(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024106761
(43)【公開日】2024-08-08
(54)【発明の名称】無線通信装置およびその制御方法、プログラム
(51)【国際特許分類】
H04W 48/16 20090101AFI20240801BHJP
H04W 48/08 20090101ALI20240801BHJP
H04W 88/02 20090101ALI20240801BHJP
【FI】
H04W48/16 135
H04W48/08
H04W48/16 132
H04W88/02 110
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023011192
(22)【出願日】2023-01-27
(71)【出願人】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山本 俊明
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA21
5K067DD41
5K067EE02
5K067EE10
5K067FF23
5K067JJ17
5K067LL11
(57)【要約】
【課題】ユーザの顧客満足度を向上させる。
【解決手段】無線通信システムにおけるユーザ装置(UE)として動作する無線通信装置は、無線通信装置が無線接続している基地局において所定サービスを実施した場合の効果が所定程度より低いか否かを示す程度情報を取得する取得手段と、取得手段により取得された程度情報に基づいて、所定サービスの有効化に関する通知出力を制御する制御手段と、を有する。程度情報は、基地局における通信混雑度に関する第1情報と、基地局と無線通信装置との間の無線接続品質に関する第2情報と、の少なくとも一方に基づいて導出される。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線通信システムにおけるユーザ装置(UE)として動作する無線通信装置であって、
前記無線通信装置が無線接続している基地局において所定サービスを実施した場合の効果が所定程度より低いか否かを示す程度情報を取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された程度情報に基づいて、前記所定サービスの有効化に関する通知出力を制御する制御手段と、
を有し、
前記程度情報は、前記基地局における通信混雑度に関する第1情報と、前記基地局と前記無線通信装置との間の無線接続品質に関する第2情報と、の少なくとも一方に基づいて導出される
ことを特徴とする無線通信装置。
【請求項2】
前記所定サービスは、前記無線通信装置に対する通信リソースの割り当ての優先度を高くする優先制御サービスである
ことを特徴とする請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項3】
前記取得手段は、
前記基地局から前記第1情報および前記第2情報の少なくとも一方を取得する状態取得手段と、
前記状態取得手段により取得された情報に基づいて前記程度情報を導出する導出手段と、
を有する
ことを特徴とする請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項4】
前記程度情報は、前記基地局において導出され、
前記取得手段は、前記基地局から送信される前記程度情報を受信する
ことを特徴とする請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項5】
前記第1情報は、前記基地局におけるリソースブロック(RB)使用率、前記基地局に無線接続しているUE数、平均セクタスループットの少なくとも1つを含み、
前記第2情報は、前記無線通信装置に関する参照信号受信電力(RSRP)、参照信号受信品質(RSRQ)、信号対干渉雑音電力比(SINR)、変調符号化率方式(MCS)インデックス、平均ユーザスループットの少なくとも1つを含む
ことを特徴とする請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項6】
前記程度情報は、前記RB使用率が所定値以上、前記UE数が所定値以上、前記平均セクタスループットが所定値以上、前記RSRPが所定値以下、前記RSRQが所定値以下、前記SINRが所定値以下、前記MCSインデックスが所定値以下、前記平均ユーザスループットが所定値以下、の少なくとも1つを満たす場合に、前記所定サービスを実施した場合の効果が前記所定程度より低いとして導出される
ことを特徴とする請求項5に記載の無線通信装置。
【請求項7】
前記制御手段は、前記所定サービスを提供した場合の効果が前記所定程度より低いことが前記程度情報により示され、かつ、前記所定サービスの有効化がユーザから指示された場合、前記所定サービスを利用できない旨を示す通知を行うよう制御する
ことを特徴とする請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項8】
前記制御手段は、前記所定サービスを提供した場合の効果が前記所定程度より低いことが前記程度情報により示され、かつ、前記所定サービスの有効化がユーザから指示された場合、前記所定サービスの有効化に先立って、前記所定サービスを実施した場合の効果が低い旨を示す通知を行うよう制御する
ことを特徴とする請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項9】
前記制御手段は、前記所定サービスを提供した場合の効果が前記所定程度より低いことが前記程度情報により示される場合、前記所定サービスの有効化を受け付ける設定画面における前記所定サービスの有効化のためのグラフィカルユーザインタフェース(GUI)部品を非表示とするよう制御する
ことを特徴とする請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項10】
前記制御手段は、前記所定サービスを提供した場合の効果が前記所定程度より低いことが前記程度情報により示されない場合、前記所定サービスの有効化を推奨する旨を示す通知を行うよう制御する
ことを特徴とする請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項11】
前記通知出力は、前記所定サービスの有効化を受け付ける設定画面における表示出力、前記所定サービスの有効化に関する音声案内出力、前記所定サービスの有効化に関するメッセージ出力、の少なくとも1つを含む
ことを特徴とする請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項12】
無線通信システムにおけるユーザ装置(UE)として動作する無線通信装置の制御方法であって、
前記無線通信装置が無線接続している基地局において所定サービスを実施した場合の効果が所定程度より低いか否かを示す程度情報を取得する取得工程と、
前記取得工程により取得された程度情報に基づいて、前記所定サービスの有効化に関する通知出力を制御する制御工程と、
を含み、
前記程度情報は、前記基地局における通信混雑度に関する第1情報と、前記基地局と前記無線通信装置との間の無線接続品質に関する第2情報と、の少なくとも一方に基づいて導出される
ことを特徴とする制御方法。
【請求項13】
請求項12に記載の制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信サービスの提供を制御する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
通信サービスの提供においては、個々のユーザ/サービスに対する通信リソースの割り当てに優先度を付けた優先制御を行い、体感品質を向上させる技術が提案されている(例えば、特許文献1)。特定のユーザが利用する通信サービスのパケットに対する優先度を高くすることにより、当該通信サービスにおいては他の通信による影響を低減することが出来、遅延/揺らぎが少なくかつ通信速度(帯域)がある程度確保された通信が可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
モバイル通信(4G/5Gなど)の無線アクセスネットワーク(RAN)の区間においては、特定の基地局における要因により、上述の優先制御を適用したとしても遅延/揺らぎや通信速度を確保することは一般に困難である。上述の要因としては、基地局における通信の混雑度や基地局とユーザ装置との間の接続品質などがある。
【0005】
そのため、モバイル通信において上述の優先制御を、例えば有料の課金サービスとして提供した場合、当該サービスを契約したにも関わらず快適な通信サービスが享受できないということが発生し得る。その結果、当該サービスを契約したユーザは当該サービスを提供する会社に対して不信感を抱くおそれがある。
【0006】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、無線通信サービスにおけるユーザの顧客満足度を向上させる技術を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の問題点を解決するため、本発明に係る無線通信装置は以下の構成を備える。すなわち、
無線通信システムにおけるユーザ装置(UE)として動作する無線通信装置は、
前記無線通信装置が無線接続している基地局において所定サービスを実施した場合の効果が所定程度より低いか否かを示す程度情報を取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された程度情報に基づいて、前記所定サービスの有効化に関する通知出力を制御する制御手段と、
を有し、
前記程度情報は、前記基地局における通信混雑度に関する第1情報と、前記基地局と前記無線通信装置との間の無線接続品質に関する第2情報と、の少なくとも一方に基づいて導出される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、無線通信サービスにおけるユーザの顧客満足度を向上させる技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】無線通信システムの全体構成を示す図である。
【
図4】各BSにより管理される状態情報の一部を示す図である。
【
図5】UEにおける動作を説明するフローチャートである。
【
図6】UEに表示されるGUIの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。実施形態には複数の特徴が記載されているが、これらの複数の特徴の全てが発明に必須のものとは限らず、また、複数の特徴は任意に組み合わせられてもよい。さらに、添付図面においては、同一若しくは同様の構成に同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0011】
(第1実施形態)
本発明に係る無線通信装置の第1実施形態として、ユーザ装置(UE)であるスマートフォンを例に挙げて以下に説明する。特に、第1実施形態では、オンデマンドに契約可能な追加的なサービス(トッピング)として優先制御サービスを提供する例について説明する。
【0012】
<システムの全体構成>
図1は、無線通信システムの全体構成を示す図である。本無線通信システムは、例えば、第3世代パートナーシッププロジェクト(3GPP(登録商標))の第4世代(4G)や第5世代(5G)などのセルラ通信規格に準拠して構成された、セルラ通信システムである。無線通信システムは、コアネットワーク121に接続された複数の基地局(BS)101と複数のユーザ装置(UE)111とを含む。
図1では、多数のUEが接続したBS101aと1台のUEのみが接続したBS101bが単純化して示されている。UEとBSとを結ぶ破線は無線接続を示しており、コアネットワークとBSとを結ぶ実線は有線接続を示している。
【0013】
<UEのハードウェア構成>
図2は、UE111のハードウェア構成を示す図である。なお、上述したように、UE111はここではスマートフォンである。
【0014】
UE111は、一例において、プロセッサ201、ROM202、RAM203、記憶装置204、通信回路205、タッチスクリーン206を含んで構成される。プロセッサ201は、汎用のCPU(中央演算装置)や、ASIC(特定用途向け集積回路)等の、1つ以上の処理回路を含んで構成されるコンピュータであり、ROM202や記憶装置204に記憶されているプログラムを読み出して実行することにより、装置の全体の処理や、後述の各処理を実行する。
【0015】
ROM202は、UE111が実行する処理に関するプログラムや各種パラメータ等の情報を記憶する読み出し専用メモリである。RAM203は、プロセッサ201がプログラムを実行する際のワークスペースとして機能し、また、一時的な情報を記憶するランダムアクセスメモリである。記憶装置204は、例えば着脱可能な外部記憶装置等によって構成される。
【0016】
通信回路205は、所定の通信規格に準拠した無線通信用の回路によって構成される。以下の説明では所定の通信規格として、4G/5G規格を例に挙げて説明するが、
図1に示すようなシステム構成に利用される任意の通信規格を適用することが可能である。
【0017】
タッチスクリーン206は、例えばタッチパネルディスプレイであり、ユーザに情報を提供するための表示部と、ユーザからのタッチ操作による指示を受け付ける受付部と、を併せ持つ構成要素である。
【0018】
<UEの機能構成>
図3は、UE111の機能構成を示す図である。UE111は、その機能として、例えば、通信制御部301、情報取得部302、記憶部303、表示制御部3304、操作受付部05を有する。なお、
図3では、本実施形態に特に関係する機能のみを示しており、UE111が有しうる他の各種機能については図示を省略している。例えばUE111がスマートフォンである場合、各種入力機能(GPS受信機、カメラ、マイク)や各種出力機能(バイブレーション、スピーカーなど)など他の機能を当然に有する。
【0019】
また、
図3の機能ブロックは概略的に示したものであり、それぞれの機能ブロックが一体化されて実現されてもよいし、さらに細分化されてもよい。また、
図3の各機能は、例えば、プロセッサ201がROM202や記憶装置204に記憶されているプログラムを実行することにより実現されてもよい。また、例えば通信回路205の内部に存在するプロセッサが所定のソフトウェアを実行することによって実現されてもよい。
【0020】
通信制御部301は、通信回路205を介した無線通信を制御する。具体的には、所定の通信規格に準拠した無線通信を実行する。特に、相手装置(ここでは基地局)との間で通信が確立されていない場合は、初期アクセスを実行し、基地局に接続(アタッチ)する。また、現在接続している基地局との間の無線接続の品質が低下した場合、規格に従って他の基地局へのハンドオーバーを実行する。
【0021】
情報取得部302は、通信制御部301の制御により通信回路205を介して現在接続している基地局のシステム情報(後述の状態情報を含む)を取得する。ここでは、基地局から定期的にブロードキャストされるマスター情報ブロック(MIB)やシステム情報ブロック(SIB)からシステム情報を取得することを想定するが、個別のユニキャスト通信により取得してもよい。システム情報は、基地局の現在(瞬間に限定されず、例えば直近の数分、数10分の期間でもよい)の通信接続に関する情報である状態情報を含んでいる。状態情報の詳細については、
図4を参照して後述する。
【0022】
記憶部303は、通信制御部301や表示制御部304の動作を制御する際の各種情報を記憶する。また、情報取得部302で取得した基地局の状態情報を記憶する。
【0023】
表示制御部304は、タッチスクリーン206にグラフィカルユーザインタフェース(GUI)を表示して、ユーザに各種情報を提供する。また、操作受付部305は、タッチスクリーン206に表示されたGUIを介して、ユーザからタッチ操作を受け付ける。以下の説明では、GUIとして、無線通信装置が契約し使用している無線通信サービスの各種設定を行う設定画面を表示する例について説明する。なお、設定画面は、所定のアプリケーションを実行することにより表示される。アプリケーションは、無線通信装置単体上で動作するスタンドアロンアプリケーションの形態でもよいし、ウェブサーバと協働して動作するウェブアプリケーションの形態でもよい。
【0024】
また、表示制御部304および操作受付部305は、上述のアプリケーションを実行することにより、
図5および
図6を参照して後述する動作を行うよう構成される。
【0025】
<基地局の状態情報>
上述したように、各基地局は、自基地局における通信接続に関する情報を管理している。情報としては、現在の通信接続に関するものだけでなく、過去の通信接続に関するものも取得してもよい。ここでは、以下の第1情報および第2情報の少なくとも一方を管理しているものとする。第1実施形態では、第1情報は基地局による定期的なブロードキャストを介して無線通信装置に送信され、第2情報はユニキャストを介して無線通信装置に送信されより取得されることを想定する。
【0026】
図4は、各BSにより管理される状態情報の一部を示す図である。状態情報は、第1情報401および第2情報402の少なくとも一方を含む。なお、状態情報は時間の経過とともに変化し、ブロードキャスト/ユニキャストにより得られる情報も変化する。そのため、複数の時刻における状態情報を取得し記憶部303に格納してもよい。
【0027】
第1情報401は、自基地局における通信混雑度に関する情報であり、基地局におけるリソースブロック(RB)使用率、基地局に無線接続しているUE数、基地局における平均セクタスループットの少なくとも1つの情報を含む。
【0028】
第2情報402は、基地局と無線通信装置との無線接続品質に関する情報であり、参照信号受信電力(RSRP)、参照信号受信品質(RSRQ)、信号対干渉雑音電力比(SINR)、変調符号化率方式(MCS)インデックス、平均ユーザスループットの少なくとも1つの情報を含む。なお、MCSインデックスは、変調方式と符号化率との複数の組み合わせに対して、データの伝送効率が低い(エラー耐性が高い)組み合わせから順に番号を付与したインデックスである(インデックス=0が最も伝送効率が低い)。
【0029】
なお、ここでは、状態情報(第1情報401および第2情報402)は、ブロードキャスト/ユニキャストを介して基地局から無線通信装置に直接提供されるものとして説明するが、状態情報を無線通信装置に通知する方法はこれに限定されない。例えば、各基地局がコアネットワーク内の所定の管理装置に対して自身の状態情報を逐次通知/登録し、無線通信装置は所定の管理装置から現在自身が接続している基地局に対応する状態情報を取得する形態でもよい。
【0030】
<装置の動作>
図5は、UEにおける動作を説明するフローチャートである。また、
図6は、UEに表示されるGUIの例を示す図である。
図5のフローチャートは、例えば、ユーザが、スマートフォン(UE)上で所定のアプリケーションを実行することにより開始され、
図6(a)による設定画面(GUI)を表示しユーザからの指示入力を待ち受ける。
【0031】
ステップS501では、表示制御部304は、無線通信装置が現在接続している基地局の状態情報を取得する。上述したように、現在接続している状態情報は、例えば無線通信装置が基地局に接続したときに情報取得部302により取得され、記憶部303に格納されている。記憶部303に格納されていない場合は、情報取得部302を介して最新の状態情報を基地局から取得する。なお、過去の通信接続に関する状態情報を併せて取得してもよい。
【0032】
ステップS502では、表示制御部304は、取得した状態情報に基づいて、所定サービスを提供した場合の効果が所定程度より低いか否か示す程度情報として導出する。上述したように、第1実施形態では、所定サービスは優先制御サービスである。また、ここでは、優先制御サービスを実施した場合の通信が所望の品質を満たすか否かを推定する。
【0033】
所望の品質は、通信状態の改善をユーザが実感できるか否かを示す指標であり、現状(優先制御サービスを実施する前)に対する相対評価でもよいし、絶対評価でもよい。例えば、通信速度が「現状のX倍以上」または「XMbps以上」、かつ、遅延時間が「現状の1/X以下」または「Xms以下」を満たす場合に、所望の品質を満たすとする。
【0034】
具体的な相対評価値や絶対評価値は、予め平均オピニオン評点(MOS)に基づき求めておくとよい。定性的には、
図1のBS101aのように多数のUEが接続された状態では、BSの混雑度は高く、UEとBSとの無線接続品質は劣化する。一方、
図1のBS101bのように1つのUEのみが接続された状態では、BSの混雑度は低く、UEとBSとの無線接続品質は良好である。具体的には、RB使用率が所定値以上、UE数が所定値以上、平均セクタスループットが所定値以上、RSRPが所定値以下、SINRが所定値以下、MCSインデックスが所定値以下、平均ユーザスループットが所定値以下、の少なくとも1つを満たす場合は、所望の品質を満たさない可能性が高い。
【0035】
そして、所望の品質を満たさない場合に「所定サービスを提供した場合の効果が所定程度より低い」と決定しS503に進む。一方、所望の品質を満たす(効果が所定程度以上である)場合はS504に進む。
【0036】
ステップS503では、表示制御部304は、操作受付部305を介して優先制御サービスの有効化がユーザから指示されると、優先制御サービスを利用できない旨を示す警告表示を行う。そして、優先制御サービスの有効化の指示をキャンセルして処理を終了する。例えば、設定画面(GUI)に配置された優先制御サービスを有効化するためのトグルボタンがユーザにより押下された場合、「本サービスによる通信の改善が見込めません。有効化をキャンセルします。」(
図6(b))と表示した後、トグルボタンをオフの状態に戻す。
【0037】
ステップS504では、表示制御部304は、表示制御部304は、操作受付部305を介して優先制御サービスの有効化がユーザから指示されると、トグルボタンをオンの状態に変更し、処理を終了する。これにより、以降の通信では、優先制御が行われることになる。
【0038】
なお、S503のように、一律に有効化をキャンセルするのではなく、ユーザによる追加の指示を受け付けるように構成してもよい。例えば、設定画面(GUI)に配置された優先制御サービスを有効化するためのトグルボタンがユーザにより押下された場合、トグルボタンのオン/オフ状態の変更に先立って、「通信状態が改善しない場合があります。有効化しますか?」(
図6(c))と表示し、「有効化する」「有効化しない」を指定するボタンを表示する。そして、「有効化する」ボタンが押された場合は、トグルボタンをオンの状態に変更する。一方、「有効化しない」ボタンが押された場合は、トグルボタンをオフの状態に戻す。
【0039】
さらに、予め、優先制御サービスの有効化を指示するためのGUI部品(トグルボタンなど)を非表示とする(
図6(d))よう構成してもよい。これにより、ユーザは、現在、優先制御サービスの有効化が出来ない状態であることが分かる。
【0040】
以上説明したとおり第1実施形態によれば、現在接続している基地局における状態情報に基づいて、優先制御サービスの有効化に関する設定画面の表示出力を制御する。これにより、ユーザは、優先制御サービスを契約したにも関わらず快適な通信サービスが享受できないという状況を未然に防ぐことが可能となる。結果として、優先制御サービスの効果が得られる場合(または、効果がない可能性がある旨のユーザの了解が得られた場合)のみ、優先制御サービスの有効化(契約)が行われることになる。そのため、実感が得られるサービスをユーザに提供することが可能となり、ユーザの顧客満足度を向上させることが可能となる。
【0041】
なお、上述の説明においては、所望の品質を満たさない場合(S502でYes)におけるユーザによるサービス有効化を防止する形態について説明した。ただし、所望の品質を満たす場合に、表示制御部304が、ユーザに対しサービス有効化を能動的に提案/推奨するような表示を行うような構成とすることも可能である。提案に対してサービス有効化を行い効果を実感できたユーザは、再度当該サービスを利用する可能性が高くなる。
【0042】
また、ユーザに対するサービス有効化の能動的な提案/推奨手法として、アプリケーション内の広告表示が利用されることもある。このような広告表示を行う場合には、S502での判定結果に応じて広告表示の有無を制御してもよい。すなわち、所望の品質を満たさない場合には、広告表示を抑制するよう構成するとよい。
【0043】
さらに、上述の説明においては、サービス有効化を受け付ける設定画面における表示出力を制御する形態について説明したが、サービス有効化に関する他の出力を制御してもよい。例えば、サービス有効化に関する音声案内出力、あるいは、サービス有効化に関するメッセージ(SMSや電子メール)出力を制御するよう構成してもよい。
【0044】
(変形例1)
上述の第1実施形態においては、状態情報を基地局から無線通信装置(UE)に送信し、UEにおいて、優先制御サービスを実施した場合の通信が所望の品質を満たすか否かの推定を行う構成について説明した。ただし、当該推定を基地局(あるいはネットワーク)側が行う構成としてもよい。
【0045】
その場合、基地局は、例えば、自基地局へのUEの接続(あるいはUEからの情報取得要求)をトリガに、自身が管理する現在の通信接続に関する状態情報(第1情報401および第2情報402)に基づいて、所定サービスを提供した場合の効果が所定程度より低いか否か示す程度情報を導出する。そして、基地局は、導出した程度情報をUEに提供(送信)する。これにより、例えば、UEの設定画面において、基地局から提供された程度情報に基づいた表示出力の制御が実施されることになる。
【0046】
また、現在の状態情報により上述の程度情報を導出するほか、過去の状態情報に基づいて上述の程度情報を導出(推定)するような構成としてもよい。例えば、過去の接続における位置情報(もしくは基地局ID)と状態情報(第1情報や第2情報)とを紐づけたデータベース(DB)を、各基地局の内部あるいは複数の基地局に共通の外部DBとして用意しておく。そして、例えば、基地局は、UEから当該UEの位置情報を取得し、対応する位置情報を有するDBからの情報に基づき程度情報を導出することが出来る。なお、DBは、状態情報(第1情報や第2情報)の代わりに上述の程度情報を位置情報に紐づけたデータを格納するよう構成してもよい。
【0047】
(変形例2)
上述の説明においては、優先制御をトッピングする場合に関して説明したが、データ容量をトッピング(追加)する場合に適用してもよい。一般に、通信契約においては、所定期間(例えば暦月)利用することが出来るデータ容量(1GB,3GB,10GBなど)が予め定められている。このデータ容量は、意図的な制限がないベストエフォートでの通信(数10Mbps以上の高速通信)が可能なデータ容量である。そして、所定期間の途中でデータ容量を使い切った場合は、低速通信(128kbps,1Mbpsなど)のみ行えるようになる。
【0048】
そのため、ユーザは、(高速通信で)使用可能なデータ残量が無くなった(少なくなった)タイミングで、低速通信の状態を解消すべくテータ容量をトッピングすることが想定される(
図6(a))。
【0049】
ただし、上述の第1実施形態と同様に、状況によってよっては、トッピングしても、低速な通信しか出来ない場合が想定される。そのため、データ容量を追加したにも関わらず快適な通信サービスが享受できないということが発生し得る。一方で、追加されたテータ容量は、所定の期間(1日、1週間、1か月など)にわたって有効であるため、データ容量追加がすべて無駄になるわけではない。そこで、データ容量追加のトッピングに対しては、
図6(c)に準じた注意喚起の表示を行うと好適である。
【0050】
なお、本発明により、例えば、より快適な無線通信環境を提供することが可能になることから、国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)の目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」に貢献することが可能となる。
【0051】
発明は上記の実施形態に制限されるものではなく、発明の要旨の範囲内で、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0052】
101 基地局(BS); 111 ユーザ装置(UE); 301 通信制御部; 302 情報取得部; 303 記憶部; 304 表示制御部; 305 操作受付部