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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024106727
(43)【公開日】2024-08-08
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20240801BHJP
【FI】
A63F7/02 320
A63F7/02 301C
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023011138
(22)【出願日】2023-01-27
(71)【出願人】
【識別番号】599104196
【氏名又は名称】株式会社サンセイアールアンドディ
(74)【代理人】
【識別番号】100184550
【弁理士】
【氏名又は名称】高田 珠美
(74)【代理人】
【識別番号】100166785
【弁理士】
【氏名又は名称】大川 智也
(72)【発明者】
【氏名】木村 裕一
(72)【発明者】
【氏名】湯川 強
【テーマコード(参考)】
2C088
2C333
【Fターム(参考)】
2C088BC15
2C088EB15
2C333AA11
2C333CA04
2C333CA05
2C333CA26
2C333CA53
2C333CA58
2C333DA00
2C333GA04
(57)【要約】
【課題】遊技の進行において遊技者が不利益を被る可能性を低減できる遊技機を提供する。
【解決手段】枠制御基板のCPUは、持ち球数カウンタの値が、特定数以下であるかを判断する(S352)。特定数は、遊技者が間もなく遊技を継続できなくなることを示す持ち球数を示す。すなわち、特定数は、持ち球数が間もなく0になることを遊技者に報知するために設けられる。したがって、特定数は、0よりも大きい整数で設けられる。CPUは、持ち球数カウンタの値が特定数以下である場合(S352:YES)、持ち球数減少通知コマンドを生成する(S353)。持ち球数減少通知コマンドを受信した球管理ユニットの遊技球数表示部は、遊技球数表示部に表示している持ち球数を点滅させる。
【選択図】図20
【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技機において遊技に使用できる遊技媒体である使用可能遊技媒体の数である使用可能遊技媒体数を管理する管理手段と、
前記管理手段によって管理されている前記使用可能遊技媒体数が、0よりも大きい数である特定数以下に減少したかを判断する判断手段と、
前記判断手段による判断結果に応じて、前記使用可能遊技媒体数が前記特定数以下に減少したことに応じた報知動作を報知手段に実行させる報知動作実行手段と
を備えたことを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記遊技媒体は遊技球であり、
遊技球が流下する遊技領域と、
前記遊技領域に設けられた入賞口と、
前記使用可能遊技媒体である持ち球に対応する遊技球を前記遊技領域へ遊技球を発射する遊技球発射手段と
を備え、
前記管理手段は、前記遊技領域に発射された遊技球が前記入賞口へ入賞した場合に、遊技球が入賞した前記入賞口に対応する賞球の数である賞球数を、前記使用可能遊技媒体数である持ち球数に加算する
ことを特徴とする請求項1に記載の遊技機。
【請求項3】
所定の契機の成立に応じて前記入賞口である特別入賞口の開閉を伴う特別遊技の実行契機を付与するかを示す判定結果を導出する特別判定を実行する判定手段と、
前記特別判定による前記判定結果を報知する報知演出を実行する報知演出実行手段と、
前記特別判定による前記判定結果に応じて前記特別遊技を実行する特別遊技実行手段と
を備え、
前記報知動作実行手段は、
前記特別遊技の実行中には、前記報知動作を実行し、
前記報知演出の実行中には前記報知動作の実行を制限するか、
又は前記報知演出の実行中には、特定の条件を満たす場合に前記報知動作の実行を制限する
ことを特徴とする請求項2に記載の遊技機。
【請求項4】
前記特別入賞口の内部に設けられ、前記特別入賞口へ入賞した遊技球が通過できる特定の領域と、
遊技球が前記特定の領域を通過した場合、遊技者にとって有利な遊技の状態を設定する設定手段と
を備えたことを特徴とする請求項3に記載の遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、遊技者が遊技機において使用できる遊技媒体の数を記憶する遊技機が知られている。特許文献1は、遊技者が所有する遊技球の数に対応する持ち球数を特定可能な持ち球数情報を管理する遊技機を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5945611号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の遊技機は、遊技領域に発射された遊技球を検出する発射球検出手段を備え、発射球検出手段によって遊技球が検出された場合、発射球数を特定可能な発射球数情報を持ち球情報から減算する。また、上記の遊技機の発射手段は、持ち球数情報が1以上である場合に、遊技球の発射を可能とする。したがって、持ち球数情報が0となった場合には、遊技者は遊技を進行できなくなる。このことによって、以降の遊技の進行において遊技者が不利益を被る可能性があるといった問題がある。
【0005】
本発明は、遊技の進行において遊技者が不利益を被る可能性を低減できる遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る遊技機は、遊技機において遊技に使用できる遊技媒体である使用可能遊技媒体の数である使用可能遊技媒体数を管理する管理手段と、前記管理手段によって管理されている前記使用可能遊技媒体数が、0よりも大きい数である特定数以下に減少したかを判断する判断手段と、前記判断手段による判断結果に応じて、前記使用可能遊技媒体数が前記特定数以下に減少したことに応じた報知動作を報知手段に実行させる報知動作実行手段とを備える。
【0007】
例えば、遊技媒体を用いた遊技が、使用可能遊技媒体数に基づく遊技媒体によって行われる場合、実際の遊技媒体を用いた遊技が進行する場合に比べて、遊技に使用できる遊技媒体の数を遊技者が把握し辛いことがある。本発明に係る遊技機は、使用可能遊技媒体数が特定数以下に減少した場合、所定の報知動作を実行できる。すなわち、本発明に係る遊技機は、使用可能遊技媒体数が0まで減少するよりも前に、使用可能遊技媒体数が特定数以下まで減少したことを遊技者に認識させることができる。したがって、本発明に係る遊技機は、遊技の進行において遊技者が不利益を被る可能性を低減できる。
【0008】
前記遊技媒体は遊技球であってもよい。前記遊技機は、遊技球が流下する遊技領域と、前記遊技領域に設けられた入賞口と、前記使用可能遊技媒体である持ち球に対応する遊技球を前記遊技領域へ遊技球を発射する遊技球発射手段とを備え、前記管理手段は、前記遊技領域に発射された遊技球が前記入賞口へ入賞した場合に、遊技球が入賞した前記入賞口に対応する賞球の数である賞球数を、前記使用可能遊技媒体数である持ち球数に加算してもよい。
【0009】
遊技媒体が遊技球であり、遊技領域に発射された遊技球が入賞口へ入賞した場合に、入賞口に対応する賞球数が持ち球に加算される遊技機において、遊技者が遊技の進行に応じた利益を得るためには、入賞口へ遊技球を適時に入賞させる必要がある場合がある。遊技機は、持ち球数が特定数以下まで減少したことを遊技者に報知できるので、持ち球数が0となり遊技の進行ができない状況に陥ることから遊技者を事前に回避させることができる。
【0010】
所定の契機の成立に応じて前記入賞口である特別入賞口の開閉を伴う特別遊技の実行契機を付与するかを示す判定結果を導出する特別判定を実行する判定手段と、前記特別判定による前記判定結果を報知する報知演出を実行する報知演出実行手段と、前記特別判定による前記判定結果に応じて前記特別遊技を実行する特別遊技実行手段とを備え、前記報知動作実行手段は、前記特別遊技の実行中には、前記報知動作を実行し、前記報知演出の実行中には前記報知動作の実行を制限するか、又は前記報知演出の実行中には、特定の条件を満たす場合に前記報知動作の実行を制限してもよい。
【0011】
遊技者が特別入賞口に遊技球を入賞させられない場合には、特別入賞口への入賞に伴う賞球が生じないことから、特別入賞口に遊技球が入賞したならば持ち球数に加算されうる入賞数が生じない。遊技機は、特別遊技の実行中に報知動作を実行するので、特別遊技の実行中に持ち球数が0となり遊技球を特別入賞口に入賞させることができない状況に陥ることから遊技者を回避させることができる。また、報知演出の実行中には、遊技者は特別判定による判定結果がいずれであるかに大いに興味を抱いている。遊技機は、報知演出の実行中には報知動作の実行を制限するか、特定の条件を満たす場合に報知演出の実行を制限するので、特別判定による判定結果がいずれであるかに対する遊技者の興味が報知動作によって削がれることを防止することができる。
【0012】
前記遊技機は、前記特別入賞口の内部に設けられ、前記特別入賞口へ入賞した遊技球が通過できる特定の領域と、遊技球が前記特定の領域を通過した場合、遊技者にとって有利な遊技の状態を設定する設定手段とを備えてもよい。
【0013】
遊技者が特別入賞口に遊技球を入賞させられない場合には、遊技球が特定の領域を通過しないことから、有利な遊技の状態が設定されず、遊技球が特定の領域を通過したならば付与され得る利益が遊技者に付与されない。遊技機は、持ち球数が特定数以下まで減少したことを遊技者に報知できるので、持ち球数が0となり遊技球を特別入賞口に入賞させて特定領域を通過させることができない状況に陥ることから遊技者を回避させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】パチンコ機1の正面図である。
図2】遊技盤2の正面図である。
図3】貯留装置20の概略構成図である。
図4】パチンコ機1の電気的構成を示すブロック図である。
図5】RAM52の特図1大当たり関係情報記憶エリアを示す概念図である。
図6】ROM53に記憶されている大当たり判定テーブルを示す概念図である。
図7】ROM53に記憶されている特別図柄決定テーブルを示す概念図である。
図8】ROM53に記憶されている変動パターン決定テーブルを示す概念図である。
図9】ROM53に記憶されている特殊第二変動パターン決定テーブルA及び特殊第二変動パターン決定テーブルBを示す概念図である。
図10】主制御基板41において行われるメイン処理のフローチャートである。
図11】メイン処理において行われる特別図柄処理のフローチャートである。
図12図11に続くフローチャートである。
図13図12に続くフローチャートである。
図14】特別図柄処理において行われる遊技状態移行処理のフローチャートである。
図15】メイン処理において行われる特別電動役物処理のフローチャートである。
図16図15に続くフローチャートである。
図17】枠制御基板45において行われる枠制御基板処理のフローチャートである。
図18】枠制御基板処理において行われる持ち球管理処理のフローチャートである。
図19】枠制御基板処理において行われる情報出力処理のフローチャートである。
図20】枠制御基板処理において行われる監視処理のフローチャートである。
図21】サブ制御基板58において行われるサブ制御基板処理のフローチャートである。
図22図21に続くフローチャートである。
図23】サブ制御基板処理において行われる報知演出終了処理のフローチャートである。
図24】サブ制御基板処理において行われる持ち球数減少報知処理のフローチャートである。
図25】小当たり遊技状態における持ち球数減少報知の内容を説明する説明図である。
図26】大当たり遊技状態における持ち球数減少報知の内容を説明する説明図である。
図27】報知演出の実行中における持ち球数減少報知の内容を説明する説明図である。
図28】特定の変動パターンに基づく報知演出の実行中における持ち球数減少報知の内容を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係る遊技機の第一実施形態であるパチンコ機1について、図面を参照して説明する。まず、図1及び図2を参照して、パチンコ機1の機械的構成について説明する。以下の説明では、図1の手前側、奥側、上側、下側、左側、及び右側を、それぞれ、パチンコ機1の前側、後側、上側、下側、左側、及び右側とする。本願が開示する技術は、使用可能遊技媒体数を管理する管理手段を備える遊技機であれば、遊技仕様を問わず、様々な遊技仕様の遊技機に適用できる。本発明を適用できる遊技機には、遊技媒体を用いて遊技を進行する様々な遊技機が含まれる。遊技媒体は、ぱちんこ遊技機の場合には遊技球である。遊技媒体は、回胴式遊技機の場合には遊技メダル等である。第一実施形態は、特別図柄を備えた、いわゆる1種2種混合タイプのぱちんこ遊技機を例として説明する。
【0016】
図1に示すように、パチンコ機1は、遊技機枠30と遊技盤2とを備える。遊技機枠30は、前面枠31と、図示しない本体枠及び外枠を備える。外枠は、パチンコ機1の外郭を形成する枠部材である。
【0017】
本体枠は、遊技盤2等を取り付けるための枠体である。本体枠は、外枠に対して開閉可能に装着されている。本体枠の内部の下部には、図3で後述する貯留装置20が設けられている。貯留装置20には、所定数の遊技球が予め貯留されている。貯留されている遊技球は、図2で後述する遊技領域4に向けて発射された後、遊技領域4を流下して、再び貯留装置20に戻る。貯留装置20に戻った遊技球は、再度、遊技領域4に向けて発射されるために使用される。このように、貯留装置20に貯留されている遊技球は、パチンコ機1の内部に封入されており、パチンコ機1の外部に排出されることなく、循環的に使用される。このような遊技機を、封入式遊技機、封入式パチンコ等ともいう。
【0018】
前面枠31は、本体枠に対して開閉可能に装着されている。前面枠31の中央部には略円形の開口部311が形成されている。開口部311には、透明板312が固定されている。透明板312は、例えばガラス板である。前面枠31は、透明板312とともに遊技盤2を前方から覆う。
【0019】
前面枠31は、発射ハンドル32、演出ボタン35、枠ランプ38、スピーカ39及び球管理ユニット44を備える。発射ハンドル32は、前面枠31の右下部に設けられている。発射ハンドル32は、遊技者が回転操作をできるように構成されている。遊技者が発射ハンドル32を回転させて発射操作を行うと、発射ハンドル32の回転角度に応じた強度で、図3及び図4に示す遊技球発射装置37によって遊技球が発射される。演出ボタン35は、前面枠31の左下部に設けられ、遊技者が押下操作をできるように構成されている。枠ランプ38は、前面枠31の上部、左部及び右部等に設けられる装飾部である。枠ランプ38は、LED等の光源を内蔵し、光を用いた各種の演出を実行する。スピーカ39は、前面枠31の上部の左右の角部に設けられている。スピーカ39は、音楽、音声、効果音等の各種の音を出力する。
【0020】
なお、パチンコ機1は封入式パチンコであり、従来の非封入式のぱちんこ遊技機が行う賞球の払い出しを行なわない。したがって、前面枠31は、従来の非封入式のパチンコ遊技機が備える、賞球及び貸球等を受けるための上皿、下皿等を備えない。遊技者がパチンコ機1において遊技のために使用できる遊技球を、一般に、「持ち球」という。また、持ち球の数を、以下では、「持ち球数」という。パチンコ機1は、持ち球数を示す情報を管理することによって、持ち球数に応じた遊技を遊技者に実行させることができる。持ち球数を示す情報を、以下では、「持ち球数情報」という。球管理ユニット44は、開口部311の下方に設けられる。球管理ユニット44は、遊技球数表示部441及び計数ボタン442を主に備える。遊技球数表示部441は、パチンコ機1によって管理されている持ち球数情報に基づく持ち球数等を表示する。遊技球数表示部441は、7セグメントLED、LCD等によって構成される。計数ボタン442は、遊技者が遊技を終了する等に際して持ち球を精算する場合に操作される押しボタンスイッチである。
【0021】
図2に示すように、遊技盤2は正面視略正方形の板状である。遊技盤2の前面には、ガイドレール3で囲まれた略円形の遊技領域4が形成されている。ガイドレール3は、遊技盤2の前面から前方に突出するレール部材である。ガイドレール3は、内レール3Aと外レール3Bとを備える。内レール3Aは前方から見て円弧状に湾曲しており、遊技盤2の左下部から上部に向けて延びるように配置される。外レール3Bも前方から見て円弧状に湾曲しており、遊技盤2において内レール3Aよりも遊技球1~2個分だけ外側の位置において、遊技盤2の左下部から右上部に亘って配置される。内レール3Aと外レール3Bとの間には発射通路23が形成される。発射通路23は、遊技球が通過できる通路であり、下端において貯留装置20に連結し、上端において遊技領域4に連結している。
【0022】
遊技領域4の略中央には、センター飾り21が設けられている。遊技球発射装置37によって発射された遊技球は、発射通路23を通過して遊技領域4へ導かれ、遊技領域4内を流下する。所定の強度未満の発射強度で発射された遊技球は、センター飾り21の左側を流下し、所定の強度以上で発射された遊技球は、センター飾り21の右側を流下する。以下、遊技球がセンター飾り21の左側を流下するように遊技球を発射することを「左打ち」と、遊技球がセンター飾り21の右側を流下するように遊技球を発射することを「右打ち」という。
【0023】
センター飾り21は、表示画面28を主に備える。表示画面28は、センター飾り21の略中央に配置される。表示画面28は、例えばLCD等によって構成される画像表示手段であり、数字・文字、様々な動画等を表示可能である。表示画面28には、有機EL、ドットマトリクス等、種々のものが用いられてよい。表示画面28は、報知演出を実行可能である。報知演出は、図24等に示す演出用の図柄である演出図柄100を変動させた後に、後述する大当たり判定の結果を示す演出図柄100の組合せを確定表示させる図柄変動を行うことで、大当たり判定の結果を遊技者に報知する演出である。また、センター飾り21は、LED等の光源を有して構成される、図4に示す盤ランプ27を内蔵している。センター飾り21は、盤ランプ27によって、光を用いた各種の演出を実行する。
【0024】
センター飾り21の略中央下方には、第一始動口14が設けられている。第一始動口14は、後述する第一特別図柄の始動口として機能する。第一始動口14の右上方には、第一大入賞口16が設けられている。第一大入賞口16は、いわゆる特別電動役物(大当たり判定の結果に基づき入賞口の大きさを変化する役物)に係る入賞口として構成されている。第一大入賞口16は、左右方向に長手方向を有して延び、第一大入賞口16の入口を開閉可能に構成された開閉部材161を備える。遊技球は、開閉部材161が開放された場合にのみ、第一大入賞口16に入賞することができる。第一大入賞口16の開閉部材161は、図4に示す第一大入賞口ソレノイド70によって電気的に開閉される。第一大入賞口16の開閉部材161は、後述する大当たり遊技において開放する。
【0025】
センター飾り21の右方には、遊技球が通過可能なゲート12が設けられている。ゲート12は、普通図柄の作動ゲートである。第一始動口14の下方には、第二始動口15が設けられている。第二始動口15は、後述する第二特別図柄の始動口として機能する。第二始動口15は、いわゆる普通電動役物(普通当たり判定の結果に基づき入賞口の入口の大きさを変更する役物)に係る入賞口として構成されている。第二始動口15は、片羽根状であり、第二始動口15の入口を開閉可能に構成された開閉部材151を備える。遊技球は、開閉部材151が開放された場合にのみ、第二始動口15に入賞することができる。第二始動口15の開閉部材151は、図4に示す第二始動口ソレノイド69によって電気的に開閉される。第二始動口15の開閉部材151は、後述する普通当たり遊技において開放される。
【0026】
センター飾り21の右部のうちゲート12の下方には、第二大入賞口17が設けられている。第二大入賞口17も、いわゆる特別電動役物に係る入賞口として構成されている。第二大入賞口17は、片羽根状の開閉部材171を備える。遊技球は、開閉部材171が開放された場合にのみ、第二大入賞口17に入賞することができる。第二大入賞口17の開閉部材171は、図4に示す第二大入賞口ソレノイド71によって電気的に開閉される。第二大入賞口17の開閉部材171は、後述する小当たり遊技において開放する。
【0027】
第二大入賞口17の内部には、特定領域178、非特定領域179及び図示しない振分部材が設けられている。特定領域178及び非特定領域179は、第二大入賞口17に入賞した遊技球のみが通過できる領域である。振分部材は、第二大入賞口17に入賞した遊技球を、特定領域178又は非特定領域179に振り分ける部材である。振分部材は、図4に示す振分部材ソレノイド72によって電気的に作動される。振分部材ソレノイド72は、後述する小当たり遊技において、特定の駆動パターンで駆動する。小当たり遊技が実行中である状態を、小当たり遊技状態という。本実施形態では、小当たり遊技状態において右打ちが継続的に行われた場合、第二大入賞口17に10個程度の遊技球が入賞する。振分部材ソレノイド72の特定の駆動パターンは、第二大入賞口17に入賞した10個程度の遊技球のうち少なくとも1個が特定領域178を通過し、残りの9個程度の遊技球が非特定領域179を通過するように構成されている。なお、特定の駆動パターンは、例えば、特定領域178への遊技球の通過が容易である第一パターンと、特定領域178への遊技球の通過が第一パターンよりも困難な第二パターンとを含んで構成されてもよい。以下では、第一大入賞口16及び第二大入賞口17を総称する場合、単に大入賞口という。
【0028】
遊技盤2の右下部には、図柄表示部29が設けられている。図柄表示部29は、第一特別図柄表示部、第二特別図柄表示部、普通図柄表示部、第一特別図柄記憶数表示LED、第二特別図柄記憶数表示LED及び普通図柄記憶数表示LED等を備える。第一特別図柄表示部及び第二特別図柄表示部は、それぞれ複数個のLEDからなる。第一特別図柄表示部は、LEDを点滅表示すること等による変動表示をした後に、LEDの点灯及び消灯を所定の組合せとして確定表示することによって、第一始動口14に遊技球が入賞したことを契機として実行された大当たり判定の結果を報知する。第一特別図柄表示部に確定表示される組合せのそれぞれを、第一特別図柄という。以下、第一始動口14に遊技球が入賞したことを契機として実行される大当たり判定を、「特図1大当たり判定」という。第二特別図柄表示部は、第一特別図柄表示部と同様の変動表示をした後に、LEDの点灯及び消灯を所定の組合せとして確定表示することによって、第二始動口15に遊技球が入賞したことを契機として実行された大当たり判定の結果を報知する。第二特別図柄表示部に確定表示される組合せのそれぞれを、第二特別図柄という。以下、第二始動口15に遊技球が入賞したことを契機として実行される大当たり判定を、「特図2大当たり判定」という。以下では、第一特別図柄及び第二特別図柄を総称する場合、単に特別図柄という。
【0029】
普通図柄表示部は、特別図柄の変動表示と同様の変動表示をした後に、LEDの点灯及び消灯を所定の組合せとして確定表示することによって、遊技球がゲート12を通過することを契機として実行される普通当たり判定の結果を報知する。普通図柄表示部に確定表示される組合せのそれぞれを、普通図柄という。第一保留数表示LEDは、特図1大当たり判定の実行が保留されている数である第一保留数を表示する。第二保留数表示LEDは、特図2大当たり判定の実行が保留されている数である第二保留数を表示する。普通保留数表示LEDは、普通当たり判定の実行が保留されている数である普通保留数を表示する。
【0030】
遊技領域4には、上記以外に、アウト口19、各種の装飾部材、その他の入賞口及び図示しない遊技くぎ等が設けられている。アウト口19は、遊技盤2の下部に設けられている。遊技領域4を流下する遊技球のうち、第一始動口14、第二始動口15、第一大入賞口16、第二大入賞口17及びその他の入賞口のいずれにも入賞せず遊技領域4の下部まで流下した遊技球は、アウト口19を通過した後、遊技領域4の外部へ排出される。
【0031】
なお、遊技領域4において、各遊技部材が上記のように配設されるため、左打ちされた遊技球は、右打ちされた遊技球よりも、第一始動口14へ入賞しやすい。右打ちされた遊技球が第一始動口14へ入賞することは困難である。また、右打ちされた遊技球は、左打ちされた遊技球よりも、ゲート12、第二始動口15、第一大入賞口16及び第二大入賞口17を通過又は入賞しやすい。左打ちされた遊技球がゲート12、第一大入賞口16及び第二大入賞口17を通過又は入賞することは困難である。また、第二始動口15への遊技球の入賞は、後述する普通当たり遊技が行われた場合にしか生じ得ない。したがって、遊技者は、後述する確変状態、時短状態及び大当たり遊技中には右打ちによって遊技を進め、それ以外の場合は左打ちによって遊技を進める。
【0032】
図1に示すように、パチンコホールにおいて、パチンコ機1に隣接してカードユニットCUが配置される。カードユニットCUは、パチンコ機1に接続可能な外部機器である。カードユニットCUは、カード挿入口CU1、紙幣挿入口CU2に加えて、所定の表示部、操作部等を備える。カード挿入口CU1は、遊技者が所持するICカードC1を挿入可能に構成されている。ICカードC1は、種々の情報を電子的に記憶することができる情報記憶媒体である。紙幣挿入口CU2は、紙幣を挿入可能に構成されている。表示部は、ICカードC1に記憶されている各種情報を表示できるように構成されている。操作部は、ICカードC1に記憶されている各種情報についての操作を受け付ける押しボタンスイッチ等である。
【0033】
カードユニットCUは、ICカードC1に対する情報の書き込み及びICカードC1に記憶されている情報の読み出しができるように構成されている。また、カードユニットCUは、各種の情報を枠制御基板45との間で送受信できるように構成されている。さらに、カードユニットCUは、パチンコホールに設置されている遊技機を統括的に管理する遊技場管理用コンピュータ(いわゆるホールコンピュータ)に接続し、パチンコ機1の情報を遊技場管理用コンピュータに出力する。
【0034】
図2を参照して、パチンコ機1における遊技の概要について説明する。パチンコ機1には、大当たり遊技、小当たり遊技及び普通当たり遊技が設けられている。大当たり遊技について説明する。大当たり遊技は、条件装置の作動により役物連続作動装置が作動することにより実行される。条件装置とは、役物連続作動装置が作動するための条件となる装置である。役物連続作動装置とは、特別電動役物を連続して作動させるための装置である。本実施形態において、条件装置は、大当たりであることを示す特別図柄が図柄表示部29に確定表示された場合、又は役物連続作動装置が作動していない状態で遊技球が大入賞口の内部の特定の領域を通過した場合に作動する。本実施形態において、第二大入賞口17の内部の特定領域178が、この大入賞口の内部の特定の領域に相当する。
【0035】
本実施形態では、第一始動口14へ遊技球が入賞することを契機として、特図1大当たり判定が行われ、判定の結果を示す第一特別図柄が図柄表示部29の第一特別図柄表示部に表示される。特図1大当たり判定では、大当たり及びはずれのいずれかが、大当たり乱数に基づいて判定される。特図1大当たり判定において大当たりであると判定されると、判定結果が大当たりであることを示す第一特別図柄が図柄表示部29の第一特別図柄表示部に確定表示されて、条件装置が作動する。本実施形態において、役物連続作動装置は、条件装置が作動した場合に作動する。役物連続作動装置が作動することによって、特別電動役物に係る第一大入賞口16の開閉部材161が所定の開放パターンで開放されることが所定回数繰り返される、大当たり遊技が実行される。本実施形態において、第一大入賞口16は、条件装置の作動により役物連続作動装置が作動した場合に作動する大入賞口である。
【0036】
以下、大当たり遊技において第一大入賞口16の開閉部材161又は第二大入賞口17の開閉部材171が、連続して開放状態にされる繰り返しの一単位を、「大当たりラウンド」という。1回の大当たりラウンド毎に、第一大入賞口16又は第二大入賞口17が所定時間で1回又は複数回開放する。また、1回の大当たり遊技を構成する大当たりラウンドの合計数を、以下、「ラウンド数」という。また、条件装置及び役物連続作動装置が作動している状態、すなわち、大当たり遊技が実行中の状態を、大当たり遊技状態という。本実施形態では、ラウンド数は「4」又は「10」である。以下では、ラウンド数を「R」と示すことがある。以下、大当たり判定の結果が大当たりであることを示す特別図柄を、大当たり図柄という。大当たり判定の結果がはずれであることを示す特別図柄を、はずれ図柄という。
【0037】
また、第二始動口15へ遊技球が入賞すると、特図2大当たり判定が行われ、判定の結果を示す第二特別図柄が図柄表示部29の第二特別図柄表示部に表示される。特図2大当たり判定では、大当たり、小当たり及びはずれのいずれかが、大当たり乱数に基づいて判定される。特図2大当たり判定において大当たりであると判定されると、判定結果が大当たりであることを示す第二特別図柄が、図柄表示部29の第二特別図柄表示部に確定表示されて、条件装置が作動する。これに伴い、役物連続作動装置が作動して大当たり遊技状態が生起され、大当たり遊技が実行される。本実施形態では、特図1大当たり判定において大当たりであると判定される確率及び特図2大当たり判定において大当たりであると判定される確率は、遊技状態に関わらず、約1/200である。大当たり判定において大当たりであると判定される確率を、以下、「大当たり確率」という。
【0038】
小当たり遊技について説明する。特図2大当たり判定において小当たりであると判定されると、判定結果が小当たりであることを示す第二特別図柄が、図柄表示部29の第二特別図柄表示部に確定表示される。その後、第二大入賞口17の開閉部材171が1回だけ所定時間開放状態にされる小当たり遊技が実行される。本実施形態において、第二大入賞口17は、小当たりであることを示す特別図柄が確定表示された場合に作動する大入賞口である。小当たり遊技は、大当たり遊技よりも大入賞口の開放時間が短く制限されており、一般に、大当たり遊技と比較して遊技者における有利度が小さい遊技である。特図2大当たり判定によって小当たりであると判定された段階では、条件装置は作動しないので、役物連続作動装置も作動しない。なお、小当たり遊技における第二大入賞口17の開閉部材171の1回の開放が、複数回の開放によって構成されることは妨げられない。
【0039】
本実施形態では、特図2大当たり判定において小当たりであると判定される確率は、遊技状態に関わらず、約1/5.285である。以下、大当たり判定において小当たりであると判定される確率を、以下、「小当たり確率」という。大当たり判定の結果が小当たりであることを示す特別図柄を、小当たり図柄という。
【0040】
小当たり遊技において開閉部材171が開放状態にされた第二大入賞口17に入賞した遊技球が、第二大入賞口17の内部の特定領域178を通過すると、条件装置が作動する。条件装置の作動に伴い、役物連続作動装置が作動すると、大当たり遊技状態が生起され、小当たり遊技に引きつづいて大当たり遊技が実行される。このように、大当たり判定において小当たりであると判定されたことに起因して小当たり遊技が実行され、遊技球が特定領域178を通過して大当たり遊技が実行された場合には、先に実行された小当たり遊技が大当たり遊技の一部に含められる。この場合、小当たり遊技が1R目の大当たりラウンドとして遡って取り扱われ、1R分の大当たりラウンドとしてラウンド数に換算される。
【0041】
このように、大当たり判定において大当たりであると判定されることに伴い、第一大入賞口16によって実行される大当たり遊技を、以下では、1種遊技ともいう。1種遊技は、いわゆる旧1種タイプの遊技機における大当たり遊技と同様の大当たり遊技であり、大当たり判定の判定結果が大当たりであることを報知する特別図柄の組合せが確定表示されることを契機として実行される。
【0042】
また、大当たり判定において小当たりであると判定されたことに応じて小当たり遊技が実行されたことに起因して実行される大当たり遊技を、以下では、2種遊技ともいう。2種遊技は、羽根物等のいわゆる旧2種タイプの遊技機における大当たり遊技と同様の大当たり遊技であり、小当たり遊技中に第二大入賞口17に入賞した遊技球が、第二大入賞口17の内部の特定領域178を通過することを条件として実行される。本実施形態では、第二大入賞口17を用いた小当たり遊技の終了後に、第一大入賞口16の開放が連動されることで2種遊技の大当たり遊技が行われる。言い換えると、2種遊技は、特定領域178を備える第二大入賞口17の開放動作を伴う大当たり遊技である。パチンコ機1は、1種遊技及び2種遊技の双方を備えた、いわゆる1種2種混合タイプの遊技機である。以下では、大当たり遊技及び小当たり遊技を総称する場合、又はいずれかを特定しない場合に、「当たり遊技」という。
【0043】
普通当たり遊技について説明する。普通当たり遊技は、普通当たり判定の判定結果が当たりであることを示す普通図柄が図柄表示部29に確定表示された場合に実行される。普通当たり判定は、ゲート12を遊技球が通過することを契機として行われる。普通当たり遊技は、普通電動役物に係る第二始動口15の開閉部材151が所定の開放パターンで開放されることによって実行される。
【0044】
パチンコ機1は、非時短状態及び時短状態のいずれかを設定する。非時短状態は、第二始動口15の開閉部材151が開放状態にされる割合が通常の頻度である遊技状態である。時短状態は、非時短状態よりも第二始動口15の開閉部材151が開放状態にされる頻度が高くなる遊技状態である。本実施形態において、非時短状態において行われる普通当たり遊技による第二始動口15の開閉部材151の開放パターンは、約0.1秒×1回である。普通当たり判定において当たりであると判定される確率を、以下では「普通当たり確率」という。非時短状態における普通当たり確率は、約1/11である。また、非時短状態における普通図柄の変動時間は、約10秒である。時短状態において行われる普通当たり遊技による第二始動口15の開閉部材151の開放パターンは、約1.2秒×3回である。時短状態における普通当たり確率は、約10/11である。また、時短状態における普通図柄の変動時間は、約2秒である。このため、遊技者は、時短状態において、非時短状態よりも第二始動口15に遊技球を容易に入賞させることができる。
【0045】
本実施形態において、パチンコ機1は、大当たり遊技の終了後に時短状態を設定する。設定された時短状態は、時短状態において行われた大当たり判定の回数、すなわち特図1大当たり判定の実行回数と特図2大当たり判定の実行回数との合計が、予め定められた時短回数に達するまで継続する。本実施形態において、時短回数は7回である。パチンコ機1は、この他に、はずれ図柄のうち特定のはずれ図柄が確定表示されたこと等を契機としても、時短状態を設定してもよい。パチンコ機1は、これら非時短状態と時短状態との2種類の遊技状態を設定できる。以下では、非時短状態のことを「通常状態」ともいう。
【0046】
図3を参照して、貯留装置20及び貯留装置20に貯留される遊技球が遊技領域4に向けて発射される場合について説明する。図3(A)に示すように、貯留装置20は、貯留部22、遊技球発射装置37及び戻り通路25を備える。貯留部22は、貯留装置20の下部において所定数の遊技球を貯留できるように形成された領域である。遊技球発射装置37は、貯留部22の上方に設けられている。
【0047】
図示を省略するが、球送り装置48は、貯留部22と遊技球発射装置37との間において上下方向に延びるスクリューと、スクリューを囲んで上下方向に延びる樋部材と、スクリューを回転駆動させるモータとを備える。スクリューと樋部材とに囲まれた領域は、遊技球が誘導される誘導経路となっている。誘導経路の下端部は、貯留部22に連結しており、スクリューがモータの動力を受けて回転すると、貯留部22から誘導経路に入球した遊技球が、スクリューの回転に応じて誘導経路内を上昇する。本実施形態では、スクリューが1回転することに応じて、1個の遊技球が誘導経路の下端部から上端部に向けて送られる。誘導経路の上端部に到達した遊技球は、遊技球発射装置37に向けて送られる。
【0048】
遊技球発射装置37は、図示しないソレノイド等を備え、発射ハンドル32の回転角度に応じた強度で、球送り装置48によって送られた遊技球を1個ずつ発射できるように構成されている。遊技球発射装置37によって発射された遊技球は、下端において20に連結する発射通路23を通過する。遊技球発射装置37によって発射された遊技球が遊技領域4に向かう発射通路23に沿った方向を、発射方向という。
【0049】
発射通路23には、下方に向けて延びる戻り通路25の上端部が連結する。戻り通路25の下端部は、貯留部22に連結する。発射通路23と戻り通路25とが連結する部分には、逆流防止部材24が設けられている。逆流防止部材24は、その下端部が発射通路23と戻り通路25とが連結する部分に固定される板状体である。逆流防止部材24は、下端を支点として発射通路23の下壁部に回転可能に組み付けられている。逆流防止部材24は、図3(A)に示す状態、すなわち、鉛直方向に延びる姿勢が維持されるように付勢されている。
【0050】
発射通路23のうち逆流防止部材24よりも発射方向の上流部分を、第一通路231という。発射通路23のうち逆流防止部材24よりも発射方向の下流部分を、第二通路232という。逆流防止部材24は、第一通路231から第二通路232への遊技球の進入を許容する。一方、逆流防止部材24は、第二通路232から第一通路231への遊技球の進入を防止する。
【0051】
遊技球発射装置37によって発射され、第一通路231を発射方向に向かう遊技球は、逆流防止部材24を鉛直方向に延びる姿勢から、図3(B)に示すように左方に向けて回転させる。これにより、遊技球は第一通路231から第二通路232に進入することができる。その後、遊技球は遊技領域4に向かう。図3(B)に示すように左方に向けて回転した逆流防止部材24は、逆流防止部材24に作用する付勢力によって図3(A)に示す鉛直方向に延びる姿勢に復帰する。
【0052】
第一通路231の上端部には、遊技球を検出できるセンサである発射球センサ455が設けられている。したがって、遊技球発射装置37によって発射されて第一通路231から第二通路232に進入した遊技球の全てが、発射球センサ455によって検出される。
【0053】
遊技球発射装置37による発射強度が所定未満である場合、遊技球発射装置37によって発射され、第一通路231を発射方向に向かい第二通路232に進入した遊技球が、遊技領域4に到達できない場合がある。このような遊技球を、ファール球という。この場合、ファール球は第二通路232を下方に向かって流下し、逆流防止部材24に向かう。この場合、図3(C)に示すように、逆流防止部材24が鉛直方向に延びる姿勢にある。逆流防止部材24は、鉛直方向に延びる姿勢から右方に向けて回転することはできない。このため、鉛直方向に延びる逆流防止部材24によって、ファール球は第一通路231への進入が妨げられ、戻り通路25へ誘導される。したがって、ファール球は、戻り通路25を介して貯留部22に戻る。貯留部22に戻ったファール球は、遊技領域4に向けて発射される遊技球として再び用いられる。戻り通路25には、遊技球を検出できるセンサである戻り球センサ456が設けられている。したがって、ファール球の全てが、戻り球センサ456によって検出される。
【0054】
また、遊技盤2の裏側には、遊技領域4を流下し、第一始動口14、第二始動口15、第一大入賞口16、第二大入賞口17及びその他の入賞口へ入賞した遊技球と、アウト口19を通過した遊技球とが全て通過する排出経路26が設けられている。排出経路26は貯留部22に連結する。これにより、遊技領域4を流下した遊技球は全て貯留部22に戻り、貯留部22に戻った遊技球は、遊技領域4に向けて発射される遊技球として再び用いられる。排出経路26における貯留部22との連結部の近傍には、遊技球を検出できるセンサである排出球センサ457が設けられている。したがって、遊技領域4を流下した遊技球の全てが、排出球センサ457によって検出される。
【0055】
図4を参照して、パチンコ機1の電気的構成について説明する。パチンコ機1の制御部40は、主制御基板41、サブ制御基板58、ランプ制御基板46、演出制御基板43、枠制御基板45、中継端子板47及び電源基板42を主に備える。
【0056】
主制御基板41は、パチンコ機1の主制御を司る。主制御基板41のCPUユニット50には、各種の演算処理を行うCPU51と、データを一時的に記憶するRAM52と、制御プログラム等を記憶したROM53とが設けられている。RAM52は、確変状態、時短状態等の遊技状態を示すフラグ等の情報、大当たり判定の結果を示す情報、第一保留数、第二保留数等、遊技に関する処理のための遊技処理情報を記憶する。CPUユニット50には、乱数発生回路56及び割込信号発生回路57が接続されている。乱数発生回路56は、所定範囲の乱数を発生させる。割込信号発生回路57は、一定周波数のクロック信号を出力する図示しないクロック回路からクロック信号が入力される毎に割込信号を発生させる。主制御基板41は、割込信号発生回路57から割込信号が入力される毎に、後述する主制御プログラムのメイン処理を実行する。
【0057】
また、主制御基板41には、RAMクリアスイッチ412が実装されている。RAMクリアスイッチ412は、RAMクリア処理を行う際に操作されるスイッチである。RAMクリア処理は、RAM52に記憶されている遊技処理情報を消去し、RAM52の初期設定を行うために行われる。なお、RAMクリアスイッチ412は、電源基板42に設けられても良い。RAMクリアスイッチ412は、主制御基板41、電源基板42等とは別に設けられる専用の基板に設けられてもよい。
【0058】
主制御基板41は、I/Oインタフェイス54を介してサブ制御基板58、枠制御基板45、中継端子板47、図柄表示部29、第一始動口スイッチ61、第二始動口スイッチ62に接続している。図柄表示部29の表示制御は、CPU51によって行われる。第一始動口スイッチ61は、第一始動口14に設けられており、第一始動口14への遊技球の入賞を検出した場合、検出信号を主制御基板41に出力する。第二始動口スイッチ62は、第二始動口15に設けられており、第二始動口15への遊技球の入賞を検出した場合、検出信号を主制御基板41に出力する。
【0059】
サブ制御基板58は、各種の演算処理を行うCPU581、データを一時的に記憶するRAM582、制御プログラム等を記憶したROM583及びパチンコ機1における音出力を制御する音制御回路585を備える。サブ制御基板58は、ランプ制御基板46、演出制御基板43及びスピーカ39に接続している。サブ制御基板58は、主制御基板41から送信されるコマンドに従って、演出等の総合的な制御を行う。
【0060】
ランプ制御基板46は、演出ボタン35、枠ランプ38及び盤ランプ27に接続している。ランプ制御基板46は、図示しないLEDドライバ等を備える。ランプ制御基板46は、サブ制御基板58から受信するコマンドに従って、枠ランプ38及び盤ランプ27の発光動作等を制御する。演出ボタン35は押下操作をされた場合、押下操作をされたことを示す信号を出力する。ランプ制御基板46は、演出ボタン35から受信した信号を、サブ制御基板58に中継する。
【0061】
演出制御基板43は、各種の演算処理を行うCPU431、表示画面28に対する画像出力を制御する画像制御回路435及び画像データを記憶するCGROM(図示略)等を備える。演出制御基板43は、サブ制御基板58から送信されるコマンドに従って表示画面28の表示を制御する。スピーカ39は、音制御回路585によって出力される音信号を音に変換して出力する。
【0062】
枠制御基板45は、パチンコ機1における持ち球情報の管理等を司る。枠制御基板45は、CPU451、RAM452及びROM453等を備える。枠制御基板45は、各種の演算処理を行うCPU451と、持ち球情報等のデータを一時的に記憶するRAM452と、持ち球情報の管理のための制御プログラム等を記憶したROM453とを備える。
【0063】
枠制御基板45は、I/Oインタフェイス454を介して球管理ユニット44、発射球センサ455、戻り球センサ456、排出球センサ457、球送り装置48、遊技球発射装置37及びカードユニットCUに接続している。球管理ユニット44は、遊技球数表示部441及び計数ボタン442を備える。遊技球数表示部441は、CPU451による制御に応じて、持ち球情報に基づく持ち球数等を表示する。計数ボタン442は、計数ボタン442の操作状況を示す信号であるボタン入力読込信号を、1ミリ秒間隔でCPU451に送信する。本実施形態では、計数ボタン442は、計数ボタン442が押されたこと、すなわち操作されたことを検出した場合、「ON」のボタン入力読込信号をCPU451に送信する。計数ボタン442は、計数ボタン442が操作されたこと検出しなかった場合、「OFF」のボタン入力読込信号をCPU451に送信する。計数ボタン442は、計数ボタン442の操作がされた場合、操作をされたことを示すコマンドである計数コマンドを生成する。
【0064】
発射球センサ455は、遊技球発射装置37によって発射された遊技球である発射球を検出した場合、発射球検出信号を枠制御基板45に出力する。戻り球センサ456は、ファール球を検出した場合、ファール球検出信号を枠制御基板45に出力する。排出球センサ457は、遊技球の通過を検出した場合、排出球検出信号を枠制御基板45に出力する。球送り装置48は、CPU451による制御に応じて、貯留部22から遊技球発射装置37へ遊技球を1個ずつ送る。遊技球発射装置37は、CPU451による制御に応じて、一定間隔(本実施形態では約0.6秒)毎に1個ずつ遊技球を遊技領域4へ発射する。また、前述したように、枠制御基板45は、I/Oインタフェイス454を介して、前述した外部機器であるカードユニットCUにも接続する。
【0065】
中継端子板47は、第二始動口ソレノイド69、第一大入賞口ソレノイド70、第二大入賞口ソレノイド71、振分部材ソレノイド72、ゲートスイッチ74、第一大入賞口スイッチ76、第二大入賞口スイッチ77、特定領域スイッチ78及び非特定領域スイッチ79に接続している。第二始動口ソレノイド69は、普通当たり遊技中に第二始動口15の開閉部材151を開閉する。第一大入賞口ソレノイド70は、大当たり遊技中に第一大入賞口16の開閉部材161を開閉する。第二大入賞口ソレノイド71は、小当たり遊技中に第二大入賞口17の開閉部材171を開閉する。振分部材ソレノイド72は、第二大入賞口17の内部の振分部材に設けられており、振分部材を特定の駆動パターンで駆動させる。ゲートスイッチ74は、ゲート12に設けられており、ゲート12への遊技球の通過を検出した場合、検出信号を主制御基板41に出力する。第一大入賞口スイッチ76は、第一大入賞口16に設けられており、第一大入賞口16への遊技球の入賞を検出した場合、検出信号を主制御基板41に出力する。第二大入賞口スイッチ77は、第二大入賞口17に設けられており、第二大入賞口17への遊技球の入賞を検出した場合、検出信号を主制御基板41に出力する。特定領域スイッチ78は、第二大入賞口17の内部の特定領域178に設けられており、特定領域178への遊技球の通過を検出した場合、検出信号を主制御基板41に出力する。非特定領域スイッチ79は、第二大入賞口17の内部の非特定領域179に設けられており、非特定領域179への遊技球の通過を検出した場合、検出信号を主制御基板41に出力する。
【0066】
電源基板42は、主制御基板41及び枠制御基板45に接続されており、各基板に直流の安定化した電力を供給する。電源基板42には、電源スイッチ423が設けられている。電源スイッチ423は、パチンコ機1の電源をON、OFFするために操作されるスイッチである。
【0067】
枠制御基板45のCPU451による持ち球情報等の管理について概説する。遊技者は、パチンコ機1における遊技を開始する場合、所持するICカードC1を、カードユニットCUのカード挿入口CU1に挿入する。
【0068】
カードユニットCUは、紙幣挿入口CU2に挿入された紙幣の現金を、遊技者が遊技に使用するための遊技球に変換することができる。現金を遊技球に変換することを、遊技球の貸出という。遊技球の貸出によって得られる遊技球を、貸球という。ICカードC1は、紙幣挿入口CU2に挿入された紙幣の現金に基づく現金金額情報を記憶することができる。カードユニットCUは、紙幣挿入口CU2に紙幣が挿入された場合、挿入された紙幣の現金の示す金額をICカードC1に記憶されている現金金額情報の示す金額に加算して、現金金額情報を更新する。
【0069】
カードユニットCUの操作部が所定の操作を受け付けた場合において、ICカードC1に現金金額情報が記憶されているとき、カードユニットCUは遊技球の貸出を行う。遊技球の貸出は、例えば500円の現金を125個の貸球に変換することによって行われる。遊技球の貸出が行われる現金の単位は、これ以外であってもよい。現金を貸球に変換するレートも一例である。カードユニットCUは、遊技球の貸出を行った場合、現金から変換した貸球の数を示す貸球数情報を、枠制御基板45に送信する。また、カードユニットCUは、貸球の数に対応する金額をICカードC1に記憶されている現金金額情報の示す金額から減算して、現金金額情報を更新する。
【0070】
カードユニットCUから貸球数情報を受信した枠制御基板45のCPU451は、貸球数情報の示す貸球数を持ち球数に加算して、持ち球情報を更新する。また、CPU451は、更新した持ち球情報に応じた持ち球数を、遊技球数表示部441に表示させる。
【0071】
CPU451は、発射ハンドル32の発射操作を受け付けた場合において、持ち球数が0よりも大きいとき、発射ハンドル32の回転角度に応じた強度で、遊技球発射装置37に遊技球を発射させる。CPU451は、発射球センサ455から検出信号を受信した場合、持ち球情報の示す持ち球数から「1」を減算して、持ち球数情報を更新する。CPU451は、戻り球センサ456から検出信号を受信した場合、持ち球情報の示す持ち球数に「1」を加算して、持ち球数情報を更新する。また、CPU451は、所定期間に発射球センサ455から検出信号を受信した回数である発射回数を管理する。CPU451は、所定期間に戻り球センサ456から検出信号を受信した回数であるファール球数を管理する。
【0072】
パチンコ機1は、遊技領域4に発射された遊技球が第一始動口14、第二始動口15、第一大入賞口16、第二大入賞口17及びその他の入賞口へ遊技球が入賞した場合、入賞口毎に予め定められている単位数に対応する数の遊技球を持ち球として遊技者に付与する。各種の入賞口に遊技球が入賞することに応じて持ち球として遊技者に付与される遊技球を、賞球という。入賞口毎に予め定められている単位数を、単位賞球数という。主制御基板41のCPU51は、遊技球が入賞口に入賞した場合、入賞口に応じた単位賞球数を示す賞球コマンドを生成する。CPU51は、生成した賞球コマンドを、RAM52に設けられるコマンドバッファにセットする。コマンドバッファにセットされた賞球コマンドは、枠制御基板45に順次送信される。賞球コマンドを受信した枠制御基板45のCPU451は、賞球コマンドの示す単位賞球数を持ち球数に加算して、持ち球情報を更新する。
【0073】
CPU451は、所定期間に排出球センサ457から排出球検出信号を受信した回数である排出球数を管理する。CPU451は、発射球数からファール球数を減算した数が排出球数と乖離しないかを監視することによって、遊技領域4等における遊技球の球詰まりの発生、不正行為の発生等を検出する。
【0074】
遊技者は、遊技を終了する場合、持ち球情報として管理されている持ち球数の持ち球を、自己の貯球に計上する必要がある。「貯球」とは、遊技者が次回以降の遊技において遊技のために使用できる遊技球である。貯球の数を、以下では、「貯球数」という。ICカードC1は、貯球数を示す貯球数情報を記憶することができる。遊技者が持ち球数の遊技球を自己の貯球に計上することを、持ち球の精算という。遊技者は、持ち球の精算を行う場合、計数ボタン442を操作する。CPU451は、計数ボタン442が操作された場合、計数コマンドを生成し、生成した計数コマンドをカードユニットCUに送信する。計数コマンドは、貯球に計上する持ち球の数である計上数を示す情報を含んで生成される。また、CPU451は、計数コマンドの生成に応じて、計上数を持ち球数から減算して、持ち球数情報を更新する。
【0075】
CPU451から計数コマンドを受信したカードユニットCUは、受信した計数コマンドを解析して計数コマンドの含む計上数を取得する。カードユニットCUは、取得した計上数を、ICカードC1に記憶されている貯球数情報の示す貯球数に加算して、貯球数情報を更新する。遊技者が計数ボタン442の操作を終了することによって、持ち球の精算が完了する。
【0076】
カードユニットCUは、ICカードC1をカードユニットCUから排出させる返却操作をカードユニットCUの操作部を介して受け付けた場合、カード挿入口CU1からICカードC1を排出する。これにより、遊技者は、自己のICカードC1の返却をカードユニットCUから受けることができる。
【0077】
貯球数情報が1個以上の貯球数を示すICカードC1を保有する遊技者は、同じ遊技機又は別の遊技機で再度遊技を開始する場合、貯球数情報の示す貯球数の貯球を持ち球に変換して遊技することができる。貯球を持ち球に変換して遊技することを、貯球再遊技という。貯球再遊技を行う遊技者は、遊技を行う遊技機に接続されているカードユニットCUにICカードC1を挿入する。カードユニットCUは、挿入されたICカードC1に記憶されている貯球数情報の示す貯球数を読み出す。カードユニットCUは、カードユニットCUの操作部が所定の操作を受け付けた場合、ICカードC1に記憶されている貯球数情報の示す貯球数から、貯球再遊技に用いる遊技球の数である再遊技球数を減算する。カードユニットCUは、再遊技球数を示す貯球再遊技情報を枠制御基板45に送信する。貯球再遊技情報を受信したCPU451は、貯球再遊技情報の示す再遊技球数を持ち球数に加算する。これにより、遊技者はICカードC1に記憶されている貯球数情報に対応する貯球を用いて、貯球再遊技を行うことができる。なお、遊技者は、貯球を次回以降の遊技に使用するためICカードC1に貯球数情報を記憶させた状態を保つことができる。また、遊技者は、貯球数情報の示す貯球数の貯球の一部又は全部を、パチンコホールにおいて各種の景品に交換することもできる。
【0078】
図5を参照して、RAM52の特図1大当たり関係情報記憶エリアについて説明する。特図1大当たり関係情報記憶エリアは、図10から図12において後述するメイン処理の特別図柄処理において使用される。特図1大当たり関係情報記憶エリアには、最大第一保留数に対応する複数の記憶エリアが設けられている。本実施形態において、記憶可能な第一保留数の上限である最大第一保留数は「4」である。このため、特図1大当たり関係情報記憶エリアには、No.1からNo.4の4つの記憶エリアが設けられている。第一始動口14に遊技球が入賞した際に第一保留数が4未満、すなわち0~3であれば、番号の小さい記憶エリアから順に乱数が記憶される。
【0079】
第一保留数は、第一始動口14へ入賞した遊技球に対応する乱数のうち、特図1大当たり判定の実行、第一特別図柄の変動時間を示す第一変動パターンの決定等が保留された状態で特図1大当たり関係情報記憶エリアに記憶されている第一保留乱数の個数である。CPU51は、処理がまだ行われていない記憶エリアの乱数のうち、最も番号の小さい記憶エリアに記憶されている第一保留乱数を、図示しない判定エリアにシフトする。判定エリアは、大当たり判定を行う乱数を格納するために、RAM52に設けられている記憶エリアであり、特図1大当たり判定と特図2大当たり判定とで共通に用いられる。CPU51は、判定エリアにシフトされた乱数について特図1大当たり判定等の各種処理を行う。最も番号の小さい記憶エリアに記憶されている第一保留乱数が、判定エリアにシフトされると、次の番号以降の記憶エリアに記憶されている乱数が、1つ小さな番号の記憶エリアにシフトされる。以降は、最も番号の小さい記憶エリアに記憶されている第一保留乱数が判定エリアに順次シフトされて、特図1大当たり判定等の処理が繰り返される。判定エリアに記憶されている乱数についての各種処理には、例えば、特図1大当たり判定の結果を報知する報知演出の決定、及び判定結果に応じて実行される大当たり遊技のラウンド数に関する処理等が含まれる。なお、判定エリアの乱数は、大当たり判定等の処理が終了した後に消去される。
【0080】
各記憶エリアには、大当たり乱数の値が記憶される特図1大当たり乱数欄、特別図柄決定乱数の値が記憶される第一特別図柄決定乱数欄、及び変動パターン決定乱数の値が記憶される第一変動パターン決定乱数欄が設けられている。遊技球が第一始動口14へ入賞すると、その時点で乱数発生回路56によって乱数の種類毎に生成されている乱数がハード回路によってラッチされて、各欄に記憶される。特図1大当たり乱数欄に記憶される大当たり乱数は、特図1大当たり判定のために用いられる。第一特別図柄決定乱数欄に記憶される特別図柄決定乱数は、第一特別図柄を決定するために用いられる。第一変動パターン決定乱数欄に記憶される変動パターン決定乱数は、図柄表示部29の第一特別図柄表示部に表示される第一特別図柄の変動時間等を示す第一変動パターンを決定するために用いられる。特図1大当たり乱数とともに取得されて特図1大当たり関係情報記憶エリアに記憶されている各種乱数を総称して、第一乱数ともいう。また、特図1特別図柄の変動時間を、第一変動時間ともいう。この他、報知演出を後述するリーチ演出として行うか否かを決定するためのリーチ乱数等、上記以外の乱数が、遊技球が第一始動口14へ入賞することを契機として第一乱数として取得されてもよい。
【0081】
図示しないが、RAM52には、特図2大当たり関係情報記憶エリアが設けられている。特図2大当たり関係情報記憶エリアも、メイン処理の特別図柄処理において使用される。本実施形態では、特図2大当たり関係情報記憶エリアに、最大第二保留数に対応する4つの記憶エリアが設けられている。第二保留数は、第二始動口15へ入賞した遊技球に対応する乱数のうち、特図2大当たり判定の実行、第二特別図柄の変動時間を示す第二変動パターンの決定等が保留された状態で記憶されている第二保留乱数の個数である。第二始動口15に遊技球が入賞すると、その時点で乱数発生回路56によって乱数の種類毎に生成されている乱数がハード回路によってラッチされて、特図2大当たり関係情報記憶エリアの各欄に記憶される。特図2大当たり関係情報記憶エリアには、特図1大当たり関係情報記憶エリアと同様に、大当たり乱数の値が記憶される特図2大当たり乱数欄、特別図柄決定乱数の値が記憶される第二特別図柄決定乱数欄、及び変動パターン決定乱数の値が記憶される第二変動パターン決定乱数欄が設けられている。
【0082】
CPU51は、処理がまだ行われていない記憶エリアの乱数のうち、最も番号の小さい記憶エリアに記憶されている乱数を、前述の判定エリアにシフトする。CPU51は、判定エリアにシフトされた乱数について特図2大当たり判定等の各種処理を行う。特図2大当たり乱数とともに取得されて特図2大当たり関係情報記憶エリアに記憶されている各種乱数を総称して、第二乱数ともいう。また、第二特別図柄の変動時間を、第二変動時間ともいう。
【0083】
以下の説明では、大当たり乱数のうち特図1大当たり判定のために用いられるものを、特図1大当たり乱数ともいう。大当たり乱数のうち特図2大当たり判定のために用いられるものを、特図2大当たり乱数ともいう。変動パターン決定乱数のうち第一変動パターンを決定するために用いられるものを、第一変動パターン決定乱数ともいう。変動パターン決定乱数のうち第二変動パターンを決定するために用いられるものを、第二変動パターン決定乱数ともいう。特別図柄決定乱数のうち第一特別図柄を決定するために用いられるものを、第一特別図柄決定乱数ともいう。特別図柄決定乱数のうち第二特別図柄を決定するために用いられるものを、第二特別図柄決定乱数ともいう。
【0084】
パチンコ機1において、第一変動時間及び第二変動時間は、特図1大当たり判定及び特図2大当たり判定の結果を遊技者に報知する報知演出の演出時間に等しい。サブ制御基板58は、主制御基板41で決定された変動パターンに従って報知演出を制御する。具体的には、主制御基板41は、第一変動パターン決定乱数に基づく第一変動パターンに従って、第一特別図柄の変動を開始する。主制御基板41は、第二変動パターン決定乱数に基づく第二変動パターンに従って、第二特別図柄の変動を開始する。サブ制御基板58は、第一特別図柄及び第二特別図柄の変動開始に同期して、演出図柄100の変動表示の開始を制御する。主制御基板41は、第一変動時間が終了すると、変動させていた第一特別図柄を、所定の特別図柄確定表示時間の間、確定表示させる。本実施形態において、特別図柄確定表示時間は0.8秒である。また、主制御基板41は、第二特別図柄の変動時間が終了すると、変動させていた第二特別図柄を、所定の特別図柄確定表示時間の間、確定表示させる。サブ制御基板58は、特別図柄確定表示時間に同期して、演出図柄100を確定表示させる。また、サブ制御基板58は、演出図柄100による他、表示画面28、盤ランプ27、枠ランプ38、スピーカ39等によっても、特別図柄の変動時間と同期した報知演出の実行を制御する。以下では、第一特別図柄の変動時間と同期した報知演出を、第一報知演出という。第二特別図柄の変動時間と同期した報知演出を、第二報知演出という。
【0085】
なお、図示しないが、RAM52には、ゲート12を遊技球が通過することを契機として取得される普通当たり乱数を記憶するための普通当たり関係情報記憶エリアが設けられている。普通当たり関係情報記憶エリアも、特図1大当たり関係情報記憶エリアと同様に構成されている。本実施形態では、普通当たり関係情報記憶エリアには、記憶可能な普通保留数の上限である最大普通保留数「4」に対応する4つの記憶エリアが設けられている。記憶エリアには、普通当たり乱数の値が記憶される普通当たり乱数欄、普通図柄決定乱数の値が記憶される普通図柄決定乱数欄が設けられている。普通当たり乱数は、普通当たり判定のために用いられる。普通図柄決定乱数は、普通当たり図柄を決定するために用いられる。
【0086】
図6を参照して、ROM53に記憶されている大当たり判定テーブルについて説明する。大当たり判定テーブルは、0~65535の値を採る大当たり乱数のうち、大当たり、小当たり及びはずれの判定結果に対応する大当たり乱数値を定義している。これにより、判定テーブルは、大当たり判定によって大当たりと判定される大当たり確率及び大当たり判定によって小当たりと判定される小当たり確率を定義する。パチンコ機1は、大当たり判定テーブルを参照することで、大当たり判定の結果が大当たり、小当たり又ははずれであるかを判定する。
【0087】
大当たり判定テーブルは、特図1大当たり判定テーブルと、特図2大当たり判定テーブルとを備える。特図1大当たり判定テーブルは、大当たりの判定結果に対応する大当たり乱数値を定義することによって、大当たり確率を、約1/200.415と定義している。特図1大当たり判定テーブルは、大当たりの判定結果に対応する大当たり乱数値以外の大当たり乱数値を、はずれの判定結果に対応させている。
【0088】
図2大当たり判定テーブルは、大当たりの判定結果に対応する大当たり乱数値を定義することによって、大当たり確率を、特図1大当たり判定テーブルと同様に約1/200.415と定義している。また、特図2大当たり判定テーブルは、小当たり確率の判定結果に対応する大当たり乱数値を定義することによって、小当たり確率を、約1/5.285と定義している。特図2大当たり判定テーブルは、大当たり及び小当たりの判定結果に対応する大当たり乱数値以外の大当たり乱数値を、はずれの判定結果に対応させている。なお、特図1大当たり判定テーブルは、小当たりの判定結果に対応する大当たり乱数値を定義していない。したがって、本実施形態において、特図1大当たり判定によって小当たりの判定結果が導出されることはない。なお、本実施形態の遊技仕様は一例であるので、特図1大当たり判定テーブルが小当たりの判定結果に対応する大当たり乱数値を定義しており、特図1大当たり判定によって小当たりの判定結果が導出される場合が設けられてもよい。
【0089】
図7を参照して、ROM53に記憶されている特別図柄決定テーブルについて説明する。パチンコ機1は、特図1大当たり判定の結果を示す第一特別図柄と、特図2大当たり判定の結果を示す第二特別図柄とを、特別図柄決定テーブルを参照することで決定する。第一特別図柄及び第二特別図柄は、複数の当たり種別のいずれかに分類される。複数の当たり種別は、大当たり判定の結果が大当たりであることを示す大当たり種別と、大当たり判定の結果が小当たりであることを示す小当たり種別とを含む。本実施形態では、第一特別図柄が大当たり種別で構成されており、第二特別図柄が大当たり種別と小当たり種別とで構成されている。特別図柄決定テーブルは、複数の当たり種別のそれぞれに、特別図柄決定乱数の値(0~99)を対応付けている。なお、大当たり判定の結果がはずれである場合には、所定のはずれ種別が決定される。
【0090】
第一特別図柄は、「4R大当たりA」及び「4R大当たりB」の2種類の大当たり種別を含む。第一特別図柄の大当たり種別の割合は、「4R大当たりA」が50%、「4R大当たりB」が50%である。第二特別図柄は、「4R大当たりC」及び「10R大当たり」の2種類の大当たり種別と、「4R小当たり」及び「10R小当たり」の2種類の小当たり種別とを含む。第二特別図柄の大当たり種別の割合は、「4R大当たりC」が50%、「10R大当たり」が50%である。第二特別図柄の小当たり種別の割合は、「4R小当たり」が50%、「10R小当たり」が50%である。「4R」及び「10R」は、それぞれの当たり種別に対応付けられたラウンド数を示す。大当たり種別に係る「4R大当たりA」、「4R大当たりB」、「4R大当たりC」及び「10R大当たり」に基づく大当たり遊技は、1種遊技である。小当たり種別に係る「4R小当たり」及び「10R小当たり」に基づく小当たり遊技に起因して実行される大当たり遊技は、2種遊技である。
【0091】
小当たり種別に対応付けられたラウンド数は、小当たり遊技の実行中に第二大入賞口17に入賞した遊技球が第二大入賞口17の内部の特定領域178を通過することで、大当たり遊技状態が生起された場合に実行される大当たり遊技のラウンド数である。すなわち、小当たり種別に対応付けられたラウンド数は、2種遊技の大当たり遊技が実行される場合のラウンド数である。なお、小当たり種別に対応する小当たり遊技が実行されたが、第二大入賞口17へ入賞した遊技球が非特定領域179のみを通過し、特定領域178を通過せず大当たり遊技状態が生起されなかった場合には、小当たり遊技の終了後に大当たり遊技は実行されない。
【0092】
特別図柄決定テーブルは、小当たり遊技及び大当たりラウンドにおける第一大入賞口16及び第二大入賞口17の開放パターンを定義している。「4R大当たりA」、「4R大当たりB」、「4R大当たりC」及び「10R大当たり」の大当たり種別による大当たり遊技では、すべての大当たりラウンドで第一大入賞口16が最大28.0秒の開放を1回行う。また、「4R小当たり」及び「10R小当たり」の小当たり種別による小当たり遊技では、第二大入賞口17が最大1.5秒の開放を1回行う。
【0093】
小当たり遊技の実行中に遊技球が第二大入賞口17の内部の特定領域178を通過したことに起因して行われる大当たり遊技では、2R以降の各ラウンドで第一大入賞口16が最大28.0秒の開放を1回行う。この第一大入賞口16の最大開放時間を、以下では、第一開放時間ともいう。前述のように、小当たり遊技が実行されたことに起因する大当たり遊技において、小当たり遊技は、1R目の大当たりラウンドとして遡って取り扱われる。このため、特別図柄決定テーブルでは、小当たり遊技に係る第二大入賞口17の開放時間を、便宜上、1R目の大当たりラウンドの開放時間として定義している。この第二大入賞口17の最大開放時間を、以下では、第二開放時間ともいう。第二開放時間は、前述の1.5秒である。
【0094】
当たり種別のそれぞれには、それぞれの当たり種別に係る大当たり遊技が終了した後に設定される遊技状態が関連付けられている。第一特別図柄においては、「4R大当たりA」に通常状態が、「4R大当たりB」に時短状態が、それぞれ関連付けられている。第二特別図柄においては、すべての当たり種別に時短状態が関連付けられている。
【0095】
したがって、第一大当たり判定によって大当たりの判定結果が導出された場合、1種遊技に係る大当たり遊技の終了後に、50%の割合で通常状態が、50%の割合で時短状態が、それぞれ設定される。第二大当たり判定によって大当たりの判定結果が導出された場合、1種遊技に係る大当たり遊技の終了後に100%の割合で時短状態が設定される。第二大当たり判定によって小当たりの判定結果が導出された場合、2種遊技に係る小当たり遊技及び大当たり遊技の終了後に、100%の割合で時短状態が、それぞれ設定される。
【0096】
特別図柄決定テーブルは、設定された時短状態の終了条件である時短終了条件を、当たり種別に応じて定義している。本実施形態においては、時短終了条件は、時短状態において行われた大当たり判定の判定回数が7回に達することである。
【0097】
図8及び図9を参照して、ROM53に記憶されている変動パターン決定テーブル、特殊第二変動パターン決定テーブルA及び特殊第二変動パターン決定テーブルBについて説明する。図8に示す変動パターン決定テーブルは、大当たり判定による判定結果及び変動パターンが決定される時点における遊技状態に応じて、複数のテーブルを設けている。複数のテーブルのそれぞれには、1又は複数種類の変動パターンが割り当てられており、各変動パターンに変動パターン決定乱数の値(0~511)及び特別図柄の変動時間が対応付けられている。
【0098】
図1大当たり判定が行われた場合、その時点の遊技状態と特図1大当たり判定による判定結果とに応じたテーブル区分が参照され、特図1大当たり乱数とともに取得されている第一変動パターン決定乱数の値に対応する第一変動パターンが1つ決定される。通常状態における特図1大当たり判定の判定結果が大当たりの場合、「リーチ演出A」から「リーチ演出E」の順に、変動パターンが決定される割合が高くなる。「リーチ演出」とは、例えば3つの演出図柄100のうち2つが同じ図柄で停止するリーチ状態が構成された後に、大当たりの可能性があることを示す演出を実行する報知演出である。一方、判定結果がはずれの場合、「リーチ演出A」から「リーチ演出E」の順に、変動パターンが決定される割合が低くなる。したがって、特図1大当たり判定の結果が大当たりとなる期待度は、「リーチ演出A」から「リーチ演出E」の順に高くなる。
【0099】
なお、本実施形態において、「非リーチ演出A」等の「非リーチ」の変動パターンは、リーチ状態に至ることなく終了する報知演出である。本実施形態では、「非リーチ」の変動パターンは、大当たり判定の結果がはずれの場合にのみ決定される。「非リーチ」の第一変動パターンは、第一特別図柄の変動開始時における第一保留数に応じて、第一変動時間が変動する。図8において、保留数「0」は、第一保留数が「0」の状態において遊技球が第一始動口14へ入賞したことを契機として第一特別図柄が変動を開始する場合を示す。保留数「1」、「2」又は「3」は、第一保留数が「1」、「2」又は「3」である状態において、第一乱数に基づいて第一特別図柄が変動を開始する場合を示す。
【0100】
遊技状態が時短状態である場合においても、通常状態の場合と同様に、大当たり判定による判定結果に応じて、特図1大当たり乱数とともに取得されている第一変動パターン決定乱数の値に対応する第一変動パターンが1つ決定される。第二変動パターンについても第一変動パターンと同様に、遊技状態に応じた複数のテーブルのそれぞれに、1又は複数種類の第二変動パターンが割り当てられている。各変動パターンには、第二変動パターン決定乱数の値(0~511)及び第二変動時間が対応付けられている。特図2大当たり判定が行われた時点の遊技状態と特図2大当たり判定による判定結果とに応じたテーブル区分が参照され、特図2大当たり乱数とともに取得されている第二変動パターン決定乱数の値に対応する第二変動パターンが1つ決定される。
【0101】
主制御基板41は、決定した変動パターンに応じて定められている変動時間だけ、第一特別図柄又は第二特別図柄を変動させる。また、主制御基板41は、変動パターンが決定されると、変動パターンを指定するコマンドである変動パターン指定コマンドを、サブ制御基板58へ送信する。サブ制御基板58は、変動パターン指定コマンドによって指定された変動パターンに応じて、報知演出を制御する。
【0102】
図9に示す特殊第二変動パターン決定テーブルA及び特殊第二変動パターン決定テーブルBは、特殊な場合に第二変動パターンを決定するために設けられている。図9(A)に示す特殊第二変動パターン決定テーブルAは、時短状態において最終回に実行される報知演出、すなわち、大当たり遊技の終了後に7回目に実行される報知演出が第二報知演出である場合に、第二変動パターンを決定するために設けられている。特殊第二変動パターン決定テーブルAは、大当たり及び小当たりの判定結果に対応する第二変動パターンとして、前述の変動パターン決定テーブルにおいて時短状態の大当たり及び小当たりの判定結果にそれぞれ対応する第二変動パターンと同じものを定義している。特殊第二変動パターン決定テーブルAは、はずれの判定結果に対応する第二変動パターンとして、前述の変動パターン決定テーブルとは異なり、「最終はずれ変動」の変動パターン名の第二変動パターンのみを定義している。最終はずれ変動には、25秒の変動時間が対応付けられている。これは、時短状態において最終回に実行される第二報知演出がはずれの判定結果を報知するものである場合に、所定の変動時間を確保するためである。これにより、パチンコ機1は、時短状態において最終回に実行されるはずれの判定結果を報知する第二報知演出の実行中に、遊技者に右打ちの継続を促して、ゲート12により多くの遊技球を通過させることができる。パチンコ機1は、これに応じて普通当たり遊技の実行機会を設け、普通当たり遊技によって開閉部材151が開放した第二始動口15により多くの遊技球を入賞させることができる。これにより、パチンコ機1は、時短状態において最終回に実行されるはずれの判定結果を報知する第二報知演出の実行中に、第二保留数が最大第二保留数に近づくよう、第二保留乱数を記憶させやすくしている。
【0103】
図9(B)に示す特殊第二変動パターン決定テーブルBは、時短状態において記憶された第二保留乱数に対応する第二報知演出のための第二変動パターンを、時短状態が終了した後に設定される通常状態において決定するために設けられている。時短状態において記憶され、時短状態が終了した後に特図2大当たり判定等が実行される第二保留乱数を、以下、「残保留」という。詳細は後述するが、本実施形態では、時短状態において実行される7回の報知演出と、時短状態の終了後に残保留に対して特図2大当たり判定が順次実行されることに伴って実行される最大4回の第二報知演出とが実行される状態を、特定状態としている。パチンコ機1は、時短状態が終了した後の通常状態において最大4回実行される残保留に対応する第二報知演出について、時短状態と同様の第二変動パターンが決定されるようにするために、特殊第二変動パターン決定テーブルBを設けている。特殊第二変動パターン決定テーブルBは、大当たり遊技の終了後8回目から11回目に実行される報知演出が第二報知演出である場合、対応する第二変動パターンを決定するために参照される。本実施形態では、特殊第二変動パターン決定テーブルBは、通常状態の第二変動パターンとして、前述の変動パターン決定テーブルにおいて時短状態の大当たり、小当たり及びはずれの判定結果にそれぞれ対応する第二変動パターンと同じものを定義している。これにより、パチンコ機1は、時短状態において実行される報知演出と、時短状態の終了後の通常状態において残保留について実行される第二報知演出とが実行される特定状態を、まとまりのある一連の状態とすることができる。
【0104】
図10から図16を参照して、パチンコ機1の主制御基板41による動作について説明する。パチンコ機1の主制御は、ROM53に記憶されている制御プログラムによって行われる。図10に示す制御プログラムのメイン処理は、電源スイッチ423がON状態に操作されることによってパチンコ機1の電源がONになると、CPU51において実行が開始される。その後は、CPU51は、図4に示す割込信号発生回路57が4ms毎に発生する割込信号をCPU51が検知した際に、メイン処理を実行する。以下、フローチャートの各ステップについて「S」と略記する。
【0105】
メイン処理で使用されるフラグについて説明する。メイン処理では、稼働中フラグ、時短フラグ等が使用される。これらのフラグは、RAM52に記憶される遊技処理情報である。稼働中フラグは、パチンコ機1が稼働中であるかを示すフラグである。稼働中フラグは、電源スイッチ423がOFF状態に操作されることによってパチンコ機1の電源がOFFにされるときに「OFF」になる。稼働中フラグは、電源スイッチ423がON状態に操作されることによってパチンコ機1の電源がONにされるときに実行される後述する電源投入時処理(S2)の実行に伴って「ON」になる。時短フラグは、前述の時短状態であるかを示すフラグであり、時短状態が設定される場合に「1」が記憶されて「ON」になり、時短状態が終了する場合に「0」が記憶されて「OFF」になる。
【0106】
メイン処理が開始されると、CPU51は、稼働中フラグが「ON」であるかを判断する(S1)。パチンコ機1の電源がONにされた直後は稼働中フラグが「OFF」である。稼働中フラグが「OFF」の場合(S1:NO)、電源投入時処理が実行されて(S2)、メイン処理が終了する。
【0107】
電源投入時処理では、CPU51は、電源投入に伴う初期化処理を実行する。具体的には、CPU51は、サブ制御基板58等が動作可能な状態になるのを待つためのウエイト処理、RAM52に対する遊技処理情報の書き込み及び読み出しを可能とするための、RAM52へのアクセス許可設定等を実行する。また、CPU51は、電源スイッチ423がON状態に操作されてパチンコ機1の電源がOFFからONに切り替わったときに、RAMクリアスイッチ412がON状態になっている場合には、RAMクリア処理を実行する。RAMクリア処理では、RAM52の使用領域に記憶されている遊技処理情報がクリアされ、所定の初期値がRAM52に記憶される等のRAM52の初期設定が行われる。RAMクリア処理が行われることによって、RAM52に記憶される大当たり遊技状態フラグ及び時短フラグ等の各種のフラグが「OFF」になる。RAM52には、後述する時短回数カウンタ等の各種のカウンタが設けられる。RAMクリア処理が行われることによって、これらのカウンタに記憶される値が「0」にクリアされる。CPU51は、電源投入時処理の終了時に稼働中フラグを「ON」にし、電源投入時処理を終了する。
【0108】
次の割込信号でメイン処理が開始されると、稼働中フラグが「ON」であるので(S1:YES)、CPU51は、スイッチ読込処理を実行する(S11)。スイッチ読込処理では、図4で示したゲートスイッチ74,第一始動口スイッチ61、第二始動口スイッチ62、第一大入賞口スイッチ76、第二大入賞口スイッチ77、特定領域スイッチ78、非特定領域スイッチ79及びその他の入賞口に設けられた各スイッチの検出結果から、遊技球の通過又は入賞を検知するための処理が行われる。RAM52は、各スイッチに対応するフラグを記憶する。各スイッチが遊技球の通過を検出すると、RAM52に記憶されている各スイッチに対応するフラグが「ON」になる。
【0109】
次いで、CPU51は、カウンタ更新処理を実行する(S12)。カウンタ更新処理では、RAM52に記憶されている第一特別図柄及び第二特別図柄の変動時間を計測するためのタイマカウンタである特別図柄変動時間カウンタ及び特別図柄確定表示時間を計測するための特別図柄確定表示時間カウンタの値が減算される。
【0110】
次いで、CPU51は、特別電動役物処理を実行する(S13)。詳細は図15及び図16を参照して後述するが、特別電動役物処理では、大当たり遊技及び小当たり遊技の動作を制御するための処理、大当たり遊技の終了後に設定される遊技状態に関する処理等が行われる。大当たり遊技の動作とは、主に、大当たり遊技における第一大入賞口16の開閉部材161の開閉動作である。小当たり遊技の動作とは、主に、小当たり遊技における第二大入賞口17の開閉部材171の開閉動作である。
【0111】
次いで、特別図柄処理が行われる(S15)。詳細は図11から図13を参照して後述するが、特別図柄処理では、大当たり判定、変動パターンの決定、特別図柄の決定及び遊技状態移行処理等が行われる。
【0112】
次いで、CPU51は、普通電動役物処理を実行する(S16)。普通電動役物処理では、普通当たり判定の結果が当たりとなった場合に、普通当たり遊技の動作(主に第二始動口15の開閉部材151の開閉動作)を制御するための処理が行われる。前述したように、CPU51は、時短状態が設定されている場合、第二始動口15の開閉部材151が開放状態にされる頻度を非時短状態よりも高くする。
【0113】
次いで、CPU51は、普通図柄処理を実行する(S17)。普通図柄処理では、ゲートスイッチ74が遊技球の通過を検出することを契機として、普通当たり乱数が取得される。取得された乱数に基づいて、普通当たり判定、普通図柄の変動を制御するためのコマンドの生成等の処理が行われる。前述したように、時短状態中の普通図柄の変動時間は、非時短中の普通図柄の変動時間よりも短い。
【0114】
次いで、CPU51は、賞球処理(S18)、エラーチェック(S19)及び情報出力処理(S20)を実行し、メイン処理を終了する。賞球処理では、スイッチ読込処理によって各スイッチに対応するフラグが「ON」にされた場合に、各スイッチに対応する入賞口に応じた単位賞球数を示す賞球コマンドが、枠制御基板45に送信される。賞球コマンドを受信した枠制御基板45のCPU451は、賞球コマンドの示す単位賞球数を持ち球数に加算して、持ち球情報を更新する。エラーチェックでは、エラーが発生している場合に、表示画面28及びスピーカ39等を用いてエラーを報知するためのコマンドが、サブ制御基板58に送信される。情報出力処理では、枠制御基板45及びカードユニットCUを介して、前述の遊技場管理用コンピュータに対して各種の情報が出力される。
【0115】
図11から図13を参照して、図10のS15で示した特別図柄処理の詳細について説明する。特別図柄処理で使用されるフラグについて説明する。特別図柄処理では、大当たり遊技状態フラグ、小当たり遊技状態フラグ、特別図柄表示状態フラグ等が使用される。これらのフラグはRAM52に記憶される。
【0116】
大当たり遊技状態フラグは、大当たり遊技状態であるかを示すフラグであり、大当たり遊技状態に「1」が記憶されて「ON」になり、大当たり遊技状態でない場合に「0」が記憶されて「OFF」になる。小当たり遊技状態フラグは、小当たり遊技状態であるかを示すフラグであり、小当たり遊技状態に「1」が記憶されて「ON」になり、小当たり遊技状態でない場合に「0」が記憶されて「OFF」になる。特別図柄表示状態フラグは、第一特別図柄及び第二特別図柄のいずれか一方が変動している場合(変動中)に「1」、いずれか一方が確定表示されている場合(確定表示中)に「2」、いずれも変動中でも確定表示中でもない場合に「0」が記憶される。
【0117】
図11に示すように、特別図柄処理が開始されると、CPU51は、第一始動口14に遊技球が入賞したかを判断する(S41)。第一始動口スイッチ61が遊技球の入賞を検知すると、図10のS11で示したメイン処理のスイッチ読込処理において第一始動口スイッチ61に対応するフラグが「ON」にされる。このフラグが「OFF」の場合には、CPU51は、第一始動口14に遊技球が入賞していないと判断し(S41:NO)、処理をS51の判断へ移行する。
【0118】
このフラグが「ON」の場合には、CPU51は、第一始動口14に遊技球が入賞したと判断し(S41:YES)、第一保留数が「4」であるかを判断する(S43)。RAM52は、第一保留数を記憶する第一保留数記憶エリアを備える。第一保留数記憶エリアに記憶されている第一保留数が「4」である場合(S43:YES)、第一保留数が最大第一保留数に達しているため、CPU51は、処理をS51の判断へ移行する。第一保留数記憶エリアに記憶されている第一保留数が「4」でない場合(S43:NO)、CPU51は、第一保留数記憶エリアに記憶されている第一保留数に「1」を加算する(S45)。CPU51は、第一乱数を取得し、図5で示した特図1大当たり関係情報記憶エリアにおける空の記憶エリアのうち番号が最も小さい記憶エリアに、取得した第一乱数の各乱数値を記憶する(S46)。具体的には、特図1大当たり乱数欄には大当たり乱数の乱数値が、第一特別図柄決定乱数欄には第一図柄決定乱数の乱数値が、第一変動パターン決定乱数欄には第一変動パターン決定乱数の乱数値が、それぞれ記憶される。
【0119】
次いで、CPU51は、S46で取得された第一乱数に関する情報である第一保留情報を参照する(S48)。CPU51は、参照した情報をサブ制御基板58へ通知するための第一保留情報コマンドを生成し、コマンドバッファにセットする(S49)。RAM52のコマンドバッファにセットされたコマンドは、コマンドバッファにセットされた順に、サブ制御基板58、枠制御基板45、中継端子板47等に送信される。なお、前回実施されたメイン処理においてコマンドバッファにセットされたコマンドをサブ制御基板58等へ送信するコマンド送信処理が、メイン処理に設けられていてもよい。この場合、コマンド送信処理によって、コマンドバッファにセットされたコマンドがコマンドバッファにセットされた順に、メイン処理の1割込毎にサブ制御基板58等へ送信されてもよい。第一保留情報は、S46で取得及び記憶された第一乱数について大当たり判定等の処理がなされる前に、その第一乱数を参照することによって得られる情報であり、いわゆる先読み情報である。本実施形態において、第一保留情報は、第一保留乱数に含まれる特図1大当たり乱数、第一特別図柄決定乱数及び第一変動パターン決定乱数に基づく情報である。第一乱数が前述のリーチ乱数等を含む場合には、第一保留情報は、それらの乱数を参照して得られる情報も含む。第一保留情報コマンドは、第一乱数に関する先読み情報に加えて、第一保留数を示す情報を含んで生成される。第一保留数を示す情報は、第一保留数記憶エリアに記憶されている第一保留数に基づく。
【0120】
CPU51は、第二始動口15に遊技球が入賞したかを判断する(S51)。第二始動口スイッチ62が遊技球の入賞を検知すると、図10のS11で示したメイン処理のスイッチ読込処理において第二始動口スイッチ62に対応するフラグが「ON」になる。このフラグが「OFF」の場合には、CPU51は、第二始動口15に遊技球が入賞していないと判断し(S51:NO)、処理を図12に示すS61の判断へ移行する。
【0121】
このフラグが「ON」の場合には、CPU51は、第二始動口15に遊技球が入賞したと判断し(S51:YES)、第二保留数が「4」であるかを判断する(S52)。RAM52は、第二保留数を記憶する第二保留数記憶エリアを備える。第二保留数記憶エリアに記憶されている第二保留数が「4」である場合(S52:YES)、第二保留数が最大第二保留数に達しているため、CPU51は、処理をS61の判断へ移行する。第二保留数記憶エリアに記憶されている第二保留数が「4」でない場合(S52:NO)、CPU51は、第二保留数記憶エリアに記憶されている第二保留数に「1」を加算する(S55)。CPU51は、第二乱数を取得し、第二大当たり関係情報記憶エリアにおける空の記憶エリアのうち、番号が最も小さい記憶エリアに、取得した第二乱数の各乱数値を記憶する(S56)。具体的には、特図2大当たり乱数欄には特図2大当たり乱数の乱数値が、第二特別図柄決定乱数欄には第二特別図柄決定乱数の乱数値が、第二変動パターン決定乱数欄には第二変動パターン決定乱数の乱数値が、それぞれ記憶される。
【0122】
次いで、CPU51は、S56で取得された第二乱数に関する情報である第二保留情報を参照する(S58)。CPU51は、参照した情報をサブ制御基板58へ通知するための第二保留情報コマンドを生成し、RAM52に設けられるコマンドバッファにセットする(S59)。第二保留情報コマンドは、S56で取得及び記憶された第二保留乱数に関する情報である第二保留情報(いわゆる先読み情報)をサブ制御基板58に通知するためのコマンドである。第二保留情報コマンドは、第二乱数(特図2大当たり乱数、第二特別図柄決定乱数及び第二変動パターン決定乱数)に関する情報に加えて、第二保留数を示す情報を含んで生成される。第二保留数を示す情報は、第二保留数記憶エリアに記憶されている第一保留数に基づく。コマンドバッファにセットされた第二保留情報コマンドは、サブ制御基板58に順次送信される。CPU51は、処理をS61の判断へ移行する。
【0123】
図12に示すように、CPU51は、大当たり遊技状態又は小当たり遊技状態であるか、すなわち当たり遊技状態であるかを判断する(S61)。大当たり遊技状態フラグ又は小当たり遊技状態フラグが「ON」である場合、CPU51は、当たり遊技状態であると判断し(S61:YES)、処理をメイン処理へ戻す。大当たり遊技状態フラグ又は小当たり遊技状態フラグが「OFF」である場合、CPU51は、当たり遊技状態でないと判断し(S61:NO)、第一特別図柄及び第二特別図柄が変動中であるか否かを判断する(S62)。特別図柄表示状態フラグが「1」でない場合、CPU51は、第一特別図柄及び第二特別図柄のいずれも変動中でないと判断し(S62:NO)、第一特別図柄又は第二特別図柄が停止状態中であるか否かを判断する(S63)。特別図柄表示状態フラグが「2」でない場合、CPU51は、第一特別図柄及び第二特別図柄のいずれも確定表示中でないと判断し(S63:NO)、処理を図13に示すS71へ移行し、大当たり判定等の処理を実行する。
【0124】
本実施形態では、大当たり判定において、特図2大当たり判定が特図1大当たり判定よりも優先して行われる。図13に示すように、CPU51は、第二保留数が「1」以上であるかを判断する(S71)。RAM52の第二保留数記憶エリアに記憶されている第二保留数が「1」以上である場合(S71:YES)、特図2大当たり判定が行われるが、詳細は後述する。第二保留数が「0」である場合(S71:NO)、CPU51は、第一保留数が「1」以上であるかを判断する(S72)。RAM52の第一保留数記憶エリアに記憶されている第一保留数が「0」である場合(S72:NO)、CPU51は、処理をメイン処理へ戻す。
【0125】
第一保留数が「1」以上である場合(S72:YES)、CPU51は、第一保留数記憶エリアに記憶されている第一保留数を「1」減算する(S73)。CPU51は、図5で示した特図1大当たり関係情報記憶エリアにおいて最も番号の小さい記憶エリアに記憶されている第一保留乱数の各乱数値を、判定エリアにシフトする(S75)。また、CPU51は、特図1大当たり関係情報エリアに記憶されている第一保留乱数の各乱数値を、一つ番号の小さい記憶エリアにシフトする。
【0126】
CPU51は、特図1大当たり判定処理を実行する(S76)。CPU51は、図6で示した大当たり判定テーブルを参照して、S75で判定エリアにシフトされた特図1大当たり乱数が「大当たり」及び「はずれ」のいずれに対応するかを判定する。これにより、RAM52に記憶された未判定の特図1大当たり乱数に基づく特図1大当たり判定が、特図1大当たり乱数の記憶された順に行われる。
【0127】
CPU51は、S76で導出された特図1大当たり判定の結果に応じた第一特別図柄の当たり種別を決定する(S78)。CPU51は、S76の処理で大当たりと判定した場合、図7で示した特別図柄決定テーブルを参照して、S75で判定エリアにシフトされた第一特別図柄決定乱数の値に応じて、大当たりの判定結果を示す大当たり種別の第一特別図柄を決定する。CPU51は、S76の処理ではずれと判定した場合、はずれの判定結果を示す所定のはずれ種別の第一特別図柄を決定する。決定された第一特別図柄の内容を示す情報は、RAM52に記憶される。CPU51は、処理をS101へ移行する。
【0128】
一方、第二保留数が「1」以上である場合(S71:YES)、CPU51は、第二保留数記憶エリアに記憶されている第二保留数を「1」減算する(S91)。CPU51は、特図2大当たり関係情報記憶エリアにおいて最も番号の小さい記憶エリアに記憶されている第二保留乱数の各乱数値を、判定エリアにシフトする(S92)。また、CPU51は、特図2大当たり関係情報エリアに記憶されている第二保留乱数の各乱数値を、一つ番号の小さい記憶エリアにシフトする。
【0129】
CPU51は、特図2大当たり判定処理を実行する(S93)。CPU51は、図6で示した大当たり判定テーブルを参照して、S92で判定エリアにシフトされた特図2大当たり乱数が「大当たり」、「小当たり」及び「はずれ」のいずれに対応するかを判定する。これにより、RAM52に記憶された未判定の第二大当たり乱数に基づく第二大当たり判定が、第二大当たり乱数の記憶された順に行われる。
【0130】
CPU51は、S93で導出された特図2大当たり判定の結果に応じた第二特別図柄の当たり種別を決定する(S95)。CPU51は、S93の処理で大当たりと判定した場合、図5で示した特別図柄決定テーブルを参照して、S92で判定エリアにシフトされた第二特別図柄決定乱数の値に応じて、大当たりの判定結果を示す大当たり種別の第二特別図柄を決定する。CPU51は、S93の処理で小当たりと判定した場合、特別図柄決定テーブルを参照して、S92で判定エリアにシフトされた第二特別図柄決定乱数の値に応じて、小当たりの判定結果を示す小当たり種別の第二特別図柄を決定する。CPU51は、S93の処理ではずれと判定した場合、はずれの判定結果を示す所定のはずれ種別の第二特別図柄を決定する。決定された第二特別図柄の内容を示す情報は、RAM52に記憶される。CPU51は、処理をS101へ移行する。
【0131】
CPU51は、停止図柄指定コマンドを生成し、コマンドバッファにセットする(S101)。停止図柄指定コマンドは、S78又はS95の処理で特別図柄として決定された大当たり図柄、小当たり図柄又ははずれ図柄の内容をサブ制御基板58に通知するためのコマンドである。以下、第一特別図柄として決定された大当たり図柄又ははずれ図柄の内容をサブ制御基板58に通知するためのコマンドを、第一停止図柄指定コマンドという。第二特別図柄として決定された大当たり図柄、小当たり図柄又ははずれ図柄の内容をサブ制御基板58に通知するためのコマンドを、第二停止図柄指定コマンドという。コマンドバッファにセットされた第一停止図柄指定コマンド及び第二停止図柄指定コマンドは、サブ制御基板58に順次送信される。
【0132】
CPU51は、変動パターンを決定する(S102)。S102では、CPU51は、時短フラグの状態を参照し、現時点において通常状態又は時短状態のいずれの遊技状態が設定されているかを特定する。CPU51は、図8及び図9で示した変動パターン決定テーブル、特殊第二変動パターン決定テーブルA又は特殊第二変動パターン決定テーブルBのいずれかを参照する。具体的には、CPU51は、第一変動パターンを決定する場合、変動パターン決定テーブルを参照する。CPU51は、第二変動パターンを決定する場合において、後述する判定回数計数カウンタHの値が7のときには、特殊第二変動パターン決定テーブルAを参照する。CPU51は、第二変動パターンを決定する場合において、判定回数計数カウンタHの値が8~11のときには、特殊第二変動パターン決定テーブルBを参照する。CPU51は、第二変動パターンを決定する場合において、判定回数計数カウンタHの値が7~11以外のときには、変動パターン決定テーブルを参照する。そして、CPU51は、特定した遊技状態と、大当たり判定による判定結果にと応じて、変動パターン決定乱数に対応する変動パターンを決定する。
【0133】
CPU51は、S102で決定した変動パターンを指定するための変動パターン指定コマンドを生成し、コマンドバッファにセットする(S103)。以下、S102で決定された変動パターンが第一変動パターンである場合において、第一変動パターンを指定するコマンドを第一変動パターン指定コマンドという。S101で決定された変動パターンが第二変動パターンである場合において、第二変動パターンを指定するコマンドを第二変動パターン指定コマンドという。第一変動パターン指定コマンドと、第二変動パターン指定コマンドとを総称する場合、単に変動パターン指定コマンドという。変動パターン指定コマンドは、決定された変動パターンの種類及び変動パターンに対応する特別図柄の変動時間の情報を含む。コマンドバッファにセットされた変動パターン指定コマンドは、中継端子板47及びサブ制御基板58に送信される。中継端子板47を介して第一変動パターン指定コマンドを受信した図柄表示部29は、第一特別図柄表示部における第一特別図柄の変動を開始する。第二変動パターン指定コマンドを受信した図柄表示部29は、第二特別図柄表示部における第二特別図柄の変動を開始する。第一変動パターン指定コマンド及び第二変動パターン指定コマンドを受信したサブ制御基板58は、表示画面28の演出図柄100の変動開始を指示する。
【0134】
CPU51は、S102で決定された変動パターンに対応する特別図柄の変動時間を、特別図柄変動時間カウンタに記憶する(S105)。CPU51は、特別図柄が変動中であることを示す「1」を特別図柄表示状態フラグに記憶し(S106)、処理をメイン処理へ戻す。
【0135】
また、図12に示すS62の判断において、特別図柄表示フラグに「1」が記憶されている場合には、CPU51は、特別図柄が変動中であると判断し(S62:YES)、第一変動時間又は第二変動時間が経過したかを判断する(S111)。この判断は、S103において記憶された特別図柄変動時間カウンタの値に応じて行われる。CPU51は、特別図柄変動時間カウンタの値が「0」でない場合には第一変動時間又は第二変動時間がまだ経過していないと判断し(S111:NO)、処理をメイン処理へ戻す。
【0136】
CPU51は、特別図柄変動時間カウンタの値が「0」となっている場合には第一変動時間又は第二変動時間が経過したと判断し(S111:YES)、特別図柄停止コマンドを生成し、コマンドバッファにセットする(S112)。特別図柄停止コマンドは、特別図柄の変動を停止することを図柄表示部29及びサブ制御基板58に通知するためのコマンドである。コマンドバッファにセットされた特別図柄停止コマンドは、中継端子板47及びサブ制御基板58に送信され、図柄表示部29における第一特別図柄又は第二特別図柄の変動停止及び表示画面28の演出図柄100の変動停止を指示する。以下、第一特別図柄の変動停止を指定するコマンドを第一特別図柄停止コマンドという。第二特別図柄の変動停止を指定するコマンドを第二特別図柄停止コマンドという。第一特別図柄停止コマンドと、第二特別図柄停止コマンドとを総称する場合、単に特別図柄停止コマンドという。
【0137】
CPU51は、特別図柄確定表示時間を、RAM52の特別図柄確定表示時間カウンタに記憶する(S113)。CPU51は、第一特別図柄及び第二特別図柄のいずれかが確定表示中であることを示す「2」を特別図柄表示状態フラグに記憶する(S114)。CPU51は、処理をメイン処理へ戻す。
【0138】
また、S63の判断において、特別図柄表示状態フラグに「2」が記憶されている場合(S63:YES)、CPU51は、S103において記憶された特別図柄確定表示時間カウンタの値に応じて、特別図柄確定表示時間が経過したかを判断する(S116)。CPU51は、特別図柄確定表示時間カウンタの値が「0」でない場合には特別図柄確定表示時間が経過していないと判断し(S116:NO)、処理をメイン処理へ戻す。CPU51は、特別図柄確定表示時間カウンタの値が「0」の場合には特別図柄確定表示時間が経過したと判断し(S116:YES)、第一特別図柄及び第二特別図柄のいずれも変動中でも確定表示中でもないことを示す「0」を、特別図柄表示状態フラグに記憶する(S117)。その後、CPU51は、遊技状態移行処理を実行し(S118)、処理をメイン処理へ戻す。
【0139】
図14を参照して、図12のS118で示した遊技状態移行処理の詳細について説明する。遊技状態移行処理では、大当たり判定によって大当たりと判定された場合に、遊技を大当たり遊技状態に移行させるための処理等が行われる。また、遊技状態移行処理では、時短フラグの制御も適宜行われる。
【0140】
遊技状態移行処理が開始されると、CPU51は、特別図柄が大当たり図柄で確定表示したかを判断する(S121)。特別図柄が大当たり図柄で確定表示した場合(S121:YES)、CPU51は、判定回数計数カウンタHの値を「0」にクリアする(S122)。判定回数計数カウンタHは、大当たり遊技が実行された後に実行された大当たり判定の回数、すなわち特図1大当たり判定の実行回数と特図2大当たり判定の実行回数との合計を計数するカウンタであり、RAM52に記憶される。以下では、判定回数計数カウンタHの値を「H」と示す。
【0141】
CPU51は、時短回数計数カウンタの値を「0」にクリアする(S123)。CPU51は、時短状態が終了することを通知する内容の遊技状態コマンドを生成し、コマンドバッファにセットする(S125)。時短状態が終了することを通知する内容の遊技状態コマンドがサブ制御基板58に送信されることを、時短状態終了通知という。CPU51は、時短フラグを「OFF」にする(S126)。つまり、大当たり遊技中は、遊技状態が通常状態に設定される。
【0142】
CPU51は、大当たり種別に対応するラウンド数を、Rカウンタにセットする(S129)。Rカウンタは、ラウンド数を記憶するカウンタとしてRAM52に設けられている。前述したように、本実施形態において、ラウンド数は、大当たり種別が「4R大当たりA」、「4R大当たりB」及び「4R大当たりC」の場合には「4」、大当たり種別が「10R大当たり」の場合には「10」である。
【0143】
CPU51は、大当たり遊技状態が開始することを通知する内容の遊技状態コマンドを生成し、コマンドバッファにセットする(S131)。大当たり遊技状態が開始することを通知する内容の遊技状態コマンドがサブ制御基板58に送信されることを、大当たり遊技状態開始通知という。コマンドバッファにセットされた遊技状態コマンドは、サブ制御基板58に順次送信される。CPU51は、大当たり遊技状態フラグを「ON」にする(S132)。CPU51は、処理を特別図柄処理へ戻す。
【0144】
一方、CPU51は、特別図柄が大当たり図柄で確定表示しなかった場合(S121:NO)、特別図柄が小当たり図柄で確定表示したかを判断する(S133)。特別図柄がはずれ図柄で確定表示した場合(S133:NO)、CPU51は、処理をS141の判断へ移行する。特別図柄が小当たり図柄で確定表示した場合(S133:YES)、CPU51は、小当たり種別に対応するラウンド数を、Rカウンタにセットする(S135)。本実施形態において、Rカウンタにセットされるラウンド数は、小当たり種別が「4R小当たり」の場合には「4」、小当たり種別が「10R小当たり」の場合には「10」である。
【0145】
CPU51は、小当たり遊技状態が開始することを通知する内容の遊技状態コマンドを生成し、コマンドバッファにセットする(S136)。小当たり遊技状態が開始することを通知する内容の遊技状態コマンドがサブ制御基板58に送信されることを、小当たり遊技状態開始通知という。コマンドバッファにセットされた遊技状態コマンドは、サブ制御基板58に順次送信される。CPU51は、小当たり遊技状態フラグを「ON」にする(S138)。CPU51は、処理をS141の判断へ移行する。
【0146】
CPU51は、時短フラグが「ON」であるかを判断する(S141)。時短フラグが「OFF」である場合(S141:NO)、CPU51は、処理を特別図柄処理へ戻す。時短フラグが「ON」である場合(S141:YES)、CPU51は、時短回数計数カウンタの値を「1」減算する(S142)。時短回数計数カウンタは、時短状態において実行された大当たり判定の回数を計数するカウンタであり、RAM52に記憶される。CPU51は、時短回数計数カウンタの値が「0」であるかを判断する(S143)。時短回数計数カウンタの値が「0」でない場合(S143:NO)、以降も時短状態が継続する。この場合、CPU51は、処理を特別図柄処理へ戻す。時短回数カウンタの値が「0」である場合(S143:YES)、CPU51は、時短状態終了通知に対応する遊技状態コマンドを生成し、コマンドバッファにセットする(S146)。コマンドバッファにセットされた遊技状態コマンドは、サブ制御基板58に順次送信される。CPU51は、時短フラグを「OFF」にする(S148)。CPU51は、判定回数計数カウンタHに「1」を加算して(S149)、処理を特別図柄処理へ戻す。
【0147】
図15及び図16を参照して、図10のS13で示した特別電動役物処理の詳細について説明する。特別電動役物処理で使用されるフラグについて説明する。特別電動役物処理では、前述の各種フラグに加えて、開放中フラグ等が使用される。開放中フラグは、第一大入賞口16及び第二大入賞口17が開放状態であるか否かを示すフラグであり、RAM52に記憶される。開放中フラグは、第一大入賞口16の開閉部材161が開放状態にある場合に「1」、第二大入賞口17の開閉部材171が開放状態にある場合に「2」、いずれも開放状態にない場合に「0」が記憶されて「OFF」になる。なお、本実施形態において、第一大入賞口16と第二大入賞口17とが同時に開放することはない。
【0148】
図15に示すように、特別電動役物処理が開始されると、CPU51は、大当たり遊技状態であるかを判断する(S181)。この判断は、大当たり遊技状態フラグの状態に基づいて行われる。CPU51は、大当たり遊技状態フラグが「OFF」の場合には大当たり遊技状態でないと判断して(S181:NO)、図16に示すように、小当たり遊技状態であるかを判断する(S211)。この判断は、小当たり遊技状態フラグの状態に基づいて行われる。CPU51は、小当たり遊技状態フラグが「OFF」の場合には小当たり遊技状態でないと判断して(S211:NO)、処理をメイン処理へ戻す。
【0149】
CPU51は、小当たり遊技状態フラグが「ON」の場合には小当たり遊技状態であると判断して(S211:YES)、第二大入賞口17が開放中であるかを判断する(S212)。この判断は、開放中フラグの状態に基づいて行われる。CPU51は、開放中フラグが「2」を示す場合には第二大入賞口17が開放中であると判断して(S212:YES)、処理をS221の判断へ移行する。CPU51は、開放中フラグが「0」を示す場合には第二大入賞口17が開放中でないと判断して(S212:NO)、第二大入賞口17を開放させるための第二開放コマンドを生成し、コマンドバッファにセットする(S213)。セットされた第二開放コマンドは、中継端子板47に順次送信される。中継端子板47を介して第二開放コマンドを受信した第二大入賞口ソレノイド71は、第二大入賞口17の開閉部材171を開放させる。CPU51は、小当たり遊技における第二大入賞口17の開放時間である第二開放時間を、RAM52の第二開放時間カウンタに記憶する(S215)。本実施形態において、第二開放時間は1.5秒である。CPU51は、開放中フラグに「2」を記憶する(S216)。
【0150】
CPU51は、第二大入賞口17の内部に設けられる振分部材を特定の駆動パターンで作動させるための振分部材作動コマンドを生成し、コマンドバッファにセットする(S218)。セットされた振分部材作動コマンドは、中継端子板47に順次送信される。中継端子板47を介して振分部材作動コマンドを受信した振分部材ソレノイド72は、振分部材を作動させる。CPU51は、処理をS221の判断へ移行する。
【0151】
CPU51は、第二大入賞口17へ遊技球が入賞したかを判断する(S221)。第二大入賞口スイッチ77が遊技球の入賞を検知すると、図10のS11で示したメイン処理のスイッチ読込処理において第二大入賞口スイッチ77に対応するフラグが「ON」にされる。CPU51は、このフラグが「OFF」である場合には第二大入賞口17へ遊技球が入賞していないと判断し(S221:NO)、処理をS223の判断へ移行する。CPU51は、このフラグが「ON」である場合には第二大入賞口17へ遊技球が入賞したと判断し(S221:YES)、第二大入賞口17へ入賞した遊技球の個数を計数するRAM52の第二入賞球数カウンタに「1」を加算する(S222)。CPU51は、処理をS223の判断へ移行する。第二入賞球数カウンタによって計数される第二大入賞口17へ入賞した遊技球の個数を、第二入賞球数という。
【0152】
CPU51は、第二入賞球数が、「10」以上であるかを判断する(S223)。第二入賞球数が「10」未満の場合(S223:NO)、CPU51は、第二開放時間が経過したかを、第二開放時間カウンタの値に基づいて判断する(S225)。第二開放時間が経過していない場合(S225:NO)、CPU51は、処理をメイン処理へ戻す。以降に行われる特別電動役物処理において、小当たり遊技状態である場合(S211:YES)、第二大入賞口17に10個以上の遊技球が入賞するか、又は第二開放時間が経過するまで、S223及びS225の判断が繰り返して実行される。
【0153】
第二大入賞口17へ10個以上の遊技球が入賞するか(S223:YES)、又は第二開放時間が経過した場合(S225:YES)、第二閉鎖コマンドが生成され、コマンドバッファにセットされる(S226)。第二閉鎖コマンドは、開放している第二大入賞口17の開閉部材171を閉鎖させるためのコマンドである。セットされた第二閉鎖コマンドは、中継端子板47に順次送信される。中継端子板47を介して第二閉鎖コマンドを受信した第二大入賞口ソレノイド71は、第二大入賞口17の開閉部材171を閉鎖させる。CPU51は、開放中フラグに「0」を記憶する(S227)。
【0154】
CPU51は、小当たり遊技状態が終了することを通知する内容の遊技状態コマンドを生成し、コマンドバッファにセットする(S228)。小当たり遊技状態が終了することを通知する内容の遊技状態コマンドがサブ制御基板58に送信されることを、小当たり遊技状態終了通知という。コマンドバッファにセットされた遊技状態コマンドは、サブ制御基板58に順次送信される。CPU51は、小当たり遊技状態フラグを「OFF」にする(S229)。
【0155】
CPU51は、小当たり遊技において遊技球が第二大入賞口17の内部の特定領域178を通過したかを判断する(S231)。特定領域スイッチ78が遊技球の通過を検知すると、図10のS11で示したメイン処理のスイッチ読込処理において特定領域スイッチ78に対応するフラグが「ON」にされる。CPU51は、このフラグが「ON」である場合には遊技球が特定領域178を通過したと判断し(S231:YES)、大当たり遊技状態開始通知に対応する遊技状態コマンドを生成し、コマンドバッファにセットする(S233)。CPU51は、Rカウンタの値を「1」減算する(S235)。CPU51は、大当たり遊技状態フラグを「ON」にして(S236)、処理をメイン処理へ戻す。
【0156】
一方、CPU51は、特定領域スイッチ78に対応するフラグが「OFF」である場合には小当たり遊技において第二大入賞口17へ入賞した遊技球が特定領域178を通過しなかったと判断し(S231:NO)、Rカウンタを「0」にクリアする(S232)。CPU51は、処理をメイン処理へ戻す。
【0157】
図15の説明に戻る。CPU51は、大当たり遊技状態フラグが「ON」の場合には大当たり遊技状態であると判断して(S181:YES)、大当たりラウンドが全て終了しているか、すなわち、Rカウンタの値が「0」であるかを判断する(S182)。Rカウンタの値は、後述のS199の処理で、大当たりラウンドが1回終了する毎に「1」減算される。すなわち、Rカウンタの値が「0」であれば、大当たり遊技における最終ラウンドが終了していることとなる。
【0158】
Rカウンタの値が「0」でない場合(S182:NO)、CPU51は、第一大入賞口16が開放中であるかを判断する(S183)。この判断は、開放中フラグの状態に基づいて行われる。CPU51は、開放中フラグが「1」を示す場合には第一大入賞口16が開放中であると判断して(S183:YES)、処理をS191の判断へ移行する。CPU51は、開放中フラグが「0」を示す場合には第一大入賞口16が開放中でないと判断して(S183:NO)、第一大入賞口16を開放させるための第一開放コマンドを生成し、コマンドバッファにセットする(S185)。セットされた第一開放コマンドは、中継端子板47に順次送信される。中継端子板47を介して第一開放コマンドを受信した第一大入賞口ソレノイド70は、第一大入賞口16の開閉部材161を開放させる。CPU51は、大当たり遊技における第一大入賞口16の開放時間である第一開放時間を、RAM52の第一開放時間カウンタに記憶する(S186)。本実施形態において、第一開放時間は28.0である。CPU51は、開放中フラグに「1」を記憶する(S188)。CPU51は、処理をS191の判断へ移行する。
【0159】
CPU51は、第一大入賞口16へ遊技球が入賞したかを判断する(S191)。第一大入賞口スイッチ76が遊技球の入賞を検知すると、図10のS11で示したメイン処理のスイッチ読込処理において第一大入賞口スイッチ76に対応するフラグが「ON」にされる。CPU51は、このフラグが「OFF」である場合には第一大入賞口16へ遊技球が入賞していないと判断し(S191:NO)、処理をS193の判断へ移行する。CPU51は、このフラグが「ON」である場合には第一大入賞口16へ遊技球が入賞したと判断し(S191:YES)、第一大入賞口16へ入賞した遊技球の個数を計数するRAM52の第一入賞球数カウンタに「1」を加算する(S192)。CPU51は、処理をS193の判断へ移行する。第一入賞球数カウンタによって計数される第一大入賞口16へ入賞した遊技球の個数を、第一入賞球数という。
【0160】
CPU51は、第一入賞球数が、「10」以上であるかを判断する(S193)。第一入賞球数が「10」未満の場合(S193:NO)、CPU51は、第一開放時間が経過したかを、第一開放時間カウンタの値に基づいて判断する(S195)。第一開放時間が経過していない場合(S195:NO)、CPU51は、処理をメイン処理へ戻す。以降に行われる特別電動役物処理において、大当たり遊技状態であり(S181:YES)、Rカウンタの値が「0」でない場合(S182:NO)、第一大入賞口16に10個以上の遊技球が入賞するか、又は第一開放時間が経過するまで、S193及びS195の判断が繰り返して実行される。
【0161】
第一大入賞口16へ10個以上の遊技球が入賞するか(S193:YES)、又は第一開放時間が経過した場合(S195:YES)、第一閉鎖コマンドが生成され、コマンドバッファにセットされる(S196)。第一閉鎖コマンドは、開放している第一大入賞口16の開閉部材161を閉鎖させるためのコマンドである。セットされた第一閉鎖コマンドは、中継端子板47に順次送信される。中継端子板47を介して第一閉鎖コマンドを受信した第一大入賞口ソレノイド70は、第一大入賞口16の開閉部材161を閉鎖させる。CPU51は、開放中フラグに「0」を記憶する(S198)。CPU51は、Rカウンタの値を「1」減算し(S199)、処理をメイン処理へ戻す。
【0162】
一方、Rカウンタの値が「0」である場合(S182:YES)、大当たり遊技が終了するので、CPU51は、大当たり遊技状態終了通知に対応する遊技状態コマンドを生成し、コマンドバッファにセットする(S201)。コマンドバッファにセットされた遊技状態コマンドは、サブ制御基板58へ順次送信される。CPU51は、大当たり遊技状態フラグを「OFF」にする(S202)。
【0163】
CPU51は、RAM52に記憶されている当たり図柄の内容を示す情報を参照し、参照した情報が「4R大当たりA」の大当たり種別を示すかを判断する(S203)。参照した情報が「4R大当たりA」の大当たり種別を示す場合(S203:YES)、大当たり遊技の終了後に時短状態が設定されない。CPU51は、処理をメイン処理へ戻す。
【0164】
参照した情報が「4R大当たりA」の以外の当たり種別を示す場合(S203:NO)、大当たり遊技の終了後に時短状態が設定される。CPU51は、時短状態が開始することを通知する内容の遊技状態コマンドを生成し、コマンドバッファにセットする(S205)。時短状態が開始することを通知する内容の遊技状態コマンドがサブ制御基板58に送信されることを、時短状態開始通知という。コマンドバッファにセットされた遊技状態コマンドは、サブ制御基板58へ順次送信される。CPU51は、時短回数計数カウンタに、時短回数に対応する「7」をセットする(S206)。CPU51は、時短フラグを「ON」にして(S208)、処理をメイン処理へ戻す。
【0165】
図17を参照して、枠制御基板45が実行する枠制御基板処理について説明する。枠制御基板処理では、持ち球情報の管理、持ち球の精算等に関する処理が行われる。特に、枠制御基板処理では、計数ボタン442の操作態様に応じて持ち球の精算に関する処理が行われる。枠制御基板45は、所定の周期でクロック信号を出力する図示しないクロック回路及び割込信号発生回路を備える。割込信号発生回路は、クロック回路からクロック信号が入力される毎に割込信号を発生させる。枠制御基板45のCPU451は、ROM453に記憶されているプログラムに従って、割込信号発生回路から割込信号が入力される毎に枠制御基板処理を実行する。
【0166】
パチンコ機1の電源スイッチ423がON状態に操作されることによって、パチンコ機1の電源がONにされると、CPU451は、枠制御基板処理を開始する。枠制御基板処理が開始されると、CPU451は、持ち球管理処理を実行する(S301)。詳細は図18を参照して後述するが、持ち球管理処理では、遊技の進行、遊技球の貸出、貯球再遊技に応じて持ち球数情報を管理するための処理が行われる。
【0167】
次いで、CPU451は、情報出力処理を実行する(S302)。詳細は図19を参照して後述するが、情報出力処理では、持ち球の精算を行うためにカードユニットCUに計数コマンドを送信するための処理が行われる。
【0168】
次いで、CPU451は、監視処理を実行する(S303)。詳細は図20を参照して後述するが、監視処理では、持ち球数情報を監視する処理が行われる。また、監視処理は、発射ハンドル32の回転角度に応じた強度で遊技球発射装置37に遊技球を発射させるための処理、球送り装置48を駆動させるための処理、発射球数からファール球数を減算した数が排出球数と乖離しないかを監視する処理等を含む。その後、CPU451は、枠制御基板処理を終了する。
【0169】
図18を参照して、図7のS301で示した持ち球管理処理の詳細について説明する。持ち球管理処理が開始されると、CPU451は、カードユニットCUから貸球数情報を受信したかを判断する(S311)。CPU451は、カードユニットCUから貸球数情報を受信していない場合(S311:NO)、処理をS313の判断へ移行する。
【0170】
CPU451は、カードユニットCUから貸球数情報を受信した場合(S311:YES)、枠制御基板45において持ち球数情報を管理するためにRAM452に設けられている持ち球数カウンタに、貸球数情報の示す貸球数を加算する(S312)。本実施形態では、貸球数情報が示す貸球数は、「125」である。CPU451は、処理をS313の判断へ移行する。
【0171】
CPU451は、カードユニットCUから貯球再遊技情報を受信したかを判断する(S313)。CPU451は、カードユニットCUから貯球再遊技情報を受信していない場合(S313:NO)、処理をS316の判断へ移行する。
【0172】
CPU451は、カードユニットCUから貯球再遊技情報を受信した場合(S313:YES)、持ち球数カウンタに、貯球再遊技情報の示す再遊技球数を加算する(S315)。本実施形態では再遊技球数は、貯球再遊技情報が示す再遊技球数は、原則として「125」である。カードユニットCUは、貯球数情報を生成する場合にICカードC1に記憶されている貯球数情報の示す貯球数が125未満であるときには、貯球数情報の示す貯球数の全数を再遊技球数として貯球再遊技情報を生成する。この場合には、貯球再遊技情報が示す再遊技球数は、「125」未満のいずれかの値となる。CPU451は、処理をS316の判断へ移行する。
【0173】
CPU451は、発射球センサ455から発射球検出信号を受信したかを判断する(S316)。CPU451は、発射球センサ455から発射球検出信号を受信していない場合(S316:NO)、処理をS321の判断へ移行する。CPU451は、発射球センサ455から発射球検出信号を受信した場合(S316:YES)、持ち球数カウンタから「1」を減算する(S318)。CPU451は、処理をS321の判断へ移行する。
【0174】
CPU451は、戻り球センサ456からファール球検出信号を受信したかを判断する(S321)。CPU451は、戻り球センサ456からファール球検出信号を受信していない場合(S321:NO)、処理をS323の判断へ移行する。CPU451は、戻り球センサ456からファール球検出信号を受信した場合(S321:YES)、持ち球数カウンタに「1」を加算する(S322)。CPU451は、処理をS323の判断へ移行する。
【0175】
CPU451は、主制御基板41から賞球コマンドを受信したかを判断する(S323)。CPU451は、主制御基板41から賞球コマンドを受信していない場合(S323:NO)、処理をS328へ移行する。CPU451は、主制御基板41から賞球コマンドを受信した場合(S323:YES)、賞球コマンドを解析して、賞球コマンドの示す単位賞球数を取得する(S325)。CPU451は、持ち球数カウンタに取得した単位賞球数を加算する(S326)。CPU451は、処理をS328へ移行する。
【0176】
CPU451は、持ち球数カウンタを参照して現時点の持ち球数を取得し、取得した持ち球数を遊技球数表示部441に表示させる(S328)。CPU451は、処理を枠制御基板処理へ戻す。
【0177】
図19を参照して、図17のS302で示した情報出力処理の詳細について説明する。
情報出力処理が開始されると、CPU451は、計数ボタン442が操作されたかを判断する(S331)。CPU451は、計数ボタン442から「OFF」信号を連続して受信している場合等、計数ボタン442に対して後述する長押し及び短押しのいずれも行われていないと判断した場合には、計数ボタン442が操作されていないと判断する(S331:NO)。CPU451は、処理をS349へ移行する。
【0178】
計数ボタン442を押す操作が所定期間に亘って継続する状態を、以下では、計数ボタン442が「長押し」された状態であるという。計数ボタン442を押す操作がされた期間が「長押し」に必要な所定期間に満たない場合の計数ボタン442の操作を、以下では、「短押し」という。CPU451は、計数ボタン442からのボタン入力読込信号を、「OFF」、「OFF」、「ON」、「ON」の順の並びで「ON」又は「OFF」の各信号を受信した場合、操作ボタン9の操作が開始されたと判断する。CPU451は、計数ボタン442の操作が開始されたと判断した後、「ON」信号をさらに連続して所定回数受信した場合、計数ボタン442の長押しが開始されたと判断する。本実施形態においては、CPU451は、「ON」信号を連続して500回受信した場合、すなわち、計数ボタン442が500ミリ秒間継続して押された場合に、計数ボタン442が長押しされたと判断する。なお、CPU451は、計数ボタン442の操作が開始されたと判断した後、「ON」信号をさらに連続して受信した回数が500回未満である場合には、計数ボタン442が短押しされたと判断する。
【0179】
CPU451は、計数ボタン442が操作されたと判断した場合(S331:YES)、計数ボタン442の操作が短押しであるかを判断する(S333)。CPU451は、計数ボタン442の操作が短押しであると判断した場合(S333:YES)、計上数が「1」であることを示す計数コマンドを生成する。CPU451は、生成した計数コマンドを、RAM452に設けられるコマンドバッファにセットする(S335)。コマンドバッファにセットされた計数コマンドは、カードユニットCUに順次送信される。計数コマンドを受信したカードユニットCUは、第一計数コマンドの示す計上数を取得する。カードユニットCUは、取得した計上数を、ICカードC1に記憶されている貯球数情報の示す貯球数に加算して、貯球数情報を更新する。CPU451は、持ち球数カウンタから「1」を減算する(S336)。すなわち、遊技者は、計数ボタン442を1回短押しすることによって、持ち球から貯球へ、1個の遊技球を移行することができる。CPU451は、処理をS349へ移行する。
【0180】
CPU451は、計数ボタン442の操作が短押しでないと判断した場合(S333:NO)、計数ボタン442の操作が長押しであるかを判断する(S341)。CPU451は、計数ボタン442の操作が長押しでないと判断した場合(S341:NO)、処理をS349へ移行する。
【0181】
CPU451は、計数ボタン442の操作が長押しであると判断した場合(S341:YES)、計上数が「250」であることを示す計数コマンドを生成する。CPU451は、生成した計数コマンドを、RAM452に設けられるコマンドバッファにセットする(S342)。なお、持ち球数カウンタの値が「250」未満の場合、CPU451は、持ち球数カウンタの示す値の全てを示す計上数を示す計数コマンドを生成する。コマンドバッファにセットされた計数コマンドは、カードユニットCUに順次送信される。計数コマンドを受信したカードユニットCUは、計数コマンドの示す計上数を取得する。カードユニットCUは、取得した計上数を、ICカードC1に記憶されている貯球数情報の示す貯球数に加算して、貯球数情報を更新する。CPU451は、持ち球数カウンタから「250」を減算する(S343)。すなわち、遊技者は、計数ボタン442を500ミリ秒間継続して長押しすることによって、持ち球から貯球へ、250個の遊技球を移行することができる。CPU451は、処理をS349へ移行する。
【0182】
CPU581は、持ち球数カウンタの値、すなわち持ち球数を、球管理ユニット44の遊技球数表示部441に表示する(S349)。これにより、パチンコ機1は、計数ボタン442の短押し又は長押しに応じて行われる自動計数によって、持ち球から貯球への遊技球の移行の状況を遊技者に視認させることができる。CPU451は、処理を枠制御基板処理へ戻す。
【0183】
図20を参照して、図17のS303で示した監視処理の詳細について説明する。監視処理が開始されると、CPU451は、持ち球数カウンタを参照する(S351)。CPU451は、参照した持ち球数カウンタの値が、特定数以下であるかを判断する(S352)。特定数は、遊技者が間もなく遊技を継続できなくなることを示す持ち球数を示す。すなわち、特定数は、持ち球数が間もなく0になることを遊技者に報知するために設けられる。したがって、特定数は、0よりも大きい整数で設けられる。本実施形態では、特定数は「30」である。CPU451は、持ち球数カウンタの値が特定数よりも大きい場合(S352:NO)、処理をS355へ移行する。
【0184】
CPU451は、持ち球数カウンタの値が特定数以下である場合(S352:YES)、持ち球数減少通知コマンドを生成する。持ち球数減少通知コマンドは、持ち球数が減少していることを通知するためのコマンドである。CPU451は、生成した持ち球数減少通知コマンドを、コマンドバッファにセットする(S353)。コマンドバッファにセットされた持ち球数減少通知コマンドは、球管理ユニット44及び主制御基板41に順次送信される。持ち球数減少通知コマンドを受信した球管理ユニット44の遊技球数表示部441は、遊技球数表示部441に表示している持ち球数を点滅させる。これにより、パチンコ機1は、持ち球数が特定数よりも減少しており、遊技者が間もなく遊技を継続できなくなることを遊技者に報知することができる。持ち球数の減少に伴って行われる遊技球数表示部441における持ち球数の点滅表示も、後述する持ち球数減少報知に含まれる。また、主制御基板41は、受信した持ち球数減少通知コマンドをサブ制御基板58に送信する。CPU451は、処理をS355へ移行する。
【0185】
CPU451は、その他の処理を実行する(S355)。例えば、CPU451は、発射球数からファール球数を減算した数が排出球数と乖離しないかを監視するための処理を実行する。また、CPU451は、発射ハンドル32の回転角度に応じた強度で遊技球発射装置37に遊技球を発射させるための処理、球送り装置48を駆動させるための処理等を実行する。CPU451は、処理を枠制御基板処理へ戻す。
【0186】
図21及び図22を参照して、サブ制御基板58が実行するサブ制御基板処理について説明する。サブ制御基板処理では、主制御基板41から送信されるコマンドに従って、各種の演出を制御する処理が行われる。特に、サブ制御基板処理では、持ち球数が減少していることを報知する報知動作である持ち球数減少報知を行うための処理が行われる。サブ制御基板58は、所定の周期でクロック信号を出力するクロック回路(図示略)及び割込信号発生回路(図示略)を備える。割込信号発生回路は、クロック回路からクロック信号が入力される毎に割込信号を発生させる。サブ制御基板58のCPU581は、ROM583に記憶されているプログラムに従って、割込信号発生回路から割込信号が入力される毎にサブ制御基板処理を実行する。
【0187】
サブ制御基板処理では、サブ大当たり遊技状態フラグ、サブ小当たり遊技状態フラグ、持ち球数減少報知待機フラグ等が使用される。これらのフラグはRAM582に記憶される。サブ大当たり遊技状態フラグは、大当たり遊技状態であるかを示すフラグであり、大当たり遊技状態に「1」が記憶されて「ON」になり、非大当たり遊技状態に「0」が記憶されて「OFF」になる。サブ小当たり遊技状態フラグは、小当たり遊技状態であるかを示すフラグであり、小当たり遊技状態に「1」が記憶されて「ON」になり、非小当たり遊技状態に「0」が記憶されて「OFF」になる。持ち球数減少報知待機フラグは、持ち球数減少報知の実行が待機中であるかを示すフラグである。持ち球数減少報知待機フラグは、遊技が特定の条件を満たす状況にあるため持ち球数減少報知の実行が待機されている場合に「1」が記憶されて「ON」になり、そうでない場合に「0」が記憶されて「OFF」になる。持ち球数減少報知の実行が待機される特定の条件については後述する。
【0188】
パチンコ機1の電源スイッチ423がON状態に操作されることによって、パチンコ機1の電源がONにされると、CPU581は、サブ制御基板処理を開始する。サブ制御基板処理が開始されると、CPU581は、主制御基板41から遊技状態コマンドを受信したかを判断する(S401)。CPU581は、主制御基板41から遊技状態コマンドを受信していない場合(S401:NO)、処理をS406の判断へ移行する。
【0189】
CPU581は、主制御基板41から遊技状態コマンドを受信した場合(S401:YES)、遊技状態コマンドによって通知される各種の状態に応じた処理を実行する(S402)。具体的には、遊技状態コマンドによって大当たり遊技状態開始通知が行われた場合、CPU581は、RAM582に記憶されるサブ大当たり遊技状態フラグを「ON」にする。遊技状態コマンドによって大当たり遊技状態終了通知が行われた場合、CPU581は、サブ大当たり遊技状態フラグを「OFF」にする。遊技状態コマンドによって小当たり遊技状態開始通知が行われた場合、CPU581は、RAM582に記憶されるサブ小当たり遊技状態フラグを「ON」にする。遊技状態コマンドによって小当たり遊技状態終了通知が行われた場合、CPU581は、サブ小当たり遊技状態フラグを「OFF」にする。CPU581は、サブ大当たり遊技状態フラグ及びサブ小当たり遊技状態フラグ等の状態に応じて、各種の演出を制御する。
【0190】
CPU581は、主制御基板41から停止図柄指定コマンドを受信したかを判断する(S406)。停止図柄指定コマンドを受信していない場合(S406:NO)、CPU581は、処理をS411の判断へ移行する。停止図柄指定コマンドを受信した場合(S406:YES)、CPU581は、停止図柄指定コマンドを解析して、コマンドの示す特別図柄の種類(大当たり図柄又ははずれ図柄)を取得する。CPU581は、取得した特別図柄の種類に応じた演出図柄100の組合せを決定する(S408)。図27等に示すように、演出図柄100は、左図柄101、中図柄102及び右図柄103の3つの図柄で構成される。CPU581は、特別図柄が大当たり図柄である場合、左図柄101、中図柄102及び右図柄103が変動表示を終了し確定表示するときの組合せとして、左図柄101、中図柄102及び右図柄103が同じ数字で揃うゾロ目の組合せを決定する。左図柄101、中図柄102及び右図柄103が変動表示を終了し確定表示するときの組合せを、以下、「確定図柄」という。CPU581は、特別図柄が小当たり図柄である場合、確定図柄として、奇数の順目である「1・3・5」又は偶数の順目である「2・4・6」の組合せを決定する。CPU581は、特別図柄がはずれ図柄である場合、確定図柄として、左図柄101、中図柄102及び右図柄103が異なる数字を含む、奇数の順目、偶数の順目及びゾロ目以外の組合せを決定する。決定された確定図柄は、RAM582に記憶される。CPU581は処理をS411の判断へ移行する。
【0191】
CPU581は、主制御基板41から変動パターン指定コマンドを受信したかを判断する(S411)。変動パターン指定コマンドを受信していない場合(S411:NO)、CPU581は、処理をS413の判断へ移行する。変動パターン指定コマンドを受信した場合(S411:YES)、CPU581は、報知演出実行処理を実行する(S412)。
【0192】
図23を参照して、図21のS412で示した報知演出実行処理の詳細について説明する。報知演出実行処理では、変動パターン指定コマンドによって指定される変動パターンに基づいて、演出図柄100の変動表示を伴う報知演出の制御が行われる。
【0193】
報知演出実行処理が開始されると、CPU581は、変動パターン指定コマンドを解析して、コマンドの示す変動パターンを特定し、特定した変動パターンを取得する(S501)。CPU581は、取得した変動パターンを、RAM582に記憶する。
【0194】
CPU581は、報知演出開始コマンドを生成し、生成した報知演出開始コマンドをコマンドバッファにセットする(S503)。報知演出開始コマンドは、報知演出の実行開始を指示するためのコマンドである。報知演出開始コマンドは、変動パターンに基づく報知演出の演出パターンを示す情報を含む。コマンドバッファにセットされた報知演出開始コマンドは、演出制御基板43に順次送信される。報知演出開始コマンドを受信した演出制御基板43のCPU431は、報知演出開始コマンドが含む報知演出の演出パターンを示す情報に対応する画像データをCGROMから読み出す。そしてCPU431は、画像制御回路435による画像処理を制御して、読み出した画像データを表示画面28に表示させることによって、報知演出の演出画像の表示を開始する。また、CPU581は、ランプ制御基板46を介して、枠ランプ38及び盤ランプ27の電飾演出を制御する。また、CPU581は、音制御回路585による音処理を制御する。これにより、報知演出が実行される。
【0195】
パチンコ機1は、図27及び図28に示すように、特別図柄の変動表示に同期して演出図柄100の変動表示を行い、特別図柄の確定表示に同期して演出図柄100を確定表示することで、報知演出を実行する。演出図柄100のうち左図柄101は、表示画面28の左部の変動ラインに主に表示される。中図柄102は、表示画面28の中央部の変動ラインに主に表示される。右図柄103は、表示画面28の右部の変動ラインに主に表示される。図27及び図28に示すように、左図柄101、中図柄102及び右図柄103をそれぞれの変動ラインにおいて「1」図柄から「8」図柄が上方から下方に順にスクロールされることによって、演出図柄100の図柄変動が行われる。矢印Y1は、演出図柄100のそれぞれがスクロールを継続していることを模式的に示す。演出図柄100の変動表示は、報知演出において実行される演出の内容によっては、表示画面28の隅部において縮小された態様で行われることもある。
【0196】
RAM582には、報知演出の実行時間を計測するタイマカウンタである報知演出実行時間カウンタが設けられている。CPU581は、報知演出実行時間カウンタを用いて報知演出の実行時間を管理している。CPU581は、報知演出実行時間カウンタに、変動パターンの示す変動時間を記憶する(S505)。報知演出実行時間カウンタは、順次減算される。CPU581は、処理をサブ制御基板処理へ戻す。
【0197】
図21の説明に戻る。CPU581は、主制御基板41から特別図柄停止コマンドを受信したかを判断する(S413)。特別図柄停止コマンドを受信していない場合(S413:NO)、CPU581は、処理をS416の判断へ移行する。特別図柄停止コマンドを受信した場合(S413:YES)、CPU581は、報知演出終了処理を実行する(S415)。報知演出終了処理では、S408で決定した確定図柄で演出図柄100が確定表示される。図示しないが、左図柄101、中図柄102及び右図柄103が、それぞれの変動ラインの中央部において確定図柄で停止表示されることによって、演出図柄100の確定表示が行われる。いずれの図柄が確定表示されたかは、遊技者の関心事である。このため、本実施形態では、小当たり遊技及び大当たり遊技の実行中にも、図25及び図26に示すように、確定図柄が表示画面28の隅部に縮小表示される。CPU581は、処理をS416の判断へ移行する。
【0198】
CPU581は、枠制御基板45のCPU451から主制御基板41を介して送信された持ち球数減少通知コマンドを受信したかを判断する(S416)。持ち球数減少通知コマンドを受信していない場合(S416:NO)、CPU581は、処理を図22に示すS421の判断へ移行する。持ち球数減少通知コマンドを受信した場合(S416:YES)、CPU581は、持ち球数減少報知処理を実行して(S418)、処理をS421の判断へ移行する。
【0199】
図24を参照して、図21のS418で示した持ち球数減少報知処理の詳細について説明する。持ち球数減少報知処理では、持ち球数減少報知の実行の制御が行われる。また、持ち球数減少報知処理では、特定の条件が満たされる場合には、持ち球数減少報知の実行を待機させるための処理も行われる。
【0200】
持ち球数減少報知処理が開始されると、CPU581は、当たり遊技が実行中であるかを判断する(S511)。CPU581は、サブ大当たり遊技状態フラグ又はサブ小当たり遊技状態フラグのいずれかが「ON」である場合には、当たり遊技が実行中であると判断して(S511:YES)、処理をS518へ移行する。
【0201】
CPU581は、サブ大当たり遊技状態フラグ又はサブ小当たり遊技状態フラグのいずれもが「OFF」である場合には、当たり遊技が実行中でないと判断して(S511:NO)、報知演出が実行中であるかを判断する(S512)。CPU581は、報知演出実行時間カウンタの値が0である場合には、報知演出が実行中でないと判断して(S512:NO)、処理をS518へ移行する。
【0202】
CPU581は、報知演出実行時間カウンタの値が0でない場合には、報知演出が実行中であると判断して(S512:YES)、実行中の報知演出の変動パターンを特定する(S513)。CPU581は、S501の処理でRAM582に記憶した変動パターンを参照することによって、実行中の報知演出の変動パターンを特定する。CPU581は、特定した変動パターンが特定の変動パターンであるかを判断する(S515)。
【0203】
本実施形態では、「非リーチ演出A」等の「非リーチ」の変動パターン以外の変動パターンを、特定の変動パターンであるとする。CPU581は、特定した変動パターンが特定の変動パターンでない場合(S515:NO)、処理をS518へ移行する。CPU581は、特定した変動パターンが特定の変動パターンである場合(S515:YES)、実行中の報知演出の残り実行時間が所定時間以上であるかを判断する(S516)。本実施形態では、所定時間は5秒であるとする。CPU581は、報知演出実行時間カウンタの値を参照して、参照した報知演出実行時間カウンタの値が5秒以上の時間を示すかを判断する。
【0204】
CPU581は、実行中の報知演出の残り実行時間が所定時間未満である場合(S516:NO)、持ち球数減少報知コマンドを生成し、コマンドバッファにセットする(S518)。持ち球数減少報知コマンドは、持ち球数減少報知演出の実行を指示するためのコマンドである。コマンドバッファにセットされた持ち球数減少報知コマンドは、演出制御基板43、音制御回路585及びランプ制御基板46に順次送信される。
【0205】
持ち球数減少報知コマンドを受信した演出制御基板43のCPU431は、予めCGROMに記憶している持ち球数減少報知に対応する画像データをCGROMから読み出す。CPU431は、画像制御回路435による画像処理を制御して、読み出した画像データに対応する、図25から図28に示す画像EGを表示画面28に表示させる。持ち球数減少報知コマンドを受信した音制御回路585は、持ち球数減少報知に対応する音の音信号をスピーカ39に送信する。音信号を受信したスピーカ39は、受信した音信号を、図25から図28に示す報知音ESに変換して出力する。持ち球数減少報知コマンドを受信したランプ制御基板46は、盤ランプ27及び枠ランプ38を、図25から図28に示す特定の発光動作ELで発光させる。CPU581は、処理をサブ制御基板処理へ戻す。
【0206】
一方、CPU581は、実行中の報知演出の残り実行時間が所定時間以上である場合(S516:YES)、持ち球数減少報知待機フラグを「ON」にする(S519)。CPU581は、処理をサブ制御基板処理へ戻す。
【0207】
図22の説明に戻る。CPU581は、持ち球数減少報知待機フラグが「ON」であるかを判断する(S421)。CPU581は、持ち球数減少報知待機フラグが「OFF」である場合(S421:NO)、処理をS426の判断へ移行する。
【0208】
CPU581は、持ち球数減少報知待機フラグが「ON」である場合(S421:YES)、実行中の報知演出の残り実行時間が所定時間以上であるかを判断する(S422)。この判断において、所定時間は、S516と同様に5秒である。CPU581は、報知演出実行時間カウンタの値を参照して、参照した報知演出実行時間カウンタの値が5秒以上の時間を示すかを判断する。CPU581は、実行中の報知演出の残り実行時間が所定時間以上である場合(S422:YES)、処理をS426の判断へ移行する。
【0209】
CPU581は、実行中の報知演出の残り実行時間が所定時間未満である場合(S422:NO)、持ち球数減少報知コマンドを生成し、コマンドバッファにセットする(S423)。コマンドバッファにセットされた持ち球数減少報知コマンドは、演出制御基板43、音制御回路585及びランプ制御基板46に順次送信される。前述したように、持ち球数減少報知コマンドを受信した演出制御基板43のCPU431は、画像EGを表示画面28に表示させる。持ち球数減少報知コマンドを受信した音制御回路585は、スピーカ39に報知音ESを出力させる。持ち球数減少報知コマンドを受信したランプ制御基板46は、盤ランプ27及び枠ランプ38を、発光動作ELで発光させる。CPU581は、持ち球数減少報知待機フラグを「OFF」にして(S425)、処理をS426の判断へ移行する。
【0210】
CPU581は、CPU581は、主制御基板41、枠制御基板45からその他のコマンドを受信したかを判断する(S426)。その他のコマンドを受信していない場合(S426:NO)、CPU581は、サブ制御基板処理を終了する。その他のコマンドを受信した場合(S426:YES)、CPU581は、コマンドに応じた各種の処理を実行する(S428)。CPU581は、サブ制御基板処理を終了する。
【0211】
図25から図28を参照して、持ち球数減少報知の詳細について説明する。図25は、小当たり遊技状態における持ち球数減少報知の一例を示す。図25(A)に示すように、小当たり遊技状態において持ち球数が減少し、特定数である「30」に近づいたとする。小当たり遊技状態においては、小当たり遊技によって開放する第二大入賞口17に遊技球を入賞させ、入賞した遊技球が第二大入賞口17の内部の特定領域178を通過することが、条件装置の作動契機となる。すなわち、小当たり遊技において遊技球が第二大入賞口17に入賞しない場合及び遊技球が第二大入賞口17に入賞したが特定領域178を通過しない場合には、その後に大当たり遊技が実行されない。このため、表示画面28には、右打ちで遊技を進行することを遊技者に促すための右打ち表示119が、表示画面28に表示される。特定領域178は、遊技者に「Vゾーン」と呼ばれることが多い。したがって、小当たり遊技状態においては、遊技球がVゾーンを通過するように「Vを狙え!」の文言を用いる等により、第二大入賞口17に遊技球を入賞させることを遊技者に促す内容の演出が展開される。
【0212】
第二大入賞口17に向けた遊技球の発射が継続されることによってその後も持ち球数の減少が継続し、持ち球数が特定数の「30」以下になった場合、図25(B)に示すように、パチンコ機1は、持ち球数減少報知を実行する。持ち球数減少報知として、遊技球数表示部441に表示されている持ち球数の点滅表示が行われる。図25(B)において、記号EFは、遊技球数表示部441に表示されている持ち球数が点滅している様子を模式的に示す。また、持ち球数減少報知として、表示画面28における画像EGの表示、スピーカ39による報知音ESの出力及び盤ランプ27及び枠ランプ38による発光動作ELも行われる。図25(B)に示すように、画像EGは、「遊技球が減っています」の文言を含んで構成される。報知音ESは、「遊技球の不足にご注意ください」の音声及び所定の効果音を含んで構成される。発光動作ELは、特定の発光パターン及び特定の色によって構成される。パチンコ機1は、画像EGの表示、報知音ESの出力及び発光動作ELの実行によって、持ち球数が特定数以下に減少していることを遊技者によりわかりやすく報知できる。
【0213】
前述したように、小当たり遊技状態においては、第二大入賞口17に入賞した遊技球が特定領域178を通過することが、条件装置の作動契機となる。小当たり遊技状態において持ち球数が0となると、遊技者は遊技球の発射を継続できず、第二大入賞口17に遊技球を入賞させること及び遊技球を特定領域178に通過させることができない。この場合、条件装置が作動せず、小当たり遊技に引き続いて大当たり遊技が実行されない、いわゆる「パンク」の事象が発生する。パチンコ機1は、持ち球数が特定数まで減少した場合、持ち球数減少報知を実行する。これにより、パチンコ機1は、持ち球数が0になるよりも先に、持ち球数が減少していることを遊技者に報知して、貸球又は貯球再遊技を行うことによって持ち球数を一定以上に確保することを遊技者に促すことができる。したがって、パチンコ機1は、パンクによって大当たり遊技が実行されないといった不利益から遊技者を回避させることができる。
【0214】
図26は、大当たり遊技状態における持ち球数減少報知の一例を示す。図26(A)に示すように、大当たり遊技状態において持ち球数が減少し、特定数である「30」に近づいたとする。大当たり遊技状態においては、大当たり遊技によって開放する第一大入賞口16に遊技球を入賞させることによって賞球が生ずる。一方、第一大入賞口16の第一開放時間は一定時間に定められており、第一開放時間が経過すると、第一大入賞口16に規定数以上の遊技球が入賞する前であっても第一大入賞口16の開放が終了する。したがって、パチンコ機1は、大当たり遊技状態においても右打ち表示119を表示画面28に表示して、第一大入賞口16に遊技球を入賞させるために右打ちの遊技を継続することを遊技者に促す。また、大当たり遊技状態においては大当たりラウンドが繰り返して行われるので、遊技者は第一大入賞口16に遊技球を入賞させることによって多数の賞球を生じさせることができる。したがって、大当たり遊技状態においては、多数の賞球が発生するチャンスが到来していることを遊技者に報知する内容の演出が展開される。
【0215】
第一大入賞口16に向けた遊技球の発射が継続されることによってその後も持ち球数の減少が継続し、持ち球数が特定数の「30」以下になった場合、図26(B)に示すように、パチンコ機1は、持ち球数減少報知を実行する。これにより、パチンコ機1は、持ち球数が0になるよりも先に、持ち球数が減少していることを遊技者に報知して、貸球又は貯球再遊技を行うことによって持ち球数を一定以上に確保することを遊技者に促すことができる。したがって、パチンコ機1は、大当たり遊技状態において第一大入賞口16に遊技球を入賞させられず想定されるよりも少ない賞球しか生じさせられないといった不利益から遊技者を回避させることができる。
【0216】
なお、本実施形態において、大当たり遊技状態に実行される持ち球数減少報知の態様は、小当たり遊技状態に実行される持ち球数減少報知の態様と同様である。大当たり遊技状態に実行される持ち球数減少報知の態様が、小当たり遊技状態に実行される持ち球数減少報知の態様と異なるものであってもよい。例えば、遊技球数表示部441に表示されている持ち球数の点滅の間隔、画像EGの表示内容、報知音ESの内容及び発光動作ELの内容が、小当たり遊技状態と大当たり遊技状態とで異なってもよい。
【0217】
図27は、報知演出の実行中における持ち球数減少報知の一例を示す。図27(A)に示すように、報知演出の実行中において持ち球数が減少し、特定数である「30」に近づいたとする。図27(A)で実行されている報知演出は、非リーチの変動パターンに応じて実行されるものであり、前述の特定の変動パターンに応じて実行されるものでないとする。また、図27(A)で実行されている報知演出は、通常状態において主に第一始動口14へ遊技球が入賞することを契機として行われるものであるとする。
【0218】
第一始動口14に向けた遊技球の発射が継続されることによってその後も持ち球数の減少が継続し、持ち球数が特定数の「30」以下になった場合、図27(B)に示すように、パチンコ機1は、持ち球数減少報知を実行する。これにより、パチンコ機1は、持ち球数が0になるよりも先に、持ち球数が減少していることを遊技者に報知して、貸球又は貯球再遊技を行うことによって持ち球数を一定以上に確保することを遊技者に促すことができる。したがって、パチンコ機1は、持ち球数が0になることによって、第一始動口14に向けた遊技球の発射が中断されることから遊技者を回避させ、遊技者に円滑な遊技を提供することができる。
【0219】
なお、図27では、通常状態において報知演出が実行される場合について説明したが、パチンコ機1は、時短状態等、通常状態以外の遊技状態において報知演出が実行される場合にも、同様の条件で持ち球数減少報知を実行する。これにより、パチンコ機1は、当たり遊技状態以外のいずれの場合にも、遊技者に円滑な遊技を提供することができる。
【0220】
図28は、報知演出の実行中における持ち球数減少報知の一例を示す。図28(A)に示すように、報知演出の実行中において持ち球数が減少し、特定数である「30」に近づいたとする。図28(A)で実行されている報知演出は、リーチ演出、小当たり変動、最終はずれ変動等の非リーチ以外の変動パターンに応じて実行されるもの、すなわち、特定の変動パターンに応じて実行されるものであるとする。また、図28(A)で実行されている報知演出は、通常状態において主に第一始動口14へ遊技球が入賞することを契機として行われるものであるとする。
【0221】
図28(B)は、特定の変動パターンに基づいて実行される報知演出の残り実行時間が所定時間以上である場面を示す。この場面において、第一始動口14に向けた遊技球の発射が継続されることによってその後も持ち球数の減少が継続し、持ち球数が特定数の「30」以下になったとする。この場合、図28(B)に示すように、パチンコ機1は、持ち球数減少報知を、図27(B)で示した態様よりも制限した態様で実行する。具体的には、パチンコ機1は、持ち球数減少報知として、遊技球数表示部441に表示されている持ち球数の点滅については実行するが、画像EGの表示、報知音ESの出力及び発光動作ELの実行を留保する。
【0222】
特定の変動パターンに基づいて実行される報知演出は、リーチ演出等、大当たり判定の結果が遊技者にとって有利なものであることを、遊技者に大いに期待させる内容で実行されることが多い。例えば、図28に示す特定の変動パターンに基づいて実行される報知演出では、キャラクタCH1とキャラクタCH2とが対峙した後、バトルを繰り広げ、キャラクタCH1とキャラクタCH2とのいずれがバトルに勝利するかといった内容で展開される。本実施形態では、キャラクタCH1がキャラクタCH2に勝利した場合に、大当たりの判定結果が報知されることとする。キャラクタCH2がキャラクタCH1に勝利した場合に、はずれの判定結果が報知されることとする。このような報知演出が実行される場合、遊技者は、実行中の報知演出がどのように展開されるかに大いに注目する。報知演出の残り実行時間が所定時間以上である場合には、キャラクタCH1とキャラクタCH2とのバトルが進行中であり、遊技者はバトルの展開に大いに注目した状態にあることが多い。このような場合に持ち球数減少報知が行われると、その内容が報知演出の展開を阻害し、報知演出の興趣が低下する可能性がある。このため、パチンコ機1は、特定の変動パターンに基づく報知演出の実行中であり、その報知演出の残り実行時間が所定時間以上の場合には、持ち球数減少報知として、画像EGの表示、報知音ESの出力及び発光動作ELの実行を留保する。これにより、パチンコ機1は、特定の変動パターンに基づく報知演出の興趣が低下することを回避することができる。
【0223】
パチンコ機1は、特定の変動パターンに基づく報知演出の実行中であり、その報知演出の残り実行時間が所定時間以上の場合においても、持ち球数減少報知として、遊技球数表示部441に表示されている持ち球数の点滅については実行する。遊技球数表示部441においては報知演出に関する演出動作が実行されないことから、持ち球数の点滅表示を行うことによって報知演出の興趣が低下する可能性が低いためである。これにより、パチンコ機1は、特定の変動パターンに基づく報知演出の実行中にも、持ち球数が特定数よりも減少していることを、報知演出の興趣の低下を回避しつつ遊技者に認識させることができる。
【0224】
なお、パチンコ機1は、特定の変動パターンに基づく報知演出の実行中であり、その報知演出の残り実行時間が所定時間以上の場合に、遊技球数表示部441における持ち球数の点滅表示についても実行しないこととしてもよい。すなわち、パチンコ機1は、特定の変動パターンに基づく報知演出の実行中であり、その報知演出の残り実行時間が所定時間以上の場合に、一切の持ち球数減少報知の実行を留保してもよい。これにより、パチンコ機1は、持ち球数減少報知の実行による報知演出の興趣の低下をさらに回避することができる。
【0225】
リーチ演出等、特定の変動パターンに基づく報知演出の実行中には、その演出の展開に注目する遊技者は、遊技球の発射を中断して、演出の進行に注目する場合も多い。この場合には、持ち球数のさらなる減少が生じにくいため、持ち球数減少報知の一部又は全部の実行を制限しても、遊技者の遊技の進行に支障が生じにくい。また、持ち球数減少報知の一部又は全部の実行を制限することによって、仮に持ち球数が0まで減少した場合であっても、遊技者は、その後に貸球又は貯球再遊技を行うことによって、遊技を問題なく継続できる。すなわち、遊技の進行において遊技者が不利益を被る可能性は低い。したがって、パチンコ機1は、特定の変動パターンに基づく報知演出の実行中であり、その報知演出の残り実行時間が所定時間以上の場合には、持ち球数減少報知の一部又は全部の実行を留保することとしている。
【0226】
図28(C)は、特定の変動パターンに基づいて実行される報知演出の残り実行時間が所定時間未満である場面を示す。図28(C)に示す場面は、図28(B)に示す場面から遊技がさらに進行した場面と、特定の変動パターンに基づいて実行される報知演出の残り実行時間が所定時間未満となった場合に持ち球数が初めて特定数以下に至った場面とを含む。
【0227】
図28(C)は、特定の変動パターンに基づいて実行される報知演出が終盤となっており、キャラクタCH1とキャラクタCH2とのバトルに決着が付き、キャラクタCH1が勝利して、間もなく大当たりの判定結果が報知される状況を示す。図28(C)では、演出図柄100がまだ確定表示に至っていないが、確定表示の間近であり、大当たりを示すゾロ目の組合せで並び僅かに揺れた状態である揺れ変動の状態にあることが、記号Y2によって示されている。このような状況においては、報知演出のうち最も遊技者を高揚させる場面が終了していることから、パチンコ機1が持ち球数減少報知を制限なく実行しても、報知演出の興趣が低下しにくい。
【0228】
したがって、パチンコ機1は、特定の変動パターンに基づいて実行される報知演出の残り実行時間が所定時間未満に至った場合には、実行を留保していた持ち球数減少報知の全てを実行する。又は、パチンコ機1は、持ち球数が特定数以下に減少した時点において、特定の変動パターンに基づいて実行される報知演出の残り実行時間が所定時間未満に至っていれば、持ち球数減少報知の全てを実行する。これにより、パチンコ機1は、報知演出の興趣が低下することを回避しつつ、持ち球数が特定数以下に減少していることを遊技者に報知することができる。
【0229】
以上説明したように、従来の非封入式遊技機においては、遊技者が実際の遊技媒体を遊技機に投入することによって遊技が進められる。例えば、非封入式パチンコにおいては、貸球、貯球再遊技に基づく遊技球及び非封入式パチンコが払い出した賞球を持ち球として遊技を進め、非封入式パチンコが備える上皿、下皿が、それらの持ち球を受ける。すなわち、従来は、遊技者が遊技媒体の実物を視認したり触れたりしながら遊技を進めることができるため、遊技者は、遊技中の遊技機において使用可能な遊技媒体数を容易に把握できる。一方、封入式パチンコであるパチンコ機1においては、賞球として実物の遊技球がパチンコ機1の外部に払い出されることはない。持ち玉については、貸球、貯球再遊技に基づく遊技球及び賞球を合わせて、持ち球数の数値としてパチンコ機1において管理される。このため、遊技機において使用可能な遊技媒体数を遊技者が把握し辛いことがある。パチンコ機1は、遊技機において使用可能な遊技媒体数である持ち球が特定数以下に減少した場合、持ち球数減少報知を実行する。すなわち、パチンコ機1は、遊技機において使用可能な遊技媒体数が特定数以下まで減少したことを契機として持ち球数減少報知を実行する。これにより、パチンコ機1は、使用可能な遊技媒体数が減少しつつあることを、使用可能な遊技媒体数が0になるよりも先に遊技者に喚起することができる。したがって、パチンコ機1は、遊技機において使用可能な遊技媒体数が0となってしまい遊技を続行できないことによって生じうる不利益から遊技者を回避させることができる。
【0230】
パチンコ機1において、遊技媒体は遊技球である。パチンコ機1は、遊技領域4に第一始動口14、第二始動口15、第一大入賞口16、第二大入賞口17等の入賞口を備える。遊技者は、発射ハンドル32を操作して、遊技球発射装置37に遊技球を遊技領域4に向けて発射させることによって遊技を進行する。遊技領域4を流下する遊技球が入賞口へ入賞することによって、入賞した入賞口に応じた賞球が発生し、発生した賞球は持ち球に加算される。例えば第二始動口15及び大入賞口の開放時間は所定の時間に定められているため、これらの入賞口へ遊技球を入賞させて賞球を生じさせるためには、遊技者は持ち球に基づく遊技球を適時に遊技領域4に向けて発射させる必要がある。パチンコ機1は、持ち球数が特定数以下まで減少したことを契機として持ち球数減少報知を実行する。このため、パチンコ機1は、持ち球数が特定数以下まで減少していることを遊技者に認識させることができるので、持ち球数が0となり遊技の進行を続行できない状況となることから遊技者を回避させることができる。
【0231】
パチンコ機1は、第一始動口14又は第二始動口15に遊技球が入賞することを契機として大当たり判定を実行する。大当たり判定の結果が小当たりの場合には、第二大入賞口17が開放する小当たり遊技が実行される。また、大当たり判定の結果が大当たりの場合には、第一大入賞口16が開放する大当たり遊技が実行される。開放した大入賞口に遊技球を入賞させられれば賞球が生じるが、遊技球を入賞させられない場合には、持ち球に加算される賞球が生じない。パチンコ機1は、小当たり遊技状態及び大当たり遊技状態に持ち球数減少報知を実行するので、これらの当たり遊技の実行中に持ち球数が0となり遊技球を大入賞口へ入賞させることができない状況に陥ることから遊技者を回避させることができる。また、大当たり判定の結果を報知する報知演出の実行中には、遊技者は大当たり判定による判定結果がいずれであるかに大いに興味を抱いている。パチンコ機1は、報知演出が特定の変動パターンに基づいて実行される場合において、実行中の報知演出の残り実行時間が所定時間以上のときには、持ち球数減少報知の一部又は全部の実行を留保する。これにより、パチンコ機1は、実行中の報知演出の興趣が持ち球数減少報知の実行によって削がれることを防止することができる。
【0232】
パチンコ機1は、1種2種混合タイプの遊技機である。このため、パチンコ機1は、小当たり遊技によって第二大入賞口17が開放した場合、第二大入賞口17に遊技球を入賞させ、第二大入賞口17に入賞した遊技球がその内部の特定領域178を通過することを条件として大当たり遊技を実行する。つまり、小当たり遊技状態において持ち球数が0となると、遊技者は遊技球の発射を継続できず、第二大入賞口17に遊技球を入賞させること及び遊技球を特定領域178に通過させられなくなる。この場合、小当たり遊技に引き続いて大当たり遊技が実行されないパンクの事象が発生する。パチンコ機1は、当たり遊技の実行中に持ち球数が特定数以下に減少した場合、持ち球数減少報知を実行する。これにより、パチンコ機1は、持ち球数が0になるよりも先に、持ち球数が減少していることを遊技者に報知して、貸球又は貯球再遊技を行うことによって持ち球数を一定以上に確保することを遊技者に促すことができる。したがって、パチンコ機1は、パンクによって大当たり遊技が実行されないといった不利益から遊技者を回避させることができる。
【0233】
上記実施形態において、遊技球が、「遊技媒体」の一例である。持ち球数が、「使用可能遊技媒体数」の一例である。図18のS315、S318、S322、S326の各処理を実行する枠制御基板45のCPU451が、「管理手段」の一例である。図20のS352の判断を実行する枠制御基板45のCPU451が、「判断手段」の一例である。図20のS353の処理を実行する枠制御基板45のCPU451、図22のS423及び図24のS518の処理を実行するサブ制御基板58のCPU581が、「報知動作実行手段」の一例である。遊技球数表示部441、表示画面28、スピーカ39、盤ランプ27及び枠ランプ38が、「報知手段」の一例である。遊技領域4が、「遊技領域」の一例である。第一始動口14、第二始動口15、第一大入賞口16、第二大入賞口17及びその他の入賞口が、「入賞口」の一例である。遊技球発射装置37が、「遊技球発射手段」の一例である。図13のS76及びS93の各処理を実行する主制御基板41のCPU51が、「判定手段」の一例である。大当たり判定が、「特別判定」の一例である。小当たり遊技及び大当たり遊技が、「特別遊技」の一例である。図23のS503の処理を実行するサブ制御基板58のCPU581が、「報知演出実行手段」の一例である。図15のS185、図16のS213の各処理を実行する主制御基板41のCPU51が、「特別遊技実行手段」の一例である。第一大入賞口16及び第二大入賞口17が、「特別入賞口」の一例である。特定領域178が、「特定の領域」の一例である。図16のS236の処理を実行する主制御基板41のCPU51が、「設定手段」の一例である。
【0234】
本発明は、以上詳述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更が可能である。例えば、特定の変動パターンは、上記実施形態の例に限られない。例えば、パチンコ機1は、リーチ演出のうち特定のリーチ演出に係る変動パターンを特定の変動パターンとし、特定のリーチ演出に係る変動パターンに基づく報知演出の実行中についてのみ、図28で示した態様で持ち球数減少報知を実行してもよい。すなわち、特定の変動パターンは、遊技仕様等に応じて任意に設定されてもよい。
【0235】
パチンコ機1は、特定の変動パターンによる報知演出だけでなく、全ての報知演出において、報知演出の残り実行時間が所定時間以上である場合に持ち球数減少報知の一部又は全部の実行を留保してもよい。そして、パチンコ機1は、全ての報知演出において、報知演出の残り実行時間が所定時間未満である場合に持ち球数減少報知の全部を実行することとしてもよい。この場合において、報知演出の実行時間が所定時間よりも短い場合には、その報知演出の実行中には、持ち球数減少報知の一部又は全部の実行を留保することとしてもよい。この場合、いずれの報知演出においても、報知演出に対する興趣の低下の防止を図ることができる。
【0236】
パチンコ機1は、図28(B)に示す場面において、画像EGを他の場合よりも小さく表示し、報知音ESのボリュームを他の場合よりも下げ、発光動作ELの光量を他の場合よりも下げる等、制限した態様で実行してもよい。これにより、パチンコ機1は、画像EGの表示、報知音ESの出力及び発光動作ELの実行によって報知演出の興趣の低減を防ぐことができる。
【0237】
遊技球数表示部441における持ち球数の点滅表示、画像EGの表示、報知音ESの出力及び発光動作ELの実行は、持ち球数減少報知の一例である。例えば、遊技球数表示部441における持ち球数の表示色が通常の色から変化することによって、持ち球数減少報知が行われてもよい。持ち球数減少報知は、これらの全部又は一部を含むものであっても良い。画像EGの内容、報知音ESの内容等は、一例であり、これらが上記実施形態に示した以外の態様であってもよい。例えば、画像EGが含む文言は任意に変更されてもよい。画像EGが文言を含まずイラスト等の絵柄のみで構成されてもよい。報知音ESは、セリフを含まない音楽で構成されてもよい。また、持ち球数減少報知を実行するために発光動作を行う装飾部材等が別途に設けられる等、上記以外の構成による持ち球数減少報知が実行されてもよい。
【0238】
また、パチンコ機1は、報知演出がいずれの変動パターンに基づいて行われる場合においても、持ち球数減少報知の実行を制限せずに実行することとしてもよい。この場合には、パチンコ機1は、遊技の途中で持ち球数が特定数よりも減少することの回避を確実に図ることができる。
【0239】
上記実施形態では、パチンコ機1は1種2種混合タイプのぱちんこ遊技機である。本発明は、旧1種タイプ、旧2種タイプ、一般電役タイプ等、様々な遊技仕様の遊技機に適用できる。例えば、パチンコ機1が旧1種タイプであってもよい。旧1種タイプのパチンコ機1は、大当たり遊技において開放する大入賞口の内部に遊技球が通過可能な特定の領域が設けられており、その特定の領域を遊技球が通過することを条件として、大当たり遊技状態の終了後に確変状態が設けてもよい。確変状態とは、大当たり判定において大当たりであると判定される確率が通常よりも高い確率に変動している遊技状態である。大当たり遊技状態において持ち球数が0となると、遊技者は遊技球の発射を継続できず、大入賞口に遊技球を入賞させること及び遊技球を特定の領域に通過させられない。この場合、大当たり遊技状態の終了後に確変状態が設定されず、遊技者にとって不利益な遊技の展開となる可能性がある。パチンコ機1は、大当たり遊技状態において持ち球数減少報知を実行する。これによって、パチンコ機1は、持ち球数が0になるよりも先に、持ち球数が減少していることを遊技者に報知して、貸球又は貯球再遊技を行うことによって持ち球数を一定以上に確保することを遊技者に促すことができる。したがって、パチンコ機1は、大当たり遊技状態において遊技球の発射が中断されることを防止して、遊技者が大当たり遊技状態の終了後に確変状態が設定されるチャンスを失うことから回避させることができる。この場合、大入賞口の内部に設けられる特定の領域が、本発明の「特定の領域」に相当する。
【0240】
本発明は、一般電役タイプ、普通機等の、特別図柄を設けない遊技機にも適用できる。例えば、一般電役タイプの遊技機では、主制御基板41のCPU51によって実行される普通当たり判定の結果に応じて開閉動作を実行する普通電動役物に係る入賞口が複数設けられる。複数種類の普通当たり判定が行われることによって、複数の普通電動役物が連続的に開放するように構成され、これによって大当たり遊技が構成される。この場合、普通当たり判定を実行する主制御基板41のCPU51が、本発明の「判定手段」として機能する。普通当たり判定の結果に応じて開放する複数の普通電動役物に係る入賞口のそれぞれが、本発明の「特別入賞口」に相当する。
【0241】
特定数は、30よりも大きな数であってもよいし、30よりも小さな数であってもよい。特定数は、持ち球が0になり、遊技者が遊技を中断せざるを得なくなるより先に遊技者に貸球又は貯球再遊技を促すために適した0よりも大きな数で任意に設定されてよい。
【0242】
上記実施形態では、パチンコ機1は、特定の変動パターンに基づく報知演出の実行中であり、その報知演出の残り実行時間が所定時間以上の場合には、持ち球数減少報知として、画像EGの表示、報知音ESの出力及び発光動作ELの実行を留保する。この所定時間は、5秒よりも長くても短くてもよい。所定時間は、持ち球数減少報知が行われても報知演出の興趣が失われにくい、報知演出の終盤の時間として任意に設定されてよい。
【0243】
上記実施形態では、パチンコ機1は、実行中の報知演出が特定の変動パターンに基づくものであることを特定の条件として、持ち球数減少報知の実行を制限する場合がある。この特定の条件は、変動パターンによって規定されることに限られない。例えば、パチンコ機1は、報知演出の実行時間が所定時間以上である場合を特定の条件として、持ち球数減少報知の実行を軽減してもよい。
【0244】
本発明は、回胴式遊技機についても適用できる。回胴式遊技機においても、遊技の途中で遊技に使用できる遊技メダル等が特定数以下に減少したことが遊技者に報知されれば、遊技者は遊技を中断することなく、遊技を円滑に進行させることができる。この場合において、遊技メダル等が、本発明の「遊技媒体」に相当する。
【符号の説明】
【0245】
1 パチンコ機
27 盤ランプ
28 表示画面
38 枠ランプ
39 スピーカ
45 枠制御基板
58 サブ制御基板
51,451,581 CPU
52、452,582 RAM
53,453,583 ROM
EF 記号
EG 画像
EL 発光動作
ES 報知音
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