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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024106717
(43)【公開日】2024-08-08
(54)【発明の名称】粒子計測装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 15/0227 20240101AFI20240801BHJP
   G01N 15/10 20240101ALI20240801BHJP
【FI】
G01N15/02 C
G01N15/10 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023011124
(22)【出願日】2023-01-27
(71)【出願人】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100155712
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 尚
(72)【発明者】
【氏名】大垣 龍男
(57)【要約】
【課題】粒子の大きさおよび材質を判別することができると共に、装置サイズの小さい粒子計測装置を提供する。
【解決手段】検知領域(42)に向けて照射光を発する発光部(25)と、検知領域(42)を通過した通過光を検出する受光素子(32A)が水平方向に複数並んで配置されている受光部(26)と、受光素子(32A)による受光量に時間変化が生じた場合に、受光量の変化が生じた受光素子(32A)の配置分布に基づいて、検知領域(42)を自由落下により通過した粒子の大きさを判別するとともに、該時間変化の期間の長さに基づいて、粒子の材質を判別する制御部(27)と、を備えるように構成する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検知領域に向けて照射光を発する発光部と、
前記検知領域を通過した通過光を検出する受光素子が水平方向に複数並んで配置されている受光部と、
前記受光素子による受光量に時間変化が生じた場合に、受光量の変化が生じた前記受光素子の配置分布に基づいて、前記検知領域を自由落下により通過した粒子の大きさを判別するとともに、該時間変化の期間の長さに基づいて、前記粒子の材質を判別する制御部と、を備える粒子計測装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記受光素子による受光量に時間変化が生じている期間の走査回数に基づいて、前記粒子の材質を判別する、請求項1に記載の粒子計測装置。
【請求項3】
前記発光部から出射された光をコリメート光に変換し、前記検知領域に照射する入光側コリメートレンズをさらに備える、請求項1に記載の粒子計測装置。
【請求項4】
前記検知領域から出射した前記コリメート光を集光する出光側集光レンズと、
前記コリメート光が前記出光側集光レンズによって集光される集光点にピンホールが形成されたピンホール板と、
前記ピンホールを通過した光を再びコリメート光に変換し、前記受光部に照射する出光側コリメートレンズと、をさらに備える、請求項3に記載の粒子計測装置。
【請求項5】
前記制御部は、予め設定された期間における前記粒子の大きさの範囲毎および前記粒子の材質の種別毎の粒子検知数を、通信部に出力するまたは表示部に表示する制御を行う、請求項1に記載の粒子計測装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粒子計測装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、微粒子等を検出する技術に関し、種々提案されている。例えば、下記特許文献1に記載される粒子計数装置では、粒子をフローセルに導き、通過する流路中にレーザ光を照射する。そして、計測部は、粒子によって散乱された拡散光を受光することで粒子を検出する。また、計測部は、拡散光の拡散光量によって粒径を区分し、粒径区分ごとの粒子数をカウントするように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-30988号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の光拡散方式は、粒子の拡散反射光量でサイズを判定するため、粒子反射率によってはサイズ判別性能が低下する。また、上述の粒子数計数装置では、粒子の材質の判別ができない。更に、粗大粒子は、空中に浮遊しにくく落下するため、検出部は、粒子の落下位置に置く必要がある。また、フローセルに粒子の流路を持つ構成は吸入ポンプなどの吸入機構が必要なため、装置のサイズが大きくなり、粒子の落下位置の空間が狭いと置けないという問題がある。
【0005】
本発明は、一側面では、このような問題点を鑑みてなされたものであり、粒子の大きさおよび材質を判別することができると共に、装置サイズの小さい粒子計測装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述した課題を解決するために、以下の構成を採用する。
【0007】
すなわち、本発明の一側面に係る粒子計測装置は、検知領域に向けて照射光を発する発光部と、前記検知領域を通過した通過光を検出する受光素子が水平方向に複数並んで配置されている受光部と、前記受光素子による受光量に時間変化が生じた場合に、受光量の変化が生じた前記受光素子の配置分布に基づいて、前記検知領域を自由落下により通過した粒子の大きさを判別するとともに、該時間変化の期間の長さに基づいて、前記粒子の材質を判別する制御部と、を備える。
【0008】
上記の構成によれば、検知領域を通過した粒子の検出は、該検知領域を通過した通過光の受光量によって行われる。よって、光拡散方式の場合に生じていた、粒子の反射率によって受光量が変化するという問題を解消することができる。また、検知領域を通過した通過光を検出しているので、粒子の大きさに応じて、受光量の変化が生じる受光素子の配置分布が変化することになる。さらに、粒子の落下速度は、粒子の密度に応じて変動するので、受光量の時間変化の期間の長さに基づいて粒子の材質を判別することができる。すなわち、上記の構成によれば、各受光素子の受光量の時間変化に基づいて、粒子の大きさおよび材質を正確に判定することができる。
【0009】
また、自由落下する粒子を検知するので、吸入ポンプなどの装置を不要とすることができる。よって、装置サイズの小さい粒子計測装置を提供することができる。また、粒子の大きさは、受光量の変化が生じた受光素子の配置分布に基づいて判別するので、例えば受光量に影響を及ぼすようなノイズが生じたとしても、粒子の大きさの判別精度を保つことができる。
【0010】
上記一側面に係る粒子計測装置において、前記制御部は、前記受光素子による受光量に時間変化が生じている期間の走査回数に基づいて、前記粒子の材質を判別するようにしてもよい。上記の構成によれば、受光素子による受光量に時間変化が生じている期間の走査回数をカウントするという簡易な制御によって、十分に正確に時間変化の期間の長さを認識することができる。
【0011】
上記一側面に係る粒子計測装置において、前記発光部から出射された光をコリメート光に変換し、前記検知領域に照射する入光側コリメートレンズをさらに備えるようにしてもよい。上記の構成によれば、検知領域にコリメート光が照射されるので、例えば拡散光が照射される場合と比較して、粒子の検知領域内での位置に応じて、受光量の変化が生じた受光素子の配置分布の大きさが変化することを抑制することができる。よって、粒子の大きさの判別精度を高めることができる。
【0012】
上記一側面に係る粒子計測装置において、前記検知領域から出射した前記コリメート光を集光する出光側集光レンズと、前記コリメート光が前記出光側集光レンズによって集光される集光点にピンホールが形成されたピンホール板と、前記ピンホールを通過した光を再びコリメート光に変換し、前記受光部に照射する出光側コリメートレンズと、をさらに備えるようにしてもよい。
【0013】
検知領域を通過したコリメート光には、厳密には粒子によって回折された回折光が含まれている。この回折光によって、受光部で検出される受光量の分布に、実際の粒子の大きさの分布とのずれが生じる。これに対して、上記の構成によれば、検知領域を通過したコリメート光は、一旦出光側集光レンズで集光されてピンホールを通過し、その後出光側コリメートレンズによって再びコリメート光に変換されて受光部に照射される。よって、平行光成分以外の光がピンホールによってカットされることにより、回折光の影響を抑制することができる。したがって、粒子の大きさの判別をより正確に行うことができる。
【0014】
上記一側面に係る粒子計測装置において、前記制御部は、予め設定された期間における前記粒子の大きさの範囲毎および前記粒子の材質の種別毎の粒子検知数を、通信部に出力するまたは表示部に表示する制御を行うようにしてもよい。上記の構成によれば、利用者は、粒子の大きさの範囲毎および粒子の材質の種別毎の粒子検知数を把握することができるので、所定空間内に存在する粒子の状態を正確に認識することが可能となる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、粒子の大きさおよび材質を判別することができると共に、装置サイズの小さい粒子計測装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】実施形態1に係る粒子計測装置の一例を模式的に示す外観斜視図である。
図2】実施形態1に係る粒子を検出する検出部の概略構成の一例を模式的に示す斜視図である。
図3】実施形態1に係る粒子計測装置の電気的構成の一例を示すブロック図である。
図4】実施形態1に係る粒子計測装置が備える制御部の機能ブロック図である。
図5】流路部内を粒子サイズの大きい粒子が自由落下したときの受光部の画素上の光強度の一例を模式的に示す図である。
図6】流路部内を粒子サイズの小さい粒子が自由落下したときの受光部の画素上の光強度の一例を模式的に示す図である。
図7】ABS樹脂、アルミニウム、銅の自由落下時における粒子径区分毎の落下速度の一例を示す図である。
図8】流路部内を比重の大きい金属の粒子が自由落下したときのリニアイメージセンサの走査回数の一例を模式的に示す図である。
図9】流路部内を比重の小さい樹脂の粒子が自由落下したときのリニアイメージセンサの走査回数の一例を模式的に示す図である。
図10】制御部が実行する粒子計測処理の一例を示すメインフローチャートである。
図11図10の計測処理のサブ処理の一例を示すサブフローチャートである。
図12図10の出力表示処理のサブ処理の一例を示すサブフローチャートである。
図13】測定結果の出力表示の一例を示す図である。
図14】実施形態2に係る粒子を検出する検出部の概略構成の一例を模式的に示す平面図である。
図15】変形例4に係る粒子計測装置の一例を模式的に示す外観斜視図である。
図16】変形例5に係る上位装置における測定結果の出力表示の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を具体化した実施形態1および実施形態2について、図面を参照して詳細に説明する。各図面に示される同一又は同等の構成要素、部材には、同一の符号を付すものとし、適宜重複した説明は省略する。
【0018】
§1 適用例
〔実施形態1〕
先ず、図1を用いて、本発明が適用される粒子計測装置の一例について説明する。図1は、実施形態1に係る粒子計測装置の一例を模式的に示す外観斜視図である。実施形態1に係る粒子計測装置1は、図1に示すように、箱体状の本体ケース11と、高さが低い箱体状の検出部30と、本体ケース11と検出部30とを電気的に接続する信号線38とを有している。
【0019】
本体ケース11は、図1中、上面にディスプレイ16と、電源スイッチ17と、操作部19と、が配置されている。本体ケース11は、手前側の前側壁面15に、出力端子18が配置され、更に、PC等の上位装置3(図4参照)と本体ケース11とを通信可能に電気的に接続する通信ケーブル39が前側壁面15から引き出されている。
【0020】
ディスプレイ16は、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ等で構成されている。ディスプレイ16は、後述のように、小さな粒子の金属やプラスチック等の材質と、各材質の種類毎の粒子の大きさと、粒子の大きさの範囲毎、および、粒子の材質の種別毎の通過した個数等と、の検出結果を表示する。電源スイッチ17は、粒子計測装置1の電源をオン、オフするスイッチである。
【0021】
出力端子18は、当該粒子計測装置1による計測結果を、電気的に接続された外部の装置に出力する端子である。操作部19は、複数のボタンスイッチで構成され、周囲のボタンスイッチを押下することによって、ディスプレイ16に表示されたカーソルが移動する。また、操作部19の中央のボタンスイッチを押下することによって、カーソルが位置する各種指示ボタンの入力を決定する。粒子計測装置1が検出する粒子径は、例えば、10[μm]~500[μm]等である。
【0022】
検出部30のセンサケース24の略矩形状で平坦な天面22には、空気中を落下する小さな粒子が進入可能な断面略四角形の流路部21が、粒子が通過する粒子通過方向(鉛直方向)に沿って貫通して形成されている。流路部21は、各壁面21A~21Dによって断面略四角形で鉛直方向に沿って貫通する内部空間23(図2参照)を構成している。従って、流路部21に進入した小さな粒子は、内部空間23を自由落下する。壁面21Aおよび21Cは、透明樹脂等によって形成され、光を透過可能に構成されている。
【0023】
なお、実施形態1では、粒子が自由落下することによって流路部21を通過するため、粒子通過方向は鉛直方向となっている。また、流路部21内に粒子を吸い込むための吸引ポンプなどは、設けられていない。これにより、装置サイズの小さい粒子計測装置1を提供することができる。
【0024】
また、検出部30内には、流路部21に進入して、内部空間23を落下する小さな粒子を検出するための発光部25(図3参照)と受光部26(図3参照)とが壁面21Aおよび21Cを挟んで配置されている(図2参照)。また、図1に示すように、本体ケース11内には、制御部27が配置されている。制御部27は、受光部26を構成するリニアイメージセンサ32(図2参照)から入力された複数の受光素子上の光強度分布と、受光素子の光強度変化の時間長さとから、後述のように、小さな粒子の金属やプラスチック等の材質と、各材質の種類毎の粒子の大きさと、粒子の大きさの範囲毎、および、粒子の材質の種別毎の個数等を算出する。
【0025】
§2 構成例
次に、小さな粒子を検出する検出部30について図2に基づいて説明する。図2は、粒子を検出する検出部30の概略構成の一例を模式的に示す斜視図である。図2に示すように、検出部30は、光源31とリニアイメージセンサ32とが、流路部21の壁面21A、21Cを挟んで互いに対向して配置されている。光源31と壁面21Aとの間には、発光側レンズ33が配置されている。なお、光源31は点光源であることが望ましい。
【0026】
発光側レンズ33は、光源31から出射された光をコリメート化し、鉛直方向に対して垂直な略平行光として壁面21Aの全幅に亘って流路部21へ照射するための光学部材である。発光側レンズ33は、入光側コリメートレンズの一例として機能する。
【0027】
リニアイメージセンサ32は、受光素子として画素サイズが数[μm]~数十[μm]の画素32A(図5参照)が鉛直方向に対して垂直な水平方向に沿って一列に複数並んで配置されている。リニアイメージセンサ32は、例えば、CMOS Image Sensorなどである。また、リニアイメージセンサ32は、壁面21Cに対して平行に配置されている。リニアイメージセンサ32の鉛直方向に対して直交する方向の両端部は、壁面21Cの両側縁よりも外側に対向するように形成されている。そして、リニアイメージセンサ32は、光源31から発光側レンズ33を介して照射される照射光の光軸L1が、リニアイメージセンサ32の長手方向の略中央位置に位置するように配置されている。
【0028】
その結果、発光側レンズ33介して流路部21内に照射されるコリメート光のうち、リニアイメージセンサ32まで到達できる領域が、流路部21内を自由落下する粒子Wを検知できる検知領域42となる。従って、流路部21の内部空間23における、検知領域42に対応する断面領域が全て粒子Wを検知する領域となっている。
【0029】
光源31は、電力の供給により所定波長の光を発光する点光源であり、例えば、LED(Light Emitting Diode)素子やSLD(Super Luminescent Diode)、半導体レーザ(LD:Laser Diode)が挙げられる。
【0030】
ここで、SLDは、発光源の大きさが数[μm]と小さく、かつ、スペクトルが広いため、干渉しにくい。また、LEDは、SLD同様にスペクトルが広いため、干渉しにくい。しかしながら、LEDは、SLDと比較して発光源の大きさが数十[μm]と大きくなるため、理想的な点光源という観点ではSLDよりも劣ることになる。LDは、発光源の大きさが数[μm]と小さいが、スペクトルが極めて狭く、干渉しやすい。従って、光源31としては、SLDが好ましいが、計測精度として十分であれば、コストの低いLEDを用いてもよい。
【0031】
光源31が発光する波長は、リニアイメージセンサ32の受光帯域範囲であり、例えば、赤外光や赤色光、緑色光や青色光、近紫外光等が挙げられる。光源31として、緑色LEDを用いると、赤外光や赤色光よりも照射光の波長が短いため、回折の影響を受けにくくなり、より位置による信号変化が少なくなる。
【0032】
次に、粒子計測装置1の電気的構成の一例について図3に基づいて説明する。図3は、実施形態1に係る粒子計測装置1の電気的構成の一例を示すブロック図である。図3に示すように、粒子計測装置1は、発光部25と、受光部26と、制御部27と、ディスプレイ16と、出力端子18と、操作部19と、通信部20とを備えている。通信部20は、PC等の上位装置3(図4参照)と通信するための通信インタフェースの一例である。
【0033】
発光部25は、光源31と、光源31に電気的に接続される光源駆動回路45と、を有している。受光部26は、リニアイメージセンサ32と、リニアイメージセンサ32に電気的に接続される受光回路46と、受光回路46と電気的に接続されるADコンバータ46Aと、を有している。
【0034】
光源駆動回路45は、制御部27からの発光信号に基づいて、駆動電流を供給する。その結果、光源31は、所定波長の光を発光する。
【0035】
受光回路46は、リニアイメージセンサ32の各画素32A(図5参照)で生じた電流信号を電圧値に変換して増幅した後、アナログ信号である電圧値をADコンバータ46Aによりデジタル信号に変換して、各画素32Aに対応付けて制御部27に出力する。
【0036】
具体的には、検知領域42に落下した粒子Wにより、対向する画素32Aの受光量が減少するため、受光回路46は、リニアイメージセンサ32から各画素32Aの受光量の変化に対応した電流信号が入力される(図5参照)。そして、受光回路46は、リニアイメージセンサ32の各画素32Aから入力された電流信号を電圧値に変換して増幅した後、アナログ信号である電圧値をADコンバータ46Aによりデジタル信号に変換して、各画素32Aに対応付けて制御部27に出力する。
【0037】
なお、リニアイメージセンサ32の各画素32Aで生じた電気信号がデジタル信号に変換されて受光回路46に出力される場合は、受光回路46は、リニアイメージセンサ32から入力されたデジタル信号を各画素32Aに対応付けて制御部27に出力する。従って、この場合は、ADコンバータ46Aはなくてもよい。
【0038】
制御部27は、CPU、不揮発性メモリとしてのROM(フラッシュメモリなど)、RAM等を備えた、いわゆる公知のデジタル信号処理回路である。CPUは、ROMに記憶された各種のプログラムや各種パラメータに基づいて、種々の演算処理を実行する。RAMは、CPUでの演算結果や受光部26から入力されたデータを一時的に記憶する。
【0039】
ROMは、例えば、流路部21を落下する粒子の材質と、各材質の種類毎の粒子の大きさと、粒子の大きさの範囲毎、および、粒子の材質の種別毎の通過した個数等を検知する後述の粒子計測処理(図10参照)のプログラム等を記憶する。なお、制御部27は、FPGA(Field Programmable Gate Array)やASIC(Application Specific IC)などで構成されていてもよい。
【0040】
図4は、制御部27の機能ブロック図である。図4に示すように、制御部27は、駆動処理部271、光強度分布検出部272、走査回数検出部273、粒子判定部274、粒子カウント部275、表示制御部276、出力制御部277、操作制御部278、および、通信部20を備えている。駆動処理部271は、光源駆動回路45が電気的に接続され、光源駆動回路45に対して、光源31に供給する駆動電流を指示する発光信号を出力する。
【0041】
光強度分布検出部272は、受光回路46がADコンバータ46Aを介して電気的に接続されて、受光回路46から入力されたリニアイメージセンサ32の各画素32Aの電圧値から、リニアイメージセンサ32の各画素32Aから、光強度が光強度閾値PTH以上変化した画素32Aを検出する。そして、光強度分布検出部272は、リニアイメージセンサ32の光強度が光強度閾値PTH以上変化した画素数NWの検出データを粒子判定部274に出力する。
【0042】
走査回数検出部273は、受光回路46がADコンバータ46Aを介して電気的に接続されて、受光回路46から入力されたリニアイメージセンサ32の各画素32Aの電圧値から、最初に電圧値が変化した画素32Aを検出する。続いて、走査回数検出部273は、受光回路46から入力されたリニアイメージセンサ32の各画素32Aの電圧値から、各画素32Aの電圧値がほぼ同じ電圧値に戻るまでのリニアイメージセンサ32の走査回数NHをカウントして、粒子判定部274に出力する。
【0043】
粒子判定部274は、光強度分布検出部272から入力されたリニアイメージセンサ32上の複数の画素32Aのうち、光強度閾値PTH以上の光強度が変化した画素数NWの検出データに基づいて、粒子Wのサイズを判別して、粒子カウント部275に出力する。
【0044】
ここで、検知領域42を粒子Wが通過した際に、受光回路46から出力される検出信号の一例について図5および図6に基づいて説明する。図5は、流路部21内を粒子サイズの大きい粒子W1が自由落下したときのリニアイメージセンサ32の画素32A上の光強度の一例を模式的に示す図である。図6は、流路部21内を粒子サイズの小さい粒子W2が自由落下したときのリニアイメージセンサ32の画素32A上の光強度の一例を模式的に示す図である。
【0045】
図5に示すように、光強度分布検出部272は、受光回路46から入力されたリニアイメージセンサ32の各画素32Aの電圧値の検出信号47から、光強度閾値PTH以上の光強度が変化した10個の各画素32A1、32A2、・・・32A10を検出する。そして、光強度分布検出部272は、検出した各画素32A1、32A2、・・・32A10の画素数NWとして画素数「10個」の検出データを粒子判定部274に出力する。なお、光強度閾値PTHは、予めROMに記憶されている。
【0046】
粒子判定部274は、光強度分布検出部272から入力された画素数「10個」が画素数閾値WTH以上、例えば、画素数「8個」以上であるため、粒子W1の粒子サイズは、「大」と判定して、粒子カウント部275に出力する。例えば、画素サイズが15[μm]の場合には、粒子判定部274は、粒子径120[μm]以上の場合に、粒子サイズ「大」と判定する。なお、画素数閾値WTHは、予めROMに記憶されている。
【0047】
また、図6に示すように、光強度分布検出部272は、受光回路46から入力されたリニアイメージセンサ32の各画素32Aの電圧値の検出信号48から、光強度閾値PTH以上の光強度が変化した6個の各画素32A1、32A2、・・・32A6を検出する。そして、光強度分布検出部272は、検出した各画素32A1、32A2、・・・32A6の画素数NWとして画素数「6個」の検出データを粒子判定部274に出力する。
【0048】
粒子判定部274は、光強度分布検出部272から入力された画素数「6個」が画素数閾値WTH未満、例えば、画素数「8個」未満であるため、粒子W2の粒子サイズは、「小」と判定して、粒子カウント部275に出力する。
【0049】
また、図4に示すように、粒子判定部274は、走査回数検出部273から入力されたリニアイメージセンサ32の走査回数NHのカウント値に基づいて、粒子Wの材質を判別して、粒子カウント部275に出力する。
【0050】
ここで、流路部21の内部空間23を落下する粒子の沈降速度(落下速度)と粒子の材質との関係について説明する。流路部21の内部空間23を自由落下する粒子の沈降速度(落下速度)v[cm/s]は、例えば、下記ストークスの式(1)により算出される。
【0051】
v={(ρs-ρw)×g×d}/18η ・・・・(1)
ρs:粒子密度[g/cm]、ρw:空気の流体密度 1.2×10-3[g/cm]、g:重力加速度 980[cm/s]、η:空気の流体粘度 1.8×10-4[g/cm]、d:粒子径[cm]とする。
【0052】
上記ストークスの式(1)により算出した、ABS樹脂、アルミニウム、銅の自由落下時における粒子径区分毎の落下速度の一例について図7に基づいた説明する。図7は、ABS樹脂、アルミニウム、銅の自由落下時における粒子径区分毎の落下速度の一例を示す図である。なお、ABS樹脂の粒子密度(比重)は、1[g/cm]とする。アルミニウムの粒子密度(比重)は、2.7[g/cm]とする。銅の粒子密度(比重)は、8.94[g/cm]とする。
【0053】
図7に示すように、例えば、粒子径が100[μm]の場合には、ABS樹脂の落下速度は、27.78[cm/s]、アルミニウムの落下速度は、64.2[cm/s]、銅の落下速度は、158[cm/s]である。これより、流路部21内を1[mm]落下する時間は、ABS樹脂の場合は、3.6[msec]、アルミニウムの場合は、1.6[msec]、銅の場合は、0.6[msec]である。
【0054】
ここで、リニアイメージセンサ32の走査時間T1を、例えば500[μsec]とする。この場合に、粒子径が100[μm]の粒子Wが、流路部21内を1[mm]落下するまでに、リニアイメージセンサ32によって撮像される走査回数NHは、ABS樹脂のときは7[回]、アルミニウムのときは3[回]、銅のときは1[回]である。
【0055】
例えば、流路部21内を比重の大きい金属の粒子Wが自由落下したときのリニアイメージセンサ32の走査回数NHの一例を図8に基づいて説明する。図8は、流路部21内の検知領域42を比重の大きい金属の粒子Wが自由落下したときのリニアイメージセンサ32の走査回数NHの一例を模式的に示す図である。なお、粒子Wの粒子径は100[μm]で。リニアイメージセンサ32の走査時間T1は、500[μsec]とする。
【0056】
図8に示すように、粒子Wによってリニアイメージセンサ32に光強度が光強度閾値PTH以上変化した画素32Aが生じた時点(1[回]目)から、走査回数3[回]目まで、光強度が光強度閾値PTH以上変化した画素32Aを検出している。従って、走査回数検出部273は、走査回数NHとして3[回]をカウントして、粒子判定部274に出力する。
【0057】
また、例えば、流路部21内を比重の小さい樹脂の粒子Wが自由落下したときのリニアイメージセンサ32の走査回数の一例を図9に基づいて説明する。図9は、流路部21内を比重の小さい樹脂の粒子Wが自由落下したときのリニアイメージセンサ32の走査回数の一例を模式的に示す図である。なお、粒子Wの粒子径は100[μm]で。リニアイメージセンサ32の走査時間T1は、500[μsec]とする。
【0058】
図9に示すように、粒子Wによってリニアイメージセンサ32に光強度が光強度閾値PTH以上変化した画素32Aが生じた時点(1[回]目)から、走査回数6[回]目まで、光強度が光強度閾値PTH以上変化した画素32Aを検出している。従って、走査回数検出部273は、走査回数NHとして6[回]をカウントして、粒子判定部274に出力する。
【0059】
従って、粒子径が100[μm]の場合には、粒子Wの材質を、「樹脂」と「金属」とに判別するための走査回数の回数閾値HTHを予め4[回]に設定することによって、粒子判定部274は、粒子Wの材質を、「樹脂」と「金属」とに判別することが可能となる。なお、回数閾値HTHは、粒子径毎に、例えば、30[μm]、50[μm]、100[μm]、200[μm]、・・・毎に、予めROMに記憶されている。
【0060】
その結果、粒子判定部274は、粒子Wの材質を判別して、粒子カウント部275に出力する。また、上記の通り、粒子判定部274は、光強度分布検出部272から入力されたリニアイメージセンサ32上の光強度が変化した画素数NWの検出データに基づいて、粒子Wのサイズを判別して、粒子カウント部275に出力する。そして、粒子カウント部275は、粒子Wの大きさの範囲毎および粒子の材質の種別毎の粒子検知数をカウントする。また、粒子カウント部275は、合計粒子検知数もカウントする。
【0061】
また、図4に示すように、操作制御部278は、操作部19の複数のボタンスイッチが電気的に接続され、各ボタンスイッチの操作信号が入力される。表示制御部276は、ディスプレイ16と電気的に接続され、例えば、操作部19を介して選択された、流路部21を落下する粒子Wの大きさの範囲および粒子の材質の種別の粒子検知数や合計粒子検知数などの検知した結果をディスプレイ16に表示する。
【0062】
出力制御部277は、出力端子18に他の装置が電気的に接続されている場合には、計測結果を出力端子18から他の装置に出力する。通信部20は、通信ケーブル39を介してPC等の上位装置3へ、例えば、流路部21を落下する粒子Wの大きさの範囲毎および粒子の材質の種別毎の粒子検知数や合計粒子検知数などの検知した結果を送信する。
【0063】
§3 動作例
次に、上記のように構成された粒子計測装置1の制御部27が実行する、流路部21を落下する粒子Wの大きさの範囲毎および粒子Wの材質の種別毎の粒子Wの個数を検知する粒子計測処理の一例について図10図13に基づいて説明する。図10は、制御部27が実行する粒子計測処理の一例を示すメインフローチャートである。
【0064】
尚、制御部27は、起動された場合に、所定時間毎(例えば、約1分~2分間隔)にて、図10のフローチャートで示される処理手順を繰り返し実行する。図10図12のフローチャートで示されるプログラムは、ROMに予め記憶されている。また、光強度閾値PTHと、回数閾値HTHと、画素数閾値WTHと、最大測定時間TMとは、ROMに予め記憶されている。
【0065】
図10に示すように、先ず、ステップS11において、制御部27は、後述の計測処理のサブ処理(図11参照)を所定時間(例えば、約1分間~2分間)実行した後、ステップS12に進む。制御部27は、計測処理のサブ処理を実行することによって、流路部21の内部空間23を落下する粒子Wの大きさ、および、粒子Wの材質を検知する。そして、制御部27は、粒子Wの大きさの範囲毎および粒子Wの材質の種別毎の粒子検知数をカウントする。
【0066】
また、制御部27は、流路部21の内部空間23を落下する粒子Wの合計粒子検知数もカウントする。そして、制御部27は、粒子Wの大きさの範囲毎および粒子Wの材質の種別毎の粒子検知数と、合計粒子検知数とを通信部20を介してPC等の上位装置3へ送信する。
【0067】
ステップS12において、制御部27は、後述の出力表示処理のサブ処理(図12参照)を実行した後、粒子計測処理を終了する。制御部27は、表示制御部276を介して、出力表示処理のサブ処理を実行することによって、操作部19を介して選択された粒子Wの材質および粒子Wの大きさに対する粒子検知数をディスプレイ16に表示する。
【0068】
出力端子18に他の装置が電気的に接続されている場合には、制御部27は、出力制御部277を介して、計測結果を出力端子18から他の装置に出力する。
【0069】
次に、上記ステップS11で制御部27が実行する計測処理のサブ処理の詳細について図11に基づいて説明する。図11は、計測処理のサブ処理の一例を示すサブフローチャートである。図11に示すように、先ず、ステップS111において、制御部27は、RAMからカウンタリセットフラグを読み出し、OFFに設定されているか否かを判定する。尚、カウンタリセットフラグは、制御部27の起動時に、OFFに設定されてRAMに記憶されている。
【0070】
そして、制御部27は、カウンタリセットフラグがONに設定されていると判定した場合には(S111:NO)、後述のステップS115の処理に進む。一方、制御部27は、カウンタリセットフラグがOFFに設定されていると判定した場合には(S111:YES)、ステップS112の処理に進む。
【0071】
ステップS112において、制御部27は、カウント値Nと、カウント値MHと、カウント値MLと、カウント値CHと、カウント値CLとをRAMから読み出し、各カウント値N、MH、ML、CH、CLに「0」を代入して、再度RAMに記憶する。また、制御部27は、操作回数NWのカウント値をRAMから読み出し、操作回数NWのカウント値に「0」を代入して、再度RAMに記憶した後、ステップS113の処理に進む。ステップS113において、制御部27は、RAMからカウンタリセットフラグを読み出し、ONに設定して、再度RAMに記憶した後、ステップS114の処理に進む。
【0072】
ここで、カウント値Nは、流路部21内の検知領域42を通過して検知された粒子Wの合計粒子検知数をカウントするカウンタのカウント値である。カウント値MHは、検知領域42を通過して検知されたアルミニウム等の金属粒子のうちの粒子サイズが「大」の粒子検知数をカウントするカウント値である。カウント値MLは、検知領域42を通過して検知されたアルミニウム等の金属粒子のうちの粒子サイズが「小」の粒子検知数をカウントするカウント値である。
【0073】
カウント値CHは、検知領域42を通過して検知されたABS等の樹脂粒子、つまり、非金属粒子のうちの粒子サイズが「大」の粒子検知数をカウントするカウント値である。カウント値CLは、検知領域42を通過して検知されたABS等の樹脂粒子、つまり、非金属粒子のうちの粒子サイズが「小」の粒子検知数をカウントするカウント値である。
【0074】
ここで、粒子サイズが「大」とは、例えば、粒子Wの粒子径が100[μm]以上の大きさを表す。また、粒子サイズが「小」とは、例えば、粒子Wの粒子径が100[μm]よりも小さい大きさを表す。
【0075】
ステップS114において、制御部27は、検知領域42を通過する粒子Wを検知する計測時間TKの計測を開始した後、ステップS115の処理に進む。ステップS115において、制御部27は、光強度分布検出部272を介して、リニアイメージセンサ32の各画素32Aから、光強度が光強度閾値PTH以上変化した画素32Aを検出したか否かを判定する。
【0076】
そして、制御部27は、光強度分布検出部272を介して、リニアイメージセンサ32の各画素32Aから、光強度が光強度閾値PTH以上変化した画素32Aを検出していないと判定した場合は(S115:NO)、再度ステップS115の処理を実行する。一方、制御部27は、光強度分布検出部272を介して、リニアイメージセンサ32の各画素32Aから、光強度が光強度閾値PTH以上変化した画素32Aを検出したと判定した場合は(S115:YES)、ステップS116の処理に進む。
【0077】
ステップS116において、制御部27は、光強度分布検出部272を介して、リニアイメージセンサ32の光強度が光強度閾値PTH以上変化した画素数NWを取得して、RAMに記憶した後、ステップS117の処理に進む。ステップS117において、制御部27は、光強度分布検出部272を介して、リニアイメージセンサ32の全画素32Aからの光強度が光強度閾値PTH未満になったか否かを判定する。つまり、制御部27は、粒子Wが検知領域42を通過したか否かを判定する。
【0078】
そして、制御部27は、光強度分布検出部272を介して、リニアイメージセンサ32の全画素32Aからの光強度が光強度閾値PTH未満になっていないと判定した場合は(S117:NO)、ステップS118の処理に進む。ステップS118において、制御部27は、リニアイメージセンサ32の走査時間T1が経過するのを待つ。そして、制御部27は、走査時間T1が経過すると、リニアイメージセンサ32の走査回数NHのカウント値をRAMから読み出し、この走査回数NHのカウント値に「1」加算して、再度RAMに記憶する。その後、制御部27は、再度、ステップS116以降の処理を実行する。
【0079】
一方、制御部27は、光強度分布検出部272を介して、リニアイメージセンサ32の全画素32Aからの光強度が光強度閾値PTH未満になったと判定した場合は(S117:YES)、ステップS119の処理に進む。ステップS119において、制御部27は、走査回数NHのカウント値をRAMから読み出し、走査回数NHが回数閾値HTH以下であるか否かを判定する。
【0080】
そして、制御部27は、走査回数NHが回数閾値HTH以下であると判定した場合は(S119:YES)、ステップS120の処理に進む。つまり、制御部27は、検知領域42を通過して検知された粒子Wが、アルミニウム等の金属粒子であると判定して、ステップS120の処理に進む。
【0081】
ステップS120において、制御部27は、上記S116でRAMに記憶した画素数NWのうち、最大の画素数NWを読み出す。そして、制御部27は、最大の画素数NWが画素数閾値WTHを超えているか否かを判定する。そして、制御部27は、最大の画素数NWが画素数閾値WTHを超えていると判定した場合は(S120:YES)、ステップS121の処理に進む。ステップS121において、制御部27は、検知領域42を通過して検知されたアルミニウム等の金属粒子のうちの粒子サイズが「大」の粒子検知数をカウントするカウント値MHをRAMから読み出す。そして、制御部27は、カウント値MHに「1」加算して、再度RAMに記憶した後、後述のステップS126の処理に進む。
【0082】
一方、制御部27は、最大の画素数NWが画素数閾値WTHを超えていないと判定した場合は(S120:NO)、ステップS122の処理に進む。ステップS122において、制御部27は、検知領域42を通過して検知されたアルミニウム等の金属粒子のうちの粒子サイズが「小」の粒子検知数をカウントするカウント値MLをRAMから読み出す。そして、制御部27は、カウント値MLに「1」加算して、再度RAMに記憶した後、後述のステップS126の処理に進む。
【0083】
他方、上記ステップS119において、制御部27は、走査回数NHが回数閾値HTHよりも多いと判定した場合は(S119:NO)、ステップS123の処理に進む。つまり、制御部27は、検知領域42を通過して検知された粒子Wが、ABS等の樹脂粒子、つまり、非金属粒子であると判定して、ステップS123の処理に進む。
【0084】
ステップS123において、制御部27は、上記S116でRAMに記憶した画素数NWのうち、最大の画素数NWを読み出す。そして、制御部27は、最大の画素数NWが画素数閾値WTHを超えているか否かを判定する。そして、制御部27は、最大の画素数NWが画素数閾値WTHを超えていると判定した場合は(S123:YES)、ステップS124の処理に進む。ステップS124において、制御部27は、検知領域42を通過して検知されたABS等の樹脂粒子のうちの粒子サイズが「大」の粒子検知数をカウントするカウント値CHをRAMから読み出す。そして、制御部27は、カウント値CHに「1」加算して、再度RAMに記憶した後、後述のステップS126に進む。
【0085】
一方、制御部27は、最大の画素数NWが画素数閾値WTHを超えていないと判定した場合は(S123:NO)、ステップS125の処理に進む。ステップS125において、制御部27は、検知領域42を通過して検知されたABS等の樹脂粒子のうちの粒子サイズが「小」の粒子検知数をカウントするカウント値CLをRAMから読み出す。そして、制御部27は、カウント値CLに「1」加算して、再度RAMに記憶した後、ステップS126の処理に進む。
【0086】
ステップS126において、制御部27は、流路部21内の検知領域42を通過して検知された粒子Wの合計粒子検知数をカウントするカウンタのカウント値NをRAMから読み出す。そして、制御部27は、カウント値Nに「1」加算して、再度RAMに記憶した後、ステップS127の処理に進む。ステップS127において、制御部27は、検知領域42を通過する粒子Wを検知する計測時間TKをRAMから読み出し、計測時間TKが最大測定時間TM以上になったか否か、つまり、計測時間TKが最大測定時間TMに達したか否かを判定する。なお、最大測定時間TMは、所定時間の実行時間、例えば、約1分間~2分間の実行時間に相当する。
【0087】
そして、制御部27は、計測時間TKが最大測定時間TMに達していないと判定した場合は(S127:NO)、再度ステップS111以降の処理を実行する。一方、制御部27は、計測時間TKが最大測定時間TMに達したと判定した場合は(S127:YES)、ステップS128の処理に進む。ステップS128において、制御部27は、RAMからカウンタリセットフラグを読み出し、OFFに設定して、再度RAMに記憶した後、ステップS129に進む。
【0088】
ステップS129において、制御部27は、カウント値Nと、カウント値MHと、カウント値MLと、カウント値CHと、カウント値CLと、カウント値NとをRAMから読み出し、通信部20を介して上位装置3へ送信する。その後、制御部27は、計測処理のサブ処理を終了して、メインフローチャートに戻り、ステップS12の処理に進む。
【0089】
次に、上記ステップS12で制御部27が実行する出力表示処理のサブ処理の詳細について図12及び図13に基づいて説明する。図12は、出力表示処理のサブ処理の一例を示すサブフローチャートである。図13は、測定結果の出力表示の一例を示す図である。
【0090】
図12に示すように、ステップS211において、制御部27は、操作部19を介して、ディスプレイ16に粒子検知数を表示する材質として「金属」が選択されたか否かを判定する。そして、制御部27は、操作部19を介してディスプレイ16に粒子検知数を表示する材質として「金属」が選択されたと判定した場合は(S211:YES)、ステップS212に進む。
【0091】
ステップS212において、制御部27は、粒子検知数を表示する材質として「金属」をディスプレイ16に表示した後、ステップS213に進む。例えば、図13に示すように、制御部27は、ディスプレイ16の対象表示部16Aの「材質」の下側に「金属」を表示した後、ステップS213に進む。
【0092】
ステップS213において、制御部27は、操作部19を介して、金属粒子の粒子サイズとして「大」が選択されたか否かを判定する。そして、制御部27は、操作部19を介して、金属粒子の粒子サイズとして「大」が選択されたと判定した場合は(S213:YES)、ステップS214に進む。ステップS214において、制御部27は、粒子検知数を表示する粒子サイズとして「大」をディスプレイ16に表示した後、ステップS215に進む。例えば、図13に示すように、制御部27は、ディスプレイ16の対象表示部16Aの「粒子径」の下側に「大」を表示した後、ステップS215に進む。
【0093】
ステップS215において、制御部27は、アルミニウム等の金属粒子のうちの粒子サイズが「大」の粒子検知数をカウントするカウント値MHをRAMから読み出す。そして、制御部27は、カウント値MHをディスプレイ16に表示した後、出力表示処理のサブ処理を終了してメインフローチャートに戻り、粒子計測処理を終了する。
【0094】
例えば、図13に示すように、制御部27は、ディスプレイ16の対象表示部16Aの右側の「カウント値」の下側に、例えば、「65」を表示する。これにより、ユーザは、アルミニウム等の金属粒子のうちの粒子サイズが「大」の粒子検知数が「65」個である旨を容易に確認することができる。
【0095】
一方、上記ステップS213において、制御部27は、操作部19を介して、金属粒子の粒子サイズとして「大」が選択されていないと判定した場合は(S213:NO)、ステップS216に進む。ステップS216において、制御部27は、操作部19を介して、金属粒子の粒子サイズとして「小」が選択されたか否かを判定する。そして、制御部27は、操作部19を介して、金属粒子の粒子サイズとして「小」が選択されていないと判定した場合は(S216:NO)、再度、ステップS213以降の処理を実行する。
【0096】
一方、制御部27は、操作部19を介して、金属粒子の粒子サイズとして「小」が選択されたと判定した場合は(S216:YES)、ステップS217に進む。ステップS217において、制御部27は、粒子検知数を表示する粒子サイズとして「小」をディスプレイ16に表示した後、ステップS218に進む。例えば、ディスプレイ16の対象表示部16A(図13参照)の「粒子径」の下側に「小」を表示した後、ステップS218に進む。
【0097】
ステップS218において、制御部27は、アルミニウム等の金属粒子のうちの粒子サイズが「小」の粒子検知数をカウントするカウント値MLをRAMから読み出す。そして、制御部27は、カウント値MLをディスプレイ16に表示した後、出力表示処理のサブ処理を終了してメインフローチャートに戻り、粒子計測処理を終了する。
【0098】
例えば、制御部27は、ディスプレイ16の対象表示部16A(図13参照)の右側の「カウント値」の下側に、例えば、「356」を表示する。これにより、ユーザは、アルミニウム等の金属粒子のうちの粒子サイズが「小」の粒子検知数が「356」個である旨を容易に確認することができる。
【0099】
他方、上記ステップS211において、操作部19を介してディスプレイ16に粒子検知数を表示する材質として「金属」が選択されていないと判定した場合は(S211:NO)、ステップS219に進む。ステップS219において、制御部27は、操作部19を介して、ディスプレイ16に粒子検知数を表示する材質として「樹脂」が選択されたか否かを判定する。そして、制御部27は、操作部19を介してディスプレイ16に粒子検知数を表示する材質として「樹脂」が選択されていないと判定した場合は(S219:NO)、再度、ステップS211以降の処理を実行する。
【0100】
一方、制御部27は、操作部19を介してディスプレイ16に粒子検知数を表示する材質として「樹脂」が選択されたと判定した場合は(S219:YES)、ステップS220に進む。ステップS220において、制御部27は、粒子検知数を表示する材質として「樹脂」をディスプレイ16に表示した後、ステップS2221に進む。例えば、ディスプレイ16の対象表示部16A(図13参照)の「材質」の下側に「樹脂」を表示した後、ステップS221に進む。
【0101】
ステップS221において、制御部27は、操作部19を介して、樹脂粒子の粒子サイズとして「大」が選択されたか否かを判定する。そして、制御部27は、操作部19を介して、樹脂粒子の粒子サイズとして「大」が選択されたと判定した場合は(S221:YES)、ステップS222に進む。ステップS222において、制御部27は、粒子検知数を表示する粒子サイズとして「大」をディスプレイ16に表示した後、ステップS223に進む。例えば、図13に示すように、制御部27は、ディスプレイ16の対象表示部16Aの「粒子径」の下側に「大」を表示した後、ステップS223に進む。
【0102】
ステップS223において、制御部27は、ABS等の樹脂粒子のうちの粒子サイズが「大」の粒子検知数をカウントするカウント値CHをRAMから読み出す。そして、制御部27は、カウント値CHをディスプレイ16に表示した後、出力表示処理のサブ処理を終了してメインフローチャートに戻り、粒子計測処理を終了する。
【0103】
例えば、制御部27は、ディスプレイ16の対象表示部16A(図13参照)の右側の「カウント値」の下側に、例えば、「25」を表示する。これにより、ユーザは、ABS等の樹脂粒子のうちの粒子サイズが「大」の粒子検知数が「25」個である旨を容易に確認することができる。
【0104】
一方、上記ステップS221において、制御部27は、操作部19を介して、樹脂粒子の粒子サイズとして「大」が選択されていないと判定した場合は(S221:NO)、ステップS224に進む。ステップS224において、制御部27は、操作部19を介して、樹脂粒子の粒子サイズとして「小」が選択されたか否かを判定する。そして、制御部27は、操作部19を介して、樹脂粒子の粒子サイズとして「小」が選択されていないと判定した場合は(S224:NO)、再度、ステップS221以降の処理を実行する。
【0105】
一方、制御部27は、操作部19を介して、樹脂粒子の粒子サイズとして「小」が選択されたと判定した場合は(S224:YES)、ステップS225に進む。ステップS225において、制御部27は、粒子検知数を表示する粒子サイズとして「小」をディスプレイ16に表示した後、ステップS226に進む。例えば、ディスプレイ16の対象表示部16A(図13参照)の「粒子径」の下側に「小」を表示した後、ステップS226に進む。
【0106】
ステップS226において、制御部27は、ABS等の樹脂粒子のうちの粒子サイズが「小」の粒子検知数をカウントするカウント値CLをRAMから読み出す。そして、制御部27は、カウント値CLをディスプレイ16に表示した後、出力表示処理のサブ処理を終了してメインフローチャートに戻り、粒子計測処理を終了する。
【0107】
例えば、制御部27は、ディスプレイ16の対象表示部16A(図13参照)の右側の「カウント値」の下側に、例えば、「1327」を表示する。これにより、ユーザは、ABS等の樹脂粒子のうちの粒子サイズが「小」の粒子検知数が「1327」個である旨を容易に確認することができる。
【0108】
以上詳細に説明した通り、実施形態1に係る粒子計測装置1では、検知領域42を通過した粒子Wの検出は、該検知領域42を通過した通過光の受光量によって行われる。よって、光拡散方式の場合に生じていた、粒子Wの反射率によって受光量が変化するという問題を解消することができる。
【0109】
また、検知領域42を通過した通過光をリニアイメージセンサ32によって検出しているので、粒子Wの大きさに応じて、受光量の変化が生じる画素32A(受光素子)の画素数NW(配置分布)が変化することになる。さらに、粒子Wの落下速度は、粒子Wの粒子密度(比重)に応じて変動するので、受光量の時間変化の期間の長さ、つまり、走査回数NHに基づいて粒子Wの材質を判別することができる。すなわち、上記の構成によれば、リニアイメージセンサ32の各画素32A(受光素子)の受光量の時間変化、つまり、走査回数NHに基づいて、粒子Wの大きさおよび材質を正確に判定することができる。
【0110】
また、流路部21内を自由落下する粒子Wを検知するので、吸入ポンプなどの装置を不要とすることができる。よって、装置サイズの小さい粒子計測装置1を提供することができる。また、粒子Wの大きさは、受光量の変化が生じた画素32A(受光素子)の画素数NW(配置分布)に基づいて判別するので、例えば受光量に影響を及ぼすようなノイズが生じたとしても、粒子Wの大きさの判別精度を保つことができる。
【0111】
リニアイメージセンサ32の画素32A(受光素子)による受光量に光強度閾値PTH以上の時間変化が生じている期間の走査回数NHをカウントするという簡易な制御によって、十分に正確に時間変化の期間の長さを認識することができる。
【0112】
発光側レンズ33を介して、検知領域42にコリメート光が照射されるので、例えば、拡散光が照射される場合と比較して、粒子Wの検知領域42内での位置に応じて、受光量の変化が生じた画素32A(受光素子)の画素数NW(配置分布)が変化することを抑制することができる。よって、粒子Wの大きさの判別精度を高めることができる。
【0113】
制御部27は、アルミニウム等の金属粒子と、ABS等の樹脂粒子とのそれぞれの粒子サイズ「大」と「小」の粒子検知数をディスプレイ16に表示する。これにより、利用者は、粒子Wの大きさの範囲毎および粒子の材質の種別毎の粒子検知数を把握することができるので、所定空間内に存在する粒子の状態を正確に認識することが可能となる。また、制御部27は、通信部30を介して、PC等の上位装置3へ、粒子Wの大きさの範囲毎および粒子Wの材質の種別毎の粒子検知数と、合計粒子検知数とを送信することができる。利用者は、PC等の上位装置3を利用して所定空間内に存在する粒子の状態を正確に認識することが可能となる。
【0114】
§4 変形例
[実施形態2]
次に、実施形態2に係る粒子計測装置61について図14に基づいて説明する。図14は、実施形態2に係る粒子Wを検出する検出部62の概略構成の一例を模式的に示す平面図である。尚、説明の便宜上、上記実施形態1に係る粒子計測装置1にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0115】
実施形態2に係る粒子計測装置61は、実施形態1に係る粒子計測装置1とほぼ同じ構成である。但し、図14に示すように、検出部62は、流路部21の壁面21Cとリニアイメージセンサ32との間には、受光側レンズ65が配置されている。受光側レンズ65は、流路部21を通過した略平行光を壁面21Cの全幅に亘って集光してリニアイメージセンサ32に入射させる光学部材である。そして、リニアイメージセンサ32が受光側レンズ65を介して受光する入射光の光軸は、光源31から発光側レンズ33を介して照射される照射光の鉛直方向に対して直交する光軸L1上に位置するように配置されている。受光側レンズ65は、出光側集光レンズの一例として機能する。
【0116】
また、受光側レンズ65とリニアイメージセンサ32との間には、受光側レンズ65によってコリメート光が集光される集光点65Aにピンホール66Aが形成された略矩形板状のピンホール板66が配置されている。ピンホール板66は、光を透過させない不透明の樹脂板や金属板で形成されて、壁面21Cに対して平行に配置されている。ピンホール板66の鉛直方向の高さは、リニアイメージセンサ32よりも鉛直方向の両外側まで覆うように形成されている。また、ピンホール板66の鉛直方向に対して直交する水平方向の幅は、リニアイメージセンサ32よりも鉛直方向に対して直交する水平方向の両外側まで覆うように形成されている。
【0117】
また、ピンホール板66とリニアイメージセンサ32との間には、出光側コリメートレンズ67が配置されている。出光側コリメートレンズ67は、ピンホール66Aを通過した光を再びコリメート化し、鉛直方向に対して垂直な略平行光として、受光部26(図3参照)を構成するリニアイメージセンサ32の鉛直方向に対して直交する水平方向の全幅に亘って照射するための光学部材である。そして、リニアイメージセンサ32が出光側コリメートレンズ67を介して受光する入射光の光軸は、光源31から発光側レンズ33を介して照射される照射光の光軸L1上に位置するように配置されている。
【0118】
ここで、検知領域42を通過したコリメート光には、厳密には粒子Wに当たって回折された回折光が含まれている。この回折光は、粒子Wからの距離により光強度の分布が変化する。そのため、この回折光によって、受光部26(図3参照)を構成するリニアイメージセンサ32で検出される受光量の分布に、実際の粒子Wの大きさの分布とのずれが生じる。
【0119】
これに対して、上記粒子計測装置61の検出部62の構成によれば、検知領域42を通過したコリメート光は、一旦受光側レンズ65で集光されてピンホール66Aを通過する。そして、ピンホール66Aを通過した光は、出光側コリメートレンズ67によって再びコリメート光に変換されてリニアイメージセンサ32に照射される。よって、平行光成分以外の光がピンホール66Aによってカットされることにより、回折光の影響を抑制することができる。したがって、粒子Wの大きさの判別をより正確に行うことができる。
【0120】
[変形例1]
実施形態1に係る粒子計測装置1において、粒子判定部274は、画素数閾値WTH1と、画素数閾値WTH1よりも多い画素数閾値WTH2とにより、粒子Wの粒子サイズ「大」、「中」、「小」を判定してもよい。具体的には、粒子判定部274は、光強度分布検出部272から入力された画素数が、画素数閾値WTH1よりも少ない場合は、粒子Wの粒子サイズを「小」と判定してもよい。
【0121】
また、粒子判定部274は、光強度分布検出部272から入力された画素数が、画素数閾値WTH1以上で、かつ、画素数閾値WTH2よりも少ない場合は、粒子Wの粒子サイズを「中」と判定してもよい。また、粒子判定部274は、光強度分布検出部272から入力された画素数が、画素数閾値WTH2以上の場合は、粒子Wの粒子サイズを「大」と判定してもよい。そして、粒子判定部274は、粒子Wの粒子サイズを粒子カウント部275に出力するようにしてもよい。なお、画素数閾値WTH1と画素数閾値WTH2とは、予めROMに記憶されている。
【0122】
[変形例2]
実施形態1に係る粒子計測装置1において、制御部27は、光強度分布検出部272を介して、リニアイメージセンサ32の光強度が光強度閾値PTH以上変化した画素数NWの検出データを取得してもよい。また、制御部27は、走査回数検出部273を介して、リニアイメージセンサ32の走査回数NHのカウント値を取得してもよい。そして、制御部27は、画素数NWの検出データと、走査回数NHのカウント値とを、通信部20を介してPC等の上位装置3へ送信するようにしてもよい。
【0123】
そして、PC等の上位装置3において、受信した画素数NWの検出データと走査回数NHのカウント値とから、粒子Wの金属やプラスチック等の材質と、各材質の種類毎の粒子の大きさと、を判定するようにしてもよい。そして、PC等の上位装置3において、粒子Wの金属やプラスチック等の材質と、各材質の種類毎の粒子の大きさと、粒子の大きさの範囲毎、および、粒子の材質の種別毎の通過した個数等と、の検出結果やアラーム警告などを表示するようにしてもよい。
【0124】
[変形例3]
実施形態1に係る粒子計測装置1において、リニアイメージセンサ32の走査時間T1を数[μsec]~数十[μsec]に設定してもよい。これにより、走査回数検出部273は、より多くの走査回数NHをカウントすることが可能となり、粒子密度(比重)の大きい粒子Wの走査回数NHを精度よくカウントすることできる。その結果、粒子判定部274は、回数閾値HTHに基づいて、粒子Wの材質の判別精度の向上を図ることが可能となる。
【0125】
[変形例4]
変形例4に係る粒子計測装置81について図15に基づいて説明する。図15は、変形例4に係る粒子計測装置81の一例を模式的に示す外観斜視図である。なお、以下の説明において、実施形態1に係る粒子計測装置1と同一又は同等の構成要素、部材には、同一の符号を付すものとし、適宜重複した説明は省略する。
【0126】
図15に示すように、粒子計測装置81は、本体ケース11と検出部30とが一体化された箱体状の本体ケース82と、本体ケース82の底面の4隅には、同じ長さで下方に突出する4個の脚部86とを有している。粒子計測装置81は、図15中、手前側の前側壁面85に、ディスプレイ16と、電源スイッチ17と、出力端子18と、操作部19と、が配置されている。
【0127】
粒子計測装置81の略矩形状で平坦な天面83には、空気中を落下する小さな粒子が進入可能な断面略四角形の流路部21が、天面83から底面84まで、粒子が通過する粒子通過方向(鉛直方向)に沿って貫通して形成されている。流路部21は、各壁面21A~21Dによって断面略四角形で鉛直方向に沿って貫通する内部空間23を構成している。従って、流路部21に進入した小さな粒子は、内部空間23を自由落下する。壁面21Aおよび21Cは、透明樹脂等によって形成され、光を透過可能に構成されている。
【0128】
従って、粒子計測装置81では、粒子が自由落下することによって流路部21を通過するため、粒子通過方向は鉛直方向となっている。また、流路部21内に粒子を吸い込むための吸引ポンプなどは、設けられていない。これにより、装置サイズの小さい粒子計測装置81を提供することができる。
【0129】
また、本体ケース82内には、流路部21に進入して、内部空間23を落下する小さな粒子を検出する検出部30(図2参照)が配置されている。また、図15に示すように、本体ケース82内には、制御部27が配置されている。制御部27は、光強度分布検出部272を介して取得したリニアイメージセンサ32の光強度が光強度閾値PTH以上変化した画素数NWから、粒子Wの大きさを検出する。また、制御部27は、走査回数検出部273を介して取得したリニアイメージセンサ32の走査回数NHのカウント値から、粒子Wの材質を検出する。
【0130】
これにより、制御部27は、小さな粒子の金属やプラスチック等の材質と、各材質の種類毎の粒子の大きさと、粒子の大きさの範囲毎、および、粒子の材質の種別毎の個数等を検出することができる。従って、粒子計測装置81は、実施形態1に係る粒子計測装置1と同様の効果を奏することができる。
【0131】
[変形例5]
次に、変形例5に係るPC等の上位装置3が有するディスプレイ3Aに表示された測定結果の出力表示の一例について図16に基づいて説明する。図16は、変形例5に係る上位装置3における測定結果の出力表示の一例を示す図である。
【0132】
なお、金属粒子のうちの粒子サイズが「大」のアラーム設定閾値である第1閾値は、100[個]に設定されている。また、樹脂粒子のうちの粒子サイズが「大」のアラーム設定閾値である第3閾値は、100[個]に設定されている。また、金属粒子のうちの粒子サイズが「小」のアラーム設定閾値である第2閾値と、樹脂粒子のうちの粒子サイズが「小」のアラーム設定閾値である第4閾値との設定は、取り消されている。また、合計粒子検知数のアラーム設定閾値である第5閾値は、5000[個]に設定されている。
【0133】
図16に示すように、ディスプレイ3Aには、左側上端に金属粒子を表す「材質:金属」の表題が表示され、左側中央部に樹脂粒子を表す「材質:樹脂」の表題が表示され、左側下方に合計粒子検知数を表す「合計」が表示されている。そして、「材質:金属」と、「材質:樹脂」と、「合計」とのそれぞれの下側には、「ALARM」と、「計測値」と、「判定値」との欄が左右方向に配置されている。
【0134】
そして、上端の「ALARM」の欄の下側には、各アラームマーク51、52が表示され、中央の「ALARM」の欄の下側には、各アラームマーク53、54が表示され、下方の「ALARM」の欄の下側には、アラームマーク55が表示されている。また、各アラームマーク51、53の右側には、粒子サイズが「大」である旨を表す「粒子サイズ:大」が表示されている。各アラームマーク52、54の右側には、粒子サイズが「小」である旨を表す「粒子サイズ:小」が表示されている。アラームマーク55の右側には、合計粒子検知数を表す「粒子ALL」が表示されている。
【0135】
上端の「計測値」の欄の下側には、金属粒子のカウント値MHが表示され、その下側に、金属粒子のカウント値MLが表示される。中央の「計測値」の欄の下側には、樹脂粒子のカウント値CHが表示され、その下側に、樹脂粒子のカウント値CLが表示される。下方の「計測値」の欄の下側には、合計粒子検知数を表すカウント値Nが表示される。
【0136】
また、上端の「判定値」の欄の下側には、金属粒子の粒子サイズ「大」のアラーム設定値である第1閾値の「100」[個]が表示され、その下側に、金属粒子の粒子サイズ「小」のアラーム設定値である第2閾値が表示される。しかし、金属粒子の粒子サイズ「小」のアラーム設定値である第2閾値の設定は、取り消されているため、表示されていない。
【0137】
また、中央の「判定値」の欄の下側には、樹脂粒子の粒子サイズ「大」のアラーム設定値である第3閾値の「100」[個]が表示され、その下側に、樹脂粒子の粒子サイズ「小」のアラーム設定値である第4閾値が表示される。しかし、樹脂粒子の粒子サイズ「小」のアラーム設定値である第4閾値の設定は、取り消されているため、表示されていない。下方の「判定値」の欄の下側には、合計粒子検知数のアラーム設定値である第5閾値の「5000」[個]が表示される。
【0138】
そして、図16の上段に示すように、金属粒子の粒子サイズ「大」のカウント値MHが「65」[個]で、第1閾値「100」[個]以下である。また、樹脂粒子の粒子サイズ「大」のカウント値CHが「25」[個]で、第3閾値「100」[個]以下である。更に、合計粒子検知数のカウント値Nが、「1773」[個]で、第5閾値「5000」[個]以下である。その結果、各アラームマーク51~55は、点滅表示されておらず、正常である旨が報知されている。
【0139】
一方、図16の下段に示すように、金属粒子の粒子サイズ「大」のカウント値MHが「125」[個]で、第1閾値「100」[個]よりも大きい値である。また、樹脂粒子の粒子サイズ「大」のカウント値CHが「65」[個]で、第3閾値「100」[個]以下である。更に、合計粒子検知数のカウント値Nが、「2973」[個]で、第5閾値「5000」[個]以下である。その結果、アラームマーク51が点滅表示され、警告報知がなされている。
【0140】
これにより、粒子計測装置1から上位装置3へ全てのデータを送信して、上位装置3のディスプレイ3Aに、アルミニウム等の金属粒子と、ABS等の樹脂粒子とのそれぞれの粒子サイズ「大」と「小」の粒子検知数と、合計粒子検知数とを表示することができる。これにより、利用者は、粒子Wの大きさの範囲毎および粒子の材質の種別毎の粒子検知数を把握することができるので、所定空間内に存在する粒子の状態を正確に認識することが可能となる。
【0141】
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【0142】
[付記事項]
第1態様の粒子計測装置は、検知領域に向けて照射光を発する発光部と、前記検知領域を通過した通過光を検出する受光素子が水平方向に複数並んで配置されている受光部と、前記受光素子による受光量に時間変化が生じた場合に、受光量の変化が生じた前記受光素子の配置分布に基づいて、前記検知領域を自由落下により通過した粒子の大きさを判別するとともに、該時間変化の期間の長さに基づいて、前記粒子の材質を判別する制御部と、を備える。
【0143】
第2態様は、第1態様の粒子計測装置であって、前記制御部は、前記受光素子による受光量に時間変化が生じている期間の走査回数に基づいて、前記粒子の材質を判別する。
【0144】
第3態様は、第1態様または第2態様の粒子計測装置であって、前記発光部から出射された光をコリメート光に変換し、前記検知領域に照射する入光側コリメートレンズをさらに備える。
【0145】
第4態様は、第3態様の粒子計測装置であって、前記検知領域から出射した前記コリメート光を集光する出光側集光レンズと、前記コリメート光が前記出光側集光レンズによって集光される集光点にピンホールが形成されたピンホール板と、前記ピンホールを通過した光を再びコリメート光に変換し、前記受光部に照射する出光側コリメートレンズと、をさらに備える。
【0146】
第5態様は、第1態様から第4態様のいずれか一の態様の粒子計測装置であって、前記制御部は、予め設定された期間における前記粒子の大きさの範囲毎および前記粒子の材質の種別毎の粒子検知数を、通信部に出力するまたは表示部に表示する制御を行う。
【符号の説明】
【0147】
1、61、81 粒子計測装置、16 ディスプレイ、25 発光部、26 受光部、27 制御部、31 点光源、32 リニアイメージセンサ、32A 画素、33 発光側レンズ、65 受光側レンズ、65A 集光点、66 ピンホール板、66A ピンホール、67 出光側コリメートレンズ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図10
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図16