場合、さらに、加工済洗面ボウル部11のフランジ部8の外周に連続する天板部2の加工が三方のみとなり、工数を減らすことが可能となる。
【0035】
前記拡張カウンター30において開口部30aの内周面は、
図9に示すように上方から下方に向かって開口寸法を大きくし、上窄まり状の拡張カウンター側テーパー面30bを設ける。テーパー面30bはフランジ外周面8bと対向する。
テーパー面30bを設けることにより、加工済洗面ボウル部11のフランジ外周面8bの傾斜に沿って、拡張カウンター30を案内しながら加工済洗面ボウル部11に対し正確に被せて嵌合状態にすることができる。これにより、加工済洗面ボウル部11のフランジ外周面8bと開口部30aとの間に発生する隙間を小さく抑制することが可能になる。
ここで発生した隙間の処理は、シリコンシール材を塗布するなどの仕上げの他に、隙間形状に合わせた乾式目地を設置するか、パッキン処理を施すか、他の何らかの防水処理を施しても良い。
【0036】
前記受け桟(前部)44と受け桟(後部)45を取り付ける間隔は、加工済洗面ボウル部11の水槽部7が収まり、更に天板部2が受け桟(前部)44と受け桟(後部)45に15mm以上掛かることが望ましい。
15mm以上の幅を有して天板部2が受け桟44の上に載ることにより、設置後、天板部2と受け桟(前部)44と受け桟(後部)45をビス63固定できる。即ち、天板部2において前垂部9の近くに貫通孔を形成しておき、この貫通孔を介しビス63受け桟44に固定することで加工済洗面ボウル部11の正確な位置決めができる。
これにより、拡張カウンター30を上から被せる時、加工済洗面ボウル部11が位置ずれすることを防止できる。
なお、拡張カウンター30を加工済洗面ボウル部11の上から正確な位置に被せると、前垂部30Aが戸当たり前板42の上端に被さる位置に接するので、戸当たり前板42により拡張カウンターを安定支持できる。
【0037】
図10は、
図6に示す洗面カウンター31を
図7に示すキャビネット40に取り付けた洗面化粧台70を示す。この洗面化粧台70は加工済洗面ボウル部11を拡張カウンター30の左よりに設けた構成を有するが、加工済洗面ボウル11を右より、若しくは、中央に設けても良い。
図11は、加工済洗面ボウル部11を2つ取り付けた拡張カウンター32を備えた洗面カウンター33をキャビネット40bに取り付けた洗面化粧台71を示す。拡張カウンター32は先に説明した拡張カウンター30に対し、奥行きは同程度であるが、横幅が1.5倍程度大きい。
【0038】
拡張カウンター32には、加工済洗面ボウル部11を2つ取り付けるための2つの開口部が左右に離間して隣接形成され、各開口部に加工済洗面ボウル部11が嵌合されている。各開口部の形状は先に説明した開口部30aと同様である。
キャビネット40bは、前述のキャビネット40と同様の奥行きを有するが、横幅が1.5倍程度大きい。キャビネット40bには、扉46、47に加えて扉48が開閉自在に設けられている。キャビネット40bにおいて、側板41と背板43と戸当たり前板42と受け桟44、45が設けられている構成はキャビネット40と同様である。
受け桟44、45により加工済洗面ボウル部11を支持する構成も同様であり、受け桟44、45により2つの加工済洗面ボウル部11を支持する点が異なっている。
【0039】
図3に示す洗面化粧台60と
図10に示す洗面化粧台70と
図11に示す洗面化粧台71を製造販売する場合、洗面カウンター10を利用でき、洗面カウンター10から得られる加工済洗面ボウル部11は共通で利用でき、横幅の異なる拡張カウンター30、32を準備しておくことにより対応できる。
従って、それぞれを成型する場合の型の数を最小限に少なくすることができ、拡張カウンターを別途用意することにより対応できる。
【0040】
仮に、天板部と水槽部を一体成型して
図10に示す構成と
図11に示す構成を実現しようとすると、
図10の構成対応の型(左よせ、右よせ、左右対称)と
図11の構成対応の型を合わせて、4つの型を用意する必要がある。しかし、
図1~
図11を基に説明した本実施形態の構成を採用すると、洗面カウンター10を構成するための型を1つ用意しておけば、
図3、
図10、
図11の何れの構成の洗面化粧台60、70、71にも対応できる。
【0041】
以上説明したように、加工済洗面ボウル部11と拡張カウンター30あるいは拡張カウンター32を備えた構成であれば、特許文献1においてキャビネット以外のバリエーションが少ないという課題を解決できる。例えば、加工済洗面ボウル部11と拡張カウンター30を別材料かつ異なる色柄とすることができ、バリーションの多い構成を採用できる。
また、加工済洗面ボウル部11は、
図4に示すように天板部2の左右に加えて奥側も切断し、幅と奥行きの異なる拡張カウンター30を嵌合するので、幅寸法の調整に加え、奥行き寸法の調整も可能となる。従って、特許文献2に記載の構成において課題であった奥行き寸法の変更が可能である上に、加工済洗面ボウル部11と拡張カウンター30を別材料かつ異なる色柄とすることができ、バリーションの多い構成を採用できる。
【0042】
特許文献3、4に記載の技術では、洗面ボウルとカウンター本体を異なる材質、異なる色調にできるが、各々に金型を必要としていた。これに対し、加工済洗面ボウル部11と拡張カウンター30あるいは拡張カウンター32などを利用する構成であれば、加工済洗面ボウル部11を形成するための洗面ボウル部作製用の金型のみで対応できる。
このため、加工済洗面ボウル部11と拡張カウンター30あるいは拡張カウンター32を備えた構成であれば、特許文献1~4に記載の構成で得られる種々の効果を得ると同時に、特許文献1~4に記載の構成の課題を解決できる構成を提供できる。
【符号の説明】
【0043】
1…洗面ボウル部、2…天板部、3…底部、4…排水口、5…背面、6…オーバーフロー孔、7…水槽部、8…フランジ部、8a…上面部、8b…フランジ外周面、9…前垂部、10…洗面カウンター(洗面ボウル一体型)、10a…切り取り加工部、11…加工済洗面ボウル部(天板部加工後)、20…キャビネット、30、32…拡張カウンター、30b…拡張カウンター側テーパー面、31…洗面カウンター(洗面ボウル別体)、40…キャビネット、41…側板、42…戸当り前板、43…背板、44…受け桟(前部)、45…受け桟(後部)、46、47、48…扉、50…隙間、60…洗面化粧台。