(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024106705
(43)【公開日】2024-08-08
(54)【発明の名称】認証システム、決済システム、認証方法、認証装置、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 21/32 20130101AFI20240801BHJP
G06Q 20/40 20120101ALI20240801BHJP
【FI】
G06F21/32
G06Q20/40
【審査請求】未請求
【請求項の数】23
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023011110
(22)【出願日】2023-01-27
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】301063496
【氏名又は名称】東芝デジタルソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】堀田 智之
【テーマコード(参考)】
5L020
5L055
【Fターム(参考)】
5L020AA73
5L055AA73
(57)【要約】
【課題】利便性とプライバシー保護の両立をはかることができる認証システム、決済システム、認証方法、認証装置、及びプログラムを提供する。
【解決手段】実施形態の認証システムは、情報処理装置と、携帯端末と、を持つ。情報処理装置は、施設に設けられ、検出手段により検出された前記施設を利用する利用者の特徴に関する特徴検出情報を取得する特徴検出情報取得部を含む。携帯端末は、前記利用者に対応付けられ、前記利用者の特徴情報を記憶する記憶部を含む。前記情報処理装置または前記携帯端末のうち少なくとも一方は、前記特徴検出情報を前記特徴情報に照合することにより、前記利用者を認証する認証部を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者により利用される施設に設けられ、検出手段により検出された前記利用者の特徴に関する特徴検出情報を取得する特徴検出情報取得部を含む情報処理装置と、
前記利用者に対応付けられ、前記利用者の特徴情報を記憶する記憶部を含む携帯端末と、を備え、
前記情報処理装置または前記携帯端末のうち少なくとも一方は、前記特徴検出情報を前記特徴情報に照合することにより、前記利用者を認証する認証部を備える、
認証システム。
【請求項2】
前記情報処理装置に対する前記利用者の位置を特定する特定手段を更に備え、
前記特徴検出情報取得部は、前記利用者の位置が前記情報処理装置から一定範囲内にあるときに、前記特徴検出情報を取得する、
請求項1に記載の認証システム。
【請求項3】
前記検出手段は、
前記情報処理装置の周囲における前記利用者の顔を含む撮像した画像を画像処理することにより、前記特徴検出情報を検出する、
請求項2に記載の認証システム。
【請求項4】
前記情報処理装置または前記携帯端末のうち少なくとも一方は、前記利用者が前記情報処理装置を利用する意思を確認する意思確認部、を更に備える、
請求項3に記載の認証システム。
【請求項5】
前記意思確認部は、前記利用者の意思表示行動に基づいて、前記意思を確認する、
請求項4に記載の認証システム。
【請求項6】
前記意思確認部は、前記意思を確認する際に、前記利用者を含む画像を表示装置に表示させ、
前記意思表示行動は、前記表示装置に表示された画像を前記利用者が一定時間見る行動を含む、
請求項5に記載の認証システム。
【請求項7】
前記情報処理装置は、第1信号データを送信する第1送信部を備え、
前記携帯端末は、前記第1送信部が送信した前記第1信号データを受信する第2受信部を備え、
前記特定手段は、前記第2受信部が受信した前記第1信号データに基づいて、前記利用者の位置を特定する、
請求項2に記載の認証システム。
【請求項8】
前記携帯端末は、第2信号データを送信する第2送信部を備え、
前記情報処理装置は、前記第2送信部が送信した前記第2信号データを受信する第1受信部を備え、
前記特定手段は、前記第1受信部が受信した前記第2信号データに基づいて、前記利用者の位置を特定する、
請求項2に記載の認証システム。
【請求項9】
前記携帯端末は、前記認証部と、
前記第2送信部は、前記認証部による認証結果を前記情報処理装置に送信する、
請求項8に記載の認証システム。
【請求項10】
前記認証部は、前記特徴検出情報の送信を前記情報処理装置に要求し、
前記情報処理装置は、前記認証部の要求に応じて、前記特徴検出情報を前記携帯端末に送信する第1送信部を備える、
請求項9に記載の認証システム。
【請求項11】
前記認証部は、前記認証部による要求が開始された後、要求継続時間が経過したときに、前記第1送信部により送信される前記特徴検出情報を受信していない場合に、前記特徴検出情報の送信の要求を中止する、
請求項10に記載の認証システム。
【請求項12】
前記情報処理装置は、前記認証部を備え、
第2送信部は、前記特徴情報を前記情報処理装置に送信する、
請求項8に記載の認証システム。
【請求項13】
前記情報処理装置を含む認証装置を更に備え、
前記認証装置または前記携帯端末の一方は、自身に割り当てられている識別データを送信する信号送信部を備え、
前記認証装置または前記携帯端末の他方は、前記自身に割り当てられている識別データを受信する信号受信部を備え、
前記信号受信部により受信された前記識別データに基づいて、前記認証装置と前記携帯端末を紐付ける紐付け部、を更に備える、
請求項1に記載の認証システム。
【請求項14】
前記情報処理装置を含む認証装置を更に備え、
前記認証装置は前記検出手段を含み、
前記検出手段は、前記認証装置の周囲の利用者を撮像するカメラと、
前記カメラにより撮像された画像を画像処理して前記利用者の特徴を特定する画像処理部と、を含む、
請求項1に記載の認証システム。
【請求項15】
請求項1に記載の認証システムを含み、
前記情報処理装置を含み、前記携帯端末との間の通信を使用して、前記利用者が購入する商品の決済に使用する決済処理装置を更に備え、
前記決済処理装置は、複数の決済方法の中から選択された選択済決済方法により決済可能であり、
前記携帯端末は、前記選択済決済方法を決定する決済方法決定部を更に備える、
決済システム。
【請求項16】
前記決済方法決定部は、予め設定された既定決済方法を前記選択済決済方法に決定する、
請求項15に記載の決済システム。
【請求項17】
前記携帯端末は、前記既定決済方法を記憶する記憶部を更に備える、
請求項16に記載の決済システム。
【請求項18】
検出手段により検出された利用者の特徴に関する特徴検出情報を、施設に設けられた情報処理装置により取得し、
前記利用者に携帯される携帯端末の記憶部に記憶された前記利用者の特徴情報、または外部装置の記憶部に記憶され、前記携帯端末を介して取得された前記利用者の特徴情報に前記特徴検出情報を照合することにより、前記利用者を認証する、
認証方法。
【請求項19】
利用者により利用される施設に設けられ、検出手段により検出された前記利用者の特徴に関する特徴検出情報を取得する特徴検出情報取得部を含む情報処理装置と、
前記利用者に対応付けられた携帯端末と、を備え、
前記情報処理装置または前記携帯端末のうち少なくとも一方は、前記携帯端末が備える記憶部に記憶された特徴情報、または外部装置の記憶部に記憶され、前記携帯端末を介して取得された前記特徴情報に前記特徴検出情報を照合することにより、前記利用者を認証する認証部を備える、
認証システム。
【請求項20】
請求項9に記載の認証システムにおける情報処理装置を含み、
前記携帯端末により送信される認証結果を受信する第1受信部を更に備える、
認証装置。
【請求項21】
請求項12に記載の認証システムにおける情報処理装置を含み、
前記携帯端末により送信される特徴情報を受信する第1受信部を更に備える、
認証装置。
【請求項22】
請求項9に記載の認証システムにおける情報処理装置を含み、
前記利用者を撮像し、撮像した画像を前記情報処理装置に送信するカメラを備える、
認証装置。
【請求項23】
利用者により利用される施設に設けられた情報処理装置に、
検出手段により検出された前記利用者の特徴に関する特徴検出情報を取得させ、
前記利用者に対応付けられ、前記利用者の特徴情報を記憶する記憶部を含む携帯端末により送信される前記利用者の特徴情報に前記特徴検出情報を照合することにより、前記利用者を認証させる、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、認証システム、決済システム、認証方法、認証装置、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、決済を行う際の認証手段として、顔画像を利用した顔認証が行われることがある。顔認証は、その利便性から、中国を筆頭に普及し、すでに日本国内においても実用化されつつある。その一方、顔認証に利用される顔画像は、一度流出すると変更が難しく、流出したときに悪用される懸念があることから、例えば、欧米では顔認証に対する規制が強化される方向に進んでいる。このように、顔認証の利用に対しては、利便性とプライバシー保護との関係でコンフリクトが生じている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2018/116537号
【特許文献2】特開2016-126749号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、利便性とプライバシー保護の両立をはかることができる認証システム、決済システム、認証方法、認証装置、及びプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の認証システムは、情報処理装置と、携帯端末と、を持つ。情報処理装置は、施設に設けられ、検出手段により検出された前記施設を利用する利用者の特徴に関する特徴検出情報を取得する特徴検出情報取得部を含む。携帯端末は、前記利用者に対応付けられ、前記利用者の特徴情報を記憶する記憶部を含む。前記情報処理装置または前記携帯端末のうち少なくとも一方は、前記特徴検出情報を前記特徴情報に照合することにより、前記利用者を認証する認証部を備える。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】実施形態に係る決済管理システムの一例を示す図。
【
図2】実施形態に係る決済処理装置を使用して商品の決済が実行される場面の一例を示す図。
【
図3】正面から見たタブレット40の一例を示す図。
【
図4】実施形態に係る決済処理装置を使用して商品の決済が実行される場面の一例を示す図。
【
図5】実施形態に係る決済処理装置を使用して商品の決済が実行される場面の一例を示す図。
【
図6】実施形態に係る決済処理装置を使用して商品の決済が実行される場面の一例を示す図。
【
図7】実施形態に係る決済処理装置のハードウェア構成の一例を示す図。
【
図8】実施形態に係る携帯端末のハードウェア構成の一例を示す図。
【
図9】実施形態に係る決済管理装置のハードウェア構成の一例を示す図。
【
図10】実施形態に係る決済処理装置の機能的な構成の一例を示す図。
【
図11】実施形態に係る携帯端末の機能的な構成の一例を示す図。
【
図12】実施形態に係る決済管理装置の機能的な構成の一例を示す図。
【
図13】実施形態に係る決済処理装置決定部が対象決済処理装置を決定する処理の一例を説明するための図。
【
図14】実施形態に係る決済処理装置決定部が対象決済処理装置を決定する処理の一例を説明するための図。
【
図15】実施形態に係る決済処理装置決定部が対象決済処理装置を決定する処理の一例を説明するための図。
【
図16】実施形態に係る決済処理装置決定部が対象決済処理装置を決定する処理の一例を説明するための図。
【
図17】実施形態に係る決済処理装置決定部が対象決済処理装置を決定する処理の一例を説明するための図。
【
図18】実施形態に係る決済処理装置決定部が対象決済処理装置を決定する処理の一例を説明するための図。
【
図19】実施形態に係る利用者が歩行する経路の一例を示す図。
【
図20】実施形態に係る決済処理装置決定部が対象決済処理装置を決定する処理の一例を説明するための図。
【
図21】実施形態に係る決済処理装置決定部が対象決済処理装置を決定する処理の一例を説明するための図。
【
図22】実施形態に係る決済処理装置決定部が対象決済処理装置を決定する処理の一例を説明するための図。
【
図23】実施形態に係る携帯端末により本来の決済と異なる別決済が実行された後、送受信電波強度が減少していないと判定された場合に決済管理システムが実行する処理の一例を説明するための図。
【
図24】実施形態に係る決済管理システムが決済の際に実行する処理の一例を示すシーケンス図。
【
図25】実施形態に係る決済処理装置及び携帯端末が実行する認証処理の一例を示すシーケンス図。
【
図26】実施形態に係る決済処理装置を使用して商品の決済が実行される場面の一例を示す図。
【
図27】決済処理装置において実行される利用者の商品購入意思を確認する処理の一例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施形態の認証システム、決済システム、認証方法、認証装置、及びプログラムを、図面を参照して説明する。
【0008】
図1を参照しながら実施形態に係る決済管理システムの全体的な構成について説明する。
図1は、実施形態に係る決済管理システムの一例を示す図である。
図1に示すように、決済管理システム1は、決済処理装置10-1、…及び決済処理装置10-k(k:1以上の整数)と、携帯端末20と、決済管理装置30とを備える。決済管理システム1は、決済システムの一例である。
【0009】
決済処理装置10-1、…及び決済処理装置10-k各々と決済管理装置30とは、ネットワークNAにより互いに通信可能な態様で接続されている。携帯端末20と決済管理装置30とは、ネットワークNBにより互いに通信可能な態様で接続されている。ネットワークNA及びネットワークNBは、例えば、イントラネット、ローカルエリアネットワーク(LAN:Local Area Network)、無線LANなどであり、一定水準以上の情報セキュリティが施されていることが好ましい。
【0010】
決済処理装置10-1、…及び決済処理装置10-kは、例えば、商品の販売者が決済を実行するために使用される候補となるPOS(Point of sale)レジスタ又はタブレットである。ここで言う決済は、商品の代金を支払うために決済管理システム1により実行される処理であり、ポイント支払いを含む処理であってもよい。
【0011】
ここで言うポイントは、例えば、電子決済、クレジットカード等のポイント、コンビニエンスストア等の小売店独自のポイント、小売店等に来店するだけで付与されるポイントが含まれる。また、決済処理装置10-1、…及び決済処理装置10-k各々は、自身に固有の識別コードを示す識別データ及び自身が提供する決済の方法を示す提供決済方法データを他の機器に伝達する信号を信号送信器により送信し続ける。この信号は、例えば、電波、音波である。
【0012】
携帯端末20は、利用者が携帯しているバッグ、利用者が身に着けている衣服のポケット等に収納されているスマートフォン、タブレット等の携帯端末である。携帯端末20は、利用者に対応付けられている。携帯端末20に対応付けられた利用者は、例えば、携帯端末20を所有する者であり、通常、利用者は、対応付けられた携帯端末20を所持する。携帯端末20は、対応付けられた利用者に関連する情報、例えば、利用者の氏名、年齢、職業、利用者ごとに付与された利用者ID、利用者の身体的特徴などの情報(以下、特徴情報)を記憶する。ここでの身体的特徴とは、例えば、指紋、虹彩、静脈、顔画像、顔画像より抽出される特徴(以下、顔特徴)などの利用者個人を特定するための情報が含まれる。
【0013】
携帯端末20は、決済処理装置10が送信する信号を受信する信号受信器を備える。携帯端末20には、決済処理装置10に信号を送信する信号送信器が設けられ、決済処理装置10には、携帯端末20の信号送信器により送信される信号を受信する信号受信器が設けられる。決済処理装置10及び携帯端末20は、受信した信号を決済管理装置30に適宜送信して提供する。決済管理装置30は、例えば、サーバである。
【0014】
以下の説明では、決済管理装置30が決済処理装置10-1、…、決済処理装置10-k及び携帯端末20から独立している場合を例に挙げて説明するが、決済管理装置30の一部または全部は、決済処理装置10-1、…または決済処理装置10-kに含まれていてもよいし、携帯端末20に含まれていてもよい。例えば、後に説明する決済管理装置30に含まれる決済処理装置決定部302が携帯端末20に設けられていてもよい。この場合、決済処理装置決定部302が利用するデータは、携帯端末20に提供されてよい。
【0015】
図2は、実施形態に係る決済処理装置を使用して商品の決済が実行される場面の一例を示す図である。決済処理装置10は、タブレット40と、筐体部50と、ホルダ60を備える。筐体部50は、例えば、店舗等の施設に設けられたカウンタT上に設置される。筐体部50には、ホルダ60が取り付けられている。
【0016】
タブレット40は、ホルダ60に収容可能である。筐体部50のホルダ60が設けられた側と反対側には、不図示のコードリーダ、タッチパネル、キーボード(テンキー)、マウス、トラックボールなどの入力インターフェースが設けられている。
【0017】
このうち、コードリーダは、例えば、商品に付されているバーコードやQRコード(登録商標)などの二次元コードを読み取る処理(以下、商品の登録処理)に利用する入力インターフェースである。店舗においては、例えば、販売者がカウンタTを挟んで筐体部50側に位置し、利用者Cがタブレット40側に位置する。
【0018】
決済処理装置10は、有人POSレジであってもよいし、無人POSレジであってもよい。有人POSレジである決済処理装置10では、例えば、カウンタTの近傍で商品の登録処理や決済処理等を実行する。無人POSレジである決済処理装置10では、例えば、利用者Cが自ら商品の登録処理や商品の購入に対する決済の処理(以下、決済処理)等を実行する。
【0019】
タブレット40は、ホルダ60から取り外し可能である。販売者は、ホルダ60からタブレット40を取り外して店舗内を持ち歩くことができる、販売者は、例えば、カウンタTから離れた位置で利用者Cと向き合い、タブレット40を操作して、商品の登録処理や決済処理等を実行することもできる。
【0020】
図3は、正面から見たタブレット40の一例を示す図である。タブレット40は、例えば、タブレット筐体40Aと、タッチパネル41と、カメラ42と、第1信号送信器43と、第1信号受信器44と、を備える。タブレット筐体40Aは、例えば、正面が開口している枠体を含む。タブレット筐体40Aの開口部分からタッチパネル41が露出している。
【0021】
タッチパネル41は、ディスプレイと、入力インターフェースとの機能を備える。タッチパネル41は、GUI(Graphical User Interface)などの種々の情報を表示する。タッチパネル41は、情報が入力可能となる入力インターフェースである。例えば、利用者Cや販売者は、タッチパネル41に表示されるGUIを操作することにより、種々の情報入力可能である。タブレット40は、タッチパネル41以外にも、マイクやスピーカなどの入出力装置を備える。
【0022】
カメラ42は、光学カメラである。カメラ42は、周囲における利用者Cの顔を含む画像、例えば、タブレット40の正面に利用者が位置する際のタブレット40の正面の風景を撮像する。カメラ42は、撮像範囲が、決済処理装置10を利用して決済を行う利用者Cの顔を含む位置に配置される。例えば、タブレット40の前に利用者Cが位置するときには、カメラ42は、利用者Cの顔を含む画像を撮像する。カメラ42は、二次元コードに向けたときに、これらの二次元コードを撮像する。
【0023】
第1信号送信器43は、電気通信技術を利用した情報通信を利用して信号を送信する送信器である。第1信号受信器44は、電気通信技術を利用した情報通信を利用して送信される信号を受信する受信器である。電気通信技術を利用した情報通信としては、例えば、UWB(Ultra Wide Band)、Bluetooth(登録商標)、Wifi、NFC(Near Field Communication)などが挙げられる。
【0024】
実施形態において、決済処理装置10は、筐体部50のホルダ60から取り外し可能なタブレット40を備えて構成されているが、決済処理装置10他の態様であってもよい。決済処理装置10は、例えば、取り外し可能なタブレットが設けられておらず、カウンタTに設置されたままであるものでもよい。決済処理装置10は、タブレットのみにより構成されていてもよい。
【0025】
次に、
図2及び
図4から
図6を参照しながら実施形態に係る端末及び決済管理装置の使用例について説明する。
図2及び
図4から
図6に示す使用例においては、携帯端末20はスマートフォンであり、決済処理装置10は無人POSレジである。決済処理装置10において、タブレット40は、カウンタTにおいて、ホルダ60に収容されている。
【0026】
(決済処理装置決定ステップ)
例えば、
図2に示すように、携帯端末20を携帯している利用者Cがレジに近づくと、
図4に示すように、決済処理装置10及び携帯端末20は、互いに信号を送受信し、得られたデータを決済管理装置30に提供する。決済処理装置10及び携帯端末20が提供するデータの内容については、後に詳述する。決済管理装置30は、決済処理装置10及び携帯端末20により提供されたデータに基づいて、携帯端末20が決済処理装置10に近づくことを検出し、携帯端末20が近づく決済処理装置10を、利用者が購入する商品の決済に使用する決済処理装置(以下、対象決済処理装置)として決定する。
【0027】
決済管理装置30は、
図1に示す決済処理装置10-1の近くに他の決済処理装置10-2が配置されている場合に、決済処理装置10-1および決済処理装置10-2から受信した信号の強度等に基づいて対象決済処理装置を決定する。決済管理装置30は、例えば、携帯端末20が受信した信号の強度が、決済処理装置10-2から送信された信号の強度よりも決済処理装置10-1から送信された信号の強度よりも強い場合に、決済処理装置10-2を対象決済処理装置に決定する。
【0028】
(決済方法選択ステップ)
携帯端末20は、決定された決済処理装置10から固有の識別コードを示す決済処理装置識別データや決済処理装置10で利用可能な決済方法を示す決済方法データ等を取得する。携帯端末20は、利用可能決済方法データにより示される決済方法の中から、割引率やポイント還元率等の要素を考慮して、利用者Cにとって最適な決済方法を選択して決定する。
【0029】
決済方法には、例えば、現金、クレジットカード、ICカード、二次元コードによる決済方法が含まれる。さらに、クレジットカード、ICカード、二次元コードによる決済方法には、それぞれ複数の決済提供者によりそれぞれ提供される複数種類の決済方法が含まれる。決済処理装置10は、複数の決済方法の中から選択された選択済決済方法により決済可能である。
【0030】
携帯端末20では、決済方法を予め設定して記憶しておくことが可能である。携帯端末20は、予め設定された決済方法(以下、既定決済方法)が設定されている場合には、設定された決済方法を選択して決定する。携帯端末20は、決済処理装置識別データと決定された決済方法等を決済管理装置30に提供する。
【0031】
(決済内容生成ステップ)
利用者Cまたは販売者は、例えば、商品に付されている二次元コードをコードリーダにより決済処理装置10に読み取らせる。決済処理装置10は、利用者Cが購入する商品の決済の内容を示す決済内容データを生成し、決済内容データを決済管理装置30に提供する。
【0032】
(紐付けステップ)
決済管理装置30は、決済処理装置決定ステップで決定した対象決済処理装置である決済処理装置10-1を携帯端末20と紐付ける。また、決済管理装置30は、決済内容データにより示される決済と使用される決済方法とを、紐付けされた対象決済処理装置及び携帯端末20に対してさらに紐付ける。
【0033】
(認証ステップ)
決済処理装置10及び携帯端末20は、商品を購入しようとしている者(以下、対象者)が利用者Cであることを認証する。決済処理装置10は、例えば、
図5に示すように、タブレット40におけるカメラ42によりタブレット40の前に存在する対象者を撮像する。決済処理装置10は、対象者の顔及び顔の特徴(以下、顔特徴)を抽出する。決済処理装置10は、抽出した対象者の顔特徴を含む情報(以下、特徴検出情報)を生成して携帯端末20に送信する。携帯端末20は、利用者Cの顔特徴情報を予め記憶している。携帯端末20は、受信した特徴検出情報を記憶している特徴情報に照合し、両者に含まれる顔特徴を比較することで利用者Cを認証する。
【0034】
(購入意思確認ステップ)
決済処理装置10は、商品を購入する意思(以下、商品購入意思)の有無を利用者Cに確認する処理を実行する。例えば、
図6に示すように、決済処理装置10は、利用者Cの顔画像をタブレット40におけるタッチパネル41に表示する。決済処理装置10は、タッチパネル41に利用者Cの顔画像を表示されている一定時間の間に、利用者Cが決済処理装置10の前に一定時間滞在した場合に、利用者Cに商品購入意思があると判定する。一定時間はどのような時間としてもよい。一定時間は、例えば、1秒でもよいし、2秒や3秒でもよい。一定時間は、固定された時間でもよいし、変更可能な時間でもよい。
【0035】
(決済ステップ)
決済管理装置30は、決済を決済処理装置10に実行させる。これに応じて、決済処理装置10-1は、利用者Cが購入する商品の決済を実行する。また、携帯端末20は、当該決済が完了した後、
図3に示すように、携帯端末20に搭載されているスピーカから「決済が完了しました。」という音声を出力させる。携帯端末20は、スピーカから出力される音声により決済の完了を利用者Cに報告する。スピーカを含む入出力装置25は、完了報告部の一例である。携帯端末20は、商品の決済が完了した後に、電子レシートを発行してもよい。
【0036】
上述した一例では、決済管理装置30は、携帯端末20と決済処理装置10とが近付いていることを検出することで対象決済処理装置を決定する。そのため、例えば、キャッシュレス決済における携帯端末20と決済処理装置10とを紐付けるコード読み取り作業などの煩雑な処理が不要となる。利用者Cは、携帯端末20をカバンやポケットに入れたままの状態で決済を行うことができる。
【0037】
上述した一例では、利用者と店舗側での非動作認証および非接触決済を行うことが可能になり、ソーシャルディスタンスを確保した商品購入が容易に可能になる。さらに、本仕組み導入により収集した購買情報や登録された利用者情報を活用し、例えば、店舗側が販売したい商品情報などのプッシュ型で広告の提示を行い、その結果、利用者による当該商品の購入がなされると広告効果の測定が可能となる。これらの情報は広告戦略、取扱商品計画などのマーケティング活動への応用が可能である。
【0038】
続いて、
図7を参照しながら実施形態に係る決済処理装置のハードウェア構成について説明する。
図7は、実施形態に係る決済処理装置のハードウェア構成の一例を示す図である。決済処理装置10におけるタブレット40は、例えば、上述したタッチパネル41、カメラ42、第1信号送信器43、及び第1信号受信器44のほか、プロセッサ45と、主記憶装置46と、通信インターフェース47と、補助記憶装置48と、バス49と、タブレット筐体40Aと、タブレット筐体40Aに設けられた第1コネクタ40Bと、を備える。
【0039】
筐体部50は、例えば、筐体50Aと、プロセッサ51と、主記憶装置52と、入出力装置53と、通信インターフェース54と、補助記憶装置55と、を備える。ホルダ60は、例えば、タブレット40を収容するタブレット本体60Aと、タブレット本体60Aに設けられた第2コネクタ61とを備える。第2コネクタ61は、例えば雄型コネクタである。
【0040】
プロセッサ45は、例えばCPU(Central Processing Unit)であり、決済処理装置制御プログラムを読み出して実行し、決済処理装置10が有する商品登録、決済、認証、意思確認等の各機能を実現させる。プロセッサ45は、決済処理装置制御プログラムや以外のプログラムを読み出して実行し、決済処理装置10が有する各機能を実現させる上での必要な機能を実現させてもよい。
【0041】
主記憶装置46は、例えば、RAM(Random Access Memory)であり、プロセッサ45により読み出されて実行される決済処理装置制御プログラム、その他プログラムを予め記憶している。主記憶装置46は、例えば、プロセッサ45の読み出しに応じて、記憶している決済処理装置制御プログラムをプロセッサ45に提供する。
【0042】
通信インターフェース47は、ネットワークNBその他ネットワークを介して携帯端末20及び決済管理装置30等と通信を実行するためのインターフェース回路である。補助記憶装置48は、例えば、ハードディスクドライブ(HDD:Hard Disk Drive)、ソリッドステートドライブ(SSD:Solid State Drive)、フラッシュメモリ(Flash Memory)、ROM(Read Only Memory)である。
【0043】
バス49は、タッチパネル41、カメラ42、第1信号送信器43、第1信号受信器44、プロセッサ45、主記憶装置46、通信インターフェース47、補助記憶装置48、及び第1コネクタ40Bを互いにデータの送受信が可能なように接続している。タブレット筐体40Aに設けられた第1コネクタ40Bは、例えば雌型コネクタである。第1コネクタ40Bは、ホルダ60に設けられた第2コネクタ61と接合可能である。第1コネクタ40Bが雄型コネクタであり、第2コネクタ61が雌型コネクタでもよい。
【0044】
続いて、
図8を参照しながら実施形態に係る携帯端末のハードウェア構成について説明する。
図8は、実施形態に係る端末のハードウェア構成の一例を示す図である。携帯端末20は、例えば、プロセッサ21と、主記憶装置22と、通信インターフェース23と、補助記憶装置24と、入出力装置25と、センサ26と、第2信号送信器27と、第2信号受信器28と、バス29と、を備える。
【0045】
プロセッサ21は、例えば、CPUであり、端末制御プログラムを読み出して実行し、携帯端末20が有する各機能を実現させる。端末制御プログラムは、商品を購入した際の決済に利用するアプリケーションプログラム(決済アプリ)及び利用者Cを認証する認証プログラム(認証アプリ)を含む。携帯端末20には、決済アプリ及び認証アプリがインストールされている。また、プロセッサ21は、端末制御プログラム以外のプログラムを読み出して実行し、携帯端末20が有する各機能を実現させる上で必要な機能を実現させてもよい。
【0046】
主記憶装置22は、例えば、RAMである。主記憶装置22は、プロセッサ21により読み出されて実行される端末制御プログラムその他プログラムを予め記憶している。主記憶装置22は、例えば、プロセッサ21の読み出しに応じて、記憶している端末制御プログラムをプロセッサ21に提供する。
【0047】
通信インターフェース23は、ネットワークNBその他ネットワークを介して決済処理装置10-1、…及び決済処理装置10-k、決済管理装置30等と通信を実行するためのインターフェース回路である。通信インターフェース23は、例えば、NIC(Network Interface Card)等の通信インターフェースを含む。
【0048】
補助記憶装置24は、例えば、ハードディスクドライブ、ソリッドステートドライブ、フラッシュメモリ(Flash Memory)、ROMである。入出力装置25は、例えば、タッチパネルディスプレイ、マイク、スピーカなどを含む。補助記憶装置24は、例えば、携帯端末20に紐付けられた利用者の特徴情報及び携帯端末20による既定決済方法を記憶する。
【0049】
センサ26は、例えば、角速度センサ及び加速度センサの少なくとも一方を含む。センサ26、携帯端末20の状態を通じて携帯端末20を所持する利用者Cの状態を検出する。角速度センサは、利用者Cが移動する際の角速度を検出する。加速度センサは、利用者Cが移動する際の加速度を検出する。
【0050】
第2信号送信器27は、電気通信技術を利用した情報通信を利用して信号を送信する送信器である。第2信号受信器28は、電気通信技術を利用した情報通信を利用して送信される信号を受信する受信器である。電気通信技術を利用した情報通信としては、例えば、UWB、Bluetooth(登録商標)、Wifi、NFCなどが挙げられる。バス29は、プロセッサ21、主記憶装置22、通信インターフェース23、補助記憶装置24、入出力装置25、センサ26、第2信号送信器27、及び第2信号受信器28を互いにデータの送受信が可能なように接続している。
【0051】
次に、
図9を参照しながら実施形態に係る決済管理装置のハードウェア構成について説明する。
図9は、実施形態に係る決済管理装置のハードウェア構成の一例を示す図である。決済管理装置30は、例えば、プロセッサ31と、主記憶装置32と、通信インターフェース33と、補助記憶装置34と、入出力装置35と、バス37とを備える。
【0052】
プロセッサ31は、例えば、CPUであり、決済管理プログラムを読み出して実行し、決済管理装置30が有する各機能を実現させる。また、プロセッサ31は、決済管理プログラム以外のプログラムを読み出して実行し、決済管理装置30が有する各機能を実現させる上で必要な機能を実現させてもよい。主記憶装置32は、例えば、RAMであり、プロセッサ31により読み出されて実行される決済管理プログラムその他プログラムを予め記憶している。
【0053】
通信インターフェース33は、ネットワークNA、ネットワークNBその他ネットワークを介して決済処理装置10-1、…、決済処理装置10-k、携帯端末20等と通信を実行するためのインターフェース回路である。補助記憶装置34は、例えば、ハードディスクドライブ、ソリッドステートドライブ、フラッシュメモリ、ROMである。
【0054】
入出力装置35は、例えば、タッチパネルディスプレイである。バス37は、プロセッサ31、主記憶装置32、通信インターフェース33、補助記憶装置34及び入出力装置35を互いにデータの送受信が可能なように接続している。
【0055】
図10は、実施形態に係る決済処理装置の機能的な構成の一例を示す図である。決済処理装置10は、例えば、第1信号送信部101と、第1信号受信部102と、画像処理部103と、特徴検出情報取得部104と、特徴検出情報送信部105と、認証結果処理部106と、データ提供部107と、意思確認部108と、決済実行部109とを備える。
【0056】
第1信号送信部101、第1信号受信部102、画像処理部103、特徴検出情報取得部104、特徴検出情報送信部105、認証結果処理部106、データ提供部107、意思確認部108、及び決済実行部109は、例えば、タブレット40のプロセッサ45に設けられているが、筐体部50のプロセッサ51に設けられていてもよい。または、これらの一部がタブレット40のプロセッサ45に設けられ、他の一部が筐体部50のプロセッサ51に設けられてもよい。
【0057】
情報処理装置は、例えば、決済処理装置10が備える機能のうち、画像処理部103及び意思確認部108の機能を備える。認証装置は、例えば、情報処理装置が備える機能を含み、決済処理装置10が備える機能の全てを備える。情報処理装置の機能は、決済管理装置30に設けられていてもよい。決済処理装置10は、情報処理装置を含み、携帯端末20との間の通信を使用して、利用者Cが購入する商品の決済に使用する装置である。
【0058】
決済処理装置10-1、決済処理装置10-2、…及び決済処理装置10-kも同様の機能的な構成を備える。以下の説明では、適宜、決済処理装置10の例として決済処理装置10-1を挙げて説明するが、決済処理装置10-2、…及び決済処理装置10-kについても同様である。
【0059】
第1信号送信部101は、第1信号データを含む信号(以下、第1信号)を第1信号送信器43に送信させる。第1信号データは、決済処理装置識別データ、利用可能決済方法データ、特徴検出情報などのデータを含む。第1信号送信部101は、例えば、携帯端末20の要求に応じて、特徴検出情報を携帯端末20に送信する。第1信号送信部101は、第1送信部の一例である。
【0060】
決済処理装置識別データは、決済処理装置10-1、決済処理装置10-2、…の決済処理装置10に割り当てられている固有の識別コードを示すデータである。利用可能決済方法データは、決済処理装置10自身で利用可能な決済方法を示すデータである。第1信号送信部101は、第1信号データを含む信号を、周囲に一定間隔、例えば数百msから数msの間隔をおいて常に第1信号送信器43に送信させ続ける。
【0061】
第1信号受信部102は、携帯端末20により送信され第1信号受信器44により受信された第2信号データを含む信号(以下、第2信号)を取得する。第2信号データは、端末識別データ含む。端末識別データは、複数の利用者がそれぞれ管理する携帯端末20ごとに割り当てられているデータである。第1信号受信部102は、第1受信部の一例である。
【0062】
第1信号受信部102は、第2信号を取得することにより、携帯端末20で利用可能な決済方法を示す利用可能決済方法データ等を取得する。第1信号受信部102は、第1信号受信器44が受信した第2信号の電波強度(以下、第2信号電波強度)を計測する。第1信号受信部102は、計測した第2信号電波強度を示す第2信号電波強度データを生成し、第1信号データ及び受信した第2信号データとともに決済管理装置30に提供する。
【0063】
画像処理部103は、カメラ42により送信された画像を画像処理し、撮像された画像に含まれる顔部分画像を抽出することにより、対象者の顔を検出する。画像処理部103は、抽出した顔部分画像により、顔特徴を特定する。画像処理部103は、画像から複数の顔部分画像を抽出した場合には、それぞれの顔部分画像に対する顔特徴を特定する。画像処理部103は、対象者の顔の一部の顔特徴を特定してもよいし、全部の顔特徴を特定してもよい。カメラ42及び画像処理部103は、利用者の特徴に関する特徴検出情報を検出する。カメラ42及び画像処理部103は、検出手段の一例である。
【0064】
特徴検出情報取得部104は、利用者Cが決済処理装置10から一定範囲内にあるときに、画像処理部103により検出された特徴検出情報として、画像処理部103により特定された顔特徴を取得する。特徴検出情報取得部104は、画像処理部103により複数の人物(対象者)が特定された場合に、特定された対象者ごとに顔特徴を取得する。特徴検出情報取得部104は、顔特徴以外の特徴検出情報を取得してもよい。
【0065】
特徴検出情報は、例えば、カメラ42により送信される顔画像でもよいし、顔特徴以外の身体的特徴、例えば、指紋、虹彩、静脈などでもよいし、これらを含む画像でもよい。特徴検出情報は、利用者Cを特定するための特徴であれば身体的特徴以外の情報でもよく、例えば、利用者Cに付された利用者ID、利用者に割り振られた二次元コードなどでもよい。
【0066】
特徴検出情報送信部105は、特徴検出情報取得部104により取得された顔特徴を含む特徴検出情報を携帯端末20に向けて第1信号送信器43に送信させる。特徴検出情報送信部105は、複数の対象者の顔特徴が取得された場合には、全ての特徴検出情報を第1信号送信器43に送信させる。
【0067】
特徴検出情報送信部105は、第1信号送信器43以外の通信手段を用いて、特徴検出情報を携帯端末20に送信させてもよい。特徴検出情報送信部105は、例えば、通信インターフェース47を利用し、ネットワークNA,NBなどを介して携帯端末20に向けて特徴検出情報を送信させてもよい。
【0068】
認証結果処理部106は、携帯端末20により送信される認証結果に基づいて、決済処理装置10により決済する対象者が利用者Cであることの認証結果を取得する。認証結果処理部106は、取得した認証結果に基づいて、対象者が利用者Cとして認証されたか否かを判定し、対象者が利用者Cであると認証された場合に、利用者Cが購入した商品の決済を許可する。認証結果処理部106は、決済を許可した場合に、決済許可情報を決済管理装置30に送信する。
【0069】
データ提供部107は、利用者Cが購入する商品の決済の内容を示す決済内容データを生成する。データ提供部107は、決済内容データを決済管理装置30に提供する。例えば、データ提供部107は、商品に付されている二次元コードをコードリーダにより読み取ることにより商品の決済の内容を示す決済内容データを生成する。
【0070】
意思確認部108は、利用者Cの商品購入意思を確認する処理を実行する。意思確認部108は、利用者Cの意思表示行動に基づいて、商品購入意思を確認する。意思表示行動は、例えば、タッチパネル41に表示された自身の顔の画像を一定時間見る行動である。意思確認部108は、利用者Cの意思表示行動を確認するにあたり、例えば、画像処理部103において抽出した顔部分画像をタッチパネル41に表示させるとともに、タッチパネル41の前に利用者Cが存在するかを判定する。タッチパネル41は、表示装置の一例である。
【0071】
意思確認部108は、
図6に示すように、決済処理装置10のカメラ42が撮像した対象者の顔をタッチパネル41に表示させた状態が継続する時間を計測する。意思確認部108は、利用者Cがタッチパネル41に写る自分を一定時間見続けたまま一定時間が経過したときに、利用者Cに商品購入意思があると判定する。
【0072】
意思表示行動は、その他のどのような行動とされていてもよい。意思表示行動は、利用者Cの独自のポーズを体全体や手の形で表示するものでもよいし、利用者Cの身分を示すもの、例えば、証明書、IDカードなどを決済処理装置10に認識させるものでもよい。意思表示行動は、規定の行動でもよいし、利用者Cによって決定された行動でもよい。意思表示行動は、例えば、利用者Cがタッチパネル41上の所定のGUIに触れる操作を含む。この場合、利用者Cがタッチパネル41上の所定のGUIに触れることにより、商品購入意思があると判定する。
【0073】
意思確認部108は、例えば、カメラ42に撮像された画像を画像解析し、タッチパネル41前における利用者Cを検出する。意思確認部108は、一定時間以上利用者Cが検出される場合に、利用者Cが意思表示行動を行っており、購入意思があると判定することが好ましい。意思確認部108は、利用者Cに購入意思があると判定した場合に、意思確認情報を決済管理装置30に送信する。
【0074】
決済実行部109は、決済管理装置30の指示に応じて、決済処理装置10における決済処理を実行する。決済実行部109は、決済が完了したことを条件として決済完了データを生成する。決済実行部109は、生成した決済完了データを決済管理装置30に送信する。
【0075】
図11は、実施形態に係る携帯端末の機能的な構成の一例を示す図である。携帯端末20は、例えば、第2信号送信部201と、第2信号受信部202と、決済方法決定部203と、特徴検出情報受信部204と、特徴記憶部205と、認証部206と、認証結果送信部207と、データ提供部208と、決済実行部209と、完了報知部210と、を備える。第2信号送信部201、第2信号受信部202、決済方法決定部203、特徴検出情報受信部204、認証部206、認証結果送信部207、データ提供部208、決済実行部209、及び完了報知部210は、携帯端末20のプロセッサ21に設けられる。
【0076】
第2信号送信部201は、第2信号送信器27に第2信号を送信させる。第2信号に含まれる第2信号データは、端末識別データ、要求情報、認証結果などのデータを含む。第2信号送信部201は、第2信号を、周囲に一定間隔、例えば数百msから数msの間隔をおいて常に第2信号送信器27に送信させ続ける。第2信号送信部201は、第2送信部の一例である。
【0077】
第2信号受信部202は、決済処理装置10-1、決済処理装置10-2、…の第1信号送信部101により送信され第2信号受信器28により受信される第1信号を取得する。第2信号受信部202は、第1信号を取得することにより、決済処理装置10-1、決済処理装置10-2、…で利用可能な決済方法を示す利用可能決済方法データ等を取得する。第2信号受信部202は、受信した第1信号の強度(以下、第1信号電波強度)を計測する。第2信号受信部202は、計測した第1信号電波強度を示す第1信号電波強度データを生成し、第2信号データ及び受信した第1信号データとともに決済管理装置30に提供する。第2信号受信部202は、第2受信部の一例である。
【0078】
第2信号送信部201は、第2信号受信部202が第1信号を受信したタイミングに基づいて、決済処理装置10-1における第1信号送信部101が第1信号を送信する第1タイミングを取得する。第2信号送信部201は、第1タイミングと異なる第2タイミングで第2信号を第2信号送信器27に送信させる。第2信号を送信させる間隔は、第1信号送信器43が第1信号を送信する間隔と同一でもよいし異なっていてもよい。
【0079】
決済方法決定部203は、複数の決済方法の中から、利用者Cが購入する商品の決済に使用される決済方法を選択して決定する。決済方法決定部203は、決定した決済方法を示す決済方法データを生成する。決済方法決定部203は、生成した決済方法データを決済管理装置30に提供する。ここで言う決済方法は、例えば、スマートフォン又はタブレットを利用する電子決済であり、前払い方式でもよいし、後払い方式でもよい。ここで言う決済方法は、クレジットカード決済、現金決済であってもよい。決済方法決定部203により決定された決済方法は、選択済決済方法の一例である。
【0080】
補助記憶装置24に既定決済方法が記憶されている場合、決済方法決定部203は、決済方法を既定決済方法として選択して決定する。補助記憶装置24に既定決済方法が予め記憶されていない場合、決済方法決定部203は、決済処理装置10-1、…及び決済処理装置10-k各々が送信する信号で表される利用可能決済方法データにより示される決済方法の中から割引率、ポイント還元率等の要素を考慮し、利用者Cに出来る限り有利な決済方法を選択して決定する。
【0081】
特徴検出情報受信部204は、決済処理装置10の第1信号送信器43により送信され第2信号受信器28により受信された特徴検出情報を取得する。特徴記憶部205は、携帯端末20に対応付けられた利用者Cの特徴情報及び既定決済方法を記憶している。特徴記憶部205は、補助記憶装置24に設けられている。特徴記憶部205は、その他の記憶媒体に設けられていてもよい。特徴記憶部205は、例えば、主記憶装置22に設けられてもよいし、携帯端末20に接続(外付け)可能となる記憶デバイスに記憶されていてもよい。
【0082】
認証部206は、紐付けられた対象決済処理装置となる決済処理装置10に対して、特徴検出情報の送信を要求する。特徴検出情報受信部204は、要求に応じて決済処理装置10により送信された特徴検出情報を取得する。認証部206は、特徴検出情報の送信を要求した後、要求継続時間が経過したときに特徴検出情報受信部204が特徴検出情報を取得していない場合に、特徴検出情報の送信の要求を中止する。要求継続時間は、どのような時間でもよい。要求継続時間は、例えば、1秒から3秒のいずれかの時間でもよいし、3秒を超える時間でもよい。要求継続時間は、固定された時間でもよいし、変動可能な時間でもよい。
【0083】
認証部206は、特徴検出情報受信部204が特徴検出情報を取得した場合に、特徴記憶部205に記憶された特徴情報を読み出す。認証部206は、特徴検出情報受信部204が取得した特徴検出情報に含まれる顔特徴を、特徴記憶部205から読み出した特徴情報に含まれる顔特徴に照合することにより、特徴検出情報に含まれる顔特徴を抽出された対象者を認証する。
【0084】
認証部206は、例えば、特徴検出情報及び特徴情報の顔特徴の一致割合が規定の割合以上である場合に、対象者が利用者Cであるとする認証を肯定し、特徴検出情報及び特徴情報の顔特徴の一致割合が規定の割合未満である場合に、対象者が利用者Cであるとする認証を否認する。認証結果送信部207は、対象者の認証結果を決済処理装置10に向けて第2信号送信器27に送信させる。
【0085】
認証結果送信部207は、認証結果を第2信号送信器27以外の通信手段を用いて、認証結果を決済処理装置10に送信させてもよい。認証結果送信部207は、例えば、通信インターフェース23を利用し、ネットワークNB,NAなどを介して決済処理装置10に向けて認証結果を送信させてもよい。
【0086】
データ提供部208は、携帯端末20自身に割り当てられている端末識別データと、決済処理装置識別データと、決済方法データとを決済管理装置30に提供する。決済処理装置識別データは、決済処理装置10自身に割り当てられている固有の識別コードを示すデータである。
【0087】
決済実行部209は、決済管理装置30の指示に応じて、利用者Cが購入する商品の決済を実行する。また、決済実行部209は、商品の決済が完了した後に、電子レシートを発行してもよい。決済実行部209は、決済が完了したことを条件として決済完了データを生成する。決済実行部209は、生成した決済完了データを決済管理装置30に送信する。
【0088】
完了報知部210は、当該決済が完了し、決済実行部209により決済完了データが生成された後、入出力装置25を利用して、決済の完了を利用者Cに報知する。完了報知部210は、例えば、携帯端末20に搭載されているスピーカから「決済が完了しました。」という音声を出力させる。
【0089】
図12は、実施形態に係る決済管理装置の機能的な構成の一例を示す図である。決済管理装置30は、例えば、データ取得部301と、決済処理装置決定部302と、紐付け部303と、意思確認部304と、決済実行部305と、決済管理部306と、ポイント管理部307とを備える。データ取得部301、決済処理装置決定部302、紐付け部303、意思確認部304、決済実行部305、決済管理部306及びポイント管理部307は、決済管理装置30におけるプロセッサ31に設けられる。
【0090】
データ取得部301は、決済処理装置10により送信される第1強度データ及び携帯端末20により送信される第2強度データを取得する。データ取得部301は、第1強度データ及び第2強度データとともに送信される第1信号データ及び第2信号データを取得する。データ取得部301は、携帯端末20により提供される決済方法データを取得する。データ取得部301は、決済処理装置10により提供される決済内容データを取得する。
【0091】
決済処理装置決定部302は、決済処理装置10及び携帯端末20により提供されるデータに基づいて、決済処理装置に対する利用者の位置を特定する。決済処理装置決定部302は、特定した利用者が利用する対象決済処理装置を決定する。また、決済処理装置決定部302は、いくつかの手順で対象決済処理装置を決定する。対象決済処理装置を決定するいくつかの手順については、後に説明する。決済処理装置決定部302は、生成した決済処理装置識別データを携帯端末20に提供する。決済処理装置決定部302は、決定した対象決済処理装置を示す決済処理装置識別データを生成する。
【0092】
決済処理装置決定部302は、常に第1信号データ及び第2信号データに基づいて、対象決済処理装置を決定してもよい。あるいは、決済処理装置決定部302は、第1信号データが示す第1信号電波強度または第2信号データが示す第2信号電波強度に計測開始基準値を設定してもよい。この場合、決済処理装置決定部302は、第1信号電波強度または第2信号電波強度の一方が計測開始基準値を超えた場合に、対象決済処理装置を決定してもよい。
【0093】
決済処理装置決定部302は、第1信号データまたは第2信号データを用いて、対象決済処理装置と利用者の間の距離を計測し、利用者Cの携帯端末20が決済処理装置10から一定範囲内にあるか否かを判定する。決済処理装置決定部302は、計測した結果を対象決済処理に送信する。一定範囲は、どのような範囲で設定されていてもよい。一定範囲は、例えば、決済処理装置10から方向を特定することなく一定の距離の範囲としてもよいし、決済処理装置10から特定の方向に一定の距離の範囲としてもよい。
【0094】
第1信号送信部101、第2信号送信部201、第2信号受信部202、第2信号受信部202、及び決済処理装置決定部302は、特定手段の一例である。特定手段は、他の態様であってもよい。特定手段は、例えば、カメラ42及び画像処理部103であり、カメラ42により撮像される範囲を一定範囲としてもよい。
【0095】
紐付け部303は、端末識別データにより示される携帯端末20と、決済処理装置識別データにより示される対象決済処理装置となる決済処理装置10-1を紐付ける。紐付け部303は、これらに対して、決済方法データにより示される決済方法と、決済内容データにより示される決済とを紐付ける。
【0096】
意思確認部304は、例えば、決済処理装置10により送信される認証結果を受信し、対象者が利用者Cであると認証されたか否かを判定する。意思確認部304は、対象者が利用者Cであると判定した場合に、意思確認指示データを生成して決済処理装置10に送信し、商品購意思があることを利用者Cに確認する処理を決済処理装置10に実行させる。
【0097】
決済実行部305は、決済処理装置10により送信される意思確認情報を受信した場合に、対象決済処理装置となる決済処理装置10-1が備える決済実行部109及び携帯端末20が備える決済実行部209に決済を指示する決済指示データを生成する。決済実行部305は、生成した決済指示データを決済処理装置10-1及び携帯端末20に送信して、決済処理装置10-1の決済実行部109及び携帯端末20の決済実行部209に決済を実行させる。
【0098】
決済管理部306は、決済処理装置10-1及び携帯端末20により送信される決済完了データを取得する。決済管理部306は、取得した決済完了データに基づいて、決済の完了を確認する。決済管理部306は、決済の完了を確認する際に、利用者C及び決済の少なくとも一部の内容を示すデータを収集してもよい。
【0099】
ポイント管理部307は、決済等の状況に応じて利用者Cに付与されるポイントを管理する。ポイント管理部307は、例えば、予め定められたポイント付与条件を満たす場合に、ポイント付与条件に応じたポイントを付与する。ポイント付与条件は、例えば、店舗に来店した場合に付与される来店ポイントや一定の決済金額に応じて付与される利用金額ポイントを含む。ポイント管理部307は、複数の利用者Cのポイントを管理する。
【0100】
次に、決済処理装置決定部302により決済処理装置を決定するいくつかの手順について、順に説明する。
図13は、実施形態に係る決済処理装置決定部が対象決済処理装置を決定する処理の一例を説明するための図である。
図13は、携帯端末20を携帯している利用者Cが販売者F1により操作される決済処理装置10-1と販売者F2により操作される決済処理装置10-2との間を左から右へ移動する場合を示している。
【0101】
決済処理装置決定部302は、決済処理装置10と携帯端末20の間で送受信される電波の強度(以下、送受信電波強度)が所定の強度を超えている決済処理装置を対象決済処理装置と決定する。決済処理装置決定部302は、決済処理装置10により送信される第2信号電波強度データが示す第2信号電波強度及び携帯端末20により送信される第1信号電波強度データが示す第1信号電波強度に基づいて送受信電波強度を算出する。決済処理装置決定部302は、例えば、第2信号電波強度と第1信号電波強度の統計に基づく代表値、例えば平均値を送受信電波強度として算出する。統計に基づく代表値は、平均値以外の値でもよい。
【0102】
例えば、
図13に示すように、利用者Cが決済処理装置10-1に一定以上近づいた場合に、決済処理装置決定部302により算出される送受信電波強度は、閾値TH7を超える強度となる。一方、
図13に示した場合において、利用者Cが決済処理装置10-2に最も接近した場合であっても、決済処理装置決定部302により算出される送受信電波強度は、閾値TH7を超える強度となることはない。したがって、決済処理装置決定部302は、
図13に示した場合においては、決済処理装置10-1を対象決済処理装置と決定する。
【0103】
或いは、決済処理装置決定部302は、算出した送受信電波強度が強い決済処理装置である程、対象決済処理装置として優先的に決定してもよい。例えば、
図13に示した場合において、決済処理装置決定部302により算出される送受信電波強度は、決済処理装置10-2よりも決済処理装置10-1の方が強くなる。したがって、決済処理装置決定部302は、
図13に示した場合においては、決済処理装置10-1を決済に使用すると決定する。なお、この場合、
図13に示した所定の閾値TH7は、設定されていなくてもよい。
【0104】
或いは、決済処理装置決定部302は、決済処理装置10及び携帯端末20により提供される第1信号電波強度及び第2信号電波強度を使用して携帯端末20から決済処理装置10までの距離を算出し、算出した距離に基づいて、対象決済処理装置を決定してもよい。例えば、決済処理装置決定部302は、携帯端末20からの距離が短い決済処理装置である程、対象決済処理装置として優先的に決定してもよい。
【0105】
例えば、
図13のグラフの上側に示した場合において、決済処理装置10-1及び決済処理装置10-2の第1信号送信部101は、携帯端末20に電波を送信し、第1信号受信部102は、携帯端末20により送信される電波を受信する。携帯端末20の第2信号送信部201は、決済処理装置10-1及び決済処理装置10-2各々に電波を送信し、第2信号受信部202は、決済処理装置10-1及び決済処理装置10-2各々から電波を受信する。
【0106】
決済処理装置決定部302は、決済処理装置10-1と携帯端末20との間で送受信された電波の強度を使用して携帯端末20から決済処理装置10-1までの距離を推定するために算出する。同様に、決済処理装置決定部302は、決済処理装置10-1と携帯端末20との間で送受信された電波の強度を使用して携帯端末20から決済処理装置10-2までの距離を算出する。
【0107】
図13のグラフの上側に示した場合において、利用者Cは、常に決済処理装置10-2よりも決済処理装置10-1に近い位置にいる。このため、決済処理装置決定部302は、携帯端末20から決済処理装置10-2までの距離よりも携帯端末20から決済処理装置10-1までの距離の方が短いと推定する。したがって、決済処理装置決定部302は、
図13に示した場合においては、決済処理装置10-1を決済に使用すると決定する。なお、この場合、
図13に示した所定の閾値TH7は、設定されていなくてもよい。
【0108】
図14は、実施形態に係る決済処理装置決定部が対象決済処理装置を決定する処理の一例を説明するための図である。
図14は、携帯端末20を携帯している利用者Cが販売者Fにより操作される決済処理装置10-1の前を左から右へ移動する場合を示している。この例では、決済処理装置決定部302は、算出した決済処理装置10-1と携帯端末20の距離の時系列の変化に基づいて、対象決済処理装置を決定する。
【0109】
決済処理装置決定部302は、送受信電波強度が所定の強度を超えている期間が所定の下限期間を超えており、所定の上限期間未満である決済処理装置10を対象決済処理装置と決定する。ここで言う下限期間は、例えば、利用者が決済処理を行うために必要な時間の範囲内である。下限期間としては、比較的短い時間が採用される。また、ここで言う上限期間は、例えば、利用者が決済処理を行うために必要な時間の範囲内である。上限期間としては、比較的長い時間が採用される。
【0110】
例えば、
図14に示した場合において、利用者Cが決済処理装置10-1に一定以上近づいている期間T8の間、送受信電波強度は、閾値TH8を超える強度となり続ける。一方、
図14に示した場合において、利用者Cが決済処理装置10-1から一定以上離れている期間T8以外の間、送受信電波強度は、閾値TH8以下の強度となり続ける。決済処理装置決定部302は、期間T8が所定の下限期間を超えており、所定の上限期間未満である場合、決済処理装置10-1を対象決済処理装置と決定する。
【0111】
期間T8の下限期間及び上限期間(以下、時間基準値)は、どのように設定されてもよい。時間基準値は、例えば、決済処理装置10-1の周囲のレイアウトに基づいて設定されていてもよい。例えば、決済処理装置10-1に並ぶ利用者Cの列が蛇行する列となるように誘導されている場合には、利用者Cが並ぶ列の形状に応じた時間変化に対応する時間基準値を設定してよい。
【0112】
決済管理装置30の補助記憶装置34は、例えば、決済処理装置10-1の周囲のレイアウトに応じた距離の時系列変化モデルを記憶している。時系列変化モデルは、例えば、レイアウトに応じた平均的な距離の時系列の変化をモデル化したものである。決済処理装置決定部302は、補助記憶装置34に記憶された時系列変化モデルを読み出し、読み出した時系列変化モデルに基づいて、時間基準値を設定する。
【0113】
また、例えば、決済処理装置10-1に並ぶ利用者Cの列が蛇行する列となるように誘導されている場合に、決済処理装置の周囲のレイアウトに応じた期間T8の時系列変化を学習データとして機械学習モデルに学習させ、学習済モデルである機械学習モデルを使用し、時間基準値を設定してもよいし、時間基準値の設定を補助してもよい。
【0114】
さらに、決済処理装置決定部302は、送受信電波強度を使用して決済処理装置までの距離を算出してもよい。この場合、決済処理装置決定部302は、算出した距離が所定の距離を超えている期間が所定の下限を超えており、所定の上限未満である決済処理装置を対象決済処理装置と決定する。
【0115】
例えば、
図14のグラフの上側に示した場合において、決済処理装置10-1の第1信号送信部101は、携帯端末20に電波を送信し、第1信号受信部102は、携帯端末20により送信される電波を受信する。携帯端末20の第2信号送信部201は、決済処理装置10-1に電波を送信し、第2信号受信部202は、決済処理装置10-1から電波を受信する。
【0116】
決済処理装置決定部302は、送受信電波強度を使用して携帯端末20から決済処理装置10-1までの距離を算出する。決済処理装置決定部302は、算出した距離が所定の距離を超えている期間が所定の下限期間を超えており、所定の上限期間未満である決済処理装置を決済に使用すると決定する。
【0117】
図15は、実施形態に係る決済処理装置決定部が対象決済処理装置を決定する処理の一例を説明するための図である。
図15は、携帯端末20を携帯しており、商品の決済を行わない通行者Dが販売者Fにより操作される決済処理装置10-1の前を左から右へ移動する場合を示している。
【0118】
決済処理装置決定部302は、送受信電波強度が所定の強度を超えている期間が所定の下限期間以下である決済処理装置10-1を決済に使用しないと決定する。ここで言う下限期間としては、例えば、商品を購入する利用者が決済処理を行うために必要な時間よりも短い時間が採用される。
【0119】
例えば、
図15に示した場合において、通行者Dが決済処理装置10-1に一定以上近づいている期間T9の間、送受信電波強度は、閾値TH9を超える強度となり続ける。また、
図15に示した期間T9は、通行者Dが利用者Cと異なり、決済処理を行わないため、
図14に示した期間T8よりも短いことが多い。
【0120】
一方、
図15に示した場合において、通行者Dが決済処理装置10-1から一定以上離れている期間T9以外の間、送受信電波強度は、閾値TH9を以下の強度となり続ける。決済処理装置決定部302は、送受信電波強度が所定の強度を超えている期間T9が所定の下限期間以下である場合、決済処理装置10-1を対象決済処理装置でないと決定する。
【0121】
或いは、決済処理装置決定部302は、送受信電波強度を使用して決済処理装置までの距離を算出し、算出された距離が所定の距離未満である期間が所定の下限期間以下である決済処理装置を対象決済処理装置でないと決定してもよい。
【0122】
例えば、
図15のグラフの上側に示した場合において、決済処理装置10-1は携帯端末20に電波を送信し、携帯端末20により送信される電波を受信する。携帯端末20は、決済処理装置10-1に電波を送信し、決済処理装置10-1から電波を受信する。決済処理装置決定部302は、送受信電波強度を使用して携帯端末20から決済処理装置10-1までの距離を算出する。決済処理装置決定部302は、算出した距離が所定の距離未満である期間が所定の下限期間以下である決済処理装置を対象決済処理装置でないと決定する。
【0123】
図16は、実施形態に係る決済処理装置決定部が対象決済処理装置を決定する処理の一例を説明するための図である。
図16は、携帯端末20が決済処理装置10-1を操作する販売者Fにより携帯されている場合を示している。
【0124】
決済処理装置決定部302は、送受信電波強度が所定の強度を超えている期間が所定の上限期間以上である決済処理装置を対象決済処理装置でないと決定する。ここで言う上限期間としては、例えば、商品を購入する利用者が決済処理を行うために必要な時間よりも長い時間が採用される。
【0125】
例えば、
図16に示した場合において、販売者Fが決済処理を行うために決済処理装置10-1の近くに来た後の期間である期間T10の間、送受信電波強度は、閾値TH10を超える強度となり続ける。また、
図16に示した期間T10は、販売者Fが利用者Cと異なり、決済処理を行うために決済処理装置10-1の近くに居続けるため、
図14に示した期間T8よりも長いことが多い。決済処理装置決定部302は、送受信電波強度が所定の強度を超えている期間T10が所定の上限期間以上である場合、決済処理装置10-1を対象決済処理装置でないと決定する。
【0126】
なお、決済処理装置決定部302は、対象決済処理装置と、電波強度の時間的な変化との関係を学習データとして機械学習モデルに学習させ、学習済モデルである機械学習モデルを使用し、対象決済処理装置の決定し、または対象決済処理装置の決定を補助してもよい。
【0127】
図17は、実施形態に係る決済処理装置決定部が対象決済処理装置を決定する処理の一例を説明するための図である。
図17は、利用者C1が決済処理装置10-1の前まで移動して矢印A1で示すように+90度方向転換して決済処理装置10-1の方を向き、決済処理装置10-1で決済処理を行う場合を示している。また、
図17は、利用者C2が決済処理装置10-2の前まで移動して矢印A1で示すように-90度方向転換して決済処理装置10-2の方を向き、決済処理装置10-2で決済処理を行う場合を示している。
【0128】
決済処理装置決定部302は、角速度センサにより計測された角速度の時間変化を使用して対象決済処理装置を決定する。
【0129】
例えば、利用者C1により携帯されている携帯端末に搭載されている角速度センサは、
図17に示した実線のグラフに示すように、利用者C1が+90度方向転換した際に正の角速度を検出し、利用者C1が歩行している際に略ゼロの角速度を検出する。決済処理装置決定部302は、
図17に実線で示した実線のグラフのうち少なくとも+90度方向転換した際の角速度を時間積分し、利用者C1が方向転換した角度を算出する。そして、決済処理装置決定部302は、当該角度と、予め補助記憶装置24等に格納されている決済処理装置10-1等の配置を示すデータとに基づいて、決済処理装置10-1を対象決済処理装置と決定する。
【0130】
また、例えば、利用者C2により携帯されている携帯端末に搭載されている角速度センサは、
図17に示した実線のグラフに示すように、利用者C2が-90度方向転換した際に負の角速度を検出し、利用者C2が歩行している際に略ゼロの角速度を検出する。決済処理装置決定部302は、
図14に実線で示した実線のグラフのうち少なくとも-90度方向転換した際の角速度を時間積分し、利用者C2が方向転換した角度を算出する。そして、決済処理装置決定部302は、当該角度と、予め補助記憶装置24等に格納されている決済処理装置10-2等の配置を示すデータとに基づいて、決済処理装置10-2を対象決済処理装置と決定する。
【0131】
図18は、実施形態に係る決済処理装置決定部が対象決済処理装置を決定する処理の一例を説明するための図である。決済処理装置決定部302は、
図18に示すように、決済処理装置10-1、…及び決済処理装置10-6が存在する場合であっても、角速度センサを使用し、これら六つの決済処理装置の中から対象決済処理装置を決定する。なお、
図18に示した場合においては、六つの決済処理装置各々が上述した電波を送信する代わりに、電波送受信装置100が携帯端末20に電波を送信し、携帯端末20により送信される電波を受信する。また、携帯端末20が決済処理装置決定部を備えている。
【0132】
決済処理装置決定部302は、
図18に示した場合、利用者Cにより携帯されている携帯端末に搭載されている角速度センサにより検出された角速度の時間変化を時間積分して算出した角度の正負に応じて、対象決済処理装置の候補となる決済処理装置を絞り込む。例えば、決済処理装置決定部302は、このようにして算出された角度が正である場合、決済処理装置10-1、決済処理装置10-2及び決済処理装置10-3を対象決済処理装置の候補とする。また、例えば、決済処理装置決定部302は、このようにして算出された角度が負である場合、決済処理装置10-4、決済処理装置10-5及び決済処理装置10-6を対象決済処理装置の候補とする。
【0133】
また、決済処理装置決定部302は、利用者Cが+90度又は-90度方向転換した後に携帯端末が送信し電波送受信装置100が受信した電波及び電波送受信装置100が送信し携帯端末が受信した電波の強度(以下、両電波強度)に応じて対象決済処理装置の候補となる決済処理装置を絞り込む。両電波強度は、例えば、携帯端末が送信し電波送受信装置100が受信した電波の強度と電波送受信装置100が送信し携帯端末が受信した電波の強度の平均値である。
【0134】
例えば、決済処理装置決定部302は、利用者Cが+90度又は-90度方向転換した後に両電波強度が比較的強い場合、電波送受信装置100に近い決済処理装置10-2及び決済処理装置10-5を対象決済処理装置の候補とする。また、例えば、決済処理装置決定部302は、利用者Cが+90度又は-90度方向転換した後に両電波強度が比較的弱い場合、電波送受信装置100から遠い決済処理装置10-1、決済処理装置10-3、決済処理装置10-4及び決済処理装置10-6を対象決済処理装置の候補とする。
【0135】
そして、決済処理装置決定部302は、二つの性質を使用して上述した候補を更に絞り込む。一つ目の性質は、利用者Cが六つの決済処理装置のいずれかに向かう際に
図18において利用者Cが位置している場所を通過することである。二つ目の性質は、利用者Cが歩行する速度が他の者と略同一であり、利用者Cが歩行している場合に角速度センサにより検出される角速度が略ゼロとなることである。つまり、決済処理装置決定部302は、利用者Cが歩行した時間又は距離を算出し、当該距離を使用して上述した候補を絞り込み、対象決済処理装置を決定する。
【0136】
また、上述した説明では、利用者Cが一回で+90度又は-90度方向転換する場合を例に挙げたが、これに限定されない。
図19は、実施形態に係る利用者が歩行する経路の一例を示す図である。
図19は、利用者Cが点Q1、点Q2、点Q3、点Q4、点Q5の順に直線的に歩行する経路の一例を示している。また、利用者Cは、点Q2、点Q3及び点Q4において方向転換している。この場合、角速度センサは、例えば、利用者Cが点Q2にいる際に時間積分の値が角度αとなる角速度の時間変化を検出し、利用者Cが点Q3にいる際に時間積分の値が角度βとなる角速度の時間変化を検出する。
図19に示した経路の場合、
図17及び
図18と同様に一回の方向転換で+90度又は-90度方向転換する訳ではないが、決済処理装置決定部302は、+90度又は-90度方向転換する場合と同様の手法で対象決済処理装置を決定し得る。
【0137】
なお、決済処理装置決定部302は、対象決済処理装置と、角速度の時間的な変化との関係を学習データとして機械学習モデルに学習させ、学習済モデルである機械学習モデルを使用し、対象決済処理装置の決定を補助してもよい。
【0138】
図20は、実施形態に係る決済処理装置決定部が対象決済処理装置を決定する処理の一例を説明するための図である。
図20は、携帯端末20を携帯している利用者Cが販売者Fにより操作される決済処理装置10-1の前を左から右へ移動する場合を示している。
【0139】
決済処理装置決定部302は、加速度センサにより計測された加速度を使用して対象決済処理装置を決定する。例えば、
図20に示した場合において、加速度センサは、利用者Cが決済処理装置10-1付近で立ち止まって決済処理を行っている期間T14の間、比較的変動幅が小さな加速度の時間変化を検出する。一方、例えば、
図20に示した場合において、加速度センサは、期間T14以外の期間の間、比較的変動幅が大きな加速度の時間変化を検出する。また、期間T14以外の期間は、利用者Cが決済を行うために決済処理装置10-1に向かって歩行している期間又は利用者Cが決済を終えて決済処理装置10-1から立ち去っている期間である。決済処理装置決定部302は、期間T14が所定の下限期間を超えており、所定の上限期間未満である場合、決済処理装置10-1を決済に使用すると決定する。
【0140】
図21は、実施形態に係る決済処理装置決定部が対象決済処理装置を決定する処理の一例を説明するための図である。
図21は、携帯端末20を携帯しており、商品の決済を行わない通行者Dが販売者Fにより操作される決済処理装置10-1の前を左から右へ移動する場合を示している。
【0141】
決済処理装置決定部302は、加速度センサにより計測された加速度を使用して対象決済処理装置を決定する。例えば、
図21に示した場合において、加速度センサは、通行者Dが歩行し続けているため、常に比較的変動幅が大きな加速度の時間変化を検出し、
図20に示した場合と異なり比較的変動幅が小さな加速度の時間変化を検出しない。決済処理装置決定部302は、比較的変動幅が小さな加速度の時間変化が検出された期間が所定の下限期間以下である場合、決済処理装置10-1を決済に使用しないと決定する。
【0142】
図22は、実施形態に係る決済処理装置決定部が対象決済処理装置を決定する処理の一例を説明するための図である。
図22は、携帯端末20が決済処理装置10-1を操作する販売者Fにより携帯されている場合を示している。
【0143】
決済処理装置決定部302は、加速度センサにより計測された加速度を使用して対象決済処理装置を決定する。例えば、
図22に示した場合において、加速度センサは、販売者Fが決済処理を行うために決済処理装置10-1の近くに来た後の期間である期間T16の間、販売者Fが歩行していないため、比較的変動幅が小さな加速度の時間変化を検出する。一方、例えば、
図22に示した場合において、加速度センサは、期間T16以外の期間の間、販売者Fが決済処理装置10-1に向かって歩行しているため、比較的変動幅が大きな加速度の時間変化を検出する。決済処理装置決定部302は、期間T16が所定の上限期間以上である場合、決済処理装置10-1を決済に使用しないと決定する。
【0144】
なお、決済処理装置決定部302は、対象決済処理装置と、加速度の時間的な変化との関係を学習データとして機械学習モデルに学習させ、学習済である機械学習モデルを使用し、対象決済処理装置の決定を補助してもよい。
【0145】
また、決済管理システム1は、携帯端末により本来の決済と異なる別決済が実行された場合、次に説明する処理を実行して携帯端末と決済との紐付けをやり直す。
【0146】
図23は、実施形態に係る携帯端末により本来の決済と異なる別決済が実行された後、送受信電波強度が減少していないと判定された場合に決済管理システムが実行する処理の一例を説明するための図である。
図23は、決済管理システム1を利用しない利用者(購入者)C1が決済を行った後に、決済管理システム1を利用する利用者C2が決済を行う場合を示している。また、
図23に示したグラフは、送受信電波強度の時間変化の一例を示している。
【0147】
図23の左上の図に示すように、利用者C1が決済を行っていても、利用者C2が決済処理装置10-1の近くにいる期間T181では、利用者C2により携帯されている携帯端末と決済処理装置10-1の送受信電波強度は、閾値TH18を超える。この場合において、利用者C1が行った決済が誤って利用者C2により携帯されている携帯端末で実行されてしまうことがある。しかし、
図23の右上の図に示すように、利用者C1が決済を終えて決済処理装置10-1から離れた後も利用者C2により携帯されている携帯端末と決済処理装置10-1の送受信電波強度は、期間T182においても
図23の左上に示した場合と同等以上の強度である。したがって、決済処理装置決定部302は、決済実行部209により決済と異なる別決済が実行された後、
図23に示したグラフ等で表される電波強度の時間的な変化に基づいて信号の強度が減少しているか否かを判定し得る。
【0148】
次に、
図24を参照しながら実施形態に係る決済管理システムが実行する処理の一例を説明する。
図24は、実施形態に係る決済管理システムが決済の際に実行する処理の一例を示すシーケンス図である。決済管理システム1において、まず、決済処理装置10は、第1信号送信部101により、第1信号を送信する(ステップS101)。
【0149】
続いて、携帯端末20は、決済処理装置10により送信される第1信号を第2信号受信部202において受信する(ステップS201)。その一方で、携帯端末20は、第2信号送信部201により、第2信号を送信する(ステップS203)。決済処理装置10は、携帯端末20により送信される第2信号を第1信号受信部102において受信する(ステップS103)。
【0150】
続いて、決済処理装置10は、第1信号受信部102において受信した第2信号の強度を計測し、計測した強度に応じた第2信号電波強度データを生成する(ステップS105)。決済処理装置10は、生成した第2信号電波強度データを、第1信号データ及び受信した第2信号データとともに決済管理装置30に送信する。
【0151】
一方、携帯端末20は、第2信号受信部202において受信した第1信号の強度を計測し、計測した強度に応じた第1信号電波強度データを生成する(ステップS205)。携帯端末20は、生成した第1信号電波強度データを、第2信号データ及び受信した第1信号データとともに決済管理装置30に送信する。
【0152】
続いて、決済管理装置30は、決済処理装置10により送信された第2信号電波強度データが示す第2信号電波強度及び携帯端末20により送信された第1信号電波強度データが示す第1信号電波強度に基づいて、送受信電波強度を算出する。決済管理装置30は、決済処理装置決定部302において、算出した送受信電波強度に基づいて、例えば、決済処理装置10から一定範囲内にある決済処理装置10の1つを、携帯端末20が決済する対象決済処理装置として決定する。決済管理装置30は、決定した対象決済処理装置となる決済処理装置10を携帯端末20と紐付け部303において紐付けする(ステップS301)。決済処理装置決定部302は、対象決済処理装置を決定したら、対象決済処理装置から一定範囲内にある対象決済処理装置に対する利用者の位置を特定する。
【0153】
続いて、決済処理装置10は、データ提供部107において決済内容データを生成し、生成した決済内容データを決済管理装置30に送信する(ステップS107)。一方、携帯端末20は、決済方法決定部203において決済方法データを生成し、生成した決済方法データを決済管理装置30に送信する(ステップS207)。決済管理装置30は、送信された決済内容データ及び決済方法データを取得する。
【0154】
続いて、決済管理装置30は、取得した決済方法データにより示される決済方法と、決済内容データにより示される決済を、先に紐付けした決済処理装置10及び携帯端末20に対して、紐付け部303において紐付けする(ステップS303)。続いて、決済管理装置30は、紐付け結果として、決済処理装置10に紐付けた携帯端末20に対応付けられた利用者の利用者IDを決済処理装置10に送信する(ステップS305)。さらに、決済管理装置30は、紐付け結果として、携帯端末20に紐付けた決済処理装置10の端末識別データを携帯端末20にそれぞれ送信する(ステップS305)。
【0155】
紐付け結果を受信した決済処理装置10及び携帯端末20は、互いに決済処理を実行する(ステップS400)。決済処理の手順については、後にさらに説明する。続いて、決済管理装置30は、意思確認部304は、意思確認指示データを生成して決済処理装置10に送信し、利用者Cの商品購入意思の有無を確認する処理を決済処理装置10に実行させる(ステップS307)。
【0156】
意思確認指示データを受信した決済処理装置10は、利用者Cの商品購入意思を確認する処理を実行する(ステップS109)。利用者Cの商品購入意思を確認する処理については、後にさらに説明する。続いて、意思確認部108は、利用者Cが意思表示行動を行っており、利用者Cに商品購入意思があると判定した場合に、意思確認情報を生成して(ステップS111)、決済管理装置30に送信する。
【0157】
続いて、決済管理装置30は、決済処理装置10により送信される意思確認情報を受信した場合に、決済実行部305において決済指示データを生成し、生成した決済指示データを決済処理装置10及び携帯端末20に送信して決済の実行を指示する(ステップS309)。決済指示データを受信した決済処理装置10は、決済管理装置30の指示に応じて、決済実行部109において、決済を実行する。決済を完了した後、決済処理装置10は、決済完了データを生成して(ステップS113)、決済管理装置30に送信する。
【0158】
決済指示データを受信した携帯端末20は、決済管理装置30の指示に応じて、決済実行部209において、決済を実行する。決済が完了した後、携帯端末20は、決済完了データを生成して(ステップS209)、決済管理装置30に送信する。携帯端末20は、決済完了データを送信した後、スピーカから「決済が完了しました。」という音声を出力させて、決済の完了を利用者Cに報知する(ステップS211)。携帯端末20は、例えば、スピーカから音声を出力させるとともに、タッチパネルディスプレイに決済の完了を示すテキスト文字や画像などを表示してもよい。携帯端末20は、決済完了データを送信する前に決済の完了を利用者Cに報知してもよい。
【0159】
決済管理装置30においては、決済処理装置10及び携帯端末20により送信された決済完了データを受信した決済管理装置30は、決済管理部306において、決済の完了を確認し、ポイント加算処理を実行する(ステップS311)。決済管理部306は、ポイント加算処理として、まず、決済に関してポイント付与条件を満たすか否かを判定する。ポイント付与条件を満たさないと判定した場合には、利用者Cにポンとを付与せず、ポイント付与条件を満たすと判定した場合に、ポイント付与条件に応じたポイントを利用者Cに付与する。こうして、
図24に示す処理が終了する。
【0160】
続いて、
図25を参照しながら実施形態に係る決済処理装置及び携帯端末が実行する認証処理の一例を説明する。
図25は、実施形態に係る決済処理装置及び携帯端末が実行する認証処理の一例を示すシーケンス図である。認証処理においては、まず、決済処理装置10において、認証部206は、特徴検出情報の送信を要求する要求情報を決済処理装置10に送信する(ステップS401)。
【0161】
決済処理装置10は、要求情報を受信した場合に、特徴検出情報を生成するために、タブレット40の周囲をカメラ42により撮像し(ステップS403)、プロセッサ45に送信する。この段階では、対象者が特定されていない。続いて、決済処理装置10において、画像処理部103は、プロセッサ45における画像処理部103において、送信された画像の撮像範囲内のおける人物を特定し、撮像範囲内の人数が複数であるか否かを判定する(ステップS405)。
【0162】
撮像範囲内の人数が複数の場合には、画像処理部103は、その中から対象者を特定する(ステップS407)。画像処理部103は、例えば、撮像範囲の中央や正対位置にある者を対象者とする。画像処理部103は、その他の基準で対象者を特定してもよく、例えば、撮像範囲内で最も大きく映っている者を対象者としてもよいし、タブレット40に最も近い者を対象者として特定してもよい。撮像範囲内の人数が1人である場合には、その者を対象者として特定する(ステップS409)。
【0163】
続いて、画像処理部103は、対象者の顔を含む画像を画像処理することにより、対象者の顔特徴を抽出する(ステップS411)。続いて、特徴検出情報取得部104は、画像処理部103により抽出された顔特徴に基づいて、特徴検出情報を生成して取得する(ステップS413)。顔特徴は、カメラ42により撮像された画像を画像処理することにより得られる画像である。特徴検出情報送信部105は、特徴検出情報取得部104により取得された特徴検出情報を携帯端末20に送信する。
【0164】
一方、携帯端末20において、認証部206は、要求情報を送信した後、要求継続時間が経過する前に特徴検出情報を受信したか否かを判定する(ステップS415)。要求継続時間が経過する前に特徴検出情報を受信せず、要求継続時間が経過したと判定した場合、認証部206は、特徴検出情報の要求を中止し(ステップS417)、特徴検出情報を利用した方法以外の方法で利用者Cを認証した後、
図24のステップS309における決済の実行の指示があった後のステップS209に処理を進める。
【0165】
続いて、要求継続時間が経過する前に特徴検出情報を受信した場合、認証部206は、特徴記憶部205に記憶された利用者Cの特徴情報を読み出す(ステップS419)。続いて、認証部206は、特徴検出情報の顔情報を特徴情報の顔情報に照合し、両者の一致度が規定割合以上であるか否かを判定する(ステップS421)。
【0166】
両者の一致度が規定割合以上であると判定した場合、決済処理装置10は、対象者を利用者Cとして認証する(ステップS423)。両者の一致度が規定割合未満であると判定した場合、決済処理装置10は、対象者を利用者Cとして認証しない(ステップS425)。続いて、携帯端末20は、ステップS423及びステップS425における判定結果に基づいて認証結果を生成し、決済処理装置10及び決済管理装置30に送信する(ステップS427)。その後、携帯端末20は、
図24のステップS309における決済の実行の指示があった後のステップS209に処理を進める。
【0167】
決済処理装置10は、認証結果処理部106において、携帯端末20により送信された認証結果に基づいて、対象者が利用者Cと認証されたか否かを判定する(ステップS429)。認証結果処理部106は、対象者が利用者Cであると判定した場合、決済を許可し(ステップS431)、決済許可情報を決済管理装置30に送信して、決済処理装置10は、
図25の処理を終了する。
【0168】
認証結果処理部106は、対象者が利用者Cでないと判定した場合、決済を拒否する(ステップS433)。続いて、決済処理装置10は、画像処理部103において、撮像範囲内に他の者が映っているか否かを判定する(ステップS435)。撮像範囲内に他の者が映っていないと判定した場合、決済処理装置10は、決済を中止して(ステップS437)、
図25の処理を終了する。撮像範囲内に映っている他の者がある他の者があると判定した場合、決済処理装置10は、すでに判定した者を対象者の候補から除外して(ステップS439)、処理をステップS411に戻す。
【0169】
図26は、実施形態に係る決済処理装置を使用して商品の決済が実行される場面の一例を示す図である。例えば、決済処理装置10の前に第1対象者M1及び第2対象者M2が存在し、カメラ42の撮像範囲42F内に両者が入ることがある。この場合、決済処理装置10は、例えば、カメラ42の撮像範囲42Fの中央に位置する第1対象者M1を利用者Cと判定する。決済処理装置10は、第1対象者M1の携帯端末20との間で決済処理を行う。
【0170】
続いて、決済処理装置10において実行される利用者Cの商品購入意思を確認する処理について説明する。
図27は、決済処理装置において実行される利用者の商品購入意思を確認する処理の一例を示すフローチャートである。決済処理装置10は、利用者の購入意思を確認するにあたり、まず、カメラ42により撮像した対象者(=利用者C)の画像をタブレット40のタッチパネル41に表示する(ステップS501)。画像処理部103は、カメラ42により撮像された画像を画像解析して、利用者Cが映っているか否かを判定する。
【0171】
続いて、意思確認部108は、タブレット40におけるタッチパネル41の前に利用者Cが存在するか否かを判定する(ステップS503)。意思確認部108は、タッチパネル41の前に利用者Cが存在しないと判定した場合、利用者Cに支払い意思はないと判定して、決済処理を終了する。
【0172】
意思確認部108は、タッチパネル41の前に利用者Cが存在すると判定した場合、利用者Cがタッチパネル41の前に存在する存在時間を計測する(ステップS505)。意思確認部108は、計測した存在時間が一定時間を経過したか否かを判定する(ステップS507)。
【0173】
意思確認部108は、計測した存在時間が一定時間を経過したと判定した場合、利用者Cが意思表示行動を行っており、利用者Cに商品購入意思があると判定する(ステップS509)。意思確認部108は、計測した存在時間が一定時間を経過する前に、撮像範囲内の利用者Cが検出されなくなった場合に、利用者Cは意思表示行動を行っておらず、利用者Cに商品購入意思がないと判定する(ステップS511)。こうして、決済処理装置10は、
図27に示す処理を終了する。
【0174】
実施形態の決済管理システム1は、利用者を認証するにあたり、利用者Cの携帯端末20に記憶された特徴情報を利用している。このため、利用者Cの特徴情報を利用者の携帯端末20から外部に送信することなく利用者Cの認証を行うことができる。したがって、特徴情報を利用した認証の利便性と、特徴情報の流出を排除したプライバシー保護の両立を図ることができる。
【0175】
また、上記実施形態の決済管理システム1では、認証処理において、特徴検出情報を決済処理装置10が携帯端末20に送信し、携帯端末20において特徴検出情報を特徴情報に照合して認証処理を行っている。このため、認証のために携帯端末20を決済処理装置10にかざしたり突き合せたりする必要はなく、例えば、利用者Cは、カバンの中に携帯端末20を収容した状態で認証処理を済ませることができる。したがって、利用者Cに対する決済の利便性を更に高めることができる。また、複数の人物が決済処理装置10の近傍に存在し、カメラ42に撮像された画像内に映っていても、特徴検出情報を特徴情報に照合することにより、利用者Cを正確に特定することができる。
【0176】
また、上記実施形態の決済管理システム1では、決済が完了した後、決済が完了した旨をスピーカから音声で出力することで利用者Cに報知する。このため、利用者Cは、カバンなどに携帯端末20を収容した状態でも、決済の完了の報告を受けることができる。したがって、利用者Cに対する決済の利便性を更に高めることができる。
【0177】
また、上記実施形態の決済管理システム1は、携帯端末20が決済方法決定部203を備えており、決済方法決定部203により決定された決済方法で決済が実行され、決済方法決定部203により決定された決済方法が決済処理装置10に送信される。このため、利用者Cに対して、決済処理装置10に対して決済方法に関する情報を提供する手間を省かせることができる。
【0178】
したがって、例えば、決済処理装置10がいわゆる有人POSである場合には、決済方法を口頭で説明して決済方法を伝達する手間を省くことができる。あるいは、決済処理装置10が、セルフレジなどのいわゆる無人POSであり、上記実施形態の決済管理システムがない場合には、決済方法について、タッチパネルを操作したりキーボードを操作したりして決済方法を指定しなければならないところを、そのような操作を省かせることができる。よって、利用者Cに対する決済の利便性を更に高めることができる。
【0179】
さらに、携帯端末20に既定決済方法が記憶されており、既定決済方法で決済が行われる場合には、利用者Cの好みに応じた決済方法により決済を実行することができる。既定決済方法は、1つでなくとも、状況に応じて複数種類記憶されていてもよい。例えば、時間帯別に異なる既定決済方法が記憶されていてもよいし、決済を行う店舗や業種、ポイントの有無などの条件により異なる既定決済方法が記憶されていてもよい。
【0180】
上記の実施形態では、決済管理装置30の決済処理装置決定部302が、対象決済管理装置を決定するが、決済処理装置決定部302に代えてまたは加えて、決済処理装置10が決済の対象となる携帯端末20を決定する端末決定部を備えてもよい。この場合の端末決定部は、例えば、決済処理装置10に設けられてもよい。
【0181】
上記の実施形態では、決済処理装置10は、商品の販売者により操作される装置であるが、決済処理装置10は、商品の販売者以外の者、例えば利用者により操作される装置でもよい。また、決済処理装置10は、販売者や利用者などの操作を要することなく、例えば商品を載置するのみで自動的に決済を実行する装置でもよい。また、上記の実施形態では、商品に付された二次元コードを決済処理装置10に設けられたコードリーダにより読み込ませるが、商品に付された二次元コードは、例えば、利用者が購入する商品を選択しているときに、商品を収容する買い物かごや買い物かごを運搬するカートなどに設けられていてもよい。
【0182】
上記の実施形態では、認証処理において、携帯端末20が特徴検出情報を特徴情報に照合するが、この照合は、携帯端末20以外、例えば、決済処理装置10や決済管理装置30で行ってもよい。決済処理装置10において特徴検出情報を特徴情報に照合する場合には、携帯端末20が特徴情報を決済処理装置10に送信すればよい。この場合、例えば、第2信号に特徴情報を含ませることにより、ネットワーク網を介することなく特徴情報を決済処理装置10に送信できるので、利用者Cの特徴情報の流出の危険性を小さくすることができる。
【0183】
決済管理装置30において特徴検出情報を特徴情報に照合する場合、決済処理装置10により特徴検出情報を決済管理装置30に送信し、携帯端末20により特徴情報を決済管理装置30に送信すればよい。この場合、利用者Cの特徴情報がネットワーク網を介して決済管理装置30に提供されることが想定されるが、特徴情報として、利用者Cを特定する情報を排除した情報を生成して送信することにより、特徴情報自体はネットワーク網を通過しても、利用者Cのものであることを認識させないようにすることができる。したがって。その分利用者Cの特徴情報の流出の危険性を小さくすることができる。
【0184】
上記の実施形態では、決済処理装置10は、特徴検出情報を携帯端末20に送信するが、決済処理装置10は、カメラ42が撮像した画像を携帯端末20に送信してもよい。この場合、携帯端末20が画像処理部の機能を備えていればよく、携帯端末20において特徴検出情報を抽出して特徴情報に照合してよい。カメラ42が撮像した画像を携帯端末20に送信する場合には、データの送信量が多くなるので、画像を送信する場合よりも特徴検出情報を送信することで、データの転送量の軽減を図ることができる。
【0185】
上記の実施形態では、情報処理装置は決済処理装置10に用いられているが、情報処理装置は、その他の態様で用いられてもよい。情報処理装置は、例えば、イベントやアミューズメントシステムの入退場口、ショッピングセンター(ショッピングモール)、自動改札口、オフィスや自宅などのスマートキー、車両のドアなどに設けられてもよい。
【0186】
また、利用者に代えて、自動車の認証を行う情報処理装置を、例えば、駐車場の入退場口に設けてもよい。この場合、利用者Cを認証する顔特徴に代えて、例えば車両に取り付けられたナンバープレートに記載されたナンバーを用いてもよいし、ナンバーの一部と車種と色との組み合わせなどを用いてもよい。
【0187】
また、利用者Cの特徴情報は、利用者Cの携帯端末20に記憶されているが、利用者Cの特徴情報が利用者Cの携帯端末20に記憶されずに、外部装置、例えば、決済管理装置30やクラウド上の他のサーバ等の記憶部に記憶されていてもよい。この場合、利用者Cの携帯端末20を介することない利用者Cの特徴情報を利用した照合ができないようにするために、例えば、クラウド上のサーバに記憶される利用者Cの特徴情報にアクセスする条件が、利用者Cの携帯端末20を介することであるようにしてよい。
【0188】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0189】
1…決済管理システム、10(10-1、10-2、…、10-k)…決済処理装置、20…携帯端末、21,31,45,51…プロセッサ、22,32,46,52…主記憶装置、23,33,47,54…通信インターフェース、24,34,48,55…補助記憶装置、25,35,53…入出力装置、26…センサ、27…第2信号送信器、28…第2信号受信器、29,37,49…バス、30…決済管理装置、40…タブレット、40A…タブレット筐体、40B…第1コネクタ、41…タッチパネル、42…カメラ、43…第1信号送信器、44…第1信号受信器、50…筐体部、50A…筐体、60…ホルダ、60A…タブレット本体、61…第2コネクタ、100…電波送受信装置、101…第1信号送信部、102…第1信号受信部、103…画像処理部、104…特徴検出情報取得部、104…特徴検出情報取得部、105…特徴検出情報送信部、106…認証結果処理部、107…データ提供部、108…意思確認部、109…決済実行部、201…第2信号送信部、202…第2信号受信部、203…決済方法決定部、204…特徴検出情報受信部、205…特徴記憶部、206…認証部、207…認証結果送信部、208…データ提供部、209…決済実行部、210…完了報知部、301…データ取得部、302…決済処理装置決定部、303…紐付け部、304…意思確認部、305…決済実行部、306…決済管理部、307…ポイント管理部、C,C1,C2…利用者、D…通行者、F,F1,F2…販売者、NA,NB…ネットワーク、T…カウンタ