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特開2024-106733ヒンジキャップ及びヒンジキャップ付き容器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024106733
(43)【公開日】2024-08-08
(54)【発明の名称】ヒンジキャップ及びヒンジキャップ付き容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 47/08 20060101AFI20240801BHJP
【FI】
B65D47/08 110
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023011148
(22)【出願日】2023-01-27
(71)【出願人】
【識別番号】591223482
【氏名又は名称】株式会社ライフプラテック
(74)【代理人】
【識別番号】110003041
【氏名又は名称】安田岡本弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 一行
(72)【発明者】
【氏名】矢吹 智美
【テーマコード(参考)】
3E084
【Fターム(参考)】
3E084AA06
3E084AA12
3E084AB01
3E084BA01
3E084CA01
3E084CC03
3E084DA01
3E084DB03
3E084DB13
3E084DC03
3E084FA04
3E084FC07
3E084GA06
3E084GB06
3E084HB02
3E084HC03
(57)【要約】
【課題】 上蓋体の係合突起とタンパーバンド部の係上部との係合を堅実にする。
【解決手段】 注ぎ口筒部3と本体外筒4と装着部5とを有するキャップ本体部Aと、内栓筒部6と蓋周壁部7とを有する上蓋体Bと、キャップ本体部Aと上蓋体Bとを後部同士で繋ぐヒンジ部Cと、上蓋体Bの蓋周壁部7の前下部に設けた係合突起Dと、キャップ本体部Aの本体外筒4に切断可能のブリッジEを介して設けられかつ係合突起Dを係合可能な係上部8を形成したタンパーバンド部Fとを備える。本体外筒4の上縁と上蓋体Bの下縁とは当接することによりヒンジ部Cを通る合わせ線Gを形成するものであり、ヒンジ部Cを通る合わせ後部線Gbと、本体外筒4の前部で合わせ後部線Gbより1段下がった合わせ前部線Gfと、段差移行線Gmとなっており、上蓋体Bの前部の下部は注ぎ口筒部3の前方に位置しかつその下縁の合わせ前部線Gf近傍に係合突起Dを配置する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上端が開口された注ぎ口筒部 (3)と、この注ぎ口筒部(3)の外方を包囲する本体外筒(4)と、注ぎ口筒部(3)及び本体外筒(4)の下部に位置していて容器口部に装着される装着部(5)とを有するキャップ本体部(A)と、
前記注ぎ口筒部(3)に上から嵌合する内栓筒部(6)と、この内栓筒部(6)の外方を包囲していて下縁が前記本体外筒(4)の上縁と当接可能な蓋周壁部(7)とを有する上蓋体(B)と、
前記キャップ本体部(A)と上蓋体(B)とを後部同士で繋ぐヒンジ部(C)と、
前記上蓋体(B)の蓋周壁部(7)の前下部に設けた係合突起(D)と、
前記キャップ本体部(A)の本体外筒(4)に切断可能のブリッジ(E)を介して設けられかつ前記係合突起(D)を係合可能な係上部(8)を形成したタンパーバンド部(F)とを備えたヒンジキャップ(1)であって、
前記本体外筒(4)の上縁と上蓋体(B)の下縁とは当接することによりヒンジ部(C)を通る合わせ線(G)を形成するものであり、本体外筒(4)の後部ではヒンジ部(C)を通る合わせ後部線(Gb)となり、本体外筒(4)の前部では合わせ後部線(Gb)より1段下がった合わせ前部線(Gf)となり、合わせ後部線(Gb)の前端と合わせ前部線(Gf)の後端とは段差移行線(Gm)となっており、前記上蓋体(B)の前部の下部は注ぎ口筒部(3)の前方に位置しかつその下縁の合わせ前部線(Gf)近傍に前記係合突起(D)が配置されていることを特徴とするヒンジキャップ。
【請求項2】
前記タンパーバンド部(F)は、前部が本体外筒(4)の前部で合わせ前部線(Gf)近傍の前ブリッジ(Ef)と連結され、左右側部が本体外筒(4)の側部で段差移行線(Gm)近傍の横ブリッジ(Ew)と連結されており、前記横ブリッジ(Ew)は上下2箇所(Ew1、Ew2)に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のヒンジキャップ。
【請求項3】
前記注ぎ口筒部(3)の上部は合わせ後部線(Gb)より上方に突出していて、この上部の内周面(11)には、上端の上広がり部(11a)と、下部の嵌合部(11b)と、上広がり部(11a)と嵌合部(11b)との間の外シール部(11c)とが形成されており、前記内栓筒部(6)の外周面(12)には、前記嵌合部(11b)に嵌脱可能に嵌合する嵌入部(12b)と、前記外シール部(11c)に内接する内シール部(12c)とが形成されていることを特徴とする請求項1に記載のヒンジキャップ。
【請求項4】
前記段差移行線(Gm)は合わせ後部線(Gb)の前端から合わせ前部線(Gf)の後端ヘ下向き傾斜されていることを特徴とする請求項1に記載のヒンジキャップ。
【請求項5】
前記請求項1~4のいずれか1項に記載されたヒンジキャップ(1)を、パウチ(P)の上部に設けたスパウト(S)に装着していることを特徴とするヒンジキャップ付き容器。
【請求項6】
前記スパウト(S)の口部(Sa)の内周面とキャップ本体部(A)の装着部(5)との間には、周方向の位置を決定して廻り止めを行う廻り止め手段(14)が形成されていることを特徴とする請求項5に記載のヒンジキャップ付き容器。
【請求項7】
前記パウチ(P)は上縁と左右側縁と底縁とを有し、左右一方の側縁と上縁とが交わる角部を切り欠いて三角空間(K)と傾斜縁(L)とを形成し、この傾斜縁(L)に前記スパウト(S)を配置するとともに、スパウト(S)に装着されるヒンジキャップ(1)を前記三角空間(K)内に納めていることを特徴とする請求項5に記載のヒンジキャップ付き容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、不正使用防止(改ざん防止)用のタンパーバンド部を備えたヒンジキャップ及びヒンジキャップ付き容器に関する。
【背景技術】
【0002】
タンパーバンド部を備えたヒンジキャップとして、特許文献1の改ざん防止付きヒンジキャップと、特許文献2のヒンジキャップとがある。
【0003】
特許文献1の改ざん防止付きヒンジキャップは、「内容物を収容できる柔軟なフィルムからなる袋体のパウチ容器の開口へ熱溶着することで固定でき、前記内容物を排出するための注出口を有するスパウトと、前記スパウトに固定され開封時に取り除かれる不正開封防止用のタンパーバンド部を有するヒンジキャップと、からなる改ざん防止付きヒンジキャップであって、前記ヒンジキャップは、前記スパウトの注出口に固定される本体部と、前記本体部とヒンジ部を介して連結されたつば部を有する上蓋部と、前記上蓋部の側壁下端側に複数の薄肉部を介して連結された前記タンパーバンド部から構成されており、前記タンパーバンド部は、前記袋体側に延びる突起部が設けられ、前記突起部が前記本体部に設けた係止部と係合するように嵌め込まれて嵌着している状態の時は、前記つば部下端側の前記タンパーバンド部は前記つば部と同じ突出幅を形成しており、前記タンパーバンド部は前記つば部と前記係止部の間に挟まれることで、未開封時は指かけスペースが塞がっている」(請求項1)。
【0004】
前記改ざん防止付きヒンジキャップは、ヒンジ部を中心に上蓋部を上向き回動すると、タンパーバンド部に設けた突起部が本体部に設けた係止部と係合していることにより、不正使用が防止されている。突起部を設けているタンパーバンド部は上蓋部に一線配置された複数の薄肉部を介して連結されているので、上蓋部に対する突起部の位置設定は強固なものではなく、捻れたり、撓んだりすることが許容されている。
【0005】
特許文献2のヒンジキャップは、「頂板部と、頂板部周縁から降下した筒状側壁とを有し、該筒状側壁の内側に容器口部が嵌合固定されるキャップ本体;及び、天板部と、天板部周縁から降下したスカート部とを有し、該スカート部の下端部が前記キャップ本体の頂板部もしくは筒状側壁にヒンジ連結部を介して連結され、前記キャップ本体に対して開閉可能となっている上蓋;からなり、前記上蓋を閉じたとき、キャップ本体の頂板部上面の外周縁部と上蓋のスカート部の下端面とが対面するように構成されていると共に、前記スカート部のヒンジ連結部とは反対側の部分には開封用鍔が設けられており、前記キャップ本体の頂板部上面には、上蓋を閉じたときに上蓋のスカート部内面部分と係合し得る周状突起を有しており、且つ該キャップ本体の筒状側壁の外面には、閉じられた上蓋の開封用鍔の先端外周部分を覆う帯状カバーが破断可能な弱化線乃至スコアを介して連結されているヒンジキャップにおいて 、前記開封用鍔の下面は、頂板部の上面よりも下方に位置しており、上蓋が閉じられた状態において、開封用鍔の該下面は、前記帯状カバーとは非接触の状態に保持されており、前記帯状カバーの内面には、閉じられた上蓋の開封用鍔の外周縁部の上面と係合する係止突起と、閉じられた上蓋の開封用鍔の下面とは接触しないように軸方向に延びている変形防止用リブが設けられており、前記上蓋のスカート部内面の前記開封用鍔が形成されている周方向領域は、該上蓋が閉じられた状態において、前記キャップ本体の周状突起と非係合となっている」(請求項1)。
【0006】
また、前記特許文献2のヒンジキャップは、「上記の帯状カバー50は、図1及び図2から明らかなように、その上方部分の内面に係止突起53が設けられており、この係止突起53が、閉じられた上蓋3の開封用鍔40の先端外周縁部の上面と係合するようになっている。即ち、閉じられた上蓋3の開封用鍔40は、その下面40a(偏平状突部41)が帯状カバー50によって完全に外部と遮断されており、且つその先端外周縁部は帯状カバー50の内面に設けられている係止突起53により覆われ、係合しているため、この帯状カバー50を、上記弱化線乃至スコア51を破断して筒状側壁7から引き剥がした後でなければ、上蓋3の開封を行うことができないようになっており、このような帯状カバー
50によって、上蓋3にタンパーエビデント性(TE性)が付与された構造となっている」(段落0030)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2022-120424号公報
【特許文献2】特開2011-201586号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来技術のタンパーバンド部を備えたヒンジキャップにおいては、ヒンジ部を中心に上蓋部の前部を上向き円弧回動するが、タンパーバンド部を付けているときには、突起部と係止部との係合を確保しなくてはならないが、タンパーバンド部自体の連結条件が軟弱であるため、係合確保が困難になっている。
【0009】
即ち、前記特許文献1の改ざん防止付きヒンジキャップにあっては、突起部がタンパーバンド部に設けられているので、タンパーバンド部の軟弱のために突起部が上蓋部に対して遠近移動を生じることがあり、係止部との係合が低下することがある。
【0010】
また、前記特許文献2のヒンジキャップにあっては、上蓋のスカート部の下端面がヒンジ連結部を通っていてスカート部の前部分の下端面近傍に開封用鍔が設けられており、上蓋がヒンジ連結部を中心に上向き回動するとき、開封用鍔は帯状カバーの係止突起から離れる方向(キャップ本体径内方向)へ移動することになり、係止突起との係合を低下する要因になっている。
【0011】
さらに、両従来技術はともに、上蓋の前部の下端面は後部のヒンジ部を通る直線上に位置するため、上蓋を開けてもヒンジ部の高さより下側で注ぎ口筒部を露出することは困難になっている。
【0012】
本発明は、このような従来技術の問題点を解決できるようにしたヒンジキャップ及びヒンジキャップ付き容器を提供することを目的とする。
【0013】
本発明は、未開封時には上蓋体の係合突起とタンパーバンド部の係上部との係合を堅実にし、開封時には上蓋体を開けて注ぎ口筒部を大きく露出するヒンジキャップを提供することを目的とする。
【0014】
本発明は、未開封時には上蓋体の係合突起とタンパーバンド部の係上部との係合を堅実にし、開封時には上蓋体を開けて注ぎ口筒部を大きく露出するヒンジキャップをスパウトに装着したヒンジキャップ付き容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明における課題解決のためのヒンジキャップの具体的手段は、
上端が開口された注ぎ口筒部3と、この注ぎ口筒部3の外方を包囲する本体外筒4と、注ぎ口筒部3及び本体外筒4の下部に位置していて容器口部に装着される装着部5とを有するキャップ本体部Aと、
前記注ぎ口筒部3に上から嵌合する内栓筒部6と、この内栓筒部6の外方を包囲していて下縁が前記本体外筒4の上縁と当接可能な蓋周壁部7とを有する上蓋体Bと、
前記キャップ本体部Aと上蓋体Bとを後部同士で繋ぐヒンジ部Cと、
前記上蓋体Bの蓋周壁部7の前下部に設けた係合突起Dと、
前記キャップ本体部Aの本体外筒4に切断可能のブリッジEを介して設けられかつ前記係合突起Dを係合可能な係上部8を形成したタンパーバンド部Fとを備えたヒンジキャップ1であって、
前記本体外筒4の上縁と上蓋体Bの下縁とは当接することによりヒンジ部Cを通る合わせ線Gを形成するものであり、本体外筒4の後部ではヒンジ部Cを通る合わせ後部線Gbとなり、本体外筒4の前部では合わせ後部線Gbより1段下がった合わせ前部線Gfとなり、合わせ後部線Gbの前端と合わせ前部線Gfの後端とは段差移行線Gmとなっており、前記上蓋体Bの前部の下部は注ぎ口筒部3の前方に位置しかつその下縁の合わせ前部線Gf近傍に前記係合突起Dが配置されている。
【0016】
また、本発明における課題解決のためのヒンジキャップ付き容器の具体的手段は、ヒン
ジキャップ1をパウチPの上部に設けたスパウトSに装着している。
【発明の効果】
【0017】
本発明のヒンジキャップによれば、未開封時には上蓋体Bの係合突起Dとタンパーバンド部Fの係上部8との係合を堅実にでき、開封時には上蓋体Bを開けて注ぎ口筒部3を大きく露出して注ぎ出しを容易にできる。
【0018】
また、本発明のヒンジキャップ付き容器によれば、不正使用が防止されかつ使い勝手のよいヒンジキャップ付きの容器を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の実施形態を示す不正使用防止状態の側面図である。
図2】同不正使用防止状態の断面側面図である。
図3】同不正使用防止状態の正面図である。
図4】同不正使用防止状態の平面図である。
図5】同不正使用防止状態の斜視図である。
図6】ヒンジキャップの上部の拡大断面図である。
図7】上蓋体嵌合前の展開斜視図である。
図8】同上蓋体嵌合前の断面側面図である。
図9】スパウトとキャップ本体部との装着部を示す斜視図である。
図10】ヒンジキャップ付き容器の全体正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0021】
図1~10において、ヒンジキャップ1は、キャップ本体部Aと上蓋体Bとが後部のヒンジ部Cで連結されていて、これらが合成樹脂で一体成形されており、キャップ本体部Aに上蓋体Bを嵌合した状態で、容器2に設けたスパウトSの口部Saに嵌合装着されている。
【0022】
図1~9において、キャップ本体部Aは、上端がラッパ形状に開口された注ぎ口筒部3と、この注ぎ口筒部3の外方を包囲する本体外筒4と、注ぎ口筒部3及び本体外筒4の下部に位置していてスパウトSに嵌合装着される装着部5とを有する。
【0023】
本体外筒4の後上部に上蓋体Bの後部と繋ぐヒンジ部Cが形成され、本体外筒4の前部から左右側部に渡って不正使用防止用のタンパーバンド部FがブリッジEを介して連結されている。
【0024】
前記上蓋体Bは、円形の天井部Beから下方へ突出するように、キャップ本体部Aの注ぎ口筒部3に上から嵌合する内栓筒部6と、この内栓筒部6の外方を包囲していて下縁が本体外筒4の上縁と当接可能な蓋周壁部7とが形成されている。
【0025】
蓋周壁部7の後部にヒンジ部Cが形成され、蓋周壁部7の前上部の天井部Beの延長位置に指掛け用のつば部15が外方突出形成され、蓋周壁部7の前下部に係合突起Dが外方突出形成されている。
【0026】
前記タンパーバンド部Fは、上蓋体Bの前部から左右側部の下部に沿う平面視円弧形状であり、本体外筒4に切断可能(弱化線)な複数のブリッジEを介して設けられており、その前部には上蓋体Bの係合突起Dを係合可能な係上部8が形成されている。
【0027】
前記本体外筒4の上縁と上蓋体Bの下縁とは嵌合したときに当接可能であり、当接することによりヒンジ部Cを通る合わせ線Gが形成される。
【0028】
この合わせ線Gは、本体外筒4(及び上蓋体B)の後部ではヒンジ部Cを通る合わせ後部線Gbとなり、本体外筒4(及び上蓋体B)の前部では合わせ後部線Gbより1段下がった合わせ前部線Gfとなっており、そして、本体外筒4(及び上蓋体B)の左右側部において、合わせ後部線Gbの前端と合わせ前部線Gfの後端とは段差移行線Gmで繋がっている。
【0029】
前記段差移行線Gmは、合わせ後部線Gbの前端から合わせ前部線Gfの後端ヘ下向き傾斜されている。
【0030】
前記タンパーバンド部Fは、上蓋体Bの前部から左右側部の下部とオーバーラップしており、前部の下縁が本体外筒4の前部から左右側部にかけて合わせ前部線Gfに近接して
おり、この合わせ前部線Gf近傍の前ブリッジEfと下側の横ブリッジEw1とに連結されている。
【0031】
また、タンパーバンド部Fの左右側部は、本体外筒4の側部で段差移行線Gmと交差しており、この段差移行線Gm近傍の上側の横ブリッジEw2と連結されている。タンパーバンド部Fは左右端部に取り外し用のツマミ部Faが形成されている。
【0032】
前記下側の横ブリッジEw1は、合わせ前部線Gfの後端近傍に位置すると同時に段差移行線Gmの下端近傍に位置するものであり、タンパーバンド部Fの前部から左右側部かけての下縁を本体外筒4に連結しておく作用をしている。
【0033】
タンパーバンド部Fの下縁を本体外筒4に連結するだけであれば、前記前ブリッジEfと下側の横ブリッジEw1だけで十分であり、従来技術もそのように一直線配置になっているが、前ブリッジEfと下側の横ブリッジEw1だけではタンパーバンド部Fの上縁が本体外筒4から離れる方向の変形(捻り、撓み等の変形)が許容される。
【0034】
上側の横ブリッジEw2を段差移行線Gmの中途高さの位置に設けることにより、タンパーバンド部Fの左右側部は上下2箇所の横ブリッジEw1、横ブリッジEw2によって本体外筒4に連結されることになり、タンパーバンド部Fの上縁が本体外筒4から離れる方向の変形が防止でき、捻れ、逃げ等を生じさせ難い、不正使用防止に適正な姿勢に配置保持できる。
【0035】
図1、2において、前記合わせ前部線Gfは合わせ後部線Gbから段差移行線Gmの高さだけ下がった位置となっているので、本体外筒4の前部では略半周に渡って注ぎ口筒部3を包囲せず、代わって上蓋体Bの前部が注ぎ口筒部3の前部を塞ぐことになっており、従って上蓋体Bを上方へ開放すると、注ぎ口筒部3の前部を略半周に渡って大きく露出できることになる。
【0036】
この注ぎ口筒部3の前部の大きな露出は、注ぎ口筒部3から計量カップ等の他の容器に液体を注ぐときに、計量カップの口に注ぎ口筒部3を近づけることが可能になる。即ち、開封時には上蓋体Bを開けて注ぎ口筒部3を大きく露出して、計量カップの口に近接できるので、注ぎ出しを容易にできることになる。
【0037】
合わせ前部線Gfが低位置にあることにより、前記上蓋体Bの前部の係合突起Dも合わせ前部線Gf近傍の低位置に配置でき、係上部8をタンパーバンド部Fの下縁から切り欠いた凹所として形成することができる。
【0038】
前記係合突起Dは上面が平坦な三角突起であり、係上部8は凹所の上面が係合突起Dの上面と当接係合可能であり、この係合によって、本体外筒4に対する上蓋体Bの前部が上昇する蓋開放動作が規制され、未開封状態となる。
【0039】
係合突起Dと係上部8との係合する位置は、上蓋体Bの前面の下部であって、図2に示すように、ヒンジ部Cを通る合わせ後部線Gbに対してヒンジ部Cから前下向き傾斜した連結線h上にある。
【0040】
前記未開封状態の時の上蓋体Bの蓋開放動作は、ヒンジ部Cを中心に上蓋体Bの前部が上昇することになるが、上蓋体Bの前下部の係合突起Dは合わせ後部線Gbより下方にあると、その上昇は合わせ後部線Gbの高さまで本体外筒4の中心から径外方向に離れる動き(図2の円弧軌跡j)をとることになる。
【0041】
この場合、タンパーバンド部Fが切り離されていないと、上蓋体Bの前部がタンパーバンド部Fの前部を押し出すと同時に係合突起Dが係上部8との係合を追いかけることになり、係合突起Dと係上部8との係合が確保され、上蓋体Bの蓋開放動作は阻止される。即ち、タンパーバンド部Fによる不正開封防止機能が保障される。
【0042】
適正使用のためにタンパーバンド部Fが前ブリッジEf、下側横ブリッジEw1、上側横ブリッジEw2で切り離されると、係上部8が存在しなくなるので、係合突起Dの規制は解消され、不正使用防止(改ざん防止)を解除した開封状態になる。
【0043】
図1、2、6、8において、前記注ぎ口筒部3の上部は合わせ後部線Gbより上方に突出していて、この上部の内周面11には、上端の上広がり部11aと、下部の嵌合部11bと、前記上広がり部11aと嵌合部11bとの間の外シール部11cとが形成されている。
【0044】
一方、前記内栓筒部6の外周面12には、前記嵌合部11bに嵌脱可能に嵌合する嵌入部12bと、前記外シール部11cに内接する内シール部12cとが形成されている。
【0045】
前記嵌合部11bと外シール部11c及び嵌入部12bと内シール部12cとは合わせ後部線Gbと略同高さに位置しており、嵌合部11bと嵌入部12bの嵌合により不本意な上蓋体Bの蓋開放動作を規制し、外シール部11cと内シール部12cの嵌合当接により上蓋体Bの蓋閉鎖時の内部シールを確保している。
【0046】
図6において、嵌合部11bと嵌入部12bの嵌合は面同士が密接した状態になるが、外シール部11cと内シール部12cの嵌合当接は面同士がオーバーラップした状態に表記している。
【0047】
面同士がオーバーラップした状態は各部の肉厚を設計通りに標記したものであり、実際に嵌合すると各部は肉厚方向に弾性変形し、面同士がオーバーラップのない密接状態となり、嵌合部11bと嵌入部12bとの嵌合よりも弾圧密着されたシール機能発揮状態になる。
【0048】
嵌合機能とシール機能とを1カ所で行わせることはできるが、2カ所に分担させることにより、各機能をより効率よく発揮させることができる。例えば、複数回開閉を繰り返した際、篏合部は損傷してキズができていくが、外シール部11cと内シール部12cとは損傷することがなく、シール性を損なうことがない。
【0049】
図10はヒンジキャップ付き容器2の全体を示しており、略矩形状のパウチPの上部にスパウトSを設け、このスパウトSにヒンジキャップ1を装着している。
【0050】
前記パウチPは上縁と左右側縁と底縁とを有し、左右一方の側縁と上縁とが交わる角部を切り欠いて三角空間Kと傾斜縁Lとを形成し、この傾斜縁LにスパウトSを配置している。スパウトSに装着されるヒンジキャップ1はパウチPの肩に当たる三角空間K内に納められており、また、三角空間K内に納まる高さとなっている。
【0051】
図1、2、9において、スパウトSの口部Saの内周面とキャップ本体部Aの装着部5との間には、周方向の位置を決定して廻り止めを行う廻り止め手段14が形成されている。
【0052】
前記廻り止め手段14は、スパウトSの口部Saに周方向等間隔に4カ所配置されており、口部Saの内周面に2条の突起で口部Saの軸心方向に長い長溝21を形成し、キャップ本体部Aの装着部5に前記長溝21に挿入される凸条22を形成しており、キャップ本体部Aの装着部5を口部Saに対して軸心方向に嵌合し、凸条22が長溝21に嵌入して周方向の位置決めがなされる。
【0053】
前記ヒンジキャップ1は、図7、8に示すように、キャップ本体部Aと上蓋体Bとがヒンジ部Cを間においた展開姿勢で製作され、これが上蓋体嵌合前の状態であり、この状態からヒンジ部Cを折り曲げるように上蓋体Bを回動し、内栓筒部6を注ぎ口筒部3に上から嵌合しながら蓋周壁部7を本体外筒4に被せてゆき、上蓋体Bの前下部の係合突起Dをキャップ本体部AのブリッジEを介して設けられたタンパーバンド部Fの係上部8に係合する。
【0054】
これにより不正使用防止状態のタンパーバンド部を備えたヒンジキャップ1となり、その状態でスパウトSの口部Saに装着して製品の容器2となる。
【0055】
前述した実施形態においてヒンジキャップ1は、上端が開口された注ぎ口筒部3と、この注ぎ口筒部3の外方を包囲する本体外筒4と、注ぎ口筒部3及び本体外筒4の下部に位置していて容器口部に装着される装着部5とを有するキャップ本体部Aと、前記注ぎ口筒部3に上から嵌合する内栓筒部6と、この内栓筒部6の外方を包囲していて下縁が前記本体外筒4の上縁と当接可能な蓋周壁部7とを有する上蓋体Bと、前記キャップ本体部Aと上蓋体Bとを後部同士で繋ぐヒンジ部Cと、前記上蓋体Bの蓋周壁部7の前下部に設けた係合突起Dと、前記キャップ本体部Aの本体外筒4に切断可能のブリッジEを介して設けられかつ前記係合突起Dを係合可能な係上部8を形成したタンパーバンド部Fとを備えたヒンジキャップ1であって、前記本体外筒4の上縁と上蓋体Bの下縁とは当接することによりヒンジ部Cを通る合わせ線Gを形成するものであり、本体外筒4の後部ではヒンジ部Cを通る合わせ後部線Gbとなり、本体外筒4の前部では合わせ後部線Gbより1段下が
った合わせ前部線Gfとなり、合わせ後部線Gbの前端と合わせ前部線Gfの後端とは段差移行線Gmとなっており、前記上蓋体Bの前部の下部は注ぎ口筒部3の前方に位置しかつその下縁の合わせ前部線Gf近傍に前記係合突起Dが配置されている。
【0056】
この構成によって、未開封時には上蓋体Bの係合突起Dとタンパーバンド部Fの係上部8との係合を堅実にでき、開封時には上蓋体Bを開けて注ぎ口筒部3を大きく露出して注ぎ出しを容易にできる。
【0057】
また、前記実施形態においてヒンジキャップ1は、前記タンパーバンド部Fは、前部が本体外筒4の前部で合わせ前部線Gf近傍の前ブリッジEfと連結され、左右側部が本体外筒4の側部で段差移行線Gm近傍の横ブリッジEwと連結されており、前記横ブリッジEwは上下2箇所Ew1、Ew2に形成されている。
【0058】
この構成によって、本体外筒4に対してタンパーバンド部Fを捻れ、撓みの生じしない適正姿勢に配置できかつ保持できる。
【0059】
さらに、前記実施形態においてヒンジキャップ1は、前記注ぎ口筒部3の上部は合わせ後部線Gbより上方に突出していて、この上部の内周面11には、上端の上広がり部11aと、下部の嵌合部11bと、上広がり部11aと嵌合部11bとの間の外シール部11cとが形成されており、前記内栓筒部6の外周面12には、前記嵌合部11bに嵌脱可能に嵌合する嵌入部12bと、前記外シール部11cに内接する内シール部12cとが形成されている。
【0060】
この構成によって、注ぎ口筒部3と内栓筒部6の嵌合機能及びシール機能を確保できかつ持続できる。
【0061】
さらにまた、前記実施形態においてヒンジキャップ1は、前記段差移行線Gmは合わせ後部線Gbの前端から合わせ前部線Gfの後端ヘ下向き傾斜されている。
【0062】
この構成によって、開封時には注ぎ口筒部3を大きく露出するので上蓋体Bの前部を大きく形成することが可能になり、係上部8が合わせ前部線Gfの位置に構成できて不正使用が防止できる。
【0063】
前記実施形態において容器は、ヒンジキャップ1をパウチPの上部に設けたスパウトSに装着している。
【0064】
この構成によって、不正使用が防止されかつ使い勝手のよいヒンジキャップ付きの容器を提供できる。
【0065】
また、前記実施形態において容器は、前記スパウトSの内周面とキャップ本体部Aの装着部5との間には、周方向の位置を決定して廻り止めを行う廻り止め手段14が形成されている。
【0066】
この構成によって、ヒンジキャップ1を容器のスパウトSに対して適正位置に位置決めしかつ保持することができる。
【0067】
さらに、前記実施形態において容器は、前記パウチPは上縁と左右側縁と底縁とを有し、左右一方の側縁と上縁とが交わる角部を切り欠いて三角空間Kと傾斜縁Lとを形成し、この傾斜縁Lに前記スパウトSを配置するとともに、スパウトSに装着されるヒンジキャップ1を前記三角空間K内に納めている。
【0068】
この構成によって、パウチPが略矩形状であった場合に、ヒンジキャップ1を三角空間K内に納めて、全体をコンパクトにすることができる。
【0069】
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、部材の形状、構成及び組み合わせ等を変更したりすることもできる。
【0070】
例えば、合わせ後部線Gbから合わせ前部線Gfの落差は、タンパーバンド部Fの上下幅と同程度の寸法でもよく、段差移行線Gmはヒンジキャップ1の中心線と略平行であってもよい。
【0071】
ヒンジ部Cは一体成形の折り曲げ構造でなく、連結ピンを使う蝶番構造にしてもよい。
【0072】
上蓋体Bは、前上部に凹部を形成して、凹部を爪掛け部にしたり、凹部の上側をつば部とすることが可能であり、また、つば部15は設けなくとも、前上部を指で押して解放動作させることは可能である。
【符号の説明】
【0073】
1 ヒンジキャップ
2 容器
3 注ぎ口筒部
4 本体外筒
5 装着部
6 内栓筒部
7 蓋周壁部
8 係上部
11 内周面
11a 上広がり部
11b 嵌合部
11c 外シール部
12 外周面
12b 嵌入部
12c 内シール部
14 廻り止め手段
15 つば部
21 長溝
22 凸条
A キャップ本体部
B 上蓋体
Be 天井部
C ヒンジ部
D 係合突起
E ブリッジ
Ef 前ブリッジ
Ew 横ブリッジ
Ew1 下側横ブリッジ
Ew2 上側横ブリッジ
F タンパーバンド部
Fa ツマミ部
G 合わせ線
Gb 合わせ後部線
Gf 合わせ前部線
Gm 段差移行線
K 三角空間
L 傾斜縁
P パウチ
S スパウト
Sa 口部
h 連結線
j 円弧軌跡
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10