IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ Future Technology株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-エアロゾル吸引カートリッジ 図1
  • 特開-エアロゾル吸引カートリッジ 図2
  • 特開-エアロゾル吸引カートリッジ 図3
  • 特開-エアロゾル吸引カートリッジ 図4
  • 特開-エアロゾル吸引カートリッジ 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024106706
(43)【公開日】2024-08-08
(54)【発明の名称】エアロゾル吸引カートリッジ
(51)【国際特許分類】
   A24F 40/42 20200101AFI20240801BHJP
   A24F 40/465 20200101ALI20240801BHJP
【FI】
A24F40/42
A24F40/465
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023011111
(22)【出願日】2023-01-27
(71)【出願人】
【識別番号】721008039
【氏名又は名称】Future Technology株式会社
(72)【発明者】
【氏名】劉 凱鵬
【テーマコード(参考)】
4B162
【Fターム(参考)】
4B162AA03
4B162AA05
4B162AA22
4B162AB01
4B162AB12
4B162AB17
4B162AB23
4B162AB28
4B162AC13
4B162AC22
(57)【要約】
【課題】 通気性が良く、エアロゾル発生量の確保が可能なエアロゾル形成部材を提供することを目的とする。
【解決手段】 細長い円管状の外装部材17と、その内部に収納されたエアロゾル形成部材11と、を備え、エアロゾル形成部材は、筒形状の内装部材14と、その筒形状の内部に収納され、加熱することでエアロゾルを発生させる素材よりなる充填物13と、充填物13の内部に収納され、交番磁界に反応して熱を発生させる誘導加熱部材12とを有し、エアロゾル形成部材11は、側面視において、外装部材17の高さ方向に関して、それより短く、正面視において、その外径の最大寸法が外装部材17の内径より小さく、外装部材17の内部に、1個または2個以上収納されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
細長い円管状の外装部材と、
前記外装部材の内部に収納されたエアロゾル形成部材と、を備え、
前記エアロゾル形成部材は、筒形状の内装部材と、前記内装部材の筒形状の内部に収納され、加熱することでエアロゾルを発生させる素材よりなる充填物と、前記充填物の内部に収納され、交番磁界に反応して熱を発生させる誘導加熱部材とを有し、
前記エアロゾル形成部材は、側面視において、前記外装部材の高さ方向に関して、前記外装部材より短く、正面視において、その外径の最大寸法が前記外装部材の内径より小さく、前記外装部材の内部に、1個または2個以上収納されている、
ことを特徴とする、エアロゾル吸引カートリッジ。
【請求項2】
前記外装部材の内部と前記エアロゾル形成部材の隙間に、前記エアロゾル形成部材の位置を固定するための固定部材を備える、
ことを特徴とする、請求項1に記載のエアロゾル吸引カートリッジ。
【請求項3】
前記固定部材は、香味成分を封入したカプセルである、ことを特徴とする、請求項2に記載のエアロゾル吸引カートリッジ。
【請求項4】
前記エアロゾル形成部材は、正面視において、楕円状の形状をしている、
ことを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載のエアロゾル吸引カートリッジ。
【請求項5】
前記エアロゾル形成部材は、前記外装部材の内部に2個以上収納され、少なくとも1個の前記エアロゾル形成部材の前記充填物の成分が、他のエアロゾル形成部材の前記充填物の成分と異なる、
ことを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載のエアロゾル吸引カートリッジ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、誘導加熱式向けのエアロゾル吸引カートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、火炎を用いることなく、タバコの成分を含むタバコカートリッジを加熱して、気化したタバコ成分を吸引する方式のタバコ製品が広く知られている。また、嗜好の多様化から、タバコ成分を含まない植物の芳香や味わいを、タバコ同様に火炎を用いずに楽しむためのカートリッジ製品を使用したエアロゾル吸引カートリッジも知られ始めている。
【0003】
このようなエアロゾル吸引カートリッジは、エアロゾル形成基材の内部の充填物を加熱することで、エアロゾルを発生させる。エアロゾル形成基材の加熱方法として、(1)加熱装置内部に設置された加熱ブレードに、エアロゾル吸引カートリッジを挿入して、加熱ブレードを電気的に加熱することで充填物を加熱する方式(抵抗加熱式)(例えば特許文献1参照)、(2)エアロゾル形成基材の内部に予め強磁性体を主成分とした部品である誘導加熱部材を配置して、誘導加熱装置で発生させた交番磁界により、誘導加熱部材内部にヒステリシス損及びジュール熱を発生させて加熱(誘導加熱)することで、充填物を加熱する方式(誘導加熱式)が知られている(例えば特許文献2参照)。
【0004】
ここで、エアロゾル吸引カートリッジにおいては、通気性が悪い場合には、吸引抵抗が高くなり、使用しづらくなるため、通気性の確保が問題となっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表2015-519915号公報
【特許文献2】特開2021-175399号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、通気性が良く、エアロゾルの発生量を確保できるとともに、吸引抵抗が低いエアロゾル吸引カートリッジを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、細長い円管状の外装部材と、前記外装部材の内部に収納されたエアロゾル形成部材と、を備え、前記エアロゾル形成部材は、筒形状の内装部材と、前記内装部材の筒形状の内部に収納され、加熱することでエアロゾルを発生させる素材よりなる充填物と、前記充填物の内部に収納され、交番磁界に反応して熱を発生させる誘導加熱部材とを有し、前記エアロゾル形成部材は、側面視において、前記外装部材の高さ方向に関して、前記外装部材より短く、正面視において、その外径の最大寸法が前記外装部材の内径より小さく、前記外装部材の内部に、1個または2個以上収納されている、ことを特徴とする、エアロゾル吸引カートリッジである。
請求項2に記載の発明は、前記外装部材の内部と前記エアロゾル形成部材の隙間に、前記エアロゾル形成部材の位置を固定するための固定部材を備える、ことを特徴とする、請求項1に記載のエアロゾル吸引カートリッジである。
請求項3に記載の発明は、前記固定部材は、香味成分を封入したカプセルである、ことを特徴とする、請求項2に記載のエアロゾル吸引カートリッジである。
請求項4に記載の発明は、前記エアロゾル形成部材は、正面視において、楕円状の形状をしている、ことを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載のエアロゾル吸引カートリッジである。
請求項5に記載の発明は、前記エアロゾル形成部材は、前記外装部材の内部に2個以上収納され、少なくとも1個の前記エアロゾル形成部材の前記充填物の成分が、他のエアロゾル形成部材の前記充填物の成分と異なる、ことを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載のエアロゾル吸引カートリッジである。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、外装部材の内部とエアロゾル形成部材との間に、隙間が形成されるので、通気性が向上してエアロゾルの発生量を確保できるとともに、吸引抵抗を減少させることが可能となる。また、隙間に位置固定部材が設けられているので、エアロゾル形成部材の位置安定性を向上させることが可能となる。さらに位置安定部材に、香味成分が封入されたカプセルを使用することで、使用者が味の変化を楽しむことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施の形態に係るエアロゾル吸引カートリッジの概略の側面断面図(a)と正面断面図(b)である。
図2】本発明の実施の形態に係るエアロゾル吸引カートリッジの概略の正面断面図(b)である。
図3】本発明の実施の形態に係るエアロゾル吸引カートリッジの概略の正面断面図(b)である。
図4】本発明の実施の形態に係るエアロゾル吸引カートリッジの概略の側面断面図(a)と正面断面図(b)である。
図5】本発明の実施の形態に係るエアロゾル吸引カートリッジの概略の側面断面図(a)と正面断面図(b)である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施の形態について、添付の図面を参照しながら説明する。なお、図面において、図面中の各部の構成の大きさ、間隔、数、その他詳細は、視認と理解の助けのために 、実際の物に比べて大幅に簡略化して表現している。
【0011】
図1は、実施の形態に係るエアロゾル吸引カートリッジ1の概略の側面断面図(a)と正面断面図(b)である。エアロゾル吸引カートリッジ1は、細長い円管状の外装部材17と、その内部にエアロゾル形成部材11と、支持部材15と、フィルタ16と、フィルタ16の反対側の端に配置されるシール部材18とが直線的に配列され、細長い円柱形状に形成されている。
【0012】
外装部材17は、紙等の柔軟な素材で形成されているが、円筒形状に形成した場合には、その形状を保持できる程度の硬さを有することが好ましい。ここで、「細長い」とは、立体形状において、ある一方向が、他の方向より長いことを意味する。本実施の形態において、「細長い円柱形状(円筒形状)」とは、円柱(円筒)の底面である円の直径より、円柱(円筒)の長手方向である高さ(すなわち底面に垂直な成分)の方が長いことを意味する。以降の実施の形態においても同様である。
【0013】
エアロゾル形成部材11は、筒形状の内装部材14と、その筒形状の内部に収納され、加熱することでエアロゾルを発生させる素材よりなる充填物13と、さらにその内部に収納され、交番磁界に反応して熱を発生させる誘導加熱部材12とを有する。
【0014】
本実施の形態におけるエアロゾル吸引カートリッジ1は、直径が4.0mm~7.5mm、より好ましくは5.0mm~7.0mm、(円柱の高さ方向の)長さが40mm~80mmに形成される。エアロゾル吸引カートリッジ1の外径を6.5~7.5mmの範囲に設定すれば、誘導加熱装置に設けられたエアロゾル吸引カートリッジ1を差し込む挿入部と適度な力で嵌合するため、エアロゾル吸引カートリッジ1を誘導加熱装置に好適に保持させることを可能にしつつ、エアロゾル吸引カートリッジ1の着脱を容易にすることができる。エアロゾル吸引カートリッジ1の長さを40mm以上に設定すれば、誘導加熱装置に設けられたエアロゾル吸引カートリッジ1を受け入れる挿入部の長さよりも長くなるので、エアロゾル吸引カートリッジ1を誘導加熱装置に差し込んでも、吸口を誘導加熱装置から露出させることができ、使用者がエアロゾルを吸引するのに必要な長さを確保可能となる。
【0015】
エアロゾル形成部材11は、図1に示すように、円筒形状の内装部材14の内部に収納され、外部の交番磁界に反応して熱を発生させる誘導加熱部材12と、エアロゾル発生源である素材からなる充填物13を備える。
【0016】
内装部材14は、外装部材17と同様に、柔軟性を有するシート状の紙や樹脂などを素材として、これを円筒形状に巻くことで形成されている。ここで、エアロゾル形成部材11で発生したエアロゾルを効率よくフィルタ側に流通させるために、内装部材14の円筒の側面に1個または複数の通気用の開口(図示略)が形成されていることが好ましい。
【0017】
また、エアロゾル形成部材11は、側面視においては外装部材17の長手方向である高さ方向に関して、外装部材より短く、正面視において、その外径の最大寸法が外装部材17の内径より小さいことが好ましく、外装部材17の内部に、1個または2個以上収納されていることが好ましい。
【0018】
エアロゾル形成部材11の(円筒の高さ方向の)長さは概ね10~30mmに設定されているのが好ましい。また、外径は、中心軸に沿って概ね一定の値となっている。この外径の大きさは、例えば4.0mm~7.5mmの範囲が好ましく、さらに好ましくは5.0mm~7.0mmの範囲である。
【0019】
また、前述の通り、エアロゾル形成部材11の外径の最大寸法は外装部材17の内径より小さく設定されるため、その間には図の様に隙間が生じるので、エアロゾル形成部材11の外側を外装部材17の内側に接着したり、位置を固定するための固定部材19を備えたりすることが好ましい。
【0020】
固定部材19は、図1の様に後述する香味成分を含む風味添加剤が封入されている球状のカプセルを1個または2個以上使用しても良い。この場合、使用者はカプセルを手や口で押圧して破壊する破壊することができ、風味添加剤の芳香成分を揮発させることが可能となる。また、図2の様に非球状の細長いカプセルを1個または2個以上使用しても良い。また、図4の様にカプセル以外の固形物を固定部材19として使用してもよい。例えば、固定部材19は多彩な材質を使用することができるが、特に後述する支持部材15やフィルタ16と同じ材質を使っても良い。さらに、外装部材17の内壁と内装部材14の外側にフィットするように柔軟性や可撓性を有する素材であることが好ましい。この場合、固定部材19の形状は、球状に限らず、シート状、直方体上、チューブ状等多彩な形状を取ることができるし、スポンジ状、多孔質状のものでもよい。また、シート状の場合は捲縮して前述の隙間に収納することも好ましい。
【0021】
なお、固定部材19は前述の隙間の全てを埋め尽くしている必要はなく、エアロゾル形成部材11が外装部材17の内部で不安定にならなければ図1のように間隔をあけて収納されていてもよい。
【0022】
また、図3(a)のように、固定部材19の代わりに外装部材17の内部にエアロゾル形成部材11を2個以上収納してもよい。この場合でも2個以上のエアロゾル形成部材11と固定部材19を併用してもよい。また、図3(b)のように、収納されたエアロゾル形成部材11の一部または全部が、正面視において、楕円状や扁平形状、半円状の形状をしていてもよい。この場合、より多くの充填物13をエアロゾル形成部材11の内装部材14の内部に収納できるので、発生するエアロゾルを増加させることが可能となる。
【0023】
また、エアロゾル形成部材11が外装部材17の内部に2個以上収納されている場合には、そのうちの少なくとも1個のエアロゾル形成部材11の充填物13の成分が、他のエアロゾル形成部材11の充填物13の成分と異なっていてもよい。この場合、異なる種類の充填物13からそれぞれエアロゾルが発生するので、より複雑な味わいを楽しむことが可能となる。
【0024】
<充填物13について>
充填物13は、乾燥・粉砕されたタバコ植物または非タバコ植物に、エアロゾルを発生させるエアロゾルフォーマや、微結晶セルロース、風味を追加する添加剤、保存料、粘着剤または増粘剤等を混合し、シート状に成形した上で、所定の幅及び長さを有するように切断されることで形成された素材よりなる。なお、充填物13は多様な形状を有してもよい。例えば、シート状、短冊状、ペースト状に形成されても良いし、顆粒状に形成されてもよい。さらにこれらの形状が混合していても良い。
【0025】
なお、充填物13を短冊状で構成した場合、中心軸に直交する断面は略長方形状であり、その断面の長辺と短辺の比は、例えば、1:1~30:1の範囲であることが好ましい。長辺の長さは、0.1mm~7.5mmの範囲が好ましく、さらに好ましくは、0.1mm~3.0mmの範囲である。短辺の長さは、0.1mm~1.0mmの範囲が好ましく、さらに好ましくは0.1mm~0.5mmの範囲である。また、充填物13の長さは、エアロゾル形成部材11の高さ方向の長さと略同一、例えば10mm~25mmの範囲が好ましく、さらに好ましくは10mm~20mmの範囲である。このような充填物13の寸法の一例を挙げると、長辺が1.5mm、短辺が0.3mm、長さが12mmである。
【0026】
また、充填物13を粉末状または粒状にする場合には、上記組成物について、適宜粉砕若しくは分級を行うことが好ましい。粉末状または粒状の充填物13における直径の平均は、例えば0.1~3.0mmであることが好ましく、0.5mm以下であることがより好ましい。
【0027】
次に、充填物13として用いられる原料の具体例について説明する。充填物13は、以下に示す原料のうち任意の1つまたは複数の組み合わせで構成される。
【0028】
充填物13は、タバコ植物または非タバコ植物を原料とする。タバコ植物としては、タバコ葉、タバコ茎、膨張タバコ、均質化タバコ等が挙げられる。非タバコ植物としては、タバコ植物以外の植物が挙げられる。非タバコ植物の好ましい部位としては、葉、果肉、種子、根(鱗根、塊根等)、茎、塊茎、皮(茎皮、樹皮等)、花(花弁、雄蕊、雌蕊等)、幹、枝等が挙げられる。
【0029】
なお、本明細書でいう「植物」とは動物に対する一群を意味し、草および木等のように、根があって場所が固定されて生きているような生物以外に、微細藻類および海藻等のような藻類、キノコ等の菌類等をも含む。
【0030】
充填物13は、例えば、乾燥・粉砕された非タバコ植物に、エアロゾルを発生させるエアロゾルフォーマ、微結晶セルロース、風味を追加する風味添加剤、保存料、結着剤または増粘剤等を適宜混合し、粉砕若しくは分級して粉末状または粒状にしたり、ペースト状に成形されても良い。また、充填物13は、シート状に成形した上で、所定の幅および長さを有するように切断して短冊状または棒状とされても良い。ここで、また、シートの厚さは、0.1mm~1.0mmの範囲が好ましく、さらに好ましくは0.1mm~0.5mmの範囲である。また、充填物13は、シート状、短冊状、粒状、粉状、ペースト状のうちいずれか一種類でもよいし、これらのうち二種以上を混合したものであってもよい。
【0031】
充填物13がシート状の場合には、その形状は一辺の長さがエアロゾル形成部材11高さ方向の長さと略同じで、他方の辺がそれより長い、長尺の四角形状であることが好ましい。また、シートの厚さは、前述と同様に0.1mm~1.0mmの範囲が好ましく、さらに好ましくは0.1mm~0.5mmの範囲である。この形態にすることで、後述する捲縮や変形がしやすくなる。ここで、充填物13の長手方向の辺の長さは、誘導加熱部材12とともに捲縮や変形をした状態で、内装部材14の円筒の内部の空間に収納可能な長さであることが好ましく、空間の容積と略同じになる長さであることがさらに好ましい。さらに、捲縮や旋回などの変形をしやすくするために、ある程度の深さを有する線を形成することが好ましい。ここで線の深さは、シートの厚さと同じにして(すなわちシートに貫通孔を形成する)、スリット形状の線を形成しても良いし、シートの厚さ未満として(すなわちシートに非貫通孔を形成する)トレンチ形状の線を形成してもよい。
【0032】
また、非タバコ植物が原材料である場合は、茶葉を使用できる。茶葉は茶になる植物が異なるだけでなく、同じ植物であっても加工法によって異なる茶葉になる。具体的には、たとえば、日本茶、紅茶、ウーロン茶等が挙げられる。
【0033】
エアロゾルフォーマは、例えばグリセリン、プロピレングリコール等が好ましく使用される。
【0034】
次に、微結晶セルロースとは、例えば、繊維性植物のパルプから得られたα-セルロースを酸で部分的に解重合したものとして得られるものであり、セルロースから可溶性部分を取り除き、適宜、不溶性部分を結晶化したものである。
【0035】
微結晶セルロースは、粉体のままでも良いし、水などの溶媒に分散させて懸燭液でも良い。この場合、溶媒ヘの分散は、高速攪拌機や高圧ホモジナイザーなどが使用できる。
【0036】
さらに、必要に応じ充填物13として風味を追加する風味添加剤も用いられる。風味添加剤としては、はっか、ココア、コーヒー、紅茶のエキス、茶抽出物のカテキンの粉末等が挙げられる。保存料としては食品に使用されるものが好ましく、例えば、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、安息香酸、安息香酸ナトリウム等が挙げられる。
【0037】
結着剤または増粘剤としては、グアーガム等のゴム、ヒドロキシプロピルセルレロースなどのセルロース結合剤、デンプンなどの有機酸の共役塩基塩などの多糖類、およびこれらの組み合わせが挙げられる。
【0038】
ここで、ペースト状に形成する場合には、粉末状または粒状の組成物に増粘剤や水などを適量添加して混練することで流動性を付与することができる。
【0039】
また、充填物13の表面に粘着性を付与する場合は、粘着性を付与できる手段であれば特に限定されないが、既述の結着剤を少なくとも一部に付着させれば良い。粘着性を付与することで、短冊状または棒状の充填物13と粉末状、粒状またはペースト状の充填物13と組み合わせる場合に、短冊状または棒状の充填物13の表面に粉末状、粒状またはペースト状の充填物13を安定して保持することができる。
【0040】
また、充填物13の内部または表面に、酸化防止剤を含有または塗布することで、充填物13の成分(特に植物)の酸化による変質や、誘導加熱部材12の錆を防止又は抑制することができるので好ましい。酸化防止剤の種類としては、亜硫酸ナトリウム、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、L-アスコルビン酸(ビタミンC)、ビタミンEなどが好ましい。さらに、前述したカテキンも酸化防止効果を有するので好ましい。カテキンは緑茶の茶葉特有の成分であり、緑茶の茶葉にはエピガロカテキン、エピガロカテキンガレート、エピカテキン、エピカテキンガレートが含まれる。すなわち、カテキンを含む茶葉(例えば緑茶)を充填物13の成分として使用する場合には、さらにカテキンを添加することで、さらなる酸化防止効果を得ることが可能である。例えば、緑茶の場合、その成分の約80%がカテキン由来であると考えられるので、充填物13に含まれる緑茶の茶葉の重量の80%以上に相当する重量のカテキンを充填物13中に含有させることで、さらなる酸化防止効果を得ることが可能となる。また、緑茶に含まれるカテキンのうち、エピガロカテキンガレートが約60%、エピガロカテキンが約20%、エピカテキンガレートが約13%、エピカテキンが約7%とされる。ここで特に酸化防止機能が高いエピガロカテキンガレートを増量させることが、酸化防止機能の向上にさらに効果的である。充填物13にカテキンを含まない植物を使用する場合には、充填物13中のカテキン特にエピガロカテキンガレートを添加することが効果的である。この場合、植物の重量の80%以上の重量のカテキン(特にエピガロカテキンガレート)を添加することで、緑茶を使用した場合と同等以上の酸化防止機能を得ることが可能となる
【0041】
<誘導加熱部材12について>
誘導加熱部材12は、例えば図1のように細長い平板状の素材を加工したものである。この平板は、厚さが0.05~0.5mmが好ましく、さらに好ましい厚さは0.1~0.3mmである。長さは誘導加熱部材12の一面が、エアロゾル形成部材11の底面に対して同一面上に露出していることが好ましい。また、エアロゾルの形成を阻害しない程度、底面に埋没していても良い。具体的には1~3mm程度が好ましい。
【0042】
誘導加熱部材12の素材は、強磁性体を含む金属材料で形成される。強磁性体は、外部磁界を加えると外部磁界と同じ方向の磁性を強く帯び、特に磁石に吸着する性質を持つ素材であり、例えば、強磁性体の材料である鉄、フェライト鉄、フェライト粉末、フェライト粒子、フェライト系やマルテンサイト系ステンレス(例えばSUS430、SUS410)の様な磁性を有するステンレス鋼、ニッケル、ニッケル鉄合金(例えば42アロイ、36インバー)、あるいはコバルト等が挙げられる。強磁性体の比透磁率は、1よりも極めて大きく、例えば、鉄であれば5000程度であり、ニッケルであれば600程度であり、コバルトであれば250程度であり、フェライト系ステンレスであれば1000~1800程度である。
【0043】
磁性体のうち常磁性体は、外部磁界を加えると外部磁界と同じ方向の磁気を弱く帯び、外部磁界をゼロにすると磁気を帯びなくなる材料であり、例えば、アルミニウム、白金およびマンガン等が挙げられる。常磁性体の比透磁率は1よりもわずかに大きく、例えば、アルミニウムであれば1.000021程度であり、白金であれば1.000265程度であり、マンガンであれば1.000830程度である。
【0044】
また、磁性体のうち反磁性体は、外部磁界を加えると外部磁界と反対方向の磁気を帯び、外部磁界をゼロにすると磁気を帯びなくなる材料であり、例えば銅、グラファイト、ビスマス等が挙げられる。反磁性体の比透磁率は、1よりもわずかに小さく、例えば、銅であれば0.999990程度であり、グラファイトであれば0.99980程度であり、ビスマスであれば0.999834程度である。
【0045】
強磁性体は、向きや大きさが時間と共に変化する磁界(交番磁界)内部に置いたとき、電磁誘導により流れる渦電流によるジュール熱が発生するだけでなく、強磁性体内部の磁化の向きが変化するときに発生するエネルギー損失(ヒステリシス損)に起因する熱が発生するため、常磁性体や反磁性体に比べて容易に誘導加熱ができ、エアロゾル吸引カートリッジ1を十分に加熱できる。
【0046】
また、強磁性体がその磁気秩序を失い、常磁性体に転移する温度であるキュリー温度は、例えば、ニッケルであれば358℃程度である。そのため、エアロゾル吸引カートリッジを例えば200℃の高温で加熱する際にも、加熱温度がキュリー温度に達することはなく、強磁性体としての性質を維持でき、エアロゾル吸引カートリッジ1を安定して加熱できる。
【0047】
誘導加熱部材12の素材は、強磁性体の材料である、鉄、フェライト鉄、フェライト粉末、フェライト粒子、フェライト系ステンレス、強磁性鋼、ステンレス鋼、ニッケル、コバルト、またはこれらを組み合わせた金属材料を採用してもよい。例えば、フェライト系ステンレスとニッケルを組み合わせたもの等が挙げられ、より好ましくは、鉄、クロム、アルミを組合せた合金(鉄クロムアルミ合金)である。
【0048】
ここで、鉄及びクロムの温度と磁性の関係性について説明する。鉄は、キュリー温度が約770℃、クロムは、反強磁性体から常磁性体に変わる温度であるネール温度が約35℃である。
【0049】
また、誘導加熱部材12は、強磁性体を主成分として含む金属材料によって構成されてもよく、例えば強磁性体を、好ましくは60%以上、さらに好ましくは80%以上含む合金である強磁性合金を採用してもよい。例えば、ニッケル合金あるいはニッケル鉄合金等が挙げられる。この場合でも、強磁性体が誘導加熱されることで、エアロゾル吸引カートリッジ1を十分に加熱できる。なお、強磁性体の代わりに、常磁性体および反磁性体を含む金属材料を用いてもよい。この場合でも誘導加熱自体は可能である。ただし、加熱時間の短縮化や消費電力の低減の観点から強磁性体を含む金属材料を用いる方が好ましい。
【0050】
また、誘導加熱部材12は、その一部または全部がシート状の素材が捲縮する形態をとってもよい。例えば、エアロゾル形成部材の高さ方向視(すなわち円柱の正面視)したときに、旋回状すなわち渦巻形状に捲縮してもよい。また、交互に重なった折り畳み形状に捲縮してもよい。さらに、旋回状、折り畳み形状やその他の形状が組み合わされた、不規則形状であってもよい。
【0051】
また、充填物13も同様の視点で見たときに、その一部または全部が薄膜状(シート状)の素材が捲縮する形態をとり、誘導加熱部材12は、その一部または全部が充填物13に接触しながら追従して捲縮した形状を形成してもよい。従って、充填物13も、誘導加熱部材12と同様に、旋回状、折畳形状であったり、旋回状、折畳形状やその他の形状が組み合わされた、不規則形状であったりしてもよい。このような構成の場合、シート状の誘導加熱部材12が充填物13に接触しながら追従しているので、両者の接触面積が大きくなり、加熱効率を向上させてエアロゾル発生が増進される。
【0052】
また、誘導加熱部材12は、充填物13の全部に対して追従している必要はなく、一部でも良い。さらに、エアロゾル形成部材11の高さ方向で考えたとき、誘導加熱部材12と充填物13の形状は常に一様である(例えば一定の渦巻状など)必要はなく、変化していても良い(例えば、あるところの正面断面視では渦巻状であるが、別のところの正面断面視では不規則な形状をしているなど)。
【0053】
ここで、誘導加熱部材12は、錆による発熱機能の低下を抑制するために、その表面の一部または全部に防錆層が形成されていることが好ましく、全部に形成されていることがさらに好ましい。
【0054】
ここで、防錆層の種類としては、例えば蝋材膜、リン酸塩皮膜、酸化鉄皮膜が考えられる。これらは誘導加熱部材12が高温状態になった場合でも、人体に有害な物質を発生させないので、防錆層の素材として好ましい。また、そのうちの1種類に限られず、2以上の種類を組み合わせとしても良い。
【0055】
蝋材膜の場合、その素材としては、蜜蝋、ハゼ蝋、サトウキビ蝋、鯨蝋、羊毛蝋のような蝋材料が考えられ、その膜を、誘導加熱部材12の表面に形成する。塗布の方法は、溶融した蝋材料を、例えば通常の刷毛塗したり(刷毛塗法)、誘導加熱部材12を浸漬したり(ディップコーティング法)、吹き付けたり(吹付法)することで塗布できる。膜厚は特に制限はないが、薄すぎると十分な防錆効果が得られなくなり、一方で熱すぎると、充填剤の加熱に影響があり、エアロゾルの発生を阻害する恐れがあるので、適正な厚さに設定することが好ましい。具体的には0.005mm~1mmが好ましく、0.01~0.5mmがさらに好ましい。
【0056】
リン酸塩皮膜は、リン酸鉄、リン酸亜鉛、リン酸カルシウム、リン酸マンガンなどのリン酸塩の溶液を用いた化学処理(リン酸塩処理)により、金属の表面に化学的に金属表面に化学的に生成した皮膜であり、金属の腐食を防止する機能を有する。ここで、リン酸塩
処理の標準的な工程は、被処理物に対して、(1)アルカリ脱脂、(2)水洗、(3)リン酸塩による化成処理、(4)水洗、(5)乾燥工程を有することが好ましい。リン酸塩による化成処理は、一般に処理する金属をリン酸塩溶液に浸漬して行うが、その他例えばリン酸塩溶液を吹き付けてもよい。リン酸塩皮膜の厚さは、処理時間の長さに伴い変化するが、1μm~20μmが好ましい。
【0057】
リン酸塩処理により、誘導加熱部材12の表面の一部または全部にリン酸塩皮膜を形成することで、誘導加熱部材12の防錆能力の向上が可能となる。
【0058】
また、金属表面に人工的に酸化鉄皮膜を形成することで、錆の発生を防止または抑制することも可能である。ここで酸化鉄皮膜はいわゆる黒錆といわれる四酸化三鉄(Fe)が、安定した不働態膜を形成するので好ましい。四酸化三鉄の膜を形成する標準的な工程は、被処理物に対して、(1)アルカリ脱脂、(2)水洗または湯洗、(3)140~150℃のアルカリ水溶液(苛性ソーダが好ましい)、(4)水洗または湯洗、(5)乾燥工程を有することが好ましい。また、酸化被膜の厚さは概ね1~2μm程度である。
【0059】
支持部材15は、エアロゾル形成部材11の支持部材15側への移動や外装部材17の折れ曲がりを抑制するとともに、エアロゾル形成部材11で発生したエアロゾルを含む気流をフィルタ16側に流通させる。支持部材15は、例えば円柱状に形成され、その高さ方向の軸がエアロゾル吸引カートリッジ1の中心軸に沿うようにエアロゾル形成部材11とフィルタ16との間に配置される。支持部材15は、例えば、直径が4.0mm~7.5mm、中心軸に沿った長さが50mm以下に形成される。なお、支持部材15は、適宜機能および構成に応じて上記とは異なる寸法を有していてもよい。本実施の形態では、樹脂材で形成された支持部材本体に、空気の流路となる挿通孔が形成された形態である。支持部材15を形成する素材としては、例えば、ポリプロピレン、ポリ乳酸、シリコーン、金属のようなものが挙げられる。また、これらの材質をシート状にしたものや紙を捲縮させたものでもよい。
【0060】
フィルタ16は、円柱状に形成されており、高さ方向の長さは、10~50mmに設定されている。フィルタ16の素材は、例えば紙等を用いて形成される。また、紙からなるシート状の部材を巻いて円柱状に設けられてもよいし、微粒子を取り除くセルロースアセテートフィルタ等を含んでいてもよい。また、シリコーンを含む多孔質材料で形成されてもよい。フィルタ16は、エアロゾル形成部材11で生成された水蒸気やエアロゾル中の微粒子の一部を濾過する機能を有する白色のフィルタである。なお、充填物13が非タバコ植物を原料としている場合、フィルタ16は必ずしも必要ではない。
【0061】
次に、シール部材18は、円柱状に形成され、例えば直径が4.0mm~7.5mm、高さ方向の長さが3.0~7.0mmに設定されることが好ましい。シール部材18は、フィルタ16と同様に、例えば紙からなるシート状の部材を巻いて円管状に設けられてもよいし、通気性を有する紙を内装部材14の端に貼り付けてもよい。シール部材18は、カートリッジの外部からエアロゾル形成部材11に向かって空気を通過させる機能を有する。また、シール部材18は、エアロゾル形成部材11で生成された水蒸気やエアロゾルのうち、エアロゾル形成部材11に留まって液化した残留液を吸収することができる。また、エアロゾル形成部材11が、シール部材18側へ移動することを抑制する機能も有する。このシール部材18は、フィルタ16とは異なる色(例えば黒)にすることで、エアロゾル吸引用カートリッジ10の上流側と下流側を簡単に判断可能にすることができる。また、通気性を向上させるために、エアロゾルの通路となる貫通孔を設けても良い。
【0062】
この発明によれば、外装部材17の内部とエアロゾル形成部材11との間に、隙間が形成されるので、通気性が向上してエアロゾルの発生量を確保できるとともに、吸引抵抗を減少させることが可能となる。また、隙間に位置固定部材19が設けられているので、エアロゾル形成部材11の位置安定性を向上させることが可能となる。さらに位置安定部材19に、香味成分が封入されたカプセルを使用することで、使用者が味の変化を楽しむことが可能となる。
【0063】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本願発明の範囲は以上の実施の形態に限られるものではなく、これと同視しうる他の形態に対しても及ぶ。
【0064】
例えば、エアロゾル形成部材11に含まれる誘導加熱部材12は一個に限られず、複数個含まれていてもよい。これにより、エアロゾル発生効率の向上が可能となる。
【0065】
誘導加熱部材12は必ずしも平板状である必要はなく、棒状、円柱状、筒状、粒子状、多孔質状、シート状、L字形状、V字形状その他多彩な形状とその組み合わせの形状とすることも可能である。
【0066】
また、充填物13は、シート状、短冊状、ペースト状、粒状または粉状、多孔質状、棒状など様々な形態を含んでもよい。
【0067】
また、外装部材17の内側に、内装部材14を接着してエアロゾル形成部材11を固定するときには、必ずしも位置固定部材19は必要とせず、図5の様に位置固定部材19を備えずに、外装部材17の内部とエアロゾル形成部材11の隙間を空洞のままとしていてもよい。この場合、部品点数を減らすことができ、生産コストの削減が可能となる。
【0068】
また、エアロゾル形成部材11を、外装部材17の内部の片側に偏芯させる必要は必ずしもなく、外装部材17の中心にエアロゾル形成部材11を配設してもよい。この場合、位置固定部材19をエアロゾル形成部材11の周囲に複数個設置することが好ましい。
【0069】
また、誘導加熱部材12を設置しないことで、抵抗加熱式の加熱装置で使用することも可能である。
【0070】
また、固定部材19がカプセルの場合には、破壊することでカプセルから漏出した風味添加剤が、外装部材17の外にまで漏洩しないように、固定部材19をスポンジや綿またはフィルタ16と同じ素材といった吸水性のある素材で予め包んでおくと効果的である。
【0071】
これ以外にも、支持部材15やシール部材18は、エアロゾル形成部材11が移動することが無い場合には、必ずしも設置する必要はない。例えば、フィルタ16をエアロゾル形成部材11と隣接させたり、支持部材15のあった場所を空間とし(すなわち、エアロゾル形成部材11とフィルタ16の間が全て空洞となっている)たりしてもよい。これにより、部品点数の削減ができるので、コスト削減に有効である。特に空間を設ける場合は、通気性の向上に有効である。また、シール部材18や支持部材15がなくなることで、エアロゾル形成部材11を長くすることもできるので、使用者の使用感を向上させることが可能となる。
【0072】
さらに、外装部材17は、必ずしも一体的ではなく、2つ以上の外装要素を接合して用いても良い。例えば、シール部材18と、エアロゾル形成部材11と支持部材15を筒状の外装要素に収納し、ここにフィルタ16をシート状の外装要素で巻いて一体化して円柱状に形成する形態でもよい。なお、この場合、筒状の外装要素とシート状の外装要素をもって、外装部材17となる。一方で、別に外装部材17を使う必要は必ずしもなく、内装部材14を、エアロゾル吸引カートリッジ1と同程度に長く形成して、内装部材14の円筒の内部にシール部材18、支持部材15及びフィルタ16をエアロゾル形成部材11と一緒に収納することで、エアロゾル吸引カートリッジ1を形成することが可能であり、これによりさらなる製造工程の簡略化と製造コストの低減を図ることが可能である。
【0073】
なお、充填物13の原材料である茶葉は、実施の形態に挙げたもの以外に、一般に使用されている全ての茶葉を使用できる。また、これら茶葉については飲用後の茶殻を使用しても良い。茶殻などを使用すれば高価な茶葉などを再利用して有効活用できる。
【0074】
また、上記に例示した非タバコ植物の抽出物、所謂エキスや加工品も使用することができる。抽出物の形態としては、液体、水あめ状、粉末、顆粒、溶液等が挙げられる。
【0075】
また、充填物13の原料としてのエアロゾルフォーマは、実施の形態に挙げたもの以外に、ソルビトール、トリエチレングリコール、乳酸、ジアセチン(グリセリンジアセタート)、トリアセチン(グリセリントリアセタート)、トリエチレングリコールジアセタート、クエン酸トリエチル、ミリスチン酸イソプロピル、ステアリン酸メチル、ドデカンジオン酸ジメチル、テトラデカンサンジオン酸ジメチルなども使用できる。
【0076】
また、風味添加剤として、メントールおよび非水溶性架橋ポリマー(好ましくはポリビニルポリピロリドン)を含有させても良い。メントールに非水溶性架橋ポリマーを組み合わせることで、メントールの昇華を効果的に抑制でき、メントールの風味を長期間保つことができる。ここで、メントールとは、天然物から得られたものに限られず、合成物でも良い。また、はっか、ミント、ハッカ油、その他のメントールを含むものを使用しても良い。
【0077】
また、風味添加剤は、例えば、フィルタ16の壁部に含浸させることによってフィルタ16に設けられている。風味添加剤がフィルタ16に設けられている態様は、このような態様に限られず、例えば、当該風味添加剤が封入されているカプセルをフィルタ16の壁部に埋設することによって、フィルタ16に風味添加剤が設けられているようにしても良い。または、フィルタ16とエアロゾル吸引カートリッジ1等との間に風味添加剤が封入されたカプセルが配置されるようにしても良い。風味添加剤がカプセルに封入されている場合、使用者は、カプセルを指で押圧することにより、カプセルを破壊することができ、所望のタイミングで風味添加剤の芳香成分を揮発させることが可能となる。
【0078】
また、風味添加剤は、例えば、マイクロカプセルに封入されている場合、封入されているマイクロカプセルをエアロゾル吸引カートリッジ1等に設けても良い。勿論、当該マイクロカプセルを支持部材15に設けても良い。
【0079】
また、充填物13の原料としての結着剤または増粘剤としては、実施の形態に挙げたものの他、キサンタンガム、アラビアゴムおよびローカストビーンガムなどのゴム、例えばカルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロースおよびエチルセルロースなどのセルロース結合剤、または、アルギン酸などの有機酸、アルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カラナギン、寒天およびペクチンなどの有機酸の共役塩基塩などの多糖類、およびこれらの組み合わせが挙げられる。
【符号の説明】
【0080】
1 エアロゾル吸引カートリッジ
11 エアロゾル形成部材
12 誘導加熱部材
13 充填物
14 内装部材
15 支持部材
16 フィルタ
17 外装部材
18 シール部材
19 位置固定部材
図1
図2
図3
図4
図5