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特開2024-10672回転電機用のバー巻線と流体冷却を備えた固定子
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024010672
(43)【公開日】2024-01-24
(54)【発明の名称】回転電機用のバー巻線と流体冷却を備えた固定子
(51)【国際特許分類】
   H02K 3/34 20060101AFI20240117BHJP
   H02K 9/19 20060101ALI20240117BHJP
【FI】
H02K3/34 C
H02K9/19 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023113797
(22)【出願日】2023-07-11
(31)【優先権主張番号】102022000014590
(32)【優先日】2022-07-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(71)【出願人】
【識別番号】523058504
【氏名又は名称】マレッリ ヨーロッパ ソチエタ ペル アツィオニ
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 有一
(74)【代理人】
【識別番号】100148253
【弁理士】
【氏名又は名称】今枝 弘充
(72)【発明者】
【氏名】マルツィオ レティッチ
(72)【発明者】
【氏名】ジャコモ ダビード
(72)【発明者】
【氏名】エンツォ アントニオ ベッリーニ
(72)【発明者】
【氏名】ダニエーレ ゼケッティ
(72)【発明者】
【氏名】ビンチェンツォ ジョルジアーニ
(72)【発明者】
【氏名】ジャンルカ チェーザリ
【テーマコード(参考)】
5H604
5H609
【Fターム(参考)】
5H604CC01
5H604CC05
5H604PB03
5H609PP02
5H609PP08
5H609PP09
5H609QQ05
5H609RR37
5H609RR42
(57)【要約】
【課題】スロット充填率を過度に阻害せずに高い冷却効率が得られ、かつ、容易かつ迅速に製造可能な、回転電機用のバー巻線と流体冷却を備えた固定子を提供する。
【解決手段】回転電機(1)の固定子(1)は、複数のスロット(3)が軸方向に交差する磁心(2)と、スロット(3)の内側に配置された複数のバー(5)を備える固定子巻線(4)と、使用時に冷却流体が流れ、固定子巻線(4)のバー(5)の間のスロット(3)内に得られる複数の冷却流路(10)と、それぞれ電気絶縁性プラスチック材料からなり、対応するスロット(3)のすべての側面に隙間なく係合し、中央に一連の対応するバー(5)が配置されたキャビティ(12)を有し、冷却流路が得られる複数のカバー要素とを有する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転電機(1)の固定子(1)であって、
複数のスロット(3)が軸方向に交差する磁心(2)と、
前記スロット(3)の内側に配置された複数のバー(5)を備える固定子巻線(4)と、
使用時に冷却流体が流れることができ、前記固定子巻線(4)の前記バー(5)の間の前記スロット(3)内に得られる、複数の冷却流路(10)と、
それぞれが電気絶縁性のプラスチック材料で形成され、対応するスロット(3)の前記スロットのすべての側面で隙間なく係合し、中央に一連の対応するバー(5)が配置され、前記冷却流路(10)が得られるキャビティ(12)を有する、複数のカバー要素(11)と、
各カバー要素(11)は、対向して半径方向に配置された2つの主側壁(13)と、2つの主側壁(13)を互いに接続し、前記主側壁の長さよりも短い長さを有する2つの対向する副頭壁(14)とを有し、そして
各冷却流路(10)は、対応するカバー要素(11)の壁(13、14)および少なくとも1つの対応するバー(5)によって画定されており、
各カバー要素(11)は座部(15)を有し、各座部は、カバー要素(11)の2つの主側壁(13)に切り込まれた2つの対向する反対側の凹部からなり、その中に隙間なく、少なくとも1つの対応するバー(5)の端部を収容するように構成され、
前記冷却流路(10)は、前記バー(5)が配置される前記座部(15)の隣に配置され、
前記磁心(2)の両端に配置され、前記冷却流路(10)が流れ込む2つの環状の冷却マニホールド(19、20)が設けられ、
プラスチック材料で作られた2つの環状の収容体(24)が設けられ、それぞれが対応する冷却マニホールドの内部を画定し、そして
2つの環状の接続体(25)が設けられ、前記磁心(2)の2つの両端に配置され、すべてのカバー要素(11)に途切れることなく接続され、それらが単一の分離不可能なアセンブリを形成して、全てのカバー要素(11)を共に接続し、前記収容体(24)のための支持ベースを形成する、ことを特徴とする固定子(1)。
【請求項2】
各座部(15)は、互いに接触する少なくとも2つのバーを収容する形状である、請求項1に記載の固定子(1)。
【請求項3】
各座部(15)が、互いに接触する正に2つの前記バーを収容する形状である、請求項1に記載の固定子(1)。
【請求項4】
各スロット(3)において、前記バー(5)の側面に配置される2つの端部の冷却流路(10)と前記バー(5)の間に配置される中央の冷却流路(10)とが設けられる、請求項1に記載の固定子(1)。
【請求項5】
各スロット(3)は、中心軸に面した貫通開口部(17)を有し、
各カバー要素(11)は、対応するスロット(3)の前記貫通開口部(17)に隙間なく係合する突出部(18)を有する、請求項1に記載の固定子(1)。
【請求項6】
各主側壁(13)が軸方向リブ(16)を有し、各軸方向リブ(16)が対応する座部(15)を画定する、請求項1に記載の固定子(1)。
【請求項7】
前記磁心(2)を収容し、前記2つの冷却マニホールド(19、20)の外側を画定するケーシング(23)を備える、請求項1~6のいずれか一項に記載の固定子(1)。
【請求項8】
前記固定子巻線(4)は、前記冷却マニホールド(19、20)内に収容される2つのヘッドを有する、請求項7に記載の固定子(1)。
【請求項9】
各接続体(25)は、前記スロット(3)内の全ての前記カバー要素(11)を互いに接続する、請求項1~6のいずれか一項に記載の固定子(1)。
【請求項10】
前記収容体(24)は、前記環状の接続体(25)に溶接されている、請求項1~6のいずれか一項に記載の固定子(1)。
【請求項11】
前記カバー要素(11)が、1W/m・Kを超える熱伝導率を有するプラスチック材料で作られている、請求項1~6のいずれか一項に記載の固定子(1)。
【請求項12】
回転電機(1)用の固定子(1)であって、
複数のスロット(3)が軸方向に交差する磁心(2)と、
前記スロット(3)の内側に配置された複数のバー(5)を備える固定子巻線(4)と、
使用時に冷却流体が流れることができ、前記固定子巻線(4)の前記バー(5)の間の前記スロット(3)内に得られる、複数の冷却流路(10)と、
それぞれが電気絶縁性のプラスチック材料で作られ、対応するスロット(3)の前記スロットのすべての側面で隙間なく係合し、中央に一連の対応するバー(5)が配置され、冷却流路(10)が得られるキャビティ(12)を有する、複数のカバー要素(11)と、
各カバー要素(11)は、対向して半径方向に配置された2つの主側壁(13)と、2つの主側壁(13)を互いに接続し、主側壁の長さよりも短い長さを有する2つの対向する副頭壁(14)とを有し、そして
各冷却流路(10)は、対応するカバー要素(11)の壁(13、14)および少なくとも1つの対応するバー(5)によって画定されており、
各カバー要素(11)は座部(15)を有し、各座部は、カバー要素(11)の2つの主側壁(13)に切り込まれた2つの対向する反対側の凹部からなり、その中に隙間なく、少なくとも2つの対応するバー(5)の端部を収容するように構成され、
冷却流路(10)は、バー(5)が配置される座部(15)の隣に配置される、ことを特徴とする固定子(1)。
【請求項13】
請求項1または12に記載の固定子(1)を製造する方法であって、
プラスチック材料を磁心(2)のスロット(3)に射出成形して、カバー要素(11)を製造し、
スロット(3)の内側を覆うカバー要素(11)にバー(5)を挿入する、固定子(1)の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転電機用のバー巻線および流体冷却を備えた固定子に関する。
【背景技術】
【0002】
関連する特許出願の相互参照
この特許出願は、2022年7月12日に出願されたイタリア特許出願第102022000014590号の優先権を主張し、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0003】
特許文献1は、剛性のバー巻線(いわゆる「ヘアピン」)を備えた回転電機の固定子を開示している。剛性バーによる固定子の巻線では、一連の剛性バーが使用される。これらのバーは最初に「U」字形に成形され、次に固定子スロットに軸方向に挿入されて、U字形の剛性バーの先端が配置される入口側と、U字形の剛性バーの脚の端部(すなわち、直線部分)が配置される出口側とが形成される。剛性バーが固定子スロットに挿入されると、出口側の脚が曲げられ、脚の自由端が溶接によって互いに接続され、固定子巻線の電気経路が形成される。
【0004】
剛性のバー巻線を備えた固定子を適切に冷却するには、冷却流体(通常は鉱油)を循環させる一連の軸方向の冷却流路を形成することが知られている。磁心を通る軸方向の冷却流路を形成することと、導体バーが配置されるスロットを通る軸方向の冷却流路を形成することの両方が提案されている。特に、導体バーが配置されるスロットを通る軸方向の冷却流路を形成する解決策は、高い冷却効率が得られる(熱のほとんどは導体バーの内部で発生するため)が、その一方で、スロットの充填率が低下し(スロット容積の関連部分を冷却流路に割り当てる必要があるため)、非常に複雑な巻線設計になる。
特許文献2は、金属シートのパックと、鋼板のパックの少なくとも1つのスロットに配置され、少なくとも1つの隅丸を有する断面を有する少なくとも1つの導体要素と、導体要素の隅丸によって直接画定される少なくとも1つの冷却流路とを備える回転電機を開示している。
【0005】
特許文献3は、冷却流体の通過のための少なくとも1つの流路を提供するために、少なくとも1対の隣接するコイルが互いに間隔を置いて配置される巻線を備えた装置を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】欧州特許第2437378号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第102018006274号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2020/169136号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、スロット充填率を過度に阻害せずに高い冷却効率が得られ、かつ、容易かつ迅速に製造可能な、回転電機用のバー巻線と流体冷却を備えた固定子を提供することである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、添付の特許請求の範囲に記載のように、バー巻線および流体冷却を備えた固定子は回転電機に提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
次に、本発明を、その非限定的な実施形態を示す添付図面を参照して説明する。
図1】回転電機用のバー巻線および流体冷却を備えた固定子を明確にするために部品を取り除いた斜視図である。
図2図1の固定子の磁心のみを示す平面図である。
図3図1の固定子バー巻線のU字形バーの斜視図である。
図4図1の固定子スロットのカバー体と導体バーとを含む断面図である。
図5図1の固定子スロットのカバー体のみの断面図である。
図6図1の固定子スロットの空のスロットの断面図である。
図7図1の固定子の全てのカバー体の斜視図である。
図8図8は、図1の固定子を含むケーシングを明確にするために取り除いた部品を有する斜視図である。
図9図9は、図1の固定子を含むケーシングを明確にするために取り除いた部品を有する別の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
特許請求の範囲は、本説明の不可欠な部分を形成する本発明の好ましい実施形態を説明する。
【0011】
図1の1は、可逆タイプ(つまり、電力を吸収して駆動トルクを生成する電動機として、および機械力を吸収して電力を生成する発電機として動作することができる)の同期回転電機の固定子の全体を示している。固定子1は、円筒状の形状を有し、永久磁石ロータの周囲にロータ自体を内包するように配置されている。
【0012】
固定子1は、パック内に締め付けられた一連の鋼板で形成された磁心2(図2に、より示されている)を備え、中央に穴が開けられた管状形状を有する。磁心2は、磁心2の内側に沿って均等に分布し、三相固定子巻線4を収容する36個のスロット3(図2に、より示されている)が長手方向(軸方向)に交差している。図示されていない他の実施形態によれば、スロット3の数は異なっていてもよい(例えば、48個または72個のスロット3があってもよい)。
【0013】
図1に示すように、三相固定子巻線4は、一連の剛性U字形バー5を備え、各バーは、先端7によって接続された2つの脚6を備える(図3にさらに示す)。同じバー5の2つの脚6は、固定子巻線4の2つの対応する能動導体を構成する。
【0014】
図1に示すように、U字形バー5は、U字形バー5の先端7が配置される入口側8と、U字形バー5の脚6の端部が配置される出口側9とを画定するスロット3に挿入される。固定子巻線4の2つのヘッドは、固定子巻線4の2つの側8および9に配置されている。一方のヘッドはバー5の先端7(入口側8)から構成され、他方のヘッドはバー5の脚6の端部から構成されている(入口側9)。
【0015】
添付の図面に示される実施形態では、8つの対応する剛性U字形バー5に属する8つの脚6(すなわち、固定子巻線4の8つの導体)が各スロット3内に配置される(図4に、より示されている)。U字形バー5の脚6の端部は互いに電気的に接続(溶接)され、固定子巻線4の電気経路を形成する。
【0016】
図4に示すように、使用時に冷却流体(一般に鉱油)が流れることができ、固定子巻線4のバー5の間のスロット3内に得られる複数の冷却流路10が設けられている。特に、複数のカバー要素11が設けられ、各カバー要素11は電気絶縁プラスチック材料で作られ、対応するスロット3の全側面に隙間なく係合し、中央にキャビティ12を有する。キャビティ12に、一連の対応するバー5が配置され、冷却流路10が得られる。
好ましい実施形態によれば、カバー要素11を構成するプラスチック材料は、電気絶縁性であり、磁心2の冷却も促進するように可能な限り熱伝導性である(渦電流および磁気ヒステリシスによるある程度の発熱は発生する)。例えば、カバー要素11を構成するプラスチック材料は、1W/m・Kを超える熱伝導率を有することが好ましい。
各カバー要素11は電気絶縁性であり、バー5を磁心2の金属から分離するためにスロット10の内側に通常配置される絶縁紙に代わる。したがって、カバー要素11は、スロット10の内側に通常配置される絶縁紙に置き換わるので、標準的な固定子に対して追加の構成要素を構成しない。
【0017】
各カバー要素11は、対向して半径方向に配向された2つの主側壁13と、対向して円周方向に配向され、2つの主側壁13を互いに接続し、主側壁13の長さよりも短い長さを有する2つの副頭壁14とを有する。
【0018】
各冷却流路10は、対応するカバー要素11の壁13および/または14と、少なくとも1つの対応するバー5とによって画定される。特に、各スロット3には、バー5の側面に配置された2つの端部の冷却流路10(すなわち一方の側はバー5によって半径方向に画定され、反対側はカバー要素11の小さい端壁14によって画定されている)と、バー5の間に配置された中央の冷却流路10(すなわち両側の2つのバー5によって半径方向に区切られている)とが設けられている。
【0019】
各カバー要素11は座部15(特に4つの座部15)を有し、各座部15は、互いに接触して配置された一対の対応するバー5を収容するように構成されている。図示されていない別の実施形態によれば、各座部15は、単一のバー5、あるいは互いに接触して配置された3本もしくは4本のバーを収容するように構成されている。したがって、各カバー要素11において、冷却流路10は、バー5が配置される座部15の隣に配置され、バー5によって直接画定される(すなわち、各冷却流路10の少なくとも1つの壁がバー5からなる)。
【0020】
添付の図面に示される好ましい実施形態によれば、各主側壁13は軸方向リブ16を有し、各軸方向リブ16は対応する座部15を画定する。すなわち、各座部15は、半径方向に交互に配置された2つの軸方向リブ16によって画定されている。
各スロット3は、中心軸に面する貫通開口部17を有する。貫通開口部17は、「強制的な」方法で磁心2の歯を「磁気的に絶縁」して、固定子1の磁心2におけるバー5によって生成される磁束を、ロータに影響を与えるように機能するため、重要な機能を有する。添付図面に示される好ましい実施形態によれば、各カバー要素11は、対応するスロット3の貫通開口部17と隙間なく係合する突出部18を有する。すなわち、各突出部18は、対応するスロット3の貫通開口部17を完全に埋める。
【0021】
固定子1は、磁心2の両端に配置され、冷却流路10が流れ込む2つの環状の冷却マニホールド19および20(図8および9に示す)を備える。冷却マニホールド19は、冷却流路10への冷却流体供給源を形成し、固定子1の冷却流体入口21に接続される(図8に示す)。冷却マニホールド20は、冷却流路10からの冷却流体の戻りを構成し、固定子1の冷却流体出口22に接続される(図9に示す)。上述したように、固定子巻線4は2つのヘッドを有しており、この2つのヘッドは冷却マニホールド19、20内を循環する冷却流体によって冷却されるように冷却マニホールド19、20内に収容されている。
【0022】
図8および図9に示すように、固定子1は、磁心2を収容し、2つの冷却マニホールド19および20の外側を画定するケーシング23を備える。さらに、固定子1は、環状の収容体24のそれぞれが対応する冷却マニホールドの内側を画定し、プラスチックで形成された2つの環状の収容体24を備える。
【0023】
添付の図(および図1および図7でより明らかである)に示される好ましい実施形態によれば、磁心2の両端に配置された2つの環状の接続体25を備える固定子1は、カバー要素11に途切れることなく接続され、カバー要素11により単一の分離不可能なアセンブリを形成し、収容体24のベースを形成する。特に、収容体24を環状接続体25に溶接して、冷却液の漏れを防止する緊密な嵌合を形成することができる。換言すれば、各接続体25は、スロット3内に存在するすべてのカバー要素11と(磁心2のそれぞれの側で)共に接続する。
【0024】
好ましい実施形態によれば、固定子1の製造は、カバー要素11と2つの接続体25の両方を作製するために、磁心2の溝3内にプラスチック材料を射出成形することを含む(これにより、2つの接続体25は、カバー要素11に途切れることなく接続され、カバー要素11は単一の分離不可能なアセンブリを形成する)。換言すれば、カバー要素11(2つの接続体25とともに)は、バー5が磁心2のスロット3に挿入される前に、磁心2内に共射出される。カバー要素11が射出成形によって製造されると、バー5は、スロット3を内包するカバー要素11に挿入される。
【0025】
ここに記載された実施形態は、本発明の保護の範囲から逸脱することなく互いに組み合わせることができる。
【0026】
上述した固定子1は多くの利点を有する。
まず、上述の固定子1は、冷却流路10がバー5によって直接画定され、したがって熱が発生する場所から直接熱を除去するという事実により、高い冷却効率を得ることができる。
【0027】
さらに、上述の固定子1は、冷却流路10の壁の一部がバー5から構成されており、スロット5の内部にスロットの充填係数を下げるスペースを占める追加の構成要素を追加することなく製造されているため、スロット3の優れた充填係数を有している。
さらに、上述の固定子1は、すべてのカバー要素11を磁心2内に共射出することで迅速に一緒に作製することができるため、容易かつ迅速に製造できる。
【0028】
最後に、上述の固定子1は、広く利用可能な低コストの製造技術を使用してカバー要素11の共射出成形を実行できるため、製造コスト効率が高い。
【符号の説明】
【0029】
1 固定子
2 磁心
3 スロット
4 固定子巻線
5 バー
6 脚
7 先端
8 入口側
9 出口側
10 冷却流路
11 カバー要素
12 キャビティ
13 主側壁
14 副頭壁
15 座部
16 リブ
17 貫通開口部
18 突出部
19 冷却マニホールド
20 冷却マニホールド
21 入口
22 出口
23 ケーシング
24 収容体
25 接続体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【外国語明細書】