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▶ 中村 美穂の特許一覧

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  • 特開-落下防止カバー 図1
  • 特開-落下防止カバー 図2
  • 特開-落下防止カバー 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024106760
(43)【公開日】2024-08-08
(54)【発明の名称】落下防止カバー
(51)【国際特許分類】
   G10C 3/00 20190101AFI20240801BHJP
【FI】
G10C3/00 250
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023011191
(22)【出願日】2023-01-27
(71)【出願人】
【識別番号】518295244
【氏名又は名称】中村 美穂
(74)【代理人】
【識別番号】100197642
【弁理士】
【氏名又は名称】南瀬 透
(74)【代理人】
【識別番号】100099508
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 久
(74)【代理人】
【識別番号】100219483
【弁理士】
【氏名又は名称】宇野 智也
(72)【発明者】
【氏名】中村 美穂
(57)【要約】
【課題】グランドピアノの鍵盤蓋を開いた際に生じる鍵盤蓋とピアノ本体との間隙に楽譜や筆記用具等がピアノ本体内部へ落下するのを防止することが可能な落下防止カバーの提供。
【解決手段】グランドピアノの鍵盤蓋が開かれた状態において鍵盤蓋の前框部の上面とグランドピアノのピアノ本体の前部上面との間に掛け渡される落下防止カバー1であり、金属網2を挟み込んだ布袋3からなる落下防止カバー1である。この落下防止カバー1によれば、グランドピアノの鍵盤蓋が開かれた状態において鍵盤蓋の前框部の上面とグランドピアノのピアノ本体の前部上面との間に掛け渡すようにして載置すると、金属網2により布袋3の形状が平面状に維持された状態で支持され、鍵盤蓋とピアノ本体との間隙が塞がれる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
グランドピアノの鍵盤蓋が開かれた状態において前記鍵盤蓋の前框部の上面と前記グランドピアノのピアノ本体の前部上面との間に掛け渡される落下防止カバーであり、金属網を挟み込んだ布袋からなる落下防止カバー。
【請求項2】
前記鍵盤蓋が開かれた状態において前記鍵盤蓋の前框部の上面と前記ピアノ本体の前部上面との間に掛け渡した際に、前記鍵盤蓋の前框部の前面側と前記ピアノ本体の前部背面側とにそれぞれ折り曲げて引っ掛け可能な幅を有する請求項1記載の落下防止カバー。
【請求項3】
前記金属網は、線径φ0.16~0.20mm、24~35メッシュのステンレス鋼製である請求項1または2に記載の落下防止カバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グランドピアノの鍵盤蓋を開いた際に生じる鍵盤蓋とピアノ本体との間隙を覆うことにより、この間隙からピアノ本体内部へ楽譜や筆記用具等が落下するのを防止する落下防止カバーに関する。
【背景技術】
【0002】
グランドピアノの鍵盤蓋を開いた際、鍵盤蓋とピアノ本体との間に隙間が存在する。そのため、譜面台に置かれた楽譜や筆記用具等がわずかな振動によって、この間隙に落下することがある。そこで、例えば、特許文献1に記載のように、この鍵盤蓋とピアノ本体との隙間に楽譜や筆記用具等が落下するのを防止する鍵盤蓋用カバーが考案されている。
【0003】
特許文献1の鍵盤蓋用カバーは、帯状の布地からなる本体部と、本体部の前方縁部に構成され、内部にゴム紐が収容された袋状部と、本体部の後方縁部に構成され、内部に磁石が固定された袋状部と、本体部の両端の延長部と前方の縁部と袋状部の両端部との間に形成され、鍵盤蓋の先端角部に取り付けるための鍵盤蓋用係止部と、本体部の両端部の後方側に一端が縫い込まれ、ピアノ本体に固定するための取り付け用紐とから構成される。
【0004】
この鍵盤蓋用カバーは、鍵盤蓋用係止部を鍵盤蓋の両端の先端角部に嵌め込むようにして係止し、その後、本体部の延長部に取り付けた取付用紐をピアノ本体の反響板の支柱に結び付けるとともに、磁石を内部の金属板の表面に固定することで、ゴム紐、磁石および取付用紐により鍵盤蓋の上端全面に固定され、ピアノ本体に確実に取り付けられるため、鍵盤蓋が開かれている際に外れるおそれはないとされ、この状態でピアノが演奏される。
【0005】
そして、ピアノの演奏やその指導に際して、譜面台に楽譜や筆記用具を置くことになるが、この鍵盤蓋用カバーによれば、ピアノ本体と鍵盤蓋とピアノ本体との間隙の上面が全面的に覆われているため、演奏による振動や不注意により楽譜や筆記用具が間隙に落下し、鍵盤蓋の表面に沿って落下して、ピアノの内部に転落することが防止される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】登録実用新案第3176633号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記鍵盤蓋用カバーでは、本体部の前方縁部において鍵盤蓋用係止部が鍵盤蓋の両端の先端角部に嵌め込まれ、本体部の後方縁部において磁石によりピアノ本体内部の金属板の表面に固定されており、本体部の上面は全面に渡って平坦となっている。そのため、ピアノの演奏中に楽譜や筆記用具が間隙に落下することは防止できるものの、落下した楽譜や筆記用具がこの本体部の上面に沿って鍵盤上に滑り落ちることがある。
【0008】
そこで、本発明においては、グランドピアノの鍵盤蓋を開いた際に生じる鍵盤蓋とピアノ本体との間隙に楽譜や筆記用具等がピアノ本体内部へ落下するのを防止することが可能な落下防止カバーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の落下防止カバーは、グランドピアノの鍵盤蓋が開かれた状態において鍵盤蓋の前框部の上面とグランドピアノのピアノ本体の前部上面との間に掛け渡される落下防止カバーであり、金属網を挟み込んだ布袋からなるものである。本発明の落下防止カバーによれば、グランドピアノの鍵盤蓋が開かれた状態において鍵盤蓋の前框部の上面とグランドピアノのピアノ本体の前部上面との間に掛け渡すようにして載置すると、金属網により布袋の形状が平面状に維持された状態で支持され、鍵盤蓋とピアノ本体との間隙が塞がれる。
【0010】
本発明の落下防止カバーは、鍵盤蓋が開かれた状態において鍵盤蓋の前框部の上面とピアノ本体の前部上面との間に掛け渡した際に、鍵盤蓋の前框部の前面側とピアノ本体の前部背面側とにそれぞれ折り曲げて引っ掛け可能な幅を有することが好ましい。本発明の落下防止カバーは金属網を挟み込んだ布袋からなるため、鍵盤蓋が開かれた状態において鍵盤蓋の前框部の上面とピアノ本体の前部上面との間に掛け渡した際に、鍵盤蓋の前框部の前面側とピアノ本体の前部背面側とにそれぞれ折り曲げると、布袋に挟み込まれた金属網が変形することでその形状を維持し、鍵盤蓋の前框部の前面側とピアノ本体の前部背面側とに引っ掛かり、前後にずれにくくなる。
【0011】
金属網は、線径φ0.16~0.20mm、24~35メッシュのステンレス鋼製であることが望ましい。布袋に挟み込んだ金属網をこのような金属網とすれば、鍵盤蓋の前框部の上面とグランドピアノのピアノ本体の前部上面との間に掛け渡した際には適度に平面状に維持されるとともに、鍵盤蓋の前框部の前面側とピアノ本体の前部背面側とにそれぞれ折り曲げる際に適度な力で折り曲げることができる。
【発明の効果】
【0012】
(1)グランドピアノの鍵盤蓋が開かれた状態において鍵盤蓋の前框部の上面とグランドピアノのピアノ本体の前部上面との間に掛け渡される落下防止カバーであり、金属網を挟み込んだ布袋からなる落下防止カバーによれば、鍵盤蓋とピアノ本体との間隙が平面状に維持された落下防止カバーにより塞がれるので、楽譜や筆記用具等がピアノ本体内部へ落下するのを防止することができる。また、金属網は布袋に挟み込まれているため、直接鍵盤蓋およびピアノ本体と触れることがなく、傷を付けることもない。
【0013】
(2)鍵盤蓋が開かれた状態において鍵盤蓋の前框部の上面とピアノ本体の前部上面との間に掛け渡した際に、鍵盤蓋の前框部の前面側とピアノ本体の前部背面側とにそれぞれ折り曲げて引っ掛け可能な幅を有することにより、落下防止カバーが鍵盤蓋の前框部の前面側とピアノ本体の前部背面側とに引っ掛かり、前後にずれにくくなるので、落下防止カバー自体がずれ落ちるのを防止することができる。
【0014】
(3)金属網が、線径φ0.16~0.20mm、24~35メッシュのステンレス鋼製であることにより、鍵盤蓋の前框部の上面とグランドピアノのピアノ本体の前部上面との間に掛け渡した際には適度に平面状に維持され、楽譜や筆記用具等がピアノ本体内部へ落下するのを防止することができるとともに、鍵盤蓋の前框部の前面側とピアノ本体の前部背面側とにそれぞれ折り曲げる際に適度な力で折り曲げることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施の形態における落下防止カバーの斜視図である。
図2図1の断面図である。
図3図1の落下防止カバーの使用状態を示す部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は本発明の実施の形態における落下防止カバーの斜視図、図2図1の断面図、図3図1の落下防止カバーの使用状態を示す部分断面図である。
【0017】
図1図3に示すように、本発明の実施の形態における落下防止カバー1は、金属網2を挟み込んだ布袋3からなる。落下防止カバー1は、グランドピアノの鍵盤蓋G1が開かれた状態において鍵盤蓋G1の前框部G2の上面G20とピアノ本体G0の前部G3の上面G30との間に掛け渡すようにして使用する。
【0018】
金属網2は、線径φ0.16~0.20mm、24~35メッシュのステンレス鋼製のものを使用する。本実施形態における落下防止カバー1においては、線径φ0.18mmステンレス鋼(SUS304)を使用した32メッシュの網を使用している。
【0019】
布袋3は、バックサテンなどの生地を長手方向の長さL=133cm、短手方向の幅W=17.5cmの袋帯状(筒状)に加工したものである。落下防止カバー1は、この布袋3内に帯状の金属網2を収容したものであり、布袋3と同じく、長手方向の長さL=133cm、短手方向の幅W=17.5cmである。金属網2は、布袋3内のほぼ全体に行き渡るように、布袋3よりも若干小さめの大きさとしている。
【0020】
落下防止カバー1の長手方向の長さL=133cmは、グランドピアノの鍵盤蓋の一般的な長さに対応する長さとしている。なお、この長手方向の長さLは、グランドピアノの鍵盤蓋の長さに応じて例えば130cm~140cmの範囲で変更しても良い。
【0021】
また、短手方向の幅W=17.5cmは、図3に示すように、鍵盤蓋G1の前框部G2の上面G20とピアノ本体G0の前部G3の上面G30との間に掛け渡した際に、鍵盤蓋G1の前框部G2の前面G21側とピアノ本体G0の前部G3の背面G31側とにそれぞれ折り曲げて引っ掛け可能な幅としている。なお、この短手方向の幅Wについては、18~22cm程度とするのが良いが、17.5cmであればグランドピアノのメーカー(製品)に関わらず対応することが可能である。
【0022】
上記構成の落下防止カバー1は、グランドピアノの鍵盤蓋G1が開かれた状態において鍵盤蓋G1の前框部G2の上面G20とピアノ本体G0の前部G3の上面G30との間に掛け渡すようにして載置すると、金属網2により布袋3の形状が平面状に維持された状態で支持され、鍵盤蓋G1とピアノ本体G0との間隙G4が塞がれる。
【0023】
そして、ピアノの演奏やその指導に際して、譜面台G5に楽譜や筆記用具等を置くことになるが、演奏による振動や不注意によりこの譜面台G5から落下した楽譜や筆記用具等の落下物は、鍵盤蓋G1の前框部G2の上面G20とピアノ本体G0の前部G3の上面G30との間に掛け渡された落下防止カバー1により受け止められる。そのため、鍵盤蓋G1とピアノ本体G0との間隙G4から楽譜や筆記用具等がピアノ本体内部G6へ落下するのを防止することができる。
【0024】
また、本実施形態における落下防止カバー1では、鍵盤蓋G1が開かれた状態において鍵盤蓋G1の前框部G2の上面G20とピアノ本体G0の前部G3の上面G30との間に掛け渡した際に、鍵盤蓋G1の前框部G2の前面G21側とピアノ本体G0の前部G3の背面G31側とにそれぞれ折り曲げて引っ掛けることが可能である。このとき、落下防止カバー1の布袋3に挟み込まれた金属網2が変形することでその形状を維持するため、鍵盤蓋G1の前框部G2の前面G21側とピアノ本体G0の前部G3の背面G31側とに引っ掛かり、前後にずれにくくなっており、落下防止カバー1自体がずれ落ちにくくなっている。
【0025】
なお、グランドピアノのメーカーによっては鍵盤蓋G1が開かれた状態において鍵盤蓋G1の前框部G2の上面G20の高さとピアノ本体G0の前部G3の上面G30の高さとが異なり、鍵盤蓋G1の前框部G2の上面G20の方が高かったり、ピアノ本体G0の前部G3の上面G30の方が高かったりするが、本実施形態における落下防止カバー1では、金属網2および布袋3が撓んで変形するため、対応することが可能である。このとき、前述のように、落下防止カバー1が鍵盤蓋G1の前框部G2の前面G21側とピアノ本体G0の前部G3の背面G31側とに引っ掛かるため、前後にずれにくくなっている。
【0026】
また、本実施形態における落下防止カバー1では、金属網2が線径φ0.16~0.20mm、24~35メッシュのステンレス鋼製であるため、鍵盤蓋G1の前框部G2の上面G20とピアノ本体G0の前部G3の上面G30との間に掛け渡した際には適度に平面状に維持されるとともに、鍵盤蓋G1の前框部G2の前面G21側とピアノ本体G0の前部G3の背面G31側とにそれぞれ折り曲げる際にも適度な力で折り曲げることが可能となっている。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明は、グランドピアノの鍵盤蓋を開いた際に生じる鍵盤蓋とピアノ本体との間隙を覆い、この間隙から楽譜や筆記用具等がピアノ本体内部へ落下するのを防止する落下防止カバーとして有用である。
【符号の説明】
【0028】
1 落下防止カバー
2 金属網
3 布袋
図1
図2
図3
【手続補正書】
【提出日】2024-05-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項1
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項1】
グランドピアノの鍵盤蓋が開かれた状態において前記鍵盤蓋の前框部の上面と前記グランドピアノのピアノ本体の前部上面との間に掛け渡される落下防止カバーであり、帯状の金属網を挟み込んだ布袋からなり、前記金属網は前記布袋内のほぼ全体に行き渡る大きさである落下防止カバー。