(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024106738
(43)【公開日】2024-08-08
(54)【発明の名称】車両用監視システム、その車両用監視システムに用いられる車載装置、監視システム、及び、その監視システムに用いられる監視エリア設置装置
(51)【国際特許分類】
G08B 25/00 20060101AFI20240801BHJP
G08B 13/196 20060101ALI20240801BHJP
H04N 7/18 20060101ALI20240801BHJP
G07C 5/02 20060101ALI20240801BHJP
【FI】
G08B25/00 510M
G08B13/196
H04N7/18 D
H04N7/18 U
G07C5/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023011155
(22)【出願日】2023-01-27
(71)【出願人】
【識別番号】523031275
【氏名又は名称】有限会社黄色いトマト
(74)【代理人】
【識別番号】100104776
【弁理士】
【氏名又は名称】佐野 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100119194
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 明夫
(72)【発明者】
【氏名】永井 和美
(72)【発明者】
【氏名】山田 隆一
【テーマコード(参考)】
3E138
5C054
5C084
5C087
【Fターム(参考)】
3E138AA01
3E138MA10
3E138MB08
3E138MC12
3E138MD05
3E138ME04
3E138MF08
5C054CA04
5C054CA05
5C054CC02
5C054CE00
5C054DA07
5C054FA00
5C054FC12
5C054FE28
5C054GB02
5C054GB05
5C054GD07
5C054HA19
5C084AA04
5C084AA07
5C084AA18
5C084DD11
5C084EE02
5C084FF02
5C084HH01
5C084HH10
5C084HH12
5C087AA02
5C087AA03
5C087AA09
5C087AA19
5C087AA32
5C087BB20
5C087BB74
5C087DD05
5C087DD14
5C087EE08
5C087FF01
5C087FF02
5C087FF04
5C087FF17
5C087GG02
5C087GG08
5C087GG09
5C087GG66
5C087GG70
5C087GG83
(57)【要約】
【課題】注意喚起の誤った通知を低減する監視システムを提供することである。
【解決手段】この車両用監視システム1は、車両2に設置され車両周囲の状況を撮影する車載装置3と、車両周囲の状況を表示する携帯装置4とを備えている。車載装置3は、車両周囲の画像に写る人物が監視対象外である登録者であるか否かについて認証を行い判定し、非登録者と判定されたときに、画像に写る非登録者の挙動を検出して人物検出情報を作成する。作成された人物検出情報を分析して非登録者が不審者であるリスクレベルを推定し、このリスクレベルが、所定のリスク許容レベルを上回った場合、人物検出情報と画像のデータを含むリスク情報を通信により携帯装置4に向けて送出する。携帯装置4は、リスク情報を受け付けて、その内容を表示する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両周囲に存在する不審者を監視する車両用監視システムであって、
車両に設置され車両周囲の状況を撮影する車載装置と、該車載装置と通信により接続され前記車両周囲の状況を表示する携帯装置とを備え、
前記車載装置は、
監視対象外としてあらかじめ登録される登録者の認証情報が記憶される登録者情報記憶部と、
前記車両周囲の画像を撮影する撮影部と、
該撮影部で撮影された前記画像に写る人物が前記登録者であるか否かについて前記登録者情報記憶部に記憶されている前記登録者の認証情報に基づいて認証を行い判定する認証部と、
該認証部において非登録者と判定されたときに、前記画像に写る前記非登録者の挙動を検出して人物検出情報を作成する検出情報作成部と、
該検出情報作成部で作成された前記人物検出情報を分析して前記非登録者が不審者であるリスクレベルを推定するリスク分析部と、
該リスク分析部で推定された前記リスクレベルが、所定のリスク許容レベルを上回った場合、前記人物検出情報及び/又は前記画像のデータ、を含むリスク情報を通信により送出するリスク情報通知部とを有し、
前記携帯装置は、
前記リスク情報通知部から送出される前記リスク情報を受け付けるリスク情報受付部と、
該リスク情報受付部で受け付けた前記リスク情報の内容を表示する表示部とを有することを特徴とする車両用監視システム。
【請求項2】
前記車載装置は、
前記撮影部で撮影される前記車両周囲のライブ映像のデータを通信により送出するライブ映像送出部を有し、
前記携帯装置は、
前記ライブ映像送出部から送出される前記ライブ映像のデータを受け付けるライブ映像受付部を有し、
前記携帯装置から送信される前記ライブ映像の送出要求を前記車載装置が受け付けると、前記ライブ映像のデータが前記ライブ映像送出部から前記携帯装置に向けて送出され、
前記ライブ映像受付部に送出された前記ライブ映像のデータが受け付けられると、前記表示部に前記ライブ映像が表示されることを特徴とする請求項1に記載の車両用監視システム。
【請求項3】
前記携帯装置は、
前記リスク情報及び/又は前記ライブ映像のデータ、を保存する指示を受け付ける保存指示受付部と、
前記リスク情報及び/又は前記ライブ映像のデータ、を保存するリスク情報保存部とを有し、
前記保存指示受付部が、ユーザからの保存指示を受け付けると、前記リスク情報及び/又は前記ライブ映像のデータ、が前記リスク情報保存部に保存されることを特徴とする請求項2に記載の車両用監視システム。
【請求項4】
前記車載装置は、
要注意者の認証情報が記憶される要注意者情報記憶部を有し、
前記認証部が、前記画像に写る人物が前記要注意者であるか否かについて前記要注意者情報記憶部に記憶されている前記要注意者の認証情報に基づいて認証を行い判定し、前記要注意者と判定されると、前記検出情報作成部が前記画像に写る前記要注意者の挙動を検出して前記人物検出情報を作成し、前記リスク情報通知部が前記リスク情報を前記携帯装置に向けて送出することを特徴とする請求項1に記載の車両用監視システム。
【請求項5】
前記車載装置を複数備えており、
前記複数の前記車載装置は、それぞれ通信により接続され、それぞれの前記要注意者情報記憶部に記憶される前記要注意者の認証情報が、前記複数の前記車載装置の間で共用されることを特徴とする請求項4に記載の車両用監視システム。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れか一項に記載の車両用監視システムに備えられている車載装置。
【請求項7】
監視エリアに存在する不審者を監視する監視システムであって、
監視エリアに設置され該監視エリアの状況を撮影する監視エリア設置装置と、該監視エリア設置装置と通信により接続され前記監視エリアの状況を表示する携帯装置とを備え、
前記監視エリア設置装置は、
監視対象外としてあらかじめ登録される登録者の認証情報が記憶される登録者情報記憶部と、
前記監視エリアの画像を撮影する撮影部と、
該撮影部で撮影された前記画像に写る人物が前記登録者であるか否かについて前記登録者情報記憶部に記憶されている前記登録者の認証情報に基づいて認証を行い判定する認証部と、
該認証部において非登録者と判定されたときに、前記画像に写る前記非登録者の挙動を検出して人物検出情報を作成する検出情報作成部と、
該検出情報作成部で作成された前記人物検出情報を分析して前記非登録者が不審者であるリスクレベルを推定するリスク分析部と、
該リスク分析部で推定された前記リスクレベルが、所定のリスク許容レベルを上回った場合、前記人物検出情報及び/又は前記画像のデータ、を含むリスク情報を通信により送出するリスク情報通知部とを有し、
前記携帯装置は、
前記リスク情報通知部から送出される前記リスク情報を受け付けるリスク情報受付部と、
該リスク情報受付部で受け付けた前記リスク情報の内容を表示する表示部とを有することを特徴とする監視システム。
【請求項8】
請求項7に記載の監視システムに備えられている監視エリア設置装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、不審者を監視する監視システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
カメラで周囲を撮影して不審者を監視するシステムが多数提案されており、例えば、下記特許文献1に記載されている車両用監視システムが知られている。この車両用監視システムは、車両に搭載された車載機と、ユーザの所持する携帯機を備え、車載機で不正行為が検知されると、その不正行為の要因が携帯機に表示される。また、車載機のカメラで撮影された映像が携帯機に接続されたパソコン(外部機器)に表示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の車両用監視システムは、ユーザや車両周囲に存在する人を不審者であると車載機が誤って検知し、そのたびに携帯機に誤った報知が繰り返され、煩わしさを感じさせるという問題が生じていた。
【0005】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、この発明の目的は、注意喚起の誤った通知を低減する監視システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、車両周囲に存在する不審者を監視する車両用監視システムであって、車両に設置され車両周囲の状況を撮影する車載装置と、該車載装置と通信により接続され前記車両周囲の状況を表示する携帯装置とを備え、前記車載装置は、監視対象外としてあらかじめ登録される登録者の認証情報が記憶される登録者情報記憶部と、前記車両周囲の画像を撮影する撮影部と、該撮影部で撮影された前記画像に写る人物が前記登録者であるか否かについて前記登録者情報記憶部に記憶されている前記登録者の認証情報に基づいて認証を行い判定する認証部と、該認証部において非登録者と判定されたときに、前記画像に写る前記非登録者の挙動を検出して人物検出情報を作成する検出情報作成部と、該検出情報作成部で作成された前記人物検出情報を分析して前記非登録者が不審者であるリスクレベルを推定するリスク分析部と、該リスク分析部で推定された前記リスクレベルが、所定のリスク許容レベルを上回った場合、前記人物検出情報及び/又は前記画像のデータ、を含むリスク情報を通信により送出するリスク情報通知部とを有し、前記携帯装置は、前記リスク情報通知部から送出される前記リスク情報を受け付けるリスク情報受付部と、該リスク情報受付部で受け付けた前記リスク情報の内容を表示する表示部とを有することを特徴とする。
【0007】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の構成に加えて、前記車載装置は、前記撮影部で撮影される前記車両周囲のライブ映像のデータを通信により送出するライブ映像送出部を有し、前記携帯装置は、前記ライブ映像送出部から送出される前記ライブ映像のデータを受け付けるライブ映像受付部を有し、前記携帯装置から送信される前記ライブ映像の送出要求を前記車載装置が受け付けると、前記ライブ映像のデータが前記ライブ映像送出部から前記携帯装置に向けて送出され、前記ライブ映像受付部に送出された前記ライブ映像のデータが受け付けられると、前記表示部に前記ライブ映像が表示されることを特徴とする。
【0008】
請求項3に係る発明は、請求項2に記載の構成に加えて、前記携帯装置は、前記リスク情報及び/又は前記ライブ映像のデータ、を保存する指示を受け付ける保存指示受付部と、前記リスク情報及び/又は前記ライブ映像のデータ、を保存するリスク情報保存部とを有し、前記保存指示受付部が、ユーザからの保存指示を受け付けると、前記リスク情報及び/又は前記ライブ映像のデータ、が前記リスク情報保存部に保存されることを特徴とする。
【0009】
請求項4に係る発明は、請求項1に記載の構成に加えて、前記車載装置は、要注意者の認証情報が記憶される要注意者情報記憶部を有し、前記認証部が、前記画像に写る人物が前記要注意者であるか否かについて前記要注意者情報記憶部に記憶されている前記要注意者の認証情報に基づいて認証を行い判定し、前記要注意者と判定されると、前記検出情報作成部が前記画像に写る前記要注意者の挙動を検出して前記人物検出情報を作成し、前記リスク情報通知部が前記リスク情報を前記携帯装置に向けて送出することを特徴とする。
【0010】
請求項5に係る発明は、請求項4に記載の構成に加えて、前記車載装置を複数有し、前記複数の前記車載装置は、それぞれ通信により接続され、それぞれの前記要注意者情報記憶部に記憶される前記要注意者の認証情報が、前記複数の前記車載装置の間で共用されることを特徴とする。
【0011】
請求項6に係る発明は、請求項1乃至5の何れか一項に記載の車両用監視システムに備えられている車載装置であることを特徴とする。
【0012】
請求項7に係る発明は、監視エリアに存在する不審者を監視する監視システムであって、監視エリアに設置され該監視エリアの状況を撮影する監視エリア設置装置と、該監視エリア設置装置と通信により接続され前記監視エリアの状況を表示する携帯装置とを備え、前記監視エリア設置装置は、監視対象外としてあらかじめ登録される登録者の認証情報が記憶される登録者情報記憶部と、前記監視エリアの画像を撮影する撮影部と、該撮影部で撮影された前記画像に写る人物が前記登録者であるか否かについて前記登録者情報記憶部に記憶されている前記登録者の認証情報に基づいて認証を行い判定する認証部と、該認証部において非登録者と判定されたときに、前記画像に写る前記非登録者の挙動を検出して人物検出情報を作成する検出情報作成部と、該検出情報作成部で作成された前記人物検出情報を分析して前記非登録者が不審者であるリスクレベルを推定するリスク分析部と、該リスク分析部で推定された前記リスクレベルが、所定のリスク許容レベルを上回った場合、前記人物検出情報及び/又は前記画像のデータ、を含むリスク情報を通信により送出するリスク情報通知部とを有し、前記携帯装置は、前記リスク情報通知部から送出される前記リスク情報を受け付けるリスク情報受付部と、該リスク情報受付部で受け付けた前記リスク情報の内容を表示する表示部とを有することを特徴とする。
【0013】
請求項8に係る発明は、請求項7に記載の監視システムに備えられている監視エリア設置装置であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1の発明によれば、監視対象外として登録されている登録者を認証し、非登録者と判定されたときにのみ、リスク情報が携帯装置に通知される。このように、登録者を検知してもリスク情報が送信されず、注意喚起の誤った通知が低減する。
【0015】
また、非登録者の挙動を分析することにより、不審者であるリスクレベルを推定し、リスクレベルが所定のリスク許容レベルを上回った場合にのみ、リスク情報が携帯装置に通知される。このように、非登録者であったとしてもリスクレベルが低いと推定される場合には、リスク情報が送信されず、注意喚起の誤った通知を低減できる。
【0016】
請求項2の発明によれば、車載装置で撮影されるライブ映像が携帯装置に表示されるため、状況をリアルタイムに確認できる。警備会社に連絡し警備員をその場に派遣するなどして、不審者の不正行為を停止させたり、未然に防いだりすることもできる。
【0017】
請求項3の発明によれば、リスク情報やライブ映像のデータを保存できるため、不審者による不正行為の証拠を残すことができる。また、保存された不審者のデータを用いて、要注意者として登録し、その後の監視を強化することもできる。
【0018】
請求項4の発明によれば、要注意者と判定されると、リスク情報が携帯装置に通知される。このように、要注意者に対する監視を強化できる。
【0019】
請求項5の発明によれば、複数の車載装置のそれぞれに記憶されている要注意者の情報が、車載装置の間で共用される。複数の車載装置に記憶されている要注意者の情報を用いて要注意者を認証するため、要注意者に対する監視を強化できる。
【0020】
請求項6の発明によれば、車両用監視システムを構築した後でも、車載装置を買い足して、その監視システムに追加して組み込むことができる。このように、車両用監視システムの拡張性が向上する。
【0021】
請求項7の発明によれば、監視対象外として登録されている登録者を認証し、非登録者と判定されたときにのみ、リスク情報が携帯装置に通知される。このように、登録者を検知してもリスク情報が送信されず、注意喚起の誤った通知が低減する。
【0022】
また、非登録者の挙動を分析することにより、不審者であるリスクレベルを推定し、リスクレベルが所定のリスク許容レベルを上回った場合にのみ、リスク情報が携帯装置に通知される。このように、非登録者であったとしてもリスクレベルが低いと推定される場合には、リスク情報が送信されず、注意喚起の誤った通知を低減できる。
【0023】
請求項8の発明によれば、監視システムを構築した後でも、監視エリア設置装置を買い足して、その監視システムに追加して組み込むことができる。このように、監視システムの拡張性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】この発明の実施の形態1に係る車両用監視システムの構成ブロック概略図である。
【
図2】同実施の形態1に係る車載装置の機能ブロック概略図である。
【
図3】同実施の形態1に係る携帯装置の機能ブロック概略図である。
【
図4】同実施の形態1に係るデータ保存サーバの機能ブロック概略図である。
【
図5】同実施の形態1に係る学習済みモデル生成サーバの機能ブロック概略図である。
【
図6】同実施の形態1に係る車両用監視システムにおいて、監視時の車載装置と携帯装置の動作の流れを示す図である。
【
図7】この発明の実施の形態2に係る監視システムの構成ブロック概略図である。
【
図8】同実施の形態2に係る監視エリア設置装置の機能ブロック概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
[発明の実施の形態1]
この発明の実施の形態1について、
図1~
図6を用いて説明する。
【0026】
図1は、本発明の実施の形態1に係る車両用監視システム1の構成ブロック概略図である。車両2
1,2
2,・・・,2
nに積載されている荷物の盗難や、車両自体の盗難、車体の損傷やパンクなどの車両への危害等の不正行為を発見したり防止したりするために、この車両用監視システム1が用いられ車両周囲の不審者が監視される。具体的には、この監視システム1を構成する車載装置3
1,3
2,・・・,3
nが不審者を検知するとリスク情報が送信され、ユーザが所持する携帯装置4に注意を喚起する通知が表示される。
【0027】
この車両用監視システム1は、車両21,22,・・・,2nに設置される車載装置31,32,・・・,3n、監視の状況が表示される携帯装置4、車載装置31,32,・・・,3nで検出された情報が保存されるデータ保存サーバ5、及び、認証などの人工知能を利用した画像処理に用いられる学習済みモデルを生成する学習済みモデル生成サーバ6を含むように構成され、それぞれの要素が移動体通信回線9を介して通信により接続されている。
【0028】
図1に示すように、1台の携帯装置4を用いて、複数の車両2
1,2
2,・・・,2
nを監視することも可能であり、それぞれの車両2
1,2
2,・・・,2
nには車載装置3
1,3
2,・・・,3
nが設置される。また、一旦、車両用監視システム1を構築した後でも、事後的に、新たな車載装置3
n+1を買い足して、構築した車両用監視システム1に追加して組み込むことができるようになっている。
【0029】
以下の説明では、複数であることを明示する必要がない場合、複数の車両21,22,・・・,2nを代表して、車両2という符号を付して表し、複数の車両21,22,・・・,2nのそれぞれに設置されている車載装置31,32,・・・,3nを代表して、車載装置3という符号を付して表す。
【0030】
図2に車載装置3の機能ブロック概略図を示す。この車載装置3は、車両2に設置され車両周囲の状況を撮影する。
【0031】
また、この車載装置3は、本発明に係る車両用監視システム1の機能とともに通常のドライブレコーダの機能も有している。車両2のアクセサリ電源が投入されているときには、通常のドライブレコーダとして機能し、アクセサリ電源が切断されると本発明に係る車両用監視システム1を構成する車載装置3として動作する。また、この車載装置3には、二次電池としての電気二重層コンデンサを用いたスーパーキャパシタ(図示せず)が内蔵されており、アクセサリ電源が投入されている状態では、アクセサリ電源から電力を取得して動作し、アクセサリ電源が切断されるとアクセサリ電源投入中に充電されたスーパーキャパシタを電源として動作するように構成されている。
【0032】
図2に示すように、この車載装置3は、制御部300、登録者情報記憶部302、前方撮影部304、後方撮影部306、一時記憶部308、認証部310、検出情報作成部312、リスク分析部314、リスク情報作成部316、リスク情報通知部318、ライブ映像要求受付部320、ライブ映像送出部322、要注意者情報記憶部324、時計部326、通信部328、GPS(Global Positioning System)モジュール330、加速度センサ332及び照明部334を含むように構成されている。
【0033】
制御部300は、図示しないCPU(Central Processing Unit)、不揮発性メモリであるフラッシュメモリ、揮発性メモリのRAM(Random Access Memory)を含むように構成される。CPUは、プログラムの実行、演算処理、この車載装置3を構成する各要素の制御などを行う。フラッシュメモリには、CPUが実行するプログラムや登録データなどが記憶され、RAMは、CPUによるプログラムの実行や演算処理のワークエリアとして使用される。
【0034】
登録者情報記憶部302には、監視対象外としてあらかじめ登録される登録者の認証情報が記憶される。この車両用監視システム1のユーザなどが登録者として登録される。登録者の認証情報は、登録者の顔画像や身体全体画像、歩行の様子を撮影した画像などに基づいて車載装置3で作成され、顔画像の特徴量の情報、顔画像の点群データ、骨格などを示す体格情報、身体の傾きなどを示す姿勢情報、及び、歩行の特徴を示す歩行情報などにより構成される。
【0035】
「撮影部」としての前方撮影部304は、車両周囲の前方の画像を撮影し、同じく、「撮影部」としての後方撮影部306は、車両周囲の後方の画像を撮影する。
【0036】
前方撮影部304と後方撮影部306には、CMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor)エリアセンサやCCD(Charged-Coupled Device)エリアセンサ等の撮像素子を用いることができる。
【0037】
また、既存のドライブレコーダの製品を改造して、車載装置3を製作する場合などでは、ドライブレコーダに組み込まれているカメラを用いてもよい。また、周囲が暗く低照度でも撮影できるように高感度カメラを用いるようにしてもよい。また、カラー画像の撮影ができなくなるが赤外線カメラを用いてもよい。
【0038】
車両2の前方と後方を撮影することで、人が前方撮影部304と後方撮影部306に撮影される時間差などから車両周囲を歩く速さや、車両2を周回した回数等を計測できる。
【0039】
なお、前方撮影部304と後方撮影部306の両方を必ずしも含む必要はなく、監視の用途に応じて、どちらか一方で「撮影部」を構成するようにしてもよい。
【0040】
一時記憶部308は、撮影された画像データなどを一時的に記憶する。
【0041】
認証部310は、前方撮影部304と後方撮影部306で撮影された画像に写る人物が登録者であるか否かについて登録者情報記憶部302に記憶されている登録者の認証情報に基づいて認証を行い判定する。
【0042】
また、この認証部310では、登録者の認証と判定を行うとともに、要注意者の認証と判定も行う。すなわち、前方撮影部304と後方撮影部306で撮影された画像に写る人物が要注意者であるか否かについて要注意者情報記憶部324に記憶されている要注意者の認証情報に基づいて認証を行い判定する。
【0043】
要注意者の認証情報は、登録者の認証情報と同様の項目で構成され、顔画像の特徴量の情報、顔画像の点群データ、体格情報、姿勢情報、及び、歩行情報などにより構成される。ただし、登録者の認証情報と異なり、要注意者の認証情報は、すべての項目が設定されるとは限らず、一部に欠落が生ずることが想定される。その場合には、設定されている認証情報のみを用いて、要注意者の認証が行われる。
【0044】
認証の処理は、まず、撮影画像から人物の顔を検出して顔認証が行われる。この顔認証により高精度に認証が実行できる場合には、顔認証の結果に基づいて判定が行われる。撮影画像に写る人物が、マスクを装着しているなどして、精度よく顔認証が実行できない場合には、体格情報や、姿勢情報、歩行情報などを用いた認証が行われ、顔認証の結果を含むそれらの認証結果に基づいて判定が行われる。
【0045】
人物の認証の処理は、主に画像処理により行われ、人工知能を利用した画像処理の演算なども含まれている。なお、本実施形態1において、顔認証などの人物の認証を行う処理は、既存の技術を利用して実現される。
【0046】
検出情報作成部312は、認証部310において登録者でなく非登録者と判定されたときに、撮影画像に写る非登録者の挙動を検出して人物検出情報を作成する。
【0047】
人物検出情報は、撮影画像から抜き出したその人物の顔画像、身体全体画像、身体全体画像から求められる体格情報・姿勢情報・服装の色の情報、歩行の様子が撮影されている歩行画像、歩行画像から求められる歩行の癖などの特徴を示す歩行情報、手に物を持っているかの情報、車両周囲の滞在時刻・滞在時間、その人物と車両2との距離、その人物を検出した前回と今回の時間間隔、例えば1時間などの所定時間内にその人物を検出した頻度、車両周囲を周回した回数などを含むように構成されている。また、その人物の身長により判定する大人であるか子供であるかの情報、立っているか屈んでいるかなどのその人物の体勢の情報等も人物検出情報に含めるようにしてもよい。また、人物検出情報の作成に用いられる画像としては、1台の車載装置3で撮影されたものだけでなく、近くに駐車されている車両2で撮影された画像を含めるようにしてもよい。
【0048】
なお、撮影画像に写る非登録者が複数いる場合には、それぞれの人物について、人物検出情報が作成される。複数の非登録者には、ID(Identification)番号などが割り振られて、このID番号により非登録者の人物検出情報が管理される。
【0049】
リスク分析部314は、検出情報作成部312で作成された人物検出情報を分析して非登録者が不審者であるリスクレベルを推定する。
【0050】
リスクレベルは、不審者と推定される確率や、車両2に危害が加えられる危険度などを表す。
【0051】
例えば、人物検出情報に含まれる、所定時間内にその人物を検出した頻度や車両周囲を周回した回数、車両周囲の滞在時間などの情報を用いて、不審者と推定される確率を推定し、不審者であるリスクレベルを0~100%の確率を示す数値として算出するようにしてもよい。また、人物検出情報を構成する各項目の情報を数値化し、それらの数値に重みづけをするなどして、不審者と推定される確率を総合的に推定する処理を行い、リスクレベルを求めるようにしてもよい。本実施形態では、リスクレベルが0~100%の確率を示す数値で表され、リスクレベルが高くなるほど不審者と推定される確率が高くなるように設定されている。
【0052】
推定されたリスクレベルが、あらかじめ車載装置3に登録されている所定のリスク許容レベルを上回ると、後述するリスク情報が車載装置3から携帯装置4に送信され、携帯装置4に注意喚起の通知が表示される。例えば、推定されたリスクレベルが63%であり、リスク許容レベルが60%に設定されていれば、携帯装置4に注意喚起の通知が表示される。
【0053】
また、人物検出情報の作成に用いられる撮影画像の分量が多くなるほど、人物検出情報を構成する各項目の情報の精度が高まり、それに応じて、その人物検出情報に基づいて求められるリスクレベルの推定精度も向上していく。
【0054】
リスク情報作成部316は、人物検出情報と撮影画像のデータを含むリスク情報を作成する。
【0055】
リスク情報は、注意喚起の通知として携帯装置4に送信されて表示される情報である。リスク情報には、人物検出情報が含まれるが、人物検出情報を構成する全ての項目を含む必要はなく、項目の一部の情報を選択して含めるようにしてもよい。また、リスク情報には、前方撮影部304と後方撮影部306で撮影された画像データが含まれるが、この画像データは、数10秒程度の短時間を切り取った映像データとなっている。この映像データは、一時記憶部308に記憶されている撮影画像データからその時間の部分を抜き出して作成される。画像データには、撮影された時刻が画像の一部に重ねられるように追加され、画像の一部分に撮影時刻が表示される。
【0056】
また、リスク情報には、推定されたリスクレベルや、リスク許容レベルなども含まれ、注意喚起の通知としてリスクレベルなども携帯装置4に表示される。
【0057】
リスク情報通知部318は、リスク分析部314で推定されたリスクレベルが、所定のリスク許容レベルを上回った場合、リスク情報作成部316で作成されたリスク情報を通信により携帯装置4に向けて送出する。
【0058】
また、認証部310が、画像に写る人物が要注意者であるか否かについて要注意者情報記憶部324に記憶されている要注意者の認証情報に基づいて認証を行い判定し、要注意者と判定されると、検出情報作成部312において画像に写る要注意者の挙動を検出して人物検出情報が作成され、リスク情報通知部318がリスク情報を携帯装置4に向けて送出する。
【0059】
ライブ映像要求受付部320は、携帯装置4から送信されるライブ映像の送出要求を受け付ける。
【0060】
ライブ映像送出部322は、前方撮影部304と後方撮影部306で撮影される車両周囲のライブ映像のデータを通信により携帯装置4に向けて送出する。
【0061】
要注意者情報記憶部324には、要注意者の認証情報が記憶される。上述のように要注意者の認証情報には、顔画像の特徴量の情報、顔画像の点群データ、体格情報、姿勢情報、歩行情報などが含まれる。この要注意者の認証情報は、前方撮影部304と後方撮影部306で撮影される画像データを用いて車載装置3で作成される。もちろん、外部から要注意者の画像データを車載装置3に供給し、その画像データを用いて要注意者の認証情報を作成させるようにしてもよい。
【0062】
撮影画像に写る人物を要注意者と認定し、要注意者の認証情報を作成させる判断は、撮影画像を携帯装置4で確認してユーザが行うようにしてもよいし、要注意者レベルをあらかじめ設定しておき、リスク分析部314で推定されるリスクレベルが、この要注意者レベル以上になると、自動的にその撮影画像に写っている人物を要注意者に認定するようにしてもよい。
【0063】
また、本実施の形態1では、複数の車載装置31,32,・・・,3nのそれぞれの要注意者情報記憶部324に記憶されている要注意者の認証情報を、それら複数の車載装置31,32,・・・,3nの間で共用して、要注意者の認証を行うようになっている。すなわち、それぞれの車載装置31,32,・・・,3nでは、自らの要注意者情報記憶部324に記憶されている要注意者の認証情報に基づいて要注意者の認証を行うとともに、他の要注意者情報記憶部324に記憶されている要注意者の認証情報に基づいて要注意者の認証を行う。このように要注意者の認証情報を共用することにより、ある車両2に対して不審な行為を繰り返し要注意者として登録されている人物が、他の車両2でも要注意者として認証が行われるようになり、要注意者に対する監視が強化される。
【0064】
時計部326は、現在時刻を通知する。時計部326から取得した時刻が、撮影時刻を示す情報として、撮影画像に重ねられるように表示される。
【0065】
通信部328は、移動体通信回線9を介して、車載装置3の外部とデータの送受信をする。通信部328から送信されるデータは、電波として基地局に送られ、そのデータを受信する装置の近傍にある基地局からその装置に向けて送信される。また、通信部328が受信するデータは、基地局から電波として送られてくる。
【0066】
GPSモジュール330は、GPSシステムからの信号を受信して、地球上の現在位置を通知する。GPSモジュール330から位置情報を取得することで、車両2の現在位置を確認できる。
【0067】
加速度センサ332は、センサに生ずる加速度を通知する。車両2に危害が加えられ車体が振動すると、加速度や加速度の変化として検出される。検出される加速度や加速度の変化が、所定の数値を上回ると、不正行為が実行されたと判定され、リスク情報が携帯装置4に送信されて表示されるとともに、前方撮影部304と後方撮影部306で撮影された静止画が、不正行為の証拠を示すデータとして、携帯装置4に送信されて自動的に保存される。
【0068】
照明部334は、車両周囲を照明する。夜間で周囲に照明灯などがなく撮影に照度が不足する場合、照明部334が点灯して周囲を照明する。
【0069】
車載装置3についての上記の説明は、車載装置3が車両用監視システム1を構成するように動作する場合の説明である。
【0070】
一方、車載装置3がドライブレコーダとして動作する場合には、加速度センサ332で検出される加速度や加速度の変化が、車両2への衝突が想定されるような所定の許容値を超えるときに、前方撮影部304や後方撮影部306で撮影された画像データや、撮影時刻、車両2の位置情報などが車載装置3に記憶される。
【0071】
図3に携帯装置4の機能ブロック概略図を示す。この携帯装置4は、車載装置3から送信されてくる車両周囲の状況を表示する。
【0072】
携帯装置4は、制御部400、携帯装置側撮影部402、リスク情報受付部404、一時記憶部406、表示部408、入力部410、ライブ映像要求送出部412、ライブ映像受付部414、保存指示受付部416、リスク情報保存部418、通信部420及びスピーカ422を含むように構成されており、スマートフォンなどの携帯情報端末を用いることができる。
【0073】
制御部400は、図示しないCPU、不揮発性メモリであるフラッシュメモリ、揮発性メモリのRAMを含むように構成され、携帯装置4を構成する各要素を制御して動作させる。
【0074】
携帯装置側撮影部402では、監視対象外として登録される登録者の顔画像、身体全体画像、歩行の様子を撮影した歩行画像などを撮影する。この携帯装置側撮影部402で撮影された顔画像、身体全体画像、歩行画像などの画像データは、車載装置3に向けて送信され、車載装置3では、これらの画像データに基づいて登録者の認証情報が作成され記憶される。
【0075】
リスク情報受付部404は、車載装置3から送出されるリスク情報を受け付ける。
【0076】
一時記憶部406は、リスク情報受付部404で受け付けたリスク情報や、ライブ映像受付部414で受け付けたライブ映像のデータなどを一時的に記憶する。
【0077】
表示部408は、リスク情報受付部404で受け付けたリスク情報の内容などを表示する。リスク情報の内容の表示は、注意喚起のアラーム通知として作用する。リスク情報として表示される内容には、人物の顔画像、身体全体画像、車両周囲の滞在時刻・滞在時間、所定時間内にその人物を検出した頻度、車両周囲を周回した回数などの人物検出情報に含まれる情報や、車両周囲の短時間の映像、推定されたリスクレベル、リスク許容レベルなどが含まれる。リスク情報の内容を表示する際には、スピーカ422からアラーム音を発生させるようにしてもよい。
【0078】
また、車載装置3から送出されてくるライブ映像のデータがライブ映像受付部414に受け付けられると、表示部408にライブ映像が表示される。
【0079】
入力部410は、ユーザからの入力を受け付ける。この入力部410には、タッチパネルなどが用いられる。
【0080】
ライブ映像要求送出部412は、車両周囲のライブ映像の送出要求を車載装置3に向けて送信する。例えば、ユーザが、表示部408に表示されるリスク情報を確認し、不審者の疑いのある人物をライブ映像でも確認するときには、入力部410からライブ映像の表示を要求する指示が入力される。このユーザからの表示要求を受けて、ライブ映像要求送出部412からライブ映像の送出要求が送信される。
【0081】
ライブ映像受付部414は、車載装置3から送出されてくるライブ映像のデータを受け付ける。受け付けたライブ映像は、表示部408に表示される。
【0082】
保存指示受付部416は、車載装置3から送出されてきたリスク情報とライブ映像のデータを保存する指示をユーザから受け付ける。この保存の指示として、リスク情報とライブ映像のデータのどちらか一方のみを選択して保存するようにしてもよい。また、データの保存場所としては、車載装置3とデータ保存サーバ5のいずれかを選択できるように構成されている。データ保存サーバ5に保存する場合には、保存するリスク情報やライブ映像のデータをデータ保存サーバ5に向けて送出する。データ保存サーバ5に保存することにより、携帯装置4のメモリの使用量を削減できる。
【0083】
リスク情報やライブ映像のデータの保存は、ユーザからの指示を受け付けて行うとともに、推定されたリスクレベルが、所定の保存レベル以上である場合に、自動的に行うようにしてもよい。
【0084】
リスク情報保存部418は、リスク情報とライブ映像のデータを保存する。一時記憶部406には、リスク情報やライブ映像のデータが一時的に保存されているため、保存の対象となるリスク情報等が一時記憶部406から取り出されて、リスク情報保存部418に保存される。
【0085】
このリスク情報保存部418に保存されているリスク情報とライブ映像のデータの中からユーザが選択したリスク情報やライブ映像のデータに対応する人物を、要注意者と認定して、そのリスク情報やライブ映像のデータを用いて車載装置3に要注意者の認証情報を作成させて、車載装置3に記憶させるようにしてもよい。
【0086】
通信部420は、移動体通信回線9を介して、携帯装置4の外部とデータの送受信をする。
【0087】
スピーカ422は、音声を発生する。また、アラーム音なども発生する。
【0088】
図4にデータ保存サーバ5の機能ブロック概略図を示す。このデータ保存サーバ5には、リスク情報やライブ映像のデータが保存される。また、外部からの要求に応じて、このデータ保存サーバ5に保存されているリスク情報やライブ映像のデータを要求元に提供する。
【0089】
データ保存サーバ5は、制御部500、リスク情報保存部502及び通信部504を含むように構成されており、サーバ装置やPC(Personal Computer)などを用いることができる。
【0090】
制御部500は、図示しないCPU、不揮発性記憶装置である補助記憶装置、揮発性メモリのRAMを含むように構成される。CPUは、プログラムの実行、演算処理、このデータ保存サーバ5を構成する各要素の制御などを行う。補助記憶装置には、CPUが実行するプログラムや登録データなどが記憶され、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)などが用いられる。RAMは、CPUによるプログラムの実行や演算処理のワークエリアとして使用される。
【0091】
通信部504は、移動体通信回線9を介して、データ保存サーバ5の外部とデータの送受信をする。
【0092】
リスク情報保存部502は、車載装置3から送出されてくるリスク情報やライブ映像のデータを保存する。
【0093】
図5に学習済みモデル生成サーバ6の機能ブロック概略図を示す。この学習済みモデル生成サーバ6は、人工知能を利用した画像処理に用いられる学習済みモデルを生成する。例えば、顔認証に用いられる学習済みモデルなどが生成される。
【0094】
この学習済みモデル生成サーバ6は、制御部600、学習データ受付部602、学習済みモデル生成部604、学習済み生成モデル提供部606及び通信部608を含むように構成されており、サーバ装置やPCなどを用いることができる。
【0095】
制御部600は、図示しないCPU、補助記憶装置、RAMを含むように構成され、この学習済みモデル生成サーバ6を構成する各要素の制御などを行う。
【0096】
通信部608は、移動体通信回線9を介して、学習済みモデル生成サーバ6の外部とデータの送受信をする。
【0097】
学習データ受付部602は、学習済みモデルを生成するために用いられる学習データを受け付ける。この学習データ受付部602に受け付けられる学習データは、大量のデータとなることが多い。
【0098】
学習済みモデル生成部604では、学習データ受付部602で受け付けた学習データを用いて機械学習を実行して学習済みモデルを生成する。
【0099】
学習済み生成モデル提供部606は、学習済みモデル生成部604で生成された学習済みモデルを要求元に送信して提供する。また、学習済みモデルを提供するのでなく、処理対象となるデータを受け付けて、学習済みモデルを用いて演算を実行し、演算結果を提供するようにしてもよい。
【0100】
例えば、車両周囲を通過する自動車の車種を判別する画像処理を行う学習済みモデルを生成する場合には、車種ごとに異なる方向から撮影した大量の画像を、学習データ(教師データ)として学習済みモデル生成サーバ6に送信する。学習データ受付部602が、この学習データを受け付けると、学習済みモデル生成部604では、学習データを用いて学習を行い、学習済みモデルを生成する。そして、生成された学習済みモデルが、学習済み生成モデル提供部606から車載装置3に向けて送信される。車載装置3では、この生成された学習済みモデルを受け取ると記憶して、車種を判別する画像処理の際に使用する。
【0101】
次に、本実施の形態1に係る車両用監視システム1の動作について説明する。
【0102】
図6は、この車両用監視システム1において、監視時の車載装置3と携帯装置4の動作の流れを示す図である。
【0103】
車載装置3がドライブレコーダの機能から車両用監視システム1の機能に切り替わると、車載装置3では前方撮影部304と後方撮影部306で撮影された画像データを分析して、車両周囲に人が存在するか判定する(ステップS10)。車両周囲に人が存在しない場合(ステップS10のNo)には、人が検出されるまで、画像の撮影と分析、判定を繰り返す。
【0104】
車両周囲に人が存在する場合(ステップS10のYes)、認証部310では、登録者情報記憶部302に記憶されている登録者の認証情報に基づいて、撮影画像に写っている人物が登録者であるか否かの認証を行う(ステップS11)。また、要注意者情報記憶部324に記憶されている要注意者の認証情報に基づいて要注意者であるか否かの認証を行う(ステップS11)。
【0105】
そして、撮影画像の人物が登録者と判定される(ステップS12のNo)と、ステップS10に戻る。非登録者と判定される場合(ステップS12のYes)には、次に、要注意者であるかが判定され(ステップS13)、要注意者と判定される(ステップS13のYes)と、検出情報作成部312で人物検出情報が作成され(ステップS17)、ステップS18に進む。
【0106】
要注意者でないと判定される場合(ステップS13のNo)、検出情報作成部312で人物検出情報が作成され(ステップS14)、続いて、リスク分析部314でこの人物検出情報に基づいてリスクレベルが推定される(ステップS15)。推定されたリスクレベルがリスク許容レベル以下の場合(ステップS16のNo)、ステップ10に戻る。推定されたリスクレベルがリスク許容レベルを上回る(ステップS16のYes)と、ステップ18に進む。
【0107】
ステップS18では、人物検出情報や撮影画像データ(短時間の映像のデータ)、推定されたリスクレベル等を含むリスク情報がリスク情報作成部316で作成される。その後、このリスク情報が携帯装置4に向けて送出される(ステップS19)。
【0108】
携帯装置4がリスク情報を受け付ける(ステップS30)と、このリスク情報が表示部408に表示される(ステップS31)。このリスク情報の表示がユーザへの注意喚起の通知としての役割を果たす。
【0109】
ユーザからのライブ映像の表示要求を携帯装置4が受け付ける(ステップS32)と、ライブ映像の送出要求が携帯装置4から車載装置3に向けて送出される(ステップS33)。車載装置3がこの送出要求を受け付ける(ステップS20)と、ライブ映像のデータが携帯装置4に向けて送出される(ステップS21)。このライブ映像のデータを携帯装置4が受け付ける(ステップS34)と、表示部408にライブ映像が表示される(ステップS35)。
【0110】
ユーザから入力されるリスク情報等の保存の指示を携帯装置4が受け付ける(ステップS36)と、一時的に記憶されているリスク情報やライブ映像のデータが携帯装置4の一時記憶部406から取り出されて、携帯装置4のリスク情報保存部418に保存される(ステップS37)。
【0111】
次に、本実施の形態1の効果について説明する。
【0112】
本実施の形態1によれば、監視対象外として登録されている登録者を認証し、非登録者と判定されたときにのみ、リスク情報が携帯装置4に通知される。このように、登録者を検知してもリスク情報が送信されず、注意喚起の誤った通知が低減する。
【0113】
また、非登録者の挙動を分析することにより、不審者であるリスクレベルを推定し、リスクレベルが所定のリスク許容レベルを上回った場合にのみ、リスク情報が携帯装置4に通知される。このように、非登録者であったとしてもリスクレベルが低いと推定される場合には、リスク情報が送信されず、注意喚起の誤った通知を低減できる。
【0114】
また、本実施の形態1によれば、車載装置3で撮影されるライブ映像が携帯装置4に表示されるため、状況をリアルタイムに確認できる。警備会社に連絡し警備員をその場に派遣するなどして、不審者の不正行為を停止させたり、未然に防いだりすることもできる。
【0115】
また、本実施の形態1によれば、リスク情報やライブ映像のデータを保存できるため、不審者による不正行為の証拠を残すことができる。また、保存された不審者のデータを用いて、要注意者として登録し、その後の監視を強化することもできる。
【0116】
また、本実施の形態1によれば、要注意者と判定されると、リスク情報が携帯装置4に通知される。このように、要注意者に対する監視を強化できる。
【0117】
また、本実施の形態1によれば、複数の車載装置31,32,・・・,3nのそれぞれに記憶されている要注意者の情報が、車載装置31,32,・・・,3nの間で共用される。複数の車載装置31,32,・・・,3nに記憶されている要注意者の情報を用いて要注意者を認証するため、要注意者に対する監視を強化できる。
【0118】
また、本実施の形態1によれば、車両用監視システム1を構築した後でも、車載装置3を買い足して、その監視システム1に追加して組み込むことができる。このように、車両用監視システム1の拡張性が向上する。
【0119】
[発明の実施の形態2]
この発明の実施の形態2について、
図7~
図8を用いて説明する。ただし、上記の実施の形態1と同様の構成には、同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0120】
実施形態1に係る車両用監視システム1は、車両2の周囲を監視するシステムであったが、本実施の形態2に係る監視システム1Aでは、車両2に代えて、建物や駐車場、農地などを監視する。すなわち、建物や駐車場、農地からの盗難や建物等に対する危害などの不正行為を発見したり防止したりするために、この監視システム1Aが用いられ監視エリア内の不審者が監視される。
【0121】
また、実施形態1に係る車両用監視システム1に含まれる車載装置3と、本実施形態2に係る監視システム1Aに含まれる監視エリア設置装置3Aが対応する。ただし、車載装置3はドライブレコーダとして動作する機能を有しているが、監視エリア設置装置3Aは、その必要がないため、ドライブレコーダとして動作する機能を有していない。また、監視エリア設置装置3Aは、リチウムイオン電池などの二次電池(図示せず)を内蔵し、電源としている。
【0122】
図7に監視システム1Aの構成ブロック概略図を示す。この監視システム1Aを構成する監視エリア設置装置3A
1,3A
2,・・・,3A
nが不審者を検知するとリスク情報が送信され、ユーザが所持する携帯装置4に注意を喚起する通知が表示される。
【0123】
この監視システム1Aは、建物や駐車場、農地などの監視エリアに設置され監視エリアの状況を撮影する監視エリア設置装置3A
1,3A
2,・・・,3A
n、監視の状況が表示される携帯装置4、監視エリア設置装置3A
1,3A
2,・・・,3A
nで検出された情報が保存されるデータ保存サーバ5、認証などの人工知能を利用した画像処理に用いられる学習済みモデルを生成する学習済みモデル生成サーバ6を含むように構成され、それぞれの要素が移動体通信回線9を介して通信により接続されている。
図7に示すように、1台の携帯装置4を用いて、複数の監視エリア設置装置3A
1,3A
2,・・・,3A
nで監視することも可能である。また、一旦、監視システム1Aを構築した後でも、事後的に、新たな監視エリア設置装置3A
n+1を買い足して、構築した監視システム1Aに追加して組み込むことができるようになっている。
【0124】
以下の説明においては、複数であることを明示する必要がない場合、複数の監視エリア設置装置3A1,3A2,・・・,3Anを代表して、監視エリア設置装置3Aという符号を付して表す。
【0125】
なお、携帯装置4の機能ブロック概略図は上述の
図3と同様である。また、データ保存サーバ5の機能ブロック概略図は上述の
図4と同様である。また、学習済みモデル生成サーバ6の機能ブロック概略図は上述の
図5と同様である。
【0126】
図8に監視エリア設置装置3Aの機能ブロック概略図を示す。
【0127】
制御部300Aは、図示しないCPU、フラッシュメモリ、RAMを含むように構成されており、この監視エリア設置装置3Aを構成する各要素の制御などを行う。
【0128】
「撮影部」としての第一撮影部304Aと第二撮影部306Aは、監視エリアの画像を撮影し、CMOSエリアセンサやCCDエリアセンサ等の撮像素子を用いることができる。第一撮影部304Aと第二撮影部306Aは、実施形態1における前方撮影部304と後方撮影部306に対応するものである。実施形態1では車両2の周囲が監視対象であったため、車両周囲の前方と後方を撮影する構成になっているが、この実施形態2では前方や後方という構成が必要ないため、2個の撮影部を示す意味で、第一撮影部304Aと第二撮影部306Aとした。2個の撮影部を有することにより、より広い範囲の監視を行える。ただし、第一撮影部304Aと第二撮影部306Aのどちらか一方で「撮影部」を構成するようにしてもよい。
【0129】
この監視システム1Aは、監視エリアに存在する不審者を監視するものであって、監視エリアに設置され監視エリアの状況を撮影する監視エリア設置装置3Aと、監視エリア設置装置3Aと通信により接続され監視エリアの状況を表示する携帯装置4とを備え、監視エリア設置装置3Aは、監視対象外としてあらかじめ登録される登録者の認証情報が記憶される登録者情報記憶部302と、監視エリアの画像を撮影する第一撮影部304A及び第二撮影部306Aと、第一撮影部304A及び第二撮影部306Aで撮影された画像に写る人物が登録者であるか否かについて登録者情報記憶部302に記憶されている登録者の認証情報に基づいて認証を行い判定する認証部310と、認証部310において非登録者と判定されたときに、画像に写る非登録者の挙動を検出して人物検出情報を作成する検出情報作成部312と、検出情報作成部312で作成された人物検出情報を分析して非登録者が不審者であるリスクレベルを推定するリスク分析部314と、リスク分析部314で推定されたリスクレベルが、所定のリスク許容レベルを上回った場合、人物検出情報と画像のデータ(短時間の映像のデータ)を含むリスク情報を通信により送出するリスク情報通知部318とを有し、携帯装置4は、監視エリア設置装置3Aのリスク情報通知部318から送出されるリスク情報を受け付けるリスク情報受付部404と、リスク情報受付部404で受け付けたリスク情報の内容を表示する表示部408とを有する。
【0130】
本実施の形態2の効果は、上記の本実施の形態1の効果とほぼ同様である。
【0131】
[発明のその他の実施の形態]
なお、本発明は、上記の実施形態に限定されることなく、適宜変更可能である。例えば、車載装置3は複数でなく1台で構成してもよい。また、携帯装置4を複数台としてもよい。この場合、複数の携帯装置4にリスク情報が表示され注意喚起が行われる。
【0132】
また、上記の実施形態では、画像処理などの演算処理を車載装置3や監視エリア設置装置3Aで実行する構成になっているが、この画像処理などの演算処理を外部のサーバ等で実行するようにしてもよい。
【0133】
また、各要素を通信で接続する回線は、移動体通信回線9に限らず、インターネットや、ローカルエリアネットワーク(LAN:Local Area Network)、ワイドエリアネットワーク(WAN:Wide Area Network)などで構成してもよい。
【符号の説明】
【0134】
1…車両用監視システム、21,22,2n,2…車両、31,32,3n,3n+1,3…車載装置、4…携帯装置、5…データ保存サーバ、6…学習済みモデル生成サーバ、9…移動体通信回線、300…制御部、302…登録者情報記憶部、304…前方撮影部、306…後方撮影部、308…一時記憶部、310…認証部、312…検出情報作成部、314…リスク分析部、316…リスク情報作成部、318…リスク情報通知部、320…ライブ映像要求受付部、322…ライブ映像送出部、324…要注意者情報記憶部、326…時計部、328…通信部、330…GPSモジュール、332…加速度センサ、334…照明部、400…制御部、402…携帯装置側撮影部、404…リスク情報受付部、406…一時記憶部、408…表示部、410…入力部、412…ライブ映像要求送出部、414…ライブ映像受付部、416…保存指示受付部、418…リスク情報保存部、420…通信部、422…スピーカ、500…制御部、502…リスク情報保存部、504…通信部、600…制御部、602…学習データ受付部、604…学習済みモデル生成部、606…学習済み生成モデル提供部、608…通信部、1A…監視システム、3A1,3A2,3An,3An+1,3A…監視エリア設置装置、300A…制御部、304A…第一撮影部、306A…第二撮影部