(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024106718
(43)【公開日】2024-08-08
(54)【発明の名称】粒子計測装置
(51)【国際特許分類】
G01N 15/0227 20240101AFI20240801BHJP
G01N 15/10 20240101ALI20240801BHJP
【FI】
G01N15/02 C
G01N15/10 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023011125
(22)【出願日】2023-01-27
(71)【出願人】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100155712
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 尚
(72)【発明者】
【氏名】大垣 龍男
(57)【要約】
【課題】粒子の大きさおよび材質を判別することができると共に、装置サイズの小さい粒子計測装置を提供する。
【解決手段】検知領域(42)に向けて照射光を発する発光部(25)と、検知領域(42)を通過した通過光を検出する受光部(26)と、受光部(26)による受光量に時間変化が生じた場合に、該時間変化中の受光量の大きさに基づいて、検知領域(42)を自由落下により通過した粒子の大きさを判別するとともに、該時間変化の期間の長さに基づいて、粒子の材質を判別する制御部(27)と、を備えるように構成する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検知領域に向けて照射光を発する発光部と、
前記検知領域を通過した通過光を検出する受光部と、
前記受光部による受光量に時間変化が生じた場合に、該時間変化中の受光量の大きさに基づいて、前記検知領域を自由落下により通過した粒子の大きさを判別するとともに、該時間変化の期間の長さに基づいて、前記粒子の材質を判別する制御部と、を備える粒子計測装置。
【請求項2】
前記受光部に入射する光の一部を通過させるスリットが設けられたスリット部材をさらに備え、
前記スリット部材は、前記スリットの長手方向が水平方向となるように配置される、請求項1に記載の粒子計測装置。
【請求項3】
前記発光部から出射された光をコリメート光に変換し、前記検知領域に照射するコリメートレンズをさらに備える、請求項1に記載の粒子計測装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記受光部からの出力信号に所定値以上の時間変化が生じた場合に、該時間変化内での該出力信号の最小値を検出し、該最小値に基づいて前記粒子の大きさを判別する、請求項1に記載の粒子計測装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記受光部からの出力信号に所定値以上の時間変化が生じた場合に、該時間変化内での該出力信号の受光量低下時の所定値におけるパルス幅を検出し、該パルス幅に基づいて前記粒子の材質を判別する、請求項1に記載の粒子計測装置。
【請求項6】
前記制御部は、予め設定された期間における前記粒子の大きさの範囲毎および前記粒子の材質の種別毎の粒子検知数を、通信部に出力するまたは表示部に表示する制御を行う、請求項1に記載の粒子計測装置。
【請求項7】
前記発光部からの光を導光して検知領域に向けて照射する、および、前記受光部に対して前記通過光を導光する、の少なくともいずれか一方を行う光ファイバを備える、請求項1に記載の粒子計測装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粒子計測装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、微粒子等を検出する技術に関し、種々提案されている。例えば、下記特許文献1に記載される粒子計数装置では、粒子をフローセルに導き、通過する流路中にレーザ光を照射する。そして、計測部は、粒子によって散乱された拡散光を受光することで粒子を検出する。また、計測部は、拡散光の拡散光量によって粒径を区分し、粒径区分ごとの粒子数をカウントするように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の光拡散方式は、粒子の拡散反射光量でサイズを判定するため、粒子反射率によってはサイズ判別性能が低下する。また、上述の粒子数計数装置では、粒子の材質の判別ができない。更に、粗大粒子は、空中に浮遊しにくく落下するため、検出部は、粒子の落下位置に置く必要がある。また、フローセルに粒子の流路を持つ構成は吸入ポンプなどの吸入機構が必要なため、装置のサイズが大きくなり、粒子の落下位置の空間が狭いと置けないという問題がある。
【0005】
本発明は、一側面では、このような問題点を鑑みてなされたものであり、粒子の大きさおよび材質を判別することができると共に、装置サイズの小さい粒子計測装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述した課題を解決するために、以下の構成を採用する。
【0007】
すなわち、本発明の一側面に係る粒子計測装置は、検知領域に向けて照射光を発する発光部と、前記検知領域を通過した通過光を検出する受光部と、前記受光部による受光量に時間変化が生じた場合に、該時間変化中の受光量の大きさに基づいて、前記検知領域を自由落下により通過した粒子の大きさを判別するとともに、該時間変化の期間の長さに基づいて、前記粒子の材質を判別する制御部と、を備える。
【0008】
上記の構成によれば、検知領域を通過した粒子の検出は、該検知領域を通過した通過光の受光量によって行われる。よって、光拡散方式の場合に生じていた、粒子の反射率によって受光量が変化するという問題を解消することができる。
【0009】
また、粒子の反射率の影響を受けないことにより、受光部による受光量の値は、粒子の大きさに応じて変動することになる。さらに、粒子の落下速度は、粒子の比重と大きさに応じて変動するので、受光量の時間変化の期間の長さに基づいて粒子の材質を判別することができる。すなわち、上記の構成によれば、受光量の時間変化に基づいて、粒子の大きさおよび材質を正確に判定することができる。また、自由落下する粒子を検知するので、吸入ポンプなどの装置を不要とすることができる。よって、装置サイズの小さい粒子計測装置を提供することができる。
【0010】
上記一側面に係る粒子計測装置において、前記受光部に入射する光の一部を通過させるスリットが設けられたスリット部材をさらに備え、前記スリット部材は、前記スリットの長手方向が水平方向となるように配置されるようにしてもよい。
【0011】
上記の構成によれば、受光部で受光される光は、スリットによってその鉛直上下方向の領域の光が遮られて、検知領域を通過した光だけとなる。よって、検知領域を粒子が通過した際には、受光部は、検知領域において光量変化が生じた光を検出することになる。ここで、スリットは水平方向に配置されているので、自由落下する粒子による受光量の変化は急峻となる。したがって、粒子が通過している状態と通過していない状態との受光量の差異を大きくすることができるので、粒子の大きさを精度よく計測することができる。また、受光量の時間変化の期間の長さが、粒子の落下速度に応じて急峻に変化することになるので、粒子の材質を精度よく計測することができる。
【0012】
上記一側面に係る粒子計測装置において、前記発光部から出射された光をコリメート光に変換し、前記検知領域に照射するコリメートレンズをさらに備えるようにしてもよい。上記の構成によれば、検知領域にコリメート光が照射されるので、例えば、拡散光が照射される場合と比較して、検知領域内の光量分布をより均一にすることができる。よって、粒子の検知領域内での位置に依存する光量変化を低減することができるので、粒子の大きさおよび材質の判別精度を高めることができる。
【0013】
上記一側面に係る粒子計測装置において、前記制御部は、前記受光部からの出力信号に所定値以上の時間変化が生じた場合に、該時間変化内での該出力信号の最小値を検出し、該最小値に基づいて前記粒子の大きさを判別するようにしてもよい。上記の構成によれば、受光部からの出力信号の最小値を検出することによって、粒子の大きさを判別することができる。
【0014】
上記一側面に係る粒子計測装置において、前記制御部は、前記受光部からの出力信号に所定値以上の時間変化が生じた場合に、該時間変化内での該出力信号の受光量低下時の所定値におけるパルス幅を検出し、該パルス幅に基づいて前記粒子の材質を判別するようにしてもよい。上記の構成によれば、受光部からの出力信号のパルス幅を検出することによって、粒子の材質を判別することができる。
【0015】
上記一側面に係る粒子計測装置において、前記制御部は、予め設定された期間における前記粒子の大きさの範囲毎および前記粒子の材質の種別毎の粒子検知数を、通信部に出力するまたは表示部に表示する制御を行うようにしてもよい。上記の構成によれば、利用者は、粒子の大きさの範囲毎および粒子の材質の種別毎の粒子検知数を把握することができるので、所定空間内に存在する粒子の状態を正確に認識することが可能となる。
【0016】
上記一側面に係る粒子計測装置において、前記発光部からの光を導光して検知領域に向けて照射する、および、前記受光部に対して前記通過光を導光する、の少なくともいずれか一方を行う光ファイバを備えるようにしてもよい。上記の構成によれば、発光部および受光部の少なくともいずれか一方を、検知領域とは異なる場所に配置することが可能となるので、検知領域近傍に配置される構造の小型化を実現できる。よって、狭い空間での粒子検出が可能な粒子計測装置を実現することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、粒子の大きさおよび材質を判別することができると共に、装置サイズの小さい粒子計測装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】実施形態1に係る粒子計測装置の一例を模式的に示す外観斜視図である。
【
図2】実施形態1に係る粒子を検出する検出部の概略構成の一例を模式的に示す斜視図である。
【
図3】実施形態1に係る粒子計測装置の電気的構成の一例を示すブロック図である。
【
図4】実施形態1に係る粒子計測装置が備える制御部の機能ブロック図である。
【
図5】流路部内を粒子が落下したときの受光部の検出信号の一例を模式的に示す図である。
【
図6】ABS樹脂、アルミニウム、銅の自由落下時における粒子径区分毎の落下速度の一例を示す図である。
【
図7】制御部が実行する粒子計測処理の一例を示すメインフローチャートである。
【
図8】
図7の計測処理のサブ処理の一例を示すサブフローチャートである。
【
図9】
図7の出力表示処理のサブ処理の一例を示すサブフローチャートである。
【
図10】測定結果の出力表示の一例を示す図である。
【
図11】実施形態2に係る粒子を検出する検出部の概略構成の一例を模式的に示す斜視図である。
【
図12】変形例5に係る粒子計測装置の粒子を検出する検出部の概略構成の一例を模式的に示す斜視図である。
【
図13】変形例6に係る粒子計測装置の一例を模式的に示す外観斜視図である。
【
図14】変形例7に係る上位装置における測定結果の出力表示の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を具体化した実施形態1および実施形態2について、図面を参照して詳細に説明する。各図面に示される同一又は同等の構成要素、部材には、同一の符号を付すものとし、適宜重複した説明は省略する。
【0020】
§1 適用例
〔実施形態1〕
先ず、
図1を用いて、本発明が適用される粒子計測装置の一例について説明する。
図1は、実施形態1に係る粒子計測装置の一例を模式的に示す外観斜視図である。実施形態1に係る粒子計測装置1は、
図1に示すように、箱体状の本体ケース11と、高さが低い箱体状の検出部30と、本体ケース11と検出部30とを電気的に接続する信号線38とを有している。
【0021】
本体ケース11は、
図1中、上面にディスプレイ16と、電源スイッチ17と、操作部19と、が配置されている。本体ケース11は、手前側の前側壁面15に、出力端子18が配置され、更に、PC等の上位装置3(
図4参照)と本体ケース11とを通信可能に電気的に接続する通信ケーブル39が前側壁面15から引き出されている。
【0022】
ディスプレイ16は、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ等で構成されている。ディスプレイ16は、後述のように、小さな粒子の金属やプラスチック等の材質と、各材質の種類毎の粒子の大きさと、粒子の大きさの範囲毎、および、粒子の材質の種別毎の通過した個数等と、の検出結果を表示する。電源スイッチ17は、粒子計測装置1の電源をオン、オフするスイッチである。
【0023】
出力端子18は、当該粒子計測装置1による計測結果を、電気的に接続された外部の装置に出力する端子である。操作部19は、複数のボタンスイッチで構成され、周囲のボタンスイッチを押下することによって、ディスプレイ16に表示されたカーソルが移動する。また、操作部19の中央のボタンスイッチを押下することによって、カーソルが位置する各種指示ボタンの入力を決定する。粒子計測装置1が検出する粒子径は、例えば、10[μm]~500[μm]等である。
【0024】
検出部30のセンサケース24の略矩形状で平坦な天面22には、空気中を落下する小さな粒子が進入可能な断面略四角形の流路部21が、粒子が通過する粒子通過方向(鉛直方向)に沿って貫通して形成されている。流路部21は、各壁面21A~21Dによって断面略四角形で鉛直方向に沿って貫通する内部空間23(
図2参照)を構成している。従って、流路部21に進入した小さな粒子は、内部空間23を自由落下する。壁面21Aおよび21Cは、透明樹脂等によって形成され、光を透過可能に構成されている。
【0025】
なお、実施形態1では、粒子が自由落下することによって流路部21を通過するため、粒子通過方向は鉛直方向となっている。また、流路部21内に粒子を吸い込むための吸引ポンプなどは、設けられていない。これにより、装置サイズの小さい粒子計測装置1を提供することができる。
【0026】
また、検出部30内には、流路部21に進入して、内部空間23を落下する小さな粒子を検出するための発光部25(
図3参照)と受光部26(
図3参照)とが壁面21Aおよび21Cを挟んで配置されている(
図2参照)。また、
図1に示すように、本体ケース11内には、制御部27が配置されている。制御部27は、受光部26から入力されたパルス状の粒子検出信号のパルス幅と振幅から、後述のように、小さな粒子の金属やプラスチック等の材質と、各材質の種類毎の粒子の大きさと、粒子の大きさの範囲毎、および、粒子の材質の種別毎の個数等を算出する。
【0027】
§2 構成例
次に、小さな粒子を検出する検出部30について
図2に基づいて説明する。
図2は、粒子を検出する検出部30の概略構成の一例を模式的に示す斜視図である。
図2に示すように、検出部30は、光源31と受光素子32とが、流路部21の壁面21A、21Cを挟んで互いに対向して配置されている。光源31と壁面21Aとの間には、発光側レンズ33が配置されている。受光素子32と壁面21Cとの間には、受光側レンズ35が配置されている。
【0028】
発光側レンズ33は、光源31から出射された光をコリメート化し、鉛直方向に対して垂直な略平行光として壁面21Aの全幅に亘って流路部21へ照射するための光学部材である。発光側レンズ33は、コリメートレンズの一例として機能する。受光側レンズ35は、流路部21を通過した略平行光を壁面21Cの全幅に亘って集光して受光素子32に入射させる光学部材である。そして、光源31から発光側レンズ33を介して照射される照射光の光軸と、受光素子32が受光側レンズ35を介して受光する入射光の光軸とは、鉛直方向に対して直交する同一光軸L1上に位置するように配置されている。
【0029】
また、流路部21の壁面21Cと受光側レンズ35との間には、光を透過させない不透明の樹脂板や金属板で形成された略矩形板状のスリット部材41が、壁面21Cに対して平行に配置されている。スリット部材41の鉛直方向の高さは、受光側レンズ35よりも鉛直方向の両外側まで、壁面21Cを覆うように形成されている。スリット部材41の幅は、壁面21Cよりも鉛直方向に対して直交する方向の両外側まで覆うように形成されている。
【0030】
そして、スリット部材41には、光軸L1が貫通する位置に、鉛直方向に対して直交する方向、つまり、水平方向に沿って幅の狭いスリット41Aが形成されている。スリット41Aの鉛直方向に対して直交する方向の両端部は、壁面21Cの両側縁よりも外側に対向するように形成されている。
【0031】
その結果、発光側レンズ33介して流路部21内に照射されるコリメート光のうち、スリット41Aを通過して受光側レンズ35を介して受光素子32まで到達できる領域が、流路部21内を落下する粒子Wを検知できる検知領域42となる。従って、流路部21の内部空間23における、検知領域42に対応する断面領域が全て粒子Wを検知する領域となっている。
【0032】
スリット41Aは、鉛直方向の受光範囲を制限して、検知領域42以外から受光側レンズ35および受光素子32へ入射する光が遮られる。スリット41Aは、粒子Wの落下位置によらず遮光量をほぼ均一にする効果を有する。スリット41Aは、受光素子32の全受光量に対する粒子Wによる変化量を大きくするために配置する。なお、スリット部材41は、発光側レンズ33と流路部21の壁面21Aとの間に配置してもよい。
【0033】
光源31は、電力の供給により所定波長の光を発光する光源であり、例えば、LED(Light Emitting Diode)素子や半導体レーザが挙げられる。光源31が発光する波長は、受光素子32の受光帯域範囲であり、例えば、赤外光や赤色光、緑色光や青色光、近紫外光等が挙げられる。光源31として、緑色LEDを用いると、赤外光や赤色光よりも照射光の波長が短いため、回折の影響を受けにくくなり、より位置による信号変化が少なくなる。
【0034】
受光素子32は、所定波長の光を受光して光信号を電気信号に変換するものであり、例えば、フォトダイオード等が挙げられる。
【0035】
次に、粒子計測装置1の電気的構成の一例について
図3に基づいて説明する。
図3は、実施形態1に係る粒子計測装置1の電気的構成の一例を示すブロック図である。
図3に示すように、粒子計測装置1は、発光部25と、受光部26と、制御部27と、ディスプレイ16と、出力端子18と、操作部19と、通信部20とを備えている。通信部20は、PC等の上位装置3(
図4参照)と通信するための通信インタフェースの一例である。
【0036】
発光部25は、光源31と、光源31に電気的に接続される光源駆動回路45と、を有している。受光部26は、受光素子32と、受光素子32に電気的に接続される受光回路46と、受光回路46と電気的に接続されるADコンバータ46Aと、を有している。
【0037】
光源駆動回路45は、制御部27からの発光信号に基づいて、駆動電流を供給する。その結果、光源31は、所定波長の光を発光する。
【0038】
受光回路46は、受光素子32で生じた電流信号を電圧値に変換して増幅した後、アナログ信号である電圧値をADコンバータ46Aによりデジタル信号に変換して制御部27に出力する。具体的には、検知領域42に落下した粒子Wにより受光素子32の受光量が減少するため、受光回路46は、受光素子32から受光量の変化に対応したパルス状の電流信号が入力される(
図5参照)。そして、受光回路46は、受光素子32から入力されたパルス状の電流信号を電圧値に変換して増幅した後、アナログ信号である電圧値をADコンバータ46Aによりデジタル信号に変換して制御部27に出力する。
【0039】
制御部27は、CPU、不揮発性メモリとしてのROM(フラッシュメモリなど)、RAM等を備えた、いわゆる公知のデジタル信号処理回路である。CPUは、ROMに記憶された各種のプログラムや各種パラメータに基づいて、種々の演算処理を実行する。RAMは、CPUでの演算結果や受光部26から入力されたデータを一時的に記憶する。
【0040】
ROMは、例えば、流路部21を落下する粒子の材質と、各材質の種類毎の粒子の大きさと、粒子の大きさの範囲毎、および、粒子の材質の種別毎の通過した個数等を検知する後述の粒子計測処理(
図7参照)のプログラム等を記憶する。なお、制御部27は、FPGA(Field Programmable Gate Array)やASIC(Application Specific IC)などで構成されていてもよい。
【0041】
図4は、制御部27の機能ブロック図である。
図4に示すように、制御部27は、駆動処理部271、パルス幅検出部272、パルス振幅検出部273、粒子判定部274、粒子カウント部275、表示制御部276、出力制御部277、操作制御部278、および、通信部20を備えている。駆動処理部271は、光源駆動回路45が電気的に接続され、光源駆動回路45に対して、光源31に供給する駆動電流を指示する発光信号を出力する。
【0042】
パルス幅検出部272は、受光回路46がADコンバータ46Aを介して電気的に接続されて、受光回路46から入力された粒子Wの検出信号のパルス幅PWを検出して粒子判定部274に出力する。また、パルス振幅検出部273は、受光回路46がADコンバータ46Aを介して電気的に接続されて、受光回路46から入力された粒子Wの検出信号の振幅値P(最小値)を検出して、粒子判定部274に出力する。
【0043】
粒子判定部274は、パルス幅検出部272から入力された検出信号のパルス幅PWに基づいて、粒子Wの材質を判別して、粒子カウント部275に出力する。また、粒子判定部274は、パルス振幅検出部273から入力された検出信号の振幅値Pに基づいて、粒子Wのサイズを判別して、粒子カウント部275に出力する。粒子カウント部275は、粒子Wの大きさの範囲毎および粒子の材質の種別毎の粒子検知数をカウントする。また、粒子カウント部275は、合計粒子検知数もカウントする。従って、粒子判定部274は、パルス振幅検出部273から入力された検出信号の振幅値P、つまり、受光量変化の大きさに基づいて、粒子Wのサイズを判別するため、粒子Wの反射率の影響を受けない。
【0044】
ここで、検知領域42を粒子Wが通過した際に、受光回路46から出力される検出信号の一例について
図5に基づいて説明する。
図5は、流路部21内を粒子Wが落下したときの受光部26の検出信号の一例を模式的に示す図である。
【0045】
図5の左側に示すように、受光回路46から出力された検出信号47は、粒子Wが検知領域42を通過すると受光量が振幅閾値PTHを超えて振幅値P1(最小値)まで減少している。従って、パルス振幅検出部273は、検出信号47の振幅値P1を検出して、粒子判定部274に出力する。受光量の減少は、粒子サイズが大きくなるに従って大きくなる。粒子判定部274は、入力された振幅値P1は、サイズ閾値STHを超えているため、粒子Wの粒子サイズは、「大」と判定する。なお、サイズ閾値STHは、予めROMに記憶されている。
【0046】
また、パルス幅検出部272は、受光回路46から入力された検出信号47の振幅閾値PTHにおけるパルス幅T1を検出して、粒子判定部274に出力する。粒子判定部274は、入力されたパルス幅T1が、パルス幅閾値WTH以下であることから、粒子Wの比重が大きく、材質は「金属」であると判定する。そして、粒子判定部274は、粒子サイズが「大」と、材質が「金属」との判定結果を粒子カウント部275に出力する。なお、パルス幅閾値WTHは、予めROMに記憶されている。
【0047】
また、
図5の中央に示すように、受光回路46から出力された検出信号48は、粒子Wが検知領域42を通過すると受光量が振幅閾値PTHを超えて振幅値P2(最小値)まで減少している。従って、パルス振幅検出部273は、検出信号48の振幅値P2を検出して、粒子判定部274に出力する。粒子判定部274は、入力された振幅値P2は、サイズ閾値STHを超えているため、粒子Wの粒子サイズは、「大」と判定する。
【0048】
また、パルス幅検出部272は、受光回路46から入力された検出信号48の振幅閾値PTHにおけるパルス幅T2を検出して、粒子判定部274に出力する。粒子判定部274は、入力されたパルス幅T2が、パルス幅閾値WTHより大きいことから、粒子Wの比重が小さく、材質は「樹脂」であると判定する。そして、粒子判定部274は、粒子サイズが「大」と、材質が「樹脂」との判定結果を粒子カウント部275に出力する。
【0049】
また、
図5の右側に示すように、受光回路46から出力された検出信号49は、粒子Wが検知領域42を通過すると受光量が振幅閾値PTHを超えて振幅値P3(最小値)まで減少している。従って、パルス振幅検出部273は、検出信号49の振幅値P3を検出して、粒子判定部274に出力する。粒子判定部274は、入力された振幅値P3は、サイズ閾値STHを超えていないため、粒子Wの粒子サイズは、「小」と判定する。
【0050】
また、パルス幅検出部272は、受光回路46から入力された検出信号49の振幅閾値PTHにおけるパルス幅T3を検出して、粒子判定部274に出力する。粒子判定部274は、入力されたパルス幅T3が、パルス幅閾値WTHより大きいことから、粒子Wの比重が小さく、材質は「樹脂」であると判定する。そして、粒子判定部274は、粒子サイズが「小」と、材質が「樹脂」との判定結果を粒子カウント部275に出力する。
【0051】
ここで、流路部21の内部空間23を落下する粒子の沈降速度(落下速度)と粒子の材質との関係について説明する。流路部21の内部空間23を自由落下する粒子の沈降速度(落下速度)v[cm/s]は、例えば、下記ストークスの式(1)により算出される。
【0052】
v={(ρs-ρw)×g×d2}/18η ・・・・(1)
ρs:粒子密度[g/cm3]、ρw:空気の流体密度 1.2×10-3[g/cm3]、g:重力加速度 980[cm/s2]、η:空気の流体粘度 1.8×10-4[g/cm3]、d:粒子径[cm]とする。
【0053】
上記ストークスの式(1)により算出した、ABS樹脂、アルミニウム、銅の自由落下時における粒子径区分毎の落下速度の一例について
図6に基づいた説明する。
図6は、ABS樹脂、アルミニウム、銅の自由落下時における粒子径区分毎の落下速度の一例を示す図である。なお、ABS樹脂の粒子密度は、1[g/cm
3]とする。アルミニウムの粒子密度は、2.7[g/cm
3]とする。銅の粒子密度は、8.94[g/cm
3]とする。
【0054】
図6に示すように、例えば、粒子径が100[μm]の場合には、ABS樹脂の落下速度は、27.78[cm/s]、アルミニウムの落下速度は、64.2[cm/s]、銅の落下速度は、158[cm/s]である。これより、流路部21内を1[mm]落下する時間は、ABS樹脂の場合は、3.6[msec]、アルミニウムの場合は、1.6[msec]、銅の場合は、0.6[msec]である。従って、粒子径が100[μm]の場合のパルス幅閾値WTHを、例えば、2.0[msec]とすることによって、粒子判定部274は、粒子Wの材質を、「樹脂」と「金属」とに判別することが可能となる。
【0055】
また、
図4に示すように、操作制御部278は、操作部19の複数のボタンスイッチが電気的に接続され、各ボタンスイッチの操作信号が入力される。表示制御部276は、ディスプレイ16と電気的に接続され、例えば、操作部19を介して選択された、流路部21を落下する粒子Wの大きさの範囲および粒子の材質の種別の粒子検知数や合計粒子検知数などの検知した結果をディスプレイ16に表示する。
【0056】
出力制御部277は、出力端子18に他の装置が電気的に接続されている場合には、計測結果を出力端子18から他の装置に出力する。通信部20は、通信ケーブル39を介してPC等の上位装置3へ、例えば、流路部21を落下する粒子Wの大きさの範囲毎および粒子の材質の種別毎の粒子検知数や合計粒子検知数などの検知した結果を送信する。
【0057】
§3 動作例
次に、上記のように構成された粒子計測装置1の制御部27が実行する、流路部21を落下する粒子Wの大きさの範囲毎および粒子Wの材質の種別毎の粒子Wの個数を検知する粒子計測処理の一例について
図7乃至
図10に基づいて説明する。
図7は、制御部27が実行する粒子計測処理の一例を示すメインフローチャートである。
【0058】
尚、制御部27は、起動された場合に、所定時間毎(例えば、約1分~2分間隔)にて、
図7のフローチャートで示される処理手順を繰り返し実行する。
図7乃至
図9のフローチャートで示されるプログラムは、ROMに予め記憶されている。また、振幅閾値PTHと、サイズ閾値STHと、パルス幅閾値WTHと、最大測定時間TMとは、ROMに予め記憶されている。
【0059】
図7に示すように、先ず、ステップS11において、制御部27は、後述の計測処理のサブ処理(
図8参照)を所定時間(例えば、約1分間~2分間)実行した後、ステップS12に進む。制御部27は、計測処理のサブ処理を実行することによって、流路部21の内部空間23を落下する粒子Wの大きさ、および、粒子Wの材質を検知する。そして、制御部27は、粒子Wの大きさの範囲毎および粒子Wの材質の種別毎の粒子検知数をカウントする。
【0060】
また、制御部27は、流路部21の内部空間23を落下する粒子Wの合計粒子検知数もカウントする。そして、制御部27は、粒子Wの大きさの範囲毎および粒子Wの材質の種別毎の粒子検知数と、合計粒子検知数とを通信部20を介してPC等の上位装置3へ送信する。
【0061】
ステップS12において、制御部27は、後述の出力表示処理のサブ処理(
図9参照)を実行した後、粒子計測処理を終了する。制御部27は、表示制御部276を介して、出力表示処理のサブ処理を実行することによって、操作部19を介して選択された粒子Wの材質および粒子Wの大きさに対する粒子検知数をディスプレイ16に表示する。
【0062】
出力端子18に他の装置が電気的に接続されている場合には、制御部27は、出力制御部277を介して、計測結果を出力端子18から他の装置に出力する。
【0063】
次に、上記ステップS11で制御部27が実行する計測処理のサブ処理の詳細について
図8に基づいて説明する。
図8は、計測処理のサブ処理の一例を示すサブフローチャートである。
図8に示すように、先ず、ステップS111において、制御部27は、RAMからカウンタリセットフラグを読み出し、OFFに設定されているか否かを判定する。尚、カウンタリセットフラグは、制御部27の起動時に、OFFに設定されてRAMに記憶されている。
【0064】
そして、制御部27は、カウンタリセットフラグがONに設定されていると判定した場合には(S111:NO)、後述のステップS115に進む。一方、制御部27は、カウンタリセットフラグがOFFに設定されていると判定した場合には(S111:YES)、ステップS112に進む。
【0065】
ステップS112において、制御部27は、カウント値Nと、カウント値MHと、カウント値MLと、カウント値CHと、カウント値CLとをRAMから読み出し、各カウント値N、MH、ML、CH、CLに「0」を代入して、再度RAMに記憶した後、ステップS113に進む。ステップS113において、制御部27は、RAMからカウンタリセットフラグを読み出し、ONに設定して、再度RAMに記憶した後、ステップS114に進む。
【0066】
ここで、カウント値Nは、流路部21内の検知領域42を通過して検知された粒子Wの合計粒子検知数をカウントするカウンタのカウント値である。カウント値MHは、検知領域42を通過して検知されたアルミニウム等の金属粒子のうちの粒子サイズが「大」の粒子検知数をカウントするカウント値である。カウント値MLは、検知領域42を通過して検知されたアルミニウム等の金属粒子のうちの粒子サイズが「小」の粒子検知数をカウントするカウント値である。
【0067】
カウント値CHは、検知領域42を通過して検知されたABS等の樹脂粒子、つまり、非金属粒子のうちの粒子サイズが「大」の粒子検知数をカウントするカウント値である。カウント値CLは、検知領域42を通過して検知されたABS等の樹脂粒子、つまり、非金属粒子のうちの粒子サイズが「小」の粒子検知数をカウントするカウント値である。
【0068】
ここで、粒子サイズが「大」とは、例えば、粒子Wの粒子径が100[μm]以上の大きさを表す。また、粒子サイズが「小」とは、例えば、粒子Wの粒子径が100[μm]よりも小さい大きさを表す。
【0069】
ステップS114において、制御部27は、検知領域42を通過する粒子Wを検知する計測時間TKの計測を開始した後、ステップS115に進む。ステップS115において、制御部27は、パルス振幅検出部273を介して、受光回路46から入力された粒子Wの検出信号の振幅値P(最小値)が振幅閾値PTH以上のパルスを検出したか否かを判定する。
【0070】
そして、制御部27は、受光回路46から入力された粒子Wの検出信号の振幅値P(最小値)が振幅閾値PTH以上のパルスを検出していないと判定した場合は(S115:NO)、再度ステップS115の処理を実行する。一方、制御部27は、受光回路46から入力された粒子Wの検出信号の振幅値P(最小値)が振幅閾値PTH以上のパルスを検出したと判定した場合は(S115:YES)、ステップS116に進む。
【0071】
ステップS116において、制御部27は、粒子判定部274を介して、受光回路46から入力された粒子Wの検出信号の振幅閾値PTHにおけるパルス幅PWがパルス幅閾値WTH以下であるか否かを判定する。そして、制御部27は、受光回路46から入力された粒子Wの検出信号の振幅閾値PTHにおけるパルス幅PWがパルス幅閾値WTH以下であると判定した場合は(S116:YES)、ステップS117に進む。つまり、制御部27は、検知領域42を通過して検知された粒子Wが、アルミニウム等の金属粒子であると判定して、ステップS117に進む。
【0072】
ステップS117において、制御部27は、粒子判定部274を介して、受光回路46から入力された粒子Wの検出信号の振幅値Pが、サイズ閾値STHを超えているか否かを判定する。そして、制御部27は、受光回路46から入力された粒子Wの検出信号の振幅値Pが、サイズ閾値STHを超えていると判定した場合は(S117:YES)、ステップS118に進む。ステップS118において、制御部27は、検知領域42を通過して検知されたアルミニウム等の金属粒子のうちの粒子サイズが「大」の粒子検知数をカウントするカウント値MHをRAMから読み出す。そして、制御部27は、カウント値MHに「1」加算して、再度RAMに記憶した後、後述のステップS123に進む。
【0073】
一方、制御部27は、受光回路46から入力された粒子Wの検出信号の振幅値Pが、サイズ閾値STHを超えていないと判定した場合は(S117:NO)、ステップS119に進む。ステップS119において、制御部27は、検知領域42を通過して検知されたアルミニウム等の金属粒子のうちの粒子サイズが「小」の粒子検知数をカウントするカウント値MLをRAMから読み出す。そして、制御部27は、カウント値MLに「1」加算して、再度RAMに記憶した後、後述のステップS123に進む。
【0074】
他方、上記ステップS116において、制御部27は、受光回路46から入力された粒子Wの検出信号の振幅閾値PTHにおけるパルス幅PWがパルス幅閾値WTHよりも大きいと判定した場合は(S116:NO)、ステップS120に進む。つまり、制御部27は、検知領域42を通過して検知された粒子Wが、ABS等の樹脂粒子、つまり、非金属粒子であると判定して、ステップS120に進む。
【0075】
ステップS120において、制御部27は、粒子判定部274を介して、受光回路46から入力された粒子Wの検出信号の振幅値Pが、サイズ閾値STHを超えているか否かを判定する。そして、制御部27は、受光回路46から入力された粒子Wの検出信号の振幅値Pが、サイズ閾値STHを超えていると判定した場合は(S120:YES)、ステップS121に進む。ステップS121において、制御部27は、検知領域42を通過して検知されたABS等の樹脂粒子のうちの粒子サイズが「大」の粒子検知数をカウントするカウント値CHをRAMから読み出す。そして、制御部27は、カウント値CHに「1」加算して、再度RAMに記憶した後、後述のステップS123に進む。
【0076】
一方、制御部27は、受光回路46から入力された粒子Wの検出信号の振幅値Pが、サイズ閾値STHを超えていないと判定した場合は(S120:NO)、ステップS122の処理に進む。ステップS122において、制御部27は、検知領域42を通過して検知されたABS等の樹脂粒子のうちの粒子サイズが「小」の粒子検知数をカウントするカウント値CLをRAMから読み出す。そして、制御部27は、カウント値CLに「1」加算して、再度RAMに記憶した後、ステップS123に進む。
【0077】
ステップS123において、制御部27は、流路部21内の検知領域42を通過して検知された粒子Wの合計粒子検知数をカウントするカウンタのカウント値NをRAMから読み出す。そして、制御部27は、カウント値Nに「1」加算して、再度RAMに記憶した後、ステップS124に進む。ステップS124において、制御部27は、検知領域42を通過する粒子Wを検知する計測時間TKをRAMから読み出し、計測時間TKが最大測定時間TM以上になったか否か、つまり、計測時間TKが最大測定時間TMに達したか否かを判定する。なお、最大測定時間TMは、所定時間の実行時間、例えば、約1分間~2分間の実行時間に相当する。
【0078】
そして、制御部27は、計測時間TKが最大測定時間TMに達していないと判定した場合は(S124:NO)、再度ステップS111以降の処理を実行する。一方、制御部27は、計測時間TKが最大測定時間TMに達したと判定した場合は(S124:YES)、ステップ125に進む。ステップS125において、制御部27は、RAMからカウンタリセットフラグを読み出し、OFFに設定して、再度RAMに記憶した後、ステップS126に進む。
【0079】
ステップS126において、制御部27は、カウント値Nと、カウント値MHと、カウント値MLと、カウント値CHと、カウント値CLと、カウント値NとをRAMから読み出し、通信部20を介して上位装置3へ送信する。その後、制御部27は、計測処理のサブ処理を終了して、メインフローチャートに戻り、ステップS12に進む。
【0080】
次に、上記ステップS12で制御部27が実行する出力表示処理のサブ処理の詳細について
図9及び
図10に基づいて説明する。
図9は、出力表示処理のサブ処理の一例を示すサブフローチャートである。
図10は、測定結果の出力表示の一例を示す図である。
【0081】
図9に示すように、ステップS211において、制御部27は、操作部19を介して、ディスプレイ16に粒子検知数を表示する材質として「金属」が選択されたか否かを判定する。そして、制御部27は、操作部19を介してディスプレイ16に粒子検知数を表示する材質として「金属」が選択されたと判定した場合は(S211:YES)、ステップS212に進む。
【0082】
ステップS212において、制御部27は、粒子検知数を表示する材質として「金属」をディスプレイ16に表示した後、ステップS213に進む。例えば、
図10に示すように、制御部27は、ディスプレイ16の対象表示部16Aの「材質」の下側に「金属」を表示した後、ステップS213に進む。
【0083】
ステップS213において、制御部27は、操作部19を介して、金属粒子の粒子サイズとして「大」が選択されたか否かを判定する。そして、制御部27は、操作部19を介して、金属粒子の粒子サイズとして「大」が選択されたと判定した場合は(S213:YES)、ステップS214に進む。ステップS214において、制御部27は、粒子検知数を表示する粒子サイズとして「大」をディスプレイ16に表示した後、ステップS215に進む。例えば、
図10に示すように、制御部27は、ディスプレイ16の対象表示部16Aの「粒子径」の下側に「大」を表示した後、ステップS215に進む。
【0084】
ステップS215において、制御部27は、アルミニウム等の金属粒子のうちの粒子サイズが「大」の粒子検知数をカウントするカウント値MHをRAMから読み出す。そして、制御部27は、カウント値MHをディスプレイ16に表示した後、出力表示処理のサブ処理を終了してメインフローチャートに戻り、粒子計測処理を終了する。
【0085】
例えば、
図10に示すように、制御部27は、ディスプレイ16の対象表示部16Aの右側の「カウント値」の下側に、例えば、「65」を表示する。これにより、ユーザは、アルミニウム等の金属粒子のうちの粒子サイズが「大」の粒子検知数が「65」個である旨を容易に確認することができる。
【0086】
一方、上記ステップS213において、制御部27は、操作部19を介して、金属粒子の粒子サイズとして「大」が選択されていないと判定した場合は(S213:NO)、ステップS216に進む。ステップS216において、制御部27は、操作部19を介して、金属粒子の粒子サイズとして「小」が選択されたか否かを判定する。そして、制御部27は、操作部19を介して、金属粒子の粒子サイズとして「小」が選択されていないと判定した場合は(S216:NO)、再度、ステップS213以降の処理を実行する。
【0087】
一方、制御部27は、操作部19を介して、金属粒子の粒子サイズとして「小」が選択されたと判定した場合は(S216:YES)、ステップS217に進む。ステップS217において、制御部27は、粒子検知数を表示する粒子サイズとして「小」をディスプレイ16に表示した後、ステップS218に進む。例えば、ディスプレイ16の対象表示部16A(
図10参照)の「粒子径」の下側に「小」を表示した後、ステップS218に進む。
【0088】
ステップS218において、制御部27は、アルミニウム等の金属粒子のうちの粒子サイズが「小」の粒子検知数をカウントするカウント値MLをRAMから読み出す。そして、制御部27は、カウント値MLをディスプレイ16に表示した後、出力表示処理のサブ処理を終了してメインフローチャートに戻り、粒子計測処理を終了する。
【0089】
例えば、制御部27は、ディスプレイ16の対象表示部16A(
図10参照)の右側の「カウント値」の下側に、例えば、「356」を表示する。これにより、ユーザは、アルミニウム等の金属粒子のうちの粒子サイズが「小」の粒子検知数が「356」個である旨を容易に確認することができる。
【0090】
他方、上記ステップS211において、操作部19を介してディスプレイ16に粒子検知数を表示する材質として「金属」が選択されていないと判定した場合は(S211:NO)、ステップS219に進む。ステップS219において、制御部27は、操作部19を介して、ディスプレイ16に粒子検知数を表示する材質として「樹脂」が選択されたか否かを判定する。そして、制御部27は、操作部19を介してディスプレイ16に粒子検知数を表示する材質として「樹脂」が選択されていないと判定した場合は(S219:NO)、再度、ステップS211以降の処理を実行する。
【0091】
一方、制御部27は、操作部19を介してディスプレイ16に粒子検知数を表示する材質として「樹脂」が選択されたと判定した場合は(S219:YES)、ステップS220に進む。ステップS220において、制御部27は、粒子検知数を表示する材質として「樹脂」をディスプレイ16に表示した後、ステップS2221に進む。例えば、ディスプレイ16の対象表示部16A(
図10参照)の「材質」の下側に「樹脂」を表示した後、ステップS221に進む。
【0092】
ステップS221において、制御部27は、操作部19を介して、樹脂粒子の粒子サイズとして「大」が選択されたか否かを判定する。そして、制御部27は、操作部19を介して、樹脂粒子の粒子サイズとして「大」が選択されたと判定した場合は(S221:YES)、ステップS222に進む。ステップS222において、制御部27は、粒子検知数を表示する粒子サイズとして「大」をディスプレイ16に表示した後、ステップS223に進む。例えば、
図10に示すように、制御部27は、ディスプレイ16の対象表示部16Aの「粒子径」の下側に「大」を表示した後、ステップS223に進む。
【0093】
ステップS223において、制御部27は、ABS等の樹脂粒子のうちの粒子サイズが「大」の粒子検知数をカウントするカウント値CHをRAMから読み出す。そして、制御部27は、カウント値CHをディスプレイ16に表示した後、出力表示処理のサブ処理を終了してメインフローチャートに戻り、粒子計測処理を終了する。
【0094】
例えば、制御部27は、ディスプレイ16の対象表示部16A(
図10参照)の右側の「カウント値」の下側に、例えば、「25」を表示する。これにより、ユーザは、ABS等の樹脂粒子のうちの粒子サイズが「大」の粒子検知数が「25」個である旨を容易に確認することができる。
【0095】
一方、上記ステップS221において、制御部27は、操作部19を介して、樹脂粒子の粒子サイズとして「大」が選択されていないと判定した場合は(S221:NO)、ステップS224に進む。ステップS224において、制御部27は、操作部19を介して、樹脂粒子の粒子サイズとして「小」が選択されたか否かを判定する。そして、制御部27は、操作部19を介して、樹脂粒子の粒子サイズとして「小」が選択されていないと判定した場合は(S224:NO)、再度、ステップS221以降の処理を実行する。
【0096】
一方、制御部27は、操作部19を介して、樹脂粒子の粒子サイズとして「小」が選択されたと判定した場合は(S224:YES)、ステップS225に進む。ステップS225において、制御部27は、粒子検知数を表示する粒子サイズとして「小」をディスプレイ16に表示した後、ステップS226に進む。例えば、ディスプレイ16の対象表示部16A(
図10参照)の「粒子径」の下側に「小」を表示した後、ステップS226に進む。
【0097】
ステップS226において、制御部27は、ABS等の樹脂粒子のうちの粒子サイズが「小」の粒子検知数をカウントするカウント値CLをRAMから読み出す。そして、制御部27は、カウント値CLをディスプレイ16に表示した後、出力表示処理のサブ処理を終了してメインフローチャートに戻り、粒子計測処理を終了する。
【0098】
例えば、制御部27は、ディスプレイ16の対象表示部16A(
図10参照)の右側の「カウント値」の下側に、例えば、「1327」を表示する。これにより、ユーザは、ABS等の樹脂粒子のうちの粒子サイズが「小」の粒子検知数が「1327」個である旨を容易に確認することができる。
【0099】
以上詳細に説明した通り、実施形態1に係る粒子計測装置1では、検知領域42を通過した粒子Wの検出は、該検知領域42を通過した通過光の受光量によって行われる。よって、光拡散方式の場合に生じていた、粒子Wの反射率によって受光量が変化するという問題を解消することができる。また、粒子Wの反射率の影響を受けないことにより、受光部26による受光量の大きさ、つまり、信号波形の振幅値Pは、粒子Wの大きさに応じて変動することになる。
【0100】
さらに、粒子Wの落下速度は、粒子Wの比重(粒子密度)に応じて変動するので、受光量の時間変化の期間の長さ、つまり、信号波形のパルス幅PWに基づいて粒子Wの材質を判別することができる。従って、信号波形のパルス幅PWに基づいてアルミニウム等の金属粒子と、ABS等の樹脂粒子とを判別することができる。すなわち、上記の構成によれば、受光量の時間変化、つまり、信号波形の振幅値Pとパルス幅PWに基づいて、粒子Wの大きさおよび材質を正確に判定することができる。また、流路部21の内部空間23を自由落下する粒子Wを検知するので、吸入ポンプなどの装置を不要とすることができる。よって、装置サイズの小さい粒子計測装置を提供することができる。
【0101】
受光部26で受光される光は、スリット41Aによってその鉛直上下方向の領域の光が遮られて、検知領域42を通過した光だけとなる。よって、検知領域42を粒子Wが通過した際には、受光部26は、検知領域42において光量変化が生じた光を検出することになる。ここで、スリット41Aは水平方向に配置されているので、流路部21の内部空間23を自由落下する粒子Wによる受光量の変化は急峻となる。
【0102】
したがって、粒子Wが通過している状態と通過していない状態との受光量の差異を大きくすることができるので、粒子Wの大きさを精度よく計測することができる。また、アルミニウム等の金属粒子と、ABS等の樹脂粒子とでは、受光量の時間変化の期間の長さ、つまり、信号波形のパルス幅PWが、粒子Wの落下速度に応じて急峻に変化することになるので、粒子Wの材質を精度よく計測することができる。
【0103】
光源31から発光側レンズ33によって、検知領域42にコリメート光が照射されるので、例えば、拡散光が照射される場合と比較して、検知領域42内の光量分布をより均一にすることができる。よって、粒子Wの検知領域42内での位置に依存する光量変化を低減することができるので、粒子Wの大きさおよび材質の判別精度を高めることができる。
【0104】
制御部27は、アルミニウム等の金属粒子と、ABS等の樹脂粒子とのそれぞれの粒子サイズ「大」と「小」の粒子検知数をディスプレイ16に表示する。これにより、利用者は、粒子Wの大きさの範囲毎および粒子の材質の種別毎の粒子検知数を把握することができるので、所定空間内に存在する粒子の状態を正確に認識することが可能となる。また、制御部27は、通信部30を介して、PC等の上位装置3へ、粒子Wの大きさの範囲毎および粒子Wの材質の種別毎の粒子検知数と、合計粒子検知数とを送信することができる。利用者は、PC等の上位装置3を利用して所定空間内に存在する粒子の状態を正確に認識することが可能となる。
【0105】
§4 変形例
[実施形態2]
次に、実施形態2に係る粒子計測装置61について
図11に基づいて説明する。
図11は、実施形態2に係る粒子Wを検出する検出部62の概略構成の一例を模式的に示す斜視図である。尚、説明の便宜上、上記実施形態1に係る粒子計測装置1にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0106】
実施形態2に係る粒子計測装置61は、実施形態1に係る粒子計測装置1とほぼ同じ構成である。但し、
図11に示すように、検出部62は、光源31と発光側レンズ33との間に、発光側光ファイバ65が配置されている。また、検出部62は、受光側レンズ35と受光素子32との間に、受光側光ファイバ66が配置されている。また、光源31と受光素子32とは、本体ケース11内に配置され、信号線38に替えて、発光側光ファイバ65と受光側光ファイバ66とが配置されている。
【0107】
発光側光ファイバ65の光が出射される出射側端面と、受光側光ファイバ66の光が入射される入射側端面とは、流路部21の壁面21A、21Cを挟んで互いに対向して配置されている。発光側光ファイバ65の出射側端面と壁面21Aとの間には、発光側レンズ33が配置されている。受光側光ファイバ66の入射側端面と壁面21Cとの間には、受光側レンズ35が配置されている。
【0108】
光源31は、発光側光ファイバ65の光が入射される入射側端面に対向して配置されている。従って、発光側光ファイバ65は、光源31から出射された光を導光して、発光側レンズ33に向けて出射する。受光素子32は、受光側光ファイバ66の光が出射される出射側端面に対向して配置されている。従って、受光側光ファイバ66は、受光側レンズ35によって集光された光を導光して、受光素子32に向けて出射する。
【0109】
また、発光側光ファイバ65から発光側レンズ33を介して照射される照射光の光軸と、受光側光ファイバ66が受光側レンズ35を介して受光する入射光の光軸とは、鉛直方向に対して直交する同一光軸L1上に位置するように配置されている。
【0110】
また、流路部21の壁面21Cと受光側レンズ35との間には、光を透過させない不透明の樹脂板や金属板で形成された略矩形板状のスリット部材41が、壁面21Cに対して平行に配置されている。スリット部材41には、光軸L1が貫通する位置に、鉛直方向に対して直交する方向、つまり、水平方向に沿って幅の狭いスリット41Aが形成されている。
【0111】
その結果、発光側レンズ33介して流路部21内に照射されるコリメート光のうち、スリット41Aを通過して受光側レンズ35を介して受光側光ファイバ66の入射側端面まで到達できる領域が、流路部21内を落下する粒子Wを検知できる検知領域42となる。従って、流路部21の内部空間23における、検知領域42に対応する断面領域が全て粒子Wを検知する領域となっている。
【0112】
以上詳細に説明した通り、実施形態2に係る粒子計測装置61は、上記粒子計測装置1が奏する効果と同様の効果を奏することができる。更に、実施形態2に係る粒子計測装置61では、発光部25(
図3参照)と受光部26(
図3参照)とを検知領域42とは異なる本体ケース11内に配置することが可能となるので、検知領域42近傍に配置される構造の小型化を実現できる。よって、装置サイズの小型化を図り、狭い空間での粒子検出が可能な粒子計測装置61を実現することができる。
【0113】
なお、粒子計測装置61では、発光側光ファイバ65と受光側光ファイバ66とのうち、いずれか一方を備える構成にしてもよい。この場合にも、発光部25(
図3参照)または受光部26(
図3参照)を検知領域42とは異なる本体ケース11内に配置することが可能となるので、検知領域42近傍に配置される構造の小型化を実現できる。よって、狭い空間での粒子検出が可能な粒子計測装置61を実現することができる。
【0114】
[変形例1]
実施形態1に係る粒子計測装置1において、パルス幅検出部272は、受光回路46から入力された検出信号の振幅値Pの1/2の振幅におけるパルス幅PWを検出して、粒子判定部274に出力するようにしてもよい。これにより、粒子判定部274は、パルス幅PWから粒子Wの材質を判定することが可能となる。
【0115】
[変形例2]
実施形態1に係る粒子計測装置1において、粒子判定部274は、振幅閾値PTHよりも大きいサイズ閾値STH1と、サイズ閾値STH1よりも大きいサイズ閾値STH2とにより、粒子Wの粒子サイズ「大」、「中」、「小」を判定してもよい。具体的には、粒子判定部274は、パルス振幅検出部273から入力された検出信号の振幅値Pが、振幅閾値PTH以上で、かつ、サイズ閾値STH1未満の場合は、粒子Wの粒子サイズを「小」と判定してもよい。
【0116】
また、粒子判定部274は、パルス振幅検出部273から入力された検出信号の振幅値Pが、サイズ閾値STH1以上で、かつ、サイズ閾値STH2未満の場合は、粒子Wの粒子サイズを「中」と判定してもよい。また、粒子判定部274は、パルス振幅検出部273から入力された検出信号の振幅値Pが、サイズ閾値STH2以上の場合は、粒子Wの粒子サイズを「大」と判定してもよい。そして、粒子判定部274は、粒子Wの粒子サイズと、粒子Wの材質との判定結果を粒子カウント部275に出力するようにしてもよい。なお、サイズ閾値STH1とサイズ閾値STH2とは、予めROMに記憶されている。
【0117】
[変形例3]
実施形態1に係る粒子計測装置1において、パルス振幅検出部273に替えて、パルス幅検出部272を更に複数設けてもよい、そして、各パルス幅検出部272のパルス幅を検出する振幅閾値を順番に大きくなるように設定してもよい。各パルス幅検出部272は、それぞれの振幅閾値における、粒子Wの検出信号のパルス幅PWを検出して、粒子判定部274に出力するようにしてもよい。
【0118】
粒子判定部274は、各パルス幅検出部272から入力されたパルス幅PWのうち、パルス幅PWが略ゼロになったパルス幅検出部272の振幅閾値を粒子Wの検出信号の振幅値P(最小値)として、粒子Wの粒子サイズを判定してもよい。また、粒子判定部274は、振幅閾値PTHのパルス幅検出部272から入力されたパルス幅PWが、パルス幅閾値WTHより大きい場合は、粒子Wの材質は「樹脂」であると判定してもよい。また、粒子判定部274は、振幅閾値PTHのパルス幅検出部272から入力されたパルス幅PWが、パルス幅閾値WTH以下の場合は、粒子Wの材質は「金属」であると判定してもよい。
【0119】
これにより、粒子Wの大きさおよび材質を正確に判定することができる。また、流路部21の内部空間23を自由落下する粒子Wを検知するので、吸入ポンプなどの装置を不要とすることができる。よって、装置サイズの小さい粒子計測装置を提供することができる。
【0120】
[変形例4]
実施形態1に係る粒子計測装置1において、制御部27は、パルス振幅検出部273から入力された検出信号の振幅値Pから粒子Wの粒子サイズを数値データとして取得してもよい。また、制御部27は、パルス幅検出部272から入力された検出信号のパルス幅PWから粒子Wの粒子密度(比重)を数値データとして取得してもよい。そして、制御部27は、粒子Wの粒子サイズの数値データと粒子密度(比重)の数値データとを、通信部20を介してPC等の上位装置3へ送信するようにしてもよい。
【0121】
そして、PC等の上位装置3において、受信した数値データから、粒子Wの金属やプラスチック等の材質と、各材質の種類毎の粒子の大きさと、を判定するようにしてもよい。そして、PC等の上位装置3において、粒子Wの金属やプラスチック等の材質と、各材質の種類毎の粒子の大きさと、粒子の大きさの範囲毎、および、粒子の材質の種別毎の通過した個数等と、の検出結果やアラーム警告などを表示するようにしてもよい。
【0122】
[変形例5]
変形例5に係る粒子計測装置71の検出部72について
図12に基づいて説明する。
図12は、変形例5に係る粒子計測装置71の粒子を検出する検出部72の概略構成の一例を模式的に示す斜視図である。なお、以下の説明において、実施形態1に係る粒子計測装置1と同一又は同等の構成要素、部材には、同一の符号を付すものとし、適宜重複した説明は省略する。
【0123】
図12に示すように、粒子計測装置71の検出部72は、実施形態1に係る粒子計測装置1の検出部30とほぼ同じ構成である。
【0124】
但し、
図12に示すように、発光側レンズ33と流路部21の壁面21Aとの間にも、光を透過させない不透明の樹脂板や金属板で形成された略矩形板状のスリット部材43が、壁面21Aに対して平行に配置されている。スリット部材43の鉛直方向の高さは、発光側レンズ33よりも鉛直方向の両外側まで、壁面21Aを覆うように形成されている。スリット部材43の幅は、壁面21Aよりも鉛直方向に対して直交する方向の両外側まで覆うように形成されている。
【0125】
そして、スリット部材43には、光軸L1が貫通する位置に、鉛直方向に対して直交する方向、つまり、水平方向に沿って幅の狭いスリット43Aが形成されている。スリット43Aの鉛直方向に対して直交する方向の両端部は、壁面21Aの両側縁よりも外側に対向するように形成されている。
【0126】
その結果、発光側レンズ33介して流路部21内に照射されるコリメート光のうち、スリット43Aを通過したコリメート光だけを検知領域42に向けて照射することができる。従って、発光側レンズ33介して流路部21内に照射されるコリメート光が、鉛直方向に広がることを制限して、検知領域42以外に照射することを防ぐことができる。
【0127】
[変形例6]
変形例6に係る粒子計測装置81について
図13に基づいて説明する。
図13は、変形例6に係る粒子計測装置81の一例を模式的に示す外観斜視図である。なお、以下の説明において、実施形態1に係る粒子計測装置1と同一又は同等の構成要素、部材には、同一の符号を付すものとし、適宜重複した説明は省略する。
【0128】
図13に示すように、粒子計測装置81は、本体ケース11と検出部30とが一体化された箱体状の本体ケース82と、本体ケース82の底面の4隅には、同じ長さで下方に突出する4個の脚部86とを有している。粒子計測装置81は、
図13中、手前側の前側壁面85に、ディスプレイ16と、電源スイッチ17と、出力端子18と、操作部19と、が配置されている。
【0129】
粒子計測装置81の略矩形状で平坦な天面83には、空気中を落下する小さな粒子が進入可能な断面略四角形の流路部21が、天面83から底面84まで、粒子が通過する粒子通過方向(鉛直方向)に沿って貫通して形成されている。流路部21は、各壁面21A~21Dによって断面略四角形で鉛直方向に沿って貫通する内部空間23を構成している。従って、流路部21に進入した小さな粒子は、内部空間23を自由落下する。壁面21Aおよび21Cは、透明樹脂等によって形成され、光を透過可能に構成されている。
【0130】
従って、粒子計測装置81では、粒子が自由落下することによって流路部21を通過するため、粒子通過方向は鉛直方向となっている。また、流路部21内に粒子を吸い込むための吸引ポンプなどは、設けられていない。これにより、装置サイズの小さい粒子計測装置81を提供することができる。
【0131】
また、本体ケース82内には、流路部21に進入して、内部空間23を落下する小さな粒子を検出する検出部30(
図2参照)が配置されている。また、
図13に示すように、本体ケース11内には、制御部27が配置されている。制御部27は、受光部26から入力されたパルス状の粒子検出信号のパルス幅と振幅から、小さな粒子の金属やプラスチック等の材質と、各材質の種類毎の粒子の大きさと、粒子の大きさの範囲毎、および、粒子の材質の種別毎の個数等を検出することができる。従って、粒子計測装置81は、実施形態1に係る粒子計測装置1と同様の効果を奏することができる。
【0132】
[変形例7]
次に、変形例7に係るPC等の上位装置3が有するディスプレイ3Aに表示された測定結果の出力表示の一例について
図14に基づいて説明する。
図14は、変形例7に係る上位装置3における測定結果の出力表示の一例を示す図である。
【0133】
なお、金属粒子のうちの粒子サイズが「大」のアラーム設定閾値である第1閾値は、100[個]に設定されている。また、樹脂粒子のうちの粒子サイズが「大」のアラーム設定閾値である第3閾値は、100[個]に設定されている。また、金属粒子のうちの粒子サイズが「小」のアラーム設定閾値である第2閾値と、樹脂粒子のうちの粒子サイズが「小」のアラーム設定閾値である第4閾値との設定は、取り消されている。また、合計粒子検知数のアラーム設定閾値である第5閾値は、5000[個]に設定されている。
【0134】
図14に示すように、ディスプレイ3Aには、左側上端に金属粒子を表す「材質:金属」の表題が表示され、左側中央部に樹脂粒子を表す「材質:樹脂」の表題が表示され、左側下方に合計粒子検知数を表す「合計」が表示されている。そして、「材質:金属」と、「材質:樹脂」と、「合計」とのそれぞれの下側には、「ALARM」と、「計測値」と、「判定値」との欄が左右方向に配置されている。
【0135】
そして、上端の「ALARM」の欄の下側には、各アラームマーク51、52が表示され、中央の「ALARM」の欄の下側には、各アラームマーク53、54が表示され、下方の「ALARM」の欄の下側には、アラームマーク55が表示されている。また、各アラームマーク51、53の右側には、粒子サイズが「大」である旨を表す「粒子サイズ:大」が表示されている。各アラームマーク52、54の右側には、粒子サイズが「小」である旨を表す「粒子サイズ:小」が表示されている。アラームマーク55の右側には、合計粒子検知数を表す「粒子ALL」が表示されている。
【0136】
上端の「計測値」の欄の下側には、金属粒子のカウント値MHが表示され、その下側に、金属粒子のカウント値MLが表示される。中央の「計測値」の欄の下側には、樹脂粒子のカウント値CHが表示され、その下側に、樹脂粒子のカウント値CLが表示される。下方の「計測値」の欄の下側には、合計粒子検知数を表すカウント値Nが表示される。
【0137】
また、上端の「判定値」の欄の下側には、金属粒子の粒子サイズ「大」のアラーム設定値である第1閾値の「100」[個]が表示され、その下側に、金属粒子の粒子サイズ「小」のアラーム設定値である第2閾値が表示される。しかし、金属粒子の粒子サイズ「小」のアラーム設定値である第2閾値の設定は、取り消されているため、表示されていない。
【0138】
また、中央の「判定値」の欄の下側には、樹脂粒子の粒子サイズ「大」のアラーム設定値である第3閾値の「100」[個]が表示され、その下側に、樹脂粒子の粒子サイズ「小」のアラーム設定値である第4閾値が表示される。しかし、樹脂粒子の粒子サイズ「小」のアラーム設定値である第4閾値の設定は、取り消されているため、表示されていない。下方の「判定値」の欄の下側には、合計粒子検知数のアラーム設定値である第5閾値の「5000」[個]が表示される。
【0139】
そして、
図14の上段に示すように、金属粒子の粒子サイズ「大」のカウント値MHが「65」[個]で、第1閾値「100」[個]以下である。また、樹脂粒子の粒子サイズ「大」のカウント値CHが「25」[個]で、第3閾値「100」[個]以下である。更に、合計粒子検知数のカウント値Nが、「1773」[個]で、第5閾値「5000」[個]以下である。その結果、各アラームマーク51~55は、点滅表示されておらず、正常である旨が報知されている。
【0140】
一方、
図14の下段に示すように、金属粒子の粒子サイズ「大」のカウント値MHが「125」[個]で、第1閾値「100」[個]よりも大きい値である。また、樹脂粒子の粒子サイズ「大」のカウント値CHが「65」[個]で、第3閾値「100」[個]以下である。更に、合計粒子検知数のカウント値Nが、「2973」[個]で、第5閾値「5000」[個]以下である。その結果、アラームマーク51が点滅表示され、警告報知がなされている。
【0141】
これにより、粒子計測装置1から上位装置3へ全てのデータを送信して、上位装置3のディスプレイ3Aに、アルミニウム等の金属粒子と、ABS等の樹脂粒子とのそれぞれの粒子サイズ「大」と「小」の粒子検知数と、合計粒子検知数とを表示することができる。これにより、利用者は、粒子Wの大きさの範囲毎および粒子の材質の種別毎の粒子検知数を把握することができるので、所定空間内に存在する粒子の状態を正確に認識することが可能となる。
【0142】
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【0143】
[付記事項]
第1態様の粒子計測装置は、検知領域に向けて照射光を発する発光部と、前記検知領域を通過した通過光を検出する受光部と、前記受光部による受光量に時間変化が生じた場合に、該時間変化中の受光量の大きさに基づいて、前記検知領域を自由落下により通過した粒子の大きさを判別するとともに、該時間変化の期間の長さに基づいて、前記粒子の材質を判別する制御部と、を備える。
【0144】
第2態様は、第1態様の粒子計測装置であって、前記受光部に入射する光の一部を通過させるスリットが設けられたスリット部材をさらに備え、前記スリット部材は、前記スリットの長手方向が水平方向となるように配置される。
【0145】
第3態様は、第1態様または第2態様の粒子計測装置であって、前記発光部から出射された光をコリメート光に変換し、前記検知領域に照射するコリメートレンズをさらに備える。
【0146】
第4態様は、第1態様から第3態様のいずれか一の態様の粒子計測装置であって、前記制御部は、前記受光部からの出力信号に所定値以上の時間変化が生じた場合に、該時間変化内での該出力信号の最小値を検出し、該最小値に基づいて前記粒子の大きさを判別する。
第5態様は、第1態様から第4態様のいずれか一の態様の粒子計測装置であって、前記制御部は、前記受光部からの出力信号に所定値以上の時間変化が生じた場合に、該時間変化内での該出力信号の受光量低下時の所定値におけるパルス幅を検出し、該パルス幅に基づいて前記粒子の材質を判別する。
【0147】
第6態様は、第1態様から第5態様のいずれか一の態様の粒子計測装置であって、前記制御部は、予め設定された期間における前記粒子の大きさの範囲毎および前記粒子の材質の種別毎の粒子検知数を、通信部に出力するまたは表示部に表示する制御を行う。
【0148】
第7態様は、第1態様から第6態様のいずれか一の態様の粒子計測装置であって、前記発光部からの光を導光して検知領域に向けて照射する、および、前記受光部に対して前記通過光を導光する、の少なくともいずれか一方を行う光ファイバを備える。
【符号の説明】
【0149】
1、61、71、81 粒子計測装置、16 ディスプレイ、20 通信部、25 発光部、26 受光部、27 制御部、31 光源、32 受光素子、33 発光側レンズ、41、43 スリット部材、41A、43A スリット、42 検知領域、65 発光側光ファイバ、66 受光側光ファイバ