(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024106762
(43)【公開日】2024-08-08
(54)【発明の名称】ホログラム層形成用感光性組成物
(51)【国際特許分類】
G03H 1/02 20060101AFI20240801BHJP
C07C 69/54 20060101ALI20240801BHJP
G02B 27/01 20060101ALN20240801BHJP
【FI】
G03H1/02
C07C69/54 B
G02B27/01
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023011193
(22)【出願日】2023-01-27
(71)【出願人】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100120617
【弁理士】
【氏名又は名称】浅野 真理
(74)【代理人】
【識別番号】100183678
【弁理士】
【氏名又は名称】丸島 裕
(72)【発明者】
【氏名】櫛部 佳祐
(72)【発明者】
【氏名】三浦 啓介
(72)【発明者】
【氏名】打矢 直之
(72)【発明者】
【氏名】小倉 教弘
【テーマコード(参考)】
2H199
2K008
4H006
【Fターム(参考)】
2H199DA03
2H199DA27
2H199DA28
2K008AA14
2K008DD13
2K008EE04
2K008FF17
4H006AA01
4H006AB80
(57)【要約】
【課題】屈折率変調量(Δn)に優れるホログラム層を形成できる感光性組成物を提供する。
【解決手段】特定のラジカル重合性モノマー(1)と、ラジカル重合性モノマー(1)以外のラジカル重合性モノマー(2)と、バインダー樹脂と、光重合開始剤と、増感色素と、を含有し、ホログラム層形成用である、感光性組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(1)で表されるラジカル重合性モノマー(1)と、
前記ラジカル重合性モノマー(1)以外のラジカル重合性モノマー(2)と、
バインダー樹脂と、
光重合開始剤と、
増感色素と、
を含有し、
ホログラム層形成用である、
感光性組成物。
【化1】
[前記式(1)中、R
1~R
4は、それぞれ独立してアルキル基、シクロアルキル基、アリール基またはハロゲン原子を表し、k1~k4は、それぞれ独立して0以上5以下の整数を表し、k1~k4の内、少なくとも1つが2以上である場合、それぞれ対応するR
1~R
4は同一でも異なってもよく、n1およびn2は、それぞれ独立して1以上の整数を表し、R
5およびR
6は、それぞれ独立して炭素数2以上4以下のアルカンジイル基を表し、p1およびp2は、それぞれ独立して0または1以上の整数を表し、R
7およびR
8は、それぞれ独立して水素原子またはメチル基を表す。]
【請求項2】
前記ラジカル重合性モノマー(2)が、1.50以上の屈折率を有する(メタ)アクリレート化合物および1.50以上の屈折率を有するチオ(メタ)アクリレート化合物から選択される少なくとも1種である、請求項1に記載の感光性組成物。
【請求項3】
カチオン重合性モノマーをさらに含有する、請求項1に記載の感光性組成物。
【請求項4】
基材と、
請求項1~3のいずれか一項に記載の感光性組成物から形成された感光性材料層と、
第1の保護層と、
をこの順に備える、ホログラム記録用シート。
【請求項5】
基材と、
請求項1~3のいずれか一項に記載の感光性組成物から形成されたホログラム層と、
第1の保護層と、
をこの順に備える、ホログラムシート。
【請求項6】
前記ホログラム層が、体積型ホログラム層である、請求項5に記載のホログラムシート。
【請求項7】
基材と、
請求項1~3のいずれか一項に記載の感光性組成物から形成されたホログラム層と、
基板と、
をこの順に備えるコンバイナ。
【請求項8】
前記ホログラム層が、体積型ホログラム層である、請求項7に記載のコンバイナ。
【請求項9】
一対の基板と、
前記一対の基板を互いに接合するように前記一対の基板の間に配置された接合材と、
前記一対の基板の間に位置する、請求項5に記載のホログラムシートと、
を有するコンバイナ。
【請求項10】
画像光を放出する画像形成装置と、
前記画像光が照射される請求項9に記載のコンバイナと、
を備える、ヘッドアップディスプレイ。
【請求項11】
請求項10に記載のヘッドアップディスプレイを備える、移動体。
【請求項12】
下記式(1A)で表される構造を有するホログラム層。
【化2】
[前記式(1A)中、R
1~R
4は、それぞれ独立してアルキル基、シクロアルキル基、アリール基またはハロゲン原子を表し、n1およびn2は、それぞれ独立して1以上の整数を表し、k1~k4は、それぞれ独立して0以上5以下の整数を表し、k1~k4の内、少なくとも1つが2以上である場合、それぞれ対応するR
1~R
4は同一でも異なってもよく、R
5およびR
6は、それぞれ独立して炭素数2以上4以下のアルカンジイル基を表し、p1およびp2は、それぞれ独立して0または1以上の整数を表し、R
7およびR
8は、それぞれ独立して水素原子またはメチル基を表す。]
【請求項13】
屈折率変調量(Δn)が0.025以上である、請求項12に記載のホログラム層。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ホログラム層形成用感光性組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
一対の基板と、一対の基板の間に位置するホログラムシートと、を有するコンバイナが知られている。ホログラムシートは、基材と、該基材上に設けられているホログラム層と、を備える。例えば特許文献1および2には、ホログラム層を形成するための感光性組成物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平06-301322号公報
【特許文献2】特開2001-125474号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
リップマン体積型ホログラムなどの体積型の反射型ホログラムは、波長選択性があり、特定の入射角で入射する特定波長の光を回折(反射)して画像を表示させている。映し出される画像の明るさは、通常は、ホログラム層中に含まれる材料の屈折率変調量(Δn)に依存する。一般的に屈折率変調量(Δn)が大きくなるに従い、発色鮮明度が向上する。しかしながら、従来の感光性組成物は、Δnが大きいホログラム層を形成することは困難であった。
【0005】
本開示の目的は、屈折率変調量(Δn)に優れるホログラム層を形成できる感光性組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の感光性組成物は、後述する式(1)で表されるラジカル重合性モノマー(1)と、ラジカル重合性モノマー(1)以外のラジカル重合性モノマー(2)と、バインダー樹脂と、光重合開始剤と、増感色素と、を含有し、ホログラム層形成用である。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、屈折率変調量(Δn)に優れるホログラム層を形成できる感光性組成物を提供することができる。屈折率変調量(Δn)の上昇により、ホログラム層による発色鮮明度が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、一実施形態に係るホログラム記録用シートの模式断面図である。
【
図2】
図2は、一実施形態に係るホログラム記録用シートの模式断面図である。
【
図3】
図3は、一実施形態に係るホログラム記録用シートの模式断面図である。
【
図4】
図4は、一実施形態に係るホログラムシートの模式断面図である。
【
図5】
図5は、一実施形態に係るホログラムシートの模式断面図である。
【
図6】
図6は、ヘッドアップディスプレイを有する移動体を示す概略図である。
【
図7】
図7は、一実施形態に係るコンバイナの模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書において、「シート」、「フィルム」および「板」等の用語は、呼称の違いのみに基づいて互いから区別されない。本明細書において、シート状(フィルム状、板状)の部材の法線方向とは、対象となるシート状(フィルム状、板状)の部材のシート面(フィルム面、板面)への法線方向のことを指す。
【0010】
本開示において、あるパラメータに関して複数の上限値の候補および複数の下限値の候補が挙げられている場合、そのパラメータの数値範囲は、任意の1つの上限値の候補と任意の1つの下限値の候補とを組み合わせることによって構成されてもよい。上記パラメータとしては、例えば、物性値、成分の含有割合および層の厚みが挙げられる。一例として、「パラメータBは、A1以上でもよく、A2以上でもよく、A3以上でもよい。パラメータBは、A4以下でもよく、A5以下でもよく、A6以下でもよい。」との記載について説明する。この例において、パラメータBの数値範囲は、A1以上A4以下でもよく、A1以上A5以下でもよく、A1以上A6以下でもよく、A2以上A4以下でもよく、A2以上A5以下でもよく、A2以上A6以下でもよく、A3以上A4以下でもよく、A3以上A5以下でもよく、A3以上A6以下でもよい。
【0011】
[感光性組成物]
本開示の感光性組成物は、後述する式(1)で表されるラジカル重合性モノマー(1)と、ラジカル重合性モノマー(1)以外のラジカル重合性モノマー(2)と、バインダー樹脂と、光重合開始剤と、増感色素と、を含有する。感光性組成物は、カチオン重合性モノマーをさらに含有してもよい。感光性組成物は、有機溶媒をさらに含有してもよい。
【0012】
感光性組成物は、ホログラム層を形成するための材料として好適である。
【0013】
<ラジカル重合性モノマー(1)>
ラジカル重合性モノマー(1)は、式(1)で表される。
【化1】
【0014】
式(1)中の記号の意味は、以下のとおりである。
R1~R4は、それぞれ独立してアルキル基、シクロアルキル基、アリール基またはハロゲン原子を表す。アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基およびイソプロピル基等の、分岐を有してもよいアルキル基が挙げられる。アルキル基の炭素数は、1以上でもよく、また、6以下でもよく、4以下でもよい。シクロアルキル基としては、例えば、シクロペンチル基およびシクロヘキシル基が挙げられる。シクロアルキル基の炭素数は、3以上でもよく、4以上でもよく、また、12以下でもよく、8以下でもよい。アリール基としては、例えば、フェニル基およびトリル基等の、置換基を有してもよい芳香族基が挙げられる。アリール基の炭素数は、6以上12以下でもよい。ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子およびヨウ素原子が挙げられる。これらの中でも、アルキル基が好ましく、分岐を有してもよい炭素数1以上4以下のアルキル基がより好ましい。
【0015】
k1~k4は、それぞれ独立して0以上5以下の整数を表し、好ましくは0以上2以下の整数を表し、より好ましくは0または1であり、さらに好ましくは0である。k1~k4は、それぞれ、R1~R4の数を表す。k1~k4の内、少なくとも1つが2以上である場合、それぞれ対応するR1~R4は同一でも異なってもよい。
【0016】
n1およびn2は、それぞれ独立して1以上の整数を表し、屈折率および有機溶媒への溶解性のバランスの観点から、好ましくは1以上4以下の整数を表し、より好ましくは1または2を表し、さらに好ましくは1を表す。
【0017】
R5およびR6は、それぞれ独立して炭素数2以上4以下のアルカンジイル基を表す。アルカンジイル基としては、例えば、エタン-1,2-ジイル基、プロパン-1,3-ジイル基、プロパン-1,2-ジイル基、およびブタン-1,4-ジイル基が挙げられる。これらの中でも、エタン-1,2-ジイル基が好ましい。
【0018】
p1およびp2は、それぞれ独立して0または1以上の整数を表し、重合反応性、屈折率および有機溶媒への溶解性のバランスの観点から、好ましくは0または1以上5以下の整数を表し、より好ましくは0または1以上3以下の整数を表し、特に好ましくは0を表す。
【0019】
R7およびR8は、それぞれ独立して水素原子またはメチル基を表す。
【0020】
ラジカル重合性モノマー(1)としては、例えば、R
1~R
8、k1~k4、n1およびn2、ならびにp1およびp2の任意の組合せにより構成されるモノマーが挙げられ、具体的には、下記式で表される化合物が挙げられる。
【化2】
【0021】
ラジカル重合性モノマー(1)は、例えば、国際公開第2017/135123号に記載された方法に準じて合成することができる。ラジカル重合性モノマー(1)としては、例えば、市販品を用いてもよい。
【0022】
ラジカル重合性モノマー(1)は、例えば、感光性材料層中で拡散移動できる化合物である。ラジカル重合性モノマー(1)は、光照射によって光ラジカル重合開始剤から発生した活性ラジカルの作用により重合する化合物である。ラジカル重合性モノマー(1)を含有する感光性組成物は、従来のフルオレン環含有多官能(メタ)アクリレートを含有する感光性組成物に比べて、屈折率変調量(Δn)および回折効率がより優れるホログラム層を形成できる。このようなホログラム層は、画像光を回折して発色鮮明度および色再現性が高い画像を表示できる。
【0023】
ラジカル重合性モノマー(1)の屈折率は、1.50以上でもよく、1.55以上でもよく、1.60以上でもよく、また、1.80以下でもよい。本明細書においてモノマーの屈折率は、アッベ屈折計((株)アタゴ製「多波長アッベ屈折計 DR-M2」)を用いて、測定波長:589nm、測定温度:25℃の条件にて測定される。具体的には、モノマーをN-メチルピロリドン(NMP)に溶解させてモノマー濃度が5質量%、10質量%および15質量%の溶液を調製し、各溶液について上述の装置、条件にて屈折率を測定する。次に、得られた3点の測定値から近似曲線を導き、これをモノマー濃度100質量%に外挿したときの値をモノマーの屈折率とする。
【0024】
感光性組成物は、ラジカル重合性モノマー(1)を1種または2種以上含有できる。
【0025】
<ラジカル重合性モノマー(2)>
ラジカル重合性モノマー(2)は、ラジカル重合性モノマー(1)以外のラジカル重合性モノマーである。ラジカル重合性モノマー(2)は、例えば、感光性材料層中で拡散移動できる化合物である。ラジカル重合性モノマー(2)は、光照射によって光ラジカル重合開始剤から発生した活性ラジカルの作用により重合する化合物である。
【0026】
ラジカル重合性モノマー(2)は、例えば、少なくとも1つのエチレン性不飽和二重結合含有基を有する。エチレン性不飽和二重結合含有基としては、例えば、(メタ)アクリロイル基およびビニル基が挙げられる。
【0027】
本明細書において、「(メタ)アクリロイル基」とは「アクリロイル基」または「メタクリロイル基」を意味し、「(メタ)アクリル酸」とは「アクリル酸」または「メタクリル酸」を意味し、「(メタ)アクリレート」とは「アクリレート」または「メタクリレート」を意味し、「(メタ)アクリル」とは「アクリル」または「メタクリル」を意味し、類似の表現も同様の意味である。
【0028】
ラジカル重合性モノマー(2)としては、例えば、不飽和カルボン酸、ならびに不飽和カルボン酸のエステル、チオエステル、アミドおよび塩が挙げられる。不飽和カルボン酸としては、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、フマル酸およびマレイン酸が挙げられる。不飽和カルボン酸のエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。不飽和カルボン酸のチオエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸チオエステルが挙げられる。不飽和カルボン酸のアミドとしては、例えば、(メタ)アクリル酸のアミド化物が挙げられる。
【0029】
ラジカル重合性モノマー(2)としては、例えば、(メタ)アクリロイル基を1つ有する単官能(メタ)アクリレート、および(メタ)アクリロイル基を2つ以上有する多官能(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリレート化合物、ならびに(メタ)アクリロイル基を1つ有する単官能チオ(メタ)アクリレート、および(メタ)アクリロイル基を2つ以上有する多官能チオ(メタ)アクリレートなどのチオ(メタ)アクリレート化合物が挙げられる。多官能(メタ)アクリレートにおける(メタ)アクリロイル基数は、10以下でもよく、8以下でもよく、6以下でもよく、具体的には2でもよい。多官能チオ(メタ)アクリレートにおける(メタ)アクリロイル基数は、10以下でもよく、8以下でもよく、6以下でもよく、具体的には2でもよい。
【0030】
上記単官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、アルキル(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、脂環含有単官能(メタ)アクリレート、芳香環含有単官能(メタ)アクリレート、グリコール系単官能(メタ)アクリレート、窒素原子含有単官能(メタ)アクリレートおよび硫黄原子含有単官能(メタ)アクリレート、ならびにこれらのモノマーのハロゲン化物が挙げられる。
【0031】
アルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレートおよびラウリル(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0032】
ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、ヒドロキシメチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートおよびヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0033】
脂環含有単官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、シクロアルキル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレートおよびジシクロペンタニル(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0034】
本明細書において芳香環としては、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、フルオレン環、ベンゾトリアゾール環およびジナフトチオフェン環が挙げられる。
【0035】
芳香環含有単官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、ベンゼン環含有単官能(メタ)アクリレート、ナフタレン環含有単官能(メタ)アクリレート、ベンゾトリアゾール環含有単官能(メタ)アクリレート、およびジナフトチオフェン環含有単官能(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0036】
ベンゼン環含有単官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、フェニル(メタ)アクリレート、トリフェニルメチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2-フェノキシエチル(メタ)アクリレート、メチルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、フェノキシベンジル(メタ)アクリレート、β-(メタ)アクリロキシエチルハイドロゲンフタレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、2-(o-フェニルフェノキシ)エチル(メタ)アクリレート、2-(o-フェニルフェノキシ)ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ビフェニル-2,2’-ジカルボン酸(2-(メタ)アクリロキシエチル)モノエステルが挙げられる。
【0037】
ナフタレン環含有単官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、2-ナフチル(メタ)アクリレート、1-ナフチルメチル(メタ)アクリレート、2,3-ナフタレンジカルボン酸((メタ)アクリロキシエチル)モノエステルが挙げられる。
【0038】
ベンゾトリアゾール環含有(メタ)アクリレートとしては、例えば、2-[2’-ヒドロキシ-5’-((メタ)アクリロイルオキシメチル)フェニル]-2H-ベンゾトリアゾール、2-[2’-ヒドロキシ-5’-((メタ)アクリロイルオキシエチル)フェニル]-2H-ベンゾトリアゾール、2-[2’-ヒドロキシ-5’-((メタ)アクリロイルオキシプロピル)フェニル]-2H-ベンゾトリアゾール、2-[2’-ヒドロキシ-5’-((メタ)アクリロイルオキシヘキシル)フェニル]-2H-ベンゾトリアゾール、2-[2’-ヒドロキシ-3’-tert-ブチル-5’-((メタ)アクリロイルオキシエチル)フェニル]-2H-ベンゾトリアゾール、2-[2’-ヒドロキシ-5’-(β-(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)-3’-tert-ブチルフェニル]-5-tert-ブチル-2H-ベンゾトリアゾールが挙げられる。
【0039】
ジナフトチオフェン環含有(メタ)アクリレートとしては、例えば、6-(メタ)アクリロイルオキシメチルジナフトチオフェンおよび6-(メタ)アクリロイルオキシエチルジナフトチオフェンが挙げられる。
【0040】
グリコール系単官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、メトキシプロピレングリコール(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシルカルビトール(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0041】
窒素原子含有単官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、(メタ)アクリルアミド、N-(メタ)アクリロイルモルホリンおよび2-(9-カルバゾリル)エチル(メタ)アクリレートが挙げられる。硫黄原子含有単官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、2-(トリシクロ[5.2.102,6]デシルチオ)エチル(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0042】
上記モノマーのハロゲン化物としては、例えば、2,3-ジブロモプロピル(メタ)アクリレート、2,4,6-トリブロモフェニル(メタ)アクリレートおよび2-(トリシクロ[5.2.102,6]ジブロモデシルチオ)エチル(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0043】
上記多官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、脂肪族系多官能(メタ)アクリレートおよび芳香環含有多官能(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0044】
脂肪族系多官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレンジチオグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートおよびメチレンビス(メタ)アクリルアミド、ならびにこれらのモノマーのハロゲン化物、例えば、ジブロモネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0045】
芳香環含有多官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、ベンゼン環含有多官能(メタ)アクリレート、ナフタレン環含有多官能(メタ)アクリレート、フェナントレン環含有多官能(メタ)アクリレート、ジナフトチオフェン環含有多官能(メタ)アクリレート、およびフルオレン環含有多官能(メタ)アクリレート、ならびにこれらのモノマーのハロゲン化物が挙げられる。
【0046】
ベンゼン環含有多官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、1,3-ビス[2-(メタ)アクリロキシ-3-フェノキシプロポキシ]ベンゼン、ビスフェノール骨格含有多官能(メタ)アクリレートおよびビフェニル骨格含有多官能(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0047】
ビスフェノール骨格含有多官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、
ビス(4-(メタ)アクリロキシエトキシフェニル)メタン、ビス(4-(メタ)アクリロキシジエトキシフェニル)メタン、ビス(4-(メタ)アクリロキシポリエトキシフェニル)メタン、およびビス(4-(メタ)アクリロキシプロポキシフェニル)メタンなどのビスフェノールF系化合物;
2,2-ビス(4-(メタ)アクリロキシエトキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-(メタ)アクリロキシジエトキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-(メタ)アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、および2,2-ビス(4-(メタ)アクリロキシプロポキシフェニル)プロパンなどのビスフェノールA系化合物;
ビス(4-(メタ)アクリロキシエトキシフェニル)スルホン、ビス(4-(メタ)アクリロキシジエトキシフェニル)スルホン、ビス(4-(メタ)アクリロキシポリエトキシフェニル)スルホン、およびビス(4-(メタ)アクリロキシプロポキシフェニル)スルホンなどのビスフェノールS系化合物;ならびに
ビス(4-(メタ)アクリロキシエトキシフェニル)ビフェニルメタン、ビス(4-(メタ)アクリロキシジエトキシフェニル)ビフェニルメタン、ビス(4-(メタ)アクリロキシポリエトキシフェニル)ビフェニルメタン、ビス(4-(メタ)アクリロキシプロポキシフェニル)ビフェニルメタン、ビス(4-(メタ)アクリロキシエトキシ-3-フェニルフェニル)ビフェニルメタン、ビス(4-(メタ)アクリロキシジエトキシ-3-フェニルフェニル)ビフェニルメタン、ビス(4-(メタ)アクリロキシポリエトキシ-3-フェニルフェニル)ビフェニルメタン、およびビス(4-(メタ)アクリロキシプロポキシ-3-フェニルフェニル)ビフェニルメタンなどの他のビスフェノール系化合物;
が挙げられる。
【0048】
ビフェニル骨格含有多官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、4,4’-ビス(2-(メタ)アクリロキシエトキシ)ビフェニル、4,4’-ビス(2-(メタ)アクリロキシジエトキシ)ビフェニル、4,4’-ビス(2-(メタ)アクリロキシポリエトキシ)ビフェニル、4,4’-ビス(2-(メタ)アクリロキシプロポキシ)ビフェニルおよびビフェニル-2,2’-ジカルボン酸(2-(メタ)アクリロキシエチル)(3-(メタ)アクリロキシプロピル-2-ヒドロキシ)ジエステルが挙げられる。
【0049】
ナフタレン環含有多官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、ナフタレンジオールジ(メタ)アクリレート、2,3-ナフタレンジカルボン酸(2-(メタ)アクリロキシエチル)(3-(メタ)アクリロキシプロピル-2-ヒドロキシ)ジエステルが挙げられる。フェナントレン環含有多官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、フェナントレンジオールジ(メタ)アクリレート、4,5-フェナントレンジカルボン酸(2-(メタ)アクリロキシエチル)(3-(メタ)アクリロキシプロピル-2-ヒドロキシ)ジエステルが挙げられる。
【0050】
ジナフトチオフェン環含有多官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、2,12-ジ(メタ)アクリロイルオキシメチルジナフトチオフェンおよび3,11-ジ(メタ)アクリロイルオキシメチルジナフトチオフェンが挙げられる。
【0051】
フルオレン環含有多官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、9,9-ビス(4-(メタ)アクリロイルオキシフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-(メタ)アクリロイルオキシメトキシフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-(2-(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)フェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-(2-(メタ)アクリロイルオキシプロポキシ)フェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-(3-(メタ)アクリロイルオキシプロポキシ)フェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-(メタ)アクリロイルオキシジメトキシフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-(メタ)アクリロイルオキシジエトキシフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-(メタ)アクリロイルオキシジプロポキシフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-(メタ)アクリロイルオキシトリメトキシフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-(メタ)アクリロイルオキシトリエトキシフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-(メタ)アクリロイルオキシトリプロポキシフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-(メタ)アクリロイルオキシテトラメトキシフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-(メタ)アクリロイルオキシテトラエトキシフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-(メタ)アクリロイルオキシテトラプロポキシフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-(メタ)アクリロイルオキシ-3-メチルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-(メタ)アクリロイルオキシメトキシ-3-メチルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-(2-(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)-3-メチルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-(2-(メタ)アクリロイルオキシプロポキシ)-3-メチルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-(3-(メタ)アクリロイルオキシプロポキシ)-3-メチルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-(メタ)アクリロイルオキシジメトキシ-3-メチルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-(メタ)アクリロイルオキシジエトキシ-3-メチルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-(メタ)アクリロイルオキシジプロポキシ-3-メチルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-(メタ)アクリロイルオキシトリメトキシ-3-メチルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-(メタ)アクリロイルオキシトリエトキシ-3-メチルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-(メタ)アクリロイルオキシトリプロポキシ-3-メチルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-(メタ)アクリロイルオキシテトラメトキシ-3-メチルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-(メタ)アクリロイルオキシテトラエトキシ-3-メチルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-(メタ)アクリロイルオキシテトラプロポキシ-3-メチルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-(メタ)アクリロイルオキシ-3-エチルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-(メタ)アクリロイルオキシメトキシ-3-エチルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-(2-(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)-3-エチルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-(2-(メタ)アクリロイルオキシプロポキシ)-3-エチルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-(3-(メタ)アクリロイルオキシプロポキシ)-3-エチルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-(メタ)アクリロイルオキシジメトキシ-3-エチルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-(メタ)アクリロイルオキシジエトキシ-3-エチルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-(メタ)アクリロイルオキシジプロポキシ-3-エチルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-(メタ)アクリロイルオキシトリメトキシ-3-エチルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-(メタ)アクリロイルオキシトリエトキシ-3-エチルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-(メタ)アクリロイルオキシトリプロポキシ-3-エチルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-(メタ)アクリロイルオキシテトラメトキシ-3-エチルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-(メタ)アクリロイルオキシテトラエトキシ-3-エチルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-(メタ)アクリロイルオキシテトラプロポキシ-3-エチルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-(メタ)アクリロイルオキシ-3-プロピルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-(メタ)アクリロイルオキシメトキシ-3-プロピルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-(2-(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)-3-プロピルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-(2-(メタ)アクリロイルオキシプロポキシ)-3-プロピルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-(3-(メタ)アクリロイルオキシプロポキシ)-3-プロピルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-(メタ)アクリロイルオキシジメトキシ-3-プロピルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-(メタ)アクリロイルオキシジエトキシ-3-プロピルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-(メタ)アクリロイルオキシジプロポキシ-3-プロピルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-(メタ)アクリロイルオキシトリメトキシ-3-プロピルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-(メタ)アクリロイルオキシトリエトキシ-3-プロピルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-(メタ)アクリロイルオキシトリプロポキシ-3-プロピルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-(メタ)アクリロイルオキシテトラメトキシ-3-プロピルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-(メタ)アクリロイルオキシテトラエトキシ-3-プロピルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-(メタ)アクリロイルオキシテトラプロポキシ-3-プロピルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-(メタ)アクリロイルオキシ-3-フェニルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-(メタ)アクリロイルオキシメトキシ-3-フェニルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-(2-(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)-3-フェニルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-(2-(メタ)アクリロイルオキシプロポキシ)-3-フェニルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-(3-(メタ)アクリロイルオキシプロポキシ)-3-フェニルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-(メタ)アクリロイルオキシジメトキシ-3-フェニルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-(メタ)アクリロイルオキシジエトキシ-3-フェニルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-(メタ)アクリロイルオキシジプロポキシ-3-フェニルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-(メタ)アクリロイルオキシトリメトキシ-3-フェニルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-(メタ)アクリロイルオキシトリエトキシ-3-フェニルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-(メタ)アクリロイルオキシトリプロポキシ-3-フェニルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-(メタ)アクリロイルオキシテトラメトキシ-3-フェニルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-(メタ)アクリロイルオキシテトラエトキシ-3-フェニルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-(メタ)アクリロイルオキシテトラプロポキシ-3-フェニルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-(メタ)アクリロイルオキシ-(2-ヒドロキシ)プロポキシフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-(メタ)アクリロイルオキシ-(2-ヒドロキシ)プロポキシ-3-メチルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-(メタ)アクリロイルオキシ-(2-ヒドロキシ)プロポキシエトキシフェニル)フルオレン、ビスフェノールフルオレンジヒドロキシ(メタ)アクリレートすなわち9,9-ビス(4-ヒドロキシフェニル)フルオレンのグリシジルエーテルの(メタ)アクリル酸付加物、ビスフェノールフルオレンジ(メタ)アクリレート、ビスフェノキシエタノールフルオレンジ(メタ)アクリレート、ビスフェノキシエタノールフルオレンジエポキシ(メタ)アクリレート、ビスフェノールフルオレンジエポキシ(メタ)アクリレート、ビスクレゾールフルオレンジエポキシ(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0052】
上記モノマーのハロゲン化物としては、例えば、1,3-ビス[2-(メタ)アクリロキシ-3-(2,4,6-トリブロモフェノキシ)プロポキシ]ベンゼン、ビス(4-(メタ)アクリロキシエトキシ-3,5-ジブロモフェニル)メタン、2,2-ビス(4-(メタ)アクリロキシエトキシ-3,5-ジブロモフェニル)プロパン、およびビス(4-(メタ)アクリロキシエトキシ-3,5-ジブロモフェニル)スルホンが挙げられる。
【0053】
(メタ)アクリレート化合物としては、また、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリオール(メタ)アクリレートおよびポリエステル(メタ)アクリレートも挙げられる。
【0054】
チオ(メタ)アクリレート化合物としては、例えば、以上に挙げた(メタ)アクリレート化合物の各名称において、「(メタ)アクリレート」を「チオ(メタ)アクリレート」に変更した化合物、または、「(メタ)アクリロイルオキシ」もしくは「(メタ)アクリロキシ」を「(メタ)アクリロイルチオ」に変更した化合物が挙げられる。具体的には、トリフェニルメチルチオ(メタ)アクリレート、S-(1-ナフチルメチル)チオ(メタ)アクリレートおよびナフタレンジチオールジ(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0055】
ラジカル重合性モノマー(2)として、例えば、ビニルモノマーも挙げられる。ビニルモノマーとしては、例えば、芳香環含有ビニルモノマーおよびビニルエステルモノマーが挙げられる。芳香環含有ビニルモノマーとしては、例えば、スチレン、2-ブロモスチレンおよびα-メチルスチレンなどのスチレン系モノマー;ビニルナフタレン、ビニルアントラセン、ビニルフェナントレン、ビニルジナフトチオフェン、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレンおよびジビニルジナフトチオフェンが挙げられる。ビニルエステルモノマーとしては、例えば、酢酸ビニルおよびプロピオン酸ビニルが挙げられる。
【0056】
ラジカル重合性モノマー(2)の屈折率は、1.40以上でもよく、1.45以上でもよく、1.50以上でもよく、1.55以上でもよく、1.60以上でもよく、また、1.80以下でもよい。ラジカル重合性モノマー(1)とともに、屈折率が高いラジカル重合性モノマー(2)を含有する感光性組成物は、大きな屈折率変調量(Δn)を有するホログラム層を形成できる。
【0057】
上記屈折率を有するラジカル重合性モノマー(2)としては、例えば、芳香環を有するラジカル重合性モノマーが好ましく、芳香環含有単官能(メタ)アクリレート、芳香環含有多官能(メタ)アクリレートおよび芳香環含有ビニルモノマーがより好ましく、芳香環含有単官能(メタ)アクリレートおよび芳香環含有多官能(メタ)アクリレートがさらに好ましく、ベンゼン環含有単官能(メタ)アクリレート、ナフタレン環含有単官能(メタ)アクリレート、ベンゾトリアゾール環含有単官能(メタ)アクリレート、ジナフトチオフェン環含有単官能(メタ)アクリレート、ベンゼン環含有多官能(メタ)アクリレート、ナフタレン環含有多官能(メタ)アクリレート、フェナントレン環含有多官能(メタ)アクリレート、ジナフトチオフェン環含有多官能(メタ)アクリレート、およびフルオレン環含有多官能(メタ)アクリレート、ならびにこれらのモノマーのハロゲン化物がさらに好ましい。
【0058】
ラジカル重合性モノマー(2)としては、フェノキシベンジル(メタ)アクリレート、2-(o-フェニルフェノキシ)ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、1-ナフチルメチル(メタ)アクリレート、2-[2’-ヒドロキシ-5’-((メタ)アクリロイルオキシエチル)フェニル]-2H-ベンゾトリアゾール、6-(メタ)アクリロイルオキシメチルジナフトチオフェン、4,4’-ビス(2-(メタ)アクリロキシエトキシ)ビフェニルおよびナフタレンジチオールジ(メタ)アクリレート、9,9-ビス(4-(2-(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)フェニル)フルオレンが好ましく、屈折率変調量(Δn)および回折効率の観点から、2-[2’-ヒドロキシ-5’-((メタ)アクリロイルオキシエチル)フェニル]-2H-ベンゾトリアゾールがより好ましい。
【0059】
感光性組成物は、ラジカル重合性モノマー(2)を1種または2種以上含有できる。
【0060】
ラジカル重合性モノマー(1)および(2)の屈折率は、カチオン重合性モノマーの屈折率より大きいことが好ましく、0.05以上大きいことがより好ましく、0.10以上大きいことがさらに好ましく、0.15以上大きいことがよりさらに好ましい。このような態様により、例えば、所望の屈折率変調量が得られる。
ラジカル重合性モノマー(1)および(2)の屈折率は、バインダー樹脂の屈折率より大きいことが好ましく、0.05以上大きいことがより好ましく、0.10以上大きいことがさらに好ましく、0.15以上大きいことがよりさらに好ましい。このような態様により、例えば、所望の屈折率変調量が得られる。
【0061】
<カチオン重合性モノマー>
感光性組成物は、カチオン重合性モノマーをさらに含有してもよい。ラジカル重合性モノマーとカチオン重合性モノマーとを併用することにより、例えば、形成されるホログラム層の架橋密度(緻密さ)や、耐久性を向上できる。
【0062】
カチオン重合性モノマーは、光照射によって光カチオン重合開始剤の分解により発生したブレンステッド酸またはルイス酸によってカチオン重合する化合物である。カチオン重合性モノマーとしては、例えば、カチオン重合性官能基を有する化合物が挙げられる。カチオン重合性官能基としては、例えば、エポキシ基およびオキセタニル基が挙げられる。
【0063】
カチオン重合性モノマーとしては、エポキシ基を有するモノマーが好ましい。エポキシ基を有するモノマーとしては、例えば、エポキシ基を1つ有する単官能エポキシ化合物、およびエポキシ基を2つ以上有する多官能エポキシ化合物が挙げられる。多官能エポキシ化合物におけるエポキシ基数は、10以下でもよく、8以下でもよく、6以下でもよい。
【0064】
単官能エポキシ化合物としては、例えば、フェニルグリシジルエーテル、ジブロモフェニルグリシジルエーテル、p-tert-ブチルフェニルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、2-エチルヘキシルグリシジルエーテル、ビニルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、1,2-ブチレンオキサイド、1,3-ブタジエンモノオキサイド、1,2-エポキシドデカン、エピクロロヒドリン、1,2-エポキシデカン、スチレンオキサイド、およびシクロヘキセンオキサイドが挙げられる。
【0065】
多官能エポキシ化合物としては、例えば、1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、1,9-ノナンジオールジグリシジルエーテル、1,6-ジメチロールパーフルオロヘキサンジグリシジルエーテル、ジブロモネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、グリセリンポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、レゾルシンジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ビスフェノールSジグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールAジグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールFジグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールSジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールAジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールFジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールSジグリシジルエーテル、エポキシノボラック樹脂、アジピン酸ジグリシジルエステル、オルソフタル酸ジグリシジルエステル、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3’,4’-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)-3’,4’-エポキシ-1,3-ジオキサン-5-スピロシクロヘキサン、ビス(3,4-エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、ビス(3,4-エポキシ-6-メチルシクロヘキシルメチル)アジペート、3,4-エポキシ-6-メチルシクロヘキシル-3’,4’-エポキシ-6’-メチルシクロヘキサンカルボキシレート、4’,5’-エポキシ-2’-メチルシクロヘキシルメチル-4,5-エポキシ-2-メチルシクロヘキサンカルボキシレート、メチレンビス(3,4-エポキシシクロヘキサン)、ジシクロペンタジエンジエポキサイド、エチレングリコールのジ(3,4-エポキシシクロヘキシルメチル)エーテル、エチレングリコール-ビス(3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、1,4-ビス(2,3-エポキシプロポキシパーフルオロイソプロピル)シクロヘキサン、4,4’-ビス(2,3-エポキシプロポキシパーフルオロイソプロピル)ジフェニルエーテル、ビス(2,3-エポキシシクロペンチル)エーテル、1,1,3-テトラデカジエンジオキサイド、リモネンジオキサイド、1,2,7,8-ジエポキシオクタン、1,2,5,6-ジエポキシシクロオクタン、および1,2,5,6-ジエポキシ-4,7-メタノペルヒドロインデン、1,4-ビス(2’,3’-エポキシプロピル)パーフルオロ-n-ブタン、1,6-ビス(2’,3’-エポキシプロピル)パーフルオロ-n-ヘキサン、1,3-ビス[(3,4-エポキシシクロヘキシル-2-エチル)-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサンが挙げられる。
【0066】
オキセタニル基を有するモノマーとしては、例えば、オキセタニル基を1つ有する単官能オキセタン化合物、およびオキセタニル基を2つ以上有する多官能オキセタン化合物が挙げられる。多官能オキセタン化合物におけるオキセタニル基数は、10以下でもよく、8以下でもよく、6以下でもよい。
【0067】
単官能オキセタン化合物としては、例えば、3-エチル-3-ヒドロキシメチルオキセタン、3-エチル-3-(フェノキシメチル)オキセタン、3,3-ジエチルオキセタン、および3-エチル-3-(2-エチルヘキシロキシメチル)オキセタンが挙げられる。多官能オキセタン化合物としては、例えば、1,4-ビス{[(3-エチル-3-オキセタニル)メトキシ]メチル}ベンゼン、ジ(1-エチル(3-オキセタニル))メチルエーテル、およびペンタエリスリトールテトラキス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテルが挙げられる。
【0068】
カチオン重合性モノマーとしては、ビニルエーテルも挙げられる。ビニルエーテルとしては、例えば、ビニル-2-クロロエチルエーテル、ビニル-n-ブチルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、1,4-シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、トリメチロールエタントリビニルエーテルおよびビニルグリシジルエーテルが挙げられる。
【0069】
カチオン重合性モノマーの屈折率は、1.50未満でもよく、1.47未満でもよく、例えば1.35以上でもよい。屈折率が低いカチオン重合性モノマーと、屈折率が高いラジカル重合性モノマーと、を含有する感光性組成物は、例えば、屈折率変調量(Δn)が大きいホログラム層を形成できる。
【0070】
カチオン重合性モノマーは、常温で液状でもよい。このようなカチオン重合性モノマーを用いることにより、例えば、ラジカル重合性モノマーを比較的低粘度の感光性材料層中で重合できる。
【0071】
感光性組成物は、カチオン重合性モノマーを1種または2種以上含有できる。
【0072】
感光性組成物は、カチオン重合性モノマーとして、エポキシ基を有するモノマーを少なくとも含有することが好ましい。ラジカル重合性モノマー(1)および(2)とともに、エポキシ基を有するモノマーを含有する感光性組成物は、例えば、架橋密度(緻密さ)が高いホログラム層を形成でき、したがってホログラム層への低分子量成分の移行を抑制できる。
【0073】
<バインダー樹脂>
感光性組成物は、バインダー樹脂を含有する。バインダー樹脂は、例えば、感光性組成物の成膜性、ならびに感光性材料層およびホログラム層の膜厚均一性、屈折率変調量、耐熱性および機械的物性を向上させ、ホログラフィ露光により形成されるホログラムを安定化させる。
【0074】
バインダー樹脂としては、例えば、カチオン重合性基を有するバインダー樹脂、カチオン重合性基を有するバインダー樹脂以外の熱硬化性樹脂、および熱可塑性樹脂が挙げられる。これらの中でも、カチオン重合性基を有するバインダー樹脂が好ましい。
【0075】
カチオン重合性基を有するバインダー樹脂は、例えば、カチオン重合性基を側鎖中に有する。該バインダー樹脂は、カチオン重合性基を有する重合体であり、好ましくはカチオン重合性基を有する(メタ)アクリル樹脂(以下「カチオン重合性基含有(メタ)アクリル樹脂」ともいう)である。
【0076】
カチオン重合性基を有するバインダー樹脂は、例えば、感光性組成物の成膜性、ならびに感光性材料層およびホログラム層の膜厚均一性、屈折率変調量、耐熱性および機械的物性を向上させ、ホログラフィ露光により形成されるホログラムを安定化させる。バインダー樹脂としてカチオン重合性基を有するバインダー樹脂を用いると、加熱処理により上記樹脂を硬化させることで、ホログラム層の強度を高め、ホログラム記録特性が向上し、安定した層構造を形成できる。上記樹脂のカチオン重合性基の一部は、光照射により光重合性モノマーの官能基の一部との間で相互作用が起こり、化学結合を形成できる。この場合、ホログラム記録後の光照射により、光重合性モノマーが固定されることから、ホログラム層の強度を向上できる。
【0077】
カチオン重合性基としては、例えば、エポキシ基、オキセタニル基(オキセタン環)、ビニルエーテル基、ビニルアミノ基およびビニルアミド基が挙げられ、これらの中でも、エポキシ基およびオキセタニル基が好ましく、エポキシ基がより好ましい。
【0078】
カチオン重合性基を有する重合体は、例えば、カチオン重合性基を有するビニル化合物(以下「カチオン重合性基含有ビニルモノマー」という)と、該ビニルモノマー以外の重合性モノマーと、を共重合することにより得られる。カチオン重合性基を有する重合体は、好ましくはカチオン重合性基を側鎖に有する(メタ)アクリル系共重合体であり、例えば、カチオン重合性基含有ビニルモノマーと、(メタ)アクリレート化合物と、を少なくとも共重合することにより得られる。
以下に説明する各モノマーは、1種または2種以上用いることができる。
【0079】
カチオン重合性基含有ビニルモノマーとしては、例えば、エポキシ基を有するビニルモノマーおよびオキセタニル基(オキセタン環)を有するビニルモノマーが挙げられる。
【0080】
エポキシ基を有するビニルモノマーとしては、例えば、エポキシ基含有(メタ)アクリレートが挙げられる。エポキシ基含有(メタ)アクリレートとしては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレートおよびグリシジルオキシアルキル(メタ)アクリレート等の、グリシジル基含有(メタ)アクリレート;3,4-エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート等の、脂環式エポキシド基含有(メタ)アクリレートが挙げられる。グリシジルオキシアルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、グリジシルオキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジルオキシプロピル(メタ)アクリレートおよびグリシジルオキシブチル(メタ)アクリレートなどのグリシジルオキシC2-6アルキル(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0081】
エポキシ基を有するビニルモノマーとしては、また、アリルグリシジルエーテル;4-ビニル-1-シクロヘキセンオキシドおよび4-ビニル-1-シクロヘキセンジオキシド等の、シクロアルケンオキシド基を有するビニルモノマーが挙げられる。
【0082】
オキセタン環を有するビニルモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸3-エチル-3-オキセタニルメチルなどのオキセタン環含有(メタ)アクリレート;3-エチル-3-(4-ビニロキシシクロヘキシルオキシメチル)オキセタンなどのオキセタン環含有ビニルエーテルが挙げられる。
【0083】
カチオン重合性基含有ビニルモノマーの中でも、エポキシ基を有するビニルモノマーが好ましく、エポキシ基含有(メタ)アクリレートがより好ましく、グリシジル基含有(メタ)アクリレートがさらに好ましい。
【0084】
カチオン重合性基を有する重合体において、カチオン重合性基含有ビニルモノマーに由来する構成単位の含有割合は、8質量%以上でもよく、10質量%以上でもよく、また、65質量%以下でもよく、60質量%以下でもよく、55質量%以下でもよい。各構成単位の含有割合は、1H-NMR法により測定される。
【0085】
カチオン重合性基含有ビニルモノマーと共重合可能な重合性モノマー(以下「共重合モノマー」ともいう)としては、上述したラジカル重合性モノマーの1種または2種以上を用いることができ、例えば、上記単官能(メタ)アクリレート、上記スチレン系モノマーおよび上記ビニルモノマーが挙げられる。具体的には、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレートおよびラウリル(メタ)アクリレートなどのアルキル(メタ)アクリレート;ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;スチレン、2-ブロモスチレンおよびα-メチルスチレンなどのスチレン系モノマーが挙げられる。
【0086】
カチオン重合性基を有する重合体において、上記共重合モノマーに由来する構成単位の含有割合は、92質量%以下でもよく、90質量%以下でもよく、また、35質量%以上でもよく、40質量%以上でもよく、45質量%以上でもよい。
【0087】
カチオン重合性基を有する重合体の重量平均分子量は、ホログラム記録時の光重合性モノマーの拡散移動能および高温保存安定性という観点から、10,000以上でもよく、30,000以上でもよく、50,000以上でもよく、また、300,000以下でもよく、250,000以下でもよく、200,000以下でもよい。本開示において、重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィ-(GPC)測定によるポリスチレン換算値である。
【0088】
感光性組成物は、カチオン重合性基を有するバインダー樹脂を1種または2種以上含有できる。
【0089】
熱硬化性樹脂としては、例えば、不飽和ポリエステル、エポキシ変性不飽和ポリエステル、(メタ)アクリルウレタン樹脂、エポキシ変性(メタ)アクリル樹脂、アルキド樹脂およびフェノール樹脂が挙げられる。バインダー樹脂として熱硬化性樹脂を用いると、加熱処理により熱硬化性樹脂を硬化させることで、ホログラム層の強度を高め、ホログラム記録特性が向上し、安定した層構造を形成できる。熱硬化性樹脂の官能基の一部は、光照射により光重合性モノマーの官能基の一部との間で相互作用が起こり、化学結合を形成できる。この場合、ホログラム記録後の光照射により、光重合性モノマーが固定されることから、ホログラム層の強度を向上できる。
【0090】
熱硬化性樹脂の重量平均分子量は、5,000以上でもよく、10,000以上でもよく、また、100,000以下でもよく、50,000以下でもよい。これにより、例えば、ホログラム層の強度をより向上できる。
感光性組成物は、熱硬化性樹脂を1種または2種以上含有できる。
【0091】
熱可塑性樹脂としては、例えば、(メタ)アクリル樹脂、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセテート、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルカルバゾール、ポリ酢酸ビニル、エチレン-酢酸ビニル共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ-1,2-ジクロロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリスチレン、ポリ-α-メチルスチレン、ポリ-o-メチルスチレン、ポリ-p-メチルスチレン、ポリ-p-フェニルスチレン、ポリ-2,5-ジクロロスチレン、ポリ-p-クロロスチレン、ポリ-α-ビニルナフタレート、スチレン-(メタ)アクリロニトリル共重合体、スチレン-ジビニルベンゼン共重合体、スチレン-ブタジエン共重合体、スチレン-無水マレイン酸共重合体、水素化スチレン-ブタジエン-スチレン共重合体、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリウレタン、ポリカーボネート、エチルセルロース、セルロースアセテート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートブチラート、ポリアリレート、ポリサルホンおよびポリエーテルサルホンが挙げられる。
【0092】
これらの中でも、(メタ)アクリル樹脂が好ましい。(メタ)アクリル樹脂としては、例えば、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリエチル(メタ)アクリレート、ポリプロピル(メタ)アクリレート、ポリn-ブチル(メタ)アクリレート、ポリイソブチル(メタ)アクリレート、ポリtert-ブチル(メタ)アクリレート、ポリヘキシル(メタ)アクリレート、ポリシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ポリ2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ポリフェニル(メタ)アクリレート、ポリベンジル(メタ)アクリレート、ポリ1-フェニルエチル(メタ)アクリレート、ポリ2-フェニルエチル(メタ)アクリレート、ポリフルフリル(メタ)アクリレート、ポリジフェニルメチル(メタ)アクリレート、ポリペンタクロルフェニル(メタ)アクリレート、ポリナフチル(メタ)アクリレート、ポリ2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートおよびポリ(メタ)アクリロニトリル、ならびにこれらのポリマーを構成するモノマーの2種以上の共重合体が挙げられる。
感光性組成物は、熱可塑性樹脂を1種または2種以上含有できる。
【0093】
熱可塑性樹脂の重量平均分子量は、ホログラム記録時の光重合性モノマーの拡散移動能および高温保存安定性という観点から、10,000以上でもよく、30,000以上でもよく、50,000以上でもよく、また、300,000以下でもよく、250,000以下でもよく、200,000以下でもよい。本開示において、重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィ-(GPC)測定によるポリスチレン換算値である。
【0094】
バインダー樹脂の屈折率は、1.50未満でもよく、1.45未満でもよく、例えば1.35以上でもよい。屈折率が低いバインダー樹脂と、屈折率が高いラジカル重合性モノマーと、を含有する感光性組成物は、例えば、屈折率変調量(Δn)が大きいホログラム層を形成できる。
【0095】
<光重合開始剤>
感光性組成物は、光重合開始剤を含有する。光重合開始剤としては、例えば、光ラジカル重合開始剤および光カチオン重合開始剤が挙げられる。
【0096】
光ラジカル重合開始剤は、光照射によって活性ラジカルを生成する化合物である。
光ラジカル重合開始剤としては、例えば、アゾ化合物、アジド化合物、ジアゾ化合物、o-キノンジアジド化合物、アシルホスフィンオキシド化合物、チオキサントン化合物、フェニルケトン化合物、ベンゾイン化合物、アントラキノン化合物、イミダゾール化合物、ビスイミダゾール化合物、チタノセン化合物、有機チオール化合物、ハロゲン化炭化水素化合物、トリアジン化合物および有機過酸化物;ならびに芳香族ヨードニウム塩および芳香族スルホニウム塩などのオニウム塩が挙げられる。
【0097】
感光性組成物は、光ラジカル重合開始剤を1種または2種以上含有できる。
【0098】
光カチオン重合開始剤としては、光酸発生剤が好ましい。光酸発生剤は、光照射によってブレンステッド酸またはルイス酸を生成する化合物である。光酸発生剤としては、例えば、オニウム塩および鉄アレーン錯体が挙げられる。オニウム塩としては、例えば、ジアリールヨードニウム塩などの芳香族ヨードニウム塩、トリアリールスルホニウム塩などの芳香族スルホニウム塩、芳香族ジアゾニウム塩、および芳香族ホスホニウム塩が挙げられる。鉄アレーン錯体としては、例えば、ビスシクロペンタジエニル-(η6-イソプロピルベンゼン)-鉄(II)ヘキサフルオロホスフェートが挙げられる。
【0099】
芳香族ヨードニウム塩および芳香族スルホニウム塩としては、例えば、芳香族ヨードニウムまたは芳香族スルホニウムの、クロリド、ブロミド、テトラフルオロボレート、ヘキサフルオロホスフェート、ヘキサフルオロアンチモネート、トリフルオロメタンスルホネート、9,10-ジメトキシアントラセン-2-スルホネートが挙げられる。
【0100】
芳香族ヨードニウム塩の具体例としては、ジフェニルヨードニウム、4,4’-ジクロロジフェニルヨードニウム、4,4’-ジメトキシジフェニルヨードニウム、(4-メトキシフェニル)フェニルヨードニウム、4,4’-ジtert-ブチルジフェニルヨードニウム、(4-tert-ブチルフェニル)フェニルヨードニウム、3,3’-ジニトロジフェニルヨードニウム、(3-ニトロフェニル)フェニルヨードニウム、4,4’-ジn-アルキル(C10~13)ジフェニルヨードニウムなどのクロリド、ブロミド、テトラフルオロボレート、テトラキスペンタフルオロフェニルボレート、ヘキサフルオロホスフェート、ヘキサフルオロアルセネート、ヘキサフルオロアンチモネート、トリフルオロメタンスルホネート、ノナフルオロブタン-1-スルホネート、ヘプタデカフルオロオクタンスルホネート、トリデカフルオロヘキサン-1-スルホネート、9,10-ジメトキシアントラセン-2-スルホネート、p-トルエンスルホネート、カンファースルホネートが挙げられる。
【0101】
芳香族スルホニウム塩の具体例としては、トリフェニルスルホニウム、(4-ヒドロキシフェニル)ジフェニルスルホニウム、(4-メトキシフェニル)ジフェニルスルホニウム、(4-tert-ブチルフェニル)ジフェニルスルホニウム、[4-(フェニルチオ)フェニル]ジフェニルスルホニウムなどのクロリド、ブロミド、テトラフルオロボレート、ヘキサフルオロホスフェート、ヘキサフルオロアルセネート、ヘキサフルオロアンチモネート、トリフルオロメタンスルホネート、ノナフルオロブタン-1-スルホネート、ヘプタデカフルオロオクタンスルホネート、トリデカフルオロヘキサン-1-スルホネート、9,10-ジメトキシアントラセン-2-スルホネート、p-トルエンスルホネート、カンファースルホネートが挙げられる。
【0102】
感光性組成物は、光カチオン重合開始剤を1種または2種以上含有できる。
【0103】
感光性組成物は、光ラジカル重合開始剤と光カチオン重合開始剤とを含有してもよい。このような感光性組成物、光照射によってラジカル重合性モノマーおよびカチオン重合性モノマーの重合を良好に進めることができる。
【0104】
感光性組成物は、光ラジカル重合開始剤としても光カチオン重合開始剤としても機能する光重合開始剤を含有してもよい。この場合、感光性組成物は、このような光重合開始剤を1種のみ含有してもよい。このような光重合開始剤としては、例えば、芳香族ヨードニウム塩および芳香族スルホニウム塩が挙げられる。
【0105】
光重合開始剤は、記録されたホログラムの安定化の観点から、ホログラム記録後に分解処理されるものであることが好ましい。
【0106】
<増感色素>
感光性組成物は、光重合開始剤を増感せしめる増感色素を含有する。増感色素は、一般的に光を吸収する成分であり、光重合開始剤の記録光に対する感度を増感させる働きを有する。感光性材料層は、増感色素を含有することによって可視光にも活性となり、可視光を用いてホログラムを記録できる。
【0107】
増感色素としては、例えば、チオピリリウム塩系色素、メロシアニン系色素、キノリン系色素、スチリルキノリン系色素、クマリン系色素、ケトクマリン系色素、チオキサンテン系色素、キサンテン系色素、オキソノール系色素、シアニン系色素、ローダミン系色素、スクアリリウム系色素、ピリリウムイオン系色素、シクロペンタノン系色素、シクロヘキサノン系色素およびジフェニルヨードニウムイオン系色素が挙げられる。
【0108】
ホログラム層に無色透明性が要求される場合(例えば、自動車等のヘッドアップディスプレイとして使用する場合)の増感色素としては、シアニン系色素、クマリン色素、スクアリリウム系色素が好ましい。シアニン系色素やスクアリリウム系色素は、一般的に光によって分解しやすいため、後露光により、または室内光や太陽光の下に数時間から数日放置することにより、ホログラム層中の色素が分解されて可視域に吸収を持たなくなり、無色透明なホログラム層が得られる。
【0109】
シアニン系色素としては、例えば、アンヒドロ-3,3’-ジカルボキシメチル-9-エチル-2,2’-チアカルボシアニンベタイン、アンヒドロ-3-カルボキシメチル-3’,9-ジエチル-2,2’-チアカルボシアニンベタイン、3-エチル-9-メチル-3’-(3-スルファトブチル)チアカルボシアニンベタイン、3,3’-ジエチル-2,2’-チアカルボシアニン・ヨウ素塩、3,3’-ジエチル-2,2’-チアカルボシアニン・臭素塩、3,3’,9-トリエチル-2,2’-チアカルボシアニン・ヨウ素塩、3,9-ジエチル-3’-カルボキシメチル-2,2’-チアカルボシアニン・ヨウ素塩、3,3’,9-トリエチル-2,2’-(4,5,4’,5’-ジベンゾ)チアカルボシアニン・ヨウ素塩、3,3’,9-トリエチル-2,2’-(4,5,4’,5’-ジベンゾ)チアカルボシアニン・臭素塩、3,3’,9-トリメチル-2,2’-(4,5,4’,5’-ジベンゾ)チアカルボシアニン・ヨウ素塩、3,3’-ジエチル-2,2’-(6,7-,6’,7’-ジベンゾ)チアカルボシアニン・ヨウ素塩、3,3’-ジエチル-9-メチル-2,2’-セレナカルボシアニン・ヨウ素塩、2-[3-(3-エチル-2-ベンゾチアゾリデン)-1-プロペニル]-6-[2-(3-エチル-2-ベンゾチアゾリデン)エチリデンイミノ]-3-エチル-1,3,5-チアジアゾリウム・ヨウ素塩、2-[[3-アリル-4-オキソ-5-(3-n-プロピル-5,6-ジメチル-2-ベンゾチアゾリリデン)-エチリデン-2-チアゾリニリデン]メチル]3-エチル-4,5-ジフェニルチアゾリニウム・ヨウ素塩、1,1’,3,3,3’,3‘-ヘキサメチル-2,2’-インドトリカルボシアニン・ヨウ素塩、3,3’-ジエチル-2,2’-チアトリカルボシアニン・過塩素酸塩、アンヒドロ-1-エチル-4-メトキシ-3’-カルボキシメチル-5’-クロロ-2,2’-キノチアシアニンベタイン、アンヒドロ-5,5’-ジフェニル-9-エチル-3,3’-ジスルホプロピルオキサカルボシアニンヒドロキシド・トリエチルアミン塩、および2-[3-(3-エチル-2-ベンゾチアゾリデン)-1-プロペニル]-6-[2-(3-エチル-2-ベンゾチアゾリデン)エチリデンイミノ]-3-エチル-1,3,5-チアジアゾリウム・ヨウ素塩が挙げられる。
【0110】
スクアリリウム系色素としては、例えば、シクロブテンジイリウム,1,3-ビス[(3-エチル-2(3H)-ベンゾチアゾイリデン)メチル]-2,4-ジヒドロキシ-,ジハイドロキサイド,ビス(分子内塩)、シクロブテンジイリウム,1,3-ビス[(1,3-ジヒドロ-1,3,3-トリメチル-2H-インドール-2-イリデン)メチル]-2,4-ジヒドロキシ-,ジハイドロキサイド,ビス(分子内塩)、シクロブテンジイリウム,1,3-ビス[(1-エチル-1,3-ジヒドロ-3,3-ジメチル-2H-インドール-2-イリデン)メチル]-2,4-ジヒドロキシ-,ジハイドロキサイド,ビス(分子内塩)、シクロブテンジイリウム,1,3-ビス[(5-クロロ-1,3-ジヒドロ-1,3,3-トリメチル-2H-インドール-2-イリデン)メチル]-2,4-ジヒドロキシ-,ジハイドロキサイド,ビス(分子内塩)、シクロブテンジイリウム,1,3-ビス[(1,3-ジヒドロ-5-メトキシ-1,3,3-トリメチル-2H-インドール-2-イリデン)メチル]-2,4-ジヒドロキシ-,ジハイドロキサイド,ビス(分子内塩)、シクロブテンジイリウム,1,3-ビス[(1,3-ジヒドロ-1,3,3-トリメチル-2H-ベンズ[e]インドール-2-イリデン)メチル]-2,4-ジヒドロキシ-,ジハイドロキサイド,ビス(分子内塩)、シクロブテンジイリウム,1,3-ジヒドロキシ-2,4-ビス(2,3,6,7-テトラヒドロ-1H,5H-ベンゾ[ij]キノリジン-9-イル)-,ビス(分子内塩)、およびシクロブテンジイリウム,1,3-ジヒドロキシ-2,4-ビス(2,3,6,7-テトラヒドロ-8-ヒドロキシ-1H,5H-ベンゾ[ij]キノリジン-9-イル)-,ビス(分子内塩)が挙げられる。
【0111】
クマリン系色素としては、例えば、3-(2-ベンズイミダゾリル)-7-(ジエチルアミノ)クマリン、3-(2-ベンゾチアゾリル)-7-(ジエチルアミノ)クマリン、3-(2-ベンズイミダゾリル)-7-(ジメチルアミノ)クマリン、3-(2-ベンゾチアゾリル)-7-(ジメチルアミノ)クマリン、7-(ジエチルアミノ)-3-(1-メチル-2-ベンズイミダゾリル)クマリン、7-(ジメチルアミノ)-3-(1-メチル-2-ベンズイミダゾリル)クマリン、7-(ジエチルアミノ)-3-(1-エチル-2-ベンズイミダゾリル)クマリン、10-(2-ベンゾチアゾリル)-2,3,6,7-テトラヒドロ-1H,5H,11H-[1]ベンゾピラノ[6,7,8-ij]キノリジン-11-オン、10-(2-ベンゾオキサゾリル)-2,3,6,7-テトラヒドロ-1H,5H,11H-[1]ベンゾピラノ[6,7,8-ij]キノリジン-11-オン、3,3’-カルボニルビス(7-ジエチルアミノクマリン)、および3,3’-カルボニルビス(7-ジメチルアミノクマリン)が挙げられる。
【0112】
感光性組成物は、増感色素を1種または2種以上含有できる。
【0113】
<添加剤>
感光性組成物は、必要に応じて、添加剤を含有してもよい。
添加剤としては、例えば、微粒子、熱重合防止剤、連鎖移動剤、シランカップリング剤、レベリング剤および着色剤が挙げられる。微粒子としては、例えば、樹脂骨格として、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレンまたはポリ(メタ)アクリルを有する有機微粒子、該有機微粒子を構成する樹脂骨格中の水素原子の一部または全部がフッ素原子で置換されたフッ素系微粒子;シリカ、マイカ、タルクおよびチタニアなどの無機粒子が挙げられる。
感光性組成物は、添加剤を1種または2種以上含有できる。
【0114】
<有機溶媒>
感光性組成物は、塗工適性の向上という観点から、有機溶媒を含有することが好ましい。感光性組成物のうち、常温で液状である成分が含有されている場合は、有機溶媒が必要ない場合もある。有機溶媒としては、例えば、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトンおよびシクロヘキサノンなどのケトン溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチルおよびエチレングリコールジアセテートなどのエステル溶媒;トルエンおよびキシレンなどの芳香族炭化水素溶媒;メチルセロソルブ、エチルセロソルブおよびブチルセロソルブなどのセロソルブ溶媒;メタノール、エタノール、プロパノールおよびブタノールなどのアルコール溶媒;テトラヒドロフランおよびジオキサンなどのエーテル溶媒;ならびにジクロロメタンおよびクロロホルムなどのハロゲン化炭化水素溶媒が挙げられる。有機溶媒は、1種でもよく、2種以上の混合溶媒でもよい。
【0115】
<各成分の含有量>
感光性組成物におけるラジカル重合性モノマーの含有量は、感光性組成物の全固形分100質量部中、5質量部以上でもよく、10質量部以上でもよく、20質量部以上でもよく、また、90質量部以下でもよく、50質量部以下でもよく、40質量部以下でもよい。ラジカル重合性モノマーの含有量とは、ラジカル重合性モノマー(1)の含有量とラジカル重合性モノマー(2)の含有量との合計である。固形分とは、溶媒以外の全成分をいい、常温で液状のモノマーも固形分に含まれる。
【0116】
感光性組成物におけるラジカル重合性モノマー(1)の含有割合は、ラジカル重合性モノマーの総量中、30質量%以上でもよく、40質量%以上でもよく、50質量%以上でもよく、また、95質量%以下でもよく、90質量%以下でもよく、85質量%以下でもよく、80質量%以下でもよく、75質量%以下でもよく、70質量%以下でもよく、65質量%以下でもよい。ラジカル重合性モノマー(1)の含有割合が下限値以上の感光性組成物から形成されたホログラム層は、例えば、屈折率変調量(Δn)および回折効率がより優れ、また透明性により優れる。ラジカル重合性モノマー(1)の含有割合が上限値以下の感光性組成物は、例えば、画像光を回折して画像を表示するホログラム層を良好に形成でき、また、屈折率変調量(Δn)および回折効率により優れるホログラム層を形成できる。
【0117】
感光性組成物におけるカチオン重合性モノマーの含有量は、感光性組成物の全固形分100質量部中、5質量部以上でもよく、10質量部以上でもよく、20質量部以上でもよく、また、90質量部以下でもよく、50質量部以下でもよく、40質量部以下でもよい。このような態様により、例えば、所望の屈折率変調量が得られ、さらに、耐久性に優れるホログラム層が得られる。
【0118】
感光性組成物におけるバインダー樹脂の含有量は、感光性組成物の全固形分100質量部中、5質量部以上でもよく、10質量部以上でもよく、また、90質量部以下でもよく、50質量部以下でもよい。このような態様により、例えば、ホログラム層の強度をより向上できる。
【0119】
感光性組成物における光重合開始剤の含有量は、感光性組成物の全固形分100質量部中、0.1質量部以上でもよく、1質量部以上でもよく、また、10質量部以下でもよく、5質量部以下でもよい。このような態様により、例えば、光照射により光重合性モノマー(例えば上述したラジカル重合性モノマー)が充分に重合し、所望の屈折率変調量が得られる。
【0120】
感光性組成物における増感色素の含有量は、感光性組成物の全固形分100質量部中、0.001質量部以上でもよく、0.01質量部以上でもよく、0.05質量部以上でもよく、0.1質量部以上でもよく、また、2質量部以下でもよく、1.5質量部以下でもよく、1.2質量部以下でもよく、0.3質量部以下でもよい。このような態様により、例えば、光重合開始剤の感度を向上でき、またホログラム層の透明性を確保できる。
【0121】
感光性組成物は、一実施形態において、ラジカル重合性モノマー(1)と、ラジカル重合性モノマー(2)としての(メタ)アクリレート化合物と、カチオン重合性モノマーとしてのエポキシ基を有するモノマーと、バインダー樹脂としてのカチオン重合性基含有(メタ)アクリル樹脂と、を含有する。このような感光性組成物は、例えば、架橋密度が高く、また屈折率変調性に優れたホログラム層を形成できる。
【0122】
[ホログラム記録用シートおよびホログラムシート]
本開示のホログラム記録用シートは、基材と、感光性材料層と、を備える。
本開示のホログラムシートは、基材と、ホログラム層と、を備える。
【0123】
感光性材料層は、基材に向かう第1の面と、第1の面に対向する第2の面と、を有する。本明細書において、感光性材料層とは、ホログラフィ露光(干渉露光)前のラジカル重合性モノマーを含む層をいう。ホログラム層は、基材に向かう第1の面と、第1の面に対向する第2の面と、を有する。基材は、感光性材料層またはホログラム層に向かう第1の面と、第1の面に対向する第2の面と、を有する。
【0124】
ホログラム記録用シートは、感光性材料層の第2の面上に、第1の保護層をさらに備えてもよい。ホログラム記録用シートは、基材の第2の面上に、第2の保護層をさらに備えてもよい。
【0125】
ホログラムシートは、ホログラム層の第2の面上に、第1の保護層をさらに備えてもよい。ホログラムシートは、基材の第2の面上に、第2の保護層をさらに備えてもよい。
【0126】
以下、図面を参照して、本開示の実施形態について説明する。本明細書に添付する図面においては、図示と理解のし易さの便宜上、適宜縮尺および縦横の寸法比等を、実物のそれらから変更し誇張してある。また、一部の図において示された構成等が、他の図において省略されていることもある。
【0127】
本明細書において、形状および幾何学的条件ならびにそれらの程度を特定する、例えば、「平行」、「直交」、「同一」等の用語や長さや角度の値等については、厳密な意味に限定されることなく、同様の機能を期待し得る程度の範囲を含めて解釈する。
【0128】
図1~
図3を用いて、ホログラム記録用シートの構成について説明する。
図1に示すホログラム記録用シート1は、基材10と、感光性材料層20と、をこの順に備える。基材10は、感光性材料層20に向かう第1の面10aと、第1の面10aに対向する第2の面10bと、を有する。感光性材料層20は、基材10に向かう第1の面20aと、第1の面20aに対向する第2の面20bと、を有する。
図2に示すホログラム記録用シート1は、基材10と、感光性材料層20と、第1の保護層30と、をこの順に備える。
図3に示すホログラム記録用シート1は、第2の保護層40と、基材10と、感光性材料層20と、第1の保護層30と、をこの順に備える。
【0129】
図4~
図5を用いて、ホログラムシートの構成について説明する。
図4に示すホログラムシート2は、基材10と、ホログラム層22と、をこの順に備える。ホログラム層22は、基材10に向かう第1の面22aと、第1の面22aに対向する第2の面22bと、を有する。
図5に示すホログラムシート2は、基材10と、ホログラム層22と、第1の保護層30と、をこの順に備える。
【0130】
本開示のホログラムシートは、例えば、ヘッドアップディスプレイ、一般的な三次元ディスプレイ、レンズ、回折格子、干渉フィルター、光ファイバー用結合器、ファクシミリ用光偏光器、セキュリティーカード、クレジットカードおよびIDカードなどのメモリ材料、建築用窓ガラスおよび広告宣伝媒体等の用途に使用できる。本開示のホログラムシートは、これらの中でも、ヘッドアップディスプレイ用途に好適である。
【0131】
本開示のホログラムシートのJIS K7136:2000に準拠して測定される全光線透過率は、一実施形態において、70%以上でもよく、75%以上でもよく、80%以上でもよい。全光線透過率は高いほど好ましいが、例えばその上限は99%、95%または90%でもよい。全光線透過率は、ヘイズメーター(製品名「HM-50」、村上色彩技術研究所製)を用いて測定される。ホログラムシート1枚に対して全光線透過率を3回測定し、3回測定して得られた値の平均値をホログラムシートの全光線透過率とする。
【0132】
本開示のホログラムシートのJIS K7136:2000に準拠して測定されるヘイズは、一実施形態において、10%以下でもよく、5%以下でもよく、3%以下でもよい。ヘイズは低いほど好ましいが、例えばその下限は0.1%または0.3%でもよい。ヘイズは、ヘイズメーター(製品名「HM-50」、村上色彩技術研究所製)を用いて測定される。ホログラムシート1枚に対してヘイズを3回測定し、3回測定して得られた値の平均値をホログラムシートのヘイズとする。
【0133】
<基材>
本開示のホログラム記録用シートおよびホログラムシートは、基材を備える。基材は、例えば、ホログラム記録用シートの場合は感光性材料層を支持し、ホログラムシートの場合はホログラム層を支持する。
【0134】
基材を構成する樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートおよびポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ジアセチルセルロースおよびトリアセチルセルロースなどのセルロース系樹脂、ポリメチルメタクリレート等の(メタ)アクリル系樹脂、ポリエチレンおよびポリプロピレン等のポリオレフィン、ノルボルネン系樹脂等の環状ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリビニルアルコールおよびポリエチレン/ビニルアルコール等のビニル系樹脂、ポリカーボネート、ポリスルホン、ならびにポリアリレートが挙げられる。
【0135】
基材は、透明な層である。
本明細書において「透明」とは、可視光透過率が、50%以上であることを意味し、好ましくは80%以上である。可視光透過率は、分光光度計(島津製作所製「UV-3100PC」、JIS K0115:2020準拠品)を用いて測定波長380nm以上780nm以下の範囲内で1nm毎に測定したときの、各波長における全光線透過率の平均値として特定される。
【0136】
基材の厚みは、10μm以上でもよく、30μm以上でもよく、50μm以上でもよく、80μm以上でもよい。基材の厚みは、500μm以下でもよく、400μm以下でもよく、300μm以下でもよく、200μm以下でもよい。このような厚みを有する基材は、例えば、透明性および強度のバランスに優れる。
【0137】
<感光性材料層およびホログラム層>
感光性材料層およびホログラム層は、例えば、扁平形状を有する。
感光性材料層およびホログラム層は、平面視において、矩形形状を有してもよい。
【0138】
感光性材料層は、例えば、ホログラムを記録するための層である。
ホログラム層は、透明である。ホログラム層は、例えば、リップマン体積型ホログラムなどの体積型ホログラムである。ホログラム層は、反射型ホログラムでもよい。しかしながら、このことに限定されず、ホログラム層は、透過型ホログラムでもよい。
【0139】
ホログラム層は、一実施形態において、下記式(1A)で表される構造を有する。
【化3】
【0140】
式(1A)中のR1~R8、n1およびn2、k1~k4、ならびにp1およびp2は、それぞれ、式(1)中の同一記号と同義であり、本欄での説明は省略する。
【0141】
感光性材料層およびホログラム層の厚みは、それぞれ、1μm以上でもよく、3μm以上でもよく、5μm以上でもよく、また、100μm以下でもよく、50μm以下でもよく、30μm以下でもよい。透明性ホログラム特性の観点から、感光性材料層およびホログラム層の厚みは、それぞれ、3μm以上でもよく、5μm以上でもよく、また、30μm以下でもよく、20μm以下でもよい。感光性材料層の厚みが1μm以上の場合、ホログラムの形成性を向上できる傾向にある。感光性材料層の厚みが100μm以下の場合、ホログラム層の透過率を向上できる傾向にある。
【0142】
ホログラム層は、一実施形態において、干渉縞が記録された記録部を有する。記録部は、平面視において、ホログラム層の全面に設けられていてもよい。本開示のホログラムシートをヘッドアップディスプレイ用途に用いる場合、
図6に示すとおり、ホログラム層は、画像形成装置103から照射された画像光を干渉縞で回折して、使用者105の側に向ける。これにより、使用者105は、画像光に含まれる画像情報を虚像としてコンバイナ104の背後の観察位置106で背景とともに視認できる。
【0143】
ホログラム層は、複数の記録部を有してもよい。複数の記録部は、互いに異なる波長の光を高効率で回折できる。例えば、画像形成装置からの画像光は、青色の光、緑色の光、および赤色の光を含み得る。この例において、ホログラム層は、青色の光を高効率で回折する記録部、緑色の光を高効率で回折する記録部、および赤色の光を高効率で回折する記録部を含んでもよい。記録部が体積型ホログラムである場合には、多重記録によって、単一の記録部が複数の波長域の光を高効率で回折してもよい。
【0144】
感光性材料層は、例えば、ラジカル重合性モノマー(1)と、ラジカル重合性モノマー(1)以外のラジカル重合性モノマー(2)と、所望によりカチオン重合性モノマーと、バインダー樹脂と、光重合開始剤と、増感色素と、を含有する。感光性材料層は、例えば、本開示の感光性組成物を用いて形成することができる。ホログラム層は、例えば、このような感光性材料層に対してホログラフィ露光を行い、さらに該層を硬化することにより形成することができる。
【0145】
ホログラム層の屈折率変調量(Δn)は、一実施形態において、0.025以上でもよく、0.030以上でもよく、0.040以上でもよく、0.045以上でもよく、0.050以上でもよく、0.055以上でもよく、0.060以上でもよく、0.065以上でもよい。Δnの上限は特に限定されないが、例えば0.08でもよい。このようなΔnを有する体積型ホログラム層は、画像を高輝度で発現できる。Δnの測定方法の詳細は、実施例欄に記載する。
【0146】
ホログラム層のゲル分率は、30質量%以上でもよく、35質量%以上でもよく、40質量%以上でもよく、45質量%以上でもよい。ゲル分率の上限は特に限定されないが、例えば、95質量%、90質量%、80質量%である。ラジカル重合性モノマーとカチオン重合性モノマー、さらにカチオン重合性基含有(メタ)アクリル樹脂とを併用することにより、例えば、上記のように高いゲル分率を有するホログラム層を形成できる。
【0147】
ゲル分率は、以下の式で表される。
ゲル分率 = W2/W1×100(%)
ホログラム層の初期質量をW1とする。ホログラム層を、溶媒としてのメチルエチルケトン(MEK)中に室温(23℃)で24時間浸漬した後、ホログラム層を取り出し、溶媒をふき取り、乾燥した。乾燥後のホログラム層の質量をW2とする。
【0148】
感光性材料層は、例えば、基材等の表面に、感光性組成物を塗布し、乾燥させることにより、形成できる。感光性組成物の塗布方法としては、例えば、スプレー法、スピンコート法、ワイヤーバー法、ディップコート法、エアーナイフコート法、ダイコート法、コンマコート法、ロールコート法、ブレードコート法およびドクターロールコート法が挙げられる。
【0149】
感光性組成物の乾燥は、例えば、ホットプレート、オーブンおよびベルト炉などを用いて行う。乾燥温度は、50℃以上でもよく、60℃以上でもよく、70℃以上でもよく、また、150℃以下でもよく、140℃以下でもよく、130℃以下でもよい。乾燥時間は、1分以上でもよく、また、60分以下でもよく、30分以下でもよく、20分以下でもよく、10分以下でもよい。
【0150】
ホログラム層は、例えば、感光性材料層にホログラムを記録することにより形成される。具体的には、感光性材料層に対して、ホログラフィ露光を行う。これにより、感光性材料層の露光部または露光量の大きい部分において光重合性モノマーの重合反応が進み、重合体が形成される。その結果、非露光部または露光量の小さい部分から、露光部または露光量の大きい部分へ、光重合性モノマーの移動が起こる。光重合性モノマーの重合および濃度変化によって感光性材料層内に屈折率差が生じ、感光性材料層内に干渉パターン(干渉縞)が形成され、よってホログラムが記録される。このようにして、ホログラム層を得ることができる。
【0151】
ホログラフィ露光時の露光量は、10mJ/cm2以上でもよく、50mJ/cm2以上でもよく、また、500mJ/cm2以下でもよく、200mJ/cm2以下でもよい。感光性材料層は、増感色素を含有することによって可視光にも活性となり、可視光を用いてホログラムを記録できる。
【0152】
感光性材料層にホログラムを記録した後、屈折率変調の促進および重合反応完結(定着)のために、ホログラム層に対して、さらに加熱処理および/または全面露光を行ってもよい。加熱処理と全面露光とを共に行う場合、その順序は特に制限されないが、加熱処理を先に行うことが好ましい。一実施形態において、加熱処理、次いで全面露光を行うことが好ましい。これにより、架橋密度および耐久性により優れたホログラム層が得られる。
【0153】
加熱処理を行う際の温度は、例えば、50℃以上150℃であり、処理時間は、例えば、5分以上3時間以下である。加熱処理により、例えばエポキシ基を有するモノマーの重合が進み、架橋密度がより高いホログラム層が得られる。
【0154】
全面露光では、ホログラム層に対して、例えば、紫外線および/または可視光線を照射する。全面露光で用いられる光源としては、例えば、超高圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、カーボンアークランプ、キセノンアークランプおよびメタルハライドランプ、可視光の蛍光灯やLEDライトが挙げられる。紫外線による全面露光を行う場合の照射エネルギー量は、500mJ/cm2以上でもよく、1000mJ/cm2以上でもよく、また、5000mJ/cm2以下でもよく、3000mJ/cm2以下でもよい。可視光による全面露光を行う場合の照射時間は、1分以上でもよく、5分以上でもよく、10分以上でもよく、また、2時間以下でもよく、1時間以下でもよい。全面露光により、例えば光重合性モノマーの重合が進み、架橋密度がより高いホログラム層が得られる。また、増感色素の退色処理のための全面露光を行ってもよい。
【0155】
<第1の保護層>
本開示のホログラム記録用シートは、感光性材料層の第2の面上に、第1の保護層をさらに備えてもよい。本開示のホログラムシートは、ホログラム層の第2の面上に、第1の保護層をさらに備えてもよい。第1の保護層は、例えば、感光性材料層またはホログラム層の第2の面に塵などの異物が付着することを抑制でき、感光性材料層またはホログラム層が擦過などにより劣化することを抑制でき、あるいは、ホログラムシートにおけるホログラム層が接合材と接触しているコンバイナにおいては、接合材に含まれる可塑剤などの低分子量成分がホログラム層の干渉縞に侵入することを抑制できる。
【0156】
第1の保護層を構成する樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートおよびポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリエチレンおよびポリプロピレン等のポリオレフィン、ノルボルネン系樹脂等の環状ポリオレフィン、ポリメチルメタクリレート等の(メタ)アクリル系樹脂、ジアセチルセルロースおよびトリアセチルセルロース等のセルロース系樹脂、ポリビニルアルコールおよびポリエチレン/ビニルアルコール等のビニル系樹脂、ポリカーボネート、ポリスルホンならびにポリテトラフルオロエチレン等のフッ素樹脂が挙げられる。
【0157】
感光性材料層上の第1の保護層は、例えば、感光性材料層から剥離可能な離型フィルムでもよい。このような離型フィルムを備えるホログラム記録用シートにおいて、その使用時に感光性材料層から離型フィルムを剥離できる。
【0158】
離型フィルムとしては、例えば、離型処理が施されていてもよい樹脂フィルムが挙げられ、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルムおよびポリエチレンナフタレートフィルム等のポリエステルフィルム、ポリエチレンフィルムおよびポリプロピレンフィルム等のポリオレフィンフィルム、ノルボルネン系樹脂フィルム等の環状ポリオレフィンフィルム、ポリメチルメタクリレートフィルム等の(メタ)アクリル系樹脂フィルム、ならびにポリテトラフルオロエチレンフィルム等のフッ素樹脂フィルムが挙げられる。離型処理としては、例えば、フッ素系離型剤、シリコーン系離型剤および長鎖アルキル系離型剤などの離型剤の塗布処理などが挙げられる。これらの中でも、ポリエステルフィルム、すなわちポリエステル系離型フィルムが好ましい。
【0159】
ホログラム層上の第1の保護層は、例えば、ホログラム層に良好に密着可能なフィルムでもよい。上記フィルムとしては、例えば、易接着処理が施されていてもよい樹脂フィルムが挙げられ、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルムおよびポリエチレンナフタレートフィルム等のポリエステルフィルム、ポリエチレンフィルムおよびポリプロピレンフィルム等のポリオレフィンフィルム、ノルボルネン系樹脂フィルム等の環状ポリオレフィンフィルム、ポリメチルメタクリレートフィルム等の(メタ)アクリル系樹脂フィルムが挙げられ、その他、トリアセチルセルロースフィルム、ポリカーボネートフィルムも挙げられる。これらの中でも、ポリエステルフィルム、ポリカーボネートフィルムが好ましい。
【0160】
第1の保護層は、平面視において、感光性材料層またはホログラム層と重なっている。例えば、平面視において、第1の保護層の外周縁と感光性材料層またはホログラム層の外周縁とが重なっていてもよい。
【0161】
第1の保護層の厚みは、5μm以上でもよく、10μm以上でもよく、15μm以上でもよい。第1の保護層の厚みは、200μm以下でもよく、150μm以下でもよく、100μm以下でもよい。
【0162】
<第2の保護層>
本開示のホログラム記録用シートは、基材の第2の面上に、第2の保護層をさらに備えてもよい。本開示のホログラムシートは、基材の第2の面上に、第2の保護層をさらに備えてもよい。第2の保護層は、例えば、基材の第2の面に塵などの異物が付着することを抑制でき、あるいは、基材が擦過などにより劣化することを抑制できる。
【0163】
第2の保護層を構成する樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートおよびポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリエチレンおよびポリプロピレン等のポリオレフィン、ノルボルネン系樹脂等の環状ポリオレフィン、ポリメチルメタクリレート等の(メタ)アクリル系樹脂、ならびにポリテトラフルオロエチレン等のフッ素樹脂が挙げられる。
【0164】
第2の保護層は、例えば、基材から剥離可能な離型フィルムでもよい。このような離型フィルムを備えるホログラム記録用シートおよびホログラムシートにおいて、その使用時に基材から離型フィルムを剥離できる。
【0165】
離型フィルムとしては、例えば、離型処理が施されていてもよい樹脂フィルムが挙げられ、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルムおよびポリエチレンナフタレートフィルム等のポリエステルフィルム、ポリエチレンフィルムおよびポリプロピレンフィルム等のポリオレフィンフィルム、ノルボルネン系樹脂フィルム等の環状ポリオレフィンフィルム、ポリメチルメタクリレートフィルム等の(メタ)アクリル系樹脂フィルム、ならびにポリテトラフルオロエチレンフィルム等のフッ素樹脂フィルムが挙げられる。離型処理としては、例えば、フッ素系離型剤、シリコーン系離型剤および長鎖アルキル系離型剤などの離型剤の塗布処理などが挙げられる。
【0166】
第2の保護層は、平面視において、基材と重なっている。例えば、平面視において、第2の保護層の外周縁と基材の外周縁とが重なっていてもよい。
【0167】
第2の保護層の厚みは、5μm以上でもよく、10μm以上でもよく、15μm以上でもよい。第2の保護層の厚みは、200μm以下でもよく、150μm以下でもよく、100μm以下でもよい。
【0168】
[コンバイナ、ヘッドアップディスプレイおよび移動体]
ヘッドアップディスプレイおよび移動体を説明した後、コンバイナを説明する。
図6に示すように、ヘッドアップディスプレイ102は、画像形成装置103およびコンバイナ104を有する。ヘッドアップディスプレイ102は、コンバイナ104を用いて、画像形成装置103によって形成された画像を使用者105に表示する。コンバイナ104は、透明である。このため、使用者105は、コンバイナ104を介して、コンバイナ104の背後を観察できる。撮像装置が、コンバイナ104を介して、コンバイナ104を観察する使用者105を撮像してもよい。
【0169】
本実施形態によるヘッドアップディスプレイ102は、種々の分野に適用可能である。ヘッドアップディスプレイ102は、ヘッドマウントディスプレイに適用されてもよい。ヘッドアップディスプレイ102は、プロンプターに適用されてもよい。プロンプターは、講演や撮像等に使用されてもよい。
【0170】
図6に示す例においては、ヘッドアップディスプレイ102は、移動体101に適用されている。移動体101は、移動可能な装置である。移動体101は、人間が乗った状態で移動可能としてもよい。移動体101として、船、飛行機、ドローン、鉄道車両、図示された自動車等が例示される。
図6に示すように、コンバイナ104は、自動車のフロントウインドウに適用されてもよい。
【0171】
画像形成装置103は、画像を形成する画像光を放出する。使用者105は、画像光を受光することによって画像を観察する。画像光には、速度情報、視界補助情報およびナビゲーション情報等の画像情報が含まれる。
図6に示すように、画像形成装置103は、ダッシュボード内に配置され、ダッシュボードによって隠蔽されていてもよい。画像形成装置103としては、特に限定されず、画像を形成可能な種々の装置を使用可能である。画像形成装置103としては、例えば、液晶表示装置、レーザー表示装置およびEL表示装置が挙げられる。画像形成装置103は、光学シートと、光学シートを背面から照明する光源と、を有してもよい。画像形成装置103からの画像光は、コンバイナ104に照射される。画像形成装置103とコンバイナ104との間に、投射光学系(不図示)が設けられていてもよい。投射光学系は、画像形成装置103からコンバイナ104へ画像光を誘導する。投射光学系は、ミラー、レンズ、プリズム、回折光学素子およびこれらの組合せを含んでいてもよい。
【0172】
コンバイナ104は、画像形成装置103からの画像光を使用者105に向ける。
【0173】
本開示のコンバイナは、
一対の基板と、
一対の基板を互いに接合するように一対の基板の間に配置された接合材と、
一対の基板の間に位置する本開示のホログラムシートと、
を有する。
【0174】
図7を用いて、コンバイナの構成について説明する。コンバイナ104は、一対の基板60,62と、一対の基板60,62を互いに接合するように基板60,62の間に配置されている接合材70と、一対の基板60,62の間に位置する本開示のホログラムシート2と、を有する。ホログラムシート2は、平面視において一対の基板60,62の例えば中央部に配置されている。ホログラムシート2は、接合材70により被覆されている。
【0175】
図7の実施形態では、コンバイナ104は、平面視の一部において、基板62と、接合材70と、ホログラムシート2と、接合材70と、基板60とを含む積層構造を有する。
コンバイナ104は、平面視の一部において、基板62と、ホログラムシート2と、接合材70と、基板60とを含み、基板62とホログラムシート2とが接触している積層構造を有してもよい。
コンバイナ104は、平面視の一部において、基板62と、図示せぬ接着剤層と、ホログラムシート2と、接合材70と、基板60とを含み、基板62と接着剤層とが接触し、接着剤層とホログラムシート2とが接触している積層構造を有してもよい。
【0176】
本開示のコンバイナ(またはホログラムシート)は、25℃環境下で測定した透過スペクトルにおいて、495nm以上570nm未満の範囲に第1のピークを有してもよい。透過スペクトルは、ホログラム層の中心部において、波長400nm以上780nm以下の範囲において測定される。第1のピークは、例えば、緑色光に関する回折ピークに相当する。
【0177】
ホログラム層は、一実施形態において、複数の波長の光に対して回折効率のピークを有し、したがって透過スペクトルが複数のピークを有してもよい。本開示のコンバイナ(またはホログラムシート)は、25℃環境下で測定した透過スペクトルにおいて、400nm以上495nm未満の範囲に存在する第2のピーク、および/または570nm以上700nm以下の範囲に存在する第3のピークをさらに有してもよい。第2のピークは、例えば、青色光に関する回折ピークに相当する。第3のピークは、例えば、赤色光に関する回折ピークに相当する。
【0178】
本開示のホログラムシートは、コンバイナまたは合わせガラス用途に好適である。
【0179】
<基板>
一対の基板は、互いに平行になるように配置されている。基板は、透明な板である。基板は、ホログラムシートを支持する。
図6に示す例においては、一対の基板60,62は、移動体101のフロントウインドウを構成する風防用の部材として機能している。一実施形態において、基板60は、使用者105の側とは反対側、すなわち移動体101の外側に位置している。一実施形態において、基板62は、使用者105の側、すなわち移動体101の内側に位置している。基板の材料として、ソーダライムガラスや青板ガラス等の無機ガラスを用いてもよい。すなわち基板は、無機ガラス板でもよい。基板の材料として、例えば、(メタ)アクリル樹脂、三酢酸セルロース樹脂、ポリカーボネートおよび非晶質ポリオレフィン等の樹脂を用いてもよい。すなわち基板は、樹脂ガラス板でもよい。基板は、複数の層を有してもよい。基板の厚みは、例えば1mm以上5mm以下である。一対の基板は、同一の材料で同一に構成されてもよく、異なる材料で構成されてもよい。
【0180】
<接合材>
接合材は、一対の基板の間に配置されている。合わせガラスにおいて、接合材により構成される層は「中間膜」とも呼ばれる。接合材は、透明である。接合材は、接着性または粘着性を有する。接合材は、一対の基板にそれぞれ接触し、一対の基板を互いに接合している。
図7においては、接合材70は、一対の基板60,62の間に充填されている。すなわち、接合材70は、一対の基板60,62の間に隙間なく配置されている。接合材の厚みは、例えば20μm以上1000μm以下である。
【0181】
接合材は、一実施形態において、熱可塑性樹脂を含有する。
熱可塑性樹脂として、例えば、ポリビニルアセタール、エチレン-酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコール、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、フッ化ビニリデン-六フッ化プロピレン共重合体、ポリ三フッ化エチレン、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体、ポリエステル、ポリエーテル、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ(メタ)アクリレートおよびエチレン-(メタ)アクリル酸共重合体が挙げられる。これらの中でも、ポリビニルアセタールおよびエチレン-酢酸ビニル共重合体が好ましく、ポリビニルアセタールがより好ましい。ポリビニルアセタールとしては、ポリビニルブチラールが好ましい。すなわち、接合材を構成する熱可塑性樹脂として、ポリビニルブチラール(PVB)が好ましい。
接合材は、熱可塑性樹脂を1種または2種以上含有できる。
【0182】
接合材は、基板等に対するその接着力をより高めるという観点から、可塑剤を含有してもよい。可塑剤は、一実施形態において、液状可塑剤である。接合材は、一実施形態において、熱可塑性樹脂と可塑剤とを含有し、ポリビニルアセタールと可塑剤とを含有してもよく、ポリビニルブチラールと可塑剤とを含有してもよい。
【0183】
可塑剤としては、合わせガラス用中間膜に一般的に用いられる可塑剤が挙げられ、例えば、一塩基性有機酸エステルおよび多塩基性有機酸エステルなどのエステル系可塑剤;ならびに有機リン酸化合物および有機亜リン酸化合物などのリン酸系可塑剤が挙げられる。
【0184】
接合材における可塑剤の含有量は、熱可塑性樹脂100質量部に対して、10質量部以上でもよく、20質量部以上でもよく、また、80質量部以下でもよく、70質量部以下でもよい。これにより、例えば、接合材の接着性および透明性をより向上できる。
【0185】
接合材は、添加剤を1種または2種以上含有してもよい。添加剤としては、例えば、接着力調整剤、酸化防止剤、光安定剤、難燃剤、帯電防止剤、耐湿剤、顔料、染料、蛍光増白剤、紫外線遮蔽剤、熱線反射剤および熱線吸収剤が挙げられる。
【0186】
接合材は、単層構造を有してもよく、多層構造を有してもよい。
【0187】
接合材は、例えば、接合材を構成する成分を混練して組成物を調製し、該組成物を用いて形成できる。例えば、押出法、カレンダー法およびプレス法などの通常の製膜法により、該組成物をシート状に製膜する方法が挙げられる。
【0188】
<ホログラムシート>
本開示のホログラムシートは、例えば、一対の基板の間に配置されている。ホログラムシートは、接合材と接触するように配置されていてもよい。ホログラムシートは、例えば、一対の基板の間の中央部に配置されており、接合材により囲まれていてもよい(
図7参照)。しかしながら、このことに限定されず、ホログラムシートは、一方の基板の側に接合材を介在させずに配置されて、一方の基板と接触していてもよく、一方の基板の側に接着剤層を介して配置されていてもよい。
【0189】
<接着剤層>
コンバイナを構成する各層の間に、接着剤層を設けてもよい。
接着剤層を構成する接着剤としては、例えば、天然ゴム系、再生ゴム系、クロロプレンゴム系、ニトリルゴム系、スチレン-ブタジエンゴム系、熱可塑性エラストマー系などのエラストマー系接着剤;エポキシ樹脂系、ポリウレタン系などの合成樹脂系接着剤;反応型アクリル系、シアノアクリレート系などの化学反応型接着剤;紫外線硬化型接着剤、電子線硬化型接着剤;エチレン-酢酸ビニル共重合樹脂系、ポリアミド系、ポリエステル系、熱可塑性エラストマー系、反応ホットメルト系などのホットメルト系接着剤;水溶性接着剤、エマルション系接着剤、ラテックス系接着剤などの水性接着剤;無機系接着剤が挙げられる。
【0190】
接着剤層の厚みは、例えば0.1μm以上10μm以下である。
【0191】
<コンバイナの製造方法>
本開示のコンバイナの製造方法は、例えば、一対の基板、接合材および本開示のホログラムシートを準備する準備工程と、一対の基板の間に接合材およびホログラムシートを配置する配置工程と、一対の基板を圧着する圧着工程と、を有する。
【0192】
準備工程は、一対の基板を準備する工程と、接合材を準備する工程と、本開示のホログラムシートを準備する工程と、を有する。一対の基板を準備する工程においては、ガラス等からなる一対の基板を準備する。
【0193】
続いて、配置工程が行われる。配置工程においては、一対の基板の間に接合材およびホログラムシートが配置される。接合材は、一対の基板にそれぞれ接触するように配置される。ホログラムシートは、平面視において一対の基板の中央部に配置されてもよい。ホログラムシートは、接合材と接触するように配置されてもよい。ホログラムシートは、接合材により囲まれるように配置されてもよい。接合材は、一対の基板の間に充填される。接合材は、一対の基板の間に隙間なく配置される。
【0194】
次に、圧着工程が行われる。圧着工程においては、一対の基板が圧着される。より具体的には、真空雰囲気下において、一対の基板が、外側から加圧される。加圧時の温度は、80℃以上でもよく、100℃以上でもよく、また、200℃以下でもよく、150℃以下でもよい。これにより、接合材が一対の基板にそれぞれ融着し、一対の基板が互いに接合(圧着)される。
【0195】
このようにして、コンバイナを得ることができる。
【0196】
<他の実施形態のコンバイナ>
本開示のコンバイナは、他の実施形態において、基材と、ホログラム層と、基板と、をこの順に備えてもよい。該コンバイナは、ホログラム層と基板との間に接着剤層を備えてもよい。各層の詳細は上述したとおりであり、本欄での説明は省略する。
【0197】
基板としては、例えば、樹脂基板およびガラス基板が挙げられる。樹脂基板としては、例えば、ポリカーボネート基板;ポリエチレンテレフタレート基板、ポリブチレンテレフタレート基板およびポリエチレンナフタレート基板等のポリエステル基板;ならびにポリメチルメタクリレート基板等の(メタ)アクリル系樹脂基板が挙げられる。
基板の厚みは、例えば1mm以上5mm以下である。
【0198】
上記他の実施形態のコンバイナは、例えば、本開示のホログラムシートを必要に応じて接着剤層を介して基板に貼り合わせることにより製造できる。
【0199】
[実施形態]
本開示は、例えば以下の[1]~[13]に関する。
[1]前述した式(1)で表されるラジカル重合性モノマー(1)と、前記ラジカル重合性モノマー(1)以外のラジカル重合性モノマー(2)と、バインダー樹脂と、光重合開始剤と、増感色素と、を含有し、ホログラム層形成用である、感光性組成物。
[2]前記ラジカル重合性モノマー(2)が、1.50以上の屈折率を有する(メタ)アクリレート化合物および1.50以上の屈折率を有するチオ(メタ)アクリレート化合物から選択される少なくとも1種である、前記[1]に記載の感光性組成物。
[3]カチオン重合性モノマーをさらに含有する、前記[1]または[2]に記載の感光性組成物。
[4]基材と、前記[1]~[3]のいずれか一項に記載の感光性組成物から形成された感光性材料層と、第1の保護層と、をこの順に備える、ホログラム記録用シート。
[5]基材と、前記[1]~[3]のいずれか一項に記載の感光性組成物から形成されたホログラム層と、第1の保護層と、をこの順に備える、ホログラムシート。
[6]前記ホログラム層が、体積型ホログラム層である、前記[5]に記載のホログラムシート。
[7]基材と、前記[1]~[3]のいずれか一項に記載の感光性組成物から形成されたホログラム層と、基板と、をこの順に備えるコンバイナ。
[8]前記ホログラム層が、体積型ホログラム層である、前記[7]に記載のコンバイナ。
[9]一対の基板と、前記一対の基板を互いに接合するように前記一対の基板の間に配置された接合材と、前記一対の基板の間に位置する、前記[5]または[6]に記載のホログラムシートと、を有するコンバイナ。
[10]画像光を放出する画像形成装置と、前記画像光が照射される前記[7]~[9]のいずれか一項に記載のコンバイナと、を備える、ヘッドアップディスプレイ。
[11]前記[10]に記載のヘッドアップディスプレイを備える、移動体。
[12]前述した式(1A)で表される構造を有するホログラム層。
[13]屈折率変調量(Δn)が0.025以上である、前記[12]に記載のホログラム層。
【実施例0200】
以下、実施例に基づき、本開示の感光性組成物、ホログラム記録用シート、ホログラムシートおよびコンバイナ等についてより詳細に説明する。
【0201】
実施例等で用いたラジカル重合性モノマーについて記載する。
・TBIS-ZPC
田岡化学製、TBIS-ZPC
下記式で表される化合物
屈折率(589nm:D線、25℃):1.634
【化4】
【0202】
・EA-0200
大阪ガスケミカル製、OGSOL EA-0200
下記式で表される化合物(m=n=1~2)
屈折率(589nm:D線、25℃):1.605
【化5】
【0203】
・RUVA-93
大塚化学製、RUVA-93
下記式で表される化合物
屈折率(589nm:D線、25℃):1.625
【化6】
【0204】
・NMT-A
共栄社化学製、ライトアクリレートNMT-A
1-ナフチルメチルアクリレート
屈折率(589nm:D線、25℃):1.602
【化7】
【0205】
・A-BP-2EO
本州化学工業製、A-BP-2EO
下記式で表される化合物
屈折率(589nm:D線、25℃):1.511
【化8】
【0206】
・6MDNTMA
スガイ化学工業製、6MDNTMA
6-メタクリロイルオキシメチルジナフトチオフェン
屈折率(589nm:D線、25℃):1.726
【化9】
【0207】
・16NDSHMA
スガイ化学工業製、16NDSHMA
下記式で表される化合物
屈折率(589nm:D線、25℃):1.650
【化10】
【0208】
・A-LEN-10
新中村化学工業製、NKエステル A-LEN-10
エトキシ化-o-フェニルフェノールアクリレート(n=1~2)
屈折率(589nm:D線、25℃):1.558
【化11】
【0209】
・POB-A
共栄社化学製、ライトアクリレートPOB-A
m-フェノキシベンジルアクリレート
屈折率(589nm:D線、25℃):1.566
【化12】
【0210】
・HDDA
1,6-ヘキサンジオールジアクリレート
屈折率(589nm:D線、25℃):1.456
【化13】
【0211】
[実施例1]
下記に示す材料を用いて、体積型ホログラム記録用感光性組成物を調製した。
・カチオン重合性基含有(メタ)アクリル樹脂 50質量部
(ポリ(イソブチルメタクリレート/メチルメタクリレート/グリシジルメタクリレート/=50/40/10)共重合体、ポリスチレン換算重量平均分子量:13万、屈折率:1.422)
・ラジカル重合性モノマー
TBIS-ZPC 40質量部
RUVA-93 10質量部
・カチオン重合性モノマー
1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル 40質量部
(ナガセケムテックス製EX-212、屈折率:1.460)
・ジアリールヨードニウム塩(ローディア製、PI2074) 5質量部
・3,3’,9-トリエチル-2,2’-(4,5,4’,5’-ジベンゾ)チアカルボシアニン ブロミド 0.5質量部
・3,3’,9-トリエチル-2,2’-チアカルボシアニン ヨージド 0.5質量部
・3-(2-ベンズイミダゾリル)-7-(ジエチルアミノ)クマリン 0.5質量部
・1-ブタノール 65質量部
・メチルエチルケトン 115質量部
【0212】
[実施例2~14および比較例1~3]
ラジカル重合性モノマーの種類および配合比率を表1に記載したとおりに変更したこと以外は実施例1と同様にして、体積型ホログラム記録用感光性組成物を調製した。表1において、ラジカル重合性モノマーの総量100質量%に対する各ラジカル重合性モノマーの配合割合(質量%)を記載した。
【0213】
[ホログラム記録用シートの作製]
厚み50μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを準備した。PETフィルムの表面に上記感光性組成物を塗布し、100℃で10分間乾燥させ、厚み15μmの感光性材料層を形成した。感光性材料層に、厚み38μmの離型性PETフィルム(三井東セロ製SP-PET-O3-38BU)を貼付した。このようにして、PETフィルムと、感光性材料層と、離型性PETフィルムと、を備えるホログラム記録用シートを作製した。
【0214】
<ホログラムシートの作製>
ホログラム記録用シートから離型性PETフィルムを剥離して得られたシートを、感光性材料層がミラーに接するようにミラーに貼付した。このようにして、PETフィルムと、感光性材料層と、ミラーと、を備える中間積層体を作製した。中間積層体に対してPETフィルム側から460nm、532nm、640nmのレーザー光を合計80mJ/cm2の露光量、0°の入射角度で入射してホログラフィ露光を行い、感光性材料層に体積型ホログラムを記録した。ホログラフィ露光を行った後、中間積層体からミラーを除去し、感光性材料層に厚み50μmのPETフィルム(東洋紡製コスモシャインA4360)を貼付し、80℃で10分間加熱処理を行った。さらに、感光性材料層面における照射エネルギー量が1200mJ/cm2となるように紫外線照射を感光性材料層全面に行い、さらに、増感色素の退色処理のため、感光性材料層全面に蛍光灯からの光を10分間照射した。これにより、感光性材料層からホログラム層を形成した。このようにして、PETフィルムと、ホログラム層と、PETフィルムと、を備えるホログラムシートを得た。
【0215】
<コンバイナの作製>
一対の基板として、第1の基板と第2の基板とを用いた。第1の基板の法線方向に沿った厚みは2mmである。第1の基板として青板ガラスを用いた。第2の基板の法線方向に沿った厚みは2mmである。第2の基板として青板ガラスを用いた。接合材として、ポリビニルブチラール樹脂材を用いた。ホログラムシートと第1の基板との間における接合材の厚みは380μmである。ホログラムシートと第2の基板との間における接合材の厚みは380μmである。
【0216】
第1の基板および第2の基板は、法線方向からの観察において、150mm×150mmの正方形形状を有する。ホログラムシートは、法線方向からの観察において、100mm×100mmの正方形形状を有する。ホログラムシートの周縁が、第1の基板および第2の基板の周縁から25mm内側に位置するように、接合材中においてホログラムシートを第1の基板および第2の基板に対して配置した。
このようにして、コンバイナを得た。
【0217】
[平均回折効率および屈折率変調量(Δn)の測定]
上記で得られたホログラムシートの透過率を分光光度計(島津製作所製「UV-3100PC」、JIS K0115:2020準拠品)を用いて測定し、透過スペクトルを得た。得られた透過スペクトルにおいて、ピーク透過率Aおよびベース透過率Bを求め、下記式:
回折効率η={|B-A|/B}×100(%)
により、各色(青、緑、赤)の回折効率ηおよびその平均値を算出した。
得られた回折効率ηの値を用いて、下記のKogelnik理論式:
η=tanh2(π(Δn)d/λcosθ0)
(式中、ηは回折効率、dは感光性材料層の厚み、λは記録レーザー波長、θ0は記録レーザー光の感光性材料層中への入射角度である。)
により、屈折率変調量(Δn)を算出し、各色(青、緑、赤)のΔnの値を合計した。
【0218】
【0219】
実施例では、平均回折効率が40%以上かつ屈折率変調量(Δn)が0.040以上のホログラム層が形成されている。比較例では、画像光を回折(反射)して画像を表示するホログラム層を形成できていないか、あるいは平均回折効率が40%未満および/または屈折率変調量(Δn)が0.040未満のホログラム層が形成されている。
【0220】
以上において、具体例を参照しながら本開示の感光性組成物等を説明したが、上述した具体例が本開示の感光性組成物等を限定することを意図していない。上述した本開示の感光性組成物等は、その他の様々な具体例で実施でき、その要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、追加を行うことができる。